JP2013240357A - 室温で安定な分子診断用キット - Google Patents

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アリエリ,ボアズ
Fanny Szafer Shkedy
シェケディー,ファニー,スザファー
Vered Roitman
ロイトマン,ベレッド
Giora Bar-Akiva
バー−アキヴァ,ジオラ
Aryeh Gassel
ガッセル,アリェー
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Abstract

【課題】核酸増幅用の周囲温度安定化PCR試薬混合物を提供すること。
【解決手段】増幅操作に使用するためのDNAポリメラーゼおよび/またはdNTPを処理する方法は、DNAポリメラーゼおよび/またはdNTP、緩衝液、および少なくとも1種の安定化剤を含む溶液混合物を提供すること、および該溶液混合物を水分減少させることを含む。該溶液混合物は、0℃から約100℃の間の温度で水分減少を受ける。
【選択図】なし

Description

関連出願
本出願は、参照としてその全体が組み入れられる、2006年5月23日に出願された、Boaz Arieliらの、室温で安定な分子検出用キット(Ambient temperature stable kits for molecular detection)との標題の米国仮特許第60/802,510号に対する優先権および利益を主張する。
本発明は一般に、分子診断用キットおよびその方法の分野に関する。より具体的には、本発明は、水分減少を受け(hydration reduced)、周囲温度で安定であり、ポリメラーゼ連鎖反応または定量的ポリメラーゼ連鎖反応を利用して増幅核酸試料からの病原体同定および疾患の診断のための即時使用キットとして役立ち得る、溶液混合物に関する。本発明は、このような混合物およびそれらを含有するキットを調製する方法にも関する。
分子診断は一般に、病原菌、遺伝的疾患、癌、または罹患性、重症度、進行度、もしくは療法に対する応答性に関連した患者の遺伝子プロファイルにおける変化の存在を判定するための核酸の分析を指す。分子診断の試験手順は、典型的には、DNA試料のインビトロ増幅を含む。DNAポリメラーゼ連鎖反応(以後、「PCR」と称する)および定量的ポリメラーゼ連鎖反応(以後、「qPCR」と称する)は、現在まで、断然最も広く用いられているDNA増幅の方法である。
PCRは、特定の標的配列を10倍に指数関数的に増幅することが可能である。PCR増幅には、増幅されるDNAセグメントを挟む2種のオリゴヌクレオチドプライマーと、DNAの熱変性、その相補的配列へのプライマーのアニーリングおよびDNAポリメラーゼによるアニールしたプライマーの伸長の反復サイクルとが関与する(KolmodinおよびWilliams、2000年)。
「リアルタイムPCR」と称されることもある定量的PCRは、PCRと同じ増幅方式を利用し、増幅されるDNAセグメントを挟む2種のオリゴヌクレオチドプライマーを用いる。qPCRにおいて、反応生成物は、形成される際にモニターされる。モニタリングは「オンライン」または「リアルタイム」であり得る。リアルタイムモニタリングにはいくつかの方法を用いることができ、それらは全て蛍光標識に依る。リアルタイムに用いられる1つの一般的な方法では、SYBR(登録商標)緑色蛍光色素などのDNA結合蛍光色素が使用される。他の方法では、一端が蛍光タグで標識され、他の端が蛍光クエンチャーで標識されている標的特異的オリゴヌクレオチドプローブ(FRETプローブ)が加えられる。蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)は、2つの蛍光分子間のエネルギー転移機序である。TaqMan(登録商標)変型において、オリゴヌクレオチドの一端における蛍光標識が、特定の蛍光励起波長において励起し、次いでこの励起状態が該オリゴヌクレオチドの他端におけるクエンチャー分子標識に非放射性で転移される。定量的PCR反応において、DNA標的に結合するそれらのプローブの蛍光標識は、プライマー伸長の間に該プローブから開裂して蛍光体を放出し、エネルギーを転移することなく、その特定の蛍光励起波長においてシグナルを放出する。オリゴヌクレオチドFRETプローブによって放出されたシグナルは、該反応におけるPCR産物の量に正比例して増大する。各サイクルにおける蛍光放射の量を記録することにより、PCR産物量の最初の有意な増加が標的鋳型の最初の量に相関する指数関数期の間に、PCR反応がモニターされる。核酸標的の出発コピー数が多ければ多いほど、蛍光の有意な増加がより早く見られる。3〜15サイクルの間に測定されるベースライン値以上の蛍光の有意な増加は、累積PCR産物の検出を示す。
DNA配列に関係した病原体または他の疾患の有無を探索する分子診断試験においてPCRは最も有用である。診断事項が病原体負荷の定量的評価を含む場合、定量的PCRがより有利である。
現在までに、米国食品医薬品局は、米国における診断使用のための8つの異なるPCRベースのインビトロ分子診断試験を許可した。これらの試験は全て、−20℃で保存しなければならない水分含有(wet)試薬セットとして提供されている。これらの試験は全て、対象となっている疾患に関連した標的配列を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドのセット、および対象となっている疾患の標的配列と同時に増幅される内部対照として設計された追加プライマーまたは追加プライマー対を、1つの反応チューブ内に含む。内部対照により、DNA分離の成功が検証され、偽陰性結果が排除される。
定量的PCRベースの分子診断試験は、60の異なるqPCRベースの試験を提供するQiagen Diagnostics(Qiagen Hamburg GmbH、Konigstraβe 4a 22767、ハンバーグ、ドイツ国)などの供給元から市販されている。PCRベースの分子診断の場合のように、Qiagen Diagnosticsによって販売されている市販の診断用薬は、−20℃で保存しなければならない水分含有試薬セットとして供給され、内部対照を含む。
患者DNA試料のPCRまたはqPCR増幅を利用する分子診断試験は、複数の段階を含み、高度に訓練された試験所職員を必要とする。該反応混合物は、段階的様式で調製し、マイクロチューブにまたはマルチウェルプレートのウェル内に入れ、続いて、各患者のDNA試料を別々のマイクロチューブまたはプレートのウェル内に入れなければならない。該反応混合物は、標的配列を増幅するために設計されたオリゴヌクレオチドプライマー、内部対照として働く他のオリゴヌクレオチド、DNAポリメラーゼ、dNTP(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)、反応緩衝液、および塩化マグネシウムを含む。PCRの場合、該反応混合物は、典型的には、水溶性色素も含む。DNAポリメラーゼおよびdNTPが含まれるこの反応混合物のいくつかの成分は、分解および機能の損失を避けるために、キット使用の間は−20℃で保存しなければならず、該反応混合物に加える間は氷上に保持する必要がある。オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブも冷保存され、冷保存所から臨床作業台へと運んでくる必要がある。
多くの患者試料が毎日分析される大型臨床診断試験室では、バルク反応混合物が予め調製される。次いで、バルク混合物全体を冷凍庫から臨床診断作業台域へと運び込み、解凍し、氷のバケツ内の台に保存し、PCRプレートの各反応マイクロチューブまたはウェル内に入れてから、患者DNA試料を入れる必要がある。この過程ではしばしば、ピペット操作または他の実験エラーが生じ、偽陰性の応答へと至り、ならびに、キャリーオーバー汚染(Kwok,S.ら、Nature 339:237〜238頁(1989)を参照)を誘発して偽陽性の応答へ至る。
PCR反応混合物を調製するプロセスでは、ほとんどの場合に前のアッセイからのDNA試料がエアロゾル、衣服、手、または装置により運ばれることによって汚染の直接的危険性が生じる(McNerney,R.(1977)、KolmodinおよびWilliams(2000))。汚染を避けるための現行の方法には、3つの別々の室:PCR試剤の保存および調製のみに使用される第1の室;試料および陽性対照または内部対照の調製のみに使用される第2の室;および熱サイクリングおよびPCR産物の分析を行う第3の室の使用が含まれる(McNerney,R.(1977)、KolmodinおよびWilliams(2000))。患者のDNA試料を入れるのに用いられる台と同じPCR調製台で保存できる、閉鎖され、汚染が無く、予め入れられた反応チューブまたはマルチウェルプレート中のPCRの試薬および対照を含むキットが、当業界で求められている。
オリゴヌクレオチドは、水溶液中に室温で保存すると分解すること、および脱水する(dehydrated)とより安定であることは周知である。これは、一部には、異なるプライマーが互いに部分的にアニーリングして、「プライマー二量体」を形成することによる(Handyside、1990年)。プライマー二量体は、室温では液体状態で容易に形成される。30分後、それらは特定のPCR産物を有意に阻害し、時には、所望の特定産物の形成を完全に妨げ、そのために偽陰性結果を生じることがあり得る(Chou、1992年)。長時間のインキュベーション(数時間から数日)により、特定PCR産物の完全な欠如が生じる(Blochら、1996年)。
したがって、オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブは、典型的には、配達のために脱水され、長期保存のために凍結される。DNAポリメラーゼなどの酵素は、室温に放置されると、やがて劣化し、機能性を失う。さらに、酵素の脱水により、酵素活性の急速な低下が生じる。水が酵素周囲に保護ラッピングを形成し、それらの三次構造を安定化して、高分子表面上に見ることのできる他の試薬との反応を遮断する。代替の含水ラッピングを与えることなく酵素を乾燥すると、いずれの様式でも、酵素の生物活性の損失が始まる。
長期保存および試験室プロセスでの利用のために特定の酵素を安定化するのに有効であり得る化学添加物の同定は、科学的研究の焦点であった。種々の添加物が、他の酵素ではなく特定の酵素に関する正の安定化効果を示す。いくつかの場合、安定化剤は、室温で長時間、安定化の向上を示したが、脱水の影響からの保護を提供することは示していない。例えば、Ballら(1943)は、スクロースが溶液中の一定の酵素の安定化に有効であったことを実証している一方、Colacoら(1992)は、スクロースがDNAポリメラーゼの安定化剤としては無効であることを見出している。
Gelfandら(米国特許第6,127,155号)は、非イオン性ポリマー洗剤が関与するDNAポリメラーゼ安定性を増大させる方法を開示しており、Shultz(米国特許第6,242,235号)は、ポリエトキシル化アミン界面活性剤を含有する水溶液中でDNAポリメラーゼの同様な安定性増大を実証している。しかしながら、これらのアプローチは双方とも、ポリメラーゼ酵素が水分含有混合溶液中に留まることを必要とする。したがって、DNAポリメラーゼを安定化させるこれら2つのアプローチはいずれも、室温での長期保存のために凍結乾燥または他の乾燥が必要なオリゴヌクレオチドを含有するPCR試薬混合物には有効ではないと考えられる。
