JP2006212996A - フッ素ゴム層および非フッ素ゴム層からなる積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、フッ素ゴム層および非フッ素ゴム層からなる積層体および該積層体からなるホースを提供する。
【解決手段】フッ化ビニリデン単位を含むパーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムおよびポリオール架橋剤を含むフッ素ゴム組成物、またはポリオール架橋可能なフッ素ゴム、パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムおよびポリオール架橋剤を含むフッ素ゴム組成物、からなるフッ素ゴム層と、非フッ素ゴムおよびパーオキサイド架橋剤を含む非フッ素ゴム組成物からなる非フッ素ゴム層とが架橋接着されてなる積層体である。
【選択図】なし

Description

本発明は、フッ素ゴム層および非フッ素ゴム層からなる積層体および該積層体からなるホースに関する。
フッ素ゴムは、優れた耐薬品性、耐溶剤性および耐熱性を示すことから、自動車工業、半導体工業、化学工業等の各種分野において広く使用されており、たとえば、自動車産業においては、エンジンならびに周辺装置、AT装置、燃料系統ならびに周辺装置などのホース、シール材等として使用されている。しかし、近年の環境規制に伴い、これらのフッ素ゴムからなる材料にも耐老化性、耐候性、加工性、耐油性、耐燃料油性、燃料透過性などの諸特性においてよりいっそう厳しい要求がされているのが現状である。
フッ素ゴムは、前述のような優れた諸特性を示すものの、その価格が通常のゴム材料の10〜20倍と高価であり、また耐寒性に問題があり、フッ素ゴムのみでホースなどの材料を作ることはコスト、耐寒性等の点で問題があった。また、従来、燃料油用ホースとして用いられていた、アクリルニトリル−ブタジエン共重合体ゴムでは、耐熱性、耐油性、耐老化性などの諸特性の点でフッ素ゴムに劣るものであり、その改善が要求されていた。
そこで、フッ素ゴムを内層として薄く使用し、外層としてはエピクロルヒドリンゴム等の非フッ素ゴムからなるホース類が開発されている。このようなフッ素ゴムと非フッ素ゴムからなることで、コストや耐寒性等の問題は改善されるものの、フッ素ゴムとエピクロルヒドリンゴム等の非フッ素ゴムは、接着性に乏しく、実用上難点があった。
このような問題点を解決する手法として、エピクロルヒドリン系ゴムに水酸化カルシウムと共にエポキシ化合物を添加するゴム組成物が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。このような組成物を用いることで、フッ素ゴムとの接着性が向上することが記載されているが、その接着性は充分なものではなかった。
このように、フッ素ゴム層と非フッ素ゴム層との接着性が充分に改善された積層体は存在しなかった。
特公昭61−29619号公報
本発明は、フッ素ゴム層および非フッ素ゴム層からなる積層体および該積層体からなるホースを提供する。
すなわち、本発明は、フッ化ビニリデン単位を含むパーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムおよびポリオール架橋剤を含むフッ素ゴム組成物、または
ポリオール架橋可能なフッ素ゴム、パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムおよびポリオール架橋剤を含むフッ素ゴム組成物、
からなるフッ素ゴム層と、非フッ素ゴムおよびパーオキサイド架橋剤を含む非フッ素ゴム組成物からなる非フッ素ゴム層とが架橋接着されてなる積層体に関する。
フッ素ゴム組成物が、パーオキサイド架橋剤を実質的に含まないことが好ましい。
ポリオール架橋可能なフッ素ゴムおよび/またはパーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムが、フッ化ビニリデン単位を含むフッ素ゴムであることが好ましい。
また、本発明は、積層体からなるホース関する。
本発明の積層体は、フッ化ビニリデン単位を含むパーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムおよびポリオール架橋剤を含むフッ素ゴム組成物、またはポリオール架橋可能なフッ素ゴム、パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムおよびポリオール架橋剤を含むフッ素ゴム組成物からなるフッ素ゴム層を有することで、非フッ素ゴム組成物からなる非フッ素ゴム層との接着性を改善することができる。
本発明は、フッ化ビニリデン単位を含むパーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムおよびポリオール架橋剤を含むフッ素ゴム組成物、または
ポリオール架橋可能なフッ素ゴム、パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムおよびポリオール架橋剤を含むフッ素ゴム組成物、
からなるフッ素ゴム層と、非フッ素ゴムおよびパーオキサイド架橋剤を含む非フッ素ゴム組成物からなる非フッ素ゴム層とが架橋接着されてなる積層体に関する。
ポリオール架橋可能なフッ素ゴムは、ポリオール架橋可能な部位を有するフッ素ゴムであればよく、パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムは、パーオキサイド架橋可能な部位を有するフッ素ゴムであればよい。
ここで、ポリオール架橋可能な部位としては、フッ化ビニリデン単位を有する部位などをあげることができ、パーオキサイド架橋可能な部位としては、ヨウ素原子、臭素原子、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基などがあげられる。
VdF単位を含むパーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムとしては、VdF単位を含むフッ素ゴムに、パーオキサイド架橋が可能な架橋部位を導入したものである。
