JP2004051793A - 改質ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】溶融張力が高く、再溶融混練した際の溶融張力の低下が防止されて成形性に優れるとともに、臭気がなく、着色が少なく、しかも、コストが低く、品質管理が容易な改質ポリプロピレン系樹脂組成物および成形品を提供する。
【解決手段】改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)メルトフローレートが0.05g/10分〜50g/10分の範囲にあるポリプロピレン系樹脂100重量部に(B)有機過酸化物0.05〜5重量部が配合され、140℃〜300℃で溶融混練されており、(i)押出機により140℃〜280℃の温度範囲で混練した後の、テトラリン中135℃で測定した固有粘度([η])と230℃で測定した溶融張力(MT)の関係が下記式(1)を満たし、かつ(ii)沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下である。(式1)log(MT)>3.31×log[η]−0.710。
【選択図】 なし
【解決手段】改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)メルトフローレートが0.05g/10分〜50g/10分の範囲にあるポリプロピレン系樹脂100重量部に(B)有機過酸化物0.05〜5重量部が配合され、140℃〜300℃で溶融混練されており、(i)押出機により140℃〜280℃の温度範囲で混練した後の、テトラリン中135℃で測定した固有粘度([η])と230℃で測定した溶融張力(MT)の関係が下記式(1)を満たし、かつ(ii)沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下である。(式1)log(MT)>3.31×log[η]−0.710。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、改質ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形品に関する。さらに詳しく言えば、高い溶融張力を有し成形性に優れ、成形品として使用した後に再溶融しても溶融張力の低下が小さく、リサイクル使用することもできる改質ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン系樹脂は、一般的に安価であり、しかも、軽量性、耐薬品性、耐酸性、機械的特性に優れているため各成形分野に広く使用されている。ところで、包装分野では、近年、環境問題に対応するためにリサイクル可能なように高機能化することが要求されている上に、コスト競争が激しくなっている。そのため、リサイクル対応の要求に応えつつ、安価にできる可能性があるポリプロピレン系樹脂を用いることが検討されている。
しかしながら、ポリプロピレン系樹脂は、一般に溶融張力が小さいため発泡成形、中空成形、熱成形、押出成形等の成形性に劣っているという欠点を有していた。
【0003】
この成形性に劣るという問題を解決する方法として、例えば、溶融状態の樹脂中で有機過酸化物と架橋助剤とを反応させる方法(特開昭59−93711号公報、特開昭61−152754号公報など)、予め添加しておいた低分解温度過酸化物を不活性雰囲気で反応させる方法(特開平2−298536号公報)、および樹脂に対して不活性雰囲気中で電子線を照射し熱処理する方法(特開昭62−1217号公報)、ポリプロピレン系樹脂にジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートを反応後に溶融混練りする方法およびその成形品(特開平6−299013号公報、特開平7−138422号公報)などが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら公知の発明の方法で得られたポリプロピレンにおいても、溶融張力が不十分であり、しかも、再溶融混練して成形品製造したときに溶融張力がさらに低下するという問題があった。
さらには、架橋助剤を使用する場合には、その臭気が問題となっていた。また、製造条件によってはゲルが多量に発生したり、添加剤処方によっては着色の原因となったりすることがあった。また、低分解温度過酸化物を使用する場合には、有機過酸化物を低温貯蔵する必要があり、その取り扱い性に問題があった。
【0005】
また、特開平9−12761号公報および特開平9−104789号公報には、高立体規則性、低MFRのポリプロピレン樹脂に電離性放射線を照射して溶融張力が高くリサイクル性良好な樹脂を得る方法が開示されている。この方法は、放射線に対応した特殊な設備内で放射線照射を行う必要がある。そのため、放射線照射処理された樹脂は、ある期間保管されたり輸送されたりすることがあり、その保管あるいは輸送の際にしばしば40℃以上の高温に晒されることがある。このように、40℃以上の温度下で長時間放置されると、MFRが上昇し、溶融張力が低下することがある。これを解決するために、電離線放射線を照射後、40℃以下で保存する方法、あるいは電離放射線照射後、窒素雰囲気下または真空下で熱処理する方法などを採用することもできるが、いずれの方法もコストを高くし、品質管理を難しくするという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の如き従来技術の問題点を解決して、溶融張力が高く、さらに、再溶融混練した際の溶融張力の低下が防止されて成形性に優れるとともに、臭気がなく、着色が少なく、しかも、コストが低く、品質管理が容易な改質ポリプロピレン系樹脂組成物および成形品を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の改質ポリプロピレン系樹脂に有機過酸化物が配合され、押出機により溶融混練された樹脂組成物であって、溶融張力と固有粘度とが特定の関係を満たすものが上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本願請求項1の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)メルトフローレートが0.05g/10分〜50g/10分の範囲にあるポリプロピレン系樹脂100重量部に(B)有機過酸化物0.05〜5重量部が配合され、140℃〜300℃で溶融混練された改質ポリプロピレン系樹脂組成物であって、(i)押出機により140℃〜280℃の温度範囲で混練した後の、テトラリン中135℃で測定した固有粘度([η])と230℃で測定した溶融張力(MT)の関係が下記式(1)を満たし、かつ(ii)沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下であることを特徴としている。
【数3】
【0008】
本願請求項2の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)メルトフローレートが0.05g/10分〜50g/10分の範囲にあるポリプロピレン系樹脂100重量部に(B)有機過酸化物0.05〜5重量部が配合され、140℃〜300℃で溶融混練された樹脂混練物5〜95重量%と、(C)メルトフローレートが0.01〜100g/10分の範囲にあるポリプロピレン系樹脂95〜5重量%とを含有する改質ポリプロピレン系樹脂組成物であって、
(i)押出機により140℃〜280℃の温度範囲で混練した後の、テトラリン中135℃で測定した固有粘度([η])と230℃で測定した溶融張力(MT)の関係が下記式(1)を満たし、かつ(ii)沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下であることを特徴としている。
【数4】
【0009】
【発明の実施の形態】
はじめに、本発明に係る第1の実施形態例の改質ポリプロピレン系樹脂組成物について説明する。本実施形態例の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)ポリプロピレン系樹脂100重量部に(B)有機過酸化物0.05〜5重量部が配合され、140℃〜300℃で溶融混練されたものである。
(A)ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体、プロピレンと他のα−オレフィンと共重合体またはこれらの混合物である。ここで、他のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いてもよい。ただし、ポリプロピレン系樹脂中の他のα−オレフィンの共重合量は多くとも14モル%である。
【0010】
また、(A)ポリプロピレン系樹脂は、さらに溶融張力を高めるために、共重合成分としてポリエンを含有することが好ましい。ポリエンとは、分子内に2個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物のことであり、具体的には以下のようなものが挙げられる。
すなわち、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,5,9−デカトリエンなどの直鎖脂肪族ポリエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘプタジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−オクタジエン、5,6−ジメチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−デカジエン、7−エチル−1,6−デカジエンなどの分岐脂肪族ポリエン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエン−2,5−ノルボルナジエン、1,3−ジビニルシクロペンタジエン、1,3−ジビニルシクロヘキサン、1,4−ジビニルシクロヘキサン、1−アリル−4−ジビニルシクロヘキサン、1,4−ジアリルシクロヘキサン、1,5−ジビニルシクロヘキサン、1,5−ジビニルシクロオクタン、1,5−ジアリルシクロオクタン、1,5−ジアリルシクロオクタン、1,3,4−トリビニルシクロヘキサン、1−イソプロペニル−4−ビニルシクロヘキサン等の脂環族などのポリエン、ジビニルベンゼン、ビニルイソプロペニルベンゼン等の芳香族ポリエンなどが挙げられる。さらに、これらのポリエンは2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0011】
これらのうち、溶融張力をより顕著に高めることができることから、好ましくは、1,6−ヘプタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、1,5,9−デカトリエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−オクタジエン、6−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,3−ジビニルシクロオクタン、1,4−ジビニルシクロヘキサン、1−アリル−4−ジビニルシクロヘキサン、1,4−ジアリルシクロヘキサン、1,3,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼンであり、さらに好ましくは1,9−デカジエンである。
【0012】
(A)ポリプロピレン系樹脂中のポリエンの含有量は通常0.1〜10モル%であり、好ましくは0.12〜8モル%、さらに好ましくは0.15〜7モル%、特に好ましくは0.15〜6モル%である。ポリエンの含有量が0.1モル%未満では溶融張力向上が小さいことがある。一方、10モル%を超えると、ポリプロピレン系樹脂の生産性が悪くなることがあり、しかも成形品の耐熱性および剛性が低下する傾向にある。
また、(A)ポリプロピレン系樹脂が、α−オレフィンとポリエンとを含有する場合には、α−オレフィンとポリエンの合計の含有量は14モル%以下であり、これを超えると剛性および生産性が低下し、有機過酸化物を配合して混練した際にゲル化することがあるのみならず、得られる成形品表面に肌荒れが現れることがある。
【0013】
(A)ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(以下、MFRという)は0.05〜50g/10分の範囲にあり、好ましくは0.1〜45g/10分、さらに好ましくは0.12〜40g/10分、最も好ましくは0.12〜30g/10分の範囲にある。このMFRが0.05g/10分未満であると、(B)有機過酸化物との溶融混練が困難となり、ゲル化することがある。また、後述するように(C)ポリプロピレン系樹脂をさらに配合した場合、均一に混合されずに成形性や成形品の表面状態を悪化させる。一方、MFRが50g/10分を超えると、(B)有機過酸化物と溶融混練しても溶融張力の向上が小さくなり、良好な性能あるいは外観の成形品を得ることが困難になる。なお、ここで、ポリプロピレン系樹脂のMFRは、JIS K7210に準拠し、230℃、荷重2.16kgで測定した値である。
【0014】
(A)ポリプロピレン系樹脂は、温度上昇溶離分別(TemperatureRising Elution Fractionation;以下、TREFと略す)における微分溶出曲線のピーク温度Tpが、通常90℃以上であり、好ましくは100℃以上、より好ましくは105℃以上、さらに好ましくは110℃以上、よりさらに好ましくは114℃以上、特に好ましくは117℃以上、最も好ましくは120℃以上である。(A)ポリプロピレン系樹脂のTREFにおける微分溶出曲線のピーク温度Tpが90℃以上であれば、耐熱性に優れた成形品を得ることができる。
【0015】
ここで、温度上昇溶離分別(TREF)における溶出曲線の測定は周知の技術であり、例えば、Journal of Polymer Science. Vol. 126, 4217−4231(1981)、高分子討論会予稿集2P1C09(昭和63年)などの文献に記載されている原理に基づいて実施される。すなわち、まず対象とされるポリプロピレンを溶媒中で一旦完全に溶解させた後、冷却し、この溶媒中に存在させておいた不活性担体の表面に薄いポリマー層を形成させる。次に、温度を連続または段階的に上昇させて溶出した成分を回収し、その濃度を連続的に検出して、その溶出量と溶出温度との関係によって作成されるグラフを溶出曲線とする。このときの微分溶出曲線におけるピーク温度をTpの値とする。
【0016】
