JP2013156661A - 長尺の位相差フィルム、長尺の楕円偏光フィルム、楕円偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents

長尺の位相差フィルム、長尺の楕円偏光フィルム、楕円偏光板、及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、製造時の生産性に優れ、画像表示装置に使われた場合の視角特性および高温高湿環境保存時での色味安定性に優れた長尺の楕円偏光フィルムを提供することにあり、それを実現するために必要な長尺の位相差フィルムを提供することにある。また、別の目的は、前記楕円偏光フィルムより切り出した楕円偏光板を用いた画像表示装置を提供することにある。
【解決手段】本発明の長尺の位相差フィルムは、セルロースエステルからなる長尺の基材フィルム上に、垂直配向液晶層を設けてなる長尺の位相差フィルムにおいて、該基材フィルムが、糖エステル化合物を含有し、かつ面内の遅相軸とフィルム長手方向のなす角度が10°〜80°であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、長尺の位相差フィルム、および長尺の楕円偏光フィルム、該楕円偏光板、更にはそれを用いた反射型液晶表示装置、タッチパネル、有機EL(有機エレクトロルミネッセンス)表示装置等の画像表示装置に関する。
従来より、反射型あるいは半透過型液晶表示装置やタッチパネル、有機EL表示装置などの画像表示装置において、外光の映り込みを抑えて明室コントラストを際立たせる手段として、λ/4板(およびλ/2板)と呼ばれる位相差板と直線偏光板を積層した円偏光板を用いることが知られている。
この円偏光板を作製するにあたっては、従来、透明樹脂フィルムを製膜した後、これをフィルムの長手方向または幅手方向に延伸して光学的にフィルム面内に遅相軸を出現させ、必要な面積だけ切り出してから、遅相軸と直線偏光板の透過軸が斜め45°付近になるように配置し、直線偏光板と貼り合わせるという方法が採られてきた。従って、位相差板の切り出し時のロスや切り出し作業自体の手間などで生産性を上げることができないという課題や、個々の位相差板と直線偏光板との貼合軸調整バラツキに起因する性能変動が生じやすいなどの課題を抱えていた。
このような課題に対し、特許文献1〜3では、ロール状フィルムの幅手方向と遅相軸との成す角度が非直角かつ非平行(即ち斜め)であるように延伸された位相差フィルムと、ロール状フィルムの長手方向に吸収軸を有する直線偏光フィルムとを、長手方向が揃うようにして積層させて作った円偏光フィルム、あるいはその製造方法の開示がある。
これらの技術により、格段に生産性の良い円偏光フィルムを作ることが可能となった。しかしながら、これらの技術だけでは、画像表示装置表面に配置される円偏光板の重要な特性である優れた視角特性、即ち様々な角度から視たときに正面から視た時と同じ色味やコントラストを得ることは実現できていない。また昨今では、様々な画像表示装置のモバイル化が進み、その使われ方も多様化していることに伴い、種々の環境変化においても同様な光学特性を示すことへのニーズも非常に高まってきている。とりわけ、高温高湿下での色味安定性は重要であるが、このような要求に対し、前述の特許文献1〜3の技術は全く応えることはできない。
視角特性を改善する方法として、例えば特許文献4に開示されているようなフィルム厚み方向に配向する液晶層を設け、基材の延伸により生じた厚み方向の位相差をほぼ打ち消すような技術が知られている。しかしながら、この技術で改善できるのは視角特性のみであり、高温高湿下での色味安定性を改善することは困難であった。
特開2003−232921号公報 特開2007−94007号公報 特開2007−153926号公報 特開2004−226838号公報
本発明の目的は、製造時の生産性に優れ、画像表示装置に使われた場合の視角特性および高温高湿環境保存時での色味安定性に優れた長尺の楕円偏光フィルムを提供することにあり、それを実現するために必要な長尺の位相差フィルムを提供することにある。また、別の目的は、前記楕円偏光フィルムより切り出した楕円偏光板を用いた画像表示装置を提供することにある。
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
1.セルロースエステルからなる長尺の基材フィルム上に、垂直配向液晶層を設けてなる長尺の位相差フィルムにおいて、該基材フィルムが、糖エステル化合物を含有し、かつ面内の遅相軸とフィルム長手方向のなす角度が10°〜80°であることを特徴とする長尺の位相差フィルム。
2.前記糖エステル化合物が置換度の異なる糖エステル化合物の混合物であることを特徴とする第1項に記載の長尺の位相差フィルム。
3.前記糖エステル化合物の混合物が少なくとも6置換体、7置換体、8置換体を含有することを特徴とする第2項に記載の長尺の位相差フィルム。
4.前記面内の遅相軸とフィルム長手方向のなす角度が40〜50°であることを特徴とする第1項〜第3項の何れか1項に記載の長尺の位相差フィルム。
5.前記面内の遅相軸とフィルム長手方向のなす角度が実質的に45°であることを特徴とする第1項〜第4項の何れか1項に記載の長尺の位相差フィルム。
6.前記セルロースエステルがセルロースアセテートプロピオネートであることを特徴とする第1項〜第5項の何れか1項に記載の長尺の位相差フィルム。
7.第1項〜第6項の何れか1項に記載の長尺の位相差フィルムを少なくとも1つと、長尺の直線偏光フィルムとを、長手方向を揃えて積層することで得られることを特徴とする長尺の楕円偏光フィルム。
8.糖エステル化合物を含有するセルロースエステルフィルム基材上に、垂直配向液晶層を設けてなる位相差フィルムと、直線偏光フィルムが積層され、該偏光フィルムの吸収軸と、前記位相差フィルム基材の面内の遅相軸とのなす角度が0°〜90°であることを特徴とする楕円偏光板。
9.第8項に記載の楕円偏光板を用いることを特徴とする画像表示装置。
10.有機EL表示装置であることを特徴とする第9項に記載の画像表示装置。
11.楕円偏光板の直線偏光フィルムとガラス基板の間に位相差板が位置することを特徴とする第10項に記載の画像表示装置。
12.楕円偏光板が有機EL素子のガラス基板にアクリル系粘着剤を介して貼り付けられていることを特徴とする第9項〜第11項の何れか1項に記載の画像表示装置。
本発明により、製造時の生産性に優れ、画像表示装置に使われた場合の視角特性および高温高湿環境保存時での色味安定性に優れた長尺の楕円偏光フィルムを提供することができ、それを実現するために必要な長尺の位相差フィルムを提供することができる。また、前記楕円偏光フィルムより切り出した楕円偏光板を用いた画像表示装置を提供することができる。
本発明の延伸フィルムの製造装置の一例を示す模式平面図である。 本発明の延伸フィルムの製造装置の左右に設置されたスクリューの一例を示す平面図であり、(イ)は突条のフライトが同ピッチで設けられたスクリューであり、(ロ)は突条のフライトがピッチが変化するように設けられたスクリューである。 本発明の延伸フィルムの製造装置で得られる延伸フィルムの一例を示す平面図である。 本発明の延伸フィルムの製造装置で得られる延伸フィルムを積層し、裁断する方法の一例を示す平面図である。 本発明の延伸フィルムの別の製造装置の一例を示す模式平面図である。 本発明の円偏光フィルムの断面構成を示す図である。 本発明の円偏光フィルムの断面構成を示す図である。 本発明の円偏光フィルムの断面構成を示す図である。 本発明の反射型液晶表示装置の一例の層構成を示す図である。 本発明の有機EL素子の実施態様の概略図である。 本発明の一実施形態であるフィルム延伸装置(伸縮装置)である。 本発明の一実施形態であるフィルム延伸装置(伸縮装置)である。 斜方延伸機の構成を示す図である。 斜方延伸機のさらに詳細な構造を示す図である。
以下本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の位相差フィルムは、透明樹脂からなる長尺の基材フィルム上に、垂直配向液晶層を設けてなる長尺の位相差フィルムにおいて、該基材フィルムの面内の遅相軸とフィルム長手方向のなす角度が10°〜80°であることを特徴とする。
このような位相差フィルムの少なくとも1枚と、長尺の直線偏光フィルムとを長手方向を揃えて積層させることで、製造時の生産性に優れ、画像表示装置に使われた場合の視角特性および高温高湿環境保存時での色味安定性に優れるという本発明の優れた効果を有する楕円偏光フィルムを得ることができるものである。
本発明者らは、本発明の課題の一つである高温高湿下での色味安定性について鋭意検討した結果、遅相軸がフィルムの長手方向あるいは幅手方向にある基材フィルムに垂直配向液晶層を設けても本発明の効果は得られず、遅相軸が長手方向に対し10°〜80°にある基材フィルムに垂直配向液晶層を設けた場合に初めて本発明の効果が得られることを見出したものである。これは予想し難い現象であったが、恐らく高温高湿保存時には、垂直配向液晶層内の分子配列に僅かなりとも乱れが生じ、それは基材フィルムの面内位相差の波長分散性に影響を与える程度の乱れと思われる。そして、その乱れ方が、基材フィルムの遅相軸とフィルムの長手方向のなす角度によって異なっているのではないか、即ち、遅相軸が長手方向に対し10°〜80°にある基材フィルムに垂直配向液晶層を設けた場合の方が、遅相軸がフィルムの長手方向あるいは幅手方向にある基材フィルムに垂直配向液晶層を設けた場合よりも、高温高湿保存時の垂直配向液晶層内の分子配向の乱れが小さく安定していると推察している。
以下、本発明を詳細に説明する。
〈本発明の長尺の位相差フィルム〉
本発明で言う位相差フィルムとは、面内の位相差値が、広い波長領域でλ/4またはλ/2を示すようなフィルムを指す。より詳細には、波長550nmで測定した位相差値Ro(550)は、所謂λ/4板の場合、108nm〜168nmであることが好ましく、128nm〜148nmであることが更に好ましく、138±5nmであることが最も好ましい。また、λ/2板の場合は、245〜305nmであることが好ましく、265〜285nmであることが更に好ましく、275±5nmであることが最も好ましい。ここで、面内位相差値Roは、下記式に従って算出する。
Ro=(nx−ny)×d
(式中、nxは、位相差フィルム面内の遅相軸方向の屈折率(面内の最大屈折率)であり、nyは、位相差フィルム面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率であり、dは、位相差フィルムの厚み(nm)である。)
本発明の位相差フィルムは透明樹脂からなる長尺の基材フィルム上に、フィルムの厚み方向に配向する液晶分子を塗工し固定化した層を設けることで得られるが、本発明の基材フィルムを構成する透明樹脂の透明とは、可視光の透過率60%以上であることをさし、好ましくは80%以上であり、特に好ましくは90%以上である。従って透明樹脂とは、所望な波長の光に対して上記透過率を有する樹脂であり、特に、熱可塑性樹脂であることが好ましい。また、本発明に用いる透明樹脂は、固有複屈折値が正である樹脂からなることが好ましい。透明樹脂としては、例えばセルロースエステル、ポリオレフィン、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール等が挙げられる。特に、光弾性係数の小さい樹脂を用いることが、熱歪みによる位相差ムラを抑制できるので好ましく、セルロースエステルやポリオレフィンなどが好ましく用いられる。最も好ましいのはセルロースエステルである。延伸前の基材フィルムは、溶液流延法あるいは溶融流延法等で製膜することができるが、選択する樹脂の特性に応じて最適な方法をとることが好ましい。
本発明の位相差フィルムは、面内に前記位相差を有する基材フィルムと、その基材フィルム上に垂直配向液晶層とからなる。ここで垂直配向液晶層とは、フィルムの厚み方向に配向する液晶分子を基材フィルム上に塗工し固定化して得られる層を意味する。該基材フィルム面内の遅相軸と、フィルム長手方向とのなす角度は、10°〜80°であることが特徴である。垂直配向液晶層の塗工の際、その塗工方向は基材フィルムの長手方向と一致していることが好ましい。これにより、長手方向に吸収軸を有する長尺の直線偏光フィルムと、該位相差フィルムの長手方向を揃えて積層させることで、生産性よく長尺の楕円偏光フィルムを得ることができる。上記位相差フィルムを構成する、基材フィルム面内の遅相軸とフィルム長手方向との傾きは、20°〜70°の範囲、更には30°〜60°の範囲であることが好ましく、特に好ましいのは40°〜50°の範囲であり、最も好ましいのは実質的に45°である。実質的に45°とは45°±2°の範囲をいう。
このような特徴の長尺フィルムを作製する方法としては、一般に下記のような基材フィルムの斜め延伸方法が用いられる。
〈斜め延伸装置、斜め延伸方法〉
以下、本発明に係る位相差フィルムとして熱可塑性樹脂を用いたフィルムを例にとり説明する。
本発明で使用される斜め延伸装置は、予熱ゾーン、加熱延伸ゾーン及び冷却ゾーンを有するものであり、従来の熱可塑性樹脂フィルムの延伸に使用されている任意の加熱装置が使用可能である。熱可塑性樹脂フィルムは、予熱ゾーンで予熱され、加熱延伸ゾーンで延伸され、冷却ゾーンで配向固定されて延伸フィルムが得られる。
本発明で使用される斜め延伸装置のクリップは、熱可塑性樹脂フィルムの端部を把持しうるものであれば任意のものが使用でき、例えば、従来のテンター延伸機で使用されていたものが使用可能であり、溝条又は突条が螺旋状に設けられた機械要素に駆動可能に設置されている。
