JPH0987600A - 偏光板用粘着剤 - Google Patents
偏光板用粘着剤Info
- Publication number
- JPH0987600A JPH0987600A JP8007245A JP724596A JPH0987600A JP H0987600 A JPH0987600 A JP H0987600A JP 8007245 A JP8007245 A JP 8007245A JP 724596 A JP724596 A JP 724596A JP H0987600 A JPH0987600 A JP H0987600A
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- JP
- Japan
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- sensitive adhesive
- polarizing plate
- pressure
- tac
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 3級アミン及びイソシアネート系架橋剤を含
有するアクリル系粘着剤からなる経時安定性に優れた偏
光板用粘着剤を提供する。 【解決手段】 イソシアネート系架橋剤を含有するアク
リル系粘着剤に、アルキル基の炭素数が6〜12である
3級アミンが配合されてなることを特徴とする。
有するアクリル系粘着剤からなる経時安定性に優れた偏
光板用粘着剤を提供する。 【解決手段】 イソシアネート系架橋剤を含有するアク
リル系粘着剤に、アルキル基の炭素数が6〜12である
3級アミンが配合されてなることを特徴とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、偏光板用粘着剤に
関する。
関する。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレーは、薄型軽量であるこ
と、消費電力が少なくて済むこと等々から、近年ワープ
ロやノート型パソコン等多種多様な情報関連機器が誕生
し、その市場も急成長している。上記液晶ディスプレー
は、一般に2枚の透明導電膜を付けた平行なガラス基板
の間に液晶を封入したセルに偏光板と呼ばれる高い偏光
性をもったフィルムを機能素子として上記ガラス板に粘
着剤を用いて固定される。上記偏光板の固定に粘着剤が
使用される理由は、接着剤に比して、貼付したい面に十
分な接着強度を有し、且つ、貼り直しが容易である等の
貼付作業性に優れている点が大きい。
と、消費電力が少なくて済むこと等々から、近年ワープ
ロやノート型パソコン等多種多様な情報関連機器が誕生
し、その市場も急成長している。上記液晶ディスプレー
は、一般に2枚の透明導電膜を付けた平行なガラス基板
の間に液晶を封入したセルに偏光板と呼ばれる高い偏光
性をもったフィルムを機能素子として上記ガラス板に粘
着剤を用いて固定される。上記偏光板の固定に粘着剤が
使用される理由は、接着剤に比して、貼付したい面に十
分な接着強度を有し、且つ、貼り直しが容易である等の
貼付作業性に優れている点が大きい。
【0003】上記偏光板の固定に用いられる粘着剤は、
液晶ディスプレーの表示面をカバーするものであり、高
温多湿といった粘着剤の劣化を惹起し易い使用環境でも
あるので、上記偏光板の剥離や変色といった光学的欠陥
を生じることのない高い耐久性が要求され、これらの要
望を担うものとしてアクリル系粘着剤が用いられること
が多い。
液晶ディスプレーの表示面をカバーするものであり、高
温多湿といった粘着剤の劣化を惹起し易い使用環境でも
あるので、上記偏光板の剥離や変色といった光学的欠陥
を生じることのない高い耐久性が要求され、これらの要
望を担うものとしてアクリル系粘着剤が用いられること
が多い。
【0004】アクリル系粘着剤は、一般に粘着性を発現
するアクリル酸アルキルエステルモノマーを主成分と
し、これに凝集力を付与するアクリル酸等のカルボキシ
ル基を有する酸モノマーや架橋基点となる水酸基やアミ
ノ基といった官能基を含有するモノマーの共重合体が用
いられている。特に、カルボキシル基を含有するモノマ
ーは、分子間で水素結合を形成し、粘着剤の凝集力を高
め、更に、カルボキシル基自体が架橋基点となるため、
殆どのアクリル系粘着剤はアクリル酸やメタクリル酸等
のカルボキシル基を含有するモノマーを上記共重合体の
成分として共重合しているのである。
するアクリル酸アルキルエステルモノマーを主成分と
し、これに凝集力を付与するアクリル酸等のカルボキシ
ル基を有する酸モノマーや架橋基点となる水酸基やアミ
ノ基といった官能基を含有するモノマーの共重合体が用
いられている。特に、カルボキシル基を含有するモノマ
ーは、分子間で水素結合を形成し、粘着剤の凝集力を高
め、更に、カルボキシル基自体が架橋基点となるため、
殆どのアクリル系粘着剤はアクリル酸やメタクリル酸等
のカルボキシル基を含有するモノマーを上記共重合体の
成分として共重合しているのである。
【0005】一方、上記偏光板は、ポリビニルアルコー
ルに沃素や染料系の偏光子を使用したものをアクリル系
樹脂や変性セルロース系樹脂でサンドイッチし、これを
一軸延伸して偏光性を付与した構成になっている。上記
変性セルロース系樹脂、特にトリアセチルセルロース
(以下、TACと略称する)は、寸法安定性、透明性、
カット性等が優れているので、現在のところ殆どの偏光
板の基材として使用されている。
ルに沃素や染料系の偏光子を使用したものをアクリル系
樹脂や変性セルロース系樹脂でサンドイッチし、これを
一軸延伸して偏光性を付与した構成になっている。上記
変性セルロース系樹脂、特にトリアセチルセルロース
(以下、TACと略称する)は、寸法安定性、透明性、
カット性等が優れているので、現在のところ殆どの偏光
板の基材として使用されている。
【0006】然るに、TACは、分子中に多数のアセチ
ル基を有するため、前記アクリル系粘着剤中のカルボキ
シル基を触媒として加水分解によって酢酸を遊離し、該
遊離酢酸が自己触媒となって上記加水分解を加速し、所
謂TACの崩壊現象を生じ易いといった問題を抱えてい
る。このため、TACを基材とする偏光板をアクリル系
粘着剤でセル表面に貼付する際には、カルボキシル基を