架橋部位を導入する方法としては、フッ素ゴムの重合時に架橋部位を与える単量体を共重合してもよいし、後述するハロゲン移動重合法により重合体の末端にハロゲン原子を導入する方法でもよい。
フッ化ビニリデン単位を含むパーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン(VdF)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン/フッ化ビニリデン(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/フッ化ビニリデン(VdF)系フッ素ゴムなどがあげられ、これらをそれぞれ単独で、または本発明の効果を損なわない範囲で任意に組合わせて用いることができる。
フッ化ビニリデン(VdF)系フッ素ゴムとしては、下記一般式(1)で表されるものが好ましい。
−(M1)−(M2)−(N1)− (1)
(式中、構造単位M1はフッ化ビニリデン(m1)由来の構造単位であり、構造単位M2は含フッ素エチレン性単量体(m2)由来の構造単位であり、構造単位N1は単量体(m1)および単量体(m2)と共重合可能な単量体(n1)由来の繰り返し単位である)
一般式(1)で示されるフッ化ビニリデン(VdF)系フッ素ゴムの中でも、構造単位M1を20〜85モル%、構造単位M2を80〜15モル%含むものが好ましく、より好ましくは構造単位M1を25〜80モル%、構造単位M2を75〜20モル%である。構造単位N1は、構造単位M1と構造単位M2の合計量に対して、0〜10モル%であることが好ましい。
含フッ素エチレン性単量体(m2)としては、単一のものでもよく、二種以上の組合せでもよいが、たとえばテトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、フッ化ビニルなどの含フッ素単量体があげられるが、これらのなかでも、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)が好ましい。
単量体(n1)としては、単量体(m1)および単量体(m2)と共重合可能なものであれば、いかなるものでもよいが、たとえばエチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテルなどがあげられる。
このようなフッ化ビニリデン(VdF)系フッ素ゴムとして、具体的には、VdF−HFP系ゴム、VdF−HFP−TFE系ゴム、VdF−CTFE系ゴム、VdF−CTFE−TFE系ゴムなどが好ましくあげられる。
また、本発明で用いられるフッ化ビニリデン単位を含むパーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムには、前記VdF単位を含むフッ素ゴムに、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/テトラフルオロエチレン(TFE)系フッ素ゴム、フルオロシリコーン系フッ素ゴム、またはフルオロホスファゼン系フッ素ゴムなどのVdF単位を有さない非パーフルオロフッ素ゴムや、パーフルオロフッ素ゴムを併用してもよい。
なお、パーフルオロフッ素ゴムとは、その構成単位のうち、90モル%以上がパーフルオロモノマーからなるものをいう。
テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン系フッ素ゴムとしては、下記一般式(2)で表されるものが好ましい。
−(M3)−(M4)−(N2)− (2)
(式中、構造単位M3はテトラフルオロエチレン(m3)由来の構造単位であり、構造単位M4はプロピレン(m4)由来の構造単位であり、構造単位N2は単量体(m3)および単量体(m4)と共重合可能な単量体(n2)由来の繰り返し単位である)
一般式(2)で示されるテトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン系フッ素ゴムの中でも、構造単位M3を40〜70モル%、構造単位M4を60〜30モル%含むものが好ましく、より好ましくは構造単位M3を50〜60モル%、構造単位M4を50〜40モル%含むものである。構造単位N2は、構造単位M3と構造単位M4の合計量に対して、0〜40モル%であることが好ましい。
単量体(n2)としては、単量体(m3)および単量体(m4)と共重合可能なものであればいかなるものでもよいが、架橋部位を与える単量体であることが好ましい。
このような架橋部位を与える単量体としては、たとえば特公平5−63482号公報、特開平7−316234号公報に記載されているようなパーフルオロ(6,6−ジヒドロ−6−ヨード−3−オキサ−1−ヘキセン)やパーフルオロ(5−ヨード−3−オキサ−1−ペンテン)などのヨウ素含有単量体、特開平4−505341号公報に記載されている臭素含有単量体、特開平4−505345号公報、特開平5−500070号公報に記載されているようなシアノ基含有単量体、カルボキシル基含有単量体、アルコキシカルボニル基含有単量体などがあげられる。
パーフルオロフッ素ゴムとしては、下記一般式(3)で表されるものが好ましい。
−(M5)−(M6)−(N3)− (3)
(式中、構造単位M5はテトラフルオロエチレン(m5)由来の構造単位であり、構造単位M6はパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(m6)由来の構造単位であり、構造単位N3は単量体(m5)および単量体(m6)と共重合可能な単量体(n3)由来の繰り返し単位である)
一般式(3)で示されるパーフルオロフッ素ゴムの中でも、構造単位M5を50〜90モル%、構造単位M6を10〜50モル%含むものが好ましく、より好ましくは構造単位M5を50〜80モル%、構造単位M6を20〜50モル%含むものであり、さらに好ましくは構造単位M5を55〜70モル%、構造単位M6を30〜45モル%含むものである。構造単位N3は、構造単位M5と構造単位M6の合計量に対して、0〜5モル%であることが好ましく、0〜2モル%であることがより好ましい。これらの組成の範囲を外れると、ゴム弾性体としての性質が失われ、樹脂に近い性質となる傾向がある。
パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(m6)としては、たとえばパーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)nCF2CF2CF3(nは1〜7の整数である)などがあげられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組合わせて用いることができる。
また、単量体(n3)としては、単量体(m5)および単量体(m6)と共重合可能なものであればいかなるものでもよいが、架橋部位を与える単量体が好ましい。
このような架橋部位を与える単量体としては、たとえばフッ化ビニリデン、一般式(4):
CY1 2=CY1−Rf 1CHR11 (4)
(式中、Y1は、水素原子、フッ素原子または−CH3、Rf 1は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基またはパーフルオロポリオキシアルキレン基、R1は、水素原子または−CH3、X1は、ヨウ素原子または臭素原子)で表されるヨウ素または臭素含有単量体、一般式(5):
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)m(CF2n−X2 (5)
(式中、mは、0〜5の整数、nは、1〜3の整数、X2は、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、臭素原子)で表される単量体などがあげられ、これらをそれぞれ単独で、または任意に組合わせて用いることができる。
このヨウ素原子、臭素原子、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基が、架橋点として機能することができる。
かかるパーフルオロフッ素ゴムの具体例としては、国際公開第97/24381号パンフレット、特公昭61−57324号公報、特公平4−81608号公報、特公平5−13961号公報などに記載されているフッ素ゴムなどがあげられる。
また、フッ素ゴムは数平均分子量30000〜1200000のものが好ましく用いられる。
以上説明したフッ素ゴムは、常法により製造することができるが、得られる重合体は分子量分布が狭く、分子量の制御が容易である点から、フッ素ゴムの製造法として公知のヨウ素移動重合法が好ましい。たとえば、溶液重合を行う方法や、また、実質的に無酸素下で、水媒体中で、ヨウ素化合物、好ましくはジヨウ素化合物の存在下に、前記パーハロオレフィンと、要すれば架橋部位を与える単量体を加圧下で撹拌しながらラジカル開始剤の存在下、乳化重合を行なう方法があげられる。使用するヨウ素化合物の代表例としては、たとえば、一般式(9):
2xBry (6)
(式中、xおよびyはそれぞれ0〜2の整数であり、かつ1≦x+y≦2を満たすものであり、R2は炭素数1〜16の飽和もしくは不飽和のフルオロ炭化水素基またはクロロフルオロ炭化水素基、または炭素数1〜3の炭化水素基であり、酸素原子を含んでいてもよい)で示される化合物などをあげることができる。このようなヨウ素化合物を用いて得られる含フッ素エラストマーの末端には、ヨウ素原子または臭素原子が導入される。
一般式(6)で表される化合物としては、たとえば1,3−ジヨードパーフルオロプロパン、1,3−ジヨード−2−クロロパーフルオロプロパン、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、1,5−ジヨード−2,4−ジクロロパーフルオロペンタン、1,6−ジヨードパーフルオロヘキサン、1,8−ジヨードパーフルオロオクタン、1,12−ジヨードパーフルオロドデカン、1,16−ジヨードパーフルオロヘキサデカン、ジヨードメタン、1,2−ジヨードエタン、1,3−ジヨード−n−プロパン、CF2Br2、BrCF2CF2Br、CF3CFBrCF2Br、CFClBr2、BrCF2CFClBr、CFBrClCFClBr、BrCF2CF2CF2Br、BrCF2CFBrOCF3、1−ブロモ−2−ヨードパーフルオロエタン、1−ブロモ−3−ヨードパーフルオロプロパン、1−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブタン、2−ブロモ−3−ヨードパーフルオロブタン、3−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、2−ブロモ−4−ヨードパーフルオロブテン−1、ベンゼンのモノヨードモノブロモ置換体、ジヨード置換体、ならびに(2−ヨードエチル)および(2−ブロモエチル)置換体などがあげられ、これらの化合物は、単独で使用してもよく、相互に組み合せて使用することもできる。
これらのなかでも、重合反応性、架橋反応性、入手容易性などの点から、1,4−ジヨードパーフルオロブタン、ジヨードメタンなどが好ましい。
本発明で使用するラジカル重合開始剤は、従来から含フッ素ゴムの重合に使用されているものと同じものであってよい。これらの開始剤には有機および無機の過酸化物ならびにアゾ化合物がある。典型的な開始剤として過硫酸塩類、過酸化カーボネート類、過酸化エステル類などがあり、好ましい開始剤として過硫酸アンモニウム(APS)があげられる。APSは単独で使用してもよく、またサルファイト類、亜硫酸塩類のような還元剤と組み合わせて使用することもできる。
乳化重合に使用される乳化剤としては、広範囲なものが使用可能であるが、重合中におこる乳化剤分子への連鎖移動反応を抑制する観点から、フルオロカーボン鎖、またはフルオロポリエーテル鎖を有するカルボン酸の塩類が望ましい。乳化剤の使用量は、添加された水の約0.05〜2重量%が好ましく、とくに0.2〜1.5重量%が好ましい。