本発明で使用される機械要素は、溝条又は突条が螺旋状に設けられ、この溝条又は突条にクリップを設置し、駆動するようになされており、例えば、スクリュー、ボールねじ等が挙げられる。
上記溝条又は突条の形状は、クリップを駆動しやすい形状が好ましく、正弦波や円弧の一部を連続した形状が好ましい。
本発明においては、上記機械要素は加熱装置の左右に設置されるが、加熱延伸ゾーンにおいて、機械要素の少なくとも一方は螺旋ピッチが変化している。即ち、螺旋ピッチが変化することにより、クリップの進行速度が変化し、対のクリップの距離が変化し、その変化によって熱可塑性樹脂フィルムが延伸される。
上記機械要素の材質は、射出成形や押出成形等で使用されれているような耐熱性の優れた金属が好ましく、その表面に耐熱処理、耐磨耗処理等の表面処理が施されているのが好ましい。
また、上記機械要素の駆動源は、クリップの移動速度を高精度に制御できるものが好ましく、例えば、サーボモータ、ステッピングモータ、インバータモータ等が挙げられる。
本発明の延伸フィルムの製造装置を図面を参照して説明する。図1は、本発明の延伸フィルムの製造装置の一例を示す模式平面図である。
図中1は熱可塑性樹脂フィルムであり、5は延伸フィルムである。熱可塑性樹脂フィルム1は、クリップ8、81でその両端部を把持され、矢印A方向に搬送され、予熱ゾーン2で予熱され、加熱延伸ゾーン3で延伸され、冷却ゾーン4で配向固定されて延伸フィルム5が得られる。
加熱延伸ゾーン3の温度は、延伸する熱可塑性樹脂フィルムのガラス転移温度と略同一であればよく、製造しようとする光学的フィルムの要求性能に応じて適宜決定すればよい。
加熱延伸ゾーン3の加熱手段は、熱可塑性樹脂フィルムを均一に加熱することができれば特に限定されることはなく、例えば、熱風式、パネルヒーター、ハロゲンヒーターなどの加熱装置等が挙げられ、加熱延伸ゾーン3と冷却ゾーン4の境界の温度制御が精度よく行える熱風式が好ましい。
冷却ゾーン4の温度は、延伸による熱可塑性樹脂フィルムの配向を固定できる温度であればよく、一般には延伸された熱可塑性樹脂フィルムのガラス転移温度以下に設定される。
上記冷却ゾーン4の冷却手段は、熱可塑性樹脂フィルムの配向方向に略平行に冷却を行うことができれば特に限定されることはなく、例えば、熱風式、パネルヒーター、ハロゲンヒーターなどの加熱装置、熱媒や冷媒を通した配管等が挙げられ、加熱延伸ゾーン3と冷却ゾーン4の境界の温度制御が精度よく行える熱風式が好ましい。
また、加熱延伸ゾーン3と冷却ゾーン4は、実質的に熱可塑性樹脂フィルムが延伸されるゾーン及び延伸により生じた配向を冷却固定するゾーンを意味し、機械的、構造的に独立したゾーンを意味するのではなく、熱可塑性樹脂フィルムが延伸可能な温度以上となっているゾーン及び該温度以下となっているゾーンを意味する。
6、7は加熱装置の左右に設置されたスクリューであり、スクリュー6は図2(イ)に示したように、突条のフライト61が同ピッチで設けられている。又、スクリュー7は図2(ロ)に示したように、突条のフライト71がピッチが変化するように設けられている。
即ち、予熱ゾーン2及び冷却ゾーン4では、フライト71のピッチは狭く、スクリュー6のフライト61のピッチと同一であり、加熱延伸ゾーン3ではピッチが次第に広くなり、次いで狭くなって冷却ゾーン4のピッチと同一になっている。
上記スクリュー6,7には複数のクリップ8・・、81・・が駆動可能に、かつ、スクリュー6,7の根元(予熱ゾーン2)側でスクリュー6に設置されたクリップ8とスクリュー7に設置されたクリップ81が対になるように設置されている。
尚、9、91は、スクリュー6、7先端(冷却ゾーン4)側に到達したクリップ8、81をスクリュー6,7の根元(予熱ゾーン2)側まで搬送するためのベルトである。
次に、熱可塑性樹脂フィルムを延伸する方法を説明する。
上記延伸フィルムの製造装置においては、供給された熱可塑性樹脂フィルム1はその端部がクリップ8及び81で把持され、熱可塑性樹脂フィルム1の進行方向(図においてA方向)に搬送されるが、この際、熱可塑性樹脂フィルム1の搬送速度とクリップ81の速度を同一速度にし、熱可塑性樹脂フィルム1が進行方向に延伸されることがないようにする。
供給された熱可塑性樹脂フィルム1はその両端部をクリップ8、81で把持され予熱ゾーン2で予熱されて、加熱延伸ゾーン3に搬送される。予熱ゾーン2では、フライト61及び71のピッチは同一であるから、クリップ8、81の移動速度は同一であり、熱可塑性樹脂フィルム1はいずれの方向にも延伸されることなく加熱延伸ゾーン3に搬送される。
加熱延伸ゾーン3では、クリップ81の移動速度は不変であるが、クリップ8の移動速度は、フライト61のピッチが次第に広くなっているので、クリップ81の移動速度より早くなり、クリップ8とクリップ81の距離が次第に広くなり、熱可塑性樹脂フィルム1は熱可塑性樹脂フィルム1の進行方向とは異なる方向にのみ延伸される。
次いで、延伸された熱可塑性樹脂フィルム1は冷却ゾーン4へ搬送され、配向固定される。冷却ゾーン4におけるフライト71のピッチとフライト61のピッチは同一であるから、延伸された熱可塑性樹脂フィルムはそのままの状態で配向固定される。
延伸され、配向固定された延伸フィルム5は、冷却ゾーン4から排出され、熱可塑性樹脂フィルム1の進行方向とは異なる方向に配向している延伸フィルム5が得られる。
即ち、図3に示したと同様に、得られた延伸フィルム5においては、配向軸(光学軸)が延伸フィルムの長手方向に対して斜め向きとなる。
従って、図4に示したように、得られた延伸フィルム21(例えば、直線偏光フィルム)と縦一軸延伸して得られた延伸フィルム24(例えば、位相差フィルム)をそのまま積層して、進行方向に直交方向に裁断することにより、延伸フィルム21の光学軸23と延伸フィルム24の光学軸25の方向が異なり、光学軸の異なるフィルムの積層体26(例えば、円偏光フィルム)を得ることができる。
クリップ8,81は、冷却ゾーン4を出たところで延伸フィルムを開放し、ベルト9,91により、予熱ゾーン2の入口付近まで搬送され、次の熱可塑性樹脂フィルムを把持する準備がなされる。
次いで、別の延伸フィルムの製造装置を用いて、斜め45°の方向に延伸する方法を説明する。
熱可塑性樹脂フィルムを長手方向に対して実質的に45°の方向に斜め延伸するためには、図5で示されるテンターを用いることが好ましい。図5は、テンターによる斜め延伸を示す模式図である。図5に示すように、熱可塑性樹脂フィルム101を、一定の搬送方向103に搬送しながら、テンター102を用いて斜め(45°)延伸する。図5では、延伸方向におけるフィルムの幅変化を点線で示す。図5のある位置(104Lおよび104R)でチャックされたフィルムは、左側が遅い速度(106L)で近い位置(105L)へ、右側が速い速度(106R)で遠い位置(105R)へ移動することによって、斜め延伸が実施される。延伸倍率は、2〜30倍であることが好ましく、3〜10倍であることが更に好ましい。延伸する際は、熱可塑性樹脂フィルムのガラス転移温度をTgとすると(Tg−30)〜(Tg+100)℃、より好ましくは(Tg−20)〜(Tg+80)℃の範囲内で加熱して延伸することが好ましい。特に(Tg−20)〜(Tg+20)℃の温度範囲内で延伸し次いで熱固定することが好ましい。また延伸工程の後、緩和処理を行うことも好ましい。
斜め延伸は、数回の工程に分けて実施してもよい。特に高倍率延伸の場合は、数回の工程に分けて、均一な延伸結果を得ることが好ましい。また、幅方向の収縮を防止する目的で、斜め延伸前に、横方向または縦方向の若干の延伸処理を行ってもよい。斜め延伸は、通常のフィルム二軸延伸に採用されているテンター延伸を、上記のように左右が異なる工程で行うことにより実施できる。左右が異なる速度で延伸するため、延伸前のフィルムの厚さが左右で異なるように調整しておく。ポリビニルアルコール溶液を流延して製膜する際に、溶液の流量が左右で異なるように調節すればよい。流量の調節は、ダイにテーパーを付けるような方法で容易に実施できる。
更に特開2004−20827号公報図2〜図7や特開2007−94007号公報図1〜図4、または特開2007−203556号公報図1〜図4に記載の斜め延伸装置等も好適に用いることができる。
また、本発明の位相差フィルムを製造する場合、後述する垂直配向液晶層を塗工する前に上記斜め方向への延伸を行うことが好ましい。前記延伸の際、位相差フィルムの面内の遅相軸方向の制御自由度を高める意味で、フィルムの長手方向に延伸してから前記長手方向に対して斜め方向に延伸するか、または、前記長手方向に対して斜め方向に延伸してから前記長手方向に延伸することが好ましい。これを実現させる具体的装置の一例としては、特開2007−30466号公報記載のフィルム伸縮装置などを用いることも好ましい。
図11〜図14により本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図11および図12に、本発明の一実施形態であるフィルム延伸装置(伸縮装置)401の平面および断面を示す。フィルム延伸装置401は、フィルム402を供給する供給装置403と、フィルムを加熱する縦延伸炉404と、フィルム402を下流に搬送する中間搬送装置405とからなる縦延伸部(縦伸縮部)406と、フィルム402を搬送しながら搬送方向に対して傾斜し方向に延伸する斜方延伸機407と、斜方延伸機407の中央部を覆うように設けられ、フィルム402を加熱する斜方延伸炉408とからなる斜方延伸部(斜方伸縮部)409と、フィルム402を巻き取る巻取装置410とからなっている。
供給装置403は、フィルム402を巻き付けた原反リール411が装着され、フィルム402を基準ロール412とニップロール413で挟み込んで所定の搬送速度で送り出す。縦延伸炉404は、フィルム402に上下から互い違いに熱風を吹きかける熱風ダクト(加熱手段)414を有する断熱材で構成した箱体である。中間搬送装置405は、フィルム402を比率ロール415とニップロール416で挟み込んで搬送し、搬送方向と平行なE1方向に延伸する。斜方延伸機407は、フィルム402の両側に配した延伸チェイン417でフィルム402を搬送しながら、搬送方向に対して角度αだけ傾斜したE2方向に延伸するものであるが詳細は後述する。斜方延伸炉408は、フィルム402に上下から熱風を吹きかける熱風ダクト418を有する断熱材で構成した箱体である。巻取装置410は、テンションロール419で張力を調整しながら、フィルム402を製品リール420に巻き取る。
図13に、斜方延伸機407の構成を示す。斜方延伸機407は、平行する2本の延伸チェイン417と、延伸チェイン417にそれぞれ一定間隔で設けた多数のベース421と、それぞれのベース421に一定方向に摺動可能に取り付けたアーム422と、それぞれのアーム422の先端に設けたクリップ423とからなっている。クリップ423は、フィルム402の両側縁部を把持できるようになっており、延伸チェイン417はフィルム402の面に垂直なスプロケット424に架け渡されて周回するようになっている。
図14は、斜方延伸機407のさらに詳細な構造を示す。延伸チェイン417には1コマおきにベース421が固定されている。ベース421にはそれぞれ延伸チェイン417に対して45°(図1の角度α)傾斜した2つの摺動軸425が設けられ、それぞれの摺動軸425に沿って摺動可能にアーム422が取り付けられている。アーム422の上部には、ベアリングからなる位置決め部材426が設けられており、ガイド427で位置決め部材426を案内することでアーム422を突出および後退させるようになっている。アーム422の先端に設けたクリップ423は、公知のフィルム把持機構であり、ガイド428で開閉(フィルム402の把持又は解放)される。
斜方延伸機407は、延伸チェイン417のベース421からアーム422を突出させてクリップ423によりフィルム402の両側縁部を把持し、延伸チェイン417が進行することでフィルム402を搬送する。この間に、クリップ423でフィルム402を把持したままアーム422を後退させることでフィルム402をアーム422の摺動する方向(図11のE2方向)に延伸して拡幅する。拡幅の際、アーム422の摺動方向に対向するアーム422どうしの後退量は等しくなっている。フィルム402が拡幅された後、クリップ423は、フィルム402を開放する。そして、アーム422は、さらに後退し、延伸チェイン417がスプロケット424に沿って折り返されるときにクリップ423がフィルム402に接触しないようにする。
続いて、以上の構成からなるフィルム延伸装置401におけるフィルム402の延伸について説明する。
縦延伸部406において、フィルム402は、基準ロール412で所定の速度で送り出され、比率ロール415によって基準ロール412よりも速い速度で搬送されると、縦延伸炉404内で加熱された部分が搬送方向(E1方向)に、比率ロール415の基準ロール412に対する搬送速度の比と同じ比率で延伸される。この縦方向の延伸によって、フィルム402は、分子が搬送方向に並び、縦方向の配向角が付与される。
さらに、斜方延伸部409において、フィルム402は、搬送方向に対して角度αだけ傾斜下方向にE2方向に延伸される。この傾斜方向の延伸によって、フィルム402には、E2方向の引っ張りと、フィルム402の変形に対する応力とが作用し、E2方向よりも搬送方向に対して大きな角度に分子を配列させようとする延伸力が働き、傾斜方向の配向角が付与される。
この結果、フィルム402は、縦延伸部406において付与された配向角と、斜方延伸部409において付与された配向角とを足し合わせた方向の配向角を得、縦延伸部406および斜方延伸部409における延伸の強さ(延伸比率)に応じて位相差値が与えられる。
