JP2013213130A - 含フッ素エラストマーブレンド物およびその組成物 - Google Patents

含フッ素エラストマーブレンド物およびその組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2013213130A
JP2013213130A JP2012083675A JP2012083675A JP2013213130A JP 2013213130 A JP2013213130 A JP 2013213130A JP 2012083675 A JP2012083675 A JP 2012083675A JP 2012083675 A JP2012083675 A JP 2012083675A JP 2013213130 A JP2013213130 A JP 2013213130A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fluorine
containing elastomer
molecular weight
weight
blend
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2012083675A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5998588B2 (ja
Inventor
Hideki Hayashi
秀樹 林
Soichiro Murakami
総一郎 村上
Mitsuru Maeda
満 前田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Unimatec Co Ltd
Original Assignee
Unimatec Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Unimatec Co Ltd filed Critical Unimatec Co Ltd
Priority to JP2012083675A priority Critical patent/JP5998588B2/ja
Priority to CN201310112225.1A priority patent/CN103360703B/zh
Publication of JP2013213130A publication Critical patent/JP2013213130A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5998588B2 publication Critical patent/JP5998588B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Polymerisation Methods In General (AREA)

Abstract

【課題】単一の加硫系での加硫によって、燃料系部品成形材料として好適に使用され、成形性、加硫物性、耐薬品性、光安定性および経済性にすぐれた含フッ素エラストマーブレンド物およびその成形物を与えうる組成物を提供する。
【解決手段】いずれもCF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4を乳化剤として用い、乳化剤を仕込み水総重量に対して0.05〜0.5重量%の割合で用いて乳化重合法によって共重合された、(A)Mnが5,000〜100,000の低分子量含フッ素エラストマーと(B)Mnが130,000〜3,000,000の高分子量含フッ素エラストマーとを重量比で70/30〜30/70の割合でブレンドし、ブレンド物がTFE 10〜40モル%、VdF 80〜30モル%HFP 10〜30モル%の共重合組成を有し、Mw/Mn比が2〜20である含フッ素エラストマーブレンド物。この含フッ素エラストマーブレンド物は、(C)ポリオール加硫剤、あるいは(D)有機過酸化物および多官能性不飽和化合物と共に、その組成物を形成させる。
【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素エラストマー組成物に関するものである。さらに詳しくは、良好な耐熱性、耐溶剤性、耐化学薬品性を有するとともに、機械的物性および耐圧縮永久歪特性が改善された加硫物を与えることができ、燃料系部品成形材料、特に燃料ホース成形材料として好適に用いられる含フッ素エラストマー組成物に関するものである。
メタノールなどのアルコール、ガソリン、軽油、ナフサ等の燃料に用いられる燃料系部品としては、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性などに優れていることが要求されるため、これらの諸特性に優れた含フッ素エラストマー加硫成形品が主として使用されている。
かかる加硫成形品を与える含フッ素エラストマー組成物として、本出願人は先にパーフルオロオクタン酸アンモニウム等の乳化剤の存在下で共重合され、テトラフルオロエチレン10〜40モル%、フッ化ビニリデン80〜30モル%およびヘキサフルオロプロピレン10〜30モル%の共重合組成を有し、その極限粘度が20〜180ml/g、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比が2〜10であり、分子量分布が多ピーク型である含フッ素エラストマー100重量部、ポリオール加硫剤およびポリアミン加硫剤の少なくとも一種0.1〜10重量部、有機過酸化物0.05〜10重量部および多官能性不飽和化合物0.01〜10重量部よりなる燃料系部品成形用含フッ素エラストマー組成物を提案している(特許文献1)。
しかしながら、かかる含フッ素エラストマー組成物は、ポリオール加硫剤またはポリアミン加硫剤と、有機過酸化物の併用を必須としており、どちらか一方のみを用いた単一の加硫系での加硫では、常態物性や耐圧縮永久歪特性の点で、燃料系部品に要求される諸特性を満足させることができない。
WO2008/050588 特開2009−227754 特開平10−212322号公報 特開平11−181032号公報 特開2000−7732号公報 特開2003−165802号公報 特開2007−56215
本発明の目的は、単一の加硫系での加硫によって、燃料系部品成形材料として好適に使用され、成形性、加硫物性、耐薬品性、光安定性および経済性にすぐれた含フッ素エラストマー成形物を与えうる含フッ素エラストマー組成物を提供することにある。
かかる本発明の目的は、いずれも2,3,3,3-テトラフルオロ-2-[1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロポキシ)プロポキシ]-1-プロパン酸アンモニウムCF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4を乳化剤とし、乳化剤を仕込み水総重量に対して0.05〜0.5重量%の割合で用いて乳化重合法によって共重合された、(A)数平均分子量Mnが5,000〜100,000の低分子量含フッ素エラストマーと(B)数平均分子量Mnが130,000〜3,000,000の高分子量含フッ素エラストマーとを重量比で70/30〜30/70の割合でブレンドし、ブレンド物がテトラフルオロエチレン10〜40モル%、フッ化ビニリデン80〜30モル%およびヘキサフルオロプロピレン10〜30モル%の共重合組成を有し、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比が2〜20である含フッ素エラストマーブレンド物、(C)ポリオール加硫剤、あるいは(D)有機過酸化物および多官能性不飽和化合物よりなる含フッ素エラストマー組成物によって達成される。
本発明に係る含フッ素エラストマー組成物は、特許文献1において例示されているだけの2,3,3,3-テトラフルオロ-2-[1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロポキシ)プロポキシ]-1-プロパン酸アンモニウムを乳化剤として所定量用いて製造した低分子量含フッ素エラストマーと高分子量含フッ素エラストマーとの含フッ素エラストマーブレンド物を用いることによって、従来一般的に用いられていたパーフルオロオクタン酸アンモニウムを乳化剤として用いて含フッ素エラストマーを製造した場合に必要とされていたポリオール加硫剤またはポリアミン加硫剤と、有機過酸化物との併用を必要とすることなく、単一の加硫系による加硫によって、常態物性、圧縮永久歪特性および接着性をバランス良く改善せしめることを可能にするといったすぐれた効果を奏する。
また、ポリオール加硫剤を用いた場合には、有機過酸化物を用いた場合と比べて、圧縮永久歪特性にすぐれるといった効果を奏する。
含フッ素エラストマーブレンド物としては、いずれも2,3,3,3-テトラフルオロ-2-[1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロポキシ)プロポキシ]-1-プロパン酸アンモニウムを乳化剤とし、乳化剤を仕込み水総重量に対して0.05〜0.5重量%の割合で用いて乳化重合法によって共重合された、(A)数平均分子量Mnが5,000〜100,000の低分子量含フッ素エラストマーと(B)数平均分子量Mnが130,000〜3,000,000の高分子量含フッ素エラストマーとを、重量比で70/30〜30/70の割合でブレンドした、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比が2〜20であるものが用いられる。
このブレンド物は、テトラフルオロエチレン〔TFE〕10〜40モル%、好ましくは15〜35モル%、フッ化ビニリデン〔VdF〕80〜30モル%、好ましくは70〜40モル%およびヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕10〜30モル%、好ましくは15〜25モル%の共重合組成を有する。TFEの共重合割合がこれより多いと、耐寒性が悪化する上、得られる含フッ素エラストマーブレンド物の弾性が低下するため好ましくなく、一方TFEの共重合割合がこれより少ないと、耐油性、耐薬品性が低下することがあり好ましくない。また、VdFの共重合割合がこれより少ないと、耐寒性が極端に悪化する。さらに、HFPの共重合割合がこれより多いと、耐圧縮永久歪特性の悪化が著しく、一方HFPの共重合割合がこれより少ないと、含フッ素エラストマーブレンド物のゴム弾性が低下するようになる。
また、分子量分布を表す重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mnがこれ以上では、分子量分布が広く、低分子量成分および超高分子量成分が相対的に多く含まれ、加工性、特に押出加工性および押出肌特性と物性の両方を同時に満足させることが困難となる。これは、低分子量成分が多いと加工性は向上するが物性の低下をもたらし、また超高分子量成分が多いと前記と逆の関係をもたらすためである。一方、Mw/Mn比がこれ以下では、加工性、特に押出加工性が著しく悪化するようになる。
かかる低分子量ならびに高分子量含フッ素エラストマーは、乳化重合反応によって製造される。乳化重合反応では、過硫酸アンモニウム等の水溶性無機過酸化物またはそれと還元剤とのレドックス系を触媒として、乳化剤となる2,3,3,3-テトラフルオロ-2-[1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロポキシ)プロポキシ]-1-プロパン酸アンモニウムを、仕込み水総重量に対して0.05〜0.5重量%、好ましくは0.1〜0.3重量%の割合で用いられる。乳化剤量がこれより少ない割合で用いられると、乳化液の安定性が極端に悪くなり、逆にこれより多い割合で用いられると接着性が著しく悪化するため好ましくない。なお、特許文献2には、この乳化剤を用いた含フッ素共重合体の製造法が開示されているが、これはあくまで機械的安定性にすぐれた含フッ素共重合体の水性分散液についての発明であり、共重合組成も本発明で好ましいとされる共重合組成とは異なっている。
高分子量および低分子量のフッ素エラストマーの数平均分子量Mnの調節は、主に連鎖移動剤および重合開始剤の種類および使用量を調節することによって行われる。
連鎖移動剤としては、例えばジメチルエーテル、メチル第3ブチルエーテル、C1〜C6のアルカン類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、マロン酸ジエチル、アセトン等が挙げられる。
また、過酸化物架橋点は、共重合反応系に共存させた飽和含ヨウ素化合物または含ヨウ素臭素化合物によっても導入することができ、これらの化合物は連鎖移動剤としても作用する。これらの化合物は、特許文献3〜6の記載にみられるように周知の化合物であり、例えば一般式RInまたはInBrmR(ここで、Rはフルオロ炭化水素基、クロロフルオロ炭化水素基、クロロ炭化水素基または炭化水素基であり、n、mはいずれも1または2である)で表わされる飽和含ヨウ素化合物あるいは脂肪族または芳香族の含ヨウ素臭素化合物を挙げることができる。
これらの含フッ素エラストマー中には、ヨウ素または臭素含有不飽和化合物を約1モル%以下、好ましくは約0.1〜0.5モル%共重合させて、過酸化物架橋点を形成させることもできる。かかるヨウ素または臭素含有不飽和化合物としては、例えばヨードトリフルオロエチレン、パーフルオロ(2-ヨードエチルビニルエーテル)、2-ブロモ-1,1-ジフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、4-ブロモ-3,3,4,4-テトラフルオロブテン-1、パーフルオロ(2-ブロモエチルビニルエーテル)等が挙げられる。
一方、2種類の含フッ素エラストマーがそれぞれ水性分散液として調製され、含フッ素エラストマーの水性分散液同士がブレンドされて含フッ素エラストマーブレンド物を形成させるブレンド方法が好ましいという観点から、各含フッ素エラストマーは乳化重合法によって製造されることが好ましく、そのため重合開始剤としては、水溶性無機過酸化物、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムあるいは水溶性アゾ化合物等が単独で、あるいはこれらと亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等の還元剤とのレドックス系として用いられる。
乳化重合反応に用いられる連鎖移動剤および重合開始剤の使用量を少なくする程、一般には生成含フッ素エラストマーの数平均分子量Mnを大きくできる傾向がみられる。例えば、高分子量含フッ素エラストマーを得るには、連鎖移動剤としてのイソプロパノールや飽和含ヨウ素化合物を反応原料全量に対して(以下、同基準)約0.05〜0.15重量%の割合で用い、また重合開始剤を反応原料全量に対して(以下、同基準)約0.01〜0.1重量%の割合で用い、また低分子量含フッ素エラストマーを得るには、連鎖移動剤として飽和含ヨウ素化合物を約7〜12重量%の割合で用い、また重合開始剤を約0.1〜0.5重量%の割合で用いて、共重合反応が行われる。ただし、これらの数値は一つの例であって、共重合組成その他の重合条件によって変わり得る。
乳化重合反応は、一般に圧力約0〜10MPa、好ましくは約0.5〜4MPa、温度約0〜100℃、好ましくは約20〜80℃の条件下で行われる。その際、反応圧力が一定範囲に保たれるように、供給する含フッ素単量体混合物を分添方式で供給することが好ましい。また、重合系内のpHを調節するために、Na2HPO4、NaH2PO4、KH2PO4等の緩衝能を有する電解質物質あるいは水酸化ナトリウムを添加してもよい。
このようにして得られた高分子量含フッ素エラストマーと低分子量含フッ素エラストマーのブレンドは、好ましくはほぼ同一の共重合組成を有する高分子量含フッ素エラストマー成分と低分子量含フッ素エラストマー成分とが重量比で、70/30〜30/70、好ましくは60/40〜40/60となるような割合で行われる。高分子量含フッ素エラストマーの割合がこれより多いと、ブレンド後のポリマームーニー粘度が上昇して流動性が低下し、一方これより少ないと、ブレンド物の粘着性が大きくなる上、ポリマームーニー粘度も実用的な粘度にならないことがある。
高分子量含フッ素エラストマーと低分子量含フッ素エラストマーのブレンド方法は特に限定されず、例えばこれらのエラストマーラテックスを、所望の割合で混合し、撹拌した後、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等を添加して凝析させ、水洗、乾燥等を経ることにより行われる。
得られたエラストマー状含フッ素共重合体(含フッ素エラストマー)は、ポリオール加硫剤、あるいは有機過酸化物および多官能性不飽和化合物を添加して加硫、成形等を行い、硬化物あるいは加工品を得ることができる。なお、特許文献7には、有機過酸化物および多官能性不飽和化合物を添加した含フッ素エラストマー組成物が開示されているが、含フッ素エラストマー製造時の乳化剤として具体的に示されているのは、後記比較例1および5で用いられているパ−フルオロオクタン酸アンモニウムのみにとどまっている。
ポリオール加硫剤としては、ポリヒドロキシ芳香族化合物架橋剤が用いられ、その際4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩およびイミニウム塩の中から選ばれた少なくとも一種よりなる加硫促進剤が併用され、さらに2価金属の酸化物または水酸化物およびハイドロタルサイト類の中から選ばれた少なくとも一種よりなる受酸剤が用いられることが好ましい。
ポリヒドロキシ芳香族化合物としては、例えばヒドロキノン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン〔ビスフェノールAF〕、4,4′-ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタンなどの少なくとも一種が、含フッ素エラストマーブレンド物100重量部当り0.1〜10重量部、好ましくは0.6〜5重量部の割合で用いられる。
また、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、イミニウム塩としては、例えばテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラプロピルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルトリオクチルホスホニウムクロライド、ビス(ベンジルフェニルホスフィン)イミニウムクロライド、イミニウムカチオンなどの少なくとも一種が、含フッ素エラストマーブレンド物100重量部当り0.05〜2重量部、好ましくは0.1〜1重量部の割合で用いられる。
さらに、2価金属の酸化物または水酸化物としては、例えばマグネシウム、カルシウム、亜鉛、鉛などの金属の酸化物や水酸化物の少なくとも一種が用いられ、その使用量は、ハイドロタルサイト類の場合と同様に、含フッ素エラストマーブレンド物100重量部当り1〜30重量部、好ましくは2〜20重量部の範囲で選ばれる。また、必要に応じ、加硫促進剤の効果を上げるために、種々の加硫促進活性剤を添加することもできる。この加硫促進活性剤の代表的なものとしては、DBU(1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン-7)、ジメチルスルホンやジクロロジフェニルスルホンなどのスルホン化合物が挙げられる。
有機過酸化物としては、熱によって容易にパーオキシラジカルを発生するものが好ましく、例えば2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、 2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサンなどのジアルキルパーオキシドなどの少なくとも一種が用いられる。これらの有機過酸化物は、加硫時に熱によりラジカルを発生し、このラジカルがポリマー中のヨウ素・臭素基に作用して、ポリマー中にラジカルを発生させ、そしてポリマー中の2個のラジカルが互いに結合することにより、架橋が起こるものと推定される。
有機過酸化物の添加量は、活性酸素量や分解温度などから適宜選ばれるが、通常含フッ素エラストマーブレンド物100重量部当り0.05〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の範囲で選ばれる。有機過酸化物がこれより少ない割合で用いられると、ラジカルの発生量が少なすぎて架橋が十分に進行せず、一方これより多い割合で用いられると、効果の向上が認められないばかりか、むしろ経済的に不利となる上、過酸化物の分解ガスによる発泡が起こり、機械物性が低下する傾向がみられるため好ましくない。
多官能性不飽和化合物としては、例えばトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリス(ジアリルアミン)-s-トリアジンなどの少なくとも一種、好ましくはトリアリルイソシアヌレートが、エラストマーブレンド物100重量部当り0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いられる。
以上の必須成分に加えて、本発明の含フッ素エラストマー組成物には、必要に応じて各種添加剤、例えばカーボンブラック、シリカ、クレー、タルクなどの補強剤、ワックス類などの加工助剤などを添加することができ、以上の各成分よりなる含フッ素エラストマー組成物は、ロールやバンバリミキサーなどで混合、混練することにより調製することができる。
このようにして得られた含フッ素エラストマー組成物は、十分混練したのち、帯状に長く切り出して、押出成形機にかけることによりチューブ状のホースを得ることができ、次いで、必要に応じてスチーム等による二次加硫を行うことにより、所望の加硫物を得ることができる。
次に、実施例について本発明を説明する。
参考例1
(高分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製)
内容積10Lのステンレス鋼製オートクレーブ内を窒素ガスで置換し、脱気後
界面活性剤〔CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4〕 8.5g(0.15重量%)
リン酸水素二ナトリウム・12水和物 10g
脱イオン水 5.8L
を仕込み、内部空間を再度窒素ガスで十分に置換した後脱気した。そこに
フッ化ビニリデン〔VdF〕 90g
テトラフルオロエチレン〔TFE〕 77g
ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕 760g
2-ブロモ-1,1-ジフルオロエチレン〔BDFE〕 8g
を仕込み、オートクレーブ内を80℃に昇温した後、
過硫酸アンモニウム〔APS;0.3重量%水溶液として使用〕 1.8g
を仕込み、重合反応を開始させた。このときの内圧は2.2MPaであった。内圧2.15〜2.25MPaを保つように、
VdF 786g
TFE 673g
HFP 520g
を加え、反応終了後冷却し、残ガスを排出して乳化液I(固形分濃度31.5重量%)8,524gを得た。なお、この乳化液から1重量%塩化カルシウム水溶液による凝析、水洗、乾燥を行ってVdF-TFE-HFP3元共重合体を分離し、それの数平均分子量Mn(後記方法によって測定)を測定すると、161,000であった。
(低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製)
前記高分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製において、BDFEの代わりにオクタフルオロ-1,4-ジヨードブタン〔DIOFB〕34.0gを用い、またAPS量を6gに変更して、乳化液II(固形分濃度31.8重量%)8,534gを得た。なお、重合反応開始時の内圧は2.2MPaであった。また、得られたVdF-TFE-HFP3元共重合体のMnは、18,000であった。
(エラストマー状共重合体ブレンド物の調製)
得られた乳化液Iと乳化液IIとを、それぞれの固形分重量比が50:50となるように混合した後、1重量%塩化カルシウム水溶液による凝析、水洗、乾燥が行われ、エラストマー状共重合体ブレンド物A 5,344gを得た。
参考例2
参考例1において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤としてCF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2COONH4(パーフルオロオクタン酸アンモニウム)を同量用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液III(固形分濃度32.1重量%、Mn144,000)8,521gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液IV(固形分濃度31.8重量%、Mn18,000)8,537gが得られ、これらを固形分重量比50:50で用いてエラストマー状共重合体ブレンド物B 5,419gを得た。
参考例3
参考例1において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤としてCHF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2COONH4(9H-ヘキサデカフルオロノナン酸アンモニウム)を同量用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液V(固形分濃度31.4重量%、Mn151,000)8,512gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液VI(固形分濃度32.2重量%、Mn19,000)8,531gが得られ、これらを固形分重量比50:50で用いてエラストマー状共重合体ブレンド物C 5,321gを得た。
参考例4
参考例1において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤量を1.7g(0.03重量%)に変更して用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液VII(固形分濃度31.7重量%、Mn138,000)8,528gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液VIII(固形分濃度31.8重量%、Mn16,000)8,551gが得られ、これらを固形分重量比50:50で用いてエラストマー状共重合体ブレンド物D 5,326gを得た。
参考例5
参考例1において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤量が40.6g(0.7重量%)に変更して用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液IX(固形分濃度31.1重量%、Mn168,000)8,542gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液X(固形分濃度31.4重量%、Mn17,000)8,555gが得られ、これらを固形分重量比50:50で用いてエラストマー状共重合体ブレンド物E 5,331gを得た。
以上の各参考例で得られたエラストマー状共重合体ブレンド物A〜Eについて、次の各項目についての測定が行われた。
共重合体組成〔モル%〕:日本電子製品JMN-LA300フーリエ変換核磁気共鳴装置を用いて測定
フッ素含量〔重量%〕:F含量を分子量より算出
ポリマームーニー粘度(ML1+10):121℃の試験温度で、1分間予熱した後、直ちにロータを回転させ、10分後の値を測定
分子量測定:日本分光工業製851-AS型インテリジェントオートサニプラ、ガスクロ工業製MODEL 576型LCポンプ、昭和電工製Shodex KF-801、KF-802、KF-802.5およびKF-805のカラム4本を備えたガスクロ工業製MODEL 556型HPLCカラムオーブンおよび日本分光工業製検出器JASCO 830RI示差屈折計を用い、テトラヒドロフランを展開溶媒として試料濃度0.5重量%、流量1.0ml/分、温度40℃において測定
分子量の解析は、システムインスツルメンツ社製SICラブチャート180を用い、また分子量検量線用標準ポリマーとしては、東洋曹達製品の単分散ポリスチレン各種[Mw/Mn=1.1(MAX)]を用いた
測定結果は、次の表1に示される。

