JP2004226591A - 液晶表示装置および偏光板 - Google Patents

液晶表示装置および偏光板 Download PDF

Info

Publication number
JP2004226591A
JP2004226591A JP2003013135A JP2003013135A JP2004226591A JP 2004226591 A JP2004226591 A JP 2004226591A JP 2003013135 A JP2003013135 A JP 2003013135A JP 2003013135 A JP2003013135 A JP 2003013135A JP 2004226591 A JP2004226591 A JP 2004226591A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
film
display device
polarizing
crystal display
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2003013135A
Other languages
English (en)
Inventor
Junichi Hirakata
純一 平方
Tadashi Ito
忠 伊藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2003013135A priority Critical patent/JP2004226591A/ja
Publication of JP2004226591A publication Critical patent/JP2004226591A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)

Abstract

【課題】簡易な構成で、表示品位のみならず、視野角が著しく改善された液晶表示装置、特にVA(Vertical Alignment)型液晶表示装置を提供する。
【解決手段】少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該基板間に挟持される液晶層と、該液晶層の外側に配置された第一の偏光板とを有する液晶表示装置であって、上記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dが0.1〜1.0μmであり、前記第一の偏光板が偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜とから構成され、前記一対の保護膜の少なくとも一方が、膜面の平均屈折率が最大となる方向と実質的に一致する遅相軸を有し、かつ前記液晶層に近い側の保護膜の遅相軸と前記偏光膜の吸収軸とが交差していることを特徴とする液晶表示装置である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保護フィルムに挟持される偏光膜からなる偏光板を用いた液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
液晶表示装置は、液晶セル、偏光板からなる。偏光板は保護フィルムと偏光膜からなり、ポリビニルアルコールフィルムからなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護フィルムにて積層して得られる。透過型液晶表示装置では、この偏光板を液晶セルの両側に取り付け、さらには一枚以上の光学補償シートを配置することもある。反射型液晶表示装置では、反射板、液晶セル、一枚以上の光学補償シート、偏光板の順に配置する。液晶セルは、液晶性分子、それを封入するための二枚の基板および液晶性分子に電圧を加えるための電極層からなる。液晶セルは、液晶性分子の配向状態の違いで、ON・OFF表示を行い、透過および反射型いずれにも適用できる、TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、OCB(Optically Compensatory Bend)、VA(Vertically Aligned)、ECB(Electrically Controlled Birefringence)のような表示モードが提案されている。
【0003】
光学補償シートは、画像着色を解消したり、視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で用いられている。光学補償シートとしては、延伸複屈折ポリマーフィルムが従来から使用されている。また、延伸複屈折フィルムからなる光学補償シートに代えて、透明支持体上に低分子もしくは高分子液晶性分子から形成された光学異方性層を有する光学補償シートを使用することが提案されている。液晶性分子には多様な配向形態があるため、液晶性分子を用いることで、従来の延伸複屈折ポリマーフィルムでは得ることができない光学的性質を実現することができる。さらに、偏光板の保護膜に複屈折性を付加することで、保護膜と光学補償シートを兼ねる構成も提案されている。
【0004】
光学補償シートの光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には上記のような表示モードの違いに応じて決定する。液晶性分子を用いると、液晶セルの様々な表示モードに対応する様々な光学的性質を有する光学補償シートを製造することができる。液晶性分子を用いた光学補償シートでは、様々な表示モードに対応するものが既に提案されている。
例えば、TNモード液晶セル用光学補償シートは、電圧印加により液晶分子がねじれ構造が解消しつつ基板面に傾斜した配向状態の光学補償を行い、黒表示時の斜め方向の光漏れ防止によるコントラストの視角特性を向上させる(特許文献1参照)。IPSモード液晶セル用光学補償シートは、電圧無印状態の黒表示時において、基板面に平行配向した液晶分子の光学補償および偏光板の直交透過率の視野角特性向上を兼ねている(特許文献2参照)。さらに、OCBモードの液晶セル用光学補償シートでは、電圧印加により液晶層中央部で垂直配向し、基板界面付近で傾斜配向した液晶層の光学補償を行い、黒表示の視野角特性を改善する(特許文献3参照)。VAモードの液晶セル用光学補償シートは、電圧無印加状態で液晶分子が基板面に対して垂直配向した状態の黒表示の視野角特性を改善する(特許文献4、5、6参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−214116号公報
【特許文献2】
特開平10−54982号公報
【特許文献3】
米国特許5805253号
【特許文献4】
特許番号第2866372号公報
【特許文献5】
特開2001−350022号公報
【特許文献6】
特開平10−153802号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来のTNモード液晶セル用光学補償シートは、延伸複屈折ポリマーフィルムに代えて液晶性分子からなるフィルムを用いることで、従来よりも正確に液晶セルを光学的に補償することを可能としている。しかし、液晶性分子を用いても液晶セルを問題なく完全に光学的に補償することは非常に難しい。例えば、従来提案されている光学補償シートでは、黒表示時の偏光板の斜め方向からの光漏れが認められ、視野角が充分に(理論的に期待できる程度まで)拡大していないのが実状である。同様に、従来のIPS、OCB、VAモード液晶セル用光学補償シートでも光漏れが認められる。さらに、IPSとVAモード液晶セル用光学補償シートでは延伸複屈折ポリマーフィルムのみで光学補償を行うため、複数のフィルムを用いる必要があり、その結果、光学補償シートの厚さが増し、表示装置の薄形化に不利である。また、延伸フィルムの積層には粘着層を用いるため、温湿度変化により粘着層が収縮してフィルム間の剥離や反りといった不良が発生することがあった。
【0007】
本発明は前記諸問題に鑑みなされたものであって、簡易な構成で、表示品位のみならず、視野角が著しく改善された液晶表示装置、特にVA(Vertical Alignment)型液晶表示装置を提供することを課題とする。また、本発明は、偏光機能を有するのみならず、液晶表示装置の視野角拡大に寄与し得る、しかも容易に作製可能な偏光板を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は、下記(1)〜(12)の液晶表示装置と下記(13)および(14)の偏光板により達成された。
(1) 少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該基板間に挟持される液晶層と、該液晶層の外側に配置された第一の偏光板とを有する液晶表示装置であって、上記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dが0.1〜1.0μmであり、前記第一の偏光板が偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜とから構成され、液晶層に近い側の保護膜が膜面の平均屈折率が最大となる方向と実質的に一致する遅相軸を有し、かつ前記液晶層に近い側の保護膜の遅相軸と前記偏光膜の吸収軸とが交差していることを特徴とする液晶表示装置。
【0009】
(1)の液晶表示装置では、偏光板として、一対の保護膜の少なくとも一方の面内の遅相軸が、偏光膜の吸収軸と交差している偏光板を用いている。該偏光板は、偏光機能のみならず、表示装置の視野角の拡大に寄与するので、簡易な構成により、表示品位のみならず、視野角が著しく改善された液晶表示装置、特にVA(Vertical Alignment)型液晶表示装置を提供できる。前記偏光板は、斜め延伸方法を利用して作製した偏光膜を用いることにより、一対の保護膜および前記偏光膜の合計3枚のポリマーフィルム等をロールtoロールで積層して容易に製造することができるので、液晶表示装置の生産性の向上にも寄与する。なお、前記偏光板の保護膜は、光学補償層として機能させることもできるので、かかる態様では、より簡易な構成で表示品位に優れた液晶表示装置となる。
【0010】
なお、ここで、「保護膜の遅相軸と前記偏光膜の吸収軸とが交差している」とは、偏光膜の吸収軸が保護膜の遅相軸に平行でないことを意味する。偏光膜の吸収軸方向と保護膜の遅相軸との角度は(偏光膜の裁断前または後とは無関係に)、好ましくは10°〜90°、より好ましくは20°〜70゜、更に好ましくは40°〜50゜、特に好ましくは43〜47゜である。
【0011】
(2) 前記一対の保護膜の双方が、膜面の平均屈折率が最大となる方向と実質的に一致する遅相軸を有し、前記遅相軸が互いに実質的に平行であることを特徴とする(1)の液晶表示装置。
(2)の液晶表示装置では、偏光板が有する一対の保護膜の前記遅相軸の方向が一致しているので、上記効果に加えて、偏光板の機械的安定性の向上や、光学的性能の均一化の効果が得られる。
(3) 前記一対の保護膜のうち、前記液晶層に遠い側の遅相軸と前記偏光膜の吸収軸とが実質的に平行もしくは直交していることを特徴とする(1)または(2)に記載の液晶表示装置。
(3)の液晶表示装置では、偏光板が有する偏光膜の吸収軸と、保護膜(液晶層に遠い側の保護膜)の遅相軸とが平行あるいは直交しているので、上記効果に加えて、偏光板の寸法変化やカール防止といった機械的信頼性が向上する。
(4) 前記第一の偏光板とともに前記液晶層を挟持して配置された第二の偏光板を有し、前記第二の偏光板は偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜とから構成され、前記第一および第二の偏光板の前記液晶層に近い側の保護膜の遅相軸が、互いに実質的に平行もしくは直交していることを特徴とする(2)または(3)の液晶表示装置。
(4)の液晶表示装置では、双方の保護膜が複屈折性を有するとともに、前記液晶層に近い側の保護膜の遅相軸が、互いに実質的に平行もしくは直交している。遅相軸が互いに直交する態様では、それぞれの保護フィルムの複屈折を互いに打ち消すことにより、液晶表示装置の垂直入射時の光学特性が劣化するのを低減することができる。一方、遅相軸が互いに平行する態様では、液晶層に残留位相差がある場合には保護膜の複屈折性でこの位相差を補償することができる。
(5) 前記第一の偏光板とともに前記液晶層を挟持して配置された第二の偏光板を有し、前記第二の偏光板は偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜とから構成され、前記第一および第二の偏光板の偏光膜の吸収軸が、互いに実質的に直交していることを特徴とする(2)〜(4)のいずれかの液晶表示装置。
(5)の液晶表示装置は、液晶層を挟持して配置された偏光板の偏光膜の吸収軸が直交しているので、偏光板透過率が低く、VA型やIPS型のノーマリーブラックタイプに属する液晶表示装置の態様において、高コントラストを得ることができる。
【0012】
(6) 少なくとも一方に電極と薄膜半導体層とを有する対向配置された一対の基板と、該基板間に挟持される液晶層と、該液晶層の外側に配置された偏光板とを有し、該半導体層に外部から信号線により電気信号を印加することで前記液晶層の配向状態を変化させて表示を行う液晶表示装置であって、前記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dが0.1〜1.0μmであり、前記偏光板が偏光膜と該偏光膜を挟持して配置された屈折性を有する一対の保護膜とから構成され、前記半導体層に電気信号を印加する信号線と、前記偏光膜の吸収軸とが実質的に45°で交差していることを特徴とする液晶表示装置。
(6)の液晶表示装置では、アクティブマトリックス駆動方式において、画素に表示するために薄膜トランジスタに電気信号を送る配線に対して、偏光板吸収軸が45°で交差しているので、左右対称の視野角特性が得られる。ここで「実質的に45°で交差している」とは、45°±10°または−45°±10°に交差していることを意味する。偏光板の偏光膜の吸収軸が液晶セル基板長辺に対して平行もしくは垂直であると、信号線と吸収軸との交差角を考慮して配線する必要があるが、例えば、斜め延伸方法を利用して作製された、吸収軸が元々長手方向に対して45°で交差している偏光膜を用いれば、信号線と吸収軸との交差角を考慮しなくても、偏光膜の長手方向と液晶セル基板の長辺方向とを一致させて積層すれば、左右対称の視野角が得られ、液晶表示装置の設計などが容易になる。さらに、前記偏光板の保護膜は屈折性(例えば、nx≠nzの関係が成立するもの、nx≠ny≠nzの関係が成立するものなど)を有しているので、液晶表示の光学的補償にも寄与し得る。その結果、簡易な構成で、視野角および表示品位が著しく改善された液晶表示装置を提供することができる。
【0013】
(7) 前記保護膜が、厚さd(nm)であり、それぞれ互いに直交するx、yおよびz軸方向に3つの平均屈折率nx、nyおよびnzを有し、前記液晶層の表面に平行な面内の主平均屈折をnxおよびny、前記液晶層の厚み方向の主平均屈折率をnzとした場合、可視光領域の任意の波長λにおいて、−5nm≦{(nx−ny)×d}≦50nm、および50nm≦[{(nx+ny)/2−nz}×d]≦300nmの関係を満足することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかの液晶表示装置。