フィルム402をフィルム延伸装置1で斜方延伸して配向フィルムを製造する場合、実際にフィルム402を縦延伸部406および斜方延伸部409で延伸し、得られたフィルム402の配向角を測定し、所望の配向角が得られるように、比率ロール415の速度を増減することで、縦延伸部406における延伸比率を調整する。また、斜方延伸部409における延伸比率を調整することで所望の位相差値を得る。
例として、ポリカーボネイトフィルムを延伸して位相差フィルム(配向フィルム)を製造する場合、基準ロール412と比率ロール415の速度を同じ(縦延伸部406における延伸率が0%)に設定し、斜方延伸部409においてα=45°で18%の斜方延伸をしたとき、フィルム402の配向角が搬送方向に対しておよそ60°となる条件で、斜方延伸部409の延伸条件を変えないで、縦延伸部406において約10%の延伸をする(比率ロール415の速度を基準ロール412より約10%速くする)ことで、フィルム402の配向角を45°にすることができた。
つまり、フィルム延伸装置401では、傾斜延伸機407の延伸方向E2の搬送方向に対する角度αを、経験的に所望の配向角が得られると思われるおおよその値に定め、実際にフィルム402を延伸しながら、比率ロール415の速度を調整することで、配向角を調整する。比率ロール415は、インバータや、無段変速器によって運転しながら変更可能であり、容易に所望の配向角が得られる。
以上の実施形態は、フィルム402を傾斜方向に延伸するものであるが、斜方延伸機407を逆向きに設置して逆回転させれば。熱収縮性のフィルムの斜方延伸炉408内部でのE2方向の収縮を規制して傾斜方向に分子が配列するように熱収縮させる装置として使用することができる。
また、本発明の場合、フィルムを傾斜方向に延伸し又は収縮を規制してから、縦方向にフィルムを延伸し又は収縮を規制してもよい。
〈セルロースエステル〉
本発明の位相差フィルムを構成する基材フィルムに用いられる透明樹脂は、好ましくはセルロースエステルである。より詳細には、セルロールエステルを主成分とし、可塑剤、紫外線吸収剤等の添加剤を混合したものが好ましい。
本発明の基材フィルムは、セルロースエステルが60〜100質量%含まれている。該セルロースエステルの総アシル基置換度は2.1〜2.9であることが好ましい。
本発明に用いられるセルロースエステルとしては、炭素数2〜22程度のカルボン酸エステル、芳香族カルボン酸のエステルであり、特に炭素数が6以下の低級脂肪酸エステルであることが好ましい。
水酸基に結合するアシル基は、直鎖であっても分岐してもよく、また環を形成してもよい。更に別の置換基が置換してもよい。同じ置換度である場合、前記炭素数が多いと複屈折性が低下するため、炭素数としては炭素数2〜6のアシル基の中で選択することが好ましい。前記セルロースエステルとしての炭素数が2〜4であることが好ましく、炭素数が2〜3であることがより好ましい。
具体的なセルロースエステルとしては、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートまたはセルロースアセテートフタレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基、ブチレート基またはフタリル基が結合したセルロースの混合脂肪酸エステルを用いることができる。尚、ブチレートを形成するブチリル基としては、直鎖状でも分岐していてもよい。
本発明において好ましく用いられるセルロースエステルとしては、特にセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。中でもセルロースアセテートプロピオネートが最も好ましい。平均酢化度(アセチル化度)が45.0〜62.5%のセルロースアセテートに、例えば特開2002−22944号公報に記載されているようなレターデーション上昇剤を添加してつくるフィルムも本発明として有効に用いられるが、高温高湿保存下でのフィルム表面へのブリードアウトによる品質低下が殆ど生じないという点において、セルロースアセテートプロピオネートの方がより好ましい。
本発明のセルロースエステルとしては、下記式(1)及び式(2)を同時に満足するものが好ましい。
式(1) 2.1≦X+Y≦2.9
式(2) 0≦Y≦1.5
式中、Xはアセチル基の置換度、Yはプロピオニル基またはブチリル基、もしくはその混合物の置換度である。なお、アセチル基の置換度と他のアシル基の置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法により求めることができる。
また、目的に叶う光学特性を得るために置換度の異なる樹脂を混合して用いても良い。混合比としては10:90〜90:10(質量比)が好ましい。
この中で特にセルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。セルロースアセテートプロピオネートでは、1.0≦X≦2.5であり、0.1≦Y≦1.5、2.1≦X+Y≦2.9であることが好ましい。
本発明に用いられるセルロースエステルの数平均分子量は、60000〜300000の範囲が、得られるフィルムの機械的強度が強く好ましい。更に70000〜200000のものが好ましく用いられる。
セルロースエステルの重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。
測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
なお、本測定方法は、本発明における他の重合体の測定方法としても使用することができる。
本発明のセルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることができる。またそれらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することができる。
本発明のセルロースエステルは、公知の方法により製造することができる。具体的には特開平10−45804号に記載の方法を参考にして合成することができる。
また、セルロースエステルは、セルロースエステル中の微量金属成分によっても影響を受ける。
これらは製造工程で使われる水に関係していると考えられるが、不溶性の核となり得るような成分は少ない方が好ましく、鉄、カルシウム、マグネシウム等の金属イオンは、有機の酸性基を含んでいる可能性のあるポリマー分解物等と塩形成することにより不溶物を形成する場合があり、少ないことが好ましい。
鉄(Fe)成分については、1ppm以下であることが好ましい。カルシウム(Ca)成分については、カルボン酸や、スルホン酸等の酸性成分と、また多くの配位子と配位化合物即ち、錯体を形成しやすく、多くの不溶なカルシウムに由来するスカム(不溶性の澱、濁り)を形成する。
カルシウム(Ca)成分は60ppm以下、好ましくは0〜30ppmである。マグネシウム(Mg)成分については、やはり多過ぎると不溶分を生ずるため、0〜70ppmであることが好ましく、特に0〜20ppmであることが好ましい。
鉄(Fe)分の含量、カルシウム(Ca)分含量、マグネシウム(Mg)分含量等の金属成分は、絶乾したセルロースエステルをマイクロダイジェスト湿式分解装置(硫硝酸分解)、アルカリ溶融で前処理を行った後、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を用いて分析することができる。
〈その他の添加剤〉
本発明の位相差フィルムを構成する基材フィルムは、必要に応じて適宜添加剤を含有させることができる。
(ピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下有しその構造のOH基のすべてもしくは一部をエステル化したエステル化合物)
本発明の位相差フィルムを構成する基材フィルムは、ピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下有しその構造のOH基のすべてもしくは一部をエステル化したエステル化合物を含むことが好ましい。本発明においては、上記エステル化合物を総称して、糖エステル化合物とも称す。
本発明に用いられるエステル化合物の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、或いはアラビノース、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノース或いはケストース挙げられる。
このほか、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられる。
これらの化合物の中で、特にピラノース構造とフラノース構造を両方有する化合物が好ましい。
例としてはスクロース、ケストース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオースなどが好ましく、更に好ましくは、スクロースである。
本発明ピラノース構造またはフラノース構造中のOH基のすべてもしくは一部をエステル化するのに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、酢酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、アルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができ、より、具体的には、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、γ−イソジュリル酸、ジュリル酸、メシト酸、α−イソジュリル酸、クミン酸、α−トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、サリチル酸、o−アニス酸、m−アニス酸、p−アニス酸、クレオソート酸、o−ホモサリチル酸、m−ホモサリチル酸、p−ホモサリチル酸、o−ピロカテク酸、β−レソルシル酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ベラトルム酸、o−ベラトルム酸、没食子酸、アサロン酸、マンデル酸、ホモアニス酸、ホモバニリン酸、ホモベラトルム酸、o−ホモベラトルム酸、フタロン酸、p−クマル酸を挙げることができるが、特に安息香酸が好ましい。
オリゴ糖のエステル化合物を、本発明に係るピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1〜12個を有する化合物として適用できる。
オリゴ糖は、澱粉、ショ糖等にアミラーゼ等の酵素を作用させて製造されるもので、本発明に適用できるオリゴ糖としては、例えば、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖が挙げられる。
また、前記エステル化合物は、下記一般式(A)で表されるピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下縮合した化合物である。ただし、R11〜R15、R21〜R25は、炭素数2〜22のアシル基または水素原子を、m、nはそれぞれ0〜12の整数、m+nは1〜12の整数を表す。
Figure 2013156661
11〜R15、R21〜R25は、特にベンゾイル基または水素原子であることが好ましい。ベンゾイル基は更に置換基R26(pは0〜5)を有していてもよく、例えばアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、フェニル基が挙げられ、更にこれらのアルキル基、アルケニル基、フェニル基は置換基を有していてもよい。オリゴ糖も本発明のエステル化合物と同様な方法で製造することができる。
以下に、本発明に用いられるエステル化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2013156661
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本発明の位相差フィルムを構成する基材フィルムは、位相差値の変動を抑制して、表示品位を安定化する為に、上記エステル化合物を、位相差フィルムの1〜30質量%含むことが好ましく、特には、5〜30質量%含むことが好ましい。この範囲内であれば、本発明の優れた効果を呈すると共に、ブリードアウトなどもなく好ましい。
(可塑剤)
本発明の位相差フィルムを構成する基材フィルムは、本発明の効果を得る上で必要に応じて可塑剤を含有することができる。
可塑剤は特に限定されないが、好ましくは、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤及び多価アルコールエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、アクリル系可塑剤等から選択される。
そのうち、可塑剤を2種以上用いる場合は、少なくとも1種は多価アルコールエステル系可塑剤であることが好ましい。
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
本発明に好ましく用いられる多価アルコールは次の一般式(a)で表される。
一般式(a) R1−(OH)n
但し、R1はn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/またはフェノール性水酸基を表す。
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。
