JP2013202541A - ワイヤロープ清掃治具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ワイヤロープ2の縒りをかたどった内面を有し中心から一定距離オフセットし中心軸と平行な面で切断された樹脂ワイパー9と、樹脂ワイパー9の上部端面上に配置され、ワイヤロープ2の外径より大きな内周径を有する金属プレート10と、樹脂ワイパーを上下、中心方向に圧縮して固定する補強部材11、12から成るワイパーアッセンブリ3と、回転するワイパーアッセンブリ3を支持する回転支持部材26と、ワイヤロープ2に近接しワイパーアッセンブリ3の上部端面上に配置され、ワイヤロープ2上のグリス4を掻き取るスクレイパー7と、ワイパーアッセンブリ3とスクレイパーを覆うカバー6とから構成され、ワイヤロープ2を金属プレート10から樹脂ワイパー9方向に相対的に移動させる。
【選択図】図11
Description
従来のワイヤロープ清掃治具として、切り込み部を有し、穴の内周面はロープ表面のストランドの撚りをかたどった形状である樹脂製ワイパーをロープに取り付け、回転支持板に載せられた状態で使用されるものが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
実施の形態1は、ワイヤロープの縒りをかたどった内面を有し中心から一定距離オフセットしワイヤロープの中心軸と平行な面で切断された樹脂ワイパーと、樹脂ワイパーの上部端面上に配置され、ワイヤロープの外径より大きな内周形状を有する金属プレートと、樹脂ワイパーと金属プレートを上下および中心方向に圧縮して固定する中心から一定距離オフセットした面で切断された上部、下部補強部材から構成されたワイパーアッセンブリと、ワイパーアッセンブリの回転を支持する回転支持部材と、ワイヤロープに付着したグリスを掻き取るスクレイパーと、カバーから構成されるワイヤロープ清掃治具に関するものである。
実施の形態1に係るワイヤロープ清掃治具1は、図1および図2に示すとおり、取り付け作業上は大きく3つのアッセンブリおよび部品で構成される。第1は清掃を行うワイヤロープ2に取り付けられるワイパーアッセンブリ3である。第2はワイヤロープ2の走行中、ワイパーアッセンブリ3をワイヤロープ2の移動に抗して一定の位置に保持し、かつ、ワイパーアッセンブリ3上に堆積するワイヤロープ2上の付着物であるグリス4を掻き取り、回収容器20へ誘導する支持ベースアッセンブリ5である。第3はグリス清掃中、グリス4の周辺への飛散を防ぐカバー6である。
図3はワイパーアッセンブリ3の斜視図である。ワイパーアッセンブリ3は、1対の樹脂ワイパー9a、9b(以降、総称していうときは、樹脂ワイパー9という)と、一対の金属プレート10a、10b(以降、総称していうときは、金属プレート10という)と、2つのヒンジ付補強部材である上部補強部材11および下部補強部材12(以降、総称していうときは、ヒンジ付補強部材11、12という)からなる。
樹脂ワイパー9は2つの略円弧状の部品9aと9bからなり、円弧の中心にはワイヤロープ2を通すための略半円状の切り欠きが形成されている。切り欠きの内周面はワイヤロープ2のストランドの撚りをかたどった形状の凹凸が設けられており、この凸部がワイヤロープ2のストランドの谷間に食い込むことにより、谷間に溜まったグリス4を掻き出すことができる。
金属プレート10a、10bは樹脂ワイパー9a、9bの形状に合わせて、略円弧状である。
次にこれを2つ割にするが、このとき、割りの断面が、図4のように、ワイヤロープ2の中心より一定距離オフセットした面となるように切断する。このように切断することで、ワイヤロープ2の伸びによりわずかに減径しても、掻き取り能力の低下を抑制することができる。
