JP2013231853A - 現像装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 規制ブレード近傍での現像スリーブ上の現像剤コートを阻害する要因のトナー層の発生を抑え、画像欠陥がなく、且つ長寿命を達成できる現像装置を提供することである。
【解決手段】 規制ブレードの現像スリーブ回転方向上流側の近傍に現像剤をガイドするガイド部材を設け、規制ブレードからガイド部材間の磁気吸引力Fr分布が、規制ブレードに漸近するに従って急峻且つ単調的な増加傾向で、且つ規制ブレードから2mm位置までのFr積分値(FrNear)と、規制ブレードからガイド部材間のFr積分値(FrAll)の比率FrNear/FrAllが60%以上になるよう磁極構成されている。
【選択図】 図7

Description

本発明は、電子写真方式を用いて画像を形成する画像形成装置に関し、特に、複写機、プリンタ、FAX、或いは、これら複数の機能を備えた複合機等の画像形成装置に関する。
従来、電子写真方式を用いた画像形成装置では、像担持体として一般的にドラム状とされている感光体の表面を帯電器により一様に帯電させ、帯電した感光体を露光装置によって画像情報に応じて露光し、感光体上に静電潜像を形成する。感光体に形成された静電潜像は、現像装置を用いて現像剤中のトナーによってトナー像を顕像化している。現像装置としては、現像剤として非磁性トナー粒子(トナー)と磁性キャリア粒子(キャリア)とを備えた二成分現像剤を使用するものがある。特に、カラー画像形成装置においては、トナーに磁性体を含ませなくてもよいため、色味が良好であるなどの理由から広く用いられている。
このような現像装置では、一般的に現像スリーブの外周面に対して所定のギャップを介して対向するようにして層厚規制部材である規制ブレードが配置されていることが多い。現像スリーブに担持された現像剤は、現像領域に搬送される際に、現像スリーブ8と規制ブレード9の間のギャップを通過する過程で現像領域に搬送される現像剤量が規制され、安定した量が供給されるように調整されている。
ところが、規制ブレードによって現像スリーブ表面に担持している現像剤の層厚規制を行う現像装置においては、以下のような問題が生じることがある。図5は、従来から知られている二成分現像剤を用いた場合の規制ブレード位置の上流における二成分現像剤の状態を模式的に表した断面概略図である。現像スリーブに内蔵されたマグネットによって、現像剤が担持、搬送され、静電像を現像する。このような現像装置では、規制ブレードで現像剤の流れがせき止められる部分と、現像スリーブの回転速度に追従して、ほぼ同等の速度で現像剤が搬送される部分とに分けられ、その境界部でせん断面が生じる。せん断面上部の現像剤Aは現像スリーブの回転に伴う周方向の力で規制ブレードに押しつけられることで、現像剤がパッキング状態になり滞留し続ける場合がある。せん断面上部の現像剤が長期間滞留した場合、その境界面において現像剤移動層が現像剤不動層と摺擦されることとなる。その結果、摺擦によって二成分現像剤の場合はトナーがキャリアから離脱し、さらに摺擦による摩擦熱によって境界面上で上記離脱トナー同士が固着気味となりトナー層を形成する。このようなトナー層は、耐久により成長し規制ブレード9と現像スリーブ8のギャップを阻害し、ギャップを通過する現像剤量が低下する(以下この現象を『コート不良』と呼ぶ)。これにより、現像領域に搬送される現像剤量が変動し、濃度低下や長手濃度ムラといった問題が発生していた。
そこで、特許文献1においては、現像剤不動層の形成を防止するために規制ブレードの直上流に現像スリーブと常に一定な間隔を持って定常的に回転する円柱形状のトナー搬送部材を設けることを提案している。
特開平5−035067
しかしながら、特許文献1においては、現像剤不動層の発生を防止可能としているが、トナー搬送部材を支持する軸受けや駆動手段が必要となり、構成の複雑化、コスト高は避けられない。しかも、トナー搬送部材は、現像剤担持体と向き合う位置で反対方向に駆動するので、現像剤に強いストレスを与えることになり、現像剤の早期劣化が懸念される。
本発明は以上の問題に鑑みてなされたものである。その目的とするところは、新たな部材等を設けることなく、現像剤担持体の現像剤量を規制する現像剤規制部材の上流側に不動層が形成され、画像不良が発生してしまうことを抑制することが可能な現像装置を提供することである。
トナーとキャリアを含む現像剤を担持する現像剤担持体と、
前記現像剤担持体の内部に設けられ、前記現像剤担持体の回転方向に複数の磁極を備えたマグネットと、
前記現像剤担持体に現像剤を供給する現像室と、
前記現像剤担持体にコートされる現像剤量を規制する非磁性からなるブレード部材と、
前記ブレード部材よりも前記現像剤担持体の回転方向上流側で前記ブレード部材及び前記現像剤担持体に対向して設けられ、前記現像室の現像剤を重力方向上方から前記現像剤担持体へガイドするガイド部と、を有する現像装置であって、
前記現像剤担持体の回転方向に関して、前記ガイド部による前記現像剤担持体への現像剤供給開始位置から前記ブレード部材までの距離が少なくとも2mm以上であり、前記現像剤担持体の表面における前記現像剤担持体の法線方向の磁気力をFrとしたとき、前記現像剤担持体の回転方向に関して前記ブレード部材から前記ガイド部による前記現像剤担持体への現像剤供給開始位置まで前記磁気力Frを積分した積分値FrAllに対する、前記現像剤担持体の回転方向に関して前記ブレード部材から前記ブレード部材よりも2mm上流側の位置まで前記磁気力Frを積分した積分値FrNearが少なくとも60%以上となるように前記複数の磁極が設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、新たな部材等を設けることなく、現像剤担持体の現像剤量を規制する現像剤規制部材の上流側に不動層が形成され、画像不良が発生してしまうことを抑制することが可能な現像装置を提供することができる。
本発明の実施例1の現像装置を説明する図。 本発明の実施例の画像形成装置及び現像装置の位置関係を説明する図。 本発明の実施例の現像装置における現像室と攪拌室を説明する断面図。 本発明の実施例1の横攪拌現像装置を説明する断面図。 従来の現像装置の規制ブレード上流の現像剤状態を説明する断面図。 安息角測定方法を説明する概略図。 本発明の実施例1の規制ブレード近傍の現像剤状態を説明する断面図。 本発明の実施例1の現像スリーブ表面上の磁束密度Br及びBθの分布を示す図。 本発明の実施例1の現像スリーブ表面上の磁気吸引力Frの分布を示す図。 本発明の実施例1の条件1〜3の規制ブレード付近のFr分布を示す図。 本発明の実施例で定義するBr、Bθ、Fr、Fθを示す図。 本発明の実施例2の現像スリーブ表面上の磁束密度Br及びBθの分布を示す図。 本発明の実施例2の現像スリーブ表面上の磁気吸引力Frの分布を示す図。 本発明の実施例2の現像装置で、特に規制ブレードに対する磁極配置を説明する図。 本発明の実施例1の条件4の現像スリーブ表面上の磁束密度Br、Bθの分布を示す図。 本発明の実施例1の条件4の現像スリーブ表面上の磁気吸引力Frの分布を示す図。 本発明の実施例3の現像スリーブ表面上の磁束密度Br及びBθの分布を示す図。 本発明の実施例3の現像スリーブ表面上の磁気吸引力Frの分布を示す図。 本発明の実施例3の現像装置で、特に規制ブレードに対する磁極配置を説明する図。 本発明の実施例1の条件5〜7の現像スリーブ表面上の磁束密度Br、Bθの分布を示す図。 本発明の実施例1の条件5〜7の現像スリーブ表面上の磁気吸引力Frの分布を示す図。 本発明の実施例1の条件5〜7の規制ブレード付近のFr分布を示す図。 本実施例4の現像スリーブ表面の溝形状を説明する図。 本実施例4の別の実施例としての現像スリーブ表面の溝形状を説明する図。 本実施例4の別の実施例としての現像スリーブ表面の溝形状を説明する図。 本実施例4の別の実施例としての現像スリーブ表面の溝形状を説明する図。 本実施例5の第1の搬送スクリューからの現像剤の供給を説明する断面図。 本実施例5の第1の搬送スクリューを説明する図。 本実施例5の第1の搬送スクリューを説明する図。 本実施例5の第1の搬送スクリューを説明する図。 本実施例5のリブ部材を説明する図。 本実施例5のリブ部材を説明する図。 従来の現像装置におけるリブ部材からの供給を示す断面図。 従来の現像装置におけるリブ部材からの供給を示す鉛直方向上方からの図。 本実施例5におけるリブ部材からの供給を示す断面図。
