JP2007100109A - 含フッ素共重合体ブレンド物架橋成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】含フッ素エラストマー主体の含フッ素共重合体ブレンド物のパーオキサイド架橋物であって、含フッ素エラストマー架橋物の低温特性を悪化させることなく、耐エンジン油性を一層改善せしめ、エンジン油が接する部分の部品として用いられるものを提供する。
【解決手段】共通のパーオキサイド系架橋剤と反応する反応点として、Iおよび/またはBrを有する含フッ素エラストマー80〜98重量%およびIとBrまたはIを有するフッ素樹脂20〜2重量%よりなり、含フッ素エラストマーが40〜80モル%のフッ化ビニリデン、5〜30モル%のテトラフルオロエチレン、5〜30モル%のクロロトリフルオロエチレン、5〜15モル%のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の共重合組成を有する4元共重合体であり、フッ素樹脂が0〜20モル%のクロロトリフルオロエチレンを共重合させたフッ化ビニリデン(共)重合体である含フッ素共重合体ブレンド物のパーオキサイド架橋物よりなる架橋成形品。
【選択図】 なし
【解決手段】共通のパーオキサイド系架橋剤と反応する反応点として、Iおよび/またはBrを有する含フッ素エラストマー80〜98重量%およびIとBrまたはIを有するフッ素樹脂20〜2重量%よりなり、含フッ素エラストマーが40〜80モル%のフッ化ビニリデン、5〜30モル%のテトラフルオロエチレン、5〜30モル%のクロロトリフルオロエチレン、5〜15モル%のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の共重合組成を有する4元共重合体であり、フッ素樹脂が0〜20モル%のクロロトリフルオロエチレンを共重合させたフッ化ビニリデン(共)重合体である含フッ素共重合体ブレンド物のパーオキサイド架橋物よりなる架橋成形品。
【選択図】 なし
Description
本発明は、含フッ素共重合体ブレンド物架橋成形品に関する。更に詳しくは、含フッ素エラストマーとフッ素樹脂よりなる含フッ素共重合体ブレンド物のパーオキサイド架橋物よりなる架橋成形品に関する。
含フッ素エラストマーは、それのすぐれた耐熱性、耐化学薬品性および耐圧縮永久歪特性のため、自動車部品を始めとする多くの用途に用いられている。自動車部品の材料として用いられる場合、近年の自動車エンジンの高性能化および低燃費化に伴ない、エンジン油の高性能化が図られており、そのため多量のアミン系添加剤がエンジン油に配合される傾向にあり、エンジン油が接する部分の部品にはすぐれた耐アミン添加剤性が求められるようになってきている。
含フッ素エラストマーとしては、フッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロペン共重合体やフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロペン-テトラフルオロエチレン3元共重合体が汎用的に用いられているが、これらの含フッ素エラストマーの加硫成形品、例えばオイルシール等はエンジン油によってその表面が硬化、劣化し、クラックを生じてオイル洩れの原因となるため、エンジン油が接する部分に用いるには不適である。これは、ポリマー主鎖中のフッ化ビニリデン-ヘキサフルオロプロペン連鎖部位がアミン系化合物と反応し、硬化するためと考えられる。
一方、耐アミン添加剤性の改善された含フッ素エラストマーもいくつか知られている。
・テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(メチルビニルエーテル)共重合体は、アミン系化合物ばかりではなく、各種の極性溶媒に対してもすぐれた耐性を示すが、ガラス転移点(Tg)が-5〜0℃程度と低温特性に劣っており、また前記汎用の含フッ素エラストマーよりも高価である
・テトラフルオロエチレン-プロピレン共重合体は、アミン系化合物、各種極性溶媒に対して良好な耐性を示すものの、低温特性の目安であるTR-10が0℃であって、前記汎用の含フッ素エラストマーよりも劣っている
・フッ化ビニリデン-プロピレン-テトラフルオロエチレン3元共重合体やフッ化ビニリデン-α-オレフィン-ヘキサフルオロプロペン-テトラフルオロエチレン4元共重合体にあっては、低温特性は幾分改善されるものの(TR-10:-8℃)十分ではなく、また耐摩耗性に劣るため動的シール材の成形材料としては用いることができない
・フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(メチルビニルエーテル)3元共重合体は、耐アミン添加剤性および低温特性(TR-10:-30℃)にはすぐれているものの、高価なパーフルオロ(メチルビニルエーテル)を約15〜25モル%程度の割合で共重合させなければならないため、汎用含フッ素エラストマーの数倍の価格となる問題を有している
本出願人は先に、耐アミン添加剤性ばかりではなく、低温特性、耐エンジン油性にもすぐれ、かつパーフルオロ(低級アルキルビニルエーテル)の共重合割合を減らすことによりより低価格化を達成せしめる含フッ素エラストマーとして、含臭素単量体化合物および含ヨウ素臭素化合物の存在下において、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロ(低級アルキルビニルエーテル)およびクロロトリフルオロエチレンを共重合反応させて得られる含フッ素エラストマーを提案している。
特許第3,758,323号公報
ここで提案された含フッ素エラストマーは、初期の目的は一応達成させるものの、耐エンジン油性のなお一層の改善が求められた。
本発明の目的は、フッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレンおよびパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)を共重合反応させて得られる含フッ素エラストマーを主体とする含フッ素共重合体ブレンド物のパーオキサイド架橋物であって、この含フッ素エラストマー架橋物の低温特性を悪化させることなく、耐エンジン油性をなお一層改善せしめ、エンジン油が接する部分の部品として用いられるものを提供することにある。
