JP2021075662A - ポリオール架橋用含フッ素エラストマーブレンド物、並びに、これを用いた架橋成形体及びその製造方法 - Google Patents

ポリオール架橋用含フッ素エラストマーブレンド物、並びに、これを用いた架橋成形体及びその製造方法 Download PDF

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Hideki Hayashi
秀樹 林
池田 昭彦
Akihiko Ikeda
昭彦 池田
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Abstract

【課題】混練作業性を確保しつつ、架橋成形品の性能の低下を抑制し得る、ゴム硬度の低い架橋成形品を得るための含フッ素エラストマーのブレンド物、並びに、これを用いた架橋成形体及びその製造方法を提供する。【解決手段】S形ロータで121℃の条件でのムーニー粘度が55〜65の超高分子量体の第1の含フッ素エラストマーと、分子量が50000〜80000の低分子量体の第2の含フッ素エラストマーと、を含み、第1の含フッ素エラストマー(A)と第2の含フッ素エラストマー(B)の配合比(A:B)が、質量基準で5:95〜55:45の範囲内であり、全ての含フッ素エラストマー(T)中に含まれる第1の含フッ素エラストマー(A)及び第2の含フッ素エラストマー(B)の合計量の割合((A+B)/T)が、70質量%以上である、ポリオール架橋用含フッ素エラストマーブレンド物、並びに、これを用いた架橋成形体及びその製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオール架橋用含フッ素エラストマーブレンド物、並びに、これを用いた架橋成形体及びその製造方法に関する。
耐熱性及び耐油性に優れた含フッ素エラストマーの架橋体(加硫物)を、オイルシール等のように弱い締め付け力でのシール性が要求される部品として利用するには、架橋成形品のゴム硬度を低くすることが求められている。
ゴム硬度の低硬度化には、液状の含フッ素エラストマーをブレンドする方法やフッ素オイル、フッ素系のシリコーンオイルを添加する方法が挙げられる(特許文献1参照)。しかし、これらを多量に添加する必要があるため、混練作業の加工性の悪化、あるいは、架橋成形品の破断強度の低下や圧縮永久歪の悪化等の不具合が起こる懸念がある。
また、用いる含フッ素エラストマーの分子量の分布を広げることで低硬度化する方法も提案されている(特許文献2参照)。しかし、架橋成形品の引張強度が低下する懸念がある。
特開平2−160810号公報 特開2013−231116号公報
よって、本発明は、ゴム硬度の低い架橋成形品を得るための含フッ素エラストマーのブレンド物であって、混練作業性を確保しつつ、架橋成形品の破断強度の低下や圧縮永久歪の悪化、引張強度の低下を抑制し得る含フッ素エラストマーのブレンド物、及び、これを用いた架橋成形体の製造方法を提供することを課題の一例とする。
また、本発明は、破断強度の低下や圧縮永久歪の悪化、引張強度の低下を抑制し得る、ゴム硬度の低い架橋成形体を提供することを課題の一例とする。
上記課題は以下の本発明によって達成される。即ち、本発明のポリオール架橋用含フッ素エラストマーブレンド物は、S形ロータで121℃の条件でのムーニー粘度が55〜65の超高分子量体の第1の含フッ素エラストマーと、分子量が50000〜80000の低分子量体の第2の含フッ素エラストマーと、を含み、
第1の含フッ素エラストマー(A)と第2の含フッ素エラストマー(B)の配合比(A:B)が、質量基準で5:95〜55:45の範囲内であり、
全ての含フッ素エラストマー(T)中に含まれる第1の含フッ素エラストマー(A)及び第2の含フッ素エラストマー(B)の合計量の割合((A+B)/T)が、70%質量以上である。
本発明のポリオール架橋用含フッ素エラストマーブレンド物においては、前記第1の含フッ素エラストマー及び/または第2の含フッ素エラストマーが、フッ化ビニリデンと他の含フッ素単量体との共重合物であることが好ましい。
このとき、前記共重合物におけるフッ化ビニリデンの共重合割合が、40〜90mol%の範囲内であることが好ましい。
さらに、このとき、前記他の含フッ素単量体が、ヘキサフルオロプロピレン及び/またはテトラフルオロエチレンであることが好ましい。
一方、本発明の架橋成形体は、上記本発明のポリオール架橋用含フッ素エラストマーブレンド物のポリオール系架橋剤による架橋成形物である。
当該架橋成形物としては、シール材として用いられるものとすることができる。
また、本発明の架橋成形体の製造方法は、上記本発明のポリオール架橋用含フッ素エラストマーブレンド物に、少なくともポリオール系架橋剤を添加して架橋反応させることで架橋成形体を得る方法である。
本発明によれば、ゴム硬度の低い架橋成形品を得るための含フッ素エラストマーのブレンド物であって、混練作業性を確保しつつ、架橋成形品の破断強度の低下や圧縮永久歪の悪化、引張強度の低下を抑制し得る含フッ素エラストマーのブレンド物、及び、これを用いた架橋成形体の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、破断強度の低下や圧縮永久歪の悪化、引張強度の低下を抑制し得る、ゴム硬度の低い架橋成形体を提供することができる。
以下、本発明のポリオール架橋用含フッ素エラストマーブレンド物、並びに、これを用いた架橋成形体及びその製造方法について詳細に説明する。
<ポリオール架橋用含フッ素エラストマーブレンド物>