以下に図面を参照して、この発明の好適な実施の形態を例示的に詳しく説明する。但し、この実施の形態に記載されている構成要素の寸法、材質及び形状、その他の相対配置、数値等は、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
[画像形成装置]
図1は、図2に示されるようなフルカラー画像形成装置における、Y、M、C、Kの各ステーションにおける像担持体(感光ドラム)10と現像装置1との位置関係を示したものである。Y、M、C、Kの各ステーションはほぼ同様の構成であり、フルカラー画像において、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の画像を形成する。以下の説明において、例えば現像装置1とあれば、Y、M、C、K各ステーションにおける現像装置1Y、現像装置1M、現像装置1C、現像装置1Kを共通して指すものとする。
まず、図2により、画像形成装置全体の動作を説明する。像担持体である感光ドラム10は回動自在に設けられており、その感光ドラム10を一次帯電器21で一様に帯電し、例えばレーザのような発光素子22によって情報信号に応じて変調された光で露光して潜像を形成する。その潜像は現像装置1により、後述のような過程で現像像(トナー像)として可視像化される。そのトナー像を、第1転写帯電器23によって、転写材搬送シート24によって搬送されてきた記録材である転写紙27上にステーションごとに転写し、その後、定着装置25によって定着して永久画像を得る。又、感光ドラム10上の転写残トナーはクリーニング装置26により除去する。又、画像形成で消費された現像剤中のトナーはトナー補給槽20から補給される。又、ここでは、感光ドラム10M、10C、10Y、10Kから転写材搬送シート24に搬送された記録材である転写紙27に直接転写する方法をとったが、これに限らない。転写紙搬送シート24の代わりに中間転写体を設け、各色の感光ドラム10M、10C、10Y、10Kから中間転写体に各色のトナー像を一次転写した後、転写紙に各色の複合トナー像を一括して二次転写する構成の画像形成装置においても、本発明は適用できる。
[二成分現像剤の説明]
次に、本実施例にて用いられる二成分現像剤について説明する。
トナーは、結着樹脂、着色剤、そして、必要に応じてその他の添加剤を含む着色樹脂粒子と、コロイダルシリカ微粉末のような外添剤が外添されている着色粒子とを有している。そして、トナーは、負帯電性のポリエステル系樹脂であり、本実施例では体積平均粒径は7.0μmのトナーを用いた。
又キャリアは、例えば表面酸化或は未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類などの金属、及びそれらの合金、或は酸化物フェライトなどが好適に使用化能であり、これらの磁性粒子の製造法は特に制限されない。本実施例では体積平均粒径が40μm、抵抗率が5×10Ωcm、磁化が180emu/ccのキャリアを用いた。磁性キャリアの磁化は、100〜300emu/ccが好ましい。磁化の大きさが100emu/cc以下になると、現像スリーブとキャリア間の磁気拘束力が小さくなるために感光ドラム上へのキャリア付着が懸念される。一方、磁化の大きさが300emu/cc以上になると、二成分現像剤の磁気穂の剛度が上がり、画像に磁気穂の摺擦による所謂『穂むら』などが現れやすくなる。すなわち本発明の課題以前に、二成分現像装置として画像形成をする上でキャリアの磁化の強さは100〜300emu/cc内であることが望ましい。
又本実施1では、上記トナー及びキャリアを重量混合比(トナー重量÷トナーとキャリアの重量比)8%で混合した二成分現像剤を用いている。この際の二成分現像剤の凝集度は安息角測定で40°であった。
本発明における現像剤の安息角の適正な範囲は20〜60°、好ましくは30〜50°である。本発明の2成分現像剤の安息角は20°より小さいと、高流動性により複数転写時の飛び散りや中抜けの問題と、高速プリントの際、耐久時の転写性維持を十分満足することが出来ない。また、60°より大きくなると、プリント初期の飛び散り、中抜けレベルは良いが、高速かつ耐久での現像性の悪化及び負荷重によるスクリューロックつながる。本実施例においては安息角が40°の現像剤を使用している。
<測定方法>
尚、本実施例にて用いられるトナーについて、質量平均粒径は以下に示す装置及び方法にて測定した。トナーの質量平均粒径の測定にはコールターカウンターTA−II型あるいはコールターマルチサイザー(コールター社製)を用いる。電解液としては1級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTONR−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定法としては、前記電解水溶液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5ml加え、更に測定試料を2〜20mg加える。試料を懸濁した電解液は超音波分散液で約1〜3分間分散処理を行い前記測定装置によりアパーチャーを用いて、2μm以上のトナーの体積、個数を測定して体積分布と個数分布とを算出する。それから、本発明に係わる体積分布から求めた質量基準の質量平均粒径D4(各チャンネルの中央値をチャンネルごとの代表値とする)を求める。
また、本実施例にて用いられる磁性キャリアの抵抗率は、測定電極面積4cm、電極間間隔0.4cmのサンドイッチタイプのセルを用いて、片方の電極に1kgの重量の加圧下で、両電極間の印加電圧E(V/cm)を印加する。そのときに、回路に流れた電流から、キャリアの抵抗率を得る方法によって測定した。また、磁性粒子の体積平均粒径は、レーザ回折式粒度分布測定装置HEROS(日本電子製)を用いて、体積基準で粒径0.5〜350μmの範囲を32対数分割して測定する。そして、それぞれのチャンネルにおける粒子数を測定する。その測定結果から体積50%のメジアン径をもって体積平均粒径とする。
また、本実施例にて用いられる磁性キャリアの磁気特性は、理研電子(株)製の振動磁場磁気特性自動記録装置BHV−30を用いて測定した。キャリア粉体の磁気特性値は、795.7kA/m、79.58kA/mの外部磁場をそれぞれつくり、磁性キャリアの磁化の強さを求めた。磁性キャリアの測定用サンプルは、円筒状のプラスチック容器に充分密になるようにパッキングした状態で作成する。この状態で、磁化モーメントを測定し、更に上記で充填した試料の実際の重量を測定して磁化の強さ(emu/g)を求める。又、磁性キャリア粒子の真比重を、例えば乾式自動密度計アキュピック1330(島津製作所(株)社製)等により求め、上記のようにして得られた磁化の強さに真比重を掛けることで、単位体積あたりの磁化の強さを求めることができる。
また本実施例にて用いられる安息角は、以下の方法を用いて測定した。
測定装置:パウダーテスターPT−N型(ホソカワミクロン株式会社)
測定方法:パウダーテスターPT−N型に付属する取り扱い説明書における安息角の測定に準拠する(篩301の目開き710μm、振動時間180s、振幅2mm以下)。図6に示すとおり、二成分現像剤をロート302から円盤303上に落下させ、この円盤303上に円錐状に堆積した現像剤の母線と円盤303表面と現像剤500のなす角を安息角として求める。但し、試料を23℃、相対湿度60%(以下、これを60%RHと表記する)で一晩放置した後、23℃、60%RH環境下にある測定装置で安息角を測定し、5回測定を繰り返して算術平均をとった値を安息角Φとした。
[現像装置]
次に、現像装置1を詳しく説明する。図1は、本実施例の現像装置の断面図である。本実施例の現像装置1は、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が収容された現像容器2内に、現像剤担持体としての現像スリーブ8を備える。現像スリーブ8には、現像剤規制部材(ブレード部材)としての規制ブレード9が対向して設けられ、規制ブレード9によって現像スリーブ8表面に担持された現像剤の層厚が所定量となるように規制されている。
そして、現像容器2内の略中央部は紙面に垂直方向に延在する隔壁7によって現像室3と攪拌室4に上下に区画されており、現像剤は現像室3及び攪拌室4に収容されている。現像室3及び攪拌室4には現像剤Tを攪拌・搬送する搬送部材としての第1及び第2の搬送スクリュー5、6がそれぞれ配置されている。図3は、現像装置1における現像室と攪拌室を説明するための現像装置1の長手方向断面図である。第1の搬送スクリュー5は、現像室3内の底部に現像スリーブ8の軸方向(現像幅方向)に沿ってほぼ平行に配置されている。本実施例では、強磁性体で構成される回転軸の周りに非磁性材料で構成された羽根部材をスパイラル状に設けたスクリュー構造とされ、回転して現像室3内の現像剤Tを現像室3の底部にて現像スリーブ8の軸線方向に沿って搬送する。
