JP2002097329A - 含フッ素共重合体組成物 - Google Patents

含フッ素共重合体組成物

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JP2002097329A JP2000284639A JP2000284639A JP2002097329A JP 2002097329 A JP2002097329 A JP 2002097329A JP 2000284639 A JP2000284639 A JP 2000284639A JP 2000284639 A JP2000284639 A JP 2000284639A JP 2002097329 A JP2002097329 A JP 2002097329A
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Okimasa Yamada
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 共通の架橋剤と反応する反応点をそれぞれに
有する含フッ素エラストマーおよびフッ素樹脂よりなる
含フッ素共重合体組成物であって、補強剤となる無機充
填剤を添加しない場合にあっても、機械的特性、特に耐
圧縮永久歪特性にすぐれた架橋成形品を与え得るものを
提供する。 【解決手段】 共通の架橋剤と反応する反応点をそれぞ
れに有する含フッ素エラストマーおよびフッ化ビニリデ
ン-テトラフルオロエチレン共重合体であるフッ素樹脂
よりなる含フッ素共重合体組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、含フッ素共重合体
組成物に関する。更に詳しくは、含フッ素エラストマー
とフッ素樹脂よりなる含フッ素共重合体組成物に関す
る。
【0002】
【従来の技術】含フッ素エラストマーは、耐熱性、耐油
性、耐薬品性などにすぐれており、それの加硫成形品
は、オイルシール、Oリング、パッキン、ガスケット等
の各種シール材として広く用いられている。しかしなが
ら、含フッ素エラストマーの架橋成形品にシール材とし
て実用上十分な硬さ、強度および耐圧縮永久歪特性を付
与するためには、カーボンブラック、シリカ等の補強性
充填剤の配合が不可欠であった。
【0003】一方、耐熱性や耐薬品性が要求されるシー
ル材の中でも、半導体製造装置、医療用材料、食品工業
などの用途に用いられるものについては、これらのシー
ル材と接する製品や製品原材料などを汚染することが望
ましくないため、無機充填剤、受酸剤、架橋促進剤、着
色剤等の各種無機添加剤の配合が好ましくない場合もみ
られる。
【0004】本出願人は先に、ロール加工性および成形
性にすぐれ、また機械的強度にすぐれた架橋成形性を与
え得る含フッ素共重合体組成物として、共通の架橋剤と
反応する反応点をそれぞれに有する含フッ素エラストマ
ーおよびフッ素樹脂よりなる含フッ素共重合体組成物を
提案している(特開平11-315180号公報)。
【0005】ここでは、共通の架橋剤と反応する反応点
が導入されたフッ素樹脂として、フッ化ビニリデンおよ
びテトラフルオロエチレンよりなる群から選ばれた少く
とも一種の単量体と、ヘキサフルオロプロペン、クロロ
トリフルオロエチレンおよび炭素数1〜3の低級アルキル
基を有するパーフルオロ(低級アルキルビニルエーテル)
よりなる群から選ばれた少くとも一種の単量体との共重
合体などが好んで用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、共通
の架橋剤と反応する反応点をそれぞれに有する含フッ素
エラストマーおよびフッ素樹脂よりなる含フッ素共重合
体組成物であって、補強剤となる無機充填剤を添加しな
い場合にあっても、機械的特性、特に耐圧縮永久歪特性
にすぐれた架橋成形品を与え得るものを提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】かかる本発明の目的は、
共通の架橋剤と反応する反応点をそれぞれに有する含フ
ッ素エラストマーおよびフッ化ビニリデン-テトラフル
オロエチレン共重合体であるフッ素樹脂よりなる含フッ
