JPH10146875A - ポリプロピレン発泡体およびその製造方法 - Google Patents

ポリプロピレン発泡体およびその製造方法

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JPH10146875A
JPH10146875A JP8308454A JP30845496A JPH10146875A JP H10146875 A JPH10146875 A JP H10146875A JP 8308454 A JP8308454 A JP 8308454A JP 30845496 A JP30845496 A JP 30845496A JP H10146875 A JPH10146875 A JP H10146875A
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JP
Japan
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polypropylene
temperature
extruder
resin
foam
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JP8308454A
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English (en)
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Hideji Kimura
秀治 木村
Ryutaro Fujihira
隆太郎 藤平
Mitsuhiro Imaizumi
光博 今泉
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NIPPON PORIOREFUIN KK
Japan Polyolefins Co Ltd
Resonac Holdings Corp
Original Assignee
NIPPON PORIOREFUIN KK
Showa Denko KK
Japan Polyolefins Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 成形に用いるポリプロピレン系樹脂自体の改
変、特殊な工程、装置を必要とせずに、また、ポリプロ
ピレン本来の性質を失わずに高い発泡倍率と小さな気泡
径を有するポリプロピレン発泡体およびその製造方法。 【解決手段】 ポリプロピレン系樹脂に分解型発泡剤を
添加し、押出機内で溶融混練後、ダイより押し出して成
形するポリプロピレン発泡体の製造方法において、ポリ
プロピレン系樹脂のメルトフローレートが1〜20g/10
minであり、押出機の原料投入口からダイ出口迄でのポ
リプロピレン系樹脂の温度をその融解終了温度+15℃
以下に保ちながら、押出し成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリプロピレンの
特性を損なうことなく、発泡倍率が高く、また気泡径が
小さい発泡体ならびにその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリプロピレンを連続的に効率よく発泡
させる方法として、(1)ポリプロピレンと共に、加熱
により分解して気体を発生する化合物(分解型発泡剤)
を押出機に投入し、押出機内で樹脂を溶融し、発泡剤を
分解温度以上に加熱した後、押し出す方法(参照:特公
昭58-31098号公報)、(2)ポリプロピレンを押出機に
投入し、押出機内で樹脂を溶融し、押出機内で常温常圧
下で気化する液化ガス(揮発性発泡剤:例えば、フロン
系ガスや、ブタンやプロパン等の炭化水素系ガス)を注
入し、押し出す方法(参照:特開平5-228980号公報)、
(3)ポリプロピレンと分解型発泡剤を発泡剤を分解さ
せずに溶融・混練して押し出した後、電子線、架橋剤な
どを用いて架橋させ、炉で加熱して発泡剤を分解させて
