WO2006009250A1

WO2006009250A1 - 偏光板用粘着剤組成物および偏光板

Info

Publication number: WO2006009250A1
Application number: PCT/JP2005/013486
Authority: WO
Inventors: Koji Tomita; Akira Nomura
Original assignee: Soken Chemical & Engineering Co., Ltd.
Priority date: 2004-07-22
Filing date: 2005-07-22
Publication date: 2006-01-26
Also published as: EP1780561A1; TWI306956B; KR20070034601A; TW200609545A; EP1780561B1; CN100419475C; US20080033109A1; ES2388292T3; KR100839631B1; JPWO2006009250A1; CN1997921A; EP1780561A4

Abstract

　本発明の課題は、光学特性および耐久性に優れるとともに、偏光板等の寸法変化による応力を緩和し、光漏れや色むらを抑制することができる偏光板用粘着剤組成物および該粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する偏光板を提供することにある。　本発明に係る偏光板用粘着剤組成物は、モノマー成分として、（ａ１）（メタ）アクリル酸エステル１０～７９．９重量％と、（ａ２）ベンゼン環含有化合物２０～８０重量％と、（ａ３）官能基含有化合物０．１～１０重量％とを含み、ベンゼン環含有率が１０重量％以上であり、重量平均分子量が８０万～２００万であるアクリル系共重合体（Ａ）１００重量部に対して、架橋剤（Ｂ）０．０１～０．３重量部と、シランカップリング剤（Ｃ）０．０１～０．５重量部とを含有することを特徴とする。

Description

明細書

偏光板用粘着剤組成物および偏光板

技術分野

[0001] 本発明は偏光板用粘着剤組成物および偏光板に関する。より詳しくは、液晶素子などに用いられる偏光板の寸法変化による応力を緩和し、光漏れや色むらなどを抑制することができる粘着剤組成物、および該粘着剤組成物からなる層を有する偏光板に関する。

背景技術

[0002] 液晶表示装置の液晶素子は、所定の方向に配向した液晶成分が二枚の基板間に挟持された構造を有しており、この基板の表面には偏光板や偏光板と位相差板との積層体が、粘着剤層を介して貼着されている。

液晶素子は、表示装置の軽量化および薄型化に適しているため、近年、車載用テレビ、車載用ナビゲーシヨンシステムのディスプレイ、パソコンのディスプレイ、壁掛けテレビ、屋外計測器用などの表示装置として、幅広い分野で使用されるようになってきており、これに伴レ、使用環境も非常に過酷になってきてレ、る。

[0003] 液晶素子に用いられる偏光板（フィルム）は、ポリビュルアルコール系偏光子の両面にトリアセテート系保護フィルムが積層された 3層構造を有している力これら材料の特性から、過酷な使用条件下では、偏光板の寸法変化が生じ、この寸法変化に伴い、発泡ゃハガレが生じやすくなる。そのため、偏光板を位相差板または基板に貼着するための粘着剤について、分子量をあげたり、架橋度をあげることにより耐久性を向上させ、過酷な条件下での使用に耐えられるように改良する試みがなされている（例えば、特許文献 1参照)。

[0004] し力ながら、このような方法は、偏光板の寸法変化を粘着剤で抑制しょうとするものであり、熱または湿熱条件で生じる偏光板の寸法変化に起因する応力を充分に吸収*緩和することができない。このため、偏光板に作用する残留応力の分布が不均一となり、特に外周部に応力集中が生じる結果、液晶表示装置において、光漏れ、色むらが起こりやすいとレ、う問題が発生する。 [0005] このような問題に対して、粘着剤組成物に添加剤を配合することにより、偏光板の寸法変化に対する粘着剤層の応力緩和性を改善しょうとする試みや、高分子量ポリマーと低分子量ポリマーとを含む粘着剤組成物を用いることにより、基材の寸法変化に起因する応力を吸収 ·緩和させ、湿熱条件下での光学的欠陥を防止する試みがなされている（例えば、特許文献 2参照）。

[0006] し力ながら、上記方法を用いても光学特性および応力緩和性が未だ充分とはいえず、また、液晶表示装置の利用分野がさらに拡大することが期待されることから、より過酷な条件下で使用されて基材の寸法変化量が増大しても、充分に応力を吸収 · 緩和することができる粘着剤組成物が要望されている。

