JP2013203876A - プラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記(A)〜(D)成分を下記の割合で含むプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
(A)ウレタン(メタ)アクリレート:(A)〜(C)成分(以下、「硬化性成分」という)の合計量中に10〜70重量%
(B)分子内に水酸基及び1個のエチレン性不飽和基を有する化合物:硬化性成分の合計量中に3〜40重量%
(C)(A)及び(B)成分以外のエチレン性不飽和基含有化合物:硬化性成分の合計量中に27〜65重量%
(D)ポリイソシアネート化合物:硬化性成分の合計量に対して1〜20重量%
【選択図】なし
Description
尚、本明細書においては、アクリレート及び/又はメタクリレートを(メタ)アクリレートと、アクリロイル基及び/又はメタクリロイル基を(メタ)アクリロイル基と、アクリル酸及び/又はメタクリル酸を(メタ)アクリル酸と表す。
又、以下において、特に明示する必要がない場合は、プラスチック製フィルム又はシートをまとめて「プラスチックフィルム等」と表し、フィルム又はシートをまとめて「フィルム等」と表す。
この方法で使用される接着剤組成物は、一般に組成物の塗布量を均一にするため溶剤を多く含むものであるが、このため乾燥時に多量の溶剤蒸気が揮散してしまい、毒性、作業安全性及び環境汚染性が問題となっている。又、当該接着剤組成物は、薄層被着体を貼り合わせた直後に、得られたラミネートフィルムを接着するためのヒートシール、溝を刻設する罫線工程等の後加工工程において、薄層被着体同士が剥離してしまうという問題を有している。
これらの問題を解決する接着剤組成物として、無溶剤系の接着剤組成物が検討されている。
2液型接着剤組成物としては、主に末端に水酸基を有するポリマーを主剤とし、末端にイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物を硬化剤とする、いわゆるポリウレタン系接着剤組成物が用いられている。しかしながら該組成物は、硬化に長時間を要するという欠点があり、このため薄層被着体の貼り合わせ直後に罫線工程等の後加工工程に入ることができない等の生産性上の問題がある。
これに対して、活性エネルギー線硬化型接着剤組成物は、硬化速度が速いことから生産性に優れ、最近注目されている。
近年、当該液晶表示素子に使用される各種光学フィルム等の貼り合わせにも、活性エネルギー線硬化型接着剤が使用されてきている。
しかしながら、当該組成物は、硬化時の収縮が大きく、被着体の種類によっては界面での応力発生により十分な剥離強度を得ることが困難であった。
又、この問題を解決するため、ウレタン(メタ)アクリレートやアクリルアミド誘導体を含む組成物が検討されている(例えば、特許文献2等)。
しかしながら、当該組成物は、親水性プラスチックに対する初期接着力は高いものの、実用上要求される耐水性や耐湿熱性が不十分という問題を有するものであった。又、硬化時の収縮応力を、接着剤組成物の柔軟性を向上させることで緩和することも可能であるが、このような手段は接着剤の耐熱性や耐水性を低下させるため、厳しい耐久性が要求される用途においては、ハガレや発泡、クラックといった不具合が発生するという問題があった。
当該組成物は、光ラジカル重合を利用した前記組成物に対して、硬化時の収縮が比較的小さいため、界面での応力発生を抑制できるという利点がある。
しかしながら、光カチオン重合は、水分や塩基性物質による重合阻害が起こることが一般的に広く知られており、湿度の高い環境や、水分を多く含む基材、表面が塩基性の基材においては十分な剥離強度を得ることが困難であった。又、多官能エポキシ樹脂を主成分として含む組成物とすることで、重合阻害による硬化性低下の影響を小さくすることが可能であるが、このような組成物は、高い架橋密度により接着剤層と基材との間の応力が高くなり、接着力が不十分となる等の問題を有するものであった。
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、難接着性プラスチックフィルム等に対する接着力に優れ、高湿及び高温条件下においても接着力が低下することのない活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を提供することを目的とする。
以下、本発明を詳細に説明する。
(A)ウレタン(メタ)アクリレート〔以下、「(A)成分」という〕:(A)〜(C)成分(以下、「硬化性成分」という)の合計量中に10〜70重量%
(B)分子内に水酸基及び1個のエチレン性不飽和基を有する化合物〔以下、「(B)成分」という〕:硬化性成分中に3〜40重量%
(C)(A)及び(B)成分以外のエチレン性不飽和基含有化合物〔以下、「(C)成分」という〕:硬化性成分の合計量中に27〜65重量%
(D)ポリイソシアネート〔以下、「(D)成分」という〕:硬化性成分の合計量に対して1〜20重量%
以下、必須成分の(A)〜(D)成分について説明する。
(A)成分は、ウレタン(メタ)アクリレートである。本発明では、(A)成分を含むことにより、得られる硬化物が高温又は高湿のいずれの条件下においても接着力に優れるものとなる。
(A)成分としては、オリゴマー及びポリマーのいずれも使用可能であり、重量平均分子量500〜50,000のものが好ましく、より好ましく3,000〜40,000のものである。
尚、本発明において、重量平均分子量とは、ゲル・パーミエーションクロマトグラフィーにより測定した分子量をポリスチレン換算した値である。
