JP6705347B2 - ポリプロピレン樹脂製多層発泡シート - Google Patents

ポリプロピレン樹脂製多層発泡シート Download PDF

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Description

本発明は、ポリプロピレン樹脂製多層発泡シートに関する。詳しくは、特定のポリプロピレン樹脂を含む非発泡層用樹脂を用いる多層発泡シート、及びその製造方法に関する。
ポリプロピレン樹脂の押出発泡成形により得られる発泡シートは、軽量で、且つ耐熱性や耐衝撃性、耐薬品性などに優れることから、建材、文具、自動車内装材や食品容器等の幅広い用途展開が期待されている。このような発泡シートは、押出機内で溶融させたポリプロピレン樹脂組成物に、各種の発泡剤を加え、加圧下にて混練し、押出機先端に取り付けられたダイより大気圧下に押出して発泡させた溶融樹脂を延展、冷却、固化させながら引き取ることによって得られる。この時、環境負荷低減の観点から軽量性や断熱性の更なる向上、すなわち発泡倍率の向上が重要となっている。
ポリプロピレン系樹脂の押出発泡成形では、一般的に、Tダイやサーキュラーダイが用いられるが、溶融樹脂をより等方的に発泡させながら引き取ることが発泡倍率の向上に有効であるという観点で、サーキュラーダイが広く用いられている。
サーキュラーダイを適用した押出発泡成形(以下、サーキュラー発泡成形とも言う)では、サーキュラーダイより押出した溶融樹脂を、環状スリット径よりも外径の大きい冷却マンドレルにより延伸、冷却し、冷却マンドレルを通った筒状の発泡体を、カッター等を用いて切り開くことで発泡シートが製造される。
サーキュラー発泡成形において、発泡倍率の増加に伴い、溶融樹脂がダイスの周方向に波打つ不良現象、所謂コルゲートが問題となる。コルゲートは、周方向への発泡に伴う溶融樹脂の体積膨張がマンドレルによる拡幅を上回ることにより発生すると考えられている。なお、導入する発泡剤量が多い(目標とする発泡倍率が高い)ほど、体積膨張は大きくなる。また、引取速度を低下させることによる発泡シートの厚みの増加に伴っても、コルゲートの問題が生じる。
ここで、コルゲートを抑制するために、成形温度を下げる、または樹脂のメルトフローレート(MFR)を下げることにより、成形時の樹脂の粘度を高くし、体積膨張の速度を抑制する方法が考えられる。しかし、発泡剤の量が多い場合には、発泡剤による樹脂の粘度の低下が著しくなるうえに、発泡剤の気化量が増加して、さらに体積膨張の速度が増大する状況にあり、実際にはこの方法によって体積膨張を制御することは非常に困難である。
また、コルゲートを抑制するために、ダイス出口径と冷却マンドレルの外径によって決定される、ブローアップ比を大きくすることが一般には有効と考えられている。しかし、溶融樹脂の体積膨張はダイを出た直後から発生するため、ブローアップ比を大きくしてもコルゲートそのものが抑制される訳ではなく、コルゲートを伸ばすことで目立ちにくくするだけなので、発泡倍率やシートの厚みにムラを生じるし、ブローアップ比が大きくなるほど、マンドレルに強く発泡シートが当たる為、発泡倍率の低下や外観の悪化を招きやすい。
このような状況では、発泡倍率、発泡倍率のムラなどの発泡特性が悪いだけでなく、外観の悪化によりシートの表面に印字・印刷等を美麗に施すことやフィルム等をラミネートすることも難しく、さらに真空成形などの二次加工に際しても成形性が悪化する為、成形中のコルゲートを抑制することが大きな課題となっている。
コルゲートを抑制する為に、ポリプロピレン系樹脂を用いたサーキュラー発泡成形に関していくつかの報告がされている(特許文献1及び2)。
特許文献1では、サーキュラー発泡成形で、コルゲートを発生させずに3〜10mmという厚手の発泡シートを得る為、それより薄い複数枚の発泡シートを溶融接着することで目的の厚みの発泡シートを得る方法が提案されている。本提案によると、コルゲートによる、厚みムラや気泡径のバラつきが大きくなるといった問題を解消することができるが、発泡成形の後工程で溶融接着を行う為、製造工程を増やす必要があるという問題がある。
特許文献2では、サーキュラー発泡成形中のコルゲートを抑える為に、予め目的よりも厚みの薄い発泡シートを製造し、続いて、各々の発泡シート間に、厚みが10〜200μmの非発泡樹脂層を介してラミネートする、押出ラミネート法により厚さ3〜10mmのポリプロピレン系樹脂組成物多層発泡シートを製造する方法が提案されている。この提案においても、複数枚の薄い発泡シートを積層することで厚みを増加するという方法が用いられている為、工程が複雑であるという問題がある。
特開平7−227930号公報 特開2009−274416号公報
本発明は、このような事情に鑑みて、サーキュラー発泡成形において、製造中のコルゲートを抑制し、表面が平滑で、高い発泡倍率の発泡シートを得ることを課題とする。
本発明者らは、コルゲートの抑制に関して鋭意研究を行い、ダイ出口からの発泡による体積膨張が周方向に進行することを抑制する為に、ひずみ硬化性を有するポリプロピレンを含む樹脂組成物を非発泡層として設けることで、コルゲートの発生が著しく改善されることを見出し、本発明に至った。
すなわち、ひずみ硬化性を有するポリプロピレン樹脂を含む非発泡層は、発泡による発泡層の体積膨張の際に、過度な膨張を規制し、コルゲートを抑制することができることを見出した。
また、コルゲートを抑制する為に、特定の非発泡層を設けることにより、ガス抜けも抑制される為、発泡倍率が向上し、これを表面層として用いた場合には、表面の平滑性の向上も得られる。
すなわち、本発明は以下を包含する。
[1] ポリプロピレン樹脂(X1)を基材として含む非発泡層と、
ポリプロピレン樹脂(W1)を基材として含む発泡層と
を含む多層発泡シートであって、ポリプロピレン樹脂(X1)は、高いひずみ硬化性を有する
ことを特徴とする多層発泡シート。
[2] ポリプロピレン樹脂(X1)は、長鎖分岐構造を有することを特徴とする[1]に記載の多層発泡シート。
[3] ポリプロピレン樹脂(W1)は、ひずみ硬化性を有することを特徴とする[1]又は[2]に記載の多層発泡シート。
[4] 発泡層は0.225g/cm以下の密度を有することを特徴とする[1]〜[3]のいずれか一項に記載の多層発泡シート。
[5] [1]〜[4]のいずれか一項に記載の多層発泡シートから成る多層発泡成形体。
[6] 高いひずみ硬化性を有するポリプロピレン樹脂(X1)を基材として含む非発泡層用樹脂組成物と、
ポリプロピレン樹脂(W1)を基材として含み、かつ、発泡剤を含む発泡層用樹脂組成物とを、
サーキュラーダイから共押出することを特徴とする多層発泡シートの製造方法。
[7] ポリプロピレン樹脂(X1)は、長鎖分岐構造を有することを特徴とする[6]に記載の多層発泡シートの製造方法。
[8] ポリプロピレン樹脂(W1)は、ひずみ硬化性を有することを特徴とする[6]又は[7]に記載の多層発泡シートの製造方法。
本発明のポリプロピレン樹脂組成物を用いた多層発泡シートは、成形中のコルゲートが大きく抑制され、周方向への厚みや発泡状態のムラが無く、平滑性に優れる。
本発明の製造方法は前記多層発泡シートが得られ、加えて、ガス抜けが抑制される為、発泡倍率が向上させやすい。
また、本発明の多層発泡シートの成形体は、耐衝撃性、軽量性、剛性、耐熱性、断熱性、耐油性等に優れていることより、電子レンジによる加熱やホット飲料等の熱い液体の充填などにも対応したトレー、皿、カップなどの食品容器や自動車ドアトリム、自動車トランクマットなどの車両内装材、建材や包装、文具などに好適に利用することができる。
以下に、本発明の詳細な説明をする。
1.多層発泡シート
以下に本発明の多層発泡シートについて説明する。
本発明の多層発泡シートは、ポリプロピレン樹脂(X1)を基材として含む非発泡層と、ポリプロピレン樹脂(W1)を基材として含む発泡層とを含むものであり、ポリプロピレン樹脂(X1)は、高いひずみ硬化性を有するものである。すなわち、本発明の多層発泡シートにおいて、発泡層はポリプロピレン樹脂(W1)を含むものであれば、ポリプロピレン樹脂組成物(W)であってもよく、非発泡層は高いひずみ硬化性を有するポリプロピレン樹脂(X1)を含むものであれば、ポリプロピレン樹脂組成物(X)であってもよい。したがって、非発泡層用樹脂組成物は、ポリプロピレン樹脂(X1)であってもよく、ポリプロピレン樹脂(X1)を含むポリプロピレン樹脂組成物(X)であってもよい。また、発泡層用樹脂原料は、ポリプロピレン樹脂(W1)であってもよく、ポリプロピレン樹脂(W1)を含むポリプロピレン樹脂組成物(W)であってもよい。なお、本明細書において「基材として」とは「主成分として」と同義語である。発泡層及び非発泡層には、後記するように酸化防止剤、中和剤、光安定剤、紫外線吸収剤、無機充填剤、ブロッキング防止剤、滑剤、帯電防止剤、金属不活性剤、着色剤、結晶核剤など、その他ポリプロピレンに用いることのできる重合体などの各種添加剤が含まれていてもよいのであるが、「基材として含む」と記載されている場合には、これらの層が本発明において期待される特性を発揮できる量以上のポリプロピレン樹脂を含むことを意味する。したがって、「基材として含む」は、他の成分を含まない場合(100重量%を占める)をも包含する。
