JP2013221179A - 転がり軸受 - Google Patents

転がり軸受 Download PDF

Info

Publication number
JP2013221179A
JP2013221179A JP2012093690A JP2012093690A JP2013221179A JP 2013221179 A JP2013221179 A JP 2013221179A JP 2012093690 A JP2012093690 A JP 2012093690A JP 2012093690 A JP2012093690 A JP 2012093690A JP 2013221179 A JP2013221179 A JP 2013221179A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
mass
less
content
rolling
nitride
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012093690A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6007562B2 (ja
Inventor
yusuke Morifuji
祐介 森藤
Hideyuki Uyama
英幸 宇山
Koki Yamada
紘樹 山田
Masako Tsutsumi
雅子 堤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NSK Ltd
Original Assignee
NSK Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NSK Ltd filed Critical NSK Ltd
Priority to JP2012093690A priority Critical patent/JP6007562B2/ja
Publication of JP2013221179A publication Critical patent/JP2013221179A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6007562B2 publication Critical patent/JP6007562B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Rolling Contact Bearings (AREA)
  • Heat Treatment Of Articles (AREA)

Abstract

【課題】通常の焼入れ温度を採用しても旋削性が良好な鋼を使用して、転がり軸受の組織変化型剥離を抑制する。
【解決手段】内輪1および外輪2を、クロム含有率〔Cr〕が0.9質量%以上1.8質量%以下の合金鋼からなる素材を所定形状に加工した後、浸炭窒化と焼入れ焼戻しを行って得る。軌道面にSi・Mn系窒化物を、面積比で1.0%以上5.0%以下の範囲で存在させる。軌道面の表面からボール3の直径の0.01倍に相当する深さの位置で、窒素の含有率〔N〕を0.05質量%以上、残留オーステナイト量を20体積%以上40体積%以下、圧縮残留応力を100MPa以上500MPa以下にする。
【選択図】図1

