JP2013188930A - 圧電アクチュエータの駆動信号決定方法、及び、液体吐出装置 - Google Patents

圧電アクチュエータの駆動信号決定方法、及び、液体吐出装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ノズルからの液体の吐出特性のばらつきを効果的に抑制する
【解決手段】インクジェットヘッドを製造した後、ノズルの直径に応じた駆動電位の調整量、及び、検査部の活性部の静電容量に応じた駆動電位の調整量を算出する(S201〜S204)。さらに、コンプライアンス比が1.5以上の場合には(S205:YES)、検査部の共振周波数を検出し、その検出結果と上記活性部の静電容量とから、検査部の活性部及び非活性部の厚みを検出する(S207〜S210)。そして、検査部の活性部及び非活性部の厚みから算出されるこれらの剛性に応じて、それぞれ、駆動電位の調整量を算出する(S210)。そして、設計上の駆動電位を上記のようにして算出された調整量で調整することによって、複数の個別電極に付与する駆動電位を決定する(S206、S212)。
【選択図】図5

Description

本発明は、ノズルから液体を吐出する液体吐出装置に用いられる圧電アクチュエータの駆動信号決定方法、及び、ノズルから液体を吐出する液体吐出装置に関する。
特許文献1には、2列のノズル列からなるノズル列群と、6列のノズル列からなるノズル列群とを含むインク流路が形成されたキャビティユニットと、キャビティユニットの上面に配置された3つの圧電層、及び、最も上側の圧電層の圧力室と重なる部分を上下から挟む電極とを有する圧電アクチュエータと、を備えたインクジェットヘッドが記載されている。特許文献1に記載のインクジェットヘッドでは、最も上側の圧電層を挟む電極間に駆動電圧を印加すると、当該圧電層が水平方向に収縮し、3つの圧電層の圧力室と重なる部分が全体として圧力室側に凸となるように変形する。これにより、圧力室内のインクに圧力が付与され、ノズルからインクが吐出される。
また、特許文献1に記載のインクジェットヘッドでは、上述の2つのノズル列群が互いに間隔をあけて配置されている。また、圧電アクチュエータの、これら2つのノズル列群の間に位置する部分には、検査用電極パターンが形成されている。そして、検査用電極パターンを用いて圧電層の静電容量を測定し、測定した静電容量に応じて、電極間に印加する駆動電圧を決定している。
特開2010−155407号公報
ここで、特許文献1に記載されているような圧電アクチュエータは、一般に、厚みが薄く剛性が低いため、3つの圧電層を圧力室側に凸となるように変形させたときに、3つの圧電層の圧力室と重なる部分は、圧力室内のインクに押し返されてしまう。そのため、静電容量によってのみ圧電アクチュエータの駆動電圧を決定すると、3つの圧電層やこれらを接合する接着剤の厚みにばらつきがある場合など、圧電アクチュエータの剛性にばらつきがある場合に、駆動電圧を適切に決定することができない虞がある。
なお、特許文献1に記載の圧電アクチュエータの場合、最も上側の圧電層の静電容量は、当該圧電層の厚みによって決まるものであるため、当該静電容量に応じて駆動電圧を決定すれば、駆動電圧は、最も上側の圧電層の厚みについてはある程度加味された電圧となる。しかしながら、下側2つの圧電層の厚みのばらつきは、上記静電容量にほとんど影響を与えない。そのため、上記静電容量に応じてのみ駆動電圧を決定すると、少なくとも下2つの圧電層に厚みのばらつきがある場合には、駆動電圧を適切に決定することができない虞がある。
本発明の目的は、ノズルからの液体の吐出特性のばらつきを効果的に抑制することが可能な、液体吐出装置に用いられる圧電アクチュエータの駆動信号の決定方法、及び、ノズルからの液体の吐出特性のばらつきを効果的に抑制することが可能な液体吐出装置を提供することである。
第1の発明に係る圧電アクチュエータの駆動信号決定方法は、ノズルと、前記ノズルに連通する圧力室とを有する流路ユニットと、前記圧力室を覆う第1の層と、圧電材料からなり、前記第1の層の前記圧力室と反対側の面に配置された第2の層と、前記第2の層の前記圧力室と重なる部分を挟むように設けられた駆動電極と、を有する圧電アクチュエータと、を備えた液体吐出装置に用いられる圧電アクチュエータの駆動信号決定方法であって、前記圧電アクチュエータの前記圧力室と重なる部分である駆動部の剛性に応じて前記駆動信号を決定する駆動信号決定工程を備えていることを特徴とする。
第10の発明に係る液体吐出装置は、ノズルと、前記ノズルに連通する圧力室とを有する流路ユニットと、前記圧力室を覆う第1の層と、前記第1の層の前記圧力室と反対側の面に配置された、圧電材料からなる第2の層と、前記第2の層の前記圧力室と重なる部分を挟むように設けられた駆動電極と、を有する圧電アクチュエータと、前記駆動電極に駆動電圧を印加する電圧印加手段と、を備え、前記電圧印加手段は、前記圧電アクチュエータの前記圧力室と重なる部分である駆動部の剛性に応じて決定された駆動信号を前記駆動電極に付与することを特徴とする。
第1の層や第2の層の厚みが薄い場合など、駆動部の剛性が小さく、圧力室内の液体の剛性に対する駆動部の剛性の比であるコンプライアンス比が大きい場合には、駆動部の剛性のばらつきが、ノズルからの液体の吐出特性に与える影響が大きくなる。そのため、このような場合には、駆動部の剛性を考慮せずに駆動信号を決定すると、ノズルからの液体の吐出特性のばらつきを十分に抑制することができない虞がある。これに対して、これらの発明では、駆動部の剛性に応じて駆動信号を決定するため、コンプライアンス比が大きい場合でも、ノズルからの液体の吐出特性のばらつきを効果的に抑制することができる。