含有しないアクリル系粘着剤を使用するか、粘着剤中に
酢酸をトラップするアミン等の有機塩基をTAC崩壊防
止剤として配合することが多い。例えば、特公平2−1
7081号公報には、TAC崩壊防止剤としてジブチル
アミンを用い、特開平4−268502号公報には、T
AC崩壊防止剤として2、4、6−トリス(N,N−ジ
メチルアミノメチル)フェノールを用いている。
ル基を有するため、前記アクリル系粘着剤中のカルボキ
シル基を触媒として加水分解によって酢酸を遊離し、該
遊離酢酸が自己触媒となって上記加水分解を加速し、所
謂TACの崩壊現象を生じ易いといった問題を抱えてい
る。このため、TACを基材とする偏光板をアクリル系
粘着剤でセル表面に貼付する際には、カルボキシル基を
含有しないアクリル系粘着剤を使用するか、粘着剤中に
酢酸をトラップするアミン等の有機塩基をTAC崩壊防
止剤として配合することが多い。例えば、特公平2−1
7081号公報には、TAC崩壊防止剤としてジブチル
アミンを用い、特開平4−268502号公報には、T
AC崩壊防止剤として2、4、6−トリス(N,N−ジ
メチルアミノメチル)フェノールを用いている。
【0007】上記特公平2−17081号公報や特開平
4−268502号公報に記載されているTAC崩壊防
止剤の内、1、2級アミンは、活性水素を有するため粘
着剤に配合されている架橋剤等の添加剤と反応する。従
って、3級アミンをTAC崩壊防止剤として使用するこ
とが多いが、3級アミンも、イソシアネート基、エポキ
シ基、カルボキシル基等の官能基を有する架橋剤と粘着
剤中の水分或いは架橋基点等との反応に対して活性触媒
となることが知られており(大成社発行、架橋剤ハンド
ブック、1981年)、例えば、イソシアネート基は水
と反応し、脱炭酸ガスしてアミノ基を生成し、更に他の
イソシアネート基と反応して尿素結合によりポリマー化
し、架橋性能を低下させる。
4−268502号公報に記載されているTAC崩壊防
止剤の内、1、2級アミンは、活性水素を有するため粘
着剤に配合されている架橋剤等の添加剤と反応する。従
って、3級アミンをTAC崩壊防止剤として使用するこ
とが多いが、3級アミンも、イソシアネート基、エポキ
シ基、カルボキシル基等の官能基を有する架橋剤と粘着
剤中の水分或いは架橋基点等との反応に対して活性触媒
となることが知られており(大成社発行、架橋剤ハンド
ブック、1981年)、例えば、イソシアネート基は水
と反応し、脱炭酸ガスしてアミノ基を生成し、更に他の
イソシアネート基と反応して尿素結合によりポリマー化
し、架橋性能を低下させる。
【0008】然るに、アクリル系粘着剤は、有機溶剤溶
液タイプが多く、その塗布性から上記粘着剤溶液の粘度
が制限される。従って、上記アクリル系粘着剤に使用さ
れるアクリル系ポリマーの分子量には自ずと上限が設け
られ、そのままでは必要な粘着強度を発現することが難
しい。よって、上記必要な粘着強度を発現するために前
記する如く架橋剤が添加され、架橋構造を導入すること
により上記アクリル系粘着剤の凝集力を高めることが重
要な要件となる。
液タイプが多く、その塗布性から上記粘着剤溶液の粘度
が制限される。従って、上記アクリル系粘着剤に使用さ
れるアクリル系ポリマーの分子量には自ずと上限が設け
られ、そのままでは必要な粘着強度を発現することが難
しい。よって、上記必要な粘着強度を発現するために前
記する如く架橋剤が添加され、架橋構造を導入すること
により上記アクリル系粘着剤の凝集力を高めることが重
要な要件となる。
【0009】上記の如く、TAC崩壊防止剤として3級
アミンをアクリル系粘着剤に配合した場合、調製後、前
記イソシアネート基を有する架橋剤のポリマー化により
粘着剤溶液の粘度が経時的に変化し、コーターでの塗工
時、塗工面のスジ入り、波打ち等の塗工不良等、塗布条
件を攪乱するばかりか、乾燥後得られる粘着剤層のアン
カーを低下せしめる等、安定した粘着性能を発現せしめ
ることが困難になる。
アミンをアクリル系粘着剤に配合した場合、調製後、前
記イソシアネート基を有する架橋剤のポリマー化により
粘着剤溶液の粘度が経時的に変化し、コーターでの塗工
時、塗工面のスジ入り、波打ち等の塗工不良等、塗布条
件を攪乱するばかりか、乾燥後得られる粘着剤層のアン
カーを低下せしめる等、安定した粘着性能を発現せしめ
ることが困難になる。
【0010】本発明者らは、イソシアネート系架橋剤を
添加したアクリル系粘着剤の経時安定性を有するTAC
崩壊防止性能付与について鋭意検討した結果、特定の炭
素数のアルキル基を有する3級アミンがイソシアネート
系架橋剤のポリマー化反応を触媒せず、且つ、TAC分
子の脱酢酸によって生ずる酢酸をトラップし、TAC崩
壊を阻止し得る性能を有し、これを添加したアクリル系
粘着剤からなる経時安定性に優れた偏光板用粘着剤を提
供し得ることを見出し本発明を完成するに至ったのであ
る。
添加したアクリル系粘着剤の経時安定性を有するTAC
崩壊防止性能付与について鋭意検討した結果、特定の炭
素数のアルキル基を有する3級アミンがイソシアネート
系架橋剤のポリマー化反応を触媒せず、且つ、TAC分
子の脱酢酸によって生ずる酢酸をトラップし、TAC崩
壊を阻止し得る性能を有し、これを添加したアクリル系
粘着剤からなる経時安定性に優れた偏光板用粘着剤を提
供し得ることを見出し本発明を完成するに至ったのであ
る。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、叙上の事実
に鑑みなされたものであって、その目的とするところ
は、3級アミン及びイソシアネート系架橋剤を含有する
アクリル系粘着剤からなる経時安定性に優れた偏光板用
粘着剤を提供するにある。
に鑑みなされたものであって、その目的とするところ
は、3級アミン及びイソシアネート系架橋剤を含有する
アクリル系粘着剤からなる経時安定性に優れた偏光板用
粘着剤を提供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明偏光板用粘着剤
は、イソシアネート系架橋剤を含有するアクリル系粘着
剤に、アルキル基の炭素数が6〜12である3級アミン
が配合されてなることを特徴とするものである。
は、イソシアネート系架橋剤を含有するアクリル系粘着
剤に、アルキル基の炭素数が6〜12である3級アミン