ポリオールとしては、ポリエーテル骨格、ポリエステル骨格及びポリカーボネート骨格を有するポリオールが好ましい。
又、(A)成分としては、2個の(メタ)アクリロイル基を有するウレタン(メタ)アクリレート〔以下、2官能ウレタン(メタ)アクリレートという〕であることが好ましく、ポリエーテル骨格、ポリエステル骨格又はポリカーボネート骨格を有するジオールと有機ジイソシアネートとの反応物に、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させた2官能ウレタン(メタ)アクリレートであることがより好ましい。
ポリエステル骨格を有するポリオールとしては、低分子量ジオール又はポリカプロラクトンジオール等のジオールと、二塩基酸又はその無水物等の酸成分とのエステル化反応物等が挙げられる。
低分子量ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオール等が挙げられる。
二塩基酸又はその無水物としては、アジピン酸、コハク酸、フタル酸、テトラヒドルフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸及びテレフタル酸等、並びにこれらの無水物等が挙げられる。
ポリカーボネートポリオールとしては、前記低分子量ジオール又は/及びビスフェノールA等のビスフェノールと、エチレンカーボネート及び炭酸ジブチルエステル等の炭酸ジアルキルエステルの反応物等が挙げられる。
(A)成分の割合は、硬化性成分の合計量中に10〜70重量%であり、好ましくは20〜60重量%である。(A)成分の割合が10重量%に満たないと、硬化物の耐熱性や耐水性が不十分となってしてしまい、70重量%を超えると、組成物の粘度が高くなり塗工性が低下したり、硬化物の接着力が不十分となってしまう。
(B)成分は、分子内に水酸基及び1個のエチレン性不飽和基を有する化合物である。
(B)成分は、後述する(D)成分と併用することで、特に高温及び高湿度下において格段の接着力を向上させることができる。この理由は、(A)及び(C)成分のみの架橋体では、架橋点はエステル結合を介しており、高温、高湿度にさらされるとエステル結合切断が起こるために、架橋点の破断が起こり、耐久性が低下してしまうのに対し、本発明の接着剤組成物はウレタン結合を介した架橋点も含んでいるため、エステル結合の切断が起こっても、強度な接着剤層を保持できるものと考えられる。
又、難接着性プラスチックの接着においては、一般に難接着性プラスチックのコロナ処理が行われるが、コロナ処理により、プラスチック表面に発生した極性基がイソシアネートと結合する反応も起こっているものと推測している。
当該水酸基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート及びヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;並びにペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、及びトリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート等の水酸基を含有するポリオールモノ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
さらに、(B)成分としては、分子内に1個の水酸基と1個のエチレン性不飽和基とを有する化合物が好ましく、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートがより好ましい。
(B)成分の割合は、硬化性成分の合計量中に3〜40重量%であり、好ましくは5〜30重量%である。(B)成分の割合が3重量%に満たないと、接着力が不十分となってしまい、30重量%を超えると、硬化物の耐湿熱性や耐水性が不十分となってしまう。
(C)成分は、(A)及び(B)成分以外のエチレン性不飽和基含有化合物であり、(A)及び(B)成分以外のエチレン性不飽和化合物であれば任意の化合物を使用することができる。
(C)成分としては、エチレン性不飽和基を含有する化合物であれば種々の化合物が使用できビニル化合物及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物等が挙げられ、(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。
(メタ)アクリルアミド化合物としては、(メタ)アクリルアミド基を1個有する化合物が挙げられる。具体的には、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、イソブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、t−オクチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及びN−イソプロピル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート及びトリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリレートとしては、オリゴマーも使用でき、エポキシポリ(メタ)アクリレート及びポリエステル(メタ)アクリレートが挙げられる。
さらに、プラスチック浸食性が高い点で、(メタ)アクリルアミド化合物や、単官能(メタ)アクリレートとしては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートが好ましい。