Description

この発明は、転がり軸受に関する。
転がり軸受は、長時間使用することによって金属疲労が生じ、内外輪の軌道面や転動体の転動面に剥離が生じる場合がある。剥離の形態としては、内部の非金属介在物を起点として生じた亀裂から剥離に至る「内部起点型剥離」と、異物混入による圧痕を起点として生じた亀裂から剥離に至る「表面起点型剥離」が、従来より良く知られている。
また、使用条件によっては、転がり軸受の使用中に内外輪および転動体の金属組織が変化して、その組織変化部を起点として生じた亀裂から早期に剥離に至る場合もある(組織変化型剥離)。金属組織の変化は、潤滑油の分解によって発生する水素が内外輪および転動体の金属組織に侵入することに起因して生じ、この水素が組織変化を加速していると考えられている。水素により、金属組織はマルテンサイトからフェライトへ変化する。この組織変化が生じた部分をエッチングを行って観察すると、フェライトに変化した部分が白く見える(白色組織)。
従来より、転がり軸受の組織変化型剥離を抑制するための提案がなされている(特許文献1〜4等を参照)。
特許文献1には、白色組織への組織変化を遅らせるクロムの含有率が高い(クロム含有率2.5〜17.0質量%)鋼を使用するとともに、鋼中の旧オーステナイト結晶粒径を小さくして水素の集積を抑制し、白色組織の成長を抑制するピン止め効果を有する炭化物および炭窒化物の鋼中含有率を特定することが記載されている。
特許文献2には、エンジン補機用の転がり軸受に関し、内輪、外輪、および転動体の少なくとも一つは下記の構成(a) を満たすことと、下記の構成(b) を有することが好ましいことが記載されている。
(a) 質量比で、Cの含有率が0.2〜0.6%、Crの含有率が2.5〜7.0%、Mnの含有率が0.5〜2.0%、Siの含有率が0.1〜1.5%、Moの含有率が0.5〜3.0%、Vの含有率が2.0%以下、Niの含有率が2.0%以下、残部がFeおよび不可避不純物である鋼からなる素材を所定形状に加工した後、浸炭又は浸炭窒化処理、焼入れ処理および焼戻し処理が施されて得られ、その転がり面をなす表層部は、CおよびNの合計含有率が質量比で1.0〜2.5%、残留オーステナイト量が体積比で15〜45%、硬さがロックウェル硬さでHRC60以上、炭化物および炭窒化物の少なくとも一種からなる析出物の存在率が転がり面内の面積比で15〜35%となっている。転がり面をなす表層部の定義に関しては、「表面から所定深さ(例えば、転動体直径Daの5%である0.05Da)までの範囲を指す」と記載されている。
(b) 前記転がり面をなす表層部の圧縮残留応力の最大値は、150〜2000MPaとなっている。
特許文献3には、エンジン補機用の転がり軸受の固定輪を下記の構成(c) および(d) を満たすものとすることにより、高振動で高荷重、且つ潤滑油に水が混入した状態となる条件下で使用されても、早期剥離が防止され、軸受寿命が大幅に延長できると記載されている。
(c) 合金成分として、炭素(C)を0.40重量%以上1.20重量%以下の範囲で、珪素(Si)および/またはアルミニウム(Al)を0.7重量%以上2.0重量%以下の範囲で、マンガン(Mn)を0.2重量%以上2.0重量%以下の範囲で、ニッケル(Ni)を0.1重量%以上3.0重量%以下の範囲で、クロム(Cr)を3.0重量%以上9.0重量%以下の範囲で含有し、下記の(1)式で示すクロム当量が9.0重量%以上17.0重量%以下である鉄鋼材料で形成された後、焼入れ、焼き戻しを施すことにより得られたものである。
Cr当量=[Cr]+2[Si]+1.5[Mo]+5[V]
+5.5[Al]+1.75[Nb]+1.5[Ti]‥‥(1)
(式中、[Cr],[Si],[Mo],[V],[Al],[Nb],[Ti]は、それぞれ、鉄鋼材料中のCr,Si,Mo,V,Al,Nb,Tiの含有率(重量%)を示す。)
(d) 軌道面の表面硬さがHRC57以上であり、軌道面に、直径が50nm以上500nm以下の微細炭化物が分散析出していて、軌道面に存在する炭化物の最大直径が10μm未満である。
特許文献4には、特定のグリースを使用することで、転がり軸受の組織変化型剥離の発生を抑制することが記載されている。このグリースは、増ちょう剤として特定のジウレア化合物をグリース全量に対して10〜30質量%、腐食防止剤としてベンゾトリアゾールまたはその誘導体をグリース全量の0.5〜10質量%、防錆剤としてナフテン酸塩及びコハク酸誘導体から選ばれる少なくとも1種をグリース全量の0.1〜10質量%及び基油を含有する。
一方、特許文献5には、異物混入潤滑下での耐摩耗性および耐焼き付き性を改善するために、転がり軸受の内輪、外輪、および転動体の少なくとも一つの表面層に、浸炭窒化処理又は窒化処理によるSi・Mn系窒化物を存在させ、前記表面層の窒素濃度を0.2wt%以上とし、Si・Mn系窒化物の面積率を1%以上10%未満とし、0.05μm以上1μm以下のSi・Mn系窒化物の面積375μm2 中の個数を100個以上にすることが記載されている。
また、特許文献5に記載された転がり軸受では、使用する鋼のSi含有率を0.3wt%以上2.2wt%以下、Mn含有率を0.3wt%以上2.0wt%以下、Si/Mnを5以下にし、Cr含有率は0.5wt%以上2.0wt%以下にしている。
特開2005−147352号公報 特開2005−314794号公報 特許第4273609号公報 特許第4188056号公報 特開2007−332390号公報
特許文献1〜3に記載された転がり軸受は、使用する鋼のクロム含有率が高いことに起因して、加工硬化が生じやすくなる。これに伴って、旋削性が低下するとともに、 焼入れ温度を高くする必要があることで熱処理性が低下する。そのため、特許文献1〜3に記載された転がり軸受には、生産性の低下により製造コストが上昇するという問題点がある。通常の焼入れ温度を採用すると、クロムの炭化物が溶け込み難くなり、必要な硬さが得られなくなる。
特許文献4に記載された特定のグリースを使用する方法だけでは、転がり軸受の組織変化型剥離を抑制できる効果が不十分である。
特許文献5には、転がり軸受の組織変化型剥離を抑制することに関する記載はなく、特許文献5に記載された転がり軸受では組織変化型剥離の抑制効果が得られない。
この発明の課題は、潤滑剤が分解され易い環境で使用された場合でも組織変化型剥離が生じにくい転がり軸受を、旋削性と熱処理性が良好な鋼を使用して得ることである。
上記課題を解決するために、この発明の転がり軸受は、内輪、外輪、転動体を有し、内輪および外輪の少なくとも何れかが下記の構成(1) 〜(4) を有することを特徴とする。