(7)の液晶表示装置では、前記偏光板の保護膜の厚さ方向のレターデーション(Rth)が前記範囲であるので、液晶表示装置の黒表示時の視野角特性改善に大きく寄与するとともに、光学補償層としても機能し得る。さらに、前記偏光板の保護膜の面内のレターデーション(Re)が前記範囲であるので、偏光板吸収軸直交時の斜め方向から見た場合の漏れ光防止に大きく寄与する。なお、{(nx−ny)×d}および[{(nx+ny)/2−nz}×d]の少なくとも一方が0でもよいが、かかる場合は、保護膜と液晶セル(液晶層と基板からなる)との間に、光学補償シートを少なくとも一方の側に1枚以上配置するのが好ましい。
(8) 前記{(nx+ny)/2−nz}×dの値が、液晶層の厚さdと屈折率異方性Δnとの積(Δn・d)よりも小さいことを特徴とする(7)の液晶表示装置。
(8)の液晶表示装置では、前記保護膜の前記[{(nx+ny)/2−nz}×d]の値が、液晶層の厚さdと屈折率異方性Δnの積、Δn・dの値よりも小さいので、例えば、液晶セルの両側に同様の構成の偏光板を配置する場合、配置された2枚の保護膜によって、および/または別途組み込まれる光学補償シートによって、液晶セルを光学補償する。
【0014】
(9) 前記液晶層がネマチック液晶材料を含み、黒表示時に該ネマチック液晶材料の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して略垂直に配向する(1)〜(8)のいずれかの液晶表示装置。
(9)の液晶表示装置は、黒表示時に液晶材料が略垂直に配向する態様であるが、かかる態様において問題となる斜めから見た時の光漏れを軽減することができる。なお、本態様は、電圧無印加状態で液晶セル中の液晶分子が概略垂直配向するVA型であっても、高電圧印加状態で液晶分子が垂直配向するOCB型、ECB型またはTN型であってもよい。
(10) 前記液晶層がネマチック液晶材料を含み、黒表示時に該ネマチック液晶材料の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して略平行に配向する(1)〜(8)のいずれかの液晶表示装置。
(10)の液晶表示装置は、黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、例えば、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示するIPS型あるいはECB型がある。これらの態様においても、前記偏光板は視野角拡大に寄与する。この態様においては、前記保護膜の(nx−ny)×dの値は、液晶層のΔn・dの値前後に設定するのが好ましい。
【0015】
(11) 前記一対の基板と前記液晶層とからなる液晶セルが、複数の絵素領域を有し、該複数の絵素領域のそれぞれが、液晶分子の初期配向状態が互いに異なる2以上の液晶、または電圧印加状態において液晶分子の配向方向が連続的に変化する互いに異なる2以上の領域を有することを特徴とする(1)〜(10)のいずれかの液晶表示装置。
(11)の液晶表示装置は、電圧印加により液晶分子が基板法線に対して傾斜するVA型の態様であり、液晶分子が一方向に傾斜するため、視野角に依存して輝度および色調に偏りが生じるのを、1画素を初期配向状態が互いに異なる2以上(好ましくは4または8以上)の液晶領域で構成して平均化することで、低減することができる。
(12) 前記一対の偏光板と、前記一対の基板および前記液晶層からなる液晶セルとの間に、少なくとも1枚の複屈折性高分子フィルムまたは少なくとも1層の液晶化合物からなる光学異方性層が配置されたことを特徴とする(9)〜(11)のいずれかの液晶表示装置。
(12)の液晶表示装置では、光学補償能を有する高分子フィルムまたは光学異方性層を有するので、前記効果とともに、さらに視野角の拡大および表示特性の改善に優れている。
【0016】
(13) 偏光膜と該偏光膜を挟持して配置された一対の屈折性を有する保護膜とから構成され、前記保護膜が、厚さd(nm)であり、それぞれ互いに直交するx、yおよびz軸方向に3つの平均屈折率nx、nyおよびnzを有し、面内の主平均屈折率をnxおよびny、厚み方向の主平均屈折率をnzとした場合、可視光領域の任意の波長λにおいて、−5nm≦{(nx−ny)×d}≦50nm、および50nm≦[{(nx+ny)/2−nz}×d]≦300nmを満足し、かつ前記保護膜のいずれか一方の遅相軸と前記偏光膜の吸収軸とが、実質的に平行もしくは直交していることを特徴とする偏光板。
(13)の偏光板は、一対の保護膜の少なくとも一方が、所定の面内レターデーション(Re)または厚さ方向のレターデーション(Rth)を有するとともに、前記保護膜のいずれか一方の遅相軸と前記偏光膜の吸収軸とが、実質的に平行もしくは直交していることを特徴とする。該偏光板は、偏光機能のみならず、液晶表示装置、特にVA(Vertical Alignment)型液晶表示装置の視野角の拡大に寄与する。また、前記偏光板は、斜め延伸方法を利用して作製した偏光膜を用いることにより、一対の保護膜および前記偏光膜の合計3枚のポリマーフィルム等をロールtoロールで積層して容易に製造することができるので、生産性の向上にも寄与する。なお、前記偏光板の保護膜は、光学補償層として機能させることもできるので、かかる態様では、液晶表示装置の視野角拡大に寄与するのみならず、光学補償にも寄与する。
(14) 偏光膜と該偏光膜を挟持して配置された一対の屈折性を有する保護膜とから構成され、前記保護膜が、厚さd(nm)であり、それぞれ互いに直交するx、yおよびz軸方向に3つの平均屈折率nx、nyおよびnzを有し、面内の主平均屈折率をnxおよびny、厚み方向の主平均屈折率をnzとした場合、可視光領域の任意の波長λにおいて、−5nm≦{(nx−ny)×d}≦50nm、および50nm≦[{(nx+ny)/2−nz}×d]≦300nmを満足し、かつ前記保護膜のいずれか一方の遅相軸と前記偏光膜の吸収軸とが交差していることを特徴とする偏光板。
(14)の偏光板は、一対の保護膜の少なくとも一方が、所定の面内レターデーション(Re)または厚さ方向のレターデーション(Rth)を有するとともに、前記保護膜のいずれか一方の遅相軸と前記偏光膜の吸収軸とが、実質的に平行もしくは直交していることを特徴とする。該偏光板は、偏光機能のみならず、液晶表示装置、特にVA(Vertical Alignment)型液晶表示装置の視野角の拡大に寄与する。また、前記偏光板は、斜め延伸方法を利用して作製した偏光膜を用いることにより、一対の保護膜および前記偏光膜の合計3枚のポリマーフィルム等をロールtoロールで積層して容易に製造することができるので、生産性の向上にも寄与する。なお、前記偏光板の保護膜は、光学補償層として機能させることもできるので、かかる態様では、液晶表示装置の視野角拡大に寄与するのみならず、光学補償にも寄与する。
【0017】
本明細書において、「45゜」、「平行」あるいは「直交」とは、厳密な角度±5゜未満の範囲内であることを意味する。厳密な角度との誤差は、4゜未満であることが好ましく、3゜未満であることがより好ましい。また、角度について、「+」は時計周り方向を意味し、「−」は反時計周り方向を意味するものとする。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。また、「可視光領域」とは、380nm〜780nmのことをいう。さらに屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。
【0018】
本明細書において「偏光板」とは、特に断らない限り、長尺の偏光板および液晶装置に組み込まれる大きさに裁断された(本明細書において、「裁断」には「打ち抜き」および「切り出し」等も含むものとする)偏光板の両者を含む意味で用いられる。また、本明細書では、「偏光膜」及び「偏光板」を区別して用いるが、「偏光板」は「偏光膜」の少なくとも片面に該偏光膜を保護する透明保護膜を有する積層体のことを意味するものとする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の液晶表示装置の一実施形態の構成部材について順次説明する。
図1は、本発明の液晶表示装置の一実施形態の模式図、図2は、本発明の偏光板の一実施形態の断面模式図である。
【0020】
[液晶表示装置]
図1に示す液晶表示装置は、液晶セル5〜8、および液晶セル5〜8を挟持して配置された上側偏光膜1と下側偏光膜101とを有する。偏光膜1および101は、それぞれ一対の透明保護フィルムによって挟持されているが、図1中では液晶セルに近い側に配置される透明保護フィルム3aおよび103aのみを示し、液晶セルに遠い側に配置される透明保護フィルムについては省略する。液晶セル5〜8は、液晶セル上側基板5と液晶セル下側基板8と、これらに挟持される液晶分子7とからなり、液晶分子7は、基板5および8の対向面に施されたラビング処理の方向6および9によって、その配向方向が制御されている。
【0021】
図2に、図1の液晶表示装置に用いられている偏光板の模式図を示す。
上側偏光板は、一対の透明保護フィルム3aおよび3b、ならびにこれらに挟持される偏光膜1からなる(透明保護フィルム3aが液晶セル(図1において5〜8)に近い側に配置されるものとする)。偏光膜1の吸収軸2は、透明保護フィルム3aの遅相軸4aと交差している。具体的には、偏光膜1の吸収軸2と透明保護フィルム3aの遅相軸4aとの角度αは、好ましくは10°〜90°、より好ましくは20°〜70゜、更に好ましくは40°〜50゜、特に好ましくは43〜47゜である。他方の透明保護フィルム3b(液晶セル5〜8に遠い側に配置される。図1中不図示)の遅相軸4bと、偏光膜1の吸収軸2とのなす角については特に制限はないが、前記αの好ましい範囲と同様である。
【0022】
一対の透明保護フィルム3aおよび3bのそれぞれの遅相軸4aおよび4bは、互いに実質的に平行であるのが好ましい。遅相軸4aおよび4bが平行であると、偏光板の機械的安定性の向上や、光学的性能の均一化の効果が得られるので好ましい。また、液晶セルに遠い側に配置される透明保護フィルム3bの遅相軸4bと偏光膜1の吸収軸2とが実質的に平行であると、偏光板の寸法変化やカール防止といった機械的信頼性が向上する。遅相軸4bと吸収軸2が直交していても同様の効果が得られ、また、透明保護フィルム3aおよび3bの厚さや剛性が充分であれば、吸収軸2、2枚の保護フィルムの遅相軸4aおよび4bがそれぞれ異なる角度で交差しても、同様な効果が得られる。
【0023】
再び、図1において、下側偏光板も、上側偏光板と同様、図2に示す構成であるのが好ましく、偏光膜1と偏光膜101の前記液晶層に近い側の保護フィルム3aおよび103aの遅相軸4aおよび104aは、互いに実質的に平行もしくは直交しているのが好ましい。透明保護フィルム3aおよび103aの遅相軸4aおよび104aが互いに直交していると、それぞれの保護フィルムの複屈折を互いに打ち消すことにより、液晶表示装置に垂直入射した光の光学特性が劣化するのを低減することができる。また、遅相軸4aおよび104aが互いに平行する態様では、液晶層に残留位相差がある場合には保護膜の複屈折性でこの位相差を補償することができる。
【0024】
液晶セルは、上側基板5および下側基板8と、これらに挟持される液晶分子7から形成される液晶層からなる。基板5および8の液晶分子7に接触する表面(以下、「内面」という場合がある)には、配向膜(不図示)が形成されていて、配向膜上に施されたラビング処理等により、電圧無印加状態もしくは低印加状態における液晶分子7の配向が制御されている。また、基板5および8の内面には、液晶分子7からなる液晶層に電圧を印加可能な透明電極(不図示)が形成されている。
【0025】
液晶層の表示モードについては特に限定されず、VAモード、IPSモード、ECBモード、TNモードおよびOCBモード等、いずれの表示モードの液晶層であってもよい。本発明では、液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dは、0.1〜1.0μmとする。Δn・dの最適値は表示モードにより異なる。透過モードにおいて、ねじれ構造を持たないVA型やIPS型、ECB型では0.2〜0.4μmの範囲、TN型はねじれ角度の大きさにも依存するが0.2〜0.5μmの範囲、さらにOCB型では0.6〜1.0μmの範囲が最適値となる。こられの範囲では白表示輝度が高く、黒表示輝度が小さいことから、明るくコントラストの高い表示装置が得られる。
なお、図1には、上側偏光板および下側偏光板を備えた透過モードの表示装置の態様を示したが、本発明は一の偏光板のみを備える反射モードの態様であってもよく、かかる場合は、液晶セル内の光路が2倍になることから、最適Δn・dの値は上記の1/2程度の値になる。
【0026】
偏光膜1および101の吸収軸2および102、保護フィルム3aおよび103aの遅相軸方向4aおよび104a、ならびに液晶分子7の配向方向については、各部材に用いられる材料、表示モード、部材の積層構造等に応じて最適な範囲に調整することができる。例えば、VA型やIPS型のノーマリーブラックタイプに属する液晶表示装置の態様においては、高コントラストを得るためには、偏光膜1および101の吸収軸2および102が、互いに実質的に直交しているように配置する。但し、本発明の液晶表示装置は、この構成に限定されるものではない。
【0027】
本発明の液晶表示装置は、図1に示す構成に限定されず、他の部材を含んでいてもよい。例えば、液晶セルと偏光膜との間にカラーフィルターを配置してもよい。また、後述する様に、液晶セルと偏光板との間に、別途光学補償シートを配置することもできる。また、透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置することができる。
また、本発明の液晶表示装置は、反射型であってもよく、かかる場合は、偏光板は観察側に1枚配置したのみでよく、液晶セル背面あるいは液晶セルの下側基板の内面に反射膜を設置する。もちろん前記光源を用いたフロントライトを液晶セル観察側に設けることも可能である。
【0028】
本発明の液晶表示装置には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。
本発明は、TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置に適用した態様が特に有効である。勿論、時分割駆動と呼ばれるSTN型に代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置に適用した態様も有効である。
【0029】
図1に示す液晶表示装置の動作について、VAモードを例を挙げて説明する。
本実施の形態では、電界効果型液晶として正の誘電異方性を有するネマチック液晶を用いてアクティブ駆動を行った例で説明する。
図1に示す液晶表示装置は、液晶セル基板5および8のそれぞれの透明電極(不図示)に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶層中の液晶分子7は、基板5および8の面に対して概略垂直に配向し、その結果、通過する光の偏光状態はほとんど変化しない。吸収軸2と102は直交しているので、下側(例えば背面電極)から入射した光は、偏光膜101によって偏光され、偏光状態を維持したまま液晶セル5〜8を通過し、偏光膜1によって遮断される。すなわち、図1の液晶表示装置では、非駆動状態において理想的な黒表示を実現する。これに対し、透明電極(不図示)に駆動電圧を印加した駆動状態では、液晶分子7は基板5および8の面に平行な方向に傾斜し、通過する光はかかる傾斜した液晶分子7により偏光状態を変化させる。従って、下側(例えば背面電極)から入射した光は、偏光膜101によって偏光され、さらに液晶セル5〜8を通過することによって偏光状態が変化し、偏光膜1を通過する。すなわち、図1に示す液晶表示装置では、駆動状態において白表示が得られる。