かかる本発明の目的は、共通のパーオキサイド系架橋剤と反応する反応点として、ヨウ素基および/または臭素基を有する含フッ素エラストマー80〜98重量%およびヨウ素基と臭素基またはヨウ素基を有するフッ素樹脂20〜2重量%よりなり、含フッ素エラストマーが40〜80モル%のフッ化ビニリデン、5〜30モル%のテトラフルオロエチレン、5〜30モル%のクロロトリフルオロエチレンおよび5〜15モル%のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の共重合組成を有する4元共重合体であり、またフッ素樹脂がポリフッ化ビニリデンまたは20モル%以下のクロロトリフルオロエチレンを共重合させたフッ化ビニリデン共重合体である含フッ素共重合体ブレンド物のパーオキサイド架橋物よりなる架橋成形品によって達成される。
本出願人は先に、共通の架橋剤と反応する反応点をそれぞれに有する含フッ素エラストマーおよびフッ素樹脂よりなる、ロール加工性および成形性にすぐれ、また機械的強度にすぐれた加硫成形品を与え得る含フッ素共重合体ブレンド物を下記特許文献2で提案しており、より具体的には共通の架橋剤と反応する反応点が導入された含フッ素エラストマーが、フッ化ビニリデンおよびテトラフルオロエチレンよりなる群から選ばれた少くとも一種の単量体と、ヘキサフルオロプロペン、クロロトリフルオロエチレンおよび炭素数1〜3の低級アルキル基を有するパーフルオロ(低級アルキルビニルエーテル)よりなる群から選ばれた少くとも一種の単量体との共重合体であり、また共通の架橋剤と反応する反応点が導入されたフッ素樹脂が、フッ化ビニリデンおよびテトラフルオロエチレンよりなる群から選ばれた少くとも一種の単量体と、ヘキサフルオロプロペン、クロロトリフルオロエチレンおよび炭素数1〜3の低級アルキル基を有するパーフルオロ(低級アルキルビニルエーテル)よりなる群から選ばれた少くとも一種の単量体との共重合体である含フッ素共重合体ブレンド物を提案している。
特開平11−315180号公報
本発明においては、上記含フッ素エラストマーの範疇には入るものの具体的な記載のない特定の4元共重合体を用い、またフッ素樹脂としてポリフッ化ビニリデンまたはフッ化ビニリデン-クロロトリフルオロエチレン共重合体を選択し、これらを組合せた含フッ素共重合体ブレンド物のパーオキサイド架橋物を、エンジン油が接する部分の部品として用いることによって、低温特性を悪化させることなく、耐エンジン油性を大幅に改善することができ、しかも含フッ素エラストマー単体を用いた場合と比べて製造コストを低下させるため、コストパーフォマンス性の点でもすぐれている。
本発明で用いられる含フッ素エラストマーは、フッ化ビニリデン約40〜80モル%、好ましくは約50〜70モル%、テトラフルオロエチレン約5〜30モル%、好ましくは約10〜20モル%、クロロトリフルオロエチレン約5〜30モル%、好ましくは約10〜20モル%およびパーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)等の炭素数が1〜3のパーフルオロ低級アルキル基を有するパーフルオロ(低級アルキルビニルエーテル)約5〜15モル%、好ましくは約5〜15モル%よりなる共重合組成を有している。
フッ化ビニリデンの共重合割合がこれより少ないと低温特性が悪化するようになり、一方これより多い割合で共重合させると耐薬品性や弾性が低下するようになる。テトラフルオロエチレンの共重合割合がこれより少ないと耐熱性や耐薬品性が低下するようになり、一方これより多い割合で共重合させると低温特性が悪化するようになる。クロロトリフルオロエチレンの共重合割合がこれより少ないと意図する程のコストダウン効果が得られず、一方これより多い割合で共重合させると低温特性を悪化させる。また、パーフルオロ(低級アルキルビニルエーテル)の共重合割合がこれより少ないと低温特性や耐薬品性が低下するようになり、一方これより多い割合で共重合させるのはコスト面からみて好ましくない。
かかる含フッ素エラストマー中には、更にコスト削減を主な目的として、共重合反応を阻害せずかつ加硫物性を損わない程度(約20モル%以下)のフッ素化オレフィンや各種のオレフィン化合物またはビニル化合物などを共重合させることもできる。フッ素化オレフィンとしては、例えばモノフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、ヘキサフルオロプロペン、ヘキサフルオロイソブチレン、ジクロロジフルオロエチレン等が用いられ、またオレフィン化合物またはビニル化合物としては、例えばエチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブチレン、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、トリフルオロスチレン等が用いられる。これらの内、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロペン、メチルビニルエーテル等の少なくとも一種が好んで用いられる。
これらの含フッ素エラストマー中に導入される、架橋剤と反応する反応点は、いずれの架橋系を選択するかによって決定される。架橋系としては、パーオキサイド架橋、ポリオール架橋、アミン架橋、イソシアネート架橋、エポキシ架橋等従来公知の架橋系から選択することが可能であるが、好ましくはパーオキサイド架橋系が用いられる。
パーオキサイド架橋系を選択する場合には、含フッ素エラストマー中にヨウ素基、臭素基、ペルオキシ基、不飽和基等の官能性基が結合されていることが必要であるが、官能性基導入の容易性からヨウ素基および/または臭素基の選択が好ましい。