Clegg(1967)、Mouradaianら(1984)、およびRose6r(米国特許第4,891,319号)は、タンパク質および生体膜を乾燥による劣化の影響から保護するために使用し得る試剤としてトレハロースを同定している。ColacoおよびRoser(米国特許第5,955,448号)は、この発見を他の非還元糖に拡張したが、アミノ基などのマイラード反応の阻害剤が化学混合物に添加された場合だけであった。
De Rosierら(米国特許第876,992号および米国特許第6,294,365号)は、安定化および凍結乾燥されている酵素を調製する方法を提供し、Parkら(米国特許第5,861,251号および米国特許第6,153,412号)は、オリゴヌクレオチド以外のPCR反応混合物の塩基性成分を含む凍結乾燥された試薬の調製を記載している。この方法により、DNAポリメラーゼおよびdNTPを冷凍庫内に保存し使用前に解凍する必要性がなくなり、交差汚染の危険性がいくらか減少する。それにも関わらず、Parkらによって記載された凍結乾燥試薬を組み入れている診断用キットは、依然として、高度に訓練された試験所職員によってオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブが冷保存され、各反応マイクロチューブ内に微量のオリゴヌクレオチドが添加されることを必要としており、偽応答へと至る実験エラーが導かれる危険性を残している。
Rosadoら(米国特許第2003/0119042号)は、「1つの容器内で、(a)少なくとも1種の酵素を含む反応混合物の水溶液、および(b)(i)乾燥に対する少なくとも1種の保護剤と、(ii)カルボニル基またはカルボキシル基とアミン基またはリン酸基との間の縮合反応に対する少なくとも1種の阻害剤と、(iii)乾燥試薬の移動を防ぐメッシュ構造を生成することのできる少なくとも1種の不活性ポリマーとを含む安定化混合物の水溶液を接触させることからなる方法」によって得られる安定化し乾燥したPCR反応混合物を記載している。Roasadoら出願のスペイン優先権文書に提示された実験データのレビューでは、請求の範囲に記載された3成分安定化法を用いて調製されたPCR試薬混合物の数週間以内の安定性の悪化の証拠が明らかにされている。したがって、PCRまたはqPCRを用いる分子診断用の周囲温度で安定なキットを提供する代替の方法論が当業界で求められている。
Klatserら(J.Clinical Microbiology、第36巻、第6号、1798〜1800頁(1998))は、凍結乾燥を促進するためにトレハロースが必要とされ、かつ、試薬の凍結乾燥前に1対のPCRプライマーが添加された、凍結乾燥PCR混合物を記載している。Klatserらは、一方の実験では、使用されるDNAポリメラーゼがAmpliTaq(Perkin-Elmer Cetus、コネチカット州、ノルウオーク)であり、他方の実験では、使用されるDNAポリメラーゼがSuperTaq(HT Biotechnology、英国、ケンブリッジ)である、2つの実験のデータを提供している。
Klatserらは、混合物がAmpliTaqを含み、かつ、該混合物が4℃以下の温度で保存されなかった場合に凍結乾燥混合物の活性は1週間後に完全に失われたことを記述している。AmpliTaq混合物の広範な室温安定性の喪失は、市販により非常に入手容易なDNAポリメラーゼとしてAmpliTaqが供給されている50%グリセロール溶液によるものであるとKlatserらは推測している。凍結乾燥過程の間、水が消失するにつれて、グリセロールの濃度が増加したことが認められた。グリセロールは吸湿性であるため、最終凍結乾燥製品中にグリセロールが存在することによって高水分含量となりやすく、そのことが製品の安定性に影響を与え得る。
Klatserらは、DNAポリメラーゼをSuperTaqとし、PCR反応実施の前に水戻し(rehydration)のために用いられる蒸留水にトリトンX−100を添加した場合、3ヶ月目に水戻しした際に凍結乾燥混合物の残留活性を見出している。Klatserらは、SuperTaqを含有する混合物の凍結乾燥により、乾燥混合物中のグリセロール濃度がより一般的なAmpliTaq溶液中に見られるものよりも劇的に低くなること(0.28%対0.48%)を記述している。Klatserらは、SuperTaq混合物の実験からの知見に対する説明ができておらず、他の市販のDNAポリメラーゼを組み入れた診断用キットの調製に対するその方法の有用性は限定される。
ParkらおよびKlatserらによって記載された安定化PCR試薬の制限は、それらが、PCRを実施している実験室に一般に見られる器具ではない凍結乾燥装置の使用を必要とすることである。したがって、PCR実験室に一般的である安価な装置を利用して実施できる安定化PCR試薬を調製する方法を有することは、当業界にとって有益であると考えられる。
さらに、有用であるためには、分子診断用キットは、高信頼性の一貫した活性レベルで毎日実施されなければならない。現在、最新式の分子診断用試薬セットは、使用されない間は凍結保存され、それらが開封された初日と数ヶ月後とで同レベルの活性で行うことができる。実施例で示すように、ParkらおよびKlatserらによって記載されるように凍結乾燥の使用してPCR用室温安定試薬を調製したのでは、時間が経つと活性レベル性能の一貫性は保たれない。それどころか、凍結乾燥試薬を利用したPCRの結果分析では、時間が経つとシグナル強度が顕著に低下することが示されている。
凍結乾燥による完全な脱水により、DNAポリメラーゼなどの酵素から分子間水分子が除去されることが知られている。緩衝液および安定化剤の存在下であっても、凍結乾燥によって完全に除去される分子間水分子を有するDNAポリメラーゼは、完全に脱水されない場合または脱水が凍結乾燥以外の方法によって行われる場合よりも、時間が経つとより急速に機能レベルが低下すると推測されている。したがって、凍結乾燥を伴わず、かつ、時間が経っても十分な信頼性を保って信頼に値する診断結果を提供するPCR試薬混合物の状況において、DNAポリメラーゼの周囲温度安定化を達成する方法が依然として当業界に求められている。
さらに、先行技術では、核酸増幅用の周囲温度安定化キットに内部対照を提供する方法が提供されていない。さらに、先行技術では、例えば、定量的PCRの実施に必要な蛍光標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含む周囲温度安定化試薬混合物またはキットを調製する方法が提供されていない。
したがって、これらおよび他の欠点を克服する、核酸増幅用の周囲温度安定化PCR試薬混合物を提供することが望ましいであろう。
本発明の一態様は、増幅操作に使用するためのDNAポリメラーゼおよび/またはdNTPを処理する方法であって、DNAポリメラーゼおよび/またはdNTP、緩衝液、ならびに少なくとも1種の安定化剤を含む溶液混合物を提供すること、および該溶液混合物を水分減少させることを含む方法を提供する。該溶液混合物は、0℃から約100℃の間の温度で水分減少を受ける。
本発明の他の態様は、核酸増幅用キットであって、好熱性のDNAポリメラーゼおよびdNTP、緩衝液、少なくとも1種の安定化剤、塩化マグネシウム、互いに配列の異なる2種のオリゴヌクレオチドプライマーのセット、前記2種のオリゴヌクレオチドプライマーのセットとは配列の異なるオリゴヌクレオチドプローブ、ならびに核酸鋳型を含む水分減少溶液を含むキットを提供する。
本発明のさらに他の態様は、核酸増幅用キットであって、2種のオリゴヌクレオチドプライマーおよび1種のオリゴヌクレオチドプローブの第一のセット(ここで、前記オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブは、互いに配列が異なり、定量的PCR反応において、特有の核酸配列の存在を検出することができる)、およびオリゴヌクレオチドプライマーおよび1種のオリゴヌクレオチドプローブの第二のセット(ここで、前記オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの第二のセットは、互いに配列が異なり、定量的PCR反応においてプライマーおよびプローブの第一のセットによって検出される核酸配列と異なる別の核酸配列の存在を検出することができる)を含むキットを提供する。該キットは、DNAポリメラーゼ酵素、dNTP(dATP、dCTP、dGTP、およびdTTP)、1つ以上の安定化剤、および塩化マグネシウムを含有する緩衝液をさらに含む。DNAポリメラーゼ酵素およびdNTPを含む該キット試薬の少なくとも一部は、オーブン加熱、凍結乾燥、または真空水分除去(vacuum hydration reduction)によって水分減少を受け、単一混合物中で一緒になったキット試薬は、周囲温度で最大90日間保存され、続いて水戻しされた後、核酸増幅を行うことが可能である。
本発明は、添付の種々の実施形態の図面および下記に提供された詳細な説明および実施例によって例示される。該図面および実施例は、本発明を特定の実施形態に限定すると解釈するべきではなく、説明し明瞭にするためのものである。詳細な説明および図面は、添付の請求項、およびそれらの等価物によって規定されている本発明の範囲を限定するものではなく、単に例示である。本発明の先の態様および他の付随の利点は、添付の図面と関連させて詳細な説明により、より容易に理解されるであろう。
PCR混合物の調製および性能評価を示す図である。着色PCR通常混合物内の好熱性DNAポリメラーゼ活性をAPCアンプリコンの増幅効率によって評価した。レーン1:無処理(水分含有混合物)、レーン2:該混合物を55℃に加熱し、水分減少させ、増幅前に水戻し、レーン3:該混合物を−20℃に凍結し、一晩凍結乾燥し、増幅前に水戻し。 異なる鋳型量およびDNA供給源を用いたPCR増幅を示す図である。本発明の水分減少着色PCR通常混合物を用いて、マウスおよびヒトのゲノムDNAを効率的に増幅した。(a)異なる鋳型量(2〜40ng)を用いたマウスゲノムDNAのIL1ベータ増幅、および(b)異なる鋳型量(1〜20ng)を用いたヒトゲノムDNAのPLP増幅。 混合物中に含まれ、本発明により処理された異なるDNAポリメラーゼの性能評価を示す図である。本発明により処理された異なる銘柄のDNAポリメラーゼを用いた代表的試料のACTB増幅。レーン:(1)着色PCR通常混合物−銘柄A内の通常DNAポリメラーゼ;(2)着色PCR通常混合物−銘柄B内の通常DNAポリメラーゼ;(3)着色PCR通常混合物−銘柄C内の通常DNAポリメラーゼ;(4)透明PCRホットスタート混合物−銘柄D内のホットスタートDNAポリメラーゼ;(5)着色PCRホットスタート混合物−銘柄D内のホットスタートDNAポリメラーゼ。 ランダムなゲノム配列およびアンプリコンサイズのPCR増幅の評価を示す図である。異なる配列およびアンプリコンサイズを増幅する本発明のPCR混合物の能力の例示。レーン:(1)MAG、(2)BCl2、(3)MHB、(4)p53、(5)IL1ベータ、(6)IL10、および(7)APC。 本発明のPCR混合物を用いた、パラフィン包埋DNA抽出試料のPCR増幅の評価を示す図である。