【0030】
ここでは上下基板5および8間に電界が印加されるため、電界方向に垂直に液晶分子7が応答するような、誘電率異方性が負の液晶材料を使用する。また電極を基板5および8のいずれか一方にのみ形成し、電界が基板面に平行の横方向に印加される場合は、液晶材料は正の誘電率異方性を有するものを使用することができる。
【0031】
VAモードの特徴は、高速応答であることと、コントラストが高いことである。しかし、従来のVAモードの液晶表示装置には、コントラストは正面では高いが、斜め方向では劣化するという課題があった。黒表示時に液晶分子7は基板5および8の面に垂直に配向しているので、正面から観察すると、液晶分子7の複屈折はほとんどないため透過率は低く、高コントラストが得られる。しかし、斜めから観察した場合は液晶分子7に複屈折が生じる。さらに上下の偏光膜1および101の吸収軸2および102の交差角が、正面では90°の直交であるが、斜めから見た場合は90°より大きくなる。この2つの要因のために斜め方向では漏れ光が生じ、コントラストが低下する。図1の液晶表示装置では、偏光板1または101の、少なくとも液晶セルに近い側に配置される透明保護フィルム3aおよび103aの遅相軸4aおよび104aを、吸収軸2と交差させることで、黒表示における透過率の視野角特性を改善し、広視野角化を達成している。
【0032】
また、白表示時には液晶分子7が傾斜しているので、傾斜方向とその逆方向では、斜めから観察した時の液晶分子7の複屈折の大きさが異なり、輝度や色調に差が生じるが、液晶表示装置の一画素を複数の領域に分割するマルチドメインと呼ばれる構造にすると、輝度や色調の視野角特性が改善されるので好ましい。具体的には、画素のそれぞれを液晶分子の初期配向状態が互いに異なる2以上(好ましくは4または8)の領域で構成して平均化することで、視野角に依存した輝度や色調の偏りを低減することができる。また、それぞれの画素を、電圧印加状態において液晶分子の配向方向が連続的に変化する互いに異なる2以上の領域から構成しても同様の効果が得られる。
【0033】
一画素内で液晶分子7の配向方向が異なる領域を複数形成するには、例えば、電極にスリットを設けたり、突起を設け、電界方向を変えたり、電界密度に偏りを持たせる等の方法を利用することができる。全方向で均等な視野角を得るにはこの分割数を多くすればよいが、4分割あるいは8分割以上とすることで、ほぼ均等な視野角が得られる。特に8分割時は偏光板吸収軸を任意の角度に設定できるので好ましい。
【0034】
各ドメインの領域境界では、液晶分子7が応答し難い傾向がある。VAモード等のノーマリーブラックモードでは、黒表示が維持されるため、輝度低下が問題となる。そこで液晶材料にカイラル剤を添加してドメイン間の境界領域を小さくすることが可能である。一方、ノーマリーホワイトモードでは白表示状態が維持されるため、正面コントラストが低下する。そこで、その領域を覆うブラックマトリックスなどの遮光層を設けるとよい。
【0035】
液晶表示装置にはアクティブマトリックスとパッシブマトリックスという2種類の駆動方式があり、ノートパソコンやフラットテレビなどに使われている液晶表示装置はアクティブマトリックスの薄膜トランジスタを使うのが一般的である。アクティブマトリックスの薄膜トランジスタに電気信号を送る配線に対して、偏光膜1および101の吸収軸2および102が、実質的に45°で交差していると、視野角特性が左右対称構造となるので好ましい。VAモードのみならず、TNおよびOCBモードにおいても同様である。偏光板の吸収軸が液晶セル基板長辺に対して平行もしくは垂直であると、信号線と吸収軸との交差角を考慮して配線する必要があるが、図1に示す様に、偏光板の吸収軸を、元々、液晶セル基板長辺に対して45°で交差させれば、単に信号線が液晶セル基板長辺に対して平行もしくは垂直となるように設計すれば、左右対称の視野角が得られる。かかる観点から、図1中の偏光膜1および101の吸収軸2および102は、液晶セル基板5および8の長辺に対して、+45°または−45°で交差しているのが理想的である。但し、信号線が直線でない場合も考慮すると、45°±10°または−45°±10°で交差しているのが好ましい。
【0036】
VAモードの液晶セルは、例えば、上下基板5および8間に、誘電異方性が負で、Δn=0.0813、Δε=−4.6程度のネマチック液晶材料などを、ラビング配向により、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角を約89°として作製することができる。液晶層の厚さdについては特に制限されないが、前記範囲の特性の液晶を用いる場合、3.5μm程度に設定することができる。厚さdと屈折率異方性Δnの積Δn・dの大きさにより白表示時の明るさが変化するので、最大の明るさを得るためには、Δn・dは0.2〜0.5μmの範囲になるように設定するのが好ましい。
なお、VAモードの液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル材の添加は、動的応答特性の劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。また、上記した様に、マルチドメイン構造とする場合には、各ドメイン間の境界領域の液晶分子の配向を調整するのに有利である。
【0037】
上記では、前述の各種液晶表示モードにおいて、電圧無印加あるいは低電圧印加時に黒表示で、高電圧印加時に白表示になる方式の、いわゆるノーマリーブラックモードのうち、VAモードについて説明したが、本発明はこれに限定されるわけではなく、他のノーマリーブラックモードである、IPSモードを利用した態様であってもよい。また、電圧無印加あるいは低電圧印加時に白表示で、高電圧印加時に黒表示になるノーマリーホワイトモードを利用した態様であってもよく、OCBモード、ECBモードまたはTNモードの液晶セルを用いることもできる。また、黒表示時にネマチック液晶材料の液晶分子が基板の表面に対して略平行に配向する液晶セルを用いることもでき、具体的には、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示するIPSモードあるいはECBモードの液晶セルを用いることもできる。なお、この態様においては、視野角の改善効果を得るためには、偏光板の保護膜の(nx−ny)×dの値は、液晶層のΔn・dの値前後に設定するのが好ましい。
【0038】
本発明は、偏光板の透明保護膜の遅相軸と、偏光膜の吸収軸とを所定の関係とすることで、液晶表示装置の視野角の改善を図るものであるが、さらに、偏光板と液晶セルとの間に光学補償シートを配置すると、より視野角が改善されるので好ましい。光学補償シートについては、特に制限されず、光学補償能を有する限り、如何なる構成であってもよい。例えば、複屈折性の高分子フィルムや、透明支持体と該透明支持体上に形成された液晶分子からなる光学異方性層の積層体などが挙げられる。後者の態様においては、偏光板の液晶層に近い側の透明保護フィルム3aおよび103aが、前記光学異方性層の支持体を兼ねていてもよい。
【0039】
VAモードの視野角を改善させるため、正の屈折率異方性を有する位相差板と、負の屈折率異方性を有する位相差板を用いる手法が、特開平10−153802号公報に記載されていて、本発明にも該手法を適用することができる。位相差板は、それぞれ互いに直交するx、yおよびz軸方向に3つの平均屈折率nx、nyおよびnzを有し、面内の平均屈折率をnxおよびny、厚さ方向平均屈折率をnzとしたとき、nx、ny=nz、nx>nyとなる位相差板(以下、「Aプレート」という)と、nx=ny、nz、nx>nzとなる位相差板(以下、「負のCプレート」という)、およびnx=ny、nz、nx<nzとなる位相差板(以下、「正のCプレート」という)がある。前記Aプレートと前記負のCプレートとの積層体を光学補償シートとして用いると、VAモードの黒表示の斜め方向から見た場合の漏れ光を防止することができる。また、上記した様に、上側偏光膜1と下側偏光膜101の吸収軸2および102が直交配置されていると、斜めから観察すると交差角度が直角からずれ、漏れ光が増えるという問題がある。この漏れ光は、前記Aプレートと前記負のCプレートを積層した積層体を用いることによって低減することができることが知られている(特開2001−350022号公報参照)。VAモードで垂直配向した液晶分子の視野角光学補償のためには、前記負のCプレートが有効であるが、前述の偏光板視野角の改善のためには、前記Aプレートも必要となる。従って、前記Aプレートと前記負のCプレートとの積層体を光学補償シートとして用いると、VAモードで垂直配向した液晶分子の視野角の光学補償、および偏光板視野角の改善に有利である。
【0040】
さらに、前記Aプレートと前記Cプレートとを組合せた光学補償シートは、液晶層のΔndの大きさ、積層配置場所、偏光板の保護フィルム(保護膜)の光学性能により様々な態様がある。
偏光板の保護フィルム(図1中の3aまたは103a)のRe値((nx−ny)×d;dは保護フィルムの厚さ(nm))が0nm近傍の場合は、AプレートとCプレートとを光学補償シートとして、液晶セルと偏光板との間(図1中、8と103aとの間、または3aと5との間)に配置するのが好ましい。この時、Aプレートを最も光源よりに配置すると漏れ光が少なく好ましい。
【0041】
偏光板の保護フィルム(図1中の3aまたは103a)のRe値が0nmで、Rth値({(nx+ny)/2−nz}×d)が50〜200nm程度の場合は、保護フィルムはCプレートと同様の光学補償能を示すので、Aプレートのみを光学補償層として、液晶セルと偏光板との間(図1中、8と103aとの間、または3aと5との間)に配置することができる。この時、Aプレートを最も光源より液晶セルの下側、すなわち光源側に配置するのが有効である。また、保護フィルムのRth不足を補うため、別途Cプレートを配置してもよい。
偏光板の保護フィルム(図1中の3aまたは103a)のRe値とRth値がともに0nmでない場合、保護フィルムは光学補償能を示すので、光学補償層を別途設けなくても、光学補償シートによる効果が得られる。透明保護フィルムに光学補償層としての機能を持たせるには、少なくとも一方の保護フィルムのRe値は5〜50nm、Rth値は50〜300nmであるのが好ましい。
なお、透明保護フィルムが光学補償能を有する場合であっても、保護フィルムのRe値とRth値の不足分を補うために、別途AプレートとCプレートを配置してもよい。
【0042】
別途、光学異方性層を有する光学補償シートを組み込む態様では、偏光板の液晶セルに近い側に配置される透明保護膜は、光学異方性層の支持体を兼ねることができる。従って、透明保護膜、偏光膜、透明保護膜(透明支持体を兼用)および光学的異方性層の順序で積層した一体型偏光板として、液晶表示装置内に組み込んでもよい。また、順次積層しつつ、液晶表示装置を作製してもよい。液晶表示装置内では、装置の外側(液晶セルから遠い側)から、透明保護膜、偏光膜、透明保護膜(光学異方性層の透明支持体を兼ねる)および光学的異方性層の順序で積層することが好ましい。
【0043】
以下、本発明の液晶表示装置に使用可能な種々の部材に用いられる材料、その製造方法等について、詳細に説明する。
[偏光板]
本発明では、偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜とからなる偏光板を用いる。例えば、ポリビニルアルコールフィルム等からなる偏光膜をヨウ素にて染色し、延伸を行い、その両面を保護フィルムにて積層して得られる偏光板を用いることができる。該偏光板は液晶セルの外側に配置される。偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜とからなる一対の偏光板を、液晶セルを挟持して配置させるのが好ましい。
【0044】
[偏光膜]
本発明に用いる偏光膜は、その吸収軸が長手方向に対して所定の角度を有しているのが好ましい。偏光膜の吸収軸が長手方向に対して所定の角度を有していると、遅相軸が長手方向と一致している保護膜と貼り合せる際に、ロールtoロールで容易に貼り合わせることができる。例えば、長尺状に作製した偏光膜の両面に、長尺状に作製した一対の保護膜を貼り合せて、長尺状の積層体を得、所望の大きさに裁断(打ち抜き)する工程を経て、得率よく単板の偏光板を得ることができる。以下に、前記吸収軸が長手方向に対して所定の角度を有する偏光膜を製造するための、好ましい延伸方法および好ましい材料等について詳述する。
【0045】
<延伸方法>
本発明では、ポリマーフィルムを斜め延伸することによって作製した偏光膜を用いるのが好ましい。図3および図4に、偏光膜用のポリマーフィルムを斜め延伸する装置の例を、概略平面図として示す(以後「偏光膜用のポリマーフィルム」については、他の高分子層との混同・誤解のない限り”偏光膜用の”を省略して用いる)。
【0046】
フィルムは(イ)の方向から連続的に導入され、上流側から見て左側の保持手段にB1点で初めて保持される。この時点では、一方のフィルム端は保持されておらず、幅方向に張力は発生しない。つまり、B1点は本発明の実質的な保持開始点(以下、「実質保持開始点」という)には相当しない。
実質保持開始点は、フィルム両端が初めて保持される点で定義される。実質保持開始点は、より下流側の保持開始点A1と、A1から導入側フィルムの中心線11(図3)または21(図4)に略垂直に引いた直線が、反対側の保持手段の軌跡13(図3)または23(図4)と交わる点C1の2点で示される。
この点を起点とし、両端の保持手段を実質的に等速度で搬送すると、単位時間ごとにA1はA2,A3…Anと移動し、C1は同様にC2,C3…Cnに移動する。つまり同時点に基準となる保持手段が通過する点AnとCnを結ぶ直線が、その時点での延伸方向となる。
【0047】
前記斜め延伸方法では、図3および図4に示すように、AnはCnに対し次第に遅れてゆくため、延伸方向は、搬送方向垂直から徐々に傾斜していく。ポリマーフィルムの実質的な保持解除点(以下、「実質保持解除点」という)は、より上流で保持手段から離脱するCx点と、Cxから次工程へ送られるフィルムの中心線12(図3)または22(図4)に略垂直に引いた直線が、反対側の保持手段の軌跡14(図3)または24(図4)と交わる点Ayの2点で定義される。最終的なフィルムの延伸方向の角度は、実質的な延伸工程の終点(実質保持解除点)での左右保持手段の行程差Ay−Ax(すなわち|L1−L2|)と、実質保持解除点の距離W(CxとAyの距離)との比率で決まる。従って、延伸方向が次工程への搬送方向に対しなす傾斜角θは
tanθ=W/(Ay−Ax)、即ち、
tanθ=W/|L1−L2|
を満たす角度である。
図3および図4の上側のフィルム端は、Ay点の後も18(図3)または28(図4)まで保持されるが、もう一端が保持されていないため新たな幅方向延伸は発生せず、18および28は本発明の実質保持解除点ではない。
【0048】
以上のように、前記斜め延伸方法では、フィルムの両端にある実質保持開始点は、左右各々の保持手段への単純な噛み込み点ではない。前記斜め延伸方法では、二つの実質保持開始点は、上記で定義したことをより厳密に記述すれば、左右いずれかの保持点と他の保持点とを結ぶ直線がフィルムを保持する工程に導入されるフィルムの中心線と略直交している点であり、かつこれらの二つの保持点が最も上流に位置するものとして定義される。同様に、前記斜め延伸方法において、二つの実質保持解除点は、左右いずれかの保持点と他の保持点とを結ぶ直線が、次工程に送りだされるフィルムの中心線と略直交している点であり、しかもこれら二つの保持点が最も下流に位置するものとして定義される。
