JP2008003188A - 偏光板の製造方法,及び液晶表示装置 - Google Patents

偏光板の製造方法,及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】簡易な構成で表示均一性が改善された大型液晶表示装置と該液晶表示装置に用いる偏光板の製造方法との提供
【解決手段】下記(1)及び(2)の工程を含む偏光板の製造方法:(1)偏光フィルムと、MD方向が該偏光フィルムの吸収軸に平行である第1の保護フィルムとを含む積層体を用意する工程(2)前記積層体の前記偏光フィルムに対して前記の第1の保護フィルムと反対側の面に、第2の保護フィルムを該第2の保護フィルムのMD方向と前記吸収軸とが直交するように積層する工程。
【選択図】図3

Description

本発明は偏光板の製造方法に関し、特に大画面の液晶表示装置に用いられる偏光板の製造方法に関する。
液晶表示素子(液晶表示パネルとも呼ばれる)やエレクトロルミネセンス素子(用いる蛍光材料により有機系、無機系に別れる、以下、EL素子)、電界放出素子(Field Emission Device、以下、FED素子)、電気泳動素子等を用いた表示装置は、ブラウン管(CRT:Cathode Ray Tube)のように表示画面の裏側に電子線を2次元的に走査するための空間(真空筐体)を設けることなく画像表示を行う。従って、これらの表示装置は、ブラウン管に比べて、薄く軽量であること、消費電力が低いこと等の特徴を持つ。これらの表示装置は、その外観上の特徴からフラット・パネル・ディスプレイ(Flat Panel Display)と呼ばれることがある。
液晶表示素子、EL素子、又は電界放出素子等を用いた表示装置は、ブラウン管に対する上述の利点から、ノートパソコン、パソコン用モニターなどのOA機器、携帯端末、テレビなど各種用途においてブラウン管を用いた表示装置に代わり広く普及しつつある。ブラウン管からフラット・パネル・ディスプレイへの置き換えが進んだ背景には、液晶表示素子やEL素子等の視野角特性や表示色再現性領域の拡大等の画質向上といった技術革新がある。また最近はマルチメディアやインターネットの普及により、動画表示性能の向上もある。さらには電子ペーパーや大型の公共,広告用情報ディスプレイといいたCRTには実現できない分野への進出もある。
しかし、偏光板等の製造上の問題により対角70インチ型以上の均一表示が可能な超大画面の液晶表示装置を得ることができないという問題を生じていた。
かかる問題を解決するため、従来は液晶パネルを貼り合せて超大型パネルを実現したり(特許文献1参照),観察側とは反対の光源側の偏光板をつなぎ合わせたりして対応していた。しかし、斜め方向から観察するとパネルや偏光板のつなぎ目が観察されて表示の均一性が低下するという問題があった。
特開平9−80424号公報
液晶表示の画面サイズは,TFTのガラス基板の大きさと,偏光板の製造プロセスに起因する偏光板の幅によって上限が決まってきた。これらのうちTFTの上限はガラス基板の大型化により対応することが可能である。同様に偏光板の広幅化も偏光板製造装置の大型化で対応することも可能であるが,特に偏光板の保護フィルムを広幅化するためには多額の設備投資が必要である。
偏光板は、通常、図7に示すようなプロセスにより,偏光フィルムの両面に保護フィルムがロールツーロールで貼合わされて製造される。偏光フィルム,保護フィルムともにロール状の原反から搬送方向(MD方向)30に延伸されながら貼合わされる。その後液晶表示装置の画面サイズに対応して切出されるが,その大きさはフィルムの原反の巾方向(TD方向)31によって制限される。
図8に示すようにMD方向2に偏光フィルム吸収軸4が平行になるように切出した場合は,比較的大画面に対応できる。しかし、図9に示すように偏光板吸収軸17がパネル長手方向に垂直な場合は,パネル長手方向の巾は図7のTD方向の巾と対応することになるため、パネル長辺方向の巾は保護フィルム製造時のTD方向によって制限されることになる。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、簡易な構成で表示均一性が改善された大型液晶表示装置と該液晶表示装置に用いる偏光板の製造方法とを提供することを目的とする。
上記課題のもと、本発明者が鋭意検討を行った結果、下記手段により上記課題を解決しうることを見出した。具体的には、以下の手段により達成された。
[1]下記(1)及び(2)の工程を含む偏光板の製造方法:
(1)偏光フィルムと、MD方向が該偏光フィルムの吸収軸に平行である第1の保護フィルムとを含む積層体を用意する工程
(2)前記積層体の前記偏光フィルムに対して前記の第1の保護フィルムと反対側の面に、第2の保護フィルムを該第2の保護フィルムのMD方向と前記吸収軸とが直交するように積層する工程。
[2]前記工程(1)における積層体が、前記偏光フィルムに対して第1の保護フィルムと反対側の面に第3の保護フィルムを含み;
前記工程(1)と(2)の間に、該第3の保護フィルムを剥離する工程を含む[1]に記載の方法。
[3]前記工程(2)において、第2の保護フィルムをバッチ張りにより積層する[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]前記工程(2)において、第2の保護フィルムをロールツーロールで張り合わせて積層する[1]または[2]に記載の製造方法。
[5][1]〜[4]のいずれか一項に記載の方法の工程(2)で得られる積層体における第1の保護フィルムを剥離し、該積層体における該剥離後の面に第1´の保護フィルムを該第1´の保護フィルムのMD方向と前記吸収軸とが直交するように積層する工程を含む偏光板の製造方法。
[6]第1´の保護フィルムをバッチ張りにより積層する[5]に記載の製造方法。
[7]第1´の保護フィルムをロールツーロールで張り合わせて積層する[5]に記載の製造方法。
[8] 液晶セルと、該液晶セルを挟持して配置された観察側偏光板および下側偏光板とを有し、かつ前記の観察側偏光板および下側偏光板はそれぞれ偏光フィルムと該偏光フィルムの両面に設けられた保護フィルムとを有する液晶表示装置であって、
前記観察側偏光板の一対の保護フィルムのMD方向はいずれも画面水平方向と平行であり,
前記下側偏光板の液晶セル側の保護フィルムのMD方向が画面水平方向と平行であり、かつ前記下側偏光板の偏光フィルムの吸収軸が画面水平方向と直行する液晶表示装置。
[9]前記下側保護フィルムの少なくとも一方が下記式(I)および(II)を満たすセルロースアシレートフィルムである、[8]に記載の液晶表示装置。
(I)0≦Re(630)≦10、かつ、|Rth(630)|≦25
(II)|Re(400)−Re(700)|≦10、かつ、|Rth(400)−Rth(700)|≦35
(上記式(I)および(II)中、Re(λ)は、波長λnmにおける正面レターデーション値(nm)を表し、Rth(λ)は、波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(nm)を表す。)
本発明の製造方法により、大画面表示装置に適用可能であって、該大画面表示装置の画質の均一性を向上させることが可能である偏光板を得ることが可能になった。
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のリターデーションおよび厚さ方向のリターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレタデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレタデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレタデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
Figure 2008003188
注記:
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレタデーション値をあらわす。
式(1)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。

Rth=((nx+ny)/2 - nz) x d --- 式(2)

測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx-nz)/(nx-ny)が更に算出される。
本明細書において、特に述べない限り、例えば、「45°」、「平行」あるいは「垂直」とは、厳密な角度±5度未満の範囲内であることを意味する。すなわち、略45度、略平行、略垂直の意である。厳密な角度との誤差は、4度未満であることが好ましく、3度未満であることがより好ましい。また、角度について、「+」は時計周り方向を意味し、「−」は反時計周り方向を意味するものとする。また、「遅相軸」は、屈折率が最大となる方向を意味する。また、「可視光領域」とは、380nm〜780nmのことをいう。さらに屈折率の測定波長は特別な記述がない限り、可視光域のλ=550nmでの値である。
[本発明の製造方法]
本発明の製造方法によって、このような偏光板製造装置の大型化を極力押さえつつ、大画面の液晶パネル用の偏光板を得ることが可能である。本発明の製造方法により得られる偏光板は、図1および図2に示すように、偏光板吸収軸が液晶セルの長手方向に垂直な場合において、少なくとも一方の保護フィルムのMD方向が液晶セルの長手方向に平行になるように積層された構造を有することを特徴とする。本発明の製造方法の具体的な例としては,図3〜6に示す方法があげられる。
すなわち図3に示すように、第1の保護フィルム18および偏光フィルム16を含む積層体に、第2の保護フィルム14をそのMD方向が偏光フィルム16の吸収軸と直交するようにロールツーロールで積層し,積層直後に裁断する。
あるいは、図4に示すように、第1の保護フィルム18および偏光フィルム16を含む積層体に,第2の保護フィルム14をそのMD方向が偏光フィルム16の吸収軸と直交するように、第2の保護フィルム14をバッジ貼りで積層することもできる。
また、図5に示すように、偏光フィルム16と該偏光フィルムの一方の面に第1の保護フィルム18およびその反対側面に第3の保護フィルム20とを含む積層体の、該第3の保護フィルム20を巻取った後、第2の保護フィルム14をそのMD方向が偏光フィルム16の吸収軸と直交するように、ロールツーロールで積層し,積層直後に裁断することもできる。