素共重合体組成物によって達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明で用いられる含フッ素エラ
ストマーとしては、分子内にフッ素原子を有する弾性状
重合体であって、フッ化ビニリデン[VdF]およびテトラ
フルオロエチレン[TFE]なる群から選ばれた少くとも一
種の単量体と、含フッ素重合体に弾性を付与するヘキサ
フルオロプロペン[HFP]、クロロトリフルオロエチレン
[CTFE]、パーフルオロ(低級アルキルビニルエーテル)[F
AVE]およびプロピレン[P]なる群から選ばれた少くとも
一種の単量体との共重合体を含む、公知のすべての含フ
ッ素エラストマーを用いることができる。
【0009】具体的には、VdF-HFP共重合体、VdF-TFE-H
FP3元共重合体、VdF-FAVE共重合体、VdF-TFE-FAVE3元共
重合体、VdF-CTFE共重合体、VdF-TFE-CTFE3元共重合
体、TFE-P共重合体、TFE-VdF-P3元共重合体、TFE-FAVE
共重合体等が挙げられ、FAVEとしては好ましくはパーフ
ルオロ(メチルビニルエーテル)(FMVE)が用いられる。ま
た、これらの共重合体または3元共重合体に、エチレン
やアルキルビニルエーテル等を更に共重合させたものを
用いることもできる。これらの含フッ素エラストマーの
中で、フッ素樹脂と組成物を形成し、最も良好な耐圧縮
永久歪特性を示すものはVdF-TFE-FAVE3元共重合体であ
る。
【0010】これらの含フッ素エラストマー中に導入さ
れる、架橋剤と反応する反応点は、いずれの架橋系を選
択するかによって決定される。架橋系としては、パーオ
キサイド架橋、ポリオール架橋、アミン架橋、イソシア
ネート架橋、エポキシ架橋等従来公知の架橋系から選択
することが可能であるが、好ましくはパーオキサイド架
橋系が用いられる。
【0011】パーオキサイド架橋系を選択する場合に
は、含フッ素エラストマー中にヨウ素基、臭素基、ペル
オキシ基、不飽和基等の官能性基が結合されていること
が必要であるが、官能性基導入の容易性からヨウ素基お
よび/または臭素基の選択が好ましい。
【0012】ヨウ素および臭素基の導入は、共重合反応
によって含フッ素エラストマーを製造するに際し、反応
系内に一般式 InBrmR (ここで、Rは炭素数1〜10のフル
オロ炭化水素基、クロロフルオロ炭化水素基、クロロ炭
化水素基または炭化水素基であり、nおよびmはいずれも
1または2である)で表わされる含ヨウ素臭素化合物を共
存させることによって行われる。かかる含ヨウ素臭素化
合物としては、飽和または不飽和の、脂肪族または芳香
族の化合物であって、好ましくはnおよびmがそれぞれ1
のものが使用される。
【0013】鎖状の含ヨウ素臭素化合物としては、例え
ば1-ブロモ-2-ヨードテトラフルオロエタン、1-ブロモ-
3-ヨードパーフルオロプロパン、1-ブロモ-4-ヨードパ
ーフルオロブタン、2-ブロモ-3-ヨードパーフルオロブ
タン、1-ブロモ-2-ヨードパーフルオロ(2-メチルプロパ
ン)、モノブロモモノヨードパーフルオロシクロブタ
ン、モノブロモモノヨードパーフルオロペンタン、モノ
ブロモモノヨードパーフルオロ-n-オクタン、モノブロ
モモノヨードパーフルオロシクロヘキサン、1-ブロモ-1
-ヨ−ド-2-クロロパーフルオロエタン、1-ブロモ-2-ヨ
ード-2-クロロパーフルオロエタン、1-ヨード-2-ブロモ
-2-クロロパーフルオロエタン、1,1-ジブロモ-2-ヨ−ド
パーフルオロエタン、1,2-ジブロモ-2-ヨードパーフル
オロエタン、1,2-ジヨード-2-ブロモパーフルオロエタ
ン、1-ブロモ-2-ヨード-1,2,2-トリフルオロエタン、1-
ヨード-2-ブロモ-1,2,2-トリフルオロエタン、1-ブロモ
-2-ヨード-1,1-ジフルオロエタン、1-ヨード-2-ブロモ-
1,1-ジフルオロエタン、1-ブロモ-2-ヨード-1-フルオロ
エタン、1-ヨード-2-ブロモ-1-フルオロエタン、1-ブロ
モ-2-ヨード-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパン、1-ヨ