本発明の一態様にかかるポリオール架橋用含フッ素エラストマーブレンド物(以下、単に「含フッ素エラストマーブレンド物」、あるいはさらに、「エラストマーブレンド物」という場合がある。)は、超高分子量体の第1の含フッ素エラストマーと、低分子量体の第2の含フッ素エラストマーと、を含み、用途や必要に応じて、その他の成分が含まれる。
(第1の含フッ素エラストマーと第2の含フッ素エラストマーに共通する構成)
第1の含フッ素エラストマーと第2の含フッ素エラストマーとは、分子量に大きな違いがあるが、基本構造は共通している。以下、単に「含フッ素エラストマー」と云う場合には、共通する構成を指すものとする。ただし、使用可能な含フッ素エラストマーの基本構造が共通しているだけであり、実際に使用する第1の含フッ素エラストマー及び第2の含フッ素エラストマーの基本構造が共通することを意味するものではなく、異なった基本構造のものを同時に用いても勿論構わない。
含フッ素エラストマーとしては、フッ化ビニリデンと他の含フッ素単量体との共重合物であることが好ましい。第1の含フッ素エラストマーと第2の含フッ素エラストマーの何れか一方のみが当該共重合物であっても好ましいし、双方とも当該共重合物であっても好ましい。以下、含フッ素エラストマーに関する説明において「好ましい」というときは、特に断りがない限り同様である。
フッ化ビニリデンと共重合する他の含フッ素単量体としては、例えば、ヘキサフルオロプロピレン、テトラフルオロエチレン、パーフルオロ(メチルエチルビニルエーテル)、クロロトリフルオロエチレン等を挙げることができる。これらの中でも、エラストマーとしての低硬度化を実現するとともに架橋(加硫)物の強度、伸び、耐圧縮永久歪み、耐薬品性等の基本的な特性の維持の点で、ヘキサフルオロプロピレン及び/またはテトラフルオロエチレンであることが好ましい。
含フッ素エラストマーとしては、具体的には、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン3元共重合体、フッ化ビニリデン−パーフルオロ(メチルビニルエーテル)−テトラフルオロエチレン3元共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−クロロトリフルオロエチレン3元共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレン共重合体等が挙げられる。これらの中でも、エラストマーとしての低硬度化を実現するとともに架橋(加硫)物の強度、伸び、耐圧縮永久歪み、耐薬品性等の基本的な特性の維持の点で、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体及びフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン3元共重合体が好ましい。
これらの含フッ素共重合体中、フッ化ビニリデンの共重合割合は、40〜90mol%の範囲内であることが好ましく、50〜80mol%の範囲内であることがより好ましい。含フッ素エラストマー中のフッ化ビニリデンの共重合割合を適切な範囲にすることは、低硬度化を達成させる点からみて望ましい。
(第1の含フッ素エラストマー)
本発明において、第1の含フッ素エラストマーとは、S形ロータで121℃の条件でのムーニー粘度が55〜65の超高分子量体である。ムーニー粘度は、JIS K6300−1に準拠した方法によって測定することができる。このときの測定条件は、ロータとしてS形ロータを用い、ダイの温度を121℃に設定して行う。
ムーニー粘度の上記条件を満たす含フッ素エラストマーは、極端に分子量が大きく、例えば、ゲパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)等の液体クロマトグラフ法により分子量を測定することができない(測定溶媒に対して溶解しないため)領域のものである。実際には、数平均分子量Mnにして、200,000,000を超えるものと推測される。
このように極端に分子量が大きい含フッ素エラストマーは、架橋物性が良好であり、これをブレンドすることで、架橋成形品の破断強度の低下や圧縮永久歪の悪化、引張強度の低下を抑制することができるものと推測される。
(第2の含フッ素エラストマー)
本発明において、第2の含フッ素エラストマーとは、分子量が50000〜80000の低分子量体である。第2の含フッ素エラストマーの分子量が小さ過ぎると、架橋物性が低下する懸念があり、また、架橋速度が遅くなりやすい。一方、第2の含フッ素エラストマーの分子量が大き過ぎると、架橋成形体のゴム硬度の低下の効果が不十分になる懸念がある。
なお、含まれる含フッ素エラストマーの全てが、所定の分子量の範囲内に含まれるものであってもよいが、数平均分子量Mnが当該範囲に含まれればよい。
数平均分子量Mnは、ゲパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)等の液体クロマトグラフ法により測定することができる。本発明においては、例えば、展開溶媒テトラヒドロフラン、ポリマー濃度0.5質量%、測定温度40℃で測定している(実施例を参照)。
(含フッ素エラストマーの調製)
第1の含フッ素エラストマーと第2の含フッ素エラストマーは、分子量の異なる含フッ素エラストマーを得るように制御することで、それぞれ調製することができる。即ち、第2の含フッ素エラストマーは低分子量体になるように、第1の含フッ素エラストマーは極端に分子量が大きくなるように、それぞれ条件を調節して含フッ素エラストマーを調製することで、得ることができる。
