JP5955837B2 - ポサコナゾール及びポサコナゾール中間体の精製 - Google Patents

ポサコナゾール及びポサコナゾール中間体の精製 Download PDF

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Description

本発明は、キラル化合物の精製、特に抗真菌剤、好ましくはポサコナゾールを製造するための中間体として使用され得るキラル化合物の精製に関する。
ポサコナゾール(CAS登録番号171228−49−2;CAS名:2,5−アンヒドロ−1,3,4−トリデオキシ−2−C−(2,4−ジフルオロフェニル)−4−[[4−[4−[4−[1−[(1S,2S)−1−エチル−2−ヒドロキシプロピル]−1,5−ジヒドロ−5−オキソ−4H−1,2,4−トリアゾル−4−イル]フェニル]−1−ピペラジニル]フェノキシ]メチル]−1−(1H−1,2,4−トリアゾル−1−イル)−D−スレオ−ペンチトール)は、構造
Figure 0005955837
で表されるトリアゾール抗真菌剤である。
ポサコナゾールは、例えば免疫不全患者及び/または他の抗真菌剤(例えば、アンホテリシンB、フルコナゾールまたはイトラコナゾール)に対して難治性である疾患を有している患者、及び/またはこれらの抗真菌剤に対して耐性でない患者においてカンジダ属(Candida species)、ムコール属(Mucor species)、アスペルギルス属(Aspergillus species)、フサリウム属(Fusarium species)またはコクシジオイデス属(Coccidioides species)に起因する侵襲性真菌感染を予防及び/または治療するために使用されている。
ポサコナゾールを製造するための重要な中間体の1つは、式(II)
Figure 0005955837
(式中、残基Y及びYの両方がFである)
の化合物である。式(II)の化合物に対する考えられる合成アプローチでは、ヨード環化により第4級立体中心が生じて、所要のテトラヒドロフランがジアステレオマー混合物として得られる。この混合物中のシス異性体対トランス異性体(シス:トランス)のモル比は85:15〜95:5の範囲、典型的には約9:1である。しかしながら、シス異性体のみをポサコナゾールに変換させることが望ましい。従って、所望のシス異性体またはその適当な塩を濃縮させる必要がある。
従来技術によれば、第1のステップで、溶媒中に式(II)のシス異性体及び式(III)のトランス異性体
Figure 0005955837
を含むジアステレオマー混合物を出発混合物と同一のシス:トランス比、すなわち典型的には9:1比を示す化合物(II)及び(III)のそれぞれのトシラートのジアステレオマー混合物に変換させる。第2のステップで、このジアステレオマー混合物からシス異性体を時間のかかるシリカゲル上での勾配カラムクロマトグラフィーを介して大量のヘプタンと酢酸エチルの混合物を用いて分離しなければならない。これに関連して、US 5,403,937、EP 0 736 030 A1及びWO 95/17407を参照されたい。しかしながら、一般的なカラムクロマトグラフィー及び上で検討したカラムクロマトグラフィー方法は工業規模での方法には適さない。
従って、本発明の目的は、式(II)に従うシス異性体を分離するための新規方法を提供することであった。
単純化された有利な新規方法を求めて、化合物(II)及び(III)のトシラートの公知のジアステレオマー混合物を使用することは多分前途有望な出発点でなかったことが知見された。
従って、本発明の別の目的は、式(II)及び(III)の化合物の適当な誘導体を含有している新規中間体を提供することであった。
驚くことに、式(II)及び(III)の化合物を含有しているジアステレオマー混合物に基づいて特定の塩が製造されるならば、シス異性体の上で検討した分離をかなり単純化し得ることが知見された。この特定の塩は化合物(II)及び(III)のHCl塩であると知見された。
米国特許第5,403,937号明細書 欧州特許出願公開第0 736 030号明細書 国際公開第95/17407号 国際公開第94/25452号 国際公開第97/22710号
Tetrahedron Letters,32(1991),p.7545−7548
従って、本発明は、式(I)
Figure 0005955837
(式中、Y及びYは独立してFまたはCl、好ましくはFである)
の化合物の塩酸(HCl)塩の製造方法であって、式(I)の前記化合物が式(II)のシス異性体及び式(III)のトランス異性体
Figure 0005955837
を含有しており、前記方法は、
(1)第1の適当な溶媒中に含まれている式(I)の化合物を用意し;
(2)第1の適当な溶媒中に含まれている式(I)の化合物を第2の適当な溶媒中に含まれているHClで処理して、式(I)の化合物のHCl塩を得る;
ことを含む。
更に、本発明は、式(II)のシス異性体及び式(III)のトランス異性体
Figure 0005955837
のジアステレオマーの混合物をシス異性体に関して精製するための上記方法の使用に関する。
更に、本発明は、式(I)
Figure 0005955837
(式中、Y及びYは独立してFまたはCl、好ましくはFである)
の化合物の好ましくは結晶性の塩酸(HCl)塩に関するものであって、式(I)の前記化合物は式(II)のシス異性体及び式(III)のトランス異性体
Figure 0005955837
を含有している。
なお更に、本発明は、抗真菌剤、好ましくはポサコナゾールを製造するための少なくとも99%の式(II)
Figure 0005955837
のシス異性体のHCl塩を含有している好ましくは結晶性のHCl塩の使用に関する。
本発明の実施例6に従って得た式(I)の化合物のX線粉末回折パターン(XRD)を示す。シス:トランス比、すなわちY=Y=Fである式(II)の化合物:式(III)の化合物の比は99.2:0.8である。図1中、x軸には2θ値(°)で表示される位置を示し、y軸には秒あたりのカウント(線形目盛)として測定した強度を示す。
本発明の方法によれば、式(I)
Figure 0005955837
(式中、Y及びYは独立してFまたはCl、好ましくはFである)
の化合物の塩酸(HCl)塩が製造され、式(I)の前記化合物は式(II)のシス異性体及び式(III)のトランス異性体
Figure 0005955837
を含有する。
本発明のこの方法は、ステップ(1)及び(2):
(1)第1の適当な溶媒中に含まれている式(I)の化合物を用意し;
(2)第1の適当な溶媒中に含まれている式(I)の化合物を第2の適当な溶媒中に含まれているHClで処理して、式(I)の化合物のHCl塩を得る;
ことを含む。
通常、化合物(II)対化合物(III)のモル比を特に限定することなく、ステップ(2)において式(II)及び(III)の化合物を含有する任意の混合物から出発して上記HCl塩を製造することができる。本発明の好ましい実施形態によれば、前記混合物を構成する式(I)の化合物は80〜95%、好ましくは85〜95%の式(II)のシス異性体、及び20〜5%、好ましくは15〜5%の式(III)のトランス異性体を含有している。従って、典型的には、式(I)の化合物は86〜94%、87〜93%、88〜92%または89〜91%の式(II)のシス異性体、及び14〜6%、13〜7%、12〜8%または11〜9%の式(III)のトランス異性体を含有している。好ましい混合物に基づいて、本発明に従うシス異性体の好ましい分離を実施する。
ステップ(1)
ステップ(1)において用意する式(I)の化合物に関して、その製造方法に関する限り特別の限定はない。基本的に、溶媒中に溶解されている式(I)の化合物を用意することができ、その溶媒が本発明方法のステップ(1)に従う第1の適当な溶媒でない場合には溶媒をステップ(1)の前に適当に交換し得る。本発明の好ましい実施形態によれば、式(I)の化合物を下記するステップ(i.1)〜(vi.2)を含む方法により得る。本発明の更なる実施形態によれば、式(I)の化合物をステップ(i.1)〜(vi.2)に加えて、式(I)の化合物を少なくとも部分的に結晶化させる追加ステップ(vii)を含む方法により少なくとも部分的に結晶性の化合物として得る。次いで、こうして得た少なくとも部分的に結晶性の化合物を第1の適当な溶媒と混合する。
ステップ(i.1)〜(vi.2)
従って、好ましい実施形態によれば、本発明は、(1)において式(I)の化合物を
(i.1)式(A)
Figure 0005955837
(式中、Lは離脱基、好ましくはハロゲン、より好ましくはClである)
の化合物を溶媒中、求核性残基RSi−CH(ここで、R、R及びRは同一または異なり、場合により適当に置換されているアルキル及びアリール残基からなる群から選択される)を含む求核性化合物と反応させて、中間体として式
Figure 0005955837
のβ−ヒドロキシシランを含有する反応混合物を得、この反応を−50〜+20℃、より好ましくは−30〜+10℃、より好ましくは−15〜+5℃の範囲の温度で実施することが好ましく;
(i.2)好ましくは溶媒を交換することなく、生じた反応混合物を脱離反応を促進する試薬で処理して、式(B)
Figure 0005955837
の化合物を含有する反応混合物を得、この処理は−20〜+70℃の範囲の温度で実施し、前記試薬は好ましくは酸、好ましくは無機酸、より好ましくは硫酸であり、硫酸を使用するならば処理を実施する温度は好ましくは40〜50℃の範囲であり;
(ii)式(B)の化合物をマロン酸エステルROOC−CH−COORと反応させて、式(C)
Figure 0005955837
(式中、R及びRは独立して場合により適当に置換されている1〜5個の炭素原子を有するアルキル基、好ましくはエチルである)
の化合物を得、
(ii)の後であって(iii)の前に、式(C)の化合物を場合により適当な溶媒、好ましくはシクロヘキサンを用いる抽出により分離し;
(iii)式(C)の化合物を還元して、式(D)
Figure 0005955837
の化合物を得、還元剤は好ましくは式(C)の化合物に対して多くとも2モル当量の量で使用されるLiBHであり、前記還元を好ましくは水を含んでいる適当な溶媒中で実施することが好ましく、溶媒は好ましくは水、アルコール、及び水と少なくとも1つのアルコールの混合物からなる群から選択され、より好ましくは水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及び水とこれらのアルコールの少なくとも1つの混合物からなる群から選択され、より好ましくは水、エタノール、イソプロパノール、及び水とこれらのアルコールの少なくとも1つの混合物からなる群から選択され、より好ましくは水、イソプロパノール、及び水とイソプロパノールの混合物からなる群から選択され、最も好ましくは溶媒は水とイソプロパノールの混合物であり、溶媒は好ましくは1〜20容量%、より好ましくは5〜15容量%の水を含んでおり;
(iv)式(D)の化合物を無水イソ酪酸を用いてアシル化して、式(E)
Figure 0005955837
の化合物を得、このアシル化を適当な溶媒、好ましくはアセトニトリルまたはトルエン、より好ましくはトルエン中、適当な酵素、好ましくはNovo SP 435酵素の存在下で実施することが好ましく、
(iv)の後であって(v)の前に、式(E)の化合物を少なくとも部分的に結晶化させることが好ましく;
(v)式(E)の化合物を溶媒中、塩基の存在下でCl、Br及びIからなる群から選択されるハロゲンHal、好ましくはIと反応させて、式(F)
Figure 0005955837
の化合物を得、化合物(F)の分子の好ましくは80〜95%、より好ましくは85〜95%は式(Fa)
Figure 0005955837
のシス異性体として存在し、化合物(F)の分子の好ましくは20〜5%、より好ましくは15〜5%は式(Fb)
Figure 0005955837
のトランス異性体として存在し、前記溶媒は好ましくは酢酸エチルであり、前記塩基は好ましくは炭酸水素ナトリウムであり、式(E)の化合物を反応させる温度は好ましくは0℃未満、より好ましくは−5℃以下、一層より好ましくは−10℃以下であり;
