JP2004322341A - 微細セル発泡体の押出発泡成形方法、押出発泡成形装置および微細セル発泡体 - Google Patents
微細セル発泡体の押出発泡成形方法、押出発泡成形装置および微細セル発泡体 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】押出機2において、結晶性の熱可塑性樹脂を含む成形材料を溶融しつつ、その成形材料に超臨界状態の不活性ガスを混合溶解し、その後、成形材料の結晶化温度よりも0.5〜5℃高い温度範囲に温度制御されているダイ4から大気圧下に押し出す。押し出された成形材料には、結晶化温度の近傍における押し出し時の剪断力によって分子鎖に配向を生じ、結晶核あるいは微結晶が多数発生する一方不活性ガスが排除され、その隙間に高濃度で分布してミクロな気泡核を形成し、その気泡核の成長によりマイクロセルラーフォームが形成される。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微細セル発泡体の押出発泡成形方法、押出発泡成形装置および微細セル発泡体、詳しくは、微細なセルを有するマイクロセルラーフォームを押出発泡成形するための押出発泡成形方法、その方法に用いられる押出発泡成形装置、および、その方法により得られる微細セル発泡体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、熱可塑性樹脂を、押出発泡成形装置を用いて押出発泡成形する方法において、環境にやさしいクリーンな炭酸ガスや窒素ガスなどの不活性流体を、発泡剤として用いて、微細なセルからなるマイクロセルラーフォームを成形する方法が、種々検討されている。
【0003】
たとえば、特表2002−501443号公報(特許文献1)には、押出機の長手方向途中のバレル内に、圧力降下を生じさせる複数の核形成通路を有する核形成器を設けるとともに、その核形成器の上流側にスクリューおよび超臨界二酸化炭素の受口を、その核形成器の下流側に滞留室およびダイを設ける押出システムが提案されている。
【0004】
この押出システムでは、スクリューにより溶融押出される高分子材料に、受口から超臨界二酸化炭素を供給し、混合することにより単一相溶液とし、次いで、この単一相溶液を、核形成器の核形成通路に通過させて、核形成通路の通過中の圧力降下により気泡の核を形成させて、核形成通路から滞留室に至ったときに、高度に核形成された均一な高分子材料の流体流とし、次いで、滞留室において冷却により気泡の成長を抑制しつつ、その後、高分子材料と非常に小さい気泡との液体混合物の状態で、その混合物を、十分に高い温度でダイに通過させることにより、押出発泡成形する。
【0005】
このような方法によれば、単一相溶液を、核形成器において一旦分離して、核形成通路にてそれぞれ気泡の核を形成させ、その後、滞留室において合流させることにより、多数の核を有する高分子材料の流体流とすることができるので、これをダイから押し出せば、多数の核を均一に成長させることができ、所望の厚さの微孔性ポリマーを連続して成形することができる、というものである。
【0006】
【特許文献1】
特表2002−501443号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、このような方法によると、ダイを通過させる以前に、高分子材料の流体流に、多数の気泡の核を形成させておくので、ダイから押し出すときに、その押し出し時の剪断力によって、気泡の破泡や合泡が進むため、高発泡率の発泡体を得ることができないという不具合がある。
【0007】
また、バレル内に核形成器を設けると、バレル内の圧力調整が構造的に困難となり、押し出し時の圧力制御が難しく、また、バレルが長くなるなど、工業的には不向きな要因を含んでいる。
【0008】
本発明は、このような不具合に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、高発泡倍率で、微細なセルを有する発泡体を、連続的に押出発泡成形することのできる、工業的に有利な、微細セル発泡体の押出発泡成形方法、および、その方法に用いられる押出発泡成形装置、その方法により得られる微細セル発泡体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明の微細セル発泡体の押出発泡成形方法は、結晶性の熱可塑性樹脂を含む成形材料を溶融する溶融工程、前記溶融工程において、溶融する前記成形材料に不活性流体を混合する混合工程、不活性流体が混合された溶融状態の前記成形材料を、その状態における前記成形材料の結晶化温度に対して、0.5〜5℃高い温度の範囲内で押し出す押出工程を備えていることを特徴としている。
【0010】
このような方法によると、溶融工程において、溶融された結晶性の熱可塑性樹脂を含む成形材料に、混合工程において、不活性流体が混合され、押出工程において、その不活性流体が混合された溶融状態の成形材料が、その状態における成形材料の結晶化温度に対して、0.5〜5℃高い温度の範囲内で押し出される。そうすると、押し出された成形材料は、結晶化温度の近傍における押し出し時の剪断力によって、分子鎖に配向を生じ、その成形材料中において、ミクロな結晶核あるいは微結晶が均一に多数発生する。そうすると、その成形材料中に溶融混合されている不活性流体は、それら結晶核あるいは微結晶から排除されるので、多数の結晶核あるいは微結晶の隙間に、高濃度で分布し、多数のミクロな気泡核を均一に形成するようになる。そして、多数の気泡核が成長することにより、多数の微細なセルが均一に生成し、これによって微細なセルを有する発泡体が成形される。