が配合されてなることを特徴とするものである。
【0013】本発明において、イソシアネート系架橋剤
は、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する多官
能型であり、粘着剤中の各種ポリマー分子中の水酸基、
アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等の官能基と
反応し、これらの各種ポリマーを架橋し得るものであれ
ば特に限定されるものではないが、例えば、キシレンジ
イソシアネート(XDI)、トリレンジイソシアネート
(TDI)、ナフタレン1,5−ジイソシアネート(N
DI)、o−トルイレンジイソシアネート(TOD
I)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)や
これらを変性した、例えば、日本ポリウレタン社製のコ
ロネートL、コロネートHL(いずれも商品名)、住友
バイエル社製のデスモジュールZ4273、デスモジュ
ールKN(いずれも商品名)、武田薬品工業社製のタケ
ネートD−102、タケネートB−830(いずれも商
品名)、大日本インキ化学工業社製のバーノックD−7
50(商品名)等のポリイソシアネートが挙げられる。
は、1分子中にイソシアネート基を2個以上有する多官
能型であり、粘着剤中の各種ポリマー分子中の水酸基、
アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基等の官能基と
反応し、これらの各種ポリマーを架橋し得るものであれ
ば特に限定されるものではないが、例えば、キシレンジ
イソシアネート(XDI)、トリレンジイソシアネート
(TDI)、ナフタレン1,5−ジイソシアネート(N
DI)、o−トルイレンジイソシアネート(TOD
I)、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)や
これらを変性した、例えば、日本ポリウレタン社製のコ
ロネートL、コロネートHL(いずれも商品名)、住友
バイエル社製のデスモジュールZ4273、デスモジュ
ールKN(いずれも商品名)、武田薬品工業社製のタケ
ネートD−102、タケネートB−830(いずれも商
品名)、大日本インキ化学工業社製のバーノックD−7
50(商品名)等のポリイソシアネートが挙げられる。
【0014】上記イソシアネート系架橋剤は、上記する
如く粘着剤の架橋剤として作用する他、TACに対して
は、接着昂進剤としても作用する。従って、上記イソシ
アネート系架橋剤を使用することで、粘着剤層とTAC
層との密着性が向上し、強いアンカーが得られる。アン
カーの強化により、高温での液晶ディスプレーの使用時
に、偏光板の熱収縮による剪断ズリ剥がれが少なくなる
等、架橋構造による高凝集力と共に耐熱温度が向上する
ので好ましい架橋剤である。
如く粘着剤の架橋剤として作用する他、TACに対して
は、接着昂進剤としても作用する。従って、上記イソシ
アネート系架橋剤を使用することで、粘着剤層とTAC
層との密着性が向上し、強いアンカーが得られる。アン
カーの強化により、高温での液晶ディスプレーの使用時
に、偏光板の熱収縮による剪断ズリ剥がれが少なくなる
等、架橋構造による高凝集力と共に耐熱温度が向上する
ので好ましい架橋剤である。
【0015】上記イソシアネート系架橋剤によるアクリ
ル系粘着剤の架橋は、アクリル系粘着剤中に配合された
イソシアネート系架橋剤を攪拌混合した後、静置し、脱
泡して均一に溶解し、支持体にコーターで塗布し、乾燥
ゾーンにおいて加熱乾燥される際に同時に架橋反応が促
進される。
ル系粘着剤の架橋は、アクリル系粘着剤中に配合された
イソシアネート系架橋剤を攪拌混合した後、静置し、脱
泡して均一に溶解し、支持体にコーターで塗布し、乾燥
ゾーンにおいて加熱乾燥される際に同時に架橋反応が促
進される。
【0016】架橋反応は加熱乾燥ゾーンで溶剤が揮発す
ることで進行する。架橋剤と粘着剤中の官能基の組合せ
によっては溶液中でも架橋反応が進行し、経時で増粘す
るためコーターによる粘着剤塗工時に筋入りや、塗工面
の波打ち等の塗工不良が起こる。そのため溶液で塗工が
可能である時間(ポットライフ)の長い方が製造上好ま
しい。従って、イソシアネート系架橋剤の反応速度を或
る程度抑制するために分子中にアルキル基、フェニル基
等の立体構造を持たせることがある。しかし、粘着剤溶
液中にアミン、錫等の反応触媒が存在するとこれらの反
応性の抑制手段を講じてもポットライフを充分確保でき
なかったり、イソシアネート自体がポリマー化して塗工
後の発生ゲル分率が変化するという問題が生じる。
ることで進行する。架橋剤と粘着剤中の官能基の組合せ
によっては溶液中でも架橋反応が進行し、経時で増粘す
るためコーターによる粘着剤塗工時に筋入りや、塗工面
の波打ち等の塗工不良が起こる。そのため溶液で塗工が
可能である時間(ポットライフ)の長い方が製造上好ま
しい。従って、イソシアネート系架橋剤の反応速度を或
る程度抑制するために分子中にアルキル基、フェニル基
等の立体構造を持たせることがある。しかし、粘着剤溶
液中にアミン、錫等の反応触媒が存在するとこれらの反
応性の抑制手段を講じてもポットライフを充分確保でき
なかったり、イソシアネート自体がポリマー化して塗工
後の発生ゲル分率が変化するという問題が生じる。
【0017】本発明の偏光板用粘着剤は、上記イソシア
ネート系架橋剤を含有するアクリル系粘着剤に、アルキ
ル基の炭素数が6〜12である3級アミンが配合されて
なるものであるが、TAC崩壊防止剤としてはアルキル
基の炭素数が10〜12である3級アミンを配合すると
特に効果的であることが判った。上記3級アミンのアル
キル基の炭素数が5以下であると、イソシアネート系架
橋剤のポリマー化の触媒作用が大きく、調製されたアク
リル系粘着剤の生成ゲル分率が増大する方向に塗布前に
経時的に変化し、前記する塗工時の不具合や耐熱性、耐
候性、粘着力等の粘着物性が低下してしまう。又、アル
キル基の炭素数が13以上となると、被着体であるガラ
スセルとの接着界面にブリードして、界面接着力を弱
め、高温もしくは高湿の使用環境で粘着剤層が界面剥離
を起こす等の不具合が発生する。
ネート系架橋剤を含有するアクリル系粘着剤に、アルキ
