JP2013220184A - 薬剤管理システム - Google Patents

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Abstract

【課題】薬剤を効率よく投与することができる薬剤管理システムを提供する。
【解決手段】薬液を収容した薬剤容器に貼着され、薬液を特定可能な薬剤情報が記憶されたICタグと、患者に関連付けられ、患者に対する薬剤の処方に関する薬剤処方情報を取得する薬剤処方情報取得部と、薬剤を他の薬剤に混注する場合、混注の前提となる条件である混注条件を含む混注条件情報を取得する混注条件情報取得部と、取得した薬剤処方情報および混注条件情報をICタグに書き込むICタグ書込み部と、を含む。
【選択図】図1

Description

本発明は、薬剤管理システムに関する。
ICタグ(無線ICタグ、RFIDタグともいう)は、バーコードと比較し、情報の書込みと読出しが可能で、かつ、大量の情報を扱うことができるため、商品の販売管理などに利用されつつある。
医療の分野でも、RFIDタグが装着された薬液シリンジと、RFIDリーダを有する薬液注入装置と、を備え、薬液シリンジが薬液注入装置に適切に保持された状態でのみ薬液の注入が許可され、このときRFIDリーダが読み取ったRFIDタグの内容に基づいて、警告等の情報を出力する薬液注入システムが考案されている(特許文献1参照)。
また、患者識別情報等を記憶するリストバンドICタグと、患者識別情報と患者に注入する薬液とその注入量の情報とを含む薬剤処方ICタグとを照合して、薬液が入った輸液容器から所定の条件で薬液を患者に注入する輸液ポンプとを備えた輸液注入システム考案されている(特許文献2参照)。
WO2007/032341号公報 特開2012−005756号公報
薬剤によっては、投与の前に、患者に対して予め定められた検査あるいは処置を行う必要がある。また、薬剤によっては、包装箱を開封しただけでも他の患者に投与できないものもある。例えば、患者に対して所定の検査を実施することを前提条件として処方したとき、薬剤の払い出し時にその検査が行われておらず、その薬剤の使用期限までに検査が行われないときには、薬剤を廃棄しなければならないという問題が生ずる。
特許文献1および特許文献2では、上記問題を解決する構成については、開示・示唆ともない。
本発明の課題は、薬剤を効率よく投与することができる薬剤管理システムを提供することにある。
課題を解決するための手段および発明の効果
上記の課題を解決するために、本発明の薬剤管理システムは、薬液を収容した薬剤容器に貼着され、薬液を特定可能な薬剤情報が記憶されたICタグと、患者に関連付けられ、患者に対する薬剤の処方に関する薬剤処方情報を取得する薬剤処方情報取得部と、薬剤を他の薬剤に混注する場合、混注の前提となる条件である混注条件を含む混注条件情報を取得する混注条件情報取得部と、取得した薬剤処方情報および混注条件情報をICタグに書き込むICタグ書込み部と、を含むことを特徴とする。
上記構成では、単に薬剤情報や患者情報を記憶するだけでなく、混注条件情報もICタグに書き込むことにより、この薬剤を払い出しても混注条件が成立しないと実際の混注は行われない。このため、薬剤容器あるいは薬剤の包装箱は開封されないので、薬剤を無駄に廃棄することなく有効使用できる。さらに、薬剤コストの低減にもつながる。
混注条件情報は、薬液の投与が指示された日時を含み、該日時から所定期間内にあるときに混注条件が成立しているとする。また、混注条件情報は、混注を行う前に患者が受診しなければならない検査に関する情報を含み、患者が検査を受診しているときに混注条件が成立しているとする。これらの混注条件を用いることで、混注を行うことが適切なものか否かを判断できる。
また、混注の際に、混注したときの日時、混注後の薬液の投薬所要時間、投薬流量のうちの少なくとも一つを含む薬液混注情報をICタグに書き込むことで、実際に投薬するときに、その投薬が適切なものか否かを確認できる。
また、混注の際、薬剤容器の薬液を輸液用容器に移送して、輸液用容器を用いて患者に投与する場合、薬液混注情報をICタグに書き込んだ後に、ICタグを薬剤容器から剥離して輸液用容器に貼着することで、ICタグを効率よく利用できる。