炭素数が4〜12のアルキル差を持つ低Tgの(メタ)アクリレートも好ましく、具体的には、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の炭素数が4〜12のアルキル(メタ)アクリレート、並びにエチルカルビトール(メタ)アクリレート及び2−エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート等の炭素数が1〜12のアルキル基を有するカルビトール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
さらに、硬化物が耐水性及び耐熱性に優れたものとなる点で、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式骨格を有する(メタ)アクリレート及びベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
(C)成分として特に好ましい化合物は、アクリルアミド化合物、炭素数1〜12のアルキル基を有するカルビトール(メタ)アクリレート及び脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である。
(C)成分の含有割合は、硬化性成分の合計量中に27〜65重量%であり、好ましくは35〜60重量%である。(C)成分の割合が27重量%に満たないと、十分な耐湿熱性が得られないものとなってしまい、65重量%を超えると、接着強度が低下したり、又用途に応じてガラス転移温度、透水率、吸水率等の二次的な性能を調節できなくなってしまう。
(D)成分は、ポリイソシアネート化合物であり、接着剤組成物に活性エネルギー線を照射し、接着剤層が形成されたのちに、さらに、(D)成分を(B)成分の水酸基と反応させることで、耐熱性、耐湿熱性を大幅に向上させることができる。本成分は、過酷な高温・高湿度条件下において、(メタ)アクリレートからなる架橋体のエステル結合が切断された場合にも強固な接着剤層を保持するために必要な成分であり、一分子中に複数のイソシアネートを有していることが必要である。
具体的には、トリレンジイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート、1,6−ヘキサンジイソシアネート3量体、水素化トリレンジイソシアネート、水素化4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシイレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート2量体、1,5−ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート相互付加物、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリメチロールプロパントリス(トリレンジイソシアネート)付加物及びイソホロンジイソシアネート等が挙げられる。又、有機ポリイソシアネートとしては、有機ジイソシアネートが好ましい。
市販されているものとしては、日本ポリウレタン(株)製の、コロネートL、コロネートT−65、コロネートT−80、コロネートT−100、ミリオネートMT、ミリオネートMR等や、旭化成ケミカルズ(株)製のデュラネートシリーズ、TPA−100、TKA−100、MFA−75B、MHG−80B、TLA−100、TSA−100、TSS−100、TSE−100、24A−100等を挙げることができる。
本発明の組成物は、上記(A)〜(D)成分を必須成分とするものであるが、目的に応じて種々の成分を配合することができる。
本発明の組成物を紫外線又は可視光線により硬化させる場合には、光重合開始剤〔以下、「(E)成分」という〕を配合することができる。又、例えば、自動車用途や太陽電池用途の様に屋外で使用される用途の場合、屋外での熱や光に対して長期にわたり十分な耐久性を保持するため酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤及びシランカップリング剤〔以下、「(F)成分」という〕等を配合することができる。又、湿気硬化性を改善する目的で、湿気硬化用触媒〔以下、「(G)成分」という〕を配合することができる。
以下、それぞれの成分について具体的に説明する。
(E)成分は、光ラジカル重合開始剤である。
(E)成分は、活性エネルギー線の照射によってラジカルを発生し、エチレン性不飽和基を有する化合物の重合を開始する化合物である。活性エネルギー線として、電子線を用いる場合には(E)成分を配合する必要はない。
ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、4−フェニルベンゾフェノン、4−(メチルフェニルチオ)フェニルフェニルメタン、メチル−2−ベンゾフェノン、1−[4−(4−ベンゾイルフェニルスルファニル)フェニル]−2−メチル−2−(4−メチルフェニルスルフォニル)プロパンー1−オン、4,4‘−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4‘−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、N,N′−テトラメチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン、N,N′−テトラエチル−4,4′−ジアミノベンゾフェノン及び4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチルー(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィネート及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド化合物;