ル基の炭素数が6〜12である3級アミンが配合されて
なるものであるが、TAC崩壊防止剤としてはアルキル
基の炭素数が10〜12である3級アミンを配合すると
特に効果的であることが判った。上記3級アミンのアル
キル基の炭素数が5以下であると、イソシアネート系架
橋剤のポリマー化の触媒作用が大きく、調製されたアク
リル系粘着剤の生成ゲル分率が増大する方向に塗布前に
経時的に変化し、前記する塗工時の不具合や耐熱性、耐
候性、粘着力等の粘着物性が低下してしまう。又、アル
キル基の炭素数が13以上となると、被着体であるガラ
スセルとの接着界面にブリードして、界面接着力を弱
め、高温もしくは高湿の使用環境で粘着剤層が界面剥離
を起こす等の不具合が発生する。
【0018】上記3級アミンとしては、例えば、トリ−
n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ
−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−
n−ドデシルアミン等が挙げられる。上記3級アミン
が、イソシアネート系架橋剤等をポリマー化し、粘着剤
のゲル分率を増大し、前記する塗工時の不具合を起こし
たりすることがなく、イソシアネート系架橋剤等による
アクリル系粘着剤の架橋を阻害することなく、且つ、T
AC層との密着性を高め、該層との間に強いアンカーが
得られる理由は、以下の理由によるものと推定される。
n−ヘキシルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ
−n−ノニルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−
n−ドデシルアミン等が挙げられる。上記3級アミン
が、イソシアネート系架橋剤等をポリマー化し、粘着剤
のゲル分率を増大し、前記する塗工時の不具合を起こし
たりすることがなく、イソシアネート系架橋剤等による
アクリル系粘着剤の架橋を阻害することなく、且つ、T
AC層との密着性を高め、該層との間に強いアンカーが
得られる理由は、以下の理由によるものと推定される。
【0019】上記3級アミンのアルキル基の鎖長が長く
なることで、該アミンの反応性が低下し、イソシアネー
ト系架橋剤のポリマー化反応の触媒作用が低下したもの
と考えられる。しかし、同時にアルキルアミンの塩基と
しての極性も低下するため、酢酸トラップ性の低下も否
めない。にも拘わらず、本発明において酢酸トラップ性
を低下させることなくイソシアネート系架橋剤のポリマ
ー化反応を抑制できたのは、イソシアネート系架橋剤と
酢酸の分子半径の違いによるものと考えられる。即ち、
酢酸の分子量は60であり、イソシアネート系架橋剤の
分子量は、イソシアネート基2個だけでも84であり、
主鎖部分を含めると先に例示したXDIの場合で200
に近く、両者の間には分子量の違いによる分子半径の違
いが存在し、イソシアネート系架橋剤は立体障害により
上記3級アミンに接近することができず、イソシアネー
ト系架橋剤等のポリマー化は抑制されるが、酢酸は上記
立体障害を受けることなく上記3級アミンにトラップさ
れ、TAC崩壊防止がなされたものと考えられる。
なることで、該アミンの反応性が低下し、イソシアネー
ト系架橋剤のポリマー化反応の触媒作用が低下したもの
と考えられる。しかし、同時にアルキルアミンの塩基と
しての極性も低下するため、酢酸トラップ性の低下も否
めない。にも拘わらず、本発明において酢酸トラップ性
を低下させることなくイソシアネート系架橋剤のポリマ
ー化反応を抑制できたのは、イソシアネート系架橋剤と
酢酸の分子半径の違いによるものと考えられる。即ち、
酢酸の分子量は60であり、イソシアネート系架橋剤の
分子量は、イソシアネート基2個だけでも84であり、
主鎖部分を含めると先に例示したXDIの場合で200
に近く、両者の間には分子量の違いによる分子半径の違
いが存在し、イソシアネート系架橋剤は立体障害により
上記3級アミンに接近することができず、イソシアネー
ト系架橋剤等のポリマー化は抑制されるが、酢酸は上記
立体障害を受けることなく上記3級アミンにトラップさ
れ、TAC崩壊防止がなされたものと考えられる。
【0020】上記3級アミンの添加量は、上記アクリル
系粘着剤のアクリル系ポリマー100重量部に対し、
0.1〜3重量部程度である。上記添加量が0.1重量
部未満であると、TAC崩壊防止作用が十分でなく、偏
光板の耐久性が得られず、上記添加量が3重量部を超え
る場合、TAC崩壊防止作用は添加量と共に増大する
が、被着体であるガラスセルとの界面へブリードして、
粘着剤層の界面接着力を低下せしめ、偏光板を該ガラス
セル面から部分的にもしくは全面的に剥離し、表示性能
を低下もしくは不能にしてしまう。
系粘着剤のアクリル系ポリマー100重量部に対し、
0.1〜3重量部程度である。上記添加量が0.1重量
部未満であると、TAC崩壊防止作用が十分でなく、偏
光板の耐久性が得られず、上記添加量が3重量部を超え
る場合、TAC崩壊防止作用は添加量と共に増大する
が、被着体であるガラスセルとの界面へブリードして、
粘着剤層の界面接着力を低下せしめ、偏光板を該ガラス
セル面から部分的にもしくは全面的に剥離し、表示性能
を低下もしくは不能にしてしまう。
【0021】上記アクリル系粘着剤は、粘着性を発現す
るアクリル酸アルキルエステルモノマーを主成分とし、
これに、上記イソシアネート系架橋剤によって架橋され
得る架橋基点となる水酸基、アミノ基、カルボキシル基
といった官能基を含有するモノマー成分を有するもので
あれば特に限定されるものではない。上記アクリル酸ア
ルキルエステルモノマーとしては、例えば、アクリル酸
ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オ
クチル、アクリル酸イソオクチル等の炭素数4〜10の
アクリル酸アルキルエステルが粘着性付与の点から好ま
しい。更に、必要に応じて、酢酸ビニル、スチレン、N
−ビニルピロリドン、N−ビニルオキサゾリン等の共重
合性モノマー、炭素数1〜3のアクリル酸アルキルエス
テル或いはメタクリル酸エステルを共重合することによ
って粘着剤の高温弾性率を増大し、高い凝集力と耐熱性
を付与することができる。又、アクリル酸ドデシル、ア
クリル酸ステアリル等の高級アクリル酸エステルを共重