また、薬剤の投薬対象の患者の周辺に配置され、薬剤容器または輸液用容器に貼付された、ICタグに書き込まれた情報を読み取るICタグ読取部と、ICタグ読取部が読み取った薬剤情報および薬液混注情報に基づいて、投薬関連情報を出力する情報出力部と、を有した投薬関連情報出力装置をさらに備えることで、その薬剤の投与が適切なものか否かを医療従事者等が把握できる。
薬剤管理システムの構成例を示す図。 ICタグ付きラベルの構成例を示す図。 図2のICタグ付きラベルの断面図。 混注用装置の構成例を示す図。 輸液用装置の構成例を示す図。 払い出し処理を説明するフロー図。 ICタグに記憶される情報の一例を示す図。 混注処理を説明するフロー図。 輸液処理を説明するフロー図。 輸液用装置の構成の別例を示す図。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照しながら説明する。図1に、薬剤管理システムの構成例を示す。薬剤管理システム100は、通信可能にネットワーク接続された端末10および端末10に接続された患者情報読取部12(本発明の薬剤処方情報取得部,混注条件情報取得部,薬液混注情報取得部)、RFIDリーダ/ライタ13(本発明のICタグ書込み部)、薬液混注装置15(本発明の混注部)、輸液用装置16、ホストコンピュータ20を含んで構成されている。なお、端末10はスタンドアロン型でもよい。このとき、ホストコンピュータ20は、本発明において必須の構成要素ではない。
端末10は、例えばパーソナルコンピュータとして構成され、LCD表示器等の表示部10a,キーボード等の入力部10b(本発明の薬剤処方情報取得部,混注条件情報取得部,薬液混注情報取得部),プログラム等を記憶するハードディスク装置(HDD)10c等の記憶媒体,およびこれらを制御する制御部10dを含む。PDA(Personal Digital Assistant:携帯情報端末)のような他の情報通信端末を用いてもよい。
患者情報読取部12は、例えば磁気カードリーダ,ICカードリーダ,あるいはカルテに貼付されたバーコードの内容を読み取るバーコードリーダのうちの1つ以上を含んで構成される。読み取った情報は、端末10のHDD10cで一時記憶する。
RFIDリーダ/ライタ13は、薬剤容器9(図2参照)に貼付されているICタグ5との間でデータ通信を行うためのもので、図示しない周知のRFID通信部(送信部/受信部),全体を制御する制御部,端末10とのデータの遣り取りを行う通信I/F(インターフェース)を含んで構成される。
ホストコンピュータ20は、周知のパーソナルコンピュータあるいはワークステーションとして構成され、HDD等の記憶媒体にデータベース(以下、「DB」と略称することもある)21が構築されている。DB21には、患者情報、薬剤処方情報のうちの少なくとも一つが記憶されている。
ホストコンピュータ20と端末10とは、設置位置に制約はない。例えば、コンピュータルームのような施設にホストコンピュータ20が設置され、薬剤を混注する施設、および混注された薬剤を使用する施設(病室等)に端末10が設置される。また、端末10のHDD10cにDB21と同等のデータベースを構築してもよい。
図2および図3に、薬剤容器9およびICタグの構成例を示す。薬剤容器9には、例えば抗がん剤等の薬液8が収容される。また、容器の形状に制約はなく、図2の円筒状容器の他に、アンプル型容器あるいは袋状の容器でもよい。なお、薬剤容器およびICタグの構成については、例えば、特開2010−091615に詳細が記載されている。
ICタグ用ラベル1(以下、ラベル1と略称する)は、図3の断面図に示すように、長手形状の透明樹脂製のラベル基材6と、その裏面に塗布または印刷された粘着剤層(図示せず)とICタグ5とにより構成される。ラベル基材6には、例えば、両端に境界となるミシン目7が形成され、ラベル基材6から分離できる切り離し部4bが形成されている。
また、図3のように、ラベル1には、ICタグ5を配置する部分、すなわち、切り離し部4bにオーバーラップした内側のラベル部(以下、タグ配置部4aとする)が設けられている。切り離し部4bには、分離する際にICタグ転着機155(図4参照)が掴むための突部3が形成されている。この突部3の裏面には、ICタグ転着機155が掴んだときに粘着しないように、例えばインクなどからなる非粘着層(図示せず)が形成されてもよい。
