JP2013224376A - 着色された樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

着色された樹脂組成物及び成形体 Download PDF

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貴章 三好
Mare Inagaki
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Abstract

【課題】耐傷付き性が低下せず、熱安定性に優れる、有彩色着色が可能な、着色された樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】(A)ポリアセタール樹脂、(B)ポリオレフィン、及び(C)ルチル型酸化チタンを含み、
前記(C)ルチル型酸化チタンの量が、前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、1.0質量部未満である、着色された樹脂組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、着色された樹脂組成物及び成形体に関する。
ポリアセタール樹脂は、バランスのとれた機械的性質と優れた耐摩耗性をもつエンジニアリング樹脂として、各種の機構部品をはじめ、OA機器などに広く用いられている。しかしながら、ポリアセタール樹脂単独では、充分な摺動性能を成形品に付与できないため、脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール、シリコーンなどの低分子の潤滑剤がポリアセタール樹脂に添加され、実用に供されている。
低分子の潤滑剤を配合したポリアセタール樹脂は、条件によっては、金型汚染を引き起こす懸念があり、そういう用途に対しては、ポリオレフィン等の高分子の潤滑剤が使用されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
各種樹脂成形品は、デザイン性の向上や、識別の容易性を向上させるため、着色されることが多い。中でも有彩色への着色においては、白色顔料として酸化チタン、硫化亜鉛、硫酸バリウム等が使用されている。これら白色顔料中で最も着色力・隠ぺい力が大きい酸化チタンを使用することが、一般的に知られており、さらには、白色度を高めるにはアナターゼ型結晶構造の酸化チタンを使用し、光に露出する外部部品に使用される用途には、耐光性の高いルチル型結晶構造の酸化チタンを用いることが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
国際公開番号 WO2003/055945号公報 特開2006−63107号公報
阿部嘉長、須藤真 編、「新版・プラスチック配合剤−基礎と応用」、株式会社大成社、昭和62年発行
上述した高分子潤滑剤を配合したポリアセタール樹脂に、有彩色着色を行なうと、耐傷付き性が低下し、さらには熱安定性も大幅に低下し加工時に分解したホルムガスによる臭気が発生するという課題があった。
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、耐傷付き性が低下せず、熱安定性に優れる、有彩色着色が可能な、着色された樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、検討を重ねた結果、ポリアセタール樹脂とポリオレフィンからなる樹脂組成物に、特定の酸化チタンを配合することにより、驚くべきことに耐傷つき性に優れるばかりでなく、熱安定性の悪化の抑止、熱エージング性にも優れることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の通りである。
〔1〕
(A)ポリアセタール樹脂、(B)ポリオレフィン、及び(C)ルチル型酸化チタンを含み、
前記(C)ルチル型酸化チタンの量が、前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、1.0質量部未満である、着色された樹脂組成物。
〔2〕
前記(B)ポリオレフィンが、エチレンユニットを少なくとも80質量%有する共重合体である、前記〔1〕に記載の着色された樹脂組成物。
〔3〕
前記(B)ポリオレフィンが、エチレンと、α、β−不飽和カルボン酸及び/又はα、β−不飽和カルボン酸誘導体と、の共重合体である、前記〔1〕又は〔2〕に記載の着色された樹脂組成物。
〔4〕
前記(B)ポリオレフィンが、α、β−不飽和カルボン酸ユニット及び/又はα、β−不飽和カルボン酸誘導体ユニットを5〜20質量%有する、前記〔1〕〜〔3〕のいずれか1つに記載の着色された樹脂組成物。
〔5〕
前記α、β−不飽和カルボン酸及び前記α、β−不飽和カルボン酸誘導体が、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、及びメタクリル酸グリシジルからなる群から選ばれる1種以上である、前記〔3〕に記載の着色された樹脂組成物。
〔6〕
前記(B)ポリオレフィンの量が、前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部である、前記〔1〕〜〔5〕いずれか1つに記載の着色された樹脂組成物。
〔7〕
前記(C)ルチル型酸化チタン中に含まれる、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、及び非晶質シリカの合計量が10質量%以下である、前記〔1〕〜〔6〕いずれか1つに記載の着色された樹脂組成物。
〔8〕
前記〔1〕〜〔7〕いずれか1つに記載の着色された樹脂組成物を含む、成形体。
本発明によると、有彩色着色可能で、耐傷つき性を悪化させず、また、加工時の熱分解を大幅に抑制可能な(以下、「熱安定性に優れる」ともいう。)、着色された樹脂組成物、及びその樹脂組成物からなる成形体を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について、詳細に説明する。
