JP6321868B1 - タイヤの製造方法及びタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】タイヤ内面に硫黄を高濃度に含有する部材を備えた未加硫タイヤを加硫する場合に、加硫用ブラダーへの硫黄の移行を効果的に抑制できる、タイヤの製造方法の提供。【解決手段】ゴム成分100質量部に対して、硫黄を1.0質量部以上含むゴム組成物からなる高濃度硫黄ゴム部材を、タイヤ最内面20aの少なくとも一部に備える未加硫タイヤ20に加硫を行う加硫工程を含み、前記加硫工程では、フッ素ゴムを50〜100質量%含むブラダー用ゴム組成物からなる加硫用ブラダー10を用いるタイヤの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、タイヤの製造方法及びタイヤに関する。
従来、タイヤの加硫処理においては、外部から供給されるスチーム等の加熱媒体の供給又は排出によって膨張、収縮する加硫用ブラダーを備えた加硫装置を用いる方法が知られている。
加硫用ブラダーは、加硫装置の金型内にセットされた未加硫タイヤ(グリーンタイヤ)の内周側に配設され、加硫開始とともに加熱媒体が供給されて膨張し、加硫前のタイヤの外周面を所定のパターンが形成された金型の型付け面方向に押し付ける。加硫用ブラダーによって金型方向に押し付けられた状態の未加硫タイヤは、所定の加硫度に達するまでの所定時間の間、加硫用ブラダーを介して加圧、加熱された状態として維持され、徐々に加硫が進行する。
ここで、加硫用ブラダーについては、耐久性向上の観点から、特に耐熱老化性等が求められ、加硫用ブラダーを構成する材料の組成の適正化を図る技術(例えば、特許文献1を参照。)が知られている。
特開平10−287779号公報
さらに近年、加硫用ブラダーを用いた加硫処理については、上述した耐熱老化性の課題だけでなく、未加硫タイヤの内面から硫黄が加硫用ブラダーへと移行することに起因した、加硫ブラダーの硬化による劣化という問題が知られることとなった。
特に、硫黄を高濃度で含有するゴム部材(以下、「高濃度硫黄ゴム部材」ということがある。)をタイヤ内面に備える未加硫タイヤについては、加硫中に高濃度硫黄ゴム部材中の硫黄が加硫用ブラダーへと移行する傾向が顕著に表れるため、加硫用ブラダーの硬化が進みやすく、耐久性が低下し、加硫用ブラダーの寿命が短くなるという問題もあった。
また、タイヤ内面の部材から加硫用ブラダーへと硫黄が移行した場合、加硫用ブラダーに接するゴム部材中におけるタイヤ厚み方向の硫黄濃度の分布が不均一化するため、加硫後のタイヤの物性が変化するというおそれがあった。
そのため、本発明の目的は、タイヤ内面に硫黄を高濃度に含有する部材を備えた未加硫タイヤを加硫する場合に、加硫用ブラダーへの硫黄の移行を効果的に抑制できる、タイヤの製造方法を提供することにある。また、本発明の他の目的は、加硫時に硫黄量が減少することなく、狙い通りの物性を有する、タイヤを提供することにある。
本発明のタイヤの製造方法は、ゴム成分100質量部に対して、硫黄を1.0質量部以上含むゴム組成物からなる高濃度硫黄ゴム部材を、タイヤ最内面の少なくとも一部に備える未加硫タイヤに加硫を行う加硫工程を含み、前記加硫工程では、フッ素ゴムを50〜100質量%含むブラダー用ゴム組成物からなる加硫用ブラダーを用いることを特徴とする。
前記構成を具えることによって、加硫時の高濃度硫黄ゴム部材から加硫用ブラダーへの硫黄の移行を、効果的に抑制できる。
また、本発明のタイヤの製造方法では、前記ブラダー用ゴム組成物が、フッ素ゴムを実質100質量%含むことが好ましい。加硫時の高濃度硫黄ゴム部材から加硫用ブラダーへの硫黄移行を、より効果的に抑制できるためである。
さらに、本発明のタイヤの製造方法では、前記高濃度硫黄ゴム部材が、チェーファーゴム及び/又はランフラット補強ゴムであることが好ましい。加硫時の高濃度硫黄ゴム部材から加硫用ブラダーへの硫黄移行抑制効果が、より顕著に発揮されるためである。
また、本発明のタイヤの製造方法では、記フッ素ゴムが、フッ化ビニリデンに由来する構造単位(VdF単位)と、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、2,3,3,3−テトラフルオロプロピレン及びパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)からなる群より選択される少なくとも1種に由来する構造単位と、を有するフッ化ビニリデン系フッ素ゴムであり、前記フッ素ゴムにおける、VdF単位と、HFP、2,3,3,3−テトラフルオロプロピレン及びPAVEからなる群より選択される少なくとも1種に由来する構造単位とのモル比が、50/50〜78/22であることが好ましく、 前記フッ素ゴムが、ラバープロセスアナライザ(RPA)による動的粘弾性試験(測定周波数:1Hz、測定温度:100℃)における、未加硫時の動的歪み1%時の剪断弾性率G’(1%)及び動的歪み100%時の剪断弾性率G’(100%)の差δG’(G’(1%)−G’(100%))が、120kPa以上、3000kPa以下であることがより好ましい。加硫時の高濃度硫黄ゴム部材から加硫用ブラダーへの硫黄移行を、より効果的に抑制できるためである。
さらに、本発明のタイヤの製造方法では、前記ブラダー用ゴム組成物が、脂肪油及び脂肪族炭化水素からなる群より選択される少なくとも一種をさらに含むことが好ましい。加硫用ブラダーの高温時の引張破断伸びや強度を向上させることができるためである。
さらにまた、本発明のタイヤの製造方法では、前記脂肪油は、不乾性油及び半乾性油からなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。大きな引張破断伸びを示し、低硬度であるブラダー用ゴム架橋物を得ることができるためである。
また、本発明のタイヤの製造方法では、前記ブラダー用ゴム組成物が、カーボンブラックをさらに含み、該カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が25〜180m2/gであり、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が40〜180ml/100gであることが好ましい。加硫用ブラダーの高温時の引張破断伸びや強度を向上させることができるためである。
本発明のタイヤは、上述した本発明のタイヤの製造方法によって得られたことを特徴とする。
前記構成を具えることによって、得られたタイヤは、加硫時に硫黄量が減少することなく、狙い通りの物性を有することができる。
本発明によれば、タイヤ内面に硫黄を高濃度に含有する部材を備えた未加硫タイヤを加硫する場合に、加硫用ブラダーへの硫黄の移行を効果的に抑制できる、タイヤの製造方法を提供できる。また、本発明によれば、加硫時に硫黄量が減少することなく、狙い通りの物性を有するタイヤを提供することができる。
加硫用ブラダーを備える加硫装置によって未加硫タイヤを加硫する際の状態を模式的に示した、タイヤ幅方向の断面図である。 実施例での加硫タイヤのサンプルについて、走査型電子顕微鏡及び電子プローブマイクロアナライザーを用いてタイヤ最内面から深さ方向における硫黄量(%)を測定した結果を示したグラフである。
以下に、本発明のタイヤの製造方法及びタイヤの一実施形態について、具体的に例示説明する。
ここで、図1は、加硫用ブラダーを備える加硫装置によって未加硫タイヤを加硫する際の状態を模式的に示したものである。
なお、本発明のタイヤの製造方法で使用される加硫装置40については、加硫用ブラダー10及び未加硫タイヤを成型するための金型30を備えること以外は特に限定はされず、公知の加硫装置40を使用することができる。
そして、本発明のタイヤの製造方法は、図1に示すように、ゴム成分100質量部に対して、硫黄を1.0質量部以上含むゴム組成物からなるからなる高濃度硫黄ゴム部材(図示せず)を、タイヤ最内面20aの少なくとも一部に備える未加硫タイヤ20に加硫を行う加硫工程を含み、この加硫工程では、フッ素ゴムを50〜100質量%含むブラダー用ゴム組成物からなる加硫用ブラダー10を用いることを特徴とする。
前記加硫用ブラダー10を、フッ素ゴムを50〜100質量%含むブラダー用ゴム組成物から構成することによって、前記未加硫タイヤ20のタイヤ最内面20a(前記加硫用ブラダーと接する面)に設けられた硫黄を高い濃度(ゴム成分100質量部に対して1.0質量部以上)で含有する高濃度硫黄ゴム部材から硫黄が移行するのを効果的に抑制することができる。その結果、加硫時に未加硫タイヤ中の硫黄量が減少することなく、狙い通りの物性を有するタイヤを製造すること可能となる。さらに、前記加硫時に未加硫タイヤ20中の硫黄が加硫用ブラダー10へと移行することがないため、加硫用ブラダーの硬化を防ぎ、使用寿命を延ばすことも可能となる。
(未加硫タイヤ)
本発明のタイヤの製造方法では、未加硫タイヤとして、ゴム成分100質量部に対して、硫黄を1.0質量部以上含むゴム組成物からなる高濃度硫黄ゴム部材を、タイヤ最内面の少なくとも一部に備える未加硫タイヤを用いる。