(vi.1)式(F)の化合物を溶媒、好ましくは極性非プロトン性溶媒、例えばDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)及びDMSO、より好ましくはDMSO中、好ましくはDMPU(1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン)の非存在下で、1,2,4−トリアゾールアルカリ金属塩、好ましくはナトリウム塩と一緒に+70〜+100℃、より好ましくは+80〜+95℃、より好ましくは+85〜+90℃の範囲の温度で加熱し、生じた反応混合物をエステル部分のケン化を促進させるのに適した塩基、例えばアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸水素塩及びアルカリ土類金属炭酸塩、好ましくはアルカリ金属塩基で処理して、式(I)
Figure 0005955837
を有し、分子の好ましくは80〜95%、より好ましくは85〜95%は式(II)
Figure 0005955837
のシス異性体として存在し、分子の好ましくは20〜5%、より好ましくは15〜5%は式(III)
Figure 0005955837
のトランス異性体として存在する化合物を得、前記塩基を水性及び/またはアルコール性媒体中に添加することが好ましく、ここで、適当なアルコールは1〜6個、好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜3個、最も好ましくは1または2個の炭素原子を含有するアルコールであり、一層より好ましくは前記塩基はメタノールの存在下で、好ましくは水溶液として使用される水酸化ナトリウムであり;
(vi.2)(vi.1)から得た反応混合物から適当な溶媒を用いる抽出により式(I)の化合物を分離し、前記溶媒は好ましくは極性の水不混和性溶媒、より好ましくはエステル(例えば、酢酸エチルまたは酢酸イソプロピル)、エーテル(例えばテトラヒドロフランまたはメチルテトラヒドロフラン)、ケトン(例えば、メチルイソブチルケトン)、ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン)、トルエン、またはこれらの溶媒の2つ以上の混合物、より好ましくはエステルまたはエーテル、より好ましくはエーテル、一層より好ましくはメチルテトラヒドロフランである;
ことを含む方法により得る上記した方法に関する。
ステップ(i.1)〜(vi.2)の詳細
ステップ(i.1)及び(i.2)
本発明方法のステップ(i.1)において、式(A)の化合物は残基Y及びYを含む。本発明によれば、Y及びYは独立してFまたはClである。よって、YはFまたはClであり得、Yの化学的性質と独立してYはFまたはClであり得る。好ましくは、Y及びYの両方がFまたはClである。より好ましくは、Y及びYの両方がFである。
本発明のステップ(i.1)に関連して使用されている用語「離脱基L」は、適当な反応条件下で不均一結合開裂で化合物(A)から1対の電子と一緒に離れる任意の化学部分Lを指す。この目的のために、本発明で使用される化合物(A)は任意の適当な離脱基Lを含み得る。好ましくは、離脱基Lは離れた後中性またはアニオン部分、より好ましくはアニオン部分である。一層より好ましくは、Lはハロゲン、例えばCl、Br、Iである。本発明の一層好ましい実施形態によれば、LはClである。
ステップ(i.1)において化合物(A)と反応させる求核性化合物は求核性残基RSi−CHを含む。この残基の化学的性質に関して、式
Figure 0005955837
のβ−ヒドロキシシラン中間体が得られるならば特別の限定はない。これに関連して使用されている用語「中間体」は、通常ステップ(i.1)で得た反応混合物中に含まれ、ステップ(i.1)の反応物質から形成され、(i.2)において更に反応させるβ−ヒドロキシシランを指す。これに関連して使用されている用語「中間体」は(i.1)で得た反応混合物から単離され得るβ−ヒドロキシシランを除外しない。
(i.1)で使用される求核性化合物は、求核性残基RSi−CHを含む任意の適当な化合物であり得、化合物(A)と反応させると直接または間接的に上で検討したβ−ヒドロキシシラン中間体の形成をもたらす。求核性化合物中に含まれるR、R及びRは同一または異なり、場合により適当に置換されているアルキル及びアリール残基からなる群から選択される。本発明に関連して使用されている用語「場合により適当に置換されているアリール残基」は、例えば最高6個または最高12個の炭素原子を有するアリール残基を指す。アリール残基が置換アリール残基ならば、炭素原子の数は対応する未置換アリール残基の炭素原子の数を指す。本発明に関連して使用されている用語「場合により適当に置換されているアルキル残基」は、例えば1〜20個、好ましくは1〜10個の炭素原子を有するアルキル残基を指す。アルキル残基が置換アルキル残基ならば、炭素原子の数は対応する未置換アルキル残基の炭素原子の数を指す。
本発明の好ましい実施形態によれば、求核性化合物中に含まれるR、R及びRは同一または異なり、アルキル残基、より好ましくは1〜6個の炭素原子、好ましくは1〜4個の炭素原子を有する非置換アルキル残基(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル及びtert−ブチル)、より好ましくは1または2個の炭素原子を有する非置換アルキル残基のメチルまたはエチルからなる群から選択され、R、R及びRは特にメチルである。
好ましくは、(i.1)で使用される求核性化合物はグリニャール試薬である。これに関連して使用されている用語「グリニャール試薬」は求核性残基RSi−CHを含む任意の適当な求核性有機金属試薬を指す。好ましくは、求核性化合物はグリニャール化合物RSi−CHMgX(ここで、Xは好ましくはCl、Br及びIからなる群から選択される適当なアニオン種である)である。より好ましくは、グリニャール化合物は化合物RSi−CHMgClである。
(i.1)で使用される溶媒として、任意の溶媒または溶媒混合物、好ましくはグリニャール反応を実施し得る溶媒または溶媒混合物が考えられる。考えられる溶媒は、例えば一般的に知られているジエチルエーテル及び/またはテトラヒドロフラン(THF)のようなエーテル化合物である。しかしながら、驚くことに、本発明ではピ―ターソンオレフィン化の関連で背景技術で検討されている溶媒、すなわちジエチルエーテル及びTHFをメチル−tert−ブチルエーテル(MTBE)で置換し得ることが知見された。この溶媒は、ジエチルエーテルやTHFのような化合物に比してペルオキシドが形成されないという大きな作用効果を与える。よって、MTBEの使用は安全面が最も重要である工業規模での方法に特に適している。従って、特に好ましい実施形態によれば、ステップ(i.1)で使用される溶媒はMTBEである。
従って、好ましい実施形態によれば、本発明は、(i.1)において式(A)の化合物が化合物(Aa)
Figure 0005955837
であり、この化合物を溶媒としてのMTBE中、求核性化合物(HC)Si−CHMgClと反応させて、中間体として式
Figure 0005955837
のβ−ヒドロキシシランを含有する反応混合物を得る上に規定した方法に関する。
(i.1)における反応を実施する温度に関して、(i.2)において反応させることができる反応混合物が得られるならば特別の限定はない。好ましくは、(i.1)における反応を−50〜+20℃、より好ましくは−40〜+15℃、より好ましくは−30〜+10℃、より好ましくは−20〜+10℃、より好ましくは−15〜+5℃の範囲の温度(例えば、−15〜−10℃、−10〜−5℃、−5〜0℃、または0〜+5℃の範囲の温度)で実施する。
ピーターソンオレフィン化の一般的概念に関して、文献は、グリニヤール反応を実施した後溶媒を交換する2ステップ方法を教示している。Tetrahedron Letters,32(1991),p.545−7548を参照されたい。驚くことに、本発明のステップ(i.1)後に溶媒交換は不要であり、(i.1)から得た中間体をかなり単純化した方法で脱離反応を促進する適当な試薬で処理し得ることが知見された。
従って、本発明によれば、(i.2)において好ましくは溶媒を交換することなく、(i.1)から生じた反応混合物を脱離反応を促進する試薬で処理して、式(B)
Figure 0005955837
の化合物を含有する反応混合物を得る。
文献によればピーターソンオレフィン化の第2のステップはBF・EtO(三弗化ホウ素エーテラート)の使用を伴うので、本発明の更に大きな作用効果は、BFエーテラートのような潜在的に危険な化学物質の使用がこの反応段階で完全に避けられることである。上で検討したように、(i.1)においてMTBEを溶媒と使用しているならば、(i.1)の後に溶媒交換することなく本発明方法を実施することは特に好ましい。
(i.2)において反応を実施する温度に関して、式(B)の化合物を含有する反応混合物が得られるならば特別の限定はない。好ましくは、(i.2)における処理を−20〜+70℃の範囲の温度で実施する。好ましい温度範囲は、例えば−20〜−10℃、−10〜0℃、0〜+10℃、+10〜+20℃、+20〜+30℃、+30〜+40℃、+40〜+50℃、+50〜+60℃、または+60〜+70℃である。
(i.2)で使用される脱離反応を促進する試薬に関して、好ましくは(i.1)の後に溶媒交換することなく式(B)の化合物が得られるならば特別の限定はない。好ましくは、試薬は酸または2つ以上の酸の混合物である。より好ましくは、試薬は無機酸または2つ以上の無機酸の混合物である。硫酸の使用が特に好ましい。好ましくは、硫酸を試薬として使用するならば、(i.2)を実施する温度は+40〜+50℃の範囲である。
従って、好ましい実施形態によれば、本発明は、(i.2)において溶媒を交換することなく(i.1)から生じた反応混合物を脱離反応を促進する硫酸で処理して、式(B)の化合物として化合物(Ba)
Figure 0005955837
を含有する反応混合物を得る上に規定した方法に関する。
よって、更により好ましい実施形態によれば、本発明は、
(i.1)式(Aa)
Figure 0005955837
の化合物を溶媒としてのMTBE中、(HC)Si−CHMgClと反応させて、中間体として式
Figure 0005955837
のβ−ヒドロキシシランを含有する反応混合物を得、
(i.2)溶媒MTBEを交換することなく、生じた反応混合物を脱離反応を促進する硫酸で処理して、式(Ba)
Figure 0005955837
の化合物を含有する反応混合物を得る
ことを含む上に規定した方法に関する。
更により好ましい実施形態によれば、本発明は
(i.1)式(Aa)
Figure 0005955837
の化合物を溶媒としてのMTBE中、−15〜+5℃の範囲の温度で(HC)Si−CHMgClと反応させて、中間体として式
Figure 0005955837
のβ−ヒドロキシシランを含有する反応混合物を得、
(i.2)溶媒MTBEを交換することなく、生じた反応混合物を+40〜+50℃の範囲の温度で脱離反応を促進する硫酸で処理して、式(Ba)
Figure 0005955837
の化合物を含有する反応混合物を得る
ことを含む上に規定した方法に関する。
ステップ(ii)〜(vi.2)
上で検討した(i.2)で得た反応混合物中に含まれている化合物から、式(I)の化合物をステップ(ii)〜(vi.2)において製造することが好ましい。よって、本発明の方法は、更に、
(ii)式(B)の化合物をマロン酸エステルROOC−CH−COORと反応させて、式(C)
Figure 0005955837
(式中、R及びRは独立して場合により適当に置換されている1〜5個の炭素原子を有するアルキル基である)
の化合物を得;
(iii)式(C)の化合物を還元して、式(D)
Figure 0005955837
の化合物を得;
(iv)式(D)の化合物を無水イソ酪酸を用いてアシル化して、式(E)
Figure 0005955837
の化合物を得;
(v)式(E)の化合物を溶媒中、塩基の存在下でCl、Br及びIからなる群から選択されるハロゲンHal、好ましくはIと反応させて、式(F)
Figure 0005955837
の化合物を得;
(vi.1)式(F)の化合物を溶媒、好ましくはDMSO(ジメチルスルホキシド)中、好ましくはDMPU(1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン)の非存在下で、1,2,4−トリアゾールアルカリ金属塩、好ましくはナトリウム塩と一緒に加熱し、生じた反応混合物を塩基で処理して、式(I)
Figure 0005955837
を有する化合物を得;
(vi.2)(vi.1)から得た反応混合物から適当な溶媒を用いる抽出により式(I)の化合物を分離する
ことを含む。
ステップ(ii)