さらに、図6に示すように、偏光フィルム16と該偏光フィルムの一方の面に第1の保護フィルム18およびその反対側面に第3の保護フィルム20とを含む積層体の、該第3の保護フィルムを巻取り、偏光フィルム16の吸収軸と第2の保護フィルム14のMD方向15が直交するように、第2の保護フィルム18をバッジ貼りで積層することもできる。
上述の積層体はいずれも公知の方法で作製すればよく、例えば、図7に示すようなプロセスと同様に、偏光フィルムの両面に第1の保護フィルムおよび必要に応じて第3の保護フィルムをロールツーロールで貼合せて製造することができる。該積層体の製造後すぐに図3〜6に示すいずれかの工程を行ってもよいし、該積層体として巻き取って保存後、図3〜6に示すいずれかの工程を行ってもよい。さらに積層体は市販品であってもよい。
さらに、上記の手順により得られる積層体における第1の保護フィルム18を仮保護フィルムとして、図5あるいは6に示すような工程を繰り返すことにより、第1´の保護フィルムをそのMD方向が偏光フィルム16のMD方向と直交するように設けることもできる。この工程により、両面の保護フィルムのMD方向15,19がともに偏光フィルムMD方向17に直交な構成である構成(図2)を有する偏光板を製造することができる。この工程において、第1´の保護フィルムは、積層体が偏光板の形態に切り出された前に設けられてもよく、後に設けられてもよい。
仮保護フィルムである第3の保護フィルムまたは仮保護フィルムとして用いられる場合の第1の保護フィルムを上記のいずれかの積層体から剥離する際は、通常図5または図6に示すようにロールで巻き取るなどの方法が用いられ、巻き取る際には帯電防止対策の除電フローや調湿フローを施すとよいが、剥離の方法は特に限定されない。
なお、本発明の製造方法により得られる偏光板を液晶表示装置に用いる場合、下側(バックライト側)に用いることが好ましい。さらに、図1の偏光板を液晶表示装置に用いる場合、偏光フィルム16の吸収軸と直交するMD方向を持つ保護膜14は,液晶層に近い側または遠い側のどちらであってもよいが、液晶層に近い側であることが好ましい。また、本発明の製造方法により得られる偏光板において、偏光フィルムの両面に位置する2枚の保護フィルムは同じでも異なってもよい。
フィルムの積層
偏光フィルムおよび保護フィルムの積層は、偏光フィルムと保護フィルムとの間に接着液を供給し、偏光フィルムと保護フィルムを重ね合わせるように、一対のロールで貼り合わせることにより行うことが好ましい。
偏光フィルムと保護フィルムとの接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等が導入された変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。接着剤層の厚みは、乾燥後の厚さが、0.01〜10μmであることが好ましく、0.05〜5μmであることが特に好ましい。
また、特開2001−296426号公報及び特開2002−86554号公報に記載されているように、偏光フィルムの延伸に起因するレコードの溝状の凹凸を抑制するには、貼り合わせ時の偏光フィルムの水分率を調整することが好ましく、本発明では0.1〜30質量%にすることが好ましい。
なお、本発明の製造方法で用いられる積層体において、第3の保護フィルムおよび本発明の製造方法において剥離される場合における第1の保護フィルムなどの仮保護フィルムと偏光フィルムとの積層の際は、接着液を使用しないか,接着剤の厚みを非剥離側の保護膜との間よりも薄くしたり、接着液の濃度を低くして剥離しやすいようにしたりすることが好ましい。
貼り合わせ後の乾燥工程
貼り合わせ後の乾燥条件は、特開2002−86554号公報に記載の方法に従うが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。
[偏光フィルム]
偏光フィルムには、ヨウ素系偏光フィルム、二色性染料を用いる染料系偏光フィルムやポリエン系偏光フィルムがある。ヨウ素系偏光フィルムおよび染料系偏光フィルムは、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
また、偏光板の生産性の向上にとって保護フィルムの透湿性は、重要である。すなわち、偏光フィルムと保護フィルムは水系接着剤で貼り合わせられており、この接着剤溶剤は保護フィルム中を拡散することによって乾燥される。保護フィルムの透湿性が高ければ、高いほど乾燥は早くなり、生産性は向上するが、高くなりすぎると、液晶表示装置の使用環境(高湿下)により、水分が偏光フィルム中に入ることで偏光能が低下する傾向にある。
偏光フィルムは、その吸収軸が長手方向に対して平行であることが好ましい。偏光フィルムの吸収軸が長手方向に対して平行であると、保護フィルムと貼り合せる際に、該保護フィルムのMD方向と吸収軸がなす角度の調整が容易であり、例えばロールトウロールで容易に貼り合わせることができる。
本発明で用いられる偏光フィルムは、親水性樹脂としてポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチル変性等の変性セルロース、ポリビニルアルコール(PVA)から構成することが好ましい。特に好ましい親水性樹脂はPVAであり、ポリ酢酸ビニルをケン化したポリマー素材である。PVAは、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のような酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。
PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100モル%が好ましく、90〜100モル%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、数平均重合度で1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。PVAのシンジオタクティシティーは、特許2978219号明細書に記載されているように耐久性を改良するため55%以上が好ましいが、特許第3317494号に記載されている45〜52.5%も好ましく用いることができる。
PVAはフィルム化した後、二色性分子を導入して偏光フィルムを構成することが好ましい。PVAフィルムの製造方法は、PVA系樹脂を水又は有機溶媒に溶解した原液を流延して成膜する方法が一般に好ましく用いられる。原液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、通常5〜20質量%であり、この原液を流延法により製膜することによって、膜厚10〜200μmのPVAフィルムを製造できる。PVAフィルムの製造は、特許第3342516号、特開平09-328593号、特開平13-302817号公報、特開平14-144401号公報を参考にして行うことができる。
PVAフィルムの結晶化度は、特に限定されないが、特許第3251073号に記載されている平均結晶化度(Xc)50〜75質量%や、面内の色相バラツキを低減させるため、特開平14-236214号公報に記載されている結晶化度38%以下のPVAフィルムを用いることができる。
PVAフィルムの複屈折(△n)は小さいことが好ましく、特許第3342516号明細書に記載されている、複屈折が1.0×10-3以下のPVAフィルムを好ましく用いることができる。ただし、特開平14−228835号公報に記載されているように、PVAフィルムの延伸時の切断を回避しながら高偏光度を得るため、PVAフィルムの複屈折を0.02以上0.01以下としてもよいし、特開平14−060505号に記載されているように(nx+ny)/2−nzの値を0.0003以上0.01以下としてもよい。なおここで、nxはフィルム長手方向の屈折率、nyはフィルム幅方向の屈折率、nzはフィルム厚み方向の屈折率である。
PVAフィルムのレターデーションRe(面内)は0nm〜100nmが好ましく、0nm〜50nmがさらに好ましい。また、PVAフィルムのRth(膜厚方向)は0nm〜500nmが好ましく、0nm〜300nmがさらに好ましい。
この他、特許3021494号明細書に記載されている1,2−グリコール結合量が1.5モル%以下のPVAフィルム;特開平13−316492号公報に記載されている5μm以上の光学的異物が100cm2当たり500個以下であるPVAフィルム;特開平14−030163号公報に記載されているフィルムのTD方向の熱水切断温度斑が1.5℃以下であるPVAフィルム;さらにグリセリンなどの3〜6価の多価アルコールを1〜100質量部混合したり、また特開平06−289225号公報に記載されている可塑剤を15質量%以上混合した溶液から製膜したPVAフィルム;などを好ましく用いることができる。
PVAフィルムの延伸前のフィルム膜厚は特に限定されないが、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、20〜200μmが特に好ましい。特開平14−236212号公報に記載されているように水中において4倍から6倍の延伸を行った時に発生する応力が10N以下となるような薄いPVAフィルムを使用してもよい。
二色性分子はI3 -やI5 -などの高次のヨウ素イオン又は二色性染料を好ましく使用することができる。本発明では高次のヨウ素イオンが特に好ましく使用される。高次のヨウ素イオンは、「偏光板の応用」永田良編(CMC出版)や「工業材料」第28巻、第7号、39〜45頁に記載されているように、ヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液及び/又はホウ酸水溶液にPVAを浸漬し、PVAに吸着・配向した状態で生成することができる。
二色性分子として二色性染料を用いる場合は、その具体例としては、例えば、「偏光フィルムの応用」(CMC刊、昭和61年2月10日発行)、或いは「COLOUR INDEX,ThirdEdition,Volume2」(The Society of Dyers and Colourists,The American Association of Textile Chemists and Colrists刊、1971年発行)中のC.I.Direct染料(直接染料)等をあげることができる。さらに特開昭62−70802号、特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平6−65815号、特開平7−261024号の各公報記載の二色性染料等も好ましく使用することができる。各種の色相を有する二色性分子を製造するため、これらの二色性染料は2種以上を配合してもかまわない。二色性染料を用いる場合、特開平14−082222号公報に記載されているように、吸着厚みが4μm以上であってもよい。