ここで、前記高濃度硫黄ゴム部材については、ゴム成分100質量部に対して、硫黄を1.0質量部以上含むゴム組成物からなり、前記未加硫タイヤのタイヤ最内面の少なくとも一部に位置するものであれば特に限定はされず、種々の部材が挙げられる。例えば、チェーファーゴム、インナーライナーゴム、ランフラット補強ゴム(サイド補強ゴム)、トゥゴム等である。それらの中でも、前記高濃度硫黄ゴム部材が、チェーファーゴム及び/又はランフラット補強ゴムであることが好ましい。通常、これらの部材は、前記未加硫タイヤの最内面に設けられる部材の中でも硫黄濃度が高く、本発明の効果である加硫時の高濃度硫黄ゴム部材から加硫用ブラダーへの硫黄移行抑制効果を、より顕著に発揮できるからである。
なお、タイヤ最内面に前記ランフラット補強ゴムが位置するタイヤについては、例えば、特開2014−31147号公報の図2等に示されるように、タイヤサイド部に該当する部分におけるインナーライナーゴムの一部を除いた構成を取ることもきる。このような構成を取ることで、ランフラットタイヤにおいてタイヤ軽量化や乗り心地向上といった効果を得ながら、加硫用ブラダーの硬化を防ぎ、タイヤ性能を配合思想通りのものとすることが可能となる。
また、前記高濃度硫黄ゴム部材を構成するゴム組成物中の硫黄濃度については、ゴム成分100質量部に対して1.0質量部以上であることを要し、1.5質量部以上であることが好ましく、3.0質量部以上であることがより好ましく、5.0質量部以上であることが特に好ましい。前記ゴム組成物中の硫黄濃度が、前記ゴム成分100質量部に対して1.0質量部未満の場合、加硫ブラダーの硬化やゴム中の硫黄濃度の不均一化を効果的に抑制できないためである。
一方、前記ゴム組成物中の硫黄濃度の上限については特に限定はされないが、前記ゴム成分100質量部に対して10質量部以下であることが好ましく、8質量部以下であることがより好ましい。前記ゴム組成物中の硫黄濃度が前記ゴム成分100質量部に対して10質量部以下である場合、加硫ブラダーの硬化やゴム中の硫黄濃度の不均一化をより確実に抑制することができる。
なお、前記高濃度硫黄ゴム部材を構成するゴム組成物については、硫黄の含有量以外は、特に限定はされない。
また、前記ゴム組成物に含まれるゴム成分については、高濃度硫黄ゴム部材の目的や用途に応じて適宜変更することができる。例えば、前記ゴム成分は、補強性等を有する点からは、天然ゴム(NR)、ポリブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)等のジエン系ゴムを含むことが好ましい。
さらに、前記高濃度硫黄ゴム部材を構成するゴム組成物については、上述したゴム成分及び硫黄以外にも、ゴム組成物に通常配合される添加剤(その他の成分)、を含むことができる。例えば、ゴム工業で通常使用されている、補強性充填材、老化防止剤、加硫促進剤、架橋剤、加硫促進助剤、シランカップリング剤、グリセリン脂肪酸エステル、軟化剤、ステアリン酸、オゾン劣化防止剤、界面活性剤等の添加剤を適宜配合することができる。
なお、本発明のタイヤの製造方法に用いられる未加硫タイヤの構成については、上述した高濃度硫黄ゴム部材以外は、特に限定はされない。タイヤの種類や要求される性能に応じて、任意の未加硫タイヤを使用することが可能である。
(加硫用ブラダー)
本発明のタイヤの製造方法では、加硫ブラダーとして、フッ素ゴムを50〜100質量%含むブラダー用ゴム組成物からなるものを用いることを特徴とする。
上述したように、前記加硫用ブラダーを、フッ素ゴムを50〜100質量%含むブラダー用ゴム組成物から構成することによって、前記高濃度硫黄ゴム部材から硫黄が移行するのを抑制することができる。
・フッ素ゴム
ここで、前記加硫用ブラダーを構成するブラダー用ゴム組成物については、フッ素ゴムを50〜100質量%含有することを要し、該フッ素ゴムの含有量は、90〜100質量%であることが好ましく、95〜100質量%であることがより好ましく、実質100質量%であることが最も好ましい。
前記ブラダー用ゴム組成物中に前記フッ素ゴムを50質量%以上含むことで、所望の硫黄移行抑制効果を実現できることに加え、ブラダーの離型性や、耐熱性等についても向上させることができる。
前記フッ素ゴムとしては、例えば、フッ化ビニリデンに由来する構造単位(VdF単位)と、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、2,3,3,3−テトラフルオロプロピレン及びパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)からなる群より選択される少なくとも1種に由来する構造単位(以下、「第2単量体単位」ということがある。)と、を有するフッ化ビニリデン系フッ素ゴムであり、
前記フッ素ゴムにおける、VdF単位と、HFP、2,3,3,3−テトラフルオロプロピレン及びPAVEからなる群より選択される少なくとも1種に由来する構造単位とのモル比が、50/50〜78/22であることが好ましい。
前記フッ素ゴムの、VdF単位と第2単量体単位との比率が前記範囲にある場合には、前記ブラダー用ゴム組成物から得られる加硫用ブラダーが、より高い硫黄移行抑制効果を実現できる。
ここで、前記VdF単位/第2単量体単位(モル比)としては、52/48〜77/23が好ましく、55/45〜75/25がより好ましい。
また、前記VdF単位の含有量は、全構造単位に対し50モル%以上が好ましく、52モル%以上がより好ましく、55モル%以上がさらに好ましい。VdF単位の含有量はまた、全構造単位に対し78モル%以下が好ましく、77モル%以下がより好ましく、75モル%以下がさらに好ましく、74モル%以下が特に好ましく、70モル%以下が最も好ましい。
さらに、前記第2単量体単位の含有量は、全構造単位に対し22モル%以上が好ましく、23モル%以上がより好ましく、25モル%以上がさらに好ましく、26モル%以上が特に好ましく、30モル%以上が最も好ましい。第2単量体単位の含有量はまた、全構造単位に対し50モル%以下が好ましく、48モル%以下がより好ましく、45モル%以下がさらに好ましい。
前記PAVEとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)が好ましく、特にPMVEが好ましい。
また、前記第2単量体としては、ヘキサフルオロプロピレン及び2,3,3,3−テトラフルオロプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
なお、前記ブラダー用ゴム組成物は、前記VdF及び前記第2単量体以外に、その他の単量体に由来する構造単位を含んでいてもよい。VdF及び第2単量体以外のその他の単量体としては、VdF及び前記第2単量体と共重合可能であれば特に限定されず、例えば、テトラフルオロエチレン(TFE)、クロロトリフルオロエチレン(CTFE)、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニル、ヨウ素含有フッ素化ビニルエーテル、下記一般式(1):
CH=CFR (1)
(式中、Rは炭素数1〜12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基)で表される含フッ素単量体(1)(ただし、2,3,3,3−テトラフルオロプロピレンは除く。)などのフッ素含有単量体;エチレン(Et)、プロピレン(Pr)、アルキルビニルエーテル等のフッ素非含有単量体、架橋性基(キュアサイト)を与える単量体、及び、反応性乳化剤などが挙げられ、これらの単量体や化合物のなかから1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、前記その他の単量体として、一般式(2):
CF=CFOCFOR (2)
(式中、R は炭素数1〜6の直鎖又は分岐状パーフルオロアルキル基、炭素数5〜6の環式パーフルオロアルキル基、1〜3個の酸素原子を含む炭素数2〜6の直鎖又は分岐状パーフルオロオキシアルキル基である)で表されるパーフルオロビニルエーテルを用いてもよく、CF=CFOCFOCF、CF=CFOCFOCFCF、又は、CF=CFOCFOCFCFOCFを用いることが好ましい。
前記一般式(1)で表される含フッ素単量体(1)としては、Rが直鎖のフルオロアルキル基である単量体が好ましく、Rが直鎖のパーフルオロアルキル基である単量体がより好ましい。Rの炭素数は1〜6であることが好ましい。前記式(1)で表される含フッ素単量体(1)としては、CH=CFCFCF、CH=CFCFCFCF、CH=CFCFCFCFCFなどが挙げられる。
また、前記ブラダー用ゴム組成物としては、前記VdF及び前記第2単量体に、架橋性基を与える単量体を共重合したものも好適に用いることができる。前記架橋性基を与える単量体としては、製造法や架橋系に応じて適切な架橋性基を導入できるものであればよく、例えばヨウ素原子、臭素原子、炭素−炭素二重結合、シアノ基、カルボキシル基、水酸基、アミノ基、エステル基などを含む公知の重合性化合物、連鎖移動剤などが挙げられる。
好ましい前記架橋性基を与える単量体としては、
下記一般式(3):
CY =CY (3)
(式中、Y、Yは、同一又は異なって、フッ素原子、水素原子又はCH;R は1個以上のエーテル結合を有していてもよく、芳香環を有していてもよい、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状の含フッ素アルキレン基;Xはヨウ素原子又は臭素原子)