層構成は、非発泡層/発泡層の二種二層や非発泡層/発泡層/非発泡層のような二種三層の層構成が挙げられるが、加えて本発明の効果を阻害しない限り、非発泡層/発泡層/他の樹脂層、のような三種三層や、非発泡層/発泡層/他の樹脂層/発泡層/非発泡層のような三種五層のように他の樹脂層を挟んで複数層含めることもでき、例えばガスバリヤ層、耐衝撃性付与層など、目的に応じて適宜必要な機能を有する層を設けることが出来る。
非発泡層の外側には、本発明の効果を損なわない限り、印刷層、加飾層などを設けることができる。各層の層間には接着層等をもうけることができる。
本発明においては、高いひずみ硬化性を有するポリプロピレン樹脂(X1)を基材として含む非発泡層用樹脂組成物と、ポリプロピレン樹脂(W1)を基材として含み、かつ、発泡剤を含む発泡層用樹脂組成物とを、サーキュラーダイから共押出することにより、多層発泡シートを製造することができる。上記ポリプロピレン樹脂(X1)を基材として含む非発泡層と、上記ポリプロピレン樹脂(W1)を基材として含む0.225g/cm以下の密度の発泡層とを含む、多層発泡シートとすることが好ましい。
本発明に係る多層発泡シートの厚みは、特に限定しないが、0.3mm〜30mm程度が好ましい。更に好ましくは0.5mm〜10mmである。シート厚みがこの範囲内にあると、実用的な強度や物性に優れ、成形中に多層発泡シートが曲がったり折れたりするなどの不良が発生しにくい。
非発泡層の積層箇所については、発泡層の片側又は両側に積層することができる。また、該非発泡層に加えて、バリア層や接着層を設けるなど、非発泡層の配置の状態に制限はない。ただし、いずれの場合においても、本発明で示されているポリプロピレン樹脂(X1)を基材とする層が最低一層以上積層される必要がある。両側に積層する非発泡層は同じであってもよく、異なっていてもよい。
また、本発明の多層発泡シートには、印刷性や塗装性などの更なる改良の為に、発泡シートの表面に、コロナ放電処理、火炎処理、プラズマ処理等の表面処理をしても、何ら差し支えない。
非発泡層の厚みは、得られるポリプロピレン多層発泡シートの全厚みの0.1〜50%、好ましくは0.1〜20%になるように形成することが望ましい。非発泡層の厚みがこの範囲にあると、シートが厚くなった場合や、導入発泡剤量が多く、製造中にコルゲートが顕著となりやすい条件下においても高いコルゲート抑制効果を得ることができ、且つ発泡層の気泡成長を妨げることが無い為、高発泡倍率が達成され、多層発泡シートの軽量性を維持することが可能である。
多層発泡シートの発泡倍率は、特に限定されるものではないが、環境負荷の低減、軽量性、及び断熱性の観点から高い方が望ましい。発泡倍率は、好ましくは3倍以上、より好ましくは4倍以上、さらに好ましくは5倍以上である。
多層発泡シートの密度についても、特に限定されるものではないが、発泡倍率と同様の観点から、好ましくは0.225g/cm以下、より好ましくは0.200g/cm以下、さらに好ましくは0.175g/cm以下である。
2.ポリプロピレン樹脂(X1)を基材として含む非発泡層用樹脂組成物(X)
本発明における多層発泡シートは、ポリプロピレン樹脂(X1)を基材として含む非発泡層を備えることが必要である。
ポリプロピレン樹脂(X1)を基材として含む非発泡層は、発泡過程における溶融樹脂の体積膨張速度を抑制する為に必要な層であり、ダイスから吐出された溶融樹脂の発泡による体積膨張を抑制する為に、高いひずみ硬化性を有するポリプロピレン樹脂(X1)を含むことが必要である。この時、ポリプロピレン樹脂(X1)を基材として含む非発泡層用樹脂組成物は、コルゲートを抑制する為に充分な量のポリプロピレン樹脂(X1)を主成分として含むことが必要であるが、ひずみ硬化性を有しないポリプロピレン樹脂(X2)を含むことが可能である。
2.1.ポリプロピレン樹脂(X1)
本発明で用いられるポリプロピレン樹脂(X1)は、プロピレン単独重合体であっても、プロピレン共重合体であってもよい。プロピレン共重合体である場合、コモノマーは、エチレン及び炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンであり、ポリプロピレン樹脂(X1)中のコモノマーの含量は、3重量%以下であることが好ましい。ポリプロピレン樹脂(X1)は、プロピレン単独重合体である方が、耐熱性や剛性が高く好ましい。
ポリプロピレン樹脂(X1)は、高いひずみ硬化性を有するポリプロピレン樹脂である。本発明において、ひずみ硬化性とは、伸長粘度測定において、ひずみ量の増大に伴い急激な粘度上昇を示す非線形現象を意味し、ひずみ硬化性を有するとは、伸長粘度測定において、ひずみ量の増大に伴い急激な粘度上昇を示す非線形現象が観測されることを意味する。伸長粘度のひずみ硬化性(非線形性)については、例えば、成書「講座・レオロジー」(日本レオロジー学会編、高分子刊行会、1992、pp.221−222)に記載されている。
ひずみ硬化度(λ)は、ひずみ硬化性の大きさを表す尺度となり、伸長粘度測定におけるひずみ硬化度の測定に基づき求められる。本発明では、ひずみ硬化度λは同書の図7−20に図示された求め方に準じた方法で算出するものとし、剪断粘度の値としてη(0.01)を、伸長粘度の値としてηe(3.5)を採用し、ひずみ硬化度λを下記式(1)で定義する。
λ=ηe(3.5)/{3×η(0.01)} 式(1)
上記式(1)において、η(0.01)は動的周波数掃引実験により測定される、測定温度180℃、角振動数ω=0.01rad/sにおける複素粘性率[単位:Pa・s]であり、複素粘性率ηは、複素弾性率G[単位:Pa]と角振動数ωから、η=G/ωにて計算される。また、ηe(3.5)は伸長粘度測定により測定される、測定温度180℃、歪速度1.0s−1、ひずみ量3.5における伸長粘度である。
通常、これらの粘弾性測定で得られるデータは、離散的な角振動数あるいは測定時間間隔での弾性率や粘度等の数値の集まりとなる。従って、本発明で使用したものと異なる装置や条件で測定を実施した場合に、必ずしも角振動数ω=0.01での複素粘性率η(0.01)やひずみ量3.5での伸長粘度ηe(3.5)のデータが存在しない場合があり得るが、その場合はその前後のデータを使用して線形補間、スプライン補間等の内挿を行う事で該当の値を推定することは許される。補間を行う際には、応力や時間のスケールは対数スケールとすることが常法である。
このとき、ひずみ硬化性(非線形性)を有さないポリプロピレン樹脂であれば、ひずみ硬化度λは約1(例えば0.9以上1.1未満)又はより小さい値を示し、ひずみ硬化性(非線形性)が強くなるほどひずみ硬化度λの値は大きくなる。
ポリプロピレン樹脂(X1)のひずみ硬化度(λ)は高く、好ましくは1.6以上、より好ましくは2.0以上、さらに好ましくは2.5以上である。
ポリプロピレン樹脂(X1)のひずみ硬化度の上限については特に制限はないが、好ましくは50以下、より好ましくは20以下である。ひずみ硬化度を上記範囲の値にすることにより、高いコルゲート抑制効果と良好なシート外観との両立が可能である。
ポリプロピレン樹脂(X1)が、高いひずみ硬化性を発現するためには、例えば、超高分子量成分を含ませる、長鎖分岐構造を含ませる等が好ましい。ポリプロピレン樹脂(X1)は、長鎖分岐構造を有するものであることが好ましい。
ポリプロピレン樹脂(X1)が長鎖分岐を有するものであることは必須ではないが望ましい。本発明における長鎖分岐とは、高い溶融張力やひずみ硬化性を発現する為に、分岐を構成する炭素骨格(分岐の主鎖)の炭素数が数十以上、分子量では数百以上からなる分子鎖による分岐構造を言い、1−ブテンなどのα−オレフィンと共重合を行うことにより形成される短鎖分岐とは区別される。
ポリプロピレン樹脂に長鎖分岐構造を導入する方法には、高エネルギーイオン化放射線を用いる方法(特開昭62−121704号)や、有機過酸化物を用いる方法(特表2001−524565号)、末端不飽和結合を有するマクロモノマーを製造し、それをプロピレンと共重合することによって長鎖分岐を形成する方法(特表2001−525460号)等が挙げられる。いずれの方法を用いて製造された場合でも、ポリプロピレン樹脂のひずみ硬化度を増大することができる。
ポリプロピレン樹脂(X1)は、櫛型鎖構造を有し、重合時に長鎖分岐構造が形成されるマクロマー共重合法を用いる方法が好ましい。このような方法の例としては、例えば、特表2001−525460号公報や、特開平10−338717号公報、特表2002−523575号公報、特開2009−57542号公報、特許05027353号公報、特開平10−338717号公報に開示される方法等が挙げられる。特に特開2009−57542号公報のマクロマー共重合法はゲルの発生が無く長鎖分岐含有ポリプロピレン樹脂を得ることができ、本発明に好適である。
ポリプロピレン中に長鎖分岐を有することは、樹脂のレオロジー特性による方法、分子量と粘度との関係を用いて分岐指数g’を算出する方法、13C−NMRを用いる方法などによって確認することができる。本発明においては、下記に示すように13C−NMRによって長鎖分岐構造の有無を決定する。
[分岐指数g’]
分岐指数g’は、長鎖分岐に関する、直接的な指標として知られている。「Developments in Polymer Characterization−4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983)に詳細な説明があるが、分岐指数g’の定義は、以下の通りである。
分岐指数g’=[η]br/[η]lin
[η]br:長鎖分岐構造を有するポリマー(br)の固有粘度
