JP2013213130A - 含フッ素エラストマーブレンド物およびその組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】いずれもCF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4を乳化剤として用い、乳化剤を仕込み水総重量に対して0.05〜0.5重量%の割合で用いて乳化重合法によって共重合された、(A)Mnが5,000〜100,000の低分子量含フッ素エラストマーと(B)Mnが130,000〜3,000,000の高分子量含フッ素エラストマーとを重量比で70/30〜30/70の割合でブレンドし、ブレンド物がTFE 10〜40モル%、VdF 80〜30モル%、HFP 10〜30モル%の共重合組成を有し、Mw/Mn比が2〜20である含フッ素エラストマーブレンド物。この含フッ素エラストマーブレンド物は、(C)ポリオール加硫剤、あるいは(D)有機過酸化物および多官能性不飽和化合物と共に、その組成物を形成させる。
【選択図】なし
Description
(高分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製)
内容積10Lのステンレス鋼製オートクレーブ内を窒素ガスで置換し、脱気後
界面活性剤〔CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4〕 8.5g(0.15重量%)
リン酸水素二ナトリウム・12水和物 10g
脱イオン水 5.8L
を仕込み、内部空間を再度窒素ガスで十分に置換した後脱気した。そこに
フッ化ビニリデン〔VdF〕 90g
テトラフルオロエチレン〔TFE〕 77g
ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕 760g
2-ブロモ-1,1-ジフルオロエチレン〔BDFE〕 8g
を仕込み、オートクレーブ内を80℃に昇温した後、
過硫酸アンモニウム〔APS;0.3重量%水溶液として使用〕 1.8g
を仕込み、重合反応を開始させた。このときの内圧は2.2MPaであった。内圧2.15〜2.25MPaを保つように、
VdF 786g
TFE 673g
HFP 520g
を加え、反応終了後冷却し、残ガスを排出して乳化液I(固形分濃度31.5重量%)8,524gを得た。なお、この乳化液から1重量%塩化カルシウム水溶液による凝析、水洗、乾燥を行ってVdF-TFE-HFP3元共重合体を分離し、それの数平均分子量Mn(後記方法によって測定)を測定すると、161,000であった。
前記高分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製において、BDFEの代わりにオクタフルオロ-1,4-ジヨードブタン〔DIOFB〕34.0gを用い、またAPS量を6gに変更して、乳化液II(固形分濃度31.8重量%)8,534gを得た。なお、重合反応開始時の内圧は2.2MPaであった。また、得られたVdF-TFE-HFP3元共重合体のMnは、18,000であった。
得られた乳化液Iと乳化液IIとを、それぞれの固形分重量比が50:50となるように混合した後、1重量%塩化カルシウム水溶液による凝析、水洗、乾燥が行われ、エラストマー状共重合体ブレンド物A 5,344gを得た。
参考例1において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤としてCF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2COONH4(パーフルオロオクタン酸アンモニウム)を同量用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液III(固形分濃度32.1重量%、Mn144,000)8,521gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液IV(固形分濃度31.8重量%、Mn18,000)8,537gが得られ、これらを固形分重量比50:50で用いてエラストマー状共重合体ブレンド物B 5,419gを得た。
参考例1において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤としてCHF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2COONH4(9H-ヘキサデカフルオロノナン酸アンモニウム)を同量用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液V(固形分濃度31.4重量%、Mn151,000)8,512gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液VI(固形分濃度32.2重量%、Mn19,000)8,531gが得られ、これらを固形分重量比50:50で用いてエラストマー状共重合体ブレンド物C 5,321gを得た。