【0011】
このような方法によれば、押し出し時に、気泡が破泡あるいは合泡することが著しく低減され、高発泡倍率で、微細なセルを有する発泡体を、所望の厚みおよび形状で、連続的に押出発泡成形することができる。
【0012】
また、本発明の押出発泡成形方法においては、前記押出工程において、押し出し前後の圧力差が4〜25MPaとなるように、不活性流体が混合された溶融状態の前記成形材料を押し出すことが好ましく、また、前記混合工程において、不活性流体を、溶融する前記成形材料および不活性流体の合計に対して、0.05〜10重量%の濃度となるように、前記成形材料に混合することが好ましい。
【0013】
また、本発明の微細セル発泡体の押出発泡成形装置は、結晶性の熱可塑性樹脂を含む成形材料を移動させながら溶融させるための押出機と、前記押出機における前記成形材料の移動方向途中に接続され、溶融する前記成形材料に対して不活性流体を供給するための不活性流体供給部と、前記押出機における前記成形材料の移動方向下流側に接続され、不活性流体が混合された溶融状態の前記成形材料の結晶化温度に対して、0.5〜5℃高い温度の範囲内に設定され、その状態の前記成形材料を押し出すためのダイとを備えていることを特徴としている。
【0014】
このような押出発泡成形装置によると、まず、押出機において、結晶性の熱可塑性樹脂を含む成形材料が、移動されながら溶融され、その移動方向途中において、不活性流体供給部から、その成形材料に対して不活性流体が供給される。その後、不活性流体が混合された溶融状態の成形材料が、その状態における成形材料の結晶化温度に対して0.5〜5℃高い温度の範囲内に設定されているダイから、押し出される。
【0015】
そうすると、押し出された成形材料は、結晶化温度の近傍における押し出し時の剪断力によって、分子鎖に配向を生じ、その成形材料中において、ミクロな結晶核あるいは微結晶が均一に多数発生する。そうすると、その成形材料中に溶融混合されている不活性流体は、それら結晶核あるいは微結晶から排除されるので、多数の結晶核あるいは微結晶の隙間に、高濃度で分布し、多数のミクロな気泡核を均一に形成するようになる。そして、多数の気泡核が成長することにより、多数の微細なセルが均一に生成し、これによって微細なセルを有する発泡体が成形される。
【0016】
そのため、このような押出発泡成形装置によれば、押し出し時に、気泡が破泡あるいは合泡することが著しく低減され、高発泡倍率で、微細なセルを有する発泡体を、所望の厚みおよび形状で、連続的に押出発泡成形することができる。また、成形機内に核形成器などを設ける必要もないので、装置構成の簡略化を図ることができるとともに、押し出し時において確実に圧力制御することができ、また、成形機が長くなることもなく、工業的に有利な押出発泡成形装置を提供することができる。
【0017】
また、本発明の押出発泡成形装置においては、前記押出機は、前記ダイに接続されている近傍において、前記成形機内の圧力が4〜25MPaとなるように設定されており、前記ダイは、前記押出機内の圧力を保持でき、かつ、不活性流体が混合された溶融状態の前記成形材料を、大気圧下に押し出すように設けられていることが好ましい。
【0018】
また、本発明の押出発泡成形装置においては、前記不活性流体供給部は、不活性流体の供給量を、溶融する前記成形材料および不活性流体の合計に対して、供給される不活性流体が0.05〜10重量%の濃度となるように、調整するための濃度調整手段を備えていることが好ましい。
【0019】
また、本発明は、上記した微細セル発泡体の押出発泡成形方法により得られ、平均セル径が150μm以下、かつ、セル密度が105〜1010個/cm3である微細セル発泡体をも含んでいる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の微細セル発泡体の押出発泡成形装置としてのタンデム型押出発泡成形装置の要部構成を示す概略全体構成図である。
【0021】
図1において、このタンデム型押出発泡成形装置1は、押出機2と、不活性流体供給部としてのガス供給部3と、ダイ4と、これら各部を制御するためのCPU5とを備えている。
【0022】
押出機2は、第1押出機6、連結部7および第2押出機8を備えている。
【0023】
第1押出機6は、シリンダ9、および、そのシリンダ9内に2本のスクリュー10(図1では1本のスクリューのみが現われている。)を備える二軸押出機から構成されており、さらに、駆動モータ11、ホッパ12およびヒータ13などを備えている。
【0024】
シリンダ9は、筒状部材からなり、そのシリンダ9内に内装される2本のスクリュー10の軸方向一端部(押出方向(成形材料の移動方向)上流側端部)を、回転可能に軸受支持している。
【0025】
また、このシリンダ9におけるスクリュー10の軸方向一端部には、ホッパ12が接続される供給口14が形成されている。また、このシリンダ9におけるスクリュー10の軸方向他端部(押出方向(成形材料の移動方向)下流側端部)には、成形材料を連結部7に向けて押し出すための押出口15が形成されている。またこのシリンダ9におけるスクリュー10の軸方向途中には、後述するガスノズル30が接続されるノズル接続口48が形成されている。
