JP2010085574A - 光学補償フィルムの鹸化処理方法、光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 - Google Patents

光学補償フィルムの鹸化処理方法、光学補償フィルム、偏光板、及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は、鹸化処理時のフィルムの波打ちによる鹸化ムラがなく、鹸化処理後の加熱処理時の熱ムラによって生じる乾燥ムラが原因となるコントラストムラ、色ムラの発生のない光学補償フィルムの鹸化処理方法を提供し、該光学補償フィルムを用いることで視野角、視認性に優れる偏光板、液晶表示装置を提供するものである。
【解決手段】光学補償フィルムの少なくとも一方の面を鹸化処理した後、ガイドロールで支持、搬送しながら加熱処理して乾燥させる光学補償フィルムの鹸化処理方法において、該光学補償フィルムが、ポリマーフィルムを鹸化面とは反対面に粘着層を介して貼り合わせた状態で、かつ該ポリマーフィルムがガイドロール側に配置された状態で、該加熱処理して乾燥させることを特徴とする光学補償フィルムの鹸化処理方法。
【選択図】なし

Description

本発明は光学補償フィルムの鹸化処理方法、及びそれによって得られた光学補償フィルム、該光学補償フィルムを用いた偏光板、液晶表示装置に関し、より詳細には、鹸化処理後の加熱処理時の熱ムラによって生じる乾燥ムラが原因となる光学補償フィルムのコントラストムラ、色ムラを低減する鹸化処理方法に関する。
偏光子を保護する目的として、偏光板保護フィルムが使用されている。この偏光板保護フィルムは、偏光子の両面をサンドイッチする構成で偏光板としている。従来、光学補償フィルムを貼付して視野角を拡大した偏光板により、液晶表示装置の表示品質を向上することが行われてきた。
光学補償フィルムは、例えば、セルロースアセテート支持体上に配向膜を介してディスコティック液晶化合物の配向が固定化された光学補償フィルムをツイストネマチック(TN)型液晶セルの上面と下面に配置して、液晶セルの視野角特性を改善できることが知られている。
また、セルロースアセテート支持体自身を流延方向(MD方向)、及び/またはそれと直交する方向(TD方向)に延伸することで面内、及び厚み方向のリターデーションを制御して視野角特性を改善できるフィルムも出現している。
これらの光学補償フィルムは通常鹸化処理を行い、偏光子、または偏光子保護フィルムに貼合される。
従来光学補償フィルムを鹸化する際は、フィルムをそのまま鹸化液が貯められた水槽(バス)に浸漬、搬送させるという手法が用いられてきた。しかし、この方法では、水槽内でフィルムが微細に波打ち、鹸化にムラが生じてそれが液晶表示装置の表示ムラを生じさせるという問題があった。また、鹸化処理に続く乾燥工程では片面をガイドロールで支持しながら行うことから、フィルムがロールに接触する部分で熱ムラが発生し、それによって生ずる乾燥ムラから、液晶表示装置のコントラストムラ、色ムラという表示ムラが生ずるという問題があった。
特許文献1では、片側の面をガイドロールで支持させながら、対向の面をダイコーターで鹸化液を塗布する方法が開示されている。しかし、この手法においても片面をバックアップロールで支持していることから、鹸化液塗布後の乾燥工程において、熱ムラが生じ表示ムラを生じさせるという問題を抱えていた。
光学補償フィルムによる液晶表示装置の表示品質向上において、ますます大画面化するTV用では更に視野角の拡大し、コントラストムラ、色ムラのない光学補償フィルムが要求されている。
特開2006−91292号公報
従って本発明の目的は、鹸化処理時のフィルムの波打ちによる鹸化ムラがなく、鹸化処理後の加熱処理時の熱ムラによって生じる乾燥ムラが原因となるコントラストムラ、色ムラの発生のない光学補償フィルムの鹸化処理方法を提供し、該光学補償フィルムを用いることで視野角、視認性に優れる偏光板、液晶表示装置を提供するものである。
本発明の上記課題は以下の構成により達成される。
1.光学補償フィルムの少なくとも一方の面を鹸化処理した後、ガイドロールで支持、搬送しながら加熱処理して乾燥させる光学補償フィルムの鹸化処理方法において、該光学補償フィルムが、ポリマーフィルムを鹸化面とは反対面に粘着層を介して貼り合わせた状態で、かつ該ポリマーフィルムがガイドロール側に配置された状態で、該加熱処理して乾燥させることを特徴とする光学補償フィルムの鹸化処理方法。
2.前記ポリマーフィルムが、鹸化処理前に、前記光学補償フィルムの鹸化面とは反対面に粘着層を介して貼合され、次いで鹸化処理されることを特徴とする前記1に記載の光学補償フィルムの鹸化処理方法。
3.前記ポリマーフィルムがポリエステルを主成分とすることを特徴とする前記1または2に記載の光学補償フィルムの鹸化処理方法。
4.前記加熱処理の温度が50℃〜120℃の範囲であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の光学補償フィルムの鹸化処理方法。
5.前記鹸化処理が鹸化液への浸漬方式、コーターによる塗布方式、またはインクジェット法による塗布方式のいずれかであることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の光学補償フィルムの鹸化処理方法。
6.前記1〜5のいずれか1項に記載の光学補償フィルムの鹸化処理方法によって得られたことを特徴とする光学補償フィルム。
7.前記6に記載の光学補償フィルムを、偏光子の少なくとも一方の面に用いたことを特徴とする偏光板。
8.前記7に記載の偏光板を用いたことを特徴とする液晶表示装置。
本発明によれば、鹸化処理時のフィルムの波打ちによる鹸化ムラがなく、鹸化処理後の加熱処理時の熱ムラによって生じる乾燥ムラが原因となるコントラストムラ、色ムラの発生のない光学補償フィルムの鹸化処理方法を提供し、該光学補償フィルムを用いることで視野角、視認性に優れる偏光板、液晶表示装置を提供するものである。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
本発明の「鹸化処理方法」とは、鹸化液に浸漬または鹸化液を塗布する鹸化処理工程のみならず、鹸化処理済みのフィルムを乾燥する為の加熱処理工程をも含む。更に、下記図1の工程図で示すように、光学補償フィルム、ポリマーフィルムの元巻きを繰り出し、両者を貼合する工程、及び加熱処理工程後に必要で有れば、光学補償フィルムとポリマーフィルムを剥離し巻き取る工程をも含む。
本発明の光学補償フィルムの鹸化処理方法は、光学補償フィルムの少なくとも一方の面を鹸化処理した後、ガイドロールで支持、搬送しながら加熱処理して乾燥させる光学補償フィルムの鹸化処理方法において、該光学補償フィルムが、ポリマーフィルムを鹸化面とは反対面に粘着層を介して貼り合わせた状態で、かつ該ポリマーフィルムがガイドロール側に配置された状態で、該加熱処理して乾燥させることを特徴とする。
即ち、高分子フィルムからなる光学補償フィルムを鹸化処理後、加熱処理する際に、該光学補償フィルムのガイドロール側に粘着層を介してポリマーフィルムを積層させることによって、光学補償フィルムがガイドロールに接触する部分で受ける熱ムラを積層されたポリマーフィルムによって緩和し、フィルムの乾燥ムラ、位相差ムラをなくすことで、偏光板、液晶表示装置の表示ムラを低減、表示品質を向上するものである。
更に、前記ポリマーフィルムが、鹸化処理前に前記光学補償フィルムの鹸化面とは反対面に粘着層を介して貼合され、次いで鹸化処理することで、フィルムのコシがしっかりとすることにより鹸化液中での波打ちの発生を低減し、従って鹸化ムラの発生がなく偏光板に均一に貼合されることから所期の位相差を全面に渡って発現し、偏光板、液晶表示装置の表示ムラを低減、表示品質を向上させるものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
<鹸化処理方法>
図1に本発明の鹸化処理方法の工程図を示す。図は本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれに限定されるものではない。
光学補償フィルム1、及びポリマーフィルム2は各々の元巻きから繰り出され、粘着剤供給装置3からポリマーフィルム2上に粘着剤が供給塗布された後、ニップロール4、4′により両フィルムを軽度に粘着、貼合する。貼合された積層フィルム5は、例(a)では鹸化液を貯留したバス6中で浸漬され鹸化処理される。或いは例(b)のようにダイにより鹸化液が塗布され鹸化処理される。或いは例(c)のようにインクジェット方式で鹸化液が吹き付けられ鹸化処理される。鹸化処理後は光学補償フィルム1、及びポリマーフィルム2は剥離されずに、表面を水、及び中和剤によりリンス、スクイーズされた後(不図示)、加熱処理装置7に導入され乾燥される。乾燥は、複数のガイドロール8により積層フィルムが把持され、ポリマーフィルム側がガイドロール8に接しながら搬送される。加熱処理工程後は必要であれば光学補償フィルム1、及びポリマーフィルム2は各々剥離されて巻き取られる。
ここで鹸化液の温度は、鹸化処理を均一に比較的短時間で行う為に20℃〜60℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは30℃〜50℃である。バス中で鹸化処理される時間は特に制限されるものではないが、1分〜20分の範囲であることが好ましく、より好ましくは2分〜10分の範囲である。鹸化液は撹拌されていると均一な鹸化が行え好ましい。
加熱処理の温度は鹸化液が蒸発する温度であれば特に制限されないが、50℃〜120℃の範囲であることが好ましく、60℃〜100℃であることがより好ましい。加熱する際に熱風等を表面に吹き付けることは乾燥時間の短縮化に繋がるため好ましい。
用いられる粘着剤としては、例えば、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、水性高分子−イソシアネート系粘着剤、アクリル粘着剤等が好ましく、粘着層の厚みは適宜調整されるが、1〜40μmの範囲であることが好ましい。
<ポリマーフィルム>
本発明のポリマーフィルムは、ポリカーボネート系樹脂、アクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、及びポリエステル系樹脂から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含有するフィルムであることが好ましく、特に物性、光学特性、取り扱い易さ、コスト等の点で、ポリエステル系樹脂を主成分として含むポリマーフィルムであることが好ましい。特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステル系樹脂であることが好ましい。