第2の発明に係る圧電アクチュエータの駆動信号決定方法は、第1の発明に係る圧電アクチュエータの駆動信号決定方法において、前記圧電アクチュエータは、共振周波数を検出するための検査部を備え、前記検査部の共振周波数を検出する共振周波数検出工程、をさらに備え、前記駆動信号決定工程において、前記共振周波数検出工程において検出された共振周波数に応じて前記駆動信号を決定することによって、前記駆動部の剛性に応じて駆動信号を決定することを特徴とする。
駆動部の共振周波数と駆動部の剛性とは、駆動部の厚みをパラメータとして相関関係にある。したがって、本発明によると、駆動部の共振周波数に応じて駆動信号を決定することによって、駆動部の剛性に応じて駆動信号を決定することができる。
第3の発明に係る圧電アクチュエータの駆動信号決定方法は、第1又は第2の発明に係る圧電アクチュエータの駆動信号決定方法において、前記第1の層が、複数の部材が積層されることによって形成されたものであり、前記第1の層を形成する前記複数の部材同士が接着剤で接合されていることを特徴とする。
第1の層が、互いに積層された複数の部材が接着剤で接合されたものである場合には、コンプライアンス比が大きいと、接着剤の厚みが駆動部の剛性に与える影響が大きくなる。これに対して、本発明では、駆動部の共振周波数に応じて駆動信号を決定するため、接着剤を含めた駆動部の剛性に応じて駆動信号を決定することができる。したがって、ノズルからの液体の吐出特性のばらつきを抑制することができる。
第4の発明に係る圧電アクチュエータの駆動信号決定方法は、第1〜第3のいずれかの発明に係る圧電アクチュエータの駆動信号決定方法において、前記駆動信号決定工程において、前記駆動部の剛性に対する前記圧力室内の液体の剛性の比であるコンプライアンス比が1.5以上である場合にのみ、前記駆動部の剛性に応じて前記駆動信号を決定することを特徴とすることを特徴とする。
本発明によると、コンプライアンス比が大きく、駆動部の剛性がノズルからの液体の吐出特性に与える影響が大きい場合には、駆動部の剛性に応じて駆動信号を決定することにより、ノズルからの液体の吐出特性のばらつきを確実に抑制することができる。一方、コンプライアンス比が小さく、駆動部の剛性がノズルからの液体の吐出特性に与える影響が小さい場合には、駆動信号の決定において駆動部の剛性を考慮しないことにより、駆動信号決定工程を簡略化することができる。
第5の発明に係る圧電アクチュエータの駆動信号決定方法は、第1〜第4の発明に係る圧電アクチュエータの駆動信号決定方法において、前記流路ユニットが、前記圧力室を複数備え、前記圧電アクチュエータが、前記駆動部を複数備え、前記駆動信号決定工程において、複数の前記駆動部に対する駆動信号を、個別に決定することを特徴とする。
本発明によると、複数の駆動部の駆動電極に付与する駆動信号を個別に決定することにより、複数のノズルからの液体の吐出特性のばらつきを抑制することができる。
第6の発明に係る圧電アクチュエータの駆動信号決定方法は、第1〜第5の発明に係る圧電アクチュエータの駆動信号決定方法において、前記駆動信号決定工程において、前記駆動部の剛性と、前記駆動部の前記第2の層によって形成される部分である活性部の静電容量とに応じて、前記駆動信号を決定することを特徴とする。
ノズルからの液体の吐出特性は、活性部の静電容量によっても変わってくる。これに対して、本発明では、駆動部の剛性と活性部の静電容量とに応じて駆動信号を決定するため、ノズルからの液体の吐出特性のばらつきをより確実に抑制することができる。
第7の発明に係る圧電アクチュエータの駆動信号決定方法は、第6の発明に係る圧電アクチュエータの駆動信号決定方法において、前記駆動信号決定工程において、前記活性部の剛性と、前記駆動部の前記第1の層によって形成される部分である非活性部の剛性とに応じて、前記駆動信号を決定し、前記駆動信号を決定するときの、前記活性部の剛性の重みづけを、前記非活性部の剛性の重みづけよりも小さくすることを特徴とする。
活性部の厚みが変わると、活性部の静電容量と活性部の剛性の両方が変わる。そのため、活性部と非活性部とを含めた駆動部全体の剛性と活性部の静電容量とに応じて駆動信号を決定すると、活性部の厚みのばらつきに対して、駆動信号を適切に決定することができず、ノズルからの液体の吐出特性のばらつきが十分に抑制されない虞がある。
これに対して、本発明では、活性部の剛性と非活性部の剛性とに応じて、駆動信号を決定し、駆動信号を決定するときの、活性部の剛性の重みづけを、非活性部の剛性の重みづけよりも小さくしている。したがって、駆動部の剛性と活性部の静電容量とに応じて駆動信号を決定する場合に、活性部の厚みにばらつきがあっても適切に駆動信号を決定することができる。そして、これにより、ノズルからの液体の吐出特性のばらつきを確実に抑制することができる。
第8の発明に係る圧電アクチュエータの駆動信号決定方法は、第7の発明に係る圧電アクチュエータの駆動信号決定方法において、前記活性部と前記非活性部とを含む前記駆動部全体の厚みを検出する全体厚み検出工程と、前記活性部の静電容量から前記活性部の厚みを算出する活性部厚み算出工程と、前記駆動部全体の厚みから前記活性部の厚みを差し引いて前記非活性部の厚みを算出する非活性部厚み算出工程と、をさらに備え、前記駆動信号決定工程において、前記活性部の厚みと前記非活性部の厚みとに応じて、前記駆動信号を決定することによって、前記活性部の剛性と前記非活性部の剛性とに応じて、前記駆動信号を決定することを特徴とする。
活性部及び非活性部の厚みと、活性部及び非活性部の剛性とは相関関係にある。したがって、活性部の厚みと非活性部の厚みとに応じて、駆動信号を決定することにより、活性部の剛性及び非活性部の剛性とに応じて、駆動信号を決定することができる。
また、活性部と非活性部とを含めた駆動部全体の厚みは、駆動部の共振周波数から算出することができる。一方、活性部の厚みは、活性部の静電容量から算出することができる。そして、駆動部全体の厚みから活性部の厚みを差し引くことにより、非活性部の厚みを算出することができる。すなわち、活性部及び非活性部の厚みは、液体吐出装置の製造後であっても算出可能である。また、液体吐出装置の製造後に活性部及び非活性部の厚みを算出すれば、接着剤の厚みなどを含めた活性部及び非活性部の厚みを正確に検出することができる。