ラベル1は、例えば、円筒状の薬剤容器9に周回するように添付して使用する。すなわち、ラベル1を薬剤容器9に対して、タグ配置部4aを含む一端から巻き始め、一周するとともに切り離し部4bを、タグ配置部4a(ICタグ5を含む)の上に重ねて接着する。つまり、ICタグ5がタグ配置部4aと切り離し部4bとに挟まれるように貼付する。
また、ラベル基材6のうち、少なくとも切り離し部4bが透明樹脂製となっているので、表面基材52に印刷された薬剤情報が透けて表示される。なお、透明樹脂として、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンなどを用いる。
ICタグ5は、図3に示すように、ラベル基材6(すなわち、タグ配置部4a)に接着させるための弱粘着層55と、薬剤情報を記憶したICチップ51と、薬剤情報を印刷または記入された表面基材52と、により構成される。弱粘着層55の粘着力を、ラベル基材6の裏面の粘着剤層の粘着力よりも弱くすることで、切り離し部4bを容易に剥離できるようにしている。ここで薬剤情報は、例えば薬剤名、製造番号、使用期限、内容量などの情報や、コード(これらの情報をバーコードなどで表示したもの)を含む。
上述のラベルの構成は、容器の胴部にこれを周回するように貼付される長手形状のラベルであって、ラベルは、容器の胴部を、1周を超えてオーバーラップするように周回する周方向長さを有するとともに、ラベル裏面に粘着層を備え、そのオーバーラップして二重となる内側および外側のラベル部に挟まれることとなる位置に、RFIDチップを含むICタグがラベルに接着され、さらに、そのICタグを挟んで二重となる内側および外側のラベル部のうちの外側のラベル部に、ICタグを包含する幅で他のラベル部から切り離し可能な切り離し部が形成され、さらに、ICタグの内側のラベル部に対する接着力は、外側のラベル部に対する接着力より弱くされて、外側のラベル部に剥離力が加えられたときにICタグが外側のラベル部に付着したまま内側のラベル部から剥離される接着力とされ、ラベルのオーバーラップ部分における外側ラベル部の切り離し部をラベルの他の部分からに切り離すことにより、ICタグがその外側のラベル部とともに、ラベルの本体部分から分離可能とされる構成である。
ICチップ51は、動作を制御する制御部(図示せず)、アンテナ等の周辺回路(図示せず)、ICチップ51に割り当てられたユニークコードや後述の各種情報等を記憶する記憶部56(図7参照)を含んでいる。
また、ICチップ51は、RFIDリーダ/ライタ13からの電波の照射を受けることで動作し、RFIDリーダ/ライタ13からの電波に含まれる制御指令に基づいて、記憶部56から所定の情報を読み出してRFIDリーダ/ライタ13へ送信する。RFIDリーダ/ライタ13から送信されてきたデータが記憶部56に書き込まれる。
図4に、薬液混注装置15の構成例を示す。薬液混注装置15は、例えば、外気と遮断された状況下で作業が可能となるように、内部に手だけが入れられるよう設計された密閉容器である周知のグローブボックス内に構成される。図4では、そのグローブボックスの内部の構成を示している。
薬液混注装置15は、薬剤容器9を載置するための電子秤を兼ねた第一載置台151、第一載置台151の内部に取り付けられ、薬剤容器9のICタグ5との間でデータの読み書きを行うためのRFIDリーダ/ライタ152(本発明の薬液混注情報書込み部)、例えばシリンジ80(本発明の輸液用容器,図5参照)である混注対象容器を載置する第二載置台153(153aはシリンジ支持部)、薬剤容器9の薬液8をシリンジ80に移送するための移送ポンプ154、ICタグ5(切り離し部4b)を薬剤容器9から剥がしてシリンジ80に貼付するためのICタグ転着機155(本発明のICタグ転着部)、薬液混注装置15内の各部の動作制御および端末10とのデータ通信を行うための、CPUおよびメモリ等の周辺回路を含む制御部156を含んで構成される。
薬液混注装置15は、端末10(他のコンピュータでもよい)に接続され、端末10からの操作指示により、移送ポンプ154を駆動制御して薬液の混注あるいは希釈、ICタグ5に対するデータの読み書き等の操作を行う。また、端末10に接続せず、操作部(図示せず)を設けて、操作部の操作により各操作を行うようにしてもよい。