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、1−クロロー4−プロピルチオキサントン、3−[3,4−ジメチルー9−オキソー9H−チオキサントンー2−イル]オキシ]−2−ヒドロキシプロピルーN,N,N―トリメチルアンモニウムクロライド及びフロロチオキサントン等のチオキサントン系化合物等が挙げられる。
又、これら化合物を用いた場合に、フィルム端面のように酸素による硬化阻害を受けやすい個所の表面硬化性を向上させる目的で、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンのような、吸収波長が短くとも表面硬化性が良好となる光重合開始剤を組み合わせてもよい。
(E)成分の割合は、硬化性成分の合計量に対して0.1〜20重量%であり、好ましくは1〜10重量%である。(E)成分の割合を0.1重量%以上とすることで、組成物の光硬化性を十分なものとし接着性を向上させることができ、20重量%以下とすることで、接着層の内部硬化性の悪化を防止して接着性を向上させることができる。
(F)成分は、接着剤層と親水性プラスチックとの界面接着強度を改善できるシランカップリング剤である。本発明に用いられるシランカップリング剤としては、基材との接着性向上に寄与できるものであれば特に限定されるものではない。
(F)成分を用いる時の使用割合は、組成物中に0.1〜10重量%が好ましく、より好ましくは1〜5重量%である。
(F)成分の使用割合を0.1重量%以上とすることで、組成物の接着力を向上させることができ、10重量%以下とすることで、接着力の経時変化が懸念される。
(G)成分は、湿気硬化用触媒である。
(G)成分としては、従来の湿気硬化型組成物で使用されているもの、及び湿気により前記(D)を反応させることができるものであれば、種々の化合物が使用可能である。
(G)成分の具体例としては、有機金属化合物や3級アミンを挙げることができる。
有機錫化合物としては、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫マレエート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジアセトアセトナート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ、ラウリン酸スズ及びフェルザチック酸スズ等の錫カルボン酸塩、並びにジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルとの反応物等が挙げられる。
有機チタン化合物としては、テトラブチルチタネート及びテトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル、並びにチタンテトラアセチルアセトナート等のチタンキレート化合物等が挙げられる。
有機アルミニウム化合物としては、アルミニウムトリスアセチルアセトナート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート及びジイソプロポキシアルミニウムエチルアセトアセテート等が挙げられる。
有機ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート等のジルコニウムキレート化合物等が挙げられる。
有機ビスマス化合物としては、ビスマス−トリス(ネオデカノエート)、ビスマス−トリス(2−エチルヘキソエート)及びオクチル酸ビスマス等が挙げられる。
有機鉄化合物及び有機亜鉛化合物は好ましい化合物であり、後記に詳述する。
これら以外の例としては、N−メチルモルホリン及び1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7(DBU)等が挙げられる。
M(X)n ・・・(1)
〔式(1)において、MはFe又はZnを表し、Xは同一又は異なってβ−ジケトン、ハロゲン原子、アシルオキシ基又はアルコキシ基を表し、nは2又は3の整数を表す。〕
Xで表されるβ−ジケトンとしては、例えば、アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2−メチルヘキサン−3,5−ジオン、6−メチルヘプタン−2,4−ジオン、2,6−ジメチルヘプタン−3,5−ジオン、4,6−ノナンジオン、2,8−ジメチルノナン−4,6−ジオン、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオン、トリデカン−6,8−ジオン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセト酢酸イソプロピル、アセト酢酸tert−ブチル、プロピオニル酢酸メチル、プロピオニル酢酸エチル、プロピオニル酢酸イソプロピル、プロピオニルtert−ブチル及びヘキサフルオロアセチルアセトン等が挙げられ、これらの中でも、アセチルアセトンが、安価である上ウレタン化反応の活性に優れるため好ましい。
Xで表されるハロゲン原子としては、例えば、塩素原子及び臭素原子等が挙げられ、塩素原子が好ましい。
Xで表されるアシルオキシ基としては、例えば、炭素数3〜20のアシルオキシ基が好ましく、具体的には、ペンタノイル基、ヘキサノイル基、2−エチルヘキサノイル基、オクタノイル基、ノナノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基及びオクタデカノイル基等が挙げられる。