フィルム中の該二色性分子の含有量は、少なすぎると偏光度が低く、また、多すぎても単板透過率が低下することから通常、フィルムのマトリックスを構成するポリビニルアルコール系重合体に対して、0.01質量%から5質量%の範囲に調整される。
偏光フィルムの好ましい膜厚としては5〜40μm、さらには10〜30μm、特には5〜22μmの範囲である。偏光フィルムの膜厚が5〜22μmと薄膜化した場合には、該偏光フィルムがクロスニコル時の700nmの透過率が0.001%以上0.3%以下で410nmの透過率が0.001%以上0.3%以下とする態様が好ましい。クロスニコル時の700nmの透過率の上限は、0.3%以下であることが好ましく、0.2%であることが好ましい。410nmの透過率の上限は0.3%以下であることが好ましく、0.08%以下であることがより好ましく、0.05%以下であることがさらに好ましい。このことにより、経時変化による偏光フィルムの収縮によって生じる画像表示装置の周辺部からの光漏れ故障(額縁故障)を改良し、且つ表示画像のサイズが17インチ以上の大きな画面となっても、青味が少ないニュートラルグレーの色味を示し、良好な表示画像品位を達成することができる。
クロスニコル時の700nmの透過率及び410nmの透過率を下げる手段としては、偏光フィルムに、ヨウ素などの二色性物質に加えて対応する波長域に吸収をもつ上記の二色性色素を色相調整剤として添加すること、ヨウ素などの二色性物質を添加する際にホウ酸などの硬膜剤を添加すること等が有効である。また、これらを組み合わせて行うことも有効である。
上記色相調整剤は2種以上を配合してもよい。添加する色素は、410nm又は700nmに吸収を有すれば本発明の目的を達成するが、主吸収が380nmから500nmもしくは600nmから720nmに有することが好ましい。また、添加する色素量は、使用する色素の吸光度、二色比などにより任意に決めることができる。いずれもクロスニコル時の700nmの透過率が0.3%以下で410nmの透過率が0.3%以下になれば特に制限されることはない。
また、上記色相調整剤を偏光フィルムに添加する方法としては、浸漬、塗布、噴霧などのあらゆる方法が用いられるが、その中でも浸漬が好ましい。添加する工程は、延伸前、延伸後のいずれでもかまわないが、偏光性能向上の観点から延伸前が好ましい。単独で添加工程を設けてもよいし、後述する染色工程又は硬膜剤添加工程のいずれかもしくは両方において行うこともできる。
偏光フィルムの厚さと後述する保護フィルムの厚さの比は、特開平14−174727号公報に記載されているように、0.01≦A(偏光フィルムの膜厚)/B(保護フィルムの膜厚)≦0.16の範囲とすることも好ましい。
直線偏光フィルムは、Optiva Inc.に代表される塗布型偏光フィルム、もしくはバインダーと、ヨウ素または二色性色素からなる偏光フィルムが好ましい。直線偏光フィルムにおけるヨウ素および二色性色素は、バインダー中で配向することで偏向性能を発現する。ヨウ素および二色性色素は、バインダー分子に沿って配向するか、もしくは二色性色素が液晶のような自己組織化により一方向に配向することが好ましい。現在、市販の偏光子は、延伸したポリマーを、浴槽中のヨウ素もしくは二色性色素の溶液に浸漬し、バインダー中にヨウ素、もしくは二色性色素をバインダー中に浸透させることで作製されるのが一般的である。
市販の偏光フィルムは、ポリマー表面から4μm程度(両側合わせて8μm程度)にヨウ素もしくは二色性色素が分布しており、十分な偏光性能を得るためには、少なくとも10μmの厚みが必要である。浸透度は、ヨウ素もしくは二色性色素の溶液濃度、同浴槽の温度、同浸漬時間により制御することができる。上記のように、バインダー厚みの下限は、10μmであることが好ましい。厚みの上限は、液晶表示装置の光漏れの観点からは、薄ければ薄い程よい。現在市販の偏光板(約30μm)以下であることが好ましく、25μm以下が好ましく、20μm以下がさらに好ましい。20μm以下であると、光漏れ現象は、17インチの液晶表示装置で観察されなくなる。
偏光フィルムのバインダーは架橋していてもよい。架橋しているバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーを用いることができる。官能基を有するポリマーあるいはポリマーに官能基を導入して得られるバインダーを、光、熱あるいはpH変化により、バインダー間で反応させて偏光フィルムを形成することができる。また、架橋剤によりポリマーに架橋構造を導入してもよい。架橋は一般に、ポリマーまたはポリマーと架橋剤の混合物を含む塗布液を、透明支持体上に塗布したのち、加熱を行うことにより実施される。最終商品の段階で耐久性が確保できればよいため、架橋させる処理は、最終の偏光板を得るまでのいずれの段階で行ってもよい。
偏光フィルムのバインダーは、それ自体架橋可能なポリマーあるいは架橋剤により架橋されるポリマーのいずれも使用することができる。ポリマーの例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリスチレン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、ポリビニルトルエン、クロロスルホン化ポリエチレン、ニトロセルロース、塩素化ポリオレフィン(例、ポリ塩化ビニル)、ポリエステル、ポリイミド、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、カルボキシメチルセルロース、ポリプロピレン、ポリカーボネートおよびそれらのコポリマー(例、アクリル酸/メタクリル酸共重合体、スチレン/マレインイミド共重合体、スチレン/ビニルトルエン共重合体、酢酸ビニル/塩化ビニル共重合体、エチレン/酢酸ビニル共重合体)が含まれる。水溶性ポリマー(例、ポリ(N−メチロールアクリルアミド)、カルボキシメチルセルロース、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコール)が好ましく、ゼラチン、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールがさらに好ましく、ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが挙げられる。ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールが最も好ましい。変性ポリビニルアルコールについては、特開平8−338913号、同9−152509号および同9−316127号の各公報に記載がある。ポリビニルアルコールおよび変性ポリビニルアルコールは、二種以上を併用してもよい。
バインダーの架橋剤の添加量は、バインダーに対して、0.1〜20質量%が好ましい。偏光素子の配向性、偏光フィルムの耐湿熱性が良好となる。
偏光フィルムは、架橋反応が終了した後でも、反応しなかった架橋剤をある程度含んでいる。但し、残存する架橋剤の量は、偏光フィルム中に1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下であることがさらに好ましい。このようにすることで、偏光フィルムを液晶表示装置に組み込み、長期使用、或は高温高湿の雰囲気下に長期間放置しても、偏光度の低下を生じない。
架橋剤については、米国再発行特許23297号明細書に記載がある。また、ホウ素化合物(例、ホウ酸、硼砂)も、架橋剤として用いることができる。
二色性色素としては、アゾ系色素、スチルベン系色素、ピラゾロン系色素、トリフェニルメタン系色素、キノリン系色素、オキサジン系色素、チアジン系色素あるいはアントラキノン系色素が用いられる。二色性色素は、水溶性であることが好ましい。二色性色素は、親水性置換基(例、スルホ、アミノ、ヒドロキシル)を有することが好ましい。
二色性色素の例としては、例えば、前記の公技番号2001−1745号の58頁に記載の化合物が挙げられる。
膨潤工程
膨潤工程は、水のみで行うことが好ましいが、特開平10−153709号公報に記載されているように、光学性能の安定化及び製造ラインでの偏光フィルム基材のシワ発生回避のために、偏光フィルム基材をホウ酸水溶液により膨潤させて、偏光フィルム基材の膨潤度を管理することもできる。
また、膨潤工程の温度及び時間は、任意に定めることができるが、10℃〜50℃、5秒以上が好ましく、二色性色素を用いない場合には前述の通り30℃以上50℃以下、好ましくは35℃以上45℃以下の温度で5秒以上600秒以下、好ましくは15秒以上300秒以下とすることが好ましい。
染色工程
染色工程は、特開2002−86554号公報に記載の方法を用いることができる。また、染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素もしくは染料溶液の塗布又は噴霧等、任意の手段が可能である。染色に用いる二色性物質は特に限定されるものではないが、高コントラストな偏光板を得るためには、ヨウ素を用いることが好ましい。また、染色工程は液相で行うのが好ましい。
ヨウ素を用いる場合には、ヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液にPVAフィルムを浸漬させて行われる。ヨウ素は0.05〜20g/L、ヨウ化カリウムは3〜200g/L、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は1〜2000が好ましい。染色時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ヨウ素は0.5〜2g/L、ヨウ化カリウムは30〜120g/L、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は30〜120とし、染色時間は30〜600秒、液温度は20〜50℃とする。