発泡する方法(参照:特公昭46-19854号公報)がよく知
られている。
【0003】これらのうち、(2)揮発性発泡剤を用い
る方法では、ガスの気化熱で樹脂を冷却することにより
気泡を安定化させ発泡倍率の高い発泡体が得られやすい
という利点がある。しかし、発泡成形に用いることので
きるフロン系ガスは、オゾン層を破壊するなどの問題が
あり、製造規制されている。また、炭化水素系ガスは引
火しやすいため、取り扱いに注意が必要で、製造設備に
も防爆のための対策が必要である。また、液化ガスの注
入量の制御が不安定になると、発泡倍率のバラツキなど
が起こり、品質が著しく低下するため、ガスを押出機内
に安定して供給する特別な装置を必要とする。
【0004】また、(3)電子線や架橋剤等による架橋
後に発泡剤を分解させる方法では、架橋により粘度が高
くなるため、発泡倍率が高く、微細な気泡の発泡体が得
られるという利点がある。しかし、樹脂が架橋している
ために、再溶融によるリサイクルが難しいという問題が
ある。また、押出し後に架橋、発泡の工程が必要である
ため特別な装置を必要とし(例えば、特開平4-122628号
公報参照)、ポリプロピレンの分解劣化しやすい特性か
ら特別な技術を必要とした(特公昭46-19854号公報参
照)。
【0005】これら二つの方法に対し、(1)分解型発
泡剤を用いる方法は、連続的に効率よく発泡体を押し出
す方法としては特別な装置を必要とせず、また、分解型
発泡剤は一般的に主に窒素、炭酸ガスを発生するため、
環境破壊および引火の心配が無く、その上、架橋を必要
としないため再溶融してリサイクルが可能であるという
利点を有する。しかし、気化熱の利用や架橋による改質
を行わないため、ポリエチレン等と異なり、溶融時の粘
度、張力が低いなどのポリプロピレンの特性により、気
泡構造を保持することが比較的困難であり、発泡倍率の
高いポリプロピレン発泡体を得ることは、非常に困難で
あった。また発泡倍率を上げられたとしても気泡が粗大
化したり、表面の凹凸が大きいなどの問題があり、実用
に耐えられるものではなかった。そこで発泡倍率を向上
させ、気泡をより微細化させる為に、粘度を高める等、
ポリプロピレンの溶融物性を発泡成形に適するよう改質
する方法が試みられている。例えば、ポリエチレン等の
樹脂のブレンド(特公昭58-31098号公報)、特殊なモノ
マーの共重合または変性(特公昭61-18933号公報)、重
合後の後処理(特開平4-363227号公報)などが単独、あ
るいは併用して行われている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、そのた
めには当然、特殊な工程、装置などが必要であり、場合
によっては耐熱性、耐油性などポリプロピレン本来の特
性が失われてしまう問題があった。本発明は前記課題を
解決するためになされたもので、成形に用いるポリプロ
ピレン系樹脂自体を改変することなく、ホモポリプロピ
レンをはじめとする汎用のポリプロピレン系樹脂を用い
たポリプロピレン発泡体の成形方法において、特殊な工
程、装置を必要とせず、また、ポリプロピレン本来の性
質を失わずに高い発泡倍率と小さな気泡径を有するポリ
プロピレン発泡体およびその製造方法を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のポリプロピレン
発泡体の製造方法は、ポリプロピレン系樹脂に分解型発
泡剤を添加し、押出機内で溶融混練後、ダイより押し出
して成形するポリプロピレン発泡体の製造方法におい
て、ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートが1〜
20g/10minであり、押出機の原料投入口からダイ出口
迄でのポリプロピレン系樹脂の温度をその融解終了温度
+15℃以下に保ちながら、押出し成形することを特徴
とするものである。この際、押出機に用いるスクリュー
としては、体積圧縮比が1.9〜3.0のものが好まし
い。また、押出機とダイとの間にスタティックミキサー