特許文献 1：特開平 3— 12471号公報

特許文献 2 :特開 2000— 109771号公報

発明の開示

発明が解決しょうとする課題

[0007] 本発明の課題は、光学特性および耐久性に優れるとともに、偏光板等の寸法変化による応力を緩和し、光漏れや色むらを抑制することができる偏光板用粘着剤組成物および該粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する偏光板を提供することにある。課題を解決するための手段

[0008] 本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意研究した。その結果、特定のモノマー成分からなるアクリル系共重合体に、少量の架橋剤およびシランカップリング剤を配合することにより、上記課題を解決することができる粘着剤組成物が得られることを見出した。すなわち、本発明に係る偏光板用粘着剤組成物は、モノマー成分として、 (al) (メタ）アクリル酸エステル 10〜79. 9重量％と、（a2)ベンゼン環含有化合物 20〜80重量％と、（a3)官能基含有化合物 0. 1〜： 10重量％とを含み、ベンゼン環含有率が 10 重量％以上であり、重量平均分子量が 80万〜 200万であるアクリル系共重合体 (A) 100重量部に対して、架橋剤（B) 0. 01〜0. 3重量部と、シランカップリング剤（C) 0 . 01-0. 5重量部とを含有することを特徴とする。

[0009] 本発明に係る偏光板は、前記偏光板用粘着剤組成物からなる粘着剤層が、偏光板の少なくとも一方の面に形成されていることを特徴とする。本発明の偏光板用粘着剤組成物からなる粘着剤層は、 23°Cにおける貯蔵弾性率 (G，l)が 1. 0 X 10⁵Pa以下であり、かつ、 80°Cにおける貯蔵弾性率（G' 2)が 5. 0 X 10⁴Pa以下である。

[0010] 前記貯蔵弾性率 (G' l)と（G' 2)との比（G' lZG' 2)は、 1. 5超〜 5以下であることが好ましい。

発明の効果

[0011] 本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層は、光学特性および耐久性に優れるとともに、高温高湿雰囲気下などの過酷な使用条件下においても、偏光板の寸法変化に対する応力緩和性に優れ、光漏れ、色むら、剥がれなどの発生を抑制することができる。

発明を実施するための最良の形態

[0012] 以下、本発明に係る偏光板用粘着剤組成物および該粘着剤組成物からなる粘着剤層を有する偏光板について、詳細に説明する。

〔偏光板用粘着剤組成物〕

本発明に係る偏光板用粘着剤組成物は、特定のモノマー成分からなるアクリル系共重合体 (A)、架橋剤 (B)およびシランカップリング剤 (C)を含有する。

[0013] <アクリル系共重合体 (A) >

(モノマー成分）

本発明で用いられるアクリル系共重合体 (A)は、モノマー成分として、（メタ）アタリル酸エステル (al)、該（al)と共重合可能なベンゼン環含有化合物（a2)、ならびに該 (al)および/または (a2)と共重合可能な官能基含有化合物（a3)を含む。

[0014] 上記（メタ）アクリル酸エステル（al)としては、たとえば、メチル (メタ）アタリレート、ェチル (メタ）アタリレート、プロピル (メタ）アタリレート、 n-ブチル (メタ）アタリレート、 iso- ブチル（メタ）アタリレート、 2-ェチルへキシル（メタ）アタリレート、 n-ォクチル（メタ）ァクリレート、 iso-ォクチル (メタ）アタリレート、ラウリノレ (メタ）アタリレート、ステアリノレ (メタ）アタリレート、シクロへキシル（メタ）アタリレート、メトキシェチル（メタ）アタリレートおよびエトキシメチル (メタ）アタリレートなどを挙げることができる。これらは単独で用いても、 2種以上を組み合わせて用いてもよい。 [0015] 上記ベンゼン環含有化合物（a2)としては、ベンゼン環含有 (メタ）アクリル酸エステルが好ましぐたとえば、ベンジル（メタ）アタリレート、ベンジルォキシェチル（メタ）ァタリレート、フエノキシジエチレングリコール（メタ）アタリレート、フエノキシェチル（メタ）アタリレート、エチレンオキサイド変性タレゾール（メタ）アタリレート、エチレンォキサイド変性ノユルフェノール (メタ）アタリレートなどを挙げることができる。