ポリマーフィルムとして求められる特性としては、弾性率が大きく、薄いが腰が強く、透明性、衝撃に対する強さが大きいことが好ましい。更に熱伝導率がよく、水蒸気や気体の透過率が小さく、薬品に侵されない、などの特性が求められる。
具体的には、前記ポリマーフィルムの密度が910〜941[kg/m]、ヤング率が100〜800[MPa]、熱伝導率が0.33〜0.45[W/m K]、膜厚が40〜80[μm]であるポリエステルフィルムを使用することが好ましい。
主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2−6ナフタレンジカルボン酸、2−7ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸等を挙げることができる。また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオール等を挙げることができる。
これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも透明性、機械的強度、寸法安定性等の点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸及び/又は2−6ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコール及び/又はジエチレングリコールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレート又はポリエチレン2−6ナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2−6ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、及びこれらのポリエステルの二種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
ポリエステルに対してエチレンテレフタレートユニット又はエチレン2−6ナフタレートユニットが70質量%以上含有していると、透明性、機械的強度、寸法安定性等に高度に優れたフィルムが得られる。
本発明に用いられるポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、更に他の共重合成分が共重合されていてもよいし、他のポリエステルが混合されていてもよい。これらの例としては、先に挙げたジカルボン酸成分やジオール成分、又はそれらからなるポリエステルを挙げることができる。
上記ポリエステルフィルムを構成するポリエステルには、スルホネート基を有する芳香族ジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体、ポリオキシアルキレン基を有するジカルボン酸又はそのエステル形成性誘導体、ポリオキシアルキレン基を有するジオール等を共重合してもよい。ポリエステルの重合反応性やフィルムの透明性の点で、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、4−ナトリウムスルホフタル酸、4−ナトリウムスルホ−2,6−ナフタレンジカルボン酸及びこれらのナトリウムを他の金属(例えば、カリウム、リチウム等)やアンモニウム塩、ホスホニウム塩等で置換した化合物又はそのエステル形成性誘導体、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体及びこれらの両端のヒドロキシ基を酸化する等してカルボキシル基とした化合物等が好ましい。また、フィルムの耐熱性を向上する目的では、ビスフェノール系化合物、ナフタレン環又はシクロヘキサン環を有する化合物を共重合することができる。
本発明に用いられるポリエステルには、酸化防止剤が含有されていてもよい。特にポリエステルが、ポリオキシアルキレン基を有する化合物を含む場合に効果が顕著となる。含有させる酸化防止剤はその種類につき特に限定はなく、各種の酸化防止剤を使用することができるが、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、ホスファイト系化合物、チオエーテル系化合物等の酸化防止剤を挙げることができる。中でも透明性の点でヒンダードフェノール系化合物の酸化防止剤が好ましい。酸化防止剤の含有量は、通常、ポリエステルに対して0.01〜2質量%、好ましくは0.1〜0.5質量%である。
ポリエステルフィルムには、必要に応じて易滑性を付与することもできる。易滑性付与手段としては、特に限定はないが、ポリエステルに不活性無機粒子を添加する外部粒子添加方法、ポリエステルの合成時に添加する触媒を析出させる内部粒子析出方法、或いは界面活性剤等をフィルム表面に塗布する方法等が一般的である。
ポリエステルフィルムの原料のポリエステルの合成方法は、特に限定があるわけではなく、従来公知のポリエステルの製造方法に従って製造できる。例えば、ジカルボン酸成分をジオール成分と直接エステル化反応させる直接エステル化法、初めにジカルボン酸成分としてジアルキルエステルを用いて、これとジオール成分とでエステル交換反応させ、これを減圧下で加熱して余剰のジオール成分を除去することにより重合させるエステル交換法を用いることができる。この際、必要に応じてエステル交換触媒或いは重合反応触媒を用い、或いは耐熱安定剤を添加することができる。また、合成時の各過程で着色防止剤、酸化防止剤、結晶核剤、すべり剤、安定剤、ブロッキング防止剤、紫外線吸収剤、粘度調節剤、消泡剤、透明化剤、帯電防止剤、pH調整剤、染料、顔料等を添加させてもよい。
ポリエステルフィルムの製造方法について説明する。本発明においてポリエステルフィルムは、一方向の延伸倍率が1.00〜2.50倍、それと直交する方向の延伸倍率が2.5〜7.0倍に二軸延伸製膜されたポリエステルフィルムであることが好ましく、より好ましくは、流延方向の延伸倍率が1.0〜2.0倍、幅手方向の延伸倍率が2.5〜7.0倍に二軸延伸製膜されたポリエステルフィルムであり、更に好ましくは、流延方向の延伸倍率が1.1〜1.8倍、幅手方向の延伸倍率が3.0〜6.0倍に二軸延伸製膜されたポリエステルフィルムである。
上記ポリエステルフィルムを得るには、従来公知の方法で行うことができ、特に限定されないが、以下の様な方法で行うことができる。
先ず、原料のポリエステルをペレット状に成型し、熱風乾燥又は真空乾燥した後、溶融押出し、Tダイよりシート状に押出して、静電印加法等により冷却ドラムに密着させ、冷却固化させ、未延伸シートを得る。次いで、得られた未延伸シートを複数のロール群及び/又は赤外線ヒーター等の加熱装置を介してポリエステルのガラス転移温度(Tg)からTg+100℃の範囲内に加熱し、一段又は多段縦延伸する方法である。
次に、上記のようにして得られた流延方向に延伸されたポリエステルフィルムを、Tg〜Tm−20℃の温度範囲内で、幅手延伸し次いで熱固定する。
幅手延伸する場合、2つ以上に分割された延伸領域で温度差を1〜50℃の範囲で順次昇温しながら幅手延伸すると幅方向の物性の分布が低減でき好ましい。更に幅手延伸後、フィルムをその最終幅手延伸温度以下でTg−40℃以上の範囲に0.01〜5分間保持すると幅方向の物性の分布が更に低減でき好ましい。
熱固定は、その最終幅手延伸温度より高温で、Tm−20℃以下の温度範囲内で通常0.5〜300秒間熱固定する。この際、2つ以上に分割された領域で温度差を1〜100℃の範囲で順次昇温しながら熱固定することが好ましい。
熱固定されたフィルムは通常Tg以下まで冷却され、フィルム両端のクリップ把持部分をカットし巻き取られる。この際、最終熱固定温度以下、Tg以上の温度範囲内で、幅手方向及び/又は流延方向に0.1〜10%弛緩処理することが好ましい。また冷却は、最終熱固定温度からTgまでを、毎秒100℃以下の冷却速度で徐冷することが好ましい。冷却、弛緩処理する手段は特に限定はなく、従来公知の手段で行えるが、特に複数の温度領域で順次冷却しながら、これらの処理を行うことが、フィルムの寸法安定性向上の点で好ましい。尚、冷却速度は、最終熱固定温度をT1、フィルムが最終熱固定温度からTgに達するまでの時間をtとしたとき、(T1−Tg)/tで求めた値である。
これら熱固定条件、冷却、弛緩処理条件のより最適な条件は、フィルムを構成するポリエステルにより異なるので、得られた二軸延伸フィルムの物性を測定し、好ましい特性を有するように適宜調整することにより決定すればよい。
また、上記フィルム製造に際し、延伸の前及び/又は後で帯電防止層、易滑性層、接着層、バリアー層等の機能性層を塗設してもよい。この際、コロナ放電処理、薬液処理等の各種表面処理を必要に応じて施すことができる。カットされたフィルム両端のクリップ把持部分は、粉砕処理された後、或いは必要に応じて造粒処理や解重合・再重合等の処理を行った後、同じ品種のフィルム用原料として又は異なる品種のフィルム用原料として再利用してもよい。
またポリエステルフィルムは、どちらか一方向の延伸のみを行ってもよい。延伸する方向は、流延方向、幅手方向のいずれでもよいが、より好ましくは幅手方向のみに延伸製膜する方法である。この場合、延伸倍率は2.5〜7.0倍の範囲であることが好ましく、より好ましくは3.0〜6.0倍の範囲、更に好ましくは4.0〜6.0倍の範囲である。
ポリエステルフィルムの厚みは好ましくは10〜100μm、特に好ましくは20〜80μm、更に好ましくは40〜80μmである。
ポリエステルフィルムのTgは、50℃以上が好ましく、更に60℃以上が好ましい。Tgは示差走査熱量計で測定するところのベースラインが偏奇し始める温度と、新たにベースラインに戻る温度との平均値として求められる。
本発明において、ポリマーフィルムの表面が導電性を有することが好ましく、表面比抵抗(23℃、25%RH)が1×1012Ω/□以下であることが好ましい。より好ましくは、1×1011Ω/□以下、更に好ましくは1×1010Ω/□以下である。
本発明において導電性を付与するには特に限定されないが、吸湿性物質又は導電性物質を含有させることによって形成することができる。これら導電性を付与させる物質としては、例えば、界面活性剤、導電性ポリマー、無機金属酸化物を挙げることができる。