ここで、略直交とは、フィルムの中心線と左右の実質保持開始点、あるいは実質保持解除点を結ぶ直線が、90±0.5゜であることを意味する。
【0049】
テンター方式の延伸機を用いて左右の行程差を付けようとする場合、レール長などの機械的制約により、しばしば保持手段への噛み込み点と実質保持開始点に大きなズレが生じたり、保持手段からの離脱点と実質保持解除点に大きなズレが生ずることがあるが、上記定義する実質保持開始点と実質保持解除点間の工程が下記式(3)の関係を満たしていれば本発明の目的は達成される。
|L2−L1|>0.4W (3)
【0050】
上記において、得られる延伸フィルムにおける配向軸の傾斜角度は、(c)工程の出口幅Wと、左右の二つの実質的保持手段の行程差|L1−L2|の比率で制御、調整することができる。
偏光板、位相差膜では、しばしば長手方向に対し45゜配向したフィルムが求められる。この場合、45゜に近い配向角を得るために、下記式(4)を満たすことが好ましく、
0.9W<|L1−L2|<1.1W (4)
さらに好ましくは、下記式(5)を満たすことが好ましい。
0.97W<|L1−L2|<1.03W (5)
【0051】
上記延伸工程の具体的構造は、上記式(3)を満たす限り、図3および図4の他、図5〜8に例示する構造の延伸装置により、前記斜め延伸を実施することができ、設備コスト、生産性を考慮して任意に設計できる。
【0052】
延伸工程へのフィルム導入方向(イ)と、次工程へのフィルム搬送方向(ロ)のなす角度は、任意の数値が可能であるが、延伸前後の工程を含めた設備の総設置面積を最小にする観点からは、この角度は小さい方がよく、3゜以内が好ましく、0.5゜以内がさらに好ましい。例えば、図3および図6に例示するような構造で、この値を達成することができる。
【0053】
このようにフィルム進行方向が実質的に変わらない方法では、保持手段の幅を拡大するのみでは、偏光板、位相差膜として好ましい長手方向に対して45゜の配向角を得るのは困難である。そこで、図3の如く、一旦延伸した後、収縮させる工程を設けることで、|L1−L2|を大きくすることができる。
延伸率は1.1〜10.0倍が望ましく、より望ましくは2〜10倍であり、その後の収縮率は10%以上が望ましい。また、図6に示すように、延伸−収縮を複数回繰り返すことも、|L1−L2|を大きくできるため好ましい。
【0054】
また、延伸工程の設備コストを最小に抑える観点からは、保持手段の軌跡の屈曲回数、屈曲角度は小さい程良い。この観点からは、図4、図5、図7に例示する如くフィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向をフィルム両端を保持させた状態で屈曲させることが好ましい。
【0055】
斜め延伸方法に利用可能な、ポリマーフィルムの両端を保持してポリマーフィルムに張力を付与しつつ、ポリマーフィルムを延伸する装置としては、いわゆる図3〜図7のようなテンター装置が好ましい。また、従来型の2次元的なテンターの他に、図8のように螺旋状に両端の把持手段に行路差を付ける延伸工程を用いることもできる。
【0056】
テンター型の延伸機の場合、クリップが固定されたチェーンがレールに沿って進む構造が多いが、本発明のように左右不均等な延伸方法をとると、結果的に図3および図4に例示される如く、工程入口、出口でレールの終端がずれ、左右同時に噛み込み、離脱をしなくなることがある。この場合、実質工程長L1,L2は、上に述べたように単純な噛み込み−離脱間の距離ではなく、既に述べたように、あくまでフィルムの両端を保持手段が保持している部分の行程長である。
【0057】
延伸工程出口でフィルムの左右に進行速度差があると、延伸工程出口におけるシワ、寄りが発生するため、左右のフィルム把持手段の搬送速度差は、実質的に同速度であることが求められる。速度差は好ましくは1%以下であり、さらに好ましくは0.5%未満であり、最も好ましくは0.05%未満である。ここで述べる速度とは、毎分当たりに左右各々の保持手段が進む軌跡の長さのことである。一般的なテンター延伸機等では、チェーンを駆動するスプロケット歯の周期、駆動モータの周波数等に応じ、秒以下のオーダーで発生する速度ムラがあり、しばしば数%のムラを生ずるが、これらは明細書で述べる速度差には該当しない。
【0058】
<収縮>
延伸ポリマーフィルムの収縮は、延伸時・延伸後のいずれの工程で行ってもよい。収縮は、斜め方向に配向する際の発生するポリマーフィルムのシワが解消すればよく、フィルムを収縮させる手段としては、温度を掛けることにより、揮発分を除去する方法などが挙げられるが、フィルムを収縮させればいかなる手段を用いてもよい。好ましいフィルムの収縮率としては、長手方向に対する配向角θを用いて、1/sinθ倍以上収縮することで、値としては10%以上収縮することが好ましい。
【0059】
<揮発分率>
また、左右の行程差が生じるに従って、フィルムにシワ、寄りが発生する。この問題を解決するためには、ポリマーフィルムの支持性を保ち、且つポリマーフィルム中の揮発分率を10%以上の状態で延伸し、その後収縮させ揮発分率を低下させるのが好ましい。本明細書において、「揮発分率」とは、フィルムの単位体積あたりに含まれる揮発成分の体積を表し、揮発成分体積をフィルム体積で割った値である。揮発分を含有させる方法としては、フィルムをキャストし、溶剤・水を含有させる、延伸前に溶剤・水などに浸漬・塗布・噴霧する、延伸中に溶剤・水を塗布することなどが挙げられる。ポリビニルアルコールなどの親水性ポリマーフィルムは、高温高湿雰囲気下で水を含有するので、高湿雰囲気下で調湿後延伸、もしくは高湿条件下で延伸することにより揮発分を含有させることができる。これらの方法以外でも、ポリマーフィルムの揮発分を5%以上にさせることができれば、いかなる手段を用いてもよい。
【0060】
好ましい揮発分率は、ポリマーフィルムの種類によって異なる。揮発分率の最大は、ポリマーフィルムの支持性を保つ限り可能である。ポリビニルアルコールでは、揮発分率として10%〜100%が好ましい。セルロースアシレートでは、10%〜200%が好ましい。
【0061】
<弾性率>
延伸前のポリマーフィルムの物性としては、弾性率が低すぎると延伸時・延伸後の収縮率が低くなり、シワが消えにくくなる。また、高すぎると延伸時にかかる張力が大きくなり、フィルム両端を保持する部分の強度を高くする必要が生じ、機械に対する負荷が大きくなる。従って、延伸前のポリマーフィルムの弾性率は、ヤング率で表すと0.1MPa以上500MPa以下であるのが好ましく、0.1MPa以上500MPa以下であるのがより好ましい。
【0062】
<シワ発生から消失までの距離>
斜め方向に配向する際に発生するポリマーフィルムのシワは、前記実質保持解除点までに消失していればよい。しかし、シワの発生から消失までに時間がかかると、延伸方向のばらつきが生じることがあるため、好ましくは、シワが発生した地点からできるだけ短い移行距離でシワが消失するのが好ましい。このためには、揮発分量の揮発速度を高くするなどの方法がある。
【0063】
<異物>
延伸前のポリマーフィルムに異物が付着していると、表面が粗くなるため、異物は除去することが好ましい。異物が存在していると、特に偏光板作製時には、色むら・光学むらの原因となる。また、保護膜を貼り合わせるまでの間に、異物が付着しないことも重要で、極力浮遊するゴミが少ない環境下で製造することが好ましい。本明細書において「異物の量」とは、フィルム表面に付着している異物の質量を表面積で割った値で、平方メートルあたりのグラム数を表す。異物は1質量%以下が好ましく、更に好ましくは0.5質量%以下であり、少ないほど好ましい。異物の除去方法としては特に限定されず、延伸前のポリマーフィルムに悪影響を与えることなく、異物を除去することができれば、いずれの方法でもよい。例えば、水流を吹き付けることにより異物を掻き落とす方法、気体噴射により異物を掻き落とす方法、布、ゴム等のブレードを用いて異物を掻き落とす方法等が挙げられる。
【0064】
<乾燥>
発生したシワが消失する条件であれば、乾燥条件はいかようでもかまわない。
但し、好ましくは、所望の配向角度が得られた後、できるだけ短い移動距離で乾燥点に至るように調節するのがよい。乾燥点とは、フィルムの表面膜温度が環境雰囲気温度と同じになる場所を意味する。このことから、乾燥速度もできるだけ速いほうが好ましい。
【0065】
<乾燥温度>
発生したシワが消失する条件であれば、乾燥温度条件はいかようでもかまわないが、延伸するフィルムによって異なる。ポリビニルアルコール系フィルムを用いて偏光膜を作製する場合には、20℃以上100℃以下が好ましく、より好ましくは40℃以上90℃以下である。
【0066】
<膨潤率>
前記ポリマーフィルムがポリビニルアルコール系フィルムで、硬膜剤を含有する場合、斜め方向に延伸した状態を緩和せずに保つために、延伸前後で水に対する膨潤率が異なることが好ましい。具体的には、延伸前の膨潤率が高く、延伸・乾燥後の膨潤率が低くなることが好ましい。更に好ましくは、延伸する前の水に対する膨潤率が3%以上で、乾燥後の膨潤率が3%以下であることが好ましい。
【0067】
<屈折部の規定>
前記斜め延伸方法において、保持手段の軌跡を規制するレールには、しばしば大きい屈曲率が求められる。急激な屈曲によるフィルム把持手段同士の干渉、あるいは局所的な応力集中を避ける目的から、屈曲部では把持手段の軌跡が円弧を描くようにすることが望ましい。
【0068】
<延伸速度>
前記斜め延伸方法において、ポリマーフィルムを延伸する速度は、単位時間当りの延伸倍率で表すと、1.1倍/分以上、好ましくは2倍/分以上で、速いほうが好ましい。また、長手方向の進行速度は、0.1m/分以上、好ましくは1m/分以上で、速いほうが生産性の観点から好ましい。いずれの場合も、上限は、延伸するフィルムおよび延伸機により異なる。
【0069】
<長手方向の張力>
前記斜め延伸方法において、フィルムの両端を保持手段により保持する際、保持し易いようにフィルムが張った状態にしておくことが好ましい。具体的には、長手方向に張力をかけてフィルムを張るなどの方法が挙げられる。張力としては、延伸前のフィルム状態により異なるが、弛まない程度にすることが好ましい。
【0070】
<延伸時温度>
前記斜め延伸方法において、フィルム延伸時の環境温度は少なくともフィルムに含まれる揮発分の凝固点以上であればよい。フィルムがポリビニルアルコールである場合には、25℃以上が好ましい。また、偏光膜を作製するためのヨウ素・ホウ酸を浸漬したポリビニルアルコールを延伸する場合には、25℃以上90℃以下が好ましい。
【0071】
<延伸時湿度>
揮発分が水であるフィルム、例えばポリビニルアルコール、セルロースアシレートなどを延伸する場合は、調湿雰囲気下で延伸してもよい。ポリビニルアルコールである場合は、50%以上が好ましく、好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上である。
【0072】
<延伸フィルム>
延伸の対象とするポリマーフィルムに関しては特に制限はなく、熱可塑性の適宜なポリマーからなるフィルムを用いることができる。ポリマーの例としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリカーボネート、セルロースアシレート、ポリスルホンなどを挙げることができる。
【0073】
延伸前のフィルムの厚みは特に、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から1μm〜1mmが好ましく、20〜300μmがより好ましく、75〜200μmが特に好ましい。延伸、乾燥後のフィルムの厚みは3μm以上50μm以下が好ましく、5μm以上40μm以下がより好ましく、10μm以上30μm以下が特に好ましい。
【0074】
偏光膜用フィルムのポリマーとしては、PVAが好ましく用いられる。PVAは通常、ポリ酢酸ビニルをケン化したものであるが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のように酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。
PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。
【0075】
<染色処方・方法>
PVAを染色して偏光膜が得られるが、染色工程は気相または液相吸着により行われる。液相で行う場合の例として、ヨウ素を用いる場合には、ヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液にPVAフィルムを浸漬させて行われる。ヨウ素は0.1〜20g/l、ヨウ化カリウムは1〜200g/l、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は1〜200が好ましい。染色時間は10〜5000秒が好ましく、液温度は5〜60℃が好ましい。染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。染色工程は、前記斜め延伸工程の前後いずれのタイミングで実施してもよいが、適度に膜が膨潤され延伸が容易になることから、延伸工程前に液相で染色することが特に好ましい。
【0076】
<硬膜剤・金属塩添加>
PVAを延伸して偏光膜を製造する過程では、PVAに架橋させる添加物を用いることが好ましい。特に本発明の斜め延伸法を用いる場合、延伸工程出口でPVAが充分に硬膜されていないと、工程のテンションでPVAの配向方向がずれてしまうことがあるため、延伸前工程あるいは延伸工程で架橋剤溶液に浸漬、または溶液を塗布して架橋剤を含ませるのが好ましい。架橋剤をPVAフィルムに付与する手段は、特に限定されるものではなく、フィルムの液への浸漬、塗布、噴霧等任意の方法を用いることができるが、特に浸漬法、塗布法が好ましい。塗布手段としてはロールコータ、ダイコータ、バーコータ、スライドコータ、カーテンコータ等、通常知られている任意の手段をとることができる。また、溶液を含浸させた布、綿、多孔質素材等をフィルムに接触する方式も好ましい。架橋剤としては、米国再発行特許第232897号明細書に記載のものが使用できるが、ホウ酸、ホウ砂が実用的に好ましく用いられる。また、亜鉛、コバルト、ジルコニウム、鉄、ニッケル、マンガン等の金属塩も併せて用いることができる。
また、硬膜剤を添加した後に洗浄/水洗工程を設けてもよい。
【0077】
架橋剤の付与は、延伸機に噛み込む前に行ってもよいし、噛み込んだ後に行ってもよく、幅方向延伸が実質的に終了する図3、図4の例の(b)工程の終端までのいずれかの工程で行えばよい。
【0078】
<偏光子>