ヨウ素および臭素基の導入は、共重合反応によって含フッ素エラストマーを製造するに際し、反応系内に一般式 InBrmR (ここで、Rは炭素数1〜10のフルオロ炭化水素基、クロロフルオロ炭化水素基、クロロ炭化水素基または炭化水素基であり、nおよびmはいずれも1または2である)で表わされる含ヨウ素臭素化合物を共存させることによって行われる。かかる含ヨウ素臭素化合物としては、飽和または不飽和の、脂肪族または芳香族の化合物であって、好ましくはnおよびmがそれぞれ1のものが使用される。
鎖状の含ヨウ素臭素化合物としては、例えば1-ブロモ-2-ヨードパーフルオロエタン、1-ブロモ-3-ヨードパーフルオロプロパン、1-ブロモ-4-ヨードパーフルオロブタン、2-ブロモ-3-ヨードパーフルオロブタン、1-ブロモ-2-ヨードパーフルオロ(2-メチルプロパン)、モノブロモモノヨードパーフルオロシクロブタン、モノブロモモノヨードパーフルオロペンタン、モノブロモモノヨードパーフルオロ-n-オクタン、モノブロモモノヨードパーフルオロシクロヘキサン、1-ブロモ-1-ヨ−ド-2-クロロパーフルオロエタン、1-ブロモ-2-ヨード-2-クロロパーフルオロエタン、1-ヨード-2-ブロモ-2-クロロパーフルオロエタン、1,1-ジブロモ-2-ヨ−ドパーフルオロエタン、1,2-ジブロモ-2-ヨードパーフルオロエタン、1,2-ジヨード-2-ブロモパーフルオロエタン、1-ブロモ-2-ヨード-1,2,2-トリフルオロエタン、1-ヨード-2-ブロモ-1,2,2-トリフルオロエタン、1-ブロモ-2-ヨード-1,1-ジフルオロエタン、1-ヨード-2-ブロモ-1,1-ジフルオロエタン、1-ブロモ-2-ヨード-1-フルオロエタン、1-ヨード-2-ブロモ-1-フルオロエタン、1-ブロモ-2-ヨード-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパン、1-ヨード-2-ブロモ-1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロパン、1-ブロモ-2-ヨード-3,3,4,4,4-ペンタフルオロブタン、1-ヨード-2-ブロモ-3,3,4,4,4-ペンタフルオロブタン、1,4-ジブロモ-2-ヨードパーフルオロブタン、2,4-ジブロモ-1-ヨードパーフルオロブタン、1,4-ジヨード-2-ブロモパーフルオロブタン、1,4-ジブロモ-2-ヨード-3,3,4,4-テトラフルオロブタン、1,4-ジヨード-2-ブロモ-3,3,4,4-テトラフルオロブタン、1,1-ジブロモ-2,4-ジヨードパーフルオロブタン、1-ブロモ-2-ヨード-1-クロロエタン、1-ヨード-2-ブロモ-1-クロロエタン、1-ブロモ-2-ヨード-2-クロロエタン、1-ブロモ-2-ヨード-1,1-ジクロロエタン、1,3-ジブロモ-2-ヨードパーフルオロプロパン、2,3-ジブロモ-2-ヨードパーフルオロプロパン、1,3-ジヨード-2-ブロモパーフルオロプロパン、1-ブロモ-2-ヨードエタン、1-ブロモ-2-ヨードプロパン、1-ヨード-2-ブロモプロパン、1-ブロモ-2-ヨードブタン、1-ヨード-2-ブロモブタン、1-ブロモ-2-ヨード-2-トリフルオルメチル-3,3,3-トリフルオロプロパン、1-ヨード-2-ブロモ-2-トリフルオロメチル-3,3,3-トリフルオロプロパン、1-ブロモ-2-ヨード-2-フェニルパーフルオロエタン、1-ヨード-2-ブロモ-2-フェニルパーフルオロエタン、3-ブロモ-4-ヨードパーフルオロブテン-1、3-ヨード-4-ブロモパーフルオロブテン-1、1-ブロモ-4-ヨードパーフルオロブテン-1、1-ヨード-4-ブロモパーフルオロブテン-1、3-ブロモ-4-ヨード-3,4,4-トリフルオロブテン-1、4-ブロモ-3-ヨード-3,4,4-トリフルオロブテン-1、3-ブロモ-4-ヨード-1,1,2-トリフルオロブテン-1、4-ブロモ-5-ヨードパーフルオロペンテン-1、4-ヨード-5-ブロモパーフルオロペンテン-1、4-ブロモ-5-ヨード-1,1,2-トリフルオロペンテン-1、4-ヨード-5-ブロモ-1,1,2-トリフルオロペンテン-1、1-ブロモ-2-ヨードパーフルオロエチルパーフルオロメチルエーテル、1-ブロモ-2-ヨードパーフルオロエチルパーフルオロエチルエーテル、1-ブロモ-2-ヨードパーフルオロエチルパーフルオロプロピルエーテル、2-ブロモ-3-ヨードパーフルオロプロピルパーフルオロビニルエーテル、1-ブロモ-2-ヨードパーフルオロエチルパーフルオロビニルエーテル、1-ブロモ-2-ヨードパーフルオロエチルパーフルオロアリルエーテル、1-ブロモ-2-ヨードパーフルオロエチルメチルエーテル、1-ヨード-2-ブロモパーフルオロエチルエチルエーテル、1-ヨード-2-ブロモエチルエチルエーテル、1-ブロモ-2-ヨードエチル-2′-クロロエチルエーテル等が挙げられる。これらの含ヨウ素臭素化合物は、適宜公知の方法により製造することができ、例えば含フッ素オレフィンに臭化ヨウ素を反応させることにより、モノブロモモノヨード含フッ素オレフィンが得られる。
また、芳香族の含ヨウ素臭素化合物としては、例えばベンゼンの1-ヨード-2-ブロモ、1-ヨード-3-ブロモ、1-ヨード-4-ブロモ、3,5-ジブロモ-1-ヨード、3,5-ジヨード-1-ブロモ、1-(2-ヨードエチル)-4-(2-ブロモエチル)、1-(2-ヨードエチル)-3-(2-ブロモエチル)、1-(2-ヨードエチル)-4-(2-ブロモエチル)、3,5-ビス(2-ブロモエチル)-1-(2-ヨードエチル)、3,5-ビス(2-ヨードエチル)-1-(2-ブロモエチル)、1-(3-ヨードプロピル)-2-(3-ブロモプロピル)、1-(3-ヨードプロピル)-3-(3-ブロモプロピル)、1-(3-ヨードプロピル)-4-(3-ブロモプロピル)、3,5-ビス(3-ブロモプロピル)-1-(3-ヨードプロピル)、1-(4-ヨードブチル)-3-(4-ブロモブチル)、1-(4-ヨードブチル)-4-(4-ブロモブチル)、3,5-ビス(4-ヨードブチル)-1-(4-ブロモブチル)、1-(2-ヨードエチル)-3-(3-ブロモプロピル)、1-(3-ヨードプロピル)-3-(4-ブロモブチル)、3,5-ビス(3-ブロモプロピル)-1-(2-ヨードエチル)、1-ヨード-3-(2-ブロモエチル)、1-ヨード-3-(3-ブロモプロピル)、1,3-ジヨード-5-(2-ブロモエチル)、1,3-ジヨード-5-(3-ブロモプロピル)、1-ブロモ-3-(2-ヨードエチル)、1-ブロモ-3-(3-ヨードプロピル)、1,3-ジブロモ-5-(2-ヨードエチル)、1,3-ジブロモ-5-(3-ヨードプロピル)などの各置換体、パーフルオロベンゼンの1-ヨード-2-ブロモ、1-ヨード-3-ブロモ、1-ヨード-4-ブロモ、3,5-ジブロモ-1-ヨード、3,5-ジヨード-1-ブロモ等の各置換体が用いられる。