用いることができる界面活性剤としては、アニオン性、カチオン性、両性及びノニオン性のいずれでもよい。アニオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルカルボン酸塩、アルキルスルフォン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、アルキル硫酸エステル類、アルキルリン酸エステル類、N−アシル−N−アルキルタウリン酸、スルホコハク酸エステル類、スルホアルキルポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル類等の様なカルボキシ基、スルホ基、ホスホ基、硫酸エステル基、燐酸エステル基等の酸性基を含むものが好ましい。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミン塩類、脂肪族或いは芳香族第4級アンモニウム塩類、ピリジニウム、イミダゾリウム等の複素環第4アンモニウム塩類、及び脂肪族又は複素環を含むホスホニウム又はスルホニウム塩類等が好ましい。
両性界面活性剤としては、例えば、アミノ酸類、アミノアルキルスルホン酸類、アミノアルキル硫酸又は燐酸エステル類、アルキルベタイン類、アミンオキシド類等が好ましい。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、サポニン(ステロイド系)、アルキレンオキサイド誘導体(例えば、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコール縮合物、ポリエチレングリコールアルキルエーテル類又はポリエチレングリコールアルキルアリールエーテル類、ポリエチレングリコールエステル類、ポリエチレングリコールソルビタンエステル類、ポリアルキレングリコールアルキルアミン又はアミド類、シリコーンのポリエチレンオキサイド付加物類)、グリシドール誘導体(例えば、アルケニルコハク酸ポリセリド、アルキルフェノールポリグリセリド)、多価アルコール脂肪酸エステル類等のアルキルエステル類等が好ましい。
導電性ポリマーは、特に限定されず、アニオン性、カチオン性、両性及びノニオン性のいずれでもよいが、その中でも好ましいのは、アニオン性、カチオン性である。より好ましいのは、アニオン性では、スルホン酸系、カルボン酸系、カチオン性では、3級アミン系、4級アンモニウム系のポリマー又はラテックスである。
これらの導電性ポリマーは、例えば、特公昭52−25251号、特開昭51−29923号、特公昭60−48024号記載のアニオン性ポリマー又はラテックス、特公昭57−18176号、同57−56059号、同58−56856号、米国特許4,118,231号等に記載のカチオン性ポリマー又はラテックスを挙げることができる。
<光学補償フィルム>
本発明の光学補償フィルムの基材としては、特に限定されるものではなく、例えば、トリアセチルセルロースフィルム、セルロースアセテートプロピオネートオネートフィルム、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム等のセルロースエステル系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリアリレート系フィルム、ポリスルホン(ポリエーテルスルホンも含む)系フィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファン、ポリ塩化ビニリデンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレンビニルアルコールフィルム、シンジオタクティックポリスチレン系フィルム、ノルボルネン樹脂系フィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、ポリエーテルケトンイミドフィルム、ポリアミドフィルム、フッ素樹脂フィルム、ナイロンフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルムまたはアクリルフィルム等を挙げることができる。これらの内、セルロースエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリエステルフィルムが好ましく、本発明においては鹸化処理適性の観点から、特にセルロースエステルフィルムが、製造上、コスト面、接着性、及び本発明の目的効果が好適に得られることから好ましい。以下、詳細に説明する。
〈セルロースエステル〉
本発明に用いられるセルロースエステルの分子量は、数平均分子量(Mn)で80000〜200000のものが用いられる。100000〜200000のものが更に好ましく、150000〜200000が特に好ましい。
本発明で用いられるセルロースエステルは、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)の比、Mw/Mnが、前記のように1.2〜3.0であることが好ましく、好ましくは1.7〜2.2の範囲である。
セルロースエステルの平均分子量及び分子量分布は、高速液体クロマトグラフィーを用いて公知の方法で測定することができる。これを用いて数平均分子量、重量平均分子量を算出し、その比(Mw/Mn)を計算することができる。
測定条件は以下の通りである。
溶媒:メチレンクロライド
カラム:Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度:0.1質量%
検出器:RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ:L6000(日立製作所(株)製)
流量:1.0ml/min
校正曲線:標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500迄の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に得ることが好ましい。
本発明に用いられるセルロースエステルは、特にセルロースの低級脂肪酸エステルであることが好ましい。セルロースの低級脂肪酸エステルにおける低級脂肪酸とは炭素原子数が6以下の脂肪酸を意味する。具体的には、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートフタレート等や、特開平10−45804号、同8−231761号、米国特許第2,319,052号等に記載されているようなセルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート等の混合脂肪酸エステルを用いることができる。上記記載の中でも、特に好ましく用いられるセルロースの低級脂肪酸エステルは、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレートである。これらのセルロースエステルは混合して用いることもできる。これらは、セルローストリアセテートと異なり非晶性であるため、本発明に特に好ましく用いられる。
総アシル基置換度は2.4から2.9のものが好ましく用いられる。特に好ましいセルロースエステルは、炭素原子数2〜22のアシル基を置換基として有し、アセチル基の置換度をXとし、炭素原子数3〜22のアシル基の置換度をYとした時、下記式(I)及び(II)を同時に満たすセルロースエステルである。
式(I) 2.4≦X+Y≦2.9
式(II) 0≦X≦2.5
中でも1.7≦X≦2.5、0.1≦Y≦1.2のセルロースアセテートプロピオネート(総アシル基置換度=X+Y)が好ましい。アシル基で置換されていない部分は通常水酸基として存在している。これらは公知の方法で合成することができる。
これらアシル基置換度は、ASTM−D817−96に規定の方法に準じて測定することができる。
セルロースエステルは綿花リンター、木材パルプ、ケナフ等を原料として合成されたセルロースエステルを単独或いは混合して用いることができる。特に綿花リンター(以下、単にリンターとすることがある)、木材パルプから合成されたセルロースエステルを単独或いは混合して用いることが好ましい。
また、これらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することができる。これらのセルロースエステルは、セルロース原料をアシル化剤が酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)である場合には、酢酸のような有機酸やメチレンクロライド等の有機溶媒を用い、硫酸のようなプロトン性触媒を用いて常法により反応させて得ることができる。
尚、合成されたセルロースエステルは、精製して低分子量成分を除去したり、未酢化または低酢化度の成分を濾過で取り除くことも好ましく行われる。
また、混酸セルロースエステルの場合には、特開平10−45804号公報に記載の方法で得ることができる。
また、セルロースエステルは、セルロースエステル中の微量金属成分によっても影響を受ける。これらは製造工程で使われる水に関係していると考えられるが、不溶性の核となり得るような成分は少ない方が好ましく、鉄、カルシウム、マグネシウム等の金属イオンは、有機の酸性基を含んでいる可能性のあるポリマー分解物等と塩形成することにより不溶物を形成する場合があり、少ないことが好ましい。鉄(Fe)成分については、1ppm以下であることが好ましい。カルシウム(Ca)成分については、カルボン酸や、スルホン酸等の酸性成分と、また多くの配位子と配位化合物即ち、錯体を形成しやすく、多くの不溶なカルシウムに由来するスカム(不溶性の澱、濁り)を形成する。
カルシウム(Ca)成分は60ppm以下、好ましくは0〜30ppmである。マグネシウム(Mg)成分については、やはり多過ぎると不溶分を生ずるため、0〜70ppmであることが好ましく、特に0〜20ppmであることが好ましい。鉄(Fe)分の含量、カルシウム(Ca)分含量、マグネシウム(Mg)分含量等の金属成分は、絶乾したセルロースエステルをマイクロダイジェスト湿式分解装置(硫硝酸分解)、アルカリ溶融で前処理を行った後、ICP−AES(誘導結合プラズマ発光分光分析装置)を用いて分析することができる。
〈可塑剤〉
本発明に用いられる光学補償フィルムは可塑剤を含んでもよいが、可塑剤の総含有量は、固形分総量に対し、1〜20質量%含有することが好ましく、特に3〜18質量%含有することが好ましい。
使用される可塑剤の種類は特に限定はなく、リン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、クエン酸エステル系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、多価アルコールエステル系可塑剤、多価カルボン酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、ポリウレタン系可塑剤などが挙げられる。
中でも、多価アルコールエステル系可塑剤が好ましく、これは2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
本発明に用いられる多価アルコールは次の一般式(i)で表される。
一般式(i) R1−(OH)n