本発明のステップ(ii)によれば、式(B)の化合物をマロン酸エステルROOC−CH−COOR(ここで、R及びRは独立して場合により適当に置換されている1〜5個の炭素原子を有するアルキル基である)と反応させることが好ましい。炭素原子の数は未置換アルキル残基の炭素原子を指す。好ましいアルキル基R及びRは1〜4個の炭素原子を有し、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル及びtert−ブチルである。一層より好ましくは、アルキル基R及びRは1〜2個の炭素原子を有し、例えばメチルまたはエチルであり、エチルが特に好ましい。一層より好ましくは、アルキル基R及びRは未置換アルキル基である。
ステップ(ii)において、マロン酸エステルROOC−CH−COORを適当な強塩基、好ましくは強アルカリ金属塩基の存在下で化合物(B)と反応させて、マロン酸エステルROOC−CH−COORから誘導されるそのアニオンCH(COOR)(COOR)と反応させることが更に好ましい。アルカリ金属としてナトリウムが好ましい。適当な塩基は例えばNaHまたはNaOHであり、NaOHが好ましい。NaOHは適当な形態で使用され得る。好ましい実施形態によれば、NaOHを固体として、例えばNaOHフレークの形態で使用する。ステップ(ii)を実施する溶媒は、例えば上で検討した強塩基の特定の化学的性質に従って選択され得る。考えられる溶媒は、例えばTHF、DMSO等である。本発明によれば、DMSOが好ましい。ステップ(ii)における反応を実施する温度は溶媒及び塩基に従って選択され得る。好ましい温度は0〜35℃、より好ましくは25〜30℃の範囲である。
(ii)における反応の生成物、すなわち式(C)
Figure 0005955837
の化合物を(ii)で得た反応混合物から適当に分離することが好ましい。好ましい実施形態によれば、この分離は、化合物(C)を適当な溶媒を用いる抽出により分離するステップを含む。本発明によれば、適当な溶媒の中でシクロヘキサンが好ましい。
抽出から得た有機層を1つ以上のステップで洗浄してもよい。洗浄剤として、水及び水性塩基性溶液、例えばアルカリ金属塩基(例えば、アルカリ金属水酸化物、好ましくは水酸化ナトリウム)の水溶液を挙げ得る。
ステップ(iii)
本発明の更に好ましい実施形態によれば、ステップ(ii)から得た式(C)の化合物を適当に還元して、式(D)
Figure 0005955837
の化合物を得る。
ステップ(iii)における還元は任意の適当な還元剤を伴う任意の適当な方法に従って実施され得る。本発明によれば、水素化物還元剤の使用が好ましい。適当な水素化物還元剤は、例えば水素化ホウ素ナトリウム(NaBH)、水素化ホウ素リチウム(LiBH)、水素化アルミニウムリチウム(LiAlH)、水素化ジイソブチルアルミニウム(DIBAL)またはトリエチルホウ素水素化リチウム(LiEtBH)である。本発明の好ましい実施形態によれば、LiBHがステップ(iii)において還元剤として使用される。
従来技術によれば、式(C)の化合物に対して少なくとも3モル当量のLiBHを使用しなければならない。WO 94/25452のp.31のセクション“Preparation 5”を参照されたい。しかしながら、驚くことに、従来技術の教示に反して、還元剤LiBHはマロン酸エステル化合物(C)に対して非常に少ない過剰量で使用され得る。本発明の改善された方法は式(C)の化合物に対して多くとも2モル当量のLiBHしか使用しない。このことは従来技術に比して少なくとも33%の還元剤を節約することができる。よって、特に工業規模の方法に対して本発明は経済的及び環境的作用効果を与える。よって、本発明は、LiBHを還元剤として使用し、この還元剤を好ましくは化合物(C)に対して多くとも2モル当量の量で使用する上に規定した方法に関する。
ステップ(iii)の反応を実施する溶媒に関して、式(D)の化合物が得られるならば特別の限定はない。好ましい溶媒は水、アルコール、及び水と少なくとも1つのアルコールの混合物からなる群から選択される。好ましいアルコールはメタノール、エタノール及びイソプロパノールである。従って、溶媒は好ましくは水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及び水とこれらのアルコールの少なくとも1つの混合物からなる群から選択され、より好ましくは水、エタノール、イソプロパノール、及び水とこれらのアルコールの少なくとも1つの混合物からなる群から選択され、より好ましくは水、イソプロパノール、及び水とイソプロパノールの混合物からなる群から選択される。
驚くことに、特にステップ(iii)で使用される最も好ましい還元剤LiBHの場合、水とイソプロパノールの混合物が最も有利な溶媒であることが知見された。水は水素化物還元剤を分解することが公知であるという事実に反して、水の存在が本発明の方法のステップ(iii)において有利であることが知見された。いかなる理論にも束縛されるつもりはないが、これはある量の水が試薬LiBH及び/またはその前駆体NaBH及びLiClの溶解度を改善し、よって反応速度が速まり、還元剤の分解が過剰補償されるという事実のためであり得ると考えられる。
従って、もっと更なる実施形態によれば、ステップ(iii)で使用される溶媒は水を含んでおり、その溶媒は好ましくは1〜20容量%、より好ましくは5〜15容量%の水を含んでいる。
ステップ(iii)における反応を実施する温度は溶媒及び還元剤に従って選択され得る。好ましい温度は0〜40℃、より好ましくは20〜35℃、より好ましくは25〜30℃の範囲である。
(iii)における還元の生成物、すなわち式(D)の化合物を(iii)で得た反応混合物から適当に分離することが好ましい。好ましい実施形態によれば、この分離は化合物(D)を適当な溶媒を用いる抽出により分離するステップを含む。本発明によれば、適当な溶媒の中でトルエンが好ましい。
ステップ(iv)
本発明のステップ(iv)によれば、式(D)の化合物を無水イソ酪酸を用いてアシル化して、式(E)
Figure 0005955837
の化合物を得ることが好ましい。
より好ましくは、(iv)におけるアシル化を、例えばWO 97/22710に記載されている方法と同様にして適当な溶媒、好ましくはアセトニトリルまたはトルエン、より好ましくはトルエン中、適当な酵素、好ましくはNovo SP 435酵素の存在下で実施する。トルエンを溶媒として選択することは、追加の溶媒を必要としないので抽出後処理においても有利である。アセトニトリルを溶媒とする場合、抽出後処理のために追加の不混和性溶媒を使用しなければならない。
ステップ(iv)におけるアシル化を実施する温度は溶媒、アシル化剤及び酵素に従って選択され得る。好ましい温度は−20〜−5℃、より好ましくは−15〜−10℃、より好ましくは25〜30℃の範囲である。
得られた反応混合物を更に適当な塩基(例えば、炭酸水素ナトリウム)で処理することが好ましい。
本発明の特に好ましい実施形態によれば、式(E)の化合物を反応混合物から適当に結晶化させる。従って、本発明は、(iv)の後であって(v)の前に、式(E)の化合物を少なくとも部分的に結晶化させる上に規定した方法にも関する。結晶化は考えられる方法に従って実施し得る。好ましい実施形態によれば、式(E)の化合物をn−ヘプタンから結晶化させる。
ステップ(v)
本発明のステップ(v)によれば、式(E)の化合物を溶媒中、塩基の存在下でCl、Br及びIからなる群から選択されるハロゲンHal、好ましくはIと反応させて、
式(Fa)
Figure 0005955837
の化合物を得ることが好ましい。
通常、ステップ(v)における反応を適当な溶媒(例えば、アセトニトリル、THF、EtOAc(酢酸エチル)またはCHCl(ジクロロメタン,DCM))中、塩基(例えば、ピリジン)の存在下で−20〜+30℃の範囲の温度で実施することが可能である。WO 94/25452 A1,p.16及び35を参照されたい。しかしながら、本発明では、反応を溶媒としての酢酸エチル中、塩基として炭酸水素ナトリウムを使用して適当に実施されることが知見された。よって、本発明は無害の塩基ピリジンで置換することができる方法を提供する。更に、反応を実施する温度は好ましくは0℃未満、より好ましくは−5℃以下、一層より好ましくは−10℃以下であることが知見された。
反応後、有機層を場合により適当にクエンチした後、場合により少なくとも1回洗浄してもよい。クエンチは例えば亜硫酸水素ナトリウムの10%(w/v)水溶液を用いてなし得る。
特に好ましい実施形態によれば、本発明は、ステップ(v)において式(Fa)の化合物、すなわちシス異性体をそのトランス異性体の式(Fb)
Figure 0005955837
の化合物と一緒に得る上に規定した方法に関する。
式(Fa)及び(Fb)の化合物のこの混合物を以下において式(F)
Figure 0005955837
の化合物と称する。
本発明によれば、化合物(F)中、分子の好ましくは80〜95%、より好ましくは85〜95%が式(Fa)のシス異性体として存在し、化合物(F)の分子の好ましくは20〜5%、より好ましくは15〜5%が式(Fb)のトランス異性体として存在している。
従って、本発明は、更に、
(v)式(E)の化合物を溶媒中、塩基の存在下でCl、Br及びIからなる群から選択されるハロゲンHal、好ましくはIと反応させて、式(F)
Figure 0005955837
の化合物を得る
ことを含む上に規定した方法にも関し、化合物(F)の分子の好ましくは80〜95%、より好ましくは85〜95%が式(Fa)のシス異性体として存在し、化合物(F)の分子の好ましくは20〜5%、より好ましくは15〜5%が式(Fb)のトランス異性体として存在している。
ステップ(vi.1)
本発明のステップ(vi.1)によれば、式(F)の化合物、すなわち特に式(Fa)の化合物及び式(Fb)の化合物を適当な溶媒中、適当な1,2,4−トリアゾール塩と一緒に適当に加熱することが好ましい。好ましい1,2,4−トリアゾール塩はアルカリ金属塩であり、ナトリウム塩が特に好ましい。好ましい溶媒は極性非プロトン性溶媒、例えばDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)及びDMSOであり、DMSOが好ましい。
ステップ(vi.1)において反応混合物を加熱する温度は好ましくは+70〜+100℃、好ましくは+80〜+95℃、より好ましくは+85〜+90℃の範囲である。
トリアゾール塩との前記反応に関して、WO 94/25452は加熱を1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン(DMPU)の存在下で実施しなければならないと教示している。WO 94/25452,p.17のステップ(1)及びp.39のステップ(b)を参照されたい。驚くことに、WO 94/25452の教示に反して、ステップ(vi.1)における式(F)の化合物の加熱をDPMUの非存在下で実施し得ることを知見した。よって、本発明のかなり改善された方法によれば、単純化した溶媒系が提供され、好ましい実施形態によれば溶媒系はDMSOのみから、すなわちWO 94/25452に教示されている必須の2化合物系とは対照的にたった1つの溶媒化合物から構成されている。
次いで、加熱して得られた混合物をエステル部分のけん化を促進するために適当な塩基で処理することが好ましい。前記塩基は、例えばアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸水素塩、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ土類金属炭酸水素塩及びアルカリ土類金属炭酸塩である。アルカリ金属塩基が好ましい。好ましくは、塩基を水性及び/またはアルコール性媒体に添加する。適当なアルコールは1〜6個、好ましくは1〜4個、より好ましくは1〜3個、最も好ましくは1〜2個の炭素原子を含有しているアルコールである。本発明によれば、好ましい塩基はメタノールの存在下で、好ましくは水溶液として使用される水酸化ナトリウムであることが好ましいことが知見された。
本発明によれば、ステップ(vi.1)において式(I)
Figure 0005955837
の化合物が得られ、分子の好ましくは80〜95%、より好ましくは85〜95%が式(II)
Figure 0005955837
のシス異性体として存在し、分子の好ましくは20〜5%、より好ましくは15〜5%が式(III)
Figure 0005955837
のトランス異性体として存在している。