本発明によれば、駆動部の剛性に応じて駆動信号を決定するため、コンプライアンス比が大きい場合でも、ノズルからの液体の吐出特性のばらつきを効果的に抑制することができる。
本発明の実施の形態に係るプリンタの概略構成図である。 図1のインクジェットヘッドの平面図である。 図2のIII−III線断面図である。 プリンタの製造工程を示すフローチャートである。 図4の駆動電位を決定する工程の詳細を示すフローチャートである。 検査部の共振周波数を検出しているときの状態を示す図である。 駆動用電極及び検査用電極に印加される電圧の周波数と、検出される電流との関係を示す図である。 駆動部の厚みが同じ量だけ変動したときの、コンプライアンス比と、駆動部の変形量の変化との関係を示す図である。 コンプライアンス比と、圧電アクチュエータの厚みのばらつきによる駆動部の変形量の変化との関係を示す図である。 一変形例の図2相当の図である。 図10の変形例における図3相当の図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について説明する。
図1に示すように、本実施の形態に係るプリンタ1は、キャリッジ2、インクジェットヘッド3、用紙搬送ローラ4などを備えている。キャリッジ2は、ガイドバー5に沿って走査方向に往復移動する。インクジェットヘッド3はキャリッジ2に搭載されており、その下面に形成された複数のノズル15(図2参照)からインクを吐出する。用紙搬送ローラ4は、記録用紙Pを走査方向と直交する紙送り方向に搬送する。
そして、プリンタ1においては、用紙搬送ローラ4によって紙送り方向に搬送される記録用紙Pに、キャリッジ2とともに走査方向に往復移動するインクジェットヘッド3からインクを吐出することによって、記録用紙Pに印刷を行う。また、印刷が完了した記録用紙Pは、用紙搬送ローラ4によって排出される。
次に、インクジェットヘッド3について説明する。インクジェットヘッド3は、図2、図3に示すように、ノズル15や後述の圧力室10などのインク流路が形成された流路ユニット21と、圧力室10内のインクに圧力を付与するための圧電アクチュエータ22とを備えている。
流路ユニット21は、4枚のプレート31〜34が、上からこの順に積層された状態で、接着剤により互いに接合されることによって形成されている。ここで、4枚のプレート31〜34のうち、最も下方に配置されたプレート34を除く3枚のプレート31〜33はステンレスなどの金属材料などからなる。また、プレート34は合成樹脂材料からなる。あるいは、プレート34もプレート31〜33と同じ金属材料からなるものであってもよい。
プレート31には、複数の圧力室10が形成されている。圧力室10は走査方向を長手方向とする略長方形の平面形状を有している。また、複数の圧力室10は、紙送り方向に配列されることによって圧力室列9を形成しており、プレート31には、このような圧力室列9が走査方向に2列に配列されている。また、プレート31には、各圧力室10の走査方向の外側に隣接する部分に、それぞれ、略円形の平面形状を有する検査用空間17が形成されている。
プレート32には、圧力室10の長手方向外側及び内側の端部と重なる部分に、それぞれ、略円形の貫通孔12、13aが形成されている。プレート33には、マニホールド流路11が形成されている。マニホールド流路11は、圧力室列9に沿って紙送り方向に2列に延びており、圧力室10の走査方向に関する貫通孔12側の略半分と重なっている。また、2列に延びたマニホールド流路11は、その基端部において互いに連通しており、マニホールド流路11には、その基端部に連通するインク供給口8からインクが供給される。また、プレート33には、貫通孔13aと重なる部分に略円形の貫通孔13bが形成されている。プレート34には、貫通孔13bと重なる部分にノズル15が形成されている。
そして、以上のような流路ユニット21においては、マニホールド流路11が貫通孔12を介して複数の圧力室10と連通しており、各圧力室10は、対応する貫通孔13a、13bによって形成されるディセンダ流路13を介してノズル15に連通している。これにより、流路ユニット21には、マニホールド流路11と、マニホールド流路11の出口から圧力室10を経てノズル15に至る複数の個別インク流路とが形成されている。なお、検査用空間17は、これらのインク流路とは連通しない独立した空間となっている。
圧電アクチュエータ22は、インク分離層41、セラミックス層42、圧電層43、共通電極44、複数の個別電極45、複数の検査用電極46などを備えている。インク分離層41は、ステンレスなどの金属材料からなる板状の部材で、圧力室10及び検査用空間17を覆うように、プレート31の上面に接着剤によって接合されている。インク分離層41は、圧力室10内のインクがセラミックス層42に接触しないようにするためのものである。
セラミックス層42は、チタン酸鉛とジルコン酸鉛との混晶であるチタン酸ジルコン酸鉛を主成分とする圧電材料からなり、インク分離層41の上面に接着剤26によって接合されている。圧電層43は、セラミックス層42と同様の圧電材料からなり、セラミックス層42の上面に配置されている。また、セラミックス層42及び圧電層43は、複数の圧力室10及び複数の検査用空間17にまたがって連続的に延びている。なお、セラミックス層42は、圧電層43とは異なり、圧電材料以外の材料によって構成されていてもよい。
ここで、インクジェットヘッド3では、プレート31〜34の間や、プレート31とインク分離層41との間にも接着剤が存在しているが、図3では、図面をわかりやすくするために、上述の接着剤26以外の接着剤については、図示を省略している。