但し、R1はn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/またはフェノール性水酸基を表す。多価アルコールの炭素数が5以上であることが好ましく、好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
本発明の多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタレンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜1000であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
〈紫外線吸収剤〉
本発明に係るセルロースエステルフィルムは紫外線吸収剤を含有することが好ましい。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等があり、また、チヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328等のチヌビン類があり、これらはいずれもチバ・ジャパン社製の市販品であり好ましく使用できる。
また、二種類以上の1,3,5−トリアジン環を有する化合物を併用してもよい。二種類以上の円盤状化合物(例えば、1,3,5−トリアジン環を有する化合物とポルフィリン骨格を有する化合物)を併用してもよい。
これらの添加剤は光学補償フィルムに対して0.2〜30質量%、特に好ましくは1〜20質量%含有することが好ましい。
また、特開2001−235621号の一般式(I)で示されているトリアジン系化合物も本発明に係る光学補償フィルムに好ましく用いられる。
本発明に係る光学補償フィルムは紫外線吸収剤を2種以上を含有することが好ましい。
〈微粒子〉
本発明に係る光学補償フィルムには、微粒子を含有することが好ましい。
本発明に使用される微粒子としては、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。微粒子は珪素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均径は5〜50nmが好ましく、更に好ましいのは7〜20nmである。これらは主に粒径0.05〜0.3μmの2次凝集体として含有されることが好ましい。セルロースエステルフィルム中のこれらの微粒子の含有量は0.05〜1質量%であることが好ましく、特に0.1〜0.5質量%が好ましい。共流延法による多層構成のセルロースエステルフィルムの場合は、表面にこの添加量の微粒子を含有することが好ましい。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
〈酸化防止剤〉
本発明の光学補償フィルムは以下の酸化防止剤を用いることができる。
酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、耐熱加工安定剤、酸素スカベンジャー等が挙げられ、これらの中でもフェノール系酸化防止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。これらの酸化防止剤を配合することにより、透明性、耐熱性等を低下させることなく、成型時の熱や酸化劣化等による成形体の着色や強度低下を防止できる。これらの酸化防止剤は、それぞれ単独で、或いは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、本発明の目的を損なわない範囲で適宜選択されるが、本発明に係るセルロースエステル100質量部に対して好ましくは0.001〜5質量部、より好ましくは0.01〜1質量部である。
〈光安定剤〉
光安定剤としては、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)化合物が挙げられ、これは既知の化合物であり、例えば、米国特許第4,619,956号明細書の第5〜11欄及び米国特許第4,839,405号明細書の第3〜5欄に記載されているように、2,2,6,6−テトラアルキルピペリジン化合物、またはそれらの酸付加塩もしくはそれらと金属化合物との錯体が含まれる。
〈延伸による光学補償フィルムの製造方法〉
次に、本発明のセルロースエステル系光学補償フィルムの製造方法について説明する。
本発明の光学補償フィルムの製造は、セルロースエステル及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープをベルト状もしくはドラム状の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸する工程、更に乾燥する工程、得られたフィルムを更に熱処理する工程、冷却後巻き取る工程により行われる。本発明の光学補償フィルムは固形分中に好ましくはセルロースエステルを70〜95質量%含有するものである。
ドープを調製する工程について述べる。ドープ中のセルロースエステルの濃度は、濃度が高い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、セルロースエステルの濃度が高過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
ドープで用いられる溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよいが、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方がセルロースエステルの溶解性の点で好ましい。良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。そのため、セルロースエステルのアシル基置換度によっては、良溶剤、貧溶剤が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いる時には、セルロースエステルの酢酸エステル(アセチル基置換度2.4)、セルロースアセテートプロピオネートでは良溶剤になり、セルロースの酢酸エステル(アセチル基置換度2.8)では貧溶剤となる。
良溶剤は特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくはメチレンクロライドまたは酢酸メチルが挙げられる。
また、貧溶剤は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。また、ドープ中には水が0.01〜2質量%含有していることが好ましい。
次に、このセルロースエステル溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生しやすいという問題がある。このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
ここで、ドープの流延について説明する。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルトもしくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤が沸騰して発泡しない温度以下に設定される。温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化する場合がある。好ましい支持体温度としては0〜100℃で適宜決定され、5〜30℃が更に好ましい。或いは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は溶媒の蒸発潜熱によるウェブの温度低下を考慮して、溶媒の沸点以上の温風を使用しつつ、発泡も防ぎながら目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。特に、流延から剥離するまでの間で支持体の温度及び乾燥風の温度を変更し、効率的に乾燥を行うことが好ましい。
セルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%または60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%または70〜120質量%である。
残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
尚、Mはウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量で、NはMを115℃で1時間の加熱後の質量である。
また、セルロースエステルフィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を0.5質量%以下まで乾燥される。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールをウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
流延支持体が剥離の際に、剥離張力及びその後の搬送張力によって縦方向に延伸することもできる。例えば剥離張力を210N/m以上で剥離することが好ましく、特に好ましくは220〜300N/mである。
本発明に係る光学補償フィルムを作製するには延伸操作を行うことが好ましい。
延伸操作は多段階に分割して実施してもよく、前述のポリエステルフィルムと同様に、流延方向、幅手方向に二軸延伸を実施することが好ましい。また、二軸延伸を行う場合にも同時二軸延伸を行ってもよいし、段階的に実施してもよい。この場合、段階的とは、例えば、延伸方向の異なる延伸を順次行うことも可能であるし、同一方向の延伸を多段階に分割し、かつ異なる方向の延伸をそのいずれかの段階に加えることも可能である。即ち、例えば、次のような延伸ステップも可能である。
・流延方向に延伸−幅手方向に延伸すると同時に流延方向に延伸
・流延方向に延伸−幅手方向に延伸すると同時に流延方向に収縮
金属支持体より剥離した直後のウェブの残留溶剤量の多いところで搬送方向に延伸し、更にウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式で幅方向に延伸を行うことが本発明の効果を得るために特に好ましく、これによって所定の位相差を付与することができる。流延方向、幅手方向ともに好ましい延伸倍率は1.05〜2倍が好ましく、好ましくは1.15〜1.5倍である。同時2軸延伸の際に流延方向に収縮させてもよく、0.8〜0.99、好ましくは0.9〜0.99となるように収縮させてもよい。好ましくは、幅手方向延伸及び流延方向の延伸もしくは収縮により面積が1.12倍〜1.44倍となっていることが好ましく、1.15倍〜1.32倍となっていることが好ましい。これは流延方向の延伸倍率×幅手方向の延伸倍率で求めることができる。