[0016] 上記官能基含有化合物としては、架橋剤 (B)と架橋反応する官能基を有する化合物、たとえば、（メタ）アクリル酸、 j3 -カルボキシェチルアタリレート、ィタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸および無水マレイン酸などのカルボキシル基含有化合物 ; 2-ヒドロキシェチル（メタ）アタリレート、 4-ヒドロキシブチル（メタ）アタリレート、クロ口- 2-ヒドロキシプロピルアタリレート、ジエチレングリコールモノ（メタ）アタリレートおよびァリルアルコールなどのヒドロキシル基含有化合物；グリシジル (メタ）アタリレートなどのエポキシ基含有化合物；アミノメチノレ (メタ）アタリレート、ジメチルアミノエチノレ (メタ）アタリレートなどのアミノ基含有化合物；（メタ）アクリルアミド、 N—メチロール (メタ）ァクリルアミド、メトキシェチル (メタ）アクリルアミドなどのアミド基含有化合物；メタクリロキシプロピルメトキシシランなどのアルコキシシラン基含有化合物；およびァセトァセトキシェチル (メタ）アタリレートなどのァセトァセチル基含有化合物などを挙げることができる。これらは単独で用いても、 2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でもカルボキシル基含有化合物および水酸基含有化合物が好ましい。

[0017] また、本発明で用いられるアクリル系共重合体 (A)は、上記モノマー成分以外にも、本発明の目的を損なわない範囲で、他の単量体を共重合させてもよい。このような他の単量体としては、たとえば、酢酸ビュル、スチレン、メチルスチレン、ビュルトルェン、（メタ）アクリロニトリルなどを挙げることができる。

(重合方法）

本発明で用いられるアクリル系共重合体 (A)は、従来公知の重合法、たとえば、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、塊状重合などの方法により合成することができる。

[0018] (組成比）

上記アクリル系重合体 (A)中における各モノマー成分の含有量は、モノマー成分（ al)、（a2)および（a3)の合計 100重量％に対して、上記成分（al)が 10〜79. 9重量⁰ /₀、好ましくは 25〜69. 9重量⁰ /₀、特に好ましくは 27〜60. 5重量％であり、上記成分（a2)が 20〜80重量⁰ /₀、好ましくは 30〜70重量⁰ /₀、特に好ましくは 40〜60重量％であり、上記成分（a3)が 0.：!〜 10重量％、好ましくは 0. ：!〜 5重量％、特に好ましくは 0. 5〜3重量％である。

[0019] 上記のような量で各モノマー成分を共重合させることにより、粘弾性特性に優れた粘着剤組成物が得られ、偏光板の光漏れや色むらなどの発生を抑制することができる。

なお、上記他の単量体成分の含有量は、上記モノマー成分（al)、（a2)および（a3 )の合計 100重量％に対して、 0〜： 15重量％、好ましくは 0〜： 10重量％である。

[0020] (ベンゼン環含有率）

上記アクリル系共重合体 (A)は、ベンゼン環含有率が 10重量％以上、好ましくは 1 5〜50重量％、特に好ましくは 20〜40重量％である。ベンゼン環含有率が上記範囲にあることにより、後述する粘着剤組成物の貯蔵弾性率を特定の範囲にすることができ、応力緩和性に優れた粘着剤組成物を得ることができる。なお、ベンゼン環含有率は下記式（1)により算出した値である。

[0021] [数 1]

, , 一. 〔ベンゼン璟分子量〕 X〔モノマ一成分 (a2)含有量 (重量％)〕x 1 00 ベンゼン環含有率：

(重量％) [〔各モノマー成分分子量〕 X〔各モノマー成分含有量 (重量％)〕]の総和

… ( 1 )

[0022] すなわち、上記アクリル系共重合体 (A)が、モノマー成分 (al)、（a2)および (a3) 力なる場合、下記式（1 ' )により求められる。

[0023] [数 2]

