JP2021113251A - ポリオレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法 - Google Patents

ポリオレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法 Download PDF

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亮二 中山
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Abstract

【課題】平均気泡径が小さく、かつ独立気泡率が高い、ポリオレフィン系樹脂押出発泡体を提供すること。【解決手段】ポリオレフィン系樹脂を含む原料樹脂を含む樹脂溶融物を調製する工程Aと、樹脂溶融物を、特定の構成を有する静的混合熱交換装置中を通過させる工程Bと、樹脂溶融物を、ダイスを通して吐出して押出発泡する工程Cとを含む、ポリオレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法とする。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法に関する。
ポリオレフィン系樹脂発泡体は、柔軟性および耐磨耗性に比較的優れていることから、緩衝材(例えば梱包用緩衝材)として広く使用されている。ポリオレフィン系樹脂発泡体には、その製造方法の違いから、ビーズ発泡体、架橋バッチ発泡体、押出発泡体などがある。
ビーズ発泡体の一部には耐摩耗性が優れたものがある。しかし、ビーズ発泡体は、発泡ビーズ脱落の懸念がある。脱落した発泡ビーズは、汚染の原因となる。そのため、ビーズ発泡体は、汚染防止の観点から使用を制限される場合がある。
架橋バッチ発泡体は、耐磨耗性、耐熱性などの優れた特性を有することから、緩衝材に利用されるだけでなく、車両の内装材、工業用断熱材、スポーツ用品等に広く利用されている。しかしながら、特に、ポリエチレン系樹脂発泡体に関して言えば、ポリエチレン系樹脂架橋バッチ発泡体は、ポリエチレン系樹脂押出発泡体と比較して、熱融着性に劣るため加工性が悪いという欠点を有する。
一方、押出法により製造されるポリオレフィン系樹脂押出発泡体は、発泡ビーズ脱落の可能性がなく、かつ熱融着性もよい等メリットが多い。近年、柔らかい感触を有するなどの理由から、気泡径が微細なポリオレフィン系樹脂押出発泡体が好まれている。
ポリオレフィン系樹脂押出発泡体に限らず、押出発泡体としては種々の製造方法が開発されている。例えば、特許文献1には、前記押出機にて溶融された熱可塑性樹脂を二重管形もしくは多管形の熱交換型スタティックミキサーに導入し、該熱交換型スタティックミキサーを通過させた熱可塑性樹脂を金型出口から連続的に押し出し、発泡成形体を成形することを特徴とする発泡成形体の製造方法が開示されている。
特開2007−230124号公報
しかしながら、上述のような従来技術は、平均気泡径が小さく、かつ独立気泡率が高いポリオレフィン系樹脂押出発泡体を提供するというという観点からは、十分なものでなく、さらなる改善の余地があった。
本発明の一実施形態は、前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、平均気泡径が小さく、かつ独立気泡率が高い、ポリオレフィン系樹脂押出発泡体を提供することである。
本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の構成を有する静的混合熱交換装置を使用することにより、平均気泡径が小さく、かつ独立気泡率が高い、ポリオレフィン系樹脂押出発泡体を提供できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一実施形態は、以下の構成を含むものである。
〔1〕ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂溶融物を調製する工程Aと、前記工程Aで得られた前記樹脂溶融物を、静的混合熱交換装置中を通過させる工程Bと、前記工程Bを経た前記樹脂溶融物を、ダイスを通して吐出して押出発泡する工程Cとを含み、前記静的混合熱交換装置は、内部に熱媒流路を備えるミキシングエレメントを有し、下記式(1)を満たす、ポリオレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法:
Q/Ac≦300 ・・・式(1);
前記式(1)中、Acは、前記静的混合熱交換装置内部の前記樹脂溶融物との接触面の内、熱媒により温調されている部位の面積(m)を示し、Qは、前記樹脂溶融物の前記ダイスからの吐出量(kg/時間)を示す。
〔2〕下記式(2)を満たす、〔1〕に記載のポリオレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法:
L/D≦10 ・・・式(2);
前記式(2)中、Lは、前記ミキシングエレメントの長さ(mm)を示し、Dは、前記静的混合熱交換装置の本体を構成する円筒管の内径(mm)を示す。
〔3〕下記式(3)を満たす、〔1〕または〔2〕に記載のポリオレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法:
Tm−20≦Tmix≦Tm+5・・・式(3);
前記式(3)中、Tmixは、前記熱媒の温度(℃)を示し、Tmは、前記ポリオレフィン系樹脂の融点(℃)を示す。
〔4〕下記式(4)を満たす、〔1〕〜〔3〕のいずれか一つに記載のポリオレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法:
Tm−2≦Tin≦Tm+15・・・式(4);
前記式(4)中、Tinは、前記静的混合熱交換装置中を通過させる直前の前記樹脂溶融物の温度(℃)を示し、Tmは、前記ポリオレフィン系樹脂の融点(℃)を示す。
〔5〕下記式(5)を満たす、〔1〕〜〔4〕のいずれか一つに記載のポリオレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法:
3≦Δt(Tin−Tout)≦25・・・式(5);
前記式(5)中、Tinは、前記静的混合熱交換装置中を通過させる直前の前記樹脂溶融物の温度(℃)を示し、Toutは、前記静的混合熱交換装置中を通過した直後の前記樹脂溶融物の温度(℃)を示す。
本発明の一実施形態によれば、平均気泡径が小さく、かつ独立気泡率が高い、ポリオレフィン系樹脂押出発泡体を提供できる、という効果を奏する。
本発明の一実施形態について以下に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明は、以下に説明する各構成に限定されるものではなく、請求の範囲に示した範囲で種々の変更が可能である。また、異なる実施形態または実施例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態または実施例についても、本発明の技術的範囲に含まれる。更に、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。なお、本明細書中に記載された学術文献および特許文献の全てが、本明細書中において参考文献として援用される。
本明細書において特記しない限り、数値範囲を表す「A〜B」は、「A以上(Aを含みかつAより大きい)B以下(Bを含みかつBより小さい)」を意図する。
本明細書において特記しない限り、構成単位として、X単量体に由来する構成単位と、X単量体に由来する構成単位と、・・・およびX単量体(nは2以上の整数)に由来する構成単位とを含む共重合体を、X/X/・・・/X共重合体とも称する。X/X/・・・/X共重合体としては、明示されている場合を除き、重合様式は特に限定されず、ランダム共重合体であってもよく、ブロック共重合体であってもよく、グラフト共重合体であってもよい。また、X単量体に由来する構成単位を「X単位」と称する場合もある。
〔1.本発明の一実施形態の技術的思想〕
本発明者が鋭意検討した結果、上述した特許文献1に記載の技術には、以下に示すような改善の余地または問題点があることを見出した。
特許文献1に記載の二重管形の熱交換型スタティックミキサーでは、ジャケット管内にのみ、一定の温度を有する熱媒が通されている。また、特許文献1に記載の多管形の熱交換型スタティックミキサーでは、ジャケット管内および多数の伝熱管を挟み込むように、一定の温度を有する熱媒が通されている。特許文献1に記載の技術では、熱可塑性樹脂が伝熱管の内壁と接するときのみ、熱可塑性樹脂は調温され得る。特許文献1に記載の技術では、平均気泡径が小さく、かつ独立気泡率が高いポリオレフィン系樹脂押出発泡体を得ることはできないことを、本発明者は独自に見出した。特に、平均気泡径が小さく、独立気泡率が高く、かつ厚みのある板状の発泡体の製造には、樹脂温度の冷却と樹脂温度の均一性とが厳しく要求される。そのため、特許文献1に記載の技術では、特に、平均気泡径が小さく、独立気泡率が高く、かつ厚みのある、板状のポリオレフィン系樹脂押出発泡体を得ることは難しい。これらの原因について、本発明者は以下のように推察する。