ICタグ転着機155では、例えば、特開2005−335775号公報あるいは特開2007−126180号公報のように、吸着部(図示せず)が切り離し部4bの突部3を吸着した状態で、薬剤容器9の略下方へ引き下げることで、切り離し部4bがミシン目に沿ってラベル1から分離される。そして、吸着部が、分離された切り離し部4bを保持して、シリンジの所定位置に貼付する。
図5に、シリンジ80および輸液用装置16の構成例を示す。輸液用装置16は、例えばシリンジポンプとして構成される。シリンジポンプの詳細構成については、特許文献1に記載されているので、ここでは概略を述べるにとどめる。
シリンジ80は、シリンダ部材81とピストン部材83とを有している。ピストン部材83は、シリンダ部材81の後端の開口部からスライド自在に挿入されている。このシリンダ部材81の閉塞した前端には、患者に薬液を注入するための導管部86が形成されている。
シリンダ部材81の後端外周には、円環状のシリンダフランジ82が形成されている。ピストン部材83の後端外周には、円環状のピストンフランジ85が形成されている。また、シリンダ部材81には、ICタグ転着機155により、ラベル1の切り離し部4b(すなわち、ICタグ5)が貼着される。
輸液用装置16は、注入制御ユニット70と、これと別体に形成された注入ヘッド60と、を有している。注入制御ユニット70と注入ヘッド60とは、例えば、通信ケーブル75で通信可能に接続されている。注入ヘッド60は、装着されるシリンジ80を操作して患者に薬液を注入し、注入制御ユニット70は、注入ヘッド60の動作を制御する。
注入ヘッド60のシリンダ保持部材であるヘッド本体61の上面には、シリンジ80のシリンダ部材81が着脱自在に装着される略半円筒形の凹部62が形成されている。
凹部62の前部には、シリンジ80のシリンダフランジ82を着脱自在に保持するシリンダ保持機構64が形成されている。凹部62の後方には、ピストンフランジ85を保持してスライド移動させるピストン駆動機構65が配置されている。
シリンダ保持機構64は左右一対のフランジ保持部材64aを有している。この左右一対のフランジ保持部材64aにより、上方から挿入されるシリンジ80のシリンダフランジ82の左部と右部とを個々に保持する。ピストン駆動機構65は、例えば、作動時にも磁界を発生しない超音波モータ(図示せず)を駆動源として有しており、ネジ機構(図示せず)などによりピストン部材83をスライド移動させる。
また、輸液用装置16は、RFIDリーダ63(本発明のICタグ読取部)を有している。このRFIDリーダ63は、例えば、アンテナ部のみを有し、リーダ回路は注入制御ユニット70に含まれている。
注入制御ユニット70は、CPUおよびメモリ等の周辺回路を備え、輸液用装置16全体の動作制御を行う制御部71、例えばLCDあるいはLEDインジケータを備えた表示部72(本発明の情報出力部)、各種操作を行う操作部73、を含んでいる。また、制御部71は、時計機能を有している。また、スピーカおよび音声合成回路を含む音声メッセージ報知部を備えてもよい。また、注入制御ユニット70として、端末10を用いてもよい。
図6を用いて、端末10のHDD10cに記憶されたプログラムを用いて実行される払い出し処理について説明する。まず、以下のうちの少なくとも一つを用いて、患者情報を取得する(S11)。
・患者情報読取部12を用いて、ICタグあるいはバーコードが貼付されている診察券、電子カルテ、あるいは電子処方箋のデータから、患者情報を読み取る。
・端末10のHDD10cに記憶されている患者情報を取得する。
・端末10の入力部10bから入力されたものを、患者情報として読み取る。
・ホストコンピュータ20のDB21から、患者情報を取得する。
次に、患者情報読取部12から、上述の患者情報の取得と同様の方法を用いて、取得した患者情報に対応する薬剤処方情報を読み取る(S12)。
薬剤処方情報には、以下のうちの少なくとも一つが含まれている。
・医師が処方を指示した日時。
・この処方の有効期限。
・特記事項(患者の体格、年齢、性別、他の薬剤との併用の可否など)。