流延方向、幅手方向への延伸速度は、一定で行ってもよいし、変化させてもよい。延伸速度としては、50〜500%/minが好ましく、更に好ましくは100〜400%/min、200〜300%/minが最も好ましい。
延伸時の温度は30〜160℃の範囲で行われることが好ましい。また、テンター工程において、雰囲気の幅手方向の温度分布が少ないことが、ウェブの均一性を高める観点から好ましく、テンター工程での幅手方向の温度分布は、±5℃以内が好ましく、±2℃以内がより好ましく、±1℃以内が最も好ましい。
延伸の後乾燥し、巻き取り前にスリッターを設けて端部を切り落とすことが良好な巻姿を得るため好ましい。更に、幅手両端部にはナーリング加工をすることが好ましい。
ナーリング加工は、加熱されたエンボスロールを押し当てることにより形成することができる。エンボスロールには細かな凹凸が形成されており、これを押し当てることでフィルムに凹凸を形成し、端部を嵩高くすることができる。
光学補償フィルムのリターデーションは上記延伸により、適宜制御可能であるが、下記式で定義されるRoが23℃、55%RHの条件下で30〜300nm、Rtが23℃、55%RHの条件下で70〜400nmであることが特にVA型液晶表示装置の視野角拡大に好ましい。
Ro=(nx−ny)×d
Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、Roはフィルム面内リターデーション値、Rtはフィルム厚み方向リターデーション値、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率、nzはフィルムの厚み方向の屈折率(屈折率は波長590nmで測定)、dはフィルムの厚さ(nm)を表す。)
尚、リターデーション値Ro、Rt或いは長尺フィルムの幅手方向と遅相軸とのなす角θ0(°)は自動複屈折率計を用いて測定することができる。例えば、KOBRA−21ADH(王子計測機器(株))を用いて、23℃、55%RHの環境下で、波長が590nmで求めることができる。
〈液晶層を設ける光学補償フィルムの製造方法〉
本発明の光学補償フィルムは、前記透明基材フィルム上に、棒状垂直配向液晶層(フィルムの厚み方向に配向する液晶分子を塗工し固定化した層)を設けることで作成することも好ましい。
棒状垂直配向液晶層(以下、簡単に液晶層ともいう)は、棒状液晶材料もしくは棒状液晶の溶液を、透明基材フィルム上に塗布し、乾燥と熱処理、または冷却処理(いずれも配向処理ともいう)を行い紫外線硬化もしくは熱重合などで液晶配向の固定化を行い、垂直方向に配向した液晶層とすることが好ましい。
ここで垂直方向に配向するとは、棒状液晶分子がフィルム面に対して70〜90°(垂直方向を90°とする)の範囲内に配向していることをいう。棒状液晶は、斜め配向しても、配向角を徐々に変化していてもよい。好ましくは80〜90°の範囲である。
液晶層を設けた光学補償フィルムは面内方向の位相差値Roが0〜10nm、厚み方向の位相差値Rtが−100〜−500nmの範囲にある垂直方向に配向した棒状液晶層を有することが好ましい。更に上記Roは0〜5nmの範囲がより好ましい。
棒状垂直配向液晶層のRtは、透明基材フィルムのRtを相殺するような設定にして、光学補償フィルムの視角特性をよくする意図があり、従って、透明基材フィルムのRtに応じて垂直配向液晶層の塗工条件(液晶分子の種類、塗工液中の液晶分子濃度、乾燥後の膜厚など)を適切に選択することが重要である。例えば、透明基材フィルムのRtが互いに異なるものを用いて、同一液晶分子、同一塗布液条件で棒状垂直配向液晶層を形成する場合は、光学補償フィルムとしていずれも優れた視角特性を与えるには、透明基材フィルムのRtの値に応じて、垂直配向液晶層の厚みを変えることで目的は達成できる。
棒状液晶を配向させて棒状垂直配向液晶層を形成する際には、いわゆる液晶材料が垂直方向に配列するような垂直配向剤を塗布した配向膜を用い、液晶材料を垂直配向したのち固定する方法をとることができる。
液晶材料自身が空気界面で垂直方向に配向する場合には、その配向規制力が空気界面と反対の界面まで及び、該配向膜は特に必要ではなく、構成が簡素化できる観点からもその方が好ましい。
液晶材料を垂直に配向する具体的な方法としては、特開2005−148473号公報などに記載されている(メタ)アクリル系ブロックポリマーを含有するブロックポリマー組成物の架橋体からなる配向膜等を用いる方法、同2005−265889号公報に記載されている垂直配向膜を使用する方法、空気界面垂直配向剤を使用する方法等公知の方法を使用することができる。
棒状垂直配向液晶層を上記範囲とするためには、棒状垂直配向液晶層の配向、膜厚制御、紫外線硬化時の温度、チルト角制御、及び支持体と空気界面でのプレチルト角の制御を行うことが好ましい。
前記液晶層は、所定の温度で液晶相となり得る液晶材料が、所定の液晶規則性を有して硬化することにより形成されたものである。液晶相を示す温度の上限は、例えば透明基材フィルムとしてセルロースエステルフィルムを用いる場合などは、セルロースエステルフィルムがダメージを受けない温度であれば特に限定されるものはない。
具体的には、プロセス温度のコントロールの容易性と寸法精度維持の観点から120℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以下の温度で液晶相となる液晶材料が好適に用いられる。一方、液晶相を示す温度の下限は、偏光板として用いる際に、液晶材料が配向状態を保持し得る温度であるといえる。
本発明の棒状垂直配向液晶層に用いられる液晶材料としては、重合性液晶材料を用いることが好ましい。重合性液晶材料は、所定の活性放射線を照射することにより重合させて用いることができ、重合させた状態では垂直の配向状態は固定化される。
重合性液晶材料としては、重合性液晶モノマー、重合性液晶オリゴマー、もしくは重合性液晶ポリマーのいずれかを用いることができ、相互に混合して用いることもできる。
重合性液晶材料としては、上記のうちでも、配向に際しての感度が高く垂直に配向させることが容易であることから重合性液晶モノマーが好適に用いられる。
具体的な重合性液晶モノマーとしては、下記の一般式(MV1)で表される棒状液晶性化合物(I)、及び下記の一般式(MV2)で表される棒状液晶性化合物(II)を挙げることができる。化合物(I)としては、一般式(MV1)に包含される化合物の2種以上を混合して使用することもでき、同様に、化合物(II)としては、一般式(MV2)に包含される化合物の2種以上を混合して使用することもできる。また、化合物(I)を1種以上と化合物(II)を1種以上を混合して使用することもできる。
Figure 2010085574
Figure 2010085574
化合物(I)を表す一般式(MV1)において、R及びRはそれぞれ水素またはメチル基を示すが、液晶相を示す温度範囲の広さからR及びRは共に水素であることが好ましい。Xは水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基、もしくはニトロ基のいずれであっても差し支えないが、塩素またはメチル基であることが好ましい。また、化合物(I)の分子鎖両端の(メタ)アクリロイロキシ基と、芳香環とのスペーサーであるアルキレン基の鎖長を示すa及びbは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数を取り得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることが更に好ましい。
化合物(I)は任意の方法で合成することができる。例えば、Xがメチル基である化合物(I)は、1当量のメチルヒドロキノンと2当量の4−(m−(メタ)アクリロイロキシアルコキシ)安息香酸とのエステル化反応により得ることができる。エステル化反応は、上記安息香酸を酸クロリドやスルホン酸無水物などで活性化し、これとメチルヒドロキノンとを反応させるのが通例である。また、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)等の縮合剤を用いて、カルボン酸単位とメチルヒドロキノンを直接反応させることもできる。これ以外の方法としては、1当量のメチルヒドロキノンと、2当量の4−(m−ベンジルオキシアルコキシ)安息香酸とのエステル化反応をまず行い、次いで得られたエステルを水素添加反応等により脱ベンジル化した後、分子末端をアクリロイル化する方法によっても、化合物(I)を合成することができる。メチルヒドロキノンと4−(m−ベンジルオキシアルコキシ)安息香酸とのエステル化反応を行うに際しては、メチルヒドロキノンをジアセテートに導入した後、上記の安息香酸と溶融状態で反応させ、直接エステル体を得ることも可能である。一般式(MV1)のXがメチル基でない場合の化合物(I)も、対応する置換基を有するヒドロキノンを、メチルヒドロキノンの代わりに用いて上と同様の反応を行うことにより得ることができる。
化合物(II)を表す一般式(MV2)において、Rは水素またはメチル基を示すが、液晶相を示す温度範囲の広さからRは水素であることが好ましい。アルキレン基の鎖長を示すcに関して言えば、この値が2〜12である化合物(II)は液晶性を示さない。しかしながら、液晶性を持つ化合物(I)との相溶性を考慮すると、cは4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがより好ましい。化合物(II)も任意の方法で合成可能であり、例えば、1当量の4−シアノフェノールと1当量の4−(n−(メタ)アクリロイロキシアルコキシ)安息香酸とのエステル化反応により化合物(II)を合成することができる。このエステル化反応は化合物(I)を合成する場合と同様に、上記安息香酸を酸クロリドやスルホン酸無水物などで活性化し、これと4−シアノフェノールとを反応させるのが一般的である。また、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)等の縮合剤を用いて上記安息香酸と4−シアノフェノールを反応させてもよい。
以上の他、本発明においては、重合性液晶オリゴマーや重合性液晶ポリマー等を用いることが可能である。このような重合性液晶オリゴマーや重合性液晶ポリマーとしては、従来提案されているものを適宜選択して用いることが可能である。