特許文献1に記載の二重管形の技術では、熱交換型スタティックミキサーによる熱可塑性樹脂の冷却効率が悪い。そのため、かかる技術では、熱可塑性樹脂の樹脂温度を必要な温度まで冷却するため、熱交換型スタティックミキサーの長さLと直径Dとの比(L/D)を大きくする必要がある。L/Dを大きくすると熱交換型スタティックミキサー内での圧力損失が増大する。そのため、押出機と熱交換型スタティックミキサーとの間にギヤポンプを設置し、熱可塑性樹脂を熱交換型スタティックミキサー内に送り込まざるを得ず、製造ラインにおける工程を増やさざるを得ない問題がある。また、特許文献1に記載の技術では、ギヤポンプによる熱可塑性樹脂の発熱が大きくなるため、熱交換型スタティックミキサー直前の熱可塑性樹脂の樹脂温度を低くすることに限界がある。結果として、特許文献1に記載の技術では、熱交換型スタティックミキサーにより、熱可塑性樹脂の樹脂温度を所望の温度まで下げることが困難である。この問題を避けるために、熱交換型スタティックミキサーに流す熱媒温度を低く設定する方法が考えられる。しかしながら、熱交換型スタティックミキサーに流す熱媒温度が低すぎる場合、熱交換型スタティックミキサーの伝熱面にて熱可塑性樹脂が一部結晶化するなど、熱可塑性樹脂の樹脂温度の均一性に問題がある。また、特許文献1に記載の多管形の技術では、管毎の熱可塑性樹脂の流速バラつきを制御することも困難である。以上のように、特許文献1に記載の技術では、熱交換型スタティックミキサーを通過した熱可塑性樹脂の温度が均一ではなく、その結果、独立気泡率が低くなるという問題がある。
当該推察に基づき、押出し直前の熱可塑性樹脂の温度を均一かつ十分に冷却すべく、さらに鋭意検討を行った。その結果、本発明者は、特定の構成を有する静的混合熱交換装置を使用することにより、平均気泡径が小さく、かつ独立気泡率が高い、ポリオレフィン系樹脂押出発泡体を安定的に製造できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
〔2.ポリオレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法〕
本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法は、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂溶融物を調製する工程Aと、工程Aで得られた樹脂溶融物を、静的混合熱交換装置中を通過させる工程Bと、工程Bを経た樹脂溶融物を、ダイスを通して吐出して押出発泡する工程Cとを含み、前記静的混合熱交換装置は、内部に熱媒流路を備えるミキシングエレメントを有し、下記式(1)を満たす:
Q/Ac≦300 ・・・式(1);
前記式(1)中、Acは、前記静的混合熱交換装置内部の前記樹脂溶融物との接触面の内、熱媒により温調されている部位の面積(m)を示し、Qは、前記樹脂溶融物の前記ダイスからの吐出量(kg/時間)を示す。
「ポリオレフィン系樹脂押出発泡体」を「発泡体」と称する場合もある。「本発明の一実施形態に係るポリオレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法」を、「本製造方法」と称する場合もある。
本製造方法は、前記構成を有するため、(a)平均気泡径が小さく、かつ独立気泡率が高い発泡体、特に、(b)平均気泡径が小さく、独立気泡率が高く、かつ厚みのある、板状の発泡体を安定的に提供できる。さらに、本製造方法は、熱融着性に優れるため加工性が良好である発泡体を安定的に提供できる、等の効果も有する。
[2−1.工程A]
工程Aは、ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂組成物を溶融混練することにより、樹脂溶融物を調製する工程である。樹脂溶融物は、ポリオレフィン系樹脂、発泡剤、および任意で他の添加物を含む。以下、各成分について説明する。
(ポリオレフィン系樹脂)
ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン、プロピレン、ブタジエン、イソプレンなどのオレフィンまたはジオレフィンに由来する構成単位を有する(共)重合体(以下、重合体(A)とする。)であれば、特に限定されない。ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンまたはジオレフィンに由来する構成単位に加えて、オレフィンまたはジオレフィンと共重合可能な他の単量体に由来する構成単位をさらに有する(共)重合体(以下、重合体(B)とする。)であってもよい。オレフィンまたはジオレフィンと共重合可能な他の単量体としては、(a)酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、スチレン等のビニル化合物、および(b)無水マレイン酸、マレイン酸、アクリル酸等の不飽和カルボン酸、などが挙げられる。ポリオレフィン系樹脂は、オレフィンまたはジオレフィンに由来する構成単位を有する(共)重合体が、ビニル化合物および不飽和カルボン酸などの誘導体によりグラフト変性された(共)重合体(以下、重合体(C)とする。)であってもよい。ポリオレフィン系樹脂は、上述した重合体(A)、重合体(B)および重合体(C)からなる群より選択される2種以上の混合物であってもよい。
ポリオレフィン系樹脂として、具体的には、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂などが挙げられる。本発明の一実施形態において、ポリオレフィン系樹脂は、ポリエチレン系樹脂および/またはポリプロピレン系樹脂を含むことが好ましく、柔軟性および耐磨耗性の観点から、ポリエチレン系樹脂を含むことがより好ましく、ポリエチレン系樹脂であることがさらに好ましい。なお、ポリオレフィン系樹脂としては、構成単位の組成が同一である1種の樹脂を単独で使用してもよく、構成単位の組成が異なる2種以上の樹脂を組み合わせて使用してもよい。
(ポリエチレン系樹脂)
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、構成単位として、全構成単位100モル%中、エチレンに由来する構成単位を50モル%以上有する(共)重合体が挙げられる。具体的には、ポリエチレン系樹脂として、高密度ポリエチレン、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン/α−オレフィン共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/1−ブテン共重合体、エチレン/1−ブテン共重合体、エチレン/1−ヘキセン共重合体、エチレン/4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン/1−オクテン共重合体、スチレン改質ポリエチレン系樹脂等が例示される。分岐状低密度ポリエチレンとは、高圧法で製造された低密度ポリエチレンともいえる。分岐状低密度ポリエチレンは、「LDPE」と称される場合もある。直鎖状低密度ポリエチレンは、「LLDPE」と称される場合もある。
エチレン/プロピレン共重合体など、共重合体が、構成単位として、エチレン単位とプロピレン単位とを含む場合について説明する。この場合、プロピレン単位よりもエチレン単位を多く含む共重合体はポリエチレン系樹脂と称され、エチレン単位よりもプロピレン単位を多く含む共重合体はポリプロピレン系樹脂と称される。
発泡性に優れることから、ポリエチレン系樹脂は、当該ポリエチレン系樹脂100重量%中、分岐状低密度ポリエチレンを50重量%以上含むことが好ましく、60重量%以上含むことがより好ましく、70重量%以上含むことがより好ましく、75重量%以上含むことがより好ましく、80重量%以上含むことがより好ましく、85重量%以上含むことがさらに好ましく、90重量%以上含むことがよりさらに好ましく、95重量%以上含むことが特に好ましい。当該構成によると、発泡性に優れるという利点を有する。ポリエチレン系樹脂は、分岐状低密度ポリエチレンであってもよい。
ポリエチレン系樹脂の密度は特に限定されない。耐熱性と発泡性とのバランスに優れることから、ポリエチレン系樹脂の密度は、890kg/m〜935kg/mが好ましく、900kg/m〜930kg/mがより好ましく、905kg/m〜925kg/mがさらに好ましく、910kg/m〜922kg/mが特に好ましい。
ポリエチレン系樹脂のMFRは特に限定されない。ポリエチレン系樹脂のMFRは、0.1g/10分〜15.0g/10分が好ましく、0.5g/10分〜10.0g/10分がより好ましく、0.8g/10分〜5.0g/10分がさらに好ましく、1.0g/10分〜3.0g/10分が特に好ましい。当該構成によると、樹脂溶融物は高い溶融張力を有し、かつ押出機内での過度なせん断発熱を防止できる。その結果、押出発泡に適した条件設定が容易となる傾向がある。
なお、本明細書において、ポリエチレン系樹脂のMFRは、JIS K−7210に準じて、190℃、かつ2.16kg荷重にて測定を行って得られる値である。
ポリエチレン系樹脂の融点は特に限定されない。ポリエチレン系樹脂の融点は、100℃〜130℃が好ましく、102℃〜125℃がより好ましく、103℃〜120℃がさらに好ましく、105℃〜115℃が特に好ましい。当該構成によると、耐熱性と発泡性とのバランスを取り易いという利点を有する。
なお、ポリエチレン系樹脂の融点は、示差走査熱量計法(以降、「DSC法」と称する)により測定したものである。具体的な操作手順は以下の通りである:ポリエチレン系樹脂4〜6mgを、(1)10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温して融解させた後;(2)10℃/分の降温速度で220℃から40℃まで降温して結晶化させた後;(3)さらに10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温する。ポリエチレン系樹脂の2回目の昇温時(すなわち(3)のとき)に得られるDSC曲線のピーク(融解ピーク)の温度をポリエチレン系樹脂の融点として求めることができる。
