JP2020045405A - ポリアセタール系樹脂組成物及びその成形品 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、軸穴摺動性を向上させたポリアセタール系樹脂組成物及びその成形品を提供することを目的とする。【解決手段】(a)ポリアセタール系樹脂を100質量部と、(b)数平均分子量(Mn)が400〜1000である流動パラフィンを0.01〜1質量部と、(c)無機系顔料を0.01〜3質量部とを含有することを特徴とする、ポリアセタール系樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアセタール系樹脂組成物及びその成形品に関する。
ポリアセタール系樹脂は、機械的強度及び剛性が高く、耐油性、耐有機溶剤性、自己潤滑性に優れ、広い温度範囲で各特性のバランスが良好な樹脂である(特許文献1参照)。
また、その加工が容易であることから、ポリアセタール系樹脂は、代表的なエンジニアリングプラスチックスとして、精密機器、家電・OA機器、自動車、工業材料及び雑貨等の機構部品・摺動部品を中心に広範囲に用いられている。
国際公開第98/21280号
ここで、ポリアセタール系樹脂組成物の成形体は、例えば、ローラー、プーリ、ギア、レバー等に用いる場合がある。このような成形体においては、成形体中に穴を形成し、その穴に対して軸を取り付けて、当該成形体を軸を中心に回転させて用いる場合がある。しかし、従来のポリアセタール系樹脂組成物では、成形体が長期間に亘る回転に対して摩耗することがあり、ポリアセタール系樹脂組成物として十分な軸穴摺動性を有することが望まれていた。
したがって、本発明は、軸穴摺動性を向上させたポリアセタール系樹脂組成物及びその成形品を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記従来技術の課題を解決するため鋭意検討したところ、ポリアセタール系樹脂組成物に含有される種々の添加剤の中でも、特定の顔料及び流動パラフィンを特定範囲の量で用いることにより、樹脂組成物の軸穴摺動性を向上させることができることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)(a)ポリアセタール系樹脂を100質量部と、(b)数平均分子量(Mn)が400〜1000である流動パラフィンを0.01〜1質量部と、(c)無機系顔料を0.01〜3質量部とを含有することを特徴とする、ポリアセタール系樹脂組成物。
(2)前記(a)ポリアセタール系樹脂が共重合体である、(1)に記載のポリアセタール系樹脂組成物。
(3)メルトフローレート(MFR)(ISO1133条件Dに準拠)が0.1〜30g/10分である、(1)又は(2)に記載のポリアセタール系樹脂組成物。
(4)(d)MFR(ISO1133条件Dに準拠)が0.2〜100g/10分である低密度ポリエチレン系樹脂を、前記(a)ポリアセタール系樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部さらに含有する、(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアセタール系樹脂組成物。
(5)(1)〜(4)のいずれかに記載のポリアセタール系樹脂組成物を含むことを特徴とする、成形品。
本発明によれば、軸穴摺動性を向上させたポリアセタール系樹脂組成物及びその成形品を提供することができる。
本実施形態のポリアセタール系樹脂組成物からなるプーリの一例を示す概略図(斜視図)である。 本実施形態のポリアセタール系樹脂組成物からなるプーリ、当該プーリに差し込んだシャフト、及びプーリを回転させるための荷重付与式駆動ベルトの一例を示す概略図(斜視図)である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」ともいう)について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[ポリアセタール系樹脂組成物]
本実施形態に係るポリアセタール系樹脂組成物は、(a)ポリアセタール系樹脂を100質量部と、(b)数平均分子量(Mn)が400〜1000である流動パラフィンを0.01〜1質量部と、(c)無機系顔料を0.01〜3質量部とを含有する。これにより、当該樹脂組成物より得られる成形体が十分な軸穴摺動性を有することができる。
本実施形態のポリアセタール系樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)は、0.1〜30g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.5〜20g/10分、さらに好ましくは0.7〜10g/10分である。MFRが前記範囲にあると、成形性に優れる。
なお、MFRは、ISO1133条件Dに準拠して測定される値である。
本実施形態のポリアセタール系樹脂組成物は、下記の軸穴摺動試験で測定した軸穴摩耗量が、4.0mg以下であることが好ましく、3.0mg以下であることがより好ましく、さらに好ましくは2.0mg以下である。軸穴摩耗量を4.0mg以下とすることにより、ポリアセタール系樹脂組成物の軸穴摺動性を向上させることができる。
<軸穴摺動試験>
軸穴摺動試験は、試験装置として、摺動部品評価装置(神鋼造機株式会社製、樹脂製小型軸受摩擦摩耗試験機158273)を用いて行う。この摺動部品評価装置は、プーリとシャフト(SUS416製、径5.95mm)とが設置され、プーリには幅12.7mmの荷重付与式駆動ベルト(ゲイツ・ユニッタ(株)社製、B166MXL)が掛けられている。プーリは、当該ベルトを介して間欠回転(一定時間回転し、その後一定時間停止する)させることができ、さらにプーリに対して荷重が負荷するようになっている。