(A)ポリプロピレン系樹脂におけるプロピレン単位3連鎖のトリアドタクティシティー分率[mm](%)は、通常90.0%以上の範囲であり、好ましくは93.0%以上、より好ましくは95.0%以上、さらに好ましくは96.0%以上、よりさらに好ましくは97.0%以上、特に好ましくは98.0%以上、最も好ましくは99.0%以上の範囲である。プロピレン単位3連鎖のトリアドタクティシティー分率[mm](%)は、全プロピレン単位3連鎖の構造中におけるmmの割合を示すものである。すなわち、13C−NMRにおける各プロピレン単位3連鎖中の第2単位目のプロピレンのメチル基に由来するピーク面積を求めることにより算出される。なお、ここでのタクティシティーとは、アイソタクティシティーのことである。
【0017】
(A)ポリプロピレン系樹脂の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnは、通常3.0以上であり、好ましくは3.5〜20.0であり、より好ましくは4.0〜15.0であり、さらに好ましくは4.3〜15.0であり、よりさらに好ましくは4.5〜10.0であり、特に好ましくは4.5〜8.0の範囲である。Mw/Mnが3.0以上であれば、分子量分布が十分に広くなるため、溶融張力をより高くできる。
【0018】
(A)ポリプロピレン系樹脂は、通常、25℃におけるキシレン可溶分が2.0重量%以下であり、好ましくは1.5重量%以下、さらに好ましくは1.0重量%以下、よりさらに好ましくは0.7重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。キシレン可溶分が2.0重量%以下であれば、ゲルが少ないので、成形品の表面外観に優れる。
【0019】
(A)ポリプロピレン系樹脂の融点は、(A)ポリプロピレン系樹脂がプロピレン単独重合体の場合、通常150℃以上であり、好ましくは155℃以上、より好ましくは158℃以上、さらに好ましくは160℃以上、特に好ましくは163℃以上である。融点が150℃以上であれば、耐熱性に優れた成形品を得ることができる。
また、(A)ポリプロピレン系樹脂がプロピレン共重合体の場合、通常120〜160℃の範囲であり、好ましくは130〜155℃の範囲、より好ましくは135〜150℃の範囲である。融点が120〜160℃であれば、均一な混練が可能になり、溶融張力に優れた組成物を得ることができる。また、後述するように、(C)ポリプロピレン系樹脂を含有する場合にも、溶融張力の低下を抑制できる。さらに、融点が前記範囲であれば、ゲルがより少なくなり、外観がより優れた成形品を得ることができる。
【0020】
上述した(A)ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、WO95/31490号などに記載されたものが使用可能である。
【0021】
(B)有機過酸化物としては、公知のものが制限無く使用できるが、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、パーオキシカボネート類が好ましい。これらの具体例としては、例えば、ラウロイルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノールパーオキサイド、オクタノールパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2エチルヘキシサノール、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピオネートモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジセチルパーオキシジカーボネート、ジミリスチリルパーオキシジカーボネート、ジブチルパーオキシジカーボネート等が挙げられるが、これらの中でも、ジセチルパーオキシジカーボネートおよびビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートが好ましく、さらに、これらの中でも、臭気の発生が少ないこと、溶融張力を高める効果が高いこと、および発泡成形した際に均一な発泡成形品を製造しやすいことから、ジセチルパーオキシジカーボネートまたはビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートが特に好ましい。これらの有機過酸化物は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0022】
(B)有機過酸化物は、シリカ、炭酸カルシウム、珪藻土等の粉体や、流動パラフィン、プロセスオイル、ミネラルオイル、水等の液体で希釈されたものであっても構わない。
【0023】
(B)有機過酸化物の配合量は、(A)ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し0.05〜5重量部であり、好ましくは0.1〜3重量部、特に好ましくは0.12〜2重量部である。(B)有機過酸化物の配合量が0.05重量部未満であると、溶融張力が向上せず、改質ポリプロピレン系樹脂組成物が前記式(1)を満たすことが困難となる。また、5重量部を超えると有機過酸化物の種類によっては著しいゲル化が起こって成形が困難になったり、再溶融混練した際に溶融張力が低下したりすることがある。また、成形品の外観を悪化させたり、臭気を発生させたり、着色しやすくなったりする可能性がある。その上、コストが高くなる。
【0024】
(A)ポリプロピレン系樹脂と(B)有機過酸化物とを溶融混練する方法に特に制限は無く、公知の方法で行うことができる。より具体的には、ヘンシェルミキサー、リボンミキサー等を用いて(A)ポリプロピレン系樹脂と(B)有機過酸化物とを混合した後、ミキシングロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機等の溶融混練装置を用いて溶融混練する方法が例示される。溶融混練する際の温度は140〜300℃の範囲であり、好ましくは150〜280℃の範囲である。溶融混練する際の温度が140〜300℃の範囲であれば、(B)有機過酸化物を(A)ポリプロピレン系樹脂に十分に反応させることができる。
【0025】
上述のようにして得られた改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、押出機により140℃〜280℃の温度範囲で混練した後の、テトラリン中135℃で測定した固有粘度([η])と230℃で測定した溶融張力(MT)との関係が下式(1)を満たし、好ましくは下式(2)、さらに好ましくは下式(3)を満たす。
【0026】
【数5】
【0027】
一般的なポリプロピレンにおいて、MTと[η]との関係は、両対数でプロットした場合に直線になり、log(MT)= A×log[η]−B (A,Bは定数)で示した場合、Aは3〜4であり、Bは1〜3の値をとる。そして、MTと[η]との関係が式(1)を満たす場合には、一般的なポリプロピレンと比較してMTが[η]に対して高いことを意味している。MTが[η]に対して高いということは、高い溶融張力を持っている一方で、[η]が比較的低く流動性が高いということになるので、押出成形時に発熱が起こりにくく、押出後の引き取り性も良好になる。したがって、良好な性能あるいは外観の成形品を得ることができる。また、同一の流動性を有する公知のポリプロピレンに比べ高い溶融張力を持っているので、発泡成形、中空成形、真空成形、押出成形等における成形性に優れ、良好な性能あるいは外観の成形品を製造できる。
【0028】
MTおよび[η]を測定する前に、改質ポリプロピレン組成物を押出機で混練する際の温度は、通常140〜280℃であり、好ましくは150〜260℃である。また、使用される押出機としては特に制限は無く、単軸押出機、二軸押出機等を用いてもよく、その押出機のスクリュー構成も特に限定しない。
【0029】
ここで、MTの測定条件は次の通りである。すなわち、東洋精機(株)製のメルトテンションテスター2型装置を用い、その装置内で改質ポリプロピレン系樹脂を温度230℃に加熱し6分間放置後、ノズル(口径2.095mm、L/D=3.8)から速度15mm/分で23℃の空気中に押出したストランドを引き取り速度2.55m/分〜6.4m/分で引き取る。そして、その際にかかる荷重(g)を求めて溶融張力とする。
【0030】
また、改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、押出機により140℃〜280℃の温度範囲で混練した後の、沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下である。沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下であれば、ゲルがほとんど含まれないので、成形性に優れるとともに、リサイクル可能になる。
ここで、沸騰キシレンの抽出残存率の測定方法は次の通りである。まず、改質ポリプロピレン系樹脂組成物を300メッシュ金網の中にいれて、ソックスレー抽出器を用い、250mlの沸騰キシレンで12時間抽出する。次いで、金網を取り出し、真空下(80℃×12時間)乾燥させて、金網に残った抽出残分を秤量して抽出残存率を下記式(4)により算出する。
【0031】
【数6】
【0032】
改質ポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じてフェノール系あるいはホスファイト系などの酸化防止剤、ヒンダードアミン系あるいはベンゾトリアゾール系などの耐侯性安定剤、帯電防止剤、滑剤、防曇剤、電気特性改良剤、加工安定剤、顔料、柔軟剤、造核剤など慣用の各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。中でも、酸化防止剤としてフェノール系のものとホスファイト系のものとを含み、滑剤としてステアリン酸カルシウムを含むことが好ましい。これら添加剤は成形品を製造する際に添加することもできるが、改質ポリプロピレン系樹脂組成物を製造する際に添加することが好ましい。
【0033】
フェノール系酸化防止剤としては公知のものが制限無く使用できるが、酸化防止効果に優れることから、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート]メタン、およびn−オクタデシニル−3−(4’−ヒロキシシニル)プロピオネートを用いることが好ましい。フェノール系酸化防止剤の配合量は、改質ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して通常0.001〜1.5重量部の範囲であり、好ましくは0.002〜1.5重量部、さらに好ましくは0.005〜1.5重量部の範囲である。フェノール系酸化防止剤の配合量が1.5重量部を超えると、ブリードして成形品の外観を損ねたり、着色や臭いの発生の原因になったりすることがある。また、0.001重量部未満であると、その添加の効果が認められないことがある。
【0034】
ホスファイト系酸化防止剤としては公知のものが制限無く使用できるが、酸化防止効果に優れることから、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを用いることが好ましい。ホスファイト系酸化防止剤の配合量は、改質ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して通常0.001〜1.5重量部の範囲であり、好ましくは0.005〜1.5重量部、さらに好ましくは0.01〜1.0重量部の範囲である。ホスファイト系酸化防止剤の配合量が1.5重量部を超えると着色することがある。また、有機過酸化物の添加効果を低下させることがあるので、十分な溶融張力が得られない場合がある。一方、0.001重量部未満であると、その添加の効果が十分に発揮されないことがある。
【0035】
ステアリン酸カルシウムの配合量は、改質ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して0.01〜2重量部の範囲、好ましくは0.02〜1.5重量部の範囲、特に好ましくは0.03〜1.0重量部の範囲である。ステアリン酸カルシウムの配合量が、改質ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して0.01〜2重量部の範囲であれば、他の性能を低下させずに、成形性をより向上させることができる。
【0036】
以上のような第1の実施形態例の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)ポリプロピレン系樹脂100重量部に(B)有機過酸化物を0.05〜5.0重量部配合し溶融混練したものであり、前記式(1)を満たしているので、溶融張力が高い。そのため、発泡成形、中空成形、熱成形、押出成形等の成形性に優れ、特に発泡シート成形に適している。また、沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%未満であり、ゲルが少ないので、再溶融混練した際の溶融張力の低下が防止されて成形性に優れており、リサイクルできる。しかも、架橋助剤を使用しないので、臭気が抑制されている。また、有機過酸化物には制限がなく、適切なものを選択できるので、着色が少ない。また、空気雰囲気下に50℃以上で長時間放置されてもMFRの変化はわずかであり、高温環境下においても溶融張力が低下しにくいので、品質管理が容易である。また、特殊な設備を使用しないので、製造コストを低くできる。
【0037】
次に、本発明に係る第2の実施形態例の改質ポリプロピレン系樹脂組成物について説明する。第2の実施形態例の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)ポリプロピレン系樹脂100重量部に(B)有機過酸化物0.05〜5重量部が配合され、140℃〜300℃で溶融混練された樹脂混練物と、(C)ポリプロピレン系樹脂とを含有するものである。さらに、この改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、第1の実施形態例と同様に、(i)押出機により140℃〜280℃の温度範囲で混練した後の、テトラリン中135℃で測定した固有粘度([η])と230℃で測定した溶融張力(MT)の関係が上記式(1)を満たし、かつ(ii)沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下である。
なお、本実施形態例において、(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)有機過酸化物、それらを溶融混練する方法は、第1の実施形態例と同様であり、説明は省略する。