含フッ素エラストマーの分子量は、主に連鎖移動剤及び重合開始剤の種類及び使用量を調節することによって制御することができる。
連鎖移動剤としては、例えばジメチルエーテル、メチル第3ブチルエーテル、炭素数1〜6のアルカン類、メタノール、エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサン、四塩化炭素、クロロホルム、ジクロロメタン、メタン、酢酸エチル、マロン酸エチル、アセトン等が挙げられる。
一方、含フッ素エラストマーが水性分散液として調製され、含フッ素エラストマーの水性分散液同士がブレンドされて含フッ素エラストマーブレンド物を形成させるブレンド方法が好ましいという観点から、各含フッ素エラストマーは、乳化重合法によって製造されることが好ましい。そのため、重合開始剤としては、水溶性無機過酸化物、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウムあるいは水溶性アゾ化合物等が単独で、あるいはこれらと亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等の還元剤とのレドックス系として用いることができる。
乳化重合反応に用いられる連鎖移動剤および重合開始剤の使用量を少なく使用する程、一般的には、生成する含フッ素エラストマーの分子量を大きくすることができる傾向がみられる。
乳化重合反応は、水溶性無機過酸化物またはそれと還元剤とのレドックス系を触媒として、仕込み水総重量に対して約0.001〜0.2質量%の割合で一般に用いられる乳化剤としての界面活性剤、例えば、
CFCF2CF2OCF(CF)CF2OCF(CF)COONH
15COONH
17COONH
等の界面活性剤の存在下に、一般に圧力約0〜10MPa、好ましくは約0.5〜4MPa、温度約0〜100℃、好ましくは約20〜80℃の条件下で行われる。
その際、反応圧力が一定範囲に保たれるように、供給する含フッ素単量体混合物を分添方式で供給することが好ましい。また、重合系内のpHを調節するために、NaHPO、NaHPO、KHPO等の緩衝能を有する電解質物質あるいは水酸化ナトリウムを添加してもよい。
乳化重合されて得られた各含フッ素エラストマー水性分散液は、固形分としての含フッ素エラストマーが、第1の含フッ素エラストマーAと第2の含フッ素エラストマーBの配合比(A:B)が、後述する比率の範囲内になるように、互いに水性分散液の状態で混合される。そして、そこにカリミョウバン水溶液、NaCl水溶液、KCl水溶液、CaCl水溶液等の凝固性無機塩水溶液を添加して共凝析させ、これを水洗し、乾燥させて、含フッ素エラストマーブレンド物を得ることができる。
また、第1の含フッ素エラストマー及び第2の含フッ素エラストマーをそれぞれ水洗並びに乾燥まで行い、それぞれ別個に得た上で、第1の含フッ素エラストマーAと第2の含フッ素エラストマーBの配合比(A:B)が、後述する比率の範囲内になるように、そのまま混合して、含フッ素エラストマーブレンド物を得ることもできる。
(第1の含フッ素エラストマーと第2の含フッ素エラストマーとの配合比)
本発明において、第1の含フッ素エラストマー(A)と第2の含フッ素エラストマー(B)の配合比(A:B) は、質量基準で5:95〜55:45の範囲内であり、好ましくは10:90〜50:50の範囲内である。
第1の含フッ素エラストマー(A)の配合割合が少な過ぎると、期待する架橋物性や、架橋成形物の機械的強度が得られにくくなる懸念がある。一方、第1の含フッ素エラストマー(A)の配合割合が多過ぎると、混練作業性を確保することが困難になる懸念がある。
本発明においては、第1の含フッ素エラストマー及び第2の含フッ素エラストマーの何れにも属さない含フッ素エラストマー(低分子量ではなく超高分子量でもない、中〜高分子量程度のものを中心とする含フッ素エラストマーを云う。以下、「他の含フッ素エラストマー」と称する。)をエラストマーブレンド物に含んでも構わない。
ただし、他の含フッ素エラストマーの割合が多過ぎると、本発明の効果が十分に発現されない懸念があるので、他の含フッ素エラストマーの割合が少ない方か好ましく、全ての含フッ素エラストマー(T)中に含まれる第1の含フッ素エラストマー(A)及び第2の含フッ素エラストマー(B)の合計量の割合((A+B)/T)が70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましく、他の含フッ素エラストマーを含まないことが特に好ましい。
(その他の成分)
以上説明した本発明のエラストマーブレンド物は、第1の含フッ素エラストマー及び第2の含フッ素エラストマーだけで構成されてもよいが、これを用いて架橋成形品を得るまでの過程で添加、配合される各種成分を予め配合しておいても構わない。また、さらに必要に応じて他の成分を配合しても構わない。本発明のエラストマーブレンド物に配合可能なその他の成分については、次項の「架橋成形体及びその製造方法」において述べることにする。
<架橋成形体及びその製造方法>
本発明の架橋成形体の製造方法は、以上説明したポリオール架橋用含フッ素エラストマーブレンド物に、少なくともポリオール系架橋剤を添加して架橋反応させることで架橋成形体を得る方法である。ポリオール系架橋剤の他、好ましくは、受酸剤及び架橋促進助剤、さらに必要に応じて他の成分を配合しても構わない。