参考例1において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤量を1.7g(0.03重量%)に変更して用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液VII(固形分濃度31.7重量%、Mn138,000)8,528gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液VIII(固形分濃度31.8重量%、Mn16,000)8,551gが得られ、これらを固形分重量比50:50で用いてエラストマー状共重合体ブレンド物D 5,326gを得た。
参考例1において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤量が40.6g(0.7重量%)に変更して用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液IX(固形分濃度31.1重量%、Mn168,000)8,542gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液X(固形分濃度31.4重量%、Mn17,000)8,555gが得られ、これらを固形分重量比50:50で用いてエラストマー状共重合体ブレンド物E 5,331gを得た。
共重合体組成〔モル%〕:日本電子製品JMN-LA300フーリエ変換核磁気共鳴装置を用いて測定
フッ素含量〔重量%〕:F含量を分子量より算出
ポリマームーニー粘度(ML1+10):121℃の試験温度で、1分間予熱した後、直ちにロータを回転させ、10分後の値を測定
分子量測定:日本分光工業製851-AS型インテリジェントオートサニプラ、ガスクロ工業製MODEL 576型LCポンプ、昭和電工製Shodex KF-801、KF-802、KF-802.5およびKF-805のカラム4本を備えたガスクロ工業製MODEL 556型HPLCカラムオーブンおよび日本分光工業製検出器JASCO 830RI示差屈折計を用い、テトラヒドロフランを展開溶媒として試料濃度0.5重量%、流量1.0ml/分、温度40℃において測定
分子量の解析は、システムインスツルメンツ社製SICラブチャート180を用い、また分子量検量線用標準ポリマーとしては、東洋曹達製品の単分散ポリスチレン各種[Mw/Mn=1.1(MAX)]を用いた
表1
測定項目 参考例1 参考例2 参考例3 参考例4 参考例5
共重合体ブレンド物組成 A B C D E
VdF (モル%) 54.5 53.8 54.1 54.5 54.0
TFE (モル%) 24.4 24.3 25.1 24.2 24.9
HFP (モル%) 21.1 21.9 20.8 21.3 21.1
フッ素含量 (重量%) 69.6 69.7 69.7 69.6 69.7
ブレンド物ムーニー粘度(ML1+10) 32.7 30.8 31.8 28.5 31.7
数平均分子量 Mn (×104) 2.1 3.7 2.7 2.5 2.3
重量平均分子量 Mw (×104) 10.5 16.0 11.2 11.1 10.9
Mw/Mn 比 5.0 4.3 4.1 4.4 4.8
エラストマー状共重合体ブレンド物A 100重量部
MTカーボンブラック(キャンキャブ製品サーマックスN990) 20 〃
多官能性不飽和化合物 5 〃
(日本化成製品TAIC M60;トリアリルイソシアヌレート)
有機過酸化物(日本油脂製品パーヘキサ25B-40) 3.5 〃
ZnO 5 〃
以上の各成分を2本ロールミルで混和し、得られた硬化性組成物を180℃で10分間圧縮成形(一次加硫)を行って厚さ2mmのシートおよびOリング(P24)を作製し、さらに230℃、22時間のオーブン加硫(二次加硫)を行った。一次加硫時に硬化試験を行い、二次加硫後のものについて常態物性、圧縮永久歪および接着性についての測定および評価が行われた。
硬化試験:モンサント・ディスク・レオメーターを使用し、121℃でMH、Tc90の値を
測定
常態物性:JIS K6250、6253準拠
圧縮永久歪:ASTM D395 Method B準拠
P24 Oリングについて、150℃、70時間の値を測定
接着性:それぞれ厚さ約1.5mmの未加硫含フッ素エラストマーシートと未加硫ニトリルゴムシートとを貼り合わせて、160℃、30分間プレス加硫を行い、次いで放冷した後、厚み2mm、幅12.5mm、長さ100mmにテストピースを打ち抜き、TOYOSEIKI STROGRAPH E II を用いて試験速度100mm/分で剥離試験を実施した
剥離する前にどちらかのゴムが破損した場合を接着性良好、ゴムの破損がなく剥離した場合を接着性不良として評価
なお、未加硫ニトリルゴムとしては、次の配合物が用いられた
ニトリルゴム(南帝化学工業製品NANCAR1051) 100重量部
HAFカーボンブラック(旭カーボン製品) 50 〃
酸化亜鉛 5 〃
ステアリン酸 1 〃
老化防止剤(精工化学製品ノンフレックスRD) 3 〃
硫黄 2 〃
加硫促進剤(三新化学工業製品サンセラーTS) 3 〃
実施例1において、エラストマー状共重合体ブレンド物Aの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Bが同量用いられた。
