JP2013240940A - 過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置および製造方法 - Google Patents

過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置および製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】機械的特性等の各種特性に優れた結晶性樹脂フィルム等を製造するのに好適な、温度が均一な過冷却状態の結晶性樹脂融液を大量に、より安定的に連続的して製造する製造装置等を提供する。
【解決手段】製造装置1は、結晶性樹脂融液を押し出す押出機10と、押し出された結晶性樹脂融液を結晶化温度以上、融点未満の過冷却状態にする冷却器40および温度調節装置35と、過冷却状態の結晶性樹脂融液を吐出するスリットダイ30とを備えている。冷却器40は、結晶性樹脂の流路である流路管41と、結晶性樹脂を冷却する冷媒の流路である冷却管42とを備え、スリットダイ30から吐出される結晶性樹脂の、吐出される結晶性樹脂の温度が、結晶性樹脂の融点よりも2℃〜25℃低く、かつ、吐出方向に対して垂直な断面における温度分布が最大4℃の範囲内に納まるように、結晶性樹脂を冷却する。
【選択図】図1

Description

本発明は、機械的特性や耐熱性、透明性等の各種特性に優れた結晶性樹脂フィルムまたはシートを製造するのに好適な、過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造することができる製造装置および製造方法に関するものである。
近年、ポリカーボネートやポリエチレンテレフタレート、フッ素樹脂(テフロン(登録商標)等)、ポリアミド、ポリメチルペンテン、ポリオキシメチレン、アクリル樹脂等の、機械的特性や耐熱性、透明性等の各種特性に優れたいわゆるエンジニアリングプラスチックの代替材料として、比較的比重が小さく安価で成形が容易な、いわゆる汎用プラスチックを利用することが検討されている。即ち、ポリエチレン(以下、「PE」と称する)やポリプロピレン(以下、「PP」と称する)、ポリスチレン(以下、「PS」と称する)、ポリ塩化ビニル(以下、「PVC」と称する)等の汎用プラスチックの機械的特性や耐熱性、透明性等の各種特性を大幅に改善することが検討されている。具体的には、PEやPP、PS、PVCにおける結晶の割合(結晶化度)を著しく高めること、より好ましくはPEやPP、PS、PVCの非晶質を殆ど含まない結晶体を製造することが検討されている。
汎用プラスチックの結晶性を向上させる(結晶化度を高める)方法として、例えば、本願発明者が出願した特許文献1には、押出機から押し出された溶融状態の結晶性樹脂(汎用プラスチック)を冷却器で結晶化温度以上、融点未満の温度に冷却した(過冷却状態にした)後、当該結晶性樹脂をダイ(口金)から成形機に吐出して、いわゆる超臨界伸長歪速度で伸長成形する結晶性樹脂フィルムまたはシートの製造方法および製造装置が提案されている。
WO2010/084766A1(2010年7月29日公開)
特許文献1に記載の製造方法および製造装置では、結晶性が向上された(結晶化度が高められた)結晶性樹脂フィルムまたはシートを大量にかつ連続的に製造することができる。しかしながら、当該製造方法および製造装置においては、溶融状態の結晶性樹脂(以下、「溶融樹脂」と称する)を冷却器で単に冷却して過冷却状態にしている。このため、ダイから吐出される溶融樹脂は、その表面が過冷却状態になっていても、その内部が高温(融点以上)のままである場合が生じるおそれがある。溶融樹脂の断面(吐出方向に対して垂直な断面)において極端な温度分布があり(温度が不均一であり)、過冷却状態となっていない部分があると、結晶性樹脂フィルムやシートを成形することができない。
つまり、特許文献1に記載の製造方法および製造装置では、冷却器の運転状況によっては、当該冷却器による溶融樹脂の冷却状態が不安定になるおそれがあり、温度が均一な溶融樹脂を成形機により安定的に連続的して供給することが難しくなるおそれがある。従って、冷却器の運転状況によっては、結晶性が向上された(結晶化度が高められた)結晶性樹脂フィルムやシートを大量に、かつ、より安定的に連続的して製造することが難しくなるおそれがある。それゆえ、特許文献1に記載の製造方法および製造装置においては、冷却方法や冷却器について、溶融樹脂の温度がより均一になるように、更なる改良が求められている。
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、機械的特性や耐熱性、透明性等の各種特性に優れた結晶性樹脂フィルムまたはシートを製造するのに好適な、温度が均一な過冷却状態の結晶性樹脂融液を大量に、かつ、より安定的に連続的して製造することができる製造装置および製造方法を提供することにある。
本発明に係る過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置は、上記の課題を解決するために、結晶性樹脂フィルムまたはシートを製造するために、過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置であって、溶融状態の結晶性樹脂を押し出す押出機と、押出機から押し出された結晶性樹脂を結晶化温度以上、融点未満の過冷却状態にする冷却装置と、過冷却状態の結晶性樹脂融液を吐出する吐出部とを備え、上記冷却装置は、結晶性樹脂の流路を構成する流路管と、結晶性樹脂を冷却する冷媒の流路を構成する冷却管とを備え、吐出部から吐出される結晶性樹脂の温度が、結晶性樹脂の融点よりも2℃〜25℃低く、かつ、吐出方向に対して垂直な断面における温度分布が最大4℃の範囲内に納まるように、当該結晶性樹脂を冷却するようになっていることを特徴としている。
また、本発明に係る過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置は、押出機と、流路管および冷却管とを備える冷却装置との間に、溶融状態の結晶性樹脂を昇圧しながら冷却装置に定量供給する昇圧器をさらに備えていることがより好ましい。
また、本発明に係る過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置は、上記冷却管は、溶融樹脂の流動方向に沿って複数のブロックに分割されていることがより好ましく、上記複数のブロックには、互いに異なる温度の冷媒が供給されるようになっていることがさらに好ましい。
また、本発明に係る過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置は、上記流路管の内部に、溶融状態の結晶性樹脂を混合する静止型混合器を備えていることがより好ましい。
また、本発明に係る過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置は、上記流路管および/または冷却管が、螺旋状の流路を有する管であることがより好ましい。
また、本発明に係る過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置は、上記冷却管は、冷媒の流通が可能でかつ対流による冷媒の移動を抑制することができる対流抑制板によって、溶融樹脂の流動方向に沿って複数の冷却室に分割されていることがより好ましく、上記複数の冷却室は、冷媒を加熱する加熱器具を備えていることがより好ましい。
また、本発明に係る過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置は、上記流路管の内部に、結晶性樹脂を冷却する冷媒の流路を構成する内部冷却管を備えていることがより好ましい。