本発明で使用するモノマー混合ガスは、カルブ(G.H.Kalb)ら、アドヴァンシーズ・イン・ケミストリー・シリーズ(Advances in Chemistry Series.),129,13(1973)に記載されるように、爆発性を有するので、重合装置には着火源となるスパークなどが発生しないように工夫する必要がある。
重合圧力は、広い範囲で変化させることができる。一般には、0.5〜7MPaの範囲である。重合圧力は、高い程重合速度が大きくなるため、生産性の向上の観点から、0.8MPa以上であることが好ましい。
前記一般式(6)で表される化合物の添加量としては、得られる含フッ素ゴムの全重量の0.0001〜5重量%であることが好ましく、0.01〜1重量%であることがより好ましい。
また、含フッ素ゴムとしては、含フッ素シリコーン系エラストマーも用いることができ、たとえば、フルオロシリコーンゴムなどがあげられる。
さらに、本発明においては、前述のようなフッ素ゴムと熱可塑性フッ素ゴムとからなる組成物を用いることもできる。
本発明で用いるVdF単位を含むパーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムは、VdF単位を含むため、ポリオール架橋が可能である。
本発明で用いるポリオール架橋可能なフッ素ゴムは、ポリオール架橋可能な部位を有するフッ素ゴムであればよく、VdF単位を含むフッ素ゴムが好ましい。より好ましくは、VdF系フッ素ゴムである。
ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴムとしては、前記一般式(1)で表されるものが好ましい。
−(M1)−(M2)−(N1)− (1)
(式中、構造単位M1はビニリデンフルオライド(m1)由来の構造単位であり、構造単位M2は含フッ素エチレン性単量体(m2)由来の構造単位であり、構造単位N1は単量体(m1)および単量体(m2)と共重合可能な単量体(n1)由来の繰り返し単位である)
一般式(1)で示されるビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴムの中でも、構造単位M1を20〜85モル%、構造単位M2を80〜15モル%含むものが好ましく、より好ましくは構造単位M1を25〜80モル%、構造単位M2を75〜20モル%である。構造単位N1は、構造単位M1と構造単位M2の合計量に対して、0〜10モル%であることが好ましい。
含フッ素エチレン性単量体(m2)としては、単一のものでもよく、二種以上の組合せでもよいが、たとえばテトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)、フッ化ビニルなどの含フッ素単量体があげられるが、これらのなかでも、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)が好ましい。
単量体(n1)としては、単量体(m1)および単量体(m2)と共重合可能なものであれば、いかなるものでもよいが、たとえばエチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテルなどがあげられる。
このようなビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴムとして、具体的には、VdF−HFP系ゴム、VdF−HFP−TFE系ゴム、VdF−CTFE系ゴム、VdF−CTFE−TFE系ゴムなどが好ましく、VdF−HFP系ゴム、VdF−HFP−TFE系ゴムがより好ましい。
また、パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムは、パーオキサイド架橋可能な部位を有するフッ素ゴムであればよく、たとえば、ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/テトラフルオロエチレン(TFE)系フッ素ゴム、フルオロシリコーン系フッ素ゴム、またはフルオロホスファゼン系フッ素ゴムなどに、ヨウ素原子、臭素原子、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基などの部位を、架橋点として導入したゴムがあげられる。架橋点としては、ヨウ素原子がより好ましい。
これらの中でも、VdF系フッ素ゴムが好ましく、VdF単位を含むパーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムとして例示したものがより好ましい。また、このような非パーフルオロフッ素ゴム以外に、一般式(4)または(5)で示される単量体からなる架橋部位を有するパーフルオロフッ素ゴムを用いてもよい。
また、本発明に使用されるフッ素ゴムは、フッ素含有率65重量%以上のフッ素ゴムであることが好ましく、フッ素含有率68重量%以上のフッ素ゴムであることがより好ましい。フッ素含有率の上限値は特に限定されないが、74重量%以下であることが好ましい。フッ素含有率が、65重量%未満であると耐薬品性、耐燃料油性、燃料透過性が劣る傾向がある。
フッ素ゴム組成物は、前記フッ素ゴムにポリオール架橋剤を配合してなるものである。また、架橋促進剤を架橋剤とともに用いることができる。
架橋剤および架橋促進剤は、フッ素ゴムを架橋するために用いられるものである。ここで、架橋とは、架橋剤によりフッ素ゴムの同一または異なるポリマー鎖同士を架橋するものであり、このように架橋することにより、前記フッ素ゴムは、引張り強さが向上し、良好な弾性を有するものとなる。
ポリオール系架橋剤により架橋してなる架橋フッ素ゴムは、架橋点に炭素−酸素結合を有しており、圧縮永久歪みが小さく、成形性に優れているという特徴があるので、本発明のホースに好適である。
なお、本発明で用いるフッ化ビニリデン単位を含むパーオキサイド架橋可能なフッ素ゴム、またはポリオール架橋可能なフッ素ゴムおよびパーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムからなるフッ素ゴムは、ポリオール架橋剤により架橋することで、充分に架橋されたフッ素ゴム層を形成することができる。