実施例1において、エラストマー状共重合体ブレンド物Aの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Cが同量用いられた。
実施例1において、エラストマー状共重合体ブレンド物Aの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Dが同量用いられた。
実施例1において、エラストマー状共重合体ブレンド物Aの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Eが同量用いられた。
表2
測定・評価項目 実施例1 比較例1 比較例2 比較例3 比較例4
硬化試験
MH (dN・m) 19.1 19.3 18.4 17.9 19.3
Tc90 (分) 1.11 1.02 1.10 1.07 1.12
常態物性
硬さ (Shore-A) 72 72 71 72 72
100%モジュラス (MPa) 5.7 5.9 5.7 5.5 5.6
破断強度 (MPa) 22.1 18.4 23.6 22.2 21.9
破断時伸び (%) 250 250 270 250 260
圧縮永久歪 (%) 30 31 35 29 33
接着性 (%) 良好 良好 良好 良好 不良
(高分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製)
内容積10Lの鋼製オートクレーブ内を窒素ガスで置換し、脱気後
界面活性剤〔CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4〕 15g(0.26重量%)
リン酸水素二ナトリウム・12水和物 10g
脱イオン水 5.8L
を仕込み、内部空間を再度窒素ガスで十分に置換した後脱気した。そこに
フッ化ビニリデン〔VdF〕 83g
テトラフルオロエチレン〔TFE〕 67g
ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕 640g
イソプロピルアルコール〔IPA〕 1.0g
を仕込み、オートクレーブ内を80℃に昇温した後、
過硫酸アンモニウム〔APS〕 1.0g
を仕込み、重合反応を開始させた。このときの内圧は2.2MPaであった。内圧2.15〜2.25MPaを保つように、
VdF 932g
TFE 673g
HFP 520g
を加え、反応終了後冷却し、残ガスを排出して乳化液I´(固形分濃度31.6重量%、Mn173,000)8,473gを得た。
前記高分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製において、IPAの代わりにマロン酸ジエチル70gを用い、またAPS量を5gに変更して、乳化液II´(固形分濃度31.4重量%、Mn18,000)8,489gを得た。なお、重合反応開始時の内圧は2.2MPaであった。
得られた乳化液I´と乳化液II´とを、それぞれの固形分重量比が50:50となるように混合した後、1重量%塩化カルシウム水溶液による凝析、水洗、乾燥が行われ、エラストマー状共重合体ブレンド物F 5,342gを得た。
参考例6において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤としてCF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2COONH4(パーフルオロオクタン酸アンモニウム)を同量用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液III´(固形分濃度32.2重量%、Mn166,000)8,397gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液IV´(固形分濃度31.6重量%、Mn19,000)8,518gが得られ、これらを用いてエラストマー状共重合体ブレンド物G 5,318gを得た。
参考例6において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤としてCHF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2COONH4(9H-ヘキサデカフルオロノナン酸アンモニウム)を同量用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液V´(固形分濃度31.5重量%、Mn162,000)8,452gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液VI´(固形分濃度31.6重量%、Mn17,000)8,522gが得られ、これらを用いてエラストマー状共重合体ブレンド物H 5,347gを得た。
参考例6において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤量を1.7g(0.03重量%)に変更して用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液VII´(固形分濃度30.6重量%、Mn154,000)8,402gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液VIII´(固形分濃度30.8重量%、Mn16,000)8,542gが得られ、これらを用いてエラストマー状共重合体ブレンド物I 5,389gを得た。