で示される化合物が挙げられる。具体的には、例えば、下記一般式(4):
CY =CYRfCHR−X (4)
(式中、Y、Y、Xは前記同様であり、Rfは1個以上のエーテル結合を有していてもよく水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状の含フッ素アルキレン基、すなわち水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状の含フッ素アルキレン基、水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状の含フッ素オキシアルキレン基、又は水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された直鎖状又は分岐状の含フッ素ポリオキシアルキレン基;Rは水素原子又はメチル基)
で示されるヨウ素含有モノマー、臭素含有モノマー、下記一般式(5)〜(22):
CY =CY(CF−X (5)
(式中、Yは、同一又は異なって、水素原子又はフッ素原子、nは1〜8の整数)
CF=CFCF −X (6)
(式中、
Figure 0006321868
であり、nは0〜5の整数)
CF=CFCF(OCF(CF)CF
(OCHCFCFOCHCF−X (7)
(式中、mは0〜5の整数、nは0〜5の整数)
CF=CFCF(OCHCFCF
(OCF(CF)CFOCF(CF)−X (8)
(式中、mは0〜5の整数、nは0〜5の整数)
CF=CF(OCFCF(CF))O(CF−X (9)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜8の整数)
CFX=CF(OCFXCF(CFX))X−X (10)
(式中、mは1〜5の整数)
CFX=CFOCFX(CF(CFX)OCF)XCF(−X)CFX (11)
(式中、nは1〜4の整数)
CF=CFO(CFOCF(CF)−X (12)
(式中、nは2〜5の整数)
CF2=CFO(CF−(C)−X (13)
(式中、nは1〜6の整数)
CF=CF(OCFCF(CF))OCFCF(CF)−X (14)
(式中、nは1〜2の整数)
CH=CFCFO(CF(CF)CFO)CF(CF)−X (15)
(式中、nは0〜5の整数)、
CF=CFO(CFCF(CF)O)(CF−X (16)
(式中、mは0〜5の整数、nは1〜3の整数)
CH=CFCFOCF(CF)OCF(CF)−X (17)
CH=CFCFOCHCF−X (18)
CF=CFO(CFCF(CF)O)CFCF(CF3)−X (19)
(式中、mは0以上の整数)
CF=CFOCF(CF)CFO(CF−X (20)
(式中、nは1以上の整数)
CF=CFOCFOCFCF(CF)OCF−X (21)
CH=CH−(CF (22)
(式中、nは2〜8の整数)
(前記一般式(5)〜(22)中、Xは前記と同様)
で表されるヨウ素含有モノマー、臭素含有モノマーなどが挙げられ、これらをそれぞれ単独で、又は任意に組合わせて用いることができる。
前記一般式(4)で示されるヨウ素含有モノマー又は臭素含有モノマーとしては、下記一般式(23):
Figure 0006321868
(式中、mは1〜5の整数であり、nは0〜3の整数)
で表されるヨウ素含有フッ素化ビニルエーテルが好ましく挙げられ、より具体的には、
Figure 0006321868
等が挙げられるが、これらの中でも、ICHCFCFOCF=CFが好ましい。
前記一般式(5)で示されるヨウ素含有モノマー又は臭素含有モノマーとしてより具体的には、ICFCFCF=CH、I(CFCFCF=CHが好ましく挙げられる。
前記一般式(9)で示されるヨウ素含有モノマー又は臭素含有モノマーとしてより具体的には、I(CFCFOCF=CFが好ましく挙げられる。
前記一般式(22)で示されるヨウ素含有モノマー又は臭素含有モノマーとしてより具体的には、CH=CHCFCFI、I(CFCFCH=CHが好ましく挙げられる。
また、式:RC=CR−Z−CR=CR
(式中、R、R、R4、R、R及びRは同じか又は異なり、いずれもH、又は炭素数1〜5のアルキル基;Zは、直鎖もしくは分岐状の、酸素原子を含んでいてもよい、好ましくは少なくとも部分的にフッ素化された炭素数1〜18のアルキレンもしくはシクロアルキレン基、又は(パー)フルオロポリオキシアルキレン基)で示されるビスオレフィン化合物も架橋性基を与える単量体として好ましい。なお、本明細書において、「(パー)フルオロポリオキシアルキレン基」とは、「フルオロポリオキシアルキレン基又はパーフルオロポリオキシアルキレン基」を意味する。
なお、前記Zは好ましくは炭素数4〜12の(パー)フルオロアルキレン基であり、R、R、R4、R、R及びRは好ましくは水素原子である。
ここで、前記Zが(パー)フルオロポリオキシアルキレン基である場合、式:
−(Q)−CFO−(CFCFO)−(CFO)−CF−(Q)
(式中、Qは炭素数1〜10のアルキレン基又は炭素数2〜10のオキシアルキレン基であり、pは0又は1であり、m及びnはm/n比が0.2〜5となり且つ該(パー)フルオロポリオキシアルキレン基の分子量が500〜10000、好ましくは1000〜4000の範囲となるような整数である。)で表される(パー)フルオロポリオキシアルキレン基であることが好ましい。この式において、Qは好ましくは、−CHOCH−及び−CHO(CHCHO)CH−(s=1〜3)の中から選ばれる。
好ましいビスオレフィンとしては、
CH=CH−(CF−CH=CH
CH=CH−(CF2)−CH=CH
式:CH=CH−Z−CH=CH
(式中、Zは−CHOCH−CFO−(CFCFO)−(CFO)−CF−CHOCH−(m/nは0.5))
などが挙げられる。
それらの中でも、CH=CH−(CF−CH=CHで示される3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ドデカフルオロ−1,9−デカジエンが好ましい。
前記ブラダー用ゴム組成物が、VdF及び第2単量体以外のその他の単量体に由来する構造単位を含む場合、その含有量は、全構造単位100モル%に対し、0〜40モル%であることが好ましく、0〜30モル%であることがより好ましく、0〜20モル%であることがさらに好ましく、0〜10モル%であることが特に好ましい。
このように、前記ブラダー用ゴム組成物は、VdF及び第2単量体以外のその他の単量体に由来する構造単位を含んでもよいが、本発明のフッ素ゴム組成物から得られるブラダー用ゴム架橋物の高温時の引張特性をより効果的に高める観点からは、前記ブラダー用ゴム組成物はその他の単量体に由来する構造単位を含まないことが好ましい。すなわち、前記ブラダー用ゴム組成物がVdF単位及び第2単量体単位のみからなる2元共重合体であることは、本発明の好適な実施形態の1つである。
また、前記ブラダー用ゴム組成物は、VdF/HFP共重合体、VdF/2,3,3,3−テトラフルオロプロピレン共重合体及びVdF/PAVE共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の2元共重合体であることがより好ましく、VdF/HFP共重合体及びVdF/2,3,3,3−テトラフルオロプロピレン共重合体からなる群より選択される少なくとも1種の2元共重合体であることが特に好ましい。
また、前記ブラダー用ゴム組成物は、その数平均分子量Mnが5000〜500000であることが好ましく、10000〜500000であることがさらに好ましく、20000〜500000であることが特に好ましい。
なお、前記ブラダー用ゴム組成物は、乳化重合、懸濁重合、溶液重合などの常法により製造することができる。特にヨウ素(臭素)移動重合として知られるヨウ素(臭素)化合物を使用した重合法によれば、分子量分布が狭いフッ素ゴムを製造できる。
また、例えばフッ素ゴム組成物の粘度を低くしたい場合などでは、前記のフッ素ゴム(A)に他のフッ素ゴムをブレンドしてもよい。他のフッ素ゴムとしては、低分子量液状フッ素ゴム(数平均分子量1000以上)、数平均分子量が10000程度の低分子量フッ素ゴム、さらには数平均分子量が100000〜200000程度のフッ素ゴムなどが挙げられる。
さらに、加工性の観点から、フッ素ゴム(A)は100℃におけるムーニー粘度が20〜200、さらには30〜180の範囲にあることが好ましい。ムーニー粘度は、JIS K6300に準拠して測定する。
・カーボンブラック
また、前記ブラダー用ゴム組成物については、上述したフッ素ゴムに加えて、カーボンブラックをさらに含み、該カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が、25〜180m2/gであることが好ましい。窒素吸着比表面積(N2SA)が25〜180m2/gであるカーボンブラックを含むことによって、加硫用ブラダーの高温時の引張破断伸びや強度を向上させることができる。