ポリエチレン系樹脂としては、構成単位の組成が同一である1種の樹脂を単独で使用してもよく、構成単位の組成が異なる2種以上の樹脂を組み合わせて使用してもよい。ポリエチレン系樹脂としては、異なる密度を有する2種以上の樹脂を組み合わせて使用してもよい。異なる密度を有する2種以上のポリエチレン系樹脂の組み合わせの例としては、分岐状低密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンおよび/またはエチレン/α−オレフィン共重合体との組み合わせ等が挙げられる。
分岐状低密度ポリエチレンは、密度が935kg/m以下であることが好ましい。分岐状低密度ポリエチレンの密度の下限は、特に限定されないが、概ね910kg/mである。耐熱性と発泡性とのバランスに優れることから、分岐状低密度ポリエチレンの密度は、910kg/m〜935kg/mが好ましく、911kg/m〜930kg/mがより好ましく、912kg/m〜928kg/mがさらに好ましく、913kg/m〜926kg/mが特に好ましい。
直鎖状低密度ポリエチレンまたはエチレン/α−オレフィン共重合体の密度は特に限定されない。耐熱性と発泡性とのバランスに優れることから、直鎖状低密度ポリエチレンまたはエチレン/α−オレフィン共重合体の密度は、870kg/m〜930kg/mが好ましく、880kg/m〜925kg/mがより好ましく、885kg/m〜920kg/mが更に好ましく、890kg/m〜915kg/mが特に好ましい。本明細書において、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンまたはエチレン/α−オレフィン共重合体の密度は、JIS K−7112に準じて測定して得られた値とする。
分岐状低密度ポリエチレンのMFRは特に限定されない。分岐状低密度ポリエチレンのMFRは、0.1g/10分〜10.0g/10分が好ましく、0.3g/10分〜7.0g/10分がより好ましく、0.5g/10分〜5.0g/10分がさらに好ましく、0.8g/10分〜3.0g/10分が特に好ましい。当該構成によると、樹脂溶融物は高い溶融張力を有し、かつ押出機内での過度なせん断発熱を防止できる。その結果、押出発泡に適した条件設定が容易となる傾向がある。
直鎖状低密度ポリエチレンまたはエチレン/α−オレフィン共重合体のMFRは特に限定されない。直鎖状低密度ポリエチレンまたはエチレン/α−オレフィン共重合体のMFRは、0.5g/10分〜10.0g/10分が好ましく、0.8g/10分〜8.0g/10分がより好ましく、1.0g/10分〜6.0g/10分が更に好ましく、2.0g/10分〜5.0g/10分が特に好ましい。直鎖状低密度ポリエチレンまたはエチレン/α−オレフィン共重合体のMFRが0.5g/10分以上である場合、押出機内での過度なせん断発熱を防止できる。その結果、押出発泡に適した条件設定が容易となる傾向がある。直鎖状低密度ポリエチレンまたはエチレン/α−オレフィン共重合体のMFRが10.0g/10分以下である場合、得られる発泡体は高い耐摩耗性を有する。本明細書において、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンまたはエチレン/α−オレフィン共重合体のMFRは、ポリエチレン系樹脂のMFR同じ測定方法によって得られる値である。
(ポリプロピレン系樹脂)
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、構成単位として、全構成単位100モル%中、プロピレンに由来する構成単位を50モル%以上有する(共)重合体が挙げられる。具体的には、ポリプロピレン系樹脂として、ポリプロピレン単独重合体、ポリプロピレン/エチレンブロック共重合体、ポリプロピレン/エチレンランダム共重合体、プロピレン/α−オレフィン共重合体、プロピレン/1−ブテン共重合体、エチレン/1−ブテン/プロピレン共重合体、プロピレン/塩素化ビニル共重合体、プロピレン/無水マレイン酸共重合体、高い溶融張力を有する長鎖分岐ポリプロピレン、イソプレン変性ポリプロピレン、超高分子量成分を含むポリプロピレンなどが挙げられる。なお、イソプレン変性ポリプロピレンは公知の方法によって製造できる。ポリプロピレン系樹脂としては、構成単位の組成が同一である1種の樹脂を単独で使用してもよく、構成単位の組成が異なる2種以上の樹脂を組み合わせて使用してもよい。ポリプロピレン系樹脂としては、発泡に適していることから、高い溶融張力を有する長鎖分岐ポリプロピレン、イソプレン変性ポリプロピレンおよび超高分子量成分を含むポリプロピレンが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂がポリプロピレン/エチレンランダム共重合体など、エチレンに由来する構成単位(エチレン単位)を含む場合について説明する。この場合、ポリプロピレン系樹脂100重量%中、エチレン単位の含有率は、0.2重量%〜10重量%が好ましい。
ポリプロピレン系樹脂の密度は特に限定されない。また、ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(以下、MFRと称する場合もある。)は特に限定されない。ポリプロピレン系樹脂のMFRは、0.5g/10分〜20.0g/10分が好ましく、1.0g/10分〜15.0g/10分がより好ましく、1.5g/10分〜10.0g/10分がさらに好ましく、2.0g/10分〜8.0g/10分が特に好ましい。当該構成によると、樹脂溶融物は高い溶融張力を有し、かつ押出機内での過度なせん断発熱を防止できる。その結果、押出発泡に適した条件設定、例えば後述するTin(℃)を所望の値に設定すること、が容易となる傾向がある、という利点を有する。
なお、ポリプロピレン系樹脂のMFRは、JIS K−7210に準じて、230℃、かつ2.16kg荷重にて測定を行って得られる値である。
ポリプロピレン系樹脂の融点は特に限定されない。ポリプロピレン系樹脂の融点は、125℃〜163℃が好ましく、130℃〜163℃がより好ましく、133℃〜163℃がさらに好ましく、135℃〜163℃が特に好ましい。当該構成によると、耐熱性と発泡性とのバランスを取り易いという利点を有する。
なお、ポリプロピレン系樹脂の融点は、示差走査熱量計法(以降、「DSC法」と称する)により測定したものである。具体的な操作手順は以下の通りである:ポリプロピレン系樹脂5〜6mgを、(1)10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温して融解させた後;(2)10℃/分の降温速度で220℃から40℃まで降温して結晶化させた後;(3)さらに10℃/分の昇温速度で40℃から220℃まで昇温する。ポリプロピレン系樹脂の2回目の昇温時(すなわち(3)のとき)に得られるDSC曲線のピーク(融解ピーク)の温度をポリプロピレン系樹脂の融点として求めることができる。
ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂100重量%中、ポリエチレン系樹脂を50重量%以上含むことが好ましく、60重量%以上含むことがより好ましく、70重量%以上含むことがより好ましく、75重量%以上含むことがより好ましく、80重量%以上含むことがより好ましく、85重量%以上含むことがさらに好ましく、90重量%以上含むことがよりさらに好ましく、95重量%以上含むことが特に好ましい。当該構成によると、発泡体の緩衝特性に優れるという利点を有する。
ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン系樹脂100重量%中、分岐状低密度ポリエチレンを50重量%以上含むことが好ましく、60重量%以上含むことがより好ましく、70重量%以上含むことがより好ましく、75重量%以上含むことがより好ましく、80重量%以上含むことがより好ましく、85重量%以上含むことがさらに好ましく、90重量%以上含むことがよりさらに好ましく、95重量%以上含むことが特に好ましい。当該構成によると、発泡性に優れるという利点を有する。
(ポリオレフィン系樹脂以外の合成樹脂)
本製造方法では、ポリオレフィン系樹脂以外の合成樹脂(例えば、熱可塑性樹脂および/またはエラストマー)を使用してもよく、換言すれば、樹脂溶融物はポリオレフィン系樹脂以外の合成樹脂を含んでいてもよい。本明細書において、ポリオレフィン系樹脂とポリオレフィン系樹脂以外の合成樹脂とを合わせて「原料樹脂」と称する場合もある。
ポリオレフィン系樹脂以外の合成樹脂としては、例えば、(a)酢酸ビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、スチレン系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、(b)ポリアミド/ポリオール共重合体等のポリアミド系エラストマー、および(c)ポリ塩化ビニル系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー、エチレン/プロピレンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンゴム等の熱可塑性エラストマー、等が挙げられる。
原料樹脂は、当該原料樹脂100重量%中、ポリオレフィン系樹脂を50重量%以上含むことが好ましく、60重量%以上含むことがより好ましく、70重量%以上含むことがより好ましく、75重量%以上含むことがより好ましく、80重量%以上含むことがより好ましく、85重量%以上含むことがさらに好ましく、90重量%以上含むことがよりさらに好ましく、95重量%以上含むことが特に好ましい。当該構成によると、樹脂溶融物の発泡性と、緩衝特性や耐久性といった発泡体特性との両立が安価かつ容易に達成できる、という利点を有する。
(発泡剤)