参考例6において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤量を40.6g(0.7重量%)に変更して用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液IX´(固形分濃度32.2重量%、Mn172,000)8,440gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液X´(固形分濃度31.9重量%、Mn18,000)8,542gが得られ、これらを用いてエラストマー状共重合体ブレンド物J 5,316gを得た。
表3
測定項目 参考例6 参考例7 参考例8 参考例9 参考例10
共重合体組成ブレンド物 F G H I J
VdF (モル%) 55.2 54.8 54.6 55.5 55.4
TFE (モル%) 25.4 25.4 25.3 24.2 25.5
HFP (モル%) 19.4 19.8 20.1 20.3 19.1
フッ素含量 (重量%) 69.5 69.5 69.6 69.5 69.4
ポリマームーニー粘度(ML1+10) 29.3 31.5 31.7 27.6 31.7
数平均分子量 Mn (×104) 3.6 3.5 3.9 3.3 3.5
重量平均分子量 Mw (×104) 16.3 17.9 17.5 16.7 16.8
Mw/Mn 比 4.5 5.1 4.5 5.1 4.8
実施例1において、下記硬化性組成物が用いられ、同様に測定および評価が行われた。ただし、圧縮永久歪については、200℃、70時間の値が測定された。
エラストマー状共重合体ブレンド物F 100重量部
MTカーボンブラック(サーマックスN990) 25 〃
加硫剤(ビスフェノールAF) 2 〃
加硫促進剤(ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド) 1 〃
受酸剤(共和化学製品キョウワマグ♯150) 3 〃
受酸剤(近江化学製品Caldic♯2000) 6 〃
実施例2において、エラストマー状共重合体ブレンド物Fの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Gが同量用いられた。
実施例2において、エラストマー状共重合体ブレンド物Fの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Hが同量用いられた。
実施例2において、エラストマー状共重合体ブレンド物Fの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Iが同量用いられた。
実施例2において、エラストマー状共重合体ブレンド物Fの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Jが同量用いられた。
表4
測定・評価項目 実施例2 比較例5 比較例6 比較例7 比較例8
硬化試験
MH (dN・m) 11.3 12.4 12.1 11.3 12.4
Tc90 (分) 4.82 4.76 4.80 4.72 5.42
常態物性
硬さ (Shore-A) 73 71 71 72 71
100%モジュラス (MPa) 4.3 3.2 3.2 2.8 3.1
破断強度 (MPa) 15.3 10.2 14.8 15.2 16.1
破断時伸び (%) 260 290 270 240 240
圧縮永久歪 (%) 27 30 34 27 32
接着性 (%) 良好 良好 良好 良好 不良
(1) 実施例1および2では、破断強度および耐圧縮永久歪特性のいずれもが良好な値を示している。
(2) エラストマー状共重合体ブレンド物の調製にあたって界面活性剤としてパーフルオロオクタン酸アンモニウムが用いられた比較例1および5で得られる加硫物は、破断強度に劣っている。
(3) エラストマー状共重合体ブレンド物の調製にあたって界面活性剤として9H-ヘキサデカフルオロノナン酸アンモニウムが用いられた比較例2および6で得られる加硫物は、耐圧縮永久歪特性に劣っている。
(4) エラストマー状共重合体ブレンド物の調製にあたって各実施例で用いられている界面活性剤を用いた場合であっても、その配合量が少ない比較例3および7で得られる加硫物は、乳化液の安定性が悪く、低粘度乳化液に析出がみられる。
(5) エラストマー状共重合体ブレンド物の調製にあたって各実施例で用いられている界面活性剤を用いた場合であっても、その配合量が多い比較例4および8で得られる加硫物は、NBRとの接着性が悪い。
(高分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製)
内容積10Lのステンレス鋼製オートクレーブ内を窒素ガスで置換し、脱気後
界面活性剤〔CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4〕 8.5g