そして、本発明に係る結晶性樹脂フィルムまたはシートの製造装置は、過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する上記製造装置と、過冷却状態の結晶性樹脂融液を超臨界伸長歪速度で伸長成形してフィルム状またはシート状にする成形機とを備えることを特徴としている。
さらに、本発明に係る過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造方法は、上記の課題を解決するために、結晶性樹脂フィルムまたはシートを製造するために、過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造方法であって、吐出部から吐出される結晶性樹脂の温度が、結晶性樹脂の融点よりも2℃〜25℃低く、かつ、吐出方向に対して垂直な断面における温度分布が最大4℃の範囲内に納まるように、当該結晶性樹脂を過冷却状態にすることを特徴としている。
本発明に係る過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置によれば、冷却装置は、吐出部から吐出される結晶性樹脂の温度が、結晶性樹脂の融点よりも2℃〜25℃低く、かつ、吐出方向に対して垂直な断面における温度分布が最大4℃の範囲内に納まるように、当該結晶性樹脂を冷却する。このため、冷却装置による結晶性樹脂の冷却状態が安定するので、温度が均一な過冷却状態の結晶性樹脂融液を、例えば成形機により安定的に連続的して供給することができる。これにより、機械的特性や耐熱性、透明性等の各種特性に優れた結晶性樹脂フィルムまたはシートを製造するのに好適な、過冷却状態の結晶性樹脂融液を大量に、かつ、より安定的に連続的して製造することができる製造装置を提供することができる。
また、本発明に係る結晶性樹脂フィルムまたはシートの製造装置は、上記製造装置と、成形機とを備える。これにより、機械的特性や耐熱性、透明性等の各種特性に優れた結晶性樹脂フィルムまたはシートを大量に、かつ、より安定的に連続的して製造することができる製造装置を提供することができる。
さらに、本発明に係る過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造方法によれば、吐出部から吐出される結晶性樹脂の温度が、結晶性樹脂の融点よりも2℃〜25℃低く、かつ、吐出方向に対して垂直な断面における温度分布が最大4℃の範囲内に納まるように、当該結晶性樹脂を過冷却状態にする。このため、結晶性樹脂の冷却状態が安定するので、温度が均一な過冷却状態の結晶性樹脂融液を、例えば成形機により安定的に連続的して供給することができる。これにより、機械的特性や耐熱性、透明性等の各種特性に優れた結晶性樹脂フィルムまたはシートを製造するのに好適な、過冷却状態の結晶性樹脂融液を大量に、かつ、より安定的に連続的して製造することができる製造方法を提供することができる。
即ち、本発明に係る過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置および製造方法によれば、結晶性樹脂の冷却状態が安定するので、温度が均一な過冷却状態の結晶性樹脂融液を、例えば成形機により安定的に連続的して供給することができる。従って、本発明に係る製造装置および製造方法によれば、機械的特性や耐熱性、透明性等の各種特性に優れた結晶性樹脂フィルムまたはシートを製造するのに好適な、過冷却状態の結晶性樹脂融液を大量に、かつ、より安定的に連続的して製造することができる製造装置および製造方法を提供することができるという効果を奏する。
本発明に係る過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置の一例を説明するものであり、当該製造装置の概略の構成を示す正面図である。 (a)は、上記製造装置が備える冷却装置における冷却器の一例を示す概略の断面図であり、(b)は、上記冷却器の(a)におけるA−A線矢視断面図である。 (a)は、上記製造装置が備える冷却装置における冷却器の他の一例を示す概略の断面図であり、(b)は、上記冷却器の(a)におけるB−B線矢視断面図である。 (a)は、上記製造装置が備える冷却装置における冷却器のさらに他の一例を示す概略の断面図であり、(b)は、上記冷却器の(a)におけるC−C線矢視断面図である。 (a)は、上記製造装置が備える冷却装置のさらに他の一例を示す概略の断面図であり、(b)は、上記冷却装置における冷却器の(a)におけるD−D線矢視断面図の一例であり、(c)は、上記冷却装置における冷却器の(a)におけるD−D線矢視断面図の他の一例である。
本発明に係る過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置は、結晶性樹脂フィルムまたはシートを製造するために、過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置であって、溶融状態の結晶性樹脂を押し出す押出機と、押出機から押し出された結晶性樹脂を結晶化温度以上、融点未満の過冷却状態にする冷却装置と、過冷却状態の結晶性樹脂融液を成形機に吐出する吐出部とを備え、上記冷却装置は、吐出部から吐出される結晶性樹脂の温度が、結晶性樹脂の融点よりも2℃〜25℃低く、かつ、吐出方向に対して垂直な断面における温度分布が最大4℃の範囲内に納まるように、当該結晶性樹脂を冷却するようになっている構成である。
また、本発明に係る過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造方法は、結晶性樹脂フィルムまたはシートを製造するために、過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造方法であって、吐出部から吐出される結晶性樹脂の温度が、結晶性樹脂の融点よりも2℃〜25℃低く、かつ、吐出方向に対して垂直な断面における温度分布が最大4℃の範囲内に納まるように、当該結晶性樹脂を過冷却状態にする方法である。
本発明において「溶融状態」とは、結晶性樹脂をその融点(以下、「Tm」と称する)以上(好ましくはTm+10℃以上)に加熱したときの当該結晶性樹脂の状態(流動状態)を指す。
本発明において「過冷却状態」とは、結晶性樹脂をそのTm以上(好ましくはTm+10℃以上)に加熱した後、結晶化温度(以下、「Tmc」と称する)以上、Tm未満に冷却したときの当該結晶性樹脂の状態(流動状態)を指す。結晶性樹脂は、溶融状態からTm未満に冷却しても短時間では固化せず、過冷却の液相状態を暫く維持することができる。尚、Tmに対してTmcは充分に低く、従ってTm−30℃は、Tmcよりも高温である。
本発明において「温度分布」とは、溶融状態の結晶性樹脂の、吐出方向に対して垂直な断面における周辺部分(冷却装置における溶融樹脂の流路を構成する流路管に接触している部分)の温度と、上記垂直な断面における中心部分の温度との差を指す。
本発明において「フィルムまたはシート」とは、厚さが10μm以上、3.5mm以下、より好ましくは20μm以上、3.2mm以下のフィルムまたはシートを指す。より具体的には、本発明において「フィルム」とは、厚さが10μm以上、0.3mm未満、より好ましくは20μm以上、0.3mm未満のフィルムを指し、本発明において「シート」とは、厚さが0.3mm以上、3.5mm以下のシートを指す。尚、フィルムまたはシートの幅や長さは特に限定されるものではないが、幅は0.3m以上、2.0m以下が好適である。
〔結晶性樹脂〕