表1
測定項目 参考例1 参考例2 参考例3 参考例4 参考例5
共重合体ブレンド物組成 A B C D E
VdF (モル%) 54.5 53.8 54.1 54.5 54.0
TFE (モル%) 24.4 24.3 25.1 24.2 24.9
HFP (モル%) 21.1 21.9 20.8 21.3 21.1
フッ素含量 (重量%) 69.6 69.7 69.7 69.6 69.7
ブレンド物ムーニー粘度(ML1+10) 32.7 30.8 31.8 28.5 31.7
数平均分子量 Mn (×104) 2.1 3.7 2.7 2.5 2.3
重量平均分子量 Mw (×104) 10.5 16.0 11.2 11.1 10.9
Mw/Mn 比 5.0 4.3 4.1 4.4 4.8
実施例1
エラストマー状共重合体ブレンド物A 100重量部
MTカーボンブラック(キャンキャブ製品サーマックスN990) 20 〃
多官能性不飽和化合物 5 〃
(日本化成製品TAIC M60;トリアリルイソシアヌレート)
有機過酸化物(日本油脂製品パーヘキサ25B-40) 3.5 〃
ZnO 5 〃
以上の各成分を2本ロールミルで混和し、得られた硬化性組成物を180℃で10分間圧縮成形(一次加硫)を行って厚さ2mmのシートおよびOリング(P24)を作製し、さらに230℃、22時間のオーブン加硫(二次加硫)を行った。一次加硫時に硬化試験を行い、二次加硫後のものについて常態物性、圧縮永久歪および接着性についての測定および評価が行われた。
硬化試験:モンサント・ディスク・レオメーターを使用し、121℃でMH、Tc90の値を
測定
常態物性:JIS K6250、6253準拠
圧縮永久歪:ASTM D395 Method B準拠
P24 Oリングについて、150℃、70時間の値を測定
接着性:それぞれ厚さ約1.5mmの未加硫含フッ素エラストマーシートと未加硫ニトリルゴムシートとを貼り合わせて、160℃、30分間プレス加硫を行い、次いで放冷した後、厚み2mm、幅12.5mm、長さ100mmにテストピースを打ち抜き、TOYOSEIKI STROGRAPH E II を用いて試験速度100mm/分で剥離試験を実施した
剥離する前にどちらかのゴムが破損した場合を接着性良好、ゴムの破損がなく剥離した場合を接着性不良として評価
なお、未加硫ニトリルゴムとしては、次の配合物が用いられた
ニトリルゴム(南帝化学工業製品NANCAR1051) 100重量部
HAFカーボンブラック(旭カーボン製品) 50 〃
酸化亜鉛 5 〃
ステアリン酸 1 〃
老化防止剤(精工化学製品ノンフレックスRD) 3 〃
硫黄 2 〃
加硫促進剤(三新化学工業製品サンセラーTS) 3 〃
比較例1
実施例1において、エラストマー状共重合体ブレンド物Aの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Bが同量用いられた。
比較例2
実施例1において、エラストマー状共重合体ブレンド物Aの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Cが同量用いられた。
比較例3
実施例1において、エラストマー状共重合体ブレンド物Aの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Dが同量用いられた。
比較例4
実施例1において、エラストマー状共重合体ブレンド物Aの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Eが同量用いられた。
以上の実施例1および比較例1〜4で得られた結果は、次の表2に示される。