軸穴摺動試験は、シャフトを、ポリアセタール系樹脂組成物からなるプーリに差込み、プーリのシャフトへの押し当て荷重を2kgfにして、プーリを間欠回転させる。間欠回転は、雰囲気温度23℃にて、プーリの最大回転数を80rpmとして3秒間回転させ、クラッチにより1秒間停止することを1セットとし、このセットを100,000回行う。そして、試験前後のプーリの質量の変化を算出し、軸穴摺動試験を3回行った平均を軸穴摩耗量とする。
なお、ポリアセタール系樹脂組成物からなるプーリは、ポリアセタール系樹脂組成物を射出成形して得られる成形体であり、歯幅15mm、歯数20、内径5.97mm、肉厚2.2mm、つば部外形20mm、つば部肉厚2mmである。
図1に、ポリアセタール系樹脂組成物からなるプーリの一例として、プーリ1を示す。
また、図2に、摺動部品評価装置の評価部分の一例として、ポリアセタール系樹脂組成物からなるプーリ1、当該プーリ1に差し込んだシャフト2、及びプーリ1を回転させるための荷重付与式駆動ベルト3を示す。
−(a)ポリアセタール系樹脂−
本実施形態で用いる(a)ポリアセタール系樹脂は、オキシメチレン基を主鎖に有するポリマーをいい、特に限定されるものではなく、公知のポリアセタール系樹脂を用いることができる。(a)ポリアセタール系樹脂は、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態で用いる(a)ポリアセタール系樹脂としては、特に限定されないが、具体的には、例えば、ポリアセタールホモポリマー及びポリアセタールコポリマー、並びにそれらの混合物が挙げられる。
ポリアセタールホモポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド単量体及び/又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーを単独重合して得られるポリアセタールホモポリマーが代表例として挙げられる。また、ポリアセタールホモポリマーとして、例えば、両末端又は片末端に水酸基等の官能基を有する化合物、例えば、ポリアルキレングリコールの存在下、ホルムアルデヒド単量体及び/又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーを重合して得られるブロック成分を有するポリアセタールホモポリマーも用いることができる。
ここで、ホルムアルデヒドの環状オリゴマーとしては、特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒドの3量体(トリオキサン)や4量体(テトラオキサン)等が挙げられる。
ポリアセタールホモポリマーの製造方法は、特に限定されないが、例えば特公昭47―6420号公報や特公昭47−10059号公報に記載の重合方法で得ることができる。具体的には、ホルムアルデヒド単量体又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、重合触媒及び連鎖移動剤(分子量調節剤)と、有機溶剤とを原料として重合反応器に供給し、スラリー重合法によって製造することができる。また、得られたポリアセタールホモポリマー(末端が安定化されていない粗ポリアセタールホモポリマー)を公知の方法(例えば、特公昭63−452号公報に記載の方法等)により、エーテル基やエステル基などで末端を封止して安定化してもよい。
ポリアセタールコポリマーとしては、特に限定されないが、例えば、ホルムアルデヒド単量体又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、環状エーテル及び/又は環状ホルマールとを共重合させて得られるポリアセタールコポリマーが代表例として挙げられる。また、ポリアセタールコポリマーとして、例えば、同じく両末端又は片末端に水酸基等の官能基を有する化合物、例えば、水素添加ポリブタジエングリコールの存在下、ホルムアルデヒド単量体及び/又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、環状エーテル及び/又は環状ホルマールとを共重合させて得られるブロック成分を有するポリアセタールコポリマーも用いることができる。更に、ポリアセタールコポリマーとして、例えば、単官能グリシジルエーテルを共重合させて得られる分岐を有するポリアセタールコポリマーや、多官能グリシジルエーテルを共重合させて得られる架橋構造を有するポリアセタールコポリマーも用いることができる。
環状エーテル及び環状ホルマールは、特に限定されないが、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、スチレンオキサイド、オキセタン、1,3−ジオキソラン、エチレングリコールホルマール、プロピレングリコールホルマール、ジエチレングリコールホルマール、トリエチレングリコールホルマール、1,4−ブタンジオールホルマール、1,5−ペンタンジオールホルマール、1,6−ヘキサンジオールホルマール等のグリコールやジグリコールの環状ホルマール等が挙げられ、中でもエチレンオキサイド、1,3−ジオキソラン、1,4−ブタンジオールホルマールが好ましい。これらは、1種のみを単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ポリアセタールコポリマーの製造方法は、特に限定されないが、例えば従来公知の方法、US−A−3027352、US−A−3803094、DE−C−1161421、DE−C−1495228、DE−C−1720358、DE−C−3018898及び特開昭58−98322号、特開平7−70267号等に記載の方法によって重合することができる。具体的には、カチオン開始剤を重合触媒とし、ホルムアルデヒド単量体又はホルムアルデヒドの環状オリゴマーと、コモノマーである環状エーテル化合物及び/又は環状ホルマール化合物と、連鎖移動剤(分子量調節剤)と、有機溶剤とを原料として重合反応器に供給して、連続塊状重合反応によって製造する方法が挙げられる。また、得られたポリアセタールコポリマー(末端が安定化されていない粗ポリアセタールコポリマー)を公知の方法(例えば、特公昭63−452号公報に記載の方法等)により、エーテル基やエステル基などで末端を封止して安定化してもよい。