前記カーボンブラックとしては、製造方法の違いから、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、チャンネルブラック、グラファイトなどが挙げられ、用途の違いから、ゴム用カーボンブラック、カラー用カーボンブラック、導電性カーボンブラックとして市販されている全てのカーボンブラックが挙げられる。具体的には例えば、ゴム用カーボンブラックとしては、SAF−HS(N2SA:142m2/g、DBP:130ml/100g)、SAF(N2SA:142m2/g、DBP:115ml/100g)、N234(N2SA:126m2/g、DBP:125ml/100g)、ISAF(N2SA:119m2/g、DBP:114ml/100g)、ISAF−LS(N2SA:106m2/g、DBP:75ml/100g)、ISAF−HS(N2SA:99m2/g、DBP:129ml/100g)、N339(N2SA:93m2/g、DBP:119ml/100g)、HAF−LS(N2SA:84m2/g、DBP75ml/100g)、HAF−HS(N2SA:82m2/g、DBP:126ml/100g)、HAF(N2SA:79m2/g、DBP:101ml/100g)、N351(N2SA:74m2/g、DBP:127ml/100g)、LI−HAF(N2SA:74m2/g、DBP:101ml/100g)、MAF−HS(N2SA:56m2/g、DBP:158ml/100g)、MAF(N2SA:49m2/g、DBP:133ml/100g)、FEF−HS(N2SA:42m2/g、DBP:160ml/100g)、FEF(N2SA:42m2/g、DBP:115ml/100g)、SRF−HS(N2SA:32m2/g、DBP:140ml/100g)、SRF−HS(N2SA:29m2/g、DBP:152ml/100g)、GPF(N2SA:27m2/g、DBP:87ml/100g)、SRF(N2SA:27m2/g、DBP:68ml/100g)など、カラー用カーボンブラックとしては、カーボンブラック便覧第3版(平成7年発行)の分類によるHCC、MCC、RCC、LCC、HCF、MCF、RCF、LCF、LFF、及び各種アセチレンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、SAF−HS、SAF、N234、ISAF、ISAF−LS、ISAF−HS、N339、HAF−LS、HAF−HS、HAF、N351、LI−HAF、MAF−HSが好ましい。これらのカーボンブラックは単独で使用してもよいし、また2種以上を併用してもよい。
なかでも、カーボンブラックの好ましいものとしては、窒素吸着比表面積(N2SA)が25〜180m2/gであって、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が40〜180ml/100gであるカーボンブラックが挙げられる。
窒素吸着比表面積(N2SA)が小さすぎると、ブラダー用ゴム架橋物(ブラダー用ゴム組成物を架橋して得られた架橋物)の引張破断伸びが低下する傾向にあり、この観点から、窒素吸着比表面積(N2SA)は50 m2/g以上が好ましく、70 m2/g以上がより好ましく、90 m2/g以上がさらに好ましく、110 m2/g以上が特に好ましい。上限は、一般的に入手しやすい観点から180 m2/gが好ましい。
ジブチルフタレート(DBP)吸油量が小さすぎると、ブラダー用ゴム架橋物の引張破断伸びが低下する傾向にあり、この観点から、50ml/100g以上が好ましく、60ml/100g以上がより好ましく、80ml/100g以上がさらに好ましく、100ml/100g以上が特に好ましい。上限は一般的に入手しやすい観点から、175ml/100g、さらには170ml/100gが好ましい。
前記ブラダー用ゴム組成物において、カーボンブラックの配合量は、フッ素ゴム100質量部に対して5〜65質量部が好ましい。カーボンブラックが多くなりすぎるとブラダー用ゴム架橋物の硬度が上昇する傾向にあり、また、少なくなりすぎるとブラダー用ゴム架橋物の引張破断伸びが低下する傾向にある。さらに、物性バランスが良好な点から、フッ素ゴム100質量部に対して6質量部以上がより好ましく、10質量部以上がさらに好ましく、物性バランスが良好な点から55質量部以下がより好ましく、50質量部以下がさらに好ましく、49質量部以下がさらにより好ましく、45質量部以下が特に好ましい。
・脂肪油及び脂肪族炭化水素からなる群より選択される少なくとも一種
また、前記ブラダー用ゴム組成物については、上述したフッ素ゴム及びカーボンブラックに加えて、脂肪油及び脂肪族炭化水素からなる群より選択される少なくとも一種(以下、「化合物A」と呼ぶこともある。)をさらに含むことが好ましい。前記ブラダー用ゴム組成物中に化合物Aを含むことによって、加硫用ブラダーの高温時の引張破断伸びや強度を向上させることができる。
前記化合物(A)は、大気圧下での沸点が250℃以上であり、融点又は凝固点が15℃以下であることが好ましい。前記化合物(A)の大気圧下での沸点が前記の範囲内にあることにより、高温環境下においてもブラダー用ゴム架橋物から化合物(A)が揮発しないため、優れた熱時伸びを持続することができる。
また、前記化合物(A)の大気圧下での沸点は、280℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましい。上限は特に限定されず、700℃であってもよい。但し、大気圧下で沸点が存在しない場合は、熱重量測定装置で空気雰囲気下、室温から加熱したときに、重量減少が10%に到達する温度を沸点と読み替えるものとする。前記化合物(A)の融点又は凝固点が前記の範囲内にあることにより、大きな引張破断伸びを示し、低硬度である加硫用ブラダーを得ることができる。さらに、前記化合物(A)の融点又は凝固点は、10℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましい。融点又は凝固点が高過ぎる化合物(A)を使用すると、ブラダー用ゴム架橋物の硬度を上昇させる要因となる。下限は特に限定されず、−100℃であってもよい。
また、前記化合物(A)の配合量は、前記フッ素ゴム100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましい。化合物(A)の配合量が前記の範囲内にあることにより、大きな引張破断伸びを示し、低硬度であるブラダー用ゴム架橋物を得ることができる。化合物(A)の配合量は、より大きな引張破断伸びを示し、かつより低硬度であるブラダー用ゴム架橋物を得られることから、3質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることがさらに好ましく、8質量部以上であることが特に好ましく、また、実用上充分な引張破断強度を有するブラダー用ゴム架橋物を得る観点から、25質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることがさらに好ましく、15質量部以下であることが特に好ましい。
前記脂肪族炭化水素は、一般式(X):
(X)
(式中、mは整数、nは(2m+2)以下の偶数)
で表される化合物群から選択されるいずれか一種の化合物又は二種以上の化合物からなる混合物である。前記脂肪族炭化水素としては、飽和脂肪族炭化水素及び不飽和脂肪族炭化水素が挙げられる。具体的には例えば、飽和脂肪族炭化水素としては、流動パラフィン、ナフテンなど、不飽和脂肪族炭化水素としては、テルペン類などが挙げられる。これらの脂肪族炭化水素は単独で用いてもよいし、また2種以上を併用してもよい。化学的に安定であることから、飽和脂肪族炭化水素に分類される一種以上の脂肪族炭化水素を用いることが好ましく、流動パラフィンを用いることがより好ましい。
また、前記化合物(A)は、大気圧下での沸点が250℃以上であり、融点又は凝固点が15℃以下である脂肪油を含むものであってもよい。
前記脂肪油の大気圧下での沸点が前記の範囲内にあることにより、高温環境下においてもブラダー用ゴム架橋物から脂肪油が揮発しないため、優れた熱時伸びを持続することができる。前記脂肪油の大気圧下での沸点は、280℃以上であることが好ましく、300℃以上であることがより好ましい。上限は特に限定されず、700℃であってもよい。但し、大気圧下で沸点が存在しない場合は、熱重量測定装置で空気雰囲気下、室温から加熱したときに、重量減少が10%に到達する温度を沸点と読み替えるものとする。
前記脂肪油の、融点又は凝固点が前記の範囲内にあることにより、大きな引張破断伸びを示し、低硬度であるブラダー用ゴム架橋物を得ることができる。前記脂肪油の、融点又は凝固点は、10℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましい。 融点又は凝固点が高過ぎる脂肪油を使用すると、ブラダー用ゴム架橋物の硬度を上昇させる要因となる。下限は特に限定されず、−100℃であってもよい。
前記脂肪油は、大きな引張破断伸びを示し、低硬度であるブラダー用ゴム架橋物を得る観点から、不乾性油、及び、半乾性油からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。不乾性油としては、ひまし油、菜種油、落花生油、オリーブ油等が挙げられる。半乾性油としては、大豆油、綿実油、コーン油、ひまわり油等が挙げられる。なかでも、前記脂肪油は、ひまし油、菜種油、落花生油、大豆油、及び、綿実油からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、ひまし油であることがさらに好ましい。