機械的特性や耐熱性、透明性等の各種特性に優れたフィルムまたはシートを製造するのに好適な結晶性樹脂、即ち、本発明に係る製造装置および製造方法を適用するのに好適な結晶性樹脂は、ナノ配向結晶体(NOC:Nano Oriented Crystal) とも称される、伸長成形によって結晶化度を5%以上にすることができる熱可塑性樹脂であり、より好ましくは、比較的比重が小さく安価で成形が容易な、いわゆる汎用プラスチックである。
上記結晶性樹脂としては、具体的には、例えば、ポリオレフィン(またはポリアルキレン)、ポリアミド、ポリエステル、ポリエーテル、液晶ポリマー、フッ素樹脂、ビニル樹脂、ポリフェニレンスルフィド、ポリ乳酸、ポリアセタール、ポリエーテルニトリル等が挙げられる。ポリオレフィンとしては、具体的には、例えば、ポリエチレン、アイソタクチックポリプロピレン、シンジオタクチックポリプロピレン、ポリ(1−ブテン)、ポリ(4−メチルペンテン)、結晶性エチレン・プロピレン共重合体等が挙げられる。ポリアミドとしては、具体的には、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12;全芳香族ポリアミド等が挙げられる。ポリエステルとしては、具体的には、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の脂肪族芳香族ポリエステル;全芳香族ポリエステル;ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族ポリエステルが挙げられる。ポリエーテルとしては、具体的には、例えば、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。液晶ポリマーとしては、具体的には、例えば、液晶ポリエステル等が挙げられる。フッ素樹脂としては、具体的には、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオロライド等が挙げられる。ビニル樹脂としては、具体的には、例えば、シンジオタクチックポリスチレン、アイソタクチックポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル等が挙げられる。但し、結晶性樹脂は、これら例示の樹脂に限定されるものではなく、本発明における過冷却状態を採ることができる熱可塑性樹脂であればよい。尚、アイソタクチックポリプロピレンを使用する場合には、剛性がより高い方が望ましく、具体的には、アイソタクチック分率が95%以上であることが好ましく、97%以上であることがより好ましい。
結晶性樹脂は単一組成であってもよく、共重合体や混合体であってもよく、本発明における製造方法を損なわない範囲において非晶質(アモルファス)の樹脂(高分子化合物)と組み合わせて使用してもよい。また、単一組成の場合に、分子量分布は特に限定されるものではない。
尚、本発明に係る製造装置および製造方法においては、均一核生成が起こるために、核剤を含まなくても機械的特性や耐熱性、透明性等の各種特性に優れた結晶性樹脂フィルムまたはシートを製造することができる。従って、結晶性樹脂は、不純物であり著しく高価な核剤を含む必要が無い。ここで、「核剤」とは、結晶形成の核となる物質のことを意味し、結晶化度の増加を目的として添加される物質を指す。
〔過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置〕
過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置、並びに、結晶性樹脂フィルムまたはシートを製造する成形機について、以下に説明する。
本発明の実施の一形態について、図1および図2に基づいて説明すれば、以下の通りである。但し、本発明はこれに限定されるものではなく、記述した範囲内で種々の変形を加えた態様で実施できるものである。
本発明に係る過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置(以下、「過冷却樹脂融液製造装置」と称する)の構成の一例について、以下に説明する。図1に示すように、本発明に係る過冷却樹脂融液製造装置1は、結晶性樹脂フィルムまたはシートを製造するために、過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置であって、溶融状態の結晶性樹脂(以下、「溶融樹脂」と称する)を押し出す押出機10と、押出機10よりも下流側に設けられ、押出機10から押し出された結晶性樹脂をTmc以上、Tm未満の過冷却状態にする冷却器(冷却装置)40と、冷却器40よりも下流側に設けられ、過冷却状態の結晶性樹脂融液を成形機2に吐出するスリットダイ(吐出部)30とを備えている。また、過冷却樹脂融液製造装置1は、必要に応じて、押出機10と冷却器40との間に、溶融樹脂を昇圧しながら冷却器40に定量供給するギアポンプ(昇圧器)20、および、溶融樹脂を濾過する濾過装置であるスクリーンチェンジャー25をさらに備えている。スクリーンチェンジャー25は、目の大きさが互いに異なる複数のスクリーンを有しており、適宜切り替え可能になっている。
また、過冷却樹脂融液製造装置1は、冷却器40とスリットダイ30との間に、スリットダイ30から吐出される溶融樹脂の温度を調節する温度調節装置35をさらに備えている。温度調節装置35は冷却器40と共に冷却装置を構成している。そして、温度調節装置35は、その内部に、溶融樹脂を冷却する図示しない冷却管を備えている。従って、過冷却樹脂融液製造装置1は、溶融樹脂を冷却器40で過冷却状態にして、温度調節装置35で温度を調節した後、スリットダイ30から当該溶融樹脂を吐出するようになっている。尚、図2〜4においては、温度調節装置35の記載を省略している。
押出機10は、結晶性樹脂を溶融攪拌して溶融樹脂とし、冷却器40等を介して当該溶融樹脂を成形機2に連続的に供給するようになっている。この押出機10は、水平に配置されたシリンダー11と、シリンダー11内に設けられたスクリュー12と、スクリュー12を駆動するモータ13と、シリンダー11の上流側に結晶性樹脂を連続的に供給するための原料投入口であるホッパ14とを備えると共に、溶融樹脂を得るためにシリンダー11およびスクリュー12を加熱する図示しない加熱装置を備えている。
押出機10は、上記シリンダー11およびスクリュー12で結晶性樹脂を加熱、混練しながら溶融攪拌して溶融樹脂とする。シリンダー11は、複数のブロックに分割されていてもよい。シリンダー11を複数のブロックに分割することにより、ブロック毎に温度調節を行うことが可能である。
スクリュー12は、1本であってもよく、2本であってもよい。つまり、押出機10は、一軸(単軸)押出機であってもよく、二軸押出機であってもよい。スクリュー12が1本である場合には、当該スクリューとして例えばフルフライト型スクリューや、ダルメージ型スクリュー等を用いることができる。
モータ13は、例えば、スリットダイ30から吐出される溶融樹脂の圧力を圧力計測器により測定し、測定した圧力が所定の圧力に維持されるように、その回転数が制御されるようになっている。
ギアポンプ20は、図示しない加熱装置を備えたハウジング21内に収容されており、押出機10から押し出された溶融樹脂を昇圧しながら冷却器40に定量供給するようになっている。このギアポンプ20は、外接型であってもよく、内接型であってもよい。また、ギアポンプ20が外接型である場合には、当該ギアポンプのギアの数は2個であってもよく、3個以上であってもよい。ギアポンプ20の回転数は、溶融樹脂の単位時間当たりの供給等に応じて適宜、設定すればよく、特に限定されるものではない。