(脱イオン水に対して0.15重量%)
リン酸水素二ナトリウム・12水和物 10g
脱イオン水 5.8L
を仕込み、内部空間を再度窒素ガスで十分に置換した後脱気した。そこに
フッ化ビニリデン〔VdF〕 90g
テトラフルオロエチレン〔TFE〕 77g
ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕 760g
2-ブロモ-1,1-ジフルオロエチレン〔BDFE〕 8g
を仕込み、オートクレーブ内を80℃に昇温した後、
過硫酸アンモニウム〔APS;0.3重量%水溶液として使用〕 1.8g
を仕込み、重合反応を開始させた。このときの内圧は2.2MPaであった。内圧2.15〜2.25MPaを保つように、
VdF 786g
TFE 673g
HFP 520g
を加え、反応終了後冷却し、残ガスを排出して乳化液I(固形分濃度31.5重量%)8,524gを得た。なお、この乳化液から1重量%塩化カルシウム水溶液による凝析、水洗、乾燥を行ってVdF-TFE-HFP3元共重合体を分離し、それの数平均分子量Mn(後記方法によって測定)を測定すると、161,000であった。
前記高分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製において、BDFEの代わりにオクタフルオロ-1,4-ジヨードブタン〔DIOFB〕34.0gを用い、またAPS量を6gに変更して、乳化液II(固形分濃度31.8重量%)8,534gを得た。なお、重合反応開始時の内圧は2.2MPaであった。また、得られたVdF-TFE-HFP3元共重合体のMnは、18,000であった。
得られた乳化液Iと乳化液IIとを、それぞれの固形分重量比が50:50となるように混合した後、1重量%塩化カルシウム水溶液による凝析、水洗、乾燥が行われ、エラストマー状共重合体ブレンド物A 5,344gを得た。
実施例1において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤としてCF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2COONH4(パーフルオロオクタン酸アンモニウム)を同量用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液III(固形分濃度32.1重量%、Mn144,000)8,521gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液IV(固形分濃度31.8重量%、Mn18,000)8,537gが得られ、これらを固形分重量比50:50で用いてエラストマー状共重合体ブレンド物B 5,419gを得た。
実施例1において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤としてCHF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2COONH4(9H-ヘキサデカフルオロノナン酸アンモニウム)を同量用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液V(固形分濃度31.4重量%、Mn151,000)8,512gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液VI(固形分濃度32.2重量%、Mn19,000)8,531gが得られ、これらを固形分重量比50:50で用いてエラストマー状共重合体ブレンド物C 5,321gを得た。
実施例1において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤量を1.7g(0.03重量%)に変更して用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液VII(固形分濃度31.7重量%、Mn138,000)8,528gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液VIII(固形分濃度31.8重量%、Mn16,000)8,551gが得られ、これらを固形分重量比50:50で用いてエラストマー状共重合体ブレンド物D 5,326gを得た。
実施例1において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤量が40.6g(0.7重量%)に変更して用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液IX(固形分濃度31.1重量%、Mn168,000)8,542gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液X(固形分濃度31.4重量%、Mn17,000)8,555gが得られ、これらを固形分重量比50:50で用いてエラストマー状共重合体ブレンド物E 5,331gを得た。
共重合体組成〔モル%〕:日本電子製品JMN-LA300フーリエ変換核磁気共鳴装置を用いて測定
フッ素含量〔重量%〕:F含量を分子量より算出