【0026】
2本のスクリュー10は、シリンダ9内において、軸方向に沿って並行に配置されている。これら2本のスクリュー10の径、条数、回転方向(同方向回転または異方向回転)、噛み合いの有無などは、その用途および目的によって、適宜選択される。
【0027】
駆動モータ11は、シリンダ9におけるスクリュー10の軸方向一端部において、図示しない減速装置などを介して、2本のスクリュー10の軸方向一端部にそれぞれ連結されている。
【0028】
ホッパ12は、シリンダ9の供給口14に接続されている。このホッパ12には、成形材料として、結晶性の熱可塑性樹脂、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリ乳酸などのペレットが投入される。
【0029】
なお、このタンデム型押出発泡成形装置1によって、押出発泡成形が可能な熱可塑性樹脂は、結晶性、すなわち、一部あるいは殆ど全部の鎖状分子がある温度などの条件を満たしたときに、高い秩序の分子配列が生ずる性質を発現できる結晶性の熱可塑性樹脂であれば、上記に例示の樹脂に限定されることなく、用いることができる。また、後述する発泡が可能な割合の結晶性の熱可塑性樹脂(たとえば、ポリエチレンテレフタレート)を含んでいれば、非結晶性の熱可塑性樹脂(たとえば、ポリスチレン)を含んでいてもよい。
【0030】
また、成形材料には、結晶性の熱可塑性樹脂とともに、例えば、炭酸カルシウム、酸化ケイ素、酸化チタン、クレー、タルクなどの無機微粒子を含有させてもよい。このような無機微粒子は、たとえば、その平均粒子径が、0.01〜20μm程度であり、たとえば、成形材料中にマスターバッチとして、0.1〜5重量%程度配合することができる。このような無機微粒子を含有させることで、結晶核の形成を促進させることができ、気泡核の形成を容易にすることができる。
【0031】
ヒータ13は、シリンダ9における外周面に、スクリュー10の軸方向に沿って複数のブロックごとに設けられている。シリンダ9内には、CPU5に接続される図示しない温度センサが設けられており、この温度センサによって検知された検知温度に基づいて、ヒータ13がブロック単位で温度制御される。
【0032】
なお、シリンダ9内には、CPU5に接続される図示しない圧力センサが設けられている。
【0033】
連結部7は、第1押出機6の押出口15に接続される出口部16と、第2押出機8の次に述べるシリンダ22の供給口26に接続される入口部17と、これら出口部16および入口部17を接続する接続管18とを一体的に備えている。
【0034】
出口部16には、絞り19が設けられている。この絞り19は、出口部16の流路20に臨み、流路20に対して矢印方向に進退自在に設けられている。そして、絞り19は、CPU5の制御によって、進出により流路20を閉鎖し、退避により流路20を開放するように動作され、その進退動作により、流路20の開閉および開度を調整して、第1押出機6から第2押出機8に押し出される成形材料の押出量を調整可能に構成されている。
【0035】
また、出口部16における絞り19よりも成形材料の押出方向上流側には、CPU5に接続される図示しない圧力センサが設けられており、この圧力センサによって検知される検知圧力に基づいて、絞り19の進退動作が制御される。
【0036】
第2押出機8は、第1押出機6と大略同様の構成とされ、シリンダ22、および、そのシリンダ22内に2本のスクリュー23(図1では1本のスクリューのみが現われている。)を備える二軸押出機から構成されており、さらに、駆動モータ24およびヒータ25などを備えている。
【0037】
シリンダ22は、筒状部材からなり、そのシリンダ22内に内装される2本のスクリュー23の軸方向一端部(押出方向(成形材料の移動方向)上流側端部)を、回転可能に軸受支持している。
【0038】
また、このシリンダ22におけるスクリュー23の軸方向一端部には、連結部7の入口部17が接続される供給口26が形成されている。また、このシリンダ22におけるスクリュー23の軸方向他端部(押出方向(成形材料の移動方向)下流側端部)には、成形材料をダイ4に向けて押し出すための押出口27が形成されている。
【0039】
2本のスクリュー23は、シリンダ22内において、軸方向に沿って並行に配置されている。これら2本のスクリュー23の径、条数、回転方向(同方向回転または異方向回転)、噛み合いの有無などは、その用途および目的によって、適宜選択される。
【0040】
駆動モータ24は、シリンダ22におけるスクリュー23の軸方向一端部において、図示しない減速装置などを介して、2本のスクリュー23の軸方向一端部にそれぞれ連結されている。
【0041】
ヒータ25は、シリンダ22における外周面に、スクリュー23の軸方向に沿って複数のブロックごとに設けられている。シリンダ22内には、CPU5に接続される図示しない温度センサが設けられており、この温度センサによって検知された検知温度に基づいて、ヒータ25がブロック単位で温度制御される。
【0042】
なお、シリンダ22内には、CPU5に接続される図示しない圧力センサが設けられている。
【0043】
ガス供給部3は、ガスタンク28、濃度調整手段としての定量供給ポンプ29、ガスノズル30およびガス供給ライン31を備えている。