共通電極44は、セラミックス層42と圧電層43との間に形成されており、そのほぼ全域にわたって延びている。共通電極44は、圧電層43に形成されたスルーホール39を介して圧電層43の上面に形成された表面電極38に引き出されている。表面電極38の上面には、圧電層43の上面から上方に突出したバンプ37が形成されている。バンプ37は導電性材料からなり、圧電アクチュエータ22の上方に配置されたFPC50の配線51に接続されている。配線51には、図示しないドライバICが接続されており、共通電極44は、配線51、バンプ37、表面電極38及びスルーホール39を介してドライバICと接続されている。そして、共通電極44は、ドライバICにより、常にグランド電位に保持されている。
複数の個別電極45は、圧力室10よりも一回り小さい略長方形の平面形状を有しており、圧電層43の上面の複数の圧力室10の略中央部と重なる部分に配置されている。複数の検査用電極46は、検査用空間17よりも一回り小さい略円形の平面形状を有しており、圧電層43の上面の複数の検査用空間17の略中央部と重なる部分に配置されている。
ここで、共通電極44、複数の個別電極45及び複数の検査用電極46がこのように配置されているのに対応して、圧電層43の、個別電極45と共通電極44とに挟まれた部分、及び、検査用電極46と共通電極44とに挟まれた部分は、それぞれ、その厚み方向に分極されている。
また、圧電層43の上面には、複数の導通部47が設けられている。複数の導通部47は、互いに対応する個別電極45と検査用電極46との間に配置されており、走査方向に延びて個別電極45と検査用電極46とを導通させている。
検査用電極46の上面には、圧電層43の上面から上方に突出したバンプ48が形成されている。バンプ48は導電性材料からなり、圧電アクチュエータ22の上方に配置されたFPC50の配線51に接続されている。配線51には、ドライバIC52が接続されており、複数の個別電極45は、それぞれ、配線51、バンプ48、導通部47を介してドライバIC52と接続されている。そして、複数の個別電極45には、ドライバIC52により、グランド電位及び駆動電位のいずれかの電位が選択的に付与される。
そして、以上のような構成の圧電アクチュエータ22は、複数の圧力室10と重なる部分が、それぞれ、圧力室10内のインクに圧力を付与するための駆動部22aとなっている。また、駆動部22aは、圧電層43によって形成されている部分が活性部22a1となっており、インク分離層41及びセラミックス層42と、接着剤26とによって形成されている部分が非活性部22a2となっている。
また、圧電アクチュエータ22は、検査用空間17と重なる部分が、対応する駆動部22aの駆動電位を決定するための検査部22bとなっている。また、検査部22bは、圧電層43によって形成されている部分が活性部22b1となっており、インク分離層41及びセラミックス層42と、接着剤26とによって形成されている部分が非活性部22b2となっている。
ここで、インクジェットヘッド3において、圧電アクチュエータ22を駆動してノズル15からインクを吐出させる方法について説明する。圧電アクチュエータ22においては、予め、ドライバIC52により、全ての個別電極45がグランド電位に保持されている。あるノズル15からインクを吐出させる際には、対応する個別電極45の電位を駆動電位に切り換える。すると、圧電層43の当該個別電極45と共通電極44とに挟まれた部分に電圧が印加され、圧電層のこの部分に分極方向と平行な電界が発生する。そして、この電界により、圧電層43のこの部分は、分極方向と直交する水平方向に収縮し、インク分離層41、セラミックス層42及び圧電層43の圧力室10と重なる部分が全体として圧力室10側に凸となるように変形して、圧力室10の容積が減少する。これにより、圧力室10内のインクの圧力が上昇し、圧力室10に連通するノズル15からインクが吐出される。
次に、プリンタ1の製造方法について図4のフローチャートを用いて説明する。プリンタ1を製造するためには、まず、インクジェットヘッド3を製造する(ステップS101、以下、単にS101などとする)。具体的には、プレート31〜34を互いに接合することによって流路ユニット21を形成し、流路ユニット21の上面に圧電アクチュエータ22を接合することによってインクジェットヘッド3を製造する。次に、S101で製造されたインクジェットヘッド3において、個別電極45に付与する駆動電位を決定する(S102)。
S102における駆動電位の決定方法について説明すると、図5に示すように、まず、複数のノズル15の直径を測定する(S201)。続いて、S201において測定したノズル15の直径に応じた駆動電位の調整量ΔVdを算出する(S202)。調整量ΔVdは、例えば、測定したノズル15の直径をD、設計上のノズル15の直径をDsとして、以下のように算出される。ここで、Ndは係数である。
Figure 2013188930
次に、複数の検査部22bの活性部22b1の静電容量を検出する(S203)。続いて、S201において検出した静電容量に応じた駆動電位の調整量ΔVcを算出する(S204)。調整量ΔVcは、例えば、検出された静電容量をC、設計上の静電容量をCsとして、以下のように算出される。ここで、Ncは係数である。
Figure 2013188930
次に、設計上の、駆動部22aの剛性に対する前記圧力室10内のインクの剛性の比であるコンプライアンス比が1.5未満の場合には(S205:NO)、S202、S204において算出した調整量ΔVd、ΔVcに応じて、複数の個別電極45に付与する駆動電位を個別に算出する(S206)。具体的には、設計上の駆動電位である基準駆動電位をVbとして、次の式によって各個別電極45に付与する駆動電位Vを個別に算出する。そして、駆動電位Vの決定後、S103に進む。
Figure 2013188930