特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、メトキシ基或いはエトキシ基などのアルコキシ基を1〜3個を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
以下に、多価アルコールエステル系可塑剤の具体的化合物を例示する。
Figure 2013156661
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Figure 2013156661
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グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることができる。
アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
フタル酸エステル系可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
クエン酸エステル系可塑剤としては、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
脂肪酸エステル系可塑剤として、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
多価カルボン酸エステル化合物としては、2価以上、好ましくは2価〜20価の多価カルボン酸とアルコールのエステルよりなる。また、脂肪族多価カルボン酸は2〜20価であることが好ましく、芳香族多価カルボン酸、脂環式多価カルボン酸の場合は3価〜20価であることが好ましい。
多価カルボン酸は次の一般式(b)で表される。
一般式(b) R2(COOH)m(OH)n
(但し、R2は(m+n)価の有機基、mは2以上の正の整数、nは0以上の整数、COOH基はカルボキシル基、OH基はアルコール性またはフェノール性水酸基を表す)
好ましい多価カルボン酸の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸のような3価以上の芳香族多価カルボン酸またはその誘導体、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸のような脂肪族多価カルボン酸、酒石酸、タルトロン酸、リンゴ酸、クエン酸のようなオキシ多価カルボン酸などを好ましく用いることができる。特にオキシ多価カルボン酸を用いることが、保留性向上などの点で好ましい。
本発明に用いることのできる多価カルボン酸エステル化合物に用いられるアルコールとしては特に制限はなく公知のアルコール、フェノール類を用いることができる。
例えば炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪族飽和アルコールまたは脂肪族不飽和アルコールを好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
また、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコールまたはその誘導体、ベンジルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコールまたはその誘導体なども好ましく用いることができる。
多価カルボン酸としてオキシ多価カルボン酸を用いる場合は、オキシ多価カルボン酸のアルコール性またはフェノール性の水酸基をモノカルボン酸を用いてエステル化しても良い。好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸などを挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸などの安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸などのベンゼン環を2個以上もつ芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に酢酸、プロピオン酸、安息香酸であることが好ましい。
多価カルボン酸エステル化合物の分子量は特に制限はないが、分子量300〜1000の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることが更に好ましい。保留性向上の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
本発明に用いることのできる多価カルボン酸エステルに用いられるアルコール類は一種類でも良いし、二種以上の混合であっても良い。
本発明に用いることのできる多価カルボン酸エステル化合物の酸価は1mgKOH/g以下であることが好ましく、0.2mgKOH/g以下であることが更に好ましい。酸価を上記範囲にすることによって、リターデーションの環境変動も抑制されるため好ましい。
なお、酸価とは、試料1g中に含まれる酸(試料中に存在するカルボキシル基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。酸価はJIS K0070に準拠して測定したものである。
特に好ましい多価カルボン酸エステル化合物の例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ベンゾイルトリブチルシトレート、アセチルトリフェニルシトレート、アセチルトリベンジルシトレート、酒石酸ジブチル、酒石酸ジアセチルジブチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラブチル等が挙げられる。
ポリエステル系可塑剤は特に限定されないが、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するポリエステル系可塑剤を用いることができる。ポリエステル系可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(c)で表せる芳香族末端エステル系可塑剤を用いることができる。
一般式(c) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはベンゼンモノカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表す。)
一般式(c)中、Bで示されるベンゼンモノカルボン酸残基とGで示されるアルキレングリコール残基またはオキシアルキレングリコール残基またはアリールグリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基またはアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のポリエステル系可塑剤と同様の反応により得られる。
本発明で使用されるポリエステル系可塑剤のベンゼンモノカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ1種または2種以上の混合物として使用することができる。
本発明に用いることのできるポリエステル系可塑剤の炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。
特に炭素数2〜12のアルキレングリコールがセルロースエステルとの相溶性に優れているため、特に好ましい。
また、上記芳香族末端エステルの炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用できる。
芳香族末端エステルの炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ1種または2種以上の混合物として使用される。炭素数6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5ナフタレンジカルボン酸、1,4ナフタレンジカルボン酸等がある。
本発明で使用されるポリエステル系可塑剤は、数平均分子量が、好ましくは300〜1500、より好ましくは400〜1000の範囲が好適である。また、その酸価は、0.5mgKOH/g以下、水酸基価は25mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.3mgKOH/g以下、水酸基価は15mgKOH/g以下のものである。
以下に、本発明に用いることのできる芳香族末端エステル系可塑剤の具体的化合物を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2013156661
Figure 2013156661
(紫外線吸収剤)
本発明に係る基材フィルムは、紫外線吸収剤を含有することもできる。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
(微粒子)
本発明に係る基材フィルムは、微粒子を含有することが好ましい。
本発明に使用される微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。
微粒子は珪素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜400nmが好ましく、更に好ましいのは10〜300nmである。これらは主に粒径0.05〜0.3μmの2次凝集体として含有されていてもよく、平均粒径100〜400nmの粒子であれば凝集せずに一次粒子として含まれていることも好ましい。
偏光板保護フィルム中のこれらの微粒子の含有量は0.01〜1質量%であることが好ましく、特に0.05〜0.5質量%が好ましい。共流延法による多層構成の偏光板保護フィルムの場合は、表面にこの添加量の微粒子を含有することが好ましい。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもでアエロジル200V、アエロジルR972Vが偏光板保護フィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明で用いられる偏光板保護フィルムにおいては、少なくとも一方の面の動摩擦係数が0.2〜1.0であることが好ましい。
各種添加剤は製膜前のセルロースエステル含有溶液であるドープにバッチ添加してもよいし、添加剤溶解液を別途用意してインライン添加してもよい。特に微粒子は濾過材への負荷を減らすために、一部または全量をインライン添加することが好ましい。
添加剤溶解液をインライン添加する場合は、ドープとの混合性をよくするため、少量のセルロースエステルを溶解するのが好ましい。好ましいセルロースエステルの量は、溶剤100質量部に対して1〜10質量部で、より好ましくは、3〜5質量部である。
本発明においてインライン添加、混合を行うためには、例えば、スタチックミキサー(東レエンジニアリング製)、SWJ(東レ静止型管内混合器 Hi−Mixer)等のインラインミキサー等が好ましく用いられる。
〈位相差フィルム製造方法〉
次に、本発明の位相差フィルムの製造方法について説明する。
本発明の位相差フィルムを構成する基材フィルムは、溶液流延法もしくは溶融流延で製造されたセルロースエステルフィルムであることが好ましい。
本発明の位相差フィルムを構成する基材フィルムの製造は、セルロースエステル及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープを無限に移行する無端の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸または幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻取る工程により行われる。
ドープを調製する工程について述べる。ドープ中のセルロースエステルの濃度は、濃い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減出来て好ましいが、セルロースエステルの濃度が濃過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。
これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
ドープで用いられる溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよいが、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方がセルロースエステルの溶解性の点で好ましい。
良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。
そのため、セルロースエステルの平均酢化度(アセチル基置換度)によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いる時には、セルロースエステルの酢酸エステル(アセチル基置換度2.4)、セルロースアセテートプロピオネートでは良溶剤になり、セルロースの酢酸エステル(アセチル基置換度2.8)では貧溶剤となる。
本発明に用いられる良溶剤は特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくはメチレンクロライドまたは酢酸メチルが挙げられる。
また、本発明に用いられる貧溶剤は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。また、ドープ中には水が0.01〜2質量%含有していることが好ましい。また、セルロースエステルの溶解に用いられる溶媒は、フィルム製膜工程で乾燥によりフィルムから除去された溶媒を回収し、これを再利用して用いられる。