また、ヨウ素基の導入は、共重合反応によって含フッ素エラストマーを製造するに際し、反応系内に一般式 RIn (ここで、Rは炭素数1〜10のフルオロ炭化水素基、クロロフルオロ炭化水素基、クロロ炭化水素基または炭化水素基であり、nは1または2である)で表わされる飽和または不飽和の含ヨウ素化合物を共存させることによって行われる。
上記一般式で表わされる飽和含ヨウ素化合物としては、例えば1,2-ジヨードパーフルオロエタン、1,3-ジヨードパーフルオロプロパン、1,4-ジヨードパーフルオロブタン、1,6-ジヨードパーフルオロヘキサン、1,8-ジヨードパーフルオロオクタン等が挙げられ、好ましくは1,4-ジヨードパーフルオロブタンが用いられる。また、不飽和含ヨウ素化合物としては、例えばヨードトリフルオロエチレン、1-ヨード-2,2-ジフルオロエチレン、パーフルオロ(2-ヨードエチルビニルエーテル)等が挙げられる。
更に、臭素基の導入は、共重合反応によって含フッ素エラストマーを製造するに際し、反応系内に飽和または不飽和の含臭素フッ素化化合物を共存させることによって行われる。これらの含臭素フッ素化化合物は、分子内に更に塩素原子を含むことができる。
かかる含臭素フッ素化化合物としては、例えば1,2-ジブロモ-1-フルオロエタン、1,2-ジブロモ-1,1-ジフルオロエタン、1,2-ジブロモ-1,1,2-トリフルオロエタン、1,2-ジブロモ-1-クロロトリフルオロエタン、2,3-ジブロモ-1,1,1-トリフルオロプロパン、1,2-ジブロモヘキサフルオロプロパン、1,2-ジブロモパーフルオロブタン、1,4-ジブロモパーフルオロブタン、1,4-ジブロモ-2-クロロ-1,1,2-トリフルオロブタン、1,6-ジブロモパーフルオロヘキサン等の炭素数2〜10の飽和脂肪族化合物、2-ブロモ-1,1-ジフルオロエチレン、1,1-ジブロモジフルオロエチレン、ブロモトリフルオロエチレン、2-ブロモ-3,3,3-トリフルオロプロペン、4-ブロモ-1,1,2-トリフルオロブテン-1、4-ブロモ-3-クロロ-3,4,4-トリフルオロブテン-1等の炭素数2〜10の不飽和脂肪族化合物、あるいは1,2-ジブロモ-3,5-ジフルオロベンゼン、1,2-ジブロモ-4,5-ジフルオロベンゼン、1,4-ジブロモ-2,5-ジフルオロベンゼン、2,4-ジブロモ-1-フルオロベンゼン、1,3-ジブロモ-5-フルオロベンゼン、1,4-ジブロモ-2-フルオロベンゼン、1,2-ジブロモパーフルオロベンゼン、1,3-ジブロモパーフルオロベンゼン、1,4-ジブロモパーフルオロベンゼン等の芳香族化合物が用いられる。
これらのヨウ素基および/または臭素基含有化合物は、単独または組合せて用いられるが、その選択は含フッ素エラストマーをフッ素樹脂とブレンドし、架橋成形する際の架橋条件やこれらの化合物の反応性などを考慮して決定される。
用いられる含フッ素エラストマーの分子量は、含フッ素共重合体ブレンド物の加工性や機械的諸特性を考慮して決定されるが、分子量の指標としての溶液粘度ηsp/cが、約0.3〜1.5dl/g、好ましくは約0.4〜1.3dl/gを有することが望ましい。
このような範囲の溶液粘度に相当する分子量の含フッ素エラストマーを得るためには、必要に応じて重合反応時にマロン酸エチル、アセトン、イソプロパノール等の連鎖移動剤が用いられるが、含ヨウ素臭素化合物が用いられる場合には、それ自体連鎖移動作用を有するので、特別な場合を除き、連鎖移動剤の添加は不要である。
含フッ素エラストマー製造のための共重合反応は、乳化重合、けん濁重合、溶液重合、塊状重合等の任意の重合法によって行うことができるが、重合度を高めかつ経済性の面からは乳化重合法が好ましい。乳化重合反応は、過硫酸アンモニウム等の水溶性無機過酸化物またはそれと還元剤とのレドックス系を触媒として、パーフルオロオクタン酸アンモニウム、パーフルオロヘプタン酸アンモニウム、パーフルオロノナン酸アンモニウム等またはそれらの混合物、好ましくはパーフルオロオクタン酸アンモニウムを乳化剤に用いて、一般に圧力約0〜100kg/cm2G、好ましくは約10〜50kg/cm2G、温度約0〜100℃、好ましくは約20〜80℃の条件下で行われる。その際、重合系内のpHを調節するために、Na2HPO4、NaH2PO4、KH2PO4等の緩衝能を有する電解質物質あるいは水酸化ナトリウムを添加して用いてもよい。
含フッ素エラストマーとブレンドされるフッ素樹脂としては、含フッ素エラストマーと共通の架橋剤と反応する反応点としてヨウ素基と臭素基またはヨウ素基を有するポリフッ化ビニリデンまたはフッ化ビニリデン-クロロトリフルオロエチレン共重合体が用いられる。クロロトリフルオロエチレンは、フッ素樹脂がゴム領域とならない程度、好ましくは約20モル%以下の割合で共重合され、それの共重合は、ラテックスブレンド物の乳化安定性の向上や樹脂とブレンドされた含フッ素エラストマーの耐エンジン油性の向上に寄与する。
このようなフッ素樹脂中へのパーオキサイド架橋性反応点の導入は、フッ素樹脂を製造する重合反応の際に、前記含ヨウ素臭素化合物InBrmRおよび/または前記含ヨウ素化合物RInを反応系に共存させることによって行われる。
フッ素樹脂を得るための重合反応は、含フッ素エラストマーの場合と同様に、乳化重合法によって行われることが好ましい。得られるフッ素樹脂の分子量は、その指標としての溶液粘度ηsp/cが約0.4〜3dl/g、好ましくは約0.7〜2.5dl/gであることからも分るように、含フッ素エラストマーの場合よりも、分子量が高くとも加工性への悪影響の程度は小さく、機械的諸特性の点からは適当に分子量が高い方が良い。