、 — ^ 〔ベンゼン環分子量〕 x〔Y2〕x 100

ベンゼン環含有率 . . . _{( 1}，）

〔M1〕 X〔Y1〕 + f M2〕 x〔Y2] +〔M3〕 x〔Y3〕上記式（1 ' )中、 Mlはモノマー成分（al)の分子量、 M2はモノマー成分（a2)の分子量、 M3はモノマー成分（a3)の分子量であり、 Y1はモノマー成分（al)の含有量（重量％)、 Y2はモノマー成分（a2)の含有量 (重量％)、 Y3はモノマー成分（a3)の含有量 (重量％)である。

(分子量）

上記アクリル系共重合体 (A)の重量平均分子量（Mw)は、 80万〜 200万、好ましくは 100万〜 180万、特に好ましくは 100万〜 150万であることが望ましレ、。アタリノレ系共重合体 (A)の Mwが上記範囲にあることにより、偏光板の寸法変化に対する応力緩和性ならびに粘着剤としての凝集力に優れることから、偏光板の光漏れ、色むら、剥がれなどの発生を抑制することができる。なお、上記重量平均分子量は、ゲルパ一ミエーシヨンクロマトグラフィー（GPC)法におけるポリスチレン換算により求めた値である。

[0025] <架橋剤（B) >

本発明で用いられる架橋剤（B)としては、イソシァネート系化合物、エポキシ系ィ匕合物、アミン系化合物、金属キレート系化合物およびアジリジン系化合物などを挙げることができる。これらの中では、イソシァネート系化合物が好ましい。

上記イソシァネート系化合物としては、たとえば、トリレンジイソシァネート、クロルフナート、イソホロンジイソシァネート、キシリレンジイソシァネート、ジフエ二ノレメタンジィソシァネート、水添されたジフエニルメタンジイソシァネートなどのイソシァネートモノマ一、およびこれらイソシァネートモノマーをトリメチロールプロパンなどと付加したイソシァネート化合物やイソシァヌレート化物、ビュレット型化合物、さらには公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどを付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシァネートなどを挙げることができる。

[0026] 上記エポキシ系化合物としては、たとえば、エチレングリコールグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジノレエーテル、 1， 3-ビス（N, N-ジグリシジルアミノメチル)シクロへキサン、 N, N, N，， N，-テトラグリジル- m-キシリレンジァミン、 N, N, N，， N，-テトラグリジルアミノフヱニルメタン、トリグリシジルイソシァヌレート、 m-N, N-ジグリシジルアミノフエニルダリシジルエーテル、 N, N-ジグリシジルトルイジン、 N， N-ジグリシジルァ二リンなどを挙げることができる。

[0027] 上記アミン系化合物としては、たとえば、へキサメチレンジァミン、トリェチルジァミン、ポリエチレンィミン、へキサメチレンテトラミン、ジエチレントリァミン、トリェチルテトラミン、イソホロンジァミン、ァミノ樹脂およびメチレン樹脂などを挙げることができる。上記金属キレートイ匕合物としては、たとえば、アルミニウム、鉄、銅、亜鉛、スズ、チタン、ニッケノレ、アンチモン、マグネシウム、バナジウム、クロムおよびジルコニウムなどの多価金属がァセチルアセトンやァセト酢酸ェチルに配位した化合物などを挙げること力 Sできる。

[0028] 上記アジリジン系化合物としては、たとえば、ジフエニルメタン- 4, 4'-ビス (1-アジリジンカーボキサミド)、トリメチロールプロパントリ- アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタントリ- —アジリジニルプロピオネート、トルエン- 2, 4-ビス (1-アジリジンカーボキサミド)、トリエチレンメラミン、ビスイソフタロイル -1-(2-メチルアジリジン）、トリス- 1-(2-メチルアジリジン)フォスフィン、トリメチロールプロパントリ- -(2-メチルアジリジン)プロピオネートなどを挙げることができる。

[0029] 上記架橋剤（B)は、 1種単独で用いても、 2種以上を組み合わせて用いてもよい。

上記架橋剤（B)の配合量は、上記アクリル系共重合体 100重量部に対して 0. 01〜 0. 3重量部、好ましくは 0. 01-0. 2重量部、特に好ましくは 0. 01-0. 1重量部である。