なお、以下において、重合体を構成する構成単位のことを「〜ユニット」と記載し、重合前のモノマー成分のことを化合物名で記載する。
〔着色された樹脂組成物〕
本実施形態の着色された樹脂組成物は、(A)ポリアセタール樹脂、(B)ポリオレフィン、及び(C)ルチル型酸化チタンを含み、
前記(C)ルチル型酸化チタンの量が、前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、1.0質量部未満である。
〔(A)ポリアセタール樹脂〕
本実施形態に係る(A)ポリアセタール樹脂としては、特に限定されないが、具体的には、ポリアセタールホモポリマー、及びポリアセタールコポリマーが挙げられる。ポリアセタールホモポリマーは、ホルムアルデヒドの単量体、又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーを単独重合して得ることができる。したがって、ポリアセタールホモポリマーは、実質的にオキシメチレンユニットからなる。
また、ポリアセタールコポリマーは、ホルムアルデヒドの単量体、及び/又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、エピクロルヒドリン、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマールなどのグリコール、ジグリコールの環状ホルマール等の環状エーテル、及び/又は環状ホルマールと、を共重合させて得ることができる。さらに、ポリアセタールコポリマーとして、ホルムアルデヒドの単量体及び/又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、単官能グリシジルエーテルと、を共重合させて得られる分岐を有するポリアセタールコポリマー、並びに、多官能グリシジルエーテルとを共重合させて得られる架橋構造を有するポリアセタールコポリマーを用いることもできる。
さらには、(A)ポリアセタール樹脂は、重合体の両末端又は片末端に水酸基などの官能基を有する化合物であってもよい。このような(A)ポリアセタール樹脂は、例えば、ポリアルキレングリコールの存在下、ホルムアルデヒドの単量体及び/又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーを重合して得られる、ブロック成分を有するポリアセタールホモポリマーであってもよい。
また、同じく、重合体の両末端又は片末端に水酸基などの官能基を有する(A)ポリアセタール樹脂は、例えば水素添加ポリブタジエングリコールの存在下、ホルムアルデヒドの単量体及び/又はその3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等のホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、環状エーテル及び/又は環状ホルマールと、を共重合させて得られる、ブロック成分を有するポリアセタールコポリマーであってもよい。
以上のように、本実施形態に係る(A)ポリアセタール樹脂として、ポリアセタールホモポリマー及びポリアセタールコポリマーのいずれも用いることができる。また、これら(A)ポリアセタール樹脂は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。この場合、(A)ポリアセタール樹脂は、ポリアセタールコポリマーを過半(50質量%)以上含むものが好ましく、80質量%以上含むものがより好ましく、実質的にほぼすべて(95質量%以上)がポリアセタールコポリマーであることがさらに好ましい。なお、ここでのパーセンテージは、(A)ポリアセタール樹脂を100質量%としたものに基づく。
また、これら(A)ポリアセタール樹脂は、その目的によって使い分けることができる。摺動性や剛性の観点からはホモポリマーや、コモノマー量の少ないコポリマーの使用が好ましく、熱安定性や耐衝撃性の観点からはコモノマー量の多いコポリマーや水素添加ポリブタジエンとオキシメチレンコポリマーのブロックポリマーの使用が好ましい。
本実施形態における(A)ポリアセタール樹脂としては、熱安定性の観点からは、コポリマーが好ましく、耐傷付き性の観点からはホモポリマーが好ましい。コポリマーの中においても、コモノマー量がオキシメチレンユニットに対して0.1〜2.0モル%であるコポリマーが好ましい。耐熱性を維持しつつ熱安定性を高めるためには、コモノマー量は、0.1〜1.0モル%が好ましく、0.3〜0.8モル%がより好ましい。コポリマーとして耐傷つき性を高めるためには、コモノマー量は、1.0〜2.0モル%が好ましく、1.3〜1.8モル%がより好ましい。なお、上記好ましいとする数値範囲等は、その数値範囲内等でなければ耐傷付き性、又は熱安定性が失するという意味ではない。本実施形態の樹脂組成物であれば、耐傷付き性、及び熱安定性を有するが、上記数値範囲内等であれば、より耐傷付き性、又はより熱安定性に優れるものとなるという意味である。
(A)ポリアセタール樹脂としてホモポリマーを用いる場合、重合体の両末端をエーテル化、エステル化により安定化した樹脂を用いることが好ましい。安定化の手法は、特に制限されないが、例えば、重合後期に、重合体末端に無水酢酸等を反応させ末端アセチル化したものが好ましく使用できる。
また、本実施形態で用いる(A)ポリアセタール樹脂のメルトフローレート(ASTM−D1238−57Tの条件で測定)は0.5〜100g/10分が一般的であり、好ましくは1.0〜80g/10分、より好ましくは5〜60g/10分、さらに好ましくは7〜50g/10分の範囲である。メルトフローレートが0.5〜100g/10分の範囲内にあると、成形加工が容易であり、また耐久性が良好となる。
〔(B)ポリオレフィン〕