又、第2の搬送スクリュー6も第1の搬送スクリュー5と同様に回転軸の周りに羽根部材を第1の搬送スクリュー5とは逆向きにしてスパイラル状に設けたスクリュー構造となっている。第2の搬送スクリュー6は、攪拌室4内の底部に第1の搬送スクリュー5とほぼ平行に配設され、第1の搬送スクリュー5と同方向に回転して攪拌室4内の現像剤Tを第1の搬送スクリュー5と反対方向に搬送する。
このような第1及び第2の搬送スクリュー5、6の回転によって、現像剤Tが現像室3と攪拌室4との間で循環する。本現像装置1では、現像室3と攪拌室4とが鉛直方向上下に配置されており、現像室3から攪拌室4への現像剤は上から下へ、又、攪拌室4から現像室3への現像剤は下から上へ動く。特に、攪拌室4から現像室3へは、端部に溜まった現像剤の圧力により下から上へと押し上げられるようにして現像剤が受け渡される。
更に、上記現像容器2の感光ドラム10に対向した現像領域に相当する位置には開口部があり、この開口部に現像剤担持体としての現像スリーブ8が感光ドラム10側に一部露出するように回転可能に配設されている。
ここで、現像スリーブ8の直径は20mm、感光体ドラム100の直径は80mm、又、この現像スリーブ8と感光体ドラム10との最近接領域を約300μmの距離としている。現像スリーブ8によって現像部に搬送した現像剤を感光体ドラム10と接触させた状態で、現像が行なえるように設定されている。なお、この現像スリーブ8はアルミニウムやステンレスのような非磁性材料で構成され、その内部には磁界発生手段であるマグネットローラ8’が非回転状態で設置されている。
また現像スリーブ8の表面にはブラスト処理が施されており、表面の凹凸形状と現像剤が物理的に引っ掛かることにより現像スリーブ回転に伴って周方向に強い搬送力を有する。
而して、現像スリーブ8は、前記規制ブレード9による磁気ブラシの穂切りによって層厚を規制された二成分現像剤を担持して、現像時に図示矢印方向(反時計方向)に回転する。こうして感光体ドラム10と対向した現像領域に現像剤を搬送し、感光体ドラム10上に形成された静電潜像に現像剤を供給して潜像を現像する。
現像スリーブ9の内部に設けられたマグネットローラ8‘は、現像極S2と現像剤を搬送する磁極S1、N1、N2、N3を有している。このうちN3極とN1極は、互いに同極で隣り合って設置されており、磁極間に反発磁界が形成され、攪拌室4にて現像剤Tを離すように構成されている。
なお、図1のマグネット内の半径方向の線は、N1,N2,N3,S1,S2極のそれぞれ磁束密度のピーク位置を示している。
現像スリーブ8には電源から直流電圧と交流電圧を重畳した現像バイアス電圧が印加され、現像効率、つまり、潜像へのトナーの付与率を向上させている。本実施例では、−500Vの直流電圧と、ピーク・ツウ・ピーク電圧Vppが800V、周波数fが12kHzの交流電圧とした。しかし、直流電圧値、交流電圧波形はこれに限られるものではない。また、一般に、二成分磁気ブラシ現像法においては、交流電圧を印加すると現像効率が増して画像は高品位になるが、逆にかぶりが発生し易くなる。このため、現像スリーブ8に印加する直流電圧と感光体ドラム10の帯電電位(即ち白地部電位)との間に電位差を設けることにより、かぶりを防止している。
現像領域に於いては、現像装置1の現像スリーブ8は、共に感光体ドラム10の移動方向と順方向で移動し、周速比は、対感光体ドラム1.75倍で移動している。この周速比に関しては、0.5〜2.5倍の間で設定され、好ましくは、1.0〜2.0倍の間に設定されればよい。移動速度比は、大きくなればなるほど現像効率はアップするが、あまり大きすぎると、トナー飛散、現像剤劣化等の問題点が発生するので、上記の範囲内で設定することが好ましい。
また、前記穂切り部材である規制ブレード9は、現像スリーブ8の長手方向軸線に沿って延在した板状のアルミニウムなどで形成された非磁性部材で構成され、感光体ドラム10よりも現像スリーブ回転方向上流側に配設されている。本実施例では、規制ブレード9を非磁性部材とすることで磁性粒子であるキャリアがブレード表面で磁気的に拘束されてしまうことを防止し、不動層が形成されないようになっている。図1において現像スリーブ8の中心を通る水平面で、感光ドラム10の対向面側を0°と設定し、時計回りに100°の位置に規制ブレード9は配置している。以降、マグネット配置及び規制ブレード8等の現像スリーブ8の周方向位置については、上記基準で説明する。
そして、この規制ブレード9の先端部と現像スリーブ8との間を現像剤のトナーとキャリアの両方が通過して現像領域へと送られる。尚、規制ブレード9の現像スリーブ8の表面との間隙(ギャップ)を調整することによって、現像スリーブ8上に担持した現像剤磁気ブラシの穂切り量が規制されて現像領域へ搬送される現像剤量が調整される。本実施例においては、規制ブレード9によって、現像スリーブ8上の単位面積当りの現像剤コート量を30mg/cmに規制している。
次に、本実施例の特徴的な部分である規制ブレード上流側の現像剤の動きに関わる搬送ガイドの構成について説明する。
[搬送ガイド部材]
図1が示すように隔壁部材7は、規制ブレード9近傍まで延長した形状を有し、現像室に収容されている現像剤を重力方向上方から現像スリーブにガイドするガイド部としての搬送ガイド11を有する。搬送ガイド部材11は、規制ブレード9に対して現像スリーブの回転方向上流側に対向して設けられている。搬送ガイド11(規制ブレード9に対向する面)は、第一の搬送スクリュー5の駆動によって規制ブレード9と搬送ガイド11の間隙から現像剤を適正に供給するためのガイド機能を兼ねている。更に、搬送ガイド11は、現像スリーブの周方向に対向配置することで、現像室3から現像スリーブ8に対する現像剤の供給開始位置P1を規制する規制部として機能している。搬送ガイド11のガイド面の角度は、現像スリーブ8の表面の法線方向に設定している。また搬送ガイド11の現像スリーブ最近接距離は1mm、また搬送ガイド11の最近接位置P1は、現像スリーブ周方向位置130°位置になるよう設定している。また隔壁部材7の現像スリーブ最近接位置で、且つ現像スリーブ回転方向上流側の位置P3は、本実施例においては、現像スリーブ周方向位置で150°位置になるよう構成している。
次に本実施例における現像剤の流れについて、図7を用いて説明する。まず搬送ガイド11の現像スリーブ8への最近接位置P3は、N1極とN3極の同極によって形成される斥力領域の下流であって、現像剤は斥力により現像スリーブ8から離れる方向に力を受けるために斥力領域ではぎとられる。したがって、現像スリーブ8と隔壁部材7のギャップを通って、規制ブレード9への現像剤供給は為されない。すなわち規制ブレード9への現像剤の供給は、第一の搬送スクリュー5から搬送ガイド11を乗り越えた経路を通ることになり、乗り越えた現像剤Tは、規制ブレード9と搬送ガイド11の間に貯蔵される。本実施例においては、搬送ガイド11の頂点位置P4を規制ブレード9の下点位置P2に比べて水平方向に対して仰角30°になるように設定している。すなわち、搬送ガイド11の頂点は、規制ブレード9と現像スリーブの最近接位置に対して、水平方向上側に位置する。この理由は、該領域に現像剤を安定コートできうる量に貯蔵するためである。
また、搬送ガイド11の長さDは11mmである。また本実施例においては、搬送ガイド11は現像室と攪拌室を区画した隔壁部材7と一体に構成されており、現像容器と同じ材質を用いている。
本発明における規制ブレード9から搬送ガイド11の現像剤供給開始位置P1までの間隔(現像スリーブ周方向距離)の望ましい範囲は、2mm以上8mm以下であって、本実施例では約5mmに設定している。
これは、規制ブレード9から搬送ガイド11までの間隔が2mm以下だと、現像剤が搬送される搬送路が狭くなり、詰まる虞があるためである。一方、間隔が広すぎる場合、現像スリーブと現像剤の接触距離が長くなるために、磁気力で摺擦される時間が長くなり、現像剤劣化が懸念されるため好ましくない。
なお本実施例のように第一の搬送スクリュー5が規制ブレード位置に対して略横方向にある場合、搬送ガイド11は本実施例内で説明した現像剤を搬送ガイド及び現像剤貯蔵する機能を有する。これとともに、第一の搬送スクリュー駆動時の現像剤押圧を遮蔽する効果も有している。第一の搬送スクリュー駆動時に伴い、現像剤にはスクリュー軸方向主体に押圧され現像剤搬送されるが、スクリューの動径方向にも押圧が加わる。動径方向の押圧によって規制ブレード9と第一の搬送スクリューの位置関係が略横方向の場合、規制ブレード9面に対して略垂直方向の現像剤搬送力が加わることになり、コート不良の観点で望ましくない。従って第一の搬送スクリューの押圧の影響を遮蔽するためにも搬送ガイド11の特に頂点位置P4(図7記載)は高く配置することが好ましい。少なくとも規制ブレード下点位置P2と第一の攪拌スクリューの軸中心を結ぶ線に対して、上方に搬送ガイド頂点P4を位置ささせることが好ましい。