(1) 炭素含有率〔C〕が0.9質量%以上1.1質量%以下、珪素含有率〔Si〕が0.4質量%以上0.9質量%以下、マンガン含有率〔Mn〕が0.6質量%以上1.2質量%以下、クロム含有率〔Cr〕が0.9質量%以上1.8質量%以下、モリブデン含有率〔Mo〕が0.27質量%以下、ニッケル含有率〔Ni〕が0.2質量%以下、銅含有率〔Cu〕が0.2質量%以下、硫黄含有率〔S〕が0.01質量%以下、リン含有率〔P〕が0.02質量%以下、酸素含有率〔O〕が10質量ppm以下、残部が鉄(Fe)および不可避不純物である合金鋼からなる素材を所定形状に加工した後、浸炭または浸炭窒化と焼入れ焼戻しを行って得られる。
(2) 軌道面の表面位置(表面から深さ20μm以内)での窒素の含有率〔N〕が0.2質量%以上1.0質量%以下であり、軌道面の表面位置(深さ20μm以内)での炭素の含有率〔C〕が1.1質量%以上1.5質量%以下である。
(3) 軌道面に、珪素(Si)の窒化物およびマンガン(Mn)の窒化物からなるSi・Mn系窒化物が、面積比で1.0%以上5.0%以下の範囲で存在する。
(4) 軌道面から転動体の直径の0.01倍に相当する深さの位置(1%D位置)で、窒素の含有率〔N〕が0.05質量%以上0.42質量%以下、残留オーステナイト量が20体積%以上40体積%以下であり、圧縮残留応力が100MPa以上500MPa以下である。
この発明の転がり軸受は、内輪および外輪の少なくとも何れかについて、前記構成(1) で特定された熱処理を、軌道面の表面位置での状態が前記構成(2) を満たす状態となるまで行うことにより、前記構成(3) を有するものとなる。
また、前記構成(4) のうち1%D位置の〔N〕≧0.05質量%は、浸炭窒化時の雰囲気ガスの窒素濃度と雰囲気ガスでの保持時間を調整することで得られる。
さらに、前記構成(4) のうち1%D位置の圧縮残留応力が100MPa以上500MPa以下は、浸炭窒化時の保持温度と保持時間を調整することで得られる。その理由は、圧縮残留応力が、基地組織に対する炭素の固溶濃度が表面から深さ方向に勾配を有することにより付与され、固溶炭素の濃度勾配は浸炭窒化時の保持温度と保持時間により変化するためである。
そして、この発明の転がり軸受は、内輪および外輪の少なくとも何れかが前記構成(3) を有することで、Si・Mn系窒化物が軌道面から侵入する水素のトラップサイトになるため、金属組織内への水素の拡散速度が遅くなる。
具体的には、前記構成(1) で特定された合金鋼および熱処理により、軌道面に熱的に安定なSi・Mn系窒化物が、0.01μm〜1μmの大きさで、基地組織に均一に分散される。Si・Mn系窒化物の組成はSi:Mn≒5:1である。このSi・Mn系窒化物は、基地組織であるマルテンサイトと結晶構造が異なるため、水素を強くトラップする作用を有する。
また、このSi・Mn系窒化物は表面を硬化する作用も有する。この作用により、耐摩耗性および耐焼き付き性を向上する効果が得られる。
Si・Mn系窒化物の面積率が1.0%未満であると、これらの作用が実質的に得られない。Si・Mn系窒化物の面積率が5.0%を超えると、表面が硬すぎて研削性が不十分となる。
また、1%D位置の周辺は、軌道輪と転動体との接触部の材料内部に生じる剪断応力が最大になる位置であって、水素の局所集積が生じ易いため、この発明の転がり軸受では、前記構成(4) により、この位置での性状を水素による組織変化が生じないように、生じた場合でも剥離に至るまでの時間を長くできるように特定している。
具体的には、残留オーステナイトがSi・Mn系窒化物と同様に、基地組織であるマルテンサイトと結晶構造が異なるため、水素のトラップサイトになる。この残留オーステナイト量を20体積%以上にすることで、金属組織内への水素の拡散速度が遅くなる作用が実質的に得られる。残留オーステナイト量が40体積%を超えると、寸法安定性が不十分となる。
また、浸炭窒化により内部に拡散した低濃度の窒素には残留オーステナイト量を安定化させる作用がある。1%D位置での窒素の含有率〔N〕が0.05質量%以上であると、残留オーステナイト量を安定化する効果が実質的に得られる。1%D位置での窒素の含有率〔N〕が0.42質量%を超えると、靱性の低下により寿命が低下する場合がある。
さらに、1%D位置での圧縮残留応力が100MPa以上であると、組織変化部からの疲労亀裂の進展が抑制される。1%D位置での圧縮残留応力が500MPaを超えると、表面付近の靱性が低下する恐れがある。
[構成(1) で使用する合金鋼の組成について]
〔C〕を0.9質量%以上1.1質量%以下とする理由は以下の通りである。
炭素(C)は、焼入れによって基地(マトリックス)に固溶し、組織をマルテンサイト化することで鋼を強化する元素である。また、他の合金元素と結合して鋼中に硬い炭化物を形成させ、耐摩耗性を向上させる作用も有する。さらに、オーステナイトを安定化する元素であるため、残留オーステナイト量を多くする作用も有する。
残留オーステナイトの存在により鋼に侵入した水素が拡散し難くなるため、残留オーステナイト量が多いほど、水素が局所に集積し難くなって、鋼の組織変化が生じることを抑制できる。
これらの作用を得るために、炭素含有率を0.9質量%以上とする。
ただし、炭素含有率が1.1質量%を超えると、鋼中に粗大な炭化物が生成しやすくなり、靱性および加工性(研削性)が不十分となる。
〔Si〕を0.4質量%以上0.9質量%以下とする理由は以下の通りである。
珪素(Si)は、内外輪の軌道面および転動体の転動面にSi・Mn系窒化物を面積比で1.0%以上析出させるために、0.4質量%以上含有されている必要がある。
また、精鋼時に脱酸剤として作用し、基地に固溶して焼入れ性を向上させる作用も有する。さらに、マルテンサイトを安定化する元素であるため、水素によるマルテンサイトからフェライトへの組織変化を抑制する作用を有する。
ただし、珪素含有率が0.9質量%を超えると、靱性、冷間加工性および被削性が不十分となる。
〔Mn〕を0.6質量%以上1.2質量%以下とする理由は以下の通りである。
マンガン(Mn)は、内外輪の軌道面および転動体の転動面にSi・Mn系窒化物を面積比で1.0%以上析出させるために、0.6質量%以上含有されている必要がある。また、基地に固溶して焼入れ性を向上させる作用を有する。
また、マルテンサイトを安定化する元素であるため、水素によるマルテンサイトからフェライトへの組織変化を抑制する作用を有する。さらに、オーステナイトを安定化する元素でもあるため、鋼の組織変化の原因となる水素の局所集積を抑制する残留オーステナイト量を多くする作用も有する。