を装着しておくことが好ましい。本発明のポリプロピレ
ン発泡体は、これらの方法により製造された、発泡倍率
1.8倍以上、気泡径1.2mm以下のものである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明はポリプロピレン系樹脂を発泡して成形する方法
であって、適用するポリプロピレン系樹脂としては、特
に限られるものではなく、例えば、プロピレン単独重合
体ならびにプロピレンとエチレン及び/又は炭素数が4
〜12個のα−オレフィンとのランダム共重合体ならび
にブロック共重合体が挙げられる。ランダム共重合体に
おいてはエチレンあるいはα−オレフィンの共重合量は
通常25重量%以下、好ましくは2〜20重量%、より
好ましくは、2〜15重量%である。ブロック共重合体
においては通常15重量%以下、好ましくは0.5〜1
5重量%、より好ましくは、1〜10重量%である。こ
れらのポリプロピレン系樹脂は、広く知られた製造方法
によるもので良く、例えば、チタン化合物などの遷移金
属化合物あるいは、例えばマグネシウム化合物などの担
体に担持された遷移金属化合物と、例えば有機アルミニ
ウム化合物などの有機金属化合物から得られる触媒系
(いわゆるチーグラー・ナッタ触媒)の存在下で重合する
もの等が挙げられる。
【0009】本発明においては、発泡成形性を高めるた
めとしては特に必要とはしないが、ポリプロピレンに各
種の熱可塑性樹脂を1種または2種以上ブレンドして用
いることができる。例えば、ポリエチレン、ポリスチレ
ン、ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体等
の重合体または共重合体を用いることができる。また、
顔料、酸化防止剤、滑剤、帯電防止剤、耐侯性向上剤、
充填剤等を周知の使用量の範囲内で適宜添加することが
できる。また、発泡剤、添加剤の樹脂に対する分散性向
上のために流動パラフィンなどの添着剤を添加して用い
ることができる。
【0010】但し、本発明において用いられるポリプロ
ピレン系樹脂のメルトフローレート(以下、MFRと称
する)は、1〜20g/10minであることが好ましく、よ
り好ましくは1.5g/10min以上15g/10min以下、さら
に好ましくは、2g/10min以上10g/10min以下である。
MFRが1g/10min未満のポリプロピレン系樹脂では、
粘度が高過ぎるために、押出機内の設定温度を高くしな
ければ溶融、混練が困難になり、また、混練によって自
ら発熱するために樹脂温度が高くなり、得られる発泡体
の発泡倍率が低くなる。MFRが20g/10minを超える
ポリプロピレンでは、粘度が低過ぎるために、押出機内
で樹脂に圧力がかからず、気泡が押出機内で発生し、樹
脂と分離するために発泡倍率が低下する。
【0011】本発明においては、こうしたポリプロピレ
ン系樹脂が、一般的なブレンダー、ミキサー等を用いて
発泡剤と混合して押出機に投入される。本発明で使用さ
れる発泡剤は加熱により分解し気体を発生する分解型発
泡剤である。加熱分解型発泡剤は、有機系及び無機系の
各種加熱分解型発泡剤の1種または2種以上の混合物で
あり、有機系発泡剤としては例えばアゾジカルボンアミ
ド、N,N'ージニトロソペンタメチレンテトラミン、P−
P'−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド等であ
る。また、無機系発泡剤としては重炭酸ナトリウム、炭
酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、カルシウムアジ
ド等である。また、重炭酸ナトリウムとクエン酸の混合
物等、無機系発泡剤と脂肪酸との混合物を用いることが
できる。中でも重炭酸ナトリウムとクエン酸の混合物等
の無機系が最も好ましい。また、分解型発泡剤は、その
分解温度が150℃〜210℃のものが好ましいが、押
出機内の温度で分解するものである必要がある。発泡剤
の添加量は樹脂100重量部に対して0.1〜6重量部、好