表2
測定・評価項目 実施例1 比較例1 比較例2 比較例3 比較例4
硬化試験
MH (dN・m) 19.1 19.3 18.4 17.9 19.3
Tc90 (分) 1.11 1.02 1.10 1.07 1.12
常態物性
硬さ (Shore-A) 72 72 71 72 72
100%モジュラス (MPa) 5.7 5.9 5.7 5.5 5.6
破断強度 (MPa) 22.1 18.4 23.6 22.2 21.9
破断時伸び (%) 250 250 270 250 260
圧縮永久歪 (%) 30 31 35 29 33
接着性 (%) 良好 良好 良好 良好 不良
参考例6
(高分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製)
内容積10Lの鋼製オートクレーブ内を窒素ガスで置換し、脱気後
界面活性剤〔CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4〕 15g(0.26重量%)
リン酸水素二ナトリウム・12水和物 10g
脱イオン水 5.8L
を仕込み、内部空間を再度窒素ガスで十分に置換した後脱気した。そこに
フッ化ビニリデン〔VdF〕 83g
テトラフルオロエチレン〔TFE〕 67g
ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕 640g
イソプロピルアルコール〔IPA〕 1.0g
を仕込み、オートクレーブ内を80℃に昇温した後、
過硫酸アンモニウム〔APS〕 1.0g
を仕込み、重合反応を開始させた。このときの内圧は2.2MPaであった。内圧2.15〜2.25MPaを保つように、
VdF 932g
TFE 673g
HFP 520g
を加え、反応終了後冷却し、残ガスを排出して乳化液I´(固形分濃度31.6重量%、Mn173,000)8,473gを得た。
(低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製)
前記高分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製において、IPAの代わりにマロン酸ジエチル70gを用い、またAPS量を5gに変更して、乳化液II´(固形分濃度31.4重量%、Mn18,000)8,489gを得た。なお、重合反応開始時の内圧は2.2MPaであった。
(エラストマー状共重合体ブレンド物の調製)
得られた乳化液I´と乳化液II´とを、それぞれの固形分重量比が50:50となるように混合した後、1重量%塩化カルシウム水溶液による凝析、水洗、乾燥が行われ、エラストマー状共重合体ブレンド物F 5,342gを得た。
参考例7
参考例6において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤としてCF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2COONH4(パーフルオロオクタン酸アンモニウム)を同量用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液III´(固形分濃度32.2重量%、Mn166,000)8,397gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液IV´(固形分濃度31.6重量%、Mn19,000)8,518gが得られ、これらを用いてエラストマー状共重合体ブレンド物G 5,318gを得た。
参考例8
参考例6において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤としてCHF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2COONH4(9H-ヘキサデカフルオロノナン酸アンモニウム)を同量用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液V´(固形分濃度31.5重量%、Mn162,000)8,452gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液VI´(固形分濃度31.6重量%、Mn17,000)8,522gが得られ、これらを用いてエラストマー状共重合体ブレンド物H 5,347gを得た。
参考例9
参考例6において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤量を1.7g(0.03重量%)に変更して用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液VII´(固形分濃度30.6重量%、Mn154,000)8,402gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液VIII´(固形分濃度30.8重量%、Mn16,000)8,542gが得られ、これらを用いてエラストマー状共重合体ブレンド物I 5,389gを得た。
参考例10
参考例6において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤量を40.6g(0.7重量%)に変更して用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液IX´(固形分濃度32.2重量%、Mn172,000)8,440gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液X´(固形分濃度31.9重量%、Mn18,000)8,542gが得られ、これらを用いてエラストマー状共重合体ブレンド物J 5,316gを得た。
以上の各参考例で得られたエラストマー状共重合体ブレンド物F〜Jについて、次の各項目についての測定が行われた。測定結果は、次の表3に示される。

表3
測定項目 参考例6 参考例7 参考例8 参考例9 参考例10
共重合体組成ブレンド物 F G H I J
VdF (モル%) 55.2 54.8 54.6 55.5 55.4
TFE (モル%) 25.4 25.4 25.3 24.2 25.5
HFP (モル%) 19.4 19.8 20.1 20.3 19.1
フッ素含量 (重量%) 69.5 69.5 69.6 69.5 69.4
ポリマームーニー粘度(ML1+10) 29.3 31.5 31.7 27.6 31.7
数平均分子量 Mn (×104) 3.6 3.5 3.9 3.3 3.5
重量平均分子量 Mw (×104) 16.3 17.9 17.5 16.7 16.8
Mw/Mn 比 4.5 5.1 4.5 5.1 4.8
実施例2
実施例1において、下記硬化性組成物が用いられ、同様に測定および評価が行われた。ただし、圧縮永久歪については、200℃、70時間の値が測定された。
エラストマー状共重合体ブレンド物F 100重量部
MTカーボンブラック(サーマックスN990) 25 〃
加硫剤(ビスフェノールAF) 2 〃
加硫促進剤(ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド) 1 〃
受酸剤(共和化学製品キョウワマグ♯150) 3 〃
受酸剤(近江化学製品Caldic♯2000) 6 〃
比較例5
実施例2において、エラストマー状共重合体ブレンド物Fの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Gが同量用いられた。
比較例6
実施例2において、エラストマー状共重合体ブレンド物Fの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Hが同量用いられた。
比較例7
実施例2において、エラストマー状共重合体ブレンド物Fの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Iが同量用いられた。
比較例8
実施例2において、エラストマー状共重合体ブレンド物Fの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Jが同量用いられた。
以上の実施例2および比較例5〜8で得られた結果は、次の表4に示される。