従来技術によれば、本発明のステップ(vi.1)に相当する反応ステップの後に、式(I)の化合物、よって式(II)の化合物をクロマトグラフィーにより分離することが必要である。WO 94/25452,p39のステップ(b)を参照されたい。すなわち、従来技術はコスト及び時間がかかる精製を実施しなければならないことを明白に教示しており、このために公知方法はその工業規模での適用に関してかなり不利となる。
従来技術の教示に反して、ステップ(vi.1)及び(vi.2)における抽出、場合によりステップ(vii)における結晶化、及び下記するステップ(2)における本発明の塩形成の特定のシーケンスを実施するならば、本発明では上記したクロマトグラフィーによる分離が不要であることを知見した。よって、この改変は従来技術方法に比してかなりの改善に相当する。
ステップ(vi.2)
本発明のステップ(vi.2)によれば、ステップ(vi.1)から得た混合物中に含まれている式(I)
Figure 0005955837
の化合物、特に式(II)
Figure 0005955837
の化合物及び式(III)
Figure 0005955837
の化合物を適当に、好ましくは適当な溶媒への抽出により分離する。
本発明によれば、好ましい溶媒は極性水不混和性溶媒である。より好ましくは、溶媒はエステル(例えば、酢酸エチルまたは酢酸イソプロピル)、エーテル(例えば、テトラヒドロフランまたはメチルテトラヒドロフラン)、ケトン(例えば、メチルイソブチルケトン)、ハロゲン化溶媒(例えば、ジクロロメタン)、トルエン、またはこれらの溶媒の2つ以上の混合物、より好ましくはエステルまたはエーテル、より好ましくはエーテル、一層より好ましくはメチルテトラヒドロフランである。
ステップ(vii)
上述したように、本発明の方法は、更に式(I)の化合物を少なくとも部分的に結晶化させる追加ステップ(vii)を含み得る。次いで、こうして得た少なくとも部分的に結晶性の化合物を第1の適当な溶媒と混合する。
従って、本発明は、(1)において式(I)の化合物を得る方法が更に
(vii)(vi.2)の後に、式(I)の化合物、特に式(II)の化合物及び式(III)の化合物を少なくとも部分的に結晶化させることを含む上記した方法にも関し、式(I)の化合物を場合により適当な貧溶媒を添加することにより溶媒から結晶化させることが好ましく、溶媒は好ましくは(vi.2)で使用した溶媒または溶媒混合物であり、貧溶媒は好ましくは飽和または不飽和炭化水素(例えば、シクロヘキサン、ヘキサンまたはヘプタン)、またはその2つ以上の混合物である。
結晶化後、結晶化させた(I)の化合物、特に結晶化させた式(II)の化合物及び結晶化させた式(III)の化合物を母液から例えば適当な濾過により分離することが好ましく、適当な洗浄剤で少なくとも1回洗浄することが好ましい。好ましい洗浄剤は結晶化のために使用した溶媒混合物及び上で検討した貧溶媒である。前記の好ましい分離の後に、結晶化させた式(I)の化合物、特に結晶化させた式(II)の化合物及び結晶化させた式(III)の化合物を適当な乾燥条件下で乾燥することが好ましい。真空乾燥が好ましく、温度は好ましくは20〜50℃、より好ましくは30〜45℃の範囲である。
本発明の方法によれば、上記したように、式(II)の結晶性キラル化合物、すなわちシス異性体
Figure 0005955837
がそのジアステレオマー体の式(III)の結晶性化合物、すなわちトランス異性体
Figure 0005955837
との混合物として得られ得る。
本発明の方法の好ましい方法条件によれば、ステップ(vii)後に得た結晶化させた式(I)
Figure 0005955837
の化合物は、好ましくは80〜95%、より好ましくは85〜95%のシス異性体(II)、及び好ましくは20〜5%、より好ましくは15〜5%のトランス異性体(III)を含有している。
更に、本発明のステップ(1)によれば、式(I)の化合物は第1の適当な溶媒中に用意され、これを第2の適当な溶媒中に含まれているHClで処理する。
通常、第2の適当な溶媒中に含まれているHClで処理すると式(I)の化合物のHCl塩が得られるならば、第1の適当な溶媒の化学的性質に関して特別の限定はない。本発明によれば、ステップ(1)に従って式(I)の化合物が含まれている好ましい溶媒は有機溶媒、好ましくはアルコール及び/またはアルコールの前駆体、エーテル、ケトン、エステルまたはその2つ以上の混合物である。本発明に関連して使用されている用語「アルコールの前駆体」は、ステップ(1)、またはステップ(1)及び(2)における方法条件下でそこからアルコールが形成される化合物を指す。例えば、用語「アルコールの前駆体」を例示するために、環状エーテル化合物ジオキサン、メチルテトラヒドロフランまたはテトラヒドロフランが挙げられ、これらは酸性条件下で少なくとも部分的にそれぞれの開環アルコールとして存在している。
本発明のもっと更なる実施形態によれば、式(I)の化合物が含まれている第1の適当な溶媒は酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、n−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、アセトン、2−ブタノン及びメチルイソブチルケトン(MIBK)からなる群から選択され、第2の溶媒はジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、酢酸エチル、メタノール、n−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール及びトルエンからなる群から選択される。
通常、第1の適当な溶媒として2つ以上のそれぞれの溶媒の混合物が使用され得る。通常、第2の適当な溶媒としても2つ以上のそれぞれの溶媒の混合物が使用され得る。
ステップ(2)−シス異性体に関する純度の上昇
驚くことに、第1の適当な溶媒と第2の適当な溶媒の特定の組合せにより、ステップ(1)及び(2)において、特にステップ(2)の後に結晶化を実施したならば、シス異性体(II)対トランス異性体(III)の比を上昇させることができることが知見された。特に、ステップ(1)において用意する式(I)の化合物が80〜95%、好ましくは85〜95%のシス異性体(II)、及び20〜5%、好ましくは15〜5%のトランス異性体(III)を含有している場合には、従来技術に記載されている時間及びコストがかかる勾配カラムクロマトグラフィーを使用せずに、この特定の溶媒の組合せが簡単な結晶化手段によりシス異性体(II)対トランス異性体(III)の比の上昇を達成させることができる。本発明のこの特定実施形態によれば、第1及び/または第2の溶媒はアルコール及び/またはアルコールの前駆体を含む。
従って、本発明は、第1及び/または第2の溶媒がアルコール及び/またはアルコールの前駆体を含む上に規定した方法にも関する。
一層より好ましくは、特に好ましい実施形態はMIBKである第1の適当な溶媒とTHFである第2の適当な溶媒の組合せであることが知見された。更に、もっと別の特に好ましい実施形態はn−ブタノールを第1及び第2の適当な溶媒として使用することであることが知見された。
通常、ステップ(2)における処理を実施する温度に関する限り特別の限定はない。使用する溶媒の沸点に応じて、好ましい温度は20〜100℃、好ましくは40〜80℃、より好ましくは55〜65℃の範囲である。ステップ(1)から得た混合物の温度はステップ(2)を実施する温度と比較して高くても、低くても、または実質的に同一であってもよい。本発明の好ましい実施形態によれば、ステップ(1)において用意した式(I)の化合物と第1の適当な溶媒の混合物をステップ(2)を実施する温度に加熱した後、HClを含む第2の適当な溶媒を添加する。用語「HClを含む第2の適当な溶媒」は、第2の適当な溶媒を添加する前にHClの少なくとも一部をステップ(1)から得た混合物に添加する実施形態、または第2の適当な溶媒を添加した後にHClの少なくとも一部をステップ(1)から得た混合物に添加する実施形態を必ずしも排除しない。本発明の好ましい実施形態によれば、ステップ(2)における処理のために必要なHClは第2の適当な溶媒中に実質的に完全に含まれており、よってステップ(1)から得た混合物に第2の適当な溶媒と一緒に添加される。
通常、ステップ(2)の後、特にステップ(2)後の結晶化の後にシス異性体(II)対トランス異性体(III)の比がステップ(1)で使用した式(I)の化合物の比に比較して上昇しているならば、任意の量のHClを使用することができる。本発明の好ましい実施形態によれば、第2の溶媒中に含まれているHClをステップ(2)において式(I)の化合物に対して1.0:1〜2.0:1、好ましくは1.1:1〜1.8:1、より好ましくは1.2:1〜1.7:1、より好ましくは1.3:1〜1.5:1の範囲のモル比HCl:(I)で使用する。
上で検討したように、HClは本発明方法のステップ(2)で使用される第2の溶媒中に含まれている。驚くことに、HClを他の酸、例えばHSO、HBr、HNO、HPO、トリフルオロ酢酸または他の有機酸で置換することができないことが知見された。従って、本発明の考えられる実施形態によれば、第2の溶媒に酸性成分としてHClのみを含有させてステップ(2)を実施する。
上述したように、ステップ(2)の後に、式(I)の化合物のHCl塩を少なくとも部分的に結晶化させることが好ましい。これに関連して、ステップ(2)中に結晶化を少なくとも部分的に達成する実施形態が含まれる。結晶化を適当に開始させるために結晶種を添加してもよい。しかしながら、本発明では、結晶種の添加は不要であり、結晶種を添加しない結晶化が好ましい。
通常、結晶化を実施する温度は使用する溶媒に合わせる。本発明の好ましい実施形態によれば、温度は20〜100℃、好ましくは40〜80℃、より好ましくは55〜65℃の範囲である。その後、生じた混合物を予設定した温度まで連続的に冷却することが好ましく、冷却は連続的、または2つ以上のステップで段階的に実施され得る。本発明の実施形態によれば、混合物を最終的に冷却する予設定した温度は0〜30℃、好ましくは20〜30℃の範囲である。
結晶化後、高いシス異性体(II)対トランス異性体(III)の比を示す式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩を母液から例えば適当に濾過することにより分離することが好ましく、適当な洗浄剤を用いて少なくとも1回洗浄することが好ましい。好ましい洗浄剤は、例えば上記した第1の適当な溶媒の1つであり、MTBEが特に好ましい。従って、本発明は、更に、
(2a)式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩を好ましくは濾過により分離した後、場合により適当な溶媒、好ましくはMTBEを用いて洗浄することを含む上に規定した方法にも関する。
前記した好ましい分離の後に、式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩を適当な乾燥条件下で乾燥することが好ましい。真空中での乾燥が好ましく、温度は好ましくは30〜55℃、より好ましくは40〜50℃の範囲である。
上述したように、ステップ(1)において出発物質として使用される式(I)の化合物は通常80〜95%、好ましくは85〜95%のシス異性体(II)、及び20〜5%、好ましくは15〜5%のトランス異性体(III)を含有している。このような化合物(I)を使用する場合、ステップ(2)におけるHCl処理及び上に規定した結晶化から得た式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩は95%以上、好ましくは少なくとも96%の式(II)のシス異性体のHCl塩、及び5%未満、好ましくは多くとも4%の式(III)のトランス異性体のHCl塩を含有している。しかしながら、式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩が少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の式(II)のシス異性体のHCl塩、及び多くとも3%、好ましくは多くとも2%、より好ましくは多くとも1%の式(III)のトランス異性体のHCl塩を含有していることが一層より好ましい。
よって、従来技術と比較して、本発明は式(II)のシス異性体に関して式(I)の化合物を精製するかなり単純化した方法を提供する。特に抗真菌剤、特にポサコナゾールを製造するための式(I)の精製されている化合物の好ましい使用に関して、従来技術の複雑な精製を避けるこの方法の改善により直接大規模化することができる。