例えば、重合性棒状液晶性化合物としては、Makromol.Chem.,190巻、2255頁(1989年)、Advanced Materials 5巻、107頁(1993年)、米国特許第4683327号明細書、同5622648号明細書、同5770107号明細書、国際公開WO95/22586号公報、同95/24455号公報、同97/00600号公報、同98/23580号公報、同98/52905号公報、特開平1−272551号公報、同6−16616号公報、同7−110469号公報、同11−80081号公報、特開2001−328973号公報、特開2004−240188号公報、特開2005−99236号公報、特開2005−99237号公報、特開2005−121827号公報、特開2002−30042号公報などに記載の化合物を用いることができる。
本発明における棒状垂直配向液晶層の膜厚は0.1μm〜20μmの範囲内であることが好ましく、0.2〜10μmの範囲内であることがより好ましい。
面内の位相差値を有する透明基材フィルム上に設けられた棒状垂直配向液晶層中の液晶の配向レベルを直接検証することは非常に困難だが、一つの目安として、アゾベンゼン系液晶を上記棒状垂直配向液晶に対し1質量%〜2質量%程度混ぜて塗工し固定化した試料を作製し、この試料が実際のアゾベンゼン系液晶を含まない試料と同じ液晶分子の配向を示しているものとして、分光光度計で550nm〜650nm付近の吸光度を測定することで大まかな配向程度を伺い知ることはできる。即ち、吸光度がかなり低い値であれば、ほぼ完全に液晶分子は垂直に配向して固定化されていると判断できる。逆に、吸光度が比較的高い場合は、本来垂直に配向すべき液晶分子が必ずしも垂直に配向しておらず、隙間を埋めるアゾベンゼン系液晶の光吸収面積が広くなっていると解釈できる。
(棒状垂直配向液晶層の製造方法)
本発明の棒状垂直配向液晶層を作製するためには、
第一工程:少なくとも液晶と溶媒を含む液晶組成物塗布液を支持体上に塗布乾燥し液晶層を塗設する工程、
第二工程:該液晶層を、液晶層を形成する液晶の(等方相−液晶相相転移温度B)以上の温度に加熱処理し、液晶層中の残留溶媒量を該加熱処理前の固形分(100質量%とする)に対し0.01〜5質量%にするとともに、該液晶を等方相の状態にする工程、好ましくは(等方相−液晶相相転移温度B)〜(B+30℃)の温度範囲に加熱処理する、
第三工程:該液晶層を、液晶層を形成する液晶の(液晶相−固体相相転移温度A)以下に冷却する工程、好ましくは(液晶相−固体相相転移温度A)〜(A−15℃)の温度範囲まで冷却処理する、また液晶層を過冷却の状態まで冷却処理させるに要する時間が好ましくは20秒以内、より好ましくは0.1〜10秒以内とする、
第四工程:好ましくは冷却された状態のまま紫外線等の活性線により液晶の配向状態を固定化する工程、
とを有する工程により配向ムラや配向欠陥の発生を抑制した液晶層が製造されることが好ましい。
(液晶相−固体相相転移温度A):液晶性物質に対し、市販の示差走査熱量計(例えば、示差走査熱量計DSC−20(セイコー電子工業社製))を用いて、示差走査熱量測定法により求めることができ、固体相から加熱して吸熱反応を示す温度(℃)とする。
(等方相−液晶相相転移温度B):液晶層を支持体上に設けた学補償フィルムを、方位、傾斜角度を問わずに測定して得たリターデーション値から、支持体のリターデーション値を差し引いた時、|Ro|が0.5nm以下、|Rt|が10nm以下の状態になる温度(℃)を言う。リターデーション値の測定には、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用い23℃、55%RHの環境下で測定することができる。
ここで、更に上記用語を定義する。
1)等方相の状態・・・液晶層を支持体上に設けた光学補償フィルムを、方位、傾斜角度を問わずに測定して得たリターデーション値から支持体のリターデーション値を差し引いた時に、|Ro|が0.5nm以下、|Rt|が10nm以下の状態を言う。
2)液晶相の状態・・・液晶が流動性を示し、かつ複屈折性を持つ状態であり、本発明では、液晶層を支持体上に設けた光学補償フィルムを、方位、傾斜角度を問わずに測定して得たリターデーション値から支持体のリターデーション値を差し引いた時に、|Ro|が0.01nm以上、|Rt|が10nm以上の状態を言う。
3)過冷却の状態・・・液晶性物質が(液晶相−固体相相転移温度A)を過ぎて冷却されても固体化(結晶化)せず、上記液晶相の状態を保持する状態。
上記残留溶媒量は、ヘッドスペース法を用いて下記方法で測定できる。
(残留溶媒量の測定)
支持体フィルムに液晶塗布液を塗布したサンプルを、不活性ガスで大気圧に満たされた閉鎖系に置き所定の加熱処理を行う。次いで揮発した気体をガスクロマトグラフィー(島津製作所社製 GC−MS)で定性、定量を行って揮発した溶媒量からサンプルの残留溶媒を算出する。
具体的には、重合性液晶材料は、必要に応じて光重合開始剤、増感剤等を配合して液晶層形成用組成物を調製して用い、基材上に塗工し、液晶層形成用層を形成する。
本発明においては、光配向層を設け、液晶組成物としては溶媒を加えて、その他の成分を溶解した塗工用組成物を用いて基材上に塗工し、溶媒を除去することにより液晶の配向を固定した層を形成することが好ましい。これは、他の方法と比較して工程上簡便である。
溶媒としては、上述した重合性液晶材料等を溶解することが可能な溶媒であり、かつ透明樹脂フィルムの性状を低下させない溶媒であれば特に限定されるものではなく、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素類;メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、もしくは2,4−ペンタンジオン等のケトン類;酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、もしくはγ−ブチロラクトン等のエステル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、もしくはジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、もしくはオルソジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、もしくはブチルセルソルブ等のアルコール類;フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類等の1種または2種以上が使用可能である。これらの中では沸点120℃以上の溶媒が好ましく使用される。
単一種の溶媒を使用しただけでは、重合性液晶材料等の溶解性が不充分であったり、上述したように基材が侵食される場合がある。しかし2種以上の溶媒を混合使用することにより、この不都合を回避することができる。
上記した溶媒のなかにあって、単独溶媒として好ましいものは、炭化水素系溶媒とグリコールモノエーテルアセテート系溶媒であり、混合溶媒として好ましいのは、エーテル類またはケトン類と、グリコール類との混合系である。
溶液の濃度は、重合性液晶材料等の溶解性や製造しようとする液晶層の膜厚に依存するため一概には規定できないが、通常は1質量%〜60質量%が好ましく、より好ましくは3質量%〜40質量%の範囲で調整される。
本発明に用いられる液晶層形成用組成物には、本発明の目的を損なわない範囲内で、上記以外の化合物を添加することができる。
添加できる化合物としては、例えば、多価アルコールと1塩基酸または多塩基酸を縮合して得られるポリエステルプレポリマーに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオール基と2個のイソシアネート基を持つ化合物を互いに反応させた後、その反応生成物に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエーテル、脂肪族もしくは脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等の光重合性化合物、またはアクリル基もしくはメタクリル基を有する光重合性の液晶性化合物等が挙げられる。
液晶層形成用組成物に対するこれら化合物の添加量は、本発明の目的が損なわれない範囲で選択され、一般的には、本発明の液晶層形成用組成物の40質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下である。
本発明においては、重合性液晶材料に加え、必要に応じて光重合開始剤を使用する。電子線照射により重合性液晶材料を重合させる際には、光重合開始剤が不要な場合があるが、一般的に用いられている例えば紫外線(UV)照射による硬化の場合においては、通常光重合開始剤が重合促進のために用いられる。
光重合開始剤としては、ベンジル(ビベンゾイルとも言う)、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4′−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、もしくは1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等を挙げることができる。
光重合開始剤の添加量としては、一般的には0.01質量%〜20質量%が好ましく、より好ましくは0.1質量%〜10質量%であり、もっと好ましくは0.5質量%〜5質量%の範囲で、本発明の重合性液晶材料に添加することができる。
これらの化合物の添加により、本発明における液晶材料の硬化性が向上し、得られる液晶層の機械強度が増大し、またその安定性が改善される。
また、溶剤を配合した液晶層形成用組成物には、塗工を容易にするために界面活性剤等を加えることができる。
添加可能な界面活性剤を例示すると、イミダゾリン、第四級アンモニウム塩、アルキルアミンオキサイド、ポリアミン誘導体等の陽イオン系界面活性剤;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物、第一級或いは第二級アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、ポリエチレングリコール及びそのエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸アミン類、アルキル置換芳香族スルホン酸塩、アルキルリン酸塩、脂肪族或いは芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物等の陰イオン系界面活性剤;ラウリルアミドプロピルベタイン、ラウリルアミノ酢酸ベタイン等の両性系界面活性剤;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の非イオン系界面活性剤;パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基・親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル・親油基含有オリゴマーパーフルオロアルキル基含有ウレタン等のフッ素系界面活性剤などが挙げられる。