表4
測定・評価項目 実施例2 比較例5 比較例6 比較例7 比較例8
硬化試験
MH (dN・m) 11.3 12.4 12.1 11.3 12.4
Tc90 (分) 4.82 4.76 4.80 4.72 5.42
常態物性
硬さ (Shore-A) 73 71 71 72 71
100%モジュラス (MPa) 4.3 3.2 3.2 2.8 3.1
破断強度 (MPa) 15.3 10.2 14.8 15.2 16.1
破断時伸び (%) 260 290 270 240 240
圧縮永久歪 (%) 27 30 34 27 32
接着性 (%) 良好 良好 良好 良好 不良
以上の結果より、次のことがいえる。
(1) 実施例1および2では、破断強度および耐圧縮永久歪特性のいずれもが良好な値を示している。
(2) エラストマー状共重合体ブレンド物の調製にあたって界面活性剤としてパーフルオロオクタン酸アンモニウムが用いられた比較例1および5で得られる加硫物は、破断強度に劣っている。
(3) エラストマー状共重合体ブレンド物の調製にあたって界面活性剤として9H-ヘキサデカフルオロノナン酸アンモニウムが用いられた比較例2および6で得られる加硫物は、耐圧縮永久歪特性に劣っている。
(4) エラストマー状共重合体ブレンド物の調製にあたって各実施例で用いられている界面活性剤を用いた場合であっても、その配合量が少ない比較例3および7で得られる加硫物は、乳化液の安定性が悪く、低粘度乳化液に析出がみられる。
(5) エラストマー状共重合体ブレンド物の調製にあたって各実施例で用いられている界面活性剤を用いた場合であっても、その配合量が多い比較例4および8で得られる加硫物は、NBRとの接着性が悪い。
本発明に係る含フッ素エラストマー組成物は、常態物性、圧縮永久歪特性に優れた物性を有する加硫物を与えるので、燃料系部品、特に燃料ホース、チューブなどの加硫成形材料として好適に用いられる。
本発明は、含フッ素エラストマーブレンド物およびその組成物に関するものである。さらに詳しくは、良好な耐熱性、耐溶剤性、耐化学薬品性を有するとともに、機械的物性および耐圧縮永久歪特性が改善された加硫物を与えることができ、燃料系部品成形材料、特に燃料ホース成形材料として好適に用いられる含フッ素エラストマーブレンド物およびその組成物に関するものである。
メタノールなどのアルコール、ガソリン、軽油、ナフサ等の燃料に用いられる燃料系部品としては、耐熱性、耐溶剤性、耐薬品性などに優れていることが要求されるため、これらの諸特性に優れた含フッ素エラストマー加硫成形品が主として使用されている。
かかる加硫成形品を与える含フッ素エラストマー組成物として、本出願人は先にパーフルオロオクタン酸アンモニウム等の乳化剤の存在下で共重合され、テトラフルオロエチレン10〜40モル%、フッ化ビニリデン80〜30モル%およびヘキサフルオロプロピレン10〜30モル%の共重合組成を有し、その極限粘度が20〜180ml/g、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比が2〜10であり、分子量分布が多ピーク型である含フッ素エラストマー100重量部、ポリオール加硫剤およびポリアミン加硫剤の少なくとも一種0.1〜10重量部、有機過酸化物0.05〜10重量部および多官能性不飽和化合物0.01〜10重量部よりなる燃料系部品成形用含フッ素エラストマー組成物を提案している(特許文献1)。
しかしながら、かかる含フッ素エラストマー組成物は、ポリオール加硫剤またはポリアミン加硫剤と有機過酸化物との併用を必須としており、どちらか一方のみを用いた単一の加硫系での加硫では、常態物性や耐圧縮永久歪特性の点で、燃料系部品に要求される諸特性を満足させることができない。
WO2008/050588 特開2009−227754 特開平10−212322号公報 特開平11−181032号公報 特開2000−7732号公報 特開2003−165802号公報 特開2007−56215
本発明の目的は、単一の加硫系での加硫によって、燃料系部品成形材料として好適に使用され、成形性、加硫物性、耐薬品性、光安定性および経済性にすぐれた含フッ素エラストマー成形物を与えうる含フッ素エラストマーブレンド物およびその組成物を提供することにある。
本発明によって、いずれも2,3,3,3-テトラフルオロ-2-[1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロポキシ)プロポキシ]-1-プロパン酸アンモニウムCF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4を乳化剤として用い、乳化剤を仕込み水総重量に対して0.05〜0.5重量%の割合で用いて乳化重合法によって共重合された、(A)数平均分子量Mnが5,000〜100,000の低分子量含フッ素エラストマーと(B)数平均分子量Mnが130,000〜3,000,000の高分子量含フッ素エラストマーとを重量比で70/30〜30/70の割合でブレンドし、ブレンド物がテトラフルオロエチレン10〜40モル%、フッ化ビニリデン80〜30モル%およびヘキサフルオロプロピレン10〜30モル%の共重合組成を有し、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比が2〜20である含フッ素エラストマーブレンド物が提供される。かかる含フッ素エラストマーブレンド物は、(C)ポリオール加硫剤、あるいは(D)有機過酸化物および多官能性不飽和化合物と共に含フッ素エラストマー組成物を形成させる。
本発明に係る含フッ素エラストマーブレンド物およびその組成物は、特許文献1において例示されているだけの2,3,3,3-テトラフルオロ-2-[1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロポキシ)プロポキシ]-1-プロパン酸アンモニウムを乳化剤として所定量用いて製造した低分子量含フッ素エラストマーと高分子量含フッ素エラストマーとの含フッ素エラストマーブレンド物を用いることによって、従来一般的に用いられていたパーフルオロオクタン酸アンモニウムを乳化剤として用いて含フッ素エラストマーを製造した場合に必要とされていたポリオール加硫剤またはポリアミン加硫剤有機過酸化物との併用を必要とすることなく、単一の加硫系による加硫によって、常態物性、圧縮永久歪特性および接着性をバランス良く改善せしめることを可能にするといったすぐれた効果を奏する。
また、ポリオール加硫剤を用いた場合には、有機過酸化物を用いた場合と比べて、圧縮永久歪特性にすぐれるといった効果を奏する。
含フッ素エラストマーブレンド物としては、いずれも2,3,3,3-テトラフルオロ-2-[1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロポキシ)プロポキシ]-1-プロパン酸アンモニウムを乳化剤として用い、乳化剤を仕込み水総重量に対して0.05〜0.5重量%の割合で用いて乳化重合法によって共重合された、(A)数平均分子量Mnが5,000〜100,000の低分子量含フッ素エラストマーと(B)数平均分子量Mnが130,000〜3,000,000の高分子量含フッ素エラストマーとを、重量比で70/30〜30/70の割合でブレンドした、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比が2〜20であるものが用いられる。
このブレンド物は、テトラフルオロエチレン〔TFE〕10〜40モル%、好ましくは15〜35モル%、フッ化ビニリデン〔VdF〕80〜30モル%、好ましくは70〜40モル%およびヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕10〜30モル%、好ましくは15〜25モル%の共重合組成を有する。TFEの共重合割合がこれより多いと、耐寒性が悪化する上、得られる含フッ素エラストマーブレンド物の弾性が低下するため好ましくなく、一方TFEの共重合割合がこれより少ないと、耐油性、耐薬品性が低下することがあり好ましくない。また、VdFの共重合割合がこれより少ないと、耐寒性が極端に悪化する。さらに、HFPの共重合割合がこれより多いと、耐圧縮永久歪特性の悪化が著しく、一方HFPの共重合割合がこれより少ないと、含フッ素エラストマーブレンド物のゴム弾性が低下するようになる。
また、分子量分布を表す重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比Mw/Mnがこれ以上では、分子量分布が広く、低分子量成分および超高分子量成分が相対的に多く含まれ、加工性、特に押出加工性および押出肌特性と物性の両方を同時に満足させることが困難となる。これは、低分子量成分が多いと加工性は向上するが物性の低下をもたらし、また超高分子量成分が多いと前記と逆の関係をもたらすためである。一方、Mw/Mn比がこれ以下では、加工性、特に押出加工性が著しく悪化するようになる。
かかる低分子量ならびに高分子量含フッ素エラストマーは、乳化重合反応によって製造される。乳化重合反応では、過硫酸アンモニウム等の水溶性無機過酸化物またはそれと還元剤とのレドックス系を触媒として、乳化剤となる2,3,3,3-テトラフルオロ-2-[1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロポキシ)プロポキシ]-1-プロパン酸アンモニウムを、仕込み水総重量に対して0.05〜0.5重量%、好ましくは0.1〜0.3重量%の割合で用いられる。乳化剤量がこれより少ない割合で用いられると、乳化液の安定性が極端に悪くなり、逆にこれより多い割合で用いられると接着性が著しく悪化するため好ましくない。なお、特許文献2には、この乳化剤を用いた含フッ素共重合体の製造法が開示されているが、これはあくまで機械的安定性にすぐれた含フッ素共重合体の水性分散液についての発明であり、共重合組成も本発明で好ましいとされる共重合組成とは異なっている。
高分子量および低分子量のフッ素エラストマーの数平均分子量Mnの調節は、主に連鎖移動剤および重合開始剤の種類および使用量を調節することによって行われる。
連鎖移動剤としては、例えばジメチルエーテル、メチル第3ブチルエーテル、C1〜C6のアルカン類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、マロン酸ジエチル、アセトン等が挙げられる。
また、過酸化物架橋点は、共重合反応系に共存させた飽和含ヨウ素化合物または含ヨウ素臭素化合物によっても導入することができ、これらの化合物は連鎖移動剤としても作用する。これらの化合物は、特許文献3〜6の記載にみられるように周知の化合物であり、例えば一般式RInまたはInBrmR(ここで、Rはフルオロ炭化水素基、クロロフルオロ炭化水素基、クロロ炭化水素基または炭化水素基であり、n、mはいずれも1または2である)で表わされる飽和含ヨウ素化合物あるいは脂肪族または芳香族の含ヨウ素臭素化合物を挙げることができる。
これらの含フッ素エラストマー中には、ヨウ素または臭素含有不飽和化合物を約1モル%以下、好ましくは約0.1〜0.5モル%共重合させて、過酸化物架橋点を形成させることもできる。かかるヨウ素または臭素含有不飽和化合物としては、例えばヨードトリフルオロエチレン、パーフルオロ(2-ヨードエチルビニルエーテル)、2-ブロモ-1,1-ジフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、4-ブロモ-3,3,4,4-テトラフルオロブテン-1、パーフルオロ(2-ブロモエチルビニルエーテル)等が挙げられる。
一方、2種類の含フッ素エラストマーがそれぞれ水性分散液(乳化液)として調製され、含フッ素エラストマーの水性分散液同士がブレンドされて含フッ素エラストマーブレンド物を形成させるブレンド方法が好ましいという観点から、各含フッ素エラストマーは乳化重合法によって製造されることが好ましく、そのため重合開始剤としては、水溶性無機過酸化物、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムあるいは水溶性アゾ化合物等が単独で、あるいはこれらと亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等の還元剤とのレドックス系として用いられる。
乳化重合反応に用いられる連鎖移動剤および重合開始剤の使用量を少なくする程、一般には生成含フッ素エラストマーの数平均分子量Mnを大きくできる傾向がみられる。例えば、高分子量含フッ素エラストマーを得るには、連鎖移動剤としてのイソプロパノールや飽和含ヨウ素化合物を反応原料全量に対して(以下、同基準)約0.05〜0.15重量%の割合で用い、また重合開始剤を反応原料全量に対して(以下、同基準)約0.01〜0.1重量%の割合で用い、また低分子量含フッ素エラストマーを得るには、連鎖移動剤として飽和含ヨウ素化合物を約7〜12重量%の割合で用い、また重合開始剤を約0.1〜0.5重量%の割合で用いて、共重合反応が行われる。ただし、これらの数値は一つの例であって、共重合組成その他の重合条件によって変わり得る。
乳化重合反応は、一般に圧力約0〜10MPa、好ましくは約0.5〜4MPa、温度約0〜100℃、好ましくは約20〜80℃の条件下で行われる。その際、反応圧力が一定範囲に保たれるように、供給する含フッ素単量体混合物を分添方式で供給することが好ましい。また、重合系内のpHを調節するために、Na2HPO4、NaH2PO4、KH2PO4等の緩衝能を有する電解質物質あるいは水酸化ナトリウムを添加してもよい。