配合可能なその他の成分としては、例えば、受酸剤や架橋促進助剤、カーボンブラック等の補強剤、充填剤、老化防止剤、滑剤、可塑剤、顔料、加工助剤、離型剤、着色剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、接着・粘着剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤等を挙げることができる。これらその他の成分は、本発明や得ようとする架橋成形品の目的を阻害しない範囲内において配合すればよい。
(ポリオール系架橋剤)
本発明の架橋成形体の製造方法において使用可能なポリオール系架橋剤としては、従来から、フッ素ゴムやフッ素エラストマーの架橋剤乃至加硫剤として知られている化合物を、特に制限なく用いることができる。本発明においては、例えば、ポリヒドロキシ化合物、特に、耐熱性に優れる点からポリヒドロキシ芳香族化合物が好適に用いられる。
本発明においてポリオール系架橋剤として使用可能なポリヒドロキシ芳香族化合物の具体例としては、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(一般的に「ビスフェノールA」と称される。)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン(一般的に、「ビスフェノールAF」と称される。)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(一般的に、「ビスフェノールB」と称される。)、レゾルシン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシスチルベン、3,3’,5,5’−テトラクロロビスフェノールA、3,3’,5,5’−テトラブロモビスフェノールA、2,6−ジヒドロキシアントラセン、ヒドロキノン、カテコール、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)テトラフルオロジクロロプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、トリ(4−ヒドロキシフェニル)メタンなどを挙げることができる。本発明において、ポリオール系架橋剤としてこれらのポリヒドロキシ芳香族化合物を用いる場合には、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などであってもよいが、酸を用いて共重合体を凝析した場合は、これらの金属塩を用いないことが好ましい。
これらのポリオール系架橋剤の中でも、成形後に得られる架橋成形体の圧縮永久歪みが小さく、成形性も良く、シール材として用いた際にシール特性にも優れているという点から、ポリヒドロキシ化合物が好ましく、耐熱性が優れているという点から、ポリヒドロキシ芳香族化合物がより好ましく、これらの中でも特にビスフェノールAFが好ましい。
本発明のエラストマーブレンド物に用いるポリオール系架橋剤の配合量としては、第1の含フッ素エラストマーと第2の含フッ素エラストマーの合計量100質量部に対して、0.5〜1.7質量部の範囲内であることが好ましく、0.6〜1.5質量部の範囲内であることがより好ましく、0.7〜1.3質量部の範囲内であることがさらに好ましい。ポリオール系架橋剤の配合量が少な過ぎると、架橋密度が低くなり圧縮永久歪みが大きくなる傾向があり、配合量が多過ぎると、架橋密度が高くなり圧縮時に割れ易くなる傾向があるため、それぞれ好ましくない。
(架橋促進剤)
本発明の架橋成形体の製造方法においては、架橋反応の際に、ポリオール系架橋剤とともに架橋促進剤が用いることが好ましい。架橋促進剤を用いることで、含フッ素エラストマーの主鎖からの脱フッ酸反応における分子内二重結合の形成を促進することができ、含フッ素エラストマーの架橋反応を促進することができる。
本発明において使用可能な架橋促進剤としては、含フッ素エラストマーの主鎖に付加しにくい性質を有する化合物が好ましく、オニウム化合物が好適なものとして挙げられる。架橋促進剤として使用可能なオニウム化合物は、特に限定はなく、例えば、第4級アンモニウム塩等のアンモニウム化合物、第4級ホスホニウム塩等のホスホニウム化合物、オキソニウム化合物、スルホニウム化合物、環状アミン、1官能性アミン化合物等を挙げることができる。本発明においては、これらの中でも第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩が架橋促進剤として好適に使用される。
本発明において架橋促進剤として使用可能な第4級アンモニウム塩としては、例えば、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムハイドロオキサイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムメチルスルフェート、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムアイオダイド、8−エチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムブロミド、8−プロピル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムブロミド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムハイドロオキサイド、8−エイコシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−テトラコシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド(一般に「DBU−B」と称される。)、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムハイドロオキサイド、8−フェネチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−(3−フェニルプロピル)−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド等を挙げることができる。これらの中でも、架橋性や、最終的に得られる架橋成形物の物性の点から、DBU−Bが好ましい。
