JP2013175462A - 電線被覆材及び電線 - Google Patents
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Abstract
【課題】高温時の耐屈曲性に優れた被覆を与える電線被覆材、及び、電線を提供する。
【解決手段】フッ素ゴム(A)及びカーボンブラック(B)を含む電線被覆材であって、ラバープロセスアナライザ(RPA)による動的粘弾性試験(測定周波数:1Hz、測定温度:100℃)において、未架橋時の動的歪み1%時の剪断弾性率G’(1%)及び動的歪み100%時の剪断弾性率G’(100%)の差δG’(G’(1%)−G’(100%))が、150kPa以上、3000kPa以下であることを特徴とする電線被覆材。
【選択図】なし
【解決手段】フッ素ゴム(A)及びカーボンブラック(B)を含む電線被覆材であって、ラバープロセスアナライザ(RPA)による動的粘弾性試験(測定周波数:1Hz、測定温度:100℃)において、未架橋時の動的歪み1%時の剪断弾性率G’(1%)及び動的歪み100%時の剪断弾性率G’(100%)の差δG’(G’(1%)−G’(100%))が、150kPa以上、3000kPa以下であることを特徴とする電線被覆材。
【選択図】なし
Description
本発明は、高温時の耐屈曲性に優れた被覆を与える電線被覆材、及び、電線に関する。
電線の被覆材料としては、安価なクロロプレン、クロロスルフォン化ポリエチレンが汎用されているが、耐熱性が不充分であるために高温環境下、例えば連続使用環境温度が100℃を越えるような環境では耐熱性に優れたフッ素ゴムが用いられている。電線の被覆材料に用いられるフッ素ゴムとしては、例えば、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体やテトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体が知られており、この共重合体を導体(芯線)の外側に押出被覆し、架橋することで耐熱性に優れた電線を得ることができる。
耐熱性が求められる電線(例えば、自動車エンジン周りの耐熱耐油電線)の被覆材としてフッ素ゴムを使用した例として、例えば、フッ素樹脂と動的架橋されたフッ素ゴムとの複合体を被覆層として有する可撓性耐熱被覆電線が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、このような可撓性耐熱被覆電線が、内燃機関のトランスミッションオイル又はエンジンオイルに接触する環境で使用される被覆電線、自動車のオートマチックトランスミッション内又はエンジンのオイルパン内で使用される被覆電線として好適であると記載されている。
フッ素ゴムを含む電線被覆材として、更に耐熱性(高温時の機械物性)に優れたものが求められている。
本発明は、高温時の耐屈曲性に優れた被覆を与える電線被覆材、及び、電線を提供することを目的とする。
本発明は、フッ素ゴム(A)及びカーボンブラック(B)を含む電線被覆材であって、ラバープロセスアナライザ(RPA)による動的粘弾性試験(測定周波数:1Hz、測定温度:100℃)において、未架橋時の動的歪み1%時の剪断弾性率G’(1%)及び動的歪み100%時の剪断弾性率G’(100%)の差δG’(G’(1%)−G’(100%))が、150kPa以上、3000kPa以下であることを特徴とする電線被覆材である。
本発明はまた、上記電線被覆材からなる被覆と、芯線とを有する電線でもある。
本発明によれば、高温時の耐屈曲性に優れた被覆を与える電線被覆材、及び、電線を提供することができる。
以下に本発明を詳細に説明する。
(A)フッ素ゴム
本発明に用いるフッ素ゴム(A)としては、例えばテトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VdF)及び式(1):
CF2=CF−Rf a (1)
(式中、Rf aは−CF3又はORf b(Rf bは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基))で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物(例えばヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)等)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を含むことが好ましい。
(A)フッ素ゴム
本発明に用いるフッ素ゴム(A)としては、例えばテトラフルオロエチレン(TFE)、フッ化ビニリデン(VdF)及び式(1):
CF2=CF−Rf a (1)
(式中、Rf aは−CF3又はORf b(Rf bは炭素数1〜5のパーフルオロアルキル基))で表されるパーフルオロエチレン性不飽和化合物(例えばヘキサフルオロプロピレン(HFP)、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)等)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に由来する構造単位を含むことが好ましい。
別の観点からは、フッ素ゴム(A)としては、非パーフルオロフッ素ゴム及びパーフルオロフッ素ゴムが好ましい。
非パーフルオロフッ素ゴムとしては、フッ化ビニリデン(VdF)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン(Pr)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン(Pr)/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン(Et)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、エチレン(Et)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン(Et)/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/テトラフルオロエチレン(TFE)系フッ素ゴム、フルオロシリコーン系フッ素ゴム、フルオロホスファゼン系フッ素ゴム等が挙げられ、これらをそれぞれ単独で、又は本発明の効果を損なわない範囲で任意に組み合わせて用いることができる。これらの中でも、VdF系フッ素ゴム、TFE/Pr系フッ素ゴム、TFE/Pr/VdF系フッ素ゴムが、耐熱老化性、耐油性が良好な点からより好適である。
上記VdF系フッ素ゴムは、VdF繰り返し単位の含有量が、VdF繰り返し単位とその他の共単量体に由来する繰り返し単位との合計モル数に対し20モル%以上が好ましく、40モル%以上がより好ましく、45モル%以上が更に好ましく、50モル%以上が更により好ましく、55モル%以上が特に好ましく、60モル%以上が最も好ましい。VdF繰り返し単位の含有量はまた、VdF繰り返し単位とその他の共単量体に由来する繰り返し単位との合計モル数に対し90モル%以下が好ましく、85モル%以下がより好ましく、80モル%以下が更に好ましく、78モル%以下が更により好ましく、75モル%以下が特に好ましく、70モル%以下が最も好ましい。
また、上記その他の共単量体に由来する繰り返し単位の含有量は、VdF繰り返し単位とその他の共単量体に由来する繰り返し単位との合計モル数に対し10モル%以上が好ましく、15モル%以上がより好ましく、20モル%以上が更に好ましく、22モル%以上が更により好ましく、25モル%以上が特に好ましく、30モル%以上が最も好ましい。その他の共単量体に由来する繰り返し単位の含有量はまた、VdF繰り返し単位とその他の共単量体に由来する繰り返し単位との合計モル数に対し80モル%以下が好ましく、60モル%以下がより好ましく、55モル%以下が更に好ましく、50モル%以下が更により好ましく、45モル%以下が特に好ましく、40モル%以下が最も好ましい。
上記VdF系フッ素ゴムにおける共単量体としてはVdFと共重合可能であれば特に限定されず、例えば、TFE、HFP、PAVE、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、テトラフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニル、ヨウ素含有フッ素化ビニルエーテル、下記一般式(2):
CH2=CFRf (2)
(式中、Rfは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基)で表される含フッ素単量体等のフッ素含有単量体;エチレン(Et)、プロピレン(Pr)、アルキルビニルエーテル等のフッ素非含有単量体、架橋性基(キュアサイト)を与える単量体、及び、反応性乳化剤等が挙げられ、これらの単量体や化合物のなかから1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
CH2=CFRf (2)
(式中、Rfは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基)で表される含フッ素単量体等のフッ素含有単量体;エチレン(Et)、プロピレン(Pr)、アルキルビニルエーテル等のフッ素非含有単量体、架橋性基(キュアサイト)を与える単量体、及び、反応性乳化剤等が挙げられ、これらの単量体や化合物のなかから1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)が好ましく、特にPMVEが好ましい。
また、上記共単量体として、下記一般式:
CF2=CFOCF2ORf c
(式中、Rf cは炭素数1〜6の直鎖又は分岐状パーフルオロアルキル基、炭素数5〜6の環式パーフルオロアルキル基、または、1〜3個の酸素原子を含む炭素数2〜6の直鎖又は分岐状パーフルオロオキシアルキル基である)で表されるパーフルオロビニルエーテルを用いてもよく、例えば、CF2=CFOCF2OCF3、CF2=CFOCF2OCF2CF3、又は、CF2=CFOCF2OCF2CF2OCF3を用いることが好ましい。
CF2=CFOCF2ORf c
(式中、Rf cは炭素数1〜6の直鎖又は分岐状パーフルオロアルキル基、炭素数5〜6の環式パーフルオロアルキル基、または、1〜3個の酸素原子を含む炭素数2〜6の直鎖又は分岐状パーフルオロオキシアルキル基である)で表されるパーフルオロビニルエーテルを用いてもよく、例えば、CF2=CFOCF2OCF3、CF2=CFOCF2OCF2CF3、又は、CF2=CFOCF2OCF2CF2OCF3を用いることが好ましい。
上記一般式(2)で表される含フッ素単量体(2)としては、Rfが直鎖のフルオロアルキル基である単量体が好ましく、Rfが直鎖のパーフルオロアルキル基である単量体がより好ましい。Rfの炭素数は1〜6であることが好ましい。上記一般式(2)で表される含フッ素単量体としては、CH2=CFCF3、CH2=CFCF2CF3、CH2=CFCF2CF2CF3、CH2=CFCF2CF2CF2CF3等が挙げられ、なかでも、CH2=CFCF3で示される2,3,3,3−テトラフルオロプロピレンが好ましい。
上記VdF系フッ素ゴムとしては、VdF/HFP共重合体、VdF/TFE/HFP共重合体、VdF/CTFE共重合体、VdF/CTFE/TFE共重合体、VdF/PAVE共重合体、VdF/TFE/PAVE共重合体、VdF/HFP/PAVE共重合体、VdF/HFP/TFE/PAVE共重合体、VdF/TFE/プロピレン(Pr)共重合体、VdF/エチレン(Et)/HFP共重合体及びVdF/式(2)で表される含フッ素単量体(2)の共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体が好ましく、また、VdF以外の他の共単量体として、TFE、HFP及びPAVEからなる群より選択される少なくとも1種の共単量体を有するものであることがより好ましい。このなかでも、VdF/HFP共重合体、VdF/TFE/HFP共重合体、VdF/式(2)で表される含フッ素単量体(2)の共重合体、VdF/PAVE共重合体、VdF/TFE/PAVE共重合体、VdF/HFP/PAVE共重合体及びVdF/HFP/TFE/PAVE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体が好ましく、VdF/HFP共重合体、VdF/HFP/TFE共重合体、VdF/式(2)で表される含フッ素単量体(2)の共重合体及びVdF/PAVE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体がより好ましく、VdF/HFP共重合体、VdF/式(2)で表される含フッ素単量体(2)の共重合体及びVdF/PAVE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の共重合体が特に好ましい。
VdF/HFP共重合体は、VdF/HFPの組成が、(45〜85)/(55〜15)(モル%)であることが好ましく、より好ましくは(50〜80)/(50〜20)(モル%)であり、更に好ましくは(60〜80)/(40〜20)(モル%)である。
VdF/TFE/HFP共重合体は、VdF/TFE/HFPの組成が(30〜80)/(4〜35)/(10〜35)(モル%)のものが好ましい。
VdF/PAVE共重合体としては、VdF/PAVEの組成が(65〜90)/(35〜10)(モル%)のものが好ましい。
VdF/TFE/PAVE共重合体としては、VdF/TFE/PAVEの組成が(40〜80)/(3〜40)/(15〜35)(モル%)のものが好ましい。
VdF/HFP/PAVE共重合体としては、VdF/HFP/PAVEの組成が(65〜90)/(3〜25)/(3〜25)(モル%)のものが好ましい。
VdF/HFP/TFE/PAVE共重合体としては、VdF/HFP/TFE/PAVEの組成が(40〜90)/(0〜25)/(0〜40)/(3〜35)(モル%)のものが好ましく、(40〜80)/(3〜25)/(3〜40)/(3〜25)(モル%)のものがより好ましい。