なお、後述する如く、含フッ素共重合体ブレンド物の製造は、含フッ素エラストマー水性ラテックスとフッ素樹脂水性ラテックスとを混合するいわゆるラテックスブレンド法によって行われることが好ましい。
含フッ素エラストマーとフッ素樹脂とは、前者が80〜98%、好ましくは80〜90%、また後者が20〜2%、好ましくは20〜10%となるような重量比でブレンドされる。フッ素樹脂のブレンド割合がこれより少ないと、含フッ素エラストマーの耐エンジン油性改善効果が少なく、一方これより多い割合でブレンドされると、架橋成形品の硬度が上昇し、配合設計の自由度が低下するので好ましくない。
ブレンド物の製造は、いずれも固体状に単離された含フッ素エラストマーとフッ素樹脂とを、ミキシングロール、ニーダ、バンバリーミキサ等で混合、混練することによって行うこともできるが、いずれも乳化重合法で得られた含フッ素エラストマーの水性ラテックスとフッ素樹脂の水性ラテックスとを、所望の固形分ブレンド割合になるような割合でラテックスブレンドし、それを凝析、洗浄および乾燥する方法をとった方が、(a)凝析、洗浄および乾燥が1回で済む、(b)混練時間が短かい、(c)含フッ素エラストマーのフッ素樹脂への分散性が向上するなどの利点がもたらされる。なお、水性ラテックスの凝析は、塩化カルシウム、塩化ナトリウム、カリミョウバン等の塩類水溶液中に、水性ラテックスを滴下することにより行われる。
含フッ素エラストマーおよびフッ素樹脂のブレンド物の架橋成形は、これら2種類の含フッ素ポリマーに導入された反応点、即ちそれぞれ約0.005〜0.050ミリモル/gポリマー、好ましくは約0.01〜0.04ミリモル/gポリマーの割合で導入されたヨウ素基または臭素基あるいはこのような割合のヨウ素基と共に約0.005〜0.050ミリモル、好ましくは約0.01〜0.04ミリモル/gポリマーの割合で導入された臭素基を利用して、有機過酸化物による架橋が行われる。
有機過酸化物としては、例えば2,5-ジメチル-2,5-ビス(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(第3ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ベンゾイルパーオキサイド、ビス(2,4-ジクロロベンゾイル)パーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジ第3ブチルパーオキサイド、第3ブチルクミルパーオキサイド、第3ブチルパーオキシベンゼン、1,1-ビス(第3ブチルパーオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジヒドロキシパーオキサイド、α,α´-ビス(第3ブチルパーオキシ)-p-ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、第3ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートが用いられる。
これらの有機過酸化物と共に、必要に応じてそこに例えばトリ(メタ)アリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、N,N′-m-フェニレンビスマレイミド、ジアリルフタレート、トリス(ジアリルアミン)-s-トリアジン、亜リン酸トリアリル、1,2-ポリブタジエン、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート等の多官能性不飽和化合物共架橋剤が併用されることも好ましい。
パーオキサイド架橋系に配合される以上の各成分は、ブレンド物100重量部当り、有機過酸化物が約0.1〜10重量部、好ましくは約0.5〜5重量部の割合で、また共架橋剤が約0.1〜10重量部、好ましくは約0.5〜5重量部の割合でそれぞれ用いられる。
ブレンド物には、以上の各成分よりなる架橋系に加えて、ZnO、CaO、Ca(OH)2、MgO、PbO等の2価金属の酸化物または水酸化物、合成ハイドロタルサイト等の受酸剤が、ブレンド物100重量部当り約1〜20重量部、好ましくは約3〜15重量部の割合で添加して用いられる。
ブレンド物には更に、カーボンブラック、シリカ、グラファイト、クレー、タルク、けいそう土、硫酸バリウム、酸化チタン、ウォラストナイト等の充填剤または補強剤、滑剤、加工助剤、顔料などを適宜配合して用いることもできる。
以上の各成分は、ミキシングロール、ニーダ、バンバリーミキサ等を用いて混練され、組成物が調製される。調製された組成物は、プレス成形機を用いて、約150〜220℃で約0.5〜10分間程度加熱することにより架橋成形されるが、必要に応じて約150〜250℃で約1〜20時間二次架橋が行われる。
次に、実施例について本発明を説明する。
参考例1
容量10Lのオートクレーブ内に、
パーフルオロオクタン酸アンモニウム 17g
リン酸水素二ナトリウム・12H2O(pH調整用) 12g
脱イオン水 4L
を仕込み、内部空間を窒素ガスで十分に置換した後、1-ブロム-2-ヨードパーフルオロエタン9.3gを仕込んだ。その後、
パーフルオロ(メチルビニルエーテル) [FMVE] 460g(10モル%)
クロロトリフルオロエチレン [CTFE] 480g(15モル%)
テトラフルオロエチレン [TFE] 420g(15モル%)
フッ化ビニリデン [VdF] 1060g(60モル%)
ブロモジフルオロエチレン [BDFE] 6g
よりなる混合ガスを圧入し、内温を50℃に昇温させた後、過硫酸アンモニウム4gおよび亜硫酸水素ナトリウム0.4gを加えて、重合反応を開始させた。このときの内圧は、3.18MPaであった。
容量10Lのオートクレーブ内に、
パーフルオロオクタン酸アンモニウム 17g
リン酸水素二ナトリウム・12H2O(pH調整用) 12g
脱イオン水 4L
を仕込み、内部空間を窒素ガスで十分に置換した後、1-ブロム-2-ヨードパーフルオロエタン9.3gを仕込んだ。その後、