上記の範囲で配合することにより、後述する粘弾性特性を確保することができ、偏光板の寸法変化による応力を緩和し、光漏れや色むらを防止することができるとともに、耐久性に優れた粘着剤組成物を得ることができる。なお、架橋剤（B)の配合量が上記範囲を超えると、貯蔵弾性率が高くなり、偏光板の寸法変化による応力の緩和作用が充分に得られず、光漏れ性を改善することができないことがあり、上記範囲よりも少ないと、耐久性が充分に得られないことがある。

[0030] <シランカップリング剤（C) >

本発明で用いられるシランカップリング剤（C)としては、たとえば、ビュルトリメトキシシラン、ビエルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の重合性不飽和基含有ケィ素化合物； 3 -グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、 3 -グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、 2_(3, 4-エポキシシクロへキシル)ェチルトリメトキシシラン等のエポキシ構造を有するケィ素化合物； 3 -ァミノプロピルトリメトキシシラン， N_(2_アミノエチル) 3-ァミノプロピルトリメトキシシラン， N_(2_アミノエチル) 3-ァミノプロピルメチルジメトキシシラン等のアミノ基含有ケィ素化合物；および 3-クロ口プロピ

[0031] 上記シランカップリング剤（C)は、 1種単独で用いても、 2種以上を組み合わせて用レ、てもよい。上記シランカップリング剤（C)の配合量は、上記アクリル系重合体 (A) l 00重量部に対して、 0. 01-0. 5重量部、好ましくは 0. 05〜0. 3重量部、特に好ましくは 0. 05〜0. 2重量部である。上記の範囲で配合することにより、偏光板用途として求められる耐久性を充分に得ることができる。

[0032] <製造方法 >

本発明の偏光板用粘着剤組成物は、上記アクリル系共重合体 (A)、架橋剤 (B)およびシランカップリング剤（C)を上記範囲の量で混合することにより製造することができる。

<添加剤 >

本発明の粘着剤組成物には、透明性、視認性および本発明の効果を損なわない範囲で、紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、粘着付与樹脂、可塑剤、消泡剤および濡れ性調製剤などの添加剤を配合してもよい。

[0033] 〔偏光板〕

本発明に係る偏光板は、上記偏光板用粘着剤組成物からなる粘着剤層が、偏光板（偏光フィルム）の少なくとも一方の面に形成されている。

本発明で使用される偏光フィルムとしては、従来公知の偏光フィルムを使用することができる。例えば、ポリビュルアルコール、ポリビュルホルマール、ポリビュルァセタールおよびエチレン.酢酸ビュル共重合体の鹼化物等のポリビュルアルコール系樹脂力なるフィルムに、ヨウ素あるいは二色性染料等の偏光成分を含有させて延伸することにより得られるフィルムに、三酢酸セルロース等のセルロース系フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリエーテルスルホン系フィルム等の保護フィルムが積層された多層フィルムなどを使用することができる。

[0034] このような偏光板（フィルム）に粘着剤層を形成する方法に特に制限はなこの偏光板（フィルム)表面に直接バーコ一ター等を用いて上記粘着剤組成物を塗布し乾燥させる方法を採用することもできるが、上記粘着剤組成物を一旦剥離性基材表面に塗布し乾燥させた後、この剥離性基材表面に形成された粘着剤層を偏光フィルム表面に転写し、次いで熟成させる方法を採用することが好ましい。

[0035] こうして形成される粘着剤層の厚さは、乾燥厚で通常は 10〜： 100 zm、好ましくは 20〜50 xmの範囲内にある。なお、この粘着剤層は、偏光板（フィルム）の少なくとも一方の面に形成されていればよぐしたがって本発明では偏光板（フィルム）の両面にこの粘着剤層を形成することもできる。

本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層は、 23°Cにおける貯蔵弾性率 (G' 1)が、 1.0X10⁵Pa以下、好ましく ίま 5.0X10³〜1.0X10⁵Pa、特に好ましく ίま 5.0X1 0⁴〜： 1.0X10⁵Paであり、 80°Cにおける貯蔵弾性率（G'2)が、 5.0X10⁴Pa以下、好ましくは 1. 0X10³〜5.0X10⁴Pa、特に好ましくは 1.0X1。⁴〜5.0X10⁴Paである。 23°Cおよび 80°Cにおける貯蔵弾性率が上記範囲にあることにより、通常想定される使用条件下における偏光板の寸法変化に対する応力緩和性に優れることから、高温高湿雰囲気下においても光漏れや色むらなどの発生を抑制することができる。