また、本発明において、架橋促進剤として使用可能な第4級ホスホニウム塩としては、例えば、テトラブチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド(一般に「BTPPC」と称される。)、ベンジルトリメチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリブチルホスホニウムクロリド、トリブチルアリルホスホニウムクロリド、トリブチル−2−メトキシプロピルホスホニウムクロリド、ベンジルフェニル(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリド等を挙げることができる。これらの中でも、架橋性や、最終的に得られる架橋成形物の物性の点から、BTPPCが好ましい。
さらに、本発明において、架橋促進剤としては、第4級アンモニウム塩あるいは第4級ホスホニウム塩と、ビスフェノールAFとの固溶体や、特開平11−147891号公報において開示されている塩素フリーの架橋促進剤を用いることもできる。
本発明のエラストマーブレンド物に用いる架橋促進剤の配合量としては、第1の含フッ素エラストマーと第2の含フッ素エラストマーの合計量100質量部に対して、0.1〜2.0質量部の範囲内であることが好ましく、0.1〜1.5質量部の範囲内であることがより好ましく、0.1〜0.7質量部の範囲内であることがさらに好ましい。架橋促進剤の配合量が少な過ぎると、架橋速度が遅くなり生産性が悪くなる傾向があり、配合量が多過ぎると、架橋速度が速くなりスコーチや成形不良が発生しやすくなる傾向があるため、それぞれ好ましくない。
(その他の成分)
本発明の架橋成形体の製造方法において使用可能な受酸剤や架橋促進助剤としては、金属酸化物や金属水酸化物を挙げることができる。
金属酸化物は、主に、架橋の際に生ずる酸性物質を中和するための受酸剤として用いられる。
本発明の架橋成形体の製造方法において使用可能な金属酸化物としては、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉛、並びにこれら金属酸化物の表面処理品等を挙げることができる。これらの中でも、受酸剤としては、酸化マグネシウム及びその表面処理品が好ましい。受酸剤としては、これらの他に、合成ハイドロタルサイトを使用することもできる。
一方、金属水酸化物は、主に、架橋促進助剤として用いられ、架橋促進剤と反応して脱フッ酸作用を補強し、また、架橋促進剤を活性化することにより、架橋反応を促進する機能を有する。
本発明の架橋成形体の製造方法において使用可能な金属水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、並びにこれら金属水酸化物の表面処理品等を挙げることができる。これらの中でも、架橋促進助剤としては、水酸化カルシウム及びその表面処理品が好ましい。
本発明の架橋成形体の製造方法において使用可能な金属酸化物および金属水酸化物の添加量としては、第1の含フッ素エラストマーと第2の含フッ素エラストマーの合計量100質量部に対して、それぞれ25質量部以下であることが好ましく、10質量部以下であることがより好ましい。金属酸化物が多過ぎるとスコーチを起こし易くなる傾向があり、金属水酸化物が多過ぎると圧縮永久歪みが悪化する傾向があるため、それぞれ好ましくない。
(架橋成形体の製造)
本発明の架橋成形体の製造に際しては、まず、本発明のエラストマーブレンド物及びポリオール系架橋剤、並びに、必要に応じて、架橋促進剤、架橋促進助剤、受酸剤、その他の成分を、一般に使用されているゴム混練り装置を用いて混練りし、成形用の組成物を得る。ゴム混練り装置としては、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー、二軸押し出し機などを挙げることができる。
<架橋成形体>
本発明の架橋成形体は、上記本発明のポリオール架橋用含フッ素エラストマーブレンド物のポリオール系架橋剤による架橋成形物である。本発明の架橋成形体は、本発明のエラストマーブレンド物及びポリオール系架橋剤、並びに、必要に応じて添加したその他の成分を混練りした組成物を用い、ゴム用成形機を用いて架橋成形することにより得られる。ゴム用成形機としては、圧縮プレス、注入成形機、射出成形機などを用いることができる。ロールや押し出し機、予備成形機等を用いて所定の形状に予備成形した組成物を、150〜230℃で約1〜60分間加熱することにより一次架橋を行う。
一次架橋により成形された成形体は、エアオーブン等を用いて二次架橋を行うことが望ましい。二次架橋を行うことによって、一次架橋の反応を完結させ、架橋反応をせず残存している架橋剤や架橋促進剤の分解、並びに、架橋時に発生したガスの放散等が為される。二次架橋を行うことにより、本発明の架橋成形体の引張り強さ、圧縮永久歪み等の力学特性を向上させることができる。