【0044】
ガスタンク28には、不活性流体として、たとえば、炭酸ガス(二酸化炭素ガス)や窒素ガスなどの不活性ガスが貯蔵されている。また、ガスタンク28は、ガス供給ライン31を介して定量供給ポンプ29に接続されている。
【0045】
定量供給ポンプ29は、ガス供給ライン31を介してガスノズル30に接続されている。この定量供給ポンプ29は、次に述べるガスノズル30を介して、シリンダ9内に、ガスタンク28に貯蔵されている不活性ガスを、単位時間あたり一定量で供給することができる定量供給ポンプから構成されている。
【0046】
ガスノズル30は、図2に示すように、ノズル部32と、ノズル部32に螺合されるジョイント部33とを備えている。
【0047】
ノズル部32は、先端筒部34と、先端筒部34の後端から連続して先端筒部34より大径に形成される中間筒部35と、中間筒部35の後端から連続して中間筒部35より大径に形成される後端筒部36とが一体的に形成されている。
【0048】
また、先端筒部34の筒内先端部には、段差状のばね受け部37が、中間筒部35の筒内先端部には、段差状の係止部38が、後端筒部36の筒内上端部には、ねじ溝が形成される螺着部39が、それぞれ形成されている。
【0049】
そして、先端筒部34の筒内には、ばね40が収容され、そのばね40の一端側がばね受け部37に受けられている。また、中間筒部35の筒内には、放射状の羽根を有するボール受け部41およびボール42が収容され、ボール受け部41がばね40の他端側上において、係止部38に係止可能に配置され、ボール42がボール受け部41上において、ボール受け部41に受け入れ可能に配置されている。
【0050】
ジョイント部33は、その後端部にガス供給ライン31が接続されるとともに、その先端部には、ガス供給ライン31に連結するガス供給ライン31と同径のガス導入孔43が形成されている。また、先端部の外周には、ねじ山が形成される螺着部44が形成されるとともに、先端部と後端部との間の途中には、六角ボルト45が一体的に設けられている。
【0051】
そして、ジョイント部33は、ワッシャ46を介してノズル部32に、ジョイント部33の螺着部44がノズル部32の螺着部39に六角ボルト45を回転させることにより螺着されることによって、接続されている。
【0052】
このノズル部32では、ジョイント部33がノズル部32に接続された状態において、ジョイント部33におけるガス導入孔43が開口される先端縁部47が、中間筒部35の筒内のボール42上において、ボール42およびボール受け部41が移動可能な間隔を隔てて、係止部38と対向配置される。
【0053】
そして、このノズル部32では、不活性ガスが供給されないときには、ばね40の付勢力により、ボール受け部41およびボール42がジョイント部33の先端縁部47側に向かって付勢され、ボール42が先端縁部47におけるガス導入孔43の開口部を塞ぎ、これによって不活性ガスの逆流が防止されている。
【0054】
一方、不活性ガスが供給されるときには、先端縁部47におけるガス導入孔43の開口部からの不活性ガスの噴射力によって、ボール42およびボール受け部41がばね40の付勢力に抗してばね40側に押圧され、ボール受け部41が係止部38に係止されるとともに、先端縁部47におけるガス導入孔43の開口部とボール42との間に隙間が形成される。これによって、不活性ガスは、その間から中間筒部35内に流入し、ボール受け部41およびボール42と中間筒部35の内周面との隙間を介して、先端筒部34内に流入し、先端筒部34の先端から流出される。
【0055】
また、このガス供給部3では、ガス供給ライン31が全体的に温度調整可能および圧力調整可能に構成されており、定量供給ポンプ29によって、超臨界状態で、不活性ガスをガスノズル30からシリンダ9内に供給できるように構成されている。
【0056】
そして、このようなガス供給部3おいて、ノズル部32は、シリンダ9のノズル接続口48に、先端筒部34および中間筒部35が、シリンダ9の内周面49の近傍まで埋設されるようにして接続されており、ノズル接続口48における先端筒部47の先端からシリンダ9の内周面49までの間には、先端筒部34からシリンダ9に供給される超臨界状態の不活性ガスを、シリンダ9内の成形材料に分散させるための多孔質部材50が埋設されている。
【0057】
多孔質部材50は、たとえば、その平均孔径が1〜100μm、好ましくは、10〜100μm、さらに好ましくは、30〜60μm、気孔率が10〜60%、好ましくは、20〜40%のセラミックまたは金属からなる焼結多孔質体であって、超臨界状態の不活性ガスの供給量にもよるが、その厚さが2〜15mm、好ましくは、5〜10mm、直径が3〜20mmφ、好ましくは、6〜10mmφの円柱状に形成されている。
【0058】
なお、多孔質部材50の平均孔径が10μm未満であると、超臨界状態の不活性ガスの供給圧力が高くなり過ぎて、超臨界状態の不活性ガスの供給効率が低下し、100μmを超えると、超臨界状態の不活性ガスを数十μmのサイズで成形材料に供給することができず、超臨界状態の不活性ガスを高分散状態で成形材料に混合できない場合がある。
【0059】
また、この多孔質部材50は、ノズル部32の先端筒部34の先端の開口径よりも大径に形成されており、その一端面が、先端筒部34の先端と接触され、その反対側の他方面がシリンダ9の内周面49と略面一となるように配置されている。