[0036] また、本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層において、上記貯蔵弾性率 (G' 1) と（G'2)との比（G'1)/(G'2)は、通常、 1.5超〜 5以下であり、好ましくは 1.5超〜4.5以下、特に好ましくは 1.5超〜 4以下である。貯蔵弾性率の比が上記範囲にあることにより、常温から高温における変形性が大きくなり、寸法変化に対する応力緩和性に優れ、光漏れや色むらの発生を抑制することができる。

[0037] 本発明の偏光板 (フィルム）には、例えば保護層、反射層、防眩層等の他の機能を有する層が積層されていてもよい。

本発明の粘着剤組成物からなる粘着剤層が形成された偏光板を基板等に貼着することにより、粘着剤層が熱応力を充分に緩和するため、光漏れや色むらなどが発生しない。

[実施例] 以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されることはなレ、。なお、以下においてアクリル系ポリマー溶液における各ポリマーのポリスチレン換算の重量平均分子量 (Mw)を GPC法により求めた。測定条件は以下の通りである。

[0038] (測定条件）

装置：東ソ一社製「HLC - 8120J

カラム：東ソ一社製「G7000HXL」 1本

「GMHXL」 2本

「G2500HXL」1本

サンプル濃度： 1 · 5mg/mlになるようにテトラヒドロフランで希釈

移動相溶媒：テトラヒドロフラン

流量： 1. Oml/ min

カラム温度： 40°C

<製造例 1 >

n—ブチルアタリレート（n—BA) 69重量部、フエノキシジエチレングリコールアタリレート 30重量部、 4ーヒドロキシブチルアタリレート（4HBA) 1重量部、酢酸ェチノレ 120 重量部およびァゾビスイソプチロニトリル (AIBN) O. 1重量部を反応容器に入れ、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、攪拌下に窒素雰囲気中でこの反応溶液を 66°Cに昇温させ、 10時間反応させた。反応終了後、酢酸ェチルで希釈し、固形分 20重量％のアクリル系ポリマー溶液（1)を得た。なお、得られたアクリル系共重合体の GPCによる重量平均分子量（Mw)は 110万であった。また、上記式（1 ' )から求めたベンゼン環含有率は 14重量％であった。

[0039] <製造例 2 >

モノマーの配合比を、 n_BA49重量部、フエノキシジエチレングリコールアタリレート 50重量部、 4HBA1重量部に変更した以外は、製造例 1と同様にして固形分 20重量％のアクリル系ポリマー溶液（2)を得た。なお、得られたアクリル系共重合体の GP Cによる重量平均分子量 (Mw)は 110万であった。また、上記式（1 ' )力求めたベンゼン環含有率は 20重量％であった。 [0040] <製造例 3 >

モノマーの種類および配合比を、 n_BA49重量部、ベンジルアタリレート 50重量部、 4HBA1重量部に変更した以外は、製造例 1と同様にして固形分 20重量％のァクリル系ポリマー溶液（3)を得た。なお、得られたアクリル系共重合体の GPCによる重量平均分子量（Mw)は 100万であった。また、上記式（1 ' )から求めたベンゼン環含有率は 27重量％であった。

[0041] <製造例 4 >

モノマーの種類および配合比を、 n— BA99重量部、 4HBA1重量部に変更した以外は、製造例 1と同様にして固形分 20重量％のアクリル系ポリマー溶液 (4)を得た。なお、得られたアクリル系共重合体の GPCによる重量平均分子量 (Mw)は 130万であり、モノマー成分としてベンゼン環含有化合物を用いていないことから、ベンゼン環含有率は 0重量％であった。

[0042] <製造例 5 >

モノマーの配合比を、 n—BA84重量部、フエノキシジエチレングリコールアタリレート 15重量部、 4HBA1重量部に変更した以外は、製造例 1と同様にして固形分 20重量％のアクリル系ポリマー溶液（5)を得た。なお、得られたアクリル系共重合体の GP Cによる重量平均分子量 (Mw)は 110万であった。また、上記式（1 ' )から求めたベンゼン環含有率は 8重量％であった。