さらに、前記脂肪油の配合量は、前記フッ素ゴム100質量部に対して1〜30質量部であることが好ましい。前記脂肪油の配合量が前記の範囲内にあることにより、大きな引張破断伸びを示し、低硬度であるブラダー用ゴム架橋物を得ることができる。前記脂肪油の配合量は、より大きな引張破断伸びを示し、かつより低硬度であるブラダー用ゴム架橋物を得られることから、3質量部以上であることがより好ましく、5質量部以上であることがさらに好ましく、8質量部以上であることが特に好ましく、また、実用上充分な引張破断強度を有するブラダー用ゴム架橋物を得る観点から、25質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることがさらに好ましく、15質量部以下であることが特に好ましい。
・架橋剤、架橋促進剤
また、前記ブラダー用ゴム組成物については、上述したフッ素ゴム、カーボンブラック及び化合物Aに加えて、架橋剤及び架橋促進剤をさらに含むことが好ましい。前記ブラダー用ゴム組成物中に架橋剤及び架橋促進剤を含むことによって、加硫用ブラダーの離型性を向上させることができる。
ここで、前記架橋剤及び前記架橋促進剤は、架橋系、架橋するフッ素ゴムの種類(例えば共重合組成、架橋性基の有無や種類など)、得られる架橋物の具体的用途や使用形態、そのほか混練条件などに応じて、適宜選択することができる。
架橋系としては、例えば過酸化物架橋系、ポリオール架橋系、ポリアミン架橋系、オキサゾール架橋系、チアゾール架橋系、イミダゾール架橋系、トリアジン架橋系などが採用できる。
過酸化物架橋系により架橋する場合は、架橋点に炭素−炭素結合を有しているので、架橋点に炭素−酸素結合を有するポリオール架橋系及び炭素−窒素二重結合を有するポリアミン架橋系に比べて、耐薬品性及び耐スチーム性に優れているという特徴がある。
過酸化物架橋系の架橋剤としては、熱や酸化還元系の存在下で容易にパーオキシラジカルを発生し得る過酸化物であればよく、具体的には、例えば1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジヒドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)−p−ジイソプロピルベンゼン、α,α−ビス(t−ブチルパーオキシ)−m−ジイソプロピルベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゼン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネートなどの有機過酸化物を挙げることができる。これらの中でも、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン又は2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)−ヘキシン−3が好ましい。
また、過酸化物架橋系では、通常、架橋促進剤を含むことが好ましい。過酸化物系架橋剤、特に有機過酸化物系架橋剤の架橋促進剤としては、例えば、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアクリルホルマール、トリアリルトリメリテート、N,N’−m−フェニレンビスマレイミド、ジプロパルギルテレフタレート、ジアリルフタレート、テトラアリルテレフタレートアミド、トリアリルホスフェート、ビスマレイミド、フッ素化トリアリルイソシアヌレート(1,3,5−トリス(2,3,3−トリフルオロ−2−プロペニル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−トリオン)、トリス(ジアリルアミン)−S−トリアジン、N,N−ジアリルアクリルアミド、1,6−ジビニルドデカフルオロヘキサン、ヘキサアリルホスホルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリルフタルアミド、N,N,N’,N’−テトラアリルマロンアミド、トリビニルイソシアヌレート、2,4,6−トリビニルメチルトリシロキサン、トリ(5−ノルボルネン−2−メチレン)シアヌレート、トリアリルホスファイトなどが挙げられる。これらの中でも、架橋性、架橋物の物性の点から、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)が好ましい。
過酸化物架橋系で用いる架橋促進剤としてはまた、低自己重合性架橋促進剤を用いることもできる。低自己重合性架橋促進剤は、架橋促進剤としてよく知られているトリアリルイソシアヌレート(TAIC)とは異なり、自己重合性が低い化合物をいう。
低自己重合性架橋促進剤としては、例えば、
Figure 0006321868
で示されるトリメタリルイソシアヌレート(TMAIC)、
Figure 0006321868
で示されるp−キノンジオキシム(p−quinonedioxime)、
Figure 0006321868
で示されるp,p’−ジベンゾイルキノンジオキシム(p,p’−dibenzoylquinonedioxime)、
Figure 0006321868
で示されるマレイミド、
Figure 0006321868
で示されるN−フェニレンマレイミド、
Figure 0006321868
で示されるN,N’−フェニレンビスマレイミドなどがあげられる。
その中でも、好ましい低自己重合性架橋促進剤は、トリメタリルイソシアヌレート(TMAIC)である。
また、過酸化物架橋系で用いる架橋促進剤としてはまた、ビスオレフィンを用いることもできる。
架橋促進剤として使用できるビスオレフィンとしては、例えば、式:
C=CR−Z−CR=CR
(式中、R、R、R、R、R及びRは同じか又は異なり、いずれもH、又は炭素数1〜5のアルキル基;Zは、線状(直鎖状)もしくは分岐状の、酸素原子を含んでいてもよい、少なくとも部分的にフッ素化された炭素数1〜18のアルキレンもしくはシクロアルキレン基、又は(パー)フルオロポリオキシアルキレン基)で示されるビスオレフィンが挙げられる。
Zは好ましくは炭素数4〜12のパーフルオロアルキレン基であり、R、R、R、R、R及びRは好ましくは水素原子である。
Zが(パー)フルオロポリオキシアルキレン基である場合、
−(Q)−CFO−(CFCFO)−(CFO)−CF−(Q)
(式中、Qは炭素数1〜10のアルキレン又はオキシアルキレン基であり、pは0又は1であり、m及びnはm/n比が0.2〜5となり且つ該(パー)フルオロポリオキシアルキレン基の分子量が500〜10000、好ましくは1000〜4000の範囲となるような整数である。)で表される(パー)フルオロポリオキシアルキレン基であることが好ましい。この式において、Qは好ましくは、−CHOCH−及び−CHO(CHCHO)CH−(s=1〜3)の中から選ばれる。
好ましいビスオレフィンとしては、
CH=CH−(CF−CH=CH
CH=CH−(CF−CH=CH
式:CH=CH−Z−CH=CH
(式中、Zは−CHOCH−CFO−(CFCFO)−(CFO)
CF−CHOCH−(m/nは0.5))
などがあげられる。
それらの中でも、CH=CH−(CF−CH=CHで示される3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8−ドデカフルオロ−1,9−デカジエンが好ましい。
また、架橋性の観点から、過酸化物架橋系に好適なフッ素ゴムとしては、架橋点としてヨウ素原子及び/又は臭素原子を含むフッ素ゴムが好ましい。ヨウ素原子及び/又は臭素原子の含有量としては、0.001〜10質量%、さらには0.01〜5質量%、特に0.1〜3質量%が、物性のバランスが良好な点から好ましい。
過酸化物架橋剤の配合量としては、フッ素ゴム100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜9質量部、特に好ましくは0.2〜8質量部である。過酸化物架橋剤が、0.01質量部未満であると、フッ素ゴムの架橋が充分に進行しない傾向があり、10質量部を超えると、物性のバランスが低下する傾向がある。
前記架橋促進剤の配合量は、通常、フッ素ゴム100質量部に対して、0.01〜10質量部であり、好ましくは0.1〜9質量部である。架橋促進剤が、0.01質量部より少ないと、アンダーキュアとなる傾向があり、10質量部を超えると、物性バランスが低下する傾向がある。
また、前記ポリオール架橋系により架橋する場合は、架橋点に炭素−酸素結合を有しており、圧縮永久歪みが小さく、成形性に優れているという特徴がある点で好適である。
ポリオール架橋剤としては、従来、フッ素ゴムの架橋剤として知られている化合物を用いることができ、例えば、ポリヒドロキシ化合物、特に、耐熱性に優れる点からポリヒドロキシ芳香族化合物が好適に用いられる。