本実施形態においては、(a)ポリアセタール系樹脂は、ポリアセタールコポリマーであることが好ましく、これにより、ポリアセタール系樹脂組成物の押出成形体にヤケ筋(押出成形時に樹脂が分解して成形体内部から表面にかけて茶色のすじが発生する現象)が発生する可能性を抑制することができる。
本実施形態においては、(a)ポリアセタール系樹脂のMFRは、0.3〜20g/10分であることが好ましく、より好ましくは0.6〜18g/10分、更に好ましくは0.8〜15g/10分である。MFRが上記範囲にあると、成形性に優れる。
なお、MFRは、ISO1133条件Dに準拠して測定される値である。
(a)ポリアセタール系樹脂のポリアセタール系樹脂組成物100質量%中の含有量は、90質量%以上としてよく、98質量%以上が好ましい。
−(b)流動パラフィン−
本実施形態のポリアセタール系樹脂組成物は、(b)流動パラフィンを含有する。当該(b)流動パラフィンは、数平均分子量(Mn)が400〜1000であり、ポリアセタール系樹脂組成物中において、(a)ポリアセタール系樹脂100質量部に対して、0.01〜1質量部の量で含有されている。ポリアセタール系樹脂組成物中に(b)流動パラフィンを含有させることにより、(a)ポリアセタール系樹脂と後述する他の成分及び種々の添加剤とを均一に混合されるようにすることができるとともに、ポリアセタール系樹脂組成物の軸穴摺動性を向上させることができる。
ここで、流動パラフィンは、一般的に、炭素数20以上の鎖式飽和炭化水素の混合物を主成分とするものであるところ、本実施形態で用いる(b)流動パラフィンの数平均分子量(Mn)は400〜1000であり、好ましくは400〜700であり、より好ましくは450〜700、さらに好ましくは450〜600である。
(b)流動パラフィンとして、数平均分子量(Mn)が400以上のものを用いることにより、ポリアセタール系樹脂組成物の軸穴摺動性を向上させることができる。より具体的には、理由は定かではないが、ポリアセタール系樹脂組成物より得た穴が形成された成形体に対して軸を取り付け、当該成形体を軸を中心に回転させて用いる場合において、軸と成形体との間に、成形体の回転によって僅かに存在し得る後述の(c)無機系顔料や(b)流動パラフィンが軸受けのころ及び潤滑油のような機能を果たすこととなる。当該機能は、(b)流動パラフィンの数平均分子量(Mn)が400以上であることにより、十分に向上させることができる。
また、(b)流動パラフィンとして、数平均分子量(Mn)が1000以下のものを用いることにより、後述の(c)無機系顔料をポリアセタール系樹脂中に分散させやすくすることができる。
なお、(b)流動パラフィンの数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定することができる。具体的には、数平均分子量(Mn)の測定は、下記の条件で行うことができ、測定結果から、市販の単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線(一次近似)に基づいて数平均分子量(Mn)を求めることができる。なお、本願における分子量とは、数平均分子量のことである。
装置:Waters社製150−C ALC/GPC
検出器:RI検出器
移動相:o−ジクロロベンゼン(高速液体クロマトグラフ用)
試料濃度:1%溶液
流量:1.0mL/分
カラム:昭和電工(株)製AT−807Sを1本と東ソー(株)製TSK−gelGMH−H6を2本とを直列に連結
カラム温度:140℃
注入量:0.5mL
ここで、(b)流動パラフィンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、(株)MORESCO製のモレスコホワイトP−40、P−55、P−60、P−70、P−80、P−100、P−120、P−150、P−200、P−260、P−350、和光純薬工業(株)製の炭化水素系流動パラフィン等を用いることができる。これらの流動パラフィンは、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい
また、(b)流動パラフィンとしては、常温(25℃)で液体であるものが好ましい。
さらに、本実施形態で用いる(b)流動パラフィンのポリアセタール系樹脂組成物中の含有量は、(a)ポリアセタール系樹脂100質量部に対して、0.01〜1質量部であり、好ましくは0.05〜0.5質量部であり、より好ましくは0.07〜0.3質量部である。
含有量を0.01質量部以上とすることにより、ポリアセタール系樹脂組成物の軸穴摺動性を向上させることができ、含有量を1質量部以下とすることにより、ポリアセタール系樹脂組成物より得られる成形品から(b)流動パラフィンがブリードすることを抑制するとともに、成形品の欠陥、具体的には成形品の表面が剥離するのを抑制することができる。
−(c)無機系顔料−