このようにして得られた高分子量含フッ素エラストマーと低分子量含フッ素エラストマーのブレンドは、好ましくはほぼ同一の共重合組成を有する高分子量含フッ素エラストマー成分と低分子量含フッ素エラストマー成分とが重量比で、70/30〜30/70、好ましくは60/40〜40/60となるような割合で行われる。高分子量含フッ素エラストマーの割合がこれより多いと、ブレンド後のポリマームーニー粘度が上昇して流動性が低下し、一方これより少ないと、ブレンド物の粘着性が大きくなる上、ポリマームーニー粘度も実用的な粘度にならないことがある。
高分子量含フッ素エラストマーと低分子量含フッ素エラストマーのブレンド方法は特に限定されず、例えばこれらの水性分散液(乳化液)を、所望の割合で混合し、撹拌した後、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化カリウム等を添加して凝析させ、水洗、乾燥等を経ることにより行われる。
得られたエラストマー状含フッ素共重合体ブレンド物(含フッ素エラストマーブレンド物)は、ポリオール加硫剤、あるいは有機過酸化物および多官能性不飽和化合物を添加して加硫、成形等を行い、硬化物あるいは加工品を得ることができる。なお、特許文献7には、有機過酸化物および多官能性不飽和化合物を添加した含フッ素エラストマー組成物が開示されているが、含フッ素エラストマー製造時の乳化剤として具体的に示されているのは、後記比較例1および5で用いられているパ−フルオロオクタン酸アンモニウムのみにとどまっている。
ポリオール加硫剤としては、ポリヒドロキシ芳香族化合物架橋剤が用いられ、その際4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩およびイミニウム塩の中から選ばれた少なくとも一種よりなる加硫促進剤が併用され、さらに2価金属の酸化物または水酸化物およびハイドロタルサイト類の中から選ばれた少なくとも一種よりなる受酸剤が用いられることが好ましい。
ポリヒドロキシ芳香族化合物としては、例えばヒドロキノン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン〔ビスフェノールA〕、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン〔ビスフェノールAF〕、4,4′-ジヒドロキシジフェニルメタン、2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタンなどの少なくとも一種が、含フッ素エラストマーブレンド物100重量部当り0.1〜10重量部、好ましくは0.6〜5重量部の割合で用いられる。
また、4級アンモニウム塩、4級ホスホニウム塩、イミニウム塩としては、例えばテトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラプロピルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルホスホニウムクロライド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルトリオクチルホスホニウムクロライド、ビス(ベンジルフェニルホスフィン)イミニウムクロライド、イミニウムカチオンなどの少なくとも一種が、含フッ素エラストマーブレンド物100重量部当り0.05〜2重量部、好ましくは0.1〜1重量部の割合で用いられる。
さらに、2価金属の酸化物または水酸化物としては、例えばマグネシウム、カルシウム、亜鉛、鉛などの金属の酸化物や水酸化物の少なくとも一種が用いられ、その使用量は、ハイドロタルサイト類の場合と同様に、含フッ素エラストマーブレンド物100重量部当り1〜30重量部、好ましくは2〜20重量部の範囲で選ばれる。また、必要に応じ、加硫促進剤の効果を上げるために、種々の加硫促進活性剤を添加することもできる。この加硫促進活性剤の代表的なものとしては、1,8-ジアザビシクロ〔5.4.0〕ウンデセン-7〔DBU〕、ジメチルスルホンやジクロロジフェニルスルホンなどのスルホン化合物が挙げられる。
有機過酸化物としては、熱によって容易にパーオキシラジカルを発生するものが好ましく、例えば2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、 2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサンなどのジアルキルパーオキシドなどの少なくとも一種が用いられる。これらの有機過酸化物は、加硫時に熱によりラジカルを発生し、このラジカルがポリマー中のヨウ素・臭素基に作用して、ポリマー中にラジカルを発生させ、そしてポリマー中の2個のラジカルが互いに結合することにより、架橋が起こるものと推定される。
有機過酸化物の添加量は、活性酸素量や分解温度などから適宜選ばれるが、通常含フッ素エラストマーブレンド物100重量部当り0.05〜10重量部、好ましくは0.05〜5重量部の範囲で選ばれる。有機過酸化物がこれより少ない割合で用いられると、ラジカルの発生量が少なすぎて架橋が十分に進行せず、一方これより多い割合で用いられると、効果の向上が認められないばかりか、むしろ経済的に不利となる上、過酸化物の分解ガスによる発泡が起こり、機械物性が低下する傾向がみられるため好ましくない。
多官能性不飽和化合物としては、例えばトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリス(ジアリルアミン)-s-トリアジンなどの少なくとも一種、好ましくはトリアリルイソシアヌレートが、エラストマーブレンド物100重量部当り0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いられる。
以上の必須成分に加えて、本発明の含フッ素エラストマー組成物には、必要に応じて各種添加剤、例えばカーボンブラック、シリカ、クレー、タルクなどの補強剤または充填剤、ワックス類などの加工助剤などを添加することができ、以上の各成分よりなる含フッ素エラストマー組成物は、ロールやバンバリミキサーなどで混合、混練することにより調製することができる。
このようにして得られた含フッ素エラストマー組成物は、十分混練したのち、帯状に長く切り出して、押出成形機にかけることによりチューブ状のホースを得ることができ、次いで、必要に応じてスチーム等による二次加硫を行うことにより、所望の加硫物を得ることができる。
次に、実施例について本発明を説明する。
実施例1
(高分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製)
内容積10Lのステンレス鋼製オートクレーブ内を窒素ガスで置換し、脱気後
界面活性剤〔CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4〕 8.5g
(脱イオン水に対して0.15重量%)
リン酸水素二ナトリウム・12水和物 10g
脱イオン水 5.8L
を仕込み、内部空間を再度窒素ガスで十分に置換した後脱気した。そこに
フッ化ビニリデン〔VdF〕 90g
テトラフルオロエチレン〔TFE〕 77g
ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕 760g
2-ブロモ-1,1-ジフルオロエチレン〔BDFE〕 8g
を仕込み、オートクレーブ内を80℃に昇温した後、
過硫酸アンモニウム〔APS;0.3重量%水溶液として使用〕 1.8g
を仕込み、重合反応を開始させた。このときの内圧は2.2MPaであった。内圧2.15〜2.25MPaを保つように、
VdF 786g
TFE 673g
HFP 520g
を加え、反応終了後冷却し、残ガスを排出して乳化液I(固形分濃度31.5重量%)8,524gを得た。なお、この乳化液から1重量%塩化カルシウム水溶液による凝析、水洗、乾燥を行ってVdF-TFE-HFP3元共重合体を分離し、それの数平均分子量Mn(後記方法によって測定)を測定すると、161,000であった。
(低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製)
前記高分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製において、BDFEの代わりにオクタフルオロ-1,4-ジヨードブタン〔DIOFB〕34.0gを用い、またAPS量を6gに変更して、乳化液II(固形分濃度31.8重量%)8,534gを得た。なお、重合反応開始時の内圧は2.2MPaであった。また、得られたVdF-TFE-HFP3元共重合体のMnは、18,000であった。
(エラストマー状共重合体ブレンド物の調製)
得られた乳化液Iと乳化液IIとを、それぞれの固形分重量比が50:50となるように混合した後、1重量%塩化カルシウム水溶液による凝析、水洗、乾燥が行われ、エラストマー状共重合体ブレンド物A 5,344gを得た。
比較例1
実施例1において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤としてCF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2COONH4(パーフルオロオクタン酸アンモニウム)を同量用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液III(固形分濃度32.1重量%、Mn144,000)8,521gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液IV(固形分濃度31.8重量%、Mn18,000)8,537gが得られ、これらを固形分重量比50:50で用いてエラストマー状共重合体ブレンド物B 5,419gを得た。
比較例2
実施例1において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤としてCHF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2COONH4(9H-ヘキサデカフルオロノナン酸アンモニウム)を同量用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液V(固形分濃度31.4重量%、Mn151,000)8,512gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液VI(固形分濃度32.2重量%、Mn19,000)8,531gが得られ、これらを固形分重量比50:50で用いてエラストマー状共重合体ブレンド物C 5,321gを得た。
比較例3
実施例1において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤量を1.7g(0.03重量%)に変更して用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液VII(固形分濃度31.7重量%、Mn138,000)8,528gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液VIII(固形分濃度31.8重量%、Mn16,000)8,551gが得られ、これらを固形分重量比50:50で用いてエラストマー状共重合体ブレンド物D 5,326gを得た。
比較例4
実施例1において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤量が40.6g(0.7重量%)に変更して用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液IX(固形分濃度31.1重量%、Mn168,000)8,542gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液X(固形分濃度31.4重量%、Mn17,000)8,555gが得られ、これらを固形分重量比50:50で用いてエラストマー状共重合体ブレンド物E 5,331gを得た。
以上の実施例および各比較例で得られたエラストマー状共重合体ブレンド物A〜Eについて、次の各項目についての測定が行われた。
共重合体組成〔モル%〕:日本電子製品JMN-LA300フーリエ変換核磁気共鳴装置を用いて測定
フッ素含量〔重量%〕:F含量を分子量より算出
ポリマームーニー粘度(ML1+10):121℃の試験温度で、1分間予熱した後、直ちにロータを回転させ、10分後の値を測定
分子量測定:日本分光工業製851-AS型インテリジェントオートサニプラ、ガスクロ工業製MODEL 576型LCポンプ、昭和電工製Shodex KF-801、KF-802、KF-802.5およびKF-805のカラム4本を備えたガスクロ工業製MODEL 556型HPLCカラムオーブンおよび日本分光工業製検出器JASCO 830RI示差屈折計を用い、テトラヒドロフランを展開溶媒として試料濃度0.5重量%、流量1.0ml/分、温度40℃において測定
分子量の解析は、システムインスツルメンツ社製SICラブチャート180を用い、また分子量検量線用標準ポリマーとしては、東洋曹達製品の単分散ポリスチレン各種[Mw/Mn=1.1(MAX)]を用いた
測定結果は、次の表1に示される。