[η]lin:ポリマー(br)と同じ分子量を有する線状ポリマーの固有粘度
上記定義から明らかな通り、分岐指数g’が1よりも小さな値を取ると、長鎖分岐構造が存在すると判断され、長鎖分岐構造が増えるほど分岐指数g’の値は、小さくなっていく。
分岐指数g’は、光散乱計と粘度計を検出器に備えたGPCを使用することによって、絶対分子量Mabsの関数として得ることができる。本発明における分岐指数g’の測定方法については特開2015−40213号に詳細が記載されているが、下記の通りである。
[測定方法]
GPC:Alliance GPCV2000(Waters社)
検出器:接続順に記載
多角度レーザー光散乱検出器(MALLS):DAWN−E(Wyatt Technology社)
示差屈折計(RI):GPC付属
粘度検出器(Viscometer):GPC付属
移動相溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン(Irganox1076を0.5mg/mLの濃度で添加)
移動相流量:1mL/分
カラム:東ソー社 GMHHR−H(S) HTを2本連結
試料注入部温度:140℃
カラム温度:140℃
検出器温度:全て140℃
試料濃度:1mg/mL
注入量(サンプルループ容量):0.2175mL
[解析方法]
多角度レーザー光散乱検出器(MALLS)から得られる絶対分子量(Mabs)、二乗平均慣性半径(Rg)、および、Viscometerから得られる極限粘度([η])を求めるにあたっては、MALLS付属のデータ処理ソフトASTRA(version4.73.04)を利用し、以下の文献を参考にして計算を行う。
参考文献:
1.「Developments in Polymer Characterization−4」(J.V. Dawkins ed. Applied Science Publishers, 1983. Chapter1.)
2.Polymer, 45, 6495−6505(2004)
3.Macromolecules, 33, 2424−2436(2000)
4.Macromolecules, 33, 6945−6952(2000)
また、該ポリプロピレン樹脂を含む非発泡層が製品の表面を構成する場合、そのポリプロピレン樹脂がゲルを含有していると、外観が悪化するおそれがあることから、ゲルが含有されていないものを用いることが好ましく、前述の長鎖分岐構造を有するポリプロピレン樹脂(X1)は、特定の構造を有するメタロセン触媒を用いて末端不飽和結合を有するマクロモノマーを製造し、それをプロピレンと共重合することによって長鎖分岐を形成する方法を用いて製造されたものが好ましい。特に、下記する、絶対分子量Mabsが100万における分岐指数g’の下限は好ましい順に0.3以上、0.55以上、0.75以上、0.78以上であり、上限は好ましい順に1.0未満、0.98以下、0.96以下、0.95以下であり、下限と上限とは任意の組合せとすることができる。分岐指数g’が上記好ましい下限のいずれかと上記好ましい上限のいずれかとの間の範囲にあると、高度に架橋した成分が形成されておらず、ゲルの生成が無い、或いは非常に少ない為、特にポリプロピレン樹脂(X1)を含む非発泡層が製品の表面を構成する場合に外観を悪化させない。
[13C−NMR]
13C―NMRは、上述のように、短鎖分岐構造と長鎖分岐構造を区別することができる。Macromol.Chem.Phys.2003,vol.204,1738に詳細な説明があるが、以下の通りである。
長鎖分岐構造を有するプロピレン系重合体は、下記構造式(1)に示すような特定の分岐構造を有する。構造式(1)において、C、C、Cは、分岐炭素に隣接するメチレン炭素を示し、Cbrは、分岐鎖の根元のメチン炭素を示し、P、P、Pは、プロピレン系重合体残基を示す。
、P、Pは、それ自体の中に、構造式(1)に記載されたCbrとは、別の分岐炭素(Cbr)を含有することもあり得る。
このような分岐構造は、13C−NMR分析により同定される。各ピークの帰属は、Macromolecules,Vol.35、No.10.2002年、3839−3842頁の記載を参考にすることができる。すなわち、43.9〜44.1ppm,44.5〜44.7ppm及び44.7〜44.9ppmに、それぞれ1つ、合計3つのメチレン炭素(C、C、C)が観測され、31.5〜31.7ppmにメチン炭素(Cbr)が観測される。上記の31.5〜31.7ppmに観測されるメチン炭素を、以下、分岐メチン炭素(Cbr)と略称することがある。
分岐メチン炭素Cbrに近接する3つのメチレン炭素が、ジアステレオトピックに非等価に3本に分かれて観測されることが特徴である。
13C−NMRで帰属されるこのような分岐鎖は、プロピレン系重合体の主鎖から分岐した炭素数5以上のプロピレン系重合体残基を示し、それと炭素数4以下の分岐とは、分岐炭素のピーク位置が異なることにより、区別できるので、本発明においては、この分岐メチン炭素のピークが確認されることにより、長鎖分岐構造の有無を判断することができる。
なお、本発明における13C−NMRの測定方法については、下記の通りである。
13C−NMR測定方法]
試料200mgをo−ジクロロベンゼン/重水素化臭化ベンゼン(CBr)=4/1(体積比)2.4mlおよび化学シフトの基準物質であるヘキサメチルジシロキサンと共に内径10mmφのNMR試料管に入れ溶解し、13C−NMR測定を行う。
13C−NMR測定は10mmφのクライオプローブを装着したブルカー・バイオスピン(株)のAV400M型NMR装置を用いて行う。
試料の温度120℃、プロトン完全デカップリング法で測定を実施する。その他の条件は以下の通りである。
パルス角:90°
パルス間隔:4秒
積算回数:20000回
化学シフトはヘキサメチルジシロキサンのメチル炭素のピークを1.98ppmとして設定し、他の炭素によるピークの化学シフトはこれを基準とした。
44ppm付近のピークを使用して長鎖分岐量を算出することができる。
ポリプロピレン樹脂(X1)は、13C−NMRスペクトルの、44ppm付近のピークから定量された長鎖分岐量が0.01個/1000トータルプロピレン以上であることが好ましく、より好ましくは0.03個/1000トータルプロピレン以上、さらに好ましくは0.05個/1000トータルプロピレン以上である。好ましくは1.00個/1000トータルプロピレン以下、より好ましくは0.50個/1000トータルプロピレン以下、さらに好ましくは0.30個/1000トータルプロピレン以下である。この範囲であると、ゲルのないまたは少ない、ひずみ硬化度が大きいポリプロピレン樹脂とすることができる。
[溶融張力MT]
本発明におけるコルゲートの抑制効果を十分に発揮する為には、ポリプロピレン樹脂(X1)が適切な溶融張力(MT)を有することが好ましい。本発明に係るポリプロピレン樹脂(X1)の溶融張力(MT)は2〜25gであることが好ましい。このような樹脂が、非発泡層に配置されると、発泡過程において発泡層の体積膨張速度を抑制することができるので、過度な膨張によって発生するコルゲートを抑制する効果が高くなる。
本発明に係るポリプロピレン樹脂(X1)のMTの下限については、MTが3g以上であることがさらに好ましい。MTの上限については、MTが20g以下であることがさらに好ましく、特に好ましくはMTが18g以下である。
MTを上記の範囲に制御する具体的な手法としては、MFRを調整する方法や、触媒製造法(特に錯体の担持比率)を調整すること、電子線照射を行うこと、或いは造粒工程で過酸化物等を添加したりすることで長鎖分岐の数を変える方法がある。長鎖分岐の数を増やしたり、MFRを低くしたりすると、MTは高くなる。一方、MTを低くするには、逆方向に調整すれば良い。
なお、本発明における溶融張力(MT)は、以下の条件で測定した値とする。
[MT測定条件]
測定装置:(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1B
キャピラリー:直径2.0mm、長さ40mm
シリンダー径:9.55mm
シリンダー押出速度:20mm/分
引き取り速度:4.0m/分(但し、MTが高すぎて樹脂が破断してしまう場合には、引き取り速度を下げ、引き取りのできる最高の速度で測定する。)
温度:230℃
[MFR]
本発明に係るポリプロピレン樹脂(X1)のMFRは0.5g/10分を超え、20g/10分以下であることが好ましい。
本発明におけるMFRは、JIS K7210:1999「プラスチック―熱可塑性プラスチックのメルトマスフローレイト(MFR)およびメルトボリュームフローレイト(MVR)の試験方法」のA法、条件M(230℃、2.16kg荷重)に準拠して測定した値である。
本発明に係るポリプロピレン樹脂(X1)のMFRの下限に関しては、好ましくは1g/10分以上、より好ましくは1.5g/10分以上である。MFRの上限に関しては、好ましくは17g/10分以下、より好ましくは15g/10分以下、更に好ましくは13g/10分以下、最も好ましくは10g/10分以下である。
MFRを上記の範囲に調整する具体的な方法として、重合時に添加する水素の量を変更する方法を挙げることができる。水素は、プロピレンの重合において、連鎖移動剤として作用するため、水素の添加量を増やせば、MFRが上がり、逆に、添加量を下げれば、MFRを下げることができる。重合槽内部の水素濃度に対するMFRの値は、使用する触媒や他の重合条件によって異なるが、触媒種やその他の重合条件に応じて事前に水素濃度とMFRの関係を把握し、望みのMFRの値となるよう水素濃度を調整することは、当業者にとって極めて容易なことである。