冷却器40および温度調節装置35は、押出機10から押し出された溶融樹脂を、Tmc以上、Tm未満の過冷却状態であって、スリットダイ30から吐出される結晶性樹脂の温度が、結晶性樹脂のTmよりも2℃〜25℃低く、より好ましくは結晶性樹脂のTmよりも7℃〜22℃低く、さらに好ましくは結晶性樹脂のTmよりも7℃〜10℃低く、かつ、吐出方向に対して垂直な断面(以下、「射出断面」と称する)における温度分布が最大4℃の範囲内に納まるように、より好ましくは温度分布が最大2℃の範囲内に納まるように、当該結晶性樹脂を冷却して成形機2に連続的に供給するようになっている。溶融樹脂の温度がTmc未満であると、結晶性樹脂フィルムまたはシートの製造(成形)が困難となる。また、溶融樹脂の温度がTmを超えると、結晶性樹脂の分子鎖を配向させることが困難となる。
冷却器40は、図2(a)に示すように、押出機10から押し出された溶融樹脂の流路を構成する流路管41と、流路管41を被覆するように形成されて溶融樹脂を冷却する冷却管42と、冷却管42を被覆するように形成されて冷却管42を保温するジャケット43とを備えている。尚、図2(b)に示すように、流路管41と冷却管42とは同心円状に形成されている方が好ましいものの、冷却効率が低下しないのであれば、同心円状に形成されていなくてもよい。
流路管41は、内部を流動する溶融樹脂を均一に冷却することができるように、断面が例えば楕円状等の扁平形状になっている。流路管41の直径(長径および短径)や長さは、溶融樹脂の温度や種類、単位時間当たりの流量(押出機10の能力)等に応じて適宜、設定すればよく、特に限定されるものではない。流路管41の厚さは、耐久性を考慮しつつ、冷却効率を高めることができるように、より薄くすることが望ましい。また、流路管41の材質は、熱伝導率、溶融樹脂の温度や種類等に応じて適宜、設定すればよく、特に限定されるものではない。さらに、流路管41は、直管であってもよく、冷却器40全体の長さがより短くなるように、スパイラル管(螺旋状の流路を有する管)であってもよく、接触面積を増やして冷却効率を高めることができるように、複数に分岐していてもよい。また、冷却効率(熱交換効率)をより高めるために、流路管41外部にフィンを設けてもよい。
流路管41内の溶融樹脂の流動速度は、流路管41内での溶融樹脂の結晶化を避けるために、例えば、溶融樹脂がポリプロピレンであって、その温度が150℃である場合には、流路管41内における剪断歪速度を例えば、0を超え、5sec−1以下にする必要がある。剪断歪速度が5sec−1を超えると、過冷却状態で結晶化し易くなり、成形し難くなる。従って、流路管41内の溶融樹脂の流動速度は、溶融樹脂の温度や種類等に応じて適宜、設定すればよい。
さらに、流路管41は、その内部に、流動する溶融樹脂を均一に冷却することができるように、溶融樹脂を混合するスタティックミキサー(静止型混合器;図示しない)を備えていてもよい。当該スタティックミキサーは、溶融樹脂を分割,転換,反転の作用により混合するようになっており、市販されている(例えば、株式会社ノリタケカンパニーリミテド)。
冷却管42には、冷媒を供給するための供給管45と、冷媒を排出するための排出管46とが配設されている。そして、冷媒は、溶融樹脂の流動方向とは逆方向に(向流となるように)流動するように、冷却管42に供給されるようになっている。冷却管42は、直管であってもよく、冷却効率を高めることができるように、その内部に螺旋状の仕切り板が設けられた構造であってもよい。つまり、冷却管42は、直管であってもよく、冷却器40全体の長さがより短くなるように、スパイラル管(螺旋状の流路を有する管)であってもよい。また、冷却効率(熱交換効率)をより高めるために、流路管41外部にフィンを設けてもよい。尚、冷却管42の材質は、熱伝導率、冷媒の温度や種類等に応じて適宜、設定すればよく、特に限定されるものではない。
上記供給管45および排出管46は図示しない冷却機構に接続されており、冷媒は、冷却機構で冷却された後、供給管45を介して冷却管42に供給されると共に、排出管46を介して冷却機構に返却されるようになっている。つまり、冷媒は、冷却管42と冷却機構との間で循環されるようになっている。
冷媒としては、具体的には、例えば、液体窒素を気化させた窒素ガス、液体窒素を気化させた窒素ガスを含む空気、或いは、溶融樹脂をTmc以上、Tm未満の過冷却状態にすることができるように、沸点が例えば「Tm+10℃以上」であり、融点が例えば「Tmc−30℃以上」である有機または無機の油、等が挙げられる。冷却管42に供給する冷媒の単位時間当たりの供給量は、冷却効率(熱交換効率)がより高めることができるように、冷却管42内を冷媒が乱流状態で流動するように設定することが望ましいものの、冷媒の種類や溶融樹脂の種類、溶融樹脂の単位時間当たりの流量等に応じて適宜、設定すればよく、特に限定されるものではない。また、冷却管42に供給する冷媒の温度は、冷媒の種類や溶融樹脂の種類、溶融樹脂の単位時間当たりの流量等に応じて適宜、設定すればよく、特に限定されるものではない。当該供給量や温度は、例えば過冷却樹脂融液製造装置1を試運転することにより、容易に調節することができる。冷媒は、供給管45および排出管46を介して冷却管42内を循環することができるようになっていることが好ましい。
ジャケット43の材質は、保温効果に優れるものであればよく、特に限定されるものではない。
スリットダイ30は、スリット状の幅広の開口部を有するダイ(口金)であり、溶融樹脂を成形機2に連続的に吐出するようになっている。スリットダイ30としては、例えば、Tダイが好適である。本実施の形態に係るスリットダイ30は、例えば開口部を下方に向けて配置されている。上記開口部は、そのスリットの方向が、流路管41の長径方向と一致している方が好ましい。開口部のリップ開度(スリットの幅)は、例えば、0.3〜3.0mmである。但し、いわゆる超臨界伸長歪速度で結晶性樹脂を伸長成形することができるように、スリットダイ30から吐出される溶融樹脂の厚さは、成形機2が備える挟持ロール50a,50b(図1)の間隔に対して、1.3〜8.0倍、より好ましくは1.3〜5.0倍、さらに好ましくは1.4〜3.5倍になるように調整することが望ましい。溶融樹脂の厚さが上記間隔に対して1.3倍未満であると、圧延時に大きな歪みが生じないので、結晶性樹脂の分子鎖を充分に配向させることができないおそれがある。溶融樹脂の厚さが上記間隔に対して8.0倍を超えると、全ての当該溶融樹脂を挟持ロール50a,50b間に通過させることが困難になるおそれがある。
尚、スリットダイ30の開口部は、成形機2との位置関係に応じて、下向きに配置されていてもよく、斜め下向きに配置されていてもよく、横下向きに配置されていてもよい。
上記構成により、過冷却樹脂融液製造装置1の冷却器40は、流路管41が、内部を流動する溶融樹脂を均一に冷却することができるように断面が扁平形状になっていることにより、押出機10から押し出された結晶性樹脂を、スリットダイ30から吐出される当該結晶性樹脂の温度が、結晶性樹脂の融点よりも2℃〜25℃低く、より好ましくは結晶性樹脂の融点よりも7℃〜22℃低く、さらに好ましくは結晶性樹脂の融点よりも7℃〜10℃低く、かつ、射出断面における温度分布が最大4℃の範囲内に納まるように、より好ましくは温度分布が最大2℃の範囲内に納まるように、Tmc以上、Tm未満の過冷却状態にすることができる。具体的には、例えば、溶融樹脂がポリプロピレン(融点185℃)である場合には、射出断面におけるポリプロピレンの温度分布を、163℃〜167℃でかつ±1〜±2℃以内に納めることができる。