【0038】
(C)ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、または、プロピレンと他のα−オレフィンの共重合体が使用できる。ここで、他のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、その含有量は14モル%以下である。
【0039】
(C)ポリプロピレン系樹脂は、MFRが0.01〜100g/10分の範囲にあるものであるが、そのMFRは0.05〜100g/10分であることが好ましく、とりわけ0.1〜70g/10分の範囲が好ましい。MFRが0.01〜100g/10分であることにより、改質ポリプロピレン系樹脂組成物の溶融張力をより高くできる。
【0040】
(C)ポリプロピレン系樹脂と、(A)ポリプロピレン系樹脂に(B)有機過酸化物が配合され、溶融混練された樹脂混練物との配合割合は、5〜95重量%/95〜5重量%である。(C)ポリプロピレン系樹脂の配合量が95重量%を超えると、溶融張力が向上しない。また、5重量%未満である場合には、有機過酸化物の使用量を抑制してコストを低減させる効果が少ないので、メリットがほとんどない。
【0041】
(C)ポリプロピレン系樹脂と、(A)ポリプロピレン系樹脂に(B)有機過酸化物が配合され、溶融混練された樹脂混練物とを混合する際には、押出機で混練してもよく、これら成分を成形機に供給し、成形品を製造する際に成形機中で溶融混練してもよい。溶融混練する際の温度としては、十分に混合されることから、140〜300℃であることが好ましい。なお、このとき、有機過酸化物を配合して溶融混練しない。
【0042】
このような第2の実施形態例では、上述した第1の実施形態例と同様の効果が得られる上に、(C)ポリプロピレン系樹脂を配合し、希釈することで、改質ポリプロピレン系樹脂組成物中の(B)有機過酸化物の配合量を相対的に低減させることができるので、ゲル化をより防止できる。
【0043】
次に、本発明の成形品について説明する。本発明の成形品は、上述した改質ポリプロピレン系樹脂組成物が成形されたものである。成形品としての態様には特に制限はないが、改質ポリプロピレン系樹脂組成物を公知の方法により発泡成形した発泡体が特に好適である。
【0044】
ここで、発泡成形の方法としては、分解型発泡剤または揮発性発泡剤とともに改質ポリプロピレン系樹脂組成物を押出機によって押し出す方法や、粒状の改質ポリプロピレン系樹脂組成物に揮発性発泡剤を含浸させた後、成形型内で加熱する方法などが挙げられる。
【0045】
揮発性発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、イソブタン、ネオペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロブタン、シクロペンタンなどの環式脂肪族炭化水素;メチルクロライド、メチレンクロライド、ジクロロフルオロメタン、クロロトリフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、ジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、モノクロロペンタフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、1,2−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素が挙げられる。
また、分解型発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどが挙げられる。さらに他の発泡剤として、二酸化炭素、窒素、水なども使用できる。これらの発泡剤は2種以上を混合して用いることもできる。発泡剤の配合量は、発泡剤の種類および所望する発泡倍率により異なるが、改質ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して通常0.1〜30重量部であり、0.2〜20重量部が好ましい。
【0046】
また、発泡に際し、気泡調整剤としてタルク、微細珪酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカなどの無機粉末;多価カルボン酸の酸性塩;多価カルボン酸と炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ナトリウムの反応物などを少量配合してもよい。さらに、発泡収縮防止剤としてラウリル酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、N−メチルステアリン酸アミド、N−エチルステアリン酸アミド、N,N−ジステアリン酸アミド、ジラウリン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジパルミチン酸アミドなどの高級脂肪族アミド;ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、エイコシルアミン、デコシルアミン、N−メチルオクタデシルアミン、N−エチルオクタデシルアミン、ヘキサデシルプロピレンアミン、オクタデシルプロピレンアミンなどの飽和高級アルキルアミンなどを配合してもよい。
【0047】
発泡方法をより具体的に例示すると、(1)本発明の改質ポリプロピレン系樹脂組成物を、分解型発泡剤とともに押出機により溶融可塑化し、スクリュー、プランジャーまたはアキュームレーター等によりダイヘッドから押し出し発泡させる方法(化学発泡)、(2)押出機内の溶融状態の樹脂に揮発性発泡剤や二酸化炭素あるいは窒素などを注入し、スクリュー、プランジャーまたはアキュームレーター等によりダイヘッドから押し出し発泡させる方法(ガス発泡)などが挙げられる。
上述した製造方法に際しては、2台以上の押し出し機を用いて一方に本発明の改質ポリプロピレン系樹脂組成物、他方に異なる種類の樹脂を供与して、それぞれの押し出し機からダイヘッドに供給することにより、2層以上からなる成形体を製造することも可能である。
【0048】
また、本発明の成形体は、目的の用途に応じてロッド状、シート状、またはボード状など任意の形状とすることができ、また幅、厚みも任意に設定することができる。成形体の形状は成形体の製造方法によって変更可能である。ここで、成 形体の製造方法としては、押出機に円形ダイまたは異形ダイを用いてロッド状物品を得る方法、押出機にTダイを取り付け、シート状またはボード状に押し出し、発泡シートを得る方法、サーキュラーダイを取り付け、円筒状に押し出した後、1ヵ所以上を切り開き、発泡シートを得る方法が適している。さらに、円形ダイ、異形ダイ、またはTダイを取り付け、シート状に押し出し、発泡シートを得る方法では、ロール、キャタピラー等の引き取り機を用いて発泡体を引き取りつつ、冷却装置を備えたロール、金属板、金型、水槽等を用いてリップから出た発泡シートの厚み制御、表面の平滑化を行うことが望ましい。また、サーキュラーダイを取り付け、円筒状に押し出した後、1ヵ所以上を切り開き、発泡シートを得る方法では同様に、引き取り機を用いてシートを引き取りつつ、冷却装置を備えた金属製の筒にリップから出た筒状の発泡体を被せ、冷却しつつ、発泡体をシート状に固定し、表面を平滑にしてから、切り裂くことが望ましい。
【0049】
上述した製造方法により発泡シートを成形した場合には、さらにこの発泡シートを成形して容器にすることができる。その際の、発泡シートの成形方法としては、改質ポリプロピレン系樹脂組成物から発泡シートを製造し、その発泡シートの両端をクランプしたままヒーター等で加熱軟化させ、雌型と雄型、あるいは雌型のみとシートとの隙間を真空にし、可塑化軟化したシートを金型に密着させて賦形し、冷却後金型から取り出して成形品を得る方法が挙げられる。この方法は、成形品を安価に大量生産する真空成形法である。なお、上述した方法において、シートの加熱に熱板を用いることや、シートを金型に密着させるためにプラグおよび圧空等を利用することも可能である。
【0050】
本発明において、上述のように発泡成形する場合には、その発泡倍率は1.5倍以上であり、好ましくは2.0倍以上、より好ましくは2.5倍以上、さらに好ましくは3.0倍以上、よりさらに好ましくは3.3倍以上、特に好ましくは3.6倍以上、最も好ましくは4.0倍以上である。発泡倍率が1.5倍以上未満である場合には、発泡による軽量化などの目的を達成することが困難になる。また、発泡成形により発泡シートを成形する場合、発泡シートの連続気泡率は任意であり、目的の用途に応じて任意に設定できるが、通常は剛性や圧縮応力などの機械的強度の観点から50%以下であり、好ましくは40%以下、さらに好ましくは35%以下、よりさらに好ましくは30%以下、特に好ましくは25%以下、最も好ましくは20%以下である。なお、連続気泡率はASTM D2856の手順Cにより発泡シートの実容積(独立気泡部分の容積と樹脂部分の容積との和)を求めて算出できる。
【0051】
本発明の成形体は、精密機器、電気製品などの梱包緩衝材用途に好適である。また、建築分野などの断熱材、食品などの包装材、物品、壁面などの保護シート、鞄、文具、ドアなどの芯材として用いることができる。また、本発明の成形体は発泡成形用途が好適であり、中でも、特に発泡シート成形用途が好適である。発泡シートが成形された成形体としては、例えば、食品用トレイ、コップ、ドンブリ、ボウル、蓋等、弁当容器、惣菜容器等の食品容器、小物入れ、ファイル表紙、書類ケース、雑貨容器、部品容器、壁面保護材、パネル、通箱、箱内部の仕切り、浮揚材などが挙げられる。
【0052】
【実施例】
以下、具体的な実施例を示して本発明をさらに説明する。なお、以下、実施例において組成および物性は次の方法でそれぞれ測定した。これらの結果は表1〜表3に示す。
[MFRの測定]
JIS K7210に準拠し、附属表A表1、条件Mで測定した。
[コモノマー含量]
核磁気共鳴(13C−NMR)および赤外分光光度計で求めた(単位モル%)。
[トリアドタクシティー分率[mm]の測定]
13C−NMRにより測定した。
[重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnの測定]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した。
[改質ポリプロピレン系樹脂の混練]
サーモ・プラステイック工業(株)製の単軸押出し機により、ホッパー下の温度を190℃、他の押出機バレル温度およびダイス温度を210℃、スクリュー回転数80rpmで混練した。
[溶融張力(MT)]
東洋精機(株)製のメルトテンションテスター2型装置を用い、その装置内で改質ポリプロピレン系樹脂を温度230℃に加熱し6分間放置後、ノズル(口径2.095mm、L/D=3.8)から速度15mm/分で23℃の空気中に押出したストランドを、引き取り速度2.55m/分〜6.4m/分で引き取った。その際にかかった荷重(g)を求めて溶融張力とした。
[固有粘度[η]]
テトラリン中、135℃で測定した。
[沸騰キシレン抽出残存率]
改質ポリプロピレン系樹脂組成物を300メッシュ金網の中にいれて、ソックスレー抽出器を用い、250mlの沸騰キシレンで12時間抽出した。次いで金網を取り出し、真空下(80℃×12時間)乾燥させて、金網に残った抽出残分を秤量して残存率を算出した。
【0053】
[発泡成形]
シリンダーに発泡剤注入口を有する二軸押出機(スクリュー径35mm、L/D=40)を連結した押出機を用いた。発泡剤としては、炭酸ガスを用いた。そして、改質ポリプロピレン系樹脂組成物を第一押出機で樹脂温度を融点以上に上げて溶融させるとともに、発泡剤を注入した。その後、発泡適性温度まで樹脂温度を下げた後、第二押出機にて、直径90mm、ダイギャップ0.5mmのサーキュラーダイを通して170℃で押し出し、発泡させてシート状の発泡体(発泡シート)を作製した。 その際、樹脂の吐出量は30kg/hに調節し、発泡剤の注入量は180g/hに調節した。気泡核剤として、無機系発泡剤マスターバッチ(Clariant社製CF20)を改質ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して2重量部添加した。
[発泡成形品の発泡倍率]
発泡倍率は、使用した樹脂の密度を得られた発泡体の見かけの密度で割った値を示す。ここで、密度は、JIS K7112−1980の、A法(水中置換法)にしたがって測定した。 なお、発泡体の密度測定においては、試験片数を8個とし、平均値を求めた。
[気泡形状]
得られた発泡シートを表面と流れ方向に垂直に切断し、光学顕微鏡により気泡形状を観察した。
[発泡体表面]
得られた発泡体の表面を目視で観察した。なお、表中、○は気泡が独立して表面が平滑な発泡体が得られた場合を示し、×は発泡不良が生じた場合を示している。
【0054】
(実施例1)
MFRが4.5g/10分のホモポリプロピレン樹脂([mm]=98.1%、Mw/Mn=5.2)100重量部に、ジセチルパーオキシジカーボネートを1.0重量部配合した後、190℃において溶融混練することで改質ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。上記条件で混練した改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力(MT)が5.4g、固有粘度[η]が2.05dl/gであり、沸騰キシレンによる抽出残存率が0.48重量%であった。そして、この改質ポリプロピレン系樹脂を用いて発泡成形を行った結果、発泡倍率が3.2倍であった。気泡は独立しており表面が平滑な発泡体が得られた。すなわち、実施例1の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(i)溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たし、かつ(ii)沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下であったので、溶融張力が高く、成形性(発泡性)に優れていた。
【0055】
【表1】
【0056】
(実施例2)