本実施形態において、使用可能な(B)ポリオレフィンは、特に限定されないが、具体的には、エチレンの単独重合体、エチレンと、α−オレフィン及び/又はその誘導体と、の共重合体、エチレンと、α、β−不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体と、の共重合体からなる群から選ばれる一種以上が挙げられる。ここで、(B)ポリオレフィン中にエチレンユニットを少なくとも80質量%有する共重合体が好ましく、少なくとも87質量%有する共重合体がより好ましく使用できる。衝撃強度、耐傷つき性および熱安定性の低下を抑制するためには、ポリオレフィン中にエチレンユニットを少なくとも80質量%有する共重合体とすることが望ましい。
また、(B)ポリオレフィンが、エチレンと、α、β−不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体と、の共重合体である場合には、α、β−不飽和カルボン酸ユニット及び/又はα、β−不飽和カルボン酸誘導体ユニットを5〜20質量%有することが好ましい。より好ましい下限は7質量%である。またより好ましい上限は15質量%である。
エチレンと、α−オレフィン及び/又はその誘導体と、の共重合体において、好ましく使用可能なα−オレフィン及び/又はその誘導体は、特に限定されないが、具体的には、炭素数3〜12のα−オレフィンが挙げられる。より好ましくは、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、及び1−オクテン等が例示可能である。
また、エチレンと、α、β−不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体と、の共重合体において、好ましく使用可能なα、β−不飽和カルボン酸及び/又はその誘導体としては、特に限定されないが、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、及びメタクリル酸グリシジルからなる群から選ばれる1種以上が挙げられる。より好ましくは、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル等のカルボン酸基が置換されたα、β−不飽和カルボン酸誘導体が使用可能である。
また、本実施形態における(B)ポリオレフィンは、反応性を持たせるために、α,β−不飽和ジカルボン酸及び/又はその無水物等の他のビニル化合物の一種以上を構造中に10質量%未満の量で含む構造とすることができる。
さらに、(B)ポリオレフィンとしては、α,β−不飽和ジカルボン酸及び/又はその無水物等の他のビニル化合物の一種以上をグラフトさせたものも好ましく使用可能である。α,β−不飽和ジカルボン酸またはその無水物としては、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等、又はこれらの無水物が挙げられる。
本実施形態における(B)ポリオレフィンの好ましい配合割合は、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部であり、より好ましくは0.2〜8質量部、さらに好ましくは0.5〜7質量部である。耐傷つき性を高めるためには配合割合は、0.1質量部以上であることが好ましく、層剥離現象を抑制するためには配合割合は10質量部以下とすることが望ましい。
〔(C)ルチル型酸化チタン〕
本実施形態の着色された樹脂組成物は、その着色のため(C)ルチル型酸化チタンをポリアセタール樹脂100質量部に対して、1.0質量部未満の量で含む。好ましい上限量は0.8質量部であり、より好ましくは0.6質量部である。好ましい下限は0質量部を超える量である。樹脂組成物の熱安定性の悪化、引張破壊呼び歪の低下、熱エージング性の悪化を抑制するには、1.0質量部以下とする。
なお、「着色された樹脂組成物」中の用語「着色された」とは、白色顔料((C)酸化チタン)で着色されたことをいい、さらに後述するように黒色、有彩色などで着色されたものも含むという意味である。
樹脂組成物を着色するに際し、例えば黒に着色するにはカーボンブラックや、黒色染料が一般的に使用される。有彩色に着色するには、それぞれの色に合った赤・青・黄色といった染顔料を微調整して添加し着色する。
(A)ポリアセタール樹脂は通常白色の樹脂であるので、赤・青・黄色といった染顔料のみを添加することにより、所望の色に着色することは可能である。しかしながら、染顔料の若干のブレにより、得られる製品の色の変化が大きくなる。そこで、着色の際に、白色顔料とともに添加することで、色ブレの少ない着色処方を実施することができる。
白色顔料としては、酸化チタン、硫化亜鉛、硫酸バリウム等が知られている。これら白色顔料中でも、酸化チタンが、着色力・隠ぺい力が最も大きくよく使用されている。
酸化チタンには、正方晶系と、斜方晶系のものが存在し、正方晶系としてはアナターゼ型と、ルチル型が存在し、斜方晶系としてはブルッカイト型が存在する。これらは結晶構造が異なる。
樹脂の着色に使用される酸化チタンは、正方晶系のアナターゼ型かルチル型が主に使用されている。
本実施形態で用いるルチル型酸化チタンは、アナターゼ型酸化チタンより黄色味があるが、耐光性に優れるという特徴を有するため、樹脂組成物の白色度を高めるにはアナターゼ型酸化チタンがよく使用され、光に露出する外部部品に使用される用途には、ルチル型酸化チタンをよく使用されている。
また、アナターゼ型酸化チタンのモース硬度は、5.5程度であるのに対し、ルチル型酸化チタンのモース硬度は7.5程度と高い。そのため、ガラス繊維(モース硬度:5.5程度)の配合する際のガラス繊維の折れを抑制したい時や、ステンレス(モース硬度:6程度)、チタン(モース硬度:6程度)等の金属と摺動する部品において相手金属を傷つけないようにするため、低硬度のアナターゼ型酸化チタンや、硫化亜鉛(モース硬度:3程度)が使用されている。
しかしながら、本実施形態においては、用いる酸化チタンはルチル型酸化チタンである必要がある。