ただし、マンガン含有率が1.2質量%を超えると、残留オーステナイト量が多くなり過ぎて寸法安定性が低下する。
〔Cr〕を0.9質量%以上1.8質量%以下とする理由は以下の通りである。
クロム(Cr)は、基地に固溶して焼入れ性を向上させる作用を有する。また、炭素と結合して鋼中に硬い炭化物を形成し、耐摩耗性を向上させる作用を有する。また、マルテンサイトと炭化物を安定化する元素であるため、水素によるマルテンサイトからフェライトへの組織変化を抑制する作用を有する。クロム含有率が0.90質量%未満であると、これらの作用が実質的に得られない。
ただし、クロムは高価な元素であるため含有率は少ない方が好ましい。また、クロム含有率が1.8質量%を超えると、旋削性が不十分となる。つまり、クロム含有率が1.8質量%以下の合金鋼を使用することで、旋削性と熱処理性が良好になる。
〔Mo〕を0.27質量%以下とする理由は以下の通りである。
モリブデン(Mo)は、基地に固溶して焼入れ性および焼戻し軟化抵抗性を向上させる作用を有する。また、炭素と結合して鋼中に硬い炭化物を形成し、耐摩耗性を向上させる作用を有する。また、マルテンサイトを安定化する元素であるため、水素によるマルテンサイトからフェライトへの組織変化を抑制する作用を有する。さらに、オーステナイトを安定化する元素でもあるため、鋼の組織変化の原因となる水素の局所集積を抑制する残留オーステナイト量を多くする作用も有する。
モリブデンは高価な元素であり、必須成分ではないが、その含有率が0.01質量%未満であると、これらの作用が実質的に得られないため、モリブデンを含有させる場合にはその含有率を0.01質量%以上とする。
ただし、モリブデン含有率が0.27質量%を超えると、冷間加工性および被削性が不十分となって、生産性が低下する。
〔Ni〕を0.2質量%以下とする理由は以下の通りである。
ニッケル(Ni)は、基地に固溶して焼入れ性および靱性を向上させる作用を有する。また、オーステナイトを安定化する元素であるため、鋼の組織変化の原因となる水素の局所集積を抑制する残留オーステナイト量を多くする作用を有する。
ニッケルは高価な元素であるため、含有率を0.2質量%以下とする。また、ニッケルは必須成分ではないが、その含有率が0.01質量%未満であると、これらの作用が実質的に得られないため、ニッケルを含有させる場合にはその含有率を0.01質量%以上とする。
〔Cu〕を0.2質量%以下とする理由は以下の通りである。
銅(Cu)は、基地に固溶して焼入れ性および粒界強度を向上させる作用を有する。銅は必須成分ではないが、その含有率が0.02質量%未満であるとこれらの作用が実質的に得られないため、銅を含有させる場合にはその含有率を0.02質量%以上とする。
ただし、銅の含有率が0.20質量%を超えると、熱間鍛造性が不十分となって、生産性が低下する。
〔S〕を0.01質量%以下とする理由は以下の通りである。
硫黄(S)は、マンガン(Mn)と結合してMnSを形成し、介在物となるため、その含有率を0.01質量%以下にする。
〔P〕を0.02質量%以下とする理由は以下の通りである。
リン(P)は、結晶粒界に偏析して、粒界強度や破壊靱性を低下させるため、その含有率を0.02質量%以下にする。
〔O〕を10質量ppm以下とする理由は以下の通りである。
酸素(O)は、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、カルシウム(Ca)等と結合してAl2 3 、MgO、CaO等の酸化物を形成する。これらの酸化物は介在物となり、剥離の起点となるため、その含有率を10質量ppm以下にする。
したがって、この発明の転がり軸受は、旋削性と熱処理性が良好な鋼を使用していながら、潤滑剤が分解され易い環境で使用された場合でも組織変化型剥離が生じにくいものである。
この発明の転がり軸受の転動体は、下記の構成(1) および(5) 〜(7) を有することが好ましい。
(5) 転動面の表面位置(表面から深さ20μm以内)での窒素の含有率〔N〕が0.2質量%以上1.0質量%以下であり、転動面の表面位置(深さ20μm以内)での炭素の含有率〔C〕が1.1質量%以上1.5質量%以下である。
(6) 転動面に、珪素(Si)の窒化物およびマンガン(Mn)の窒化物からなるSi・Mn系窒化物が、面積比で1.0%以上5.0%以下の範囲で存在する。
(7) 転動面から転動体の直径の0.01倍に相当する深さの位置(1%D位置)で、窒素の含有率〔N〕が0.05質量%以上0.42質量%以下、残留オーステナイト量が20体積%以上40体積%以下であり、圧縮残留応力が600MPa以上1000MPa以下である。
前記構成(5) および(6) は、内輪および外輪についての構成(2) および(3) と同じである。前記構成(7) のうち圧縮残留応力以外は、内輪および外輪についての構成(4) と同じである。転動体の場合は、1%D位置での圧縮残留応力を、内輪および外輪の100MPa以上500MPa以下よりも高い600MPa以上1000MPa以下としている。
転動体は、その挙動から、内輪および外輪と比較して亀裂が進展しやすいため、1%D位置での圧縮残留応力が600MPa未満では、組織変化部からの疲労亀裂の進展を抑制する効果が不十分となる。1%D位置での圧縮残留応力が1000MPaを超えると、圧縮残留応力と釣り合う大きさで内部に発生する引張応力の作用によって、亀裂の進展が促進される場合がある。
転動体は、研磨後に行うボールピーニング加工によっても圧縮残留応力が付与されるため、同じ条件で浸炭窒化が行われた内輪および外輪よりも大きな圧縮残留応力が付与される。よって、1%D位置での圧縮残留応力が600MPa以上1000MPa以下は、浸炭窒化時の保持温度および保持時間と、ボールピーニング加工時のドラム回転速度および加工時間を調整することで得られる。
この発明の転がり軸受は、転動体が前記構成(6) を有することで、Si・Mn系窒化物が転動面から侵入する水素のトラップサイトになるため、転動体が前記構成(6) を有さない場合と比較して、金属組織内への水素の拡散速度が遅くなる。また、前記構成(7) により、水素の局所集積が生じ易い位置での性状を水素による組織変化が生じないように、生じた場合でも剥離に至るまでの時間を長くできるように特定している。
したがって、この発明の転がり軸受は、前記構成(1) および(5) 〜(7) を有する転動体を備えることにより、これ以外の転動体を備えたものと比較して、より一層組織変化型剥離が生じにくいものとなる。