ましくは0.3〜5重量部が適量である。0.3重量部以
下では、発泡倍率が上がらず、6重量部以上では樹脂が
気泡を保持することができずに気泡が潰れるため、却っ
て発泡倍率が低下する。また、有機系発泡剤を用いる場
合には、分解温度を低温側に調整する発泡助剤として、
尿素、脂肪酸金属塩、酸化亜鉛等を有機系発泡剤100重
量部に対して、0.1〜50重量部添加して用いること
ができる。
【0012】本発明においては均一で高倍率の発泡体を
製造するために、成形押出機の原料投入口からダイ出口
までの間での融解した樹脂の温度を、その樹脂の融解終
了温度+15℃以下の範囲にする必要があり、融解終了
温度+10℃以下であればより好ましく、融解終了温度
+6℃以下であればさらに好ましい。ポリプロピレン系
樹脂の融解終了温度(Tme)は、示差走査熱量計(D
SC)により容易に測定される。具体的には、示差走査
熱量計(パーキンエルマー製「DSC-7」)を用いて試料
0.5〜0.8mgのサンプルを、30℃から10℃/minで
230℃まで昇温して10min保持した後、10℃/min
で30℃まで降温して10min保持した後、再び10℃/
minで昇温し、図3に示すように、230℃まで昇温し
たときに観測される融解ピークの終了温度を測定すれば
よい。
【0013】融解終了温度は成形に用いる樹脂材料の種
類によって異なるが、一般的に、ポリプロピレンの単独
重合体およびブロック共重合体では160〜170℃、
ランダム共重合体では125〜165℃であるので、本
発明では成形温度をポリプロピレンの単独重合体および
ブロック共重合体では、175〜185℃、ランダム共
重合体では140〜180℃に保つことが好ましい。
尚、上述した分解型発泡剤についても、その分解温度が
この範囲内にあるものを適用する。
【0014】従来、発砲体の押出成形時の温度に関して
は、樹脂を溶融混練することと発泡剤を分解することが
重要視され、押出機においてはホッパーからガスが散逸
しない範囲内で温度を高くし、ダイ付近でのみ樹脂温度
を下げることが良いとされていた。本発明は、押出機の
原料投入口、即ち、ホッパーの接続位置からダイ出口ま
での押出機内全域での樹脂の温度に着眼するもので、そ
の間における樹脂の最高温度が所定温度より高過ぎると
発泡状態が著しく悪化することを見出したことによるも
のである。成形押出機の原料投入口からダイ出口までの
間で樹脂温度が上記範囲を超えて高くなると成型品の発
泡状態が著しく悪化してしまい、ダイ付近で樹脂温度が
下げられていても、得られた発泡体の発泡倍率は著しく
低下してしまう。他方、融解終了温度まで上げなけれ
ば、圧力が上昇し、トルクが必要とされるため通常の押
出成形が困難になる。また、押し出されたとしても発泡
剤と充分に混練されないため発泡しない。この押出機な
いしダイ出口までの間における樹脂の温度は、できるだ
け均一であることが望ましく、そのばらつき、すなわ
ち、最高温度と最低温度の差は、5℃以内が望ましく、
より望ましくは2℃以内、さらに望ましくは1℃以内で
ある。このような均等な温度調整は、設定された特定の
温度差を積極的に確保する手段(例えば、特開昭57−
84828号公報参照)と比較すれば、より容易であ
る。
【0015】なお、成形時の樹脂温度は必ずしも押出機
のシリンダーやダイの設定温度と等しくはならず樹脂の
混練条件によって左右される。また、一般的な成形機で
は押出機内の樹脂温度は測定が出来ないものが多いの
で、予めシリンダー部分に温度計を挿入する等して、樹
脂温度と押出し条件を把握しておくことが望ましい。
【0016】本発明においては、押出機に用いられるス
クリューとして、その供給部と計量部の1ネジの溝内の
空間容積比(体積圧縮比)が通常のポリオレフィンの押
出しに用いられるもの(3〜5)よりも低いものが良
く、体積圧縮比が1.9〜3.0、より好ましくは1.9
〜2.7、さらに好ましくは1.9〜2.5、最も好まし
くは1.9〜2.3のものが好ましい。このようなスクリ