ポリマームーニー粘度(ML1+10):121℃の試験温度で、1分間予熱した後、直ちにロータを回転させ、10分後の値を測定
分子量測定:日本分光工業製851-AS型インテリジェントオートサニプラ、ガスクロ工業製MODEL 576型LCポンプ、昭和電工製Shodex KF-801、KF-802、KF-802.5およびKF-805のカラム4本を備えたガスクロ工業製MODEL 556型HPLCカラムオーブンおよび日本分光工業製検出器JASCO 830RI示差屈折計を用い、テトラヒドロフランを展開溶媒として試料濃度0.5重量%、流量1.0ml/分、温度40℃において測定
分子量の解析は、システムインスツルメンツ社製SICラブチャート180を用い、また分子量検量線用標準ポリマーとしては、東洋曹達製品の単分散ポリスチレン各種[Mw/Mn=1.1(MAX)]を用いた
表1
測定項目 実施例1 比較例1 比較例2 比較例3 比較例4
共重合体ブレンド物組成 A B C D E
VdF (モル%) 54.5 53.8 54.1 54.5 54.0
TFE (モル%) 24.4 24.3 25.1 24.2 24.9
HFP (モル%) 21.1 21.9 20.8 21.3 21.1
フッ素含量 (重量%) 69.6 69.7 69.7 69.6 69.7
ブレンド物ムーニー粘度(ML1+10) 32.7 30.8 31.8 28.5 31.7
数平均分子量 Mn (×104) 2.1 3.7 2.7 2.5 2.3
重量平均分子量 Mw (×104) 10.5 16.0 11.2 11.1 10.9
Mw/Mn 比 5.0 4.3 4.1 4.4 4.8
エラストマー状共重合体ブレンド物A 100重量部
MTカーボンブラック(キャンキャブ製品サーマックスN990) 20 〃
多官能性不飽和化合物 5 〃
(日本化成製品TAIC M60;トリアリルイソシアヌレート)
有機過酸化物(日本油脂製品パーヘキサ25B-40) 3.5 〃
ZnO 5 〃
以上の各成分を2本ロールミルで混和し、得られた硬化性組成物を180℃で10分間圧縮成形(一次加硫)を行って厚さ2mmのシートおよびOリング(P24)を作製し、さらに230℃、22時間のオーブン加硫(二次加硫)を行った。一次加硫時に硬化試験を行い、二次加硫後のものについて常態物性、圧縮永久歪および接着性についての測定および評価が行われた。
硬化試験:モンサント・ディスク・レオメーターを使用し、121℃でMH、Tc90の値を
測定
常態物性:JIS K6250、6253準拠
圧縮永久歪:ASTM D395 Method B準拠
P24 Oリングについて、150℃、70時間の値を測定
接着性:それぞれ厚さ約1.5mmの未加硫含フッ素エラストマー(上記硬化性組成物)のシートと未加硫ニトリルゴムのシートとを貼り合わせて、160℃、30分間プレス加硫を行い、次いで放冷した後、厚み2mm、幅12.5mm、長さ100mmにテストピースを打ち抜き、TOYOSEIKI STROGRAPH E II を用いて試験速度100mm/分で剥離試験を実施した
剥離する前にどちらかのゴムが破損した場合を接着性良好、ゴムの破損がなく剥離した場合を接着性不良として評価
なお、未加硫ニトリルゴムとしては、次の配合物が用いられた
ニトリルゴム(南帝化学工業製品NANCAR1051) 100重量部
HAFカーボンブラック(旭カーボン製品) 50 〃
酸化亜鉛 5 〃
ステアリン酸 1 〃
老化防止剤(精工化学製品ノンフレックスRD) 3 〃
硫黄 2 〃
加硫促進剤(三新化学工業製品サンセラーTS) 3 〃
実施例2において、エラストマー状共重合体ブレンド物Aの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Bが同量用いられた。
実施例2において、エラストマー状共重合体ブレンド物Aの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Cが同量用いられた。
実施例2において、エラストマー状共重合体ブレンド物Aの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Dが同量用いられた。
実施例2において、エラストマー状共重合体ブレンド物Aの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Eが同量用いられた。
表2
測定・評価項目 実施例2 比較例5 比較例6 比較例7 比較例8
硬化試験
MH (dN・m) 19.1 19.3 18.4 17.9 19.3
Tc90 (分) 1.11 1.02 1.10 1.07 1.12
常態物性
硬さ (Shore-A) 72 72 71 72 72
100%モジュラス (MPa) 5.7 5.9 5.7 5.5 5.6
破断強度 (MPa) 22.1 18.4 23.6 22.2 21.9
破断時伸び (%) 250 250 270 250 260
圧縮永久歪 (%) 30 31 35 29 33
接着性 (%) 良好 良好 良好 良好 不良
(高分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製)
内容積10Lの鋼製オートクレーブ内を窒素ガスで置換し、脱気後