パーフルオロ(メチルビニルエーテル) [FMVE] 460g(10モル%)
クロロトリフルオロエチレン [CTFE] 480g(15モル%)
テトラフルオロエチレン [TFE] 420g(15モル%)
フッ化ビニリデン [VdF] 1060g(60モル%)
ブロモジフルオロエチレン [BDFE] 6g
よりなる混合ガスを圧入し、内温を50℃に昇温させた後、過硫酸アンモニウム4gおよび亜硫酸水素ナトリウム0.4gを加えて、重合反応を開始させた。このときの内圧は、3.18MPaであった。
内圧が3.0MPaに低下した時点で、オートクレーブ内圧を3.0〜3.1MPaに保ちながら、BDFEを除いた上記組成の混合ガスを同量(計2420g)分添した。分添終了後、オートクレーブ内圧が0.3MPaになった時点で共重合反応を終了し、固形分濃度35.2重量%の含フッ素エラストマー水性ラテックスAを6.3Kg(重合率92%)得た。
得られた水性ラテックスの一部に5重量%カリミョウバン水を添加して生成4元共重合体を凝析し、水洗、乾燥した。この4元共重合体含フッ素エラストマーについて、共重合体組成(19F-NMRによる)、ヨウ素および臭素含量(元素分析による)および溶液粘度ηsp/c[1重量%メチルエチルケトン(MEK)溶液の比粘度、35℃]を測定した。なお、収量は得られた水性ラテックスを全量塩析したとした場合の回収量であり、重合率はその値に基いて算出されている。参考例2においても同様である。
共重合体組成 :VdF 18モル%
TFE 64モル%
CTFE 11モル%
FMVE 7モル%
ヨウ素、臭素含量:I 0.025ミリモル/g
Br 0.030ミリモル/g
溶液粘度 :ηsp/c 1.07dl/g
共重合体組成 :VdF 18モル%
TFE 64モル%
CTFE 11モル%
FMVE 7モル%
ヨウ素、臭素含量:I 0.025ミリモル/g
Br 0.030ミリモル/g
溶液粘度 :ηsp/c 1.07dl/g
参考例2
容量10Lのオートクレーブ内に、
パーフルオロオクタン酸アンモニウム 93.5g
リン酸水素二ナトリウム・12H2O(pH調整用) 16.9g
脱イオン水 5.2L
を仕込み、内部空間を窒素ガスで十分に置換した後、1,4-ジヨードパーフルオロブタン10.4gを仕込んだ。その後、VdF650g(69.6モル%)およびCTFE284g(30.4モル%)よりなる混合ガスを圧入し、内温を70℃に昇温させた後、過硫酸アンモニウム7gを加えて、重合反応を開始させた。このときの内圧は、3.3MPaであった。
容量10Lのオートクレーブ内に、
パーフルオロオクタン酸アンモニウム 93.5g
リン酸水素二ナトリウム・12H2O(pH調整用) 16.9g
脱イオン水 5.2L
を仕込み、内部空間を窒素ガスで十分に置換した後、1,4-ジヨードパーフルオロブタン10.4gを仕込んだ。その後、VdF650g(69.6モル%)およびCTFE284g(30.4モル%)よりなる混合ガスを圧入し、内温を70℃に昇温させた後、過硫酸アンモニウム7gを加えて、重合反応を開始させた。このときの内圧は、3.3MPaであった。
内圧が2.4MPaに低下した時点で、オートクレーブ内圧を2.4〜2.5MPaに保ちながら、VdF650gを分添した。分添終了後冷却して、共重合反応を終了させ、固形分濃度23.1重量%のフッ素樹脂水性ラテックスBを6.7Kg(重合率98%)得た。
共重合体組成 :VdF 90モル%
CTFE 10モル%
ヨウ素含量 :I 0.020%
溶液粘度 :ηsp/c 1.50dl/g
共重合体組成 :VdF 90モル%
CTFE 10モル%
ヨウ素含量 :I 0.020%
溶液粘度 :ηsp/c 1.50dl/g
参考例3
参考例1において、VdF820g(70.1モル%)、TFE180g(9.8モル%)およびFMVE610g(20.1モル%)よりなる混合ガスを用いて、50℃での共重合反応を20時間行ない、残ガスをパージして、固形分濃度31重量%の含フッ素エラストマー水性ラテックスCを5.1Kg(重合率98.2%)得た。
参考例1において、VdF820g(70.1モル%)、TFE180g(9.8モル%)およびFMVE610g(20.1モル%)よりなる混合ガスを用いて、50℃での共重合反応を20時間行ない、残ガスをパージして、固形分濃度31重量%の含フッ素エラストマー水性ラテックスCを5.1Kg(重合率98.2%)得た。
この水性ラテックスCに、10重量%塩化ナトリウム水溶液を加えて生成共重合体を凝析させ、水洗、乾燥して、VdF71モル%、TFE11モル%およびFMVE18モル%よりなる3元共重合体含フッ素エラストマー1.55Kg(重合率96.3%)を得た。
実施例1
参考例1で得られた含フッ素エラストマー水性ラテックスAと参考例2で得られたフッ素樹脂水性ラテックスBとを、それらの固形分重量比が90/10になるように混合し、撹拌した。この混合水性ラテックスを10%食塩水中に添加し、凝析、水洗、乾燥させて、含フッ素共重合体ブレンド物を得た。
含フッ素共重合体ブレンド物 100重量部
MTカーボンブラック 30 〃
酸化亜鉛 5 〃
2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン 1.5 〃
トリアリルイソシアヌレート 3 〃
以上の各配合成分をロール混練し、混練物について180℃、10分間のプレス架橋および200℃、22時間のオーブン架橋を行って、シートおよびOリングを架橋成形し、得られた架橋成形品について、次の各項目の測定を行った。
(1)常態物性:
(a)硬さ(ショアーA) ASTM D-2240-81準拠
(b)100%モジュラス ASTM D-412-83準拠
(c)引張強さ ASTM D-412-83準拠
(d)伸び ASTM D-412-83準拠
(2)耐エンジン油性:
エンジン油(TOYOTAキャッスルモータオイル クリーンSJ 10W-30)中に、175℃で168,300または500時間浸漬した後の常態物性変化および表面クラック発生時の伸び量の測定、ならびに180°曲げクラック時の試験片のエッジ状態および表面状態を目視で観察し、エッヂ部については◎変化なし、○切れ込み小、△切れ込み中、×切れ込み大、また表面部については◎変化なし、○表面荒れ小、△表面荒れ中、×表面荒れ大と評価