ューを用いることにより、発泡倍率が高く、気泡径の小
さな発泡体が得られやすい。押し出された樹脂に温度分
布が生じるのは、樹脂に与えるエネルギーとして、ヒー
ターからよりもスクリューの圧縮によるものが大きいか
らである。そこで、スクリューの体積圧縮比が3.0を
超える場合には、押出機内での発熱が大きく、また樹脂
温度が不均一になるため、発泡状態が悪化する。また、
体積圧縮比が1.9未満の場合では樹脂の溶融混練が不
十分になり均一な発泡体が得られない。
【0017】本発明において、樹脂温度をより均一にす
る手段として、図1に示すように、押出機10とダイ1
2の間にスタティックミキサー14を設ける方法が有効
である。スタティックミキサーは樹脂の混練度を向上さ
せることを目的として設定温度をダイ温度より若干低く
するなどして用いられるものである(例えば、特開昭5
7−84828号公報)が、本発明においては、樹脂の
温度を均一にする手段として用いるもので、樹脂温度が
前記の範囲に保たれる限りその設定温度を低くする必要
はない。
【0018】適用するスタティックミキサーは、一般に
知られているものでよく、図2に示すように、円筒状の
管状ハウジング18内に、所定角度ねじられたバッフル
板の形成された複数個の螺旋状エレメント16,16,
・・・が配列して概略構成されるもので、隣り合う螺旋状
エレメントの一方の後端と他方の前端とが互いに通常9
0゜捩れて配置され、可動部分をもたないものである。
樹脂は、押出機からの加圧力によってスタティックミキ
サーの管状ハウジング内を複数個の螺旋状エレメントに
沿って流動し、その間に温度が均一化される。本発明に
おいて用いられるスタティックミキサーの口径は使用す
る押出機のシリンダーの口径とほぼ同一のもので良く、
エレメントの数が1〜10個程度でその有効長が約10
0〜500mm程度のものが好ましく用いられる。
【0019】ダイから押し出された樹脂の温度は、幅・
厚み方向ともに温度が均一でないと、均一な発泡状態の
発泡体が得られず、また、発泡状態が悪化し発泡倍率が
低下する。ダイから押し出された樹脂の温度が不均一で
ある原因は、主に押出機からダイに流入する際の樹脂の
温度が不均一であることによるもので前記の方法が有効
である。
【0020】樹脂温度を均一にする手段として、上記以
外の方法として、押出機に接続されたダイの温度調節を
より均一にするため、ダイに熱媒体を循環させる温調手
段を用いることも本発明においては有効である。一般的
に、ダイの加熱に使用されている電熱式ヒーターは数個
のブロックに分かれているため、ダイの温度の均一性が
幅方向に、特にTダイでは樹脂を挟むブロック間に温度
差が生じやすい。
【0021】本発明における発泡体の発泡倍率は、1.
8倍以上、気泡径1.2mm以下、好ましくは2倍以上、
気泡径1.0mm以下、最も好ましくは3.2倍以上、気泡
径0.8mm以下のものである。このようなものは強度が
強く弾力性に優れる。本発明の発泡体は板状、シート
状、棒状、チューブ状等各種形状に成形され、断熱材、
包装材、防音材、浮力材等として用いられる。例えば、
バインダーの表紙、壁・床の保護材、通い箱、仕切り
板、食品容器、建材、断熱パイプ等の用途に用いられ
る。
【0022】得られた発泡体には、3次元的に発泡する
為に表面に凹凸が生じる。この凹凸をなくすために、ダ
イ出口に口金を設け、膨脹を適度に制限することにより
スキン層を持った平滑な表面の発泡体を得る方法を用い
ることもできる。口金は、樹脂の進行方向を除く全方向
への膨脹を制限する構造を持つ場合と、板状、シート状
に賦形するために、厚さ方向のみの膨脹を制限し、幅方
向には開放した構造を持つ場合がある。一般的に、これ
らの口金は、適度な温度に水などの冷却媒体を用いて温
度調節される。口金から出た樹脂は、ロール等によって
引き取られる。また、ダイから出た樹脂をロール、ベル
ト等によって挟むことや、成形後に切削により平滑化す
ることによっても発泡体の表面を平滑化することができ
る。
【0023】