前述の通り、硬膜剤としてホウ酸,ホウ砂等のホウ素系化合物を添加して、染色工程と後述する硬膜工程を同時に行うことも有効である。ホウ酸を用いる場合は、ヨウ素に対し質量比で1から30倍添加することが好ましい。また、この工程で二色性色素を添加することも有効で、その量は0.001〜1g/Lが好ましい。また、水溶液中の添加物量を一定にすることは、偏光性能維持のために重要であることから、連続して製造する場合には、ヨウ素、ヨウ化カリウム、ホウ酸、二色性色素などを補充しつつ製造することが好ましい。補充は、溶液、固形のいずれの状態でもよい。溶液で添加する場合には、高濃度にしておき、必要に応じて少量ずつ添加してもよい。
硬膜工程
硬膜工程は、架橋剤溶液に浸漬、又は溶液を塗布して架橋剤を含ませるのが好ましい。また、特開平11−52130号公報に記載されているように、硬膜工程を数回に分けて行うこともできる。
架橋剤としては米国再発行特許第232897号明細書に記載のものが使用でき、特許第3357109号公報に記載されているように、寸法安定性を向上させるため、架橋剤として多価アルデヒドを使用することもできるが、ホウ酸類が最も好ましく用いられる。
硬膜工程に用いる架橋剤としてホウ酸を用いる場合には、ホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液に金属イオンを添加してもよい。金属イオンとしては塩化亜鉛が好ましいが、特開2000−35512号公報に記載されているように、塩化亜鉛の変わりに、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛塩を用いることもできる。
好ましくは、塩化亜鉛を添加したホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液を作製し、PVAフィルムを浸漬させて硬膜を行うのがよい。ホウ酸は1〜100g/L、ヨウ化カリウムは1〜120g/L、塩化亜鉛は0.01〜10g/L、硬膜時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ホウ酸は10〜80g/L、ヨウ化カリウムは5〜100g/L、塩化亜鉛は0.02〜8g/L、硬膜時間は30〜600秒、液温度は20〜50℃である。前述の通り、この工程で二色性色素を添加して染色工程も同時に行うことも有効で、その詳細は既に述べた。
延伸工程
延伸は、前述の通り、延伸後に22μm以下の偏光フィルムになるように調整したうえで、米国特許2,454,515号明細書などに記載されているような、一軸延伸方法を用いることができる。本発明においては、特開2002−86554号公報に記載されているようなテンター方式による斜め延伸法で行うことも好ましい。
乾燥工程
乾燥条件は、特開2002−86554号公報に記載の方法に従うが、前述の通り、温度を80℃以下、好ましくは70℃以下にすることが好ましい。好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。
以上の工程により製造した偏光フィルム中の元素含有量は、ヨウ素0.1〜3.0g/m2、ホウ素0.1〜5.0g/m2、カリウム0.1〜2.0g/m2、亜鉛0.001〜2.0g/m2であることが好ましい。特に、単板透過率を41%以上にすることが好ましく、このためには、ヨウ素の含有量を低くすることが好ましく、好ましいヨウ素の含有量は0.1〜1.0g/m2である。
また、特許第3323255号明細書に記載されているように、偏光板の寸法安定性を向上させるために、染色工程、延伸工程及び硬膜工程のいずれかの工程において、有機チタン化合物及び/又は有機ジルコニウム化合物を添加使用し、有機チタン化合物及び有機ジルコニウム化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物を含有することもできる。
[保護フィルム]
本発明の製造方法の説明において、第1の保護フィルム、第1´の保護フィルム、第2の保護フィルム、および第3の保護フィルムとの記載は、それぞれ別個の保護フィルムを表わすためになされているものであって、それぞれが有する性質やその材料等が異なっていることを意味するものではない。以下、「保護フィルム」として第1の保護フィルム、第1´の保護フィルム、第2の保護フィルム、および第3の保護フィルムのいずれに用いてもよい「保護フィルム」について説明する。
保護フィルムは、下記(1)(2)のいずれかの条件を満たすものであることが好ましい。
(1)下記式(I)および(II)を満たすセルロースアシレートフィルム
(I)0≦Re(630)≦10、かつ、|Rth(630)|≦25
(II)|Re(400)−Re(700)|≦10、かつ、|Rth(400)−Rth(700)|≦35
(上記式(I)および(II)中、Re(λ)は、波長λnmにおける正面レターデーション値(nm)を表し、Rth(λ)は、波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(nm)を表す。)
(2)保護フィルムの膜厚方向のRthが下記式(III)および(IV)を満たすようなRthを低下させる化合物を含有する、保護フィルム
(III)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−1.0
(IV)0.01≦A≦30
(式(III)および(IV)中、Rth(A)は、Rthを低下させる化合物を含有した保護フィルムのRth(nm)を表し、Rth(0)は、該保護フィルムであって、Rthを低下させる化合物を含有しないフィルムのRth(nm)を表し、フィルム原料ポリマーの質量に対するRhtを低下させる化合物の質量(%)を表す。)
ここで、フィルム原料のポリマーとは、フィルムを構成する主要成分の原料ポリマーをいい、例えば、セルロースアシレートが挙げられる。
セルロースアシレート原料のセルロースとしては、綿花リンタや木材パルプ(広葉樹パルプ,針葉樹パルプ)などがあげられ、何れの原料セルロースから得られるセルロースアシレートでも使用でき、場合により混合して使用してもよい。これらの原料セルロースについての詳細な記載は、例えばプラスチック材料講座(17)繊維素系樹脂(丸澤、宇田著、日刊工業新聞社、1970年発行)や発明協会公開技報2001−1745(7頁〜8頁)に記載のセルロースを用いることができ特に限定されるものではない。
セルロースアシレート置換度
セルロースアシレートは、例えば、セルロースの水酸基がアシル化されたもので、その置換基はアシル基の炭素原子数2〜22のアセチル基のいずれも用いることができる。本発明で用いることができるセルロースアシレートのセルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースを水酸基に置換する酢酸および/または炭素原子数3〜22の脂肪酸の結合度を測定し、計算によって置換度が得られる。測定方法としては、ASTMのD−817−91に準じて実施することができる。
上述のように、セルロースアシレートにおいて、セルロースの水酸基への置換度については特に限定されないが、セルロースの水酸基へのアシル置換度が2.50〜3.00であることが好ましい。さらには置換度が2.75〜3.00であることがより好ましく、2.85〜3.00であることがさらに好ましい。
セルロースの水酸基に置換する酢酸および/または炭素原子数3〜22の脂肪酸のうち、炭素数2〜22のアシル基としては、脂肪族基でもアリル基でもよく、単一でも2種類以上の混合物でもよい。例えば、セルロースのアルキルカルボニルエステル、アルケニルカルボニルエステル、芳香族カルボニルエステルおよび芳香族アルキルカルボニルエステル等が挙げられる。これらは、それぞれさらに置換された基を有していてもよい。これらの好ましいアシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、へプタノイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、デカノイル基、ドデカノイル基、トリデカノイル基、テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、iso−ブタノイル基、tert−ブタノイル基、シクロヘキサンカルボニル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などを挙げることができる。これらの中でも、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ドデカノイル基、オクタデカノイル基、tert−ブタノイル基、オレオイル基、ベンゾイル基、ナフチルカルボニル基、シンナモイル基などが好ましく、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基がより好ましい。
上述のセルロースの水酸基に置換するアシル置換基のうちで、実質的にアセチル基、プロピオニル基およびブタノイル基の少なくとも2種類からなる場合においては、その全置換度が2.50〜3.00の場合にセルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下できる。より好ましいアシル置換度は2.60〜3.00であり、さらに好ましくは2.65〜3.00である。
セルロースアシレートの重合度
本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの重合度は、粘度平均重合度で180〜700であり、セルロースアセテートにおいては、180〜550がより好ましく、180〜400がさらに好ましく、180〜350が特に好ましい。重合度が一定以下とすることによりセルロースアシレートのドープ溶液の粘度が高くなり、流延によりフィルム作製が困難になるのをより効果的に防止することができる。重合度を一定以上とすることにより、作製したフィルムの強度が低下してしまうをより効果的に防止できる。平均重合度は、例えば、宇田らの極限粘度法(宇田和夫、斉藤秀夫、繊維学会誌、第18巻第1号、105〜120頁、1962年)により測定できる。この方法は、特開平9−95538号公報に詳細に記載されている。
また、本発明で好ましく用いられるセルロースアシレートの分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって評価され、その多分散性指数Mw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)が小さく、分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがさらに好ましく、1.0〜1.6であることが最も好ましい。