次に、上述の患者情報の取得と同様の方法を用いて、取得した薬剤処方情報に含まれる混注条件情報を取得する(S13)。混注条件情報は、混注を行うための前提条件であり、例えば、以下のうちの少なくとも一つを用いる。
・血液検査等の予め定められた検査を実施し、検査結果に基づいて、患者に薬剤を処方可能な状態にあるか否かを判定することを混注条件とする。つまり、該当する検査の実施の有無が混注条件情報に含まれる。
・手術あるいは放射線治療等の特殊な治療から所定期間を経過しているか(患者の体力が回復しているか)否かを判定することを混注条件とする。つまり、手術あるいは治療の実施日時が混注条件情報に含まれる。
上述の、患者情報、薬剤処方情報、混注条件情報を全て取得したら(S14:Yes)、ICタグ5(ICチップ51の記憶部56の所定領域)に書き込む(S15)。
図7に、ICチップ51の記憶部56の記憶内容の一例を示す。薬剤情報記憶部56a、患者情報記憶部56b、薬剤処方情報記憶部56c、混注条件情報記憶部56d、薬剤混注情報記憶部56e(後述)を含んでいる。
このうち、薬剤情報記憶部56aは、薬剤の出荷時に製薬会社で書き込まれたもので、薬剤情報として以下の内容を含んでいる。
・薬剤の名称。
・薬剤の消費期限。
・薬剤の1回の投与量(例えば、大人/子供あるいは性別の区分あり)。
・薬剤の投与速度(例えば、単位時間あたりの投与流量)。
・薬剤の保存方法。
図8を用いて、端末10のHDD10c、あるいは、薬液混注装置15の制御部156に記憶されたプログラムにより実行される混注処理について説明する。まず、薬剤容器を第一載置台151に載置する前に(グローブボックスの外で、薬剤の包装箱を開封する前に:包装箱を開封しない状態でもICタグ5への読み書きは可能である)、RFIDリーダ/ライタ13からICタグ5(すなわち、ICチップ51の記憶部56)に記憶された薬剤処方情報および混注条件情報を読み出す(S31)。
次に、患者情報を取得する(S32)。患者情報は、ICタグ5から取得してもよいし、患者情報読取部12により、診察券(ICカード型)あるいは電子カルテを読み取ることで取得してもよい。電子カルテから読み取ることで、患者の最新の情報を取得することができる。また、DB21から患者情報を取得してもよい。
次に、上述の薬剤処方情報および混注条件情報に基づいて、薬液を混注あるいは希釈する条件である混注条件が成立しているか否かを判定する。混注条件情報に基づく混注条件判定は上述したとおりである。また、薬剤処方情報あるいは患者情報に基づき、以下のように混注条件の判定を行う。
・予め定められた検査を実施していないとき、混注条件は不成立。
・医師が処方を指示した日時から所定日数が経過していると判定したとき、混注条件は不成立。
・この処方の有効期限を超えていると判定したとき、混注条件は不成立。
・特記事項のうち併用が禁止されている薬剤が投与されていると判定したとき、混注条件は不成立。
混注条件が成立していないとき(S33:No)、本処理を終了する。このとき、薬剤容器9は無論のこと、包装箱も未開封状態であるため、薬剤を廃棄することなく払い戻しを行う(別の患者に払い出す)ことができる。
一方、混注条件が成立したとき(S33:Yes)、薬剤容器9は開封状態で第一載置台151に載置され、制御部156の制御により2つのノズル154aのそれぞれが薬剤容器9およびシリンジ80に挿入され、薬剤処方情報に基づく量が薬剤容器9からシリンジ80に移送される(S34)。移送量は、例えば、第一載置台151で測定される、薬剤容器9の薬液8の重量の変化から算出する。
薬液の移送が終了したら(S35:Yes)、以下の内容を取得あるいは入力し(S36)、これらを薬剤混注情報としてICタグ5に書き込む(S37)。
・混注条件があり、それが成立していること。
・移送量および薬液の全容量が処方どおりであること。
・混注日時。
・投薬の有効期限。
・投薬所要時間あるいは投薬流量。
最後に、ICタグ転着機155により、切り離し部4bを薬剤容器9から剥がしてシリンジ80に貼着する(S38)。なお、混注を行わない場合、すなわち、薬剤容器9を用いて患者に投薬する場合、上述の薬剤混注情報のうち、少なくとも投薬に関する情報をICタグ5に書き込む。