[キシレン可溶成分量(CXS)]
本発明に係るポリプロピレン樹脂(X1)の25℃キシレン可溶成分量(CXS)は5重量%未満であることが好ましい(但し、ポリプロピレン樹脂(X1)全量を100重量%とする)。CXSは、低結晶性ポリマー成分を表す一般的な指標であり、この成分が多いと、ポリプロピレン樹脂(X1)中の低結晶性ポリマー成分の含有量が高くなり、成形時に目やにを発生しやすくなる。また、ポリプロピレン樹脂(X1)から成る層が表面を構成している場合には、シート表面がべたつきやすいという問題を生じる。本発明におけるCXSは、以下の手順で測定した値である。
[CXS測定手順]
2gの試料を300mlのp−キシレン(0.5mg/mlのBHTを含む)に130℃で溶解させ溶液とした後、25℃で12時間放置する。その後、析出したポリマーを濾別し、濾液からp−キシレンを蒸発させ、さらに100℃で12時間減圧乾燥し25℃キシレン可溶成分を回収する。この回収成分の重量の仕込み試料重量に対する割合[重量%]をCXSと定義する。
本発明に係るポリプロピレン樹脂(X1)のCXSは5重量%未満であることが好ましい。CXSは、より好ましくは3重量%未満、更に好ましくは1重量%未満、最も好ましくは0.5重量%未満である。CXSの下限値については、特に制限はないが、好ましくは0.01重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上である。
CXSを上記の範囲に調整する具体的な方法として、触媒の選定を挙げることができる。長鎖分岐を有するポリプロピレンのCXSを決定する最も重要な因子は、触媒であり、公知の触媒の中から、CXSを満たすものを選択すればよい。
[mm分率]
本発明に係るポリプロピレン樹脂(X1)の13C−NMRにより求めたアイソタクチックトライアッド分率(mm分率)は95%以上であることが好ましい。
ここで、mm分率は、プロピレン単位3連鎖において隣接するメチル基の立体関係がメソとなるものが2つ連続したものの存在率を示し、本発明における定義は、特開2009−275207号公報の段落[0053]〜[0065]の記載に従うものとする。mm分率が高い程、ポリマー鎖中のプロピレン単位が規則正しく並んでいることになり、結晶化度が高く成り易い。結晶化度が高くなると、耐熱性や剛性が高くなるので好ましい。
13C−NMRの測定条件も、特開2009−275207号公報に従う。
本発明において、mm分率は95%以上が好ましく、より好ましくは96%以上であり、さらに好ましくは97%以上である。
mm分率を上記の範囲に調整する具体的な方法として、触媒の選定を挙げることができる。長鎖分岐を有するポリプロピレンのmm分率を決定する最も重要な因子は、触媒であり、公知の触媒の中からmm分率を満たすものを選択すればよい。
[ポリプロピレン樹脂(X1)と他のポリプロピレン樹脂との併用]
ポリプロピレン樹脂(X1)は単独でもよく、ポリプロピレン樹脂(X1)を含むポリプロピレン樹脂組成物(X)であってもよい。ここで、組成物(X)は高いひずみ硬化性を有すること、λが1.6以上(好ましくは2.0以上、より好ましくは2.5以上)であることが好ましい。また、ポリプロピレン樹脂(X1)と、他のポリプロピレン樹脂(X2)とを含むポリプロピレン樹脂組成物(X)として用いることができる。ポリプロピレン樹脂(X)中におけるポリプロピレン樹脂(X1)の割合については、ポリプロピレン樹脂組成物(X)に対して5〜100重量%(100重量%を含む)含有することが必要であり、好ましくは10〜100重量%、更に好ましくは15〜100重量%である。これにより通常の直鎖状のポリプロピレン樹脂に比較して、高い溶融張力と高いひずみ硬化性を得ることができ、該樹脂組成物を発泡シートの非発泡層として設けることで製造中のコルゲートを抑制することが可能である。
ポリプロピレン樹脂組成物(X)全量に対する、ポリプロピレン樹脂(X2)の量の範囲としては、0〜95重量%、好ましくは0〜90重量%、更に好ましくは0〜85重量%である。ポリプロピレン樹脂(X2)により、非発泡層の流動性を調節することが可能である。
2.2.その他のポリプロピレン樹脂(X2)
上記のとおり、非発泡層用の樹脂の任意成分としてその他のポリプロピレン樹脂(X2)を併用することができる。その他のポリプロピレン樹脂(X2)の種類は特に限定されるものでは無く、直鎖状のホモポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、ブロックポリプロピレン等のいずれでも使用することができる。前記α−オレフィンとしては、エチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、4−メチルペンテン−1等が例示できる。その他のポリプロピレン樹脂(X2)のひずみ硬化度(λ)は高くなくてよく、好ましくは1.55より小さい。
ホモポリプロピレン、プロピレン−エチレンランダム共重合体、ブロックポリプロピレンについて以下に順に説明する。
2.2.1.ホモポリプロピレン(X2H)、プロピレン−エチレンランダム共重合体(X2C)
ホモポリプロピレン(X2H)、プロピレン−エチレンランダム共重合体(X2C)はプロピレンの単独重合体又は、プロピレンと約10重量%未満のエチレンとのランダム共重合体であり、ホモポリプロピレン(X2H)、プロピレン−エチレンランダム共重合体(X2C)は、炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンをコモノマーとして例えば3重量%以下含んでいてもよい。
炭素数4〜10のα−オレフィンの具体例としては、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンを挙げることができる。コモノマーの中で最も好ましいのは、エチレンと1−ブテンである。
コモノマー含量の制御は、重合槽に供給するモノマーの量比(例:プロピレンに対するエチレンの量比)を適宜調整することによって行うのが通例である。用いる触媒の共重合特性を事前に調べておいて、重合槽のガス組成が望みのコモノマー含量に対応する値になるようモノマーの供給量比を調整すればよい。
ホモポリプロピレン(X2H)、プロピレン−エチレンランダム共重合体(X2C)は、MFRが1〜100g/10分であることが好ましい。上限値に関しては、ホモポリプロピレン(X2H)、プロピレン−エチレンランダム共重合体(X2C)のMFRは、より好ましくは70g/10分以下、更に好ましくは50g/10分以下、最も好ましくは30g/10分以下である。下限値に関しては、ホモポリプロピレン(X2H)、プロピレン−エチレンランダム共重合体(X2C)のMFRは、より好ましくは0.5g/10分以上、更に好ましくは1g/10分以上、最も好ましくは2g/10分以上である。
MFRを調整する具体的な方法として、重合時に添加する水素の量を変更する方法を挙げることができる。
なお、MFRの測定法は上記したとおりである。
2.2.2.ブロックポリプロピレン(X2Y)
ブロックポリプロピレン(X2Y)は、通常、ポリプロピレン成分とプロピレン−エチレン共重合体成分とのリアクターブレンドである。ポリプロピレン成分としては、上記に説明したホモポリプロピレン(X2H)、プロピレン−エチレンランダム共重合体(X2C)、又はこれらの混合物であることが好ましい。
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分は、プロピレンとエチレンの共重合体であるが、本発明の効果を阻害しない範囲で他のモノマーを共重合したものでも良い。
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分は、135℃デカリン中で測定した固有粘度が5.3dl/g以上であることが好ましい。
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の固有粘度については、より好ましくは6dl/g以上、更に好ましくは7dl/g以上、最も好ましくは8dl/g以上であり、より好ましくは16dl/g以下、更に好ましくは13dl/g以下、最も好ましくは11dl/g以下である。
プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の固有粘度を調整する具体的な方法として、重合時の水素濃度を変更する方法を挙げることができる。
ブロックポリプロピレン(X2Y)は通常、ブロックポリプロピレン(X2Y)中のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の含量が1重量%以上、50重量%未満である(但し、ブロックポリプロピレン(X2Y)全量を100重量%とする。)。
ブロックポリプロピレン(X2Y)中のプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の含量については、好ましくは3重量%以上、より好ましくは5重量%以上、更に好ましくは8重量%以上、最も好ましくは10重量%以上であり、好ましくは45重量%以下、より好ましくは40重量%以下、更に好ましくは35重量%以下、最も好ましくは30重量%以下である。