低分子成分が除去されると、平均分子量(重合度)が高くなるが、粘度は通常のセルロースアシレートよりも低くなるため有用である。低分子成分の少ないセルロースアシレートは、通常の方法で合成したセルロースアシレートから低分子成分を除去することにより得ることができる。低分子成分の除去は、セルロースアシレートを適当な有機溶媒で洗浄することにより実施できる。なお、低分子成分の少ないセルロースアシレートを製造する場合、酢化反応における硫酸触媒量を、セルロース100質量部に対して0.5〜25質量部に調整することが好ましい。硫酸触媒の量を上記範囲にすると、分子量部分布の点でも好ましい(分子量分布の均一な)セルロースアシレートを合成することができる。本発明で用いることができるセルロースアシレートの製造時に使用される際には、その含水率は2質量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは1質量%以下であり、特には0.7質量%以下の含水率を有するセルロースアシレートである。一般に、セルロースアシレートは、水を含有しており2.5〜5質量%が知られている。本発明でこのセルロースアシレートの含水率にするためには、乾燥することが必要であり、その方法は目的とする含水率になれば特に限定されない。これらのセルロースアシレートは、その原料綿や合成方法は発明協会公開技報(公技番号2001−1745、2001年3月15日発行、発明協会)にて7頁〜12頁に詳細に記載されている。
セルロースアシレートは置換基、置換度、重合度、分子量分布など前述した範囲であれば、単一あるいは異なる2種類以上のセルロースアシレートを混合して用いることができる。
セルロースアシレートへの添加剤
本発明で用いることができるセルロースアシレート溶液には、各調製工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、光学異方性を低下させる化合物、波長分散調整剤、紫外線防止剤、可塑剤、劣化防止剤、微粒子、光学特性調整剤など)を加えることができ、これらについて以下に説明する。またその添加する時期はドープ作製工程において何れでも添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。
本発明で用いることができるセルロースアシレートフィルムは、膜厚方向のRthが下記式(III)および(IV)を満たすようなRthを低下させる化合物を含有することが好ましい。
(III)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−1.0
(IV)0.01≦A≦30
(式(III)および(IV)中、Rth(A)は、Rthを低下させる化合物をA%含有した保護フィルムのRth(nm)を表し、Rth(0)は、該保護フィルムであって、Rthを低下させる化合物を含有しないフィルムのRth(nm)を表し、Aは、フィルム原料ポリマーの質量を100としたときのRhtを低下させる化合物の質量(%)を表す。)
上記式(III)、(IV)は
(III−I)(Rth(A)−Rth(0))/A≦−2.0
(IV−I)0.1≦A≦20
であることがさらに好ましい。
セルロースアシレート溶液にはセルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下させる化合物を添加してもよい。これらの化合物は、フィルム中のセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向するのを抑制すし光学異方性を十分に低下させ、ReがゼロかつRthがゼロに近くなるようにする。ここで、ゼロに近くなるとは、例えば、任意のある波長で±2nm以下をいう。このためには光学異方性を低下させる化合物はセルロースアシレートに十分に相溶し、化合物自身が棒状の構造や平面性の構造を持たないことが有利である。具体的には芳香族基のような平面性の官能基を複数持っている場合、それらの官能基を同一平面ではなく、非平面に持つような構造が有利である。
logP値
セルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下させる化合物としては、上述のようにフィルム中のセルロースアシレートが面内および膜厚方向に配向するのを抑制して光学異方性を低下させる化合物のうち、オクタノール−水分配係数(logP値)が0〜7である化合物が好ましい。logP値が7以下の化合物を採用することにより、セルロースアシレートとの相溶性がより良くなり、フィルムの白濁や粉吹きをより効果的に防止することができる。また、logP値が0以上の化合物を採用することにより、親水性が高いために、セルロースアセテートフィルムの耐水性が悪化してしまうのをより効果的に防止できる。logP値としてさらに好ましい範囲は1〜6であり、特に好ましい範囲は1.5〜5である。
オクタノール−水分配係数(logP値)の測定は、JIS日本工業規格Z7260−107(2000)に記載のフラスコ浸とう法により実施することができる。また、オクタノール−水分配係数(logP値)は実測に代わって、計算化学的手法あるいは経験的方法により見積もることも可能である。計算方法としては、Crippen's fragmentation法
(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)、Viswanadhan's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,29,163(1989).)、Broto's fragmentation法(Eur.J.Med.Chem.− Chim.Theor.,19,71(1984).)などが好ましく用いられるが、Crippen's fragmentation法(J.Chem.Inf.Comput.Sci.,27,21(1987).)がより好ましい。ある化合物のlogPの値が測定方法あるいは計算方法により異なる場合に、上記の範囲内であるかどうかは、Crippen's fragmentation法により判断することが好ましい。
光学異方性を低下させる化合物の物性
光学異方性を低下させる化合物は、芳香族基を含有してもよいし、含有しなくてもよい。また光学異方性を低下させる化合物は、分子量が150〜3000であることが好ましく、170〜2000であることがより好ましく、200〜1000であることがさらに好ましい。これらの分子量の範囲であれば、特定のモノマー構造であってもよいし、そのモノマーユニットが複数結合したオリゴマー構造、ポリマー構造でもよい。
光学異方性を低下させる化合物は、好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜250℃の固体であり、さらに好ましくは、25℃で液体であるか、融点が25〜200℃の固体である。また光学異方性を低下させる化合物は、セルロースアシレートフィルム作製のドープ流延、乾燥の過程で揮散しないことが好ましい。
光学異方性を低下させる化合物の添加量は、セルロースアシレートの0.01〜30質量%であることが好ましく、1〜25質量%であることがより好ましく、5〜20質量%であることが特に好ましい。
光学異方性を低下させる化合物は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
光学異方性を低下させる化合物を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
光学異方性を低下させる化合物は、少なくとも一方の側の表面から全膜厚の10%までの部分における該化合物の平均含有率が、該セルロースアシレートフィルムの中央部における該化合物の平均含有率の80〜99%となるよう存在するのが好ましい。光学異方性を低下させる化合物の存在量は、例えば、特開平8−57879号公報に記載の赤外吸収スペクトルを用いる方法などにより表面および中心部の化合物量を測定して求めることができる。
セルロースアシレートフィルムの光学異方性を低下させる化合物の具体例は特開2005−309382号公報,[0081]〜[0214]にて記載されているが、これら化合物に限定されない。
保護フィルムの最表面には防汚性及び耐擦傷性を有する反射防止膜、ハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗層、保護層等を設けてもよい。
ハードコート層
ハードコート層は、反射防止フィルムに物理強度を付与するために、透明基体の表面に設けられる。特に、透明基体と前記高屈折率層の間に設ける(すなわち、中屈折率層がハードコート層を兼ね、中屈折率ハードコート層とする)ことが好ましい。
ハードコート層は、光及び/又は熱の硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、また加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したと同様のものが挙げられる。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものが挙げられる。
高屈折率層はハードコート層を兼ねることができる。このような場合、高屈折率層で記載した手法を用いて微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成することが好ましい。ハードコート層にはまた、平均粒径0.2〜10μmの粒子を含有させて防眩機能(アンチグレア機能)を付与した防眩層を兼ねることもできる。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5〜7μmである。
ハードコート層の硬度は、JIS K−5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。またハードコート層の耐擦傷性は、JIS K−5400に従うテーバー試験で、試験前後のハードコート層を塗設した試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
前方散乱層