また、上記構成により、過冷却樹脂融液製造装置1の冷却器40および温度調節装置35は、溶融状態の結晶性樹脂を、より安定的に連続的してTmc以上、Tm未満の均一な過冷却状態にすることができるので、溶融状態の結晶性樹脂の、吐出方向での温度を均一にすることができる。
これにより、冷却器40および温度調節装置35による結晶性樹脂の冷却状態が安定するので、温度が均一な過冷却状態の結晶性樹脂融液を成形機2に、より安定的に連続的して供給することができる。即ち、機械的特性や耐熱性、透明性等の各種特性に優れた結晶性樹脂フィルムまたはシートを製造するのに好適な、過冷却状態の結晶性樹脂融液を大量に、かつ、より安定的に連続的して製造することができる。
〔冷却器の他の例〕
冷却器の他の例について、図3〜図5に基づいて説明すれば、以下の通りである。尚、以下の説明においては、図1および図2を用いた上記説明における部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付記して、その説明を省略する。
図3(a),(b)に示すように、本発明に係る過冷却樹脂融液製造装置1は、前記冷却器40の代わりに、冷却器60を備えていてもよい。冷却器60は、前記冷却器40における冷却管42に代えて、溶融樹脂の流動方向に沿って複数のブロックに分割された冷却管62を備えている。つまり、冷却器60は、例えば3つのブロックに分割された冷却管62a,62b,62cを備えている。尚、上記ブロックの個数は、3つに限定されるものではなく、冷却器60の大きさや冷媒の種類、溶融樹脂の種類、溶融樹脂の単位時間当たりの流量等に応じて適宜、設定すればよい。
冷却管62a,62b,62cには、冷却効率を考慮して、互いに異なる温度の冷媒が供給されるようになっている。即ち、冷却器60における最も上流側に位置する冷却管62aには、3つのブロックのうちで最も高い温度の冷媒が供給管45から供給されるようになっており、最も下流側に位置する冷却管62cには、3つのブロックのうちで最も低い温度の冷媒が供給管45から供給されるようになっており、中央に位置する冷却管62bには、上記両冷媒に対して中間の温度の冷媒が供給管45から供給されるようになっている。
このように、冷却管を複数のブロックに分割することにより、ブロック毎にそれぞれ異なる温度の冷媒を供給することができるので、溶融状態の結晶性樹脂を段階的に冷却することができる。つまり、過冷却状態の溶融樹脂の温度調節をより一層容易に行うことができる。それゆえ、冷却器60および温度調節装置35からなる冷却装置による結晶性樹脂の冷却状態がより安定するので、吐出方向に対して垂直な断面における温度分布がより一層均一で、吐出方向での温度もより一層均一な過冷却状態の結晶性樹脂融液を成形機2に、より安定的に連続的して供給することができる。
また、図4(a)に示すように、本発明に係る過冷却樹脂融液製造装置1は、前記冷却器40の代わりに、冷却器70を備えていてもよい。冷却器70は、前記冷却器40における冷却管42に代えて、溶融樹脂の流動方向に沿って内部が対流抑制板73a・73bによって分割された冷却室72a,72b,72cからなる冷却管72を備えている。つまり、冷却器70における冷却管72は、例えば対流抑制板73a・73bによって3つに分割された冷却室72a,72b,72cを備えている。そして、冷媒は、冷却管72における最も下流側に位置する冷却室72cに設けられた供給管45から供給され、最も上流側に位置する冷却室72aに設けられた排出管46から排出されるようになっている。
上記対流抑制板73a・73bは、冷却効率をより高めることを目的として、冷却管72の内部を溶融樹脂の流動方向に沿って複数段(図4(a)の場合は3段)に分割するための部材である。つまり、対流抑制板73a・73bは、冷媒の流通が可能でかつ対流による冷媒の移動を抑制することができる部材である。具体的には、対流抑制板73a・73bは、冷媒の流通が可能なように複数の開口部(孔)73c…,73d…を有しているものの、開口部73c…,73d…の大きさ(径)を調節することにより、冷却管72内の対流による冷媒の移動を抑制するようになっている。
尚、上記冷却室の個数は、3つに限定されるものではなく、冷却器70の大きさや冷媒の種類、溶融樹脂の種類、溶融樹脂の単位時間当たりの流量等に応じて適宜、設定すればよい。また、図4(b)における冷却管72の形状は、断面が矩形になっているが、特に限定されるものではなく、前記冷却器40の構成と同様に、流路管41と同心円状に形成されていてもよい。
冷却管72は、冷却室72a,72b,72cのそれぞれに、冷媒を少なくとも結晶性樹脂のTmc−30℃に冷却することができる例えば冷却水が循環される冷却器具76と、冷却室72a,72b,72c内の冷媒を攪拌する攪拌機77とを備えている。そして、本発明に係る過冷却樹脂融液製造装置1においては、例えば、当該過冷却樹脂融液製造装置1の運転を停止した後、運転を再開するときには、冷却器70内部で固化している結晶性樹脂を加熱、溶融して溶融樹脂とする必要がある。このため、固化している結晶性樹脂を加熱、溶融することができるように、冷却管72は、冷却室72a,72b,72cのそれぞれに、冷媒を少なくとも結晶性樹脂のTm以上(好ましくはTm+10℃以上)に加熱することができる例えばヒータ等の加熱器具75をさらに備えている。従って、冷却器70における冷却管72は、加熱器具75および冷却器具76を備えることにより、冷却室72a,72b,72c内の冷媒の温度を、例えば、Tmc−30℃〜Tm+10℃の範囲内で任意に調節することができるようになっている。つまり、冷却室72a,72b,72cをいわゆる恒温槽として制御することができるので、例えば、冷却管72における最も下流側に位置する冷却室72c内の冷媒の温度を最も低く設定し、最も上流側に位置する冷却室72a内の冷媒の温度を最も高く設定し、中央に位置する冷却室72b内の冷媒を上記両冷媒に対して中間の温度に設定することが可能である。具体的には、冷却室72a,72b,72c内の冷媒の温度を、隣り合う冷却室間で例えば10℃の温度差が生じるように設定することが可能である。
尚、本発明における「冷媒」とは、冷却器の冷却管が加熱器具と冷却器具とを備えている場合においては、加熱媒体と冷却媒体とを兼ねる「熱媒体」を意味することとする。従って、「冷媒」が「熱媒体」として機能する場合には、当該「冷媒」は、結晶性樹脂のTm以上(好ましくはTm+10℃以上)に加熱することが可能な、沸点が例えばTm+10℃以上であり、融点が例えばTmc−30℃以上である有機または無機の油が好ましい。
このように、冷却管を、加熱器具および冷却器具を備える複数の冷却室に分割することにより、冷却室毎に冷媒をそれぞれ異なる温度に調節することができるので、溶融状態の結晶性樹脂を段階的に冷却することができる。つまり、過冷却状態の溶融樹脂の温度調節をより一層容易に行うことができる。それゆえ、冷却器70および温度調節装置35からなる冷却装置による結晶性樹脂の冷却状態がより安定するので、吐出方向に対して垂直な断面における温度分布がより一層均一で、吐出方向での温度もより一層均一な過冷却状態の結晶性樹脂融液を成形機2に、より安定的に連続的して供給することができる。また、冷却装置内部で一旦固化した結晶性樹脂を加熱、溶融して再度、溶融樹脂とすることができる。
さらに、図5(a)に示すように、本発明に係る過冷却樹脂融液製造装置1は、前記冷却器40の代わりに、冷却器80を備えていてもよい。冷却器80は、前記冷却器40における冷却管42に代えて、溶融樹脂の流動方向に沿って複数のブロックに分割された冷却管82と、流路管41の内部に設けられた中子83内に配設された内部冷却管84とを備えている。つまり、冷却器80は、流路管41内を流動する溶融樹脂を、流路管41の外部からだけでなく、内部からも冷却することができるようになっている。尚、図5(a)においては、ジャケット43の記載を省略している。