界面活性剤〔CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4〕 15g(0.26重量%)
リン酸水素二ナトリウム・12水和物 10g
脱イオン水 5.8L
を仕込み、内部空間を再度窒素ガスで十分に置換した後脱気した。そこに
フッ化ビニリデン〔VdF〕 83g
テトラフルオロエチレン〔TFE〕 67g
ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕 640g
イソプロピルアルコール〔IPA〕 1.0g
を仕込み、オートクレーブ内を80℃に昇温した後、
過硫酸アンモニウム〔APS〕 1.0g
を仕込み、重合反応を開始させた。このときの内圧は2.2MPaであった。内圧2.15〜2.25MPaを保つように、
VdF 932g
TFE 673g
HFP 520g
を加え、反応終了後冷却し、残ガスを排出して乳化液I´(固形分濃度31.6重量%、Mn173,000)8,473gを得た。
前記高分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製において、IPAの代わりにマロン酸ジエチル70gを用い、またAPS量を5gに変更して、乳化液II´(固形分濃度31.4重量%、Mn18,000)8,489gを得た。なお、重合反応開始時の内圧は2.2MPaであった。
得られた乳化液I´と乳化液II´とを、それぞれの固形分重量比が50:50となるように混合した後、1重量%塩化カルシウム水溶液による凝析、水洗、乾燥が行われ、エラストマー状共重合体ブレンド物F 5,342gを得た。
実施例3において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤としてCF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2COONH4(パーフルオロオクタン酸アンモニウム)を同量用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液III´(固形分濃度32.2重量%、Mn166,000)8,397gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液IV´(固形分濃度31.6重量%、Mn19,000)8,518gが得られ、これらを用いてエラストマー状共重合体ブレンド物G 5,318gを得た。
実施例3において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤としてCHF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2COONH4(9H-ヘキサデカフルオロノナン酸アンモニウム)を同量用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液V´(固形分濃度31.5重量%、Mn162,000)8,452gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液VI´(固形分濃度31.6重量%、Mn17,000)8,522gが得られ、これらを用いてエラストマー状共重合体ブレンド物H 5,347gを得た。
実施例3において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤量を1.7g(0.03重量%)に変更して用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液VII´(固形分濃度30.6重量%、Mn154,000)8,402gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液VIII´(固形分濃度30.8重量%、Mn16,000)8,542gが得られ、これらを用いてエラストマー状共重合体ブレンド物I 5,389gを得た。
実施例3において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤量を40.6g(0.7重量%)に変更して用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液IX´(固形分濃度32.2重量%、Mn172,000)8,440gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液X´(固形分濃度31.9重量%、Mn18,000)8,542gが得られ、これらを用いてエラストマー状共重合体ブレンド物J 5,316gを得た。
表3
測定項目 実施例3 比較例9 比較例10 比較例11 比較例12
共重合体組成ブレンド物 F G H I J
VdF (モル%) 55.2 54.8 54.6 55.5 55.4
TFE (モル%) 25.4 25.4 25.3 24.2 25.5
HFP (モル%) 19.4 19.8 20.1 20.3 19.1
フッ素含量 (重量%) 69.5 69.5 69.6 69.5 69.4