(1)室温で10日間保存された着色PCRホットスタート混合物、(2)透明PCRホットスタート混合物、(3)対照ヒトゲノムDNA試料を増幅する透明PCRホットスタート混合物、および(4)−20℃で保存された着色PCRホットスタート混合物を用いた、(a)MAG、(b)BCl2および(c)ACTB遺伝子のPCR増幅。 脱水の動態およびPCR増幅性能を示す図である。(a)CYP27、(b)PLP、および(c)IL10遺伝子に関し、着色PCR通常混合物を用い、55℃で、(1)1時間、(2)6時間および(3)20時間、インキュベートした、ヒトゲノムDNAのPCR増幅。 本発明により水分減少を受けた着色PCR通常混合物の使用期限予測および凍結乾燥試料との比較を示す図である。(a)凍結乾燥試料または(b)本発明により処理された試料のPLP増幅。異なる試料を95℃で0、1、3、6、および8時間インキュベートした。 パラフィン包埋組織から抽出されたDNA試料を用いて試験したPCRホットスタート混合物の使用期限予測を示す図である。(a)マウスパラフィン包埋組織切片、(b)ヒトパラフィン包埋組織切片、および(c)ヒト血液(対照として用いたゲノムDNA)から抽出されたDNA試料に対して、(1)0時間、(2)4時間、(3)6時間、および(4)8時間、80℃でインキュベートした後のPCRホットスタート混合物試料のPCR増幅性能を示す代表的試料。上:BCl−2のPCR増幅産物は290bpのバンドを示す。下:ACTBは300bpのPCR産物のバンドを示す。 PCR混合物内部対照の構築を示す図である。陽性対照鋳型およびプライマーを含む水分減少PCR混合物チューブの水戻しおよびPCR増幅。約300bpの予測されたバンドが明瞭に見られる。 本発明により水分減少を受けたプライマーが組み込まれられた着色PCR混合物の使用期限予測および凍結乾燥試料との比較を示す図である。(a)凍結乾燥試料または(b)本発明により処理された試料のPLP増幅。異なる試料を、95℃で、1、3および6時間インキュベートした。 内部PCR対照および標的配列の同時増幅を示す図である。(1)追加のMAGプライマー混合溶液(水分含有プライマー)を有する水分減少PCR混合物、(2)MAGプライマーを含む水分減少PCR混合物、(3)陽性対照鋳型およびプライマーを含有する水分減少PCR混合物および(4)MAGプライマー、陽性対照鋳型、およびプライマーを含む水分減少PCR混合物、のPCR増幅。 PCR即時使用混合物使用期限の実験を示す図である。98日から151日間、室温で(RT)または凍結させて(F)保存したPCR即時使用混合物を用いて、ヒトゲノムDNA(IL−10、Cyp27、β−ACT)を増幅した。IL−10PCR増幅産物は、1500bpのバンドの産物バンドを示し、Cyp27は、600bpのPCR産物バンドを示し、β−ACTは、310bpのPCR産物バンドを示す。 PCR即時使用ホットスタート使用期限実験を示す図である。(A)新たに調製された;(B)−20℃で60日間保存された、または(C)室温で135日間保存された、PCR即時使用ホットスタートスプリーム(Supreme)を用いて、ゲノムDNA(MAG、Bcl−2、β−ACT)を増幅した。MAGPCR増幅産物は、191bpのバンドの産物バンドを示し、Bcl−2は、290bpのPCR産物バンドを示し、β−ACTは、310bpのPCR産物バンドを示す。 通常PCR混合物、対して、水分減少を受ける安定化PCR混合物を用いた二重PCR(PCR duplex)における反応最適化を促進するための種々の試薬成分の比率バランス調整要件を示す図である。条件A〜Eは、実施例6における表2に提示された2つのプライマーセットおよびDNA濃度の比率を記述している。Exp’t:実験、MW STD:分子量標準。 通常QRT−PCR混合物および安定化QRT−PCR混合物の二重リアルタイムPCR結果を示す図である。同様の組成物を有する通常QRT−PCR混合物(青に着色)および安定化QRT−PCR混合物(赤に着色)の二重リアルタイムPCR性能の比較。B2M−ベータ2ミクログロブリン;HHB−ヒトベータヘモグロビン;Ct−サイクル閾値;NEG−実施例7に記載された分析パラメーターによるNEG陰性結果。高マグネシウム濃度下で通常QRT−PCR混合物(5mM MgCl2および0.25μMのプライマー)によって得られた改善された結果(14−Aを参照)。双方の混合物様式(4mM MgCl2および0.5μMのプライマー)の同様な性能(14−Bを参照)。より低濃度のプライマーを用いた安定化QRT−PCR混合物(4mM MgCl2および0.35μMのプライマー)によって得られた改善された結果(14−Cを参照)。 二重PCR増幅のゲル電気泳動分析を示す図である。異なるMgCl2濃度、プライマー濃度、および異なる供給元からのホットスタートTaq DNAポリメラーゼ(TaqA & TaqBと称する)を用いた二重PCR増幅のゲル電気泳動分析。(図15−A)(1)B2M(66bp)についての単一遺伝子座PCR増幅、(2)HHB(109bp)についての単一遺伝子座PCR増幅および(3)供給元AからのホットスタートTaq DNAポリメラーゼによる双方の遺伝子座の同時増幅。(図15−B)二重PCR増幅のゲル電気泳動分析を示す図である。異なるMgCl2濃度、プライマー濃度,および異なる供給元からのホットスタートTaq DNAポリメラーゼ(TaqA & TaqBと称する)を用いた二重PCR増幅のゲル電気泳動分析。供給元AからのホットスタートTaq DNAポリメラーゼを用いた、同様な組成物を有する通常QRT−PCR混合物(試料番号14、15、16)および安定化QRT−PCR混合物(試料番号32、33、34)の二重リアルタイムPCR増幅の比較(図14からの試料)。(図15−C)二重PCR増幅のゲル電気泳動分析を示す図である。異なるMgCl2濃度、プライマー濃度、および異なる供給元からのホットスタートTaq DNAポリメラーゼ(TaqA & TaqBと称する)を用いた二重PCR増幅のゲル電気泳動分析。同様のMgCl2濃度(4mM)および増加させたプライマー濃度:(1〜2)0.25μM、(3〜4)0.35μMおよび(5〜6)0.5μMによる通常QRT−PCR混合物(試料番号1、3、5)および安定化QRT−PCR混合物(試料番号2、4、6)の二重リアルタイムPCR増幅の比較。ホットスタートTaq DNAポリメラーゼは、供給元Bから。(図15−D)二重PCR増幅のゲル電気泳動分析を示す図である。異なるMgCl2濃度、プライマー濃度、および異なる供給元からのホットスタートTaq DNAポリメラーゼ(TaqA & TaqBと称する)を用いた二重PCR増幅のゲル電気泳動分析。同様のMgCl2濃度(5mM)および異なるプライマー濃度:(1〜2)0.35μM、(3〜4)0.5μMおよび供給元BからのホットスタートTaq DNAポリメラーゼによる通常QRT−PCR混合物(試料番号1、3)および安定化QRT−PCR混合物(試料番号2、4)の二重リアルタイムPCR増幅の比較。(図15−E)二重PCR増幅のゲル電気泳動分析を示す図である。異なるMgCl2濃度、プライマー濃度、および異なる供給元からのホットスタートTaq DNAポリメラーゼ(TaqA & TaqBと称する)を用いた二重PCR増幅のゲル電気泳動分析。供給元AからのホットスタートTaq DNAポリメラーゼを用いた、低MgCl2濃度(2.5mM)、および異なるプライマー濃度:(1〜2)0.35μM、(3〜4)0.5μMによる通常QRT−PCR混合物(試料番号1、3)および安定化QRT−PCR混合物(試料番号2、4)の二重リアルタイムPCR増幅の比較。 異なるプライマー濃度およびTaq DNAポリメラーゼを用いた安定化QRT−PCR混合物の二重リアルタイムPCR結果を示す図である。(A)4mM MgCl2濃度および増加プライマー濃度:0.15μM、0.25μM、0.35μMおよび0.5μMによる、供給元A(ABgene)からのホットスタートTaq DNAポリメラーゼ、および(B)5mM MgCl2濃度および増加プライマー濃度:0.25μM、0.35μMおよび0.5μMによる、供給元B(ABI)からのホットスタートTaq DNAポリメラーゼ、を用いた安定化QRT−PCR混合物についての二重リアルタイムPCR増幅の最適化。 本発明の水分減少QRT−PCR混合物を用いたリアルタイム二重PCRの使用期限評価を示す図である。通常の水分含有市販QRT−PCR混合物において室温(RT)で保存された二重QRT−PCRアッセイ(RNアーゼP & HHB)、および5週間(17−A)および10週間(17−B)の期間、−20℃で保存された本発明の安定化水分減少QRT−PCR混合物内に予め入れた同じアッセイの反応性能の分析。
本発明は、増幅操作に使用するのに適した水分減少溶液、ならびに該水分減少溶液を作製および使用する方法を提供する。本発明は、室温で安定であって、TaqMan、Molecular Beacon、Scorpion、SunriseまたはEclipse Probeアッセイなどの研究および臨床診断において日常的に用いられる一段階PCR反応および定量的PCR反応に使用できる水分減少溶液を有するキットも記載する。該水分減少溶液は、オリゴヌクレオチドを用いる他の全ての類似の増幅および検出の方式に使用することもできる。本発明により可能になる迅速で簡便化された操作は、限られた訓練と経験を有する試験所職員により、キャリーオーバー交差汚染または実験エラーの危険性を低くして行うことができる。さらに、本発明のキットは、ドライアイス中にパッキングする必要なしに輸送することができるため、配達がより容易になり、輸送費をかなり減少させることができる。
本発明の一実施形態において、水分減少溶液は、少なくとも1種のDNAポリメラーゼおよび/またはdNTP(dATP、dCTP、dGTP、およびdTTP)を含む。他の実施形態において、水分減少溶液は、DNAポリメラーゼおよびdNTPの双方を含む。DNAポリメラーゼは、通常のDNAポリメラーゼ、好熱性DNAポリメラーゼ、組換えDNAポリメラーゼ、修飾DNAポリメラーゼ、またはホットスタートDNAポリメラーゼであってもよい。
水分減少溶液は、緩衝化合物および少なくとも1種の安定化剤も含む。一実施形態において、安定化剤は炭水化物である。一実施形態において、炭水化物は非還元糖などの非還元炭水化物である。一実施形態において、非還元糖はスクロースである。
本発明に好適な他の非還元炭水化物には、限定はしないが、トレハロースなどの二糖類、三糖類、およびメレジトース(melezitose)、糖アルコールおよびグリセロール、グルシトール、マンニトール、またはガラシトールなどの他の直鎖ポリアルコール類から選択されるポリヒドロキシ化合物の非還元グリコシドが含まれる。他の好適な炭水化物には、ラフィノース、スタキオース、デキストランが含まれる。
他の実施形態において、炭水化物は還元糖である。還元糖は、例えば、マルトース、ラクトース、マルツロース、イソマルツロース、ラクツロース、およびそれらの組合せであってもよい。
他の実施形態において、安定化剤はタンパク質である。一実施形態において、タンパク質はウシ血清アルブミン(BSA)である。本発明に好適な他のタンパク質には、限定はしないが、ヒト血清または鳥類源のアルブミン(HSA)およびゼラチンが含まれる。一実施形態において、BSAは、最終濃度、0.1mg/mlから5mg/mlの間のBSAを有する。他の実施形態において、該溶液は1mg/mlのBSAを含む。