なお、ブロックポリプロピレン(X2Y)全量を100重量%とするので、ポリプロピレン成分の含量は、100重量%からプロピレン−エチレンランダム共重合体成分の含量を減じた値となる。
ポリプロピレン樹脂(X2)としては、上述の中で、ブロックポリプロピレン(X2Y)が特に好ましく、ブロックポリプロピレン(X2Y)の内、プロピレン−エチレンランダム共重合体成分の135℃におけるデカリン中での固有粘度が5.3以上であるブロックポリプロピレン(X2Y)がより好ましい。
ブロックポリプロピレンの固有粘度が上記を満たすと、非発泡層を表面層として用いた場合に、多層発泡シート外観が良好になりやすい。
ポリプロピレン樹脂(X1)を他のポリプロピレン樹脂(X2)と併用して、ポリプロピレン樹脂組成物(X)として用いる場合、このポリプロピレン樹脂組成物(X)の調製方法は、公知のものを用いることができる。例えば、ポリプロピレン樹脂(X1)及び(X2)、並びに、後述する任意成分を、ドライブレンド、ヘンシェルミキサー等で混合することによりポリプロピレン樹脂組成物(X)を調製することができる。また、これらを単軸押出機、二軸混練機、ニーダ等によって、溶融混練してもよい。
このとき、押出成形に用いるためには、溶融混練し、樹脂組成物は、ペレット化されていることが好ましい。樹脂組成物のペレット化の方法としては、
a.ポリプロピレン樹脂(X1)及び(X2)と任意の添加剤を混合したものを溶融混練しペレット化する。
b.ポリプロピレン樹脂(X1)と任意の添加剤を混合したものを溶融混練しペレット化し、このペレットにポリプロピレン樹脂(X2)と任意の添加剤をさらに混合してから、溶融混練しペレット化する。
b’.ポリプロピレン樹脂(X2)と任意の添加剤を混合したものを溶融混練しペレット化し、このペレットにポリプロピレン樹脂(X1)と任意の添加剤をさらに混合してから、溶融混練しペレット化する。
c.ポリプロピレン樹脂(X1)と任意の添加剤を混合したものと、ポリプロピレン樹脂(X2)と任意の添加剤を混合したものを各々溶融混練し、各々のペレットを得て、得られた各々のペレットを混合する。
d.ポリプロピレン樹脂(X1)と任意の添加剤を混合したものと、ポリプロピレン樹脂(X2)と任意の添加剤を混合したものを各々溶融混練し、各々のペレットを得て、得られた各々のペレットを混合し、さらにこれを溶融混練しペレット化する。
といった方法を用いることができる。
ポリプロピレン樹脂(X1)と他のポリプロピレン樹脂(X2)を併用する場合、これらを含むポリプロピレン樹脂組成物(X)の好ましいメルトフローレート(MFR)の範囲は1.0〜30g/10分であり、下限値はより好ましくは1.5/10分以上、更に好ましくは2.0/10分以上であり、上限値はより好ましくは20g/10分以下、更に好ましくは15g/10分以下である。MFRが1.0g/10分以上であれば、溶融樹脂の流動性を確保することが可能である。一方、30g/10分以下であれば溶融樹脂の溶融張力が維持され、コルゲートの抑制効果が得られやすい。
ここで、MFRは、JIS K7210に準拠し、加熱温度230℃、荷重21.2N(2.16kg)で測定する値である。
MFRを調整する方法は、幾つかある。例えば、ポリプロピレン樹脂(X1)やポリプロピレン樹脂(X2)のMFRを調整することで、ポリプロピレン樹脂組成物(X)のMFRを調整できる。また、ブロックポリプロピレン(X2Y)中のポリプロピレン成分とプロピレン−エチレンランダム共重合体成分のMFRが異なる場合、両者の配合量を変更することでもポリプロピレン樹脂組成物(X)のMFRを調整できる。例えば、ポリプロピレン成分のMFRがプロピレン−エチレンランダム共重合体成分のMFRよりも高い場合、ポリプロピレン成分の配合量を高くすると、ポリプロピレン樹脂(X2)を介してポリプロピレン樹脂組成物(X)のMFRは高くなる。
また、ポリプロピレン樹脂(X1)と、他のポリプロピレン樹脂(X2)を併用する場合、ポリプロピレン樹脂組成物(X)は、メルトテンションテスターによる230℃における溶融張力(MT)が1.0g以上であることが好ましい。
ここでMTは、(株)東洋精機製作所製キャピログラフ1Bを用いて、キャピラリー:直径2.0mm、長さ40mm、シリンダー径:9.55mm、シリンダー押出速度:20mm/分、引き取り速度:4.0m/分、温度:230℃の条件で、測定したときの溶融張力を表し、単位はグラムである。MTの上限値については、これを特に設ける必要は無いが、MTが40g以下であれば、流動性が良くなり、表面荒れ等が抑制されやすいため、好ましくは40g以下、さらに好ましくは35g以下、もっとも好ましくは30g以下である。溶融張力が上記範囲であれば、発泡層と非発泡層の相性が良くなり、多層シート成形時、各層間での界面荒れを効果的に抑制出来ることが多く、コルゲートの抑制効果も得られ易い。
MTを上記の範囲内に調整する方法は、幾つかある。例えば、ポリプロピレン樹脂(X1)及び(X2)のMTを変更することでも良いし、ポリプロピレン樹脂(X1)及び(X2)の配合割合を変更することでも良い。一般に、溶融張力の高い長鎖分岐構造を有するポリプロピレン成分(X1)の含量を高くすれば、樹脂組成物のMTを高くすることができる。
3.ポリプロピレン樹脂(W1)
発泡層用のポリプロピレン樹脂(W1)としては、特に制限は無いが、押出発泡に適するものが好ましく、例えば、特開2013−100491号に記載されている、特定の2成分からなるポリプロピレン組成物や、特開2009−67948号に記載されるような、直鎖状で高い溶融張力を有するポリプロピレン樹脂等が挙げられる。
発泡層用のポリプロピレン樹脂(W1)としては、ホモポリプロピレン、プロピレン−α−オレフィンランダム共重合体、ブロックポリプロピレン等が挙げられる。
発泡層用のポリプロピレン樹脂(W1)は、ひずみ硬化性の有無は問わないが、ひずみ硬化性を有する方が好ましい。ひずみ硬化性を有するポリプロピレン樹脂(W1)には、高いひずみ硬化性を有するポリプロピレン樹脂(X1)と同様の成分を用いることができ、その詳細は「2.1.ポリプロピレン樹脂(X1)」に述べたとおりである。ポリプロピレン樹脂(W1)はプロピレン単独重合体であっても、プロピレン共重合体であってもよい。プロピレン共重合体である場合、コモノマーは、エチレン及び炭素数4〜10のα−オレフィンからなる群から選ばれる少なくとも1種のオレフィンであり、ポリプロピレン樹脂(W1)中のコモノマーの含量は、3重量%以下であることが好ましい。ポリプロピレン樹脂(W1)は、プロピレン単独重合体である方が、耐熱性や剛性が高く好ましい。
ポリプロピレン樹脂(W1)のひずみ硬化度(λ)は、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.8以上、さらに好ましくは2.3以上である。
ポリプロピレン樹脂(W1)のひずみ硬化度の上限については特に制限はないが、好ましくは50以下、より好ましくは20以下である。ひずみ硬化度を上記範囲の値にすることにより、発泡性能が良好となり易い。
ポリプロピレン樹脂(W1)が、ひずみ硬化性を発現するためには、ポリプロピレン樹脂(X1)の場合と同様に、例えば、超高分子量成分を含ませる、長鎖分岐構造を含ませる等が好ましい。ポリプロピレン樹脂(W1)は、長鎖分岐構造を有するものであることが好ましい。
また、ポリプロピレン樹脂(W1)の絶対分子量Mabsは、100万における分岐指数g’が0.3以上1.0未満を満たすものが好ましく、より好ましくは0.55以上0.98以下、更に好ましくは0.75以上0.96以下、最も好ましくは0.78以上0.95以下である。なお、分岐指数g’の測定方法は上述の通りである。
発泡層に用いるポリプロピレン樹脂(W1)のMFRとしては、1〜20g/10分が好ましく、さらに好ましくは2〜15g/10分である。ポリプロピレン樹脂(W1)はポリプロピレン樹脂(X1)と同じであっても異なっていてもよい。
ポリプロピレン樹脂(W1)は、発泡層に単独に用いることもできるし、他の樹脂成分と混合して、ポリプロピレン樹脂組成物(W)として用いることもできる。他の樹脂成分としては、上述したその他のポリプロピレン樹脂(X2)と同様の樹脂を挙げることができる。他の樹脂成分はポリプロピレン樹脂(X2)と同じであっても異なっていてもよい。
4.多層発泡シートの製造方法
多層発泡シートの製造方法としては、ダイ出口形状が円形を有するサーキュラーダイが接続された押出機を用いて樹脂と発泡剤とを混練し、押出された溶融樹脂をサーキュラーダイのスリット径よりも外径の大きい冷却マンドレルにより延伸、冷却し、続いてカッター等を用いて筒状の発泡体を切り開くことで多層発泡シートとする、サーキュラー発泡が適用される。多層化の為に、発泡層用と非発泡層用の各樹脂をそれぞれ別の押出機で溶融混練し、多層のマンドレルダイやマルチスタックダイ、多層スパイダーマンドレルダイ、多層スパイラルマンドレルダイ等で各層を積層することができる。
非発泡層の積層箇所については、発泡層の内側(冷却マンドレルに接する側)と外側のどちらか、或いは両側に積層することができる。また、該非発泡層に加えて、バリア層や接着層を設けるなど非発泡層の配置の形態に制限は無い。発泡層の内側、外側、その両方のいずれの場合でもコルゲートの抑制効果が得られるが、この時、ポリプロピレン樹脂(X1)を基材とする層が発泡層の内側に少なくとも1層設けられることで、発泡による体積膨張を抑制する効果が高く、より大きなコルゲート抑制効果を得ることができ、好ましい。