樹脂溶融物は、ポリオレフィン系樹脂に加えて、発泡剤を含み得る。本製造方法において使用可能な発泡剤としては、押出発泡で使用される一般的に使用される発泡剤であれば特に問わず、例えば、(a)(a−1)プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素類;(a−2)シクロペンタン、シクロブタン等の脂環式炭化水素類;(a−3)ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル等のエーテル類;(a−4)メタノール、エタノール等のアルコール類;(a−5)空気、窒素、炭酸ガス等の無機ガス;並びに(a−6)水などの物理系発泡剤、並びに、(b)重炭酸ナトリウム、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミンなどの熱分解型発泡剤を含む化学系発泡剤、等が挙げられる。発泡剤としては、これらのうちでも、所望の発泡倍率、所望の独立気泡率、および所望の平均気泡径が得られやすいことから物理系発泡剤が好ましく、脂肪族炭化水素類がより好ましく、特にノルマルブタンおよび/またはイソブタンが好ましい。
上述した発泡剤は1種を単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
発泡剤の使用量は、特に限定されない。発泡剤の使用量は、発泡剤の種類および目標とする発泡体の発泡倍率に応じて、適宜調整すればよい。本製造方法において、使用する発泡剤の合計使用量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.5重量部〜20.0重量部が好ましく、1.0重量部〜15.0重量部がより好ましい。
(その他添加剤)
本製造方法においては、必要に応じて、気泡核形成剤、気泡核形成補助剤、耐候剤、酸化防止剤、収縮防止剤、結晶造核剤、熱安定剤、帯電防止剤、導電性付与剤、難燃剤等の機能性添加剤、滑剤、無機充填剤、着色剤(例えば顔料)などのその他添加剤をさらに使用してもよい。換言すれば、得られる発泡体は、上述したその他添加剤を必要に応じてさらに含んでいてもよい。
(気泡核形成剤)
気泡核形成剤としては、熱分解型発泡剤、有機酸(塩)および無機物(例えばタルクなど)などが挙げられる。本明細書において、「有機酸(塩)」とは「有機酸および/または有機酸塩」を意味する。気泡核形成剤は、熱分解型発泡剤および/または有機酸(塩)を含むことが好ましい。気泡核形成剤が熱分解型発泡剤および/または有機酸(塩)を含む場合、気泡核形成剤が熱分解型発泡剤および/または有機酸(塩)を含まず無機物(例えばタルクなど)のみを含む場合と比較して、得られる発泡体の気泡径をより容易に小さくすることができる。気泡核形成剤は、熱分解型発泡剤および有機酸(塩)を含むことがより好ましく、熱分解型発泡剤と有機酸(塩)との混合物からなることがさらに好ましい。
熱分解型発泡剤としては、例えば、ADCA(アゾジカルボンアミド)、DPT(N,N’−ジニトロペンタメチレンテトラミン)、OBSH(4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド)、炭酸水素塩、炭酸塩等が挙げられる。熱分解型発泡剤としては、炭酸水素塩、炭酸塩、または炭酸水素塩と炭酸塩との混合物、が好ましい。炭酸水素塩としては、例えば、炭酸水素ナトリウムが挙げられる。
有機酸(塩)としては、シュウ酸(塩)、乳酸(塩)、コハク酸(塩)、リンゴ酸(塩)、クエン酸(塩)などが挙げられる。気泡径の微細化効果が高いことから、有機酸(塩)としては、クエン酸(塩)が好ましい。クエン酸(塩)としては、クエン酸、クエン酸モノナトリウム、クエン酸トリナトリウム、クエン酸水素ナトリウム、クエン酸カリウム等が挙げられる。
気泡核形成剤としては、取り扱いが容易であり、かつ気泡核の生成効果が高いことから、炭酸水素塩とクエン酸(塩)との混合物、炭酸塩とクエン酸(塩)との混合物、および炭酸水素塩および炭酸塩とクエン酸(塩)との混合物からなる群より選択される1種以上の混合物が好ましく、炭酸水素塩とクエン酸塩との混合物がより好ましく、炭酸水素ナトリウムとクエン酸モノナトリウムとの混合物が特に好ましい。
上記気泡核形成剤における熱分解型発泡剤と有機酸(塩)との含有比率は、熱分解型発泡剤および有機酸(塩)の総量を100重量%とすると、熱分解型発泡剤が10重量%〜90重量%および有機酸(塩)が90重量%〜10重量%が好ましく、熱分解型発泡剤が20重量%〜85重量%および有機酸(塩)が80重量%〜15重量%がより好ましく、熱分解型発泡剤が30重量%〜80重量%および有機酸(塩)が70重量%〜20重量%が更に好ましい。当該構成によると、少量の気泡核形成剤によって、効率良く造核効果が得られ易い、という利点を有する。
本製造方法において、気泡核形成剤の使用量を多くするほど、得られる発泡体の気泡径は小さくなる傾向にある。ただし、発泡体の製造において、気泡核形成剤の使用量を多くするほど、製造コストが上昇し、気泡核形成剤の分解物による異物発生のリスクが高まる場合がある。よって、本製造方法における気泡核形成剤の使用量は、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.03重量部〜1.50重量部が好ましく、0.08重量部〜1.20重量部がより好ましく、0.10重量部〜1.00重量部が更に好ましい。
本製造方法において、気泡核形成剤としては、粉体状の気泡核形成剤を直接使用しても良く、原料樹脂との混合性を考慮した気泡核形成剤のマスターバッチを使用しても良い。気泡核形成剤のマスターバッチとしては、市販品を使用することもでき、例えば、永和化成工業製ポリスレンEE275F、大日精化工業製ファインセルマスター SSC PO217K等が挙げられる。
本製造方法では、気泡核形成剤の効果を促進する目的で、気泡核形成補助剤を使用することが可能である。前記気泡核形成補助剤としては、タルク、シリカ、炭酸カルシウム、ゼオライト、亜鉛華、リチウム化合物などが挙げられる。リチウム化合物としては、例えば、酢酸リチウム、シュウ酸リチウム、クエン酸リチウム、炭酸リチウム、ほう酸リチウム、ステアリン酸リチウム等が挙げられる。気泡核形成補助剤は、前記気泡核形成剤との併用において気泡径を微細化する効果が高いとの理由から、リチウム化合物を含むことが好ましく、炭酸リチウムを含むことがより好ましい。本製造方法において、気泡核形成補助剤としては、粉体状の気泡核形成補助剤を直接使用しても良く、原料樹脂との混合性を考慮した気泡核形成補助剤のマスターバッチを使用しても良い。
(耐候剤)
耐候剤としては、ポリオレフィン系樹脂押出発泡体に通常使用される耐候剤を使用することができる。耐候剤としては、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤(「HALS」と称する場合もある。)、紫外線吸収剤(「UVA」と称する場合もある。)、カーボンブラックなどの紫外線遮蔽剤、有機ニッケル化合物などの消光剤、などが挙げられる。
HALSとしては、入手可能な市販品として、(a)BASF製のTinuvin622SF、TinuvinPA123、TinuvinPA144、Tinuvin770DF、Uvinul4050FF、Chimassorb944FDL、Chimassorb2020FDLなど、および(b)ADEKA製のLA−52、LA−81、LA−40MPなどが挙げられる。
UVAとしては、例えば、トリアジン系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤などが挙げられる。
均一な気泡形成がなされることから、UVAの融点は、160℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、145℃以下が更に好ましい。UVAの融点が160℃以下である場合には、押出時の樹脂温度を下げた場合にも樹脂溶融物が固化し難く、樹脂溶融物内にて凝集物の発生を抑制することができる。その結果、均一な気泡径を有する発泡体が得られ易い。
HALSおよびUVAなどの耐候剤は液体、粉末状、顆粒状、ペレット状等の形態で用いられ得る。耐候剤は、樹脂、樹脂添加剤等の成分にあらかじめ耐候剤を高濃度に配合した組成物(いわゆるマスターバッチ)として用いることもできる。
本製造方法における耐候剤の使用量、換言すれば得られる発泡体における耐候剤の含有量は、特に限定されるものではないが、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.005重量部〜3.000重量部が好ましく、0.010重量部〜0.600重量部がより好ましく、0.030重量部〜0.200重量部がさらに好ましい。耐候剤の使用量(含有量)が、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、0.005重量部以上である場合、得られる発泡体の耐候性は良好となる。耐候剤の使用量(含有量)が、ポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、3.000重量部以下である場合、得られる発泡体の表面への経時での耐候剤のブリードを抑制することができる。その結果、被緩衝物への耐候剤の転写を抑制することができる。
(酸化防止剤)