上記冷却器80の冷却管82は外部冷却管であり、例えば3つのブロックに分割された冷却管82a,82b,82cからなっている。尚、上記ブロックの個数は、3つに限定されるものではなく、冷却器80の大きさや冷媒の種類、溶融樹脂の種類、溶融樹脂の単位時間当たりの流量等に応じて適宜、設定すればよい。
冷却管82a,82b,82cには、冷却効率を考慮して、互いに異なる温度の冷媒が供給されるようになっている。即ち、冷却器80における最も上流側に位置する冷却管82aには、3つのブロックのうちで最も高い温度の冷媒が供給管45から供給されるようになっており、最も下流側に位置する冷却管82cには、3つのブロックのうちで最も低い温度の冷媒が供給管45から供給されるようになっており、これら冷却管82a,82cの間に位置する冷却管82bには、上記両冷媒に対して中間の温度の冷媒が供給管45から供給されるようになっている。具体的には、冷却管82a,82b,82cに供給される冷媒の温度は、隣り合う冷却管間で例えば10℃の温度差が生じるように設定すればよい。
そして、上記冷却器80の内部冷却管84は、冷媒を排出する冷媒排出管87と、中子83の中心部に配設され、冷媒排出管87に連結された冷媒収集管85と、当該冷媒収集管85に連結され、冷媒収集管85よりも中子83の外周側に配設された複数の流通管86…と、当該流通管86…に連結され、冷媒を供給する冷媒供給管88とで構成されている。つまり、複数の流通管86…は、冷媒収集管85を中心にして、当該冷媒収集管85を取り巻くように配置されている。冷媒は、複数に分岐した流通管86…内を上流側から下流側に向かって(溶融樹脂の流動方向に沿って)流動し、中子83内の下方で合流した後、冷媒収集管85内を下流側から上流側に向かって流動し、冷媒排出管87内を流動して排出(好ましくは循環)される。尚、上記流通管86の本数やその配置は、図5(b)に記載の4本やその配置に限定されるものではなく、冷却器80の大きさや冷媒の種類、溶融樹脂の種類、溶融樹脂の単位時間当たりの流量、流通管86自体の直径等に応じて適宜、設定すればよい。
上記冷媒供給管88および冷媒排出管87は、供給管45および排出管46と共に図示しない冷却機構に接続されており、冷媒は、冷却機構で冷却された後、冷媒供給管88および供給管45を介して内部冷却管84および冷却管82に供給されると共に、冷媒排出管87および排出管46を介して冷却機構に返却されるようになっている。つまり、冷媒は、内部冷却管84および冷却管82と冷却機構との間で循環されるようになっている。
中子83は、内部冷却管84内を流動する冷媒および溶融樹脂間での熱交換を、溶融樹脂の射出断面において均一に行わせるための部材である。中子83の材質は、例えば流路管41の材質と同一にすればよいが、熱伝導率、溶融樹脂の温度や種類等に応じて適宜、設定すればよく、特に限定されるものではない。但し、中子83は必要に応じて省略することもできる。つまり、流通管86…が直接、溶融樹脂と接触する構成であってもよい。
尚、流路管41は、図5(a),(b)に示すように、直管(中膨れの管)であってもよく、図5(c)に示すように、冷却器80全体の長さがより短くなるように、スパイラル管(螺旋状の流路を有する中膨れの管)であってもよい。
このように、外部冷却管を複数のブロックに分割することにより、ブロック毎にそれぞれ異なる温度の冷媒を供給することができるので、溶融状態の結晶性樹脂を段階的に冷却することができる。つまり、過冷却状態の溶融樹脂の温度調節をより一層容易に行うことができる。また、内部冷却管を設けることにより、溶融樹脂をその外部からだけでなく、内部からも冷却することができるので、スリットダイ30から吐出される溶融樹脂の温度が、結晶性樹脂の融点よりも2℃〜25℃低く、かつ、射出断面における温度分布が最大4℃の範囲内に納まるように、当該溶融樹脂をTmc以上、Tm未満の過冷却状態にすることがより一層容易になる。それゆえ、冷却器80および温度調節装置35からなる冷却装置による結晶性樹脂の冷却状態がより安定するので、吐出方向に対して垂直な断面における温度分布がより一層均一で、吐出方向での温度もより一層均一な過冷却状態の結晶性樹脂融液を成形機2に、より安定的に連続的して供給することができる。
〔成形機〕
次に、結晶性樹脂フィルムまたはシートを製造する成形機2について、以下に説明する。図1に示すように、過冷却樹脂融液製造装置1におけるスリットダイ30の下方には、成形機2が設けられている。成形機2は、スリットダイ30から吐出された過冷却状態の溶融樹脂をいわゆる超臨界伸長歪速度で伸長成形(圧延(延伸))してフィルム状またはシート状にすることにより、結晶性樹脂フィルムまたはシートを製造するための製造装置である。
成形機2は、過冷却状態の溶融樹脂を挟んでフィルム状またはシート状の結晶性樹脂に圧延する温度調節ローラである一対の挟持ロール50a,50bと、挟持ロール50a,50bから移送された結晶性樹脂フィルムまたはシートの移送方向を冷却しながら巻取機52の方向に屈曲させる冷却ローラである一対のガイドロール51a,51bと、ガイドロール51a,51bから移送された結晶性樹脂フィルムまたはシートを巻き取る巻取機52とを備えている。尚、成形機2は、過冷却状態の溶融樹脂を一軸延伸する構成であってもよく、必要に応じて、二軸延伸する構成であってもよい。
挟持ロール50a,50bは、回転自在に保持されており、一方または両方が駆動されるようになっている。挟持ロール50a,50bの間隔は、所望する結晶性樹脂フィルムまたはシートの厚さに応じて設定すればよく、特に限定されるものではない。そして、挟持ロール50a,50bの回転数は、上記ギアポンプ20の回転数に応じて制御されるようになっている。つまり、当該回転数は、スリットダイ30から吐出される溶融樹脂の単位時間当たりの供給量に応じて制御されるようになっており、具体的には、例えば、結晶性樹脂フィルムまたはシートをいわゆる超臨界伸長歪速度(例えば、400m/分)で伸長成形することによって製造することができるように制御されている。挟持ロール50a,50bの材質は、溶融樹脂を確実に圧延することができるように、金属からなることが好ましいものの、溶融樹脂の温度や種類等に応じて適宜、設定すればよく、特に限定されるものではない。また、挟持ロール50a,50bの周面は、シリコーンやフッ素樹脂等の離型剤を塗布または噴霧等されることにより、離型処理されていることが好ましい。これにより、挟持ロール50a,50bを、いわゆる超臨界伸長歪速度で結晶性樹脂を伸長成形するために高速回転させても、結晶性樹脂フィルムまたはシートを挟持ロール50a,50bから容易に剥離させることができる。尚、挟持ロール50a,50bは、当該挟持ロール50a,50bを高速回転させた場合においてもその間隔が変動しないように、つまり、回転軸がぶれないように、例えば、衝撃を吸収するエアシリンダ等を用いて固定されていることが好ましい。
挟持ロール50a,50bのうちの一方(図1では挟持ロール50a)は、圧延後の結晶性樹脂フィルムまたはシートを約1/3周掛け回した後、ガイドロール51aに結晶性樹脂フィルムまたはシートを移送するようになっている。
溶融樹脂を挟持ロール50a,50bに挟んで圧延することによって、即ち、過冷却状態の結晶性樹脂融液をいわゆる超臨界伸長歪速度で伸長成形することによって、得られる結晶性樹脂の分子鎖に大きな歪みを与えることができる。これにより、分子鎖を高い配向性で配向させることができるので、得られる結晶性樹脂フィルムまたはシートは結晶化度が高くなる。結晶性が向上された(結晶化度が高められた)結晶性樹脂フィルムまたはシートは、機械的特性、耐熱性、透明性に優れる。