用いる発泡剤種類には、特に制限がなく、プラスチックやゴム等に使用されている公知の発泡剤を使用することができる。また、物理発泡剤、分解性発泡剤(化学発泡剤)、熱膨張剤等を含有させたマイクロカプセル等、いずれの種類、或いは複数の種類を組み合わせて用いても良い。
物理発泡剤の具体例としては、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサンなどの脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサンなどの脂環式炭化水素、クロロジフルオロメタン、ジフルオロメタン、トリフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロメタン、ジクロロメタン、クロロエタン、ジクロロトリフルオロエタン、ジクロロフルオロエタン、クロロジフルオロエタン、ジクロロペンタフルオロエタン、テトラフルオロエタン、ジフルオロエタン、ペンタフルオロエタン、トリフルオロエタン、トリクロロトリフルオロエタン、ジクロロテトラフルオロエタン、クロロペンタフルオロエタン、パーフルオロシクロブタンなどのハロゲン化炭化水素、水、炭酸ガス、窒素などの無機ガス、などを例示することができる。これらの化合物は、単独で用いても良いし、複数の化合物を併用しても良い。
中でも、プロパン、ブタン、ペンタンのような脂肪族炭化水素および炭酸ガスが、安価かつポリプロピレン樹脂への溶解性が高いという点から好ましい。炭酸ガスを用いる場合には、7.4MPa以上、31℃以上の超臨界条件とすると、樹脂への拡散、溶解性に優れた状態となるので一層好ましい。
分解性発泡剤(化学発泡剤)の具体例としては、重炭酸ソーダとクエン酸などの有機酸の混合物、アゾジカルボンアミド、アゾジカルボン酸バリウムなどのアゾ系発泡剤、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジニトロソテレフタルアミドなどのニトロソ系発泡剤、p,p’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジドなどのスルホヒドラジド系発泡剤、トリヒドラジノトリアジンなどが挙げられる。発泡剤の配合量は、発泡層用ポリプロピレン系樹脂組成物中のポリプロピレン樹脂(W1)100重量部に対し、好ましくは0.05〜10重量部の範囲とすることが好ましい。
物理発泡剤を用いる場合には、必要に応じて、気泡調整剤を使用することができる。気泡調整剤としては、炭酸アンモニウム、重曹、重炭酸アンモニウム、亜硝酸アンモニウム等の無機系分解性発泡剤、アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル及びジアゾアミノベンゼン等のアゾ化合物、N,N′−ジニトロソペンタンメチレンテトラミン及びN,N′−ジメチル−N,N′−ジニトロソテレフタルアミド等のニトロソ化合物、ベンゼンスルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジド、p,p′−オキシビスベンゼンスルホニルセミカルバジド、p−トルエンスルホニルセミカルバジド、トリヒドラジノトリアジン、バリウムアゾジカルボキシレート等の分解性発泡剤、タルク、シリカ等の無機粉末、多価カルボン酸等の酸性塩、多価カルボン酸と炭酸ナトリウム又は重曹との反応混合物等を例示することができる。これらの気泡調整剤は、単独で用いても良いし、複数を併用しても良い。
気泡調整剤を使用する際には、気泡調節剤の配合量は、発泡層用のポリプロピレン樹脂組成物100重量部に対して、純分で0.005〜5重量部の範囲とすることが好ましい。
5.任意成分
本発明の効果を損なわない限り、発泡層、非発泡層の各層は、他の熱可塑性樹脂として、ポリエチレン系樹脂やエラストマーなどを含んでいても良い。
また、本発明の多層発泡シートの発泡層、非発泡層の各層には、酸化防止剤、中和剤、光安定剤、紫外線吸収剤、無機充填剤、ブロッキング防止剤、滑剤、帯電防止剤、金属不活性剤、着色剤、結晶核剤など、その他ポリプロピレンに用いることのできる重合体などの各種添加剤を、本発明の目的を損なわない範囲で配合することができる。これら添加剤の配合量は、ポリプロピレン樹脂組成物(X)又はポリプロピレン樹脂組成物(W)100重量%中で、一般に0.0001〜3重量%、好ましくは0.001〜1重量%である。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤および硫黄系酸化防止剤などが例示でき、中和剤としては、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩類が例示でき、光安定剤および紫外線吸収剤としては、ヒンダードアミン類、ニッケル錯化合物、ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類などが例示できる。
以下、フェノール系酸化防止剤として、代表的な化合物を例示する。
モノフェノール型の化合物では、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール(通称:BHT)、トコフェロール(ビタミンE)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)プロピオネート(商品名:Irganox1076、スミライザーBP−76)を例示することができる。
ビスフェノール型の化合物では、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)(商品名:スミライザーMDP−S)、1,1−ビス(2’−メチル−4’−ヒドロキシ−5’−t−ブチルフェニル)ブタン(商品名:スミライザーBBM−S、アデカスタブAO−40)、3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン(商品名:スミライザーGA−80、アデカスタブAO−80)を例示することができる。
トリフェノール型の化合物では、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン(商品名:アデカスタブAO−30)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン(商品名:Irganox1330、アデカスタブAO−330)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレート(商品名:Irganox3114、アデカスタブAO−20)、1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート(商品名:スミライザーBP−179、Cyanox1790)、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−イソシアヌレート(商品名:ケミノックス314)を例示することができる。
テトラフェノール型の化合物では、テトラキス{メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート}メタン(商品名:Irganox1010)を例示することができる。
以下、リン系酸化防止剤として、代表的な化合物を例示する。
ホスファイト型の化合物では、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(商品名:Irgafos168、スミライザーP−16、アデカスタブ2112)、トリスノニルフェニルホスファイト(商品名:スミライザーTNP、アデカスタブ1178)、トリス(ミックスド,モノ−ジノニルフェニルホスファイト)(商品名:アデカスタブ329K)、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト(通称:P−EPQ)、環状ネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニルフォスファイト)(商品名:アデカスタブPEP−36)を例示することができる。
以下、硫黄系酸化防止剤として、代表的な化合物を例示する。
スルフィド型の化合物では、ジラウリル−3,3’−チオ−ジプロピオネート(通称:DLTDP)、ジ−ミリスチル−3,3’−チオ−ジプロピオネート(通称:DMTDP)、ジステアリル−3,3’−チオ−ジプロピオネート(通称:DSTDP)、ペンタエリスリトール−テトラキス−(3−ラウリルチオ−プロピオネート)(商品名:スミライザーTP−D、アデカスタブAO−412S)を例示することができる。
次に、紫外線吸収剤と光安定剤について説明する。
紫外線吸収剤は、紫外線領域に吸収帯を持つ化合物であり、トリアゾール系、ベンゾフェノン系、サリシレート系、シアノアクリレート系、ニッケルキレート系、無機微粒子系、などが知られている。好ましくはトリアゾール系である。
以下、紫外線吸収剤として代表的な化合物を例示する。