本製造方法では、耐候剤と酸化防止剤とを併用することが好ましい。換言すれば、得られる発泡体は、耐候剤および酸化防止剤を含むことが好ましい。当該構成によると、耐候剤の加工熱安定性に優れる、という利点を有する。酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤などが挙げられる。これら酸化防止剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、テトラキス[メチレン−3(3’,5’−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5・5]ウンデカン、1,3,5−トリス2[3(3,5−ジ−t−ブチル− 4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]エチルイソシアネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリエチレングリコール−N−ビス−3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,6−ヘキサンジオールビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2−チオビス−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−エチリデン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−ブチリデン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2,4−ジ−t−アミル−6−(1−(3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル)エチル)フェニルアクリレート、トコフェロール類等が挙げられる。2,2’−エチリデン−ビス−(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)としては、ケミプロ化成株式会社製の「ケミノックス1129」など、市販品を用いることもできる。
リン系酸化防止剤としては、例えば、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4− ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4'−ジフェニレンジホスホナイト、2,2'−メチレンビス(4,6−ジ−t− ブチルフェニル)2−エチルヘキシルホスファイト、2,2'−エチリデンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)フルオロホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチル−6−メチルフェニル)エチルホスファイト、2−(2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル)−5−エチル−5−ブチル−1,3,2−オキサホスホリナン、2,2',2''−ニトリロ[トリエチル−トリス(3,3' 5,5'−テトラ−t−ブチル−1,1'−ビフェニル−2,2'−ジイル)ホスファイト、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン等が挙げられる。
イオウ系酸化防止剤としては、例えば、ジメチルジスルフィド、ジエチルジスルフィド、ジ−n−プロピルジスルフィド、ジ−n−ブチルジスルフィド、ジ−sec−ブチルジスルフィド、ジ−t−ブチルジスルフィド、ジ−t−アミルジスルフィド、ジシクロヘキシルジスルフィド、ジ−t−オクチルジスルフィド、ジ−n−ドデシルジスルフィド、ジ−t−ドデシルジスルフィドなどが挙げられる。
収縮防止剤としては、脂肪酸エステル、脂肪族アミン、脂肪酸アミドなどの従来周知のものが使用できる。前記脂肪酸エステルとしては、炭素数8〜30の脂肪酸と水酸基を3〜7個有する多価アルコールとのエステルが好ましい。炭素数8〜30の脂肪酸としては、ラウリン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコ酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などが挙げられる。水酸基を3〜7個有する多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エリトリットアラビット、キシリマアット、マンニット、ソルビット、ソルビタンなどが挙げられる。
脂肪族アミンとしては、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、エイコシルアミン、ドコシルアミン、N−メチルオクタデシルアミン、N−エチルオクタデシルアミン、ヘキサデシルプロピレンジアミン、オクタデシルプロピレンジアミンなどが挙げられる。
脂肪酸アミドとしては、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、ラウリン酸ビスアミド、などが挙げられる。これらの収縮防止剤は一種のみを使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
これらの収縮防止剤の中でも、発泡性や発泡体諸物性への影響が少なく収縮防止効果が大きいとの観点から、脂肪酸エステルが好ましい。脂肪酸エステル化合物の中でも、完全エステル化物よりは部分エステル化物、特にモノエステル化物がより顕著な収縮防止効果が得られるため好ましい。脂肪酸エステルの中でも、ステアリン酸モノグリセライド、ベヘン酸モノグリセライド、またはステアリン酸モノグリセライドとベヘン酸モノグリセライドとの混合物が更に好ましく、特に、ステアリン酸モノグリセライド(グリセリンモノステアレート)が好ましい。
本製造方法において、着色剤(顔料)の使用に特に制限はない。本製造方法において、着色剤を使用せずにナチュラル色の発泡体を得てもよく、青、赤、黒など着色剤を使用して所望の色の発泡体を得てもよい。着色剤としては、例えば、ペリレン系有機顔料、アゾ系有機顔料、キナクリドン系有機顔料、フタロシアニン系有機顔料、スレン系有機顔料、ジオキサジン系有機顔料、イソインドリン系有機顔料、カーボンブラックなどが挙げられる。
工程Aの具体的な態様としては、特に限定されない。工程Aでは、二軸押出機と単軸押出機とを連結したタンデム押出機、または、単軸押出機と単軸押出機とを連結したタンデム押出機を使用してもよい。工程Aの具体的な態様としては、次の(1)〜(5)の操作を順に行う方法が挙げられる:(1)(a)ポリオレフィン系樹脂、並びに、必要に応じて(b)(b−1)ポリオレフィン系樹脂以外の合成樹脂、並びに、(b−2)耐候剤、気泡核形成剤および収縮防止剤などのその他添加剤、を各々所定量準備し、準備した全ての原料を第1押出機(一段目の押出機、二軸)に供給する;(2)供給された原料を混錬に適した温度で溶融混錬する;(3)得られた混合物(溶融混練物)に対して、第1押出機の途中から、発泡剤を圧入する;(4)得られた樹脂溶融物を所望の吐出量に調整し、第1押出機から、第1押出機に連結された第2押出機(二段目の押出機、単軸)に吐出する;(5)第2押出機において、樹脂溶融物を所望の温度になるよう冷却する。
前記(1)において、準備した全ての原料を第1押出機に供給する操作について、具体的に説明する。準備した全ての原料は、各々の原料を別々のフィーダーから第1押出機に供給してもよいし、原料の一部または全てを一緒に第1押出機に供給してもよい。準備した各々の原料を別々のフィーダーから第1押出機に供給する場合、各々の原料を第1押出機に同時に供給してもよいし、任意の時宜で供給してもよい。準備した原料の一部または全てを一緒に第1押出機に供給する場合、準備した原料の一部または全てを予め混合して混合物とし、当該混合物を第1押出機に供給してもよい。
前記(2)における混錬に適した温度とは、ポリオレフィン系樹脂が確実に溶融し、溶融したポリオレフィン系樹脂と発泡剤と任意で使用されるその他添加剤との混錬が好適に実施される温度であれば良く、特に限定されない。本発明の一実施形態において、前記混錬に適した温度とは、ポリオレフィン系樹脂の融点以上の温度が好ましい。本発明の一実施形態において気泡核形成剤を使用する場合、前記混錬に適した温度は、使用する気泡核形成剤の効果が効率的に発揮される温度が好ましい。気泡核形成剤が熱分解型発泡剤を含む場合、気泡核形成剤の効果が効率的に発揮される温度とは、熱分解型発泡剤の分解が十分に進行し所望の造核作用が得られる温度である。例えば、気泡核形成剤として炭酸水素ナトリウムとクエン酸モノナトリウムとの混合物を使用する場合は、前記混錬に適した温度は、気泡核形成剤の効果が効率的に発揮される温度である180℃〜230℃が好ましい。
前記(5)において、所望の温度まで冷却された樹脂溶融物は、続く、工程Bにおいて、静的混合熱交換装置に供給される。
[2−2.工程B]
工程Bでは、工程Aで得られた樹脂溶融物を、静的混合熱交換装置中を通過させることにより、温度が均一かつ十分に冷却された樹脂溶融物を得ることができる。
本製造方法で用いられる静的混合熱交換装置は、本体を構成する円筒管の内側、すなわち樹脂流路部に、ミキシングエレメントを有しており、当該ミキシングエレメント内部に、熱媒を通してミキシングエレメントの温度を調整可能な熱媒流路を有する限り、その他の構造および温度調整(温調)方法は特に限定されない。
本製造方法で用いられる静的混合熱交換装置は、本体を構成する円筒管を温調可能な機能を備えることが好ましい。円筒管の温調は、円筒管の外部に接触するように配置された電機式ヒータで制御されてもよく、円筒管の外部に温度制御された熱媒を通すことが可能なジャケット構造(熱媒流路)を有し、ジャケット内部を流れる熱媒温度により制御されても良い。より精密な温調が可能という点から、円筒管の温調は、ジャケット内部を流れる熱媒によって制御されることが好ましい。静的混合熱交換装置がジャケット構造を有し、ジャケット内部を流れる熱媒によって温調される場合、ジャケットとミキシングエレメントの熱媒流路はつながっていてもよく、それぞれ別々の流路(系列)であってもよい。