ード-2-ブロモ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパン、1-
ブロモ-2-ヨード-3,3,4,4,4-ペンタフルオロブタン、1-
ヨード-2-ブロモ-3,3,4,4,4-ペンタフルオロブタン、1,
4-ジブロモ-2-ヨードパーフルオロブタン、2,4-ジブロ
モ-1-ヨードパーフルオロブタン、1,4-ジヨード-2-ブロ
モパーフルオロブタン、1,4-ジブロモ-2-ヨード-3,3,4,
4-テトラフルオロブタン、1,4-ジヨード-2-ブロモ-3,3,
4,4-テトラフルオロブタン、1,1-ジブロモ-2,4-ジヨー
ドパーフルオロブタン、1-ブロモ-2-ヨード-1-クロロエ
タン、1-ヨード-2-ブロモ-1-クロロエタン、1-ブロモ-2
-ヨード-2-クロロエタン、1-ブロモ-2-ヨード-1,1-ジク
ロロエタン、1,3-ジブロモ-2-ヨードパーフルオロプロ
パン、2,3-ジブロモ-2-ヨードパーフルオロプロパン、
1,3-ジヨード-2-ブロモパーフルオロプロパン、1-ブロ
モ-2-ヨードエタン、1-ブロモ-2-ヨードプロパン、1-ヨ
ード-2-ブロモプロパン、1-ブロモ-2-ヨードブタン、1-
ヨード-2-ブロモブタン、1-ブロモ-2-ヨード-2-トリフ
ルオルメチル-3,3,3-トリフルオロプロパン、1-ヨード-
2-ブロモ-2-トリフルオロメチル-3,3,3-トリフルオロプ
ロパン、1-ブロモ-2-ヨード-2-フェニルパーフルオロエ
タン、1-ヨード-2-ブロモ-2-フェニルパーフルオロエタ
ン、3-ブロモ-4-ヨードパーフルオロブテン-1、3-ヨー
ド-4-ブロモパーフルオロブテン-1、1-ブロモ-4-ヨード
パーフルオロブテン-1、1-ヨード-4-ブロモパーフルオ
ロブテン-1、3-ブロモ-4-ヨード-3,4,4-トリフルオロブ
テン-1、4-ブロモ-3-ヨード-3,4,4-トリフルオロブテン
-1、3-ブロモ-4-ヨード-1,1,2-トリフルオロブテン-1、
4-ブロモ-5-ヨードパーフルオロペンテン-1、4-ヨード-
5-ブロモパーフルオロペンテン-1、4-ブロモ-5-ヨード-
1,1,2-トリフルオロペンテン-1、4-ヨード-5-ブロモ-1,
1,2-トリフルオロペンテン-1、1-ブロモ-2-ヨードパー
フルオロエチルパーフルオロメチルエーテル、1-ブロモ
-2-ヨードパーフルオロエチルパーフルオロエチルエー
テル、1-ブロモ-2-ヨードパーフルオロエチルパーフル
オロプロピルエーテル、2-ブロモ-3-ヨードパーフルオ
ロプロピルパーフルオロビニルエーテル、1-ブロモ-2-
ヨードパーフルオロエチルパーフルオロビニルエーテ
ル、1-ブロモ-2-ヨードパーフルオロエチルパーフルオ
ロアリルエーテル、1-ブロモ-2-ヨードパーフルオロエ
チルメチルエーテル、1-ヨード-2-ブロモパーフルオロ
エチルエチルエーテル、1-ヨード-2-ブロモエチルエチ
ルエーテル、1-ブロモ-2-ヨードエチル-2′-クロロエチ
ルエーテル等が挙げられる。これらの含ヨウ素臭素化合
物は、適宜公知の方法により製造することができ、例え
ば含フッ素オレフィンに臭化ヨウ素を反応させることに
より、モノブロモモノヨード含フッ素オレフィンが得ら
れる。
【0014】また、芳香族の含ヨウ素臭素化合物として
は、例えばベンゼンの1-ヨード-2-ブロモ、1-ヨード-3-
ブロモ、1-ヨード-4-ブロモ、3,5-ジブロモ-1-ヨード、
3,5-ジヨード-1-ブロモ、1-(2-ヨードエチル)-4-(2-ブ
ロモエチル)、1-(2-ヨードエチル)-3-(2-ブロモエチ
ル)、1-(2-ヨードエチル)-4-(2-ブロモエチル)、3,5-ビ
ス(2-ブロモエチル)-1-(2-ヨードエチル)、3,5-ビス(2-
ヨードエチル)-1-(2-ブロモエチル)、1-(3-ヨードプロ
ピル)-2-(3-ブロモプロピル)、1-(3-ヨードプロピル)-3
-(3-ブロモプロピル)、1-(3-ヨードプロピル)-4-(3-ブ
ロモプロピル)、3,5-ビス(3-ブロモプロピル)-1-(3-ヨ
ードプロピル)、1-(4-ヨードブチル)-3-(4-ブロモブチ
ル)、1-(4-ヨードブチル)-4-(4-ブロモブチル)、3,5-ビ