ルチル型酸化チタンとアナターゼ型酸化チタンは、上述のように目的に応じ、適宜、使い分けがなされている。
しかしながら、本実施形態のポリアセタール樹脂とポリオレフィンからなる樹脂組成物においては、酸化チタンの結晶構造の違いが、重要な特性に大きな影響を及ぼす。すなわち、本実施形態においての重要な特性である、耐傷つき性、熱安定性、熱エージング性に関し、アナターゼ型酸化チタンに対し、ルチル型酸化チタンが明らかに優れた特性を示すのである。
また、本実施形態で使用する(C)ルチル型酸化チタンは、不純物として含まれる酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、及び非晶質シリカの合計量が10質量%以下に制御されたものを用いることが好ましい。この不純物の量は実質ゼロであることが最も好ましいが、天然鉱物を原料としているため、より少なく制御することが重要である。その好ましい量は8質量%以下であり、より好ましい量は6質量%以下である。不純物が上記範囲内であれば、樹脂組成物のペレットでの熱安定性を高め、金型汚染を引き起こしにくくし、耐傷つき性を低下させない。
本実施形態で用いる(C)ルチル型酸化チタンの粒子径は、特に制限はないが、好ましい上限の数平均粒子径は、1μmである。より好ましくは、700nmであり、さらに好ましくは500nmであり、よりさらに好ましくは400nmである。着色時の色のブレを最小限に抑制するためには、上限を1μm以下とすることが推奨される。下限は特にはないが、混合時の取り扱い容易性の観点より、50nmとすることが好ましい。
(その他の成分)
本実施形態においては、従来の使用されている安定剤、例えば熱安定剤、耐候(光)安定剤等を、単独で、またはこれらを組み合わせて用いることができる。熱安定剤としては、酸化防止剤、ホルムアルデヒドやギ酸の捕捉剤及びこれらの併用が好適である。好ましい酸化防止剤としては、特に限定されないが、具体的には、ヒンダートフェノール系酸化防止剤が挙げられる。ヒンダードフェノール系酸化防止剤の具体例としては、特に限定されないが、具体的には、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが挙げられる。これらの中では、好ましくは、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]及びペンタエリスリトールテトラキス[メチレン‐3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンである。これらはもちろん1種又は2種以上の混合物として使用できる。
ホルムアルデヒドやギ酸の捕捉剤としては、特に限定されないが、具体的には、(イ)ホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物及び重合体;(ロ)アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、及びカルボン酸塩が挙げられる。(イ)ホルムアルデヒド反応性窒素を含む化合物及び重合体としては、特に限定されないが、具体的には、ジシアンジアミド、メラミン、メラミンとホルムアルデヒドとの共縮合物、ポリアミド樹脂、ポリ−β−アラニン、ポリアクリルアミド等が挙げられる。(ロ)アルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物、無機酸塩、及びカルボン酸塩としては、特に限定されないが、具体的には、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、又はバリウムなどの水酸化物;上記金属の、炭酸塩、リン酸塩、珪酸塩、硼酸塩、又はカルボン酸塩が挙げられる。この中でも、カルシウム塩が最も好ましく、具体的には、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、珪酸カルシウム、硼酸カルシウム、及び脂肪酸カルシウム塩(ステアリン酸カルシウム、ミリスチン酸カルシウム等)が挙げられる。また、脂肪酸カルシウム塩の脂肪酸は、ヒドロキシル基で置換されていてもよい。
耐候(光)安定剤としては、特に限定されないが、具体的には、(イ)ベンゾトリアゾール系物質、(ロ)シュウ酸アニリド系物質、及び(ハ)ヒンダードアミン系物質が好ましい。これらの物質はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。この中でも、ベンゾトリアゾール系物質、またはシュウ酸アニリド系物質の少なくとも1種と、ヒンダードアミン系物質とを組合せることが、特に好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例としては、特に限定されないが、具体的には、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾールが挙げられる。これらのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は1種又は2種以上の混合物として使用可能である。
シュウ酸アリニド系紫外線吸収剤の具体例としては、特に限定されないが、具体的には、2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリドが挙げられる。これらのシュウ酸アリニド系紫外線吸収剤は1種又は2種以上の混合物として使用可能である。