一方、設計上のコンプライアンス比が1.5以上の場合には(S205:YES)、複数の検査部22bの共振周波数を検出する(S207)。具体的には、例えば、図6に示すように、共通電極44に電流検出装置61を接続するとともに、検査用電極46に対応する個別電極45に、電圧印加装置62に接続されたプローブ63を接触させる。そして、電圧印加装置62により、プローブ63から個別電極45及び導通部47を介して検査用電極46に電圧を印加するとともに、当該電圧の周波数を順次変化させ、電流検出装置61により、共通電極44から出力される電流値Ieを検出する。
このとき、図7に示すように、検査用電極46に印加された電圧の周波数が検査部22bの共振周波数となったときに、当該周波数が検査部22bの共振周波数以外の周波数であるときよりも、共通電極44から出力される電流値Ieが極端に大きくなる。このことを利用して、電流値Ieのピークが得られたときに、検査用電極46に印加された電圧の周波数を、検査部22bの共振周波数として検出する。
ここで、駆動部22aについても、上述したのと同様、図7に示すように、個別電極45に印加された電圧の周波数が駆動部22aの共振周波数となったときに、当該周波数が駆動部22aの共振周波数以外の周波数であるときよりも、共通電極44から出力される電流値Idが極端に大きくなる。
そして、本実施の形態では、検査用空間17は圧力室10と平面形状が異なっているため、検査部22bの共振周波数は、駆動部22aの共振周波数とは異なっている。より詳細には、図7に示すように、検査部22bの1次振動モードにおける共振周波数Fe1が、駆動部22aの1次振動モードにおける共振周波数Fd1と、2次振動モードにおける共振周波数Fd2のほぼ中間の周波数となっている。本実施の形態では、検査部22bの共振周波数として1次振動モードでの共振周波数を検出する。
次に、S207において検出した共振周波数から各検査部22b全体の厚みを算出し(S208)、S202において検出した活性部22b1の静電容量から、活性部22b1の厚みを算出する(S209)。そして、S208において検出した検査部22b全体の厚みから、S209において算出した活性部22b1の厚みを差し引くことにより、非活性部22b2の厚みを算出する(S210)。
続いて、S209において算出した活性部22b1の厚みから、活性部22b1の厚みに応じた駆動電位の調整量ΔVpを算出するとともに、S210において算出した非活性部22b2の厚みから、非活性部22b2の厚みに応じた駆動電位の調整量ΔVnを算出する(S211)。
調整量ΔVpは、例えば、S209において算出された活性部22b1の厚みから算出される活性部22b1の剛性をKp、設計上の活性部22b1の剛性をKpsとして、以下の式によって算出する。ここで、Npは係数である。
Figure 2013188930
一方、調整量ΔVnは、例えば、S210において算出された非活性部22b2の厚みから算出される非活性部22b2の剛性をKn、設計上の非活性部22b2の剛性をKnsとして、以下の式によって算出する。ここでNnは係数である。
Figure 2013188930
このとき、係数Nnは、上述の係数Npよりも大きな値となっている。すなわち、検査部22bの厚みに応じて駆動電位を決定するときの、非活性部22b2の重みづけが、活性部22b1の重みづけよりも大きくなっている。
そして、S211において調整量ΔVp、ΔVnの算出が完了した後、S202、S204、S211において算出した調整量ΔVd、ΔVc、ΔVp、ΔVnに応じて複数の個別電極45に付与する駆動電位を個別に算出する(S212)。具体的には、次の式によって複数の個別電極45に付与する駆動電位Vを個別に算出する。そして、駆動電位Vの決定後、S103に進む。
Figure 2013188930
S103では、検査用電極46の上面にバンプ48を形成する。続いて、バンプ48に配線部材50の配線51を接続する(S104)。そして、この後、FPC50を接続したインクジェットヘッド3を、インクジェットヘッド3と並行して製造したキャリッジ2に組み付けるなど、プリンタ1の製造のための以降の製造工程に進み(S105)、プリンタ1の完成によってフローを終了する。
以上に説明した実施の形態では、1つのインクジェットヘッド3の圧電アクチュエータ22の中で、あるいは、複数のインクジェットヘッド3の圧電アクチュエータ22の間で、インク分離層41、セラミックス層42及び圧電層43の厚みや、接着剤26の厚みにばらつきが生じる。
特に、接着剤により接合を行うときには、通常、接合面の一部分に接着剤を塗布し、接合する部材同士を積層方向の互いに押し付けることによって、接着剤を接合面全体に広げる。そのため、上述したような接着剤26の厚みのばらつきは、塗布する接着剤の量のばらつきや、接着剤の広がり方のばらつきなどによりどうしても生じてしまう。
ここで、圧電アクチュエータ22を駆動して圧力室10内のインクに圧力を付与したときに、圧力室10側に凸となるように変形した駆動部22aは、圧力室10内のインクによって押し返される。このとき、上述したようなインク分離層41、セラミックス層42及び圧電層43、接着剤26の厚みにばらつきがあることにより、駆動部22aの剛性にばらつきがあると、駆動部22aが圧力室10内のインクによって押し返される量にばらつきが生じる。そのため、複数の個別電極45に一律の駆動電位を付与すると、1つのインクジェットヘッド3の中で、あるいは、複数のインクジェットヘッド3の間で、ノズル15からのインクの吐出特性にばらつきが生じてしまう。
さらに、このとき、駆動部22aの厚みが薄く、駆動部22aの剛性が低い場合ほど、駆動部22aが圧力室10内のインクによって大きく押し返される。そのため、図8に示すように、駆動部22aの厚みが薄く、駆動部22aの剛性が低い場合ほど、すなわち、コンプライアンス比が大きい場合ほど、駆動部22aの厚みの変動に対する駆動部22aの変形量の変化が大きくなる。ここで、図8は、駆動部22aの厚みが同じ量だけ変動したときの、コンプライアンス比と、駆動部22aの変形量の変化との関係を示している。