ス(4-ヨードブチル)-1-(4-ブロモブチル)、1-(2-ヨード
エチル)-3-(3-ブロモプロピル)、1-(3-ヨードプロピル)
-3-(4-ブロモブチル)、3,5-ビス(3-ブロモプロピル)-1-
(2-ヨードエチル)、1-ヨード-3-(2-ブロモエチル)、1-
ヨード-3-(3-ブロモプロピル)、1,3-ジヨード-5-(2-ブ
ロモエチル)、1,3-ジヨード-5-(3-ブロモプロピル)、1-
ブロモ-3-(2-ヨードエチル)、1-ブロモ-3-(3-ヨードプ
ロピル)、1,3-ジブロモ-5-(2-ヨードエチル)、1,3-ジブ
ロモ-5-(3-ヨードプロピル)などの各置換体、パーフル
オロベンゼンの1-ヨード-2-ブロモ、1-ヨード-3-ブロ
モ、1-ヨード-4-ブロモ、3,5-ジブロモ-1-ヨード、3,5-
ジヨード-1-ブロモ等の各置換体が用いられる。
【0015】また、ヨウ素基の導入は、共重合反応によ
って含フッ素エラストマーを製造するに際し、反応系内
に一般式 RIn (ここで、Rは炭素数1〜10のフルオロ炭化
水素基、クロロフルオロ炭化水素基、クロロ炭化水素基
または炭化水素基であり、nは1または2である)で表わさ
れる飽和または不飽和の含ヨウ素化合物を共存させるこ
とによって行われる。
【0016】上記一般式で表わされる飽和含ヨウ素化合
物としては、例えば1,2-ジヨードパーフルオロエタン、
1,3-ジヨードパーフルオロプロパン、1,4-ジヨードパー
フルオロブタン、1,6-ジヨードパーフルオロヘキサン、
1,8-ジヨードパーフルオロオクタン等が挙げられ、好ま
しくは1,4-ジヨードパーフルオロブタンが用いられる。
また、不飽和含ヨウ素化合物としては、例えばヨードト
リフルオロエチレン、1-ヨード-2,2-ジフルオロエチレ
ン、パーフルオロ(2-ヨードエチルビニルエーテル)等
が挙げられる。
【0017】更に、臭素基の導入は、共重合反応によっ
て含フッ素エラストマーを製造するに際し、反応系内に
飽和または不飽和の含臭素フッ素化化合物を共存させる
ことによって行われる。これらの含臭素フッ素化化合物
は、分子内に更に塩素原子を含むことができる。
【0018】かかる含臭素フッ素化化合物としては、例
えば1,2-ジブロモ-1-フルオロエタン、1,2-ジブロモ-1,
1-ジフルオロエタン、1,2-ジブロモ-1,1,2-トリフルオ
ロエタン、1,2-ジブロモ-1-クロロトリフルオロエタ
ン、2,3-ジブロモ-1,1,1-トリフルオロプロパン、1,2-
ジブロモヘキサフルオロプロパン、1,2-ジブロモパーフ
ルオロブタン、1,4-ジブロモパーフルオロブタン、1,4-
ジブロモ-2-クロロ-1,1,2-トリフルオロブタン、1,6-ジ
ブロモパーフルオロヘキサン等の炭素数2〜10の飽和脂
肪族化合物、2-ブロモ-1,1-ジフルオロエチレン、1,1-
ジブロモジフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチ
レン、2-ブロモ-3,3,3-トリフルオロプロペン、4-ブロ
モ-1,1,2-トリフルオロブテン-1、4-ブロモ-3-クロロ-
3,4,4-トリフルオロブテン-1等の炭素数2〜10の不飽和
脂肪族化合物、あるいは1,2-ジブロモ-3,5-ジフルオロ
ベンゼン、1,2-ジブロモ-4,5-ジフルオロベンゼン、1,4
-ジブロモ-2,5-ジフルオロベンゼン、2,4-ジブロモ-1-
フルオロベンゼン、1,3-ジブロモ-5-フルオロベンゼ
ン、1,4-ジブロモ-2-フルオロベンゼン、1,2-ジブロモ
パーフルオロベンゼン、1,3-ジブロモパーフルオロベン
ゼン、1,4-ジブロモパーフルオロベンゼン等の芳香族化
合物が用いられる。
【0019】これらのヨウ素基および/または臭素基含
有化合物は、単独または組合せて用いられるが、その選
択は含フッ素エラストマーをフッ素樹脂とブレンドし、
架橋成形する際の架橋条件やこれらの化合物の反応性な
どを考慮して決定される。
【0020】用いられる含フッ素エラストマーの分子量
は、含フッ素共重合体組成物の加工性や機械的諸特性を
考慮して決定されるが、分子量の指標としての還元粘度
ηsp/cが、約0.3〜1.5dl/g、好ましくは約0.4〜1.3dl/g