なお、本製造方法で用いられる静的混合熱交換装置が有するミキシングエレメントは、その全体が内部に熱媒流路を備えている必要はなく、少なくともミキシングエレメントの一部分が、内部に熱媒流路を備えていればよい。樹脂溶融物の樹脂温度を、容易に、均一かつ十分に冷却することができることから、本製造方法では、ミキシングエレメントの大部分が内部に熱媒流路を備えていることが好ましい。ミキシングエレメント全体の表面積100%に対して、ミキシングエレメントの、内部に熱媒流路を備えている部位の表面積が、60%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましく、95%以上であることが特に好ましい。
ミキシングエレメントの構造(形状)としては特に限定されず、樹脂溶融物を流しているときの高い圧力に耐えつつ、樹脂溶融物を混練し得るものであれば良い。ミキシングエレメントの構造としては、例えば、板状および/もしくは角柱状の金属が交差した構造、並びに/または、ねじり羽根部を有するらせん状の構造などを挙げることができる。
本製造方法で使用可能な静的混合熱交換装置の具体的な構造としては、例えば特開2015−58429に開示された装置のように、内側にミキシングエレメントが設けられている円筒管と、当該円筒管を覆うようにジャケットが構成され、円筒管にジャケットとミキシングエレメント内部の熱媒流路とを連通させる通路が設けられた装置が挙げられる。特開2015−58429に開示された装置であれば、ジャケットとミキシングエレメントの熱媒流路とが繋がっており、ジャケット内部を流れた熱媒がそのままミキシングエレメント内部の熱媒流路を流れるため、比較的容易に均一な温調が可能となる。そのため、本製造方法で用いられる静的混合熱交換装置は、特開2015−58429に開示された装置であることが好ましい。
静的混合熱交換装置内部の樹脂溶融物との接触面の内、熱媒により温調されている部位(「温調部位」と称する場合もある。)について説明する。温調部位とは、内部(内側)に熱媒が流れている部位ともいえ、内部に熱媒流路を備えている部位ともいえる。本製造方法で使用する静的混合熱交換装置において、温調部位とは、例えば、(a)本体を構成する円筒管において外部に熱媒流路を備えている部位の内壁面、および、(b)ミキシングエレメントにおいて内部に熱媒流路を備えている部位の表面である。従って、静的混合熱交換装置内部の樹脂溶融物との接触面の内、熱媒により温調されている部位の面積(m)Ac(「温調面積Ac」と称する場合もある。)は、例えば、(a)熱媒流路と接する円筒管の内壁の内、ミキシングエレメントが接続している領域を除く部位の表面積と、(b)ミキシングエレメントの内部に熱媒流路を備えている部位の表面積と、の合計である。
特許文献1で用いられているような従来の静的混合熱交換装置(熱交換型スタティックミキサー)は、静的混合熱交換装置が有するミキシングエレメントが熱媒流路を備えていない。そのため、従来の静的混合熱交換装置は、温調部位が狭く、樹脂流路部を通過する樹脂溶融物のごく一部しか温調されなかった。本製造方法で使用する静的混合熱交換装置では、ミキシングエレメントの、内部に熱媒流路を備えている部位表面も温調部位となるため、従来技術と比較して温調部位が広い。それ故に、樹脂流路部を通過する樹脂溶融物の大部分が温調部位と接触できる。その結果、本製造方法では、樹脂溶融物を、静的混合熱交換装置中を通過させることにより、樹脂温度が均一かつ十分に冷却された樹脂溶融物を得ることができる。
温調面積Acは、前記式(1)を満たすかぎり特に限定されず、樹脂溶融物のダイスからの吐出量(kg/時間)Q(「吐出量Q」と称する場合もある。)に依存して、適宜設定されることが好ましい。吐出量Qの温調面積Acに対する比(Q/Ac)は、Q/Ac≦300を満たし、Q/Ac≦280を満たすことが好ましく、Q/Ac≦250を満たすことがより好ましく、Q/Ac≦230を満たすことがより好ましく、Q/Ac≦200を満たすことがさらに好ましく、Q/Ac≦190を満たすことが特に好ましい。当該構成によると、樹脂溶融物の温度をより均一に所望の温度まで冷却することができ、その結果、独立気泡率の高い発泡体を得ることができる。Q/Acの下限値は、所望の発泡体が得られれば特に制約は無いが、Q/Ac≧30を満たすことが好ましく、Q/Ac≧50を満たすことがより好ましく、Q/Ac≧80を満たすことがより好ましく、Q/Ac≧100を満たすことが特に好ましい。当該構成によると装置の導入コストを抑えることができる。
ミキシングエレメントの長さ(mm)L(「長さL」と称する場合もある。)の、静的混合熱交換装置の本体を構成する円筒管の内径(mm)D(「内径D」と称する場合もある。)に対する比(L/D)は、L/D≦10を満たすことが好ましく、L/D≦9を満たすことがより好ましく、L/D≦8を満たすことがより好ましく、L/D≦7を満たすことがより好ましく、L/D≦6を満たすことがより好ましく、L/D≦5を満たすことがさらに好ましく、L/D<5を満たすことが特に好ましい。当該構成によると、静的混合熱交換装置が比較的押出方向の長さの短い装置となるため静的混合熱交換装置の設置スペースが小さくできる。当該構成によると、さらに静的混合熱交換装置内での圧力損失を小さくできるため、より効率的に樹脂溶融物を冷却できる。本明細書において、長さLはミキシングエレメントの押出方向の長さを意図する。
従来の静的混合熱交換装置では、熱媒により温調されている部位が、本体を構成する円筒管の内壁(樹脂流路部の内壁)に限られており、当該部位が少ないものであった。それ故、従来の静的混合熱交換装置では、熱媒により温調されている部位と樹脂溶融物との接触の機会を増やすために、ミキシングエレメントの長さ(mm)を長くする必要があった。また、従来の静的混合熱交換装置では、樹脂溶融物が熱媒により温調されている部位と接触する比率を上げるために、本体を構成する円筒管の内径(mm)を小さくする必要があった。その結果、従来の静的混合熱交換装置では、ミキシングエレメントの長さ(mm)と本体を構成する円筒管の内径(mm)との比、すなわち本製造方法におけるL/D、を大きくする必要があった。
工程Bにおいて、樹脂溶融物を、静的混合熱交換装置中を通過させる過程で、樹脂溶融物の温度を下げることが好ましい。静的混合熱交換装置に供給する前の装置、例えば、第2押出機で樹脂溶融物の温度を下げる場合と比較して、内部に熱媒流路を備えるミキシングエレメント有する静的混合熱交換装置で樹脂溶融物の温度を下げる方が、より均一に樹脂溶融物の温度を下げることができる。
ポリオレフィン系樹脂の融点(℃)Tm(「融点Tm」と称する場合もある。)に対する熱媒の温度(℃)Tmix(「熱媒温度Tmix」と称する場合もある。)について説明する。Tmixは、Tm−20℃以上が好ましく、Tm−18℃以上がより好ましく、Tm−16℃以上がより好ましく、Tm−14℃以上がより好ましく、Tm−12℃以上がさらに好ましく、Tm−10℃以上が特に好ましい。Tmixは、Tm+5℃以下が好ましく、Tm+4℃以下がより好ましく、Tm+3℃以下がより好ましく、Tm+2℃以下がより好ましく、Tm+1℃以下がさらに好ましく、Tm以下が特に好ましい。当該構成によると、独立気泡率の高い発泡体を得ることができる。
融点Tmに対する静的混合熱交換装置中を通過させる直前の樹脂溶融物の温度(℃)Tin(「温度Tin」と称する場合もある。)について説明する。Tinは、Tm−2℃以上が好ましく、Tm−1℃以上がより好ましく、Tm以上がさらに好ましい。Tinは、Tm+15℃以下が好ましく、Tm+13℃以下がより好ましく、Tm+10℃以下がより好ましく、Tm+8℃以下がさらに好ましく、Tm+5℃以下が特に好ましい。当該構成によると、独立気泡率が高く、かつ、巣の少ない発泡体を得ることができる。
融点Tmに対する静的混合熱交換装置中を通過した直後の樹脂溶融物の温度(℃)Tout(「温度Tout」と称する場合もある。)について説明する。Toutは、Tm−27℃以上が好ましく、Tm−18℃以上がより好ましく、Tm−9℃以上がより好ましく、Tm−5℃以上がさらに好ましく、Tm−3℃以上が特に好ましい。Toutは、Tm+12℃以下が好ましく、Tm+10℃以下がより好ましく、Tm+7℃以下がより好ましく、Tm+5℃以下がさらに好ましく、Tm+2℃以下が特に好ましい。当該構成によると、独立気泡率が高く、かつ、巣の少ない発泡体を得ることができる。
温度Tinおよび温度Toutの差について説明する。Tin−ToutをΔtとすると、Δtは、3以上が好ましく、4以上がより好ましい。Δtは、25以下が好ましく、23以下がより好ましく、20以下がより好ましく、18以下がより好ましく、15以下がより好ましく、13以下がさらに好ましく、10以下が特に好ましい。当該構成によると、独立気泡率の高い発泡体を得ることができる。
[2−3.工程C]
工程Cは、工程Bを経た樹脂溶融物を、ダイスを通して吐出して(すなわち押出して)押出発泡することにより、ポリオレフィン系樹脂押出発泡体を得る工程である。
工程Cでは、目的とする発泡体の形状に応じて、ダイスの形状を適宜選択することにより、平板状発泡体、丸棒状発泡体などの各種形状の発泡体を製造することができる。本製造方法は、平板状発泡体、換言すればポリオレフィン系樹脂押出発泡板の製造方法に好適である。
工程Cにおいて、樹脂溶融物の吐出量Q(kg/時間)は、前記式(1)を満たすかぎり特に限定されず、静的混合熱交換装置の熱媒により温調されている部位の面積Acに依存して、適宜設定されることが好ましい。
工程Cにおいて、吐出された発泡体の引取り条件、吐出された発泡体の冷却条件、当該発泡体の成形に用いられる成形ダイのサイズ、成形機における当該発泡体を挟みこむ寸法などは、適宜設定すればよい。