そのため、図9に示すように、コンプライアンス比が大きい場合ほど、上述したようなインク分離層41、セラミックス層42及び圧電層43の厚みのばらつきや、接着剤26の厚みのばらつきが、駆動部22aの変形量、すなわち、ノズル15からのインクの吐出特性に与える影響は大きくなる。そして、コンプライアンス比が1.5以上である場合には、上述したようなインク分離層41、セラミックス層42、圧電層43及び接着剤26の厚みのばらつきによる駆動部22aの変形量の変化率は10%以上となり、特に問題となる。
また、圧電層43の厚みにばらつきがあると、活性部22a1の静電容量にもばらつきが生じる。そして、この静電容量のばらつきによってもノズル15からのインクの吐出特性にばらつきが生じる。
また、本実施の形態では、1つのインクジェットヘッド3の中、あるいは、複数のインクジェットヘッド3の間において、ノズル15の直径にばらつきが生じる。そして、ノズル15の直径のばらつきによっても、ノズル15からのインクの吐出特性にばらつきが生じる。
以上のようなノズル15からのインクの吐出特性のばらつきに対して、本実施の形態では、上述したように、活性部22b1及び非活性部22b2の剛性、活性部22b1の静電容量、及び、ノズル15の直径に応じて、複数の個別電極45に付与する駆動電位を個別に決定している。ここで、ある検査部22bの活性部22b1及び非活性部22b2の厚みは、当該検査部22bに対応する駆動部22aの活性部22a1及び非活性部22a2の厚みとほぼ同じとなる。また、ある検査部22bの活性部22b1の静電容量と、当該検査部22bに対応する駆動部22aの活性部22a1の静電容量とは、相関関係にある。したがって、上述の係数Nd、Nc、Np、Nnを適切に設定して、調整量ΔVd、ΔVc、ΔVp、ΔVnに応じて駆動電位Vを決定することで、ノズル15からのインクの吐出特性のばらつきを抑えることができる。
このとき、複数の個別電極45に付与する駆動電位を個別に決定しているため、1つのインクジェットヘッド3の中、及び、複数のインクジェットヘッド3の間のいずれにおいても、ノズル15からのインクの吐出特性のばらつきを抑制することができる。
また、本実施の形態では、駆動部22aの厚みのばらつきは、活性部22a1の厚みのばらつきと、非活性部22a2の厚みのばらつきとを合わせたものとなる。一方で、活性部22a1の厚みがばらついた場合には、上述したように活性部22a1の静電容量にもばらつきが生じるのに対して、非活性部22a2の厚みのばらつきは、活性部22a1の静電容量にほとんど影響を与えない。
そのため、本実施の形態とは異なり、仮に、活性部22b1の厚みと、非活性部22b2の厚みの比率などを考慮せずに、検査部22b全体の剛性に応じた調整量を算出し、その調整量に応じて、駆動電位Vを決定すると、活性部22b1の厚みのばらつきに対して、基準駆動電位Vbが、活性部22b1の静電容量と、活性部22b1の剛性とに応じて重複して調整されてしまう。その結果、ノズル15からのインクの吐出特性のばらつきを十分に抑えることができない虞がある。
これに対して、本実施の形態では、活性部22b1の剛性に応じた駆動電位の調整量ΔVpと、非活性部22b2の剛性に応じた駆動電位の調整量ΔVnとを別々に算出し、S212において、調整量ΔVp、ΔVnに応じて駆動電位Vを算出している。そして、このとき、活性部22b1の静電容量に応じた調整量ΔVcを加味して、調整量ΔVpを算出するのに用いる係数Npの値を、調整量ΔVnを算出するのに用いる係数Nnの値よりも小さくしている。したがって、ノズル15からのインクの吐出特性のばらつきを確実に抑制することができる。
また、このとき、S207において検出した検査部22b全体の厚みから、S209において活性部22b1の静電容量から算出した活性部22b1の厚みを差し引くことで、非活性部22b2の厚みを算出している。これにより、インクジェットヘッド3を製造した後、接着剤26の厚みを含めた非活性部22b2の厚みを精度よく算出することができる。
また、本実施の形態では、コンプライアンス比が1.5以上である場合に、活性部22b1及び非活性部22b2の厚み、活性部22b1の静電容量、及び、ノズル15の直径の全てに応じて駆動電位を決定している。したがって、上述のとおり、駆動部22aの剛性が低く、駆動部22aの剛性のばらつきがノズル15からのインクの吐出特性のばらつきに与える影響が大きい場合に、ノズル15からのインクの吐出特性のばらつきを確実に抑制することができる。
一方、コンプライアンス比が、1.5未満である場合には、活性部22b1の静電容量、及び、ノズル15の直径に応じてのみ駆動電位Vを決定している。活性部22b1及び非活性部22b2の厚みに応じて駆動電位を決定するためには、上述のS204〜S209のように、調整量ΔVp、ΔVnの算出が必要であるが、上述したように、調整量ΔVp、ΔVnの算出は煩雑なものとなっている。そこで、駆動部22aの剛性が高く、駆動部22aの剛性のばらつきがノズル15からのインクの吐出特性のばらつきに与える影響が小さい場合には、ノズル15の直径、及び、活性部22b1の静電容量に応じてのみ駆動電位を決定する。これにより、煩雑な調整量ΔVp、ΔVnの算出が不要となり、駆動電位Vを決定する工程を簡略化することができる。
なお、本実施の形態では、互いに積層されたインク分離層41とセラミックス層42とを合わせたものが本発明に係る第1の層に相当する。また、圧電層43が、本発明に係る第2の層に相当し、圧電層43を挟む共通電極44と個別電極45とが、本発明に係る電極に相当する。また、上記S102の工程が、本発明に係る駆動信号決定工程に相当する。また、上記S207の工程が、本発明に係る共振周波数検出工程に相当する。また、S208、S209及びS210の工程が、それぞれ、全体厚み検出工程、活性部厚み算出工程、及び、非活性部厚み算出工程に相当する。