【0060】
なお、ノズル接続口48は、シリンダ9におけるスクリュー10の軸方向途中、すなわち、ホッパ12よりもスクリュー10の軸方向下流側であって、かつ、押出口15よりも上流側において、シリンダ9の外周面51から内周面49までを貫通するように形成されている。ノズル接続口48の形成位置は、その目的および用途により、適宜決定すればよいが、ノズル接続口48が形成されるスクリュー9の軸方向途中位置から、押出口15が形成される軸方向他端部までの間において、成形材料と不活性ガスとを十分に混合分散して溶解できる軸方向距離が確保される位置に設定される。
【0061】
ダイ4は、図1に示すように、第2押出機8の押出口27に接続されており、不活性ガスが溶解されている成形材料が通過する押出通路52と、その押出通路52の押出方向途中に設けられる押出抵抗部53とを備えている。
【0062】
押出通路52は、シリンダ22の軸方向に沿う貫通孔として形成されており、その上流側端部がシリンダ22の押出口27に接続され、その下流側端部が大気に開放される開放口54として形成されている。
【0063】
また、押出抵抗部53は、図3に示すように、押出通路52の押出方向において介装される抵抗部本体55に、押出方向に沿って貫通状に延びる押出通路52よりも開口断面積の小さい複数の通路56(開口断面積の形状は特に限定されない。)が形成されており、この押出抵抗部53の抵抗部本体55が押し出し時の抵抗となって、押出通路52における押出抵抗部53の上流側(シリンダ22内におけるダイ4に接続されている近傍を含む。)の圧力が保持されている。
【0064】
なお、押出通路52における押出抵抗部53の下流側は、開放口54に向かって開口断面積が次第に大きくなるように形成されており、開放口54は、押し出し後の成形材料に所定の形状を付与できる形状として形成されている。
【0065】
また、ダイ4には、図示しないヒータおよび温度センサが内臓されており、これらがCPU5に接続されている。これによって、温度センサによって検知される検知温度に基づいて、ヒータがCPU5によって温度制御されることにより、このダイ4が温度調節されている。
【0066】
CPU5には、図1に示すように、第1押出機6の駆動モータ11およびヒータ13、絞り19、第2押出機8の駆動モータ24およびヒータ25、定量供給ポンプ29、および、ダイ4を含むこれらに設けられている、図示しない、温度センサ、圧力センサおよびヒータなどの各部が接続されており、これら各部を制御している。
【0067】
次に、このタンデム型押出発泡成形装置1によって、成形材料を押出発泡成形する方法について説明する。
【0068】
このタンデム型押出発泡成形装置1によって押出発泡成形するには、まず、第1押出機6において、CPU5によって、駆動モータ11を、2本のスクリュー10が所定の回転速度(たとえば、1〜200回転/分、好ましくは、30〜150回転/分)で回転するように駆動制御するとともに、ヒータ13を、シリンダ9内が成形材料の溶融温度以上(成形材料(樹脂)の種類にもよるが、たとえば、100〜350℃、好ましくは、120〜300℃であり、たとえば、成形材料(樹脂)の溶融温度の5〜50℃以上、好ましくは、10〜30℃以上)となるように温度制御する。また、CPU5によって、シリンダ9内が所定の圧力(上記の温度制御において、成形材料に対して不活性ガスが溶解する所定の圧力、たとえば、5〜30MPa、好ましくは、8〜20MPa)となるように、絞り19の進退動作を制御する。
【0069】
そして、ホッパ12から所定量の成形材料を、第1押出機6のシリンダ9内に連続的に投入する。そうすると、シリンダ9内に投入された成形材料が、溶融されながらシリンダ9内を押出方向下流側に向かって連続的に流動する。
【0070】
また、これとともに、CPU5によって、定量供給ポンプ29を駆動制御して、所定量の超臨界状態の不活性ガスを、ガスタンク28から、ガス供給ライン31を介してガスノズル30に送り、その所定量の超臨界状態の不活性ガスを、ガスノズル30から多孔質部材50を介してシリンダ6内に連続的に供給する。
【0071】
なお、CPU5による定量供給ポンプ29の駆動制御によって供給される超臨界状態の不活性ガスの供給量は、成形材料の種類や、目的とするマイクロセルラーフォームの物性により、適宜決定すればよいが、たとえば、シリンダ9内において混合される成形材料および不活性ガスの合計に対して、0.05〜10重量%、好ましくは、たとえば、不活性ガスが炭酸ガスの場合には、0.1〜10重量%、たとえば、不活性ガスが窒素ガスの場合には、0.05〜5重量%となるように設定される。不活性ガスの供給量がこれより少ないと、発泡せずあるいは気泡径が大きくなる場合があり、また、不活性ガスの供給量がこれより多いと、合泡および破泡により連通気泡になったり、あるいは発泡倍率が低下する場合がある。
【0072】
そして、シリンダ9内を溶融されながら流動する成形材料が、ガスノズル30が接続されるノズル接続口48に到達すると、その成形材料に、ガスノズル30から多孔質部材50を介して供給される超臨界状態の不活性ガスが連続的に混合され、シリンダ9内の温度および圧力によって、成形材料に超臨界状態の不活性ガスが連続的に溶解される。
【0073】