合することによって粘着剤に再剥離性が付与され、貼り
直しや、貼付位置合わせ作業が容易な粘着剤層を形成す
ることができる。
るアクリル酸アルキルエステルモノマーを主成分とし、
これに、上記イソシアネート系架橋剤によって架橋され
得る架橋基点となる水酸基、アミノ基、カルボキシル基
といった官能基を含有するモノマー成分を有するもので
あれば特に限定されるものではない。上記アクリル酸ア
ルキルエステルモノマーとしては、例えば、アクリル酸
ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸オ
クチル、アクリル酸イソオクチル等の炭素数4〜10の
アクリル酸アルキルエステルが粘着性付与の点から好ま
しい。更に、必要に応じて、酢酸ビニル、スチレン、N
−ビニルピロリドン、N−ビニルオキサゾリン等の共重
合性モノマー、炭素数1〜3のアクリル酸アルキルエス
テル或いはメタクリル酸エステルを共重合することによ
って粘着剤の高温弾性率を増大し、高い凝集力と耐熱性
を付与することができる。又、アクリル酸ドデシル、ア
クリル酸ステアリル等の高級アクリル酸エステルを共重
合することによって粘着剤に再剥離性が付与され、貼り
直しや、貼付位置合わせ作業が容易な粘着剤層を形成す
ることができる。
【0022】上記イソシアネート系架橋剤によって架橋
され得る架橋基点となる水酸基、アミノ基、カルボキシ
ル基といった官能基を含有するモノマーとしては、例え
ば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン
酸等のカルボキシル基を有するモノマー、2−ヒドロキ
シエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリ
レート等の水酸基を有するモノマー、グリシジルアクリ
レート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を有
するモノマー、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレ
ート、N−t−ブチルアミノエチルアクリレート等のア
ミノ基を有するモノマー、アクリルアミド、メタクリル
アミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロー
ルメタクリルアミド等のアミド基を有するモノマー等が
挙げられる。
され得る架橋基点となる水酸基、アミノ基、カルボキシ
ル基といった官能基を含有するモノマーとしては、例え
ば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン
酸等のカルボキシル基を有するモノマー、2−ヒドロキ
シエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリ
レート等の水酸基を有するモノマー、グリシジルアクリ
レート、グリシジルメタクリレート等のエポキシ基を有
するモノマー、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレ
ート、N−t−ブチルアミノエチルアクリレート等のア
ミノ基を有するモノマー、アクリルアミド、メタクリル
アミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロー
ルメタクリルアミド等のアミド基を有するモノマー等が
挙げられる。
【0023】上記アクリル系粘着剤を構成するアクリル
系モノマーや得られる共重合体に架橋基点を形成する官
能基を含有するモノマー等を共重合する手段は、特に限
定されるものではないが、ラジカル発生剤を重合開始剤
として溶液中でラジカル重合を行う方法が好適に使用さ
れ、有機溶剤溶液型として粘着剤が得られる。
系モノマーや得られる共重合体に架橋基点を形成する官
能基を含有するモノマー等を共重合する手段は、特に限
定されるものではないが、ラジカル発生剤を重合開始剤
として溶液中でラジカル重合を行う方法が好適に使用さ
れ、有機溶剤溶液型として粘着剤が得られる。
【0024】本発明の粘着剤は上記のようなアクリル系
粘着剤溶液に、アルキル3級アミンとイソシアネート系
架橋剤を主とする架橋剤を配合し、充分攪拌した後脱泡
し、離型処理したポリエステル等の支持体上に塗布し、
乾燥による溶剤の蒸発及び架橋反応によるゲル化を経て
偏光板のTAC面に転写することにより偏光板粘着加工
品が得られる。上記アクリル系粘着剤には、必要に応
じ、粘着付与樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、再剥離
性付与剤、可塑剤、保湿剤等の添加剤が添加される。
粘着剤溶液に、アルキル3級アミンとイソシアネート系
架橋剤を主とする架橋剤を配合し、充分攪拌した後脱泡
し、離型処理したポリエステル等の支持体上に塗布し、
乾燥による溶剤の蒸発及び架橋反応によるゲル化を経て
偏光板のTAC面に転写することにより偏光板粘着加工
品が得られる。上記アクリル系粘着剤には、必要に応
じ、粘着付与樹脂、酸化防止剤、紫外線吸収剤、再剥離
性付与剤、可塑剤、保湿剤等の添加剤が添加される。
【0025】(作用)本発明偏光板用粘着剤は、叙上の
如く構成されているので、アルキル基の炭素数が6〜1
2である3級アミンとイソシアネート系架橋剤との反応
が3級アミンの炭素数が6〜12のアルキル基の立体障
害により阻止され、イソシアネート系架橋剤のポリマー
化は阻止されるが、アルキル基の炭素数が6〜12であ
る3級アミンと偏光板の構成材であるTACの脱酢酸反
応を自己触媒する酢酸は低分子量であるので、上記3級
アミンに難なく中和トラップされ、TAC崩壊を阻止し
得るものであって、その結果、偏光板用粘着剤の架橋構
造は安定し、粘着剤の調製から塗布後の加熱乾燥によっ
て架橋反応が開始するまでの間、ゲル分率の変動が極め
て少なく、且つ、液晶ディスプレーとしてガラスセルに
偏光板を固定した後は、TAC崩壊を阻止し、高温多湿
の厳しい使用環境にあっても安定した接着性能を発揮し
得るものである。
如く構成されているので、アルキル基の炭素数が6〜1
2である3級アミンとイソシアネート系架橋剤との反応
が3級アミンの炭素数が6〜12のアルキル基の立体障