なお、図4では樹脂ワイパー9の構造に注目しているため、ヒンジ付補強部材11、12の切断面は中心より一定距離オフセットしていないように描いているが、後述するようにヒンジ付補強部材11、12も樹脂ワイパー9と同様に、中心より一定距離オフセットした切断面を有する。
一方、ワイヤロープ2の中心よりオフセットした面で切断したときのワイヤロープ2と樹脂ワイパー9の位置関係は図6(a),(b)のようになる。ワイヤロープ2の伸びが少ないときは、樹脂ワイパー9を閉じたとき、図面上では隙間を生じる。しかし、実使用においては、樹脂ワイパー9はヒンジ付補強部材11、12のネジ13、14により締め込まれるため、樹脂ワイパー9は弾性変形して、樹脂ワイパー9の突合せ面は図5(a)に近い状態にまで密着するので、実用上問題はない。
一方、ワイヤロープ2に伸びが生じたときは図6(b)のような位置関係となる。後述するようにヒンジ付補強部材11、12の切断面も、ワイヤロープ2の中心からオフセットし、そのオフセット量は、樹脂ワイパー9よりも大きくとっている。これにより、樹脂ワイパー9同士が切断面で当接しても、ヒンジ付補強部材11、12には、まだ締代が残り、これらをネジ13、14で締めて詰めることにより、樹脂ワイパー9が内周側に突出しワイヤロープ2との隙間が埋まる。このため、図5(b)と比較して、ワイヤロープ2と樹脂ワイパー9の間に生じる隙間が減少するため、掻き取り能力の低下が大幅に抑制できる。
一方、図8(b)のように金属プレート10がある場合、まずその外層部分のグリス4が金属プレート10により掻き取られる。これにより、金属プレート10の下側にある樹脂ワイパー9が負担するグリス4の量が少なくなるため、グリス4が高粘度となっても、掻き残しが抑制できる。
支持ベースアッセンブリ5は、図9に示すように、機能上2つに大別される。1つは支持ベース21であり、もうひとつは樋8を備えたスクレイパー7である。
支持ベースアッセンブリ5は、スクレイパー7、樋8、支持ベース21、樋取付台22、逆走防止ストッパー23、隔壁24から構成される。
樋取付台22は、ヒータ取付部材29と側板30から構成される。ヒータ取付部材29の上にスクレイパー7と樋8が配設される。
図11に示すように、回転支持部材26は、ワイヤロープ2に取り付けられたワイパーアッセンブリ3がワイヤロープ2とともに下降することを阻止し、かつ、ワイパーアッセンブリ3がワイヤロープ2のストランドの撚りにしたがって滑らかに回転できるよう摩擦力を軽減するために設置される。
実施の形態1に係るワイヤロープ清掃治具1の設置作業の際は、U字形の切り欠き27のR部中心と、ワイヤロープ2の中心軸とが概ね一致するように支持ベース21を設置する。支持ベース21の支持梁25の間には、それらの間隔を保持するため板材28が配設されており、この板材28をワイヤロープ2周辺の足場(H鋼など)に、例えばシャコ万力で挟み込むことにより支持ベース21を固定する。
本実施の形態1では、図12に示すようにスクレイパー7に樋8が連結され,一体構成としている。
スクレイパー7は、ワイパーアッセンブリ3上に堆積するワイヤロープ2上の堆積物であるグリス4を、ワイパーアッセンブリ3と協同して掻き取る。樋8は、この掻き取られたグリス4を回収容器20へ移動させるための斜行流路である。
実施の形態1において、スクレイパー7と樋8は一体構成となっているが、加工容易性を考慮して別部品として製作してもよい。
スクレイパー7の両側の側壁のうち、ワイパーアッセンブリ3の回転方向に関し上流側の側壁は、グリス4のスクレイパー7への進入を妨げないよう、取り払われているか、ワイパーアッセンブリ3上方にオーバーラップしないようワイパーアッセンブリ3の外側に折り曲げられている。一方、ワイパーアッセンブリ3の回転方向に関し下流側の側壁はグリス4をスクレイパー7さらに樋8の流路方向へ効率よく導けるように、グリス4が側壁に衝突するときの入射角に対し、その仮想反射角A(現実はグリス4の粘性により反射しない)がワイパーアッセンブリ3の外方向に向くよう配設されている。