ヒンダードアミン系光安定剤の具体例としては、特に限定されないが、具体的には、N,N’,N’’,N’’’−テトラキス−(4,6−ビス(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N’−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの縮合物、デカン2酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステルと1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンとの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル−1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物が挙げられる。ヒンダードアミン系光安定剤は、好ましくはビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物である。これらのヒンダードアミン系光安定剤は1種又は2種以上の混合物として使用可能である。
本実施形態の樹脂組成物における安定剤の好ましい組み合わせは、ヒンダードフェノール[特に、トリエチレングリコール−ビス−(3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート)、テトラキス−(メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネートメタン)]、ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体(特に、ポリアミド樹脂、ポリ−β−アラニン)、及びアルカリ土類金属の脂肪酸塩(特に、脂肪酸カルシウム塩)の組み合わせである。また、その添加量を、ポリアセタール樹脂に対して、ヒンダードフェノール0.05〜0.5質量%、ホルムアルデヒド反応性窒素を含む重合体0.05〜0.5質量%、及びアルカリ土類金属の脂肪酸塩0.01〜0.3質量%とすることが好ましい。
本実施形態では離型剤も使用可能である。使用できる離型剤としては、特に限定されないが、具体的には、アルコール、脂肪酸及びそれらの脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレングリコール、平均重合度が10〜500であるオレフィン化合物が挙げられる。これらの中では、ポリオキシアルキレングリコールがより好ましく使用可能である。
本実施形態の樹脂組成物においては、さらに公知の添加剤を必要に応じて含有してもよい。そのような添加剤として、具体的には、無機充填剤、結晶核剤、導電剤、他の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー及び顔料が挙げられる。
無機充填剤としては、特に限定されないが、具体的には、繊維状、粉粒子状、板状及び中空状のものが用いられる。繊維状充填剤としては、特に限定されないが、具体的には、ガラス繊維、炭素繊維、シリコーン繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、窒化硅素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウム繊維、ステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属繊維等の無機質繊維が挙げられる。また、無機充填剤として、繊維長の短いチタン酸カリウムウイスカー、酸化亜鉛ウイスカー等のウイスカーを用いてもよい。なお、本実施形態の樹脂組成物は、芳香族ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂等の高融点有機繊維状物質を含有してもよい。
粉粒子状充填剤としては、特に限定されないが、具体的には、カーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、カオリン、クレー、珪藻土、ウォラストナイトのような珪酸塩;酸化鉄、アルミナのような金属酸化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウムのような金属硫酸塩;炭酸マグネシウム、ドロマイト等の炭酸塩;その他炭化珪素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末が挙げられる。板状充填剤としては、特に限定されないが、具体的には、マイカ、ガラスフレーク、各種金属箔が挙げられる。中空状充填剤としては、特に限定されないが、具体的には、ガラスバルーン、シリカバルーン、シラスバルーン、金属バルーンが挙げられる。
これらの充填剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの充填剤は表面処理されたもの及び未表面処理のもののいずれであってもよいが、成形表面の平滑性、機械的特性の点から、表面処理されたものの方が好ましい場合がある。表面処理剤としては従来公知のものが使用可能である。表面処理剤として、例えば、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、ジルコニウム系等の各種カップリング処理剤を使用することができる。具体的には、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、イソプロピルトリスステアロイルチタネート、ジイソプロポキシアンモニウムエチルアセテート、n−ブチルジルコネートが挙げられる。
結晶核剤としては、結晶性樹脂の結晶化速度を向上させる能力を有する物質であれば、特に限定されないが、具体的には、窒化ホウ素、タルク、1,3:2,4−ビス−O−(4−メチルベンジリデン)−D−ソルビトール等で市販されているソルビトール系結晶核剤が挙げられる。
導電剤としては、特に限定されないが、具体的には、導電性カーボンブラック、金属粉末、及び金属繊維が挙げられる。炭素繊維も導電性目的で配合していれば包含される。