そして、超臨界状態の不活性ガスが溶解された成形材料は、押出口15から連続的に押し出されると、出口部16、接続管18および入口部17を介して、第2押出機8のシリンダ22内に連続的に供給される。
【0074】
また、第2押出機8においては、CPU5によって、駆動モータ24を、2本のスクリュー23が所定の回転速度(たとえば、1〜200回転/分、好ましくは、10〜150回転/分)で回転するように駆動制御するとともに、ヒータ25を、第2押出機8のシリンダ22内が、第1押出機6のシリンダ9内の温度よりも低く、かつ、溶融温度よりも高い温度であって、押出方向に従って順次ブロックごとに低くなるような温度(成形材料(樹脂)の種類にもよるが、たとえば、押出方向最上流側温度が80〜300℃、好ましくは、80〜200℃で、押出方向最下流側温度が70〜280℃、好ましくは、70〜170℃)に温度制御する。なお、押出方向の最下流側のブロックは、ダイ4とほぼ同じ温度、すなわち、超臨界状態の不活性ガスが溶解され溶融状態にある成形材料の結晶化温度に対して、0.5〜5℃高い温度に温度制御する。
【0075】
また、この第2押出機8のシリンダ22内は、上記したCPU5による絞り19の進退動作の制御により、所定の圧力に設定されている。このシリンダ22内の圧力は、上記の温度制御において、成形材料に対して不活性ガスが溶解状態を維持できる所定の圧力であって、かつ、ダイ4からの押し出し時に所定の圧力差を付与できる圧力、たとえば、4〜25MPa、好ましくは、8〜20MPaに設定されている。
【0076】
そして、第2押出機8のシリンダ22内に連続的に供給された、不活性ガスが溶解されている成形材料は、2本のスクリュー23の回転によって、さらに不活性ガスが成形材料に対して均一に分散溶解され、シリンダ22内の圧力が保持された状態で、冷却されながら押出方向下流側に流動し、押出口27からダイ4に向かって連続的に押し出される。
【0077】
また、ダイ4においては、CPU5によって、このダイ4を、ダイ4に流動されてきた成形材料の結晶化温度、つまり、第1押出機6および第2押出機8によって溶融され、超臨界状態の不活性ガスが溶解されている成形材料が、その状態から結晶化を生じる温度(すなわち、その状態から固化する固化温度と言い換えることもできる。)よりも、0.5〜5℃高い温度、好ましくは、0.5〜2℃高い温度に温度制御する。
【0078】
なお、ダイ4の温度が、これより低いと、ダイ4の押出孔51内において、成形材料が固化する場合があり、また、これにより高いと、成形材料の粘度が低くなりすぎて、気泡核の生成時に急激に成長し、その気泡が破泡する場合がある。
【0079】
また、このような成形材料の結晶化温度は、成形材料や不活性ガスの種類、あるいは、不活性ガスの成形材料に対する配合量、さらには、成形材料の溶融状態などにより異なるが、たとえば、ガスを溶解した成形材料(樹脂)の固化温度を測定することにより、求めることができる。
【0080】
そして、ダイ4に流動されてきた不活性ガスが溶解されている成形材料は、その状態における成形材料の結晶化温度より若干高い温度で、押し出し前後、つまり、押出抵抗部53の通過前後の圧力差が4〜25MPa、好ましくは、6〜20MPaとなるように、押出通路52を通過することにより、開放口54から、所定の形状で大気圧下に連続的に押し出される。
【0081】
成形材料にこのような圧力差を付与することにより、後述するように、ダイからの押し出し時に、成形材料に高剪断力を与えて分子鎖の配向を促進することができる。なお、圧力差が、これにより低いと、セル密度が低く、セル径が大きくなり、合泡および破泡により連通気泡になったり、あるいは発泡倍率が低下する場合があり、これにより高いと、過度の剪断力により破泡する場合がある。
【0082】
そして、このダイ4からの押し出しにおいて、押出抵抗部53を通過した成形材料は、結晶化温度の近傍における押出抵抗部53からの押し出し時の剪断力によって、分子鎖に配向を生じ、その成形材料中において、ミクロな結晶核あるいは微結晶が均一に多数発生する。そうすると、その成形材料中に溶解されている不活性ガスは、それら結晶核あるいは微結晶から排除されるので、多数の結晶核あるいは微結晶の隙間に、高濃度で分布し、多数のミクロな気泡核を均一に形成するようになる。そして、押出抵抗部53の押出方向下流側、さらには、開放口54では、大気圧下において、その圧力差によって急激に圧力が低下して、超臨界状態の不活性ガスが過飽和状態となると、それとともに、多数の気泡核が成長することにより、多数の微細なセルが均一に生成し、これによって微細なセルを有する微細セル発泡体(マイクロセルラーフォーム)が成形される。
【0083】
このような押出発泡成形方法によれば、ダイ4からの押し出し時(つまり、押出抵抗部53の通過時)において、予め気泡核が意図的に形成されておらず、そのような気泡核に起因する気泡の破泡あるいは合泡の発生がなく、その一方で、押し出し時においてミクロな結晶核あるいは微結晶を多数均一に形成して、多数均一な気泡核を一気に形成することができるので、大気圧下において圧力差により急激に圧力を低下させることにより、その気泡核を均一に成長させることができる。そのため、高発泡倍率で、微細なセルを有するマイクロセルラーフォームを、所望の厚みおよび形状で、連続的に押出発泡成形することができる。
【0084】