この発明の転がり軸受は、また、下記の構成(8) のグリースにより潤滑されていることが好ましい。
(8) 基油と、ジウレア化合物からなる増ちょう剤と、カルボン酸またはカルボン酸金属塩からなる防錆剤と、アミン系の腐食防止剤と、ジチオカーバメイトからなる耐剥離添加剤とを含有するグリース。
ジウレア化合物は高温安定性に優れるため、高温環境下でのちょう度の低下が抑制される。カルボン酸またはカルボン酸金属塩からなる防錆剤は、腐食反応を抑制する効果が高い。アミン系の腐食防止剤は、水分の侵入に伴う潤滑剤や樹脂製保持器の劣化を防止する効果が高い。ジチオカーバメイトからなる耐剥離添加剤は、剥離寿命を長くする効果が高い。
よって、この発明の転がり軸受は、前記構成(8) のグリースにより潤滑されていることにより、これ以外のグリースにより潤滑されているものと比較して、より一層組織変化型剥離が生じにくく剥離寿命が長いものとなる。
この発明の転がり軸受は、旋削性と熱処理性が良好な鋼を使用していながら、潤滑剤が分解され易い環境で使用された場合でも組織変化型剥離が生じにくいものである。
この発明の一実施形態に相当する玉軸受を示す断面図である。 白色組織が発生した外輪の断面を示す顕微鏡写真である。 白色組織が発生していない外輪の断面を示す顕微鏡写真である。
以下、この発明の実施形態について説明する。
図1は、この発明の一実施形態に相当する玉軸受を示す断面図である。この玉軸受は、内輪1、外輪2、ボール(転動体)3、保持器4、シールド板5で構成されている。
内輪1、外輪2、およびボール3は、前記構成(1) を満たす合金鋼および熱処理方法により得られ、内輪1および外輪2の軌道面の表面位置とボール3の転動面での窒素の含有率〔N〕が0.2質量%以上1.0質量%以下であり、炭素の含有率〔C〕が1.1質量%以上1.5質量%以下である。
そして、内輪1および外輪2の軌道面に、珪素(Si)の窒化物およびマンガン(Mn)の窒化物からなるSi・Mn系窒化物が、面積比で1.0%以上5.0%以下の範囲で存在する。
内輪1および外輪2の軌道面からボール3の直径の0.01倍に相当する深さの位置(1%D位置)で、窒素の含有率〔N〕が0.05質量%以上0.42質量%以下、残留オーステナイト量が20体積%以上40体積%以下であり、圧縮残留応力が100MPa以上500MPa以下である。
また、ボール3の表面(転動面)に、珪素(Si)の窒化物およびマンガン(Mn)の窒化物からなるSi・Mn系窒化物が、面積比で1.0%以上5.0%以下の範囲で存在する。
さらに、ボール3の表面から1%D位置で、窒素の含有率〔N〕が0.05質量%以上0.42質量%以下、残留オーステナイト量が20体積%以上40体積%以下であり、圧縮残留応力が600MPa以上1000MPa以下である。
この実施形態の玉軸受は、旋削性と熱処理性が良好な鋼を使用していながら、潤滑剤が分解され易い環境で使用された場合でも組織変化型剥離が生じにくいものである。
[好適な用途について]
この発明の転がり軸受は、潤滑剤が分解され易い環境で使用された場合でも組織変化型剥離が生じにくいため、自動車や産業機械の変速機、ゴムベルトとプーリーで回転を伝達する構造、自動車のオルタネータ等の電装補機、および電気モータ用の転がり軸受として好適に使用できる。
自動車や産業機械の変速機では、添加剤を多く含む潤滑剤が使用されている。添加剤を多く含む潤滑剤は分解されやすい。
自動車のオルタネータ等の電装補機は、エンジンからの回転をゴムベルトとプーリーで伝達している。
ゴムベルトとプーリーで回転を伝達する構造では、ゴムベルトとプーリー間の摩擦により静電気が発生する。静電気による電位差は、プーリーに嵌合するシャフトを伝わり、転がり軸受の軌道輪と転動体との間の電位差になる。回転速度の変動や振動によって転動体と軌道輪との間に膜状に存在する潤滑油(油膜)が切れると、切れた部分で金属接触が生じる。金属接触が生じると軌道輪と転動体との間に電流が流れる。電流が流れると金属表面が局所的に溶解され、化学的に活性な新生面が露出することで潤滑剤の分解が加速される。
電気モータの回転軸を支持する転がり軸受では、電気モータからの微量な電流が回転軸を通って内部に流れる場合がある。この場合は、静電気の場合と同様に潤滑剤の分解が加速される。
下記の表1に示す各組成の鋼種A〜Kからなる素材を用意した。鋼種A〜Fは、この発明で特定した内輪、外輪、および転動体用の合金鋼に含まれる。鋼種G〜Kは、この発明で特定した内輪、外輪、および転動体用の合金鋼に含まれない。鋼種Gは〔Si〕が、鋼種Hは〔Mn〕が、鋼種Iは〔Cr〕が、鋼種Jは〔Mn〕が、鋼種Kは〔Cr〕が、それぞれこの発明で特定した範囲から外れる。鋼種Jは「JIS G 4805」のSUJ2である。
鋼種Gからなる素材(〔Si〕>0.9質量%)と鋼種Iからなる素材(〔Cr〕>1.8質量%)は、球状化焼鈍後の硬さが硬すぎて、内輪および外輪の形状に旋削加工することが難しかった。
鋼種A〜E、H、J、Kからなる素材を用いて、図1の形状を有する呼び番号「6303」の玉軸受(内径:17mm、外径:47mm、幅:14mm、ボール直径:8.731mm)の内輪1および外輪2を作製した。鋼種Jからなる素材と鋼種Fからなる素材を用いてボール3を作製した。
先ず、サンプルNo. 1〜15、No. 17〜19、およびNo. 21では、円柱状の各素材を旋削して、内輪1および外輪2の形状とした。次に、以下に示す熱処理アを行った後、研削を行って内輪1および外輪2を得た。熱処理アの各処理温度および時間を変化させることで、同じ鋼種の素材を用いて表面組成が異なる複数のサンプルを得た。
サンプルNo. 16では、鋼種Fからなる素材を球形に粗加工した後、以下に示す熱処理イを行った。次に、ボールピーニングおよび研磨を行ってボール3を得た。サンプルNo. 20では、通常のボールに対する熱処理として以下に示す熱処理ウを行った以外は、No. 16と同じ方法でボール3を得た。
<熱処理ア:浸炭窒化→焼入れ焼戻し>
800〜880℃の各温度に調整されたRxガス+プロパンガス+アンモニアガス雰囲気に2〜8時間保持する浸炭窒化処理を行った後、油冷する焼入れを行い、次いで160〜240℃の各温度で2時間保持する焼戻しを行った後、空冷する。
<熱処理イ:浸炭窒化→焼入れ焼戻し>
820℃に調整されたRxガス+プロパンガス+アンモニアガス雰囲気に4時間保持する浸炭窒化処理を行った後、油冷する焼入れを行い、次いで175℃で2時間保持する焼戻しを行った後、空冷する。