VdF/式(2)で表される含フッ素単量体(2)系共重合体としては、VdF/含フッ素単量体(2)単位のモル%比が85/15〜20/80であり、VdF及び含フッ素単量体(2)以外の他の単量体単位が全単量体単位の0〜50モル%のものが好ましく、VdF/含フッ素単量体(2)単位のモル%比が80/20〜20/80であることがより好ましい。またVdF/含フッ素単量体(2)単位のモル%比が85/15〜50/50であり、VdF及び含フッ素単量体(2)以外他の単量体単位が全単量体単位の1〜50モル%であるものも好ましい。VdF及び含フッ素単量体(2)以外の他の単量体としては、TFE、HFP、PMVE、パーフルオロエチルビニルエーテル(PEVE)、PPVE、CTFE、トリフルオロエチレン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニル、エチレン(Et)、プロピレン(Pr)、アルキルビニルエーテル、架橋性基を与える単量体、及び、反応性乳化剤等の、上記VdFの共単量体として例示した単量体が好ましく、なかでもPMVE、CTFE、HFP、TFEであることがより好ましい。
TFE/プロピレン(Pr)系フッ素ゴムとは、TFE45〜70モル%、プロピレン(Pr)55〜30モル%からなる含フッ素共重合体をいう。これら2成分に加えて、特定の第3成分(例えばPAVE)をTFE単位及びプロピレン単位の合計に対し0〜40モル%含んでいてもよい。
エチレン(Et)/HFP共重合体としては、Et/HFPの組成が、(35〜80)/(65〜20)(モル%)であることが好ましく、(40〜75)/(60〜25)(モル%)がより好ましい。
Et/HFP/TFE共重合体は、Et/HFP/TFEの組成が、(35〜75)/(25〜50)/(0〜15)(モル%)であることが好ましく、(45〜75)/(25〜45)/(0〜10)(モル%)がより好ましい。
パーフルオロフッ素ゴムとしては、TFE/PAVEからなるもの等が挙げられる。TFE/PAVEの組成は、(50〜90)/(50〜10)(モル%)であることが好ましく、より好ましくは、(50〜80)/(50〜20)(モル%)であり、更に好ましくは、(55〜75)/(45〜25)(モル%)である。
この場合のPAVEとしては、例えばPMVE、PPVE等が挙げられ、これらをそれぞれ単独で、又は任意に組み合わせて用いることができる。
また、フッ素ゴム(A)としては、架橋性基を与える単量体を共重合したものも好適に用いることができる。架橋性基を与える単量体としては、製造法や架橋系に応じて適切な架橋性基を導入できるものであればよく、例えばヨウ素原子、臭素原子、炭素−炭素二重結合、シアノ基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、エステル基等を含む公知の重合性化合物、連鎖移動剤等が挙げられる。
好ましい架橋性基を与える単量体としては、
下記一般式(3):
CY1 2=CY2Rf 2X1 (3)
(式中、Y1、Y2は、同一又は異なって、フッ素原子、水素原子又はCH3;Rf 2は1個以上のエーテル結合を有していてもよく、芳香環を有していてもよい、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状の含フッ素アルキレン基;X1はヨウ素原子又は臭素原子)
で示される化合物が挙げられる。具体的には、例えば、下記一般式(4):
CY1 2=CY2Rf 3CHR1−X1 (4)
(式中、Y1、Y2、X1は前記同様であり、Rf 3は1個以上のエーテル結合を有していてもよく水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状の含フッ素アルキレン基、すなわち水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状の含フッ素アルキレン基、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状の含フッ素オキシアルキレン基、又は水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状の含フッ素ポリオキシアルキレン基;R1は水素原子又はメチル基)
で示されるヨウ素含有モノマー、臭素含有モノマー、下記一般式(5)〜(22):
CY4 2=CY4(CF2)n−X1 (5)
(式中、Y4は、同一又は異なって、水素原子又はフッ素原子、nは1〜8の整数)
CF2=CFCF2Rf 4−X1 (6)
(式中、
であり、nは0〜5の整数)
CF2=CFCF2(OCF(CF3)CF2)m
(OCH2CF2CF2)nOCH2CF2−X1 (7)
(式中、mは0〜5の整数、nは0〜5の整数)
CF2=CFCF2(OCH2CF2CF2)m
(OCF(CF3)CF2)nOCF(CF3)−X1 (8)
(式中、mは0〜5の整数、nは0〜5の整数)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))mO(CF2)n−X1 (9)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜8の整数)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))m−X1 (10)
(式中、mは1〜5の整数)
CF2=CFOCF2(CF(CF3)OCF2)nCF(−X1)CF3 (11)
(式中、nは1〜4の整数)
CF2=CFO(CF2)nOCF(CF3)−X1 (12)
(式中、nは2〜5の整数)
CF2=CFO(CF2)n−(C6H4)−X1 (13)
(式中、nは1〜6の整数)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))nOCF2CF(CF3)−X1 (14)
(式中、nは1〜2の整数)
CH2=CFCF2O(CF(CF3)CF2O)nCF(CF3)−X1 (15)
(式中、nは0〜5の整数)、
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)m(CF2)n−X1 (16)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数)
CH2=CFCF2OCF(CF3)OCF(CF3)−X1 (17)
CH2=CFCF2OCH2CF2−X1 (18)
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)mCF2CF(CF3)−X1 (19)
(式中、mは0以上の整数)
CF2=CFOCF(CF3)CF2O(CF2)n−X1 (20)
(式中、nは1以上の整数)
CF2=CFOCF2OCF2CF(CF3)OCF2−X1 (21)
CH2=CH−(CF2)nX1 (22)
(式中、nは2〜8の整数)
(上記一般式(5)〜(22)中、X1は上記と同様)
で表されるヨウ素含有モノマー、臭素含有モノマー等が挙げられ、これらをそれぞれ単独で、又は任意に組合わせて用いることができる。
下記一般式(3):
CY1 2=CY2Rf 2X1 (3)
(式中、Y1、Y2は、同一又は異なって、フッ素原子、水素原子又はCH3;Rf 2は1個以上のエーテル結合を有していてもよく、芳香環を有していてもよい、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状の含フッ素アルキレン基;X1はヨウ素原子又は臭素原子)
で示される化合物が挙げられる。具体的には、例えば、下記一般式(4):
CY1 2=CY2Rf 3CHR1−X1 (4)
(式中、Y1、Y2、X1は前記同様であり、Rf 3は1個以上のエーテル結合を有していてもよく水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状の含フッ素アルキレン基、すなわち水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状の含フッ素アルキレン基、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状の含フッ素オキシアルキレン基、又は水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状の含フッ素ポリオキシアルキレン基;R1は水素原子又はメチル基)
で示されるヨウ素含有モノマー、臭素含有モノマー、下記一般式(5)〜(22):
CY4 2=CY4(CF2)n−X1 (5)
(式中、Y4は、同一又は異なって、水素原子又はフッ素原子、nは1〜8の整数)
CF2=CFCF2Rf 4−X1 (6)
(式中、
CF2=CFCF2(OCF(CF3)CF2)m
(OCH2CF2CF2)nOCH2CF2−X1 (7)
(式中、mは0〜5の整数、nは0〜5の整数)
CF2=CFCF2(OCH2CF2CF2)m
(OCF(CF3)CF2)nOCF(CF3)−X1 (8)
(式中、mは0〜5の整数、nは0〜5の整数)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))mO(CF2)n−X1 (9)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜8の整数)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))m−X1 (10)
(式中、mは1〜5の整数)
CF2=CFOCF2(CF(CF3)OCF2)nCF(−X1)CF3 (11)
(式中、nは1〜4の整数)
CF2=CFO(CF2)nOCF(CF3)−X1 (12)
(式中、nは2〜5の整数)
CF2=CFO(CF2)n−(C6H4)−X1 (13)
(式中、nは1〜6の整数)
CF2=CF(OCF2CF(CF3))nOCF2CF(CF3)−X1 (14)
(式中、nは1〜2の整数)
CH2=CFCF2O(CF(CF3)CF2O)nCF(CF3)−X1 (15)
(式中、nは0〜5の整数)、
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)m(CF2)n−X1 (16)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数)
CH2=CFCF2OCF(CF3)OCF(CF3)−X1 (17)
CH2=CFCF2OCH2CF2−X1 (18)
CF2=CFO(CF2CF(CF3)O)mCF2CF(CF3)−X1 (19)
(式中、mは0以上の整数)
CF2=CFOCF(CF3)CF2O(CF2)n−X1 (20)
(式中、nは1以上の整数)
CF2=CFOCF2OCF2CF(CF3)OCF2−X1 (21)
CH2=CH−(CF2)nX1 (22)
(式中、nは2〜8の整数)
(上記一般式(5)〜(22)中、X1は上記と同様)
で表されるヨウ素含有モノマー、臭素含有モノマー等が挙げられ、これらをそれぞれ単独で、又は任意に組合わせて用いることができる。
上記一般式(4)で示されるヨウ素含有モノマー又は臭素含有モノマーとしては、下記一般式(23):
(式中、mは1〜5の整数であり、nは0〜3の整数)
で表されるヨウ素含有フッ素化ビニルエーテルが好ましく挙げられ、より具体的には、
等が挙げられるが、これらの中でも、ICH2CF2CF2OCF=CF2が好ましい。
で表されるヨウ素含有フッ素化ビニルエーテルが好ましく挙げられ、より具体的には、
上記一般式(5)で示されるヨウ素含有モノマー又は臭素含有モノマーとしてより具体的には、ICF2CF2CF=CH2、I(CF2CF2)2CF=CH2が好ましく挙げられる。
上記一般式(9)で示されるヨウ素含有モノマー又は臭素含有モノマーとしてより具体的には、I(CF2CF2)2OCF=CF2が好ましく挙げられる。
上記一般式(22)で示されるヨウ素含有モノマー又は臭素含有モノマーとしてより具体的には、CH2=CHCF2CF2I、I(CF2CF2)2CH=CH2が好ましく挙げられる。
また、式:R2R3C=CR4−Z−CR5=CR6R7
(式中、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は同じか又は異なり、いずれもH、又は炭素数1〜5のアルキル基;Zは、直鎖もしくは分岐状の、酸素原子を含んでいてもよい、好ましくは少なくとも部分的にフッ素化された炭素数1〜18のアルキレンもしくはシクロアルキレン基、又は(パー)フルオロポリオキシアルキレン基)で示されるビスオレフィン化合物も架橋性基を与える単量体として好ましい。なお、本明細書において、「(パー)フルオロポリオキシアルキレン基」とは、「フルオロポリオキシアルキレン基又はパーフルオロポリオキシアルキレン基」を意味する。
(式中、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は同じか又は異なり、いずれもH、又は炭素数1〜5のアルキル基;Zは、直鎖もしくは分岐状の、酸素原子を含んでいてもよい、好ましくは少なくとも部分的にフッ素化された炭素数1〜18のアルキレンもしくはシクロアルキレン基、又は(パー)フルオロポリオキシアルキレン基)で示されるビスオレフィン化合物も架橋性基を与える単量体として好ましい。なお、本明細書において、「(パー)フルオロポリオキシアルキレン基」とは、「フルオロポリオキシアルキレン基又はパーフルオロポリオキシアルキレン基」を意味する。
Zは好ましくは炭素数4〜12の(パー)フルオロアルキレン基であり、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は好ましくは水素原子である。
Zが(パー)フルオロポリオキシアルキレン基である場合、式:
−(Q)p−CF2O−(CF2CF2O)m−(CF2O)n−CF2−(Q)p−
(式中、Qは炭素数1〜10のアルキレン基又は炭素数2〜10のオキシアルキレン基であり、pは0又は1であり、m及びnはm/n比が0.2〜5となり且つ該(パー)フルオロポリオキシアルキレン基の分子量が500〜10000、好ましくは1000〜4000の範囲となるような整数である。)で表される(パー)フルオロポリオキシアルキレン基であることが好ましい。この式において、Qは好ましくは、−CH2OCH2−及び−CH2O(CH2CH2O)sCH2−(s=1〜3)の中から選ばれる。
−(Q)p−CF2O−(CF2CF2O)m−(CF2O)n−CF2−(Q)p−
(式中、Qは炭素数1〜10のアルキレン基又は炭素数2〜10のオキシアルキレン基であり、pは0又は1であり、m及びnはm/n比が0.2〜5となり且つ該(パー)フルオロポリオキシアルキレン基の分子量が500〜10000、好ましくは1000〜4000の範囲となるような整数である。)で表される(パー)フルオロポリオキシアルキレン基であることが好ましい。この式において、Qは好ましくは、−CH2OCH2−及び−CH2O(CH2CH2O)sCH2−(s=1〜3)の中から選ばれる。