次に、本実施例の特徴部分の一つである、本実施例における現像マグネットの構成及び、現像マグネットが作り出す磁束密度及び磁力について図1及び図8、図9を用いて説明する。本実施例では、搬送ガイド11を乗り越えた現像剤に加わる磁気吸引力Frを、搬送ガイド11近傍に比べて規制ブレード9近傍側を大きくなるように、マグネットローラ内の磁極を構成している。本発明のメカニズムについては後述するが、上記構成とすることで規制ブレード9と搬送ガイド11間に供給された現像剤が現像スリーブ8の表面に向かって引き込む流れとすることができる。こうして従来の課題であった、規制ブレード9上流側に不動層が形成されることを抑制することができる。
尚、本実施例の説明に際して、Br、Bθ、Fr、Fθを以下のように定義する。(図11参照)
Br:ある点における現像スリーブ表面に対して垂直方向の磁束密度
Bθ:ある点における現像スリーブ表面に対して接線方向の磁束密度
Fr:ある点における現像スリーブ表面に対して垂直方向に働く力で吸引方向を負とする
Fθ:ある点における現像スリーブ表面に対して接線方向に働く力で現像スリーブ回転方向を正とする
尚、特に断らないかぎり、Br、Bθ、Fr、Fθといえば、現像スリーブ上のある点における磁束密度及び磁気力Frのことを指す。
[マグネットローラ]
以下、本実施例の構成について具体的に説明する。
本実施例のマグネットローラ8’は、現像極N2と現像剤を搬送する磁極S1、S2、N1、N3を有している。このうち同極である第1磁極N3極と第2磁極N1極は、隣り合って現像容器内部側に設置されており、極間に反発磁界が形成され、現像剤に対しては現像スリーブから離間する方向に力を受け、攪拌室4にて現像剤を落下させるように構成されている。第2磁極N1極は、搬送ガイド11と規制ブレード9間に配置している。第1磁極と第2磁極の同極によって形成される反発領域は、少なくとも搬送ガイド11上流側なるように配置している。なお第1磁極N3極は、ピーク磁束密度が35mT、半値幅30°、第2磁極N1極はピーク磁束密度30mT、半値幅35°に調整している。
[現像ブレードと搬送ガイド間の磁界分布]
次に、図8、図9を用いて本実施例において使用したマグネットローラから現像スリーブ表面に形成される磁束密度Br、Bθ及び法線方向の磁気力Frの分布を示す。現像剤は図8、図9において右から左へ搬送されており、規制ブレード9は約100°の位置に配置されている(図8、図9の破線)。搬送ガイド11は約130°の位置に配置している(図8、図9の実線)。Frは−符号側がスリーブへの引力方向、+符号側が斥力方向になっている。本実施例においては引力方向基準で増加及び減少を示す(すなわち数値(絶対値)が大きくなる場合をFr増加と呼ぶ)。
本実施例においては、搬送ガイド11位置から規制ブレード9間のFrは常に引力方向であって、且つ規制ブレード9に近づくにつれてFrが急峻且つ単調増加するよう構成している。Frは単調的に増加することが好ましい。本実施例では、単調的に増加するとは、現像スリーブの周方向にFrを測定したときに、スリーブ周方向に関して角度2度以上10度以下の範囲でサンプリングした場合において、Frが単調増加していることを指す。
また搬送ガイド11の上流側(位置P3よりも上流側)には少なくともFrが正の領域(斥力領域)になるよう構成している。本実施例では約180°〜210°位置が斥力領域になっており、斥力領域から現像スリーブの回転方向下流側に向うにつれてFrが増加させる構成にしている。
Frはスリーブ方向への磁気吸引力のため、Frが大きいと搬送ガイド11を乗り越えた現像剤Tが現像スリーブへ強く引き込まれる。従って、図9に示すように搬送ガイド11と規制ブレード9間のFr分布を規制ブレード9に近づくにつれて単調的に増加傾向にする。こうすることで、図7で示す規制ブレード9近傍の現像剤T2は、規制ブレード9と搬送ガイド11間の他の箇所に比べて強いFrで現像スリーブ近傍へ引き込まれていることになる。規制ブレード9近傍の現像剤を縦方向(規制ブレードに対して平行)の流れにしたいために、規制ブレード近傍のFrは大きい方が好ましい。本実施例では、搬送ガイド11と規制ブレード9との間においてFrの最大値は規制ブレード9対向部としている。
一方、規制ブレード9との衝突による剤パッキングを弱める観点で、現像スリーブ8の回転に伴う現像スリーブに沿った現像剤搬送力は弱めるためには、規制ブレード9と搬送ガイド11間のFrの総和は小さいほうが好ましい。現像スリーブ8の回転に伴う現像剤搬送は現像剤と現像スリーブ間の摩擦力によって為されるため、垂直抗力=磁気吸引力Frと現像剤搬送力とは比例関係にある。すなわち規制ブレード9に加わる横方向の現像剤搬送力は、規制ブレード9から搬送ガイド11間の各箇所の現像剤搬送力の総和になるために、同様の機序から規制ブレード9と搬送ガイド11間のFr総和に比例する。従って規制ブレード9に衝突して不動層の起源になる現像スリーブ8に平行な現像剤搬送力を弱めるためには、規制ガイド9〜搬送ガイド11間のFrの総和は小さい方が望ましいことになる。
なお規制ブレード9近傍の現像剤の流れは、規制ブレード近傍の現像剤の縦方向の力と横方向の力の大小関係によって決定される。従って、規制ブレード近傍の現像剤の流れを縦方向にするには、規制ブレード近傍のFrを強めることで縦方向の力を強めて、且つ、規制ブレードから搬送ガイド間のFrの総和を小さくすることで横方向の力を弱めることが必要十分条件になる。上記二事象を両立するためには、規制ブレード9と搬送ガイド11間のFr分布は規制ブレード近傍のみFrが大きくなる分布が好ましい。換言すると規制ブレード9と搬送ガイド11間のFr分布は、規制ブレード9に近づくにつれて急峻に且つ単調に増加する傾向を取ることが定性的に望ましいといえる。
規制ブレード9から規制ブレード9よりも現像スリーブ8の回転方向2mm上流側位置までのFr積分値をFrNearと定義する。また、規制ブレード9から搬送ガイド11位置までのFr積分したFr総和をFrAllと定義する。このとき、以下で述べる実験の結果、定量的には、積分値FrAllに対するFrNearの割合が、60%以上でコート不良の発生がなくなることが分かった。なおFrNearを規制ブレードから上流2mm間のFr積分値に定義した理由は、現像剤圧縮され不動層になりやすい領域が規制ブレードから2mm以内の近傍位置にあるためである。すなわち現像剤圧縮状態になりやすい領域のFrを限定して高い値に保ち、それ以外の領域はFrを下げる(現像スリーブ周方向の現像剤の流れを減らす)ことがコート不良を防止するに効果的である。
<実験>
評価条件及び評価方法を記す。45℃環境条件で、現像剤を入れた現像器をトナー入れ替え無しに現像器空回転させて、現像剤のコート状態を目視確認しコート不良の発生有無を確認する。コート不良現象は、冒頭で述べたように、現像剤流動層と現像剤不動層部での現像剤摺擦によって劣化したトナー同士が固着し、固着したトナー層が正常なコートを阻害することによって発生する。従ってコート不良はトナー劣化現象の一つであって、その観点で画像形成によってトナーを消費し、現像器内で摺擦を受けたトナーを新しいトナーと交換されるとコート不良現象は発生しにくくなる。以上の機序からトナー入れ替え無しで現像剤が現像器内を空回転された状態が最もコート不良が発生しやすくなる。またコート不良は現像剤摺擦によるトナー劣化起因で発生するために、温度が高い方がより顕著に発生する傾向がある。以上の理由から、本実験条件は高温条件で且つトナーの入れ替えのない空回転条件に設定して試験を実施した。なお10h空回転時点でコート不良発生していない場合、発生無しとしている。
本実験の現像剤は全て、現像剤凝集度が60°の現像剤を用いて行った。これは、最もコート不良が発生しやすい現像剤でもコート不良が発生しない条件を見るためである。また、本実験では、現像スリーブの搬送性を高めるべく、表面に溝処理を施した溝スリーブを用いて行った。溝スリーブは溝深さ80μm、周方向の溝本数が80本のものを使用した。本特許では規制ブレード近傍の現像剤の流れを縦方向にすることが重要であって、その意味でスリーブ搬送力が強い方が不利である。今回は少なくとも現像キャリア径40μmより十分大きい溝深さ80μmを使用しており、溝部に現像剤が嵌って現像剤搬送時にスリーブ上で現像剤が滑ることなく搬送されることを事前確認しており、スリーブ搬送性が最も高い条件である。これは、最もコート不良が発生しやすい条件である、スリーブの搬送性が最も高い状態でもコート不良が発生しない条件を見る為である。