上記記載のドープを調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができる。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱出来る。
溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。また、セルロースエステルを貧溶剤と混合して湿潤或いは膨潤させた後、更に良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃が更に好ましい。また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。
若しくは冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチルなどの溶媒にセルロースエステルを溶解させることができる。
次に、このセルロースエステル溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生し易いという問題がある。
このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
濾過により、原料のセルロースエステルに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間にロール状セルロースエステルを置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm2以下であることが好ましい。
より好ましくは100個/cm2以下であり、更に好ましくは50個/cm2以下であり、更に好ましくは0〜10個/cm2以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は通常の方法で行うことができるが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。
好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
ここで、ドープの流延について説明する。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルト若しくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤の沸点未満の温度で、温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度は0〜40℃であり、5〜30℃が更に好ましい。
或いは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。
金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。
温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
ロール状セルロースエステルが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%または60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%または70〜120質量%である。
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
尚、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、ロール状セルロースエステルの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールをウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
本発明の位相差フィルムを構成する基材フィルムを作製するためには、金属支持体より剥離した直後のウェブの残留溶剤量の多いところで搬送方向(=長尺方向)に延伸し、更にウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式で幅方向に延伸を行うことが好ましい。
更に、基材フィルムの面内の遅相軸と液晶分子からなる層を形成する際の塗工方向とのなす角度を10°〜80°に調整するために、前述の斜め延伸装置を用いて延伸することが好ましい。
〈垂直配向液晶層〉
本発明の位相差フィルムは、前記基材フィルム上に、垂直配向液晶層(フィルムの厚み方向に配向する液晶分子を塗工し固定化した層)を有していることが特徴である。
本発明の垂直配向液晶層は、液晶材料もしくは液晶の溶液を、本発明の基材フィルム上に塗布し、乾燥と熱処理(配向処理ともいう)を行い紫外線硬化もしくは熱重合などで液晶配向の固定化を行い、垂直方向に配向した棒状液晶による位相差板とすることが好ましい。
ここで垂直方向に配向するとは、棒状液晶分子がフィルム面に対して70〜90°(垂直方向を90°とする)の範囲内に配向していることをいう。棒状液晶は、斜め配向しても、配向角を徐々に変化していてもよい。好ましくは80〜90°の範囲である。
本発明の垂直配向液晶層は面内方向の位相差値Roが0〜10nm、厚み方向の位相差値Rthが−50〜−400nmの範囲にある垂直方向に配向した棒状液晶による位相差板であることが好ましい。更にRoは0〜5nmの範囲がより好ましい。
ここでRthは下記式で定義される。
Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、nxは、位相差フィルム面内の遅相軸方向の屈折率(面内の最大屈折率)であり、nyは、位相差フィルム面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dは位相差フィルムの厚み(nm)である。)
位相差値の測定には自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)等を用いることができる。
垂直配向液晶層のRthは、基材フィルムのRthを相殺するような設定にして、円偏光フィルムの視角特性をよくする意図があり、従って、基材フィルムのRthに応じて垂直配向液晶層の塗工条件(液晶分子の種類、塗工液中の液晶分子濃度、乾燥後の膜厚など)を適切に選択することが重要である。例えば、基材フィルムのRthが互いに異なるものを用いて、同一液晶分子、同一塗布液条件で垂直配向液晶層を形成する場合は、円偏光フィルムとしていずれも優れた視角特性を与えるには、基材フィルムのRthの値に応じて、垂直配向液晶層の厚みを変えることで目的は達成できる。
棒状液晶を配向させて棒状液晶層を形成する際には、いわゆる液晶材料が垂直方向に配列するような垂直配向剤を塗布した配向膜を用い、液晶材料を垂直配向したのち固定する方法をとることができる。
液晶材料自身が空気界面で垂直方向に配向する場合には、その配向規制力が空気界面と反対の界面まで及び、該配向膜は特に必要ではなく、構成が簡素化できる観点からもその方が好ましい。
液晶材料を垂直に配向する具体的な方法としては、特開2005−148473号公報などに記載されている(メタ)アクリル系ブロックポリマーを含有するブロックポリマー組成物の架橋体からなる配向膜等を用いる方法、同2005−265889号公報に記載されている垂直配向膜を使用する方法、空気界面垂直配向剤を使用する方法等公知の方法を使用することができる。
棒状液晶層を上記範囲とするためには、棒状液晶層の配向、膜厚制御、紫外線硬化時の温度、チルト角制御、および支持体と空気界面でのプレチルト角の制御を行うことが好ましい。
前記液晶層は、所定の温度で液晶相となり得る液晶材料が、所定の液晶規則性を有して硬化することにより形成されたものである。液晶相を示す温度の上限は、例えば基材のセルロースエステルフィルムがダメージを受けない温度であれば特に限定されるものはない。
具体的には、プロセス温度のコントロールの容易性と寸法精度維持の観点から120℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以下の温度で液晶相となる液晶材料が好適に用いられる。一方、液晶相を示す温度の下限は、偏光板として用いる際に、液晶材料が配向状態を保持し得る温度であるといえる。
本発明の棒状液晶層に用いられる液晶材料としては、重合性液晶材料を用いることが好ましい。重合性液晶材料は、所定の活性放射線を照射することにより重合させて用いることができ、重合させた状態では垂直の配向状態は固定化される。
重合性液晶材料としては、重合性液晶モノマー、重合性液晶オリゴマー、もしくは重合性液晶ポリマーのいずれかを用いることができ、相互に混合して用いることもできる。
重合性液晶材料としては、上記のうちでも、配向に際しての感度が高く垂直に配向させることが容易であることから重合性液晶モノマーが好適に用いられる。
具体的な重合性液晶モノマーとしては、下記の一般式(MV1)で表される棒状液晶性化合物(I)、および下記の一般式(MV2)で表される棒状液晶性化合物(II)を挙げることができる。化合物(I)としては、一般式(MV1)に包含される化合物の2種以上を混合して使用することもでき、同様に、化合物(II)としては、一般式(MV2)に包含される化合物の2種以上を混合して使用することもできる。また、化合物(I)を1種以上と化合物(II)を1種以上を混合して使用することもできる。
Figure 2013156661
Figure 2013156661
化合物(I)を表す一般式(MV1)において、R1およびR2はそれぞれ水素またはメチル基を示すが、液晶相を示す温度範囲の広さからR1およびR2は共に水素であることが好ましい。Xは水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基、もしくはニトロ基のいずれであっても差し支えないが、塩素またはメチル基であることが好ましい。また、化合物(I)の分子鎖両端の(メタ)アクリロイロキシ基と、芳香環とのスペーサーであるアルキレン基の鎖長を示すaおよびbは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数を取り得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。
化合物(I)は任意の方法で合成することができる。例えば、Xがメチル基である化合物(I)は、1当量のメチルヒドロキノンと2当量の4−(m−(メタ)アクリロイロキシアルコキシ)安息香酸とのエステル化反応により得ることができる。エステル化反応は、上記安息香酸を酸クロリドやスルホン酸無水物などで活性化し、これとメチルヒドロキノンとを反応させるのが通例である。また、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)等の縮合剤を用いて、カルボン酸単位とメチルヒドロキノンを直接反応させることもできる。これ以外の方法としては、1当量のメチルヒドロキノンと、2当量の4−(m−ベンジルオキシアルコキシ)安息香酸とのエステル化反応をまず行い、次いで得られたエステルを水素添加反応等により脱ベンジル化した後、分子末端をアクリロイル化する方法によっても、化合物(I)を合成することができる。メチルヒドロキノンと4−(m−ベンジルオキシアルコキシ)安息香酸とのエステル化反応を行うに際しては、メチルヒドロキノンをジアセテートに導入した後、上記の安息香酸と溶融状態で反応させ、直接エステル体を得ることも可能である。一般式(MV1)のXがメチル基でない場合の化合物(I)も、対応する置換基を有するヒドロキノンを、メチルヒドロキノンの代わりに用いて上と同様の反応を行うことにより得ることができる。
化合物(II)を表す一般式(MV2)において、R3は水素またはメチル基を示すが、液晶相を示す温度範囲の広さからR3は水素であることが好ましい。アルキレン基の鎖長を示すcに関して言えば、この値が2〜12である化合物(II)は液晶性を示さない。しかしながら、液晶性を持つ化合物(I)との相溶性を考慮すると、cは4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがより好ましい。化合物(II)も任意の方法で合成可能であり、例えば、1当量の4−シアノフェノールと1当量の4−(n−(メタ)アクリロイロキシアルコキシ)安息香酸とのエステル化反応により化合物(II)を合成することができる。このエステル化反応は化合物(I)を合成する場合と同様に、上記安息香酸を酸クロリドやスルホン酸無水物などで活性化し、これと4−シアノフェノールとを反応させるのが一般的である。また、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)等の縮合剤を用いて上記安息香酸と4−シアノフェノールを反応させてもよい。
以上の他、本発明においては、重合性液晶オリゴマーや重合性液晶ポリマー等を用いることが可能である。このような重合性液晶オリゴマーや重合性液晶ポリマーとしては、従来提案されているものを適宜選択して用いることが可能である。
本発明における液晶層の膜厚は0.1μm〜20μmの範囲内であることが好ましく、0.2〜10μmの範囲内であることがより好ましい。