本実施形態のポリアセタール系樹脂組成物は(a)ポリアセタール系樹脂100質量部に対して、(c)無機系顔料を0.01〜3質量部含有する。ポリアセタール系樹脂組成物中に(c)無機系顔料を含有させることにより、ポリアセタール系樹脂組成物の軸穴摺動性を向上させることができる。より具体的には、理由は定かではないが、ポリアセタール系樹脂組成物より得た穴が形成された成形体に対して軸を取り付け、当該成形体を軸を中心に回転させて用いる場合において、成形体の回転により(c)無機系顔料が僅かに存在し、軸受けのころのような機能を果たすこととなり、ポリアセタール系樹脂組成物の軸穴摺動性を向上させることができる。また、ポリアセタール系樹脂組成物中に(c)無機系顔料を含有させることにより、視認性を向上させることができる。
なお、本実施形態において、顔料として有機系顔料ではなく無機系顔料を必須成分とするのは、有機系顔料は、樹脂組成物中に溶け込むことから、無機系顔料の場合に得られる上記の効果を発揮しにくいためである。
本実施形態の(c)無機系顔料は、無機物であれば特に限定されないが、例えば、樹脂の着色に一般的に使用されているものが挙げられ、クロム酸塩(黄鉛、クロムバーミリオン)、フエロシアン化物(紺青)、硫化物(カドミウムエロー、カドミウムレッド、硫化亜鉛)、酸化物(酸化チタン、ベンガラ、鉄黒、酸化亜鉛、チタンイエロー等の複合酸化物顔料(焼成顔料))、硫酸塩(硫酸バリウム、硫酸鉛)、珪酸塩(群青、珪酸カルシウム)、炭酸塩(炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム)、燐酸塩(コバルトバイオレット)、金属粉末(アルミニウム粉末、ブロンズ)、炭素(カーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック)、コバルトブルー、セルリアンブルーが挙げられる。本実施形態では、(c)無機系顔料としては、珪酸塩(群青)が好ましい。
本実施形態のポリアセタール系樹脂組成物において、(c)無機系顔料の含有量は、(a)ポリアセタール系樹脂100質量部に対して0.01〜3.0質量部であり、好ましくは0.1〜2.0質量部であり、より好ましくは0.15〜1.5質量部である。
(c)無機系顔料の含有量を0.01質量部以上にすることにより、ポリアセタール系樹脂組成物の軸穴摺動性を向上させることができる。より具体的には、理由は定かではないが、ポリアセタール系樹脂組成物より得た穴が形成された成形体に対して軸を取り付け、当該成形体を軸を中心に回転させて用いる場合において、成形体の回転により(c)無機系顔料が僅かに存在することとなる。その際、(c)無機系顔料の含有量を0.01質量部以上にすることにより、(c)無機系顔料が十分に軸と成形体の間に存在して軸受けのころのような機能を果たすことができる。また、(c)無機系顔料の含有量を3.0質量部以下にすることにより、成形体が摩耗しやすくなるのを抑制することができる。
また、(c)無機系顔料としては、その平均粒径が0.03〜2.0μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜1.0μmである。平均粒径を0.03〜2.0μmとすることにより、(c)無機系顔料を十分に軸受けのころのような役割として存在させることができる。
なお、(c)無機系顔料の平均粒径は、レーザー回折・散乱法により、粒度分布測定装置を用いて、個々の粒子を球状粒子に換算して求めた平均粒子径をいう。
−(d)低密度ポリエチレン系樹脂−
本実施形態のポリアセタール系樹脂組成物は、(d)MFRが0.2〜100g/10分である低密度ポリエチレン系樹脂を、(a)ポリアセタール系樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部さらに含有することができる。ポリアセタール系樹脂組成物が、(d)低密度ポリエチレン系樹脂を含有することにより、成形体中に巣が発生するのを抑制することができる。
本実施形態において、(d)低密度ポリエチレン系樹脂としては、高圧法低密度ポリエチレン及び/又は直鎖状低密度ポリエチレンを用いることができる。
高圧法低密度ポリエチレンは、1000〜3000kg/cm2の高圧下でのラジカル重合で製造される。重合中にback bitingによる分子内の水素引抜き反応により短鎖分岐(エチル分岐やブチル分岐)が生成し、低密度となっている。また、分子間の水素引抜き反応により、主鎖に比肩する分岐(長鎖分岐)を持つものである。その密度は0.91〜0.93g/cm3のものが一般的である。
また、直鎖状低密度ポリエチレンは、イオン重合により製造されるポリエチレンであり、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチルペン−1、1−オクテンのようなα−オレフィンをエチレンの重量に対して数%〜数十%重合させることにより短鎖分岐を導入して低密度にしたものである。その密度は0.88〜0.93g/cm3のものが一般的である。
本実施形態のポリアセタール系樹脂組成物において、(d)低密度ポリエチレン系樹脂が押出し成形品内部の白化と巣を改良するメカニズムは解明されていないが、短鎖分岐も長鎖分岐も殆ど存在しない高密度ポリエチレンではその改良効果が劣る点から考えて、その分岐構造が関係していると考えられる。一方、高圧法低密度ポリエチレンと直鎖状低密度ポリエチレンとを比較すると、高圧法低密度ポリエチレンの方がさらに優れており、長鎖分岐も大きな影響を与えていると考えられる。
(d)低密度ポリエチレン系樹脂は、MFRが0.2〜100g/10分であり、好ましくは0.4〜90g/10分である。MFRが0.2g/10分未満の場合は巣と白化の改良効果不十分である虞があり、MFRが100g/10分を超えると巣を発生を抑制する効果が低下する虞があるとともに押出機スクリューへの樹脂の噛込み性が悪化する場合がある。