なお、このような押出発泡成形方法により得られるマイクロセルラーフォームは、たとえば、その厚みが、0.1〜100mm、さらには、0.1〜50mm、その平均セル径が、150μm以下、さらには、120μm以下、とりわけ、30μm以下、セル密度が105〜1010個/cm3、さらには、106〜109個/cm3、その発泡倍率が2倍以上、さらには、2〜40倍であり、所望の形状の発泡体として得ることができる。このようなマイクロセルラーフォームは、特に制限されないが、たとえば、断熱材や緩衝材などとして用いることができる。
【0085】
なお、平均セル径は、たとえば、SEM写真の単位面積において、セル直径を平均して、その平均直径をセル数でわることにより求めることができる。
【0086】
また、セル密度は、SEM写真を用いて、次式より求めることができる。
【0087】
セル密度=N(3/2)/(10−4×√S)3 (個/cm3)
N:セル数
S:測定面積(μm2)
また、このタンデム型押出発泡成形装置1によれば、たとえば、第2成形機8のシリンダ22内に、たとえば、予め気泡核を形成するための核形成器などを設ける必要もないので、装置構成の簡略化を図ることができるとともに、押し出し時において、確実に圧力制御することができ、また、第2成形機8が長くなることもなく、工業的に有利な押出発泡成形装置として提供することができる。
【0088】
また、このタンデム型押出成型装置1では、第1押出機6のシリンダ9内における成形材料と超臨界状態の不活性ガスとの混合において、絞り19によって、第1押出機6から第2押出機8に押し出される時の圧力を調整することができるので、溶融される成形材料に超臨界状態の不活性ガスを適切に溶解することができる。すなわち、絞り19によって、シリンダ9内の圧力を高くすることにより、シリンダ9内に超臨界状態の不活性ガスが滞留しやすくなるので、成形材料に超臨界状態の不活性ガスが溶解しやすくなり、また、絞り19によって、シリンダ9内の圧力を低くすることにより、シリンダ9内に成形材料および超臨界状態の不活性ガスが滞留しにくくなるので、成形材料に超臨界状態の不活性ガスが溶解しにくくなる。そのため、このような絞り19を設けるのみの簡易な構成によって、シリンダ9内において、超臨界状態の不活性ガスを成形材料に効率良く溶解させることができ、マイクロセルラーフォームを、生産効率よく製造することができる。
【0089】
また、このような絞り19によって、第1押出機6から第2押出機8に押し出される成形材料の押出量が調整されるので、第2押出機8のシリンダ22内の圧力も、この絞り19によって簡易かつ確実に調整することができる。そのため、ダイ4から押し出される成形材料に、確実に所望の圧力差を付与することができる。
【0090】
また、このタンデム型押出発泡成形装置1では、第1押出機6が、2本のスクリュー10を備える二軸押出機として構成されているので、ホッパ12から供給される成形材料と、ガスノズル30から供給される不活性ガスとを、より一層効率良く混合することができる。また、このタンデム型押出発泡成形装置1では、第2押出機8が、2本のスクリュー23を備える二軸押出機として構成されているので、不活性ガスの成形材料に対する、より均一な分散溶解を図ることができる。
【0091】
また、このタンデム型押出発泡成形装置1では、不活性ガスが、ガスノズル30から多孔質部材50を介してシリンダ9内に供給されるので、多孔質部材50の平均孔径が、10〜100μmである場合には、不活性ガスを数十μmのサイズで成形材料に分散させることができる。すなわち、Fickの法則によると、次式(1)が成り立つ。
【0092】
t ≒ L2/D (1)
(t:ガス溶解(拡散)時間(sec)、L:ガス拡散距離(cm)、D:ガス拡散係数(cm2/s))
ガス拡散係数Dは、通常、10−6〜10−8cm2/sのオーダーであり、たとえば、2分以内に、超臨界状態の不活性ガスを成形材料中に完全溶解させるためには、その拡散距離を100μm以内にすればよく、そのため、多孔質部材50の平均孔径が、1〜100μmである場合には、不活性ガスを成形材料に高分散状態で混合することができる。その結果、多孔質部材50を設けるのみの簡易な構成で、超臨界状態の不活性ガスを成形材料に短時間で完全溶解させることができる。
【0093】
以上の説明では、本発明の押出発泡成形装置を、タンデム型押出発泡成形装置1として説明したが、本発明の押出発泡成形装置は、これに限らず、たとえば、図4に示すようなシングル型押出発泡成形装置1Aとして構成してもよい。なお、この図4においては、図1と同等の部材については、図1に付した参照符号と同一の参照符号を付して、その説明を省略する。なお、図4では、CPU5の制御系の図示は省略している。
【0094】
図4において、このシングル型押出発泡成形装置1Aでは、押出機として、第2押出機8を設けずに、第1押出機6のスクリュー10よりも、軸方向長さが長いスクリュー10Aと、そのスクリュー10Aに対応するシリンダ9Aを備える押出機2Aが用いられている。この押出機2Aにおいても、シリンダ9Aおよびスクリュー10Aの軸方向長さを、超臨界状態の不活性ガスを成分材料に十分に溶解させた後、その成形材料を十分に冷却できる長さとして設定されていれば、上記と同様の押出発泡成形方法によって、高発泡倍率で、微細なセルを有するマイクロセルラーフォームを、所望の厚みおよび形状で、連続的に押出発泡成形することができる。
【0095】