MFRが5.2g/10分、エチレン含有量4.4モル%のエチレン−プロピレンランダム共重合体樹脂100重量部に、ジセチルパーオキシジカーボネート0.75重量部配合した後、190℃において溶融混練することで改質ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。上記条件で混練した改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力が2.7g、固有粘度[η]が1.72dl/g、沸騰キシレンによる抽出残存率が0.25重量%であった。そして、この改質ポリプロピレン系樹脂を用いて発泡成形を行った結果、発泡倍率が3.8倍であり、気泡は独立しており表面が平滑な発泡体が得られた。すなわち、実施例2の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(i)溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たし、かつ(ii)沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下であったので、溶融張力が高く、成形性(発泡性)に優れていた。
【0057】
(実施例3)
MFRが4.5g/10分のホモポリプロピレン樹脂([mm]=99.2%、Mw/Mn=4.7)100重量部に、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート0.75重量部を配合した後、190℃で溶融混練することで改質ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。上記条件で混練した改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力が4.3g、固有粘度[η]が1.84dl/g、沸騰キシレンによる抽出残存率が0.28重量%であった。そして、この改質ポリプロピレン系樹脂組成物を用い、発泡成形を行って発泡体を得た。その発泡体の密度は0.26g/cc、発泡倍率が3.4倍であり、気泡は独立しており表面が平滑な発泡体が得られた。すなわち、実施例3の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(i)溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たし、かつ(ii)沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下であったので、溶融張力が高く、成形性(発泡性)に優れていた。
【0058】
(実施例4)
MFRが7.2g/10分、1,9−デカジエンを1.4モル%含有するランダム共重合体樹脂100重量部に、ジセチルパーオキシジカーボネートを1.0重量部配合した後、190℃で溶融混練して改質ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。そして、上記条件で混練した改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力が5.9g、固有粘度[η]が1.80dl/gであり、沸騰キシレンによる抽出残存率が0.36重量%であった。この改質ポリプロピレン系樹脂組成物を用い、発泡成形を行って発泡体を得た。その発泡体の密度は0.22g/cc、発泡倍率が4.1倍であり、気泡は独立しており表面が平滑な発泡体が得られた。すなわち、実施例4の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(i)溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たし、かつ(ii)沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下であったので、溶融張力が高く、成形性(発泡性)に優れていた。
【0059】
(比較例1)
実施例1において、ジセチルパーオキシジカーボネートを配合しなかった以外は同様に溶融混練することで樹脂組成物を得た。上記条件で混練した樹脂組成物は、溶融張力が1.1g、固有粘度[η]が2.06dl/g、沸騰キシレンの抽出残存率は0重量%であった。そして、この樹脂組成物を用いて実施例1と同様に発泡成形を行ったところ、発泡成形品の密度は0.56g/cc、発泡倍率は1.6倍であり、気泡は連続しており、成形品の外観は不良であった。すなわち、比較例1の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(B)有機過酸化物が配合されず、溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たさなかったので、溶融張力が低く、成形性が低かった。
【0060】
【表2】
【0061】
(比較例2)
実施例2において、ジセチルパーオキシジカーボネートを配合しなかった以外は同様に溶融混練して樹脂組成物を得た。上記条件で混練した樹脂組成物は、溶融張力が0.3g、固有粘度[η]が1.69dl/g、沸騰キシレンの抽出残存率が0重量%であった。そして、この樹脂組成物を用いて実施例1と同様に発泡成形を行ったところ、発泡成形品の密度は0.69g/cc、発泡倍率は1.3倍であり、気泡は連続しており、成形品の外観は不良であった。すなわち、比較例2の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(B)有機過酸化物が配合されず、溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たさなかったので、溶融張力が低く、成形性が低かった。
【0062】
(比較例3)
実施例1で用いたホモポリプロピレン樹脂100重量部に、ジセチルパーオキシジカーボネートを0.02重量部配合した後、190℃で溶融混練することで改質ポリプロピレン系樹脂を得た。上記条件で混練した改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力が1.2g、固有粘度[η]が2.04dl/g、沸騰キシレンの抽出残存率は0重量%であった。そして、この改質ポリプロピレン系樹脂組成物を用いて実施例1と同様に発泡成形を行ったところ、発泡成形品の密度は0.53g/cc、発泡倍率は1.7倍であり、気泡は連続しており、成形品の外観は不良であった。すなわち、比較例3の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(B)有機過酸化物の配合量が0.05重量部未満であり、溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たさなかったので、溶融張力が低く、成形性が低かった。
【0063】
(比較例4)
実施例2で用いたポリプロピレン系樹脂100重量部にビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートを0.02重量部配合した後、190℃で溶融混練することで改質ポリプロピレン系樹脂を得た。上記条件で混練した改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力が0.2g、固有粘度[η]が1.74dl/gであった。そして、この改質ポリプロピレン系樹脂組成物を用いて実施例1と同様に発泡成形を行ったところ、発泡成形品の密度は0.69g/cc、発泡倍率は1.3倍であり、気泡は連続しており、成形品の外観は不良であった。沸騰キシレンの抽出残存率は0重量%であった。すなわち、比較例4の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(B)有機過酸化物の配合量が0.05重量部未満であり、溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たさなかったので、溶融張力が低く、成形性が低かった。
【0064】
(比較例5)
MFRが0.02g/10分のホモポリプロピレン系樹脂100重量部に、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートを0.75重量部配合した後、190℃で溶融混練することで改質ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。上記条件で混練した改質ポリプロピレン系樹脂組成物においては、溶融張力はストランドが切れて測定出来なかった。また、固有粘度[η]が4.9dl/gであり、沸騰キシレンの抽出残存率は1.58重量%であった。実施例1と同条件で発泡成形を試みたが、成形できなかった。すなわち、比較例5の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)ポリプロピレン系樹脂のMFRが0.05g/分未満であり、キシレンの抽出残存率が1.5重量%を超えたので、成形性が低かった。
【0065】
(比較例6)
MFRが92g/10分、エチレン含有量が4.3モル%のポリプロピレン系樹脂100重量部に、ジセチルジカーボネート1.0重量部を配合した後、190℃で溶融混練することで改質ポリプロピレン系樹脂を得た。上記条件で混練した改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力は0.01g以下であり、固有粘度[η]は0.88dl/gであり、沸騰キシレンの抽出残存率は0.02重量%であった。実施例1と同条件で発泡成形を試みたが成形できなかった。すなわち、比較例6の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)ポリプロピレン系樹脂のMFRが50g/分を超えており、溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たさなかったので、溶融張力が低く、成形性が低かった。
【0066】
(実施例5)
実施例1の改質ポリプロピレン系樹脂組成物40重量%に、MFRが5.3g/10分でエチレン含有量が5.1モル%のプロピレン−エチレンランダム共重合体60重量部%をさらに配合し、上記条件で溶融混練りして新たな改質ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。この改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力が4.1g、固有粘度[η]が1.94dl/gであった。また、沸騰キシレンの抽出残存率は0.18%であった。そして、この改質ポリプロピレン系樹脂組成物を用いて実施例1と同様に発泡成形を行ったところ、密度は0.32g/cc、発泡倍率は2.82倍であり、気泡孔は綺麗で破泡もなく均一な発泡体が得られた。また、気泡は独立しており表面が平滑な発泡体が得られた。すなわち、実施例5の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(i)溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たし、かつ(ii)沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下であったので、溶融張力が高く、成形性(発泡性)に優れていた。
【0067】
【表3】
【0068】
(実施例6)
実施例4の改質ポリプロピレン系樹脂組成物50重量%に、MFRが3.5g/10分のホモポリプロピレン樹脂50重量%を配合し、上記条件で混練して新たな改質ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。この改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力が3.6g、固有粘度[η]が1.95dl/g、沸騰キシレンの抽出残存率は0.18重量%であった。この改質ポリプロピレン系樹脂組成物を用いて実施例1と同様に発泡成形を行ったところ、密度は0.29g/cc、発泡倍率は3.1倍であり、気泡は独立しており表面が平滑な発泡体が得られた。すなわち、実施例6の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(i)溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たし、かつ(ii)沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下であったので、溶融張力が高く、成形性(発泡性)に優れていた。
【0069】
(比較例7)
実施例1で得られた改質ポリプロピレン系樹脂2重量%に、MFRが3.4g/10分のホモポリプロピレン樹脂98重量%を配合し、上記の条件で混練して新たな改質ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。この改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力が1.2g、固有粘度[η]が2.04dl/g、沸騰キシレンの抽出残存率が0.01重量%であった。この改質ポリプロピレン系樹脂組成物を実施例1と同様に発泡成形を行ったところ、発泡成形品の密度は0.56g/cc、発泡倍率は1.6倍であり、気泡は連続しており、成形品の外観は不良であった。すなわち、比較例7の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たさなかったので、成形性が低かった。
【0070】
【発明の効果】
本願請求項1の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)ポリプロピレン系樹脂100重量部に(B)有機過酸化物を0.05〜5.0重量部配合し溶融混練したものであり、(i)上記式(1)を満たし、かつ(ii)沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下であるので、溶融張力が高い。また、ゲルが少ないので、再溶融混練した際の溶融張力の低下が防止されて成形性に優れており、リサイクルできる。しかも、架橋助剤を用いないので臭気が抑制される。また、有機過酸化物に制限がなく、適切なものを用いることができるので、着色が少ない。また、空気雰囲気下に50℃以上で長時間放置されても、溶融張力が低下しにくいので、品質管理が容易である。また、特殊な設備を使用しなくてよいので、製造コストを低くできる。
【0071】
本願請求項2の改質ポリプロピレン系樹脂組成物によれば、本願請求項1の改質ポリプロピレン系樹脂組成物と同様の効果が得られる上に、(C)ポリプロピレン系樹脂で希釈されているので、(B)有機過酸化物の配合量が相対的に減少するので、ゲル化がより防止される。
【0072】