本製造方法により得られる発泡体の発泡倍率は、特に限定されず、製品の重量および/または要求される物性によって適宜選択され得る。本製造方法により得られる発泡体の発泡倍率は、3倍〜35倍が好ましく、4倍〜33倍がより好ましく、5倍〜30倍がさらに好ましく、6倍〜28倍が特に好ましい。当該構成によると、得られる発泡体は、軽量性、製品のグリップ性および緩衝性等のバランスに優れるという利点を有する。また、当該構成によると、発泡体の主要な用途の一つである緩衝材にするための発泡体の加工性が良好となる。その結果、得られる発泡体を加工して緩衝材とし、軽量部品から重量部品まで幅広い搬送品の緩衝材として使用することが可能となる。本明細書において、発泡体の発泡倍率は、後述する実施例に記載の測定方法により得られた値である。
本製造方法により得られる発泡体の厚さは、特に限定されない。本製造方法により得られる発泡体の厚さは、10mm以上であることが好ましく、10mm〜160mmがより好ましく、20mm〜160mmがより好ましく、20mm〜130mmがより好ましく、30mm〜100mmがさらに好ましく、40mm〜70mmが特に好ましい。当該構成によると、(a)さまざまな緩衝材形状への発泡体の加工が可能となる利点、およびシートの積層体ではなく一枚物で(すなわち、発泡体1つで)緩衝材として使用できるため、緩衝材として均質なものが得られ易いという利点を有する。ダイスの開口部の厚さや、成形ダイのサイズや、成形機における発泡体を挟みこむ寸法や、発泡体の引取速度などを適宜調節することにより、得られる発泡体の厚さを調節できる。
本製造方法により得られる発泡体は、微細な平均気泡径および高い独立気泡率を両立することができる。本製造方法により得られる発泡体の平均気泡径は、100μm〜600μmが好ましく、150μm〜500μmがより好ましく、180μm〜500μmがさらに好ましく、200μm〜400μmが特に好ましい。当該構成によると、(a)得られる発泡体を、所望の独立気泡率および発泡倍率に調整し易い、および、(b)得られる発泡体が、発泡体の主要な用途である緩衝材用途において、製品保護に優れる、という利点を有する。本明細書において、発泡体の平均気泡径は、後述する実施例に記載の測定方法により得られた値である。
本製造方法により得られる発泡体の独立気泡率は、60%より大きいことが好ましく、65%以上がより好ましく、70%以上がより好ましく、73%以上がより好ましく、75%以上がより好ましく、78%以上がより好ましく、80%以上がより好ましく、83%以上がより好ましく、85%以上がより好ましく、88%以上がより好ましく、90%以上がより好ましい。当該構成によると、得られる発泡体の、緩衝材としての緩衝性能、繰り返し使用性能、および打ち抜き加工時の寸法回復性、が良好となるという利点を有する。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明の一実施形態を更に詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例において、各種の評価方法に用いられた試験法および判定基準は次の通りである。
<メルトフローレート(MFR)>
ポリオレフィン系樹脂のMFRは、JIS K 7210(1999)記載のA法の規定に準拠して測定した。具体的には、メルトインデクサーS−01(東洋精機製作所製)を用い、190℃、一定荷重(2.16kg)下にて、ダイから単位時間に押し出される樹脂量(g)を測定した。得られた樹脂量(g)を10分間に押し出される樹脂量(g)に換算した値を算出した。
なお、前記単位時間とは、メルトフローレートが0.5g/10分を超え1.0g/10分以下の場合は120秒間、1.0g/10分を超え3.5g/10分以下の場合は、60秒間、3.5g/10分を超え10g/10分以下の場合は30秒間、10g/10分を超え25g/10分以下の場合は10秒間、25g/10分を超え100g/10分以下の場合は5秒間、100g/10分を超える場合は3秒間とした。
ダイから単位時間に押し出される樹脂量を樹脂1ユニットとした。MFRの測定では、樹脂3ユニットを採取し、各々のユニットに対して、10分間に押し出される樹脂量(g)に換算した値を算出し、その平均値をポリオレフィン系樹脂のMFRとした。一回の測定で3ユニットの樹脂量を採取できない場合は、3ユニット採取できるまで測定を継続するものとした。ある単位時間で測定した際のメルトフローレートが対応する範囲に無かった場合は、そのメルトフローレートに応じた単位時間で再度測定するものとした。
<融点(Tm)>
ポリオレフィン系樹脂として、実施例および比較例で使用したポリエチレン系樹脂の融点は次のとおりに測定した。示差走査熱量計[セイコーインスツルメンツ(株)製、DSC6200型]を用いて、以下のように測定した:(1)ポリエチレン系樹脂4〜6mgを、10℃/分の昇温速度にて40℃から190℃まで昇温して融解させた後;(2)10℃/分の速度にて190℃から40℃まで降温して結晶化させた後;(3)再度10℃/分の昇温速度にて40℃から190℃まで昇温した。ポリエチレン系樹脂の2回目の昇温時(すなわち(3)のとき)に得られたDSC曲線のピーク(融解ピーク(吸熱ピーク))の温度をポリエチレン系樹脂の融点とした。
<樹脂溶融物の温度(TinおよびTout)>
静的混合熱交換装置中を通過させる直前の樹脂溶融物の温度(℃)Tinは、静的混合熱交換装置よりも上流側かつ静的混合熱交換装置の流入口近傍の樹脂流路部の中心部に露出するようにリング状の冶具にて配置された熱電対により、樹脂流路部の中心部分を通る樹脂溶融物の温度を直接測定した。静的混合熱交換装置中を通過した直後の樹脂溶融物の温度(℃)Toutは、静的混合熱交換装置よりも下流側かつ静的混合熱交換装置の流出口近傍の樹脂流路部の中心部に露出するようにリング状の冶具にて配置された熱電対により、樹脂流路部の中心部分を通る樹脂の温度を直接測定した。なお、静的混合熱交換装置の流入前後および流出前後で樹脂温度が著しく変化することはない。そのため、(a)Tinの測定箇所は、静的混合熱交換装置の流入口近傍であれば、静的混合熱交換装置外でもよく、静的混合熱交換装置内でもよく、また(b)Toutの測定箇所は、静的混合熱交換装置の流出口近傍であれば、静的混合熱交換装置外でもよく、静的混合熱交換装置内でもよい。
<独立気泡率>
実施例および比較例で得られた各発泡体から、長さ30mm、幅20mm、厚み20mmの試験片を3つ切り出した。当該試験片を用い、ASTM D2856に記載の方法に準拠し、エアピクノメータ(東京サイエンス株式会社製空気比較式比重計モデル1000)を用いて、試験片の体積Vc(cm)測定した。次に測定後の同じ試験片をエタノールの入ったメスシリンダー内の、エタノール中に沈めた。メスシリンダーの液面(エタノール面)上昇分から見かけ上の体積Va(cm)を求めた。このような見かけ上の体積の測定方法を、水没法と称する場合もある。下記式に従って独立気泡率(%)を求めた:
独立気泡率(%)=(Vc/Va)×100。
なお、測定は、1つの発泡体あたり、3つの試験片について実施し、その平均値を発泡体の独立気泡率とした。
<発泡体密度>
上記独立気泡率の測定で用いた試験片の重量W(kg)と上記水没法により求めた体積Va(m)とを用いて、発泡体密度を下記式により求めた:
発泡体密度(kg/m)=W/Va。
なお、測定は、1つの発泡体あたり、3つの試験片について実施し、その平均値を発泡体の密度とした。
<発泡倍率>
使用した原料樹脂の樹脂密度をJIS K 7112に準じて測定した。上記発泡体密度(kg/m)と樹脂密度(kg/m)とを用いて、発泡倍率を下記式により求めた:
発泡倍率(倍)=樹脂密度/発泡体密度。
<発泡体サイズ>
実施例および比較例で得られた発泡体について、厚さ方向に垂直な面を面aとし、押出方向に垂直な面を面bとし、幅方向に垂直な面を面cとした。ここで、発泡体の厚さ方向とは、発泡体の押出方向に垂直な断面における短手方向ともいえ、発泡体の幅方向とは、発泡体の押出方向に垂直な断面における長手方向ともいえる。実施例および比較例で得られた発泡体を面bに沿って切断し、押出方向の長さが20mmのサンプルAを3つ作製した。サンプルAについて、厚さ方向の長さおよび幅方向の長さを測定した。厚さ方向の長さについて具体的に説明する。各サンプルAにつき、幅方向の中央および幅方向の両端部から30mm内側、の合計3箇所について、厚さ方向の長さを測定した。サンプルA3個につき各々3箇所で合計9の値の平均値を、発泡体の厚さ方向の長さ(厚さ寸法)とした。幅方向の長さについて具体的に説明する。各サンプルAにつき、幅方向の長さを測定した。サンプルA3個の値の平均値を、発泡体の幅方向の長さ(幅寸法)とした。また、得られた厚さ寸法と幅寸法との積を算出し、当該積を断面積とした。
<平均気泡径>
発泡体サイズの測定で作成した3つのサンプルAの各々から、下記に示す各測定点(5箇所)について、各辺が5〜10mmの立方体(サンプルBとする。)を切り出した。サンプルBを、上述した面a、bおよびcの各々と平行な面に沿って、両刃カミソリ[フェザー製、ハイステンレス両刃]を用いて、気泡膜(セル膜)が破壊されないように充分注意して切断した。得られた切断面(3面)をマイクロスコープ[キーエンス社製、VHX−900]を用いて観察し、各々の切断面の画像を得た。得られた各画像において、長さ4000μmの線分を引き、該線分が通る気泡数nを測定し、下記式により気泡径を算出した:
気泡径(μm)=4000/n。
3つのサンプルAの各測定点(5箇所)について得られたサンプルB(15個)の3つの切断面の各々の画像から得られた気泡径の相加平均値を平均気泡径(μm)とした。すなわち、45面(3面×5箇所×3つのサンプルA)の気泡径の相加平均値を平均気泡径(μm)とした。