一実施形態において、水分減少溶液は、安定化剤として非還元糖およびタンパク質の双方を含む。このような一実施形態において、安定化剤は、スクロースおよびBSAを含む。一実施形態において、最終溶液のスクロース濃度は、0.1%から20%の間の範囲であり、BSA濃度は1mg/mlである。糖およびタンパク質の濃度は、用途に依存して選択することができる。一実施形態において、選択されるスクロース濃度は、溶液に用いられるDNAポリメラーゼのタイプに依存する。DNAポリメラーゼが通常のDNAポリメラーゼである一例において、スクロース濃度は0.1%から20%の範囲である。通常のDNAポリメラーゼが用いられる一実施形態において、スクロース濃度は3%である。DNAポリメラーゼがホットスタートDNAポリメラーゼである他の例において、スクロース濃度は5%から19%の範囲である。ホットスタートDNAポリメラーゼが用いられる一実施形態において、スクロース濃度は17%である。当業者は認識するであろうが、糖の濃度は、溶液に用いられる糖のタイプおよびポリメラーゼのタイプなどの因子に依存する。
本発明は、先行技術に開示されているものとは別の、より実施し易く、より信頼性の高い周囲温度安定PCR試薬混合物を調製する方法を提供する。Rosadoら(米国特許第203/0119042号)とは対照的に、本発明の方法は、メッシュ構造を作出することのできる不活性ポリマーの使用を含む三成分安定化を必要としない。Colacoら(米国特許第5,955,448号)とは対照的に、本発明の方法は、メイラード反応を抑制するためにアミノ基の添加を必要としない。De Rosierら(米国特許第878,992号および米国特許第6,294,365号)、Klatserら(1998)およびParkら(米国特許第5,861,251号および米国特許第6,153,412号)とは対照的に、本発明の方法は凍結乾燥装置の使用を必要とせず、診断適用のための実用的使用となる、十分な時間にわたって一貫した活性レベル性能を保持する溶液を提供する。
本発明のさらなる実施形態は、溶液中に追加の試薬を含む。例えば、DNAポリメラーゼ、dNTP、1つ以上の安定化剤を含有する緩衝化合物を含有する上記の溶液は、PCR増幅に用いられる他の成分を含むことができ、本発明の方法に従って処理することができる。PCRの実施に用いられる溶液は、塩化マグネシウム、電気泳動ゲルにおけるPCR分離の直接的追跡用の水溶性色素、標的特異的プライマー、および二重PCR(duplex PCR)増幅の実施のための第2のプライマーセットを含むことができる。前記溶液は、内部対照として役立つ標的DNAをさらに含むことができる。
第2の例では、DNAポリメラーゼ、dNTP、1つ以上の安定化剤および定量的PCR増幅において用いられる他の成分を含有する緩衝化合物を含有する溶液を、本発明の方法に従って処理することができる。定量的PCRを行うために用いられるこのような溶液は、塩化マグネシウム、標的特異的プライマー、SYBR(登録商標)Green、および参照色素を含むことができる。あるいは、第2の例において、溶液は、塩化マグネシウム、標的特異的プライマー、蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)プローブ、二重PCR増幅の実施のための第2のプライマーセットおよび第2のFRETプローブを含むことができる。前記溶液は、内部対照として役立つ標的DNAをさらに含むことができる。
蛍光標識オリゴヌクレオチドプローブおよび二重標識蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)プローブは、慣例的に脱水され、後で使用前に水戻しされるが、脱水ゆえに機能を顕著に損失することはない。しかしながら、公知の先行技術において、このような蛍光標識プローブは、単独でまたは他のオリゴヌクレオチドと組み合わせて脱水されていた。DNAポリメラーゼ、dNTP、塩化マグネシウム、および安定化剤を含有する緩衝液を含む溶液中にある間に、加熱または凍結乾燥を含む任意の手段により水分減少または脱水を受けたSYBR(登録商標)Greenなどの蛍光発光剤または蛍光標識プローブなどの検出可能な標識部分を有するオリゴヌクレオチドのその後の機能にどのような影響が及ぼされるかとの予測は、先行技術に教示されていない。
したがって、SYBR(登録商標)Greenなどの蛍光発光剤または蛍光標識プローブなどの検出可能な標識部分を有するオリゴヌクレオチドを含有する溶液が加熱または凍結乾燥を含む任意の手段により水分減少を受けるか脱水されて後に水戻しされる場合、このような溶液をDNAポリメラーゼ、dNTP塩化マグネシウムおよび安定化剤を含有する緩衝液と共に用いて、DNAの定量的PCR解析を行うことができることは、本発明の教示前には当業者に知られていなかった。
下記に提供される実施例に例示されるように、糖およびタンパク質(例えば、スクロースおよびBSA)を有する安定化剤を含有する溶液は、該溶液が「水分減少を受けた(hydration reduced)」後、周囲室温で保存することができる。本明細書に用いられる水分減少との用語は、該溶液中の水分が少なくとも45パーセント減少することを言う。より具体的には、該溶液中に含有される水分の減少は、50%から80%の間である。他の実施形態において、水分の減少は約90%である。一実施形態において、該溶液は、残留水分のパーセンテージが25パーセントから45パーセントの間であるように水分減少を受ける。他の実施形態において、水分の減少は80パーセントから99パーセントの間である。当業者が認識するように、PCRまたは他の増幅操作の実施に有用な溶液中水分の100パーセントの除去は、該溶液の効能を低下させ得る。したがって、50パーセントから90パーセントの間の水分減少があり、室温安定性である水分減少溶液が望ましい。
水分減少は、乾燥操作の温度が0℃超で100℃未満である、当業界で公知の任意の方法によって行うことができる。一実施形態において、該溶液は、55℃で水分減少を受ける。一実施形態において、該溶液は、オーブンを用いて水分減少を受ける。この実施形態において、該溶液は、25℃から95℃の間の温度を有するオーブン内で乾燥される。所望の水分減少量を達成する時間の長さは、乾燥温度および水分減少を受ける溶液の量といった要因に依存する。一実施形態において、該溶液は、35℃で約12時間乾燥される。他の実施形態において、該溶液は、80℃で20分間乾燥される。
水分減少の方法には、限定はしないが、凍結乾燥、流動床乾燥、ドラム乾燥、周囲温度および大気圧での乾燥、周囲温度および減圧での乾燥、高温および大気圧での乾燥、および高温および減圧での乾燥が含まれる。実施例2で示されるように、高温での乾燥、例えばオーブン内での乾燥は、凍結乾燥よりも良好な安定性をもたらす。また、オーブン乾燥は、他のいずれの乾燥法よりも技術的にはるかに簡便である。したがって、オーブン乾燥が好ましい乾燥法である。
DNAポリメラーゼ、および/またはdNTPを含み、さらに緩衝化合物および安定化剤を含有する、本発明の方法により処理される水分減少溶液は、少なくとも90日間、DNAポリメラーゼ活性を低下させることなく、またdNTPの活性を低下させることなく、周囲室温で保存することができる。水分減少溶液は、dNTP活性の低下を最小にして、長期間、周囲室温で保存することができる。一例として、水分減少溶液は、周囲室温で最大24ヶ月間保存することができる。本発明の溶液は、PCRおよびqPCRなどの核酸の増幅操作などのDNAポリメラーゼおよび/またはdNTPを利用する任意の操作で使用することができる。保存または乾燥に関して本明細書に用いられる周囲温度または「室温」は、一般に約20℃である。
本発明の他の実施形態は、水分減少溶液を含有するキットを提供する。本発明の水分減少溶液は、単一の反応マイクロチューブ内に、反応マイクロチューブのストリップ内の反応マイクロチューブ内に、またはマルチウェルプレートの1つ以上のウェル内に予め入れて提供することができる。このように調製された反応マイクロチューブ、マイクロチューブストリップ、またはマルチウェルプレートを、PCRまたはqPCRによるDNA増幅のための即時使用キットとして利用することができる。
本発明の他の実施形態は、二重または多重増幅反応を行うことのできるオリゴヌクレオチドプライマーの2つ以上のセットを含有する水分減少溶液を提供する。さらなる実施形態は、水分減少溶液内の内部対照アッセイまたは陽性対照アッセイの包含を提供する。
PCR反応における内部対照は、標的DNAのセグメントの反応液内に包含されることが必要である。標的DNAを含む、脱水されたPCRまたはqPCRの混合物に及ぼす影響を示した先行技術は知られていない。本発明の教示は、実施例から明らかになるように、標的DNAの1つ以上のセグメントをPCR反応混合物に添加することができ、次いで該混合物が水分減少を受け、後に、標的核酸の増幅に悪影響を与えることなく、水戻しされることである。
標的DNAのセグメントに加えて、PCR反応液中の内部対照はPCRプライマーの第二のセットの反応液の包含も必要である。PCRプライマーの第二のセットは、陽性対照にも必要である。次いで、これらの二重アッセイは、2つ以上のアンプリコンの同時増幅ができなければならない。
二重または多重PCR反応液の調製には、PCRプライマーセットの1つがPCR反応活性を支配することおよびPCR反応中に第2のプライマーセットによって十分に増幅されることを防止するために、混合物の種々の試薬成分濃度について特別な調整が必要なことが知られている。異なるプライマーセットを、それぞれの鋳型に対する同様の親和性を達成するためにバランスをとることが必要である。酵素処理は、サイズおよび配列にいくらかの違いが存在してもよいが、分析する各アンプリコンに対して同様である必要がある。異なるアンプリコンの同等の増幅を達成するために、MgCl2の量を増加または減少させ、DNAポリメラーゼ活性を刺激するかあるいは部分的に抑制する必要がしばしばある。したがって、PCRアッセイ混合物内の最適な同時増幅には、DNAポリメラーゼ、MgCl2、各標的鋳型の量およびプライマーの各セットの比率のバランスを調整することが必要である。これらの調整は、プライマー配列、鋳型、およびポリメラーゼに依存して、特定の各多重アッセイについて経験的に決定される。しかしながら、一旦決定されると、これらの調整により、多重反応を反復する場合に幾度も使用できる条件セットが形成される。
周囲温度安定PCRまたはqPCRキットを得るために必要とされる際に、反応混合物が凍結乾燥または加熱を含む任意の手段で水分減少を受けるかあるいは脱水され、後に水戻しされる場合、必要な特別の調整を行って多重PCR反応混合物を調製することができることは本発明の教示前には当業者に知られていなかった。実際、実施例に示されるように、水分減少を受けない伝統的なPCR反応を適用した場合、特定の多重アッセイのために策定された条件セットの使用によっては、水分減少を受けるPCR混合物を用いて反復したときに同じ多重アッセイの同等の同時増幅は一般に提供されない。
本発明の教示は、安定化されたPCR増幅混合物の水分減少時には、反応混合物中の成分は、水分減少を受けないPCR混合物中で相互作用するのと異なる様式で互いに相互作用するというものである。さらに、PCR反応混合物が、凍結乾燥であれ他の手段であれ、著しく水分減少を受けるか完全に脱水され、後にPCR反応開始の直前に水戻しされる場合、混合物内の試薬の局所濃度は、水戻し後のある時間、元の脱水前とは異なっている可能性が高い。