を有することが望ましい。
【0021】このような範囲の溶液粘度に相当する分子
量の含フッ素エラストマーを得るためには、必要に応じ
て重合反応時にマロン酸エチル、アセトン、イソプロパ
ノール等の連鎖移動剤が用いられるが、含ヨウ素臭素化
合物が用いられる場合には、それ自体連鎖移動作用を有
するので、特別な場合を除き、連鎖移動剤の添加は不要
である。
【0022】含フッ素エラストマー製造のための共重合
反応は、乳化重合、けん濁重合、溶液重合、塊状重合等
の任意の重合法によって行うことができるが、重合度を
高めかつ経済性の面からは乳化重合法が好ましい。乳化
重合反応は、過硫酸アンモニウム等の水溶性無機過酸化
物またはそれと還元剤とのレドックス系を触媒として、
パーフルオロオクタン酸アンモニウム、パーフルオロヘ
プタン酸アンモニウム、パーフルオロノナン酸アンモニ
ウム等またはそれらの混合物、好ましくはパーフルオロ
オクタン酸アンモニウムを乳化剤に用いて、一般に圧力
約0〜10MPa・G、好ましくは約1〜5MPa・G、温度約0〜10
0℃、好ましくは約20〜80℃の条件下で行われる。その
際、重合系内のpHを調節するために、Na2HPO4、NaH2P
O4、KH2PO4等の緩衝能を有する電解質物質あるいは水酸
化ナトリウムを添加して用いてもよい。
【0023】含フッ素エラストマーとブレンドされるフ
ッ素樹脂としては、含フッ素エラストマーと共通の架橋
剤と反応する反応点を有するVdF-TFE共重合体であっ
て、その共重合比VdF/TFEが99/1〜1/99モル%、好ましく
は97/3〜10/90モル%、さらに好ましくは90/10〜65/35モ
ル%のものが用いられる。VdFの共重合割合がこれ以上で
は架橋成形品の引張強さの改善が少なく、一方これ以下
では耐圧縮永久歪特性が低下するようになる。
【0024】VdF-TFE共重合体中には、VdFおよびTFEと
の共重合性を有する単量体、例えばFAVE、CTFE、HFP、
プロピレン、エチレン等を共重合させることもでき、そ
の共重合割合は得られる含フッ素共重合体組成物に求め
られる性質を阻害しない範囲内、一般には約30モル%以
下である。
【0025】このようなVdF-TFE共重合体中へのパーオ
キサイド架橋性反応点の導入は、VdF-TFE共重合体を製
造する重合反応の際に、前記含ヨウ素臭素化合物InBrmR
および/または前記含ヨウ素化合物RInを反応系に共存
させることによって行われる。
【0026】VdF-TFE共重合体を得るための重合反応
は、含フッ素エラストマーの場合と同様に、乳化重合法
によって行われることが好ましい。得られるVdF-TFE共
重合体の分子量は、その指標としての極限粘度〔η〕が
約0.5dl/g以上、好ましくは約0.8dl/g以上であることが
望ましい。これ以下の値では、含フッ素共重合体組成物
の架橋成形品の強度改善効果が小さくなる。
【0027】なお、後述する如く、含フッ素共重合体組
成物の製造は、含フッ素エラストマー水性ラテックスと
VdF-TFE共重合体水性ラテックスとを混合するいわゆる
ラテックスブレンド法によって行われることが好まし
い。
【0028】含フッ素エラストマーとVdF-TFE共重合体
とは、前者が約95〜55%、好ましくは約90〜60%、また後
者が約5〜45%、好ましくは約10〜40%となるような重量
比でブレンドされる。VdF-TFE共重合体のブレンド割合
がこれより少ないと、含フッ素エラストマーの物性改善
効果が少なく、一方これより多い割合でブレンドされる
と、耐圧縮永久歪特性が低下するようになる。
【0029】ブレンド物の製造は、いずれも固体状に単
離された含フッ素エラストマーとVdF-TFE共重合体と
を、ミキシングロール、ニーダ、バンバリーミキサ等で
混合、混練することによって行うこともできるが、いず
れも乳化重合法で得られた含フッ素エラストマーの水性
ラテックスとVdF-TFE共重合体の水性ラテックスとを、
所望の固形分ブレンド割合になるような割合でラテック
スブレンドし、それを凝析、洗浄および乾燥する方法を
とった方が、(a)凝析、洗浄および乾燥が1回で済む、
(b)混練時間が短かい、(c)含フッ素エラストマーのVdF-