熱可塑性樹脂としては、特に限定されないが、具体的には、アクリル樹脂、スチレン樹脂、ポリカーネート樹脂、及び未硬化のエポキシ樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂の変性物を熱可塑性樹脂として用いてもよい。熱可塑性エラストマーとしては、例えば、ポリウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリスチレン系エラストマー、ポリアミド系エラストマーが挙げられる。
顔料としては、特に限定されないが、具体的には、無機系顔料、有機系顔料、メタリック系顔料、及び蛍光顔料が挙げられる。ここで、無機系顔料としては、樹脂の着色用として一般的に用いられているものが挙げられ、チタンイエロー、コバルトブルー、燃成顔料、炭酸塩、りん酸塩、酢酸塩、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラックが例示される。また、有機系顔料としては、例えば、縮合ウゾ系、イノン系、フロタシアニン系、モノアゾ系、ジアゾ系、ポリアゾ系、アンスラキノン系、複素環系、ペンノン系、キナクリドン系、チオインジコ系、ベリレン系、ジオキサジン系、フタロシアニン系の顔料が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物への顔料の添加割合は、求められる色調により大幅に変化するため明確に規定することは困難であるが、一般的には、(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、0.005〜5質量部の範囲で用いることができる。
〔着色された樹脂組成物の製造方法〕
次に本実施形態の着色された樹脂組成物の好適な製造方法について説明する。本樹脂組成物の製造に用いることのできる装置としては、一般に使用されている混練機が適用できる。その装置としては、例えば、一軸又は多軸混練押出機、ロール、バンバリーミキサーが挙げられる。加工容易性と生産性の観点から、一軸又は多軸混練押出機がより好ましく使用できる。それらの中でも、二軸押出機が最も好ましく使用できる。
二軸押出機としては、L/D(スクリュー径/スクリュー長さ)が40以上で、かつ、上流側供給口以外にも1箇所以上の供給口を有する二軸押出機がより好ましく使用できる。
また、二軸押出機のスクリュー径は、生産を考慮した場合、量産性と供給安定性の観点から、二軸押出40mm以上であることが好ましい。
上流側以外に供給口を有する二軸押出機を使用する際、原料は分けて押出機に供給することが可能である。その組み合わせの一例としては、(A)ポリアセタール樹脂を上流側供給口より供給し、残りの成分全てを上流側以外の供給口より供給する方法が挙げられる。もちろんこれら供給方法は、公知の供給方法であれば特に問題なく使用可能である。
本実施形態の樹脂組成物を押出機等で加工する際は、加工時にバレル内の一部分を減圧環境とし、不要な揮発成分を除去することが、より好ましく実施可能である。その際の減圧度は特に制限はないが、少なくとも0.07MPaとすることが望ましい。
〔成形体〕
本実施形態の成形体は、樹脂組成物を含む。また、本実施形態は、樹脂組成物を含むペレットも包含する。
ペレットは、一般的には上述の押出機による加工で得られる。ペレットの形状としては、ストランド状に押出してペレタイズした場合においては、円柱状のペレットが得られる。また、ホットカット法、アンダーウォーターカット法等で得られたペレットは球状のペレットが得られる。好ましいペレットの粒子径の上限は、3mmである。好ましい下限は1mmである。円柱状ペレットの場合の好ましい上限は、直径が3mmで、長さが4mmであり、下限は直径が1mm、長さが2mmである。後の成形加工時の噛み込み性の観点から、上限は上記であることが好ましく、ペレットのニューマー輸送時の詰まり等を防止するため、下限は、上記であることが好ましい。
成形体は、いかなる形状のものも本実施形態に包含される。本実施形態でいう成形体とは、例えば、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発砲射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等で得られた本実施形態の樹脂組成物からなる物品を指す。
上記製法により得られる物品としては、通常の射出成形品以外に、繊維、シート・フィルム、異型押出品も含む。
具体的な部品としては、ハードディスク内部品(ランプ、ラッチ)、歯車、カム、スライダー、レバー、アーム、クラッチ、フェルトクラッチ、アイドラギアー、プーリー、ローラー、コロ、キーステム、キートップ、シャッター、リール、シャフト、関節、軸、軸受け及びガイド等に代表される機構部品;アウトサート成形の樹脂部品;インサート成形の樹脂部品;シャーシ、トレー、側板、プリンター及び複写機に代表されるオフィスオートメーション機器用部品;VTR(Video Tape Recorder)、ビデオムービー、デジタルビデオカメラ、カメラ及びデジタルカメラに代表されるカメラ又はビデオ機器用部品;カセットプレイヤー、DAT、LD(Laser Disk)、MD(Mini Disk)、CD(Compact Disk)〔CD−ROM(Read Only Memory)、CD−R(Recordable)、CD−RW(Rewritable)を含む〕、DVD(Digital Video Disk)〔DVD−ROM、DVD−R、DVD+R、DVD−RW、DVD+RW、DVD−R DL、DVD+R DL、DVD−RAM(Random Access Memory)、DVD−Audioを含む〕、Blu−ray Disc、HD−DVD、その他光デイスクドライブ、MFD、MO、ナビゲーションシステム及びモバイルパーソナルコンピュータに代表される音楽、映像又は情報機器;携帯電話及びファクシミリに代表される通信機器用部品;電気機器用部品が挙げられる。