好ましいビスオレフィンは、
CH2=CH−(CF2)4−CH=CH2、
CH2=CH−(CF2)6−CH=CH2、
式:CH2=CH−Z1−CH=CH2
(式中、Z1は−CH2OCH2−CF2O−(CF2CF2O)m−(CF2O)n−CF2−CH2OCH2−(m/nは0.5))
等が挙げられる。
CH2=CH−(CF2)4−CH=CH2、
CH2=CH−(CF2)6−CH=CH2、
式:CH2=CH−Z1−CH=CH2
(式中、Z1は−CH2OCH2−CF2O−(CF2CF2O)m−(CF2O)n−CF2−CH2OCH2−(m/nは0.5))
等が挙げられる。
なかでも、CH2=CH−(CF2)6−CH=CH2で示される3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ドデカフルオロ−1,9−デカジエンが好ましい。
上記フッ素ゴム(A)は、上述したなかでも、フッ化ビニリデン系共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体及びテトラフルオロエチレン/プロピレン系共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
フッ素ゴム(A)は数平均分子量Mn5000〜500000のものが好ましく、10000〜500000のものが更に好ましく、特に20000〜500000のものが好ましい。
また、例えば電線被覆材の粘度を低くしたい場合等では、上記のフッ素ゴム(A)に他のフッ素ゴムをブレンドしてもよい。他のフッ素ゴムとしては、低分子量液状フッ素ゴム(数平均分子量1000以上)、数平均分子量が10000程度の低分子量フッ素ゴム、更には数平均分子量が100000〜200000程度のフッ素ゴム等が挙げられる。
加工性の観点から、フッ素ゴム(A)は100℃におけるムーニー粘度が20〜200の範囲にあることが好ましく、30〜180の範囲にあることがより好ましい。ムーニー粘度は、JIS K6300に準拠して測定する。
以上説明した非パーフルオロフッ素ゴム及びパーフルオロフッ素ゴムは、乳化重合、懸濁重合、溶液重合等の常法により製造することができる。特にヨウ素(臭素)移動重合として知られるヨウ素(臭素)化合物を使用した重合法によれば、分子量分布が狭いフッ素ゴムを製造できる。前記重合において、温度、圧力などの各条件、重合開始剤、乳化剤やその他の添加剤は、非パーフルオロフッ素ゴム及びパーフルオロフッ素ゴムの組成や量に応じて適宜設定することができる。特開2009−52034号公報、国際公開第2008/001895号パンフレットに開示されている製造方法により前記非パーフルオロフッ素ゴム及びパーフルオロフッ素ゴムを製造することができる。
上記重合開始剤としては、例えば、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート(IPP)、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート(NPP)等のパーオキシカーボネート類に代表される油溶性ラジカル重合開始剤や、例えば、過硫酸、過ホウ酸、過塩素酸、過リン酸、過炭酸のアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩等の水溶性ラジカル重合開始剤等を使用できる。
上記乳化剤としては、たとえば、重合中におこる乳化剤分子への連鎖移動反応を抑制する観点から、フルオロカーボン鎖またはフルオロポリエーテル鎖を有するカルボン酸の塩類が好ましい。
具体的には、たとえば、パーフルオロオクタン酸アンモニウム、CF3(CF2)nCOONH4(n=2〜8)、CHF2(CF2)nCOONH4(n=6〜8)、C3F7OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4、CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4などが挙げられる。
(B)カーボンブラック
本発明に用いるカーボンブラック(B)としては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイト等が挙げられ、具体的には例えば、SAF−HS(N2SA:142m2/g、DBP:130ml/100g)、SAF(N2SA:142m2/g、DBP:115ml/100g)、N234(N2SA:126m2/g、DBP:125ml/100g)、ISAF(N2SA:119m2/g、DBP:114ml/100g)、ISAF−LS(N2SA:106m2/g、DBP:75ml/100g)、ISAF−HS(N2SA:99m2/g、DBP:129ml/100g)、N339(N2SA:93m2/g、DBP:119ml/100g)、HAF−LS(N2SA:84m2/g、DBP:75ml/100g)、HAS−HS(N2SA:82m2/g、DBP:126ml/100g)、HAF(N2SA:79m2/g、DBP:101ml/100g)、N351(N2SA:74m2/g、DBP:127ml/100g)、LI−HAF(N2SA:74m2/g、DBP:101ml/100g)、MAF−HS(N2SA:56m2/g、DBP:158ml/100g)、MAF(N2SA:49m2/g、DBP:133ml/100g)、FEF−HS(N2SA:42m2/g、DBP:160ml/100g)、FEF(N2SA:42m2/g、DBP:115ml/100g)、SRF−HS(N2SA:32m2/g、DBP:140ml/100g)、SRF−HS(N2SA:29m2/g、DBP:152ml/100g)、GPF(N2SA:27m2/g、DBP:87ml/100g)、SRF(N2SA:27m2/g、DBP:68ml/100g)等が挙げられる。これらの中でも、SAF−HS、SAF、N234、ISAF、ISAF−LS、ISAF−HS、N339、HAF−LS、HAS−HS、HAF、N351、LI−HAF、MAF−HSが好ましい。これらのカーボンブラックは単独で使用してもよいし、また2種以上を併用してもよい。
本発明に用いるカーボンブラック(B)としては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイト等が挙げられ、具体的には例えば、SAF−HS(N2SA:142m2/g、DBP:130ml/100g)、SAF(N2SA:142m2/g、DBP:115ml/100g)、N234(N2SA:126m2/g、DBP:125ml/100g)、ISAF(N2SA:119m2/g、DBP:114ml/100g)、ISAF−LS(N2SA:106m2/g、DBP:75ml/100g)、ISAF−HS(N2SA:99m2/g、DBP:129ml/100g)、N339(N2SA:93m2/g、DBP:119ml/100g)、HAF−LS(N2SA:84m2/g、DBP:75ml/100g)、HAS−HS(N2SA:82m2/g、DBP:126ml/100g)、HAF(N2SA:79m2/g、DBP:101ml/100g)、N351(N2SA:74m2/g、DBP:127ml/100g)、LI−HAF(N2SA:74m2/g、DBP:101ml/100g)、MAF−HS(N2SA:56m2/g、DBP:158ml/100g)、MAF(N2SA:49m2/g、DBP:133ml/100g)、FEF−HS(N2SA:42m2/g、DBP:160ml/100g)、FEF(N2SA:42m2/g、DBP:115ml/100g)、SRF−HS(N2SA:32m2/g、DBP:140ml/100g)、SRF−HS(N2SA:29m2/g、DBP:152ml/100g)、GPF(N2SA:27m2/g、DBP:87ml/100g)、SRF(N2SA:27m2/g、DBP:68ml/100g)等が挙げられる。これらの中でも、SAF−HS、SAF、N234、ISAF、ISAF−LS、ISAF−HS、N339、HAF−LS、HAS−HS、HAF、N351、LI−HAF、MAF−HSが好ましい。これらのカーボンブラックは単独で使用してもよいし、また2種以上を併用してもよい。
なかでも、カーボンブラック(B)の好ましいものとしては、窒素吸着比表面積(N2SA)が25〜180m2/gであって、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が45〜180ml/100gであるカーボンブラックが挙げられる。なお、カーボンブラックとして、N2SAやDBPの値の高いものを用いるときは、後述する、得られるフッ素ゴム架橋物の損失弾性率E”や貯蔵弾性率E’の値が高くなる。
窒素吸着比表面積(N2SA)が25m2/gよりも小さくなると、ゴムに配合した場合の耐屈曲性が低下する傾向にあり、この観点から、窒素吸着比表面積(N2SA)は50m2/g以上が好ましく、70m2/g以上がより好ましく、90m2/g以上が更に好ましく、110m2/g以上が特に好ましい。上限は、一般的に入手しやすい観点から180m2/gが好ましい。
ジブチルフタレート(DBP)吸油量が45ml/100gよりも小さくなると、ゴムに配合した場合の耐屈曲性が低下する傾向にあり、この観点から、50ml/100g以上、更には60ml/100g以上、特には80ml/100g以上、より更には90ml/100g以上が好ましい。上限は一般的に入手しやすい観点から、175ml/100g、更には170ml/100gが好ましい。
カーボンブラック(B)の配合量は、フッ素ゴム(A)100質量部に対して5〜65質量部が好ましい。カーボンブラック(B)が多くなりすぎると被覆の耐屈曲性が低下する傾向にあり、また、少なくなりすぎても被覆の耐屈曲性が低下する傾向にある。更に、物性バランスが良好な点から、フッ素ゴム(A)100質量部に対して6質量部以上がより好ましく、10質量部以上が更に好ましく、物性バランスが良好な点から55質量部以下がより好ましく、50質量部以下が更に好ましく、49質量部以下が更により好ましく、45質量部以下が特に好ましい。
本発明の電線被覆材は、上述したフッ素ゴム(A)及びカーボンブラック(B)を含む限り、以下のようなその他の成分を更に含んでもよい。
(C)架橋剤及び(D)架橋促進剤
本発明の電線被覆材は、架橋剤(C)及び/又は架橋促進剤(D)を含むことが好ましい。
架橋剤(C)及び架橋促進剤(D)は、架橋系、架橋するフッ素ゴム(A)の種類(例えば共重合組成、架橋性基の有無や種類等)、得られる架橋物の具体的用途や使用形態、そのほか混練条件等に応じて、適宜選択することができる。
本発明の電線被覆材は、架橋剤(C)及び/又は架橋促進剤(D)を含むことが好ましい。
架橋剤(C)及び架橋促進剤(D)は、架橋系、架橋するフッ素ゴム(A)の種類(例えば共重合組成、架橋性基の有無や種類等)、得られる架橋物の具体的用途や使用形態、そのほか混練条件等に応じて、適宜選択することができる。
架橋系としては、例えば過酸化物架橋系、ポリオール架橋系、ポリアミン架橋系、オキサゾール架橋系、チアゾール架橋系、イミダゾール架橋系、トリアジン架橋系等が採用できる。
(過酸化物架橋系)
過酸化物架橋系により架橋する場合は、架橋点に炭素−炭素結合を有しているので、架橋点に炭素−酸素結合を有するポリオール架橋系及び炭素−窒素二重結合を有するポリアミン架橋系に比べて、耐薬品性及び耐スチーム性に優れているという特徴がある。
過酸化物架橋系により架橋する場合は、架橋点に炭素−炭素結合を有しているので、架橋点に炭素−酸素結合を有するポリオール架橋系及び炭素−窒素二重結合を有するポリアミン架橋系に比べて、耐薬品性及び耐スチーム性に優れているという特徴がある。
過酸化物架橋系の架橋剤としては、熱や酸化還元系の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生し得る過酸化物であればよく、具体的には、例えば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)−m−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゼン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート等の有機過酸化物を挙げることができる。これらの中でも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン又は2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3が好ましい。
また、過酸化物架橋系では、通常、架橋促進剤を含むことが好ましい。過酸化物系架橋剤、特に有機過酸化物系架橋剤の架橋促進剤としては、例えば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアクリルホルマール、トリアリルトリメリテート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジプロパルギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタレートアミド、トリアリルホスフェート、ビスマレイミド、フッ素化トリアリルイソシアヌレート(1,3,5−トリス(2,3,3−トリフルオロ−2−プロペニル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン)、トリス(ジアリルアミン)−S−トリアジン、N,N−ジアリルアクリルアミド、1,6−ジビニルドデカフルオロヘキサン、ヘキサアリルホスホルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリルフタルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサン、トリ(5−ノルボルネン−2−メチレン)シアヌレート、トリアリルホスファイト等が挙げられる。これらの中でも、架橋性、架橋物の物性の点から、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好ましい。
過酸化物架橋系で用いる架橋促進剤としてはまた、低自己重合性架橋促進剤を用いることもできる。低自己重合性架橋促進剤は、架橋促進剤としてよく知られているトリアリルイソシアヌレート(TAIC)とは異なり、自己重合性が低い化合物をいう。