ステップ(3)−固体抽出により純度を更に上昇させる
ステップ(2)から得た式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩の純度及び式(II)のシス異性体に関するその後の結晶化がその後の使用、例えば抗真菌剤、好ましくは式(VIII)
Figure 0005955837
の化合物を製造するための使用の要件を満たしていない場合には、本発明は式(I)の化合物の純度を上昇させる追加の本発明のステップを提供する。本発明のこの実施形態によれば、式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩を更に適当な固体抽出段階に少なくとも1回かけ、そこから式(II)のシス異性体の含量が更に増加し、式(III)のトランス異性体の含量が更に減少した式(I)の化合物のHCl塩が得られる。従って、本発明は、更に、
(3)式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩を好ましくはMIBKを含む適当な溶媒を用いる固体抽出にかけて式(I)の化合物のHCl塩を得、これにより式(II)のシス異性体のHCl塩の含量を増加させることを含む上に規定した方法にも関する。
少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩を固体抽出にかける本発明の段階を詳細に検討する前に、通常本発明のステップ(3)はシス異性体の純度がステップ(1)及び(2)において上昇しなかった式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶性のHCl塩に基づいても実施され得ることが注目される。また、こうした式(I)の化合物のHCl塩の本発明の製造及び本発明の固体抽出の組合せにより、式(II)のシス異性体に関して高い純度を有する式(I)の化合物のHCl塩を容易に得ることができる。
特に、こうした本発明の反応ステップの組合せにより、通常80〜95%、好ましくは85〜95%のシス異性体(II)、及び20〜5%、好ましくは15〜5%のトランス異性体(III)を含有している出発物質をステップ(1)において使用することができる。このような化合物(I)を使用し、ステップ(1)及び(2)において式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩の精製の向上が達成されないならば、ステップ(2)におけるHCl処理及び上に規定した結晶化から得た式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩は80〜95%、好ましくは85〜95%のシス異性体(II)のHCl塩、及び20〜5%、好ましくは15〜5%のトランス異性体(III)のHCl塩を含有している。ステップ(3)における本発明の固体抽出後、(3)から得た式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩は少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の式(II)のシス異性体のHCl塩、及び多くとも3%、好ましくは多くとも2%、より好ましくは多くとも1%の式(III)のトランス異性体のHCl塩を含有している。
ステップ(3)後、(3)から得た式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩の純度及び式(II)のシス異性体のその後の単離がその後の使用、例えば抗真菌剤、好ましくは式(VIII)の化合物を製造するための使用の要件を満たしていないならば、通常ステップ(3)に従う追加固体抽出ステップを1回以上実施することができる。
II)の純度を全くまたは実質的に全く上昇させないステップ(2)
ステップ(1)及び(2)においてシス異性体(II)の純度の上昇が全くまたは実質的に全く達成されないならば、ステップ(1)及びステップ(2)で使用する溶媒に関する限り特別の限定はない。特に、シス:トランス比を上昇させる本発明の実施形態に反して、ステップ(1)及び(2)で使用する第1及び/または第2の溶媒がアルコールまたはアルコールの前駆体を含んでいる必要がない。ステップ(1)及び(2)で使用しようとするアルコールまたはアルコールの前駆体以外の考えられる好ましい溶媒について、それぞれ上の検討を参照されたい。
ステップ(2)においてシス異性体(II)の純度の上昇が全くまたは実質的に全く達成されない本発明の好ましい実施形態によれば、式(I)の化合物をステップ(1)において第1の適当な溶媒としてのアセトン中で用意する。化合物をアセトンとは異なる溶媒中で得る方法に従って式(I)の化合物を製造するならば、適当な溶媒交換が好ましい。上記したように、式(I)の化合物は好ましくはステップ(i.1)〜(vi.2)を含む方法により、より好ましくはステップ(vii)において結晶化させることなく得られ、なお更に好ましい実施形態によれば、式(I)の化合物は溶媒としてのメチルテトラヒドロフラン中で得られる。よって、式(I)の化合物を本発明のステップ(2)にかける前にメチルテトラヒドロフランをアセトンで適当に交換することが好ましい。
通常、シス異性体の純度の上昇が達成されないならば、ステップ(2)における処理を実施する温度に関する限り特別の限定はない。使用する溶媒の沸点に応じて、好ましい温度は0〜100℃の範囲である。ステップ(1)から得た混合物の温度は、ステップ(2)を実施する温度と比較して高くても、低くても、または実質的に同じであってもよい。本発明の好ましい実施形態によれば、ステップ(1)において用意した式(I)の化合物と第1の適当な溶媒の混合物をステップ(2)を実施する温度に加熱し、その後HClを含む第2の適当な溶媒を添加する。用語「HClを含む第2の適当な溶媒」は、第2の適当な溶媒を添加する前にステップ(1)から得た混合物にHClの少なくとも一部を添加する実施形態、または第2の適当な溶媒を添加した後にステップ(1)から得た混合物にHClの少なくとも一部を添加する実施形態を必ずしも排除しない。本発明の好ましい実施形態によれば、ステップ(2)における処理のために必要なHClは第2の適当な溶媒中に実質的に完全に含まれており、よって第2の適当な溶媒と一緒にステップ(1)から得た混合物に添加される。
通常、任意の量のHClを使用することができる。本発明の好ましい実施形態によれば、第2の溶媒中に含まれているHClをステップ(2)において式(I)の化合物に対して1.0:1〜3.0:1、好ましくは1.5:1〜2.5:1、より好ましくは2.0:1〜2.2:1の範囲のモル比HCl:(I)で使用する。
既に上で検討したように、HClは本発明方法のステップ(2)で使用される第2の溶媒中に含まれている。驚くことに、HClを他の酸、例えばHSO、HBr、HNO、HPO、トリフルオロ酢酸または他の有機酸で置換することができないことが知見された。従って、本発明の考えられる実施形態によれば、ステップ(2)を第2の溶媒に酸成分としてHClのみを含有させて実施する。
上述したように、ステップ(2)の後に式(I)の化合物のHCl塩を少なくとも部分的に結晶化させることが好ましい。これに関連して、結晶化をステップ(2)中に少なくとも部分的に達成する実施形態が含まれる。結晶化を適当に開始させるために結晶種を添加してもよい。しかしながら、本発明では結晶種の添加は不要であり、結晶種を添加しない結晶化が好ましい。
通常、結晶化を実施する温度は使用する溶媒に合わせる。本発明の好ましい実施形態によれば、温度は20〜100℃、好ましくは40〜80℃、より好ましくは55〜65℃の範囲である。その後、生じた混合物を予設定した温度まで冷却することが好ましく、冷却は連続的、または2つ以上のステップで段階的に実施され得る。本発明の実施形態によれば、混合物を最終的に冷却する予設定した温度は0〜30℃、好ましくは20〜30℃の範囲である。
結晶化後、出発物質と同一または実質的に同一のシス異性体(II)対トランス異性体(III)の比を示す式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩、すなわち80〜95%、好ましくは85〜95%の式(II)のシス異性体のHCl塩、及び20〜5%、好ましくは15〜5%の式(III)のトランス異性体のHCl塩を含有している少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩を母液から例えば適当に濾過することにより分離することが好ましく、適当な洗浄剤を用いて少なくとも1回洗浄することが好ましい。好ましい洗浄剤は、例えば上記した溶媒の1つであり、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、アセトンまたはメチルイソブチルケトン(MIBK)が好ましく、MTBEが特に好ましい。従って、本発明は、更に、
(2b)式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩を好ましくは濾過により分離した後、場合により適当な溶媒、好ましくはメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、アセトンまたはメチルイソブチルケトン(MIBK)、より好ましくはMTBEを用いて洗浄することを含む上に規定した方法にも関する。
前記した好ましい分離の後に、式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩を適当な乾燥条件下で乾燥することが好ましい。真空中での乾燥が好ましく、温度は好ましくは30〜55℃、より好ましくは40〜50℃の範囲である。
ステップ(3)の詳細
上述したように、本発明方法においてステップ(1)及び(2)においてシス:トランス比が上昇し、シス異性体のこの上昇した純度が式(I)の化合物のその後の使用の特別の要件を満たしてないならば、式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩を固体抽出にかけるステップ(3)を少なくとも1回実施し得る。通常、ステップ(1)及び(2)においてシス:トランス比が少なくとも97:3、好ましくは少なくとも98:2、より好ましくは少なくとも98.5:1.5、一層より好ましくは少なくとも99:1の値に上昇したならば、多くの場合1回以上の追加ステップ(3)を実施する必要がない。ステップ(1)及び(2)の後にシス:トランス比の上昇が達成されないか達成されそうにないならば、またシス:トランス比が97:3未満の比にしか上昇しないならば、ステップ(1)及び(2)の後にステップ(3)を少なくとも1回実施することが特に本発明の好ましい実施形態である。
上に規定したように、ステップ(3)は、
(3)式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩を好ましくはMIBKを含む適当な溶媒を用いる固体抽出にかけて式(I)の化合物のHCl塩を得、これにより式(II)のシス異性体のHCl塩の含量を高めることを含む。
通常、あらゆる適当な溶媒または溶媒の混合物をステップ(3)で使用し得る。特に好ましい実施形態によれば、ステップ(3)で使用される溶媒または溶媒混合物はMIBKを含む。従って、ステップ(3)においてMIBKは単一溶媒として、または適当な溶媒混合物中の溶媒として使用され得る。本発明の固体抽出が実施され得るならば、溶媒混合物の他の成分に関して特別の限定はなく、好ましい溶媒混合物はMIBKに加えて少なくとも1つのアルコール、少なくとも1つのアルコールの前駆体、または少なくとも1つのアルコールと少なくとも1つのアルコールの前駆体を含む。用語「アルコールの前駆体」については、上のその定義を参照されたい。一層より好ましくは、ステップ(3)で使用される溶媒混合物はMIBK及び少なくとも1つのアルコール、少なくとも1つのアルコールの前駆体、または少なくとも1つのアルコールと少なくとも1つのアルコールの前駆体から構成される。より好ましくは、ステップ(3)で使用される溶媒混合物はMIBK及び少なくとも1つのアルコール、一層より好ましくはMIBK及び1つのアルコールから構成される。この少なくとも1つのアルコールに関して特別の限定はないが、ブタノール、特にn−ブタノールが特に好ましい。
MIBK対アルコール、好ましくはブタノール、一層より好ましくはn−ブタノールのモル比に関する限り、特別の限定はない。好ましい実施形態によれば、ステップ(3)で使用される溶媒混合物中に使用されるMIBK対アルコールのモル比は0.5:1〜10:1、好ましくは0.75:1〜5:1、より好ましくは0.95:1〜1.05:1の範囲である。