本発明の成形体は、上述した改質ポリプロピレン系樹脂組成物が成形されたものであり、溶融張力が高く、ゲルが少ないので、機械的物性などの性能、表面の外観に優れている。また、リサイクルできる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、改質ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形品に関する。さらに詳しく言えば、高い溶融張力を有し成形性に優れ、成形品として使用した後に再溶融しても溶融張力の低下が小さく、リサイクル使用することもできる改質ポリプロピレン系樹脂組成物およびその成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリプロピレン系樹脂は、一般的に安価であり、しかも、軽量性、耐薬品性、耐酸性、機械的特性に優れているため各成形分野に広く使用されている。ところで、包装分野では、近年、環境問題に対応するためにリサイクル可能なように高機能化することが要求されている上に、コスト競争が激しくなっている。そのため、リサイクル対応の要求に応えつつ、安価にできる可能性があるポリプロピレン系樹脂を用いることが検討されている。
しかしながら、ポリプロピレン系樹脂は、一般に溶融張力が小さいため発泡成形、中空成形、熱成形、押出成形等の成形性に劣っているという欠点を有していた。
【0003】
この成形性に劣るという問題を解決する方法として、例えば、溶融状態の樹脂中で有機過酸化物と架橋助剤とを反応させる方法(特開昭59−93711号公報、特開昭61−152754号公報など)、予め添加しておいた低分解温度過酸化物を不活性雰囲気で反応させる方法(特開平2−298536号公報)、および樹脂に対して不活性雰囲気中で電子線を照射し熱処理する方法(特開昭62−1217号公報)、ポリプロピレン系樹脂にジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネートを反応後に溶融混練りする方法およびその成形品(特開平6−299013号公報、特開平7−138422号公報)などが提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら公知の発明の方法で得られたポリプロピレンにおいても、溶融張力が不十分であり、しかも、再溶融混練して成形品製造したときに溶融張力がさらに低下するという問題があった。
さらには、架橋助剤を使用する場合には、その臭気が問題となっていた。また、製造条件によってはゲルが多量に発生したり、添加剤処方によっては着色の原因となったりすることがあった。また、低分解温度過酸化物を使用する場合には、有機過酸化物を低温貯蔵する必要があり、その取り扱い性に問題があった。
【0005】
また、特開平9−12761号公報および特開平9−104789号公報には、高立体規則性、低MFRのポリプロピレン樹脂に電離性放射線を照射して溶融張力が高くリサイクル性良好な樹脂を得る方法が開示されている。この方法は、放射線に対応した特殊な設備内で放射線照射を行う必要がある。そのため、放射線照射処理された樹脂は、ある期間保管されたり輸送されたりすることがあり、その保管あるいは輸送の際にしばしば40℃以上の高温に晒されることがある。このように、40℃以上の温度下で長時間放置されると、MFRが上昇し、溶融張力が低下することがある。これを解決するために、電離線放射線を照射後、40℃以下で保存する方法、あるいは電離放射線照射後、窒素雰囲気下または真空下で熱処理する方法などを採用することもできるが、いずれの方法もコストを高くし、品質管理を難しくするという問題があった。
【0006】
本発明は、上記の如き従来技術の問題点を解決して、溶融張力が高く、さらに、再溶融混練した際の溶融張力の低下が防止されて成形性に優れるとともに、臭気がなく、着色が少なく、しかも、コストが低く、品質管理が容易な改質ポリプロピレン系樹脂組成物および成形品を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、特定の改質ポリプロピレン系樹脂に有機過酸化物が配合され、押出機により溶融混練された樹脂組成物であって、溶融張力と固有粘度とが特定の関係を満たすものが上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本願請求項1の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)メルトフローレートが0.05g/10分〜50g/10分の範囲にあるポリプロピレン系樹脂100重量部に(B)有機過酸化物0.05〜5重量部が配合され、140℃〜300℃で溶融混練された改質ポリプロピレン系樹脂組成物であって、(i)押出機により140℃〜280℃の温度範囲で混練した後の、テトラリン中135℃で測定した固有粘度([η])と230℃で測定した溶融張力(MT)の関係が下記式(1)を満たし、かつ(ii)沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下であることを特徴としている。
【数3】
【0008】
本願請求項2の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)メルトフローレートが0.05g/10分〜50g/10分の範囲にあるポリプロピレン系樹脂100重量部に(B)有機過酸化物0.05〜5重量部が配合され、140℃〜300℃で溶融混練された樹脂混練物5〜95重量%と、(C)メルトフローレートが0.01〜100g/10分の範囲にあるポリプロピレン系樹脂95〜5重量%とを含有する改質ポリプロピレン系樹脂組成物であって、
(i)押出機により140℃〜280℃の温度範囲で混練した後の、テトラリン中135℃で測定した固有粘度([η])と230℃で測定した溶融張力(MT)の関係が下記式(1)を満たし、かつ(ii)沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下であることを特徴としている。
【数4】
【0009】
【発明の実施の形態】
はじめに、本発明に係る第1の実施形態例の改質ポリプロピレン系樹脂組成物について説明する。本実施形態例の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)ポリプロピレン系樹脂100重量部に(B)有機過酸化物0.05〜5重量部が配合され、140℃〜300℃で溶融混練されたものである。
(A)ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンの単独重合体、プロピレンと他のα−オレフィンと共重合体またはこれらの混合物である。ここで、他のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いてもよい。ただし、ポリプロピレン系樹脂中の他のα−オレフィンの共重合量は多くとも14モル%である。
【0010】
また、(A)ポリプロピレン系樹脂は、さらに溶融張力を高めるために、共重合成分としてポリエンを含有することが好ましい。ポリエンとは、分子内に2個以上の炭素−炭素二重結合を有する化合物のことであり、具体的には以下のようなものが挙げられる。
すなわち、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、1,6−ヘプタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,8−ノナジエン、1,9−デカジエン、1,5,9−デカトリエンなどの直鎖脂肪族ポリエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘプタジエン、5−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−オクタジエン、5,6−ジメチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−デカジエン、7−エチル−1,6−デカジエンなどの分岐脂肪族ポリエン、ビニルシクロヘキサン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン、シクロオクタジエン−2,5−ノルボルナジエン、1,3−ジビニルシクロペンタジエン、1,3−ジビニルシクロヘキサン、1,4−ジビニルシクロヘキサン、1−アリル−4−ジビニルシクロヘキサン、1,4−ジアリルシクロヘキサン、1,5−ジビニルシクロヘキサン、1,5−ジビニルシクロオクタン、1,5−ジアリルシクロオクタン、1,5−ジアリルシクロオクタン、1,3,4−トリビニルシクロヘキサン、1−イソプロペニル−4−ビニルシクロヘキサン等の脂環族などのポリエン、ジビニルベンゼン、ビニルイソプロペニルベンゼン等の芳香族ポリエンなどが挙げられる。さらに、これらのポリエンは2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0011】
これらのうち、溶融張力をより顕著に高めることができることから、好ましくは、1,6−ヘプタジエン、1,6−オクタジエン、1,7−オクタジエン、1,9−デカジエン、1,5,9−デカトリエン、4−メチル−1,4−ヘキサジエン、5−メチル−1,4−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、6−メチル−1,5−オクタジエン、6−メチル−1,6−オクタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン、1,3−ジビニルシクロオクタン、1,4−ジビニルシクロヘキサン、1−アリル−4−ジビニルシクロヘキサン、1,4−ジアリルシクロヘキサン、1,3,4−トリビニルシクロヘキサン、ジビニルベンゼンであり、さらに好ましくは1,9−デカジエンである。
【0012】
(A)ポリプロピレン系樹脂中のポリエンの含有量は通常0.1〜10モル%であり、好ましくは0.12〜8モル%、さらに好ましくは0.15〜7モル%、特に好ましくは0.15〜6モル%である。ポリエンの含有量が0.1モル%未満では溶融張力向上が小さいことがある。一方、10モル%を超えると、ポリプロピレン系樹脂の生産性が悪くなることがあり、しかも成形品の耐熱性および剛性が低下する傾向にある。
また、(A)ポリプロピレン系樹脂が、α−オレフィンとポリエンとを含有する場合には、α−オレフィンとポリエンの合計の含有量は14モル%以下であり、これを超えると剛性および生産性が低下し、有機過酸化物を配合して混練した際にゲル化することがあるのみならず、得られる成形品表面に肌荒れが現れることがある。
【0013】
(A)ポリプロピレン系樹脂のメルトフローレート(以下、MFRという)は0.05〜50g/10分の範囲にあり、好ましくは0.1〜45g/10分、さらに好ましくは0.12〜40g/10分、最も好ましくは0.12〜30g/10分の範囲にある。このMFRが0.05g/10分未満であると、(B)有機過酸化物との溶融混練が困難となり、ゲル化することがある。また、後述するように(C)ポリプロピレン系樹脂をさらに配合した場合、均一に混合されずに成形性や成形品の表面状態を悪化させる。一方、MFRが50g/10分を超えると、(B)有機過酸化物と溶融混練しても溶融張力の向上が小さくなり、良好な性能あるいは外観の成形品を得ることが困難になる。なお、ここで、ポリプロピレン系樹脂のMFRは、JIS K7210に準拠し、230℃、荷重2.16kgで測定した値である。
【0014】
(A)ポリプロピレン系樹脂は、温度上昇溶離分別(TemperatureRising Elution Fractionation;以下、TREFと略す)における微分溶出曲線のピーク温度Tpが、通常90℃以上であり、好ましくは100℃以上、より好ましくは105℃以上、さらに好ましくは110℃以上、よりさらに好ましくは114℃以上、特に好ましくは117℃以上、最も好ましくは120℃以上である。(A)ポリプロピレン系樹脂のTREFにおける微分溶出曲線のピーク温度Tpが90℃以上であれば、耐熱性に優れた成形品を得ることができる。
【0015】
ここで、温度上昇溶離分別(TREF)における溶出曲線の測定は周知の技術であり、例えば、Journal of Polymer Science. Vol. 126, 4217−4231(1981)、高分子討論会予稿集2P1C09(昭和63年)などの文献に記載されている原理に基づいて実施される。すなわち、まず対象とされるポリプロピレンを溶媒中で一旦完全に溶解させた後、冷却し、この溶媒中に存在させておいた不活性担体の表面に薄いポリマー層を形成させる。次に、温度を連続または段階的に上昇させて溶出した成分を回収し、その濃度を連続的に検出して、その溶出量と溶出温度との関係によって作成されるグラフを溶出曲線とする。このときの微分溶出曲線におけるピーク温度をTpの値とする。
【0016】
(A)ポリプロピレン系樹脂におけるプロピレン単位3連鎖のトリアドタクティシティー分率[mm](%)は、通常90.0%以上の範囲であり、好ましくは93.0%以上、より好ましくは95.0%以上、さらに好ましくは96.0%以上、よりさらに好ましくは97.0%以上、特に好ましくは98.0%以上、最も好ましくは99.0%以上の範囲である。プロピレン単位3連鎖のトリアドタクティシティー分率[mm](%)は、全プロピレン単位3連鎖の構造中におけるmmの割合を示すものである。すなわち、13C−NMRにおける各プロピレン単位3連鎖中の第2単位目のプロピレンのメチル基に由来するピーク面積を求めることにより算出される。なお、ここでのタクティシティーとは、アイソタクティシティーのことである。
【0017】
(A)ポリプロピレン系樹脂の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnの比Mw/Mnは、通常3.0以上であり、好ましくは3.5〜20.0であり、より好ましくは4.0〜15.0であり、さらに好ましくは4.3〜15.0であり、よりさらに好ましくは4.5〜10.0であり、特に好ましくは4.5〜8.0の範囲である。Mw/Mnが3.0以上であれば、分子量分布が十分に広くなるため、溶融張力をより高くできる。
【0018】
(A)ポリプロピレン系樹脂は、通常、25℃におけるキシレン可溶分が2.0重量%以下であり、好ましくは1.5重量%以下、さらに好ましくは1.0重量%以下、よりさらに好ましくは0.7重量%以下、特に好ましくは0.5重量%以下である。キシレン可溶分が2.0重量%以下であれば、ゲルが少ないので、成形品の表面外観に優れる。
【0019】