隔壁24は、グリス清掃中、グリス4の飛散を防ぐとともに、U字形の切り欠き部27からの落下を防止する。
ヒータ31へは、ヒータ用ケーブル32から電源が供給され、ヒータ31は加熱されている。実施の形態1では、スクレイパー7と樋8は、一体構成(部品)となっているためヒータ31から樋8に伝導した熱は、効率良くスクレイパー7に伝わるため、スクレイパー7の先端部で掻き取られたグリス4を早く液化して、掻き取り効率を上げることができる。
また、ヒータ31をスクレイパー7の下部まで延ばして、熱をより伝えやすくすることも有効である。
さらに、ヒータでスクレイパーおよび樋を加熱することで、スクレイパーの先端部で掻き取られたグリスを早く液化して、掻き取り効率を上げることができる。
実施の形態2のワイヤロープ清掃治具は、実施の形態1のワイヤロープ清掃治具のスクレイパーに庇を設けたものである。
なお、図15において、実施の形態1の図2、図11と同一あるいは相当部分には、同一の符号を付している。
このような構造にすることで、スクレイパー7および樋8を加熱するヒータを省略することができる。樋8の加熱がない場合、グリス4表面の粘性が高くなり、ワイパーアッセンブリ3からスクレイパー7に移ったグリス4は、ワイパーアッセンブリ3とのオーバーラップ区間近傍に堆積する傾向がある。この傾向を軽減するため、スクレイパー7と樋8の内面にテフロン(登録商標)加工等の低摩擦化コーティングを行う。それでもなお、堆積してしまうグリス4が、上方に積みあがり続け、ある量に達したときスクレイパー7の外へ漏れ出てしまうのを防ぐため、スクレイパー7の流路方向へグリス4を誘導するための庇41を設置している。そのため、庇41の内面にもテフロン(登録商標)加工等が施されている。
さらに、スクレイパーおよび樋の表面にテフロン(登録商標)加工を施すことで、摩擦を低くし、グリスを流路方向へ効率良く導くことができる。
実施の形態3のワイヤロープ清掃治具は、実施の形態1のワイパーアッセンブリを樹脂ワイパーと金属プレートを円環状の第1の補強部材と第2の補強部材の間に挟み込み、第1および第2の補強部材の内周側面と樹脂ワイパーの外周側面の間に板バネを設けて、上下および中心方向に圧縮する構造としたものである。
樹脂ワイパー51は2つの略直方体の部品51aと51bからなり、中心にはワイヤロープ2を通すための略半円状の切り欠きが形成されている。切り欠きの内周面はワイヤロープ2のストランドの撚りをかたどった形状の凹凸が設けられており、この凸部がワイヤロープ2のストランドの谷間に食い込むことにより、谷間に溜まったグリス4を掻き出すことができる。
樹脂ワイパー51は、略直方体形状をしており、実施の形態1で説明した方法で製作され、これを2つ割にする際ワイヤロープ2の中心より一定距離オフセットした面となるように切断される。
金属プレート52a、52bも樹脂ワイパー51a、51bの形状に合わせて、略正方形である。
また、実施の形態3では、樹脂ワイパー51aと補強部材53の間および樹脂ワイパー51bと補強部材54の間にそれぞれ板バネを装着する構成としたが、一方のみに板バネを装着してもよい。
さらに、ワイヤロープの長手方向にわずかな径の変化が生じた際にも、樹脂ワイパー51が自動的に追従するため、グリス4の掻き残しが軽減される。
4 グリス、6 カバー、7 スクレイパー、8 樋、
9a,9b,51a,51b 樹脂ワイパー、
10a,10b,52a,52b 金属プレート、11 ヒンジ付上部補強部材、
12 ヒンジ付下部補強部材、20 回収容器、23 逆走防止ストッパー、
24 隔壁、29 ヒータ取付部材、31 ヒータ、41 庇、53 第1の補強部材、54 第2の補強部材、55 板バネ。