このような二次架橋の条件としては、210〜260℃で16〜24時間程度行うことが好ましい。二次架橋の温度が低過ぎると、残存する架橋剤や架橋促進剤の影響で圧縮永久歪みが悪化する懸念があり、二次架橋の温度が高過ぎると、ポリマーが劣化する懸念がある。
本発明の架橋成形体は、Oリングやガスケットその他の各種シール材の形状に成形することにより、それらシール材として使用することができる。
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明のポリオール架橋用含フッ素エラストマーブレンド物、並びに、これを用いた架橋成形体及びその製造方法を適宜改変することができる。かかる改変によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例及び比較例の記載により限定されるものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において、分子量の算出及びムーニー粘度の測定は、以下の装置乃至条件で行った。
(分子量の算出)
測定装置(液体クロマトグラフ):MD-2018Plus(日本分光株式会社(JASCO)製)
カラム:KF-801、KF-802、KF-802.5、KF-805、KF-807L(以上、昭和電工株式会社製)
検出器:RI-2031Plus(日本分光株式会社(JASCO)製)
展開溶媒:テトラヒドロフラン
濃度:0.5質量%
温度:40℃
(ムーニー粘度)
以下の実施例及び比較例において、ムーニー粘度の測定は、東洋精機製MOONEY VISCOMETER AM−3を用い、JIS K6300−1に準拠した方法によって測定した。このときの測定条件は、ロータとしてS形ロータまたはL形ロータを使用し、ダイの温度を121℃に設定して1分間予熱をし、10分間の測定時間にて測定した。
<含フッ素エラストマーIの調製>
容量10リットルのステンレス鋼製オートクレープ内を窒素ガスで置換し、脱気後、下記配合の反応溶媒を仕込んだ。
(反応溶媒)
・界面活性剤CFCF2CF2OCF(CF)CF2OCF(CF)COONH:8.5g
・NaHPO・12HO:5.0g
・イオン交換水:5300ml
オートクレープ内を再び窒素ガスで置換し、脱気後、下記反応原料1を仕込んだ。
(反応原料1)
・フッ化ビニリデン[VdF]:180g(37.6mol%)
・ヘキサフルオロプロピレン[HFP]:700g(62.4mol%)
(括弧内は、共重合単位となる単量体のmol比(百分率)である。)
次いで、オートクレーブ内部の温度を80℃とした。そのときの圧力は、2.2MPa(相対圧力)であった。
そこに過硫酸アンモニウム0.2gを0.5質量%水溶液として加え、重合反応を開始させた。
圧力を3.3〜3.4MPa(相対圧力)に保ったまま以下の反応原料2を加えて反応を行った。
(反応原料2)
・フッ化ビニリデン[VdF]:1400g(82.4mol%)
・ヘキサフルオロプロピレン[HFP]:700g(17.6mol%)
(括弧内は、共重合単位となる単量体のmol比(百分率)である。)
反応終了後、冷却し、残ガスを排出して乳化液を7530g取り出した。乳化液は1質量%CaCl水溶液を1:1の割合で加えて凝折させた後、水洗し、乾燥させて、含フッ素エラストマーIを得た。この含フッ素エラストマーIは、フッ化ビニリデン[VdF]とヘキサフルオロプロピレン[HFP]の共重合体であり、共重合比はVdF78.1mol%/HFP21.9mol%、数平均分子量Mnは測定不可(測定用の展開溶媒に不溶のため)、L形ロータによるムーニー粘度ML1+10(121℃)が200以上(上限超えにより測定不可であった。)、S形ロータによるムーニー粘度MS1+10(121℃)が59であった。
<含フッ素エラストマーIIの調製>
容量10リットルのステンレス鋼製オートクレープ内を窒素ガスで置換し、脱気後、下記配合の反応溶媒を仕込んだ。
(反応溶媒)
・界面活性剤CFCF2CF2OCF(CF)CF2OCF(CF)COONH:8.5g
・NaHPO・12HO:5.0g
・イオン交換水:5300ml
オートクレープ内を再び窒素ガスで置換し、脱気後、下記反応原料3を仕込んだ。
(反応原料3)
・フッ化ビニリデン[VdF]:180g(37.6mol%)
・ヘキサフルオロプロピレン[HFP]:700g(62.4mol%)
・イソプロピルアルコール[IPA]:2.5g
(括弧内は、共重合単位となる単量体のmol比(百分率)である。)
次いで、オートクレーブ内部の温度を80℃とした。そのときの圧力は、2.2MPa(相対圧力)であった。
そこに過硫酸アンモニウム1gを0.05質量%水溶液として加え、重合反応を開始させた。
圧力を3.3〜3.4MPa(相対圧力)に保ったまま以下の反応原料4を加えて反応を行った。
(反応原料4)
・フッ化ビニリデン[VdF]:1400g(82.4mol%)
・ヘキサフルオロプロピレン[HFP]:700g(17.6mol%)
(括弧内は、共重合単位となる単量体のmol比(百分率)である。)
反応終了後、冷却し、残ガスを排出して乳化液を7485g取り出した。乳化液は1質量%CaCl水溶液を1:1の割合で加えて凝折させた後、水洗し、乾燥させて、含フッ素エラストマーIIを得た。この含フッ素エラストマーIIは、フッ化ビニリデン[VdF]とヘキサフルオロプロピレン[HFP]の共重合体であり、共重合比はVdF77.8mol%/HFP22.2mol%、数平均分子量Mn=1.4×10、L形ロータによるムーニー粘度ML1+10(121℃)が105、S形ロータによるムーニー粘度MS1+10(121℃)が55であった。