水分減少を受けない伝統的な非安定化PCR反応混合物を用いた当業界の現行の方法に従って作製される多重反応混合物の種々の試薬成分の濃度調整を反映する条件セットは、PCR反応を開始するために、該混合物が脱水されて後に水戻しされるとき、多重反応を行うための該混合物内の試薬の正確な局所濃度を提供しない傾向がある。水分減少を受けなかったPCR混合物に基づいた既知の二重反応条件の反復の試みでは、水分減少PCR混合物を用いた同時増幅多重反応は実施できないという誤った結論が導かれるであろう。
このような誤った結論とは対照的に、実施例から明らかになるであろう本発明の基本的な教示は、多重QRT−PCR反応を行うために水分減少PCR混合物を最適化することはできるが、検量には、通常のQRT−PCR混合物を用いた特定の多重アッセイ適用の実験から得られた成分濃度のバランスを放棄して、水分減少QRT−PCR混合物を用いた前記成分濃度のバランスの実験評価をする必要があるというものである。
本発明の他の実施形態は、二重および多重の定量的リアルタイムPCR(QRT−PCR)を行うための水分減少溶液の調製である。典型的なQRT−PCR増幅反応では、反応液に追加分子である蛍光色素レポーターおよびクエンチャーを有する二重標識プローブが添加される。通常のオリゴヌクレオチドと異なる物理的特徴を有するこの特別な分子は、混合物中に用いられる反応安定化剤および水分減少過程と組み合わせた際に機能が異なり得る。このことは、PCR増幅およびハイブリダイゼーション時のDNA鋳型との相互作用に著しい影響を及ぼし、反応性能に影響を及ぼす可能性がある。実施例から明らかになるように、水分減少を受けない通常のQRT−PCR混合物における二重または多重アッセイの成分比率の条件セットバランスは、水分減少形式では適切に行われず、アンプリコンの同時増幅を可能にするためには混合物成分の比率におけるバランスの再較正が必要である。したがって、当業者の予想とは異なり、多重QRT−PCR反応を行うために水分減少QRT−PCR混合物を最適化することができるが、通常のQRT−PCR混合物での実験と異なる仕方によるものであり、また、水分減少QRT−PCR混合物を用いた前記成分濃度のバランスの再計算を経験的に行わなければならないということが、本発明の教示である。
水分減少を受ける混合物に対して、通常のQRT−PCR混合物の条件セットから再較正する場合、特性のアッセイ、ポリメラーゼ、および鋳型DNA標的に依存して、ある種の成分を増加または減少させた方がよいことが実施例により示される。具体的には、種々のプライマー−プローブセットの相対濃度、MgCl2の相対濃度、および鋳型DNAの相対濃度は、各々、異なる多重アッセイに対してより高いかあるいはより低いレベルで最適となることが判明され得る。DNAポリメラーゼの濃度に関しては、該知見はあるパターンをより示すものである。本発明の教示は、水分減少を受けるPCRおよびQRT−PCRの混合物は、類似の通常のPCRおよびQRT−PCR混合物よりも頑健な反応を提供し、したがって、より極端な条件下での増幅を達成しやすく、必要とする酵素がより少なくてもよいということである。
以下の実施例から明らかになるように、本発明の溶液は、患者のDNA試料を入れる同じPCR調製台において、氷なしで(すなわち、周囲室温で)保存することができる。したがって、本発明の水分減少溶液中に希釈DNA試料を加える単一工程でPCRまたは定量的PCRの調製を行って、PCRまたはqPCR反応を開始することができる。例えば、PCRグレード水に希釈した15〜100ngの鋳型DNAを本発明の水分減少溶液に加えて、25μlの混合物を形成することができる。本発明の水分減少溶液は、PCRまたはqPCR反応の開始前に完全に溶解させる必要はないが、例えば2〜4秒間の攪拌によって、部分的に溶解させることができる。
以下の実施例で、室温安定PCR即時使用混合組成物およびDNA分析におけるいくつかの適用を例示する。
材料および方法
PCR通常混合物−酵素緩衝液×1(10mM トリス pH8.3、40mM KCl)、1.5mM MgCl2、0.2mM dNTP混合物、0.3μMのプライマー混合物、および0.5単位の好熱性DNAポリメラーゼ。
着色水分減少PCR通常混合物−酵素緩衝液×1(10mM トリス pH8.3、40mM KCl)、1.5mM MgCl2、0.2mM dNTP混合物、0.3μMのプライマー混合物、0.5〜6.4単位の好熱性DNAポリメラーゼ、3%のスクロース、1mg/mlのBSA、および0.04%のクレゾールレッド。
透明水分減少PCR通常混合物−酵素緩衝液×1(10mM トリス pH8.3、40mM KCl)、1.5mM MgCl2、0.2mM dNTP混合物、0.3μMのプライマー混合物、0.5〜6.4単位の好熱性DNAポリメラーゼ、3%のスクロース、および1mg/mlのBSA。
PCRホットスタート混合物−酵素緩衝液×1(10mM トリス pH8.3、50mM KCl)、2mM MgCl2、0.2mM dNTP混合物、0.3μMのプライマー混合物、および1〜2.5単位のホットスタート好熱性DNAポリメラーゼ。
着色水分減少PCRホットスタート混合物−酵素緩衝液×1(10mM トリス pH8.3、50mM KCl)、2.5mM MgCl2、0.2mM dNTP混合物、0.3μMのプライマー混合物、1〜2.5単位のホットスタート好熱性DNAポリメラーゼ、17%のスクロース、1mg/mlのBSA、および0.07%のオレンジG。
透明水分減少PCRホットスタート混合物−酵素緩衝液×1(10mM トリス pH8.3、50mM KCl)、2.5mM MgCl2、0.2mM dNTP混合物、0.3μMのプライマー混合物、1〜2.5単位のホットスタート好熱性DNAポリメラーゼ、17%のスクロース、および1mg/mlのBSA。
水分減少即時使用PCR混合物の例示的な調製。例えば、0.8単位の好熱性DNAポリメラーゼを有する赤色混合物が記載される。
25μl容量の水戻しによるPCR反応用の反応混合物の調製:
1.PCR保存溶液容量を加え、濃縮する。水戻し後、該溶液は以下の成分を含有する:10mM トリス pH8.3、40mM KCl、1.5mM MgCl2、3%のスクロース、1mg/mlのBSA、および0.04%のクレゾールレッド。
2.0.2mM dNTP混合物を加える。
3.5単位/μlの酵素ストックから0.8ユニットの好熱性DNAポリメラーゼを加える。
4.プライマー混合物を加えて、0.3μMの濃度を得る。
5.成分を混合して、0.2mlのPCRチューブに分配する。
6.55℃で90分間、オーブン内で乾燥することにより、水分減少を行う。
7.チューブを室温に冷やし、チューブのキャップを閉じる。
8.最大24ヶ月間室温で保存する。
9.使用前に水戻しする。
この実施例において、PCR反応を行うために、水およびDNAを用いて水分減少溶液の水戻しを行い、次いでPCR機で操作する。種々の調製物中の反応混合物の乾燥容量は、上記実施例では、以下の理由から実質的に異なり得る。
反応混合物は、追加のプライマーおよび/またはプローブを含有してもよいし(または全くなし)、より多くの単位の酵素が使用してもよいし、PCR反応の体積がより少ないまたはより多くてもよいし(例えば5〜100μl)、あるいは、より高含量のスクロース、したがって、より多くの体積を有するホットスタート混合物が反応で使用されてもよい。乾燥される容量が異なると、55℃での乾燥時間を異なるものにする必要がある。実際には、55℃で1〜3時間乾燥すれば、全ての調製物にとって十分である。
実施例1
PCR混合物の性能
第1の実験において、着色PCR通常混合物内の好熱性DNAポリメラーゼ活性を評価した。着色PCR通常混合物を、(1)さらなる処置なし(水分含有混合物)で増幅したか、(2)55℃に加熱して水分減少させ、増幅前に水戻ししたか、または(3)−20℃に凍結し、一晩凍結乾燥し、増幅前に水戻しした。
以下のプロトコルに従って、60ナノグラムのゲノムDNAを増幅し、1800bpのPCR産物を得た(APC遺伝子、プライマー配列番号21および22):95℃で3分、続いて95℃で30秒の35サイクル;59℃で60秒、72℃で2分、および72℃で10分の最終工程。PCR増幅産物を、1.5%のアガロースゲル中で分離し、臭化エチジウムで染色した。
図1に見られるように、3つの試料において同様の活性を検出することができた。したがって、本発明の乾燥処理が行われる混合組成物は、酵素の活性低下を防ぐか、あるいはタンパク質および/または酵素の活性を保つために一般に使用される標準的/従来の凍結乾燥法に見られるものとせいぜい同じ影響を及ぼすと結論づけることができる。
以下の実験において、少なくとも9種の異なる好熱性DNAポリメラーゼ酵素を、本発明の方法に記載されたとおりに処理した後に、それらの増幅効率に関して試験した。多数のアンプリコンについて試験した際、試験した全ての酵素が高い性能を示した。
大部分の試験では、20〜75ngのゲノムDNAを上記のPCRプロトコルを用いて増幅したが、他の異なるDNA源およびDNA鋳型量(0.1〜200ngのゲノムDNA)についても試験し、効率的に増幅した(図2に見られるように)。
図3は、上記の着色または透明なPCR混合物中に混合した3種の異なる好熱性DNAポリメラーゼおよびホットスタート好熱性DNAポリメラーゼ酵素のACTB遺伝子に対するPCR増幅性能を例示している。
図4は、これら7つの代表例(マウスおよびヒトのDNA)により表される異なる配列およびアンプリコンサイズを増幅するための本発明のPCR混合物使用の能力を例示している。25種以上の遺伝子または遺伝子マーカー配列が試験され、首尾よく増幅された。増幅された遺伝子、遺伝子マーカー、およびそれらのプライマーのいくつかは表1に記載されている。
図5は、例えば、ホルマリン固定パラフィン包埋組織から抽出されたDNAなどのより品質の劣るDNAを増幅するためのホットスタートPCR混合物の能力を示している。本発明の混合物は、少量で品質の劣るDNA鋳型の困難性を克服する。
(a)室温で10日間保存された着色水分減少PCRホットスタート混合物、(b)−20℃で保存された着色水分減少PCRホットスタート混合物、または(c)血液から抽出されたヒトゲノムDNA(25ng)の増幅における効率の比較にも用いられた透明水分減少PCRホットスタート混合物、ならびに以下のPCRプロトコル:95℃で10分、95℃で30秒の45サイクル;55℃で30秒、72℃で30秒、および95℃で10分の最終工程を用いて、パラフィン包埋切片から抽出した5マイクロリットルのDNA試料をMAG、BCl−2、およびACTB(表1)の増幅について試験した。PCR産物は、臭化エチジウムによる染色後、2%のアガロースゲル上で可視化した。
−20℃または室温で保存された着色または透明の使用混合物は双方とも、ゲル上のバンド強度に反映されている通り、同様の効率でPCR産物を与える(図5)。
着色水分減少PCRホットスタート混合物は、PCR増幅について陽性または陰性として結果を分析する際に有用である。「即時使用PCR混合物」の利用によって、試料の分析が容易になり、混同および汚染が避けられる。DNA試料の分析に他の分子生物学技術(単純な電気泳動ゲルではない)が用いられ、色素の存在によって結果を妨害される場合には、透明な水分減少PCRホットスタート混合物が推奨される。