得られる結晶性樹脂フィルムまたはシートの厚さは、上記過冷却樹脂融液製造装置1が備えるスリットダイ30の開口部のリップ開度、ギアポンプ20による溶融樹脂の供給量、上記挟持ロール50a,50bの間隔等を適宜調整することにより、任意に設定することができる。
また、成形機2は、挟持ロール50aの周面と圧延後の結晶性樹脂フィルムまたはシートとの間に配置された図示しない巻き付き防止手段をさらに備えていてもよい。巻き付き防止手段は、挟持ロール50aと圧延後の結晶性樹脂フィルムまたはシートとの間に空気等の気体を噴射して、挟持ロール50aからの結晶性樹脂フィルムまたはシートの剥離を補助するようになっている。気体の噴射量は、例えば、50〜200m/分とすればよいが、目的を達成することができる量であればよく、特に限定されるものではない。これにより、高速回転する挟持ロール50aへの結晶性樹脂フィルムまたはシートの巻き付きを防止することができる。
ガイドロール51a,51bは、回転自在に保持されている従動ロールであり、水等の冷媒によって冷却することができる構成となっており、結晶性樹脂フィルムまたはシートを数十℃(結晶性樹脂フィルムまたはシートが熱で変形しない温度)にまで冷却するようになっている。ガイドロール51a,51bの材質は、結晶性樹脂フィルムまたはシートに疵を付けない材質であればよく、特に限定されるものではない。
巻取機52は、製造された長尺の結晶性樹脂フィルムまたはシートを、疵を付けることなく巻き取るようになっている。
尚、成形機2は、結晶性樹脂フィルムまたはシートの厚さを測定する測定装置をさらに備えていてもよい。当該測定装置を用いた厚さの測定方法としては、例えば、結晶性樹脂フィルムまたはシートにレーザー光を照射して、透過した光をCMOSカメラで撮像し、得られた画像から測定する方法、長焦点顕微鏡(例えば、インフニティ社製K2等)を用いて測定する方法、CCDレーザー変位計(例えば、「キーエンス社製LK−Gシリーズ」等)を用いて測定する方法、等が挙げられる。
上記構成により、成形機2は、挟持ロール50a,50bの回転数等を制御することによって、機械的特性や耐熱性、透明性等の各種特性に優れた結晶性樹脂フィルムまたはシートを大量に、かつ、より安定的に連続的して製造することができる。
〔過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造方法〕
過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造方法、並びに、結晶性樹脂フィルムまたはシートの製造方法について、以下に説明する。本発明の実施の一形態に係る製造方法では、下記工程を順に実施することにより、過冷却状態の結晶性樹脂融液を連続的に製造すると共に、結晶性樹脂フィルムまたはシートを連続的に製造する。
尚、以下の説明においては、説明の便宜上、上記過冷却樹脂融液製造装置1を用いた製造方法について説明することとする。但し、本発明に係る製造方法は、過冷却樹脂融液製造装置1を用いた製造方法に限定されるものではない。
[工程1] 押出機10のシリンダー11を加熱した後、モータ13を駆動させてスクリュー12を回転させると共に、ホッパ14から結晶性樹脂のペレットを供給する。そして、シリンダー11内に供給された結晶性樹脂を溶融しながら、スクリュー12によって溶融樹脂をギアポンプ20に向けて押し出す。次に、押出機10から押し出された溶融樹脂をギアポンプ20によって昇圧しながら冷却器40に定量供給する。
[工程2] 溶融樹脂を、冷却器40および温度調節装置35によってTmc以上、Tm未満の過冷却状態であって、スリットダイ30から吐出される結晶性樹脂の温度が、結晶性樹脂の融点よりも2℃〜25℃低く、かつ、射出断面における温度分布が最大4℃の範囲内に納まるように、冷却する。そして、当該結晶性樹脂をスリットダイ30から吐出して成形機2に連続的に供給する。
より具体的には、例えば、冷却器80および温度調節装置35を用いた場合には、冷却器80が内部冷却管84を備えているので、溶融樹脂を、その外側からだけでなく、内側からも冷却することができる。また、温度調節装置35によって溶融樹脂の射出断面における温度分布をより均一にすることができる。従って、溶融樹脂をより均一に冷却することができるので、当該溶融樹脂の温度を、結晶性樹脂の融点よりも2℃〜25℃低く、かつ、射出断面における温度分布が最大4℃の範囲内に納まるように、冷却することができる。
[工程3] 過冷却状態の溶融樹脂を成形機2の挟持ロール50a,50bで圧延することにより、フィルム状またはシート状の結晶性樹脂を連続的に製造し、ガイドロール51a,51bを介して巻取機52に巻き取る。
これにより、機械的特性や耐熱性、透明性等の各種特性に優れた結晶性樹脂フィルムまたはシートを製造するのに好適な、過冷却状態の結晶性樹脂融液を大量に、かつ、より安定的に連続的して製造することができると共に、上記結晶性樹脂フィルムまたはシートを大量に、かつ、より安定的に連続的して製造することができる。
本発明に係る製造装置および製造方法によって製造される結晶性樹脂フィルムまたはシートは、各種用途に好適に利用することができる。具体的には、例えば、自動車、航空機、ロケット、電車、船舶、オートバイ、および自転車等の各種乗り物の内装・外装材、または、工作機械用の部品や機械部材;高剛性・軽量を活かしたスピーカーやマイク用振動板;PCの代替材料として、高透明性を活かしたCDやDVD;高透明性を活かした液晶やプラズマディスプレイ用マスク等;高透明性を活かしたディスポーザブル注射器、点滴用器具、薬品容器等の医療用品または機器;ガラスの代替材料として、高透明性を活かした各種瓶、グラス、家庭用小型水槽、業務用大型水槽;高透明性を活かしたコンタクトレンズ、めがね用レンズ、各種光学レンズ;高透明性を活かしたビル用・住宅用ガラス;高剛性や高靭性、軽量を活かした、スキー靴、スキー板、ボード、ラケット、各種ネット、テント、リュックサック等の広範なスポーツ用品;高剛性や高靭性、軽量を活かした、針、はさみ、ミシン等の手芸用品や装飾用品;ショーウィンドウやディスプレイ部品等の商業用品;ブランコ、シーソー、ジェットコースター等の公園、遊園地、テーマパーク用器具または設備;電気・電子・情報機器または時計等の、精密機器の部品の構造材や箱材;ファイル、フォルダ、筆箱、筆記用具、はさみ等の文房具;包丁、ボール等の料理用具;食品、お菓子、タバコ等の包装材;食品容器、食器、割り箸、楊枝;家庭用家具、オフィス家具等の家具;ビルや住宅用の建材、内装材、および外装材;道路または橋梁用の材料;玩具用の材料;超強力繊維や糸;漁業用漁具、漁網、つり用具;農業用具、無業用品;レジ袋、ゴミ袋;各種パイプ;園芸用品;および運輸用コンテナ、パレット、箱;等としての広範な利用が可能である。但し、結晶性樹脂フィルムまたはシートの用途は、上記例示の用途に限定されるものではない。
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲内で種々の変更が可能である。
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は下記実施例の構成に限定されるものではない。
〔実施例1〕
図1に記載の構成を備えた過冷却樹脂融液製造装置を用いて過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造した。押出機として40mm押出機を用いた。冷却器として、図5に記載の構成を備えた冷却器を用いた。