また、その成形品は、自動車用の部品などとしても用いることも可能であり、例えば、ガソリンタンク、フュエルポンプモジュール、バルブ類、ガソリンタンクフランジ等に代表される燃料廻り部品;ドアロック、ドアハンドル、ウインドウレギュレータ、スピーカーグリル等に代表されるドア廻り部品;シートベルト用スリップリング、プレスボタン等に代表されるシートベルト周辺部品;コンビスイッチ部品、スイッチ類、及びクリップ類の部品;さらにシャープペンシルのペン先、及びシャープペンシルの芯を出し入れする機構部品;洗面台並びに排水口及び排水栓開閉機構部品;自動販売機の開閉部ロック機構及び商品排出機構部品;衣料用のコードストッパー、アジャスター及びボタン;散水用のノズル及び散水ホース接続ジョイント;階段手すり部及び床材の支持具である建築用品;使い捨てカメラ、玩具、ファスナー、チェーン、コンベア、バックル、スポーツ用品、自動販売機、家具、楽器及び住宅設備機器に代表される工業部品としても好適に用いられる。
これら用途の中でも、特に、本実施形態の樹脂組成物は、その優れた耐傷つき性と熱安定性を活かし、ハードディスク内部品として極めて有用である。特に樹脂組成物を含むハードディスクランプ材は極めて有用である。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、本発明は上記本実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
以下、実施例及び比較例によって、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらにより限定されるものではない。
実施例、比較例には以下の原料を用いた。
[(A)ポリアセタール樹脂]
(1)1,3−ジオキソラン0.5モル%を共重合成分として含む、メルトマスフローレート(以下MFRと略記:条件 ISO1133,A法に準拠 190℃,2.16kg荷重)が9.5g/10分のポリアセタールコポリマー:以下、POM−C1と略記する。
(2)1,3−ジオキソラン0.5モル%を共重合成分として含む、メルトマスフローレートが30g/10分のポリアセタールコポリマー:以下、POM−C2と略記する。
(3)1,3−ジオキソラン1.5モル%を共重合成分として含む、MFRが10g/10分のポリアセタールコポリマー:以下、POM−C3と略記する。
(4)MFRが11g/10分の、末端がアセチル基で封鎖されたポリアセタールホモポリマー:以下、POM−Hと略記する。
[(B)ポリオレフィン]
(1)低密度ポリエチレン[サンテックLD L1850A:旭化成ケミカルズ社製]:以下、LDPEと略記する。
(2)エチレン−ブテン共重合体[タフマーA70090:三井化学社製]:以下、EBRと略記する。
(3)エチレン−アクリル酸エチル共重合体[レクスパールA1100:日本ポリエチレン社製]:以下、EEA−1と略記する。
(4)エチレン−アクリル酸エチル共重合体[レクスパールA3100:日本ポリエチレン社製]:以下、EEA−2と略記する。
[白色顔料]
(1)硫化亜鉛 [サクトリスHC:サクトルベン社製]:以下、ZnSと略記する。
(2)アナターゼ型酸化チタン [TA−300:富士チタン工業社製(酸化アルミニウムと非晶質シリカの合計量=2質量%)]:以下、A−TiO2と略記。
(3)ルチル型酸化チタン [RCL−4:ミレニアムケミカルズ社製(酸化アルミニウムと非晶質シリカの合計量=11質量%)]:以下、R−TiO2−1と略記。
(4)ルチル型酸化チタン [R−TC30:タイオキサイド社製(酸化アルミニウムと非晶質シリカの合計量=8質量%)]:以下、R−TiO2−2と略記。
[その他の成分]
上記以外の成分として、ポリアセタール樹脂100質量部に対して、粉末状ポリアミド6,6(蟻酸相対粘度(RV):22)を0.35質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(ビス[3−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオン酸][エチレンビス(オキシエチレン)]、BASF社製、商品名「イルガノックス245」)を0.3質量部配合した。また、顔料の添着剤として、ポリアセタール樹脂とポリオレフィン樹脂の合計100質量部に対し、平均分子量420の流動パラフィンを0.05質量部配合した。
[着色された樹脂組成物の製造方法]
上流側に1箇所の供給口を有する同方向回転二軸押出機(商品名「TEM26SS」、東芝機械株式会社製)のシリンダー温度を210℃に設定し、吐出量が15kg/時間となるよう、フィーダーを調整し、スクリュー回転数150rpmの条件でストランド状に押し出し、冷却し、ペレタイズすることにより、樹脂組成物からなる樹脂ペレットを得た。
この際、すべての原料は、ドラムブレンダーを用いて、予め均一に混合したものを押出機に供給した。この際の混合方法は、粉体原料の偏在を抑制するため、まず、ポリアセタール樹脂,ポリオレフィン,流動パラフィンをブレンドした後、粉体原料(無機フィラー、粉末状ポリアミド6,6、ヒンダードフェノール酸化防止剤)を添加し、再度ブレンドする方法を用いた。また、下流側に取り付けた真空吸引ポートより、揮発分及び水分の除去を行った。
[各種評価方法]
各種評価方法の詳細について以下に述べる。
(押出時の臭気)
樹脂組成物の押出加工時のペレタイザー周辺の臭気を官能試験により評価した。なお、評価基準は以下の通りである。
A:ほとんど臭気がない。
B:臭気がある
C:かなり強い臭気がある。
(ペレットの熱安定性:樹脂組成物ペレットのホルムアルデヒド発生速度(ppm/分))
あらかじめ140℃で1時間乾燥処理を施した樹脂組成物のペレット3gを、窒素気流(50NL/hr)下、220℃に加熱溶融し、発生するホルムアルデヒドを水に吸収した後、ホルムアルデヒド水溶液中のホルムアルデヒド量を亜硫酸ソーダ法により滴定した。
その際、加熱開始から2分後までのホルムアルデヒド発生量(ppm)をY2、同10分後までをY10、同30分をY30、同50分をY50、同90分をY90とし、下式によりホルムアルデヒド発生速度(ppm/分)を算出した。