種々の実験において、異なる供給源および量のDNA鋳型を検討した。ヒト供給源では、末梢血リンパ球、口腔スワブ、毛球、および組織学スライドなどから抽出されたゲノムDNAが首尾よく増幅された。マウスおよびラットでは、末梢血リンパ球、種々の臓器、尾(多くの不純物が存在する結果、通常は品質の劣るDNA)、およびパラフィン包埋組織切片から抽出されたゲノムDNAを調べた。ウィルス、植物、昆虫、細菌、および酵母のDNA試料でさらなる試験を行った。
試験した多数のアンプリコンにより示される異なるDNA配列に関して、高分解DNA(通常、パラフィン包埋組織切片から得られる)の使用により示されるDNA鋳型の品質に関して、ならびにPCR増幅を結果的に阻害し得るDNA抽出物の不純物(通常、マウスの尾から得られたDNAに存在する)に関して、本発明の水分減少PCR混合物は高いPCR増幅性能を示した。
時間の異なる水分減少が酵素活性またはPCR増幅における有意な低下に影響を及ぼすかどうかを判定するために、本発明のPCR混合物に対して、3つの異なる水分減少群を適用した。例えば、着色PCR通常混合物を試験する場合、試料チューブを、55℃で、1時間、6時間または20時間加熱した。水戻し後、25ngのヒトゲノムDNAを用い、以下の増幅プロトコル:95℃で3分、続いて95℃で30秒の35サイクル;59℃で60秒、72℃で2分、および72℃で10分の最終工程に従って、3種の異なるアンプリコンに関して、種々の試料をPCR増幅に供した。PCR増幅産物を1.2%のアガロースゲルで分離し、臭化エチジウムで染色した。3種の異なるアンプリコン、CYP、PLPおよびIL−10のPCR産物のバンド強度の比較により、酵素活性性能を評価した。
試験したアンプリコンのいずれに関しても、加熱時間の異なる試料間に有意な違いが全く見られないことを指摘することができる。図6は、このような実験の結果を示している。
実施例2
本発明のPCR混合物の使用期限延長
本発明のPCR混合物の使用期限を評価するために、通常の好熱性DNAポリメラーゼおよびホットスタート酵素含有混合物に関して、別々の試験を行った。
通常のDNAポリメラーゼを含有する安定化水分減少PCR混合物に関する加速使用期限試験において、該混合物を含有するチューブを、95℃で0、1、3、6、および8時間インキュベートし、PLP遺伝子のPCR増幅効率に関して試験した(表1)。ヒトゲノムDNA(25ng)を以下のPCRプロトコルを用いて増幅した:95℃で3分、95℃で30秒の35サイクル;59℃で60秒、72℃で2分、および72℃で10分の最終サイクル。酵素活性の低下は認めることができるが(図7b)、該酵素は、このような高温における8時間のインキュベーション後でも高い性能を示した。
アレニウス(Ahrenius)加速使用期限試験(ASLT)モデルおよびQ10値を判定した先の実験に基づき、試験した着色水分減少通常PCR混合物の使用期限は、室温(RT)で約732日または24ヶ月に等しいと評価された。
並行して、同一の着色通常PCR混合物に関して加速使用期限試験を実施したが、今度は、本発明の方法の代わりに一般に用いられる凍結乾燥操作によって脱水処理を行った。該凍結乾燥チューブを、95℃で、0、1、3、および6時間インキュベートし、上記のように25ngのヒトゲノムDNAによりPLP遺伝子(表1)のPCR増幅に関して試験した。図7aに見られるように、酵素活性は、3時間のインキュベーション直後に有意に低下した。
実施例1の最後の段落において、最終脱水状態が凍結乾燥法によって得られるものに等しい、本発明の混合物を調製する方法が実験で記載されている。予測された酵素安定性は双方の脱水操作について同様であることが期待されたが、酵素の性能における有意な低下は明らかであった。
試験したPCR混合物の脱水操作についての使用期限挙動の違いは、本発明に用いられるPCR混合物調製法により、DNAポリメラーゼ酵素、緩衝液成分、および安定化剤の間により良好な相互作用が可能になり、該酵素により高い安定性が与えられることを明らかに実証している。このような安定性の増大は、酵素活性が保持される時間がより延長することに反映する。該実験結果により、本発明の混合物の予測される使用期限は、凍結乾燥PCR混合物に対して予測される使用期限より少なくとも2.5倍長い。
水分減少PCRホットスタート混合物についての加速使用期限試験において、着色PCRホットスタート混合物を含有するチューブを80℃で0、4、6および8時間インキュベートし、BCl−2およびACTB遺伝子についてPCR増幅を試験した(表1)。マウスおよびヒトパラフィン包埋組織切片から抽出したDNA試料を、増幅効率に関して、25ngのヒトゲノム対照DNA(血液から抽出)と比較した(図8)。以下のPCRプロトコルを用いた:95℃で10分、95℃で30秒の45サイクル、55℃で30秒、72℃で30秒、および95℃で10分の最終工程。臭化エチジウムによる染色後、2%のアガロースゲル上でPCR産物を可視化した。酵素活性の低下を認めることができるが、酵素は8時間のインキュベーション後でも高い性能を示した。
アレニウス加速使用期限試験(ASLT)モデルおよびQ10値を判定した先の実験に基づき、試験した着色水分減少PCRホットスタート混合物の使用期限は、室温(RT)で140日、約4.5ヶ月に等しいと評価した。
実施例3
プライマーおよび内部対照が組み入れられたPCR即時使用混合物
陽性対照を含有するPCRアッセイ混合物は典型的に、標的DNAに特有の特定の遺伝子領域に特異的なオリゴヌクレオチドプライマーの1セット、およびDNAのより広範なファミリーに共通の別の遺伝子領域に特異的な第2のオリゴヌクレオチドプライマーの1セットを含む。内部対照は、上記アッセイの構成成分、および対照プライマーの遺伝子領域を含有し、かつ、標的DNAの特有の遺伝子領域を含有しないDNAの試料を含む。
PCR反応のための内部対照を設計するために、ACTBプライマーの配列(配列番号7および8)を含む合成DNAセグメントを調製し、精製した。陽性対照鋳型とも称されるこの合成セグメントをACTBのフォワードプライマーおよびリバースプライマー混合物と共に合わせ、水分減少処理の前に、本発明のPCR混合物に加えた。PCR混合物と陽性対照鋳型およびプライマーを含有するチューブを、水戻しし、増幅プロトコル:95℃で3分、95℃で30秒の35サイクル;59℃で60秒、72℃で2分、および72℃で10分の最終サイクルを用いて、増幅した。図9に見られるように、約300bpの明らかなバンドが得られた。
他の別個の実験において、フォワードプライマーおよびリバースプライマーの混合物を本発明の水分含有PCR混合物に加え、前述のとおり処理した。プライマーが組み入れられたPCR即時使用混合物は全て、水戻し後に特定のPCRバンドを与えた。これらの結果は、本発明の処理が、室温で安定であって陽性対照および内部対照が組み入れられた配列特異的PCR混合物の調節に好適であることを実証している。
上記の配列特異的PCR混合物の使用期限を評価するために、加速使用期限試験を実施した。水分減少PCR混合物およびプライマーを含有するチューブを95℃で、1、3、6時間インキュベートし、PLP遺伝子のPCR増幅効率に関して試験した(表1)。以下のPCRプロトコル:95℃で3分、95℃で30秒の35サイクル;59℃で60秒、72℃で2分、および72℃で10分の最終サイクルを用いて、ヒトゲノムDNA(25ng)を増幅した。同様に、本発明に記載された処理による水分減少の代わりに、凍結乾燥された同じPCR混合物について加速使用期限試験を実施した。先の実施例2で見られるように、PCR効率(PCR産物のバンドに反映)は、凍結乾燥産物に関しては3時間のインキュベーション後に有意に低下したが、本発明により処理された混合物に関しては95℃で6時間のインキュベーション後でもかなりのバンドが見られた(図10)。
アレニウス加速使用期限試験(ASLT)モデルに基づき、試験した配列特異的PCR混合物の使用期限は、室温(RT)で少なくとも550日または18ヶ月であって、類似する凍結乾燥産物の2倍の期限に等しいと評価された。
以下の実験で、前述の組成物の組合せを試験した:本発明のPCR混合物を、配列特異的なプライマーのセット(MAG)および陽性対照合成鋳型ならびに第2のプライマーセット(ACTB)の存在下、水分減少させた。反応の内部対照が組み入れられた得られた配列特異的PCR混合物をPCR増幅について試験し、その時点で、追加成分を1つだけ含有する水分減少PCR混合物と比較する。図11は、標的配列とPCR反応の陽性対照との同時増幅がうまくいったことを示している。
要約すると、上記の組合せ産物を種々の標的配列の同時検出に使用でき、前記産物が少なくとも18ヶ月間、室温で安定であると言うことができる。
Figure 2013240357
実施例4
蛍光標識オリゴヌクレオチドが組み入れられたPCR即時使用混合物
リアルタイム定量的PCRの使用により、通常のPCR増幅に比較して、きわめて少量の標的DNA(遺伝子発現アッセイでは約10pg、汚染検出アッセイでは0.01pg)が検出できる程度まで、検出感度が増強する。定量的PCR反応を行うための周囲温度安定化キットは、単一の混合物中に、該混合物が水分減少を受ける前において、上記実施例3に示されたようにオリゴヌクレオチドプライマーと共に本発明の透明水分減少PCRホットスタート混合物の全ての成分、および蛍光標識オリゴヌクレオチドまたはSYBR(登録商標)Greenなどの蛍光放射剤を組み入れる。
本発明の混合物と共に蛍光標識オリゴヌクレオチドを含有する混合物の水分減少が引き続いて行うPCR増幅に負の影響を及ぼし、および/または蛍光シグナルの検出に負の影響を及ぼすかどうかを判定するために、D1S999フォワードプライマーおよびリバースプライマーを調製し、精製し、6−FAM蛍光標識を該フォワードプライマーの5’端に付加した。これらのプライマーを、水分減少処理の前に、着色水分減少PCR通常混合物および本発明の透明ホットスタートPCR混合物に加えた。該PCR混合物およびプライマーを含有するチューブを水戻しし、上記の増幅プロトコルを用いて増幅した。PCR産物を、臭化エチジウムにより染色後に2%のアガロースゲル上で可視化し、予測されたPCR産物を示すバンドを観察した。次いで、蛍光読取り機を用いて該PCR産物を分析し、シグナルを検出した。
このように、非標識プライマーおよび標識プライマーなどの蛍光放射剤ならびに陽性対照としての第2のオリゴヌクレオチドセットおよび内部対照としての標的DNAのセグメントを含む、定量的PCR反応の実施に必要とされる全ての成分を含有する混合物を作るために、本発明の方法が使用可能であることが、実施例3および実施例4により教示される。
実施例5
本発明のPCR混合物の使用期限延長
本発明のPCR混合物の使用期限を判定するために、通常の好熱性DNAポリメラーゼ(PCR即時使用混合物)およびホットスタート酵素(PCR即時使用ホットスタート)含有混合物について別の試験を実施した。
図12Aに示された第1の実験において、98〜151日間、−20℃(F)および室温(RT)で保存されたPCR即時使用混合物を用いて、ヒトゲノムDNA(25ng)を増幅した。300〜1500bpのアンプリコンを首尾よく試験した。図12Aに示されるように、5ヶ月後でも、酵素活性の低下がきわめて緩やかであると観察することができる。