なお、MFRは、ISO1133条件Dに準拠して測定される値である。
(d)低密度ポリエチレン系樹脂の含有量は、(a)ポリアセタール系樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部の範囲が好ましく、より好ましくは0.05〜3質量部である。含有量が0.01質量部未満では押出し成形品内部の白化と巣の改良効果が不十分となる虞があり、含有量が5質量部を超えると成形品の表面及び内部に剥離を生ずる虞がある。
−添加剤−
本実施形態のポリアセタール系樹脂組成物には、上記(a)ポリアセタール系樹脂、(b)流動パラフィン、(c)無機系顔料と共に、添加剤として無機充填剤を用いてもよい。また、本実施形態のポリアセタール系樹脂組成物には、更に他の特性を付与するため、本発明の効果を損なわない範囲で、他の添加剤、例えば、酸化防止剤、耐候(光)安定剤や熱安定剤等の安定剤、無機系顔料以外の顔料等を添加してもよい。
なお、本実施形態のポリアセタール系樹脂組成物には、これら添加剤は、本発明の効果を損なわない範囲で含有させることが好ましく、例えば、ポリアセタール系樹脂組成物100質量%中において、1質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.7質量%以下、さらに好ましくは0.4質量%以下である。
−−無機充填剤−−
無機充填剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、タルク、ガラス繊維、炭素繊維、窒化硼素、ハイドロタルサイト、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等の金属繊維等が挙げられる。
−−酸化防止剤−−
酸化防止剤としては、ヒンダートフェノール系酸化防止剤が好ましい。具体的には、特に限定されないが、例えば、n−オクタデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−オクタデシル−3−(3’−メチル−5’−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、n−テトラデシル−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート、1,6−ヘキサンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、1,4−ブタンジオール−ビス−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]、ペンタエリスリトールテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン等が挙げられ、トリエチレングリコール−ビス−[3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)−プロピオネート]及びペンタエリスリトールテトラキス[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタンが好ましい。これらの酸化防止剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
−−耐候(光)安定剤−−
本実施形態で用いる耐候(光)安定剤は、ベンゾトリアゾール系及び蓚酸アニリド系紫外線吸収剤並びにヒンダードアミン系光安定剤からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の例としては、特に限定されないが、例えば、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール等が挙げられる。好ましくは2−[2’−ヒドロキシ−3’,5’−ビス−(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチル−フェニル)ベンゾトリアゾールである。これらのベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
蓚酸アリニド系紫外線吸収剤の例としては、特に限定されないが、例えば、2−エトキシ−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−5−t−ブチル−2’−エチルオキザリックアシッドビスアニリド、2−エトキシ−3’−ドデシルオキザリックアシッドビスアニリド等が挙げられる。これらの蓚酸アリニド系紫外線吸収剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
ヒンダードアミン系光安定剤の例としては、特に限定されないが、例えば、N,N',N'',N'''−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、ジブチルアミン・1,3,5−トリアジン・N,N'−ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル−1,6−ヘキサメチレンジアミンとN−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)ブチルアミンの重縮合物、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジンエタノールとの縮合物、デカン2酸ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