ポリマームーニー粘度(ML1+10) 29.3 31.5 31.7 27.6 31.7
数平均分子量 Mn (×104) 3.6 3.5 3.9 3.3 3.5
重量平均分子量 Mw (×104) 16.3 17.9 17.5 16.7 16.8
Mw/Mn 比 4.5 5.1 4.5 5.1 4.8
実施例2において、下記硬化性組成物が用いられ、同様に測定および評価が行われた。ただし、圧縮永久歪については、200℃、70時間の値が測定された。
エラストマー状共重合体ブレンド物F 100重量部
MTカーボンブラック(サーマックスN990) 25 〃
加硫剤(ビスフェノールAF) 2 〃
加硫促進剤(ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド) 1 〃
受酸剤(共和化学製品キョウワマグ♯150) 3 〃
受酸剤(近江化学製品Caldic♯2000) 6 〃
実施例4において、エラストマー状共重合体ブレンド物Fの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Gが同量用いられた。
実施例4において、エラストマー状共重合体ブレンド物Fの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Hが同量用いられた。
実施例4において、エラストマー状共重合体ブレンド物Fの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Iが同量用いられた。
実施例4において、エラストマー状共重合体ブレンド物Fの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Jが同量用いられた。
表4
測定・評価項目 実施例4 比較例13 比較例14 比較例15 比較例16
硬化試験
MH (dN・m) 11.3 12.4 12.1 11.3 12.4
Tc90 (分) 4.82 4.76 4.80 4.72 5.42
常態物性
硬さ (Shore-A) 73 71 71 72 71
100%モジュラス (MPa) 4.3 3.2 3.2 2.8 3.1
破断強度 (MPa) 15.3 10.2 14.8 15.2 16.1
破断時伸び (%) 260 290 270 240 240
圧縮永久歪 (%) 27 30 34 27 32
接着性 (%) 良好 良好 良好 良好 不良
(1) 実施例2および4では、破断強度および耐圧縮永久歪特性のいずれもが良好な値を示している。
(2) エラストマー状共重合体ブレンド物の調製にあたって界面活性剤としてパーフルオロオクタン酸アンモニウムが用いられた比較例5および13で得られた加硫物は、破断強度に劣っている。
(3) エラストマー状共重合体ブレンド物の調製にあたって界面活性剤として9H-ヘキサデカフルオロノナン酸アンモニウムが用いられた比較例6および14で得られた加硫物は、耐圧縮永久歪特性に劣っている。
(4) エラストマー状共重合体ブレンド物の調製にあたって各実施例で用いられている界面活性剤を用いた場合であっても、その配合量が少ない比較例7および15で得られた加硫物は、乳化液の安定性が悪く、低粘度乳化液に析出がみられる。
(5) エラストマー状共重合体ブレンド物の調製にあたって各実施例で用いられている界面活性剤を用いた場合であっても、その配合量が多い比較例8および16で得られた加硫物は、NBRとの接着性が悪い。
Claims (4)
- いずれも2,3,3,3-テトラフルオロ-2-[1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロポキシ)プロポキシ]-1-プロパン酸アンモニウムCF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4を乳化剤とし、乳化剤を仕込み水総重量に対して0.05〜0.5重量%の割合で用いて乳化重合法によって共重合された、(A)数平均分子量Mnが5,000〜100,000の低分子量含フッ素エラストマーと(B)数平均分子量Mnが130,000〜3,000,000の高分子量含フッ素エラストマーとを重量比で70/30〜30/70の割合でブレンドし、ブレンド物がテトラフルオロエチレン10〜40モル%、フッ化ビニリデン80〜30モル%およびヘキサフルオロプロピレン10〜30モル%の共重合組成を有し、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比が2〜20である含フッ素エラストマーブレンド物、(C)ポリオール加硫剤、あるいは(D)有機過酸化物および多官能性不飽和化合物よりなる含フッ素エラストマー組成物。
- 含フッ素エラストマーブレンド物100重量部当り、(C)ポリオール加硫剤が0.1〜10重量部、あるいは(D)有機過酸化物0.05〜10重量部および多官能性不飽和化合物0.01〜10重量部が用いられた請求項1記載の含フッ素エラストマー組成物。
- 請求項2記載の含フッ素エラストマー組成物を加硫成形して得られた燃料系部品。
- 燃料ホースである請求項3記載の燃料系部品。
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