<熱処理ウ:焼入れ焼戻し>
840℃のRxガス雰囲気に1時間保持した後、油冷する焼入れを行い、次いで180℃で2時間保持する焼戻しを行った後、空冷する。
また、鋼種A〜Kからなる素材を各種試験用の試験片の形状に加工し、それぞれサンプルNo. 1〜21と同じ熱処理を行った12種類の試験片を用意した。これらの試験片を用いて、以下の方法により、表面の窒素含有率〔N〕、表面の炭素含有率〔C〕、表面のSi・Mn系窒化物の面積率、1%D位置の窒素含有率〔N〕、1%D位置の炭素含有率〔C〕、1%D位置表層部の残留オーステナイト量(残留γ)、および1%D位置の残留応力を測定した。ボール3の直径(D)が8.731mmであるため、1%D位置は、表面から87.31μmの位置に相当する。
表面の窒素含有率および炭素含有率は、電子線マイクロアナライザ (EPMA)を用い、加速電圧15kVの条件で測定した。
表面のSi・Mn系窒化物の面積率の測定では、電界放射型走査型顕微鏡(FE−SEM)を用い、試験片の表面を加速電圧10kVで観察し、倍率5000倍で3視野以上の写真を撮影した。この写真を二値化してから、画像解析装置を用いてSi・Mn系窒化物の面積率を計算した。これにより、0.01μm〜1μmの微細な大きさで均一に分散しているSi・Mn系窒化物の面積率を、精度良く測定できる。
1%D位置の窒素含有率および炭素含有率は、試験片の表面を電解研磨して1%D位置を露出させて、電子線マイクロアナライザ (EPMA)を用い、加速電圧15kVの条件で測定した。
1%D位置表層部の残留オーステナイト量および残留応力は、試験片の表面を電解研磨して1%D位置を露出させて、X線回折装置により測定した。この測定を1%D位置の3カ所以上で行い、平均値を算出した。
これらの測定結果を下記の表2に示す。残留応力の表記は、「−」が圧縮残留応力であり、「+」が引張残留応力であることを示す。
表2に示すように、サンプルNo. 1〜4の鋼種Aからなる試験片のうちNo. 3の試験片は、浸炭窒化工程で表層部に導入された窒素が過剰となって、Si・Mn系窒化物の面積率の面積率が12.0%と極端に高いものであった。その結果、No. 3の内輪および外輪の表面が硬くなり過ぎて、軌道面が研削しにくい状態となっていた。
また、サンプルNo. 5〜9の鋼種Bからなる試験片のうちNo. 9の試験片は、圧縮残留応力が720MPaと過剰であり、表面が過浸炭となっている。その結果、No. 9の内輪および外輪の表面が硬くなり過ぎて、軌道面が研削しにくい状態となっていた。
また、No. 17の試験片は、鋼種H(〔Mn〕>1.2質量%)を用いたことで、残留オーステナイト量が46体積%と過剰であり、No. 17の内輪および外輪の寸法安定性に問題がある。
そのため、これらを除いたNo. 1、No. 2、No. 4〜8、No. 10〜15、No. 18、No. 19、およびNo. 21の内輪1および外輪2と、No. 20またはNo. 16のボール3と、下記のグリースAまたはBとを、表3に示すように組み合わせ、ナイロン製の保持器4を用いて、図1の構造を有する20種類の玉軸受(No. J1〜J20)を組み立てた。そのうち、J1とJ2とJ5〜J7とJ10〜J17の軸受は各3体、J3とJ8とJ9とJ18〜20の軸受は各7体を用意した。
グリースA:基油がエーテル油、増ちょう剤がジウレア化合物であり、添加物が配合されていないもの。
グリースB:基油がグリースAと同じエーテル油、増ちょう剤がグリースAと同じジウレア化合物であり、腐食防止剤としてベンゾトリアゾール、防錆剤としてナフテン酸亜鉛、耐剥離添加剤としてジチオカルバミン酸亜鉛が配合されているもの。
J1〜J20の軸受を、NSK Technical Journal No.679.p.28 に開示されているオルタネータシュミレート試験機にかけて、以下の条件で回転させ、内輪1、外輪2、ボール3のいずれかに剥離等の破壊が生じるまでの時間(剥離寿命)を調べた。そして、各3体または各7体の同じ軸受による累積破損確率が50%となる剥離寿命を算出した。また、剥離が生じている面に組織変化が有るかどうかを光学顕微鏡で観察した。これらの結果を表3に示す。
オルタネータシュミレート試験機は、プーリーとゴムベルトでシャフトの回転を伝達しているため、試験中にプーリーとゴムベルトの間に静電気が生じて、グリースが分解されて水素が発生しやすい条件になっている。
<試験条件>
ラジアル荷重:66.2kN
回転速度:2000min-1
表3に示すように、この発明の範囲から外れるNo. 4、7、8、18、19、21の内輪および外輪を有するJ3、J8、J9、J18〜J20の軸受は、剥離寿命が82〜230時間であり、外輪に剥離が生じていた。また、外輪の剥離部の断面には白色組織が形成されていた。
これに対して、この発明の範囲内にあるNo. 1、2、5、6、10〜15の内輪および外輪を有するJ1、J2、J5〜J7、J10〜J17の軸受は、剥離寿命が600時間以上であり、内輪と外輪には剥離が生じていなかった。
そのうち、No. 20のボールを用いたJ1、J2、J4、J5、J10〜J12、J15〜J17の軸受は、剥離寿命が600〜750時間であり、ボールのみに剥離が生じていた。また、ボールの剥離部の断面には白色組織が形成されていた。これらの軸受の剥離寿命は基準となるJ18の軸受の3倍以上である。
No. 16のボールを用いたJ6、J7、J13、J14の軸受は、1000時間経っても内輪、外輪、ボールのいずれにも剥離が生じなかった。これらの軸受の剥離寿命は基準となるJ18の5倍以上である。
このうち、グリースAを使用したJ6とJ13の軸受は、1000時間の試験打ち切り後、外輪の断面に白色組織が少しだけ発生していたが、剥離には至らなかった。図2は、J6およびJ13の軸受を構成する外輪の断面を示す顕微鏡写真である。また、グリースBを使用したJ7とJ14の軸受は、1000時間の試験打ち切り後、外輪の断面に白色組織は発生しなかった。図3は、J7およびJ14の軸受を構成する外輪の断面を示す顕微鏡写真である。
以上の結果から、この発明の範囲内にある軸受は、基準となる軸受の3倍以上の剥離寿命が得られるとともに、好ましい構成のボールを用いることで、剥離寿命をより長く(基準となる軸受の5倍以上に)できることが分かる。また、使用するグリースに、腐食防止剤としてベンゾトリアゾール、防錆剤としてナフテン酸亜鉛、耐剥離添加剤としてジチオカルバミン酸亜鉛を配合することで、剥離寿命をさらに長くできることが分かる。
1 内輪
2 外輪
3 ボール(転動体)
4 保持器
5 シールド板