1(オクチルオキシ)−4−ピペリジニル)エステルと1,1−ジメチルエチルヒドロペルオキシドとオクタンとの反応生成物、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)[[3,5−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−ヒドロキシフェニル]メチル]ブチルマロネート、メチル、1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバケート、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物等が挙げられ、ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)−セバケート、ビス−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバケート、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノールとβ,β,β’,β’−テトラメチル−3,9−[2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン]ジエタノールとの縮合物が好ましい。これらのヒンダードアミン系光安定剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
熱安定剤の例としては、特に限定されないが、例えば、アミノ置換トリアジン化合物、アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドの付加物、アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドの縮合物、尿素、尿素誘導体、ヒドラジン誘導体、イミダゾール化合物、イミド化合物が挙げられる。
上記アミノ置換トリアジン化合物としては、例えば、2,4−ジアミノ−sym−トリアジン、2,4,6−トリアミノ−sym−トリアジン、N−ブチルメラミン、N−フェニルメラミン、N,N−ジフェニルメラミン、N,N−ジアリルメラミン、ベンゾグアナミン(2,4−ジアミノ−6−フェニル−sym−トリアジン)、アセトグアナミン(2,4−ジアミノ−6−メチル−sym−トリアジン)、2,4−ジアミノ−6−ブチル−sym−トリアジン等が挙げられる。
上記アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドとの付加物としては、例えば、N−メチロールメラミン、N,N’−ジメチロールメラミン、N,N’,N”−トリメチロールメラミンが挙げられる。
上記アミノ置換トリアジン化合物とホルムアルデヒドとの縮合物としては、例えば、メラミン・ホルムアルデヒド縮合物が挙げられる。
上記尿素誘導体としては、例えば、N−置換尿素、尿素縮合体、エチレン尿素、ヒダントイン化合物、ウレイド化合物が挙げられる。
上記N−置換尿素としては、例えば、アルキル基等の置換基が置換したメチル尿素、アルキレンビス尿素、アーリル置換尿素が挙げられる。
上記尿素縮合体としては、例えば、尿素とホルムアルデヒドの縮合体等が挙げられる。
上記ヒダントイン化合物としては、例えば、ヒダントイン、5,5−ジメチルヒダントイン、5,5−ジフェニルヒダントイン等が挙げられる。
上記ウレイド化合物としては、例えば、アラントイン等が挙げられる。
上記ヒドラジン誘導体としては、例えば、ヒドラジド化合物を挙げることができる。
上記ヒドラジド化合物としては、例えば、ジカルボン酸ジヒドラジドが挙げられ、更に具体的には、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、ピメリン酸ジヒドラジド、スペリン酸ジヒドラジド、アゼライン酸ジヒドラジド、セバチン酸ジヒドラジド、ドデカン二酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、フタル酸ジヒドラジド、2,6−ナフタレンジカルボジヒドラジド等が挙げられる。
上記イミダゾール化合物の具体例としては、イミダゾール、1‐メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾールなどが挙げられる。
上記イミド化合物の具体例としては、スクシンイミド、グルタルイミド、フタルイミドが挙げられる。
これらの熱安定剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
−−顔料−−
無機系顔料以外の顔料としては、特に限定されないが、例えば、有機系顔料、メタリック系顔料、蛍光顔料等が挙げられる。これらの顔料は、1種単独で用いてもよく、2種以上組み合わせて用いてもよい。
有機系顔料としては、特に限定されないが、例えば、縮合ウゾ系、イノン系、フロタシアニン系、モノアゾ系、ジアゾ系、ポリアゾ系、アンスラキノン系、複素環系、ペンノン系、キナクリドン系、チオインジコ系、ベリレン系、ジオキサジン系、フタロシアニン系等の顔料等が挙げられる。
[ポリアセタール系樹脂組成物の製造方法]
本実施形態のポリアセタール系樹脂組成物は、特に限定されないが、例えば、上述した(a)〜(c)成分及びその他の成分を、ヘンシェルミキサー、ブレンダー等で均一に混合し、混練機を用いて混練することによって、製造することができる。
混練機としては、例えば、押出機、加熱ロール、ニーダー、バンバリーミキサー等が挙げられ、特に、生産性の観点から、押出機が好ましく、安定な大量生産性の観点から、単軸又は二軸の押出機が更に好ましい。