本発明におけるポリオール架橋剤は、一般的にフッ素ゴム用として知られているポリオール系架橋剤を使用することができる。
ポリオール系架橋剤としては、従来、フッ素ゴムの架橋剤として知られている化合物を用いることができ、たとえば、ポリヒドロキシ化合物、特に、耐熱性に優れる点からポリヒドロキシ芳香族化合物が好適に用いられる。
上記ポリヒドロキシ芳香族化合物としては、特に限定されず、たとえば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン(以下、ビスフェノールAFという)、レゾルシン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、4,4’―ジヒドロキシジフェニル、4,4’―ジヒドロキシスチルベン、2,6−ジヒドロキシアントラセン、ヒドロキノン、カテコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(以下、ビスフェノールBという)、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)テトラフルオロジクロロプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、トリ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、3,3’,5,5’−テトラクロロビスフェノールA、3,3’,5,5’−テトラブロモビスフェノールAなどがあげられる。これらのポリヒドロキシ芳香族化合物は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などであってもよいが、酸を用いて共重合体を凝析した場合は、上記金属塩は用いないことが好ましい。
これらの中でも、架橋フッ素ゴムの圧縮永久歪みが小さく、成形性に優れているという点から、ポリヒドロキシ化合物が好ましく、耐熱性が優れることからポリヒドロキシ芳香族化合物がより好ましく、ビスフェノールAFがさらに好ましい。
ポリオール架橋剤の配合量としては、フッ素ゴム100重量部に対して、0.2〜10重量部が好ましく、0.5〜3重量部がより好ましく、1〜2.5重量部がさらに好ましい。架橋剤が、0.2重量部未満であると、架橋密度が低くなり圧縮永久歪みが大きくなる傾向があり、10重量部をこえると、架橋密度が高くなりすぎるため、圧縮時に割れやすくなる傾向がある。
また、ポリオール系架橋においては、ポリオール系架橋剤と併用して、架橋促進剤を用ることが好ましい。架橋促進剤を用いると、フッ素ゴム主鎖の脱フッ酸反応における分子内二重結合の形成を促進することにより架橋反応を促進することができる。
ポリオール系架橋の架橋促進剤としては、フッ素ゴム主鎖に付加しにくい性質を有する化合物が好ましく、一般にオニウム化合物が用いられる。オニウム化合物としては特に限定されず、たとえば、第4級アンモニウム塩等のアンモニウム化合物、第4級ホスホニウム塩等のホスホニウム化合物、オキソニウム化合物、スルホニウム化合物、環状アミン、1官能性アミン化合物などがあげられ、これらの中でも第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩が好ましい。
第4級アンモニウム塩としては特に限定されず、たとえば、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムアイオダイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムメチルスルフェート、8−エチル−1,8―ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセニウムブロミド、8−プロピル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7―ウンデセニウムブロミド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7―ウンデセニウムクロリド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7―ウンデセニウムハイドロキサイド、8−エイコシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7―ウンデセニウムクロリド、8−テトラコシル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7―ウンデセニウムクロリド、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7―ウンデセニウムクロリド(以下、DBU−Bとする)、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7―ウンデセニウムハイドロキサイド、8−フェネチル−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7―ウンデセニウムクロリド、8−(3−フェニルプロピル)−1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7―ウンデセニウムクロリドなどがあげられる。これらの中でも、架橋性、架橋物の物性の点から、DBU−Bが好ましい。
また、第4級ホスホニウム塩としては特に限定されず、たとえば、テトラブチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド(以下、BTPPCとする)、ベンジルトリメチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリブチルホスホニウムクロリド、トリブチルアリルホスホニウムクロリド、トリブチル−2−メトキシプロピルホスホニウムクロリド、ベンジルフェニル(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドなどをあげることができ、これらの中でも、架橋性、架橋物の物性の点から、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロライド(BTPPC)が好ましい。