次に、本実施の形態に種々の変更を加えた変形例について説明する。ただし、本実施の形態と同様の構成については、適宜その説明を省略する。
上述の実施の形態では、S209において活性部22b1の静電容量から活性部22b1の厚みを算出し、S207において検出した検査部22b全体の厚みから、上記活性部22b1の厚みを差し引いて検査部22bの非活性部の厚みを算出したが、これには限られない。例えば、インクジェットヘッド3の製造後、何らかの方法によって、活性部22b1及び非活性部22b2の厚みを直接測定してもよい。あるいは、インクジェットヘッド3の製造前に、インク分離層41、セラミックス層42及び圧電層43の厚みを直接測定するとともに、測定したこれらの厚みと、予め推定される接着剤26の厚みとから活性部22b1及び非活性部22b2の厚みを算出してもよい。
また、上述の実施の形態では、活性部22b1の厚み及び非活性部22b2の厚みをそれぞれ取得し、活性部22b1の厚みによって決まる活性部22b1の剛性、及び、非活性部22b2の厚みによって決まる非活性部22b2の剛性に応じて、それぞれ、駆動電位を決定し、さらに、係数Nnを係数Npよりも大きくすることで、駆動電位を決定するときの非活性部22b2の剛性の重みづけを、活性部22b1の剛性の重みづけよりも大きくしたが、これには限られない。
例えば、S208において検査部22b全体の厚みを算出した後、算出した検査部22b全体の厚みに応じて駆動電位の調整量ΔVeを決定し、S207において、例えば以下の式によって、調整量ΔVeに応じて駆動電位Vを算出してもよい。
Figure 2013188930
調整量ΔVeは、例えば、検査部22b全体の厚みから得られる検査部22b全体の剛性をKe、設計上の検査部22b全体の剛性をKesとして、以下のように算出される。
Figure 2013188930
ここで、Neは、活性部22b1の静電容量に応じた調整量ΔVcを考慮しないとしたときに決まる係数である。また、Nfは、活性部22b1の厚みのばらつきに対して、基準駆動電気Vbが、活性部22b1の静電容量と活性部22b1の剛性とに応じて重複して調整されたときの、重複部分の影響を抑制するための係数であり、0<Nf<1となっている。
この場合には、上述の実施の形態の場合に比べれば、駆動電位の調整の精度は多少低くなってしまうが、活性部22b1と非活性部22b2の厚みを算出し、算出したこれらの厚みに応じた調整量ΔVp、ΔVnを個別に算出するといった煩雑な工程が不要となるため、駆動電位Vを決定する工程が簡略化される。
また、上述の実施の形態では、検査部22bの剛性に加えて、ノズル15の直径、及び活性部22b1の静電容量に応じて駆動電位Vを決定していたが、検査部22bの剛性に応じてのみ駆動電位Vを決定してもよい。
また、上述の実施の形態では、インクジェットヘッド3の複数の駆動部22aに対応する検査部22bの剛性に応じて、複数の個別電極45に付与する駆動電位を個別に決定したが、これには限られない。検査部22bを一部の駆動部22aに対してのみ設け、当該検査部22bの剛性に応じて駆動電位を決定してもよい。
また、上述の実施の形態では、コンプライアンス比が1.5以上の場合にのみ検査部22bの剛性に応じて駆動電位Vを決定したが、これには限られない。すなわち、コンプライアンス比に関わらず、検査部22bの剛性に応じて駆動電位Vを決定してもよい。
また、上述の実施の形態では、インク分離層41とセラミックス層42とが互いに積層された状態で接着剤により接合されることで、本発明に係る第1の層が形成されていたが、これには限られない。例えば、インク分離層41及びセラミックス層42の代わりに、1つの部材によって形成された第1の層が設けられていてもよい。この場合には、インク分離層41とセラミックス層42とを接合する接着剤に相当する層がないため、非活性部22a2の厚みのばらつきが小さくなる。したがって、非活性部22b2の剛性のばらつきに応じた駆動電位の調整量ΔVnを小さくすることができる。
あるいは、インク分離層41及びセラミックス層42の代わりに、3以上の部材が積層されることによって形成された第1の層が設けられていてもよい。この場合には、上述の実施の形態の場合よりも接着剤の層の数が多くなるため、非活性部22a2の厚みのばらつきは大きくなりやすい。しかしながら、このような場合でも、非活性部22b2の剛性に応じて駆動電位を調整するため、ノズル15からのインクの吐出特性のばらつきを抑えることができる。
また、上述の実施の形態では、インク分離層41、セラミックス層42及び圧電層43が接着剤によって互いに接合されていたがこれには限られない。例えば、成膜法などによって、インク分離層41の上面にセラミックス層42及び圧電層43を順に形成してもよい。
また、上述の実施の形態では、駆動部22aとは別に設けられた検査部22bの剛性に応じて駆動電位を調整したが、これには限られない。例えば、検査用空間17が設けられておらず、プローブ63を検査用電極46に接触させることによって、駆動部22aの共振周波数を直接検出し、検出した共振周波数に応じて、上述の実施の形態と同様に駆動電位を調整してもよい。すなわち、駆動部22aを検査部として利用してもよい。
また、上述の実施の形態では、セラミックス層42及び圧電層43が全ての圧力室10及び全ての検査用空間17にまたがって連続的に延びたものであったが、これには限られない。例えば、一変形例では、図10、図11に示すように、インク分離層41の上面に、1組の互いに対応する圧力室10と検査用空間17の組にのみまたがって延びた、複数のセラミックス層42及び圧電層43が設けられている。
また、共通電極44は、圧電アクチュエータ22の側面に形成された導電性接着剤71を介して、インク分離層41の上面に形成された表面電極72に引き出されている。そして、表面電極72がバンプ73を介してFPC50の配線51に接続されている。