前方散乱層は、保護フィルムとして反射防止フィルムを使用した偏光板を液晶表示装置に適用した場合の、上下左右方向に視角を傾斜させたときの視野角改良効果を付与するために設けられる。上記ハードコート層中に屈折率の異なる微粒子を分散することで、ハードコート機能と兼ねることもできる。前方散乱層については、例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子の相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等が挙げられる。
アンチグレア機能
反射防止フィルムは、外光を散乱させるアンチグレア機能を有していてもよい。アンチグレア機能は、反射防止フィルムの表面、すなわち反射防止膜の表面に凹凸を形成することにより得られる。反射防止フィルムがアンチグレア機能を有する場合、反射防止フィルムのヘイズは、3〜50%であることが好ましく、5〜30%であることがさらに好ましく、5〜20%であることが最も好ましい。
反射防止膜表面に凹凸を形成する方法は、これらの表面形状を充分に保持できる方法であればいずれの方法でも適用できる。例えば、低屈折率層中に微粒子を使用して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、低屈折率層の下層(高屈折率層、中屈折率層又はハードコート層)に比較的大きな粒子(粒径0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成し、その上にこれらの形状を維持して低屈折率層を設ける方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、最上層(防汚性層)塗設後の表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等が挙げられる。
第3の保護フィルム等
第3の保護フィルム、および本発明の方法における工程(1)で用意される積層体の第1の保護フィルムが本発明の製造方法において剥離される場合における第1の保護フィルムとしては、上記で説明した保護フィルムを用いてもよいが、一般に合成ポリマー(例、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ノルボルネン樹脂、ポリエチレンテレフタレート,ポリエステル系ポリマー,ノルボルネン系ポリマー,環状オレフィンポリマー)が好ましい。
[偏光板の性能]
偏光板の光学的性質及び耐久性(短期、長期での保存性)は、市販のスーパーハイコントラスト品(例えば、株式会社サンリッツ社製HLC2−5618等)と同等以上の性能を有することが好ましい。具体的には、可視光透過率が42.5%以上で、偏光度{(Tp−Tc)/(Tp+Tc)}1/2 ≧0.9995(但し、Tpは平行透過率、Tcは直交透過率)であり、60℃、湿度90%RH雰囲気下に500時間および80℃、ドライ雰囲気下に500時間放置した場合のその前後における光透過率の変化率が絶対値に基づいて3%以下、更には1%以下、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1%以下、更には0.1%以下であることが好ましい。
液晶表示装置のコントラスト比を高めるためには、偏光板の透過率は高い方が好ましく、偏光度も高い方が好ましい。偏光板の透過率は、波長550nmの光において、30〜50%の範囲にあることが好ましく、35〜50%の範囲にあることがさらに好ましく、40〜50%の範囲にあることが最も好ましい。偏光度は、波長550nmの光において、90〜100%の範囲にあることが好ましく、95〜100%の範囲にあることがさらに好ましく、99〜100%の範囲にあることが最も好ましい。
[楕円偏光板]
本発明の製造方法で製造される偏光板は、光学異方性層を有する楕円偏光板であってもよい。楕円偏光板は、第1の保護フィルム(剥離されない場合)、第2の保護フィルムおよび第1´の保護フィルム(使用する場合)のいずれか1つ以上の保護フィルムを光学異方性層を有する光学補償シートとすることにより製造してもよく、または、偏光フィルム上に光学異方性層を設けておくことにより製造してもよい。光学異方性層は偏光フィルムと保護フィルムの間に位置してもよく、保護フィルムに対して偏光フィルムの反対側に位置していてもよい。
光学異方性層
光学異方性層は、画像着色の解消や視野角を拡大するために、様々な液晶表示装置で設けられている。光学異方性層としては、延伸複屈折ポリマーフィルムが従来から使用されていた。
光学異方性層を有する光学補償シートを本発明の製造方法において保護フィルムとして用いてもよい。なお、液晶表示装置においては、光学異方性層は偏光板以外の部分(例えば、液晶セルの基板として、液晶セルの基板上に、または液晶セルの内部に)形成することも可能である。
さらに、近年、延伸複屈折フィルムに代えて低分子あるいは高分子液晶性化合物から形成された光学異方性層を使用すること、又は延伸複屈折フィルムからなる光学異方性層に加えて低分子あるいは高分子液晶性化合物から形成された光学異方性層を設けることが提案されている。液晶性化合物には多様な配向形態があるため、液晶性化合物を用いることで、従来の延伸複屈折ポリマーフィルムのみでは得ることができない光学的性質を実現することが可能になった。
液晶性化合物には多様な配向形態があるため、液晶性化合物からなる光学異方性層は、単層でまたは複数層の積層体により、所望の光学的性質を発現する。即ち、光学異方性層は、支持体と該支持体上に形成された1以上の光学異方性層とからなる態様であってもよい。かかる態様の光学異方性層全体のレターデーションは、光学異方性層の光学異方性によって調整することができる。
光学異方性層の光学的性質は、液晶セルの光学的性質、具体的には上記のような表示モードの違いに応じて決定する。液晶性化合物を用いると、液晶セルの様々な表示モードに対応する様々な光学的性質を有する光学補償シートを製造することができる。様々な表示モードに対応した棒状、回転楕円体状や円盤状の液晶性化合物を用いた光学異方性層が、既に種々提案されている。例えば、TNモード液晶セル用光学異方性層は、電圧印加により液晶分子がねじれ構造が解消しつつ基板面に傾斜した配向状態の光学補償を行い、黒表示時の斜め方向の光漏れ防止によるコントラストの視角特性を向上させる。VAモードやIPSモード用光学異方性層は、偏光板の視野角依存性を補償して全方位で黒表示の輝度を低くしコントラストの視角特性を向上させることができる。
さらに光学補償シートの光学的性質は、光の波長毎に最適な値に設計することで、色変化の少ない広視野特性を有する液晶表示装置を提供する。特にマルチギャップやマルチドメインと組合せると有効である。また視野角を拡大するのではなく、特定方向のみから表示が観察できるような狭視野角化も可能である。
液晶性化合物にはその形状から、棒状液晶化合物とディスコティック液晶性化合物に分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがあり、いずれも使用することができる。棒状液晶化合物およびディスコティック液晶性化合物は、高分子液晶でも低分子液晶でもよく、さらに、低分子液晶が架橋され液晶性を示さなくなったものも含まれる。
光学異方性層の作製に棒状液晶性化合物を用いた場合は、棒状液晶性分子の配向方向は保護フィルム面に垂直,平行,ハイブリット配向でもよい。垂直,平行の場合はその長軸を支持体面へ投影した軸の平均方向が、配向軸に対して平行であるのが好ましい。また、光学異方性層の作製にディスコティック液晶性化合物を用いた場合は、ディスコティック液晶性分子は、その短軸を支持体面へ投影した軸の平均方向が配向軸に対して平行であるのが好ましい。また、円盤面と層平面とのなす角(傾斜角)が深さ方向に変化する、ハイブリッド配向でもよい。
棒状液晶性分子
棒状液晶性分子としては、アゾメチン類、アゾキシ類、シアノビフェニル類、シアノフェニルエステル類、安息香酸エステル類、シクロヘキサンカルボン酸フェニルエステル類、シアノフェニルシクロヘキサン類、シアノ置換フェニルピリミジン類、アルコキシ置換フェニルピリミジン類、フェニルジオキサン類、トラン類およびアルケニルシクロヘキシルベンゾニトリル類が好ましく用いられる。
なお、棒状液晶性分子には、金属錯体も含まれる。また、棒状液晶性分子を繰り返し単位中に含む液晶ポリマーも、棒状液晶性分子として用いることができる。言い換えると、棒状液晶性分子は、(液晶)ポリマーと結合していてもよい。
棒状液晶性分子については、季刊化学総説第22巻液晶の化学(1994)日本化学会編の第4章、第7章および第11章、および液晶デバイスハンドブック日本学術振興会第142委員会編の第3章に記載がある。 棒状液晶性分子の複屈折率は、0.001〜0.7の範囲にあることが好ましい。
棒状液晶性分子は、その配向状態を固定するために、重合性基を有することが好ましい。重合性基は、ラジカル重合性不飽基或はカチオン重合性基が好ましく、具体的には、例えば特開2002−62427号公報明細書中の段落番号[0064]〜[0086]記載の重合性基、重合性液晶化合物が挙げられる。
ディスコティック液晶性化合物
ディスコティック液晶性化合物は、ポリマーフィルム面に対して略垂直に配向させる。ディスコティック液晶性化合物は、様々な文献(C.Destrade et al.,Mol.Crysr.Liq.Cryst.,vol.71,page 111(1981);日本化学会編、季刊化学総説、No.22、液晶の化学、第5章、第10章第2節(1994);B.Kohne et al.,Angew. Chem.Soc.Chem.Comm.,page 1794(1985);J.Zhang et al.,J.Am.Chem.Soc., vol.116,page 2655(1994))等の文献に記載されているものを広く採用することができる。
ディスコティック液晶性化合物は、重合により固定可能なように、例えば、特開平8−27284号公報に記載のように重合性基を有するのが好ましい。例えば、ディスコティック液晶性化合物のディスコティックコアに、置換基として重合性基を結合させた構造が考えられるが、ディスコティックコアに重合性基を直結させると、重合反応において配向状態を保つことが困難になる。そこで、ディスコティックコアと重合性基との間に連結基を有する構造が好ましい。即ち、重合性基を有するディスコティック液晶性化合物は、下記式(XI)で表わされる化合物であることが好ましい。
式(XI) D(−L−P)n
式(XI)中、Dはディスコティックコアであり、Lは二価の連結基であり、Pは重合性基であり、nは4〜12の整数である。