また、以上の説明では、第1押出機6および第2押出機8を、二軸押出機として構成したが、本発明の押出機においては、これに限らず、たとえば、1本のスクリューを備える単軸押出機として構成してもよい。
【0096】
【実施例】
実施例1
上記したタンデム型押出発泡成形装置1を用い、押出発泡成形条件を下記のように設定して、ポリプロピレンのペレットを押出発泡成形した。得られたマイクロセルラーフォームは、長手方向に連続する断面形状が長方形状であって、その厚みが5mm、平均セル径が116.8μm、セル密度が6.7×105個/cm3、発泡倍率が20倍であった。また、得られたマイクロセルラーフォームのSEM写真(倍率100、加速電圧:20kV)を図5に示す。
【0097】
(押出発泡成形条件)
第1成形機:ホッパ投入量20kg、スクリュー回転速度70回転/分、ヒータ温度(シリンダ内温度)240℃、シリンダ内圧力15MPa
不活性ガス:超臨界炭酸ガス、ガス供給量(ガス濃度)4重量%
第2成形機:スクリュー回転速度10回転/分、ヒータ温度(シリンダ内温度)最上流側180℃、最下流側152℃、シリンダ内圧力8MPa
ダイ:ダイ温度152℃(超臨界炭酸ガスが溶解された状態におけるポリプロピレンの結晶化温度:150℃)、圧力差8MPa
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明の微細セル発泡体の押出発泡成形方法によれば、押し出し時に、気泡が破泡あるいは合泡することが著しく低減され、高発泡倍率で、微細なセルを有する発泡体を、所望の厚みおよび形状で、連続的に押出発泡成形することができる。
【0098】
また、本発明の微細セル発泡体の押出発泡成形装置によれば、成形機内に核形成器などを設ける必要もないので、装置構成の簡略化を図ることができるとともに、押し出し時において確実に圧力制御することができ、また、成形機が長くなることもなく、工業的に有利な押出発泡成形装置を提供することができる。
【0099】
そして、本発明の微細セル発泡体は、微細なセルを有する発泡体として各種の分野において有用に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の微細セル発泡体の押出発泡成形装置としてのタンデム型押出発泡成形装置の要部構成を示す概略全体構成図である。
【図2】図1のタンデム型押出発泡成形装置のガスノズルの要部構成を示す概略拡大構成図である。
【図3】図1のタンデム型押出発泡成形装置のダイの要部構成を示す概略拡大構成図である。
【図4】本発明の微細セル発泡体の押出発泡成形装置としてのシングル型押出発泡成形装置の要部構成を示す概略全体構成図である。
【図5】実施例1で得られたポリプロピレンからなるマイクロセルラーフォームのSEM写真である。
【符号の説明】
1 タンデム型押出発泡成形装置
2 押出機
3 ガス供給部
4 ダイ
29 定量供給ポンプ
Claims (7)
- 結晶性の熱可塑性樹脂を含む成形材料を溶融する溶融工程、前記溶融工程において、溶融する前記成形材料に不活性流体を混合する混合工程、
不活性流体が混合された溶融状態の前記成形材料を、その状態における前記成形材料の結晶化温度に対して、0.5〜5℃高い温度の範囲内で押し出す押出工程を備えていることを特徴とする、微細セル発泡体の押出発泡成形方法。 - 前記押出工程において、押し出し前後の圧力差が4〜25MPaとなるように、不活性流体が混合された溶融状態の前記成形材料を押し出すことを特徴とする、請求項1に記載の微細セル発泡体の押出発泡成形方法。
- 前記混合工程において、不活性流体を、溶融する前記成形材料および不活性流体の合計に対して、0.05〜10重量%の濃度となるように、前記成形材料に混合することを特徴とする、請求項1または2に記載の微細セル発泡体の押出発泡成形方法。
- 結晶性の熱可塑性樹脂を含む成形材料を移動させながら溶融させるための押出機と、
前記押出機における前記成形材料の移動方向途中に接続され、溶融する前記成形材料に対して不活性流体を供給するための不活性流体供給部と、
前記押出機における前記成形材料の移動方向下流側に接続され、不活性流体が混合された溶融状態の前記成形材料の結晶化温度に対して、0.5〜5℃高い温度の範囲内に設定され、その状態の前記成形材料を押し出すためのダイとを備えていることを特徴とする、微細セル発泡体の押出発泡成形装置。 - 前記押出機は、前記ダイに接続されている近傍において、前記成形機内の圧力が4〜25MPaとなるように設定されており、
前記ダイは、前記押出機内の圧力を保持でき、かつ、不活性流体が混合された溶融状態の前記成形材料を、大気圧下に押し出すように設けられていることを特徴とする、請求項4に記載の微細セル発泡体の押出発泡成形装置。 - 前記不活性流体供給部は、不活性流体の供給量を、溶融する前記成形材料および不活性流体の合計に対して、供給される不活性流体が0.05〜10重量%の濃度となるように、調整するための濃度調整手段を備えていることを特徴とする、請求項4または5に記載の微細セル発泡体の押出発泡成形装置。
- 請求項1ないし3のいずれかに記載の微細セル発泡体の押出発泡成形方法により得られ、平均セル径が150μm以下、かつ、セル密度が105〜1010個/cm3であることを特徴とする、微細セル発泡体。
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