【実施例】表1に示す6種のポリプロピレンを用いて、
シート状の発泡体を成形した。
【表1】 MFRは、JIS K6758に従い、230℃、荷重2.16kg
fで測定した。
【0024】成形においては、図1に示すような、口径
40mmφの単軸押出機10のネックにスタティックミキ
サー14を取り付け、さらに400mm幅のTダイ12を
接続したものを用いた。そして、押出機10のシリンダ
の5ヵ所(C1〜C5)、シリンダヘッド22、ネック
(スタティックミキサー14)、ダイ12の各所に、樹
脂温度を調節する為の温調手段24〜31を設けた。温
調手段24〜30には電熱方式、温調手段31は熱媒循
環と電熱方式の併用とした。押出機10のスクリュー2
0としては、次記3種(A〜C)を用いた。 スクリューA:体積圧縮比2.1、L/D=32 スクリューB:体積圧縮比2.7、L/D=32 スクリューC:体積圧縮比3.6、L/D=32 スタティックミキサーは、長さが240mm、口径が4
0mmφ、エレメント数が6個、各エレメントの交叉角
度が90度のものを使用した。各成形において、シリン
ダC3〜C5、シリンダヘッド22、ダイ12の各所にて
温度計32〜36を設け、樹脂の温度を直接測定した。
【0025】得られた各発泡体について、発泡倍率、気
泡径を測定し、また気泡状態を目視で観察した。発泡倍
率は、使用した樹脂の密度を得られた発泡体の見かけの
密度で割った値で示した。ここで見かけの密度は、JIS
K7112のA法(水中置換法)にしたがって測定した。発泡
体の密度測定においては、試験片数を8個とし、平均値
を求めた。
【0026】気泡径は、発泡体を切断して、断面積が1
cm3の範囲の気泡を顕微鏡で観察することにより求め
た。観測される各々の気泡の断面積から、その気泡が真
円である場合の直径(等価円直径)を算出し、観測される
気泡の等価円直径の平均値をその発泡体の気泡径とし
た。
【0027】[実施例 1]上記NO.1のホモポリプロピ
レン(MFR8.0g/10min)を用い、そのポリプロピレ
ン100重量部に対して、分解型発泡剤(重炭酸ナトリウ
ム90%、クエン酸10%、分解開始温度160℃)を
2.0重量部加えて、スクリューA(体積圧縮比:2.
1)を備えた押出機内にホッパー38を経由して押出機
の原料投入口40から投入し、溶融混練した後、6エレ
メントのスタティックミキサーを経由してダイより押出
し、シート状の発泡体を得た。 [実施例 2]上記No.4のブロックポリプロピレンを用
いたこと以外は実施例1と同様にして発泡成形を行っ
た。 [実施例 3]上記No.2のホモポリプロピレンを用いた
こと以外は実施例1と同様にして発泡成形を行った。 [実施例 4]上記No.5のブロックポリプロピレンを用
いたこと以外は、実施例1と同様にして発泡成形を行っ
た。 [実施例 5]スタティックミキサーを装着しないこと
以外は、実施例1と同様にして発泡成形を行った。 [実施例 6]スクリューB(体積圧縮比2.7)を用い
たこと以外は、実施例1と同様にして発泡成形を行っ
た。 [実施例 7]スクリューC(体積圧縮比3.6)を用い
たこと以外は、実施例1と同様にして発泡成形を行っ
た。 [実施例 8]スクリューC(体積圧縮比3.6)を用
い、かつ、スタティックミキサーを装着しなかったこと
以外は、実施例1と同様にして発泡成形を行った。
【0028】[比較例 1]実施例1と同様の樹脂、配
合、押出機を用い、成形条件を表2に示すようにシリン
ダ温度を上げて成形を行った。 [比較例 2]実施例4と同様の樹脂、配合、押出機を
用い、成形条件を表2に示すようにシリンダ温度を上げ
て成形を行った。 [比較例 3]上記No.3のホモポリプロピレン(MFR
0.5g/10min)を用い、実施例1と同様の押出機を用
い、表2に示す押出条件で発泡成形を行った。 [比較例 4]比較例3と同様の樹脂を用いて、実施例
3,4と同様にして発泡成形を試みた。 [比較例 5]上記No.3のホモポリプロピレン(MFR
0.5g/10min)を用い、スクリューC(体積圧縮比3.