TFE共重合体への分散性が向上するなどの利点がもたら
される。なお、水性ラテックスの凝析は、塩化カルシウ
ム、塩化ナトリウム、カリミョウバン等の塩類水溶液中
に、水性ラテックスを滴下することにより行われる。
【0030】含フッ素エラストマーおよびVdF-TFE共重
合体のブレンド物の架橋成形は、これら2種類の含フッ
素ポリマーに導入された反応点の種類に応じた架橋剤を
用いることによって行われる。
【0031】含フッ素エラストマーおよびVdF-TFE共重
合体中に、それぞれ約0.005〜0.050ミリモル/gポリマ
ー、好ましくは約0.01〜0.04ミリモル/gポリマーの割合
で導入されたヨウ素基あるいはこのような割合のヨウ素
基と共に約0.005〜0.050ミリモル、好ましくは約0.01〜
0.04ミリモル/gポリマーの割合で導入された臭素基が存
在する場合には、有機過酸化物が架橋剤として用いられ
る。
【0032】有機過酸化物としては、例えば2,5-ジメチ
ル-2,5-ビス(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメ
チル-2,5-ビス(第3ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ベン
ゾイルパーオキサイド、ビス(2,4-ジクロロベンゾイル)
パーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ第3ブチ
ルパーオキサイド、第3ブチルクミルパーオキサイド、
第3ブチルパーオキシベンゼン、1,1-ビス(第3ブチルパ
ーオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメ
チルヘキサン-2,5-ジヒドロキシパーオキサイド、α,α
´-ビス(第3ブチルパーオキシ)-p-ジイソプロピルベン
ゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘ
キサン、第3ブチルパーオキシイソプロピルカーボネー
トが用いられる。
【0033】これらの有機過酸化物と共に、必要に応じ
て例えばトリ(メタ)アリルイソシアヌレート、トリアリ
ルトリメリテート、N,N′-m-フェニレンビスマレイミ
ド、ジアリルフタレート、トリス(ジアリルアミン)-s-
トリアジン、亜リン酸トリアリル、1,2-ポリブタジエ
ン、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレング
リコールジアクリレート等の多官能性不飽和化合物共架
橋剤が併用されることが好ましい。
【0034】パーオキサイド架橋系に配合される以上の
各成分は、ブレンド物100重量部当り、有機過酸化物が
約0.1〜10重量部、好ましくは約0.5〜5重量部の割合
で、また共架橋剤が約0.1〜10重量部、好ましくは約0.5
〜5重量部の割合でそれぞれ用いられる。
【0035】以上の各成分は、ミキシングロール、ニー
ダ、バンバリーミキサ等を用いて混練され、組成物が調
製される。調製された組成物は、プレス成形機を用い
て、約150〜220℃で約0.5〜10分間程度加熱することに
より架橋成形されるが、必要に応じて約150〜250℃で約
1〜20時間二次架橋が行われる。
【0036】
【発明の効果】本発明に係る含フッ素共重合体組成物
は、共通の架橋剤と反応する反応点を有する含フッ素エ
ラストマーとVdF-TFE共重合体とを混合するだけで、特
に補強性の無機充填剤を添加しない場合にあっても、良
好な機械的特性、特に耐圧縮永久歪特性にすぐれた架橋
成形品を与えることができ、またコストパーフォマンス
の点でもすぐれている。
【0037】
【実施例】次に、実施例について本発明を説明する。
【0038】参考例1 内容積10Lのオートクレーブ内に、 脱イオン水 3660ml パーフルオロオクタン酸アンモニウム 15g Na2HPO4・12H20 11g NaOH(pH調整用) 2.2g を仕込み、窒素ガス置換した後減圧脱気した。そこに、 BrCF2CF2I 7.5g CF2=CFOCF2CF2Br 15g を仕込み、さらに次の単量体を仕込んだ。 フッ化ビニリデン [VdF] 814.5g(72.5モル%) テトラフルオロエチレン [TFE] 175.5g(10.0モル%) パーフルオロ(メチルビニルエーテル) [FMVE] 510.0g(17.5モル%)