低自己重合性架橋促進剤としては、例えば、
で示されるトリメタリルイソシアヌレート(TMAIC)、
で示されるp−キノンジオキシム(p−quinonedioxime)、
で示されるp,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム(p,p’−dibenzoylquinonedioxime)、
で示されるマレイミド、
で示されるN−フェニレンマレイミド、
で示されるN,N’−フェニレンビスマレイミド等が挙げられる。
好ましい低自己重合性架橋促進剤は、トリメタリルイソシアヌレート(TMAIC)である。
過酸化物架橋系で用いる架橋促進剤としてはまた、ビスオレフィンを用いることもできる。
架橋促進剤として使用できるビスオレフィンとしては、例えば、式:
R2R3C=CR4−Z−CR5=CR6R7
(式中、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は同じか又は異なり、いずれもH、又は炭素数1〜5のアルキル基;Zは、線状(直鎖状)もしくは分岐状の、酸素原子を含んでいてもよい、少なくとも部分的にフッ素化された炭素数1〜18のアルキレンもしくはシクロアルキレン基、又は(パー)フルオロポリオキシアルキレン基)で示されるビスオレフィンが挙げられる。
R2R3C=CR4−Z−CR5=CR6R7
(式中、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は同じか又は異なり、いずれもH、又は炭素数1〜5のアルキル基;Zは、線状(直鎖状)もしくは分岐状の、酸素原子を含んでいてもよい、少なくとも部分的にフッ素化された炭素数1〜18のアルキレンもしくはシクロアルキレン基、又は(パー)フルオロポリオキシアルキレン基)で示されるビスオレフィンが挙げられる。
Zは好ましくは炭素数4〜12の(パー)フルオロアルキレン基であり、R2、R3、R4、R5、R6及びR7は好ましくは水素原子である。
Zが(パー)フルオロポリオキシアルキレン基である場合、
−(Q)p−CF2O−(CF2CF2O)m−(CF2O)n−CF2−(Q)p−
(式中、Qは炭素数1〜10のアルキレン又はオキシアルキレン基であり、pは0又は1であり、m及びnはm/n比が0.2〜5となり且つ該(パー)フルオロポリオキシアルキレン基の分子量が500〜10000、好ましくは1000〜4000の範囲となるような整数である。)で表される(パー)フルオロポリオキシアルキレン基であることが好ましい。この式において、Qは好ましくは、−CH2OCH2−及び−CH2O(CH2CH2O)sCH2−(s=1〜3)の中から選ばれる。
−(Q)p−CF2O−(CF2CF2O)m−(CF2O)n−CF2−(Q)p−
(式中、Qは炭素数1〜10のアルキレン又はオキシアルキレン基であり、pは0又は1であり、m及びnはm/n比が0.2〜5となり且つ該(パー)フルオロポリオキシアルキレン基の分子量が500〜10000、好ましくは1000〜4000の範囲となるような整数である。)で表される(パー)フルオロポリオキシアルキレン基であることが好ましい。この式において、Qは好ましくは、−CH2OCH2−及び−CH2O(CH2CH2O)sCH2−(s=1〜3)の中から選ばれる。
好ましいビスオレフィンとしては、
CH2=CH−(CF2)4−CH=CH2、
CH2=CH−(CF2)6−CH=CH2、
式:CH2=CH−Z1−CH=CH2
(式中、Z1は−CH2OCH2−CF2O−(CF2CF2O)m−(CF2O)n−CF2−CH2OCH2−(m/nは0.5))
等が挙げられる。
CH2=CH−(CF2)4−CH=CH2、
CH2=CH−(CF2)6−CH=CH2、
式:CH2=CH−Z1−CH=CH2
(式中、Z1は−CH2OCH2−CF2O−(CF2CF2O)m−(CF2O)n−CF2−CH2OCH2−(m/nは0.5))
等が挙げられる。
なかでも、CH2=CH−(CF2)6−CH=CH2で示される3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8-ドデカフルオロ−1,9−デカジエンが好ましい。
また、架橋性の観点から、過酸化物架橋系に好適なフッ素ゴム(A)としては、架橋点としてヨウ素原子及び/又は臭素原子を含むフッ素ゴムが好ましい。ヨウ素原子及び/又は臭素原子の含有量としては、0.001〜10質量%、更には0.01〜5質量%、特に0.1〜3質量%が、物性のバランスが良好な点から好ましい。
過酸化物架橋剤の配合量としては、フッ素ゴム(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜9質量部、特に好ましくは0.2〜8質量部である。過酸化物架橋剤が、0.01質量部未満であると、フッ素ゴム(A)の架橋が充分に進行しない傾向があり、10質量部を超えると、物性のバランスが低下する傾向がある。
また、架橋促進剤の配合量は、通常、フッ素ゴム(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部であり、好ましくは0.1〜9質量部である。架橋促進剤が、0.01質量部より少ないと、アンダーキュアとなる傾向があり、10質量部を超えると、物性バランスが低下する傾向がある。
(ポリオール架橋系)
ポリオール架橋系により架橋する場合は、架橋点に炭素−酸素結合を有しており、圧縮永久歪みが小さく、成形性に優れているという特徴がある点で好適である。
ポリオール架橋系により架橋する場合は、架橋点に炭素−酸素結合を有しており、圧縮永久歪みが小さく、成形性に優れているという特徴がある点で好適である。
ポリオール架橋剤としては、従来、フッ素ゴムの架橋剤として知られている化合物を用いることができ、例えば、ポリヒドロキシ化合物、特に、耐熱性に優れる点からポリヒドロキシ芳香族化合物が好適に用いられる。
上記ポリヒドロキシ芳香族化合物としては、特に限定されず、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン(以下、ビスフェノールAFという)、レゾルシン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシスチルベン、2,6−ジヒドロキシアントラセン、ヒドロキノン、カテコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(以下、ビスフェノールBという)、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)テトラフルオロジクロロプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、トリ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、3,3’,5,5’−テトラクロロビスフェノールA、3,3’,5,5’−テトラブロモビスフェノールA等が挙げられる。これらのポリヒドロキシ芳香族化合物は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等であってもよいが、酸を用いて共重合体を凝析する場合は、上記金属塩は用いないことが好ましい。
これらの中でも、得られる架橋物の圧縮永久歪みが小さく、成形性も優れているという点から、ポリヒドロキシ化合物が好ましく、耐熱性が優れることからポリヒドロキシ芳香族化合物がより好ましく、ビスフェノールAFが更に好ましい。
また、ポリオール架橋系では、通常、架橋促進剤を含むことが好ましい。架橋促進剤を用いると、フッ素ゴム主鎖の脱フッ酸反応における分子内二重結合の生成と、生成した二重結合へのポリヒドロキシ化合物の付加を促進することにより架橋反応を促進することができる。
ポリオール架橋系の架橋促進剤としては、一般にオニウム化合物が用いられる。オニウム化合物としては特に限定されず、例えば、第4級アンモニウム塩等のアンモニウム化合物、第4級ホスホニウム塩等のホスホニウム化合物、オキソニウム化合物、スルホニウム化合物、環状アミン、1官能性アミン化合物等が挙げられ、これらの中でも第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩が好ましい。
第4級アンモニウム塩としては特に限定されず、例えば、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムアイオダイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムメチルスルフェート、8−エチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムブロミド、8−プロピル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムブロミド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−エイコシル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−テトラコシル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムクロリド(以下、DBU−Bとする)、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−フェネチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−(3−フェニルプロピル)−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムクロリド等が挙げられる。これらの中でも、架橋性、架橋物の物性の点から、DBU−Bが好ましい。
また、第4級ホスホニウム塩としては特に限定されず、例えば、テトラブチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド(以下、BTPPCとする)、ベンジルトリメチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリブチルホスホニウムクロリド、トリブチルアリルホスホニウムクロリド、トリブチル−2−メトキシプロピルホスホニウムクロリド、ベンジルフェニル(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリド等を挙げることができ、これらの中でも、架橋性、架橋物の物性の点から、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド(BTPPC)が好ましい。
また、架橋促進剤として、第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩とビスフェノールAFの固溶体、特開平11−147891号公報に開示されている塩素フリー架橋促進剤を用いることもできる。
ポリオール架橋剤の配合量としては、フッ素ゴム(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜7質量部である。ポリオール架橋剤が、0.01質量部未満であると、フッ素ゴム(A)の架橋が充分に進行しない傾向があり、10質量部を超えると、物性のバランスが低下する傾向がある。
また、架橋促進剤の配合量は、フッ素ゴム(A)100質量部に対して、0.01〜8質量部であることが好ましく、より好ましくは0.02〜5質量部である。架橋促進剤が、0.01質量部未満であると、フッ素ゴム(A)の架橋が充分に進行しない傾向があり、8質量部を超えると、物性のバランスが低下する傾向がある。
(ポリアミン架橋系)
ポリアミン架橋により架橋してなる場合は、架橋点に炭素−窒素二重結合を有しているものであり、動的機械特性に優れているという特徴がある。しかし、ポリオール架橋系又は過酸化物架橋系架橋剤を用いて架橋する場合に比べて、架橋物の圧縮永久歪みが大きくなる傾向がある。
ポリアミン架橋により架橋してなる場合は、架橋点に炭素−窒素二重結合を有しているものであり、動的機械特性に優れているという特徴がある。しかし、ポリオール架橋系又は過酸化物架橋系架橋剤を用いて架橋する場合に比べて、架橋物の圧縮永久歪みが大きくなる傾向がある。
ポリアミン系架橋剤としては、例えば、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ビス(アミノシクロヘキシル)メタンカルバメート等のポリアミン化合物が挙げられる。これらの中でも、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミンが好ましい。
ポリアミン系架橋剤の配合量としては、フッ素ゴム(A)100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜7質量部である。ポリアミン系架橋剤が、0.01質量部未満であると、フッ素ゴム(A)の架橋が充分に進行しない傾向があり、10質量部を超えると、物性のバランスが低下する傾向がある。
本発明においては、架橋系として過酸化物架橋系又はポリオール架橋系が好ましく、それぞれの架橋系に適した架橋剤(C)を用いることが好ましい。なかでも、過酸化物架橋系の架橋剤を用いることがより好ましい。
本発明の電線被覆材には、必要に応じて通常のゴム配合物、例えば充填材、加工助剤、可塑剤、着色剤、粘着付与剤、接着助剤、受酸剤、顔料、難燃剤、滑剤、光安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、発泡剤、香料、オイル、柔軟化剤のほか、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタン等の他の重合体等を本発明の効果を損なわない範囲で配合してもよい。