前記ポリヒドロキシ芳香族化合物としては、特に限定されず、例えば、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAという)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)パーフルオロプロパン(以下、ビスフェノールAFという)、レゾルシン、1,3−ジヒドロキシベンゼン、1,7−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、1,6−ジヒドロキシナフタレン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、4,4’−ジヒドロキシスチルベン、2,6−ジヒドロキシアントラセン、ヒドロキノン、カテコール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン(以下、ビスフェノールBという)、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)吉草酸、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)テトラフルオロジクロロプロパン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルケトン、トリ(4−ヒドロキシフェニル)メタン、3,3’,5,5’−テトラクロロビスフェノールA、3,3’,5,5’−テトラブロモビスフェノールAなどが挙げられる。これらのポリヒドロキシ芳香族化合物は、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩などであってもよいが、酸を用いて共重合体を凝析する場合は、上記金属塩は用いないことが好ましい。
これらの中でも、得られるブラダー用ゴム架橋物などの圧縮永久歪みが小さく、成形性も優れているという点から、ポリヒドロキシ化合物が好ましく、耐熱性が優れることからポリヒドロキシ芳香族化合物がより好ましく、ビスフェノールAFがさらに好ましい。
また、前記ポリオール架橋系では、通常、架橋促進剤を含むことが好ましい。架橋促進剤を用いると、フッ素ゴム主鎖の脱フッ酸反応における分子内二重結合の生成と、生成した二重結合へのポリヒドロキシ化合物の付加を促進することにより架橋反応を促進することができる。
前記ポリオール架橋系の架橋促進剤としては、一般にオニウム化合物が用いられる。オニウム化合物としては特に限定されず、例えば、第4級アンモニウム塩等のアンモニウム化合物、第4級ホスホニウム塩等のホスホニウム化合物、オキソニウム化合物、スルホニウム化合物、環状アミン、1官能性アミン化合物などが挙げられ、これらの中でも第4級アンモニウム塩、第4級ホスホニウム塩が好ましい。
前記第4級アンモニウム塩としては特に限定されず、例えば、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムアイオダイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−メチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムメチルスルフェート、8−エチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムブロミド、8−プロピル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムブロミド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−ドデシル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−エイコシル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−テトラコシル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムクロリド(以下、DBU−Bとする)、8−ベンジル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムハイドロキサイド、8−フェネチル−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムクロリド、8−(3−フェニルプロピル)−1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセニウムクロリドなどが挙げられる。これらの中でも、架橋性、架橋物の物性の点から、DBU−Bが好ましい。
また、前記第4級ホスホニウム塩としては特に限定されず、例えば、テトラブチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド(以下、BTPPCとする)、ベンジルトリメチルホスホニウムクロリド、ベンジルトリブチルホスホニウムクロリド、トリブチルアリルホスホニウムクロリド、トリブチル−2−メトキシプロピルホスホニウムクロリド、ベンジルフェニル(ジメチルアミノ)ホスホニウムクロリドなどを挙げることができ、これらの中でも、架橋性、架橋物の物性の点から、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド(BTPPC)が好ましい。
また、前記架橋促進剤として、第4級アンモニウム塩又は第4級ホスホニウム塩とビスフェノールAFとの固溶体、特開平11−147891号公報に開示されている塩素フリー架橋促進剤を用いることもできる。
前記ポリオール架橋剤の配合量としては、フッ素ゴム100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜7質量部である。ポリオール架橋剤が、0.01質量部未満であると、フッ素ゴム(A)の架橋が充分に進行しない傾向があり、10質量部を超えると、物性のバランスが低下する傾向がある。
前記架橋促進剤の配合量は、フッ素ゴム100質量部に対して、0.01〜8質量部であることが好ましく、より好ましくは0.02〜5質量部である。架橋促進剤が、0.01質量部未満であると、フッ素ゴム(A)の架橋が充分に進行しない傾向があり、8質量部を超えると、物性のバランスが低下する傾向がある。
さらに、前記ポリアミン架橋により架橋してなる場合には、架橋点に炭素−窒素二重結合を有しているものであり、動的機械特性に優れているという特徴がある。しかし、ポリオール架橋系又は過酸化物架橋系架橋剤を用いて架橋する場合に比べて、圧縮永久歪みが大きくなる傾向がある。
前記ポリアミン系架橋剤としては、例えば、ヘキサメチレンジアミンカーバメート、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ビス(アミノシクロヘキシル)メタンカルバメートなどのポリアミン化合物が挙げられる。これらの中でも、N,N’−ジシンナミリデン−1,6−ヘキサメチレンジアミンが好ましい。
前記ポリアミン系架橋剤の配合量としては、フッ素ゴム100質量部に対して、0.01〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜7質量部である。ポリアミン系架橋剤が、0.01質量部未満であると、フッ素ゴムの架橋が充分に進行しない傾向があり、10質量部を超えると、物性のバランスが低下する傾向がある。
本発明においては、架橋系として過酸化物架橋系又はポリオール架橋系が好ましく、それぞれの架橋系に適した架橋剤を用いることが好ましい。なかでも、過酸化物架橋系の架橋剤を用いることがより好ましい。
・その他成分
また、前記ブラダー用ゴム組成物には、上述したフッ素ゴム、カーボンブラック及び化合物A、架橋剤、架橋促進剤に加えて、必要に応じてその他の成分、例えば、充填材、加工助剤、可塑剤、着色剤、粘着付与剤、接着助剤、受酸剤、顔料、難燃剤、滑剤、光安定剤、耐候安定剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、離型剤、発泡剤、香料、オイル、柔軟化剤のほか、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリウレタンなどの他の重合体などを本発明の効果を損なわない範囲で配合してもよい。
前記充填材としては、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの金属酸化物;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物;炭酸マグネシウム、炭酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸アルミニウムなどのケイ酸塩;硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩;合成ハイドロタルサイト;二硫化モリブデン、硫化鉄、硫化銅などの金属硫化物;ケイ藻土、アスベスト、リトポン(硫化亜鉛/硫化バリウム)、グラファイト、フッ化カーボン、フッ化カルシウム、コークス、石英微粉末、タルク、雲母粉末、ワラストナイト、炭素繊維、アラミド繊維、各種ウィスカー、ガラス繊維、有機補強剤、有機充填材、ポリテトラフルオロエチレン、マイカ、シリカ、セライト、クレーなどが例示できる。また、受酸剤として、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化鉛、酸化亜鉛、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイトなどが挙げられ、これらの単独又は2種以上を適宜配合してもよい。これらは、後述する混練方法で、どの工程で添加するかは任意であるが、密閉式混練機やロール練り機でフッ素ゴムとカーボンブラックを混練する際に添加するのが好ましい。