【0039】これらの各単量体を仕込んだ後、オートク
レーブ内を攪拌すると、オートクレーブ内温度は50℃に
昇温した。この時点で、過硫酸アンモニウム1.46gを加
えて重合反応を開始させ、24時間反応を継続してオート
クレーブ内のゲージ圧力が0であることを確認した後、
オートクレーブの内温を室温迄冷却した。得られたラテ
ックスを1重量%塩化カルシウム水溶液で塩析し、乾燥さ
せて、白色の含フッ素エラストマー1485g(重合率99%)を
得た。
【0040】参考例2 内容積10Lのオートクレーブ内に、 脱イオン水 4500ml パーフルオロオクタン酸アンモニウム 15g Na2HPO4・12H20 11g を仕込み、窒素ガス置換した後減圧脱気した。そこに、 BrCF2CF2I 15g を仕込み、さらに次の単量体を仕込んだ。 VdF 364g(78.5モル%) TFE 156g(21.5モル%)
【0041】これらの各単量体を仕込んだ後、オートク
レーブ内を攪拌し、さらにオートクレーブ内温が70℃に
なる迄昇温した。このときのオートクレーブの内圧は2.
4MPa・Gであった。この時点で、過硫酸アンモニウム2.0
gを加えて重合反応を開始させた。反応が始まり、オー
トクレーブの内圧が2.3MPa・Gに降下したら、VdF/TFE=7
8.5/21.5(モル%)の混合ガスをオートクレーブ内に圧入
し、内圧を2.4MPa・Gに戻した。
【0042】このような操作を、生成ラテックスの固形
分濃度が30重量%になる迄くり返し、所定の固形分濃度
になったら、直ちにオートクレーブ内の未反応ガスをパ
ージして、反応を停止させた。得られたラテックスの一
部を1重量%塩化カルシウム水溶液で塩析し、乾燥させて
重合率をみると、その値は85%であった。
【0043】参考例3 参考例2において、反応開始前に仕込む単量体をVdF442g
(89.9モル%)、TFE78g(10.1モル%)に、また重合反応開始
後に仕込む混合ガス組成をVdF/TFE=89.9/10.1(モル%)に
それぞれ変更した。
【0044】参考例4 参考例2において、反応開始前に仕込む単量体をVdF286g
(65.6モル%)、TFE234g(34.4モル%)に、また重合反応開
始後に仕込む混合ガス組成をVdF/TFE=65.6/34.4(モル%)
にそれぞれ変更した。
【0045】参考例5 参考例2において、BrCF2CF2Iの代りに、マロン酸ジエチ
ル6.0gが用いられた。
【0046】以上の各参考例で得られたVdF-TFE-FMVE3
元共重合体またはVdF-TFE共重合体について、共重合組
成(19F-NMRによる)、融点(DSC法による)、ヨウ素および
臭素含有量(元素分析による)および還元粘度ηsp/c(1%
メチルエチルケトン溶媒;35℃)または極限粘度〔η〕
(0.25〜1.0%ジメチルホルムアミド溶媒;35℃)をそれぞ
れ測定した。得られた結果は、次の表1に示される。 表1 共重合組成(モル%) 融点 I含有 Br含有 ηsp/c 〔η〕参考例 VdF TFE FMVE (℃) (mM/g) (mM/g) (dl/g) (dl/g) 1 73 10 17 - 0.01 0.03 1.0 - 2 80 20 - 135 0.02 0.02 - 1.0 3 90 10 - 140 0.02 0.02 - 0.90 4 65 35 - 150 0.02 0.02 - 1.1 5 90 10 - 134 - - - 0.97
【0047】実施例1 参考例1で得られた含フッ素エラストマーラテックスと
参考例2で得られたVdF-TFE共重合体ラテックスとを、そ
れらの固形分重量比が90/10になるように混合し、撹拌
した後、この混合水性ラテックスを1重量%塩化カルシウ
ム水溶液で塩析し、水洗、乾燥して、含フッ素共重合体
組成物Aを得た。
【0048】この含フッ素共重合体組成物100重量部に
2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン0.