充填材としては、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム等の金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウム等の炭酸塩;ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウム等のケイ酸塩;硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩;合成ハイドロタルサイト;二硫化モリブデン、硫化鉄、硫化銅等の金属硫化物;ケイ藻土、アスベスト、リトポン(硫化亜鉛/硫化バリウム)、グラファイト、フッ化カーボン、フッ化カルシウム、コークス、石英微粉末、タルク、雲母粉末、ワラストナイト、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填材、ポリテトラフルオロエチレン、マイカ、シリカ、セライト、クレー等が例示できる。また、受酸剤として、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイト等が挙げられ、これらの単独又は2種以上を適宜配合してもよい。これらは、後述する混練方法で、どの工程で添加するかは任意であるが、密閉式混練機やロール練り機でフッ素ゴム(A)とカーボンブラック(B)を混練する際に添加するのが好ましい。
加工助剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸等の高級脂肪酸;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸塩;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミド;オレイン酸エチル等の高級脂肪酸エステル;カルナバワックス、セレシンワックス等の石油系ワックス;エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコール等のポリグリコール;ワセリン、パラフィン等の脂肪族炭化水素;シリコーン系オイル、シリコーン系ポリマー、低分子量ポリエチレン、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ロジン、(ハロゲン化)ジアルキルアミン、界面活性剤、スルホン化合物、フッ素系助剤、有機アミン化合物等が例示できる。
なかでも有機アミン化合物や受酸剤は、フッ素ゴム(A)とカーボンブラック(B)を密閉式混練機やロール練り機で混練する際に共存させることにより、補強性が向上する点から好ましい配合剤である。
有機アミン化合物としては、R1NH2で示される1級アミン、R1R2NHで示される2級アミン、R1R2R3Nで示される3級アミンが好ましく挙げられる。R1、R2、R3は同じか又は異なり、いずれも炭素数1〜50のアルキル基が好ましく、アルキル基は官能基としてベンゼン環を含んでいてもよいし、二重結合、共役二重結合を含んでいてもよい。尚、アルキル基は直鎖型であってもよいし、分岐型でもあってもよい。
1級アミンとしては、例えばココナッツアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、牛脂アミン、17−フェニル−ヘプタデシルアミン、オクタデカ−7,11−ジエニルアミン、オクタデカ−7,9−ジエニルアミン、オクタデック−9−エニルアミン、7−メチル−オクタデック−7−エニルアミン等が挙げられ、2級アミンとしては、例えばジステアリルアミン等が、3級アミンとしては、例えばジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルベヘニルアミン等が挙げられる。なかでも炭素数が20個程度のアミン、特に1級アミンが入手の容易性や補強性が増大する点から好ましい。
有機アミン化合物の配合量は、フッ素ゴム(A)100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましい。有機アミン化合物が多くなりすぎると混練しにくくなる傾向にあり、また、少なくなりすぎると補強性が低下する傾向にある。更に好ましい配合量は、補強性の観点から、フッ素ゴム(A)100質量部に対して0.1質量部以上であり、補強性の観点と混練しやすさの観点から4質量部以下である。
受酸剤としては、先述したもののうち、例えば、水酸化カルシウム等の金属水酸化物;酸化マグネシウム、酸化亜鉛等の金属酸化物、ハイドロタルサイト等が、補強性の観点から好ましく、特に酸化亜鉛が好ましい。
受酸剤の配合量は、フッ素ゴム(A)100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましい。受酸剤が多くなりすぎると物性が低下する傾向にあり、また、少なくなりすぎると補強性が低下する傾向にある。更に好ましい配合量は、補強性の観点から、フッ素ゴム(A)100質量部に対して0.1質量部以上であり、物性の観点と混練しやすさの観点から8質量部以下が更により好ましく、5質量部以下が特に好ましい。
本発明の電線被覆材は、ラバープロセスアナライザ(RPA)による未架橋ゴムでの動的粘弾性試験(測定温度:100℃、測定周波数:1Hz)における動的歪み1%時の剪断弾性率G’(1%)及び動的歪み100%時の剪断弾性率G’(100%)の差δG’(G’(1%)−G’(100%))が、150kPa以上3000kPa以下である。
差δG’は、ゴム組成物の補強性という性質を評価する指標として用い、ラバープロセスアナライザ(RPA)による動的粘弾性試験で測定算出される。
差δG’が150kPa以上3000kPa以下の範囲にある電線被覆材は、常態物性及び高温時の耐屈曲性等の点で有利である。
差δG’は、常態物性及び高温時の耐屈曲性等が良好な点から、好ましくは160kPa以上、更に好ましくは300kPa以上、更により好ましくは400kPa以上、特に好ましくは500kPa以上であり、常態物性、硬度、押出成形時の粘度及び高温時の耐屈曲性等が良好な点から、好ましくは2800kPa以下、より好ましくは2500kPa以下である。
本発明の電線被覆材は、例えば密閉式混練機やロール練り機等を用いて製造できる。
具体的には、一層高温時の耐屈曲性に優れた被覆を与える電線被覆材が得られる点で、次の製造方法(1)により製造することが好ましい。
具体的には、一層高温時の耐屈曲性に優れた被覆を与える電線被覆材が得られる点で、次の製造方法(1)により製造することが好ましい。
(1)密閉式混練機又はロール練り機により、最高温度が80〜220℃に達するまで、フッ素ゴム(A)及びカーボンブラック(B)を混練して、中間組成物を得る工程(1−1)と、50℃未満になるまで中間組成物を冷却する工程(1−2)と、最高温度が10℃以上80℃未満に達するまで、冷却した中間組成物を混練して、電線被覆材を得る工程(2−1)と、を含む方法。
工程(1−1)は、最高温度が80〜220℃に達するまで、フッ素ゴム(A)及びカーボンブラック(B)を混練して、中間組成物を得る工程である。
工程(1−1)は、高温でフッ素ゴム(A)とカーボンブラック(B)とを混練することを特徴とする。工程(1−1)を経ることによって、高温時の耐屈曲性に優れた被覆を与える電線被覆材を製造することができる。
工程(1−1)における混練は、密閉式混練機又はロール練り機により実施する。工程(1−1)における混練は、高温での混練が可能である点で、密閉式混練機により実施することが好ましい。密閉式混練機としては、バンバリーミキサー等の接線式密閉式混練機、インターミックス等のかみ合い式密閉式混練機、加圧ニーダー、一軸混練機、二軸混練機等が挙げられる。
密閉式混練機を使用する場合、ローターの平均剪断速度を20〜1000(1/秒)とすることが好ましく、50〜1000(1/秒)とすることがより好ましく、100〜1000(1/秒)とすることが更に好ましく、200〜1000(1/秒)とすることが更により好ましく、300〜1000(1/秒)とすることが特に好ましい。
平均剪断速度(1/秒)は、次の式により算出される。
平均剪断速度(1/秒)=(π×D×R)/(60(秒)×c)
(式中、
D:ローター径又はロール径(cm)
R:回転速度(rpm)
c:チップクリアランス(cm。ローターとケーシングとの間隙の距離、又はロール同士の間隙の距離)
平均剪断速度(1/秒)=(π×D×R)/(60(秒)×c)
(式中、
D:ローター径又はロール径(cm)
R:回転速度(rpm)
c:チップクリアランス(cm。ローターとケーシングとの間隙の距離、又はロール同士の間隙の距離)
工程(1−1)において、更に、架橋剤(C)及び/又は架橋促進剤(D)を混練してもよい。特に、架橋系がポリオール架橋系である場合は、工程(1−1)において、更に、架橋剤(C)及び/又は架橋促進剤(D)を混練することが好ましい。フッ素ゴム(A)と、カーボンブラック(B)と、架橋剤(C)及び/又は架橋促進剤(D)とを同時に密閉式混練機に投入してから混練してもよいし、フッ素ゴムと架橋剤(C)及び/又は架橋促進剤(D)とを混練した後、カーボンブラック(B)を混練してもよい。
また、工程(1−1)において、更に有機アミン化合物及び/又は受酸剤を混練することも好ましい。
また、工程(1−1)において、更に有機アミン化合物及び/又は受酸剤を混練することも好ましい。
工程(1−1)における混練は、混練中の混練物の最高温度が80〜220℃に達するまで行うものである。上記混練は、最高温度が120℃以上に達するまで行うことが好ましく、最高温度が200℃以下に達するまで行うことが好ましい。上記最高温度は、混練機から排出された直後の混練物の温度を測定することにより把握することができる。
上記製造方法(1)において、工程(1−2)は、工程(1−1)により得られた中間組成物を50℃未満になるまで冷却する工程である。工程(1−1)において得られる中間組成物は、温度が80〜220℃であるが、中間組成物を充分に冷却してから工程(2−1)を実施することによって、高温時の耐屈曲性に優れた被覆を与える電線被覆材を製造することができる。工程(1−2)は、中間組成物全体が上述した範囲の温度になるように冷却することが好ましい。冷却温度の下限は特に限定されないが、10℃であってよい。
工程(1−2)において、ロール練り機を使用して、中間組成物を混練しながら冷却することも好ましい。
工程(1−1)及び工程(1−2)は、任意の回数繰り返してもよい。繰り返す場合の工程(1−1)及び工程(1−2)において、最高温度が120〜220℃に達するまで中間組成物を混練することが好ましく、最高温度が120〜140℃に達するまで中間組成物を混練することがより好ましい。工程(1−1)及び工程(1−2)を繰り返す場合、混練を密閉式混練機により行なってもよいし、ロール練り機により行なってもよいが、密閉式混練機により行うことが好ましい。
ロール練り機を使用する場合、ローターの平均剪断速度を20(1/秒)以上とすることが好ましく、50(1/秒)以上とすることがより好ましく、100(1/秒)以上とすることが更に好ましく、200(1/秒)以上とすることが更により好ましく、300(1/秒)以上とすることが特に好ましく、また、1000(1/秒)以下とすることが好ましい。
上記製造方法(1)は、密閉式混練機又はロール練り機、好ましくは密閉式混練機に、フッ素ゴム(A)及びカーボンブラック(B)を投入する工程を有することも好ましい。上記工程において、架橋剤(C)及び/又は架橋促進剤(D)を投入してもよいし、有機アミン化合物及び/又は受酸剤を投入してもよい。
工程(1−1)は、中間組成物を排出するまでの間に任意の添加剤を投入する工程を含んでもよい。該添加剤としては、1種又は2種以上を用いることができる。投入回数は1回でも複数回でもよい。2種以上の添加剤を投入する場合には、同時に投入してもよく、夫々別々の回に投入してもよい。また、1種の添加剤を複数回投入してもよい。「中間組成物を排出するまでの間に任意の添加剤を投入する工程」としては、例えば、工程(1−1)において最初に投入したカーボンブラック(B)とは異なるカーボンブラック(B’)を、中間組成物を排出するまでの間に投入する工程を挙げることができる。
工程(1−1)及び工程(1−2)を繰り返す場合にも、各回の工程(1−1)は、上述した「中間組成物を排出するまでの間に任意の添加剤を投入する工程」を含んでよい。例えば、2回目の工程(1−1)において、1回目の工程(1−1)で用いたカーボンブラック(B)とは異なるカーボンブラック(B’)を更に投入してもよい。
上記製造方法(1)において、工程(2−1)は、工程(1−2)で得られた冷却された中間組成物を混練して、電線被覆材を得る工程である。
工程(2−1)は、工程(1−2)において充分に冷却された中間組成物を、更に混練する工程であって、本発明の電線被覆材からなる被覆の高温時の耐屈曲性を改良するために重要となる工程である。
工程(2−1)における混練は、組成物の最高温度が10℃以上80℃未満に達するまで行うことが好ましい。混練中の組成物の最高温度が高すぎると、高温時の耐屈曲性に優れた被覆を与える電線被覆材を得ることができないおそれがある。
工程(2−1)は、工程(1−2)で得られた冷却された互いに異なる中間組成物同士を混練する工程を含んでもよい。この場合の混練は、上記互いに異なる中間組成物の混合物の最高温度が10℃以上80℃未満に達するまで行えばよい。
上記製造方法(1)は、工程(2−1)を実施した後、更に、工程(2−1)をm−1回(mは2以上の整数である)繰り返す工程(2−2)を含むことが好ましい。工程(2−1)を合計で2回以上実施することにより、高温時の耐屈曲性に優れた被覆を与える電線被覆材を安定して製造することができる。上記mは5以上の整数であることが好ましく、10以上の整数であることがより好ましく、30以上の整数であることが更に好ましく、50以上の整数であることが特に好ましい。工程(2−2)おける各混練の前には中間組成物を冷却する工程を含むことも好ましい。
工程(2−1)及び工程(2−2)における混練は、上述した密閉式混練機又はロール練り機で実施することができる。
工程(2−1)及び工程(2−2)は、中間組成物をロール練り機に投入して薄通しを行うことにより中間組成物を混練する工程であることが好ましい。
図1に薄通しによる混練の方法を概略的に示す。図1(a)に示すように、中間組成物13を第1のロール11と第2のロール12とを備えるオープンロール10に投入する。第1のロール11と第2のロール12とは矢印の方向に異なる速度で回転している。投入された中間組成物13は、次に、図1(b)に示すように、剪断力を受けながら第1のロール11と第2のロール12との間を通過することによりシート状に分出した後、図1(c)に示すように、分出した後の組成物14が任意の箇所で巻き取られる。