面内の位相差値を有する基材フィルム上に設けられた垂直配向液晶層中の液晶の配向レベルを直接検証することは非常に困難だが、一つの目安として、アゾベンゼン系液晶を上記垂直配向液晶に対し1質量%〜2質量%程度混ぜて塗工し固定化した試料を作製し、この試料が実際のアゾベンゼン系液晶を含まない試料と同じ液晶分子の配向を示しているものとして、分光光度計で550nm〜650nm付近の吸光度を測定することで大まかな配向程度を伺い知ることはできる。即ち、吸光度がかなり低い値であれば、ほぼ完全に液晶分子は垂直に配向して固定化されていると判断できる。逆に、吸光度が比較的高い場合は、本来垂直に配向すべき液晶分子が必ずしも垂直に配向しておらず、隙間を埋めるアゾベンゼン系液晶の光吸収面積が広くなっていると解釈できる。
〈液晶層の製造方法〉
重合性液晶材料は、必要に応じて光重合開始剤、増感剤等を配合して液晶層形成用組成物を調製して用い、基材上に塗工し、液晶層形成用層を形成する。
本発明においては、光配向層を設け、液晶組成物としては溶媒を加えて、その他の成分を溶解した塗工用組成物を用いて基材上に塗工し、溶媒を除去することにより液晶の配向を固定した層を形成することが好ましい。これは、他の方法と比較して工程上簡便である。
溶媒としては、上述した重合性液晶材料等を溶解することが可能な溶媒であり、かつ透明樹脂フィルムの性状を低下させない溶媒であれば特に限定されるものではなく、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素類;メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、もしくは2,4−ペンタンジオン等のケトン類;酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、もしくはγ−ブチロラクトン等のエステル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、もしくはジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、もしくはオルソジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、もしくはブチルセルソルブ等のアルコール類;フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類等の1種または2種以上が使用可能である。
単一種の溶媒を使用しただけでは、重合性液晶材料等の溶解性が不充分であったり、上述したように基材が侵食される場合がある。しかし2種以上の溶媒を混合使用することにより、この不都合を回避することができる。
上記した溶媒のなかにあって、単独溶媒として好ましいものは、炭化水素系溶媒とグリコールモノエーテルアセテート系溶媒であり、混合溶媒として好ましいのは、エーテル類またはケトン類と、グリコール類との混合系である。
溶液の濃度は、重合性液晶材料等の溶解性や製造しようとする液晶層の膜厚に依存するため一概には規定できないが、通常は1質量%〜60質量%が好ましく、より好ましくは3質量%〜40質量%の範囲で調整される。
本発明に用いられる液晶層形成用組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内で、上記以外の化合物を添加することができる。
添加できる化合物としては、例えば、多価アルコールと1塩基酸または多塩基酸を縮合して得られるポリエステルプレポリマーに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオール基と2個のイソシアネート基を持つ化合物を互いに反応させた後、その反応生成物に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエーテル、脂肪族もしくは脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等の光重合性化合物、またはアクリル基もしくはメタクリル基を有する光重合性の液晶性化合物等が挙げられる。
本発明の液晶層形成用組成物に対するこれら化合物の添加量は、本発明の目的が損なわれない範囲で選択され、一般的には、本発明の液晶層形成用組成物の40質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下である。
本発明においては、重合性液晶材料に加え、必要に応じて光重合開始剤を使用する。電子線照射により重合性液晶材料を重合させる際には、光重合開始剤が不要な場合があるが、一般的に用いられている例えば紫外線(UV)照射による硬化の場合においては、通常光重合開始剤が重合促進のために用いられる。
光重合開始剤としては、ベンジル(ビベンゾイルとも言う)、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、もしくは1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等を挙げることができる。
光重合開始剤の添加量としては、一般的には0.01質量%〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1質量%〜10質量%であり、もっと好ましくは0.5質量%〜5質量%の範囲で、本発明の重合性液晶材料に添加することができる。
これらの化合物の添加により、本発明における液晶材料の硬化性が向上し、得られる液晶層の機械強度が増大し、またその安定性が改善される。
また、溶剤を配合した液晶層形成用組成物には、塗工を容易にするために界面活性剤等を加えることができる。
添加可能な界面活性剤を例示すると、イミダゾリン、第四級アンモニウム塩、アルキルアミンオキサイド、ポリアミン誘導体等の陽イオン系界面活性剤;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物、第一級あるいは第二級アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、ポリエチレングリコールおよびそのエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸アミン類、アルキル置換芳香族スルホン酸塩、アルキルリン酸塩、脂肪族あるいは芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物等の陰イオン系界面活性剤;ラウリルアミドプロピルベタイン、ラウリルアミノ酢酸ベタイン等の両性系界面活性剤;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の非イオン系界面活性剤;パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基・親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル・親油基含有オリゴマーパーフルオロアルキル基含有ウレタン等のフッ素系界面活性剤などが挙げられる。
界面活性剤の添加量は、界面活性剤の種類、液晶材料の種類、溶媒の種類、さらには溶液を塗工する配向膜の種類にもよるが、通常は溶液に含まれる重合性液晶材料の10ppm〜10質量%が好ましく、より好ましくは100ppm〜5質量%であり、もっと好ましくは0.1〜1質量%の範囲である。
液晶層形成用組成物を塗工する方法としては、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、ブレードコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、リバースコート法、もしくは押し出しコート法等が挙げられる。
液晶層形成用組成物を塗工した後、溶媒を除去する方法としては、例えば、風乾、加熱除去、もしくは減圧除去、さらにはこれらを組み合わせる方法等により行われる。溶媒が除去されることにより、液晶の配向を固定した層が形成される。
重合性液晶材料を硬化させる工程では、重合性液晶材料を硬化させるためのエネルギーが与えられ、熱エネルギーでもよいが、通常は、重合を起こさせる能力がある電離放射線の照射によって行う。
必要であれば重合性液晶材料内に重合開始剤が含まれていてもよい。電離放射線としては、重合性液晶材料を重合させることが可能な放射線であれば特に限定されるものではないが、通常は装置の容易性等の観点から紫外光または可視光線が使用され、波長が150〜500nmの光が好ましく、より好ましくは250〜450nmであり、より好ましくは300〜400nmの波長の紫外線である。
本発明においては、紫外線(UV)を活性放射線として照射し、紫外線で重合開始剤からラジカルを発生させ、ラジカル重合を行わせる方法が好ましい。活性放射線としてUVを用いる方法は、既に確立された技術であることから、用いる重合開始剤を含めて、本発明への応用が容易である。
この紫外線を照射するための光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、もしくはショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)等を挙げることができる。
なかでもメタルハライドランプ、キセノンランプ、高圧水銀ランプ灯等の使用が推奨される。照射強度は、液晶の配向を固定した層の形成に用いられる重合性液晶材料の組成や光重合開始剤の多寡によって適宜に調整すればよい。
活性放射線の照射による配向固定化工程は、上述した液晶層形成用層を形成する工程における処理温度、すなわち重合性液晶材料が液晶相となる温度条件で行ってもよく、また液晶相となる温度より低い温度で行ってもよい。
〈直線偏光フィルム〉
直線偏光フィルムとしては、吸収型の直線偏光フィルムである限りにおいて限定されるものではなく、公知の種々の形態のものを適用可能である。一般的には、ポリビニルアルコールのような親水性高分子からなるフィルムを、ヨウ素のような二色性染料で処理して延伸したものや、ポリ塩化ビニルのようなプラスチックフィルムを処理してポリエンを配向させたもの等からなる偏光フィルムの他、当該偏光フィルムを封止フィルムでカバーして保護したもの等が用いられる。
〈楕円偏光フィルムの構成〉
本発明の楕円偏光フィルムの断面構成を図で示す。図6〜図8は、本発明の実施態様の概略図であるが、本発明はこれに限定されるものではない。ここで、楕円偏光フィルムと呼ぶものは、直線偏光フィルムの吸収軸と、本発明の位相差フィルムの面内の遅相軸とのなす角度が0°〜90°のものを指しており、その中で、45°±2°の範囲のものを特に円偏光フィルムと呼ぶものとする。
図6は、通常の偏光板(TAC(セルローストリアセテート)/偏光子/TACの構成を有する)に、本発明の垂直配向液晶層を有する位相差フィルムの片面を、粘着剤または接着剤を用いて貼り合せた円偏光フィルムである。この場合、偏光板は市販の偏光板をそのまま使用することができる。
図7は、本発明の垂直配向液晶層を含んだ位相差フィルム(λ/4)1枚と、従来の斜め延伸のみによって形成された位相差フィルム(λ/2)1枚と、通常の直線偏光板とを図にあるような軸角度で貼合した円偏光フィルムである。
図8は、本発明の位相差フィルムを片側の偏光板保護フィルムとして、もう一つ別の偏光板保護フィルムとともに直線偏光フィルムを挟む形で積層、貼合した円偏光フィルムである。この際、本発明の位相差フィルムの貼合面は、垂直配向液晶層を設けた面と反対の面である。
〈反射型液晶表示装置〉
本発明の楕円偏光フィルムより切り出した楕円偏光板を備える反射型液晶表示装置の層構成例を図9に示す。図9に示す反射型液晶表示装置は、下から順に、下基板201、反射電極202、下配向膜203、液晶層204、上配向膜205、透明電極206、上基板207、透明導電膜208および本発明の楕円偏光板209がこの順に積層されてなる。下基板201と反射電極202が反射板を、下配向膜203から上配向膜205が液晶セルをそれぞれ構成している。
カラー表示の場合には、さらにカラーフィルター層を設ける。図9中、カラーフィルター層の図示は省略しているが、カラーフィルター層は、反射電極202と下配向膜203との間、または上配向膜205と透明電極206との間に設けることが好ましい。
また、図9に示す反射型液晶表示装置においては、反射電極202の代わりに透明電極を用いて、別に反射板を取り付けてもよい。透明電極と組み合わせて用いる反射板としては金属板が好ましい。反射板の表面が平滑であると、正反射成分のみが反射されて視野角が狭くなる場合がある。そのため、反射板の表面に凹凸構造(特許275620号公報記載など)を導入することが好ましい。反射板の表面が平坦である場合は(表面に凹凸構造を導入する代わりに)、偏光素子の片側(セル側あるいは外側)に光拡散フィルムを取り付けることもできる。
また、用いられる液晶モードは特に限定されない。液晶モードとしては、例えば、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、HAN(Hybrid Aligned Nematic)型などが挙げられる。
本発明の反射型液晶表示装置は、印加電圧が低い時に明表示、高い時に暗表示であるノーマリーホワイトモードでも、印加電圧が低い時に暗表示、高い時に明表示であるノーマリーブラックモードでも用いることができる。また、本発明の楕円偏光板は、半透過型液晶表示装置にも適用できる。
〈タッチパネル〉
本発明の楕円偏光板を反射防止層として用いるタッチパネルは、例えば、タッチパネルの入力操作面側から順に、楕円偏光板/上側導電膜/スペーサー/下側導電膜の順で構成することができる。上側導電膜は、光学的に等方な高分子フィルム等の基板上に直接または必要に応じて接着層もしくは基板の保護層等を介して形成することができる。