<結果>
条件1〜3は同じマグパターン1で、規制ブレード9位置を固定して搬送ガイド11の位置を3段階変更した条件での評価である。なお本実施例1の搬送ガイド位置は条件2である。図10は、条件1、2、3の法線方向の磁気力Frの分布と搬送ガイド位置を示している。図10から、条件1〜3のFrは、搬送ガイド11位置から規制ブレード9方向にわたって単調且つ急峻増加する分布を取り、上述した機序からコート不良発生しにくい磁力分布を取っていることがわかる。なお条件1〜3では規制ブレード9位置とマグパターンは同じ位置関係のために、FrNearの値はいずれも同じ値(図10の斜線領域)である。但し、条件1に比べて条件2、3では規制ブレード9と搬送ガイド11の距離が長いためにその分FrAllの値は大きくなる。その結果、条件2及び3のFrNear/FrAllの割合が下がり、条件3ではFrNear/FrAll=56%、条件2ではFrNear/FrAll=60%になる。この磁力分布において条件3では4h空回転時にコート不良が発生しており、条件1、2ではコート不良の発生無く、コート不良の発生防止のためには少なくともFrNear/FrAllが60%以上必要であることが判明した。定性的な説明を付け加えると、規制ブレード9と搬送ガイド11の距離が狭くなると、その距離の分、FrAll(総和)が減ることによって現像スリーブ回転方向の現像剤搬送力が減る。その結果、相対的に現像スリーブに垂直方向の縦の流れが大きくなるので、規制ブレード上流の現像剤の流れを下向きに流動させやすくなると考えられる。
次に比較例として、条件1〜3と異なるマグネットパターン2を用いた条件4について説明する。図15、図16は、条件4のマグネットローラから作用する磁束密度Br、Bθ及び法線方向の磁気力Fr分布を示している。Frは−符号側がスリーブへの引力方向、+符号側が斥力方向になっている。図16から、搬送ガイド11位置から規制ブレード9間のFrはフラットもしくはやや減少傾向の分布を取り、上述した機序からコート不良課題に対して好ましくないFr分布をとっていることがわかる。定量的にはFrNear/FrAllは36%と小さい値をとり、空回転耐久の結果も0.5h空回転時にコート不良が発生することが判明した。
次に比較例として、条件1〜3と異なるマグネットパターン3を用いた条件5〜7について説明する。条件5〜7は同じマグパターン3で、搬送ガイド11位置を固定して規制ブレード9位置を3段階変更した条件での評価である。図20、図21は、条件5〜7のマグネットローラから作用する磁束密度Br、Bθ及び法線方向の磁気力Fr分布を示している。Frは−符号側がスリーブへの引力方向、+符号側が斥力方向になっている。図21から、規制ブレード9と搬送ガイド11間で、搬送ガイド11から向かって規制ブレード9側途中までFrは増加傾向にあるが、規制ブレード9近傍でFrが減少傾向に変化していることがみてとれる。条件5は規制ブレード9位置がFr減少傾向にある位置に当接しているためにFrNear/FrAll=48%と60%未満の値を示す。条件6では条件5に対して規制ブレード位置が約5°搬送ガイド11側に寄っており、同位置でのFr分布は未だ減少傾向位置にあるものの条件5に比べては大きいFr位置に当接しており、FrNear/FrAll=64%であった。条件7は、Fr分布のピーク位置に規制ブレード位置を当接しており、搬送ガイド11から規制ブレード9近傍までFrは単調且つ急峻増加している傾向にあり最も好ましい位置に当接しており、同条件7でのFrNear/FrAll=89%であった。空回転検討結果、条件5では2.5h空回転でコート不良が発生、条件6、7では空回転耐久の結果、コート不良は発生しなかった。すなわち条件5〜条件7からも、コート不良の発生防止のためにはFrNear/FrAllが少なくとも60%以上を満たすことが必要であることが分かる。更に付け加えると条件7のように、規制ブレード9と搬送ガイド11間のFr分布を単調且つ急峻な増加傾向に設定することが、コート不良発生しない現像剤の流れを実現するに最適である。しかしながら、規制ブレード近傍でFrの減少領域がある条件6であってもFrNear/FrAllが60%以上を満足していればコート不良が発生しないことわかる。
以上の結果から、本実施例によれば、コート不良を防止するためには、規制ブレード9と搬送ガイド11間のFr分布を規制ブレード近傍で急峻且つ単調に増加する傾向にさせることが好ましい。より定量的には、FrNEARと、FrAllに対しての割合を60%以上に設定することでコート不良の発生を防止できる。
尚、本実施例では、規制ブレード9に最近接する磁極(カット極)のピーク磁束密度は、20mT以上80mT以下が好ましい。20mTを下回ると現像スリーブ上へ磁気吸引力が弱くなるため現像剤搬送不良が発生する懸念があり、一方80mTを超えると現像剤に加わる磁気力が高くなるために、現像剤劣化が問題となるためである。
また、本実施例ではFθの好ましい範囲は1×10^−8(N)以下である。尚、FθはFrに対して半分以下の数値であることが好ましく、より好ましくはFθはFrの約1/4以下である。この範囲であれば、少なくとも現像剤の流れに影響せずに本発明の効果を得ることができる。
さらに本実施例においては、搬送ガイド頂点位置P4に加わる磁気吸引力を実質ゼロになるように搬送ガイド11の長さ(本実施例1では11mm)を設定している。現像剤の供給は現像室3から為され、規制ブレード9よりも搬送ガイド11が現像室3近傍に配置している。このため、例えば、搬送ガイド頂点P4位置の磁気吸引力Frが大きいと、現像室3の現像剤が搬送ガイド11頂点位置で磁気吸引力を受けることで下方に引き寄せられるために、図7で示す規制ブレード9近傍に到達する現像剤量が減ってしまう。この結果、上記で説明した規制ブレード9近傍側のFr大きい分布を形成しても、規制ブレード近傍の現像剤の量が少なくなるために、現像剤の規制ブレード9に沿った縦の供給が減少し、規制ブレードに平行な現像剤の縦の流れが生じにくい。したがって、搬送ガイド11頂点位置における磁気吸引力を実質ゼロになるように、搬送ガイド頂点位置を現像スリーブ(マグネット)から遠ざけるようにすることが好ましい。
更に本実施例においては、搬送ガイド11の現像スリーブ最近接位置P1の鉛直方向下方には少なくとも現像スリーブ8があることが好ましい。搬送ガイド位置の磁気吸引力Frは本実施形態の特徴で小さくなる傾向があり、磁気吸引力Frが極端に小さい場合、搬送ガイド11と現像スリーブ8との隙間から鉛直下に重力落下する恐れがある。このため、落下した現像剤を受けて搬送するために前記隙間の下方に現像スリーブで受ける構成にすることが好ましい。
以下に、Fr分布が規制ブレード近傍に漸近する従って急峻に単調増加傾向にするための方法(積分値(FrNEAR)と、積分値(FrAll)の割合を60%以上にする為の方法)について説明する。本実施例では、搬送ガイド11位置はN1極とN3極の反発極間で磁束密度が小さく、N1極〜N3極間の磁束密度Brの変化の勾配が緩やかである。一方、搬送ガイド11から規制ブレード9方向には、中程度の磁束密度の大きさのN1極及び、さらに隣接して磁束密度の大きいS1極が存在するために、磁束密度の変化の勾配は大きくなる傾向にある。従って搬送ガイド11近傍から規制ブレード9近傍に漸近するに従って磁束密度の勾配を増加傾向にすることで、同様に磁束密度の二乗の勾配に比例する磁力(Fr)は急峻に増加する傾向とすることができる。
また例えば、規制ブレード上流側のN1極の下流極であるS1極を、N1極により隣接させることによって、N1−S1極の磁束密度の勾配が大きくなり、更にFr分布がより急峻に増加する傾向になる。
また例えば、規制ブレード上流側のN1極の半値幅は小さめ、S1極の半値幅を小さめにすることでFr分布が急峻に増加する傾向になる。
また例えば、規制ブレード下流側のS1極の磁束密度のピーク値を大きくすることで、N1極〜S1極間の磁束密度の勾配が大きくなるため、更にFr分布がより急峻に増加する傾向をとる。
要するに、Fr分布が急峻に増加するマグパターンにするためには、基本的には、以下のように構成すればよい。即ち、カット極(ブレードに対してスリーブ上流側で最近接する磁極)N1に対して、その一つ下流側にある磁極S1が、カット極N1に対して作用する磁力を相対的に大きくしていけばよい。
<磁気力/磁束密度の測定方法>