前記加工助剤としては、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ラウリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸亜鉛などの高級脂肪酸塩;ステアリン酸アミド、オレイン酸アミドなどの高級脂肪酸アミド;オレイン酸エチルなどの高級脂肪酸エステル;カルナバワックス、セレシンワックスなどの石油系ワックス;エチレングリコール、グリセリン、ジエチレングリコールなどのポリグリコール;ワセリン、パラフィンなどの脂肪族炭化水素;シリコーン系オイル、シリコーン系ポリマー、低分子量ポリエチレン、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、ロジン、(ハロゲン化)ジアルキルアミン、界面活性剤、スルホン化合物、フッ素系助剤、有機アミン化合物などが例示できる。
それらの中でも、有機アミン化合物や受酸剤は、フッ素ゴムとカーボンブラックを密閉式混練機やロール練り機で混練する際に共存させることにより、補強性が向上する点から好ましい配合剤である。
前記有機アミン化合物としては、RNHで示される1級アミン、RNHで示される2級アミン、RNで示される3級アミンが好ましく挙げられる。R、R、Rは同じか又は異なり、いずれも炭素数1〜50のアルキル基が好ましく、アルキル基は官能基としてベンゼン環を含んでいてもよいし、二重結合、共役二重結合を含んでいてもよい。尚、アルキル基は直鎖型であってもよいし、分岐型でもあってもよい。
前記1級アミンとしては、例えばココナッツアミン、オクチルアミン、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン、牛脂アミン、17−フェニル−ヘプタデシルアミン、オクタデカ−7,11−ジエニルアミン、オクタデカ−7,9−ジエニルアミン、オクタデック−9−エニルアミン、7−メチル−オクタデック−7−エニルアミンなどが挙げられ、2級アミンとしては、例えばジステアリルアミンなどが、3級アミンとしては、例えばジメチルオクチルアミン、ジメチルデシルアミン、ジメチルラウリルアミン、ジメチルミリスチルアミン、ジメチルパルミチルアミン、ジメチルステアリルアミン、ジメチルベヘニルアミンなどが挙げられる。なかでも炭素数が20個程度のアミン、特に1級アミンが入手の容易性や補強性が増大する点から好ましい。
前記有機アミン化合物の配合量は、フッ素ゴム100質量部に対して0.01〜5質量部が好ましい。有機アミン化合物が多くなりすぎると混練しにくくなる傾向にあり、また、少なくなりすぎると補強性が低下する傾向にある。さらに好ましい配合量は、補強性の観点から、フッ素ゴム100質量部に対して0.1質量部以上であり、補強性の観点と混練しやすさの観点から4質量部以下である。
前記受酸剤としては、先述したもののうち、例えば、水酸化カルシウムなどの金属水酸化物;酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの金属酸化物、ハイドロタルサイトなどが、補強性の観点から好ましく、特に酸化亜鉛が好ましい。
前記受酸剤の配合量は、フッ素ゴム100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましい。受酸剤が多くなりすぎると物性が低下する傾向にあり、また、少なくなりすぎると補強性が低下する傾向にある。さらに好ましい配合量は、補強性の観点から、フッ素ゴム100質量部に対して0.1質量部以上であり、物性の観点と混練しやすさの観点から8質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましい。
また、前記ブラダー用ゴム組成物については、ラバープロセスアナライザ(RPA)による未加硫ゴムでの動的粘弾性試験(測定温度:100℃、測定周波数:1Hz)における動的歪み1%時の剪断弾性率G’(1%)及び動的歪み100%時の剪断弾性率G’(100%)の差δG’(G’(1%)−G’(100%))が、120kPa以上3000kPa以下であることが好ましい。δG’が上記範囲となることで、前記高濃度硫黄ゴム部材から硫黄移行抑制効果をより高めることができることに加えて、常態物性及び高温時の引張特性などの点でも有利な効果が得られる。
なお、前記δG’については、ゴム組成物の補強性という性質を評価する指標として用い、ラバープロセスアナライザによる動的粘弾性試験で測定算出される。
前記δG’は、常態物性及び高温時の引張特性などが良好な点から、好ましくは150kPa以上、より好ましくは160kPa以上、さらに好ましくは300kPa以上、特に好ましくは300kPa以上、最も好ましくは500kPa以上である。一方、常態物性、硬度、押出成形時の粘度及び高温時の引張特性などが良好な点から、前記δG’を、好ましくは2800kPa以下、より好ましくは2500kPa以下とする。
(ブラダー用ゴム架橋物)
本発明のブラダー用ゴム組成物を架橋することにより、ブラダー用ゴム架橋物を得ることができる。
前記ブラダー用ゴム組成物の架橋法は、適宜選択すればよいが、例えば押出成形や巻蒸し成形などの成形方法、架橋缶などを用いた架橋方法といった通常の架橋法が採用される。また、架橋物の使用目的によって二次架橋が必要な場合は、さらにオーブン架橋を施してもよい。
また、前記ブラダー用ゴム架橋物は、動的粘弾性試験(測定モード:引張、チャック間距離:20m、引張歪み:1%、測定周波数:10Hz、歪み分散時の静荷重条件を一定力としたときの静張力値:157cN、測定温度:160℃)において、損失弾性率E”が、400kPa以上6000kPa以下であるとき、常態物性及び高温時の引張特性などに特に優れたものとなる。
前記損失弾性率E”の下限については、好ましくは420kPa以上、より好ましくは430kPa以上であり、上限については、好ましくは5900kPa以下、より好ましくは5800kPa以下である。
また、前記ブラダー用ゴム架橋物は、動的粘弾性試験(測定モード:引張、チャック間距離:20mm、測定温度:160℃、引張歪み:1%、歪み分散時の静荷重条件を一定力としたときの静張力値:157cN、周波数:10Hz)において、貯蔵弾性率E’が1500kPa以上20000kPa以下であることが、高温時の引張特性の向上の点からさらに好ましい。前記貯蔵弾性率E’の下限としては、好ましくは1600kPa以上、より好ましくは1800kPa以上であり、上限としては、好ましくは19000kPa以下、より好ましくは18000kPa以下である。
また、前記ブラダー用ゴム架橋物は、高温環境下での使用などに適したものとなることを理由として、160℃において、100〜700%の引張破断伸びを有することが好ましい。同様の観点から、前記引張破断伸びの下限については110%以上であることがより好ましく、120%以上であることがさらに好ましく、上限については680%以下であることがより好ましく、650%以下であることがさらに好ましい。
また、前記ブラダー用ゴム架橋物は、160℃において、1MPa以上、さらには1.5MPa以上、特に2MPa以上、また30MPa以下、特に28MPa以下の引張破断強度を有していることが、高温環境下での使用などに適したものとなることから好ましい。なお、引張破断強度及び引張破断伸びは、JIS−K6251に準じて、6号ダンベルを用いて測定する。
さらに、前記ブラダー用ゴム架橋物は、160℃において、3〜30kN/m、さらには4kN/m以上、特に5kN/m以上、また29kN/m以下、特に28kN/m以下の引裂き強度を有していることが、高温環境下での使用などに適したものとなることから好ましい。
さらにまた、ブラダー用ゴム架橋物は、200℃において、100〜700%、さらには110%以上、特に120%以上、また680%以下、特に650%以下の引張破断伸びを有していることが、高温環境下での使用などに適したものとなることから好ましい。
また、ブラダー用ゴム架橋物は、200℃において、1〜30MPa、さらには1.5MPa以上、特に2MPa以上、また29MPa以下、特に28MPa以下の引張破断強度を有していることが、高温環境下での使用などに適したものとなることから好ましい。
さらに、ブラダー用ゴム架橋物は、200℃において、3〜30kN/m、さらには4kN/m以上、特に5kN/m以上、また 以下、特に 以下の引裂き強度を有していることが、高温環境下での使用などに適したものとなることから好ましい。
(タイヤ)
本発明のタイヤについては、上述した本発明のタイヤの製造方法によって得られたことを特徴とする。