(3)低温特性:
TR-10値およびTR-70値を測定
参考例1で得られた含フッ素エラストマー水性ラテックスAと参考例2で得られたフッ素樹脂水性ラテックスBとを、それらの固形分重量比が90/10になるように混合し、撹拌した。この混合水性ラテックスを10%食塩水中に添加し、凝析、水洗、乾燥させて、含フッ素共重合体ブレンド物を得た。
含フッ素共重合体ブレンド物 100重量部
MTカーボンブラック 30 〃
酸化亜鉛 5 〃
2,5-ジメチル-2,5-ジ(第3ブチルパーオキシ)ヘキサン 1.5 〃
トリアリルイソシアヌレート 3 〃
以上の各配合成分をロール混練し、混練物について180℃、10分間のプレス架橋および200℃、22時間のオーブン架橋を行って、シートおよびOリングを架橋成形し、得られた架橋成形品について、次の各項目の測定を行った。
(1)常態物性:
(a)硬さ(ショアーA) ASTM D-2240-81準拠
(b)100%モジュラス ASTM D-412-83準拠
(c)引張強さ ASTM D-412-83準拠
(d)伸び ASTM D-412-83準拠
(2)耐エンジン油性:
エンジン油(TOYOTAキャッスルモータオイル クリーンSJ 10W-30)中に、175℃で168,300または500時間浸漬した後の常態物性変化および表面クラック発生時の伸び量の測定、ならびに180°曲げクラック時の試験片のエッジ状態および表面状態を目視で観察し、エッヂ部については◎変化なし、○切れ込み小、△切れ込み中、×切れ込み大、また表面部については◎変化なし、○表面荒れ小、△表面荒れ中、×表面荒れ大と評価
(3)低温特性:
TR-10値およびTR-70値を測定
実施例2
実施例1において、水性ラテックスAと水性ラテックスBとの固形分重量比が80/20に変更された。
実施例1において、水性ラテックスAと水性ラテックスBとの固形分重量比が80/20に変更された。
比較例1
実施例1において、水性ラテックスAと水性ラテックスBとの固形分重量比が75/25に変更された。
実施例1において、水性ラテックスAと水性ラテックスBとの固形分重量比が75/25に変更された。
比較例2
実施例1において、水性ラテックスAと水性ラテックスBとの固形分重量比が70/30に変更された。
実施例1において、水性ラテックスAと水性ラテックスBとの固形分重量比が70/30に変更された。
比較例3
参考例1の水性ラテックスAから得られた含フッ素エラストマーのみについて、実施例1と同様の架橋性組成物の調製、架橋および測定または評価が行われた。
参考例1の水性ラテックスAから得られた含フッ素エラストマーのみについて、実施例1と同様の架橋性組成物の調製、架橋および測定または評価が行われた。
比較例4
参考例3の水性ラテックスCから得られた含フッ素エラストマーのみについて、実施例1と同様の架橋性組成物の調製、架橋および測定または評価が行われた。
参考例3の水性ラテックスCから得られた含フッ素エラストマーのみについて、実施例1と同様の架橋性組成物の調製、架橋および測定または評価が行われた。
以上の各実施例および比較例で得られた測定または評価結果は、次の表に示される。
表
測定・評価項目 実-1 実-2 比-1 比-2 比-3 比-4
[常態物性]
硬さ(ショアーA)(ポイント) 72 80 84 88 66 68
100%モジュラス (MPa) 4.0 5.7 6.1 7.7 2.9 3.8
破断時強さ (MPa) 19.6 18.5 18.6 18.7 17.9 15.7
破断時伸び (%) 330 320 300 290 320 240
[耐エンジン油性;常態物性変化]
(175℃、168hrs)
硬さ変化 (ポイント) +1 +1 0 0 +5 +2
破断時強さ変化 (%) -46 -50 -52 -56 -75 -51
破断時伸び変化 (%) -40 -61 -64 -73 -72 -38
表面クラック発生時伸び(%) 94 72 74 60 43 48
(175℃、300hrs)
硬さ変化 (ポイント) +3 +3 +2 +1 +8 +3
破断時強さ変化 (%) -52 -61 -64 -73 -79 -62
破断時伸び変化 (%) -54 -73 -80 -84 -81 -50
表面クラック発生時伸び(%) 58 45 40 38 25 32
(175℃、500hrs)
硬さ変化 (ポイント) +4 +5 +4 +3 +11 +4
破断時強さ変化 (%) -60 -64 -69 -72 -73 -73
破断時伸び変化 (%) -56 -74 -81 -84 -88 -58
表面クラック発生時伸び(%) 40 33 32 30 28 30
[耐エンジン油性;180°曲げクラック評価]
(175℃、168hrs)
エッヂ部 ◎ ○ ○ △ ○ ○
表面部 ◎ ○ ○ ○ ○ ○
(175℃、300hrs)
エッヂ部 ○ ○ ○ △ △ ○
表面部 ○ △ △ △ △ △
(175℃、500hrs)
エッヂ部 ○ △ △ × × △
表面部 ○ △ × × × △
[低温特性]
TR-10 (℃) -17.4 -17.2 -16.2 -15.8 -17.9 -30.8
TR-70 (℃) -7.0 -6.0 -2.8 +9.6 -7.2 -21.2
表
測定・評価項目 実-1 実-2 比-1 比-2 比-3 比-4
[常態物性]
硬さ(ショアーA)(ポイント) 72 80 84 88 66 68
100%モジュラス (MPa) 4.0 5.7 6.1 7.7 2.9 3.8
破断時強さ (MPa) 19.6 18.5 18.6 18.7 17.9 15.7
破断時伸び (%) 330 320 300 290 320 240
[耐エンジン油性;常態物性変化]
(175℃、168hrs)
硬さ変化 (ポイント) +1 +1 0 0 +5 +2
破断時強さ変化 (%) -46 -50 -52 -56 -75 -51