6)を使用し、実施例1と同様にして表2に示す押出条
件で発泡成形を行った。 [比較例 6]スタティックミキサーを装着しなかった
こと以外は比較例5と同様にして発泡成形を行った。
【0029】
【表2】
【0030】
【表3】
【0031】表3からわかるように、実施例1〜8であ
ると、発泡倍率が高く、気泡径が小さく、かつ、気泡状
態も均一で独立気泡の形成された発泡体を成形すること
ができた。中でも、押出機のスクリューの体積圧縮比が
3.0以下の実施例1〜6では発泡倍率を特に高められ
ている。また、体積圧縮比が1.9〜2.5の実施例1〜
5では発泡倍率をさらに高められている。さらにスタテ
ィックミキサーを併用した実施例1〜4での発泡倍率は
極めて高いものである。対して、比較例1,2では、発
泡倍率が低下し、気泡が潰れて連続化した。比較例3で
は、発泡倍率が上がらず、気泡が潰れて連続化した。比
較例4では、メルトフローレートが小さいため、樹脂圧
(特にヘッド部)が上昇し、押し出すことができなかっ
た。比較例5,6では、発泡倍率が上がらず、気泡が潰
れて連続化した。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、ポリプロピレンと分解
型発泡剤の混合物を押出機で押し出すことにより発泡さ
せるポリプロピレン発泡体の成形方法において、押出機
の原料投入口からダイ出口までの温度を特定温度範囲に
保つことにより、発泡倍率が高く均一で気泡径の小さな
良質な発泡体を製造することが可能となる。また押出機
に特定の体積圧縮比を有するスクリューを用い、あるい
はスタティックミキサーを装着することによりポリプロ
ピレン本来の性質を失わずにさらに高い発泡倍率と小さ
な気泡径を有する発泡体を製造することを可能とするも
のである。したがって、従来、ポリプロピレンはその特
性により、良質な発泡体を製造することが困難であった
が、本発明によれば改質を必ずしも必要とせずに、ポリ
プロピレン系樹脂を単独で使用しても良質な発泡体を製
造することが可能となり、ポリプロピレン本来の特性を
損なうことがない。このような製造方法により可能とさ
れた発泡倍率1.8倍以上、気泡径1.2mm以下のポリプ
ロピレン発泡体であると、強度と弾力性に優れる上、外
観も良好である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 スタティックミキサーを装着した押出機の一
例を示す側断面図である。
【図2】 スタティックミキサーの一例を示す側面図で
ある。
【図3】 示差走査熱量計による測定を示すグラフであ
る。
【符号の説明】
10 押出機 12 ダイ 14 スタティックミキサー 40 原料投入口
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藤平 隆太郎 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3番2号 昭 和電工株式会社川崎樹脂研究所内 (72)発明者 今泉 光博 神奈川県川崎市川崎区千鳥町3番2号 昭 和電工株式会社川崎樹脂研究所内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ポリプロピレン系樹脂に分解型発泡剤を
    添加し、押出機内で溶融混練後、ダイより押し出して成
    形するポリプロピレン発泡体の製造方法において、 ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートが1〜20
    g/10minであり、押出機の原料投入口からダイ出口迄で
    のポリプロピレン系樹脂の温度をその融解終了温度+1
    5℃以下に保ちながら、押出し成形することを特徴とす
    るポリプロピレン発泡体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記押出機に用いるスクリューの体積圧
    縮比が1.9〜3.0であることを特徴とする請求項1に
    記載のポリプロピレン発泡体の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記押出機とダイとの間にスタティック
    ミキサーが装着されていることを特徴とする請求項1あ
    るいは2に記載のポリプロピレン発泡体の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の方法に
    より製造され、発泡倍率1.8倍以上、気泡径1.2mm以
    下であることを特徴とするポリプロピレン発泡体。
JP8308454A 1996-11-19 1996-11-19 ポリプロピレン発泡体およびその製造方法 Withdrawn JPH10146875A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2013521166A (ja) * 2010-03-09 2013-06-10 テクニップ フランス 押出設備

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