通常、ステップ(3)で使用される溶媒または溶媒混合物中の式(I)の化合物のHCl塩の濃度は達成しようとする精製の特別の必要性に適合され得る。好ましい実施形態によれば、式(I)の化合物のHCl塩の濃度は0.25〜0.75、好ましくは0.55〜0.65mol/L−溶媒または溶媒混合物の範囲である。
通常、固体抽出を実施する温度は使用する溶媒または溶媒混合物に合わせる。本発明の好ましい実施形態によれば、ステップ(3)における固体抽出は20〜100℃、好ましくは40〜80℃、より好ましくは55〜65℃の範囲の温度で実施する。
その後、生じた混合物を予設定した温度に冷却することが好ましく、冷却は連続的、または2つ以上のステップで段階的に実施され得る。本発明の実施形態によれば、混合物を最終的に冷却する予設定した温度は0〜30℃、好ましくは20〜30℃の範囲である。
高いシス異性体(II)対トランス異性体(III)の比を示す式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩を固体抽出から得た混合物から例えば適当に濾過することにより単離することが好ましく、適当な洗浄剤を用いて少なくとも1回洗浄することが好ましい。好ましい洗浄剤は、例えば上記した溶媒の1つであり、ジエチルエーテル及び/またはメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)が特に好ましい。従って、本発明は、更に、
(3a)式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩を(3)から得た混合物から好ましくは濾過により単離した後、場合により適当な溶媒、好ましくはジエチルエーテルまたはメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)を用いて洗浄することを含む上に規定した方法に関する、
前記した好ましい単離の後に、式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩を適当な乾燥条件下で乾燥することが好ましい。真空中での乾燥が好ましく、温度は好ましくは30〜55℃、より好ましくは40〜50℃の範囲である。
乾燥ステップの前または後に、本発明に従う方法は、ステップ(3)またはステップ(3a)から得た少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩を固体抽出にかける少なくとも1つの追加ステップを含み得る。追加の1回以上の固体抽出の一般的及び好ましい条件に関しては、上記ステップ(3)及び(3a)の検討を参照されたい。従って、本発明は、更にステップ(3a)から得たHCl塩を上に規定した方法に従って固体抽出にかけた後、好ましくはこうして得たHCl塩をステップ(3a)に関連して検討した方法に従って単離することを含むステップ(3)及び(3a)を含む上に規定した方法にも関する。
上述したように、ステップ(3)で出発物質として使用される式(I)の化合物のHCl塩は通常80%〜97%未満、好ましくは85%〜97%未満のシス異性体(II)のHCl塩、及び20%〜3%以上、好ましくは15%〜3%以上のトランス異性体(III)のHCl塩を含有している。このような式(I)の化合物を使用する場合、ステップ(3)における固体抽出及び上に規定した単離から得た式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩は少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の式(II)のシス異性体のHCl塩、及び多くとも3%、好ましくは多くとも2%、より好ましくは多くとも1%の式(III)のトランス異性体のHCl塩を含有している。
よって、ステップ(1)及び(2)と非常に上昇したシス:トランス比をもたらすその後の結晶化を適当に組合せた後、場合により本発明の固体抽出を少なくとも1回実施することにより、またはステップ(1)及び(2)を比較的一般的な組合せた後に特に好ましくは本発明の固体抽出を少なくとも1回実施することにより、いずれの場合も式(I)の化合物のHCl塩である主要化合物に基づいて式(I)の化合物を式(II)のシス異性体に関して精製するかなり単純化した方法を提供することができることが知見された。特に、抗真菌剤、特にポサコナゾールを製造するための式(I)の精製した化合物の好ましい使用に関して、従来技術の複雑な精製を避けるこの方法の改善により直接大規模化することができる。
従って、本発明は、式(I)
Figure 0005955837
(式中、Y及びYは独立してFまたはCl、好ましくはFである)
の化合物の好ましくは結晶性の塩酸(HCl)塩にも関し、式(I)の前記化合物は式(II)のシス異性体及び式(III)のトランス異性体
Figure 0005955837
を含有している。
本発明の好ましい実施形態によれば、好ましくは結晶性のHCl塩は少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の式(II)のシス異性体のHCl塩、及び多くとも3%、好ましくは多くとも2%、より好ましくは多くとも1%の式(III)のトランス異性体のHCl塩を含有している。
よって、特に、本発明は、少なくとも部分的に結晶性の、好ましくは結晶性のHCl塩が少なくとも99%の式(II)のシス異性体のHCl塩及び多くとも1%の式(III)のトランス異性体を含有している式(II)(式中、Y及びYはFである)のシス異性体に関して高純度の式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶性の、好ましくは結晶性のHCl塩に関する。
本明細書中に記載されている式(I)(式中、Y及びYはFである)の化合物の結晶性のHCl塩が少なくとも以下の反射を含む以下のX線回折パターンを示すことが好ましい。
Figure 0005955837
ここで、100%はX線回折パターン中の最大ピークの強度を示す。
加えて、本発明は、上に規定した方法により得ることができるかまたは得られる式(I)
Figure 0005955837
(式中、Y及びYは独立してFまたはCl、好ましくはFである)
の化合物の好ましくは少なくとも部分的に結晶性の塩酸(HCl)塩に関する。
上記したように、高いシス:トランス比を示す式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶性のHCl塩を抗真菌剤を製造するため、好ましくはポサコナゾール、すなわち式(VIII)の化合物を製造するための出発物質として好ましく使用され得る。特に、少なくとも99%の式(II)に従うシス異性体を含有している式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶性のHCl塩が特に適している。
従って、本発明は、少なくとも99%の式(II)
Figure 0005955837
に従うシス異性体のHCl塩を含有している上に規定した式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶性のHCl塩の抗真菌剤、好ましくはY及びYの両方がFである場合には式(VIII)
Figure 0005955837
の化合物を製造するための使用にも関する。
また、本発明は、少なくとも99%の式(II)
Figure 0005955837
に従うシス異性体のHCl塩を含有している上に規定した式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶性のHCl塩の抗真菌剤、好ましくはY及びYの両方がFである場合には式(VIII)
Figure 0005955837
の化合物を製造するための使用にも関する。
また、本発明は、抗真菌剤、好ましくは式(VIII)
Figure 0005955837
の化合物の製造方法にも関し、少なくとも99%の式(II)
Figure 0005955837
に従うシス異性体のHCl塩を含有している上に規定した式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶性のHCl塩を出発物質として使用し、Y及びYの両方がFであることが好ましい。
特に、本発明は、式(I)の化合物のHCl塩を式(IV)
Figure 0005955837
に従うそのトシラートに変換し、式(IV)の化合物を式(V)
Figure 0005955837
の化合物と反応させて、式(VI)
Figure 0005955837
の化合物を得、式(VI)の化合物を式(VII)
Figure 0005955837
の化合物と適当に反応させて、式(VIII)の化合物を得ることを含む前記使用、前記使用方法または前記方法に関し、式(VII)の化合物中のRはH、または好ましくは−SiRaabbcc(ここで、Raa、Rbb及びRccは同一または異なり、場合により適当に置換されているアルキル及びアリール残基からなる群から選択される)及び場合により置換されているアルキル、アリール、アルカアリールまたはアルアルキル残基からなる群から選択される適当なヒドロキシル保護基であり、Rは好ましくHである。
式(I)の化合物のHCl塩を式(IV)
Figure 0005955837
に従うそのトシラートに変換に関する限り、特別の限定はない。本発明の好ましい実施形態によれば、式(I)の化合物の少なくとも部分的に結晶性の、好ましくは結晶性の塩を適当な液体、最も好ましくはジクロロメタン(DCM)中に懸濁させて用意する。この懸濁液に対して、好ましくは少なくとも1つの適当な有機窒素塩基(例えば、トリエチルアミン(TEA)及び/または4−ジメチルアミノピリジン(DMAP))を添加する。生じた混合物に適当なp−トルエンスルホニル含有化合物(例えば、p−トルエンスルホニルクロリド(TsCl))を10〜40℃の好ましい温度で添加し、好ましくは1〜6時間反応させる。得られた式(IV)の化合物を含有する反応混合物を適当に抽出することが好ましく、場合により適当に濃縮した後得られた有機層から式(IV)の化合物を固体として得、これを場合により適当に乾燥してもよく、その後更に中間処理することなく上記した式(V)の化合物と反応させるための出発物質として使用することが好ましい。
従来技術と比較して、本発明の高いシス:トランス比を有する式(I)の化合物のHCl塩の製造を介する本発明に従う精製のためのかなり単純化した方法により、式(VI)の化合物を製造するためにトシラートのカラムクロマトグラフィーによる複雑な精製をすることなしに式(IV)のトシラートを直接使用することができる。よって、本発明に従う式(I)の化合物の新規HCl塩を適当に製造することにより、抗真菌剤、特にポサコナゾールを製造するための全方法が特に大量製造に関する限り単純化される。
従って、本発明は、式(II)のシス異性体及び式(III)のトランス異性体
Figure 0005955837
のジアステレオマーの混合物をシス異性体に関して精製するための、好ましくは80〜95%、好ましくは85〜95%の式(II)のシス異性体及び20〜5%、好ましくは15〜5%の式(III)のトランス異性体を含有しているジアステレオマー混合物を精製して少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%、より好ましくは少なくとも99%の式(II)のシス異性体のHCl塩及び多くとも3%、好ましくは多くとも2%、より好ましくは多くとも1%の式(III)のトランス異性体のHCl塩を含有している精製混合物を得るための上に規定した式(I)の化合物の塩酸(HCl)塩の製造方法に使用にも関する。
本発明を下記実施例により更に説明する。
[実施例1]:式(I)の化合物の製造
(a)式(Ba)の化合物の製造
Mg(3.8g)をMTBE(20ml)中に懸濁した。懸濁液の温度は55℃であった。次いで、システムを乾燥させるために前のバッチからのMTBE中のグリニャール試薬(CHSi−CHMgCl(0.5g)を添加した(第1のバッチに対してグリニャール試薬を利用しないならば、Sigma−Aldrichから1.0M溶液として市販されているジエチルエーテル中の(CHSi−CHMgCl(CAS登録番号:13170−43−9)を使用し得る)後、クロロメチルトリメチルシラン(CM−TMS;CAS登録番号:2344−80−1;Sigma−Aldrichから市販されている)(1.0ml)を添加した。MTBE(43ml)中にCM−TMS(14ml)を含む溶液を55℃の温度で2時間かけてゆっくり添加した。混合物を55℃で2時間撹拌した後、−10℃の温度まで冷却した。その後、MTBE(30ml)中の市販の式(Aa)の化合物(CAS登録番号:51336−94−8;Sigma−Aldrichから市販されている)(10.0g)を添加し、温度を0〜−10℃の範囲に保持した。反応混合物を塩化アンモニウムの20%(w/v)水溶液でクエンチした。得られた有機層を塩化アンモニウムの20%(w/v)水溶液で洗浄した。次いで、こうして洗浄した有機層を水で洗浄した。