<含フッ素エラストマーIIIの調製>
容量10リットルのステンレス鋼製オートクレープ内を窒素ガスで置換し、脱気後、下記配合の反応溶媒を仕込んだ。
(反応溶媒)
・界面活性剤CFCF2CF2OCF(CF)CF2OCF(CF)COONH:8.5g
・NaHPO・12HO:5.0g
・イオン交換水:5300ml
オートクレープ内を再び窒素ガスで置換し、脱気後、下記反応原料5を仕込んだ。
(反応原料5)
・フッ化ビニリデン[VdF]:180g(37.6mol%)
・ヘキサフルオロプロピレン[HFP]:700g(62.4mol%)
・イソプロピルアルコール[IPA]:6.0g
(括弧内は、共重合単位となる単量体のmol比(百分率)である。)
次いで、オートクレーブ内部の温度を80℃とした。そのときの圧力は、2.2MPa(相対圧力)であった。
そこに過硫酸アンモニウム2gを0.05質量%水溶液として加え、重合反応を開始させた。
圧力を3.3〜3.4MPa(相対圧力)に保ったまま以下の反応原料6を加えて反応を行った。
(反応原料6)
・フッ化ビニリデン[VdF]:1400g(82.4mol%)
・ヘキサフルオロプロピレン[HFP]:700g(17.6mol%)
(括弧内は、共重合単位となる単量体のmol比(百分率)である。)
反応終了後、冷却し、残ガスを排出して乳化液を7530g取り出した。乳化液は1質量%CaCl水溶液を1:1の割合で加えて凝折させた後、水洗し、乾燥させて、含フッ素エラストマーIIIを得た。この含フッ素エラストマーIIIは、フッ化ビニリデン[VdF]とヘキサフルオロプロピレン[HFP]の共重合体であり、共重合比はVdF77.4mol%/HFP22.6mol%、数平均分子量Mn=1.2×10、L形ロータによるムーニー粘度ML1+10(121℃)が29、S形ロータによるムーニー粘度MS1+10(121℃)が12であった。
<含フッ素エラストマーIVの調製>
容量10リットルのステンレス鋼製オートクレープ内を窒素ガスで置換し、脱気後、下記配合の反応溶媒を仕込んだ。
(反応溶媒)
・界面活性剤CFCF2CF2OCF(CF)CF2OCF(CF)COONH:8.5g
・NaHPO・12HO:5.0g
・イオン交換水:5300ml
オートクレープ内を再び窒素ガスで置換し、脱気後、下記反応原料7を仕込んだ。
(反応原料7)
・フッ化ビニリデン[VdF]:180g(37.6mol%)
・ヘキサフルオロプロピレン[HFP]:700g(62.4mol%)
・イソプロピルアルコール[IPA]:12.0g
(括弧内は、共重合単位となる単量体のmol比(百分率)である。)
次いで、オートクレーブ内部の温度を80℃とした。そのときの圧力は、2.2MPa(相対圧力)であった。
そこに過硫酸アンモニウム4gを0.05質量%水溶液として加え、重合反応を開始させた。
圧力を3.3〜3.4MPa(相対圧力)に保ったまま以下の反応原料8を加えて反応を行った。
(反応原料8)
・フッ化ビニリデン[VdF]:1400g(82.4mol%)
・ヘキサフルオロプロピレン[HFP]:700g(17.6mol%)
(括弧内は、共重合単位となる単量体のmol比(百分率)である。)
反応終了後、冷却し、残ガスを排出して乳化液を7516g取り出した。乳化液は1質量%CaCl水溶液を1:1の割合で加えて凝折させた後、水洗し、乾燥させて、含フッ素エラストマーIVを得た。この含フッ素エラストマーIVは、フッ化ビニリデン[VdF]とヘキサフルオロプロピレン[HFP]の共重合体であり、共重合比はVdF78.1mol%/HFP21.9mol%、数平均分子量Mn=6.0×10、L形ロータによるムーニー粘度ML1+10(121℃)が5、S形ロータによるムーニー粘度MS1+10(121℃)は、値が小さ過ぎて測定することができなかった。
<実施例1>
含フッ素エラストマーI及び含フッ素エラストマーIVを10:90の質量比で混練し、エラストマーブレンド物Aを得た。これを実施例1の含フッ素エラストマーブレンド物とした。
<実施例2>
含フッ素エラストマーI及び含フッ素エラストマーIVを30:70の質量比で混練し、エラストマーブレンド物Bを得た。これを実施例2の含フッ素エラストマーブレンド物とした。
<実施例3>
含フッ素エラストマーI及び含フッ素エラストマーIVを50:50の質量比で混練し、エラストマーブレンド物Cを得た。これを実施例3の含フッ素エラストマーブレンド物とした。
<比較例1>
含フッ素エラストマーIを100%使用し、これを比較例1の含フッ素エラストマー(非ブレンド物)とした。
<比較例2>
含フッ素エラストマーIIIを100%使用し、これを比較例2の含フッ素エラストマー(非ブレンド物)とした。
<比較例3>
含フッ素エラストマーIVを100%使用し、これを比較例3の含フッ素エラストマー(非ブレンド物)とした。
<比較例4>
含フッ素エラストマーI、含フッ素エラストマーII、含フッ素エラストマーIII、及び、含フッ素エラストマーIVを、順に10:20:20:50の質量比で混練し、エラストマーブレンド物Dを得た。これを比較例4の含フッ素エラストマーブレンド物とした。
<比較例5>
含フッ素エラストマーII、含フッ素エラストマーIII、及び、含フッ素エラストマーIVを、順に20:30:50の質量比で混練し、エラストマーブレンド物Eを得た。これを比較例5の含フッ素エラストマーブレンド物とした。
<比較例6>