測定点を、サンプルAに対して説明する。下記に示すように、1つのサンプルAに対して5か所測定した:
(a)サンプルAの面bにおける、幅方向および厚さ方向の中央部(1箇所、「測定点A」とする);
(b)サンプルAの面bにおける、厚さ方向の中央部の、測定点Aと幅方向端部との中央部(幅方向両端部につき、2箇所);
(c)サンプルAの面bにおける、幅方向の中央部の、測定点Aと厚さ方向端部との中央部(厚さ方向両端部につき、2箇所)。
<巣の評価>
上記平均気泡径の測定と同じ方法にて得たサンプルBの表面を肉眼で観察した。気泡が連通して発生した空洞が発見された場合、当該空洞の長手方向の長さ(長径)と短手方向の長さ(短径)とをマイクロスコープで観察および測定した。長径と短径との平均値が2.5mm以上である空洞を「巣」とした。以下の基準で巣を評価した。
有:巣が4個以上ある
僅か:巣が1〜3個ある
無:巣が無い。
以下の実施例および比較例において用いた原料は、次の通りである。
<ポリオレフィン系樹脂>
ポリオレフィン系樹脂としては、低密度ポリエチレン(宇部丸善ポリエチレン製「C470」、MFR2.0g/10分、密度918kg/m、融点Tm109℃)を使用した。なお、以下の実施例および比較例では、樹脂としてはポリオレフィン系樹脂のみを使用しているため、ポリオレフィン系樹脂は原料樹脂でもある。
<気泡核形成剤>
気泡核形成剤としては、永和化成製「EE275F」を使用した。EE275Fは、炭酸水素ナトリウムとクエン酸との混合物を含むマスターバッチである。
<収縮防止剤>
収縮防止剤としてはステアリン酸モノグリセライドを使用した。
(実施例1)
ポリオレフィン系樹脂、気泡核形成剤および収縮防止剤の各々を表1に示す配合量で準備した。準備した原料を、タンデム押出機装置の第1押出機に供給した。ここで、タンデム押出機装置としては、第1押出機として口径40mmの二軸押出機と、第2押出機として口径90mmの単軸押出機とが連結されたタンデム押出機装置を使用した。第1押出機は、220℃に設定しており、すなわち第1押出機に供給した混合物を220℃にて溶融混錬した。ここで、得られた混合物に対して、発泡剤としてイソブタン3.5重量部を、第1押出機の途中から圧入した。かかる操作により、樹脂溶融物を調製した。
続いて、得られた樹脂溶融物を第1押出機から第2押出機(口径90mm)に吐出した。その後、第2押出機中で、樹脂溶融物を、Tinが表1に示す温度になるように冷却した。続いて、第2押出機の先端に取り付けられた静的混合熱交換装置へ、樹脂溶融物を供給した。静的混合熱交換装置としては、特開2015−58429に記載の構造を有する装置を使用した。ここで、(a)静的混合熱交換装置の本体を構成する円筒管の内径D(mm)、(b)内径D(mm)とミキシングエレメントの長さL(mm)との比、L/D、および(c)静的混合熱交換装置内部の樹脂溶融物との接触面の内、熱媒により温調されている部位の面積(温調面積)Ac(m)は、表1に示した通りであった。続いて、樹脂溶融物を静的混合熱交換装置中を通過させ、樹脂溶融物の温度を調整した後、静的混合熱交換装置の下流側に取り付けられたダイスから、大気圧下に40kg/時間の吐出量Qにて樹脂溶融物を吐出して、押出発泡した。ここで、ダイスは矩形の形状を有しており、ダイスの開口部の大きさは50mm×5.5mmであった。
続いて、ダイスから押出された発泡体を成形ダイで矩形化するとともに、当該発泡体を成形機で引取速度を調整しつつサイズを調整し、幅140mmおよび厚さ55mmの板状に成型し、板状の発泡体を得た。得られた板状の発泡体は、巣が無くかつ独立気泡率も高かった。得られた発泡体について各種物性を測定および評価した結果を表1に示す。
(実施例2、4〜7)
表1の通りに各配合、吐出量および熱媒温度を変更した以外は、実施例1と同じ方法にて板状の発泡体を得た。得られた発泡体について各種物性を測定および評価した結果を表1に示す。
(実施例3)
以下の(a)〜(d)を変更した以外は、実施例1と同じ方法にて板状の発泡体を得た:(a)使用したタンデム押出機装置を、第1押出機として軸径115mmの単軸押出機と、第2押出機として軸径152mmの単軸押出機とが連結されたタンデム押出機装置に変更した;(b)使用した静的混合熱交換装置を、内径D、L/Dおよび温調面積Acが表1を満たす静的混合熱交換装置に変更した;(c)使用したダイスを、矩形の形状を有しており、かつ開口部の大きさが180mm×4mmであるダイスに変更し、幅280mm×厚さ55mmの板状に成型した;および(d)樹脂溶融物のダイスからの吐出量を表1に記載の吐出量に変更した。得られた発泡体について各種物性を測定および評価した結果を表1に示す。
(比較例1)
使用した静的混合熱交換装置を、L/Dが20であり、かつ、内部に熱媒流路を備えないミキシングエレメントを有する静的混合装置に変更した以外は、実施例1と同じ方法にて板状の発泡体を得た。比較例1で使用した静的混合装置の内径D、L/Dおよび温調面積Acは、表1に示すとおりである。得られた発泡体について各種物性を測定および評価した結果を表1に示す。
(比較例2)
(a)樹脂溶融物のダイスからの吐出量を表1に記載の吐出量に変更し、かつ(b)静的混合熱交換装置中を通過させる直前の樹脂溶融物の温度(Tin)(℃)を表1に記載の温度に調整した以外は、実施例1と同じ方法にて板状の発泡体を得た。得られた発泡体について各種物性を測定および評価した結果を表1に示す。
(比較例3)
(a)使用した静的混合熱交換装置を、内部に熱媒流路を備えないミキシングエレメントを有する静的混合装置に変更し、かつ(b)熱媒温度を60℃とした以外は、実施例1と同じ方法にて板状の発泡体を得た。比較例3で使用した静的混合装置の内径D、L/Dおよび温調面積Acは、表1に示すとおりである。得られた発泡体について各種物性を測定および評価した結果を表1に示す。
Figure 2021113251
表1に示される通り、実施例1〜7は、平均気泡径が小さく、かつ高い独立気泡率を有するものであった。
比較例1では、使用した静的混合装置における圧力損失が大きく、そのため、実施例1に比べて第2押出機のスクリュ回転数(軸の回転数)を高く設定する必要があった。その結果TinおよびToutが高くなり、得られた発泡体は独立気泡率の低いものであった。
比較例2では、静的混合熱交換装置での冷却効率が悪くToutが高くなった。その結果、得られた発泡体は独立気泡率の低いものであった。
比較例3では、静的混合熱交換装置での冷却効率が悪くToutが高くなった。また、時々固形物が析出するなど押出発泡が不安定であった。得られた発泡体は独立気泡率が低く、気泡径も不均一なものであった。
本発明の一実施形態によれば、平均気泡径が小さく、かつ独立気泡率が高い、ポリオレフィン系樹脂押出発泡体を提供できる。そのため、本発明の一実施形態は、各種緩衝材、包装材および断熱材などに好適に利用できる。

Claims (5)

  1. ポリオレフィン系樹脂を含む樹脂溶融物を調製する工程Aと、
    前記工程Aで得られた前記樹脂溶融物を、静的混合熱交換装置中を通過させる工程Bと、
    前記工程Bを経た前記樹脂溶融物を、ダイスを通して吐出して押出発泡する工程Cとを含み、
    前記静的混合熱交換装置は、内部に熱媒流路を備えるミキシングエレメントを有し、
    下記式(1)を満たす、ポリオレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法:
    Q/Ac≦300 ・・・式(1);
    前記式(1)中、
    Acは、前記静的混合熱交換装置内部の前記樹脂溶融物との接触面の内、熱媒により温調されている部位の面積(m)を示し、
    Qは、前記樹脂溶融物の前記ダイスからの吐出量(kg/時間)を示す。
  2. 下記式(2)を満たす、請求項1に記載のポリオレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法:
    L/D≦10 ・・・式(2);
    前記式(2)中、
    Lは、前記ミキシングエレメントの長さ(mm)を示し、
    Dは、前記静的混合熱交換装置の本体を構成する円筒管の内径(mm)を示す。
  3. 下記式(3)を満たす、請求項1または2に記載のポリオレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法:
    Tm−20≦Tmix≦Tm+5・・・式(3);
    前記式(3)中、
    Tmixは、前記熱媒の温度(℃)を示し、
    Tmは、前記ポリオレフィン系樹脂の融点(℃)を示す。
  4. 下記式(4)を満たす、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリオレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法:
    Tm−2≦Tin≦Tm+15・・・式(4);
    前記式(4)中、
    Tinは、前記静的混合熱交換装置中を通過させる直前の前記樹脂溶融物の温度(℃)を示し、
    Tmは、前記ポリオレフィン系樹脂の融点(℃)を示す。
  5. 下記式(5)を満たす、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリオレフィン系樹脂押出発泡体の製造方法:
    3≦Δt(Tin−Tout)≦25・・・式(5);
    前記式(5)中、
    Tinは、前記静的混合熱交換装置中を通過させる直前の前記樹脂溶融物の温度(℃)を示し、
    Toutは、前記静的混合熱交換装置中を通過した直後の前記樹脂溶融物の温度(℃)を示す。
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