界面活性剤の添加量は、界面活性剤の種類、液晶材料の種類、溶媒の種類、更に溶液を塗工する配向膜の種類にもよるが、通常は溶液に含まれる重合性液晶材料の10ppm〜10質量%が好ましく、より好ましくは100ppm〜5質量%であり、もっと好ましくは0.1〜1質量%の範囲である。
液晶層形成用組成物を塗工する方法としては、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、ブレードコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、リバースコート法、もしくは押し出しコート法等が挙げられる。
第二工程において、液晶層形成用組成物を塗工した後、液晶層を形成する液晶の(等方相−液晶相相転移温度B)以上の温度に加熱処理し、液晶層中の残留溶媒量を該加熱処理前の溶媒量(100質量%)に対し0.01〜5質量%とするとともに、該液晶を等方相の状態にする工程は、乾燥手段としてフィルムの両面に熱風を吹かせる加熱ゾーンを用いるのが一般的であるが、風の代わりにマイクロウエーブを当てて加熱する手段でもよい。
加熱処理による液晶層中の残留溶媒量は、液晶の配向性を高める上では、できるだけ少量の残留である方が効果が高くなる為、0.01〜2質量%であることより好ましい。
また、上記加熱処理工程においては、できるだけ短時間に支持体上に塗設された液晶層から溶媒を揮発し所定の範囲にすることが好ましい。しかしながら、急激な加熱処理をすると溶媒の蒸発による発泡が起こるため、加熱条件は慎重に選択すべきである。本発明においては、使用する溶媒の中で最も低い沸点、好適にはその(沸点−5℃)を上限とする範囲で乾燥することが好ましい。また、必要に応じて風を送ってもよい。その場合、一般には風速20m/秒以下、好ましくは15m/秒以下の範囲が用いられる。それを越えると風の擾乱のために液晶層に乱れが生じるため好ましくない。風速は段階的ないしは連続的に増大させてもよいし、むしろ好ましい。加熱処理工程初期の段階では風の擾乱を避けるために無風でもよい。
第三工程の冷却工程は、フィルムの両面に乾燥した冷風を吹かせ露点制御を行いながら冷却する方法や、所定の温度に制御可能な冷却ロールにより冷却処理することが好ましい。特に、急激な冷却が必要であれば冷却ロールを用いることが好ましい。また、冷却工程でも液晶層中の残留溶媒量を該加熱処理前の溶媒量(100質量%)に対し0.01〜5質量%の範囲の溶媒量を維持することが好ましく、0.01〜2質量%であることがより好ましい。
冷却ロールには特に制限はないが、高剛性の金属ロールで内部に温度制御可能な熱媒体または冷媒体が流れるような構造を備えるロールであり、大きさは限定されないが、フィルムを冷却するのに十分な大きさであればよく、通常冷却ロールの直径は100mmから1m程度である。
冷却ロールの表面材質は、炭素鋼、ステンレス、アルミニウム、チタンなどが挙げられる。更に表面の硬度をあげたり、樹脂との剥離性を改良するため、ハードクロムメッキや、ニッケルメッキ、非晶質クロムメッキなどや、セラミック溶射等の表面処理を施すことが好ましい。
冷却ロール表面の表面粗さは、Raで0.1μm以下とすることが好ましく、更に0.05μm以下とすることが好ましい。ロール表面が平滑であるほど、得られるフィルムの表面に傷等が発生するのを防止できる。もちろん表面加工した表面は更に研磨し上述した表面粗さとすることが好ましい。
棒状垂直配向液晶層のリターデーションを調整するためには、棒状液晶の配向、液晶層の膜厚制御、紫外線硬化時の温度、チルト角制御、及び支持体と空気界面でのプレチルト角の制御等を行うことが好ましい。
第四工程である重合性液晶材料を硬化させる工程では、重合性液晶材料を硬化させるためのエネルギーが与えられ、熱エネルギーでもよいが、通常は、重合を起こさせる能力がある活性線の照射によって行う。
必要であれば重合性液晶材料と共に重合開始剤を用いてもよい。
活性線としては、重合性液晶材料を重合させることが可能な活性線であれば特に限定されるものではないが、通常は装置の容易性等の観点から紫外光または可視光線が使用され、波長が150〜500nmの光が好ましく、より好ましくは250〜450nmであり、より好ましくは300〜400nmの波長の紫外線である。
本発明においては、紫外線(UV)を活性線として照射し、紫外線で重合開始剤からラジカルを発生させ、ラジカル重合を行わせる方法が好ましい。活性線としてUVを用いる方法は、既に確立された技術であることから、用いる重合開始剤を含めて、本発明への応用が容易である。
この紫外線を照射するための光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、もしくはショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)等を挙げることができる。
なかでもメタルハライドランプ、キセノンランプ、高圧水銀ランプ灯等の使用が推奨される。照射強度は、液晶の配向を固定した層の形成に用いられる重合性液晶材料の組成や光重合開始剤の多寡によって適宜に調整すればよい。
活性線の照射による配向固定化工程は、上述した液晶層形成用層を形成する工程における処理温度、すなわち重合性液晶材料が液晶相となる温度条件で行ってもよく、また液晶相となる温度より低い温度で行ってもよい。
電子線照射により重合性液晶材料を重合させる際には、重合開始剤が不要な場合があるが、一般的に用いられている例えば紫外線(UV)照射による硬化の場合においては、通常光重合開始剤が重合促進のために用いられる。
〈偏光板〉
本発明の偏光板について述べる。
偏光板は一般的な方法で作製することができる。本発明の光学補償フィルムの少なくとも一方の面側を本発明の鹸化処理方法によりアルカリ鹸化処理し、処理したセルロースエステルフィルムを、ヨウ素溶液中に浸漬延伸して作製した偏光子の少なくとも一方の面に、完全鹸化型ポリビニルアルコール水溶液を用いて貼り合わせることが好ましい。もう一方の面にも本発明の光学補償フィルムを用いても、別の偏光板保護フィルムを用いてもよい。本発明の光学補償フィルムに対して、もう一方の面に用いられる偏光板保護フィルムは市販のセルロースエステルフィルムを用いることができる。例えば、市販のセルロースエステルフィルムとして、KC8UX2M、KC4UX、KC5UX、KC4UY、KC8UY、KC12UR、KC8UCR−3、KC8UCR−4(以上、コニカミノルタオプト(株)製)等が好ましく用いられる。
偏光板の主たる構成要素である偏光子とは、一定方向の偏波面の光だけを通す素子であり、現在知られている代表的な偏光子は、ポリビニルアルコール系偏光フィルムで、これはポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素を染色させたものと二色性染料を染色させたものがある。偏光子は、ポリビニルアルコール水溶液を製膜し、これを一軸延伸させて染色するか、染色した後一軸延伸してから、好ましくはホウ素化合物で耐久性処理を行ったものが用いられている。該偏光子の面上に、本発明の光学補償フィルムの片面を貼り合わせて偏光板を形成する。好ましくは完全鹸化ポリビニルアルコール等を主成分とする水系の接着剤によって貼り合わせる。
〈液晶表示装置〉
本発明の偏光板を液晶表示装置に組み込むことによって、種々の視認性に優れた本発明の液晶表示装置を作製することができる。本発明の光学補償フィルムはSTN、TN、OCB、HAN、VA(MVA、PVA)、IPSなどの各種駆動方式の液晶表示装置に用いることができる。特に好ましくはVA(MVA,PVA)型、及びIPS型液晶表示装置である。特に画面が30型以上の大画面の液晶表示装置であっても、表示装置ごとのコントラスト値のばらつきが少ない、性能が揃った液晶表示装置を得ることができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例にかかる測定方法>
(リターデーションの測定)
実施例では、アッベ屈折計(4T)を用いてフィルムの平均屈折率を測定した。
自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いて、23℃、55%RHの環境下24時間放置したフィルムにおいて、同環境下、波長が590nmにおけるフィルムのリターデーション測定を行った。リターデーションの算出は、下記式(i)、(ii)を用いた。
(i):Ro=(nx−ny)×d
(ii):Rt=((nx+ny)/2−nz)×d
(式中、フィルム面内の遅相軸方向の屈折率をnx、面内で遅相軸に直行する方向の屈折率ny、フィルム厚み方向の屈折率をnz、dはフィルムの厚み(nm)を表す。)
実施例1
《光学補償フィルム1の作製》
(二酸化珪素分散液)
アエロジル972V(日本アエロジル(株)製) 12質量部
(1次粒子の平均径16nm、見かけ比重90g/リットル)
エタノール 88質量部
以上をディゾルバーで30分間撹拌混合し、二酸化珪素分散希釈液を作製した。
(芳香族末端エステル1)
反応容器に、フタル酸820部(5モル)、1,2−プロピレングリコール608部(8モル)、安息香酸610部(5モル)及び触媒としてテトライソプロピルチタネート0.30部を一括して仕込み窒素気流中で撹拌の下、還流凝縮器を付して過剰の1価アルコールを還流させながら、酸価が2以下になるまで130〜250℃で加熱を続け生成する水を連続的に除去した。次いで200〜230℃で6.65×10Pa〜最終的に4×10Pa以下の減圧下、留出分を除去し、この後濾過して次の性状を有する芳香族末端エステル1を得た。
粘度(25℃、mPa・s);19815
酸価 ;0.4
尚、酸価とは、試料1g中に含まれる酸(分子末端に存在するカルボキシル基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数を言う。酸価及び水酸基価はJIS K0070に準拠して測定したものである。
(ドープ液)
セルロースエステル(アセチル基置換度1.80、プロピオニル基置換度0.70、総アシル基置換度2.50) 100質量部
トリメチロールプロパントリベンゾエート 5質量部
上記芳香族末端エステル1 5質量部
二酸化珪素分散液 10質量部
メチレンクロライド 430質量部
エタノール 40質量部