害により阻止され、イソシアネート系架橋剤のポリマー
化は阻止されるが、アルキル基の炭素数が6〜12であ
る3級アミンと偏光板の構成材であるTACの脱酢酸反
応を自己触媒する酢酸は低分子量であるので、上記3級
アミンに難なく中和トラップされ、TAC崩壊を阻止し
得るものであって、その結果、偏光板用粘着剤の架橋構
造は安定し、粘着剤の調製から塗布後の加熱乾燥によっ
て架橋反応が開始するまでの間、ゲル分率の変動が極め
て少なく、且つ、液晶ディスプレーとしてガラスセルに
偏光板を固定した後は、TAC崩壊を阻止し、高温多湿
の厳しい使用環境にあっても安定した接着性能を発揮し
得るものである。
【0026】特に、アルキル基の炭素数が10〜12で
ある3級アミンを配合することにより粘着剤の架橋構造
はより安定し、TAC崩壊を防止するより大きな効果が
得られる。
ある3級アミンを配合することにより粘着剤の架橋構造
はより安定し、TAC崩壊を防止するより大きな効果が
得られる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、実施例を挙げて更に詳細に説明する。 〔アクリル系共重合体溶液の調製〕セパラブルフラスコ
に、アクリル酸ブチルエステル95重量部、アクリル酸
5重量部、酢酸エチル200重量部、ドデシルメルカプ
タン0.01重量部を仕込み、必要器具、計測器を取り
付けた後、上記セパラブルフラスコに窒素を10分間バ
ブリングして、器内の酸素をパージした。次いで、上記
窒素バブリングから窒素通気に切り換えると共に加熱を
開始し、反応系を80℃にし、重合開始剤ベンゾイルパ
ーオキサイド0.03重量部を添加し、攪拌下に12時
間反応させた。反応後、メチルエチルケトン200重量
部を添加し、冷却してアクリル系共重合体溶液を調製し
た。得られたアクリル系共重合体の重量平均分子量は9
5万、上記アクリル系共重合体溶液の固形分は19.4
重量%、粘度は7Pa・sであった。
て、実施例を挙げて更に詳細に説明する。 〔アクリル系共重合体溶液の調製〕セパラブルフラスコ
に、アクリル酸ブチルエステル95重量部、アクリル酸
5重量部、酢酸エチル200重量部、ドデシルメルカプ
タン0.01重量部を仕込み、必要器具、計測器を取り
付けた後、上記セパラブルフラスコに窒素を10分間バ
ブリングして、器内の酸素をパージした。次いで、上記
窒素バブリングから窒素通気に切り換えると共に加熱を
開始し、反応系を80℃にし、重合開始剤ベンゾイルパ
ーオキサイド0.03重量部を添加し、攪拌下に12時
間反応させた。反応後、メチルエチルケトン200重量
部を添加し、冷却してアクリル系共重合体溶液を調製し
た。得られたアクリル系共重合体の重量平均分子量は9
5万、上記アクリル系共重合体溶液の固形分は19.4
重量%、粘度は7Pa・sであった。
【0028】(実施例1)上記アクリル系共重合体溶液
の固形分100重量部に対し、イソシアネート系架橋剤
(日本ポリウレタン社製、商品名:コロネートL−4
5)1.0重量部及びトリ−n−オクチルアミン1.0
重量部を配合し、スパイラル式攪拌羽根を有する混合機
で30分間攪拌し、その後30分間静置して偏光板用粘
着剤を作製した。
の固形分100重量部に対し、イソシアネート系架橋剤
(日本ポリウレタン社製、商品名:コロネートL−4
5)1.0重量部及びトリ−n−オクチルアミン1.0
重量部を配合し、スパイラル式攪拌羽根を有する混合機
で30分間攪拌し、その後30分間静置して偏光板用粘
着剤を作製した。
【0029】(実施例2〜3)実施例1のトリ−n−オ
クチルアミンに替えて、表1に各々示す3級アミンを同
重量部使用したこと以外、実施例1と同様にして偏光板
用粘着剤を作製した。
クチルアミンに替えて、表1に各々示す3級アミンを同
重量部使用したこと以外、実施例1と同様にして偏光板
用粘着剤を作製した。
【0030】(比較例1)3級アミンを配合しなかった
こと以外、実施例1と同様にして偏光板用粘着剤を作製
した。
こと以外、実施例1と同様にして偏光板用粘着剤を作製
した。
【0031】(比較例2〜3)実施例1のトリ−n−オ
クチルアミンに替えて、表1に各々示す3級アミンを同
重量部使用したこと以外、実施例1と同様にして偏光板
用粘着剤を作製した。
クチルアミンに替えて、表1に各々示す3級アミンを同
重量部使用したこと以外、実施例1と同様にして偏光板
用粘着剤を作製した。
【0032】性能評価 〔TAC製の偏光板の粘着加工及び偏光板用粘着剤シー
トの作製〕調製後、1時間と7時間、通常の保管方法で
放置した上記実施例及び比較例で得られた偏光板用粘着
剤を塗工機を用いて、離型処理された厚さ50μmのポ
リエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製、
商品名:PET5011)の離型処理面に乾燥後の厚さ
が50μmになるように塗布し、100℃で10分間乾
燥した後、TAC製の偏光板及び離型処理された厚さ3
8μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテ
ック社製、商品名:PET3801)に転写して各々粘
着加工されたTAC製の偏光板及び離型処理された厚さ
38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に偏
光板用粘着剤層シートを作製した。
トの作製〕調製後、1時間と7時間、通常の保管方法で
放置した上記実施例及び比較例で得られた偏光板用粘着
剤を塗工機を用いて、離型処理された厚さ50μmのポ
リエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製、
商品名:PET5011)の離型処理面に乾燥後の厚さ
が50μmになるように塗布し、100℃で10分間乾
燥した後、TAC製の偏光板及び離型処理された厚さ3
8μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテ
ック社製、商品名:PET3801)に転写して各々粘
着加工されたTAC製の偏光板及び離型処理された厚さ
38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に偏
光板用粘着剤層シートを作製した。
【0033】上記実施例及び比較例で得られた偏光板用