ヨウ素の他に二色性色素で染色することも好ましい。二色性色素の具体例としては、例えばアゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素、アントラキノン系色素等の色素系化合物をあげることができる。水溶性のものが好ましいが、この限りではない。又、これらの二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入されていることが好ましい。二色性分子の具体例としては、例えばシー.アイ.ダイレクト.イエロー12、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ39、シー.アイ.ダイレクト.オレンジ72、シー.アイ.ダイレクト.レッド39、シー.アイ.ダイレクト.レッド79、シー.アイ.ダイレクト.レッド81、シー.アイ.ダイレクト.レッド83、シー.アイ.ダイレクト.レッド89、シー.アイ.ダイレクト.バイオレット48、シー.アイ.ダイレクト.ブルー67、シー.アイ.ダイレクト.ブルー90、シー.アイ.ダイレクト.グリーン59、シー.アイ.アシッド.レッド37等が挙げられ、さらに特開昭62−70802号、特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平7−261024号、の各公報記載の色素等が挙げられる。これらの二色性分子は遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として用いられる。これらの二色性分子は2種以上を配合することにより、各種の色相を有する偏光子を製造することができる。偏光素子または偏光板として偏光軸を直交させた時に黒色を呈する化合物(色素)や黒色を呈するように各種の二色性分子を配合したものが単板透過率、偏光率とも優れており好ましい。
【0079】
また、PVA、ポリ塩化ビニルを脱水、脱塩素することによりポリエン構造をつくり、共役二重結合により偏光を得るいわゆるポリビニレン系偏光膜の製造にも、本発明の延伸法は好ましく用いることができる。
【0080】
[保護膜]
本発明に関わる偏光板は、偏光膜の両面に一対の保護膜(保護フィルムともいう)を積層したものである。保護膜の種類は特に限定されず、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート等のセルロースエステル類、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル等を用いることができる。
【0081】
保護膜は、通常、ロール形態で供給され、長尺の偏光膜に対して、長手方向が一致するようにして連続して貼り合わされることが好ましい。ここで、保護膜の配向軸(遅相軸)は何れの方向であってもよく、操作上の簡便性から、保護膜の配向軸は、長手方向に平行であることが好ましい。
【0082】
本発明では、偏光膜を挟持する一対の保護膜の少なくとも一方(少なくとも、液晶表示装置に組み込んだ場合に、液晶セルに近い側に配置される保護膜)については、膜面の平均屈折率が最大となる方向と実質的に一致する遅相軸を有するものを用いる。即ち、少なくとも一方の保護膜は、それぞれ互いに直交するx、yおよびz軸方向に3つの平均屈折率nx、nyおよびnzを有し、面内の平均屈折率をnxおよびny、厚さ方向平均屈折率をnzとしたとき、nx、ny=nz、nx>nyの関係が成立するフィルム、nx=ny、nz、nx>nzが成立するフィルムなどからなる。上記した特開2001−350022号公報等に記載のAプレート、負のCプレートなどが挙げられる。前述した様に、保護膜に光学補償能を付与するには、可視光領域の任意の波長λにおいて、Re(即ち、(nx−ny)×d)が−5nm〜50nmで、且つRth(即ち、{(nx+ny)/2−nz}×d)が50nm〜300nmを満足しているのが好ましく、Reは2nm±2nmで、且つRthは150nm〜190nmであるのがより好ましい。
【0083】
一方、保護膜に光学補償層として機能させない態様では、透明保護膜のレターデーションは低いことが好ましく、偏光膜の吸収軸と透明保護膜の配向軸が平行でない態様では、特に透明保護膜のレターデーション値が一定値以上であると、偏光軸と透明保護膜の配向軸(遅相軸)が斜めにずれているため、直線偏光が楕円偏光に変化し、好ましくないとされている。従って、透明保護膜のレターデーションは、例えば632.8nmにおいて10nm以下が好ましく、5nm以下がさらに好ましい。レターデーションの低い高分子フィルムとしては、セルローストリアセテート、ゼオネックス、ゼオノア(共に日本ゼオン(株)製)、ARTON(JSR(株)製)のようなポリオレフィン類が好ましく用いられる。その他、例えば特開平8−110402号又は特開平11−293116号に記載されているような非複屈折性光学樹脂材料が挙げられる。
【0084】
保護膜と偏光膜とを貼り合す際には、少なくとも一方の保護膜(液晶表示装置に組み込まれる際に液晶セルに近い側に配置される保護膜)の遅相軸(配向軸)と、前記偏光膜の吸収軸(延伸軸)とが交差する様に、保護膜と偏光膜とを積層する。具体的には、偏光膜の吸収軸と前記保護膜の遅相軸との角度は、好ましくは10°〜90°、より好ましくは20°〜70゜、更に好ましくは40°〜50゜、特に好ましくは43〜47゜である。他方の保護膜の遅相軸と偏光膜の吸収軸の角度については、特に限定されず、偏光板の目的に応じて適宜設定できるが、上記範囲であるのが好ましく、一対の保護膜の遅相軸が一致しているのが好ましい。
なお、保護膜の遅相軸と偏光膜の吸収軸は互いに平行であると、偏光板の寸法変化やカール防止といった偏光板の機械的安定性を向上させることができる。偏光膜および一対の保護膜の合計3つのフィルムの少なくとも2つの軸、一方の保護膜の遅相軸と偏光膜吸収軸、あるいは2枚の保護フィルムの遅相軸などが実質的に平行であれば同じ効果が得られる。
【0085】
<接着剤>
偏光膜と保護膜との接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。接着剤層厚みは乾燥後に0.01〜10μmが好ましく、0.05〜5μmが特に好ましい。
【0086】
<偏光膜と透明保護膜の一貫製造工程>
本発明にかかわる偏光板は、偏光膜用フィルムを延伸後、収縮させ揮発分率を低下させる乾燥工程を有するが、乾燥後もしくは乾燥中に少なくとも片面に透明保護膜を貼り合わせた後、後加熱工程を有することが好ましい。前記透明保護膜が、光学補償層として機能する光学異方性層の支持体を兼ねている態様では、片面に透明保護膜、反対側に光学異方性層を有する透明支持体を貼り合わせた後、後加熱するのが好ましい。具体的な貼り付け方法として、フィルムの乾燥工程中、両端を保持した状態で接着剤を用いて偏光膜に透明保護膜を貼り付け、その後両端を耳きりする、もしくは乾燥後、両端保持部から偏光膜用フィルムを解除し、フィルム両端を耳きりした後、透明保護膜を貼り付けるなどの方法がある。耳きりの方法としては、刃物などのカッターで切る方法、レーザーを用いる方法など、一般的な技術を用いることができる。貼り合わせた後に、接着剤を乾燥させるため、および偏光性能を良化させるために、加熱することが好ましい。加熱の条件としては、接着剤により異なるが、水系の場合は、30℃以上が好ましく、さらに好ましくは40℃以上100℃以下、さらに好ましくは50℃以上90℃以下である。これらの工程は一貫のラインで製造されることが、性能上及び生産効率上更に好ましい。
【0087】
<打ち抜き>
図9に従来の偏光板打ち抜きの例を、図10に本発明にかかわる偏光板を打ち抜きする例を示す。従来の偏光板は、図9に示されるように、偏光の吸収軸71すなわち延伸軸が長手方向72と一致しているのに対し、本発明の偏光板は、図10に示されるように、偏光の吸収軸81すなわち延伸軸が長手方向82に対して45゜傾斜しており、この角度がLCDにおける液晶セルに貼り合わせる際の偏光板の吸収軸と、液晶セル自身の縦または横方向とのなす角度に一致しているため、打ち抜き工程において斜めの打ち抜きは不要となる。しかも図10からわかるように、本発明の偏光板は切断が長手方向に沿って一直線であるため、打ち抜かず長手方向に沿ってスリットすることによっても製造可能であるため、生産性も格段に優れている。
打ち抜きは、前記したように、この段階で行なっても、透明保護膜を貼り合せてから行なってもよい。
【0088】
<偏光板の性能>
本発明に関連する透明保護膜、偏光子、透明支持体からなる偏光板の光学的性質及び耐久性(短期、長期での保存性)は、市販のスーパーハイコントラスト品(例えば、株式会社サンリッツ社製HLC2−5618等)同等以上の性能を有することが好ましい。具体的には、可視光透過率が42.5%以上で、偏光度{(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2 ≧0.9995(但し、Tpは平行透過率、Tcは直交透過率)であり、60℃、湿度90%RH雰囲気下に500時間および80℃、ドライ雰囲気下に500時間放置した場合のその前後における光透過率の変化率が絶対値に基づいて3%以下、更には1%以下、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1%以下、更には0.1%以下であることが好ましい。
【0089】
[光学補償シート]
光学補償シートは、液晶表示装置において画像着色を解消したり、視野角を拡大するために用いられる。本発明では、前述した様に、光学補償シートは必須の部材ではなく、例えば、偏光板の一対の保護膜の一方または双方に複屈折性を付加させて、光学補償シートとして機能させる態様等では不要である。
【0090】
光学補償シート全体の面内レターデーション(Re)は、20〜200nmであることが好ましい。光学補償シート全体の厚み方向のレターデーション(Rth)は、50〜500nmであることが好ましい。光学補償シートの面内レターデーション(Re)と厚み方向のレターデーション(Rth)はそれぞれ以下の式で定義される。但し、dは光学補償シートの厚み(μm)である。
Re=(nx−ny)×d
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d
【0091】
光学補償シートとしては、延伸複屈折ポリマーフィルムからなる光学補償シート、および透明支持体上に低分子あるいは高分子液晶性化合物から形成された光学異方性層を有する光学補償シートがあるが、本発明ではいずれも使用することができる。前述の特開2001−350022号公報等に記載のAプレートおよびCプレートの積層体をはじめとする、積層構造の光学補償シートを用いることもできる。積層構造の光学補償シートについては、厚さを考慮すると、高分子の延伸フィルムの積層体からなる光学補償シートよりも、塗布型の積層体からなる光学補償シートが好ましい。なお、本発明において、光学補償シートとして、棒状液晶性化合物からなる光学異方性層を有する態様のものを用いる場合は、前記光学異方性層において、棒状液晶性化合物が面内に配向し、ハイブリッドしていないものを用いる。もしハイブリッドしている場合には、屈折率楕円体が表せないのでRthに関する上記関係式が成り立たない。
【0092】
光学補償シートとして用いられる高分子フィルムは、延伸された高分子フィルムであっても、また塗布型の高分子層と高分子フィルムとの併用でもよい。高分子フィルムの材料は、一般に合成ポリマー(例、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ノルボルネン樹脂、トリアセチルセルロース)が用いられる。
【0093】
次に、液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償シートについて詳細に説明する。
[液晶性化合物からなる光学異方性層]
液晶性化合物には多様な配向形態があるため、液晶性化合物からなる光学異方性層は、単層でまたは複数層の積層体により、所望の光学的性質を発現する。即ち、光学補償シートは、支持体と該支持体上に形成された1以上の光学異方性層とからなる態様であってもよい。かかる態様の光学補償シート全体のレターデーションは、光学異方性層の光学異方性によって調整することができる。液晶性化合物にはその形状から、棒状液晶化合物と円盤状液晶化合物に分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがあり、いずれも使用することができる。本発明に用いる液晶性化合物からなる光学異方性層は、液晶性化合物として、棒状液晶化合物または円盤状液晶性化合物を用いることが好ましく、重合性基を有する棒状液晶化合物または重合性基を有する円盤状液晶性化合物を用いるのがより好ましい。
【0094】
棒状液晶性化合物としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。以上のような低分子液晶性分子だけではなく、高分子液晶性分子も用いることができる。特に好ましく用いられる、低分子の重合性基を有する棒状液晶性化合物としては、下記式(I)の棒状液晶性化合物である。
【0095】
式(I) Q−L−A−L−M−L−A−L−Q
式中、QおよびQはそれぞれ独立に重合性基であり、L、L、LおよびLはそれぞれ単結合または二価の連結基を表すが、LまたはLの少なくとも一方は−O−CO−O−を表す。AおよびAはそれぞれ炭素原子数2〜20のスペーサー基を表し、Mはメソゲン基を表す。
【0096】
以下に、前記式(I)で表される重合性基を有する棒状液晶性化合物についてさらに詳細に説明する。
式中、QおよびQはそれぞれ独立に重合性基である。重合性基の重合反応は、付加重合(開環重合を含む)または縮合重合であることが好ましい。言い換えると、重合性基は、付加重合反応または縮合重合反応が可能な官能基であることが好ましい。以下に重合性基の例を示す。
【0097】
【化1】
Figure 2004226591
【0098】
、L、LおよびLで表される二価の連結基としては、−O−、−S−、−CO−、−NR−、−CO−O−、−O−CO−O−、−CO−NR−、−NR−CO−、−O−CO−、−O−CO−NR−、−NR−CO−O−、−NR−CO−NR−および単結合からなる群より選ばれる二価の連結基であることが好ましい。上記Rは炭素原子数が1〜7のアルキル基または水素原子である。この場合、LおよびLの少なくとも一方は、−O−CO−O−(カーボネート基)である。
前記式(I)中、Q−L−およびQ−L−は、CH=CH−CO−O−、CH=C(CH)−CO−O−およびCH=C(Cl)−CO−O−CO−O−が好ましく、CH=CH−CO−O−が最も好ましい。
【0099】
およびAは、炭素原子数2〜20を有するスペーサー基を表す。炭素原子数2〜12の脂肪族基が好ましく、特にアルキレン基が好ましい。スペーサー基は鎖状であることが好ましく、隣接していない酸素原子または硫黄原子を含んでいてもよい。また、前記スペーサー基は、置換基を有していてもよく、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素)、シアノ基、メチル基、エチル基が置換していてもよい。
【0100】
Mで表されるメソゲン基としては、公知のメソゲン基のいずれであってもよい。特に、下記式(II)で表される基が好ましい。
式(II) −(−W−L−W
式中、WおよびWは各々独立して、二価の環状脂肪族基、二価の芳香族基または二価のヘテロ環基を表し、Lは単結合または連結基を表し、連結基の具体例としては、前記式(I)中、L〜Lで表される基の具体例、および−CH−O−、―O―CH−が挙げられる。nは1、2または3を表す。
【0101】