工程(2−1)及び工程(2−2)は、高温時の耐屈曲性に優れた被覆を与える電線被覆材を得る観点から、工程(2−1)で得られる電線被覆材及び工程(2−2)で得られる電線被覆材のG’(1%)/G’(100%)の値(P)を、工程(1−2)で得られる中間組成物のG’(1%)/G’(100%)の値(Q)で除して求められる値(P/Q)が、いずれも、0.3〜1.5となるように実施することが好ましく、1.3以下となるように実施することがより好ましく、1.0以下となるように実施することが更に好ましく、1.0未満となるように実施することが特に好ましく、0.9以下となるように実施することが殊更に好ましい。
動的歪み1%時の剪断弾性率G’(1%)及び剪断弾性率G’(1%)と動的歪み100%時の剪断弾性率G’(100%)との比(G’(1%)/G’(100%))は、アルファテクノロジーズ社製のラバープロセスアナライザ(型式:RPA2000)を用いて、100℃で1分間予熱後、100℃、1Hzの条件で測定される動的粘弾性から算出することができる。
1回の薄通しでも架橋物の高温時の耐屈曲性を向上させることができるが、更に優れた高温時の耐屈曲性を達成するために、上記薄通しを合計でm回(mは2以上の整数である)行うことが好ましい。上記mは5以上の整数であることが好ましく、10以上の整数であることがより好ましく、30以上の整数であることが更に好ましく、50以上の整数であることが特に好ましい。
上記製造方法(1)は、更に、工程(2−1)又は工程(2−2)で得られた電線被覆材と、架橋剤(C)及び/又は架橋促進剤(D)とを混練する工程を含むことも好ましい。上述したとおり、架橋剤(C)及び/又は架橋促進剤(D)は、工程(1−1)において混練してもよい。架橋系が過酸化物架橋系である場合は、工程(1−1)において架橋剤(C)及び架橋促進剤(D)を混練することなく、工程(2−1)又は工程(2−2)で得られた電線被覆材と架橋剤(C)及び/又は架橋促進剤(D)とを混練することが好ましい。
架橋剤(C)と架橋促進剤(D)は同時に配合し混練してもよいし、まず架橋促進剤(D)を配合混練し、ついで架橋剤(C)を配合混練してもよい。工程(1−1)において混練する場合、架橋剤(C)と架橋促進剤(D)の混練条件は、混練の最高温度が130℃以下であるほかは、上述した工程(1−1)と同じ条件であってよい。なかでも、ローターの平均速度を20(1/秒)以上、好ましくは50(1/秒)以上、より好ましくは100(1/秒)以上、更に好ましくは200(1/秒)以上、特に好ましくは300(1/秒)以上としたオープンロール、密閉式混練機等を使用して混練することが好ましい。工程(2−1)又は工程(2−2)で得られた電線被覆材と架橋剤(C)及び/又は架橋促進剤(D)とを混練する場合は、最高温度が130℃未満となるように混練することが好ましい。
上記製造方法(1)以外に、例えば以下の製造方法(2)を採用することもできる。
(2)密閉式混練機又はロール練り機にフッ素ゴム(A)とカーボンブラック(B)、要すれば有機アミン化合物及び/又は受酸剤を所定量投入し、ローターの平均剪断速度を20(1/秒)以上、好ましくは50(1/秒)以上、より好ましくは100(1/秒)以上、更に好ましくは200(1/秒)以上、特に好ましくは300(1/秒)以上、混練の最高温度Tmが80〜220℃(好ましくは120〜200℃)となる条件で混練する方法。製造方法(2)における混練は、高温での混練が可能である点で、密閉式混練機により実施することが好ましい。
上記(2)の方法で得られる電線被覆材は架橋剤(C)や架橋促進剤(D)等を含んでいない。また、上記(2)の方法の混練を複数回行ってもよい。複数回行う場合、2回目以降の混練条件は、混練の最高温度Tmを140℃以下とする以外は上記(2)の方法と同じ条件でよい。
上記製造方法(2)に基づく、本発明の電線被覆材の調製法の1つは、例えば、上記(2)の方法で得られた、あるいは上記(2)の方法を複数回繰り返して得られた電線被覆材に、更に架橋剤(C)及び/又は架橋促進剤(D)を配合し混練する方法である。
架橋剤(C)と架橋促進剤(D)は同時に配合し混練してもよいし、まず架橋促進剤(D)を配合混練し、ついで架橋剤(C)を配合混練してもよい。架橋剤(C)と架橋促進剤(D)の混練条件は、混練の最高温度Tmが130℃以下であるほかは、上記(2)の方法と同じ条件でよい。
本発明の電線被覆材の別の調製法は、例えばロール練り機にフッ素ゴム(A)とカーボンブラック(B)、架橋剤(C)及び/又は架橋促進剤(D)を適切な順序で所定量投入し、ローターの平均剪断速度を20(1/秒)以上、好ましくは50(1/秒)以上、より好ましくは100(1/秒)以上、更に好ましくは200(1/秒)以上、特に好ましくは300(1/秒)以上、混練の最高温度Tmが130℃以下の条件で混練する方法が挙げられる。
また、ポリオール架橋系の場合は、予めフッ素ゴム(A)と架橋剤(C)と架橋促進剤(D)を混合し、均一分散体にしたものを使用してもよい。例えば、フッ素ゴム(A)とポリオール系架橋剤と架橋促進剤をまず混練し、ついでカーボンブラックと後述する有機アミン化合物を配合して混練し、混練の最高温度Tmを80〜220℃とする。そして、最後に受酸剤を配合して混練し、混練の最高温度Tmを130℃以下とする方法が挙げられる。なお混練するにあたっては、平均剪断速度20(1/秒)以上(好ましくは50(1/秒)以上、より好ましくは100(1/秒)以上、更に好ましくは200(1/秒)以上、特に好ましくは300(1/秒)以上)で混練する方法を採用するのがより好ましい。
本発明の電線被覆材は、フッ素ゴム(A)及びカーボンブラック(B)を含む未架橋の組成物であってもよく、フッ素ゴム(A)及びカーボンブラック(B)を含む未架橋の組成物を架橋して得られる架橋物であってもよい。
本発明の電線被覆材は、架橋後の動的粘弾性試験(測定モード:引張、チャック間距離:20mm、引張歪み:1%、測定周波数:10Hz、歪み分散時の静荷重条件を一定力としたときの静張力値:157cN、測定温度:160℃)において、損失弾性率E”が、400kPa以上6000kPa以下であることが好ましい。損失弾性率E”が上記範囲内にあるとき、架橋物が常態物性及び高温時の耐屈曲性等に特に優れたものとなる。
下限としてはより好ましくは420kPa、更に好ましくは430kPaであり、上限としてはより好ましくは5900kPa、更に好ましくは5800kPaである。
また、本発明の電線被覆材は、架橋後の動的粘弾性試験(測定モード:引張、チャック間距離:20mm、測定温度:160℃、引張歪み:1%、歪み分散時の静荷重条件を一定力としたときの静張力値:157cN、周波数:10Hz)において、貯蔵弾性率E’が1500kPa以上20000kPa以下であることが、高温時の耐屈曲性の向上の点から更に好ましい。下限としては、より好ましくは1600kPa、更に好ましくは1800kPaであり、上限としては、より好ましくは19000kPa、更に好ましくは18000kPaである。
また、本発明の電線被覆材は、架橋物として、160℃において、100〜700%、更には110%以上、特に120%以上、また680%以下、特に650%以下の引張破断伸びを有していることが、高温環境下での使用等に適したものとなることから好ましい。
また、本発明の電線被覆材は、架橋物として、160℃において、1〜30MPa、更には1.5MPa以上、特に2MPa以上、また29MPa以下、特に28MPa以下の引張破断強度を有していることが、高温環境下での使用等に適したものとなることから好ましい。引張破断強度及び引張破断伸びは、JIS−K6251に準じて、6号ダンベルを用いて測定する。
また、本発明の電線被覆材は、架橋物として、160℃において、3〜30kN/m、更には4kN/m以上、特に5kN/m以上、また29kN/m以下、特に28kN/m以下の引裂き強度を有していることが、高温環境下での使用等に適したものとなることから好ましい。
また、本発明の電線被覆材は、架橋物として、200℃において、100〜700%、更には110%以上、特に120%以上、また680%以下、特に650%以下の引張破断伸びを有していることが、高温環境下での使用等に適したものとなることから好ましい。
また、本発明の電線被覆材は、架橋物として、200℃において、1〜30MPa、更には1.5MPa以上、特に2MPa以上、また29MPa以下、特に28MPa以下の引張破断強度を有していることが、高温環境下での使用等に適したものとなることから好ましい。
また、本発明の電線被覆材は、架橋物として、200℃において、3〜30kN/m、更には4kN/m以上、特に5kN/m以上、また29kN/m以下、特に28kN/m以下の引裂き強度を有していることが、高温環境下での使用等に適したものとなることから好ましい。
本発明は、上述した電線被覆材からなる被覆と、芯線とを有する電線でもある。本発明の電線は、芯線の外周に上記被覆が形成されたものである。
本発明の電線は、芯線と本発明の電線被覆材からなる被覆との間に他の層、例えば、樹脂層や本発明における被覆とは異なるゴム層を有してもよい。また、本発明の電線は、上記被覆の外周に、更に他の層、例えば、樹脂層や本発明における被覆とは異なるゴム層を有してもよい。
上記芯線は、導体からなるものである。上記導体の形成材料としては、導電性が良好な材料であれば特に制限されず、例えば、銅、銅合金、銅クラッドアルミニウム、アルミニウム、銀、金、亜鉛めっき鉄等が挙げられる。
上記芯線は、その形状に特に限定はなく、円形であっても平形であってもよい。円形導体
である場合、導体の直径は、0.1〜2.5mmであってよい。
である場合、導体の直径は、0.1〜2.5mmであってよい。
また、上記芯線は、上記導体の単線からなるものであってもよく、素線の撚り線からなるものであってもよい。撚り線の場合、例えば素線数/素線径(本/mm)が5/0.1〜84/0.45のものであってよい。
本発明の電線被覆材からなる被覆の厚みは特に限定されないが、例えば、0.05〜2.00mmであってよい。
上記被覆は、例えば、未架橋の電線被覆材を上記芯線の表面、又は、予め上述した他の層を形成した芯線における該他の層の表面に押出成形することにより、形成することができる。押出成形は、シリンダ温度、ヘッド温度が120℃以上程度の条件で行うことが好ましい。
また、上記被覆は、未架橋の電線被覆材をフィルム状に加工し、該フィルムを上記芯線の表面、又は、予め上述した他の層を形成した芯線における該他の層の表面に巻き付ける方法によっても形成することができる。
通常、上記のようにして形成された被覆は、その後、架橋処理される。架橋方法としては特に限定されず、公知の方法を採用してよい。上記被覆を、フィルム状に加工した電線被覆材を芯線に巻き付ける方法で形成する場合には、該フィルムを架橋処理した後、巻き付け工程を行ってもよい。
本発明の電線被覆材は、芯線の外周に設けられる絶縁層を形成するための絶縁被覆材として有用であるだけでなく、芯線の外周に設けられた絶縁層の外周を覆うシース層を形成するためのシース材としても有用である。
本発明の電線被覆材からなるシース材は、1の芯線とその外周に設けられた絶縁層とを有する1の電線の外周を覆ってもよく、1の芯線とその外周に設けられた絶縁層とを有する複数の電線からなる束の外周を覆ってもよい。上記シース材で覆われる絶縁層は、本発明の電線被覆材からなる絶縁層とは異なる任意の絶縁層であってよい。また、上記シース材からなるシース層は、電線における最外層であってよい。
本発明の電線被覆材からなるシース材は、1の芯線とその外周に設けられた絶縁層とを有する1の電線の外周を覆ってもよく、1の芯線とその外周に設けられた絶縁層とを有する複数の電線からなる束の外周を覆ってもよい。上記シース材で覆われる絶縁層は、本発明の電線被覆材からなる絶縁層とは異なる任意の絶縁層であってよい。また、上記シース材からなるシース層は、電線における最外層であってよい。
本発明の電線被覆材は、特に耐熱性が要求される自動車や航空機、軍需車輌等の耐熱電線の絶縁被覆材又はシース材として好適に使用できる。なかでも、内燃機関のトランスミッションオイル又はエンジンオイルに接触する環境で使用される被覆電線、又は自動車のオートマチックトランスミッション内又はエンジンのオイルパン内で使用される被覆電線の絶縁被覆材又はシース材として好適である。
本発明の電線は、上述した種々の被覆電線として好適に使用できる。
次に本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
本発明で採用した各種の物性の測定方法は、以下のとおりである。
(1)剪断弾性率G’
(1−1)動的歪み1%時の剪断弾性率G’(1%)及び動的歪み1%時の剪断弾性率G’(1%)と動的歪み100%時の剪断弾性率G’(100%)との比G’(1%)/G’(100%)の測定方法
アルファテクノロジーズ社製のラバープロセスアナライザ(型式:RPA2000)を用いて、100℃で1分間予熱後、100℃、1Hz(以下、剪断弾性率測定条件Aとする)で動的粘弾性を測定する。
(1−2)動的歪み1%時の剪断弾性率G’(1%)と動的歪み100%時の剪断弾性率G’(100%)との差δG’(G’(1%)−G’(100%))の測定方法
アルファテクノロジーズ社製のラバープロセスアナライザ(型式:RPA2000)を用いて、100℃、1Hz(以下、剪断弾性率測定条件Bとする)で動的粘弾性を測定する。
(1−1)動的歪み1%時の剪断弾性率G’(1%)及び動的歪み1%時の剪断弾性率G’(1%)と動的歪み100%時の剪断弾性率G’(100%)との比G’(1%)/G’(100%)の測定方法
アルファテクノロジーズ社製のラバープロセスアナライザ(型式:RPA2000)を用いて、100℃で1分間予熱後、100℃、1Hz(以下、剪断弾性率測定条件Aとする)で動的粘弾性を測定する。
(1−2)動的歪み1%時の剪断弾性率G’(1%)と動的歪み100%時の剪断弾性率G’(100%)との差δG’(G’(1%)−G’(100%))の測定方法
アルファテクノロジーズ社製のラバープロセスアナライザ(型式:RPA2000)を用いて、100℃、1Hz(以下、剪断弾性率測定条件Bとする)で動的粘弾性を測定する。
(2)貯蔵弾性率E’及び損失弾性率E”
測定装置:アイティー計測制御(株)製の動的粘弾性測定装置DVA−220
(測定条件)
試験片: 幅3mm×厚さ2mmサイズの長方体の架橋済みゴム
測定モード:引張
チャック間距離:20mm
測定温度:160℃
引張歪み:1%
歪み分散時の静荷重条件を一定力としたときの静張力値:157cN
周波数:10Hz
測定装置:アイティー計測制御(株)製の動的粘弾性測定装置DVA−220
(測定条件)
試験片: 幅3mm×厚さ2mmサイズの長方体の架橋済みゴム
測定モード:引張
チャック間距離:20mm