図12Bに示される第2の実験において、3つの型のPCR即時使用ホットスタートを比較した。ホルマリン固定パラフィン包埋ヒト組織試料切片から抽出されたゲノムDNAを、(A)新たに調製した;(B)−20℃で60日間保存した、または(C)室温で135日間保存した、PCR即時使用ホットスタートを用いて増幅した。200〜300bpのアンプリコンを首尾よく試験した。該アンプリコンは増幅に基づいて選択された。4.5ヶ月後に、緩やかな酵素活性の低下を見ることができる。通常、ホルマリン固定パラフィン包埋組織切片から抽出されたDNAは非常に劣化する。実験では、Bcl−2アンプリコンは、これらのDNA試料からほとんど増幅されず、この実験では品質の閾値として用いられた。
実施例6
通常のPCR混合物および水分減少を受ける水分減少PCR混合物を用いた二重PCRにおける反応最適化を促進するための種々の試薬成分の比率バランス調整の必要性
当業者に知られているように、二重または多重PCR反応における各々のアッセイの最適な増幅を促進するために、PCR混合物の種々の試薬成分の比率バランス調整が必要である。水分減少を受けない水分含有PCR混合物(「通常PCR混合物」)を用いた、多重反応に最適であると考えられる種々の試薬成分の比率バランス調整が、水分減少を受けるPCR混合物(「水分減少PCR混合物」)を用いた最適な増幅を可能にするのに必要な調整の予測とならないという新たな知見を本実施例で実証する。
本実施例に提供される実験の各々において、通常PCR混合物と水分減少PCR混合物の双方に同量のスクロースおよびBSAを加えた。通常PCR混合物と水分減少PCR混合物とを区別する唯一の変数は、水分減少および引き続いて行う該混合物の水戻しである。したがって、示される増幅性能における顕著な違いは、室温使用期限安定性を促進するための水分減少を受け、続いてPCR反応用調製において水戻しされる混合物の作用効果に直接起因すると考えることができる。
遺伝子産物BCL−2(ヒトタンパク質B細胞CLL/リンパ腫2を発現、産物サイズは291bp)およびGAPDH(ヒトタンパク質であるグリセルアルデヒド−3−ホスフェートデヒドロゲナーゼをコードする、産物サイズは916bp)を発現する二重系を用いた。提供する各実験において、通常PCR混合物(「水分含有」)と水分減少PCR混合物(「乾燥」)の双方で、同一のバランスのプライマー濃度とDNA鋳型量を用いる。通常PCR混合物と水分減少PCR混合物とを比較する5つの異なる条件セットを提示する、合計3つの実験が示される。これらの例における該混合物の3つの試薬成分の比率バランスになされた調整−第1のプライマーセットの濃度、第2のプライマーセットの濃度、および鋳型DNAの量。
Figure 2013240357
0.8単位のTaqポリメラーゼ酵素と共に、着色水分減少PCR通常混合物を用いた。BCL−2プライマーの配列は表1に示されている。GAPDHプライマーの配列は:GCCATCAATGACCCCTTCATTG(配列番号32)およびTCTTACTCCTTGGAGGCCATGT(配列番号33)である。各実験の実験系は全て、同一のPCR機内で同時に操作された。
3つの実験結果は図13に示されている。そこで明らかなように、第1の実験の条件セットAでは、乾燥PCR混合物を用いて、標的アンプリコン双方に強い増幅が生じた一方、水分含有PCR混合物を用いた同じ条件セットでは、BCL−2遺伝子に関しては強いバンドが生じたが、GAPDH標的の増幅ははるかに弱かった。したがって、水分減少PCR混合物に必要なプライマー量の最適バランスは、通常PCR混合物を用いる同一の二重アッセイには不適切であることが示される。
一方、条件セットBを用いた増幅の結果は、通常PCR混合物を用いて、双方のアンプリコンの最適な増幅が示しているが、水分減少PCR混合物に適用した場合、検出し得る同時増幅を生じさせるためには、該条件セットは完全に不能であることを示している。条件セットC、D、およびEの結果は、通常PCR混合物を用いて、双方のアンプリコンの検出可能なさらなる増幅を示しているが、水分減少の処理を受ける同一試薬混合物(水分減少混合物または乾燥混合物)に同一の条件セットを適用した場合、検出可能性の閾値を越えることができないことを示している。
実施例のこれらのセットで、通常PCR混合物を用いる場合、二重反応における2つの異なるアンプリコンの強い増幅を達成するために必要な試薬の最適なバランスは条件セットBであるが、これは水分減少PCR混合物には適切ではなく、一方、水分減少PCR混合物を用いる最適な条件セットは条件セットAであるが、これは通常混合物には適切でない。
特定の多重PCR反応を最適化するための試薬のバランスが確立されたならば、同一の混合物を引き続きDNA試料に適用する場合、それらの同じ条件は全ての標的遺伝子の検出においても首尾よくいくことが一般に推測される。したがって、同一の多重反応混合物を引き続きDNA試料に適用し、その結果が1つ以上の標的遺伝子の否定的な認定であった場合、検出されなかった遺伝子はその試料に存在していなかったという解釈が考えられる。この実施例で実証されるように、先ず通常のPCR混合物を用い、引き続い水分減少PCR混合物を用いて得られた結果の反復を試みようとする場合、この推測は真ではない。したがって、本実施例により、水分減少PCR混合物は有効であり、多重PCR反応を行うために最適化することができるが、当業者は、通常PCR混合物を用いる特定の多重反応に関して確立した条件セット推定を無視し、代わりに、該反応混合物の種々の成分比率を再調整し、水分減少PCR混合物を用いる多重反応の実施に特有の最適条件のセットを確立する必要があることが教示される。
実施例7
通常PCR混合物および水分減少を受ける水分減少PCR混合物を用いるリアルタイム二重PCRにおける反応最適化を促進するための種々の試薬成分の比率バランス再調整の要件
上記のように、反応における混合物成分は、本発明の水分減少処理の間に、水分減少前の相互作用と異なる形式で互いに相互作用すること、および、これが、水分減少PCR混合物が後に水戻しされてPCRに使用される場合に二重または多重反応アッセイの性能に顕著な影響が及ぼすということが、本特許の教示である。二重および多重の定量的リアルタイムPCR増幅反応(QRT−PCR)は、二重標識プローブが存在することおよびホットスタートDNAポリメラーゼを使用することに因ってより特異的である傾向がある一方、水分減少を受けない水分含有QRT−PCR混合物(「通常QRT−PCR混合物」)を用いる多重反応に最適であると考えられる種々の試薬成分の比率バランスの調整は、水分減少を受けるQRT−PCR混合物(「水分減少QRT−PCR混合物」)を用いて最適増幅を可能にするのに必要な調整を予測するものではないという知見が本実施例により示される。
二重アッセイおよび通常QRT−PCR混合物を含有する実施例セットを、同じ二重アッセイおよび水分減少QRT−PCR混合物を含有する実施例セットと比較した。各セットは、種々の量のMgCl2(反応最終濃度:2.5、4および5mM)および種々の量のプライマー混合物(反応最終濃度:0.15、0.25、0.35および0.5μM)を含んだ。
上記実施例6で示されるように、水分減少の存在または非存在は、二重または多重アッセイを含有するPCR反応混合物の成分濃度バランス最適化要件の区別における重要な要素であり、該反応混合物中の安定化剤の存在または非存在はそうではない。したがって、本実施例において、安定化剤は水分減少QRT−PCR混合物にのみ添加し、通常QRT−PCR混合物には添加しなかった。
ヒトベータヘモグロビン遺伝子およびベータ2ミクログロブリン遺伝子に関して、下記のプライマーおよびプローブのセットを用いて、以下のリアルタイム二重PCR反応を実施した:
Figure 2013240357
通常QRT−PCR混合物に関して、各標的(各々の最終反応濃度:0.15μM、0.25μM、0.35μMまたは0.5μM)に対し、ホットスタートDNAポリメラーゼ酵素を、緩衝液(製造元により供給)、dNTP混合物(最終反応濃度:0.2mM)、MgCl2(最終反応濃度:2.5mM、4mMまたは5mM)、B2MおよびHHBプローブ(各々の最終反応濃度:0.2μM)およびプライマー混合物(正および逆)と混合した。
Figure 2013240357
水分減少QRT−PCR混合物セットに関して、透明水分減少PCRホットスタート混合物を、上記のMgCl2およびプライマー濃度について調整して用いた。
50ngのヒトゲノムDNAを添加後、Rotor−Gene6000機でPCR増幅を実施し、以下のサイクルを操作した:95℃で10〜15分、95℃で15秒を40〜45回反復、55℃で20秒および72℃で20秒。緑色および黄色チャネルを用いて(それぞれ、FAMとHEXに関して)PCR結果を評価し、以下のパラメーター:閾値0.01;左閾値10,000;ノイズ勾配補正;動的チューブ規準化および鋳型なし対照閾値30%を適用した後、ソフトウェア機を用いて解析した。
TBE3%アガロースゲル上のゲル電気泳動および臭化エチジウム染色の後にもPCR産物を解析した。
図14に見ることができるように、MgCl2および/またはプライマー濃度のマッチングにより、PCR混合物の初期の水戻しの程度に依って、反応結果に及ぼす影響が異なる。例えば、5mM MgCl2は、通常のQRT−PCR混合物における良好な結果を促進する(図14−A)が、MgCl2濃度の低下は、水分減少混合物の性能に対して有利である(図14−Cおよび15E)。
MgCl2濃度を同一に保った場合、水分減少QRT−PCR混合物はさらに少量のプライマーでも結果を与えた(図14−B、14−C、15−C)。
プライマー量の増加は、図16に例示されるように、サイクル閾値(Ct)に影響を与えずに蛍光読取り値の増加に反映する(図15C)。
図16−Aおよび16−Bは、2つの異なる商標のDNAポリメラーゼが組み入れられた水分減少QRT−PCR混合物を示している。水分減少QRT−PCR混合物におけるプライマー量の増加に対する同等な応答を達成するために、第2の混合物中に異なる量のMgCl2が必要だったことを結果は示している。したがって、通常QRT−PCR混合物から水分減少QRT−PCR混合物へと切り替える場合の二重リアルタイムPCR反応の再最適化には、DNAポリメラーゼ源に依存した異なる検量が必要である。
二重または多重PCR反応増幅を扱う間、第1の工程は、反応でのアンプリコンの等価な増幅を確実にすることである。図15に示されるように、等しいMgCl2濃度およびプライマー濃度によって必ずしも二重増幅が与えられるとは限らない。通常QRT−PCR混合物または水分減少QRT−PCR混合物を用いる場合には、異なる結果が図15−Cおよび15−Eから明らかである。
さらに、双方のバンドが可視化されているような場合であっても、有意に検出可能な蛍光シグナルが放射されるとは限らない(図14、15−B、および15D)。この可能性は、蛍光標識プローブがその鋳型へハイブリダイゼーションする場合の非理想的条件を反映している。ハイブリダイゼーション条件の最適化は、通常QRT−PCR混合物と水分減少QRT−PCR混合物とで異なることも示された。
水分減少を受けない通常QRT−PCR混合物の試薬比率バランスの最適化は水分減少様式では適切に行われず、各々の特定の反応様式における混合物組成および成分濃度を最適化するためには実際の実験が必要であると結論づけることができる。したがって、従来予測とは対照的に、水分減少QRT−PCR混合物を多重QRT−PCR反応の実施のために最適化できること、しかしながら、成分濃度の最適バランスは、水分減少を受けないQRT−PCR混合物を用いて同じ多重QRT−PCR反応を実施するために用いられる該最適バランスと異なる可能性が高いことが本発明の教示である。したがって、二重または多重QRT−PCR反応の実施のための水分減少QRT−PCR混合物の使用では、通常QRT−PCR混合物を用いた特定の多重アッセイ適用のための実験および水分減少QRT−PCR混合物を用いた成分濃度の前記バランスの経験的評価から誘導された成分濃度のバランスを捨て去ることが必要である。