およびWとしては、1,4−シクロヘキサンジイル、1,4−フェニレン、ピリミジン−2,5−ジイル、ピリジン−2,5ジイル、1,3,4−チアジアゾール−2,5−ジイル、1,3,4−オキサジアゾール−2,5−ジイル、ナフタレン−2,6−ジイル、ナフタレン−1,5−ジイル、チオフェン−2,5−ジイル、ピリダジン−3,6−ジイルが挙げられる。1,4−シクロヘキサンジイルの場合、トランス体およびシス体の構造異性体があるが、本発明ではどちらの異性体であってもよく、任意の割合の混合物でもよい。トランス体であることがより好ましい。WおよびWはそれぞれ置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、シアノ基、炭素原子数1〜10のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基など)、炭素原子数1〜10のアルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基など)、炭素原子数1〜10のアシル基(ホルミル基、アセチル基など)、炭素原子数1〜10のアルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、炭素原子数1〜10のアシルオキシ基(アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基など)、ニトロ基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、などが挙げられる。
【0102】
前記式(II)で表されるメソゲン基の基本骨格で好ましいものを、以下に例示する。これらに上記置換基が置換していてもよい。
【0103】
【化2】
Figure 2004226591
【0104】
以下に、前記式(I)で表される化合物の例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、式(I)で表される化合物は特表平11−513019号公報に記載の方法で合成することができる。
【0105】
【化3】
Figure 2004226591
【0106】
【化4】
Figure 2004226591
【0107】
【化5】
Figure 2004226591
【0108】
前記光学異方性層を形成する液晶性化合物として、円盤状液晶性化合物を用いることも好ましい。円盤状液晶性化合物は、ポリマーフィルム面に対して実質的に垂直(50〜90度の範囲の平均傾斜角)に配向させることが好ましい。円盤状液晶性化合物は、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew.Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc.,vol.116,page 2655(1994))に記載されている。円盤状液晶性化合物の重合については、特開平8−27284公報に記載がある。
【0109】
円盤状液晶性化合物は、重合により固定可能なように、重合性基を有するのが好ましい。例えば、円盤状液晶性化合物の円盤状コアに、置換基として重合性基を結合させた構造が考えられるが、但し、円盤状コアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、円盤状コアと重合性基との間に連結基を有する構造が好ましい。即ち、重合性基を有する円盤状液晶性化合物は、下記式(III)で表わされる化合物であることが好ましい。
式(III) D(−L−P)
式中、Dは円盤状コアであり、Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、nは4〜12の整数である。
【0110】
前記式(III)中の円盤状コア(D)、二価の連結基(L)および重合性基(P)の好ましい具体例は、それぞれ、特開2001−4837号公報に記載の(D1)〜(D15)、(L1)〜(L25)、(P1)〜(P18)であり、同公報に記載の内容を好ましく用いることができる。
【0111】
これらの液晶性化合物は、光学異方性層中では、実質的に均一に配向していることが好ましく、実質的に均一に配向している状態で固定されていることがさらに好ましく、重合反応により液晶性化合物が固定されていることが最も好ましい。
重合性基を有する棒状液晶性化合物の場合は、実質的に水平(ホモジニアス)配向に固定化することが好ましい。実質的に水平とは、棒状液晶性化合物の長軸方向と光学異方性層の面との平均角度(平均傾斜角)が0°〜40°の範囲内であることを意味する。棒状液晶性化合物を斜め配向させても良いし、傾斜角が徐々に変化するように(ハイブリッド配向)させても良い。斜め配向またはハイブリッド配向の場合でも、平均傾斜角は0°〜40°であることが好ましい。
重合性基を有する円盤状液晶性化合物の場合は、実質的に垂直配向させることが好ましい。実質的に垂直とは、円盤状液晶性化合物の円盤面と光学異方性層の面との平均角度(平均傾斜角)が50°〜90°の範囲内であることを意味する。円盤状液晶性化合物を斜め配向させても良いし、傾斜角が徐々に変化するように(ハイブリッド配向)させても良い。斜め配向またはハイブリッド配向の場合でも、平均傾斜角は50°〜90°であることが好ましい。
【0112】
光学異方性層は、液晶性化合物および下記の重合開始剤や他の添加剤を含む塗布液を、配向膜の上に塗布することで形成することが好ましい。塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例には、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が含まれる。アルキルハライドおよびケトンが好ましい。二種類以上の有機溶媒を併用してもよい。塗布液の塗布は、公知の方法(例、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、ダイコーティング法)により実施できる。
【0113】
[液晶性化合物の配向状態の固定化]
配向させた液晶性化合物は、配向状態を維持して固定することが好ましい。固定化は、液晶性化合物に導入した重合性基の重合反応により実施することが好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれるが、光重合反応がより好ましい。光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。
【0114】
光重合開始剤の使用量は、塗布液の固形分の0.01〜20質量%であることが好ましく、0.5〜5質量%であることがさらに好ましい。液晶性化合物の重合のための光照射は、紫外線を用いることが好ましい。照射エネルギーは、20mJ/cm〜50J/cmであることが好ましく、100〜800mJ/cmであることがさらに好ましい。光重合反応を促進するため、加熱条件下で光照射を実施してもよい。光学異方性層の厚さは、0.1〜10μmであることが好ましく、0.5〜5μmであることがさらに好ましい。
【0115】
[配向膜]
光学異方性層の形成に際して液晶性化合物を配向させるためには、配向膜を用いることが好ましい。配向膜は、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理、無機化合物の斜方蒸着、マイクログループを有する層の形成、あるいはラングミュア・ブロジェット法(LB膜)による有機化合物(例えば、ω−トリコ酸、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド、ステアリル酸メチルなど)の累積のような手段で設けることができる。さらに電場の付与、磁場の付与あるいは光照射により配向機能が生じる配向膜も知られている。ポリマーのラビング処理により形成する配向膜が特にましい。ラビング処理はポリマー層の表面を紙や布で一定方向に数回こすることにより実施する。配向膜に使用するポリマーの種類は、液晶性化合物の配向(特に平均傾斜角)に応じて決定することができる。例えば、液晶性化合物を水平に配向させるためには配向膜の表面エネルギーを低下させないポリマー(通常の配向用ポリマー)を用いる。具体的なポリマーの種類については液晶セルまたは光学補償シートについて種々の文献に記載がある。いずれの配向膜においても、液晶化合物と透明支持体の密着性を改善する目的で、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、側鎖に重合性基を有する繰り返し単位を導入するか、あるいは、環状基の置換基として導入することができる。界面で液晶性化合物と化学結合を形成する配向膜を用いることがより好ましく、かかる配向膜としては特開平9−152509号に記載されている。
配向膜の厚さは0.01〜5μmであることが好ましく、0.05〜1μmであることがさらに好ましい。
なお、配向膜を用いて液晶性化合物を配向させてから、その配向状態のまま液晶性化合物を固定して光学異方性層を形成し、光学異方性層のみをポリマーフィルム(または透明支持体)上に転写してもよい。
【0116】
光学異方性層を支持する支持体については、特に制限されず、種々の高分子フィルム等を用いることができる。例えば、トリアセチルセルロース,ノルボルネン樹脂、ゼオノア等が挙げられる。また、上述した様に、偏光板の保護膜が光学異方性層の支持体を兼ねていてもよい。かかる態様における支持体の材料の具体例については、偏光板の保護膜の材料の具体例と同一であり、前記した通りである。
【0117】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
【0118】
[例1]
図1に示す構成の液晶表示装置を作製した。即ち、観察方向(上)から上側偏光板(保護膜(不図示)、偏光膜1、保護膜3a)、液晶セル(上基板3、液晶層7、下基板8)、下偏光板(保護膜103a、偏光膜101、保護膜(不図示))を積層し、さらにバックライト光源(不図示)を配置した。
以下に、用いた部材それぞれの作製方法を説明する。
<液晶セルの作製>
液晶セルは、基板間のセルギャップを3μmとし、負の誘電率異方性を有する液晶材料(「MLC−6608」、メルク社製)を基板間に滴下注入して封入し、基板間に液晶層を形成して作製した。液晶層のリターデーションを300nmとした。なお、液晶材料は垂直配向するように配向させた。
【0119】
<上下偏光板の作製>
(偏光膜の作製)
平均重合度が2400、膜厚100μmのPVAフィルムを15〜17℃のイオン交換水にて60秒洗浄し、ステンレス製のブレードにて表面水分を掻き取った後、該PVAフィルムを濃度が一定になるように濃度補正しつつヨウ素0.77g/L、ヨウ化カリウム60.0g/Lの水溶液に40℃にて55秒浸漬した。さらに濃度が一定になるように濃度補正しつつ、硼酸42.5g/L、ヨウ化カリウム30g/L、塩化亜鉛1.8g/Lの水溶液に40℃にて90秒浸漬し、その後、フィルムの両面の余剰水分をステンレス製ブレードにて掻き取り、フィルム中の含有水分率の分布を2%以下にした状態で、図4の形態のテンター延伸機に導入した。
搬送速度を4m/分として、100m送出し、60℃95%雰囲気下で5倍まで延伸した後、テンターを延伸方向に対し図4の如く屈曲させ、以降幅を一定に保ち、収縮させながら70℃雰囲気で乾燥させた後テンターから離脱した。延伸開始前のPVAフィルムの含水率は32%で、乾燥後の含水率は1.5%であった。左右のテンタークリップの搬送速度差は、0.05%未満であり、導入されるフィルムの中心線と次工程に送られるフィルムの中心線のなす角は、46゜であった。ここで|L1−L2|は0.7m、Wは0.7mであり、|L1−L2|=Wの関係にあった。テンター出口における実質延伸方向Ax−Cxは、次工程へ送られるフィルムの中心線22に対し45゜傾斜していた。テンター出口におけるシワ、フィルム変形は観察されなかった。なお、延伸、乾燥後のフィルムの厚さは19μmであった。
【0120】
(透明保護膜の貼り合せ)
上記の斜め延伸法により作製した偏光膜について、幅方向から3cm分をカッターを用いて耳きりした後、その両面をPVA((株)クラレ製PVA−117H)3%水溶液を接着剤として、表面をケン化処理した透明保護膜用セルローストリアセテートフィルム(Re値=30nm、Rth=130nm)を貼り合わせ、さらに70℃で10分間加熱して、有効幅650mmの両面にセルローストリアセテート保護膜を備えた長尺状の偏光板を得た。
上側偏光板の貼り合わせ時には、上側保護膜の遅相軸、偏光膜の吸収軸および下側保護膜の遅相軸の軸角度を、表示装置水平方向を基準にして、(0°、45°、0°)とし、同じく下側偏光板の軸角度を(0°、−45°、0°)とした。上記で作製された偏光膜の吸収軸方向は、長手方向に対し45゜傾斜していたので、図10の如く310×233mmサイズに裁断することにより、91.5%の面積効率で辺に対し45゜吸収軸が傾斜した偏光板を得ることができた。また、目視にて色抜けスジは見られなかった。
【0121】
得られた偏光板の偏光板性能は、可視光透過率が43.2で、偏光度{(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2≧0.9997(ただし、Tpは平行透過率、Tcは直交透過率)であり、温度60℃・湿度90%RH雰囲気下に500時間および80℃、ドライ雰囲気下に500時間放置した場合のその前後における光透過率の変化率が絶対値に基づいて1%以下、偏光度の変化率は絶対値に基づいて0.05%以下であった。
【0122】
<作製した液晶表示装置の漏れ光の測定>
このように作製した液晶表示装置の漏れ光を測定した。左方向60°から観察した際の漏れ光は0.7%であった。液晶表示装置の視野角特性において、コントラスト比5対1以上の視野角が左右上下で各80°以上あることが望ましい。
作製した液晶表示装置では、白表示は30%程度の透過率が得られることから、視野角60°で黒表示の漏れ光が1%未満を満足すれば、コントラスト比5対1以上の視野角が左右上下で各80°以上が得られるものと推定できる。
【0123】
[例2]
<液晶表示装置の作製>
例1で作製した液晶表示装置において、上下偏光板の作製時に、保護膜として下記表1に示す様に、様々なRe値およびRth値を示すノルボルネン系フィルムを用いた以外は、例1と同様に液晶表示装置No.1〜24を作製した。
【0124】
<液晶表示装置の漏れ光の測定>
作製した液晶表示装置No.1〜24の斜め60°から観察した際の漏れ光の値をそれぞれ測定した。結果を表1に示す。
【0125】
表1:左右60°方向視野角における黒表示透過率(%)
【表1】
Figure 2004226591
【0126】
[例3]
<光学補償シートの作製>
(透明保護フィルム兼透明支持体の作製)
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら攪拌して、各成分を溶解し、セルロースアセテート溶液を調製した。
セルロースアセテート溶液組成
酢化度60.7〜61.1%のセルロースアセテート 100質量部
トリフェニルホスフェート(可塑剤) 7.8質量部
ビフェニルジフェニルホスフェート(可塑剤) 3.9質量部
メチレンクロライド(第1溶媒) 336質量部
メタノール(第2溶媒) 29質量部
【0127】
別のミキシングタンクに、下記のレターデーション上昇剤16質量部、メチレンクロライド92質量部およびメタノール8質量部を投入し、加熱しながら攪拌して、レターデーション上昇剤溶液を調製した。セルロースアセテート溶液474質量部にレターデーション上昇剤溶液25質量部を混合し、充分に攪拌してドープを調製した。レターデーション上昇剤の添加量は、セルロースアセテート100質量部に対して、3.5質量部であった。
【0128】
レターデーション上昇剤
【化6】
Figure 2004226591
【0129】