有機層に濃硫酸(11.0ml)を添加し、温度を25〜30℃で保持した。次いで、反応混合物を45〜50℃の温度で3時間撹拌した。その後、反応混合物を20℃まで冷却し、水(25ml)を添加し、有機層を分離した。得られた有機層を炭酸水素ナトリウムの9%(w/v)水溶液で抽出した後、水で洗浄した。洗浄した有機層の溶媒を減圧下で蒸留することにより除去し、式(Ba)の化合物を油状物として得た。
収量は9.4gであり、理論値の95%に相当した。
(b)式(C)(Y =Y =F、及びR =R =CH CH )の化合物の製造
式(Ba)の化合物(油状物として,(a)に従って得た)(10.0g)をDMSO(20ml)中に撹拌しながら溶解した。次いで、NaOHフレーク(3.2g)及びマロン酸ジエチル(24.0ml)を添加した。生じた懸濁液を25〜30℃で5時間撹拌した。その後、水(100ml)を添加し、生じた混合物を30分間撹拌した。こうして得た溶液を25〜30℃でシクロヘキサン(80ml)で抽出した。層を分離した後、水性層を25〜30℃でシクロヘキサン(40ml)で抽出した。合わせた有機層をNaOHの5%(w/v)水溶液で洗浄した後、水で洗浄した。洗浄後、有機層の溶媒を減圧下で蒸留することにより除去し、標記化合物を油状物として得た。
収量は15.0gであり、理論値の90.0%に相当した。
(c)式(D)(Y =Y =F)の化合物の製造
(b)に従って得た油状物としての式(C)の化合物(10.0g)を25〜30℃で撹拌しながらイソプロピルアルコール(120ml)及び水(13.0ml)中に溶解した。生じた混合物を0〜−5℃の温度まで冷却した。次いで、塩化リチウム(2.3g)及び水素化ホウ素ナトリウム(2.1g)を0〜−5℃で添加した。生じた懸濁液を25〜30℃で20時間撹拌した。4N 水性HClを添加することにより撹拌混合物のpHを(校正pHメーターを用いて測定して)1の値に調節した。その後、pHを(校正pHメーターを用いて測定して)10の値に調節するために、NaOHの20%(w/v)水溶液を添加した。生じた混合物を1時間撹拌した。次いで、下の水性層を排出した。分離した有機層からイソプロピルアルコールを留去し、油状物を得た。この油状物にトルエン(100ml)及び水(100ml)を添加し、生成物をトルエン層に抽出した。生じたトルエン層の溶媒を減圧下で蒸留することにより除去し、式(D)(Y=Y=F)の化合物を油状物として得た。
収量は6.0gであり、理論値の82.0%に相当した。
(d)式(E)の化合物(Y =Y =F)の製造
(c)に従って得た油状物としての式(D)の化合物(10.0g)をトルエン(80ml)中に溶解し、−15℃まで冷却した。次いで、炭酸水素ナトリウム(7.4g)、酵素(Novo SP 435;カンジダ・アンタークティカ(Candida antarctica),Novo Nordisk製Novozym 435)(0.5g)及び無水イソ酪酸(7.9ml)を添加した。生じた混合物を−15℃で24時間撹拌した。次いで、固体を濾別し、濾液を炭酸水素ナトリウムの5%(w/v)水溶液で洗浄した後、水で洗浄した。生じた有機層の溶媒を減圧下で蒸留することにより除去して、所望生成物を油状物として得た。この油状物をn−ヘプタン(40ml)中に50〜60℃で溶解した。透明な溶液を10℃の温度まで徐々に冷却した。式(E)(Y=Y=F)の化合物を無色の結晶として結晶化させた。得られた固体を濾過し、湿った濾過ケーキをn−ヘプタン(20ml)で洗浄した。次いで、濾過ケーキを真空中40℃で乾燥し、式(E)(Y=Y=F)の化合物を無色の結晶として得た。
収量は9.2gであり、理論値の70.0%に相当した。
(e)式(F)(Y =Y =F,Hal=I)の化合物の製造
(d)で得た結晶(10.0g)を撹拌しながら酢酸エチル(80ml)中に溶解した。生じた溶液を−15℃まで冷却し、ヨウ素(21.5g)及び炭酸水素ナトリウム(7.0g)を添加した。得られた懸濁液を−15℃で5時間撹拌した。反応混合物を亜硫酸水素ナトリウムの10%(w/v)水溶液(200ml)でクエンチした。有機層を亜硫酸水素ナトリウムの10%(w/v)水溶液(100ml)で洗浄した後、水で洗浄した。こうして得た洗浄した有機層の溶媒を減圧下で蒸留することにより除去して、標記化合物を油状物として得た。
収量は13.5gであり、理論値の95.0%に相当した。
(f)式(I)(Y =Y =F)の化合物の製造
(e)に従って得た油状物としての式(F)の化合物(10.0g)を撹拌しながらDMSO(80ml)中に溶解した。次いで、1,2,4−トリアゾールのナトリウム塩(10g)を25〜30℃で添加し、生じた反応混合物を85〜90℃で24時間撹拌した。次いで、混合物を25〜30℃まで冷却し、水酸化ナトリウムの5%(w/v)水溶液(25ml)を添加した。次いで、混合物を25〜30℃で3時間撹拌した。水(100ml)を添加し、生成物をメチルテトラヒドロフラン(150ml)中に抽出した。こうして得た有機層を塩化ナトリウムの10%(w/v)水溶液で洗浄した後、生じた分離した有機層の溶媒を減圧下で蒸留することにより除去して、式(I)(Y=Y=F)の化合物を粗な油状物として得た。
収量は6.0gであり、理論値の86.0%に相当した。
粗な油状物(10.0g)を50〜60℃で撹拌しながらメチルテトラヒドロフラン(100ml)中に溶解した。次いで、n−ヘプタン(300ml)を50〜60℃で30分間かけて添加した。濁った溶液を25〜30℃まで冷却し、更に30分間撹拌した。生じた懸濁液を0〜−5℃まで冷却し、2時間撹拌した。生成物を濾過し、湿ったケーキをn−ヘプタン(20ml)で洗浄した。洗浄した生成物を真空中40℃で乾燥して、式(I)(Y=Y=F)の結晶性化合物を無色の固体として得た。収量は7.0gであり、理論値の70.0%に相当した。
式(I)(Y=Y=F)の化合物を9:1のシス:トランス比のシス異性体とそのトランス異性体の混合物として得た。
[実施例2]:固体抽出なしで、第2の溶媒としてのTHF中HClを用いる化合物(I)(Y 及びY =F)のHCl塩の製造
実施例1から得た式(I)(Y及びY=F)の結晶性化合物(5g,16.9mmol,シス:トランス=9:1)をMIBK(75ml)中に溶解し、60℃に加熱した。次いで、THF中のHCl(7.2ml,23.8mmol HCl;濃度=3.3mol/l)を一度に添加した。次いで、混合物を60℃で60分間撹拌した。約5〜10分後、混合物は曇り始め、結晶化が生じた。こうして得た懸濁液を90分間以内で周囲温度まで冷却した。攪拌を室温で更に60分間続けた。得られた固体を濾過により単離し、MIBK(2×10ml)で2回洗浄し、真空下45℃で乾燥した。
式(I)(Y及びY=F)の化合物のHCl塩を無色の固体として3.95gに対応する78%の収率で得た。式(I)(Y及びY=F)の化合物のHCl塩は、HPLCにより測定して式(II)(Y及びY=F)のシス異性体のHCl塩及び式(III)(Y及びY=F)のトランス異性体のHCl塩を98.6:1.4のシス:トランス比で含有していた。
[実施例3]:固体抽出なしで、第2の溶媒としてのTHF中HClを用いる化合物(I)(Y 及びY =F)のHCl塩の製造
実施例1から得た式(I)(Y及びY=F)の結晶性化合物(20g,66.7mmol,シス:トランス=9:1)をMIBK(250ml)中に溶解し、60℃に加熱した。次いで、THF中のHCl(34ml,95.2mmol HCl;濃度=2.8mol/l)を一滴ずつ添加した。次いで、混合物を60℃で60分間撹拌した。約10分後、混合物は曇り始め、結晶化が生じた。こうして得た懸濁液を90分間以内で周囲温度まで冷却した。攪拌を室温で更に60分間続けた。得られた固体を濾過により単離し、MIBK(10ml)で洗浄し、真空下45℃で乾燥した。
式(I)(Y及びY=F)の化合物のHCl塩を無色の固体として12.15gに対応する60%の収率で得た。式(I)(Y及びY=F)の化合物のHCl塩は、HPLCにより測定して式(II)(Y及びY=F)のシス異性体のHCl塩及び式(III)(Y及びY=F)のトランス異性体のHCl塩を99.3:0.7のシス:トランス比で含有していた。
[実施例4]:固体抽出なしで、第2の溶媒としてのn−ブタノール中HClを用いる化合物(I)(Y 及びY =F)のHCl塩の製造
実施例1から得た式(I)(Y及びY=F)の結晶性化合物(0.5g,1.6mmol,シス:トランス=9:1)をn−ブタノール(5ml)中に溶解し、60℃に加熱した。次いで、n−ブタノール中のHCl(386μl,2.2mmol HCl;濃度=5.7mol/l)を一滴ずつ添加した。次いで、混合物を60℃で60分間撹拌した。こうして得た懸濁液を周囲温度まで冷却した。攪拌を室温で更に60分間続けた。得られた白色固体を濾過により単離し、少量のジエチルエーテルで洗浄し、真空下45℃で乾燥した。
式(I)(Y及びY=F)の化合物のHCl塩を無色の固体として241mgに相当する47%の収率で得た。式(I)(Y及びY=F)の化合物のHCl塩は、HPLCにより測定して式(II)(Y及びY=F)のシス異性体のHCl塩及び式(III)(Y及びY=F)のトランス異性体のHCl塩を98.6:1.4のシス:トランス比で含有していた。
H−NMR(300MHz,CDCl)δ ppm 2.12−2.51(m,3H)3.36−3.72(m,2H)3.93−4.20(m,2H)4.74(d,J=14.05Hz,1H)5.05(d,J=13.81Hz,1H)6.56−6.94(m,2H)6.98−7.24(m,1H)8.35−844(m,1H)8.44−8.60(m,2H)10.15(s,1H)。
13C−NMR(75MHz,CDCl)δ ppm 38.1,41.2,58.0,62.3,70.6,82.6,104.6,111.3,125.2,128.0,141.9,142.5,161.2。
[実施例5]:アセトン及びMTBE中HClを用いる化合物(I)(Y 及びY =F)のHCl塩の製造
結晶化前の実施例1(f)で得た粗な油状物としての式(I)の化合物(10.0g)をアセトン(200ml)中に30〜40℃で撹拌しながら溶解した。生じた溶液を25〜30℃まで冷却した。次いで、MTBE中のHCl(10重量%)を25〜30℃で15分間かけて添加した。混合物を15分間撹拌すると固体が結晶化した。次いで、MTBE(200ml)を30分間かけてゆっくり添加した。懸濁液を0〜−5℃まで冷却し、2時間撹拌した。生成物を濾過し、湿ったケーキをMTBE(20ml)で洗浄した。真空中70℃で乾燥した後、化合物(I)(Y=Y=F)のHCl塩を無色固体として得た。
収量は9.5gであり、理論値の85.0%に相当した。
式(I)(Y=Y=F)の化合物のHCl塩を9:1のシス:トランス比のシス異性体とそのトランス異性体の混合物として得た。
[実施例6]:固体抽出ありで、MIBKとn−ブタノールを溶媒混合物として用いる化合物(I)(Y 及びY =F)のHCl塩の製造
実施例5に記載されているようにして得た式(II)(Y及びY=F)のシス異性体のHCl塩及び式(III)(Y及びY=F)のトランス異性体のHCl塩を9:1のシス:トランス比で含有している式(I)(Y及びY=F)の化合物の結晶性HCl塩(20.0g,60mmol)をn−ブタノール(50ml)とMIBK(50ml)の混合物中に懸濁した。混合物を60℃に加熱し、この温度を2時間維持した。その後、混合物を室温まで冷却した。得られた固体を濾別し、少量のジエチルエーテルで洗浄した。
この固体(14.55g,43.9mol)をn−ブタノール(36.4ml)とMIBK(36.4ml)の混合物中に再懸濁した。混合物を60℃に加熱し、この温度を2時間維持した。その後、混合物を室温まで冷却した。得られた固体を濾別し、少量のジエチルエーテルで洗浄した。