Xで表されるアルコキシ基としては、例えば、炭素数1〜10のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基及びエトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基及び2−エチルヘキシロキシ基等を挙げることができる。
Xは上記のいずれか1種でも良いし、2種以上の組み合わせでも良い。
これらの中でも、Xとしては、硬化物の電気特性に特に優れたものとなる点でハロゲン原子以外の官能基が好ましく、アセチルアセトン及びヘキサフルオロアセチルアセトンがより好ましく、反応液や組成物への溶解性に優れる点で、特に好ましくはアセチルアセトンである。
Fe(X’)3 ・・・(2)
〔式(2)において、X’はβ−ジケトンを表す。〕
X’で表されるβ−ジケトンとしては、上記のXで表されるβ−ジケトンを選択することが出来る。
(G)成分の配合割合としては、組成物中に5重量%以下含有することが好ましく、より好ましくは0.05〜3重量%である。
(G)成分を添加することで湿気硬化時間が短縮でき、一方、5重量%以下にすることにより、組成物の保存安定性を良好にすることができる。
本発明の組成物には、前記以外にも、接着剤組成物で通常使用されるその他の成分を配合することができる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、ジt−ブチルヒドロキシトルエン等のヒンダードフェノール類を挙げることができる。市販されているものとしては、(株)アデカ製のAO−20、AO−30、AO−40、AO−50、AO−60、AO−70、AO−80等が挙げられる。
リン系酸化防止剤としては、トリアルキルホスフィン、トリアリールホスフィン等のホスフィン類や、亜リン酸トリアルキルや亜リン酸トリアリール等が挙げられる。これらの誘導体で市販品としては、たとえば(株)アデカ製、アデカスタブPEP−4C、PEP−8、PEP−24G、PEP−36、HP−10、260、522A、329K、1178、1500、135A、3010等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、チオエーテル系化合物が挙げられ、市販品としては(株)アデカ製AO−23、AO−412S、AO−503A等が挙げられる。
これらは1種を用いても2種類以上を用いてもよい。これら酸化防止剤の好ましい組合せとしては、フェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤との併用、及びフェノール系酸化防止剤と硫黄系酸化防止剤の併用が挙げられる。
酸化防止剤を用いる時の使用割合は、組成物中に0.01〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1重量%である。
使用割合が0.1重量%未満だと、組成物の耐久性を向上させる効果が十分でなく、使用することに有意な意味はない。一方、5重量%を越えると、硬化不足や接着力不足を起こすおそれがある。
本発明の組成物は、前記(A)〜(D)成分を必須とするものである。
組成物の製造方法としては、前記(A)〜(D)成分を、必要に応じてさらにその他成分を、常法に従い攪拌・混合することにより製造することができる。
この場合、必要に応じて加熱することもできる。加熱温度としては、使用する組成物、基材及び目的等に応じて適宜設定すれば良いが、30〜80℃が好ましい。但し、(D)成分は、(B)成分と混合することで緩やかに反応が進むため、あらかじめ(D)成分以外の成分を配合しておき、塗工する直前に(D)成分を加え、なるべく40℃以下で撹拌・混合することが好ましい。又、(D)成分配合後は、なるべく速やかに使い切ることが好ましい。
本発明の組成物の粘度は目的に応じて適宜設定すれば良いが、(D)成分を除いた混合物の粘度として、100〜5,000mPa・sが好ましく、より好ましくは300〜4,000mPa・sである。
尚、以下において、単に「基材」と表記した場合は、プラスチックフィルム等及びその他基材の総称を意味する。
その他基材としては、フィルム状又はシート状ではないプラスチック(以下、「非フィルム状プラスチック」という)、紙及び金属等が挙げられる。
本発明の組成物は、これらの中でも、特に難接着性とされるプラスチックフィルム等にも好ましく適用できる。具体的には、ポリオレフィン、ポリエステル、シクロオレフィンポリマー及びエチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
プラスチックフィルム等の膜厚としては、目的に応じて種々の膜厚のものが使用でき、5〜100μmが好ましい。
非フィルム状プラスチックの材質としても、前記と同様のものが挙げられる。
紙としては、模造紙、上質紙、クラフト紙、アートコート紙、キャスターコート紙、純白ロール紙、パーチメント紙、耐水紙、グラシン紙及び段ボール紙等が挙げられる。
金属箔としては、例えば銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。
又、本発明の組成物の塗布厚さは、使用する基材及び用途に応じて選択すればよいが、好ましくは0.1〜100μmであり、より好ましくは1〜25μmである。
紫外線により硬化させる場合の光源としては、様々のものを使用することができ、例えば加圧或いは高圧水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ、無電極放電ランプ、カーボンアーク灯及びLED等が挙げられる。