得られたドープを、バンド延伸機を用いて流延した。バンド上での膜面温度が40℃となってから、70℃の温風で1分乾燥し、バンドからフィルムを140℃の乾燥風で20分乾燥し、残留溶剤量が0.3質量%のセルロースアセテートフィルム(厚さ:146μm)を作製した。作製したセルロースアセテートフィルム(透明支持体、透明保護膜)について、エリプソメーター(M−150、日本分光(株)製)を用いて、波長550nmにおけるReレターデーション値およびRthレターデーション値を測定した。Reは2nm(ばらつき±1nm)、Rthは190nm(ばらつき±3nm)であった。さらに、400nm〜700nmの各波長のReは2±1nm、400nm〜700nmの各波長のRthは190±2nmの範囲であった。
作製したセルロースアセテートフィルムを2.0Nの水酸化カリウム溶液(25℃)に2分間浸漬した後、硫酸で中和し、純水で水洗し、その後乾燥させた。
このセルロースアセテートフィルムの表面エネルギーを接触法により求めたところ、63mN/mであった。こうして、透明支持体兼透明保護膜用のセルロースアセテートフィルムを作製した。
【0130】
(配向膜層の作製)
このセルロースアセテートフィルム上に、下記の組成の塗布液を#16のワイヤーバーコーターで28ml/m塗布した。25℃で60秒、60℃の温風で60秒、さらに90℃の温風で150秒乾燥した。乾燥後の配向膜厚みは1.1μmであった。また、配向膜の表面粗さを原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope、SPI3800N、セイコーインスツルメンツ(株)製)にて測定したところ、1.147nmであった。次に、形成した膜に、セルロースアセテートフィルムの遅相軸(波長632.8nmで測定)に対して−45°方向にラビング処理を実施した。
【0131】
配向膜塗布液組成
下記の変性ポリビニルアルコール 20質量部
水 361質量部
メタノール 119質量部
グルタルアルデヒド(架橋剤) 0.5質量部
【0132】
変性ポリビニールアルコール
【化7】
Figure 2004226591
【0133】
(光学異方性層の作製)
上記の配向膜の上に、下記の組成の塗布液をバーコータを用いて連続的に塗布、乾燥、および加熱(配向熟成)し、さらに紫外線照射して厚さ1.1μmの水平配向した光学的異方性層(A)を形成し、光学補償シートを作製した。光学的異方性層は透明支持体の長手方向に対して−45°の方向に遅相軸を有していた。550nmにおけるRe値は130nmであった。
光学異方性層(A)用塗布液組成
本明細書中の棒状液晶性化合物(例示化合物 I−2) 38.1質量%
下記の増感剤 A 0.38質量%
下記の光重合開始剤 B 1.14質量%
配向制御剤 C 0.19質量%
グルタールアルデヒド 0.04質量%
メチルエチルケトン 60.1質量%
【0134】
増感剤 A
【化8】
Figure 2004226591
【0135】
光重合開始剤 B
【化9】
Figure 2004226591
【0136】
配向制御剤C
【化10】
Figure 2004226591
【0137】
上記の様にして作製した光学異方性層と透明支持体からなる光学補償シートを、図1中の下側偏光膜101と液晶セル用下側基板8との間に、セルロースアセテートフィルムからなる透明支持体(Re=2nm、Rth=190nm)を、偏光膜101に接する様に組み込んだ。即ち、透明保護フィルム103aが、光学補償能を有する光学異方性層の透明支持体を兼ねている態様の液晶表示装置を作製した。その他の構成は例1と同じにした。即ち、上側偏光板の、上側保護膜の遅相軸、偏光膜の吸収軸および下側保護膜の遅相軸の軸角度を、表示装置水平方向を基準にして、(0°、45°、0°)とし、同じく下側偏光板の軸角度を、(0°、−45°、0°)とし、さらに光学異方性層の遅相軸(ラビング方向)を−45°とした。
【0138】
光学補償シートの作製において、セルロースアセテートフィルムからなる透明支持体のRe値およびRth値を、表2に示す様に調整し、光学補償シートを作製した以外は、上記と同様にして液晶表示装置No.25〜40を作製した。
<作製した液晶表示装置の漏れ光の測定>
この様にして作製した液晶表示装置No.25〜40の斜め60°からの観察による漏れ光を測定した。結果を表2に示す。
【0139】
表2:左右60°方向視野角における黒表示透過率(%)
【表2】
Figure 2004226591
【0140】
[例4]
<光学補償シートの作製>
例3で作製したセルロースアセテートフィルムからなる透明支持体の作製方法と同様の方法で、Re値=10nm、Rth=76nmに調整した透明支持体を作製した。さらに、該支持体上をけん化処理し、その上に、例3で用いた配向膜を塗布した。さらにその上を長手方向に対して、45°方向にラビング処理を実施し、例3で用いた光学異方性層(A)用塗布液組成をバーコータを用いて連続的に塗布、乾燥、および加熱(配向熟成)し、さらに紫外線照射して厚さ0.43μmの光学的異方性層を形成した。光学的異方性層は透明支持体の長手方向に対して45°の方向に遅相軸を有していた。550nmにおけるレターデーション値は53nmであった。
【0141】
上記の様にして作製した光学異方性層と透明支持体からなる光学補償シートを、図1中の上側偏光膜1と液晶セル用上側基板5との間に、セルロースアセテートフィルムからなる透明支持体(Re=10nm、Rth=176nm)を、偏光膜1に接する様に組み込んだ。即ち、透明保護フィルム3aが、光学補償能を有する光学異方性層の透明支持体を兼ねている態様の液晶表示装置を作製した。
その他の構成は例1と同じにした。即ち、上側偏光板の、上側保護膜の遅相軸、偏光膜の吸収軸および下側保護膜の遅相軸の軸角度を、表示装置水平方向を基準にして、(0°、45°、0°)とし、光学異方性層の遅相軸(ラビング方向)を45°、下側偏光板の軸角度を(0°、−45°、0°)とした。
【0142】
光学補償シートの作製において、光学異方性層のRe値を、表3に示す様に調整し、光学補償シートを作製した以外は、上記と同様にして液晶表示装置No.41〜46を作製した。
<作製した液晶表示装置の漏れ光の測定>
この様にして作製した液晶表示装置No.41〜46の斜め60°からの観察による漏れ光を測定した。結果を表3に示す。
【0143】
表3:左右60°方向視野角における黒表示透過率(%)
【表3】
Figure 2004226591
【0144】
[例5]
上下偏光板の保護膜として、Re値0nm、Rth値133nmのセルローストリアセテートフィルムを用いた以外は、例1と同様にして液晶表示装置を作製した。即ち、上側偏光板の上側保護膜の遅相軸、偏光膜の吸収軸および下側保護膜の遅相軸の軸角度を、表示装置水平方向を基準にして、(0°、45°、0°)とし、同じく下側偏光板の軸角度を(0°、−45°、0°)とした。
【0145】
上下偏光板の保護膜として下記表4に示す様に、様々なRe値およびRth値を示すセルローストリアセテートフィルムを用いた以外は、上記と同様に液晶表示装置No.47〜70を作製した。
<作製した液晶表示装置の漏れ光の測定>
このように作製した液晶表示装置No.47〜70の、斜め60°から観察した漏れ光を測定した。結果を表4に示す。
【0146】
表4: 左右60°方向視野角における黒表示透過率(%)
【表4】
Figure 2004226591
【0147】
【発明の効果】
本発明は、研究の結果、偏光膜、および保護フィルム、および液晶セルの素材と製造方法を調節することにより、従来の液晶表示装置と同じ構成で、液晶セルを光学的に補償する機能を併せ持つ楕円偏光板を製造することに成功した。さらに、この偏光板をVA型液晶セルに取り付けて液晶表示装置に用いたところ、表示品位のみならず、視野角が著しく改善された。また、従来の1枚もしくは複数の位相差フィルムと偏光板の角度を厳密に調整しながら積層する工程が不要になり、ロールtoロールでの偏光板の製造が可能となった。即ち、本発明によれば、簡易な構成で、表示品位のみならず、視野角が著しく改善された液晶表示装置、特にVA(Vertical Alignment)型液晶表示装置を提供することができる。また、本発明によれば、偏光機能を有するのみならず、液晶表示装置の視野角拡大に寄与し得る、しかも容易に作製可能な偏光板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。
【図2】本発明の偏光板の例を示す概略図である。
【図3】ポリマーフィルムを斜め延伸する本発明の方法の一例を示す概略平面図である。
【図4】ポリマーフィルムを斜め延伸する本発明の方法の一例を示す概略平面図である。
【図5】ポリマーフィルムを斜め延伸する本発明の方法の一例を示す概略平面図である。
【図6】ポリマーフィルムを斜め延伸する本発明の方法の一例を示す概略平面図である。
【図7】ポリマーフィルムを斜め延伸する本発明の方法の一例を示す概略平面図である。
【図8】ポリマーフィルムを斜め延伸する本発明の方法の一例を示す概略平面図である。
【図9】従来の偏光板を打ち抜く様子を示す概略平面図である。
【図10】本発明の偏光板を打ち抜く様子を示す概略平面図である。
1 上側偏光膜
2 上側偏光膜の吸収軸
3a、3b 上側偏光膜の透明保護フィルム
4a、4b 上側偏光膜の透明保護フィルムの遅相軸
5 液晶セル上側基板
6 上側基板液晶配向用ラビング方向
7 液晶分子
8 液晶セル下側基板
9 下側基板液晶配向用ラビング方向
101 下側偏光膜
102 下側偏光膜の吸収軸
103a 下側偏光膜の透明保護フィルム
α 遅相軸と吸収軸の交差角
11 導入側フィルムの中央線
12 次工程に送られるフィルムの中央線
13 フィルム保持手段の軌跡(左)
14 フィルム保持手段の軌跡(右)
15 導入側フィルム
16 次工程に送られるフィルム
17、17’ 左右のフィルム保持開始(噛み込み)点
18、18’ 左右のフィルム保持手段からの離脱点
21 導入側フィルムの中央線
22 次工程に送られるフィルムの中央線
23 フィルム保持手段の軌跡(左)
24 フィルム保持手段の軌跡(右)
25 導入側フィルム
26 次工程に送られるフィルム
27、27’ 左右のフィルム保持開始(噛み込み)点
28、28’ 左右のフィルム保持手段からの離脱点
33,43,53,63 フィルム保持手段の軌跡(左)
34,44,54,64 フィルム保持手段の軌跡(右)
35,45,55,65 導入側フィルム
36,46,56,66 次工程に送られるフィルム
71 吸収軸(延伸軸)
72 長手方向
81 吸収軸(延伸軸)
82 長手方向

Claims (13)

  1. 少なくとも一方に電極を有する対向配置された一対の基板と、該基板間に挟持される液晶層と、該液晶層の外側に配置された第一の偏光板とを有する液晶表示装置であって、上記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dが0.1〜1.0μmであり、前記第一の偏光板が偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜とから構成され、液晶層に近い側の保護膜が膜面の平均屈折率が最大となる方向と実質的に一致する遅相軸を有し、かつ前記液晶層に近い側の保護膜の遅相軸と前記偏光膜の吸収軸とが交差していることを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記一対の保護膜の双方が、膜面の平均屈折率が最大となる方向と実質的に一致する遅相軸を有し、前記遅相軸が互いに実質的に平行であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 前記一対の保護膜のうち前記液晶層に遠い側の保護膜の遅相軸と、前記偏光膜の吸収軸とが実質的に平行もしくは直交していることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
  4. 前記第一の偏光板とともに前記液晶層を挟持して配置された第二の偏光板を有し、前記第二の偏光板は偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜とから構成され、前記第一および第二の偏光板の前記液晶層に近い側の保護膜の遅相軸が、互いに実質的に平行もしくは直交していることを特徴とする請求項2または3に記載の液晶表示装置。
  5. 前記第一の偏光板とともに前記液晶層を挟持して配置された第二の偏光板を有し、前記第二の偏光板は偏光膜と該偏光膜を挟持する一対の保護膜とから構成され、前記第一および第二の偏光板の偏光膜の吸収軸が、互いに実質的に直交していることを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  6. 少なくとも一方に電極と薄膜半導体層とを有する対向配置された一対の基板と、該基板間に挟持される液晶層と、該液晶層の外側に配置された偏光板とを有し、該半導体層に外部から信号線により電気信号を印加することで前記液晶層の配向状態を変化させて表示を行う液晶表示装置であって、前記液晶層の厚さd(μm)と屈折率異方性Δnとの積Δn・dが0.1〜1.0μmであり、前記偏光板が偏光膜と該偏光膜を挟持して配置された屈折性を有する一対の保護膜とから構成され、前記半導体層に電気信号を印加する信号線と、前記偏光膜の吸収軸とが実質的に45°で交差していることを特徴とする液晶表示装置。
  7. 前記一対の保護膜のうち液晶層に近い側に配置される保護膜が、厚さd(nm)であり、それぞれ互いに直交するx、yおよびz軸方向に3つの平均屈折率nx、nyおよびnzを有し、前記液晶層の表面に平行な面内の主平均屈折をnxおよびny、前記液晶層の厚み方向の主平均屈折率をnzとした場合、可視光領域の任意の波長λにおいて、−5nm≦{(nx−ny)×d}≦50nm、および50nm≦[{(nx+ny)/2−nz}×d]≦300nmの関係を満足することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  8. 前記{(nx+ny)/2−nz}×dの値が、液晶層の厚さdと屈折率異方性Δnとの積(Δn・d)よりも小さいことを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。
  9. 前記液晶層がネマチック液晶材料を含み、黒表示時に該ネマチック液晶材料の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して略垂直に配向する請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  10. 前記液晶層がネマチック液晶材料を含み、黒表示時に該ネマチック液晶材料の液晶分子が前記一対の基板の表面に対して略平行に配向する請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  11. 前記一対の基板と前記液晶層とからなる液晶セルが、複数の絵素領域を有し、該複数の絵素領域のそれぞれが、液晶分子の初期配向状態が互いに異なる2以上の領域、または電圧印加状態において液晶分子の配向方向が連続的に変化する互いに異なる2以上の領域を有することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  12. 前記偏光板と、前記一対の基板および前記液晶層からなる液晶セルとの間に、少なくとも1枚の複屈折性高分子フィルムまたは少なくとも1層の液晶化合物からなる光学異方性層が配置されたことを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