また、上記変形例では、セラミックス層42及び圧電層43は、1組の圧力室10と検査用空間17の組にのみまたがって延びていたが、これには限られない。セラミックス層42及び圧電層43は2組の圧力室10と検査用空間17の組など、複数の圧力室10と検査用空間17の組にまたがって延びたものであってもよい。
また、以上の例では、検査部22bの剛性などに応じて駆動電位Vを変えることで、ノズル15からのインクの吐出特性のばらつきを抑制していたが、これには限られない。例えば、駆動電位Vは一定とし、検査部22bの剛性などに応じて個別電極45に付与する駆動信号の波形を変えることによって、ノズル15からのインクの吐出特性のばらつきを抑制してもよい。あるいは、検査部22bの剛性などに応じて、駆動電位Vと駆動波形の両方を変えることによって、ノズル15からのインクの吐出特性のばらつきを抑制してもよい。
また、以上では、ノズルからインクを吐出するインクジェットヘッド及びインクジェットヘッドにおける圧電アクチュエータの駆動信号の決定に本発明を適用した例について説明したが、これには限られない。ノズルからインク以外の液体を吐出する液体吐出装置、及び、このような液体吐出装置における圧電アクチュエータの駆動信号の決定に本発明を適用することも可能である。
10 圧力室
15 ノズル
21 流路ユニット
22 圧電アクチュエータ
22a 駆動部
22a1 活性部
22a2 非活性部
22b 検査部
22b1 活性部
22b2 非活性部
41 インク分離層
42 セラミックス層
43 圧電層
44 共通電極
45 個別電極
52 ドライバIC

Claims (9)

  1. ノズルと、前記ノズルに連通する圧力室とを有する流路ユニットと、
    前記圧力室を覆う第1の層と、圧電材料からなり、前記第1の層の前記圧力室と反対側の面に配置された第2の層と、前記第2の層の前記圧力室と重なる部分を挟むように設けられた駆動電極と、を有する圧電アクチュエータと、を備えた液体吐出装置に用いられる圧電アクチュエータの駆動信号決定方法であって、
    前記圧電アクチュエータの前記圧力室と重なる部分である駆動部の剛性に応じて前記駆動信号を決定する駆動信号決定工程を備えていることを特徴とする圧電アクチュエータの駆動信号決定方法。
  2. 前記圧電アクチュエータは、共振周波数を検出するための検査部を備え、
    前記検査部の共振周波数を検出する共振周波数検出工程、をさらに備え、
    前記駆動信号決定工程において、前記共振周波数検出工程において検出された共振周波数に応じて前記駆動信号を決定することによって、前記駆動部の剛性に応じて駆動信号を決定することを特徴とする請求項1に記載の圧電アクチュエータの駆動信号決定方法。
  3. 前記第1の層が、複数の部材が積層されることによって形成されたものであり、
    前記第1の層を形成する前記複数の部材同士が接着剤で接合されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の圧電アクチュエータの駆動信号決定方法。
  4. 前記駆動信号決定工程において、前記駆動部の剛性に対する前記圧力室内の液体の剛性の比であるコンプライアンス比が1.5以上である場合にのみ、前記駆動部の剛性に応じて前記駆動信号を決定することを特徴とすることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧電アクチュエータの駆動信号決定方法。
  5. 前記流路ユニットが、前記圧力室を複数備え、
    前記圧電アクチュエータが、前記駆動部を複数備え、
    前記駆動信号決定工程において、複数の前記駆動部に対する駆動信号を、個別に決定することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の圧電アクチュエータの駆動信号決定方法。
  6. 前記駆動信号決定工程において、前記駆動部の剛性と、前記駆動部の前記第2の層によって形成される部分である活性部の静電容量とに応じて、前記駆動信号を決定することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の圧電アクチュエータの駆動信号決定方法。
  7. 前記駆動信号決定工程において、前記活性部の剛性と、前記駆動部の前記第1の層によって形成される部分である非活性部の剛性とに応じて、前記駆動信号を決定し、
    前記駆動信号を決定するときの、前記活性部の剛性の重みづけを、前記非活性部の剛性の重みづけよりも小さくすることを特徴とする請求項6に記載の圧電アクチュエータの駆動信号決定方法。
  8. 前記活性部と前記非活性部とを含む前記駆動部全体の厚みを検出する全体厚み検出工程と、
    前記活性部の静電容量から前記活性部の厚みを算出する活性部厚み算出工程と、
    前記駆動部全体の厚みから前記活性部の厚みを差し引いて前記非活性部の厚みを算出する非活性部厚み算出工程と、をさらに備え、
    前記駆動信号決定工程において、前記活性部の厚みと前記非活性部の厚みとに応じて、前記駆動信号を決定することによって、前記活性部の剛性と前記非活性部の剛性とに応じて、前記駆動信号を決定することを特徴とする請求項7に記載の圧電アクチュエータの駆動信号決定方法。
  9. ノズルと、前記ノズルに連通する圧力室とを有する流路ユニットと、
    前記圧力室を覆う第1の層と、前記第1の層の前記圧力室と反対側の面に配置された、圧電材料からなる第2の層と、前記第2の層の前記圧力室と重なる部分を挟むように設けられた駆動電極と、を有する圧電アクチュエータと、
    前記駆動電極に駆動電圧を印加する電圧印加手段と、を備え、
    前記電圧印加手段は、前記圧電アクチュエータの前記圧力室と重なる部分である駆動部の剛性に応じて決定された駆動信号を前記駆動電極に付与することを特徴とする液体吐出装置。
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