トリアゾール系の化合物では、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール(商品名:スミソーブ200、TinuvinP)、2−(2’−ヒドロキシ−5’−t−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール(商品名:スミソーブ340、Tinuvin399)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール(商品名:スミソーブ320、Tinuvin320)、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−アミルフェニル)ベンゾトリアゾール(商品名:スミソーブ350、Tinuvin328)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール(商品名:スミソーブ300、Tinuvin326)を例示することができる。
ベンゾフェノン系の化合物では、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(商品名:スミソーブ110)、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン(商品名:スミソーブ130)を例示することができる。
サリシレート系の化合物では、4−t−ブチルフェニルサリシレート(商品名:シーソーブ202)を例示することができる。シアノアクリレート系の化合物では、エチル(3,3−ジフェニル)シアノアクリレート(商品名:シーソーブ501)を例示することができる。ニッケルキレート系の化合物では、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル(商品名:アンチゲンNBC)を例示することができる。無機微粒子系の化合物では、TiO、ZnO、CeOを例示することができる。
光安定剤は、ヒンダードアミン系の化合物を用いることが一般的であり、HALSと呼ばれる。HALSは、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン骨格を持ち、紫外線を吸収することはできないが、多種多様な機能により光劣化を抑制する。主な機能は、ラジカルの捕捉、ハイドロキシパーオキサイド化合物の分解、ハイドロキシパーオキサイドの分解を加速する重金属の捕捉、の3つと言われている。
以下、HALSとして代表的な化合物を例示する。
セバケート型の化合物では、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート(商品名:アデカスタブLA−77、Tinuvin770)、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート(商品名:Tinuvin765)を例示することができる。
ブタンテトラカルボキシレート型の化合物では、テトラキス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(商品名:アデカスタブLA−57)、テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート(商品名:アデカスタブLA−52)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジノール及びトリデシルアルコールとの縮合物(商品名:アデカスタブLA−67)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及びトリデシルアルコールとの縮合物(商品名:アデカスタブLA−62)を例示することができる。
コハク酸ポリエステル型の化合物では、コハク酸と1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンとの縮合重合体を例示することができる。
トリアジン型の化合物では、N,N’−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン・2,4−ビス{N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)アミノ}−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物(商品名:Chimassorb199)、ポリ{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}(商品名:Chimassorb944)、ポリ(6−モルホリノ−s−トリアジン−2,4−ジイル){(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}(商品名:Chimasorb3346)を例示することができる。
また、無機充填剤としては、炭酸カルシウム、シリカ、ハイドロタルサイト、ゼオライト、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウムなどが例示できる。無機充填剤の配合量は、50重量部程度以下とすることができる。滑剤としては、ステアリン酸アマイドなどの高級脂肪酸アマイド類が例示できる。
更に、帯電防止剤としては、グリセリン脂肪酸モノエステルなどの脂肪酸部分エステル類が例示でき、金属不活性剤としては、トリアジン類、フォスフォン類、エポキシ類、トリアゾール類、ヒドラジド類、オキサミド類などが例示できる。
滑剤は、成形性や流動性を高めるために用いる添加剤であり、成形機や押出機の中でポリマー分子間の摩擦力やポリマーと成形機内壁との間の摩擦力を低減する作用を持つ。滑剤として用いられる化合物は、パラフィンやワックスなどの炭化水素化合物、ステアリルアルコールやプロピレングリコールなどのアルコール、n−ブチルステアレートなどの高級脂肪酸エステル、オレイン酸アミドやステアリン酸アミドなどの高級脂肪酸アミド、ステアリン酸カルシウムなどの高級脂肪酸塩、ステアリン酸モノグリセリドなどの多価アルコールの部分エステル、シリコンオイルなどがある。
このうち、高級脂肪酸アミドの具体例としては、ラウリル酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルシン酸アミド、ベヘン酸アミド、を挙げることができる。脂肪酸アミド化合物は、アルキル鎖上やN上に置換基を有していても良い。置換基を有する脂肪酸アミド化合物の例としては、ヒドロキシステアリン酸アミド、N−オレイルパルミチン酸アミド、N−ステアリルオレイン酸アミド、N−ステアリルエルシン酸アミド、メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド、を挙げることができる。
以下、中和剤として代表的な化合物を例示する。
カルボン酸塩型の化合物では、ステアリン酸カルシウムとステアリン酸亜鉛を例示することができる。無機化合物では、ハイドロタルサイト、並びに、水酸化アルミニウムと炭酸リチウムの包摂物(商品名:ミズカラック)を例示することができる。
6.多層発泡成形体の製造
本発明の多層発泡シートは、熱成形に供し、多層発泡成形体にすることができる。ここでいう熱成形とは、一般に、プラスチックシートを加熱軟化して所望の型に押しあてて成形することであり、型と材料の隙間にある空気を排除し大気圧により型に密着させて成形する真空成形、及び大気圧以上の圧縮空気を利用して成形する圧空成形、真空および圧空を併用した真空圧空成形等がある。
熱成形法は、特に制限されるものではなく、例えば、プラグ成形、マッチド・モールド成形、プラグアシスト成形などの方法を例示することができる。
また、紙コップ等の製造に一般的に用いられるような成形方法を用いて、コップ状の多層発泡成形体を得ることもできる。ここでいう紙コップ等の製造に一般的に用いられるような成形方法とは、扇形に打ち抜いた胴部材と、円形に打ち抜いた底面部材をそれぞれ準備し、底面部材の周縁部に、丸めた胴部の下端を巻き込んで加熱融着することによってコップ状に成形する方法である。
7.用途
以上で得られた多層発泡成形体は、電子レンジによる加熱や高温の液体の充填に対応するトレー、コップ、皿、カップなどの発泡食品容器や自動車ドアトリム、自動車トランクマットなどの車両内装材、建材、断熱材、包装、文具等に好適である。
以下、本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例によって限定されるものではない。
[評価方法]
実施例および比較例において、ポリプロピレン樹脂組成物、多層発泡シート、その構成成分についての諸物性は、下記の評価方法に従って、測定、評価した。
(1)発泡層のみかけ密度及び発泡倍率
JIS K7222に準じて発泡シートから試験片を切出し、試験片重量(g)を、該試験片の外形寸法から求められる体積(cm)で割って、発泡シートのみかけ密度を求めた。
次に、光学顕微鏡を用いて発泡シートの断面観察を行い、非発泡層、発泡層のそれぞれの厚みを測定した。発泡シートのみかけ密度、非発泡層及び発泡層の厚み、並びにポリプロピレン樹脂の密度0.91g/cmから発泡シートの発泡層のみかけ密度を算出した。
さらに、ポリプロピレン樹脂の密度0.91g/cmを発泡層のみかけ密度で割った値を発泡層の発泡倍率とした。
(2)多層発泡シートのコルゲート評価
製造中のコルゲート評価は、各実施例及び各比較例で得られたポリプロピレン樹脂組成物発泡シートの製造中に以下の基準で目視評価した。
◎:ダイス出口でコルゲートが全く認められない。
○:ダイス出口では、コルゲートが確認されるが、冷却マンドレル以降ではコルゲートの影響は認められない。
△:ダイス出口でコルゲートが確認され、冷却マンドレル以降でもコルゲートの影響が局所的に認められる。