本発明のタイヤの製造方法によって得られた本発明のタイヤは、加硫時に硫黄量が減少することなく、狙い通りの物性を有することができる。
なお、本発明のタイヤは、その最内面に、前記加硫用ブラダー中のフッ素ゴムが微量転写されている。そのため、本発明による製造方法によって得られたタイヤであるか否かの判断を行う際に指標の一つとして用いることができる。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、下記の実施例に何ら限定されるものではない。
(加硫用ブラダーの作製)
(1)フッ素ゴム含有ブラダー
以下の表1に示す配合のブラダー用組成物から、フッ素ゴムを含有する加硫用ブラダーを作製した。
なお、ブラダー用ゴム組成物中に含有するフッ素ゴムについては、次の条件で作製した。3Lのステンレススチール製のオートクレーブに純水1.7L、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COONHの50%水溶液を0.17g、F(CFCOONHの50%水溶液6.8gを仕込み、系内を窒素ガスで充分に置換した。600rpmで攪拌しながら80℃に昇温した後、初期槽内モノマー組成をVdF/HFP=34/66(モル比)、1.52MPaとなるようにモノマーを圧入した。ついで過硫酸アンモニウム(APS)60mgを5mlの純水に溶解した重合開始剤溶液を窒素ガスで圧入し、反応を開始した。重合の進行に伴い内圧が1.42MPaに降下した時点で追加混合モノマーであるVdF/HFP=68/32(モル比)の追加混合モノマーを内圧が1.52MPaとなるまで圧入した。このとき、ジヨウ素化合物(CFIの1.96gを圧入した。昇圧、降圧を繰り返しつつ、3時間ごとにAPSの60mg/純水5ml水溶液を窒素ガスで圧入して、重合反応を継続した。混合モノマーを600g追加した時点で、未反応モノマーを放出し、オートクレーブを冷却して、固形分濃度26.3質量%のフッ素ゴムのディスパージョンを2346g得た。重合時間は7.9時間であった。このフッ素ゴムをNMR分析により共重合組成を調べたところ、VdF/HFP=68/32(モル比)であり、ムーニー粘度(ML1+10(100℃))は69であった。
なお、調製したブラダー用ゴム組成物の剪断弾性率G’(1%)は757kPaであり、剪断弾性率G’(1%)と剪断弾性率G’(100%)の差δG’(G’(1%)−G’(100%))は568kPaであった。
Figure 0006321868
*11:ISAFカーボンブラック、東海カーボン(株)製「シースト6」、NSA=119m2/g、DBP吸油量=114ml/100g
*12:花王(株)製「ファーミン86T」
*13:2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、日油(株)製「パーヘキサ25B」
*14:トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、日本化成(株)製「タイク」
*15:堺化学工業(株)製「酸化亜鉛(一種)」
(2)ブチルゴム含有加硫用ブラダー
以下の表2に示す配合のブラダー用組成物からブチルゴムを含有する加硫用ブラダーを作製した。なお、各成分の含有量は、ゴム成分100質量部に対する量(質量部)である。
Figure 0006321868
*21:JSR(株)製「Butyl268 」
*22:東海カーボン製「シースト9」
*23:新日本石油(株)製「Super OilY22」
*24:ハクスイテック(株)製「3号亜鉛華」
*25:フェノールホルムアルデヒド樹脂
<実施例1、比較例1〜3>
上述した加硫用ブラダーを用いて、サンプルの未加硫タイヤの加硫処理を行った。
なお、サンプルの未加硫タイヤについては、硫黄量の異なる二種のタイヤ最内面部材ゴム(低濃度硫黄ゴム部材A:インナーライナー、高濃度硫黄ゴム部材B:チェーファー)を備えるタイヤ(サイズ:195/60R15)を作製した。タイヤ最内面部材ゴムに用いたゴム組成物の組成については、表3及び4に示す。
Figure 0006321868
*31:RSS#3
*32:JSR(株)製「BROMOBUTYL 2255」
*33:GPFカーボンブラック、N660、旭カーボン(株)製「旭#55」、N2SA=26m2/g、D B P吸油量=87m L/100 g
*34:新日本石油(株)製「Super OilY22」
*35:ハクスイテック(株)製「3号亜鉛華」
*36:2,2’−ジベンゾチアジルジスルフィド、大内新興化学工業社(株)製「ノクセラーDM−P」
*37:細井化学工業(株)製「粉末硫黄」
Figure 0006321868
*41:RSS#3
*42:JSR(株)製「BR01」
*43:HAFカーボンブラック、東海カーボン(株)製「シースト3」、N2SA=26m2/g、D B P吸油量=101m L/100 g
*44:新日本石油(株)製「Super OilY22」
*45:ハクスイテック(株)製、3号亜鉛華
*46:2,2’−ジベンゾチアジルジスルフィド、大内新興化学工業社(株)製「ノクセラーDM−P」
*47:細井化学工業(株)製「粉末硫黄」
<評価>
各サンプルの未加硫タイヤを加硫処理した後の加硫タイヤのサンプルについて、走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope、SEM)及び電子プローブマイクロアナライザー(Electron Probe Micro Analyzer; EPMA)を用いてタイヤ最内面から深さ方向における硫黄量(%)を測定した結果を、表5及び図2に示す。
Figure 0006321868
表5及び図2の結果から、実施例1のサンプルは、比較例3のサンプルに比べて、硫黄の減少が抑えられている、つまり硫黄の加硫ブラダーへの移行が抑えられていることがわかった。
また、比較例1及び2については、硫黄量について差が表れていないことから、未加硫タイヤのタイヤ最内面の硫黄量が少ない場合には、硫黄の移行量についてほとんど変化がないことがわかった。
本発明によれば、タイヤ内面に硫黄を高濃度に含有する部材を備えた未加硫タイヤを加硫する場合に、加硫用ブラダーへの硫黄の移行を効果的に抑制できる、タイヤの製造方法を提供することができる。また、本発明によれば、加硫時に硫黄量が減少することなく、狙い通りの物性を有するタイヤを提供することができる。
10 加硫用ブラダー
20 未加硫タイヤ
20a タイヤ最内面
30 金型
40 加硫装置

Claims (5)

  1. ゴム成分100質量部に対して、硫黄を1.0質量部以上含むゴム組成物からなる高濃度硫黄ゴム部材であるチェーファーゴムを、タイヤ最内面の少なくとも一部に備える未加硫タイヤに加硫を行う加硫工程を含み、
    前記加硫工程では、フッ素ゴムを50〜100質量%含むブラダー用ゴム組成物からなる加硫用ブラダーを用い
    前記フッ素ゴムが、フッ化ビニリデンに由来する構造単位(VdF単位)と、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、2,3,3,3−テトラフルオロプロピレン及びパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)からなる群より選択される少なくとも1種に由来する構造単位と、を有するフッ化ビニリデン系フッ素ゴムであり、
    前記フッ素ゴムにおける、VdF単位と、HFP、2,3,3,3−テトラフルオロプロピレン及びPAVEからなる群より選択される少なくとも1種に由来する構造単位とのモル比が、50/50〜78/22であり、ラバープロセスアナライザ(RPA)による動的粘弾性試験(測定周波数:1Hz、測定温度:100℃)における、未加硫時の動的歪み1%時の剪断弾性率G’(1%)及び動的歪み100%時の剪断弾性率G’(100%)の差δG’(G’(1%)−G’(100%))が、120kPa以上、3000kPa以下であることを特徴とする、タイヤの製造方法。
  2. 前記ブラダー用ゴム組成物が、フッ素ゴムを実質100質量%含むことを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ製造方法
  3. 前記ブラダー用ゴム組成物が、脂肪油及び脂肪族炭化水素からなる群より選択される少なくとも一種をさらに含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のタイヤの製造方法。
  4. 前記脂肪油は、不乾性油及び半乾性油からなる群より選択される少なくとも一種であることを特徴とする、請求項に記載のタイヤの製造方法。
  5. 前記ブラダー用ゴム組成物が、カーボンブラックをさらに含み、該カーボンブラックの窒素吸着比表面積(N2SA)が25〜180m2/gであって、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が40〜180ml/100gであることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のタイヤの製造方法。

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