表1
測定項目 実施例1 比較例1 比較例2 比較例3 比較例4
共重合体ブレンド物組成 A B C D E
VdF (モル%) 54.5 53.8 54.1 54.5 54.0
TFE (モル%) 24.4 24.3 25.1 24.2 24.9
HFP (モル%) 21.1 21.9 20.8 21.3 21.1
フッ素含量 (重量%) 69.6 69.7 69.7 69.6 69.7
ブレンド物ムーニー粘度(ML1+10) 32.7 30.8 31.8 28.5 31.7
数平均分子量 Mn (×104) 2.1 3.7 2.7 2.5 2.3
重量平均分子量 Mw (×104) 10.5 16.0 11.2 11.1 10.9
Mw/Mn 比 5.0 4.3 4.1 4.4 4.8
実施例
エラストマー状共重合体ブレンド物A 100重量部
MTカーボンブラック(キャンキャブ製品サーマックスN990) 20 〃
多官能性不飽和化合物 5 〃
(日本化成製品TAIC M60;トリアリルイソシアヌレート)
有機過酸化物(日本油脂製品パーヘキサ25B-40) 3.5 〃
ZnO 5 〃
以上の各成分を2本ロールミルで混和し、得られた硬化性組成物を180℃で10分間圧縮成形(一次加硫)を行って厚さ2mmのシートおよびOリング(P24)を作製し、さらに230℃、22時間のオーブン加硫(二次加硫)を行った。一次加硫時に硬化試験を行い、二次加硫後のものについて常態物性、圧縮永久歪および接着性についての測定および評価が行われた。
硬化試験:モンサント・ディスク・レオメーターを使用し、121℃でMH、Tc90の値を
測定
常態物性:JIS K6250、6253準拠
圧縮永久歪:ASTM D395 Method B準拠
P24 Oリングについて、150℃、70時間の値を測定
接着性:それぞれ厚さ約1.5mmの未加硫含フッ素エラストマー(上記硬化性組成物)のシートと未加硫ニトリルゴムシートとを貼り合わせて、160℃、30分間プレス加硫を行い、次いで放冷した後、厚み2mm、幅12.5mm、長さ100mmにテストピースを打ち抜き、TOYOSEIKI STROGRAPH E II を用いて試験速度100mm/分で剥離試験を実施した
剥離する前にどちらかのゴムが破損した場合を接着性良好、ゴムの破損がなく剥離した場合を接着性不良として評価
なお、未加硫ニトリルゴムとしては、次の配合物が用いられた
ニトリルゴム(南帝化学工業製品NANCAR1051) 100重量部
HAFカーボンブラック(旭カーボン製品) 50 〃
酸化亜鉛 5 〃
ステアリン酸 1 〃
老化防止剤(精工化学製品ノンフレックスRD) 3 〃
硫黄 2 〃
加硫促進剤(三新化学工業製品サンセラーTS) 3 〃
比較例
実施例において、エラストマー状共重合体ブレンド物Aの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Bが同量用いられた。
比較例
実施例において、エラストマー状共重合体ブレンド物Aの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Cが同量用いられた。
比較例
実施例において、エラストマー状共重合体ブレンド物Aの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Dが同量用いられた。
比較例
実施例において、エラストマー状共重合体ブレンド物Aの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Eが同量用いられた。
以上の実施例および比較例で得られた結果は、次の表2に示される。