実施例8
二重定量的リアルタイムPCRアッセイが組み入れられた本発明混合物の使用期限安定性
多重リアルタイムPCR適用のための本発明のPCR混合物の性能および使用期限安定性を確立するために、二重プライマー−プローブアッセイを用意した。
ヒトベータヘモグロビンを標的にする1つのプライマー−プローブセットを調製し、精製し、これは、フォワードプライマーおよびリバースプライマー(配列番号29および30)(表4)および5’端に付加されたレポーターとして使用されるHEX蛍光色素および3’端に付加されたクエンチャーとしてのBHQ1を有する二重標識プローブ(配列番号31)(表4)から構成されていた。ヒトRNアーゼ−P遺伝子を標的にする第2のプライマー−プローブセットは、Applied Biosystems Incから購入し(TaqMan(登録商標)RNase P Detection Reagents Kit、製品番号4316831)、これは、フォワードプライマー、リバースプライマーおよび5’端にFAMで標識化され3’端にTAMRAで標識化されたTaqMan (登録商標)プローブから構成されていた。
4種のプライマーおよび2種のプローブの全てを、水分減少処理の前に、本発明の透明ホットスタートPCR混合物に加えた。該チューブを、アッセイ性能について試験するまで室温および−20℃で保存した。
5週間後、室温で保存したチューブならびに−20℃で保存したチューブ(双方とも脱水PCR混合物および二重プライマー−プローブアッセイを含有する)を水戻しし、各反応チューブに100ngのヒトDNAを加えた後、市販のAbsolute QPCR混合物(ABgene)混合物の性能と比較した。Corbett Life ScienceのRotorGene 6000 Systems Real Time PCR機器で、以下のプロトコル(先ず、酵素活性化のために、95℃で15分保持のサイクル、続いて95℃で、15秒からなる40サイクル、55℃で20秒および72℃で30秒)に従い、該混合物を増幅した。
第1回目の実験結果は、図17−Aに示されている。ヒトベータヘモグロビンを標的にしたプライマー−プローブアッセイにより、先の実施例で記載されたものと同じ分析パラメーターを用いて、以下の結果が得られた。−20℃で保存された試料では、24.09のCtが得られ、室温で保存された試料では、23.84のCtが得られた。ヒトRNアーゼ−Pを標的にしたプライマー−プローブアッセイでは以下の結果が得られた。−20℃で保存された試料では、21.18のCtが得られ、室温で保存された試料では、21.52のCtが得られた。
5週間後に第2回目の実験を行った。室温で保存された3つのチューブおよび−20℃で保存された1つのチューブを該実験で試験した以外、同じ手順とした。チューブの3つに100ngのヒトDNAを加え、4番目のチューブに150ngのDNAを加えた。試料は上記のとおり増幅した。
図17−Bに示された第2回目の実験結果は、以下のとおりであった。ヒトベータヘモグロビンを標的にしたプライマー−プローブアッセイでは、以下の結果が得られた。−20℃で保存された試料では、26.26のCtが得られ、室温で保存された2つの試料では、26.40および28.27のCtが得られた。ヒトRNアーゼ−Pを標的にしたプライマー−プローブアッセイでは、以下の結果が得られた。−20℃で保存された試料では、23.06のCtが得られ、室温で保存された2つの試料では、23.79および24.34のCtが得られた。
10週間後、室温で放置した本発明の安定化水分減少混合物と−20℃で保存された同等の混合物との間の有効性の違いは、1サイクル未満であった。この結果は、多重リアルタイムPCRアッセイに関して、本発明のPCR混合物の有用性および室温での安定性を明らかに実証している。
Figure 2013240357
本発明を、特定の実施形態を参照にして説明したが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、形式および詳細において変型および改変を行い得ることは、当業者により理解されるであろう。

Claims (21)

  1. 増幅操作に使用するためのDNAポリメラーゼおよび/またはdNTPを処理する方法であって、
    DNAポリメラーゼおよび/またはdNTP、緩衝液、ならびに少なくとも1種の安定化剤を含む溶液混合物を提供すること;および
    前記提供された溶液混合物が0℃から約100℃の間の温度で水分減少を受けるように、前記溶液混合物を水分減少させることを含む方法。
  2. 前記水分減少溶液混合物を、周囲室温で最大24ヶ月間保存すること;
    前記保存された水分減少溶液混合物を水戻しすること;および
    前記水戻しされた水分減少溶液混合物を用いて増幅操作を行うことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記DNAポリメラーゼが、好熱性DNAポリメラーゼである、請求項1に記載の方法。
  4. 前記溶液混合物を水分減少することが、オーブン中、約55℃の温度で前記溶液混合物を加熱することを含む、請求項1に記載の方法。
  5. 前記溶液混合物が、50パーセントから100パーセントの間で水分減少を受ける、請求項1に記載の方法。
  6. 前記少なくとも1種の安定化剤が、少なくとも1種の糖および少なくとも1種のタンパク質を含む、請求項1に記載の方法。
  7. 前記糖が非還元糖を含み、前記タンパク質がBSAである、請求項6に記載の方法。
  8. 前記非還元糖がスクロースを含み、最終濃度のスクロースが1〜20%の範囲であり、BSAの濃度範囲が0.5〜3mg/mlである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記溶液混合物が、配列が互いに異なる2種のオリゴヌクレオチドプライマーのセット;塩化マグネシウム;水溶性色素;核酸鋳型および蛍光色素からなる群から選択されるいずれか1つ以上の成分をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  10. 核酸の増幅用キットであって、好熱性DNAポリメラーゼおよびdNTP、緩衝液、少なくとも1種の安定化剤、塩化マグネシウム、配列が互いに異なる2種のオリゴヌクレオチドプライマーのセット、ならびに、前記2種のオリゴヌクレオチドプライマーのセットと配列が異なるオリゴヌクレオチドプローブを核酸鋳型と共にまたは核酸鋳型なしで含む水分減少溶液を含む、キット。
  11. 核酸の増幅および検出用キットであって、
    a.好熱性DNAポリメラーゼおよびdNTP、緩衝液、少なくとも1種の安定化剤、塩化マグネシウム、配列が互いに異なる2種のオリゴヌクレオチドプライマーのセットを含む溶液、
    b.配列が互いに異なり、前記オリゴヌクレオチドプライマーの第一のセットにより増幅され得る標的領域と異なる標的DNAの領域を増幅できるオリゴヌクレオチドプライマーの少なくとも1つの追加セットを含み、
    キット試薬が、高温での乾燥、凍結乾燥、真空水分除去、スプレー乾燥、流動床乾燥、またはドラム乾燥により水分減少を受け、前記キット試薬が、周囲温度で最大90日間保存され、続いて水戻しされた後、核酸増幅を行うことができる、キット。
  12. 前記第一および第二のオリゴヌクレオチドプライマーセットと配列が異なる少なくとも1つのオリゴヌクレオチドプローブをさらに含む、請求項11に記載のキット。
  13. 前記試薬成分が、水分減少を受ける試薬の水分減少前に、単一のPCR反応用マイクロチューブ内に予め入れられている、マイクロチューブストリップの一部であるPCR反応用マイクロチューブ内に予め入れられている、あるいはマルチウェルプレートのウェル内に予め入れられている、請求項11に記載のキット。
  14. 前記水分減少溶液が、水溶性色素をさらに含み、増幅処理がPCRである、請求項13に記載のキット。
  15. 前記試薬成分が、水分減少を受ける試薬の水分減少前に、単一のPCR反応用マイクロチューブ内に予め入れられている、マイクロチューブストリップの一部であるPCR反応用マイクロチューブ内に予め入れられている、あるいはマルチウェルプレートのウェル内に予め入れられている、請求項12に記載のキット。
  16. 前記水分減少溶液が蛍光色素をさらに含み、前記オリゴヌクレオチドプローブが検出可能な標識部分により標識され、増幅処理が定量的PCRである、請求項15に記載のキット。
  17. 1つのオリゴヌクレオチドプローブが標的配列の増幅を定量的に検出することができ、少なくとも1つのさらなるオリゴヌクレオチドプローブが異なる標的配列の増幅を定量的に検出することができる、請求項16に記載のキット。
  18. 核酸の増幅用および検出用キットであって、
    a.一方または双方が蛍光標識されている2種のオリゴペプチドプライマーおよび/または標識プローブである追加の第三のオリゴヌクレオチドの第一のセット、ここで、前記オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブは、配列が互いに異なり、定量的PCR反応において特有の核酸配列の存在を検出できる、
    b.一方または双方がプローブとしてとして働くために蛍光標識されているオリゴペプチドプライマーの第二のセットまたはプローブとして働く第三のオリゴヌクレオチドを加えた前記第二のセット、ここで、前記オリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの第二のセットは、配列が互いに異なり、定量的PCR反応により前記プライマーおよびプローブの第一のセットにより検出される核酸配列と異なる別の核酸配列の存在を検出できる、
    c.DNAポリメラーゼ酵素、
    d.dNTP(dATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)、
    e.1種以上の安定化剤を含有する緩衝液、および
    f.塩化マグネシウムを、
    g.内部対照として働くDNA鋳型と共にまたは該DNA鋳型なしで含み、
    DNAポリメラーゼ酵素およびdNTPを含むキット試薬の少なくとも一部は、高温での乾燥、凍結乾燥、真空水分除去、スプレー乾燥、流動床乾燥、またはドラム乾燥により水分減少を受け、単一混合物として一緒になったキット試薬は、周囲温度で最大90日間保存され、続いて水戻しされた後、核酸増幅を行うことが可能である、キット。
  19. 多重PCR反応を行うことができるオリゴヌクレオチドプライマーおよびプローブの少なくとも1つの追加セットをさらに含む、請求項18に記載のキット。
  20. 前記1つ以上のオリゴヌクレオチドが、検出プローブとして働くために蛍光部分で単一標識されているか、または蛍光共鳴エネルギー転移(FRET)プローブとして二重標識されている、請求項18に記載のキット。
  21. 水分減少前に溶液中に塩化マグネシウムが含まれず、塩化マグネシウムは後に前記溶液に添加されて核酸増幅を促進させる、請求項18に記載のキット。
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