[0043] <製造例 6 >

モノマーの種類および配合比を、 n_BA49重量部、シクロへキシルアタリレート 50 重量部、 4HBA1重量部に変更した以外は、製造例 1と同様にして固形分 20重量％のアクリル系ポリマー溶液（6)を得た。なお、得られたアクリル系共重合体の GPCによる重量平均分子量 (Mw)は 110万であり、モノマー成分としてベンゼン環含有化合物を用いていないことから、ベンゼン環含有率は 0重量％であった。

[0044] <製造例 7 >

モノマーの配合比を、 n_BA49重量部、フエノキシジエチレングリコールアタリレート 50重量部、 4HBA1重量部に変更し、酢酸ェチルを 80重量部、 AIBNを 0. 05重量部に変更した以外は、製造例 1と同様にして固形分 15重量％のアクリル系ポリマ一溶液（7)を得た。なお、得られたアクリル系共重合体の GPCによる重量平均分子量（Mw)は 180万であった。また、上記式（1 ' )力も求めたベンゼン環含有率は 20重量％であった。

[0045] <製造例 8 >

モノマーの配合比を、 n_BA49重量部、フエノキシジエチレングリコールアタリレート 50重量部、 4HBA1重量部に変更し、酢酸ェチルを 140重量部に変更した以外は、製造例 1と同様にして固形分 20重量％のアクリル系ポリマー溶液（8)を得た。なお、得られたアクリル系共重合体の GPCによる重量平均分子量 (Mw)は 85万であった。また、上記式（1 ' )から求めたベンゼン環含有率は 20重量％であった。

[0046] <製造例 9 >

モノマーの種類および配合比を、 n— BA49重量部、フエノキシェチルアタリレート 5 0重量部、 4HBA1重量部に変更した以外は、製造例 1と同様にして固形分 20重量 %のアクリル系ポリマー溶液（9)を得た。なお、得られたアクリル系共重合体の GPC による重量平均分子量 (Mw)は 100万であった。また、上記式（1 ' )から求めたベンゼン環含有率は 27重量％であった。

[0047] <製造例 10 >

モノマーの種類および配合比を、 n— BA49重量部、ベンジルォキシェチルアタリレート 50重量部、 4HBA1重量部に変更した以外は、製造例 1と同様にして固形分 20 重量％のアクリル系ポリマー溶液（10)を得た。なお、得られたアクリル系共重合体の GPCによる重量平均分子量（Mw)は 100万であった。また、上記式（1 ' )から求めたベンゼン環含有率は 20重量％であった。

[0048] 製造例 1〜： 10で得られたアクリル系ポリマー溶液（1)〜（： 10)の組成、ベンゼン環含有率および重量平均分子量 (Mw)を表 1に示す。

[0049] [表 1] ポリマー組成（重量 ½)

リマ- へ · !;'ン環

w a 2 a 2 a 2 a 2

溶液 a 1 c a 3 含有率

-1 -2 —3 一 4

(1) 69 30 ― ― ― 一 1 14wt% 110万

(2) 49 50 ― ― ― 一 1 2 Ovrt 110万

(3) 49 ― 5□ ― 一 1 27vrt% 100万

(4) 99 ― ― 一一一 1 0 130万

(5) 84 15 一 ― ― ― 1 8wt 110万

(6) 49 ― 一一一 50 1 0 110万

(7) 49 50 ― ― 1 2 Owt¾ 180万

(8) 49 50 ― ― ― 1 2 Ovft% 85万

(9) 49 ― ― 50 ― ― 1 27wt% 100万

(10) 49 一 ― ― 50 一 1 2 Ovrt% 100万 n -BA

a 2 フエノキシジエチレングリコールァクリレ一ト

ベンジルァクリレート

フエノキシェチルァクリレート

ベンジルォキシェチルァクリレ一ト

a 3 4HBA

シク口へキシルァクリレート

[0050] 〔実施例 1〕

製造例 1で得られたアクリル系ポリマー溶液（1)の固形分 100重量部に対し、イソシァネート系架橋剤（日本ポリウレタン社製「コロネート L」 ) 0.1重量部およびシランカツプリング剤（信越ポリマー社製「KBM— 402」） 0.1重量部を添加し、充分に混合して偏光板用粘着剤組成物を得た。粘着剤組成物の組成にっレ、て表 2に示す。