前記式(XI)中のディスコティックコア(D)、二価の連結基(L)および重合性基(P)の好ましい具体例は、それぞれ、特開2001−4837号公報に記載の(D1)〜(D15)、(L1)〜(L25)、(P1)〜(P18)であり、同公報に記載の内容を好ましく用いることができる。
これらの液晶性化合物は、光学補償シート中では、略基板面に垂直配向している。ここで、略基板面にとは、例えば、基板面と平行または、±5度ずれていることをいう。また、実質的に均一に配向していることが好ましく、実質的に均一に配向している状態で固定されていることがさらに好ましく、重合反応により液晶性化合物が固定されていることが最も好ましい。重合性基を有するディスコティック液晶性化合物の場合は、実質的に垂直配向させることが好ましい。実質的に垂直とは、ディスコティック液晶性化合物の円盤面と光学補償膜の面との平均角度(平均傾斜角)が70度〜90度の範囲内であることを意味する。
[粘着材]
本発明の製造方法により得られる偏光板を、液晶表示装置の製造のために基板に貼り合わせる際には、通常粘着剤を含む粘着剤層を用いて接着すればよい。これらの粘着剤層は、アクリル系等の従来に準じた適宜な粘着剤にて形成することができる。吸湿による発泡現象や剥がれ現象の防止、熱膨張差等による光学特性の低下などの点より、吸湿率が低くて耐熱性に優れる粘着剤層であることが好ましい。
偏光板を基板に貼り合わせる際に用いる粘着剤層の厚みは30μm〜100μmが好ましく、33μm〜70μmがより好ましく、34μm〜50μmがさらに好ましい。
前記粘着剤の素材としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ポリエーテル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤等の感圧系の粘着剤が好ましい。
アクリル系粘着剤の場合、そのベースポリマーであるアクリル系重合体に使用されるモノマーとしては、各種(メタ)アクリル酸エステル(ここで、「(メタ)アクリル酸エステル」とはアクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルを総称した表現であり、以下(メタ)の付く化合物名は同様の意味である。)を使用できる。かかる(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、たとえば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、フェニル(メタ)アクリレート等を例示でき、これらを単独もしくは組合せて使用できる。また、得られるアクリル系重合体に極性を付与するために、前記(メタ)アクリル酸エステルの一部に代えて(メタ)アクリル酸を少量使用することもできる。さらに、架橋性単量体として(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、N−メチロール(メタ)アクリルアミド等も併用しうる。さらに所望により、(メタ)アクリル酸エステル重合体の粘着特性を損なわない程度において他の共重合可能な単量体、たとえば酢酸ビニル、スチレン等を併用しうる。
前記ゴム系粘着剤のベースポリマーとしては、例えば、天然ゴム、イソプレン系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、再生ゴム、ポリイソブチレン系ゴム、スチレン−イソプレン−スチレン系ゴム、スチレン−ブタジエン−スチレン系ゴム等が挙げられる。
前記シリコーン系粘着剤のベースポリマーとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等が挙げられる。
ポリエーテル系粘着剤のベースポリマーとしては、例えば、ポリビニルエチルエーテル、ポリビニルブチルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等が挙げられる。
[液晶表示装置]
液晶表示装置は、液晶セルと液晶セルに表示信号電圧を送る駆動回路、バックライト(背面光源)、入力画像信号を駆動回路に送る信号制御システムからなり、これらを合せて液晶モジュールと呼ぶ。
透過型液晶表示装置では偏光板を液晶セルの両側に取り付ける。また、反射型液晶表示装置では、通常、反射板、液晶セル、一枚以上の光学補償シート及び偏光板の順に配置する。
液晶表示装置は、駆動方法により、TFT(Thin Film Transistor)やMIM(Metal Insulator Metal)のような3端子または2端子反導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置と、時分割駆動と呼ばれるSTN型に代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置に適用した態様があり、本発明の製造方法により製造される偏光板はいずれにおいても有効である
図10に示す液晶表示装置はIPSモード液晶表示装置であり、液晶セル(9〜13)、および液晶セルを挟持して配置された上側偏光板(1〜6)と下側偏光板(14〜19)とを有する。液晶セル(9〜13)は、液晶セル上側基板9と液晶セル下側基板12と、これらに挟持される液晶層11とからなり、液晶層11は、基板9および12の対向面に施されたラビング処理の方向10および13によって、その配向方向が制御されている。
上側偏光板は、一対の透明保護フィルム1および5、ならびにこれらに挟持される偏光フィルム3からなる(透明保護フィルム5が液晶セルに近い側に配置されるものとする)。偏光フィルム3の吸収軸4は、透明保護フィルム1,5のフィルムロール送り方向(MD方向)2,6とは実質的に平行であるのが好ましい。MD方向2,6が平行であると、偏光板の機械的安定性の向上や、光学的性能の均一化の効果が得られるので好ましい。また、液晶セルに遠い側に配置される透明保護フィルム1のMD方向2と偏光フィルム3の吸収軸4とが実質的に平行であると、偏光板の寸法変化やカール防止といった機械的信頼性が向上する。MD方向6と吸収軸4が直交していても同様の効果が得られ、また、透明保護フィルム1および5の厚さや剛性が充分であれば、吸収軸4、2枚の保護フィルムのMD方向2,6がそれぞれ異なる角度で交差しても、同様な効果が得られる。
本発明の製造方法で得られる偏光板は図10の22で示されるように下側偏光板として用いることが好ましく、偏光フィルム16と偏光フィルム16の前記液晶層に近い側の保護フィルム14のMD方向14が、互いに直交するように配置される。保護フィルム14および18のMD方向15および19が互いに直交していると、それぞれの保護フィルムの複屈折を互いに打ち消すことにより、液晶表示装置に垂直入射した光の光学特性が劣化するのを低減することができる。また、MD方向15および19が互いに平行する態様では、液晶層に残留位相差がある場合には保護膜の複屈折でこの位相差を補償することができる
[液晶セル]
液晶セルは、液晶分子、基板、電極層、偏光板からなるが、その他に液晶分子を配向させる配向膜、2枚の基板間の距離(セルギャップ)を保持するための柱状、あるいは球状のスペーサ、カラーフィルターが配置されている。また、一般に液晶セルは、用途や使用の形態によってスペーサ、カラーフィルターを省略することも可能であり,他の部材(例えば、光学補償フィルム、反射板、集光レンズ、輝度向上フィルム、発光層、蛍光層、燐光層、反射防止膜、防汚膜、ハードコート膜等)を配置してもよい。
基板は透明ガラス基板を用いるのが一般的であるが、より硬く高温に耐えるシリコンガラス基板を用いてもよい。また耐熱性の優れたプラスチック基板、高分子材料による基板を用いてもよい。変形可能な材料により基板を使用してフレキシブルやリーラブルディスプレイも有効である。さらに反射型表示装置では基板の一方が透明であればよく、他方にステンレス等の金属基板を用いることも可能である。
液晶セルは電界により液晶の配向状態を変化させることで表示を行うが、電界無印加状態の配向状態の違いにより表示モードとして分類することができ、透過型、反射型及び半透過型のいずれにも適用できる。
液晶分子が基板に垂直な初期配向をとるVA(Vertically Aligned)モード。基板に平行な初期配向をとる平行配向型ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード。片側が垂直配向でもう一方が平行配向であるHAN(Hybrid Aligned Nematic)モード。基板近傍で液晶分子は平行配向しているが、基板の間の中間層では垂直配向をしているOCB(Optically Compensatory Bend)モード、あるいはベンドモード。基板に平行配向しているが上下基板間で配向方向がことなり、ねじれ構造を有するTN(Twisted Nematic)モード、さらに通常のTNモードのねじれ角が0〜100度の範囲であるのに対し、180〜270°ねじれたSTN(Super Twisted Nematic)モード,270°〜のねじれ構造を有するコレステリック液晶モードがある。また基板に平行配向し、かつ基板面に平行ないわゆる横電界により液晶配向が基板面内で変化するIPS(In−Plane Switching)モード。基板面に垂直な電界でIPSモードと同じに面内の配向方向の変化で表示を切り替えるFLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モードのような表示モードがある。
液晶材料LCとしては、誘電率異方性△εが正のネマチック液晶を用いる。液晶層の厚み(ギャップ)は、2.8μm超4.5μm未満とした。このように、レターデーション(Δn・d)を0.25μm超0.32μm未満とすると、可視光の範囲内で波長依存性が殆どない透過率特性がより容易に得られる。後述の配向膜と偏光板の組み合わせにより、液晶性分子がラビング方向から電界方向に45度回転したとき最大透過率を得ることができる。なお、液晶層の厚み(ギャップ)はポリマビーズで制御している。もちろんガラスビーズヤファイバー、樹脂製の柱状スペーサでも同様のギャップを得ることができる。また液晶材料LCは、ネマチック液晶であれば、特に限定したものではない。誘電率異方性△εは、その値が大きいほうが、駆動電圧が低減でき、屈折率異方性△nは小さいほうが液晶層の厚み(ギャップ)を厚くでき、液晶の封入時間が短縮され、かつギャップばらつきを少なくすることができる。