本発明のタッチパネルは、これらタッチパネルのいずれであってもよいが、透明導電膜とギャップとの界面を有するタッチパネル、例えば、抵抗膜式タッチパネルが特に好適である。抵抗膜式タッチパネルは、少なくとも片面に透明導電膜が形成された2枚の透明電極基板が、互いの透明導電膜同士が向かい合うように配置され、上側の透明電極基板を押すことにより2枚の導電性基板を接触させて、位置検出をおこなう様式のタッチパネルである。
本発明のタッチパネルは、例えば、タッチパネルの入力操作面側から順に、楕円偏光板/上側導電膜/スペーサー/下側導電膜の順で構成することができる。上側導電膜は、光学的に等方な高分子フィルム等の基板上に直接または必要に応じて接着層もしくは基板の保護層等を介して形成することができる。
本発明のタッチパネルは、様々な表示装置と組合せて用いることができる。例えば、カソードレイチューブ(CRT)、プラズマディスプレイ(PDP)、フィールド・エミッション・ディスプレイ(FED)、無機ELデバイス、有機ELデバイス、液晶表示装置などが挙げられる。
〈EL素子での実施態様〉
図10は、本発明の楕円偏光素子をEL(エレクトロルミネッセンス)素子に使用した場合の、好ましい実施態様の概略図である。
図10に示すように、本実施形態に係るEL素子300は、吸収型直線偏光子301と、本発明の位相差フィルム302との積層体である本発明の円偏光フィルム、から切り出した本発明の楕円偏光板303を具備している。
吸収型直線偏光子301を透過した直線偏光は、位相差フィルム302によって楕円偏光に変換されることになる。
また、EL素子300は、楕円偏光板303に対向配置された透明基板304と、透明基板304上に形成された陽極305と、陽極305に対向配置された陰極306と、陽極305及び陰極306の間に配置された発光層307とを備えている。
このような構成を有するEL素子300において、陰極306から電子を、陽極305から正孔を注入し、両者が発光層307で再結合することにより、発光層307の発光特性に対応した可視光線の発光が生じる。発光層307で生じた光は、直接又は陰極306で反射した後、陽極305、透明基板304、本発明の楕円偏光板303を介して外部に取り出されることになる。
一方、室内照明等によりEL素子300の外部から入射した外光I1(吸収型直線偏光子301の面に垂直な方向から入射した外光)は、吸収型直線偏光子301によって半分は吸収され、残りの半分は直線偏光として透過し、位相差フィルム302に入射する。
位相差フィルム302に入射した光は、前述のように、吸収型直線偏光子301と位相差フィルム302との光軸が45度又は135度で交差するように配置されているため、楕円偏光板303を透過することにより楕円偏光に変換される。
楕円偏光板303を出射した楕円偏光は、陰極306で鏡面反射する際に、位相が180度反転し、逆廻りの円偏光として反射される。
当該反射光R1は、再度円偏光板303に入射することにより、吸収型直線偏光子301の吸収軸(光軸に直交する軸)に平行な直線偏光に変換されるため、吸収型直線偏光子301で全て吸収され、外部に出射されないことになる。
本発明の楕円偏光板は、ボトムエミッション方式だけでなく、トップエミッション方式に対しても使用することが可能である。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
特開2007−94007号公報の実施例1の長尺の延伸フィルム(A)の作製方法に準じて、ノルボルネン系樹脂の製膜を行い、フィルム幅を300mmとした以外は全て同様の方法により長尺の位相差フィルムRF1を得た。RF1はロールに巻き取った。このRF1ロールからフィルムを繰り出し、片面に下記塗工液Aを押出コーターで塗工し、温風を当てて乾燥後、UV照射して層全体を硬化させ垂直配向液晶層を設けた長尺の位相差フィルムRF1−aを得た。硬化後の垂直配向液晶層の厚みは1.77μmに調整した。
この際、垂直配向液晶塗工液の塗工方向は、RF1の長手方向と一致させた。その結果、位相差フィルムRF1−aのフィルム厚み方向のリターデーション値Rthは−3nmであった。
(塗工液A)
垂直配向液晶化合物:大日本インキ化学工業株式会社製UCL−018
16質量部
メチルエチルケトン 16.8質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 67.2質量部
続いて、図7に示すように、透過軸がフィルム幅方向に平行な長尺の偏光板(サンリッツ社製、HLC2−5618S、厚さ180μm)と、フィルムの長手方向から15°傾いた方向に面内の遅相軸を有する面内リターデーション値Roが270nmである長尺の延伸フィルムRF1−bと、前記RF1−aとを、この順にロール・トゥ・ロールで貼り合わせることにより、長尺の円偏光フィルムPF1を得た。この際、延伸フィルムRF1−bの面内の遅相軸と、延伸フィルムRF1−aの面内の遅相軸とがなす角度が60°となるように貼り合わせ、かつRF1−bと合わせるRF1−aの面は、垂直配向液晶層を設けた面とは反対側の面とした。
上記リターデーション値の測定には自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が550nmにおいて、試料の幅手方向に1cm間隔で3次元複屈折率測定を行い測定値を次式に代入して求めた。
リターデーション値Ro=(nx−ny)×d
リターデーション値Rth={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、nxは、位相差フィルム面内の遅相軸方向の屈折率(面内の最大屈折率)であり、nyは、位相差フィルム面内の遅相軸に垂直な方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dは位相差フィルムの厚み(nm)である。)
実施例2
特開2003−294942号公報の実施例1に記載されている方法に準じて、ポリカーボネート−ポリスチレン共重合体からなる基材フィルムRF2を作製した。但し、延伸は、実施例1に記載の装置を用い、温度175℃、倍率3.0倍で遅相軸がフィルム幅方向と45°をなす様に斜め方向に行った。
上記RF2上に塗工液Aを塗工し、温風を当てて乾燥後、UV照射して層全体を硬化させ垂直配向液晶層を設けた長尺の位相差フィルムRF2−aを得た。硬化後の垂直配向液晶層の厚みは0.44μmとなるように調整した。この際、垂直配向液晶塗工液の塗工方向は、RF2の長手方向と一致させた。
実施例1で用いた長尺の偏光板(サンリッツ社製、HLC2−5618S、厚さ180μm)と、フィルムの幅方向から45°傾いた方向に面内の遅相軸を有する面内リターデーション値Roが140nmである長尺の位相差フィルムRF2−aとを、この順にロール・トゥ・ロールで貼り合わせることにより、長尺の円偏光フィルムPF2を得た。
実施例3
下記に従い延伸セルロースエステルフィルムを作製した。
用いた材料について以下に纏めて記す。
Figure 2013156661
〈微粒子分散液〉
微粒子 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
〈微粒子添加液〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクにセルロースエステルAを添加し、加熱して完全に溶解させた後、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。濾過後のセルロースエステル溶液を充分に攪拌しながら、ここに微粒子分散液をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
セルロースエステルA 4質量部
微粒子分散液 11質量部
下記組成の主ドープ液を調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースエステルAを攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、更に可塑剤及び紫外線吸収剤を添加、溶解させた。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。
主ドープ液100質量部と微粒子添加液2質量部となるように加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分に混合し、次いでベルト流延装置を用い、幅2mのステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体上で、残留溶媒量が110%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体から剥離した。その後、本発明の実施例1に記載の装置を用い、温度170℃、倍率2.0倍で遅相軸がフィルム幅方向と45°をなす様に斜め方向に行い、乾燥させて基材フィルムRF3を得た。
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 300質量部
エタノール 57質量部
セルロースエステルA 100質量部
可塑剤(A)、(B)、(C) 1:1:1の比で 5.5質量部
可塑剤(D) 5.5質量部
紫外線吸収剤(A) 0.4質量部
紫外線吸収剤(B) 0.7質量部
紫外線吸収剤(C) 0.6質量部
上記基材フィルムRF3上に塗工液Aを塗工し、温風を当てて乾燥後、UV照射して層全体を硬化させ垂直配向液晶層を設けた長尺の位相差フィルムRF3−aを得た。硬化後の垂直配向液晶層の厚みは0.60μmとなるよう調整した。この際、垂直配向液晶塗工液の塗工方向は、RF3の長手方向と一致させた。
実施例1で用いた長尺の偏光板(サンリッツ社製、HLC2−5618S、厚さ180μm)と、フィルムの幅方向から45°傾いた方向に面内の遅相軸を有する、Roが138nmである長尺の延伸フィルムRF3−aとを、この順にロール・トゥ・ロールで貼り合わせることにより、長尺の円偏光フィルムPF3を得た。
実施例4
《偏光板の作製》
厚さ、120μmのポリビニルアルコールの長尺フィルムを、MD方向に一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光膜フィルムを得た。
次いで、下記工程1〜5に従って前記偏光膜フィルムと、実施例3に記載の位相差フィルムRF3−aと、裏面側には下記セルロースエステルフィルムを偏光板保護フィルムとしてロール・トゥ・ロール方式で貼り合わせ、円偏光フィルムPF4を作製した。
工程1:60℃の2モル/Lの水酸化ナトリウム溶液に90秒間浸漬し、次いで水洗し乾燥して、偏光子と貼合する側(垂直配向液晶層を塗工していない方の面)を鹸化した位相差フィルムを得た。
工程2:前記偏光膜を固形分2質量%のポリビニルアルコール接着剤槽中に1〜2秒浸漬した。
工程3:工程2で偏光膜に付着した過剰の接着剤を軽く拭き除き、これを工程1で処理したセルロースエステルフィルムの上にのせて配置した。
工程4:工程3で積層した位相差フィルムRF3−aと偏光膜フィルムと裏面側セルロースエステルフィルムを圧力20〜30N/cm2、搬送スピードは約2m/分で貼合した。
工程5:80℃の乾燥機中に工程4で作製した偏光膜フィルムとセルロースエステルフィルムRF3−aと裏面側セルロースエステルフィルムとを貼り合わせた試料を2分間乾燥し、円偏光フィルムPF4を作製した。
(裏面側セルロースエステルフィルムの作製)
〈微粒子分散液〉
微粒子 11質量部
エタノール 89質量部
以上をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、マントンゴーリンで分散を行った。
〈微粒子添加液〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクにセルロースエステルBを添加し、加熱して完全に溶解させた後、これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過した。濾過後のセルロースエステル溶液を充分に攪拌しながら、ここに上記微粒子分散液をゆっくりと添加した。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
セルロースエステルB 4質量部
微粒子分散液 11質量部
下記組成の主ドープ液を調製した。まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースエステル(アセチル基置換度2.9、Mn80000、Mw/Mn2.4)を攪拌しながら投入した。これを加熱し、攪拌しながら、完全に溶解し、更に可塑剤及び紫外線吸収剤を添加、溶解させた。これを安積濾紙(株)製の安積濾紙No.244を使用して濾過し、主ドープ液を調製した。
主ドープ液100質量部と微粒子添加液5質量部となるように加えて、インラインミキサー(東レ静止型管内混合機 Hi−Mixer、SWJ)で十分に混合し、次いでベルト流延装置を用い、幅2mのステンレスバンド支持体に均一に流延した。ステンレスバンド支持体上で、残留溶媒量が110%になるまで溶媒を蒸発させ、ステンレスバンド支持体から剥離した。剥離の際に張力をかけて縦(MD)延伸倍率が1.1倍となるように延伸し、次いで、テンターでウェブ両端部を把持し、幅手(TD)方向の延伸倍率が1.1倍となるように延伸した。延伸後、その幅を維持したまま数秒間保持し、幅方向の張力を緩和させた後幅保持を解放し、更に125℃に設定された第3乾燥ゾーンで30分間搬送させて乾燥を行い、幅300mm、膜厚40μmのセルロースエステルフィルムを作製した。
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 450質量部
エタノール 30質量部