粘着剤の性能を評価するため、上記偏光板用粘着剤、上
記粘着加工されたTAC製の偏光板及び偏光板用粘着剤
層シートを用いて、1.発生ゲル分率、2.TAC崩壊
防止性、3.耐湿性、4.粘着力及び5.イソシアネー
ト系架橋剤のポリマー化について、以下に示す方法で試
験し、評価した。試験結果及び評価結果は表1及び表2
に示す。
粘着剤の性能を評価するため、上記偏光板用粘着剤、上
記粘着加工されたTAC製の偏光板及び偏光板用粘着剤
層シートを用いて、1.発生ゲル分率、2.TAC崩壊
防止性、3.耐湿性、4.粘着力及び5.イソシアネー
ト系架橋剤のポリマー化について、以下に示す方法で試
験し、評価した。試験結果及び評価結果は表1及び表2
に示す。
【0034】1.発生ゲル分率:作製後、24時間経過
した上記偏光板用粘着剤層シートの粘着剤層を採取し、
サンプル瓶で秤量し、テトラハイドロフランを加えて浸
漬し、23℃×24時間、振盪器にて振盪し、ゾル分と
ゲル分を解離させる。これを200メッシュのステンレ
ススチールメッシュにて分離し、メッシュに残った固形
分をゲル分とし、その重量を当初採取した粘着剤層重量
で除した値の百分率をゲル分率として測定した。
した上記偏光板用粘着剤層シートの粘着剤層を採取し、
サンプル瓶で秤量し、テトラハイドロフランを加えて浸
漬し、23℃×24時間、振盪器にて振盪し、ゾル分と
ゲル分を解離させる。これを200メッシュのステンレ
ススチールメッシュにて分離し、メッシュに残った固形
分をゲル分とし、その重量を当初採取した粘着剤層重量
で除した値の百分率をゲル分率として測定した。
【0035】2.TAC崩壊防止性:上記粘着加工され
たTAC製の偏光板を、ガラスセルに用いられると同質
のガラス板面に貼付して80℃×90%RHの高温高湿
オーブンに500時間と1000時間入れたものの偏光
板のTAC崩壊による偏光板の変色の有無を観察し、変
色したものについては変色し始めた時間を測定した。
たTAC製の偏光板を、ガラスセルに用いられると同質
のガラス板面に貼付して80℃×90%RHの高温高湿
オーブンに500時間と1000時間入れたものの偏光
板のTAC崩壊による偏光板の変色の有無を観察し、変
色したものについては変色し始めた時間を測定した。
【0036】3.耐湿性:前項のTAC崩壊防止性試験
と同様に、高温高湿オーブンに500時間と1000時
間入れたものを偏光板がガラス板面から剥離するか否か
を観察し、剥離したものについては剥離し始めた時間を
測定した。
と同様に、高温高湿オーブンに500時間と1000時
間入れたものを偏光板がガラス板面から剥離するか否か
を観察し、剥離したものについては剥離し始めた時間を
測定した。
【0037】4.粘着力:上記粘着加工されたTAC製
の偏光板を、幅25mmに切断して試験片とし、これを
前2及び3項の試験と同様に、ガラス板面に室温で貼付
し、30分間放置した。上記試験片を90℃×5時間で
接着昂進させ、室温に戻して24時間放置した後、上記
試験片の180°剥離粘着力を測定した。
の偏光板を、幅25mmに切断して試験片とし、これを
前2及び3項の試験と同様に、ガラス板面に室温で貼付
し、30分間放置した。上記試験片を90℃×5時間で
接着昂進させ、室温に戻して24時間放置した後、上記
試験片の180°剥離粘着力を測定した。
【0038】5.イソシアネート系架橋剤のポリマー
化:調製後、2時間及び8時間通常の保管方法で放置し
た偏光板用粘着剤をGPC(Gel Permeation Chromatog
raphy )により、イソシアネート系架橋剤のポリマー化
量を測定した。上記ポリマー化量は2量体以上の成分の
GPCチャートにおける面積比で表している。
化:調製後、2時間及び8時間通常の保管方法で放置し
た偏光板用粘着剤をGPC(Gel Permeation Chromatog
raphy )により、イソシアネート系架橋剤のポリマー化
量を測定した。上記ポリマー化量は2量体以上の成分の
GPCチャートにおける面積比で表している。
【0039】
【表1】
【0040】
【表2】
【0041】比較例1は、TAC崩壊防止剤としてアミ
ンを配合していない粘着剤であるが、上記試験条件にお
いて約100時間でTACが白化し、TACが劣化崩壊
している様子が窺われる。これは、TAC中の酢酸エス
テルが粘着剤中のアクリル酸のカルボキシル基の触媒作
用で加水分解し、その結果生成した酢酸が更に自己触媒
として働き、連鎖的にTACを短期に崩壊させていると
考えられる。
ンを配合していない粘着剤であるが、上記試験条件にお
いて約100時間でTACが白化し、TACが劣化崩壊
している様子が窺われる。これは、TAC中の酢酸エス
テルが粘着剤中のアクリル酸のカルボキシル基の触媒作
用で加水分解し、その結果生成した酢酸が更に自己触媒
として働き、連鎖的にTACを短期に崩壊させていると
考えられる。
【0042】比較例2は、アルキル基の短いアミンを配
合しているため、イソシアネート系架橋剤に対しポリマ
ー化触媒として働き、経時でポリイソシアネートが生成
するために7時間放置後塗工した粘着剤のゲル分率が高
くなり過ぎ、結果的に耐湿性及び粘着力を低下させてい
ると考えられる。
合しているため、イソシアネート系架橋剤に対しポリマ
ー化触媒として働き、経時でポリイソシアネートが生成
するために7時間放置後塗工した粘着剤のゲル分率が高
くなり過ぎ、結果的に耐湿性及び粘着力を低下させてい
ると考えられる。
【0043】比較例3は比較例2のものよりもアルキル
基の長いアミンを配合しているため、放置時間によるゲ
ル分率の変化はないが、上記アミンがガラス板との接着
界面にブリードしてきて耐湿性及び粘着力を低下させて
いると考えられる。
基の長いアミンを配合しているため、放置時間によるゲ
ル分率の変化はないが、上記アミンがガラス板との接着
界面にブリードしてきて耐湿性及び粘着力を低下させて
いると考えられる。
【0044】これらの比較例に対し、本発明の実施例は
いずれも測定全般に亘って優れた性能を示している。特
にTAC崩壊防止性に関してはアルキル基の炭素数が1
0〜12である3級アミンを配合することがより効果的
であることが判る。
いずれも測定全般に亘って優れた性能を示している。特
にTAC崩壊防止性に関してはアルキル基の炭素数が1