黒表示時に液晶材料が略平行に配向する液晶表示装置では、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様において上述のセルロースアシレートフィルムを保護フィルムに用いることにより、色味の改善、視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。この態様においては、液晶セルの上下の前記偏光板の保護フィルムのうち、液晶セルと偏光板との間に配置された保護フィルム(セル側の保護フィルム)に本発明で用いることができるセルロースアシレートフィルムを用いた偏光板を少なくとも片側一方に用いることが好ましい。
それぞれの表示モードの特徴は、VAモードはON−OFFの白黒応答速度が速く、ラビングプロセスによる配向処理を省略することも可能である。IPS、FLCの各モードは視野角が広い。OCBモードは応答速度が全ての階調表示で早い。FLCやコレステリック液晶モードではメモリー性を付与することも可能であり,低消費電力化に有効である。TNモードは透過率が高く、かつ製造プロセスが簡略である。なお、図10にはIPSモードの液晶表示装置の態様を示したが、本発明の製造方法により製造される偏光板を適用する液晶表示装置は、TNモード、VAモード、ベンドモード、OCBモード、ECBモード,FLCモードのいずれの態様であってもよい。
[マルチドメイン/ギャップ]
カラーフィルターを使ったカラー表示を行う液晶表示装置では、光の3原色、赤、緑、青のサブピクセルが1組となり通常1画素を形成する。また3色以上のサブピクセルで1画素を形成する場合もある。通常は各サブピクセルのセルギャップは同一であるが、表示色、特に黒表示や白表示のニュートラル色の調整のために各色でセルギャップを変えるマルチギャップにしてもよい。さらに1画素を複数の領域に分割するマルチドメインと呼ばれる構造にして、色バランスの調整や視野角特性の平均化を行ってもよい。1画素を複数の領域による構造においては、各領域が異なる配向特性またはギャップ値をもつことも可能である。
[バックライト]
液晶表示装置は液晶セルを通過する光のON、OFF遮断で表示を行うが、透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置することがで、明るく鮮やかな表示装置となる。
バックライトには、携帯端末やノートパソコンに使用される表示装置に使われるサイドエッジ型バックライトと、テレビなどの表示装置に使われる直下型バックライトがある。サイドエッジ型は導光板の端部に蛍光灯が1本あるいは2本配置された形状で、バックライトの装置厚さを小さくできる長所がある。一方直下型バックライトでは、必要輝度に応じて蛍光灯の数を増やすことが可能であり、高輝度を得やすい。サイドエッジ型及び直下型バックライトにおいて蛍光灯に代えて、発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子等を使用した構造も有効である。
さらにバックライトの発光効率を高めるために、プリズム状やレンズ状の集光型輝度向上シート(フィルム)を積層したり、偏光板の吸収による光ロスを改善する偏光反射型の輝度向上シート(フィルム)をバックライトと液晶セルの間に積層したりしてもよい。また、バックライトの光源を均一化させるための拡散シート(フィルム)を積層してもよく、逆に光源に面内分布をもたせるための反射、拡散パターンを印刷などで形成したシート(フィルム)を積層してもよい。バックライトは常時点灯するもの以外にも、間欠点灯するもの、バックライトを複数の領域に分割して発光させるものがある。また発光方法を画像イメージと関連づけて調光すること可能である。バックライトが複数の領域に分かれ、おのおのが異なった発光(輝度及び色)をする構造であってもよい。
[フィールドシーケンシャル]
液晶表示装置によるフルカラー表示の方式には、空間混合方式と時間差混合方式があり、後者はフィールドシーケンシャル方式と呼ばれ,いずれの方式でも有効である。
空間混合方式は赤(R)、緑(G)、青(B)の波長領域の光を重ねる加法混色を基本原理とし、LCDにおいて、R・G・Bにそれぞれ光る画素を近接して配置するとともに、各画素の輝度を変えることにより、これらの色を任意に混色して、任意の色光を得るものである。また、空間混合方式によるLCDにおいては、一般的にカラーフィルターが用いられている。しかしカラーフィルターは光の吸収で色表示を行うため透過率が低く、消費電力の点ではフィールドシーケンシャルバックライトのほうが優れる。
フィールドシーケンシャル方式とは、「時分割」による混色を利用したカラー表示方式である。すなわち、二色以上の光を継続的に切り替えて発光させ、かつ、その切り替えの速さを人間の目の時間的分解能を越えた速さとした場合に、人間が上述の二色以上の色を混色して認識することを応用した方式である。
フィールドシーケンシャル方式のフルカラーLCDにおいては、動画表示におけるフィールド毎に、それぞれ、バックライトをR・G・B三つの発光色(4色以上の発光色を使う場合もある)のうち一つの発光色で発光可能とするとともに、フィールド毎に継続的に各発光色を切り替えて(時分割して)発光させ、その切り替えの速さを充分に速くすることにより任意の色光を得るようになっている。
[アプリケーション]
液晶表示装置は、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。画像直視型にはノートパソコン、パソコン用モニターなどのOA機器、テレビなどのマルチメディア用ディスプレイ、カーナビゲーション、携帯電話、携帯端末、時計型端末、ウェアラブルディスプレイ等の小型表示装置に有効である。さらにはアミューズメント機器の表示装置や会議用の縦置きや床置きの大型表示装置にも有効である。
画像投影型はスクリーンに直接投影するフロントプロジェクター型とスクリーンの背面から投影するリヤプロジェクター型がある。またLED光源等を用いた携帯型のプロジェクターにも有効である。
光変調型は、3次元ディスプレイや高臨場感型ディスプレイとよばれる表示装置に有効である。例えば液晶セルを2枚用いた3次元ディスプレイや複数のリヤプロジェクターからなる円筒型3次元ディスプレイに有効である。
本発明の製造方法により得られる偏光板の一例を示す概略図である。 本発明の製造方法により得られる偏光板の一例を示す概略図である。 本発明の偏光板の製造過程の一例を示す概略図である。 本発明の偏光板の製造過程の一例を示す概略図である。 本発明の偏光板の製造過程の一例を示す概略図である。 本発明の偏光板の製造過程の一例を示す概略図である。 偏光板の製造過程の一例を示す概略図である。 偏光板の一例を示す概略図である。 偏光板の一例を示す概略図である。 本発明の液晶表示装置の一例を示す概略図である。
符号の説明
1 上側偏光板保護フィルム
2 上側偏光板保護フィルムMD方向
3 上側偏光板偏光フィルム
4 上側偏光板偏光フィルム吸収軸
5 上側偏光板液晶セル側保護フィルム
6 上側偏光板液晶セル側保護フィルムMD方向
7 光学異方性フィルム
8 光学異方性フィルム遅相軸
9 液晶セル上側基板
10 上側基板液晶配向用ラビング方向
11 液晶分子(液晶層)
12 液晶セル下側基板
13 下側基板液晶配向用ラビング方向
14 下側偏光板液晶セル側保護フィルム
15 下側偏光板液晶セル側保護フィルムMD方向
16 下側偏光板偏光フィルム
17 下側偏光板偏光フィルムの吸収軸
18 下側偏光板保護フィルム
19 下側偏光板保護フィルムMD方向
20 光源(バックライト)
21 上側偏光板
22 下側偏光板
23 印加電界方向
24 線状電極
25 絶縁層
26 電極
30 MD方向
31 TD方向

Claims (9)

  1. 下記(1)及び(2)の工程を含む偏光板の製造方法:
    (1)偏光フィルムと、MD方向が該偏光フィルムの吸収軸に平行である第1の保護フィルムとを含む積層体を用意する工程
    (2)前記積層体の前記偏光フィルムに対して前記の第1の保護フィルムと反対側の面に、第2の保護フィルムを該第2の保護フィルムのMD方向と前記吸収軸とが直交するように積層する工程。
  2. 前記工程(1)における積層体が、前記偏光フィルムに対して第1の保護フィルムと反対側の面に第3の保護フィルムを含み;
    前記工程(1)と(2)の間に、該第3の保護フィルムを剥離する工程を含む請求項1に記載の方法。
  3. 前記工程(2)において、第2の保護フィルムをバッチ張りにより積層する請求項1または2に記載の製造方法。
  4. 前記工程(2)において、第2の保護フィルムをロールツーロールで張り合わせて積層する請求項1または2に記載の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法の工程(2)で得られる積層体における第1の保護フィルムを剥離し、該積層体における該剥離後の面に第1´の保護フィルムを該第1´の保護フィルムのMD方向と前記吸収軸とが直交するように積層する工程を含む偏光板の製造方法。
  6. 第1´の保護フィルムをバッチ張りにより積層する請求項5に記載の製造方法。
  7. 第1´の保護フィルムをロールツーロールで張り合わせて積層する請求項5に記載の製造方法。
  8. 液晶セルと、該液晶セルを挟持して配置された観察側偏光板および下側偏光板とを有し、かつ前記の観察側偏光板および下側偏光板はそれぞれ偏光フィルムと該偏光フィルムの両面に設けられた保護フィルムとを有する液晶表示装置であって、
    前記観察側偏光板の一対の保護フィルムのMD方向はいずれも画面水平方向と平行であり,
    前記下側偏光板の液晶セル側の保護フィルムのMD方向が画面水平方向と平行であり、かつ前記下側偏光板の偏光フィルムの吸収軸が画面水平方向と直行する液晶表示装置。
  9. 前記下側保護フィルムの少なくとも一方が下記式(I)および(II)を満たすセルロースアシレートフィルムである、請求項8に記載の液晶表示装置。
    (I)0≦Re(630)≦10、かつ、|Rth(630)|≦25
    (II)|Re(400)−Re(700)|≦10、かつ、|Rth(400)−Rth(700)|≦35
    (上記式(I)および(II)中、Re(λ)は、波長λnmにおける正面レターデーション値(nm)を表し、Rth(λ)は、波長λnmにおける膜厚方向のレターデーション値(nm)を表す。)
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