結晶性樹脂として、日本ポリプロ株式会社製のポリプロピレン樹脂FY−5(MFR(Melt Flow Rate)=3.4g/10分、Tm=164℃、Tmc=116℃)を用いた。上記TmおよびTmcは、JIS K6921−2の表−3に準拠して測定した。
そして、ホッパを介して押出機に上記ポリプロピレン樹脂FY−5を連続的に供給し、加熱装置で加熱されたシリンダーおよびスクリューで加熱、混練しながら溶融攪拌することにより、溶融樹脂を得た。溶融樹脂の押出機出口における温度は、加熱装置による加熱を調節することにより、Tm+15℃に設定した。上記温度は押出機出口に設置した樹脂温計で測定した。
得られた溶融樹脂を、押し出し量が21kg/時となるように連続的に押出機から押し出し、ギアポンプを介して冷却装置に供給した。冷却器は、内部冷却管に供給する冷媒の温度をTm−10℃に設定し、外部冷却管に供給する冷媒の温度をTm−25℃に設定した。また、温度調節装置は、その外側の温度がアニールによってTm−5℃になるように、冷却管に供給する冷媒の温度を設定した。次いで、冷却装置で冷却された溶融樹脂を、スリットダイから吐出した。スリットダイから吐出された直後におけるシート状の溶融樹脂の厚さは、3.2mmであった。
上記シート状の溶融樹脂の表面温度をキーエンス製の赤外線温度計(FT−H20)で測定したところ、157℃であった。また、シート状の溶融樹脂の内部温度をHandy Thermometer (RKC INSTRUMENT INC., DP-350) で1分間測定したところ、159℃であった。
従って、溶融樹脂が、Tmc以上、Tm未満の過冷却状態であって、溶融樹脂の温度が、結晶性樹脂の融点よりも2℃〜25℃低く、かつ、射出断面における温度分布が最大4℃の範囲内に納まるように、冷却されていることが判った。
本発明に係る過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置および製造方法によれば、結晶性樹脂の冷却状態が安定するので、温度が均一な過冷却状態の結晶性樹脂融液を成形機に、より安定的に連続的して供給することができる。
それゆえ、本発明に係る製造装置および製造方法によれば、機械的特性や耐熱性、透明性等の各種特性に優れた結晶性樹脂フィルムまたはシートを製造するのに好適な、過冷却状態の結晶性樹脂融液を大量に、かつ、より安定的に連続的して製造することができる製造装置および製造方法を提供することができるので、各種産業において広範に利用され得る。
1 過冷却樹脂融液製造装置(過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置)
2 成形機
10 押出機
11 シリンダー
12 スクリュー
13 モータ
14 ホッパ
20 ギアポンプ(昇圧器)
25 スクリーンチェンジャー
30 スリットダイ(吐出部)
35 温度調節装置(冷却装置)
40 冷却器(冷却装置)
41 流路管
42 冷却管
43 ジャケット
50a,50b 挟持ロール
60 冷却器
62 冷却管
62a,62b,62c 冷却管
70 冷却器
72 冷却管
72a,72b,72c 冷却管
73a,73b 対流抑制板
75 加熱器具
76 冷却器具
80 冷却器
82 冷却管
82a,82b,82c 冷却管
83 中子
84 内部冷却管
85 冷媒収集管
86 流通管
87 冷媒排出管
88 冷媒供給管

Claims (11)

  1. 結晶性樹脂フィルムまたはシートを製造するために、過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置であって、
    溶融状態の結晶性樹脂を押し出す押出機と、押出機から押し出された結晶性樹脂を結晶化温度以上、融点未満の過冷却状態にする冷却装置と、過冷却状態の結晶性樹脂融液を吐出する吐出部とを備え、
    上記冷却装置は、結晶性樹脂の流路を構成する流路管と、結晶性樹脂を冷却する冷媒の流路を構成する冷却管とを備え、吐出部から吐出される結晶性樹脂の温度が、結晶性樹脂の融点よりも2℃〜25℃低く、かつ、吐出方向に対して垂直な断面における温度分布が最大4℃の範囲内に納まるように、当該結晶性樹脂を冷却するようになっていることを特徴とする過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置。
  2. 押出機と、流路管および冷却管とを備える冷却装置との間に、溶融状態の結晶性樹脂を昇圧しながら冷却装置に定量供給する昇圧器をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置。
  3. 上記冷却管は、溶融樹脂の流動方向に沿って複数のブロックに分割されていることを特徴とする請求項1または2に記載の過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置。
  4. 上記複数のブロックには、互いに異なる温度の冷媒が供給されるようになっていることを特徴とする請求項3に記載の過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置。
  5. 上記流路管の内部に、溶融状態の結晶性樹脂を混合する静止型混合器を備えていることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置。
  6. 上記流路管および/または冷却管が、螺旋状の流路を有する管であることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載の過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置。
  7. 上記冷却管は、冷媒の流通が可能でかつ対流による冷媒の移動を抑制することができる対流抑制板によって、溶融樹脂の流動方向に沿って複数の冷却室に分割されていることを特徴とする請求項1,2または3に記載の過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置。
  8. 上記複数の冷却室は、冷媒を加熱する加熱器具を備えていることを特徴とする請求項7に記載の過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置。
  9. 上記流路管の内部に、結晶性樹脂を冷却する冷媒の流路を構成する内部冷却管を備えていることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載の過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置。
  10. 請求項1から9の何れか一項に記載の過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造装置と、過冷却状態の結晶性樹脂融液を超臨界伸長歪速度で伸長成形してフィルム状またはシート状にする成形機とを備えることを特徴とする結晶性樹脂フィルムまたはシートの製造装置。
  11. 結晶性樹脂フィルムまたはシートを製造するために、過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造方法であって、
    吐出部から吐出される結晶性樹脂の温度が、結晶性樹脂の融点よりも2℃〜25℃低く、かつ、吐出方向に対して垂直な断面における温度分布が最大4℃の範囲内に納まるように、当該結晶性樹脂を過冷却状態にすることを特徴とする過冷却状態の結晶性樹脂融液を製造する製造方法。
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