また、架橋促進剤として、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩とビスフェノールAFの固溶体、特開平11−147891号公報に開示されている塩素フリー架橋促進剤を用いることもできる。
架橋促進剤の配合量としては、フッ素ゴム100重量部に対して、0.1〜2.0重量部が好ましく、0.1〜1.5重量部がより好ましく、0.1〜0.7重量部がさらに好ましい。架橋促進剤の配合量が、0.1重量部未満であると架橋速度が遅くなるため生産性が悪くなる傾向があり、2.0重量部をこえると架橋速度が速くなりすぎるためスコーチや成形不良が発生しやすくなる傾向がある。
また、必要に応じてフッ素ゴム組成物に配合される通常の添加物、たとえば充填剤、加工助剤、可塑剤、着色剤、安定剤、接着助剤、受酸剤、離型剤、導電性付与剤、熱伝導性付与剤、表面非粘着剤、柔軟性付与剤、耐熱性改善剤、難燃剤などの各種添加剤を配合することができ、前記のものとは異なる常用の架橋剤や架橋促進剤を1種またはそれ以上配合してもよい。
前記フッ素ゴム組成物は、フッ素ゴム、ポリオール架橋剤、必要に応じて、架橋促進剤、充填材などのその他配合剤を、一般に使用されているゴム混練り装置を用いて混練りすることにより得られる。ゴム混練り装置としては、ロール、ニーダー、バンバリーミキサー、インターナルミキサー、二軸押し出し機などを用いることができる。
特に、架橋剤としてポリヒドロキシ化合物を用いる場合には、架橋剤・架橋促進剤の融点が比較的高い場合が多く、ゴム中に均一に分散させるために、架橋剤・架橋促進剤をニーダーなどの密閉型の混練り装置を用いて120〜200℃の高温で溶融させながら混練りした後に、充填材などのその他配合剤をこれ以下の比較的低温で混練りする方法が好ましい。また、架橋剤と架橋促進剤を一旦溶融させ融点降下を起こさせた固溶体を用いて均一分散させる方法もある。
さらに一度フッ素ゴム、ポリオール架橋剤、必要に応じて、架橋促進剤、充填材などのその他配合剤を混練りした後に、室温にて12時間以上置いた後に再度混練りすることで、さらに分散性を高めることができる。
次に、非フッ素ゴムおよびパーオキサイド架橋剤を含む非フッ素ゴム組成物からなる非フッ素ゴム層について説明する。
非フッ素ゴム組成物の非フッ素ゴムとしては、特に限定されるものではないが、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリクロロプレン、エチレン−プロピレン−ターモノマー共重合体、塩素化ポリスチレン、クロルスルホン化ポリスチレン、シリコンゴム、ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴム、アクリル系ゴム、エチレン−酢酸ビニル共重合体、α,β−不飽和ニトリル−共役ジエン系共重合体ゴムまたはその水素化物があげられるが、これらの中でも、耐熱性、耐油性の点から、アクリロニトリル−ブタジエンゴムであることが好ましい。
また、パーオキサイド架橋剤としては、パーオキシラジカルおよびポリマーラジカルに対して反応活性を有する化合物であればよく、たとえば、CH2=CH−、CH2=CHCH2−、CF2=CF−などの官能基を有する多官能性化合物があげられる。具体的には、たとえば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリメタアリルイソシアヌレート、TAICプレポリマー、トリアクリルホルマール、トリアリルトリメリテート、N,N′−n−フェニレンビスマレイミド、ジプロパギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタレートアミド、トリアリルホスフェート、ビスマレイミド、フッ素化トリアリルイソシアヌレート(1,3,5−トリス(2,3,3−トリフルオロ−2−プロペニル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン)、トリス(ジアリルアミン)−S−トリアジン、亜リン酸トリアリル、N,N−ジアリルアクリルアミド、1,6−ジビニルドデカフルオロヘキサン、ヘキサアリルホスホルアミド、N,N,N′,N′−テトラアリルテトラフタラミド、N,N,N′,N′−テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサン、トリ(5−ノルボルネン−2−メチレン)シアヌレート、トリアリルホスファイトなどがあげられる。これらの中でも、架橋性、架橋物の物性の点から、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好ましい。
架橋剤の配合量としては、非フッ素ゴム100重量部に対して、0.2〜10重量部が好ましく、0.5〜8重量部がより好ましい。架橋剤が、0.2重量部未満であると、架橋密度が低くなり圧縮永久歪みが大きくなる傾向があり、10重量部をこえると、架橋密度が高くなりすぎるため、圧縮時に割れやすくなる傾向がある。
また、架橋剤とともに架橋促進剤を用いることができる。
パーオキサイド系架橋促進剤としては、熱や酸化還元系の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生し得る有機過酸化物であればよく、具体的には、たとえば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゼン、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどをあげることができる。これらの中でも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサンが好ましい。