(A)ポリプロピレン系樹脂の融点は、(A)ポリプロピレン系樹脂がプロピレン単独重合体の場合、通常150℃以上であり、好ましくは155℃以上、より好ましくは158℃以上、さらに好ましくは160℃以上、特に好ましくは163℃以上である。融点が150℃以上であれば、耐熱性に優れた成形品を得ることができる。
また、(A)ポリプロピレン系樹脂がプロピレン共重合体の場合、通常120〜160℃の範囲であり、好ましくは130〜155℃の範囲、より好ましくは135〜150℃の範囲である。融点が120〜160℃であれば、均一な混練が可能になり、溶融張力に優れた組成物を得ることができる。また、後述するように、(C)ポリプロピレン系樹脂を含有する場合にも、溶融張力の低下を抑制できる。さらに、融点が前記範囲であれば、ゲルがより少なくなり、外観がより優れた成形品を得ることができる。
【0020】
上述した(A)ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、WO95/31490号などに記載されたものが使用可能である。
【0021】
(B)有機過酸化物としては、公知のものが制限無く使用できるが、ジアシルパーオキサイド類、パーオキシエステル類、パーオキシカボネート類が好ましい。これらの具体例としては、例えば、ラウロイルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノールパーオキサイド、オクタノールパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ2エチルヘキシサノール、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピオネートモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキシルモノカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジセチルパーオキシジカーボネート、ジミリスチリルパーオキシジカーボネート、ジブチルパーオキシジカーボネート等が挙げられるが、これらの中でも、ジセチルパーオキシジカーボネートおよびビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートが好ましく、さらに、これらの中でも、臭気の発生が少ないこと、溶融張力を高める効果が高いこと、および発泡成形した際に均一な発泡成形品を製造しやすいことから、ジセチルパーオキシジカーボネートまたはビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートが特に好ましい。これらの有機過酸化物は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
【0022】
(B)有機過酸化物は、シリカ、炭酸カルシウム、珪藻土等の粉体や、流動パラフィン、プロセスオイル、ミネラルオイル、水等の液体で希釈されたものであっても構わない。
【0023】
(B)有機過酸化物の配合量は、(A)ポリプロピレン系樹脂100重量部に対し0.05〜5重量部であり、好ましくは0.1〜3重量部、特に好ましくは0.12〜2重量部である。(B)有機過酸化物の配合量が0.05重量部未満であると、溶融張力が向上せず、改質ポリプロピレン系樹脂組成物が前記式(1)を満たすことが困難となる。また、5重量部を超えると有機過酸化物の種類によっては著しいゲル化が起こって成形が困難になったり、再溶融混練した際に溶融張力が低下したりすることがある。また、成形品の外観を悪化させたり、臭気を発生させたり、着色しやすくなったりする可能性がある。その上、コストが高くなる。
【0024】
(A)ポリプロピレン系樹脂と(B)有機過酸化物とを溶融混練する方法に特に制限は無く、公知の方法で行うことができる。より具体的には、ヘンシェルミキサー、リボンミキサー等を用いて(A)ポリプロピレン系樹脂と(B)有機過酸化物とを混合した後、ミキシングロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸もしくは二軸押出機等の溶融混練装置を用いて溶融混練する方法が例示される。溶融混練する際の温度は140〜300℃の範囲であり、好ましくは150〜280℃の範囲である。溶融混練する際の温度が140〜300℃の範囲であれば、(B)有機過酸化物を(A)ポリプロピレン系樹脂に十分に反応させることができる。
【0025】
上述のようにして得られた改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、押出機により140℃〜280℃の温度範囲で混練した後の、テトラリン中135℃で測定した固有粘度([η])と230℃で測定した溶融張力(MT)との関係が下式(1)を満たし、好ましくは下式(2)、さらに好ましくは下式(3)を満たす。
【0026】
【数5】
【0027】
一般的なポリプロピレンにおいて、MTと[η]との関係は、両対数でプロットした場合に直線になり、log(MT)= A×log[η]−B (A,Bは定数)で示した場合、Aは3〜4であり、Bは1〜3の値をとる。そして、MTと[η]との関係が式(1)を満たす場合には、一般的なポリプロピレンと比較してMTが[η]に対して高いことを意味している。MTが[η]に対して高いということは、高い溶融張力を持っている一方で、[η]が比較的低く流動性が高いということになるので、押出成形時に発熱が起こりにくく、押出後の引き取り性も良好になる。したがって、良好な性能あるいは外観の成形品を得ることができる。また、同一の流動性を有する公知のポリプロピレンに比べ高い溶融張力を持っているので、発泡成形、中空成形、真空成形、押出成形等における成形性に優れ、良好な性能あるいは外観の成形品を製造できる。
【0028】
MTおよび[η]を測定する前に、改質ポリプロピレン組成物を押出機で混練する際の温度は、通常140〜280℃であり、好ましくは150〜260℃である。また、使用される押出機としては特に制限は無く、単軸押出機、二軸押出機等を用いてもよく、その押出機のスクリュー構成も特に限定しない。
【0029】
ここで、MTの測定条件は次の通りである。すなわち、東洋精機(株)製のメルトテンションテスター2型装置を用い、その装置内で改質ポリプロピレン系樹脂を温度230℃に加熱し6分間放置後、ノズル(口径2.095mm、L/D=3.8)から速度15mm/分で23℃の空気中に押出したストランドを引き取り速度2.55m/分〜6.4m/分で引き取る。そして、その際にかかる荷重(g)を求めて溶融張力とする。
【0030】
また、改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、押出機により140℃〜280℃の温度範囲で混練した後の、沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下である。沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下であれば、ゲルがほとんど含まれないので、成形性に優れるとともに、リサイクル可能になる。
ここで、沸騰キシレンの抽出残存率の測定方法は次の通りである。まず、改質ポリプロピレン系樹脂組成物を300メッシュ金網の中にいれて、ソックスレー抽出器を用い、250mlの沸騰キシレンで12時間抽出する。次いで、金網を取り出し、真空下(80℃×12時間)乾燥させて、金網に残った抽出残分を秤量して抽出残存率を下記式(4)により算出する。
【0031】
【数6】
【0032】
改質ポリプロピレン系樹脂組成物には、必要に応じてフェノール系あるいはホスファイト系などの酸化防止剤、ヒンダードアミン系あるいはベンゾトリアゾール系などの耐侯性安定剤、帯電防止剤、滑剤、防曇剤、電気特性改良剤、加工安定剤、顔料、柔軟剤、造核剤など慣用の各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で添加することができる。中でも、酸化防止剤としてフェノール系のものとホスファイト系のものとを含み、滑剤としてステアリン酸カルシウムを含むことが好ましい。これら添加剤は成形品を製造する際に添加することもできるが、改質ポリプロピレン系樹脂組成物を製造する際に添加することが好ましい。
【0033】
フェノール系酸化防止剤としては公知のものが制限無く使用できるが、酸化防止効果に優れることから、テトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−4−ヒドロキシフェノール)プロピオネート]メタン、およびn−オクタデシニル−3−(4’−ヒロキシシニル)プロピオネートを用いることが好ましい。フェノール系酸化防止剤の配合量は、改質ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して通常0.001〜1.5重量部の範囲であり、好ましくは0.002〜1.5重量部、さらに好ましくは0.005〜1.5重量部の範囲である。フェノール系酸化防止剤の配合量が1.5重量部を超えると、ブリードして成形品の外観を損ねたり、着色や臭いの発生の原因になったりすることがある。また、0.001重量部未満であると、その添加の効果が認められないことがある。
【0034】
ホスファイト系酸化防止剤としては公知のものが制限無く使用できるが、酸化防止効果に優れることから、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイトを用いることが好ましい。ホスファイト系酸化防止剤の配合量は、改質ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して通常0.001〜1.5重量部の範囲であり、好ましくは0.005〜1.5重量部、さらに好ましくは0.01〜1.0重量部の範囲である。ホスファイト系酸化防止剤の配合量が1.5重量部を超えると着色することがある。また、有機過酸化物の添加効果を低下させることがあるので、十分な溶融張力が得られない場合がある。一方、0.001重量部未満であると、その添加の効果が十分に発揮されないことがある。
【0035】
ステアリン酸カルシウムの配合量は、改質ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して0.01〜2重量部の範囲、好ましくは0.02〜1.5重量部の範囲、特に好ましくは0.03〜1.0重量部の範囲である。ステアリン酸カルシウムの配合量が、改質ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して0.01〜2重量部の範囲であれば、他の性能を低下させずに、成形性をより向上させることができる。
【0036】
以上のような第1の実施形態例の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)ポリプロピレン系樹脂100重量部に(B)有機過酸化物を0.05〜5.0重量部配合し溶融混練したものであり、前記式(1)を満たしているので、溶融張力が高い。そのため、発泡成形、中空成形、熱成形、押出成形等の成形性に優れ、特に発泡シート成形に適している。また、沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%未満であり、ゲルが少ないので、再溶融混練した際の溶融張力の低下が防止されて成形性に優れており、リサイクルできる。しかも、架橋助剤を使用しないので、臭気が抑制されている。また、有機過酸化物には制限がなく、適切なものを選択できるので、着色が少ない。また、空気雰囲気下に50℃以上で長時間放置されてもMFRの変化はわずかであり、高温環境下においても溶融張力が低下しにくいので、品質管理が容易である。また、特殊な設備を使用しないので、製造コストを低くできる。
【0037】
次に、本発明に係る第2の実施形態例の改質ポリプロピレン系樹脂組成物について説明する。第2の実施形態例の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)ポリプロピレン系樹脂100重量部に(B)有機過酸化物0.05〜5重量部が配合され、140℃〜300℃で溶融混練された樹脂混練物と、(C)ポリプロピレン系樹脂とを含有するものである。さらに、この改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、第1の実施形態例と同様に、(i)押出機により140℃〜280℃の温度範囲で混練した後の、テトラリン中135℃で測定した固有粘度([η])と230℃で測定した溶融張力(MT)の関係が上記式(1)を満たし、かつ(ii)沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下である。
なお、本実施形態例において、(A)ポリプロピレン系樹脂、(B)有機過酸化物、それらを溶融混練する方法は、第1の実施形態例と同様であり、説明は省略する。
【0038】
(C)ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレンの単独重合体、または、プロピレンと他のα−オレフィンの共重合体が使用できる。ここで、他のα−オレフィンとしては、例えば、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられ、その含有量は14モル%以下である。
【0039】
(C)ポリプロピレン系樹脂は、MFRが0.01〜100g/10分の範囲にあるものであるが、そのMFRは0.05〜100g/10分であることが好ましく、とりわけ0.1〜70g/10分の範囲が好ましい。MFRが0.01〜100g/10分であることにより、改質ポリプロピレン系樹脂組成物の溶融張力をより高くできる。
【0040】
(C)ポリプロピレン系樹脂と、(A)ポリプロピレン系樹脂に(B)有機過酸化物が配合され、溶融混練された樹脂混練物との配合割合は、5〜95重量%/95〜5重量%である。(C)ポリプロピレン系樹脂の配合量が95重量%を超えると、溶融張力が向上しない。また、5重量%未満である場合には、有機過酸化物の使用量を抑制してコストを低減させる効果が少ないので、メリットがほとんどない。
【0041】
(C)ポリプロピレン系樹脂と、(A)ポリプロピレン系樹脂に(B)有機過酸化物が配合され、溶融混練された樹脂混練物とを混合する際には、押出機で混練してもよく、これら成分を成形機に供給し、成形品を製造する際に成形機中で溶融混練してもよい。溶融混練する際の温度としては、十分に混合されることから、140〜300℃であることが好ましい。なお、このとき、有機過酸化物を配合して溶融混練しない。
【0042】