5重量部およびトリアリルイソシアヌレート4重量部を加
えてロール混練し、混練物について180℃、5分間のプレ
ス架橋および200℃、4時間のオーブン架橋を行って、シ
ートおよびOリングを架橋成形し、得られた架橋成形品
について、次の各項目の測定を行った。 常態物性: 硬さ(ショアーA) ASTM D-2240-81準拠 引張強さ ASTM D-412-83準拠 伸び ASTM D-412-83準拠 圧縮永久歪: 線径3.5mmのOリングを、50℃、100℃、150℃または200
℃でいずれも70時間25%圧縮したものについて測定
【0049】実施例2 実施例1において、固形分重量比が80/20に変更された。
【0050】実施例3 実施例1において、固形分重量比が60/40に変更された。
【0051】実施例4 実施例2において、VdF-TFE共重合体が参考例3で得られ
たものに変更された。
【0052】実施例5 実施例2において、VdF-TFE共重合体が参考例4で得られ
たものに変更された。
【0053】比較例1 実施例1において、VdF-TFE共重合体が用いられず、参考
例1の含フッ素エラストマーが単体で用いられた。
【0054】比較例2 実施例2において、VdF-TFE共重合体ラテックスとして、
参考例5で得られたものが用いられた。この場合には、
得られた架橋シートに不均一な縞模様がみられた。
【0055】以上の各実施例および比較例における測定
結果は、次の表2に示される。 表2 測定項目 実-1 実-2 実-3 実-4 実-5 比-1 比-2 [常態物性] 硬さ (ショアーA) 55 64 70 63 65 48 63 引張強さ (MPa) 9.8 15.2 17.7 11.2 18.1 3.7 13.8 伸び (%) 400 500 470 440 480 360 470 [圧縮永久歪] 50℃、 (%) 21 20 25 22 26 22 30 100℃ (%) 25 24 26 25 25 26 27 150℃ (%) 38 22 27 25 33 41 30 200℃ (%) 39 29 32 34 36 63 43
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F070 AA23 AB11 AB16 DA25 DC11 4F071 AA26 AC08 AE02 AF02 AF45 AG05 AG28 AH17 BA01 BB03 BC07 4J002 BD14W BD14X BD15W BD15X BE04W EK006 EK036 FD146

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共通の架橋剤と反応する反応点をそれぞ
    れに有する含フッ素エラストマーおよびフッ化ビニリデ
    ン-テトラフルオロエチレン共重合体であるフッ素樹脂
    よりなる含フッ素共重合体組成物。
  2. 【請求項2】 含フッ素エラストマーがフッ化ビニリデ
    ン-テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(アルキルビ
    ニルエーテル)3元共重合体である請求項1記載の含フッ
    素共重合体組成物。
  3. 【請求項3】 パーオキサイド系架橋剤と反応する反応
    点をそれぞれに有する請求項1または2記載の含フッ素
    共重合体組成物。
  4. 【請求項4】 パーオキサイド系架橋剤と反応する反応
    点がヨウ素および/または臭素基である請求項3記載の
    含フッ素共重合体組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1または2記載の含フッ素共重合
    体組成物およびパーオキサイド系架橋剤を含有してなる
    架橋性組成物。
  6. 【請求項6】 無機充填剤を含有しない請求項5記載の
    架橋性組成物。
  7. 【請求項7】 請求項5または6記載の架橋性組成物を
    架橋成形して得られたシール材。
  8. 【請求項8】 共通の架橋剤と反応する架橋点をそれぞ
    れに有する含フッ素エラストマーおよびフッ化ビニリデ
    ン-テトラフルオロエチレン共重合体とをそれぞれ水性
    ラテックスとして混合し、共凝析させることを特徴とす
    る含フッ素共重合体組成物の製造法。
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