表2
測定・評価項目 実施例2 比較例5 比較例6 比較例7 比較例8
硬化試験
MH (dN・m) 19.1 19.3 18.4 17.9 19.3
Tc90 (分) 1.11 1.02 1.10 1.07 1.12
常態物性
硬さ (Shore-A) 72 72 71 72 72
100%モジュラス (MPa) 5.7 5.9 5.7 5.5 5.6
破断強度 (MPa) 22.1 18.4 23.6 22.2 21.9
破断時伸び (%) 250 250 270 250 260
圧縮永久歪 (%) 30 31 35 29 33
接着性 (%) 良好 良好 良好 良好 不良
実施例3
(高分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製)
内容積10Lの鋼製オートクレーブ内を窒素ガスで置換し、脱気後
界面活性剤〔CF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4〕 15g(0.26重量%)
リン酸水素二ナトリウム・12水和物 10g
脱イオン水 5.8L
を仕込み、内部空間を再度窒素ガスで十分に置換した後脱気した。そこに
フッ化ビニリデン〔VdF〕 83g
テトラフルオロエチレン〔TFE〕 67g
ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕 640g
イソプロピルアルコール〔IPA〕 1.0g
を仕込み、オートクレーブ内を80℃に昇温した後、
過硫酸アンモニウム〔APS〕 1.0g
を仕込み、重合反応を開始させた。このときの内圧は2.2MPaであった。内圧2.15〜2.25MPaを保つように、
VdF 932g
TFE 673g
HFP 520g
を加え、反応終了後冷却し、残ガスを排出して乳化液I´(固形分濃度31.6重量%、Mn173,000)8,473gを得た。
(低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製)
前記高分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製において、IPAの代わりにマロン酸ジエチル70gを用い、またAPS量を5gに変更して、乳化液II´(固形分濃度31.4重量%、Mn18,000)8,489gを得た。なお、重合反応開始時の内圧は2.2MPaであった。
(エラストマー状共重合体ブレンド物の調製)
得られた乳化液I´と乳化液II´とを、それぞれの固形分重量比が50:50となるように混合した後、1重量%塩化カルシウム水溶液による凝析、水洗、乾燥が行われ、エラストマー状共重合体ブレンド物F 5,342gを得た。
比較例9
実施例3において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤としてCF3CF2CF2CF2CF2CF2CF2COONH4(パーフルオロオクタン酸アンモニウム)を同量用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液III´(固形分濃度32.2重量%、Mn166,000)8,397gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液IV´(固形分濃度31.6重量%、Mn19,000)8,518gが得られ、これらを用いてエラストマー状共重合体ブレンド物G 5,318gを得た。
比較例10
実施例3において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤としてCHF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2CF2COONH4(9H-ヘキサデカフルオロノナン酸アンモニウム)を同量用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液V´(固形分濃度31.5重量%、Mn162,000)8,452gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液VI´(固形分濃度31.6重量%、Mn17,000)8,522gが得られ、これらを用いてエラストマー状共重合体ブレンド物H 5,347gを得た。
比較例11
実施例3において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤量を1.7g(0.03重量%)に変更して用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液VII´(固形分濃度30.6重量%、Mn154,000)8,402gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液VIII´(固形分濃度30.8重量%、Mn16,000)8,542gが得られ、これらを用いてエラストマー状共重合体ブレンド物I 5,389gを得た。
比較例12
実施例3において、高分子量含フッ素エラストマー乳化液および低分子量含フッ素エラストマー乳化液の調製にあたって、界面活性剤量を40.6g(0.7重量%)に変更して用いたところ、それぞれ高分子量含フッ素エラストマー乳化液IX´(固形分濃度32.2重量%、Mn172,000)8,440gおよび低分子量含フッ素エラストマー乳化液X´(固形分濃度31.9重量%、Mn18,000)8,542gが得られ、これらを用いてエラストマー状共重合体ブレンド物J 5,316gを得た。
以上の実施例3および比較例9〜12で得られたエラストマー状共重合体ブレンド物F〜Jについて、次の各項目についての測定が行われた。測定結果は、次の表3に示される。

表3
測定項目 実施例3 比較例9 比較例10 比較例11 比較例12
共重合体組成ブレンド物 F G H I J
VdF (モル%) 55.2 54.8 54.6 55.5 55.4
TFE (モル%) 25.4 25.4 25.3 24.2 25.5
HFP (モル%) 19.4 19.8 20.1 20.3 19.1
フッ素含量 (重量%) 69.5 69.5 69.6 69.5 69.4
ポリマームーニー粘度(ML1+10) 29.3 31.5 31.7 27.6 31.7
数平均分子量 Mn (×104) 3.6 3.5 3.9 3.3 3.5
重量平均分子量 Mw (×104) 16.3 17.9 17.5 16.7 16.8
Mw/Mn 比 4.5 5.1 4.5 5.1 4.8
実施例
実施例において、下記硬化性組成物が用いられ、同様に測定および評価が行われた。ただし、圧縮永久歪については、200℃、70時間の値が測定された。
エラストマー状共重合体ブレンド物F 100重量部
MTカーボンブラック(サーマックスN990) 25 〃
加硫剤(ビスフェノールAF) 2 〃
加硫促進剤(ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド) 1 〃
受酸剤(共和化学製品キョウワマグ♯150) 3 〃
受酸剤(近江化学製品Caldic♯2000) 6 〃
比較例13
実施例において、エラストマー状共重合体ブレンド物Fの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Gが同量用いられた。
比較例14
実施例において、エラストマー状共重合体ブレンド物Fの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Hが同量用いられた。
比較例15
実施例において、エラストマー状共重合体ブレンド物Fの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Iが同量用いられた。
比較例16
実施例において、エラストマー状共重合体ブレンド物Fの代わりに、エラストマー状共重合体ブレンド物Jが同量用いられた。
以上の実施例および比較例1316で得られた結果は、次の表4に示される。

表4
測定・評価項目 実施例4 比較例13 比較例14 比較例15 比較例16
硬化試験
MH (dN・m) 11.3 12.4 12.1 11.3 12.4
Tc90 (分) 4.82 4.76 4.80 4.72 5.42
常態物性
硬さ (Shore-A) 73 71 71 72 71
100%モジュラス (MPa) 4.3 3.2 3.2 2.8 3.1
破断強度 (MPa) 15.3 10.2 14.8 15.2 16.1
破断時伸び (%) 260 290 270 240 240
圧縮永久歪 (%) 27 30 34 27 32
接着性 (%) 良好 良好 良好 良好 不良
以上の結果より、次のことがいえる。
(1) 実施例およびでは、破断強度および耐圧縮永久歪特性のいずれもが良好な値を示している。
(2) エラストマー状共重合体ブレンド物の調製にあたって界面活性剤としてパーフルオロオクタン酸アンモニウムが用いられた比較例および13で得られ加硫物は、破断強度に劣っている。
(3) エラストマー状共重合体ブレンド物の調製にあたって界面活性剤として9H-ヘキサデカフルオロノナン酸アンモニウムが用いられた比較例および14で得られ加硫物は、耐圧縮永久歪特性に劣っている。
(4) エラストマー状共重合体ブレンド物の調製にあたって各実施例で用いられている界面活性剤を用いた場合であっても、その配合量が少ない比較例および15で得られ加硫物は、乳化液の安定性が悪く、低粘度乳化液に析出がみられる。
(5) エラストマー状共重合体ブレンド物の調製にあたって各実施例で用いられている界面活性剤を用いた場合であっても、その配合量が多い比較例および16で得られ加硫物は、NBRとの接着性が悪い。
本発明に係る含フッ素エラストマー組成物は、常態物性、圧縮永久歪特性に優れた物性を有する加硫物を与えるので、燃料系部品、特に燃料ホース、チューブなどの加硫成形材料として好適に用いられる。