架橋促進剤の配合量としては、非フッ素ゴム100重量部に対して、0.2〜10重量部が好ましく、0.5〜8重量部がより好ましい。架橋促進剤の配合量が、0.2重量部未満であると架橋速度が遅くなるため生産性が悪くなる傾向があり、10重量部をこえると架橋速度が速くなりすぎるためスコーチや成形不良が発生しやすくなる傾向がある。
また、非フッ素ゴム組成物には、非フッ素ゴム、パーオキサイド架橋剤の他に、必要に応じて受酸剤、補強剤、充填剤、可塑剤、老化防止剤などの当該技術分野において常用される酸合剤が添加できる。
非フッ素ゴム組成物は、前記フッ素ゴム組成物と同様、一般に使用されているゴム混練り装置を用いて混練りすることにより得られる。
本発明の積層体の積層方法は、特に限定されるものではなく、通常の積層方法を用いることができる。たとえば、フッ素ゴム組成物と、非フッ素ゴム組成物を、押出機により2層同時押出し、または2基の押出機により内側層上に外側層を押出しすることにより内側層と外側層からなる内管ゴム層を形成し、さらに外管ゴム層を押出機により押出して一体化し、ついで架橋接着させて製造することができる。
架橋条件としては、使用する架橋剤などの種類により適宜決めればよいが、通常、150〜300℃の温度で、1分〜24時間焼成を行う。
また、架橋方法としては、スチーム架橋など通常用いられている方法はもちろんのこと、常圧、加圧、減圧下においても、また、空気中においても、どのような条件下においても架橋反応を行うことができる。
本発明の積層体は、VdF単位を含むパーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムを含むフッ素ゴム組成物からなるフッ素ゴム層を有するため、非フッ素ゴム組成物からなる非フッ素ゴム層との密着性に優れ、耐薬品性、耐油性、耐熱性、耐寒性を兼ね備える積層体であり、ホースとして有用であり、特には自動車のエンジンならびに周辺装置、AT装置、燃料系統ならびに周辺装置などのホースとして有用なものである。
本発明の積層体の用途としては特に限定されず、たとえば、自動車用エンジンのエンジン本体、主運動系、動弁系、滑剤・冷却系、燃料系、吸気・排気系;駆動系のトランスミッション系;シャーシのステアリング系;ブレーキ系;電装品の基本電装部品、制御系電装部品、装備電装部品などの、耐熱性・耐油性・燃料油耐性・エンジン冷却用不凍液耐性・耐スチーム性が要求されるガスケットや非接触型および接触型のパッキン類(セルフシールパッキン、ピストンリング、割リング形パッキン、メカニカルシール、オイルシールなど)などのシール材などがあげられる。
自動車用エンジンのエンジン本体に用いられるシール材としては、特に限定されないが、たとえば、シリンダーヘッドガスケット、シリンダーヘッドカバーガスケット、オイルパンパッキン、一般ガスケットなどのガスケット、Oリング、パッキン、タイミングベルトカバーガスケットなどのシール材などがあげられる。
自動車用エンジンの主運動系に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、たとえば、クランクシャフトシール、カムシャフトシールなどのシャフトシールなどがあげられる。
自動車用エンジンの動弁系に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、たとえば、エンジンバルブのバルブステムオイルシールなどがあげられる。
自動車用エンジンの滑剤・冷却系に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、たとえば、エンジンオイルクーラーのシールガスケットなどがあげられる。
自動車用エンジン燃料系に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、たとえば、燃料ポンプのオイルシール、燃料タンクのフィラーシール、タンクパッキンなど、燃料チューブのコネクターOリンクなど、燃料噴射装置のインジェクタークッションリング、インジェクターシールリング、インジェクターOリングなど、キャブレターのフランジガスケットなどがあげられる。
自動車用エンジンの吸気・排気系に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、たとえば、マニホールドの吸気マニホールドパッキン、排気マニホールドパッキン、スロットルのスロットルボディパッキン、ターボチャージのタービンシャフトシールなどがあげられる。
自動車用エンジンのトランスミッション系に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、たとえば、トランスミッション関連のベアリングシール、オイルシール、Oリング、パッキンなど、オートマチックトランスミッションのOリング、パッキン類などがあげられる。
自動車用エンジンのブレーキ系に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、たとえば、オイルシール、Oリング、パッキンなど、マスターシリンダーのピストンカップ(ゴムカップ)など、キャリパーシール、ブーツ類などがあげられる。
自動車用エンジンの装備電装品に用いられるシール材としては、特に限定されるものではないが、たとえば、カーエアコンのOリング、パッキンなどがあげられる。
自動車用以外の用途としては、特に限定されず、たとえば、船舶、航空機などの輸送機関における耐油、耐薬品、耐熱、耐スチームまたは耐候用のパッキン、Oリング、その他のシール材;化学プラントにおける同様のパッキン、Oリング、シール材;食品プラント機器および食品機器(家庭用品を含む)における同様のパッキン、Oリング、シール材;原子力プラント機器における同様のパッキン、Oリング、シール材;一般工業部品における同様のパッキン、Oリング、シール材などがあげられる。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