Claims (3)

  1. 内輪、外輪、転動体を有し、
    内輪および外輪少なくとも何れかは、
    炭素含有率〔C〕が0.9質量%以上1.1質量%以下、珪素含有率〔Si〕が0.4質量%以上0.9質量%以下、マンガン含有率〔Mn〕が0.6質量%以上1.2質量%以下、クロム含有率〔Cr〕が0.9質量%以上1.8質量%以下、モリブデン含有率〔Mo〕が0.27質量%以下、ニッケル含有率〔Ni〕が0.2質量%以下、銅含有率〔Cu〕が0.2質量%以下、硫黄含有率〔S〕が0.01質量%以下、リン含有率〔P〕が0.02質量%以下、酸素含有率〔O〕が10ppm以下、残部が鉄(Fe)および不可避不純物である合金鋼からなる素材を所定形状に加工した後、浸炭窒化と焼入れ焼戻しを行って得られ、
    軌道面の表面位置での窒素の含有率〔N〕が0.2質量%以上1.0質量%以下であり、
    軌道面の表面位置での炭素の含有率〔C〕が1.1質量%以上1.5質量%以下であり、
    軌道面に、珪素(Si)の窒化物およびマンガン(Mn)の窒化物からなるSi・Mn系窒化物が、面積比で1.0%以上5.0%以下の範囲で存在し、
    軌道面の表面から転動体の直径の0.01倍に相当する深さの位置で、窒素の含有率〔N〕が0.05質量%以上0.42質量%以下、残留オーステナイト量が20体積%以上40体積%以下であり、圧縮残留応力が100MPa以上500MPa以下であることを特徴とする転がり軸受。
  2. 前記転動体は、
    炭素含有率〔C〕が0.9質量%以上1.1質量%以下、珪素含有率〔Si〕が0.4質量%以上0.9質量%以下、マンガン含有率〔Mn〕が0.6質量%以上1.2質量%以下、クロム含有率〔Cr〕が0.9質量%以上1.8質量%以下、モリブデン含有率〔Mo〕が0.27質量%以下、ニッケル含有率〔Ni〕が0.2質量%以下、銅含有率〔Cu〕が0.2質量%以下、硫黄含有率〔S〕が0.01質量%以下、リン含有率〔P〕が0.02質量%以下、酸素含有率〔O〕が10ppm以下、残部が鉄(Fe)および不可避不純物である合金鋼からなる素材を所定形状に加工した後、浸炭窒化と焼入れ焼戻しを行って得られ、
    転動面の表面位置での窒素の含有率〔N〕が0.2質量%以上1.0質量%以下であり、転動面の表面位置での炭素の含有率〔C〕が1.1質量%以上1.5質量%以下であり、
    転動面に、珪素(Si)の窒化物およびマンガン(Mn)の窒化物からなるSi・Mn系窒化物が、面積比で1.0%以上5.0%以下の範囲で存在し、
    転動面から転動体の直径の0.01倍に相当する深さの位置で、窒素の含有率〔N〕が0.05質量%以上0.42質量%以下、残留オーステナイト量が20体積%以上40体積%以下であり、圧縮残留応力が600MPa以上1000MPa以下である請求項1記載の転がり軸受。
  3. 基油と、ジウレア化合物からなる増ちょう剤と、カルボン酸またはカルボン酸金属塩からなる防錆剤と、アミン系の腐食防止剤と、ジチオカーバメイトからなる耐剥離添加剤とを含有するグリースにより潤滑されている請求項1または2記載の転がり軸受。
JP2012093690A 2012-04-17 2012-04-17 転がり軸受 Active JP6007562B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012093690A JP6007562B2 (ja) 2012-04-17 2012-04-17 転がり軸受