測定温度:160℃
引張歪み:1%
歪み分散時の静荷重条件を一定力としたときの静張力値:157cN
周波数:10Hz
(3)ムーニー粘度(ML1+10(100℃))
ムーニー粘度は、JIS K6300に準拠して測定する。測定温度は100℃である。
ムーニー粘度は、JIS K6300に準拠して測定する。測定温度は100℃である。
(4)引張破断強度、引張破断伸び
試験機は、(株)エー・アンド・ディ製の「テンシロン」RTG−1310、(株)東洋精機製作所製の「ストログラフ」TH−200Dを用いる。JIS−K6251に準じ、チャック間50mmに設定、引張速度500mm/min、6号ダンベルを用いて引張破断強度、引張破断伸びを測定する。測定温度は、25℃、160℃とする。
試験機は、(株)エー・アンド・ディ製の「テンシロン」RTG−1310、(株)東洋精機製作所製の「ストログラフ」TH−200Dを用いる。JIS−K6251に準じ、チャック間50mmに設定、引張速度500mm/min、6号ダンベルを用いて引張破断強度、引張破断伸びを測定する。測定温度は、25℃、160℃とする。
(5)デマチャ屈曲試験
JIS−K6260の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムのデマチャ屈曲亀裂成長試験方法」の試験方法に準じて、150℃、周波数5Hz、チャック間距離18mm、の条件でサンプルに1mmの破断が生じるまでの回数を測定した。数値が大きいほど耐屈曲性が良好である。
JIS−K6260の「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムのデマチャ屈曲亀裂成長試験方法」の試験方法に準じて、150℃、周波数5Hz、チャック間距離18mm、の条件でサンプルに1mmの破断が生じるまでの回数を測定した。数値が大きいほど耐屈曲性が良好である。
実施例では、次のフッ素ゴム、カーボンブラック、架橋剤、架橋促進剤、加工助剤及び受酸剤を使用した。
(カーボンブラック)
ISAF(N2SA=119m2/g、DBP吸油量=114ml/100g)。東海カーボン(株)製の「シースト6」(商品名)
HAF(N2SA=79m2/g、DBP吸油量=101ml/100g)。東海カーボン(株)製の「シースト3」(商品名)
MT(N2SA=8m2/g、DBP吸油量=43ml/100g)。Cancarb社製の「Thermax N990」(商品名)
(架橋剤)
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン。日油(株)製の「パーヘキサ25B」(商品名)
(架橋促進剤)
トリアリルイソシアヌレート(TAIC)。日本化成(株)製の「タイク」(商品名)
(加工助剤)
ステアリルアミン(ファーミン86T)(花王(株)製)
ステアリン酸(関東化学(株)製)
(受酸剤)
酸化亜鉛(一種)(堺化学工業(株)製)
ISAF(N2SA=119m2/g、DBP吸油量=114ml/100g)。東海カーボン(株)製の「シースト6」(商品名)
HAF(N2SA=79m2/g、DBP吸油量=101ml/100g)。東海カーボン(株)製の「シースト3」(商品名)
MT(N2SA=8m2/g、DBP吸油量=43ml/100g)。Cancarb社製の「Thermax N990」(商品名)
(架橋剤)
2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン。日油(株)製の「パーヘキサ25B」(商品名)
(架橋促進剤)
トリアリルイソシアヌレート(TAIC)。日本化成(株)製の「タイク」(商品名)
(加工助剤)
ステアリルアミン(ファーミン86T)(花王(株)製)
ステアリン酸(関東化学(株)製)
(受酸剤)
酸化亜鉛(一種)(堺化学工業(株)製)
(フッ素ゴムA1)
82Lのステンレススチール製のオートクレーブに純水44L、CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4の50%水溶液を8.8g、F(CF2)5COONH4の50%水溶液176gを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換した。230rpmで攪拌しながら80℃に昇温した後、初期槽内モノマー組成をVdF/HFP=50/50(モル比)、1.52MPaとなるようにモノマーを圧入した。ついで過硫酸アンモニウム(APS)1.0gを220mlの純水に溶解した重合開始剤溶液を窒素ガスで圧入し、反応を開始した。重合の進行に伴い内圧が1.42MPaに降下した時点で追加混合モノマーであるVdF/HFP=78/22(モル比)の追加混合モノマーを内圧が1.52MPaとなるまで圧入した。このとき、ジヨウ素化合物I(CF2)4Iの71gを圧入した。昇圧、降圧を繰り返しつつ、3時間ごとにAPSの1.0g/純水220ml水溶液を窒素ガスで圧入して、重合反応を継続した。混合モノマーを14000g追加した時点で、未反応モノマーを放出し、オートクレーブを冷却して、固形分濃度23.5質量%のフッ素ゴムのディスパージョンを得た。このフッ素ゴムをNMR分析により共重合組成を調べたところ、VdF/HFP=78/22(モル比)であり、ムーニー粘度(ML1+10(100℃))は62であった。このフッ素ゴムをフッ素ゴムA1とする。
82Lのステンレススチール製のオートクレーブに純水44L、CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4の50%水溶液を8.8g、F(CF2)5COONH4の50%水溶液176gを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換した。230rpmで攪拌しながら80℃に昇温した後、初期槽内モノマー組成をVdF/HFP=50/50(モル比)、1.52MPaとなるようにモノマーを圧入した。ついで過硫酸アンモニウム(APS)1.0gを220mlの純水に溶解した重合開始剤溶液を窒素ガスで圧入し、反応を開始した。重合の進行に伴い内圧が1.42MPaに降下した時点で追加混合モノマーであるVdF/HFP=78/22(モル比)の追加混合モノマーを内圧が1.52MPaとなるまで圧入した。このとき、ジヨウ素化合物I(CF2)4Iの71gを圧入した。昇圧、降圧を繰り返しつつ、3時間ごとにAPSの1.0g/純水220ml水溶液を窒素ガスで圧入して、重合反応を継続した。混合モノマーを14000g追加した時点で、未反応モノマーを放出し、オートクレーブを冷却して、固形分濃度23.5質量%のフッ素ゴムのディスパージョンを得た。このフッ素ゴムをNMR分析により共重合組成を調べたところ、VdF/HFP=78/22(モル比)であり、ムーニー粘度(ML1+10(100℃))は62であった。このフッ素ゴムをフッ素ゴムA1とする。
(フッ素ゴムA2)
3Lのステンレススチール製のオートクレーブに純水1.7L、CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4の50%水溶液を0.17g、F(CF2)5COONH4の50%水溶液6.8gを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換した。600rpmで攪拌しながら80℃に昇温した後、初期槽内モノマー組成をVdF/HFP=34/66(モル比)、1.52MPaとなるようにモノマーを圧入した。ついでAPS60mgを5mlの純水に溶解した重合開始剤溶液を窒素ガスで圧入し、反応を開始した。重合の進行に伴い内圧が1.42MPaに降下した時点で追加混合モノマーであるVdF/HFP=68/32(モル比)の追加混合モノマーを内圧が1.52MPaとなるまで圧入した。このとき、ジヨウ素化合物I(CF2)4Iの1.96gを圧入した。昇圧、降圧を繰り返しつつ、3時間ごとにAPSの60mg/純水5ml水溶液を窒素ガスで圧入して、重合反応を継続した。混合モノマーを600g追加した時点で、未反応モノマーを放出し、オートクレーブを冷却して、固形分濃度26.3質量%のフッ素ゴムのディスパージョンを2346g得た。重合時間は7.9時間であった。このフッ素ゴムをNMR分析により共重合組成を調べたところ、VdF/HFP=68/32(モル比)であり、ムーニー粘度(ML1+10(100℃))は69であった。このフッ素ゴムをフッ素ゴムA2とする。
3Lのステンレススチール製のオートクレーブに純水1.7L、CH2=CFCF2OCF(CF3)CF2OCF(CF3)COONH4の50%水溶液を0.17g、F(CF2)5COONH4の50%水溶液6.8gを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換した。600rpmで攪拌しながら80℃に昇温した後、初期槽内モノマー組成をVdF/HFP=34/66(モル比)、1.52MPaとなるようにモノマーを圧入した。ついでAPS60mgを5mlの純水に溶解した重合開始剤溶液を窒素ガスで圧入し、反応を開始した。重合の進行に伴い内圧が1.42MPaに降下した時点で追加混合モノマーであるVdF/HFP=68/32(モル比)の追加混合モノマーを内圧が1.52MPaとなるまで圧入した。このとき、ジヨウ素化合物I(CF2)4Iの1.96gを圧入した。昇圧、降圧を繰り返しつつ、3時間ごとにAPSの60mg/純水5ml水溶液を窒素ガスで圧入して、重合反応を継続した。混合モノマーを600g追加した時点で、未反応モノマーを放出し、オートクレーブを冷却して、固形分濃度26.3質量%のフッ素ゴムのディスパージョンを2346g得た。重合時間は7.9時間であった。このフッ素ゴムをNMR分析により共重合組成を調べたところ、VdF/HFP=68/32(モル比)であり、ムーニー粘度(ML1+10(100℃))は69であった。このフッ素ゴムをフッ素ゴムA2とする。
実施例1
実施例1では、工程(1−1)及び工程(1−2)を実施した後、工程(2−1)を実施した例並びに工程(2−1)の後で工程(2−2)を実施した例を示す。
混練機(トーシン(株)製のTD35 100MB、ローター直径:30cm、チップクリアランス:0.1cm)を用いて、フロントローター回転数:40rpm、バックローター回転数:33rpmの混練条件で、フッ素ゴムA1の100質量部にISAFカーボンブラックを20質量部、ステアリルアミンを0.5質量部、酸化亜鉛を1質量部混練し、フッ素ゴムプレコンパウンドを調製した。混練機から排出された混練物の温度は175℃であった。
この混練物を25℃に温調した16インチオープンロールミキサーで100℃以下になるように冷却混練してから排出した。続いて、冷却混練して得られた混練物を25℃で24時間熟成させて、フッ素ゴムプレコンパウンドB1を得た。フッ素ゴムプレコンパウンドB1の剪断弾性率を剪断弾性率測定条件Aで測定すると、G’(1%)は865.9kPaであり、剪断弾性率G’(1%)と剪断弾性率G’(100%)との比(G’(1%)/G’(100%))は4.86であった。一方、フッ素ゴムプレコンパウンドB1の剪断弾性率を剪断弾性率測定条件Bで測定すると、δG’は、503kPaであった。
実施例1では、工程(1−1)及び工程(1−2)を実施した後、工程(2−1)を実施した例並びに工程(2−1)の後で工程(2−2)を実施した例を示す。
混練機(トーシン(株)製のTD35 100MB、ローター直径:30cm、チップクリアランス:0.1cm)を用いて、フロントローター回転数:40rpm、バックローター回転数:33rpmの混練条件で、フッ素ゴムA1の100質量部にISAFカーボンブラックを20質量部、ステアリルアミンを0.5質量部、酸化亜鉛を1質量部混練し、フッ素ゴムプレコンパウンドを調製した。混練機から排出された混練物の温度は175℃であった。
この混練物を25℃に温調した16インチオープンロールミキサーで100℃以下になるように冷却混練してから排出した。続いて、冷却混練して得られた混練物を25℃で24時間熟成させて、フッ素ゴムプレコンパウンドB1を得た。フッ素ゴムプレコンパウンドB1の剪断弾性率を剪断弾性率測定条件Aで測定すると、G’(1%)は865.9kPaであり、剪断弾性率G’(1%)と剪断弾性率G’(100%)との比(G’(1%)/G’(100%))は4.86であった。一方、フッ素ゴムプレコンパウンドB1の剪断弾性率を剪断弾性率測定条件Bで測定すると、δG’は、503kPaであった。
次に、混練機(トーシン(株)製のTD35 100MB、ローター直径:30cm、チップクリアランス:0.1cm)を用いて、フロントローター回転数:40rpm、バックローター回転数:33rpmの混練条件で、フッ素ゴムプレコンパウンドB1を再度混練した。混練機から排出された混練物の温度は131℃であった。この混練物を25℃に温調した16インチオープンロールミキサーで100℃以下になるように冷却混練してから排出した。続いて、冷却混練した混練物を25℃で24時間熟成させて、フッ素ゴムプレコンパウンドC1を得た。フッ素ゴムプレコンパウンドC1の剪断弾性率を剪断弾性率測定条件Aで測定すると、G’(1%)は795.0kPaであり、剪断弾性率G’(1%)と剪断弾性率G’(100%)との比(G’(1%)/G’(100%))は4.45であった。一方、フッ素ゴムプレコンパウンドC1の剪断弾性率を剪断弾性率測定条件Bで測定すると、δG’は、477kPaであった。
さらに、フッ素ゴムプレコンパウンドC1を22インチオープンロールミキサー(ロール温度25℃、フロントロール回転数12rpm、バックロール回転数11rpm、ロール間隙0.2cm)を用いて、最高温度が76℃となるように薄通しした。
10回薄通ししたものをフッ素ゴムプレコンパウンドD1とした(すなわちmが10)。
フッ素ゴムプレコンパウンドD1の剪断弾性率を剪断弾性率測定条件Aで測定すると、G’(1%)は630.6kPaであり、剪断弾性率G’(1%)と剪断弾性率G’(100%)との比(G’(1%)/G’(100%))は3.86であった。フッ素ゴムプレコンパウンドD1のG’(1%)/G’(100%)の値をフッ素ゴムプレコンパウンドC1のG’(1%)/G’(100%)の値で除して求められる値は0.87であった。一方、フッ素ゴムプレコンパウンドD1の剪断弾性率を剪断弾性率測定条件Bで測定すると、δG’は、382kPaであった。