電子線により硬化させる場合には、使用できるEB照射装置としては種々の装置が使用でき、例えばコックロフトワルトシン型、バンデグラフ型及び共振変圧器型の装置等が挙げられる。
プラスチックフィルム等が顔料等を含み、紫外線硬化が困難に場合でも、電子線照射によれば、組成物を好ましく硬化させることができる。
この場合の加熱温度としては、30〜120℃が好ましく、より好ましくは50〜90℃である。加熱温度を30以上にすることにより、短時間で効率的にウレタン化反応を行うことができ、120℃以下とすることによりプラスチックフィルムの熱変形を防ぐことができる。
加熱方法としては、熱風乾燥器等を挙げることができる。
好ましい積層体の製造方法としては、下記工程1〜工程4を順次実施する製造方法である。
工程1:基材に、組成物を塗工する。
工程2:前記塗工面に、他の基材と貼合する。
工程3:前記基材のいずれかの側から活性エネルギー線照射する。
工程4:活性エネルギー線照射後の積層体を30〜120℃に加熱する。
工程1〜工程4において、塗工方法、活性エネルギー線照射方法及び加熱方法、並びにそれらの条件等は、上記と同様の方法に従えば良い。
太陽電池の製造における使用方法としては、太陽電池セルとバックシート材の接着に使用することができる。太陽電池セルは、非フィルム状プラスチックに該当し、シリコン等で構成されるセルがエチレン−酢酸ビニル共重合体等の封止されている。当該セルの下部には、保護フィルムとしてのバックシート材を有しており、当該セルの下部とバックシート材の接着に使用することができる。
バックシート材としては、ポリフッ化ビニル、PETフィルム及びシクロフィンフィルム及びポリオレフィン等が挙げられる。が使用される。
バックシート材は、複数のフィルムから構成される場合があり、バックシート材製造において、それぞれのフィルムの接着に使用することができる。この場合のフィルムとしては、PETフィルム、シクロフィンフィルム及びポリオレフィン、並びにアルミ箔等が挙げられる。
下記表1に示す(A)〜(C)成分、(E)〜(G)成分を、60℃で1時間加熱撹拌して溶解させ(D)成分を除く混合物を得た。当該(D)成分を除く混合物について、25℃における粘度をE型粘度計より測定した。それらの結果を表1に示す。
使用直前で、前記混合物中に下記表1に示す(D)成分を添加混合し活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を製造した。
得られた組成物を、下記の試験方法に従い評価した。それらの結果を表2に示す。
1)(A)成分
・KY−303:ポリエーテル系ウレタンアクリレート、重量平均分子量:15,000、根上工業(株)製、商品名アートレジンKY−303
・OT−1001:ポリエステル系ウレタンアクリレート、重量平均分子量:40,000、東亞合成(株)製、商品名アロニックスOT−1001
・UN−9200:ポリカーボネート系ウレタンアクリレート、重量平均分子量:1,000、根上工業(株)製、商品名アートレジンUN−9200A
2)(B)成分
・HPA:2−ヒドロキシプロピルアクリレート、共栄社化学(株)製ライトエステルHOP−A
・HBA:4−ヒドロキシブチルアクリレート、大阪有機化学工業(株)製4−HBA
3)(C)成分
・IBXA:イソボルニルアクリレート、共栄社化学(株)製 ライトアクリレートIB−XA
・#190:エチルカルビトールアクリレート、大阪有機化学工業(株)製 ビスコート190
・THFA:テトラヒドロフルフリルアクリレート、共栄社化学(株)製ライトアクリレートTHF−A
・DMAA:ジメチルアクリルアミド、(株)興人製 DMAA
・M−140:N−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、東亞合成(株)製 アロニックスM−140
・FA−513AS:ジシクロペンタニルアクリレート、日立化成工業(株)製 FA−513AS
4)(D)成分
・TPA−100:ヘキサメチレンジイソシアネートのポリイソシアネート体、旭化成ケミカルズ(株)製デュラネートTPA−100
・CNL−45:トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの反応物からなるポリイソシアネート、日本ポリウレタン(株)製 コロネートL−45
5)(E)成分
・TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、BASF製 DAROCUR TPO
・Irg819:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、BASF製 IRGACURE819
・Irg184:1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、BASF製 IRGACURE184
6)(F)成分
・AO−80:3,9−ビス[2−{3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニロキシ}−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン、(株)アデカ製 アデカスタブAO−80
・TV900:ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、(株)BASF製 TINUVIN900
接着試験の基材として下記3種のフィルムを用いて、以下のモデル実験を行った。