<加硫特性>
1次プレス架橋時にJSR型キュラストメータII型を用いて160℃における加硫曲線を求め、最低粘度(ML)、加硫度(MH)、誘導時間(T10)および最適加硫時間(T90)を求める。
<ムーニースコーチ試験>
得られたフッ素ゴムを8インチロール2本を備えた練りロール機(ロール間隙:約1mm)に3回通してシーティングし、ムーニー粘度測定器(MV2000E ALPHA TECHNOLOGIES社製)を用いて、L型ローターを使用し、145℃で予熱時間1分にて、JIS K 6300(1994年)に準拠して、最低粘度(Vm)、t5、t35を測定した。
<100%モジュラス(M100)>
表1に示すフッ素ゴム組成物を標準加硫条件で1次プレス加硫して厚さ2mmのシートとし、JIS−K6251に準じて測定する。
(標準加硫条件)
混練方法 :ロール練り
プレス加硫 :170℃で15分
<引張破断強度(Tb)および引張破断伸び(Eb)>
実施例および比較例で得られた架橋シートを用いて、引張り試験機(テンシロン、オリエンテック社製製)を使用して、JIS K6251(1993年)に準じて、500mm/分の条件下で、ダンベル4号を用いて、23℃における引張破断強度および引張破断伸びを測定した。
<硬さ>
実施例および比較例で得られた架橋シートを用いて、タイプAデュロメーター(商品名:ASKER、高分子計器社製)を用いてJIS K6253(1997年)に準拠して測定した。
<接着性>
実施例および比較例で得られた厚さ1mmの未架橋フッ素シート状と、厚さ1mmの未架橋の非フッ素ゴムシートを重ね合わせて加熱した金型に挿入し、170℃で15分間加圧することで架橋を施しシート状の積層体を得た。得られた積層体を幅25mm×長さ100mmの短冊状に切断して試験片とし、23℃にて、50mm/分の剥離速度でT剥離試験を行い、接着強度を測定した。また、剥離モードを観測し、以下の基準で評価した。
(剥離モード)
○・・・材料破壊破断した
△・・・破壊には至らないが、一部材料破断した
×・・・フッ素ゴム層と非フッ素ゴム層の界面で剥離した
表および明細書中の各商品名は、それぞれ次に示すものである。
架橋剤:ビスフェノールAF
架橋促進剤:DBU−B
シーストS:SRFカーボン(東海カーボン(株)製)
MA−150:高活性酸化マグネシウム(協和化学工業(株)製)
CALDIC2000:水酸化カルシウム(近江化学工業(株)製)
NBR:アクリロニトリル−ブタジエンゴム(N530 JSR(株)製)からなるゴム組成物(ゴム100重量部に対して、カーボンブラック 60重量部、酸化亜鉛 5重量部、ステアリン酸 1重量部、老化防止剤 2重量部、可塑剤 15重量部、過酸化物 3重量部)
実施例1
内容積3リットルの加圧型ニーダーのジャケットをヒーターで140℃に加熱しながら、表1に示す割合で、ヨウ素移動重合法により公知の方法で製造された末端にヨウ素原子を有する三元フッ素ゴムA(ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン=50/20/30モル%)4kgを徐々に投入し、その後にBIS−AF 80g、DBU−B 20g、12分間混練りした。3分間混練りごとにローターを停止して加圧蓋を解放し、ローター逆回転にてゴムの上下を入れ替え、再度加圧して混練りすることを繰り返した。混練り終了直後のゴム温度は152℃であった。ローターの回転数は、前ブレード33rpm、後ブレード22rpmとした。
混練り終了後のゴムを直径12インチのロール2本を備えた練りロール機を用いて、冷却するとともに最終的にシーティングしてフッ素ゴム、架橋剤、架橋促進剤および添加剤からなる組成物を取り出した。
組成物、シーストS、高活性酸化マグネシウム、水酸化カルシウムを、表1の配合比になるように添加し、8インチロール2本を備えた練りロール機を用いて通常の方法で、25〜70℃で混練りした。これを室温にて約20時間置いた後に再度同じロール機にて混練りし、最終的に約2mm厚みにシーティングして未架橋ゴムシートを取り出した。
得られたフッ素ゴム組成物の加硫性、ムーニースコーチ、常態物性を評価した。また、得られた未架橋ゴムシートと、NBRからなる未架橋ゴムシートを用いて、接着性を評価した。
実施例2〜4および比較例1
公知の方法で製造された、パーオキサイド架橋可能な架橋部位を有しないフッ素ゴムB(ビニリデン/テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン=50/20/30モル%)と実施例1で用いたフッ素ゴムAを用いて、表1に示した配合条件にした以外は実施例1と同様の方法で、架橋シートを得た。
得られたフッ素ゴム組成物の加硫性、ムーニースコーチ、常態物性を評価した。また、得られた未架橋ゴムシートと、NBRからなる未架橋ゴムシートを用いて、接着性を評価した。
Figure 2006212996

Claims (4)

  1. フッ化ビニリデン単位を含むパーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムおよびポリオール架橋剤を含むフッ素ゴム組成物、または
    ポリオール架橋可能なフッ素ゴム、パーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムおよびポリオール架橋剤を含むフッ素ゴム組成物、
    からなるフッ素ゴム層と、非フッ素ゴムおよびパーオキサイド架橋剤を含む非フッ素ゴム組成物からなる非フッ素ゴム層とが架橋接着されてなる積層体。
  2. フッ素ゴム組成物が、パーオキサイド架橋剤を実質的に含まない請求項1記載の積層体。
  3. ポリオール架橋可能なフッ素ゴムおよび/またはパーオキサイド架橋可能なフッ素ゴムが、フッ化ビニリデン単位を含むフッ素ゴムである請求項1または2記載の積層体。
  4. 請求項1、2または3記載の積層体からなるホース。
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