真空下45℃で乾燥させた後、式(I)(Y及びY=F)の化合物のHCl塩を無色結晶性の固体として10.75gに相当する2ステップで66%の全収率で得た。結晶は顕微鏡で複屈折を示した。式(I)(Y及びY=F)の化合物のHCl塩は、HPLCにより測定して式(II)(Y及びY=F)のシス異性体のHCl塩及び式(III)(Y及びY=F)のトランス異性体のHCl塩を99.2:0.8のシス:トランス比で含有していた。
式(I)(Y=Y=F)の化合物の純度及びシス/トランス比を測定するためのHPLC方法:
Figure 0005955837
Figure 0005955837
式(I)(Y=Y=F)の化合物のX線粉末回折を図1に示す。
X線回折図を記録するための方法
サンプルをゼロバックグラウンドホルダーを用いてスピニングモードで周囲条件下で分析した。2θ値の典型的な精度は約±0.2°2θの範囲である。よって、8.6°2θに見られる回折ピークは多くのX線回折計を用いて標準条件下で8.4と8.8°2θの間に見られ得る。
計器パラメーター
XRD測定条件:
計器 X’PERT PRO PANalytical
スキャン軸 ゴニオ
開始位置[°2θ] 3.0
終了位置[°2θ] 40.0
ステップサイズ[°] 0.0170
スキャンステップ時間[s] 100
スキャンタイプ 連続
アノード材料 Cu
発電機設定 45kV,40mA
スピニング あり
入射ビーム光学
ソーラースリット 0.02ラジアン
発散スリットタイプ プログラム可能なスリット(固定0.5°)
X線除去用スリット 固定スリット(1°)
ビームマスク 10mm(MPD/MRD)
回折ビーム光学
X線除去用スリットタイプ プログラム可能なスリット(固定0.5°)
ソーラースリット 0.02ラジアン
フィルター ニッケル
検出器 エクセレレーター
モード スキャニング
活性経路長 2.122°

Claims (29)

  1. 式(I)
    Figure 0005955837
    (式中、Y及びYは独立してFまたはClである)
    の化合物の塩酸(HCl)塩の製造方法であって、式(I)の前記化合物が式(II)のシス異性体及び式(III)のトランス異性体
    Figure 0005955837
    を含有しており、
    (1)酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、メタノール、n−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール、アセトン、2−ブタノン及びメチルイソブチルケトン(MIBK)からなる群から選択される溶媒中に含まれる式(I)の化合物を用意し;
    (2)前記(1)の溶媒中に含まれる式(I)の化合物を、ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル(MTBE)、酢酸エチル、メタノール、n−プロパノール,1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−ブタノール、3−メチル−1−ブタノール及びトルエンからなる群から選択される溶媒中に含まれるHClで処理して、式(I)の化合物のHCl塩を得る
    ことを含む前記方法。
  2. (1)において用意される式(I)の化合物が、80〜95%の式(II)のシス異性体、及び20〜5%の式(III)のトランス異性体を含有する請求項1に記載の方法。
  3. (1)において、式(I)の化合物を、
    (i.1)式(A)
    Figure 0005955837
    (式中、Lはハロゲンである)
    の化合物を、溶媒中、求核性残基RSi−CH(ここで、R、R及びRは同一または異なり、場合により置換されているアルキル及びアリール残基からなる群から選択される)を含む求核性化合物と反応させて、中間体として、式
    Figure 0005955837
    のβ−ヒドロキシシランを含有する反応混合物を得、この反応は−50〜+20℃の範囲の温度で実施され;
    (i.2)生じた反応混合物を、脱離反応を促進する試薬で処理して、式(B)
    Figure 0005955837
    の化合物を含有する反応混合物を得、この処理は−20〜+70℃の範囲の温度で実施され、前記試薬は酸であり;
    (ii)式(B)の化合物を、マロン酸エステルROOC−CH−COORと反応させて、式(C)
    Figure 0005955837
    (式中、R及びRは独立して場合により置換されている、1〜5個の炭素原子を有するアルキル基である)
    の化合物を得、
    (ii)の後であって(iii)の前に、式(C)の化合物を、溶媒を用いる抽出によって、場合により分離し;
    (iii)式(C)の化合物を、還元剤で還元して、式(D)
    Figure 0005955837
    の化合物を得、前記還元剤は式(C)の化合物に対して多くとも2モル当量の量で使用され;
    (iv)式(D)の化合物を、無水イソ酪酸を用いてアシル化して、式(E)
    Figure 0005955837
    の化合物を得;
    (v)式(E)の化合物を、溶媒中、塩基の存在下でCl、Br及びIからなる群から選択されるハロゲンHalと反応させて、式(F)
    Figure 0005955837
    の化合物を得、前記式(F)の化合物の分子は、式(Fa)
    Figure 0005955837
    のシス異性体および式(Fb)
    Figure 0005955837
    のトランス異性体として存在し;
    (vi.1)式(F)の化合物を、溶媒中、1,2,4−トリアゾールアルカリ金属塩と一緒に加熱し、生じた反応混合物をエステル部分のケン化を促進させるのに適した塩基で処理して、式(I)
    Figure 0005955837
    の化合物を得、該式(I)の化合物の分子は、式(II)
    Figure 0005955837
    のシス異性体および式(III)
    Figure 0005955837
    のトランス異性体として存在し;
    (vi.2)(vi.1)から得た反応混合物から溶媒を用いる抽出により式(I)の化合物を分離すること;
    を含む方法により用意する、請求項1または2に記載の方法。
  4. (1)において式(I)の化合物を用意する方法が、更に
    (vii)(vi.2)の後に、式(I)の化合物を少なくとも部分的に結晶化させる
    ことを含む請求項3に記載の方法。
  5. 前記(1)の溶媒及び/または前記HClを含む溶媒が、アルコール、及び/またはジオキサン、メチルテトラヒドロフラン及びテトラヒドロフランからなる群から選択される溶媒を含む、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 前記(1)の溶媒が、MIBKであり、前記HClを含む溶媒がTHFであるか、または前記(1)の溶媒及び前記HClを含む溶媒の両方がn−ブタノールである請求項に記載の方法。
  7. (2)における処理を20〜100℃の範囲の温度で実施する請求項またはに記載の方法。
  8. (2)において、媒中に含まれるHClを、式(I)の化合物に対して、HCl:(I)のモル比が1.0:1〜2.0:1の範囲で使用する請求項のいずれかに記載の方法。
  9. 更に、(2)の後に、式(I)の化合物のHCl塩を少なくとも部分的に結晶化させることを含む請求項のいずれかに記載の方法。
  10. 少なくとも部分的に結晶化させた、式(I)の化合物のHCl塩が、少なくとも97%の式(II)のシス異性体のHCl塩、及び多くとも3%の式(III)のトランス異性体のHCl塩を含有している請求項に記載の方法。
  11. 更に、
    (2a)少なくとも部分的に結晶化させた、式(I)の化合物のHCl塩を分離することを含む請求項10のいずれかに記載の方法。
  12. (2)における処理を0〜100℃の範囲の温度で実施し、(2)において媒中に含まれるHClを式(I)の化合物に対して、HCl:(I)のモル比が1.0:1〜3.0:1の範囲で使用する請求項1〜のいずれかに記載の方法。
  13. 更に、(2)の後に、式(I)の化合物のHCl塩を少なくとも部分的に結晶化させることを含む請求項12に記載の方法。
  14. 少なくとも部分的に結晶化させたHCl塩が、80〜95%の式(II)のシス異性体のHCl塩、及び20〜5%の式(III)のトランス異性体のHCl塩を含有している請求項13に記載の方法。
  15. 更に、
    (2b)少なくとも部分的に結晶化させた、式(I)の化合物のHCl塩を分離することを含む請求項13または14に記載の方法。
  16. 更に、
    (3)少なくとも部分的に結晶化させた、式(I)の化合物のHCl塩を、溶媒を用いる固体抽出にかけて式(I)の化合物のHCl塩を得、これにより式(II)のシス異性体のHCl塩の含量を増加させることを含む請求項11または請求項15に記載の方法。
  17. 請求項16に記載の溶媒が、MIBK、またはMIBKとアルコールとの混合物であり、MIBK対アルコールのモル比が0.5:1〜10:1の範囲である請求項16に記載の方法。
  18. 固体抽出を20〜100℃の範囲の温度で実施する請求項16または17に記載の方法。
  19. (3)において、式(I)の化合物のHCl塩の濃度が、0.25〜0.75mol/Lの溶媒の範囲である請求項1618のいずれかに記載の方法。
  20. 更に、(3)の後に、少なくとも部分的に結晶化させた、式(I)の化合物のHCl塩を単離することを含む請求項1619のいずれかに記載の方法。
  21. (3)から得た、少なくとも部分的に結晶化させた、式(I)の化合物のHCl塩が、少なくとも97%の式(II)のシス異性体のHCl塩、及び多くとも3%の式(III)のトランス異性体のHCl塩を含有する請求項1620のいずれかに記載の方法。
  22. 更に、
    (3a)(3)から得た混合物から、少なくとも部分的に結晶化させた、式(I)の化合物のHCl塩を単離することを含む請求項1621のいずれかに記載の方法。
  23. 更に、(3a)から得たHCl塩を、請求項1621のいずれかに記載の方法に従って固体抽出にかけることを含む請求項22に記載の方法。
  24. 式(I)
    Figure 0005955837
    (式中、Y及びYは独立してFまたはClである)
    の化合物結晶性の塩酸(HCl)塩であって、前記式(I)の化合物が、式(II)のシス異性体及び式(III)のトランス異性体
    Figure 0005955837
    を含有する前記結晶性のHCl塩。
  25. 少なくとも97%の式(II)のシス異性体のHCl塩、及び多くとも3%の式(III)のトランス異性体のHCl塩を含有する請求項24に記載の結晶性のHCl塩。
  26. なくとも部分的に結晶性の、式(I)
    Figure 0005955837
    (式中、Y及びYは独立してFまたはClである)
    の化合物の塩酸(HCl)塩。
  27. 式(VIII)
    Figure 0005955837
    (式中、Y及びYの両方がFである)
    の化合物である抗真菌剤を製造するための、
    少なくとも99%の式(II)
    Figure 0005955837
    のシス異性体のHCl塩を含有している、請求項2426のいずれかに記載の少なくとも部分的に結晶性のHCl塩の使用。
  28. 前記式(II)のシス異性体のHCl塩を、式(IV)
    Figure 0005955837
    のトシラートに変換し、式(IV)の化合物を、式(V)
    Figure 0005955837
    の化合物と反応させて、式(VI)
    Figure 0005955837
    の化合物を得、式(VI)の化合物を、式(VII)
    Figure 0005955837
    (式中、RはH、またはヒドロキシ保護基である)
    の化合物と反応させて、請求項27に記載の式(VIII)の化合物を得ることを含む請求項27に記載の使用。
  29. 式(II)のシス異性体及び式(III)のトランス異性体
    Figure 0005955837
    のジアステレオマー混合物をシス異性体に関して精製するための、請求項1〜23のいずれかに記載の方法の使用であって、少なくとも97%の式(II)のシス異性体のHCl塩、及び多くとも3%の式(III)のトランス異性体のHCl塩を含有する精製した混合物を得るための、前記方法の使用。
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