ここで、本発明における磁気力の測定方法について説明する。
なお本実施例で述べた磁気力は以下説明する計算方法によって算出できる。
よって、Br及びBθが分かれば、Fr及びFθを求めることが出来る。ここで、磁束密度Brは、測定器としてF.W.BELL社製磁場測定器「MS−9902」(商品名)を用いて、測定器の部材であるプローブと現像スリーブ8の表面との距離を約100μmに設定して測定したものである。
さらに、Bθは以下のように求めることが出来る。磁束密度Brの測定位置でのベクトルポテンシャルA(R,θ)は測定された磁束密度Brを用いて
で求められる。境界条件をA(R,θ)とし、方程式
(R,θ)=0
を解くことでA(R,θ)を求める。そして、
より、Bθを求めることが出来た。
以上より測定及び計算されたBr及びBθを(1)式に当てはめることで、Fr及びFθを導き出すことが出来る。
なお現像装置の構成に関して、本実施例では、現像室5と攪拌室6が上下に配置された縦攪拌方式の現像装置を例にあげて説明した。しかしながら、例えば、図23に示すような現像室5と攪拌室6が水平に配置された現像装置等、その他の形態の現像装置においても、本発明は適用可能である。すなわち搬送ガイド11の上流側からの現像剤搬送がなく、且つ、規制ブレードと現像スリーブ最近接位置より少なくとも高い位置から剤供給がなされ、且つ、搬送ガイドと規制ブレード間に上記で述べた磁力分布になっていれば、同様の効果が得られる。
また、本発明は、使用するキャリアの磁化率が変わっても同様の効果を得ることができる。例えば磁化の小さいキャリアを用いると、マグネットローラから作用される磁気力が相対的に下がるが、FrNear及びFrAll共に相対的に下がるために、その商である比率に対してはキャンセルされるために影響を受けないと考えられる。磁化が大きいキャリアに対しても同様の機序から影響を受けないと考えられる。
本実施例を説明する画像形成装置の基本構成は、第1の実施例と同じであるため、画像形成装置全体の説明は割愛する。第一の実施例において、第2磁極N1極は搬送ガイド11と規制ブレード9間に配置していた。これに対して、本実施例では、図14に示すように第2磁極N1極は規制ブレード9のスリーブ回転方向下流側に配置している。第一の実施例で述べたように本特許ではFr分布とそれに対する規制ブレード9及び搬送ガイド11の配置が重要であって、磁束密度のピーク位置そのものには直接的には左右されない。なお搬送ガイド11の配置は、第一の実施例と同様に設定した。
次に、図12、図13を用いて本実施例において使用したマグネットパターン4から作用する磁束密度Br及び法線方向の磁気力Frを示す。現像剤は図12、13において右から左へ搬送されており、規制ブレード9は第一の実施例と同様に100°の位置に配置されている(図12、図13の破線)。Frは−符号側がスリーブへの引力方向、+符号側が斥力方向になっている本実施例においては、図12の示すとおり、第2磁極N1極は規制ブレード9のスリーブ回転方向下流側に配置しており、磁束密度Brのパターンは第一実施例と異なる。
しかしながら、図13に示すとおり、本実施例2においても、搬送ガイド11位置から規制ブレード9間のFrは常に引力方向であって、且つ規制ブレード9に近づくにつれてFrが増加するよう構成している。搬送ガイド11は約130°の位置に配置されている(図12、図13)。また搬送ガイド11の上流側には少なくともFrが正の領域(斥力領域)になるよう構成している。本実施例では約160°〜190°位置が斥力領域になっており、斥力領域から現像スリーブの回転方向下流側に向うにつれてFrが増加させる構成にしている。すなわち第一の実施例と同様に、搬送ガイド11〜規制ブレード方向に漸近するに従って増加傾向になるFr分布を取っている。
実施例1と同様に45℃環境条件で、現像剤を入れた現像器をトナー入れ替え無しで空回転耐久を実施した結果を示す。
<結果>
条件8は実施例2の結果である。条件8ではFrNear/FrAll=64%を示し、空回転耐久の結果、コート不良が発生無いことが判明した。
なお、図12及び図14に示す通り実施例2の磁極配置構成は、N1極の磁束密度ピーク位置が規制ブレード9位置に対してスリーブ回転方向下流に位置する以外は、実施例1と略同じである。すなわち、N1極とN3極の反発極間では磁束密度が小さく、両磁極間の磁束密度Brの勾配は緩やかである。更に規制ブレード9下流側に向けて中程度の磁束密度の大きさのN1極及び、さらに下流に隣接して磁束密度の大きいS1極が構成しているために、N1極〜S1極間の磁束密度の勾配は大きくなる傾向になる。従って搬送ガイド11位置から規制ブレード9近傍に漸近するに従って磁束密度の勾配は急峻になる傾向であって、磁束密度の二乗の勾配に比例するFrも急峻に増加する傾向を示す。従って規制ブレード9から搬送ガイド11内のFrは実施例1と略同分布を取るために、実施例1と同様の効果が得られる。
より詳細には、実施例2ではN1極が規制ブレード9位置よりもスリーブ回転方向下流に配置したため、実施例1に比べて規制ブレード9近傍のFrの増加傾きはやや急峻である。その結果、FrAllに対するFrNear比率が4%増加している(条件2と条件8差)。実施例1では規制ブレード9の上流側にN1極の磁束密度のピークがあるために該ピーク位置付近の磁束密度勾配は小さくなり、この結果、磁束密度の変化勾配の2乗に比例するFrの増加度合いもやや緩慢になる傾向になる。
以上述べたように、本実施例2においては実施例1と異なるマグネットパターンを用いても、規制ブレード9と搬送ガイド11間のFr分布を規制ブレード近傍で急峻且つ単調に増加する傾向にさせることができる。且つFrNEARと、FrAllに対しての比率を60%以上に設定することでコート不良の発生を防止できる。
本実施例を説明する画像形成装置の基本構成は、第1の実施例と同じであるため、画像形成装置全体の説明は割愛する。第1の実施例において、同極であるN3極とN1極のうち現像スリーブ回転方向下流側のN1極を規制ブレード9の上流近傍に配置していた。本実施例では、図17及び図19に示すように規制ブレード9の上流側近傍の磁極を同極磁極(N1極)ではないS1極を配置している。第1の実施例で述べたように本特許ではFr分布とそれに対する規制ブレード9及び搬送ガイド11の配置が重要であって、磁極の配置そのものに直接的に左右されない。なお搬送ガイド11の配置は、第1の実施例と同様に設定した。
次に、図17、図18を用いて本実施例において使用したマグネットパターン5から作用する磁束密度Br及びBθ及び法線方向の磁気力Frを示す。現像剤は図17、図18において右から左へ搬送されており、規制ブレード9は第一の実施例と同様に100°の位置に配置されている(図17、図18の破線)。Frは−符号側がスリーブへの引力方向、+符号側が斥力方向になっている。
本実施例においては、図19に示すとおり、規制ブレード9のスリーブ回転方向上流側に最近接する磁極がS1極であって、第1の実施例では規制ブレード上流極が隣接する同極で反発磁界を形成するN1磁極であって、磁極の配置が第1の実施例と異なる。
しかしながら本実施例3においても、搬送ガイド11位置から規制ブレード9間のFrは規制ブレード9に近づくにつれて急峻に単調増加するよう構成している。搬送ガイド11は約130°の位置に配置されている(図17、図18の破線)。また搬送ガイド11の上流側には少なくともFrが正の領域(斥力領域)になるよう構成している。本実施例では約200°〜240°位置が斥力領域になっている。斥力領域から現像スリーブの回転方向下流側に向うにつれてFrが増加させる構成にしている。すなわち第一の実施例と同様に、搬送ガイド11〜規制ブレード方向に漸近するに従って増加傾向になるFr分布を取っている。
実施例1、2と同様に45℃環境条件で、現像剤を入れた現像器をトナー入れ替え無しで空回転耐久を実施した結果を示す。
<結果>
条件9は実施例3の結果である。条件9ではFrNear/FrAll=60%でコート不良が発生無いことが分かった。
図19の磁極配置構成においては、磁束密度のN1極の上流極は反発極N3極であるので、N1極〜N3極間の磁束密度の勾配は小さい。N1極下流側では異極で且つN1極よりやや磁束密度の大きいS1極が隣接しているために、磁束密度の勾配はN1極上流側よりやや大きい。さらにS1極下流側に隣接するN2極は、S1極より更に磁束密度が大きいために磁束密度の変化の勾配は大きくなっている。従って本実施例3の磁極構成によれば、現像スリーブ回転方向でN1⇒搬送ガイド位置⇒S1⇒規制ブレード位置⇒N2で段階的に磁束密度勾配が大きくなる。このために、搬送ガイド位置から規制ブレード位置間では磁束密度の二乗の勾配に比例するFrも単調増加する傾向を示す。その結果、FrNear/FrAllの比率が60%以上を満足し、コート不良発生を防止できた。