  13. 偏光膜と該偏光膜を挟持して配置された屈折性を有する一対の保護膜とから構成され、前記保護膜が、厚さd(nm)であり、それぞれ互いに直交するx、yおよびz軸方向に3つの平均屈折率nx、nyおよびnzを有し、面内の主平均屈折率をnxおよびny、厚み方向の主平均屈折率をnzとした場合、可視光領域の任意の波長λにおいて、−5nm≦{(nx−ny)×d}≦50nm、および50nm≦[{(nx+ny)/2−nz}×d]≦300nmを満足し、かつ前記保護膜のいずれか一方の遅相軸と前記偏光膜の吸収軸とが、実質的に平行もしくは直交していることを特徴とする偏光板。
JP2003013135A 2003-01-22 2003-01-22 液晶表示装置および偏光板 Pending JP2004226591A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003013135A JP2004226591A (ja) 2003-01-22 2003-01-22 液晶表示装置および偏光板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003013135A JP2004226591A (ja) 2003-01-22 2003-01-22 液晶表示装置および偏光板

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2004226591A true JP2004226591A (ja) 2004-08-12

Family

ID=32901546

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003013135A Pending JP2004226591A (ja) 2003-01-22 2003-01-22 液晶表示装置および偏光板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2004226591A (ja)

Cited By (18)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005196119A (ja) * 2003-09-01 2005-07-21 Fuji Photo Film Co Ltd 光学補償フィルム、液晶表示装置および偏光板
WO2006068311A1 (en) * 2004-12-22 2006-06-29 Fujifilm Corporation Liquid crystal display
JP2006251294A (ja) * 2005-03-10 2006-09-21 Konica Minolta Opto Inc 液晶表示装置
JP2007121490A (ja) * 2005-10-26 2007-05-17 Optrex Corp 液晶表示素子
JP2008003188A (ja) * 2006-06-21 2008-01-10 Fujifilm Corp 偏光板の製造方法,及び液晶表示装置
JP2008052147A (ja) * 2006-08-25 2008-03-06 Fujifilm Corp 光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2008146003A (ja) * 2006-09-14 2008-06-26 Asahi Kasei Chemicals Corp アクリル系樹脂およびスチレン系樹脂を含む位相差フィルム
WO2009025170A1 (ja) * 2007-08-23 2009-02-26 Konica Minolta Opto, Inc. 長尺の位相差フィルム、長尺の楕円偏光フィルム、楕円偏光板、及び画像表示装置
JP2009301047A (ja) 2009-07-13 2009-12-24 Future Vision:Kk 液晶表示装置
CN102033366A (zh) * 2011-01-05 2011-04-27 河北工业大学 视角可控pmva液晶显示器
JP2013134294A (ja) * 2011-12-26 2013-07-08 Konica Minolta Advanced Layers Inc 液晶表示装置
WO2014119457A1 (ja) * 2013-02-04 2014-08-07 日本ゼオン株式会社 積層位相差フィルム及びその製造方法
TWI502257B (zh) * 2011-11-29 2015-10-01 Toyo Boseki 液晶顯示裝置、偏光板及偏光鏡保護膜
US9798189B2 (en) 2010-06-22 2017-10-24 Toyobo Co., Ltd. Liquid crystal display device, polarizer and protective film
US10054816B2 (en) 2009-11-12 2018-08-21 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha Method for improving visibility of liquid crystal display device, and liquid crystal display device using same
US10175494B2 (en) 2011-05-18 2019-01-08 Toyobo Co., Ltd. Polarizing plate suitable for liquid crystal display device capable of displaying three-dimensional images, and liquid crystal display device
US10180597B2 (en) 2011-05-18 2019-01-15 Toyobo Co., Ltd. Liquid crystal display device, polarizing plate, and polarizer protection film
KR20200042296A (ko) * 2018-10-15 2020-04-23 삼성에스디아이 주식회사 Ips 액정표시장치용 편광판 및 이를 포함하는 ips 액정표시장치

Cited By (31)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005196119A (ja) * 2003-09-01 2005-07-21 Fuji Photo Film Co Ltd 光学補償フィルム、液晶表示装置および偏光板
JP4675597B2 (ja) * 2003-09-01 2011-04-27 富士フイルム株式会社 光学補償フィルム、液晶表示装置および偏光板
JP4619108B2 (ja) * 2004-12-22 2011-01-26 富士フイルム株式会社 液晶表示装置
WO2006068311A1 (en) * 2004-12-22 2006-06-29 Fujifilm Corporation Liquid crystal display
JP2006178226A (ja) * 2004-12-22 2006-07-06 Fuji Photo Film Co Ltd 液晶表示装置
US7505101B2 (en) 2004-12-22 2009-03-17 Fujifilm Corporation Liquid crystal display
JP2006251294A (ja) * 2005-03-10 2006-09-21 Konica Minolta Opto Inc 液晶表示装置
JP2007121490A (ja) * 2005-10-26 2007-05-17 Optrex Corp 液晶表示素子
JP2008003188A (ja) * 2006-06-21 2008-01-10 Fujifilm Corp 偏光板の製造方法,及び液晶表示装置
JP2008052147A (ja) * 2006-08-25 2008-03-06 Fujifilm Corp 光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP4744398B2 (ja) * 2006-08-25 2011-08-10 富士フイルム株式会社 光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2008146003A (ja) * 2006-09-14 2008-06-26 Asahi Kasei Chemicals Corp アクリル系樹脂およびスチレン系樹脂を含む位相差フィルム
WO2009025170A1 (ja) * 2007-08-23 2009-02-26 Konica Minolta Opto, Inc. 長尺の位相差フィルム、長尺の楕円偏光フィルム、楕円偏光板、及び画像表示装置
JP2009301047A (ja) 2009-07-13 2009-12-24 Future Vision:Kk 液晶表示装置
US10948764B2 (en) 2009-11-12 2021-03-16 Keio University Method for improving visibility of liquid crystal display device, and liquid crystal display device using the same
US10054816B2 (en) 2009-11-12 2018-08-21 Toyo Boseki Kabushiki Kaisha Method for improving visibility of liquid crystal display device, and liquid crystal display device using same
US9897857B2 (en) 2010-06-22 2018-02-20 Toyobo Co., Ltd. Liquid crystal display device, polarizer and protective film
US10503016B2 (en) 2010-06-22 2019-12-10 Toyobo Co., Ltd. Liquid crystal display device, polarizer and protective film
US9798189B2 (en) 2010-06-22 2017-10-24 Toyobo Co., Ltd. Liquid crystal display device, polarizer and protective film
CN102033366A (zh) * 2011-01-05 2011-04-27 河北工业大学 视角可控pmva液晶显示器
CN102033366B (zh) * 2011-01-05 2012-01-04 河北工业大学 视角可控pmva液晶显示器
US10180597B2 (en) 2011-05-18 2019-01-15 Toyobo Co., Ltd. Liquid crystal display device, polarizing plate, and polarizer protection film
US10175494B2 (en) 2011-05-18 2019-01-08 Toyobo Co., Ltd. Polarizing plate suitable for liquid crystal display device capable of displaying three-dimensional images, and liquid crystal display device
TWI502257B (zh) * 2011-11-29 2015-10-01 Toyo Boseki 液晶顯示裝置、偏光板及偏光鏡保護膜
JP2013134294A (ja) * 2011-12-26 2013-07-08 Konica Minolta Advanced Layers Inc 液晶表示装置
US9535202B2 (en) 2013-02-04 2017-01-03 Zeon Corporation Multilayer retardation film and method for producing same
CN104956243A (zh) * 2013-02-04 2015-09-30 日本瑞翁株式会社 叠层相位差膜及其制造方法
JP5585747B1 (ja) * 2013-02-04 2014-09-10 日本ゼオン株式会社 積層位相差フィルム及びその製造方法
WO2014119457A1 (ja) * 2013-02-04 2014-08-07 日本ゼオン株式会社 積層位相差フィルム及びその製造方法
KR20200042296A (ko) * 2018-10-15 2020-04-23 삼성에스디아이 주식회사 Ips 액정표시장치용 편광판 및 이를 포함하는 ips 액정표시장치
KR102434542B1 (ko) * 2018-10-15 2022-08-19 삼성에스디아이 주식회사 Ips 액정표시장치용 편광판 및 이를 포함하는 ips 액정표시장치

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1794216B1 (en) Cellulose acylate film, optical compensation film, polarizing plate, and liquid crystal display device
JP4199412B2 (ja) 光学補償シートおよびその製造方法
KR100982927B1 (ko) 액정표시장치
JP2004226591A (ja) 液晶表示装置および偏光板
JP2008537158A (ja) 光学フィルム、偏光板および液晶表示装置
KR20070112161A (ko) 광학 보상 필름, 편광판 및 액정 표시 장치
KR20120093451A (ko) 액정 디스플레이 디바이스
JP2007102205A (ja) 光学補償フィルム、その製造方法、並びにそれを用いた偏光板及び液晶表示装置
JP2005265889A (ja) 液晶表示装置
JP4729320B2 (ja) 液晶表示装置
JP4094792B2 (ja) 光学補償シート、楕円偏光板および液晶表示装置
KR101199278B1 (ko) 광학 필름, 편광판 및 액정 디스플레이 디바이스
JP2006119623A (ja) 楕円偏光板及び液晶表示装置
JP4675597B2 (ja) 光学補償フィルム、液晶表示装置および偏光板
JP2006285187A (ja) 光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP4684047B2 (ja) 光学補償フィルム、偏光板および液晶表示装置
JP2005062668A (ja) 液晶表示装置
TWI420159B (zh) 光學補償膜、及其製法、偏光板與液晶顯示裝置
JP2007212492A (ja) 光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置
JP2003232922A (ja) 偏光板および液晶表示装置
KR101006043B1 (ko) 광학보상필름, 액정표시장치 및 편광판
JP2005321527A (ja) 液晶表示装置
JP2008052267A (ja) 光学補償フィルム、及びその製造方法、偏光板、並びに液晶表示装置
JP2005283612A (ja) 液晶表示装置
JP2006258854A (ja) 光学異方性膜、その製造方法及び液晶表示装置