このような第2の実施形態例では、上述した第1の実施形態例と同様の効果が得られる上に、(C)ポリプロピレン系樹脂を配合し、希釈することで、改質ポリプロピレン系樹脂組成物中の(B)有機過酸化物の配合量を相対的に低減させることができるので、ゲル化をより防止できる。
【0043】
次に、本発明の成形品について説明する。本発明の成形品は、上述した改質ポリプロピレン系樹脂組成物が成形されたものである。成形品としての態様には特に制限はないが、改質ポリプロピレン系樹脂組成物を公知の方法により発泡成形した発泡体が特に好適である。
【0044】
ここで、発泡成形の方法としては、分解型発泡剤または揮発性発泡剤とともに改質ポリプロピレン系樹脂組成物を押出機によって押し出す方法や、粒状の改質ポリプロピレン系樹脂組成物に揮発性発泡剤を含浸させた後、成形型内で加熱する方法などが挙げられる。
【0045】
揮発性発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、イソブタン、ネオペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロブタン、シクロペンタンなどの環式脂肪族炭化水素;メチルクロライド、メチレンクロライド、ジクロロフルオロメタン、クロロトリフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、ジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、モノクロロペンタフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1−クロロ−1,1−ジフルオロエタン、1,2−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン、1,1−ジクロロ−1−フルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素が挙げられる。
また、分解型発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどが挙げられる。さらに他の発泡剤として、二酸化炭素、窒素、水なども使用できる。これらの発泡剤は2種以上を混合して用いることもできる。発泡剤の配合量は、発泡剤の種類および所望する発泡倍率により異なるが、改質ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して通常0.1〜30重量部であり、0.2〜20重量部が好ましい。
【0046】
また、発泡に際し、気泡調整剤としてタルク、微細珪酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカなどの無機粉末;多価カルボン酸の酸性塩;多価カルボン酸と炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ナトリウムの反応物などを少量配合してもよい。さらに、発泡収縮防止剤としてラウリル酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、N−メチルステアリン酸アミド、N−エチルステアリン酸アミド、N,N−ジステアリン酸アミド、ジラウリン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジパルミチン酸アミドなどの高級脂肪族アミド;ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミン、エイコシルアミン、デコシルアミン、N−メチルオクタデシルアミン、N−エチルオクタデシルアミン、ヘキサデシルプロピレンアミン、オクタデシルプロピレンアミンなどの飽和高級アルキルアミンなどを配合してもよい。
【0047】
発泡方法をより具体的に例示すると、(1)本発明の改質ポリプロピレン系樹脂組成物を、分解型発泡剤とともに押出機により溶融可塑化し、スクリュー、プランジャーまたはアキュームレーター等によりダイヘッドから押し出し発泡させる方法(化学発泡)、(2)押出機内の溶融状態の樹脂に揮発性発泡剤や二酸化炭素あるいは窒素などを注入し、スクリュー、プランジャーまたはアキュームレーター等によりダイヘッドから押し出し発泡させる方法(ガス発泡)などが挙げられる。
上述した製造方法に際しては、2台以上の押し出し機を用いて一方に本発明の改質ポリプロピレン系樹脂組成物、他方に異なる種類の樹脂を供与して、それぞれの押し出し機からダイヘッドに供給することにより、2層以上からなる成形体を製造することも可能である。
【0048】
また、本発明の成形体は、目的の用途に応じてロッド状、シート状、またはボード状など任意の形状とすることができ、また幅、厚みも任意に設定することができる。成形体の形状は成形体の製造方法によって変更可能である。ここで、成 形体の製造方法としては、押出機に円形ダイまたは異形ダイを用いてロッド状物品を得る方法、押出機にTダイを取り付け、シート状またはボード状に押し出し、発泡シートを得る方法、サーキュラーダイを取り付け、円筒状に押し出した後、1ヵ所以上を切り開き、発泡シートを得る方法が適している。さらに、円形ダイ、異形ダイ、またはTダイを取り付け、シート状に押し出し、発泡シートを得る方法では、ロール、キャタピラー等の引き取り機を用いて発泡体を引き取りつつ、冷却装置を備えたロール、金属板、金型、水槽等を用いてリップから出た発泡シートの厚み制御、表面の平滑化を行うことが望ましい。また、サーキュラーダイを取り付け、円筒状に押し出した後、1ヵ所以上を切り開き、発泡シートを得る方法では同様に、引き取り機を用いてシートを引き取りつつ、冷却装置を備えた金属製の筒にリップから出た筒状の発泡体を被せ、冷却しつつ、発泡体をシート状に固定し、表面を平滑にしてから、切り裂くことが望ましい。
【0049】
上述した製造方法により発泡シートを成形した場合には、さらにこの発泡シートを成形して容器にすることができる。その際の、発泡シートの成形方法としては、改質ポリプロピレン系樹脂組成物から発泡シートを製造し、その発泡シートの両端をクランプしたままヒーター等で加熱軟化させ、雌型と雄型、あるいは雌型のみとシートとの隙間を真空にし、可塑化軟化したシートを金型に密着させて賦形し、冷却後金型から取り出して成形品を得る方法が挙げられる。この方法は、成形品を安価に大量生産する真空成形法である。なお、上述した方法において、シートの加熱に熱板を用いることや、シートを金型に密着させるためにプラグおよび圧空等を利用することも可能である。
【0050】
本発明において、上述のように発泡成形する場合には、その発泡倍率は1.5倍以上であり、好ましくは2.0倍以上、より好ましくは2.5倍以上、さらに好ましくは3.0倍以上、よりさらに好ましくは3.3倍以上、特に好ましくは3.6倍以上、最も好ましくは4.0倍以上である。発泡倍率が1.5倍以上未満である場合には、発泡による軽量化などの目的を達成することが困難になる。また、発泡成形により発泡シートを成形する場合、発泡シートの連続気泡率は任意であり、目的の用途に応じて任意に設定できるが、通常は剛性や圧縮応力などの機械的強度の観点から50%以下であり、好ましくは40%以下、さらに好ましくは35%以下、よりさらに好ましくは30%以下、特に好ましくは25%以下、最も好ましくは20%以下である。なお、連続気泡率はASTM D2856の手順Cにより発泡シートの実容積(独立気泡部分の容積と樹脂部分の容積との和)を求めて算出できる。
【0051】
本発明の成形体は、精密機器、電気製品などの梱包緩衝材用途に好適である。また、建築分野などの断熱材、食品などの包装材、物品、壁面などの保護シート、鞄、文具、ドアなどの芯材として用いることができる。また、本発明の成形体は発泡成形用途が好適であり、中でも、特に発泡シート成形用途が好適である。発泡シートが成形された成形体としては、例えば、食品用トレイ、コップ、ドンブリ、ボウル、蓋等、弁当容器、惣菜容器等の食品容器、小物入れ、ファイル表紙、書類ケース、雑貨容器、部品容器、壁面保護材、パネル、通箱、箱内部の仕切り、浮揚材などが挙げられる。
【0052】
【実施例】
以下、具体的な実施例を示して本発明をさらに説明する。なお、以下、実施例において組成および物性は次の方法でそれぞれ測定した。これらの結果は表1〜表3に示す。
[MFRの測定]
JIS K7210に準拠し、附属表A表1、条件Mで測定した。
[コモノマー含量]
核磁気共鳴(13C−NMR)および赤外分光光度計で求めた(単位モル%)。
[トリアドタクシティー分率[mm]の測定]
13C−NMRにより測定した。
[重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnの測定]
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した。
[改質ポリプロピレン系樹脂の混練]
サーモ・プラステイック工業(株)製の単軸押出し機により、ホッパー下の温度を190℃、他の押出機バレル温度およびダイス温度を210℃、スクリュー回転数80rpmで混練した。
[溶融張力(MT)]
東洋精機(株)製のメルトテンションテスター2型装置を用い、その装置内で改質ポリプロピレン系樹脂を温度230℃に加熱し6分間放置後、ノズル(口径2.095mm、L/D=3.8)から速度15mm/分で23℃の空気中に押出したストランドを、引き取り速度2.55m/分〜6.4m/分で引き取った。その際にかかった荷重(g)を求めて溶融張力とした。
[固有粘度[η]]
テトラリン中、135℃で測定した。
[沸騰キシレン抽出残存率]
改質ポリプロピレン系樹脂組成物を300メッシュ金網の中にいれて、ソックスレー抽出器を用い、250mlの沸騰キシレンで12時間抽出した。次いで金網を取り出し、真空下(80℃×12時間)乾燥させて、金網に残った抽出残分を秤量して残存率を算出した。
【0053】
[発泡成形]
シリンダーに発泡剤注入口を有する二軸押出機(スクリュー径35mm、L/D=40)を連結した押出機を用いた。発泡剤としては、炭酸ガスを用いた。そして、改質ポリプロピレン系樹脂組成物を第一押出機で樹脂温度を融点以上に上げて溶融させるとともに、発泡剤を注入した。その後、発泡適性温度まで樹脂温度を下げた後、第二押出機にて、直径90mm、ダイギャップ0.5mmのサーキュラーダイを通して170℃で押し出し、発泡させてシート状の発泡体(発泡シート)を作製した。 その際、樹脂の吐出量は30kg/hに調節し、発泡剤の注入量は180g/hに調節した。気泡核剤として、無機系発泡剤マスターバッチ(Clariant社製CF20)を改質ポリプロピレン系樹脂組成物100重量部に対して2重量部添加した。
[発泡成形品の発泡倍率]
発泡倍率は、使用した樹脂の密度を得られた発泡体の見かけの密度で割った値を示す。ここで、密度は、JIS K7112−1980の、A法(水中置換法)にしたがって測定した。 なお、発泡体の密度測定においては、試験片数を8個とし、平均値を求めた。
[気泡形状]
得られた発泡シートを表面と流れ方向に垂直に切断し、光学顕微鏡により気泡形状を観察した。
[発泡体表面]
得られた発泡体の表面を目視で観察した。なお、表中、○は気泡が独立して表面が平滑な発泡体が得られた場合を示し、×は発泡不良が生じた場合を示している。
【0054】
(実施例1)
MFRが4.5g/10分のホモポリプロピレン樹脂([mm]=98.1%、Mw/Mn=5.2)100重量部に、ジセチルパーオキシジカーボネートを1.0重量部配合した後、190℃において溶融混練することで改質ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。上記条件で混練した改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力(MT)が5.4g、固有粘度[η]が2.05dl/gであり、沸騰キシレンによる抽出残存率が0.48重量%であった。そして、この改質ポリプロピレン系樹脂を用いて発泡成形を行った結果、発泡倍率が3.2倍であった。気泡は独立しており表面が平滑な発泡体が得られた。すなわち、実施例1の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(i)溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たし、かつ(ii)沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下であったので、溶融張力が高く、成形性(発泡性)に優れていた。
【0055】
【表1】
【0056】
(実施例2)
MFRが5.2g/10分、エチレン含有量4.4モル%のエチレン−プロピレンランダム共重合体樹脂100重量部に、ジセチルパーオキシジカーボネート0.75重量部配合した後、190℃において溶融混練することで改質ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。上記条件で混練した改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力が2.7g、固有粘度[η]が1.72dl/g、沸騰キシレンによる抽出残存率が0.25重量%であった。そして、この改質ポリプロピレン系樹脂を用いて発泡成形を行った結果、発泡倍率が3.8倍であり、気泡は独立しており表面が平滑な発泡体が得られた。すなわち、実施例2の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(i)溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たし、かつ(ii)沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下であったので、溶融張力が高く、成形性(発泡性)に優れていた。
【0057】
(実施例3)
MFRが4.5g/10分のホモポリプロピレン樹脂([mm]=99.2%、Mw/Mn=4.7)100重量部に、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート0.75重量部を配合した後、190℃で溶融混練することで改質ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。上記条件で混練した改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力が4.3g、固有粘度[η]が1.84dl/g、沸騰キシレンによる抽出残存率が0.28重量%であった。そして、この改質ポリプロピレン系樹脂組成物を用い、発泡成形を行って発泡体を得た。その発泡体の密度は0.26g/cc、発泡倍率が3.4倍であり、気泡は独立しており表面が平滑な発泡体が得られた。すなわち、実施例3の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(i)溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たし、かつ(ii)沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下であったので、溶融張力が高く、成形性(発泡性)に優れていた。