本実施例を説明する画像形成装置の基本構成は、第1の実施例と同じであるため、画像形成装置全体の説明は割愛する。本実施例も現像スリーブ内のマグネット及び搬送ガイド部材の構成は実施例1〜3と同じであり、規制ブレード上流側の現像剤の滞留を抑制可能な構成となっている。本実施例では、更に現像スリーブ8の搬送性を向上する為に、現像スリーブ表面に長手方向に沿った溝処理が施されているものを採用した例について説明する。
[現像スリーブの溝ピッチ]
図23は本実施例で採用した溝形状の図面である。本実施例においては、溝は深さD=50[μm]、幅W=140[μm]の左右対称なV字型でスリーブ上に間隔約I=1120[μm]をもって各々現像スリーブ軸線に平行に50本形成されている。また、溝形状V字の角度Θは約45[°]である。溝形状は現像剤が当該部に引っ掛かり搬送されさえすればV字に限定されず、図24、図25、図26に示すようなU字であっても井戸型であっても良い。ただしいずれの場合も引っかかるためには少なくともキャリア一個以上溝部に入る必要があることから、溝深さD>キャリア半径、溝幅W>キャリア直径としている。
本実施例のように搬送ガイド11を備え、かつ規制ブレード付近の磁気力が大きくすることで、この付近の現像剤の滞留を解消する構成においては、現像スリーブの溝ピッチによっては、現像スリーブ上のコーティングが不均一になる虞がある。現像剤は現像スリーブに内包されるマグネットにより穂立ちを形成しつつ、主に溝部に拘束され、溝に拘束されている磁気穂により力を受け押し出される形で搬送される。このため、規制ブレードと搬送ガイド11の間の現像剤溜り部に溝部がある場合とない場合とで搬送性が大きく異なってしまう。そこで、本実施例では、上記濃度ムラが発生を抑制すべく、W+Iが規制ブレードと搬送ガイド11の間の距離Lよりも小さくしている。このようにした場合、現像スリーブの位置によらず、規制ブレードと搬送ガイド11の間の領域に溝部が少なくとも一つは存在させることができる。このため、規制ブレードと搬送ガイド11の間の現像剤が溝部によって常時搬送することができ、現像スリーブ上に途切れず現像剤をコーティングさせることができる。
本実施例では、長さLは4190[μm]、溝部と溝−溝間の凸部を合わせた長さW+Iは1260[μm]であるため、上記構成を満たしている。
<比較例>
比較例として先に説明した現像装置に深さD=50[μm]、幅W=140[μm]の左右対称なV字型溝を間隔約I=5100[μm]をもって各々現像スリーブ軸線に平行に12本備えた現像スリーブを用いた場合である。搬送ガイド11を現像スリーブ側へと伸延させた線と現像スリーブ表面との交点P1と規制ブレードの搬送ガイド側の面を同じく現像スリーブ側へと伸延させた線と現像スリーブとの交点P2の現像スリーブに沿った長さLとする。この場合、溝部の幅Iと溝−溝間の凸部の幅Wを合わせた長さW+Iが、上記長さLよりも大きくなっている。このため、搬送ガイド11と規制ブレードの間に溝部が1つも入らない場合が生じ、上記問題が発生する。
<実験>
本実施例による効果を表す実験内容を以下に示す。
本実施例での検討に用いたチャートは、A4全面ベタ画像であり、反射濃度はX−rite社製Model:504による測定で1.5程度とした。測定個所はA4チャートの横方向は両端から30[mm]の位置と、中心の合計3点。縦方向は上端から10[mm]の点を基準として下方向に10[mm]の間隔を開けて合計20点とし、1枚で総計60点の測定個所を設けた。表1は本実施例と上記比較例の場合における面内濃度ムラを評価した表である。これらの値は、上記87箇所のパッチ部をX−rite社製Model:504による濃度測定で求めることができ、チャートにおける60点の濃度の(最大値)―(最小値)で与えられる。表1より、上記比較例では面内の濃度ムラが認められたのに対し、本実施例の構成においては、画像濃度ムラは概ね良好でることがわかる。
本実施例を説明する画像形成装置の基本構成は、第1の実施例と同じであるため、画像形成装置全体の説明は割愛する。本実施例も現像スリーブ内のマグネット及び搬送ガイド部材の構成は実施例1〜3と同じであり、規制ブレード上流側の現像剤の滞留を抑制可能な構成となっている。本実施例と実施例1との異なる点は、現像スリーブへの現像剤の供給性を向上するために、第1の搬送スクリュー5にリブ部材を設けている点である。
[第1の搬送スクリュー]
図27は、本実施例の現像装置の断面図である。図28、図30は本実施例の第1の搬送スクリューを説明する斜視図である。図29は本実施例の第1の搬送スクリューの軸線方向と直交する断面図である。本実施例では、第1の搬送スクリューの回転軸径の半径R0はR0=3[mm]、外径の半径R1はR1=10[mm]であり、回転軸方向に渡ってピッチp=30[mm]の間隔で攪拌翼13がスパイラル状に設けられ、周速800[rpm]で回転する。更に先に記述した通り回転軸表面からはリブ部材14がその第1の搬送スクリューの回転方向に対抗する面を含む平面が回転軸12の中心Oを含むように放射線状に突出している。
リブ部材14は回転軸中心Oからの高さR=7[mm]、幅d=10[mm]、厚さw=1[mm]の立方体状部材である。更にリブ部材14は、現像剤循環方向最下流の攪拌翼から3ピッチ分の領域に1ピッチに1つの割合で設置した。なお、本実施例では、第2の搬送スクリューも回転軸径、攪拌翼の外形、ピッチ、周速は第1の搬送スクリューと等しくしている。縦攪拌型の現像装置の場合、現像剤の循環方向下流側になるに従って、現像室内の現像剤面は下がっていくため、(図3参照。)リブ部材14は第1の搬送スクリューの現像剤循環方向下流側にのみ設置できればよい。むしろ、第1の搬送スクリューの現像剤循環方向下流側にのみリブ部材14を設置することによって、上流側での過剰な現像剤の供給を防ぐことができる。それによって、第1の搬送スクリュー回転軸方向に渡って均一な現像剤供給を実現し、長きに亘って安定した現像スリーブ上コーティングを実現することができる。また、現像剤循環方向上流側に過剰にリブが設置された場合、上流側での過剰な現像剤の供給により上流側において剤溜まりが巨大化し、現像剤圧の上昇による第1の搬送スクリューのトルクアップという問題が発生する場合がある。よって、下流側にのみリブ部材を設置することにより、この問題も確実に回避できる。本実施例においてはリブ部材を現像剤循環方向最下流の攪拌翼から3ピッチ分の領域に1ピッチに1つの割合で設置したが、設置の仕方はこの場合に限られるわけではなく、全域に設置する場合も場合によっては可能である。リブ部材14は第1の搬送スクリューの回転に伴い一緒に回転する。そのため、回転軸中心Oからrの高さの部分に当った現像剤は、図31のようにリブ部材の回転方向に対抗する面に垂直な方向に初速rωで打ち出される(R0<r<R)。ここで、第1の搬送スクリューの角速度をω[rad/s]、回転軸12の半径をR0、リブ部材14の高さをRとする。
一般に、第1の搬送スクリューに現像スリーブへの供給を促進するためのリブ部材を設置した場合、現像スリーブの軸方向で現像剤溜まりにかかる圧力が不均一になりやすい。これによって、現像スリーブ上のコーティングが不均一になり、画像上にリブの跡に沿った濃度ムラが発生してしまうことがある。規制ブレード裏の現像剤溜まりにリブ部材によって現像スリーブに略平行な方向から直接現像剤が供給されることによって、リブ部材が設置されている所は現像剤溜まりに圧力が大きくかかる。また、リブ部材が設置されていない所は剤だまりに圧力が小さくかかるからである。例えば、図33のように、第1の攪拌スクリューと規制ブレード裏の現像剤溜まりの間にさえぎるものが何も無い場合、リブ部材14によって供給された現像剤が直接規制ブレード裏へと供給されてしまう。図34は図14の現像装置を上方から見た図である。リブ部材が設置されているところは剤溜まりにかかる圧力が大きく、設置されていないところは圧力が小さい。結果として、現像スリーブ上をコーティングしている現像剤の厚さにリブ部材が設置されている箇所に対応してむらが出てしまう。(図34において、領域Aがリブ部材の設置されていないところで、領域Bが設置されているところである。)
これに対し、搬送ガイド部材が設置されている現像装置では、第一の搬送スクリューの位置とリブの位置、ガイド部材の位置、を工夫することで第一の搬送スクリューからの現像スリーブに平行な剤の供給が直接ブレード裏の剤だまりになされることがない。よって、搬送ガイド部材が設置されている現像装置ではそもそも上記のようなリブ跡の問題は起こり難い(図35参照)。