図9を用いて、輸液用装置16の注入制御ユニット70の制御部71で実行される輸液処理について説明する。まず、シリンジ80が注入ヘッド60に装着された状態で、ICタグ5(すなわち、ICチップ51の記憶部56)に記憶された薬剤情報を読み出す(S51)。
次に、薬剤情報に含まれる消費期限を参照し現在日時と比較する。現在日時が消費期限を超えて薬剤が使用できないとき、また注入制御ユニット70あるいは注入ヘッド60で設定されている投与速度が薬剤情報に含まれる投与速度を超えているとき(S52:No)、表示部72に、「消費期限を超えています」、「投薬速度を再設定して下さい」のような警告情報を表示する(S57)。音声メッセージ報知部を備えるときには、音声メッセージを送出する(以下も同じ)。
薬剤が使用可能なとき(S52:Yes)、RFIDリーダ63によりICタグ5に記憶された薬剤混注情報を読み出す(S53)。そして、薬剤混注情報に基づいて、以下のうちのいずれかを用いて、輸液可能か否かを判定する。
・処方が正しくないとき、輸液できないと判定する。
・投薬の有効期限を超えているときには、輸液できないと判定する。
・投薬所要時間あるいは投薬流量が、輸液用装置16の仕様に合致していないときには、輸液できないと判定する。
・再度、患者情報を取得して、混注条件が成立していないときには、輸液できないと判定する。
輸液できないと判定したとき(S54:No)、ステップS57と同様に、「この薬剤は投与できません。(具体的な理由)」のような警告情報を表示あるいは送出する。一方、輸液可能と判定したとき(S54:Yes)、ピストン駆動機構65を駆動制御して輸液を開始する(S55)。このとき、RFIDリーダ63によりICタグ5から読み出した薬剤情報を含む(薬剤混注情報を含めてもよい)投薬関連情報を表示部72に表示する(S56)。
上述の図5の構成は、投薬関連情報を輸液用装置16に出力するものであるが、輸液用装置16以外の機器に出力するようにしてもよい。図10に、可搬型でスタンドアロン型の投薬関連情報出力装置90の構成を示す。なお、投薬関連情報出力装置90は、注入制御ユニット70の変形例であるため、注入制御ユニット70と同一の構成については同一の符号を付与し、ここでは相違点を述べるにとどめる。
投薬関連情報出力装置90は、上述の制御部71、表示部72、操作部73の他に、RFIDリーダ74、取付部75を有している。
取付部75は、基台,クリップ,クランプ,吸盤,磁石,ベルトなどを含み、投薬関連情報出力装置90を、シリンジ80に注入されている薬剤の投薬対象の患者の周囲に取り付けるためのものである。取り付けの対象として、患者あるいは投薬を行う医療従事者の衣服、ベッドのフレーム、患者の周囲にある棚や机、輸液用容器を吊り下げる輸液スタンド、他の医療機器(例えば、RFIDリーダの付いていない輸液用装置)、医療従事者が使用する薬剤・医療機器運搬用の台車、などが挙げられる。
投薬関連情報出力装置90を用いた輸液処理(図9参照)は、シリンジ80(あるいは輸液用容器)に貼付されたICタグ5に記憶された薬剤情報をRFIDリーダ74で読み取る他は同様である。
上述のような構成により、投薬対象の患者の周囲で投薬を行う医療従事者が視認可能な場所であれば、輸液用装置16を用いずに投薬する場合(注射あるいは点滴)でも、投薬関連情報が出力されるので、投薬ミス(薬剤あるいは患者の取り違え,期限切れ薬剤の投与,投与条件間違い)を防止できる。
また、投薬関連情報出力装置90を患者の周囲(すなわち、RFIDリーダ74の読み取り可能範囲内)に取り付けることで、医療従事者がシリンジ80等を投薬の度にRFIDリーダ74付近にかざす必要がないので、医療行為の妨げにならないという効果が期待できる。
また、投薬関連情報出力装置90を、可搬型で、他の機器や什器とは独立したスタンドアロン型とすることで、他の機器や什器が投薬関連情報出力装置90を含んだ構成に比べて、他の機器や什器および投薬関連情報出力装置90の汎用性が高くなる。例えば、ベッドに投薬関連情報出力装置90を一体化した構成とし、医療機関内の全てのベッドを該ベッドとすると、本発明の薬剤管理システムを利用しない患者まで該ベッドを使用することもあり、一般のベッドよりも価格の高いものを調達したことに見合う効果が得られないという問題が生ずる。また、全てのベッドの半数を該ベッドとすると、ベッド数が足りずに十分な治療ができないという問題が生ずる。