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012093690A JP6007562B2 (ja) 2012-04-17 2012-04-17 転がり軸受

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013221179A true JP2013221179A (ja) 2013-10-28
JP6007562B2 JP6007562B2 (ja) 2016-10-12

Family

ID=49592384

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012093690A Active JP6007562B2 (ja) 2012-04-17 2012-04-17 転がり軸受

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6007562B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2015128973A1 (ja) * 2014-02-26 2015-09-03 日本精工株式会社 転がり軸受
WO2015194492A1 (ja) * 2014-06-16 2015-12-23 日本精工株式会社 転がり軸受
US9695875B2 (en) 2013-07-17 2017-07-04 Roller Bearing Company Of America, Inc. Top drive bearing for use in a top drive system, and made of non-vacuum arc remelted steel configured to achieve an extended life cycle at least equivalent to a life factor of three for a vacuum arc remelted steel
CN111876659A (zh) * 2020-04-29 2020-11-03 椿中岛机械(太仓)有限公司 一种高耐腐蚀性的汽车水泵轴承用钢球

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004011712A (ja) * 2002-06-05 2004-01-15 Nsk Ltd 転がり軸受、これを用いたベルト式無段変速機
JP2004149620A (ja) * 2002-10-29 2004-05-27 Nsk Ltd グリース組成物及びグリース封入転がり軸受
WO2006078035A1 (ja) * 2005-01-24 2006-07-27 Nsk Ltd. 転がり軸受、ハブユニット軸受用グリース組成物及び車両用ハブユニット軸受
JP2007332390A (ja) * 2006-05-19 2007-12-27 Nsk Ltd 転動部材
JP2008151236A (ja) * 2006-12-15 2008-07-03 Nsk Ltd 転がり軸受
JP2012031456A (ja) * 2010-07-29 2012-02-16 Nsk Ltd 転がり軸受
JP2012229482A (ja) * 2011-04-27 2012-11-22 Nsk Ltd 転がり軸受

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004011712A (ja) * 2002-06-05 2004-01-15 Nsk Ltd 転がり軸受、これを用いたベルト式無段変速機
JP2004149620A (ja) * 2002-10-29 2004-05-27 Nsk Ltd グリース組成物及びグリース封入転がり軸受
WO2006078035A1 (ja) * 2005-01-24 2006-07-27 Nsk Ltd. 転がり軸受、ハブユニット軸受用グリース組成物及び車両用ハブユニット軸受
JP2007332390A (ja) * 2006-05-19 2007-12-27 Nsk Ltd 転動部材
JP2008151236A (ja) * 2006-12-15 2008-07-03 Nsk Ltd 転がり軸受
JP2012031456A (ja) * 2010-07-29 2012-02-16 Nsk Ltd 転がり軸受
JP2012229482A (ja) * 2011-04-27 2012-11-22 Nsk Ltd 転がり軸受

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9695875B2 (en) 2013-07-17 2017-07-04 Roller Bearing Company Of America, Inc. Top drive bearing for use in a top drive system, and made of non-vacuum arc remelted steel configured to achieve an extended life cycle at least equivalent to a life factor of three for a vacuum arc remelted steel
WO2015128973A1 (ja) * 2014-02-26 2015-09-03 日本精工株式会社 転がり軸受
WO2015194492A1 (ja) * 2014-06-16 2015-12-23 日本精工株式会社 転がり軸受
CN111876659A (zh) * 2020-04-29 2020-11-03 椿中岛机械(太仓)有限公司 一种高耐腐蚀性的汽车水泵轴承用钢球

Also Published As

Publication number Publication date
JP6007562B2 (ja) 2016-10-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2011225936A (ja) 水素脆性型の面疲労強度に優れた浸炭窒化鋼
WO2015128973A1 (ja) 転がり軸受
WO2011122371A1 (ja) 転がり軸受
JP6040700B2 (ja) 転がり軸受
WO2013084800A1 (ja) 転がり軸受およびその製造方法
JP5728844B2 (ja) 転がり軸受
JP4998054B2 (ja) 転がり軸受
JP6007562B2 (ja) 転がり軸受
JP2007297676A (ja) 軸の製造方法およびこの方法で得られた軸
JP2008001943A (ja) 転がり、摺動部品およびその製造方法
JP5736937B2 (ja) 転がり軸受
JP2012031456A (ja) 転がり軸受
JP5076274B2 (ja) 転がり軸受
JP2005273759A (ja) 転がり支持装置、転がり支持装置の構成部品の製造方法、鋼の熱処理方法
JP5999485B2 (ja) 水素脆性型の面疲労強度に優れた浸炭窒化部品
JP6027925B2 (ja) 水素脆性型の面疲労強度に優れた浸炭窒化軸受部品
JP2016069695A (ja) 転がり軸受
JP5668283B2 (ja) 転がり摺動部材の製造方法
JP6448405B2 (ja) 水素脆性型の面疲労強度に優れた浸炭窒化軸受部品
JP2015094021A (ja) 水素脆性型の面疲労強度に優れた浸炭窒化鋼及びそれを用いた浸炭窒化部品
JP6015251B2 (ja) 転がり軸受
JP7379955B2 (ja) 浸炭窒化用鋼及び浸炭窒化部品
JP2019056141A (ja) 浸炭窒化用鋼材および浸炭窒化軸受部品
WO2017122612A1 (ja) 浸炭窒化用鋼材および浸炭窒化部品
JP7212100B2 (ja) 転がり軸受

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150313

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20151216

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160202

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160317

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160816

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160829

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6007562

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S801 Written request for registration of abandonment of right

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R311801

ABAN Cancellation of abandonment
R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R360 Written notification for declining of transfer of rights

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R360

R370 Written measure of declining of transfer procedure

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R370