2分〜10分の発生速度 H0=(Y10−Y2) /8(ppm/分)
10分〜30分の発生速度 H1=(Y30−Y10)/20(ppm/分)
50分〜90分の発生速度 H2=(Y90−Y50)/40(ppm/分)
これらの値はそれぞれ、H0が、樹脂組成物に付着したホルムアルデヒド起因、H1が、ポリアセタール樹脂の末端分解によって生じるホルムアルデヒド起因、H2がポリアセタール樹脂の主鎖分解によって生じるホルムアルデヒド起因を表し、これらの値が小さいことは、熱安定性に優れることを示す。
(金型汚染性)
射出成形機(商品名「EC−5P」、東芝機械株式会社製)に、直径30mmの歯車(モジュール:0.6、歯数:60個、歯幅:3mm、ゲート数:3点、ゲート形状:0.2mm径ピンポイントゲート)が成形可能な金型を取り付け、成形機のシリンダー温度を200℃、金型温度を30℃に設定し、射出圧力及び保圧力とも、100MPaに固定し、樹脂組成物の成形を実施した。300ショットを連続で成形した後に、金型キャビティー内部及び周辺を観察し、下記の指標でモールドデポジットによる金型汚染の状況を評価した。
AAA:金型表面にまったく析出物が確認されず、金型汚染は認められない。
AA:ガス抜き部分に、若干の析出物が確認される。
A:ガス抜き部分及びウェルド部分に若干の析出物が確認される。
B:ガス抜き部分、ウェルド部分及び金型のパーテーション部分に、析出物が明瞭に確認される。
C:ガス抜き部分、ウェルド部分及び金型のパーテーション部分に、かなりの量の析出物が確認される。
(耐傷付き性)
射出成形機(EC−75NII 東芝機械株式会社製)を用いて、シリンダー温度を200℃、金型温度を70℃に設定し、ISO294−1に準拠して多目的試験片を成形した。得られた試験片を10mm×10mm×4mmの形状に切断し、測定用サンプルを得た。得られたサンプルをナノトライボメーター(CSMインスツルメンツ社製)を用いて、0.4Nの荷重、摺動速度:10mm/秒、移動距離:0.2mm,往復回数:12万回の条件でスクラッチ試験を実施した。スクラッチ試験後のサンプルの表面粗さを非接触三次元平面度測定器[RTI4100:WYCO社製]を用いて、深さ方向に測定し、最も深い傷の深さを測定した。結果は、「傷深さ」として記載した。傷深さが浅いほど耐傷付き性に優れることを示す。
(引張破壊呼びひずみ)
ISO294−1に準拠して成形された多目的試験片を用いて、ISO527−1に準拠し、23℃での引張破壊呼びひずみを測定した。
(ノッチ付シャルピー衝撃強度)
ISO294−1に準拠して成形された多目的試験片の両端を切断し、ISO179−1/1eAに準拠し、ノッチ付シャルピー衝撃強度を測定した。結果は、「シャルピー衝撃強度」として記載した。
(耐熱エージング性)
ISO294−1に準拠して成形された多目的試験片を用いて、150℃に設定された熱風オーブン中で、耐熱エージング特性を評価した。具体的には、重量を測定し、重量が初期の重量に対して1%減少する日数で評価した。日数が多いほど、耐熱エージング性に優れるということとなる。
各成分が表1に示す組成となるよう、樹脂組成物を上述のようにして製造し、上記各種評価方法により評価した。結果を表1に示す。
本発明は上述のとおり、押出時の臭気の低さ、ペレットの熱安定性、金型汚染性の低さに優れ、傷付きにくいという特性があり、ハードディスク内部部品等に好適に利用できる。

Claims (8)

  1. (A)ポリアセタール樹脂、(B)ポリオレフィン、及び(C)ルチル型酸化チタンを含み、
    前記(C)ルチル型酸化チタンの量が、前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対して、1.0質量部未満である、着色された樹脂組成物。
  2. 前記(B)ポリオレフィンが、エチレンユニットを少なくとも80質量%有する共重合体である、請求項1に記載の着色された樹脂組成物。
  3. 前記(B)ポリオレフィンが、エチレンと、α、β−不飽和カルボン酸及び/又はα、β−不飽和カルボン酸誘導体と、の共重合体である、請求項1又は2に記載の着色された樹脂組成物。
  4. 前記(B)ポリオレフィンが、α、β−不飽和カルボン酸ユニット及び/又はα、β−不飽和カルボン酸誘導体ユニットを5〜20質量%有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の着色された樹脂組成物。
  5. 前記α、β−不飽和カルボン酸及び前記α、β−不飽和カルボン酸誘導体が、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、メタクリル酸プロピル、アクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸−n−ブチル、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ラウリル、メタクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ステアリル、アクリル酸グリシジル、及びメタクリル酸グリシジルからなる群から選ばれる1種以上である、請求項3に記載の着色された樹脂組成物。
  6. 前記(B)ポリオレフィンの量が、前記(A)ポリアセタール樹脂100質量部に対し、0.1〜10質量部である、請求項1〜5いずれか1項に記載の着色された樹脂組成物。
  7. 前記(C)ルチル型酸化チタン中に含まれる、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、及び非晶質シリカの合計量が10質量%以下である、請求項1〜6いずれか1項に記載の着色された樹脂組成物。
  8. 請求項1〜7いずれか1項に記載の着色された樹脂組成物を含む、成形体。
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