一方、図10の構成では、患者の数に応じて投薬関連情報出力装置90のみを調達すればよいので、調達コストを低減することができる。
また、図10の構成では、シリンジ80等が常にRFIDリーダ74の読み取り可能範囲内に存在しているので、RFIDリーダ74が同じ薬剤情報を複数回読み取ることも考えられる。この場合、薬剤情報に投薬所要時間が含まれていればこれを用い、投薬流量,薬液の全容量が含まれていれば、これらから投薬所要時間を推定演算し、例えば最初に薬剤情報を読み取ったタイミングでタイマを起動し、タイマ値が投薬所要時間内であれば、その時に読み取った薬剤情報に対する処理を実行しないようにすればよい。
また、一部屋に複数の患者が収容されているときには、RFIDリーダ74で薬剤情報取得(受信)時の電波強度を測定可能な構成とし、電波強度の最も高いものを薬剤情報として用いればよい。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、これらはあくまで例示にすぎず、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づく種々の変更が可能である。
5 ICタグ
8 薬液
9 薬剤容器
10 端末
10b 入力部(薬剤処方情報取得部,混注条件情報取得部,薬液混注情報取得部)
12 患者情報読取部(薬剤処方情報取得部,混注条件情報取得部,薬液混注情報取得部)
13 RFIDリーダ/ライタ(ICタグ書込み部)
15 薬液混注装置(混注部)
16 輸液用装置
72 表示部(情報出力部)
74 RFIDリーダ
80 シリンジ(輸液用容器)
90 投薬関連情報出力装置
100 薬剤管理システム
152 RFIDリーダ/ライタ(薬液混注情報書込み部)
155 ICタグ転着機(ICタグ転着部)

Claims (6)

  1. 薬液を収容した薬剤容器に貼着され、前記薬液を特定可能な薬剤情報が記憶されたICタグと、
    患者に関連付けられ、前記患者に対する前記薬剤の処方に関する薬剤処方情報を取得する薬剤処方情報取得部と、
    前記薬剤を他の薬剤に混注する場合、混注の前提となる条件である混注条件を含む混注条件情報を取得する混注条件情報取得部と、
    取得した前記薬剤処方情報および前記混注条件情報を前記ICタグに書き込むICタグ書込み部と、
    を含むことを特徴とする薬剤管理システム。
  2. 前記混注条件情報は、前記薬液の投与が指示された日時を含み、該日時から所定期間内にあるときに前記混注条件が成立しているとする請求項1に記載の薬剤管理システム。
  3. 前記混注条件情報は、前記混注を行う前に前記患者が受診しなければならない検査に関する情報を含み、前記患者が前記検査を受診しているときに前記混注条件が成立しているとする請求項1または請求項2に記載の薬剤管理システム。
  4. 前記混注条件が成立したときに、前記薬剤容器の薬液を他の薬液と混合する混注部と、
    混注したときの日時、混注後の薬液の投薬所要時間、投薬流量のうちの少なくとも一つを含む薬液混注情報を取得する薬液混注情報取得部と、
    取得した前記薬液混注情報を前記ICタグに書き込む薬液混注情報書込み部と、
    を備える請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の薬剤管理システム。
  5. 前記混注の際、前記薬剤容器の薬液を輸液用容器に移送して、前記輸液用容器を用いて前記患者に投与する場合、前記ICタグ書込み部が、前記薬液混注情報を前記ICタグに書き込んだ後に、前記ICタグを前記薬剤容器から剥離して前記輸液用容器に貼着するICタグ転着部を備える請求項4に記載の薬剤管理システム。
  6. 前記薬剤の投薬対象の患者の周辺に配置され、
    前記薬剤容器または前記輸液用容器に貼付された、前記ICタグに書き込まれた情報を読み取るICタグ読取部と、
    前記ICタグ読取部が読み取った前記薬剤情報および前記薬液混注情報に基づいて、投薬関連情報を出力する情報出力部と、
    を有した投薬関連情報出力装置をさらに備える請求項4または請求項5に記載の薬剤管理システム。
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