つまり、本発明では搬送ガイド部材の高さH(つまり第1の搬送スクリューの回転軸中心を原点とするデカルト座標表記で頂点Q(a,b))をある高さ以上にする。そして、現像スリーブに対し平行な剤の供給を抑制することによって上記の問題を抑制しつつリブ部材によって現像剤の供給を促進することができる。
一般に現像スリーブ上のコーティング量の調整方法は、規制ブレードの穂切りによる層厚規制である。よって、この穂切り部、つまり規制ブレードを現像スリーブへと延長した線と現像スリーブ表面が交わる点Pにおける現像スリーブに平行な圧力のムラを抑制すればよく、結局点Pよりも搬送ガイド部材の頂点Qが鉛直方向上方に存在すればよい。このような構成をとることによって、リブ部材から供給された現像剤のうち、穂切り部における現像スリーブに平行なものは搬送ガイド部材によって遮断され、リブ跡の問題は抑制される。
ここで、本実施例においてリブ部材14によって打ち出された現像剤が搬送ガイド部材を越える為には、次の式を満たす必要がある。リブ部材14を設置することによって搬送ガイド部材11と規制ブレード9で囲まれた領域への現像剤の供給を促進できる。
(式1)
b<−g/2*((a−r*cosθ)/(rω*sinθ))^2+(a−r*cosθ)*cosθ/sinθ−r*sinθ
ただし、R0<r<R,0<θ<1/π,H=b−c
ここで、g:重力加速度,a:第1の搬送スクリューの回転軸中心を原点としたデカルト座標における搬送ガイド部材の頂点Qのx座標,b:第1の搬送スクリューの回転軸中心を原点としたデカルト座標における搬送ガイド部材の頂点Qのy座標である。また,c:第1の搬送スクリューの回転軸中心を原点としたデカルト座標における搬送ガイド部材の最下点のy座標,θ:第1の搬送スクリューの回転軸中心を通る水平線とリブ部材のなす角度(反時計回りを正としてラジアン表記とする。図32参照。)である。
上式はR0<r<R,0<θ<1/πを満たすrとθのうち、どれか一つでも(式1)を満たせばよいことに注意すること。以下でさらに詳しく説明する。
第1の搬送スクリューの回転軸中心を原点としたデカルト座標をとり、x軸とリブ部材のなす角度をθとし、回転しているリブ部材がある角度θにきたときを考える。このとき回転軸中心からrだけ離れた部分に現像剤が当ったとすると、現像剤は図31のようにx方向に初速rω*sinθ、y方向にrω*cosθで打ち出される。打ち出された現像剤は、重力に引かれて放物運動をするため、x方向に初速rω*sinθで等速運動、y方向にd^2x/dt^2=gの加速度運動を行う。打ち出された現像剤が搬送ガイド部材を越えるためには、放物運動をしている現像剤のy座標が、搬送ガイド部材の頂点Qのx座標aの位置において、頂点Qのy座標bよりも大きければ良い。打ち出された瞬間の位置は、(r*cosθ,r*sinθ)なので、打ち出された現像剤がx座標aに到着する時間t(a)は、t(a)=(a−r*cosθ)/rω*sinθとなる。よって、このときの現像剤のy座標は、y(a)=−g/2*t(a)^2+t(a)*rω*cosθ−r*sinθ=−g/2*((a−r*cosθ)/(rω*sinθ))^2+(a−r*cosθ)*cosθ/sinθ−r*sinθとなる。b<y(a)でなければリブ部材によって打ち出された現像剤が搬送ガイド部材を超えることができないため、リブ部材によって打ち出された現像剤が搬送ガイド部材を超えるためには、(式1)を満たさなければならない。現像剤はリブ部材によって様々なr(ただし、R0<r<R)とθ(ただし、0<θ<1/π)の位置から打ち出される。そのためR0<r<R,0<θ<1/πの範囲において、少しでも(式1)を満たすことができれば、リブ部材を設置することによって搬送ガイド部材と規制ブレードで囲まれた領域への現像剤の供給を促進することができる。
次に本実施例における効果を表す実験を説明する。表1は、本実施例とリブ部材14がない従来現像器における、現像スリーブ上コーティング限界の表である。
現像スリーブ上コーティング限界とは、現像スリーブ上のコーティングが正常になされるための最小の現像容器内の現像剤量であり、現像容器内の現像剤がこの量を下回ると、現像スリーブ上のコーティングが一部なくなるなどの、コーティング不良が発生する。現状、現像スリーブ上コーティング限界は現像スリーブ上コーティング不良の一つの指標となっており、一般的には次のようにして測定できる。
現像スリーブ、第1・第2の搬送スクリューを所望の周速で駆動させた状態で、徐々に現像剤を現像容器に入れていく。現像容器内の現像剤量が増えていくに従って、現像スリーブ上のコーティングは第1の搬送スクリューの現像剤循環方向上流側から徐々に厚くなっていき、やがて現像スリーブ全域が所望の厚みにコーティングされる。このとき、現像容器内の現像剤量が現像スリーブ上コーティング限界であり、現像装置重量などを計測するなどして求めることができる。
表1より、従来現像器においては、現像スリーブ上が正常にコーティングするには最低290[g]必要なのに対し、本実施例の現像器は260[g]あれば現像スリーブ上を正常にコーティングすることができる。
以上より、第1の搬送スクリューにリブ部材を設けることにより、現像スリーブへの剤の供給を促進し、リブ跡などの弊害なく現像スリーブ上コーティング不良を抑制することができた。
1、104 現像装置
2 現像容器
3 現像室
4 攪拌室
5 第1の搬送スクリュー(循環手段)
6 第2の搬送スクリュー(循環手段)
7 隔壁部材
8 現像スリーブ(現像剤担持体)
8’ マグネットローラ(磁界発生手段)
9 規制ブレード(現像剤規制部材)
10 感光ドラム(像担持体)
11 搬送ガイド
20 トナー補給槽
21 一次帯電器
22 発光素子
23 第一転写帯電器
24 転写材搬送シート
25 定着器
26 クリーニング装置
27 転写紙
41 従来現像器における現像容器
41a 従来現像器における現像室
41b 従来現像器における攪拌室
41c 従来現像器における隔壁
42 従来現像器における第一の現像剤搬送攪拌部材
43 従来現像器における第二の現像剤搬送攪拌部材
301 篩
302 ロート
303 円盤
500 安息角測定時の二成分現像剤
71、72 連通部
T 現像剤

Claims (4)

  1. トナーとキャリアを含む現像剤を担持する現像剤担持体と、
    前記現像剤担持体の内部に設けられ、前記現像剤担持体の回転方向に複数の磁極を備えたマグネットと、
    前記現像剤担持体に現像剤を供給する現像室と、
    前記現像剤担持体にコートされる現像剤量を規制する非磁性からなるブレード部材と、
    前記ブレード部材よりも前記現像剤担持体の回転方向上流側で前記ブレード部材及び前記現像剤担持体に対向して設けられ、前記現像室の現像剤を重力方向上方から前記現像剤担持体へガイドするガイド部と、を有する現像装置であって、
    前記現像剤担持体の回転方向に関して、前記ガイド部による前記現像剤担持体への現像剤供給開始位置から前記ブレード部材までの距離が少なくとも2mm以上であり、前記現像剤担持体の表面における前記現像剤担持体の法線方向の磁気力をFrとしたとき、前記現像剤担持体の回転方向に関して前記ブレード部材から前記ガイド部による前記現像剤担持体への現像剤供給開始位置まで前記磁気力Frを積分した積分値FrAllに対する、前記現像剤担持体の回転方向に関して前記ブレード部材から前記ブレード部材よりも2mm上流側の位置まで前記磁気力Frを積分した積分値FrNearが少なくとも60%以上となるように前記複数の磁極が設けられていることを特徴とする現像装置。
  2. 前記現像剤担持体の回転方向に関して、前記ガイド部による前記現像剤担持体への現像剤供給開始位置から前記ブレード部材までの領域において、前記Frの絶対値が最大となる位置は、前記ブレード部材と対向する位置であることを特徴とする請求項1に記載の現像装置。
  3. 前記磁気力Frの絶対値は、前記現像剤担持体の回転方向に関して、前記ガイド部による前記現像剤担持体への現像剤供給開始位置から前記ブレード部材に向かって単調的に増加するように前記磁極が設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の現像装置。
  4. 前記現像剤担持体の駆動に伴って、前記ブレード部材と対向する現像剤が前記ブレード部材に沿って、前記現像剤担持体の表面に向かう方向へ搬送されることを特徴とする請求項1乃至3いずれかに記載の現像装置。
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