・PET:PETフィルム、東レ(株)製 ルミラーT−60(50μm)
・COP:シクロオレフィンフィルム、日本ゼオン(株)製 ゼオノア(100μm)
・PC:ポリカーボネートフィルム、帝人化成(株)製 パンライトシートPC−2151(200μm)
・OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム、サン・トックス(株)製 サントックス−OP PA−21(40μm)
・EVA:エチレン酢酸ビニル樹脂系シート、長谷川化学工業株式会社 サンエーシート(1mm)
フィルム上に前記で得られた組成物をバーコーターにより25μmの厚みに塗布した。これに、もう一方のフィルムをラミネートした後、120W/cm集光型のメタルハライドランプを用いて、コンベアスピ−ド10m/minで紫外線照射して硬化させ、試験体であるラミネートフィルムを製造した。紫外線強度は500mW/cm2、積算光量は1500mJ/cm2であった(いずれも365nmでの値)。
又、光重合開始剤を含まない実施例5の組成物を用いた場合については、上記と同様にして、フィルム上に塗布し、もう一方のフィルムをラミネートした後、加速電圧200kV、電子線量100kGyにて電子線照射を行い硬化させた。
加熱方法としては、室温(25℃)の場合は、室温で3時間放置し、60℃及び80℃の場合は、熱風乾燥機をそれぞれ60℃及び80℃の温度に設定し、その中に試験体を入れそれぞれ3時間加熱した。
・試験片:25mm×100mm
・試験方法:T字剥離
・剥離速度:200mm/min
次に、上記と同様にして3つの温度で加熱した後の試験体を、下記条件で高温試験及び高湿試験を行った後、上記と同様の方法及び条件で剥離強度を測定した。
・温水浸漬試験後:85℃温水で48時間
以上の結果を表2に示す。
これに対して、(D)成分を含まない比較例1の組成物、(B)成分を含まない比較例2の組成物及び(A)成分を含まない比較例3の組成物は、初期接着強度及び温水浸漬後の接着強度がいずれも不十分なものであり、特に比較例2及び同3の組成物は顕著であった。
Claims (10)
- 下記(A)〜(D)成分を下記の割合で含むプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
(A)ウレタン(メタ)アクリレート:(A)〜(C)成分(以下、「硬化性成分」という)の合計量中に10〜70重量%
(B)分子内に水酸基及び1個のエチレン性不飽和基を有する化合物:硬化性成分の合計量中に3〜40重量%
(C)(A)及び(B)成分以外のエチレン性不飽和基含有化合物:硬化性成分の合計量中に27〜65重量%
(D)ポリイソシアネート化合物:硬化性成分の合計量に対して1〜20重量% - さらに、(E)光ラジカル重合開始剤を硬化性成分の合計量に対して0.1〜20重量%を含む請求項1に記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
- (A)成分が、ポリエーテル骨格、ポリエステル骨格又はポリカーボネート骨格を有するジオールと有機ジイソシアネートとの反応物に、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレートを反応させた化合物である請求項1又は請求項2に記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
- (A)成分の重量平均分子量が3,000〜40,000である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
- (B)成分が、1個の水酸基と1個のエチレン性不飽和基とを有する化合物である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
- (B)成分が、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートである請求項5に記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
- (C)成分が、アクリルアミド化合物、炭素数1〜12のアルキル基を有するカルビトール(メタ)アクリレート及び脂環式骨格を有する(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
- プラスチック製フィルム又はシートが難接着性プラスチック製フィルム又はシートである請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
- プラスチック製フィルム又はシートがポリオレフィン、ポリエステル、シクロオレフィンポリマー及びエチレン−酢酸ビニル共重合体からなる群から選ばれる1種以上である請求項8に記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物。
- 下記工程1〜工程4を順次実施する積層体の製造方法。
工程1:基材に、請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載のプラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物を塗工する。
工程2:前記塗工面に、他の基材と貼合する。
工程3:前記基材のいずれかの側から活性エネルギー線照射する。
工程4:活性エネルギー線照射後の積層体を30〜120℃に加熱する。
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