含フッ素エラストマーI、含フッ素エラストマーII、及び、含フッ素エラストマーIIIを、順に10:10:80の質量比で混練し、エラストマーブレンド物Dを得た。これを比較例6の含フッ素エラストマーブレンド物とした。
<比較例7>
含フッ素エラストマーI及び含フッ素エラストマーIVを60:40の質量比で混練しようとしたところ、ロールへの粘着が激しく、混練作業の加工性が実施例3の場合に比して著しく悪化したため、以降の試験を中断した。
<架橋成形体の製造>
以上のようにして得られた実施例1〜3及び比較例1〜6の含フッ素エラストマーブレンド物あるいは含フッ素エラストマー100質量部に対して、以下の成分を添加した。
・MTカーボンブラック(キャンキャブ社製サーマックスN990):25質量部
・架橋剤(ビスフェノールAF):2質量部
・架橋促進剤(ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド):0.5質量部
・受酸剤(軽焼酸化マグネシウム、協和化学株式会社製キョーワマグ150):3質量部
・受酸剤(超微粉水酸化カルシウム、近江化学株式会社製Caldic#2000):5質量部
以上の混合物を2本ロールミルで混和し、得られた硬化性組成物を180℃で10分間圧縮成形し、厚さ2mmのシート及びOリング(形状はJIS B 2401 Pで規定するP−24)を得た。これをさらに230℃22時間の条件で二次架橋(オーブン架橋)を行い、架橋成形体を得た。
<評価試験>
実施例1〜3及び比較例1〜6の含フッ素エラストマーブレンド物あるいは含フッ素エラストマーについて、以下に示す未架橋特性の評価試験を行った。また、これらを用いて製造した架橋成形体について、以下に示す常態物性及び圧縮永久歪の各評価試験を行った。
(未架橋特性)
既述の架橋反応とは別に、可動式ダイレオメータ(モンサント社製MDR2000型)を用い、180℃の温度条件において、tc10(min.)及びtc90(min.)を測定することで、それぞれの実施例及び比較例の含フッ素エラストマーブレンド物あるいは含フッ素エラストマー(詳しくは、<架橋成形体の製造>の項で説明した各成分を添加した状態のもの)について、架橋速度を求めた。結果を下記表1にまとめて示す。
ここで、tc10(min.)、tc90(min.)は、以下の通り定義される。即ち、架橋トルクを縦軸、時間を横軸に取って架橋曲線を描く。試験中の最大架橋トルクをM(10)とし、最小架橋トルクをMとした時、Mを通り横軸に平行な直線とMを通り横軸に平行な直線の間の距離をMとし、M+10%Mを通る横軸に平行な直線と加硫曲線の交点が示す時間がtc10(min.)であり、M+90%Mを通る横軸に平行な直線と加硫曲線の交点が示す時間がtc90(min.)である。
(常態物性)
JIS K6253に準拠して、タイプAデュロメータ硬さ及び国際ゴム硬さ(IRHD)の試験を行った。
また、JIS K6251に準拠して、100%モジュラス(引張応力)、切断時引張強さおよび切断時伸びの試験を行った。
結果を下記表1にまとめて示す。
(圧縮永久歪)
ASTM D395 MethodBに準拠して、P−24のOリングにて200℃及び230℃でそれぞれ70時間の値を測定した。結果を下記表1にまとめて示す。
Figure 2021075662
・表中の注釈
※1:測定用の展開溶媒に不溶のため測定不可
※2:粘度が低過ぎて測定不可
表1の結果を見ればわかる通り、本発明のポリオール架橋用含フッ素エラストマーブレンド物である実施例1〜3やそれを用いた架橋成形体によれば、架橋成形品が低いゴム硬度でありながら、混練作業性を確保しつつ、架橋成形品の破断強度の低下や圧縮永久歪の悪化、引張強度の低下が抑制されている。

Claims (7)

  1. S形ロータで121℃の条件でのムーニー粘度が55〜65の超高分子量体の第1の含フッ素エラストマーと、分子量が50000〜80000の低分子量体の第2の含フッ素エラストマーと、を含み、
    第1の含フッ素エラストマー(A)と第2の含フッ素エラストマー(B)の配合比(A:B)が、質量基準で5:95〜55:45の範囲内であり、
    全ての含フッ素エラストマー(T)中に含まれる第1の含フッ素エラストマー(A)及び第2の含フッ素エラストマー(B)の合計量の割合((A+B)/T)が、70質量%以上である、ポリオール架橋用含フッ素エラストマーブレンド物。
  2. 前記第1の含フッ素エラストマー及び/または第2の含フッ素エラストマーが、フッ化ビニリデンと他の含フッ素単量体との共重合物である、請求項1に記載のポリオール架橋用含フッ素エラストマーブレンド物。
  3. 前記共重合物におけるフッ化ビニリデンの共重合割合が、40〜90mol%の範囲内である、請求項2に記載のポリオール架橋用含フッ素エラストマーブレンド物。
  4. 前記他の含フッ素単量体が、ヘキサフルオロプロピレン及び/またはテトラフルオロエチレンである、請求項2または3に記載のポリオール架橋用含フッ素エラストマーブレンド物。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリオール架橋用含フッ素エラストマーブレンド物のポリオール系架橋剤による架橋成形物である架橋成形体。
  6. シール材として用いられる、請求項5に記載の架橋成形体。
  7. 請求項1〜4のいずれかに記載のポリオール架橋用含フッ素エラストマーブレンド物に、少なくともポリオール系架橋剤を添加して架橋反応させることで架橋成形体を得る、架橋成形体の製造方法。
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