0〜12である3級アミンを配合することがより効果的
であることが判る。
【0045】
【発明の効果】本発明の偏光板用粘着剤は、叙上の如く
構成されているので、偏光板用粘着剤の架橋構造は安定
しており、粘着剤の調製から塗布後の加熱乾燥によって
架橋反応が開始するまでの間、ゲル分率の変動が極めて
少なく、且つ、液晶ディスプレイとしてガラスセルに偏
光板を固定した後は、TAC崩壊を阻止し、高温多湿の
厳しい使用環境にあっても安定した接着性能を発揮し得
るものである。
構成されているので、偏光板用粘着剤の架橋構造は安定
しており、粘着剤の調製から塗布後の加熱乾燥によって
架橋反応が開始するまでの間、ゲル分率の変動が極めて
少なく、且つ、液晶ディスプレイとしてガラスセルに偏
光板を固定した後は、TAC崩壊を阻止し、高温多湿の
厳しい使用環境にあっても安定した接着性能を発揮し得
るものである。
Claims (1)
- 【請求項1】 イソシアネート系架橋剤を含有するアク
リル系粘着剤に、アルキル基の炭素数が6〜12である
3級アミンが配合されてなることを特徴とする偏光板用
粘着剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP8007245A JPH0987600A (ja) | 1995-07-14 | 1996-01-19 | 偏光板用粘着剤 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP17857595 | 1995-07-14 | ||
JP7-178575 | 1995-07-14 | ||
JP8007245A JPH0987600A (ja) | 1995-07-14 | 1996-01-19 | 偏光板用粘着剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0987600A true JPH0987600A (ja) | 1997-03-31 |
Family
ID=26341514
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8007245A Pending JPH0987600A (ja) | 1995-07-14 | 1996-01-19 | 偏光板用粘着剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0987600A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001323238A (ja) * | 2000-05-16 | 2001-11-22 | Nitto Denko Corp | 光学部材用粘着剤 |
JP2009029864A (ja) * | 2007-07-25 | 2009-02-12 | Riken Technos Corp | 粘着剤組成物および粘着シート部材 |
JP2013203876A (ja) * | 2012-03-28 | 2013-10-07 | Toagosei Co Ltd | プラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物 |
JP2013241508A (ja) * | 2012-05-18 | 2013-12-05 | Toagosei Co Ltd | プラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物 |
JP2018100385A (ja) * | 2016-12-22 | 2018-06-28 | 日本合成化学工業株式会社 | アクリル系粘着剤組成物、およびそれを用いてなる粘着剤、粘着シート、ならびに粘着剤層付偏光板 |
JP2018104514A (ja) * | 2016-12-26 | 2018-07-05 | 日本合成化学工業株式会社 | 粘着剤組成物、およびそれを用いてなる粘着剤、粘着シート、並びに粘着剤層付偏光板 |
JP2020114935A (ja) * | 2016-12-22 | 2020-07-30 | 三菱ケミカル株式会社 | アクリル系粘着剤組成物、およびそれを用いてなる粘着剤、粘着シート、ならびに粘着剤層付偏光板 |
-
1996
- 1996-01-19 JP JP8007245A patent/JPH0987600A/ja active Pending
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2001323238A (ja) * | 2000-05-16 | 2001-11-22 | Nitto Denko Corp | 光学部材用粘着剤 |
JP2009029864A (ja) * | 2007-07-25 | 2009-02-12 | Riken Technos Corp | 粘着剤組成物および粘着シート部材 |
JP2013203876A (ja) * | 2012-03-28 | 2013-10-07 | Toagosei Co Ltd | プラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物 |
JP2013241508A (ja) * | 2012-05-18 | 2013-12-05 | Toagosei Co Ltd | プラスチック製フィルム又はシート用活性エネルギー線硬化型接着剤組成物 |
JP2018100385A (ja) * | 2016-12-22 | 2018-06-28 | 日本合成化学工業株式会社 | アクリル系粘着剤組成物、およびそれを用いてなる粘着剤、粘着シート、ならびに粘着剤層付偏光板 |
JP2020114935A (ja) * | 2016-12-22 | 2020-07-30 | 三菱ケミカル株式会社 | アクリル系粘着剤組成物、およびそれを用いてなる粘着剤、粘着シート、ならびに粘着剤層付偏光板 |
JP2018104514A (ja) * | 2016-12-26 | 2018-07-05 | 日本合成化学工業株式会社 | 粘着剤組成物、およびそれを用いてなる粘着剤、粘着シート、並びに粘着剤層付偏光板 |
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