Claims (4)

  1. いずれも2,3,3,3-テトラフルオロ-2-[1,1,2,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-(1,1,2,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロポキシ)プロポキシ]-1-プロパン酸アンモニウムCF3CF2CF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4を乳化剤とし、乳化剤を仕込み水総重量に対して0.05〜0.5重量%の割合で用いて乳化重合法によって共重合された、(A)数平均分子量Mnが5,000〜100,000の低分子量含フッ素エラストマーと(B)数平均分子量Mnが130,000〜3,000,000の高分子量含フッ素エラストマーとを重量比で70/30〜30/70の割合でブレンドし、ブレンド物がテトラフルオロエチレン10〜40モル%、フッ化ビニリデン80〜30モル%およびヘキサフルオロプロピレン10〜30モル%の共重合組成を有し、重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn比が2〜20である含フッ素エラストマーブレンド物、(C)ポリオール加硫剤、あるいは(D)有機過酸化物および多官能性不飽和化合物よりなる含フッ素エラストマー組成物。
  2. 含フッ素エラストマーブレンド物100重量部当り、(C)ポリオール加硫剤が0.1〜10重量部、あるいは(D)有機過酸化物0.05〜10重量部および多官能性不飽和化合物0.01〜10重量部が用いられた請求項1記載の含フッ素エラストマー組成物。
  3. 請求項2記載の含フッ素エラストマー組成物を加硫成形して得られた燃料系部品。
  4. 燃料ホースである請求項3記載の燃料系部品。
JP2012083675A 2012-04-02 2012-04-02 含フッ素エラストマーブレンド物およびその組成物 Active JP5998588B2 (ja)

Priority Applications (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012083675A JP5998588B2 (ja) 2012-04-02 2012-04-02 含フッ素エラストマーブレンド物およびその組成物
CN201310112225.1A CN103360703B (zh) 2012-04-02 2013-04-02 含氟弹性体掺合物及其组合物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012083675A JP5998588B2 (ja) 2012-04-02 2012-04-02 含フッ素エラストマーブレンド物およびその組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2013213130A true JP2013213130A (ja) 2013-10-17
JP5998588B2 JP5998588B2 (ja) 2016-09-28

Family

ID=49363015

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012083675A Active JP5998588B2 (ja) 2012-04-02 2012-04-02 含フッ素エラストマーブレンド物およびその組成物

Country Status (2)

Country Link
JP (1) JP5998588B2 (ja)
CN (1) CN103360703B (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
FR3039559B1 (fr) * 2015-07-27 2019-03-15 Arkema France Composition polymerique fluoree
CN106432987B (zh) * 2016-08-31 2018-07-20 河南汇龙液压科技股份有限公司 一种可耐200°高温钢丝增强液压软管内胶及其制备方法

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4982791A (ja) * 1972-11-22 1974-08-09
JPH06271734A (ja) * 1993-03-24 1994-09-27 Asahi Chem Ind Co Ltd 含フッ素エラストマー組成物
JPH09286824A (ja) * 1995-11-15 1997-11-04 Bayer Ag パーオキサイド架橋性フルオロゴム、それらの製造方法およびそれらの使用
JP2003119204A (ja) * 2001-10-05 2003-04-23 Daikin Ind Ltd 含フッ素重合体ラテックスの製造方法
WO2006001363A1 (ja) * 2004-06-28 2006-01-05 Daikin Industries, Ltd. 含フッ素エラストマー組成物およびそれからなる成形品
US20060105179A1 (en) * 2004-11-17 2006-05-18 Hofman Gerald R A Elastomeric dental article with a protective fluoropolymer layer
WO2008050588A1 (fr) * 2006-10-25 2008-05-02 Unimatec Co., Ltd. Elastomère fluoré destiné au moulage d'un composant pour conduite de carburant et composition comprenant celui-ci
JP2009227754A (ja) * 2008-03-21 2009-10-08 Unimatec Co Ltd 含フッ素共重合体の製造法
JP2011510160A (ja) * 2008-01-22 2011-03-31 デュポン パフォーマンス エラストマーズ エルエルシー フルオロポリマーの製造方法
JP5725167B2 (ja) * 2011-04-11 2015-05-27 ユニマテック株式会社 含フッ素エラストマーの製造方法

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4304841B2 (ja) * 2000-07-28 2009-07-29 ユニマテック株式会社 押出加工性に優れたゲル成分含有含フッ素エラストマー
US8450423B2 (en) * 2009-03-31 2013-05-28 Daikin Industries, Ltd. Fluorine-containing elastomer mixture, method for producing same, composition for vulcanizing peroxide, and molded article
JP5067466B2 (ja) * 2010-11-02 2012-11-07 ユニマテック株式会社 含フッ素エラストマーブレンド物

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS4982791A (ja) * 1972-11-22 1974-08-09
JPH06271734A (ja) * 1993-03-24 1994-09-27 Asahi Chem Ind Co Ltd 含フッ素エラストマー組成物
JPH09286824A (ja) * 1995-11-15 1997-11-04 Bayer Ag パーオキサイド架橋性フルオロゴム、それらの製造方法およびそれらの使用
JP2003119204A (ja) * 2001-10-05 2003-04-23 Daikin Ind Ltd 含フッ素重合体ラテックスの製造方法
WO2006001363A1 (ja) * 2004-06-28 2006-01-05 Daikin Industries, Ltd. 含フッ素エラストマー組成物およびそれからなる成形品
US20060105179A1 (en) * 2004-11-17 2006-05-18 Hofman Gerald R A Elastomeric dental article with a protective fluoropolymer layer
WO2008050588A1 (fr) * 2006-10-25 2008-05-02 Unimatec Co., Ltd. Elastomère fluoré destiné au moulage d'un composant pour conduite de carburant et composition comprenant celui-ci
JP2011510160A (ja) * 2008-01-22 2011-03-31 デュポン パフォーマンス エラストマーズ エルエルシー フルオロポリマーの製造方法
JP2009227754A (ja) * 2008-03-21 2009-10-08 Unimatec Co Ltd 含フッ素共重合体の製造法
JP5725167B2 (ja) * 2011-04-11 2015-05-27 ユニマテック株式会社 含フッ素エラストマーの製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5998588B2 (ja) 2016-09-28
CN103360703A (zh) 2013-10-23
CN103360703B (zh) 2017-03-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US7138470B2 (en) Fluoroelastomers with improved low temperature property and method for making the same
JP5162818B2 (ja) 含フッ素共重合体ブレンド物
US20100068436A1 (en) Fluorine-containing elastomer for molding fuel system parts and composition thereof
KR20100067112A (ko) 초저점도 요오드 함유 무정형 플루오로중합체
JPH11315180A (ja) 含フッ素共重合体組成物
US20090023863A1 (en) Cross-linked fluorine-containing copolymer moldings
US8912283B2 (en) Fluorine-containing elastomer blend
JP2009227780A (ja) 含フッ素グラフト共重合体、含フッ素グラフト共重合体の製造方法、および該含フッ素グラフト共重合体を用いた組成物
JP4430541B2 (ja) 耐透過性が改良されたフルオロエラストマーおよびその製造方法
JP5962188B2 (ja) 含フッ素エラストマーの製造法
JP5617243B2 (ja) フルオロエラストマーの製造法
JP3718850B2 (ja) 成形加工性に優れた含フッ素弾性状共重合体、その製法および成形加工性に優れた加硫用組成物
JPWO2012141129A1 (ja) 含フッ素エラストマーの製造方法
JP5998588B2 (ja) 含フッ素エラストマーブレンド物およびその組成物
JP2007056215A (ja) パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴム
JP2002097329A (ja) 含フッ素共重合体組成物
JP2010241900A (ja) 含フッ素エラストマー組成物
JP2008303321A (ja) 燃料ホース成形用含フッ素エラストマー組成物
JP2005350490A (ja) フッ素ゴム組成物
JP2013014785A (ja) パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴム
WO2021065199A1 (ja) フッ素ゴム組成物およびシール材
JP2021075662A (ja) ポリオール架橋用含フッ素エラストマーブレンド物、並びに、これを用いた架橋成形体及びその製造方法
JP2019094413A (ja) フッ素ゴム層を有する複雑形状成形体
JP2007100109A (ja) 含フッ素共重合体ブレンド物架橋成形品

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20150309

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160126

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20160311

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20160802

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20160815

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5998588

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250