[0051] 得られた粘着剤組成物をシリコン剥離処理した PETフィルムに塗布し、 90°Cで 3分間乾燥して溶剤分を揮発させて 25 / mの粘着剤層を形成した。次いで、粘着剤層が形成された PETフィルムを偏光板に貼り合わせて温度 23°C、湿度 65%の条件下で 7日間熟成させて、評価用サンプルを作製した。

〔実施例 2〜7および比較例:!〜 7〕

粘着剤組成物の各成分の配合割合を表 2に示すように変更した以外は、実施例 1 と同様の方法で粘着剤組成物を調製し、評価用サンプルを作製した。 [0052] [表 2]

[0053] 〔評価〕

実施例 1〜 7および比較例 1〜 7で得られた評価用サンプルを用レ、て、以下の方法で評価を行った。評価結果を表 3に示す。

<耐久性能 >

得られた評価用サンプルを 85°Cおよび 60°C/95%Rhの条件下に 500時間放置し、フィルムの剥離、接着界面での発泡などの有無を目視で観察し、実用上問題ない状態を「〇」とし、実用上やや問題ある状態を「△」とし、実用上問題ある状態を「X 」とした。

[0054] <光漏れ >

得られた評価用サンプルを 85°Cの条件下で 72時間放置し、寸法変化による残留応力に起因して生じる光漏れを目視で観察し、実用上問題ない状態を「〇」とし、実用上やや問題ある状態を「△」とし、実用上問題ある状態を「X」とした。

<貯蔵弾性率〉

得られた評価用サンプルについて、 Anton Paar製「Physica MCR300」を用レて、温度 23°Cおよび 80°Cにおける貯蔵弾性率 (周波数 10Hz)を測定した。

[表 3]

表 2に示すように、本発明の粘着剤組成物（実施例：!〜 7)は、耐久性能および光漏れ防止に優れていた。一方、ベンゼン環含有化合物を含まないアクリル系ポリマーからなる粘着剤組成物（比較例 1および 3)は、光漏れが発生した。また、ベンゼン環含有率の低いアクリル系ポリマーからなる粘着剤組成物（比較例 2)および架橋剤含有量の多い粘着剤組成物 (比較例 5)についても、光漏れ防止効果が充分ではなかつた。これは、粘着剤層の 23°Cおよび/または 80°Cにおける貯蔵弾性率が高いためと考えられる。架橋剤を配合してレ、なレ、粘着剤組成物（比較例 4)およびシランカップリング剤を配合していない粘着剤組成物（比較例 6)については、充分な耐久性が得られなかった。

Claims

請求の範囲

[1] モノマー成分として、

(al) (メタ）アクリル酸エステル 10〜79. 9重量⁰ /₀と、

(a2)ベンゼン環含有化合物 20〜80重量％と、

(a3)官能基含有化合物 0. 1〜： 10重量％と

を含み、ベンゼン環含有率が 10重量％以上であり、重量平均分子量が 80万〜 200 万であるアクリル系共重合体 (A) 100重量部に対して、

架橋剤（B) 0. 01〜0. 3重量部と、

シランカップリング剤（C) 0. 01〜0. 5重量部と

を含有することを特徴とする偏光板用粘着剤組成物。

[2] 前記ベンゼン環含有化合物（a2) 、フヱノキシジエチレングリコールアタリレート、フエノキシェチルアタリレート、ベンジルアタリレートおよびべンジルォキシェチルァクリレートからなる群より選ばれる少なくとも 1種であることを特徴とする請求項 1に記載の偏光板用粘着剤組成物。

[3] 請求項 1または 2に記載の偏光板用粘着剤組成物からなる粘着剤層が、偏光板の少なくとも一方の面に形成されていることを特徴とする偏光板。

[4] 前記粘着剤層の 23°Cにおける貯蔵弾性率 (G，l)が 1. 0 X 10⁵Pa以下であり、かつ 80°Cにおける貯蔵弾性率 (G' 2)が 5. 0 X 10⁴Pa以下であることを特徴とする請求項 3に記載の偏光板。

[5] 前記貯蔵弾性率 (G' l)と（G' 2)との比（G' lZG' 2)力 1. 5超〜 5以下であることを特徴とする請求項 4に記載の偏光板。