Claims (13)
- ワイヤロープの縒りをかたどった内面を有し中心から一定距離オフセットし前記ワイヤロープの中心軸と平行な面で切断された樹脂ワイパーと、前記樹脂ワイパーの上部端面上に配置され、前記ワイヤロープの外径より大きな内周形状を有する金属プレートと、前記樹脂ワイパーを上下および中心方向に圧縮して固定する補強部材から構成されるワイパーアッセンブリと、
前記ワイヤロープの回りに回転する前記ワイパーアッセンブリを支持する回転支持部材と、
前記ワイヤロープに近接し前記ワイパーアッセンブリの上部端面の上部に配置され、前記ワイヤロープから前記ワイヤロープ上の前記付着物を掻き取るスクレイパーと、
前記ワイパーアッセンブリと前記スクレイパーを覆うカバーと、
から構成され、
前記ワイヤロープを前記ワイヤアッセンブリの前記金属プレートから前記樹脂ワイパー方向に相対的に移動させるワイヤロープ清掃治具。 - 前記補強部材は、中心から一定距離オフセットし前記ワイヤロープの中心軸と平行な面で切断された略円環状の上部補強部材と下部補強部材から構成され、前記樹脂ワイパーと前記金属プレートを前記上部補強部材と下部補強部材の間に挟み込み上下および中心方向に圧縮する構造とした前記ワイパーアッセンブリを備えた請求項1に記載のワイヤロープ清掃治具。
- 前記補強部材は、中心から一定距離オフセットし前記ワイヤロープの中心軸と平行な面で切断された略円環状の第1の補強部材と第2の補強部材から構成され、前記樹脂ワイパーと前記金属プレートを前記第1の補強部材と第2の補強部材の間に挟み込み、前記第1の補強部材および前記第2の補強部材の一方または両方の内周側面と前記樹脂ワイパーの外周側面の間に板バネを設けて、上下および中心方向に圧縮する構造とした前記ワイパーアッセンブリを備えた請求項1に記載のワイヤロープ清掃治具。
- 前記ワイパーアッセンブリの上部に、逆走防止ストッパーを備えた請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のワイヤロープ清掃治具。
- 前記ワイヤロープの反対側の前記スクレイパー端部に一端が配置され、前記ワイヤロープ上から掻き取られた前記グリスを受けて流す樋と、
前記樋の他端部に配置された前記グリスを受ける回収容器と、
を備えた請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のワイヤロープ清掃治具。 - 前記樋に加熱用のヒータを配置した請求項5に記載のワイヤロープ清掃治具。
- 前記スクレイパーと前記樋にヒータを配置した請求項5に記載のワイヤロープ清掃治具。
- 前記スクレイパーに続く前記樋の底部平面と、前記ワイヤアッセンブリ上部端面とが、平行または鋭角をなす請求項5から請求項7のいずれか1項に記載のワイヤロープ清掃治具。
- 前記樋は、略コの字状の断面を有し、前記スクレイパーから前記回収容器まで斜行しており、さらに前記樋の斜行部にヒータを配置した請求項5のワイヤロープ清掃治具。
- 前記ヒータは、前記スクレイパーの下方から前記回収容器まで伸びるヒータ取付部材に設置されている請求項9に記載のワイヤロープ清掃治具。
- 前記ヒータ取付部材の前記ワイパーアッセンブリに対向する平面が水平面と鋭角をなし、前記スクレイパーから前記斜行部材にかけて、前記平面が前記スクレイパーから離間する方向に傾いている請求項10に記載のワイヤロープ清掃治具。
- 前記スクレイパーの下部に、前記ワイパーアッセンブリを囲む隔壁を設けた請求項1から請求項11のいずれか1項に記載のワイヤロープ清掃治具。
- 前記スクレイパーの上部に庇を設けた請求項1から請求項12のいずれか1項に記載のワイヤロープ清掃治具。
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