フッ素ゴムプレコンパウンドD1の剪断弾性率を剪断弾性率測定条件Aで測定すると、G’(1%)は630.6kPaであり、剪断弾性率G’(1%)と剪断弾性率G’(100%)との比(G’(1%)/G’(100%))は3.86であった。フッ素ゴムプレコンパウンドD1のG’(1%)/G’(100%)の値をフッ素ゴムプレコンパウンドC1のG’(1%)/G’(100%)の値で除して求められる値は0.87であった。一方、フッ素ゴムプレコンパウンドD1の剪断弾性率を剪断弾性率測定条件Bで測定すると、δG’は、382kPaであった。
次に、22インチオープンロール(関西ロール(株)製)を用いて、ロール温度25℃、フロントロール回転数12rpm、バックロール回転数11rpm、ロール間隙0.4cmの混練条件で、フッ素ゴムプレコンパウンド(D1)121.5質量部、架橋剤1.0質量部、架橋促進剤0.5質量部、及び、ステアリン酸1.0質量部を60分間混練し、フッ素ゴムフルコンパウンド(E1)を調製した。排出された混練物の温度は100℃であった。
フッ素ゴムフルコンパウンド(E1)を160℃で30分間プレスして架橋を行い、厚さ2mmのシート状試験片を作製した。このシートより試験片(JIS6号ダンベル)を作製し、25℃、160℃における引張破断強度、引張破断伸び測定、及び150℃においてデマチャ屈曲試験を行った。結果を表1に示す。
比較例1
混練機(トーシン(株)製のTD35 100MB、ローター直径:30cm、チップクリアランス:0.1cm)を用いて、フロントローター回転数:40rpm、バックローター回転数:33rpmの混練条件で、フッ素ゴムA1の100質量部にMTカーボンブラックを20質量部、ステアリルアミンを0.5質量部、酸化亜鉛を1質量部混練し、フッ素ゴムプレコンパウンドを調製した。混練機から排出された混練物の温度は144℃であった。
この混練物を25℃に温調した16インチオープンロールミキサーで100℃以下になるように冷却混練してから排出した。続いて、冷却混練して得られた混練物を25℃で24時間熟成させて、フッ素ゴムプレコンパウンドF1を得た。フッ素ゴムプレコンパウンドF1の剪断弾性率を剪断弾性率測定条件Aで測定すると、G’(1%)は251.0kPaであり、剪断弾性率G’(1%)と剪断弾性率G’(100%)との比(G’(1%)/G’(100%))は1.94であった。一方、フッ素ゴムプレコンパウンドF1の剪断弾性率を剪断弾性率測定条件Bで測定すると、δG’は、140kPaであった。
混練機(トーシン(株)製のTD35 100MB、ローター直径:30cm、チップクリアランス:0.1cm)を用いて、フロントローター回転数:40rpm、バックローター回転数:33rpmの混練条件で、フッ素ゴムA1の100質量部にMTカーボンブラックを20質量部、ステアリルアミンを0.5質量部、酸化亜鉛を1質量部混練し、フッ素ゴムプレコンパウンドを調製した。混練機から排出された混練物の温度は144℃であった。
この混練物を25℃に温調した16インチオープンロールミキサーで100℃以下になるように冷却混練してから排出した。続いて、冷却混練して得られた混練物を25℃で24時間熟成させて、フッ素ゴムプレコンパウンドF1を得た。フッ素ゴムプレコンパウンドF1の剪断弾性率を剪断弾性率測定条件Aで測定すると、G’(1%)は251.0kPaであり、剪断弾性率G’(1%)と剪断弾性率G’(100%)との比(G’(1%)/G’(100%))は1.94であった。一方、フッ素ゴムプレコンパウンドF1の剪断弾性率を剪断弾性率測定条件Bで測定すると、δG’は、140kPaであった。
さらに、フッ素ゴムプレコンパウンドF1を22インチオープンロールミキサー(ロール温度25℃、フロントロール回転数12rpm、バックロール回転数11rpm、ロール間隙0.2cm)を用いて、最高温度が76℃となるように薄通しした。
10回薄通ししたものをフッ素ゴムプレコンパウンドG1とした(すなわちmが10)。
フッ素ゴムプレコンパウンドG1の剪断弾性率を剪断弾性率測定条件Aで測定すると、G’(1%)は271.3kPaであり、剪断弾性率G’(1%)と剪断弾性率G’(100%)との比(G’(1%)/G’(100%))は2.15であった。フッ素ゴムプレコンパウンドG1のG’(1%)/G’(100%)の値をフッ素ゴムプレコンパウンドF1のG’(1%)/G’(100%)の値で除して求められる値は1.11であった。一方、フッ素ゴムプレコンパウンドG1の剪断弾性率を剪断弾性率測定条件Bで測定すると、δG’は、140kPaであった。
フッ素ゴムプレコンパウンドG1の剪断弾性率を剪断弾性率測定条件Aで測定すると、G’(1%)は271.3kPaであり、剪断弾性率G’(1%)と剪断弾性率G’(100%)との比(G’(1%)/G’(100%))は2.15であった。フッ素ゴムプレコンパウンドG1のG’(1%)/G’(100%)の値をフッ素ゴムプレコンパウンドF1のG’(1%)/G’(100%)の値で除して求められる値は1.11であった。一方、フッ素ゴムプレコンパウンドG1の剪断弾性率を剪断弾性率測定条件Bで測定すると、δG’は、140kPaであった。
次に、22インチオープンロール(関西ロール(株)製)を用いて、ロール温度25℃、フロントロール回転数12rpm、バックロール回転数11rpm、ロール間隙0.4cmの混練条件で、フッ素ゴムプレコンパウンド(G1)121.5質量部、架橋剤1.0質量部、架橋促進剤0.5質量部、及び、ステアリン酸1.0質量部を60分間混練し、フッ素ゴムフルコンパウンド(H1)を調製した。排出された混練物の温度は95℃であった。
フッ素ゴムフルコンパウンド(H1)を160℃で30分間プレスして架橋を行い、厚さ2mmのシート状試験片を作製した。このシートより試験片(JIS6号ダンベル)を作製し、25℃、160℃における引張破断強度、引張破断伸び測定、及び150℃においてデマチャ屈曲試験を行った。結果を表1に示す。
実施例2
混練機((株)モリヤマ製のMixLabo0.5L、ローター直径:6.6cm、チップクリアランス:0.05cm)を用いて、フロントローター回転数:60rpm、バックローター回転数:50rpmの混練条件で、フッ素ゴム(A2)100質量部にISAFカーボンブラック20質量部、ステアリルアミン0.5質量部、酸化亜鉛1.0質量部、を混練した。混練機から排出された混練物の温度は165℃であった。この混練物を25℃に温調した8インチオープンロールミキサーで100℃以下になるように冷却混練してから排出した。続いて、冷却混練して得られた混練物を25℃で24時間熟成させて、フッ素ゴムプレコンパウンドI1を得た。フッ素ゴムプレコンパウンドI1の剪断弾性率を剪断弾性率測定条件Bで測定すると、δG’は、568kPaであった。
次に、8インチオープンロール(関西ロール(株)製)を用いて、ロール温度25℃、フロントロール回転数21rpm、バックロール回転数19rpm、ロール間隙0.1cmの混練条件で、フッ素ゴムプレコンパウンド(I1)121.5質量部、架橋剤1.0質量部、架橋促進剤0.5質量部、及び、ステアリルアミン0.5質量部を15分間混練し、フッ素ゴムフルコンパウンド(J1)を調製した。排出された混練物の温度は70℃であった。フッ素ゴムフルコンパウンド(J1)を160℃で30分間プレスして架橋を行い、厚さ2mmのシート状試験片を作製した。このシートより試験片(JIS6号ダンベル)を作製し、25℃、160℃における引張破断強度、引張破断伸び測定、及び150℃においてデマチャ屈曲試験を行った。結果を表1に示す。
混練機((株)モリヤマ製のMixLabo0.5L、ローター直径:6.6cm、チップクリアランス:0.05cm)を用いて、フロントローター回転数:60rpm、バックローター回転数:50rpmの混練条件で、フッ素ゴム(A2)100質量部にISAFカーボンブラック20質量部、ステアリルアミン0.5質量部、酸化亜鉛1.0質量部、を混練した。混練機から排出された混練物の温度は165℃であった。この混練物を25℃に温調した8インチオープンロールミキサーで100℃以下になるように冷却混練してから排出した。続いて、冷却混練して得られた混練物を25℃で24時間熟成させて、フッ素ゴムプレコンパウンドI1を得た。フッ素ゴムプレコンパウンドI1の剪断弾性率を剪断弾性率測定条件Bで測定すると、δG’は、568kPaであった。
次に、8インチオープンロール(関西ロール(株)製)を用いて、ロール温度25℃、フロントロール回転数21rpm、バックロール回転数19rpm、ロール間隙0.1cmの混練条件で、フッ素ゴムプレコンパウンド(I1)121.5質量部、架橋剤1.0質量部、架橋促進剤0.5質量部、及び、ステアリルアミン0.5質量部を15分間混練し、フッ素ゴムフルコンパウンド(J1)を調製した。排出された混練物の温度は70℃であった。フッ素ゴムフルコンパウンド(J1)を160℃で30分間プレスして架橋を行い、厚さ2mmのシート状試験片を作製した。このシートより試験片(JIS6号ダンベル)を作製し、25℃、160℃における引張破断強度、引張破断伸び測定、及び150℃においてデマチャ屈曲試験を行った。結果を表1に示す。
実施例3
混練機((株)モリヤマ製のMixLabo0.5L、ローター直径:6.6cm、チップクリアランス:0.05cm)を用いて、フロントローター回転数:60rpm、バックローター回転数:50rpmの混練条件で、フッ素ゴム(A1)100質量部にHAFカーボンブラック20質量部、ステアリルアミン0.5質量部、酸化亜鉛1.0質量部、を混練した。混練機から排出された混練物の温度は165℃であった。この混練物を25℃に温調した8インチオープンロールミキサーで100℃以下になるように冷却混練してから排出した。続いて、冷却混練して得られた混練物を25℃で24時間熟成させて、フッ素ゴムプレコンパウンドK1を得た。フッ素ゴムプレコンパウンドK1の剪断弾性率を剪断弾性率測定条件Bで測定すると、δG’は、430kPaであった。
次に、8インチオープンロール(関西ロール(株)製)を用いて、ロール温度25℃、フロントロール回転数21rpm、バックロール回転数19rpm、ロール間隙0.1cmの混練条件で、フッ素ゴムプレコンパウンド(K1)121.5質量部、架橋剤1.0質量部、架橋促進剤0.5質量部、及び、ステアリルアミン0.5質量部を15分間混練し、フッ素ゴムフルコンパウンド(L1)を調製した。排出された混練物の温度は70℃であった。フッ素ゴムフルコンパウンド(L1)を160℃で30分間プレスして架橋を行い、厚さ2mmのシート状試験片を作製した。このシートより試験片(JIS6号ダンベル)を作製し、25℃、160℃における引張破断強度、引張破断伸び測定、及び150℃においてデマチャ屈曲試験を行った。結果を表1に示す。
混練機((株)モリヤマ製のMixLabo0.5L、ローター直径:6.6cm、チップクリアランス:0.05cm)を用いて、フロントローター回転数:60rpm、バックローター回転数:50rpmの混練条件で、フッ素ゴム(A1)100質量部にHAFカーボンブラック20質量部、ステアリルアミン0.5質量部、酸化亜鉛1.0質量部、を混練した。混練機から排出された混練物の温度は165℃であった。この混練物を25℃に温調した8インチオープンロールミキサーで100℃以下になるように冷却混練してから排出した。続いて、冷却混練して得られた混練物を25℃で24時間熟成させて、フッ素ゴムプレコンパウンドK1を得た。フッ素ゴムプレコンパウンドK1の剪断弾性率を剪断弾性率測定条件Bで測定すると、δG’は、430kPaであった。
次に、8インチオープンロール(関西ロール(株)製)を用いて、ロール温度25℃、フロントロール回転数21rpm、バックロール回転数19rpm、ロール間隙0.1cmの混練条件で、フッ素ゴムプレコンパウンド(K1)121.5質量部、架橋剤1.0質量部、架橋促進剤0.5質量部、及び、ステアリルアミン0.5質量部を15分間混練し、フッ素ゴムフルコンパウンド(L1)を調製した。排出された混練物の温度は70℃であった。フッ素ゴムフルコンパウンド(L1)を160℃で30分間プレスして架橋を行い、厚さ2mmのシート状試験片を作製した。このシートより試験片(JIS6号ダンベル)を作製し、25℃、160℃における引張破断強度、引張破断伸び測定、及び150℃においてデマチャ屈曲試験を行った。結果を表1に示す。
実施例1、2、3及び比較例1で作製したフッ素ゴムフルコンパウンドを押出成型し、電線を作製した。尚、芯線には、銅合金撚り線(素線数/素線径=18本/0.15mm)のものを用い、ゴム層の厚みを0.5mm設定とした。これを160℃で30分熱処理し、電線とした。作製した電線を40mmの長さに切断し、試験片とし、デマッチャ試験機を用いて、150℃、周波数5Hz、チャック間距離30mmの条件で、複数回屈曲させ、ゴム層にクラックが入るまでの回数を測定した。結果を表2に示す。
10:オープンロール
11:第1のロール
12:第2のロール
13:中間組成物
14:分出した後の組成物
11:第1のロール
12:第2のロール
13:中間組成物
14:分出した後の組成物
Claims (6)
- フッ素ゴム(A)及びカーボンブラック(B)を含む電線被覆材であって、
ラバープロセスアナライザ(RPA)による動的粘弾性試験(測定周波数:1Hz、測定温度:100℃)において、未架橋時の動的歪み1%時の剪断弾性率G’(1%)及び動的歪み100%時の剪断弾性率G’(100%)の差δG’(G’(1%)−G’(100%))が、150kPa以上、3000kPa以下である
ことを特徴とする電線被覆材。 - フッ素ゴム(A)100質量部に対してカーボンブラック(B)を5〜65質量部含む請求項1記載の電線被覆材。
- カーボンブラック(B)は、窒素吸着比表面積(N2SA)が25〜180m2/gであって、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が45〜180ml/100gである請求項1又は2記載の電線被覆材。
- フッ素ゴム(A)が、フッ化ビニリデン系共重合体、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)系共重合体及びテトラフルオロエチレン/プロピレン系共重合体からなる群より選択される少なくとも1種である請求項1、2又は3記載の電線被覆材。
- 更に、架橋剤(C)及び/又は架橋促進剤(D)を含む請求項1、2、3又は4記載の電線被覆材。
- 請求項1、2、3、4又は5記載の電線被覆材からなる被覆と、芯線とを有する電線。
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-
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