×:ダイス出口でのコルゲートが顕著で、冷却マンドレル以降でもコルゲートの影響が広範に認められる。
(3)多層発泡シートの外観評価
発泡シートの表面外観評価は、各実施例及び各比較例で得られたポリプロピレン樹脂組成物発泡シートを以下の基準で目視評価した。
◎:発泡シート表面に目視での凹凸が確認されず、平滑である。
○:発泡シート表面には目視で凹凸が認められるが、平滑である。
×:発泡シート表面に、気泡による凹凸が確認され、粗さが目立つ。
[使用材料]
下記のポリプロピレン樹脂PP−1〜PP−5を使用した。
PP−1
PP−1として、高いひずみ硬化性を有する日本ポリプロ社製WAYMAX MFX3(MFR=9.4g/cm、MT=4.8g)を用いた。PP−1の13C−NMR測定から、このポリプロピレンに長鎖分岐が存在することを確認した。各物性値を表1に示す。
PP−2
PP−2として、高いひずみ硬化性を有する日本ポリプロ社製WAYMAX MFX6(MFR=3.1g/cm、MT=14.4g)を用いた。PP−2の13C−NMR測定から、このポリプロピレンに長鎖分岐が存在することを確認した。各物性値を表1に示す。
PP−3
PP−3として、高いひずみ硬化性を有する日本ポリプロ社製WAYMAX EX4000(MFR=6.0g/cm、MT=4.2g)を用いた。PP−3の13C−NMR測定から、このポリプロピレンに長鎖分岐が存在することを確認した。各物性値を表1に示す。
PP−4
PP−4として、高いひずみ硬化性を有する日本ポリプロ社製WAYMAX EX6000(MFR=3.0g/cm、MT=8.4g)を用いた。PP−4の13C−NMR測定から、このポリプロピレンに長鎖分岐が存在することを確認した。各物性値を表1に示す。
PP−5
PP−5として、高いひずみ硬化性を有さない日本ポリプロ社製NOVATEC BC3BRF(MFR=10g/cm、MT=1.2g)を用いた。PP−5は、PP−5の13C−NMR測定から、長鎖分岐を有しないことを確認した。各物性値を表1に示す。
[実施例1]
1)使用原料
発泡層用ポリプロピレン樹脂、気泡調整剤、非発泡層用ポリプロピレン樹脂として、以下の材料を用いた。
・発泡層用ポリプロピレン樹脂(W1)としてPP−2
・非発泡層用ポリプロピレン樹脂(X1)としてPP−3
・気泡調整剤:100重量部のPP−2に対して0.5重量部の化学発泡剤(商品名:ハイドロセロールCF40E−J、日本ベーリンガーインゲルハイム社製)
2)サーキュラー押出発泡による多層発泡シートの製造
以下のように多層発泡シートを製造した。
2−1)多層発泡シートを製造するため、発泡層用ポリプロピレン樹脂組成物(W)を、スクリュー径が65mmΦの単軸型押出機の原料供給ホッパーに投入した。押出機のシリンダー前段の設定温度を230℃として、樹脂を加熱溶融して可塑化するとともに気泡調整剤を分解し、ガス注入ポンプを使用してブタンガスを0.45kg/h注入、混合させた後、押出機のシリンダー後段の設定温度を175℃として速やかに冷却し、その発泡層用プロピレン樹脂組成物(W)を、設定温度を175℃とした押出機先端に取付けられたサーキュラーダイ(口径=100mmΦ、ギャップ=0.5mm)より大気中に押出して発泡させた。また、非発泡層用ポリプロピレン樹脂(X1)については、口径30mmΦの押出機の原料供給ホッパーに投入し、シリンダー設定温度を190℃としてポリプロピレン樹脂(X1)を加熱溶融した後、多層スパイラルマンドレルで発泡層の内側に積層し、発泡層と共にサーキュラーダイ先端から共押出して積層発泡体を製造した。発泡層用樹脂組成物(W)と非発泡層用樹脂(X1)との合計押出量は45kg/hとした。
2−2)該発泡体を外径200mmΦの冷却マンドレルに通して冷却し、続いてローターカッターにより切り開いてシートとし、引取ロール、ピンチロール及び巻取ロールによってシートの巻取を行った。シート厚みは引取ロールの速度で調整した。
発泡シートの評価結果を表2に示す。
[実施例2〜3]
非発泡層の配置を、発泡層の外側(実施例2)、或いは両側(実施例3)とした以外は実施例1と同様に多層発泡シートを製造した。
非発泡層を発泡層の外側に配置する際は、内側に積層する際に用いる押出機と同型の口径30mmΦ押出機を使用し、非発泡層用ポリプロピレン樹脂(X1)を原料供給ホッパーに投入し、シリンダー設定温度を190℃として非発泡層用ポリプロピレン樹脂(X1)を加熱溶融した後、多層スパイラルマンドレルで発泡層の外側に積層し、発泡層と共にサーキュラーダイ先端から共押出して積層発泡体を製造した。
非発泡層を発泡層の両側に積層する場合は、上記内側及び外側に積層する際に用いる押出機を両方共起動することによって積層発泡体を製造した。そして、この積層発泡体から実施例1と同様の方法で多層発泡シートを得た。多層発泡シートの評価結果を表2に示す。
[実施例4]
PP−3に替えてPP−4を非発泡層(内層)用として使用した以外は実施例1と同様にサーキュラー押出発泡を行い、多層発泡シートを得た。多層発泡シートの評価結果を表2に示す。
[実施例5]
PP−3に替えてPP−4を非発泡層(外層)用として使用した以外は、実施例2と同様にサーキュラー押出発泡を行い、多層発泡シートを得た。多層発泡シートの評価結果を表2に示す。
[実施例6]
非発泡層のPP−3をいずれもPP−4とした以外は、実施例3と同様にサーキュラー押出発泡を行い、多層発泡シートを得た。多層発泡シートの評価結果を表2に示す。
[比較例1]
非発泡層のPP−3を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にサーキュラー押出発泡を行い、発泡シートを得た。発泡シートの評価結果を表3に示す。
[比較例2]
非発泡層のPP−3の替りにPP−5を用いたこと以外は、実施例1と同様にサーキュラー押出発泡を行い、多層発泡シートを得た。多層発泡シートの評価結果を表3に示す。
[比較例3]
非発泡層のPP−3の替りにPP−5を用いたこと以外は、実施例2と同様にサーキュラー押出発泡を行い、多層発泡シートを得た。多層発泡シートの評価結果を表3に示す。
[比較例4]
非発泡層のPP−3をいずれもPP−5に替えた以外は、実施例3と同様にサーキュラー押出発泡を行い、多層発泡シートを得た。多層発泡シートの評価結果を表3に示す。
[比較例5]
発泡層のPP−2の替りにPP−1を用いたこと以外は、比較例4と同様にサーキュラー押出発泡を行い、多層発泡シートを得た。多層発泡シートの評価結果を表3に示す。
実施例と比較例の対比により、高いひずみ硬化性を有するポリプロピレン樹脂(PP−1及びPP−2)を非発泡層として設けた場合には、コルゲートの発生が著しく抑制され、高い発泡倍率、或いは厚みが増加した場合においてもシート表面外観が良好で、シート厚みの均一性が高い多層発泡シートが得られることが明らかである。
本発明の非発泡層用ポリプロピレン樹脂組成物を共押出して得られるポリプロピレン多層発泡シート、および該多層発泡シートを用いた熱成形体は、製造中のコルゲートが抑制されているので、表面外観に優れ、発泡倍率が高い。加えて、得られたシートは熱成形性、耐衝撃性、軽量性、剛性、耐熱性、断熱性、耐油性等に優れていることより、電子レンジによる加熱や高温の液体の充填に対応するトレー、皿、カップなどの発泡食品容器や自動車ドアトリム、自動車トランクマットなどの車両内装材、建材、断熱材、包装、文具、などの幅広い分野に好適に利用でき、工業的価値は極めて高い。

Claims (8)

  1. ポリプロピレン樹脂(X1)を基材として含む非発泡層と、
    ポリプロピレン樹脂(W1)を基材として含む発泡層と
    を含む多層発泡シートであって、ポリプロピレン樹脂(X1)は、1.6以上のひずみ硬化度を有し、ポリプロピレン樹脂(W1)はプロピレン単独重合体であって、1.1以上、20以下のひずみ硬化度を有することを特徴とする多層発泡シート。
  2. ポリプロピレン樹脂(X1)は、長鎖分岐構造を有することを特徴とする請求項1に記載の多層発泡シート。
  3. ポリプロピレン樹脂(X1)は、20以下のひずみ硬化度を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の多層発泡シート。
  4. 発泡層は0.225g/cm以下の密度を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の多層発泡シート。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の多層発泡シートから成る多層発泡成形体。
  6. 1.6以上のひずみ硬化度を有するポリプロピレン樹脂(X1)を基材として含む非発泡層用樹脂組成物と、
    プロピレン単独重合体であって、1.1以上、20以下のひずみ硬化度を有するポリプロピレン樹脂(W1)を基材として含み、かつ、発泡剤を含む発泡層用樹脂組成物とを、
    サーキュラーダイから共押出することを特徴とする多層発泡シートの製造方法。
  7. ポリプロピレン樹脂(X1)は、長鎖分岐構造を有することを特徴とする請求項6に記載の多層発泡シートの製造方法。
  8. ポリプロピレン樹脂(X1)は、20以下のひずみ硬化度を有することを特徴とする請求項6又は7に記載の多層発泡シートの製造方法。
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