混練温度は、ベースとなる(a)ポリアセタール系樹脂の好ましい加工温度に従って定められてよく、例えば、140〜260℃としてよく、180〜230℃とすることが好ましい。
各成分を混練機に加える順序は、特に限定されず、例えば、1種ずつ又は複数種まとめて混練機に加えてよく、また、上述のように複数種の成分からなる混合物を予め調製してもよい。
[成形品]
本実施形態の成形品は、上述した本実施形態のポリアセタール系樹脂組成物を含む。
前述のとおり、本実施形態のポリアセタール系樹脂組成物は、軸穴摺動性に優れるため、本実施形態の成形品は、様々な用途の成形体とすることができる。
本実施形態の成形体は、特に限定されないが、例えば、押出成形、射出成形、真空成形、ブロー成形、射出圧縮成形、加飾成形、他材質成形、ガスアシスト射出成形、発砲射出成形、低圧成形、超薄肉射出成形(超高速射出成形)、金型内複合成形(インサート成形、アウトサート成形)等の公知の成形方法を用いて、製造することができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例になんら限定されるものではない。
なお、実施例及び比較例で適用した物性測定方法、及び原料は以下ととおりとした。
〔物性測定方法〕
<MFR>
実施例及び比較例で用いた(a)ポリアセタール系樹脂、各例で得られたポリアセタール系樹脂組成物のMFRは、ISO1133条件Dに準拠して測定した。
<軸穴摩耗量>
実施例及び比較例で得られたポリアセタール系樹脂組成物について、軸穴摺動試験により軸穴摩耗量(mg)の測定を行った。
軸穴摺動試験は、試験装置として、摺動部品評価装置(神鋼造機株式会社製、樹脂製小型軸受摩擦摩耗試験機158273)を用いて行った。この摺動部品評価装置は、プーリとシャフト(SUS416製、径5.95mm)とが設置され、プーリには幅12.7mmの荷重付与式駆動ベルト(ゲイツ・ユニッタ(株)社製、B166MXL)が掛けられている。プーリは、当該ベルトを介して間欠回転(一定時間回転し、その後一定時間停止する)させることができ、さらにプーリに対して荷重が負荷するようになっている。
軸穴摺動試験は、シャフトを、実施例及び比較例のポリアセタール系樹脂組成物からなるプーリに差込み、プーリのシャフトへの押し当て荷重を2kgfにして、プーリを間欠回転させた。間欠回転は、雰囲気温度23℃にて、プーリの最大回転数を80rpmとして3秒間回転させ、クラッチにより1秒停止することを1セットとし、このセットを100,000回行った。そして、試験前後のプーリの質量の変化を算出し、軸穴摺動試験を3回行った平均を軸穴摩耗量とした。
なお、ポリアセタール系樹脂組成物からなるプーリは、実施例及び比較例のポリアセタール系樹脂組成物を射出成形して得た成形体であり、歯幅15mm、歯数20、内径5.97mm、肉厚2.2mm、つば部外形20mm、つば部肉厚2mmとした。射出成形は、射出成形機(FANUC社製、ROBOSHOTα5i)を用いて、シリンダー温度を200℃、金型温度を80℃とし、ポリアセタール系樹脂組成物を十分に充填してバリが出ていないことを確認しながら行った。
<押出特性>
実施例及び比較例で得られたポリアセタール系樹脂組成物(ペレット)を用いて、下記の方法で成形品を得、当該樹脂組成物の表面を手で触り、下記の基準で官能評価した。
丸棒状成形品:シリンダー温度180℃に設定されたL/D=25の30mmφ単軸押出機を用いて押出しを行い、押出機の先端部に設置された丸棒成形用金型(長さ1m、内径140mmφ、温度20℃)に流し込み、樹脂圧15kg/cm2の条件で丸棒状の成形品2.5mを得た。この際、押出機のスクリュー回転数は丸棒の成形スピードが300mm/hrとなるように調整を行った。
(評価基準)
○(優れる):成形品表面にべたつきがない。
△(可):成形品表面に多少べたつきがある。
×(不良):成形品表面に明らかにべたつきがある。
<顔料分散性>
実施例及び比較例で得られたポリアセタール系樹脂組成物(ペレット)を用いて、上記<押出特性>に記載した方法で成形体を得た後、当該成形体を厚さ3mmに切り出して試験片を作製した。当該試験片の表面をアズワン社マイスタールーペを用いて観察し、下記の基準で顔料分散性を評価した。
(評価基準)
○(優れる):年輪模様が認められない。
△(可):年輪模様が薄っすらと認められる。
×(不良):年輪模様が明らかに認められる。
なお、年輪模様とは、同心円状に濃淡が現れる模様のことをいう。
〔原料〕
実施例、比較例には下記成分を用いた。
<ポリアセタール系樹脂>
a−1:
熱媒を通すことのできるジャケット付き2軸パドル型連続重合反応機(栗本鐵工所製、径2B、L/D=14.8(L:重合反応機の原料供給口から排出口までの距離(m)、D:重合反応機の内径(m)))を80℃に調整した。
重合触媒として三フッ化ホウ素−ジ−n−ブチルエーテラート0.18g/hrと、有機溶剤として環状タイプのシクロヘキサン6.2g/hr及び直鎖タイプのn−ヘキサン0.3g/hrとを温度28℃にて連続的に混合した混合液と、連鎖移動剤としてメチラール690mg/hrと、コモノマーとして1,3−ジオキソラン120.9g/hrとを、トリオキサン3500g/hrに連続的に混合した混合液とを、別々の配管にて重合反応機に連続的に供給して重合を行い、粗ポリアセタール共重合体を得た。
重合反応機から排出された粗ポリアセタール共重合体を、トリエチルアミン水溶液(0.5質量%)中にサンプリングし、その後常温で1時間攪拌を実施した後、遠心分離機でろ過し、窒素下で120℃で3時間乾燥し、ポリアセタールコポリマーを得た。
得られたポリアセタール系樹脂のメルトフローレート(MFR)は2.8g/10分であった。
a−2:
連鎖移動剤としてのメチラールの添加量を480mg/hrとした以外はa−1と同様にして、ポリアセタールコポリマーを得た。得られたポリアセタール系樹脂のメルトフローレート(MFR)は1.7g/10分であった。
a−3:
連鎖移動剤としてのメチラールの添加量を2.2g/hrとした以外はa−1と同様にして、ポリアセタールコポリマーを得た。得られたポリアセタール系樹脂のメルトフローレート(MFR)は9.0g/10分であった。
a−4:
連鎖移動剤としてのメチラールの添加量を4.4g/hrとした以外はa−1と同様にして、ポリアセタールコポリマーを得た。得られたポリアセタール系樹脂のメルトフローレート(MFR)は30g/10分であった。
a−5:
熱媒を通すことのできるジャケット付きの5Lの攪拌付重合装置を温度60℃、攪拌回転数700rpmに調整した。
溶媒としてn−ヘキサンを10L/hrで連続供給しながら、水分を50ppm以下にしたホルムアルデヒドガス(以下、「M」と省略する)を680g/hr、触媒としてジアルキルジメチルアンモニウムアセテートを5×10-5mol/mol−M、分子量調節剤として無水酢酸を6.5×10-4mol/mol−Mで連続供給し、重合を行い粗ポリアセタール重合体を得た。得られた粗ポリアセタール重合体はセントルにて濾過した。
次いで、ジャケット付きの10Lの攪拌付装置を用いて、n−ヘキサン/無水酢酸の比が1.5の混合液、触媒として酢酸カリウムを混合液に対して40ppm、粗ポリアセタール重合体をスラリー濃度として25質量%になるように仕込み、温度150℃、攪拌回転数100rpmで末端安定化を実施した。得られたものをセントルにて濾過、洗浄、窒素下で100℃で3時間乾燥を行って、ポリアセタールホモポリマーを得た。
得られたポリアセタール系樹脂のメルトフローレート(MFR)は22.3g/10分であった。
<流動パラフィン>
b−1:数平均分子量480(株式会社MORESCO製、モレスコホワイトP−350P)
b−2:数平均分子量535(株式会社MORESCO製、モレスコホワイトP500)
b−3:数平均分子量250(株式会社MORESCO製、モレスコホワイトP−40)
b−4:数平均分子量300(株式会社MORESCO製、モレスコホワイトP−60)
<顔料>
c−1:カーボンブラック(CABOT社製、Monarch 800)
c−2:群青(第一化成製、群青No.1500)
c−3:紺青(大日精化製、MIORI BLUE)
c−4:コバルトブルー(トーヨーカラー社製、COSMOS BLUE AS)
c−5:セルリアンブルー(ホルベイン製、セルリアンブルー)
c−6:フタロシアニン(住化カラー製、Sumitone Cyanine Blue LBGN−2)
c−7:アンスラキノン(DIC製、Fasten Super Blue 6070S)
c−8:ポリアゾ(クラリアントジャパン社、Paliogen Red L 4045)
c−9:チタンイエロー(東罐マテリアルテクノロジー社、42−123A)
c−10:酸化チタン(BASFジャパン社、SicovasalWhite 002201)
<低密度ポリエチレン系樹脂>
d−1:MFRが7.0g/10分である低密度ポリエチレン(旭化成株式会社製 サンテック J340)
〔実施例1〕
(a−1)ポリアセタール系樹脂100質量部と、(b−1)流動パラフィン0.1質量部と、(c−1)無機系顔料0.2質量部と、(d−1)低密度ポリエチレン系樹脂0.2質量部とを、ヘンシェルミキサー及びブレンダーにて均一に混合し、次いで、混合物を、単軸押出機を用いて、180〜240℃で溶融混練し、ポリアセタール系樹脂組成物(ペレット)を得た。当該ペレットを用いて、各物性を前記各評価方法により評価した。結果を表1に示す。
〔実施例2〜17、比較例1〜12〕
表1に示すように各成分及びその含有量を変更した以外は、実施例1と同じ方法にてポリアセタール系樹脂組成物(ペレット)を得た。当該ペレットを用いて、各物性を前記各評価方法により評価した。結果を表1に示す。
Figure 2020045405
表1に示されるように、実施例1〜17は、比較例1〜12に比べて、樹脂組成物の押出特性や顔料分散性を確保しつつ、軸穴摺動性が向上していることが分かった。
本発明によれば、軸穴摺動性を向上させたポリアセタール系樹脂組成物及びその成形品を提供することができ、ローラー、プーリ、ギア、レバー等の機構部品・摺動部品等に好適に用いることができる。
1 プーリ
2 シャフト
3 荷重付与式駆動ベルト

Claims (5)

  1. (a)ポリアセタール系樹脂を100質量部と、(b)数平均分子量(Mn)が400〜1000である流動パラフィンを0.01〜1質量部と、(c)無機系顔料を0.01〜3質量部とを含有することを特徴とする、ポリアセタール系樹脂組成物。
  2. 前記(a)ポリアセタール系樹脂が共重合体である、請求項1に記載のポリアセタール系樹脂組成物。
  3. メルトフローレート(MFR)(ISO1133条件Dに準拠)が0.1〜30g/10分である、請求項1又は2に記載のポリアセタール系樹脂組成物。
  4. (d)MFR(ISO1133条件Dに準拠)が0.2〜100g/10分である低密度ポリエチレン系樹脂を、前記(a)ポリアセタール系樹脂100質量部に対して0.01〜5質量部さらに含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリアセタール系樹脂組成物。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリアセタール系樹脂組成物を含むことを特徴とする、成形品。
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