破断時伸び変化 (%) -40 -61 -64 -73 -72 -38
表面クラック発生時伸び(%) 94 72 74 60 43 48
(175℃、300hrs)
硬さ変化 (ポイント) +3 +3 +2 +1 +8 +3
破断時強さ変化 (%) -52 -61 -64 -73 -79 -62
破断時伸び変化 (%) -54 -73 -80 -84 -81 -50
表面クラック発生時伸び(%) 58 45 40 38 25 32
(175℃、500hrs)
硬さ変化 (ポイント) +4 +5 +4 +3 +11 +4
破断時強さ変化 (%) -60 -64 -69 -72 -73 -73
破断時伸び変化 (%) -56 -74 -81 -84 -88 -58
表面クラック発生時伸び(%) 40 33 32 30 28 30
[耐エンジン油性;180°曲げクラック評価]
(175℃、168hrs)
エッヂ部 ◎ ○ ○ △ ○ ○
表面部 ◎ ○ ○ ○ ○ ○
(175℃、300hrs)
エッヂ部 ○ ○ ○ △ △ ○
表面部 ○ △ △ △ △ △
(175℃、500hrs)
エッヂ部 ○ △ △ × × △
表面部 ○ △ × × × △
[低温特性]
TR-10 (℃) -17.4 -17.2 -16.2 -15.8 -17.9 -30.8
TR-70 (℃) -7.0 -6.0 -2.8 +9.6 -7.2 -21.2
以上の結果から、次のようなことがいえる。
(1)フッ素樹脂を10重量%ブレンドすると、低温特性、特にTR-70の値を悪化させることことなく、表面クラック発生時の伸びおよび180°曲げクラック評価が良くなり、耐エンジン油性がかなり改善される(実施例1〜比較例3)。
(2)フッ素樹脂を20重量%ブレンドすると、TR-70の値は非ブレンド物と比べてほぼ同等であり、耐エンジン油性も改善される(実施例2〜比較例3)。
(3)フッ素樹脂を25重量%ブレンドすると、耐エンジン油性は改善されるものの、TR-70値は非ブレンド物と比べて悪化する(比較例1〜比較例3)。
(4)フッ素樹脂のブレンド量を30重量%にすると、硬さの上昇、低温特性(特にTR-70値の悪化および[TR-10]-[TR-70]値の増加)および耐エンジン油性の悪化がみられる(比較例2)。
(5)フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(メチルビニルエーテル)3元共重合体と比較して、同等以上の耐エンジン油性を示すが、ブレンド体を構成する各含フッ素重合体の構成上かなりの製造コストの低減を可能とする(実施例1〜2-比較例4)。
(1)フッ素樹脂を10重量%ブレンドすると、低温特性、特にTR-70の値を悪化させることことなく、表面クラック発生時の伸びおよび180°曲げクラック評価が良くなり、耐エンジン油性がかなり改善される(実施例1〜比較例3)。
(2)フッ素樹脂を20重量%ブレンドすると、TR-70の値は非ブレンド物と比べてほぼ同等であり、耐エンジン油性も改善される(実施例2〜比較例3)。
(3)フッ素樹脂を25重量%ブレンドすると、耐エンジン油性は改善されるものの、TR-70値は非ブレンド物と比べて悪化する(比較例1〜比較例3)。
(4)フッ素樹脂のブレンド量を30重量%にすると、硬さの上昇、低温特性(特にTR-70値の悪化および[TR-10]-[TR-70]値の増加)および耐エンジン油性の悪化がみられる(比較例2)。
(5)フッ化ビニリデン-テトラフルオロエチレン-パーフルオロ(メチルビニルエーテル)3元共重合体と比較して、同等以上の耐エンジン油性を示すが、ブレンド体を構成する各含フッ素重合体の構成上かなりの製造コストの低減を可能とする(実施例1〜2-比較例4)。
Claims (4)
- 共通のパーオキサイド系架橋剤と反応する反応点として、ヨウ素基および/または臭素基を有する含フッ素エラストマー80〜98重量%およびヨウ素基と臭素基またはヨウ素基を有するフッ素樹脂20〜2重量%よりなり、含フッ素エラストマーが40〜80モル%のフッ化ビニリデン、5〜30モル%のテトラフルオロエチレン、5〜30モル%のクロロトリフルオロエチレンおよび5〜15モル%のパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の共重合組成を有する4元共重合体であり、またフッ素樹脂がポリフッ化ビニリデンまたはフッ化ビニリデン-クロロトリフルオロエチレン共重合体である含フッ素共重合体ブレンド物のパーオキサイド架橋物よりなる架橋成形品。
- エンジン油が接する部分の部品として用いられる請求項1記載の含フッ素共重合体ブレンド物架橋成形品。
- 含フッ素エラストマー水性ラテックスとフッ素樹脂水性ラテックスとを混合し、共凝析させることにより製造された含フッ素共重合体ブレンド物が用いられた請求項1または2記載の含フッ素共重合体ブレンド物のパーオキサイド架橋物よりなる架橋成形品。
- 含フッ素エラストマーとフッ素樹脂とをドライブレンドして製造された含フッ素共重合体ブレンド物が用いられた請求項1または2記載の含フッ素共重合体ブレンド物のパーオキサイド架橋物よりなる架橋成形品。
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Legal Events
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A621 | Written request for application examination |
Effective date: 20070125 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 |
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A761 | Written withdrawal of application |
Effective date: 20090520 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A761 |