【0058】
(実施例4)
MFRが7.2g/10分、1,9−デカジエンを1.4モル%含有するランダム共重合体樹脂100重量部に、ジセチルパーオキシジカーボネートを1.0重量部配合した後、190℃で溶融混練して改質ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。そして、上記条件で混練した改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力が5.9g、固有粘度[η]が1.80dl/gであり、沸騰キシレンによる抽出残存率が0.36重量%であった。この改質ポリプロピレン系樹脂組成物を用い、発泡成形を行って発泡体を得た。その発泡体の密度は0.22g/cc、発泡倍率が4.1倍であり、気泡は独立しており表面が平滑な発泡体が得られた。すなわち、実施例4の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(i)溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たし、かつ(ii)沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下であったので、溶融張力が高く、成形性(発泡性)に優れていた。
【0059】
(比較例1)
実施例1において、ジセチルパーオキシジカーボネートを配合しなかった以外は同様に溶融混練することで樹脂組成物を得た。上記条件で混練した樹脂組成物は、溶融張力が1.1g、固有粘度[η]が2.06dl/g、沸騰キシレンの抽出残存率は0重量%であった。そして、この樹脂組成物を用いて実施例1と同様に発泡成形を行ったところ、発泡成形品の密度は0.56g/cc、発泡倍率は1.6倍であり、気泡は連続しており、成形品の外観は不良であった。すなわち、比較例1の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(B)有機過酸化物が配合されず、溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たさなかったので、溶融張力が低く、成形性が低かった。
【0060】
【表2】
【0061】
(比較例2)
実施例2において、ジセチルパーオキシジカーボネートを配合しなかった以外は同様に溶融混練して樹脂組成物を得た。上記条件で混練した樹脂組成物は、溶融張力が0.3g、固有粘度[η]が1.69dl/g、沸騰キシレンの抽出残存率が0重量%であった。そして、この樹脂組成物を用いて実施例1と同様に発泡成形を行ったところ、発泡成形品の密度は0.69g/cc、発泡倍率は1.3倍であり、気泡は連続しており、成形品の外観は不良であった。すなわち、比較例2の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(B)有機過酸化物が配合されず、溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たさなかったので、溶融張力が低く、成形性が低かった。
【0062】
(比較例3)
実施例1で用いたホモポリプロピレン樹脂100重量部に、ジセチルパーオキシジカーボネートを0.02重量部配合した後、190℃で溶融混練することで改質ポリプロピレン系樹脂を得た。上記条件で混練した改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力が1.2g、固有粘度[η]が2.04dl/g、沸騰キシレンの抽出残存率は0重量%であった。そして、この改質ポリプロピレン系樹脂組成物を用いて実施例1と同様に発泡成形を行ったところ、発泡成形品の密度は0.53g/cc、発泡倍率は1.7倍であり、気泡は連続しており、成形品の外観は不良であった。すなわち、比較例3の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(B)有機過酸化物の配合量が0.05重量部未満であり、溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たさなかったので、溶融張力が低く、成形性が低かった。
【0063】
(比較例4)
実施例2で用いたポリプロピレン系樹脂100重量部にビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートを0.02重量部配合した後、190℃で溶融混練することで改質ポリプロピレン系樹脂を得た。上記条件で混練した改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力が0.2g、固有粘度[η]が1.74dl/gであった。そして、この改質ポリプロピレン系樹脂組成物を用いて実施例1と同様に発泡成形を行ったところ、発泡成形品の密度は0.69g/cc、発泡倍率は1.3倍であり、気泡は連続しており、成形品の外観は不良であった。沸騰キシレンの抽出残存率は0重量%であった。すなわち、比較例4の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(B)有機過酸化物の配合量が0.05重量部未満であり、溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たさなかったので、溶融張力が低く、成形性が低かった。
【0064】
(比較例5)
MFRが0.02g/10分のホモポリプロピレン系樹脂100重量部に、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートを0.75重量部配合した後、190℃で溶融混練することで改質ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。上記条件で混練した改質ポリプロピレン系樹脂組成物においては、溶融張力はストランドが切れて測定出来なかった。また、固有粘度[η]が4.9dl/gであり、沸騰キシレンの抽出残存率は1.58重量%であった。実施例1と同条件で発泡成形を試みたが、成形できなかった。すなわち、比較例5の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)ポリプロピレン系樹脂のMFRが0.05g/分未満であり、キシレンの抽出残存率が1.5重量%を超えたので、成形性が低かった。
【0065】
(比較例6)
MFRが92g/10分、エチレン含有量が4.3モル%のポリプロピレン系樹脂100重量部に、ジセチルジカーボネート1.0重量部を配合した後、190℃で溶融混練することで改質ポリプロピレン系樹脂を得た。上記条件で混練した改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力は0.01g以下であり、固有粘度[η]は0.88dl/gであり、沸騰キシレンの抽出残存率は0.02重量%であった。実施例1と同条件で発泡成形を試みたが成形できなかった。すなわち、比較例6の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)ポリプロピレン系樹脂のMFRが50g/分を超えており、溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たさなかったので、溶融張力が低く、成形性が低かった。
【0066】
(実施例5)
実施例1の改質ポリプロピレン系樹脂組成物40重量%に、MFRが5.3g/10分でエチレン含有量が5.1モル%のプロピレン−エチレンランダム共重合体60重量部%をさらに配合し、上記条件で溶融混練りして新たな改質ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。この改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力が4.1g、固有粘度[η]が1.94dl/gであった。また、沸騰キシレンの抽出残存率は0.18%であった。そして、この改質ポリプロピレン系樹脂組成物を用いて実施例1と同様に発泡成形を行ったところ、密度は0.32g/cc、発泡倍率は2.82倍であり、気泡孔は綺麗で破泡もなく均一な発泡体が得られた。また、気泡は独立しており表面が平滑な発泡体が得られた。すなわち、実施例5の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(i)溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たし、かつ(ii)沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下であったので、溶融張力が高く、成形性(発泡性)に優れていた。
【0067】
【表3】
【0068】
(実施例6)
実施例4の改質ポリプロピレン系樹脂組成物50重量%に、MFRが3.5g/10分のホモポリプロピレン樹脂50重量%を配合し、上記条件で混練して新たな改質ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。この改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力が3.6g、固有粘度[η]が1.95dl/g、沸騰キシレンの抽出残存率は0.18重量%であった。この改質ポリプロピレン系樹脂組成物を用いて実施例1と同様に発泡成形を行ったところ、密度は0.29g/cc、発泡倍率は3.1倍であり、気泡は独立しており表面が平滑な発泡体が得られた。すなわち、実施例6の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(i)溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たし、かつ(ii)沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下であったので、溶融張力が高く、成形性(発泡性)に優れていた。
【0069】
(比較例7)
実施例1で得られた改質ポリプロピレン系樹脂2重量%に、MFRが3.4g/10分のホモポリプロピレン樹脂98重量%を配合し、上記の条件で混練して新たな改質ポリプロピレン系樹脂組成物を得た。この改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力が1.2g、固有粘度[η]が2.04dl/g、沸騰キシレンの抽出残存率が0.01重量%であった。この改質ポリプロピレン系樹脂組成物を実施例1と同様に発泡成形を行ったところ、発泡成形品の密度は0.56g/cc、発泡倍率は1.6倍であり、気泡は連続しており、成形品の外観は不良であった。すなわち、比較例7の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、溶融張力と固有粘度[η]とが前記式(1)を満たさなかったので、成形性が低かった。
【0070】
【発明の効果】
本願請求項1の改質ポリプロピレン系樹脂組成物は、(A)ポリプロピレン系樹脂100重量部に(B)有機過酸化物を0.05〜5.0重量部配合し溶融混練したものであり、(i)上記式(1)を満たし、かつ(ii)沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下であるので、溶融張力が高い。また、ゲルが少ないので、再溶融混練した際の溶融張力の低下が防止されて成形性に優れており、リサイクルできる。しかも、架橋助剤を用いないので臭気が抑制される。また、有機過酸化物に制限がなく、適切なものを用いることができるので、着色が少ない。また、空気雰囲気下に50℃以上で長時間放置されても、溶融張力が低下しにくいので、品質管理が容易である。また、特殊な設備を使用しなくてよいので、製造コストを低くできる。
【0071】
本願請求項2の改質ポリプロピレン系樹脂組成物によれば、本願請求項1の改質ポリプロピレン系樹脂組成物と同様の効果が得られる上に、(C)ポリプロピレン系樹脂で希釈されているので、(B)有機過酸化物の配合量が相対的に減少するので、ゲル化がより防止される。
【0072】
本発明の成形体は、上述した改質ポリプロピレン系樹脂組成物が成形されたものであり、溶融張力が高く、ゲルが少ないので、機械的物性などの性能、表面の外観に優れている。また、リサイクルできる。
Claims (5)
- (A)メルトフローレートが0.05g/10分〜50g/10分の範囲にあるポリプロピレン系樹脂100重量部に(B)有機過酸化物0.05〜5重量部が配合され、140℃〜300℃で溶融混練された樹脂混練物5〜95重量%と、(C)メルトフローレートが0.01〜100g/10分の範囲にあるポリプロピレン系樹脂95〜5重量%とを含有する改質ポリプロピレン系樹脂組成物であって、
(i)押出機により140℃〜280℃の温度範囲で混練した後の、テトラリン中135℃で測定した固有粘度([η])と230℃で測定した溶融張力(MT)の関係が下記式(1)を満たし、かつ(ii)沸騰キシレンの抽出残存率が1.5重量%以下であることを特徴とする改質ポリプロピレン系樹脂組成物。
- (A)ポリプロピレン系樹脂が、共重合成分としてポリエンを0.1〜10モル%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の改質ポリプロピレン系樹脂組成物。
- (B)有機過酸化物が、ジセチルパーオキシジカーボネートまたはビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネートを含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の改質ポリプロピレン系樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の改質ポリプロピレン系樹脂組成物が成形されてなることを特徴とする成形品。
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