セルロースエステル(アセチル基置換度2.9、Mn80000、Mw/Mn2.4)
100質量部
可塑剤(A) 2.2質量部
可塑剤(D) 9.5質量部
紫外線吸収剤(A) 0.4質量部
紫外線吸収剤(B) 0.7質量部
紫外線吸収剤(C) 0.6質量部
実施例5
実施例4で用いたRF3−aの作製方法において、斜め延伸で用いる装置を図1に記載されている斜め延伸装置にする以外は、全て同様にして位相差フィルムRF5−aを作製した。これを実施例4と同様に裏面側セルロースフィルムとともに偏光膜フィルムを挟むようにしてロール・トゥ・ロール方式で円偏光フィルムPF5を作製した。
実施例6
実施例5で用いたRF5の作製方法において、主ドープ液の組成を以下に変更する以外は、全て実施例5と同様にして、RF6を作製し、その後垂直配向液晶層を同様に塗工することでRF6−aを得た。その後の円偏光フィルムの作製方法も実施例5と同様にして、円偏光フィルムPF6を得た。
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 380質量部
エタノール 70質量部
セルロースエステルC 100質量部
ポリメチルアクリレート(Mw1000) 3質量部
糖エステル化合物 10質量部
ここで、糖エステル化合物とは、スクロースオクタベンゾエート、スクロースヘプタベンゾエート、スクロースヘキサベンゾエートの質量比1:1:1の混合物を用いた。
比較例1
実施例2に対し、垂直配向液晶層を設けなかった以外は全て同様な作製方法により、長尺の位相差フィルムRF7を得、これと透過軸がフィルム幅方向に平行な長尺の偏光板(サンリッツ社製、HLC2−5618S、厚さ180μm)とを貼り合わせて長尺の円偏光フィルムを作製し、そこから円偏光板PF7を切り出した。
比較例2
実施例3のRF3−aにおいて、基材フィルムを斜め延伸をする代わりに、縦延伸装置による長手方向の延伸をした以外は全て同じ方法で、垂直配向液晶層を設けた長尺の位相差フィルムRF8−aを得た。続いて、このRF8−aから切り出した位相差板の遅相軸と偏光板(サンリッツ社製、HLC2−5618S、厚さ180μm)の吸収軸とが45°となるように貼り合わせて円偏光フィルムPF8を得た。
比較例3
比較例2において、長手方向の延伸(縦延伸)をする代わりにテンターによる幅手方向の延伸(横延伸)をした以外は、全て同じ方法で、垂直配向液晶層を設けた長尺の位相差フィルムRF9−aを得た。続いて、このRF8−aから切り出した位相差板の遅相軸と偏光板(サンリッツ社製、HLC2−5618S、厚さ180μm)の吸収軸とが45°となるように貼り合わせて円偏光フィルムPF9を得た。
実施例7
実施例4において、位相差フィルムRF3−aを構成する基材フィルムの面内遅相軸をフィルム長手方向に対し、40°とするように延伸する以外は全て同様にして、位相差フィルムRF10−aを得、これを用いて実施例4と同様にして、円偏光フィルムPF10を得た。
実施例8
実施例4において、位相差フィルムRF3−aを構成する基材フィルムの面内遅相軸をフィルム長手方向に対し、50°とするように延伸する以外は全て同様にして、位相差フィルムRF11−aを得、これを用いて実施例4と同様にして、円偏光フィルムPF11を得た。
実施例9
実施例4において、位相差フィルムRF3−aを構成する基材フィルムの面内遅相軸をフィルム長手方向に対し、10°とするように延伸する以外は全て同様にして、位相差フィルムRF12−aを得た。続いて、これを用いて実施例4と同様にして、楕円偏光フィルムPF12を得た。
実施例10
実施例4において、位相差フィルムRF3−aを構成する基材フィルムの面内遅相軸をフィルム長手方向に対し、80°とするように延伸する以外は全て同様にして、位相差フィルムRF13−aを得た。続いて、これを用いて実施例4と同様にして、楕円偏光フィルムPF13を得た。
実施例11〈円偏光板の性能評価〉
〈EL素子の作製〉
特開2003−332068号公報に記載の方法に準じて、有機EL素子を作製した。
ガラス基板の片面に、ITOセラミックターゲット(In23:SnO2=90質量%:10質量%)から、DCスバッタリング法を用いて、厚み120nmのITO透明膜からなる陽極を形成した。その後、超音波洗浄を行った後、紫外線オゾン方式で洗浄した。
次に、ITO面上に、抵抗加熱式真空蒸着装置内のモリブデン製ボートに配置したN,N’−ジフェニルーN,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−[1,1’−ビフェニル]−4,4’−ジアミン(TPD)と、別のモリブデン製加工ボートに配置したトリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)を介して、真空チャンバー内を1×10-4Paの減圧状態としてTPDを220℃に加熱し、厚み60nmのTPD膜からなる正孔輸送層を形成後、その上にAlqを275℃に加熱して厚み60nmのAlq膜を形成した。
ついで、更にその上にモリブデン製ボートに配置したマグネシウムと、別のモリブデン製加工ボートに配置した銀とを介して、真空チャンバー内を2×10-4Paの減圧状態として2元同時蒸着方式により、Mg・Ag合金(Mg/Ag=9/1)からなる厚み100nmの陰極を形成して、緑色(主波長513nm)に発光する有機EL素子1を作製した。
作製した有機EL素子の発光面積は2cm×3cmであった。また、この有機EL素子に6Vの直流電圧を印加した際の正面輝度は1200cd/m2であった。
有機EL素子のガラス基板に、本発明の円偏光フィルムPF1〜6、10〜13より切り出した円偏光板P1〜6、10〜13、および比較の円偏光フィルムPF7〜9より切り出した円偏光板P7〜9をアクリル系粘着剤を介して貼付け試料とした。
なお、円偏光板は、円偏光板の吸収型直線偏光子とガラス基板の間に位相差板が位置するように貼り合わせた。
〈外光反射の色味変化角度依存性、高温高湿耐性評価〉
円偏光板を貼り合わせた有機EL素子を23℃55%RHの部屋に48時間保存(状態1)後、電圧を印加せず、発光していない状態にして、照度約100lxの環境下に置き、正面と斜め45度の方向から反射色の黒味レベルを視感評価し、その差を比較した。
また、正面の黒味レベルの評価は、80℃90%RHの部屋に200時間保存(状態2)後、同様に評価した。結果を表2に示す。
なお、比較結果は、以下の4つの状態の何れに該当するかによって評価した。
《色味変化角度依存性の評価尺度》
◎:正面と斜視で全く外光反射の色味に変化は見られない
○:正面と斜視で僅かに外光反射の色味に差は見られるが、気にならない程度
△:正面と斜視で外光反射の色味違いが気になる状態
×:正面と斜視で外光反射の色味違いが極めて気になる状態
《高温高湿耐性の評価尺度》
◎:保存前後で全く外光反射の色味に変化は見られない
○:保存前後で僅かに色味に差は見られるが、気にならない程度
△:保存前後での色味の違いが気になる状態
×:保存前後での色味の違いが極めて気になる状態
実施例12
実施例6で用いたRF6−aの作製方法において、斜め延伸で用いる装置を図11〜14に記載されている斜め延伸装置にする以外は、全て同様にして位相差フィルムRF14−aを作製した。これを実施例4と同様に裏面側セルロースフィルムとともに偏光膜フィルムを挟むようにしてロール・トゥ・ロール方式で円偏光フィルムPF14を作製した。
実施例13
実施例12で用いたRF14−aの作製方法において、主ドープ液の組成を以下に変更する以外は、全て実施例12と同様にして、RF15−aを作製した。その後の円偏光フィルムの作製方法も実施例12と同様にして、円偏光フィルムPF15を得た。
〈主ドープ液の組成〉
メチレンクロライド 543質量部
メタノール 99質量部
n−ブタノール 20質量部
平均酢化度59.0%のセルロースアセテート 120質量部
トリフェニルホスフェート 9質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート 5質量部
下記のレターデーション上昇剤 1質量部
Figure 2013156661
実施例14〈円偏光板の性能評価〉
実施例12、13で得られた円偏光フィルムPF14、15から切り出した円偏光板を使って、実施例11と全く同様の性能評価を行った。その結果を表2に示す。
Figure 2013156661
表2から明らかなように、本発明の円偏光板PF1〜6、10〜15を用いたEL素子は、外光反射の色味変化角度依存性はなく、特に高温高湿での保存にもかかわらず、正面の黒味レベルの安定性に優れていることが分かる。
更に、基材フィルムとしてセルロースエステルを用いているものは、特に正面と斜視での色味変化が小さく優れていることが分かる。
また、本発明の円偏光板は、タッチパネルや反射型液晶表示装置でも同様の効果を発現することが分かった。
実施例15〈位相差板の性能評価〉
実施例12、13で得られた位相差フィルムRF−14aとRF−15aから切り出した位相差板を、80℃90%RHの条件下で400時間保存した後、フィルム表面での析出物の外観を下記尺度で目視評価した。その結果を表3に示す。
《析出物の評価尺度》
◎:保存前後で全く外観上の変化は見られない
○:保存前後で僅かに外観に差は見られるが、問題となる可能性が低い状態
△:保存前後で外観に差が見られ、問題の可能性が高い状態
×:保存前後で明らかに外観に差があり、問題となる状態
Figure 2013156661
また、表3から明らかなように、RF14−aとRF15−aとを比較した場合、RF14−aの方が析出耐性で非常に優位であることが分かる。
1 熱可塑性樹脂フィルム
2 予熱ゾーン
3 加熱延伸ゾーン
4 冷却ゾーン
5 延伸フィルム
6,7 スクリュー
61,71 フライト
8,81 クリップ
9,91 ベルト
101 熱可塑性樹脂フィルム
102 テンター
103 搬送方向
104L 左チャック位置
104R 右チャック位置
105L フィルム左移動位置
105R フィルム右移動位置
106L 左移動速度
106R 右移動速度
201 下基板
202 反射電極
203 下配向膜
204 液晶層
205 上配向膜
206 透明電極
207 上基板
208 透明導電膜
209 楕円偏光板
300 EL素子
301 吸収型直線偏光子
302 本発明の位相差フィルム
303 本発明の楕円偏光板
304 透明基板
305 陽極
306 陰極
307 発光層
I1 垂直入射外光
I2 斜め入射外光
401 フィルム延伸装置(伸縮装置)
402 フィルム
403 供給装置
404 縦延伸炉
405 中間搬送装置
406 縦延伸部
407 斜方延伸機
408 斜方延伸炉
409 斜方延伸部
410 巻取装置
411 原反リール
412 基準ロール
413 ニップロール
414 熱風ダクト
415 比率ロール
416 ニップロール
417 延伸チェイン
418 熱風ダクト
419 テンションロール
420 製品リール
421 ベース
422 アーム
423 クリップ
424 スプロケット
425 摺動軸
426 位置決め部材
427 ガイド
428 ガイド

Claims (12)

  1. セルロースエステルからなる長尺の基材フィルム上に、垂直配向液晶層を設けてなる長尺の位相差フィルムにおいて、該基材フィルムが、糖エステル化合物を含有し、かつ面内の遅相軸とフィルム長手方向のなす角度が10°〜80°であることを特徴とする長尺の位相差フィルム。
  2. 前記糖エステル化合物が置換度の異なる糖エステル化合物の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の長尺の位相差フィルム。
  3. 前記糖エステル化合物の混合物が少なくとも6置換体、7置換体、8置換体を含有することを特徴とする請求項2に記載の長尺の位相差フィルム。
  4. 前記面内の遅相軸とフィルム長手方向のなす角度が40〜50°であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の長尺の位相差フィルム。
  5. 前記面内の遅相軸とフィルム長手方向のなす角度が実質的に45°であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の長尺の位相差フィルム。
  6. 前記セルロースエステルがセルロースアセテートプロピオネートであることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項に記載の長尺の位相差フィルム。
  7. 請求項1〜6の何れか1項に記載の長尺の位相差フィルムを少なくとも1つと、長尺の直線偏光フィルムとを、長手方向を揃えて積層することで得られることを特徴とする長尺の楕円偏光フィルム。
  8. 糖エステル化合物を含有するセルロースエステルフィルム基材上に、垂直配向液晶層を設けてなる位相差フィルムと、直線偏光フィルムが積層され、該偏光フィルムの吸収軸と、前記位相差フィルム基材の面内の遅相軸とのなす角度が0°〜90°であることを特徴とする楕円偏光板。
  9. 請求項8に記載の楕円偏光板を用いることを特徴とする画像表示装置。
  10. 有機EL表示装置であることを特徴とする請求項9に記載の画像表示装置。
  11. 楕円偏光板の直線偏光フィルムとガラス基板の間に位相差板が位置することを特徴とする請求項10に記載の画像表示装置。
  12. 楕円偏光板が有機EL素子のガラス基板にアクリル系粘着剤を介して貼り付けられていることを特徴とする請求項9〜11の何れか1項に記載の画像表示装置。
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