上記ドープ組成物を密封容器に投入し、70℃まで加熱し、撹拌しながら、セルロースエステルを完全に溶解しドープ液を得た。次に、ドープ液を濾過した後、33℃に温度調整したドープ液を、ダイに送液して、ダイスリットからステンレスベルト上に幅2.5mで均一に流延した。ステンレスベルトの流延部は裏面から37℃の温水で加熱した。流延後、金属支持体上のドープ膜(ステンレスベルトに流延以降はウェブという)に44℃の温風を当てて乾燥させ、残留溶媒量が120質量%で剥離し、剥離の際の張力を掛けて流延方向に1.01倍の延伸倍率となるようにロールの周速差を利用して延伸し、次いで、残留溶媒量24質量%、温度135℃にてテンターでウェブ端部を把持し、幅手方向に1.30倍の延伸倍率となるように延伸した。延伸後、その幅を維持したまま数秒間保持した後、幅方向の張力を緩和させ、幅保持を開放した後に120℃で乾燥させた。以上のようにして作製した膜厚60μm、幅2.5m、長さ5000mのセルロースエステルフィルムである光学補償フィルム1をコアに巻き取った。
このセルロースエステルフィルムのリターデーションは、Roは70nm、Rtは200nm、Rt/Roは2.86であった。
尚、上記残留溶媒量は以下の方法で測定した。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
ここで、Mはウェブの任意時点での質量で、下記のガスクロマトグラフィーにより測定した質量であり、Nは該Mを110℃で3時間乾燥させた時の質量である。測定は、ヒューレット・パッカード社製ガスクロマトグラフィー5890型SERISIIとヘッドスペースサンプラーHP7694型を使用し、以下の測定条件で行った。
ヘッドスペースサンプラー加熱条件:120℃、20分
GC導入温度:150℃
昇温:40℃、5分保持→100℃(8℃/分)
カラム:J&W社製DB−WAX(内径0.32mm、長さ30m)
《光学補償フィルム2の作製》
(中間層の塗設)
〈中間層用組成物の調製〉
Laromer LR8800(BASF製) 25質量部
光重合開始剤(1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン)(イルガキュア184、チバ・ジャパン製) 1.25質量部
溶剤(PGME/イソプロピルアルコール混合溶媒(質量比20/80))
75質量部
上記作製した光学補償フィルム1上に中間層組成物をスリットダイで塗布し、熱風の温度80℃、乾燥時間30秒で乾燥した。続いて酸素濃度1.5%雰囲気中で高圧水銀灯により50mJ/cmの照射強度で紫外線照射し、乾燥膜厚で1μmの中間層を設けた。塗設された中間層のゲル分率は約50質量%であり、半硬化層であった。
(ゲル分率)
半硬化中間層を約0.1gをとり、これを秤量して質量(W1)を測定した。次いで、これを微孔性テトラフルオロエチレン膜(膜質量W2)に包んで、約50mlの酢酸エチルに7日間浸漬したのち、可溶分を抽出した。これを乾燥し、全体の質量(W3)を測定した。これらの測定値から、下記式により半硬化中間層のゲル分率(質量%)を求めた。
ゲル分率(質量%)={(W3−W2)/W1}×100
(液晶層の塗設)
次いで、得られた中間層上に下記重合性液晶組成物を用いて、液晶層を設けた。
〈重合性液晶組成物の調製及び塗設〉
UCL−018(大日本インキ化学工業製) 25質量部
溶媒(PGMEA/プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)
75質量部
からなる重合性液晶組成物を調製した。
重合性液晶組成物溶液をダイコーターにより中間層上に5μmの厚みで塗布した。
次いで上記液晶層を塗布したフィルムを加熱処理ゾーンに移し、80℃で加熱処理して液晶層中の残留溶媒量を液晶組成物の固形分に対し0.1質量%にした。
加熱処理後のフィルムを、冷却ロールにより冷却時間1秒で20℃まで温度低下させた。温度低下させた後のフィルムを自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器(株)製)を用いてリターデーション値を測定し、得られた値から光学補償フィルム1のリターデーション値を差し引くと、Ro=0.1nm、Rt=−300nmであった。
次いで、液晶層を塗布したフィルムに酸素濃度0.2%、温度20℃で250mJ/mmの紫外線を80秒照射して、重合性液晶組成物を硬化させ、棒状ネマチック液晶層を有する光学補償フィルム2を得た。
得られた液晶層を塗設した光学補償フィルムを、偏光顕微鏡を用いて評価したところ、クロスニコル偏光子の間に挟んだ場合に黒色に見え、クロスニコル偏光子の間で該光学補償フィルムを傾けた場合に白色に観察された。従って、前記液晶層は垂直配向していることが確認できた。
この液晶層のリターデーションを測定したところ、Roは0.3nm、Rtは−288nm、また液晶層が積層された本発明の光学補償フィルム2のRoは70nm、Rtは−88nmであった。
《アルカリ鹸化処理》
(ポリマーフィルムの作製)
テレフタル酸ジメチル100質量部、エチレングリコール65質量部、ジエチレングリコール2質量部にエステル交換触媒として酢酸マグネシウム水和物0.05質量部を添加し、常法に従ってエステル交換反応を行った。得られた生成物に、三酸化アンチモン0.05質量部、リン酸トリメチルエステル0.03質量部を添加した。次いで、徐々に昇温、減圧にし、280℃、0.5mmHg(1mmHgは133Pa)で重合を行い、固有粘度0.70のポリエチレンテレフタレートを得た。
更にこのポリエチレンテレフタレートを150℃で8時間真空乾燥した後、押出機を用いて285℃で溶融押出し、30℃の冷却ドラム上に静電印加しながら密着させ、冷却固化させ未延伸シートを得た。この未延伸シートをロール式縦延伸機を用いて、85℃で縦方向に1.2倍延伸した。表裏面の温度差は5℃以内であった。
得られた一軸延伸フィルムをテンター式横延伸機を用いて、95℃で幅手方向に4.5倍延伸した。次いで、70℃で2秒間熱処理し、更に第一熱固定ゾーン150℃で10秒間熱固定し、第二熱固定ゾーン180℃で15秒間熱固定して、次いで160℃で幅手方向に弛緩処理し巻き取り、幅方向の長さ1500mm、厚さ40μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを作製した。
常法により測定した結果、上記ポリマーフィルムの密度は930[kg/m]、ヤング率が300[MPa]、熱伝導率が0.33[W/m K]であった。
(アルカリ鹸化処理A)
図1の例1に従って下記アルカリ鹸化液(S−1)に浸漬する方法で鹸化処理を行った。
上記の光学補償フィルム1のアルカリ鹸化液による処理をする反対面、及び光学補償フィルム2のアルカリ鹸化液による処理をする反対面(液晶層塗布面)に、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を含む粘着層を介して上記作製したポリエチレンフィルムが貼り合わせた状態で温度60℃の誘電式加熱ロールに通過させ、フィルム表面温度30℃に昇温した後に、下記内容のアルカリ鹸化液(S−1)を貯留したバス中に浸漬した。鹸化液の温度は45℃、鹸化処理時間は90秒、鹸化液は攪拌機により撹拌した。次いで、ファウンテンコーターによる水洗、中和とエアナイフによる水切りを4回繰り返した後に、ガイドロールが複数配置されている加熱処理装置による乾燥ゾーンでガイドロール側に上記ポリエチレンフィルムが接するように、80℃で3.5秒間フィルムを搬送させて乾燥した後に、上記ポリエチレンフィルムを剥離した。
得られた光学補償フィルムの一部をサンプリングして表面の状態を調べた。水との接触角25度、表面から鹸化の深度は0.3μmであり、鹸化表面の面状はムラの無い良好なものであった。
(アルカリ鹸化処理B)
図1の例2によりアルカリ鹸化液をダイコーターにて塗布、鹸化処理を行った。
上記の光学補償フィルム1のアルカリ鹸化液を塗布する反対面、光学補償フィルム2のアルカリ鹸化液を塗布する反対面(液晶層塗布面)に、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)を含む粘着層を介して上記作製したポリエチレンフィルムが貼り合わせた状態で温度60℃の誘電式加熱ロールに通過させ、フィルム表面温度30℃に昇温した後に、下記内容のアルカリ鹸化液(S−1)をダイコーターを用いて塗布量14ml/m、塗布速度60m/分で塗布し、110℃に加熱した(株)ノリタケカンパニーリミテド製のスチーム式遠赤外ヒーターの下に8秒滞留するようにした。続けて、同じくロッドコーターを用いて純水を3ml/m塗布した。この時のフィルム温度は40℃であった。次いで、ファウンテンコーターによる水洗、中和とエアナイフによる水切りを4回繰り返した後に、ガイドロールが複数配置されている加熱処理装置による乾燥ゾーンでガイドロール側に上記ポリエチレンフィルムが接するように、80℃で3.5秒間フィルムを搬送させて乾燥した後に、上記ポリエチレンフィルムを剥離した。
得られた光学補償フィルムの一部をサンプリングして表面の状態を調べた。水との接触角25度、表面から鹸化の深度は0.3μmであり、鹸化表面の面状はムラの無い良好なものであった。
(アルカリ鹸化液(S−1)組成)
水酸化カリウム 4.8質量部
水 15.5質量部
イソプロパノール 65.0質量部
エチレングリコール 15.0質量部
界面活性剤(商品名「TRITON X−100」:Merck製) 0.6質量部
消泡剤(商品名「プルロニックTR70」:旭電化工業(株)製) 0.01質量部
(アルカリ鹸化処理C)
比較例として、アルカリ鹸化処理Aにおいてポリエチレンフィルムを貼合せずに同様な鹸化処理を行った。
(アルカリ鹸化処理D)
比較例として、アルカリ鹸化処理Bにおいてポリエチレンフィルムを貼合せずに同様な鹸化処理を行った。
《評価項目》
上記で作成した、アルカリ鹸化処理した光学補償フィルム試料1〜8に関して、以下の評価を行った。
(リターデーションムラ)
光学補償フィルム試料を、ヱトー(株)製複屈折位相差測定装置 AD−175SIを用いて、測定スポット0.5mmで0.5mmピッチでのリターデーションRo測定を行った。測定は、フィルムの面内遅相軸を傾斜軸として40°傾斜させて行った。
尚、液晶層の塗布を行う前に二軸性の光学補償フィルム1のリターデーションムラは測定して、0.1mm間隔で0.1nm未満でムラがないことを確認しておいた。
配向(位相差)ムラの基準としては、以下を用いた。
間隔 リターデーション差 評価
0.1mm 0.100nm未満 ◎
0.1mm 0.100以上0.150nm未満 ○
0.1mm 0.150以上0.200nm未満 △
0.1mm 0.200nm以上 ×
〈偏光板の作製〉
厚さ120μmのポリビニルアルコールフィルムを、一軸延伸(温度110℃、延伸倍率5倍)した。これをヨウ素0.075g、ヨウ化カリウム5g、水100gからなる水溶液に60秒間浸漬し、次いでヨウ化カリウム6g、ホウ酸7.5g、水100gからなる68℃の水溶液に浸漬した。これを水洗、乾燥し偏光子を得た。
次に上記作製した偏光子、及び市販の偏光板保護フィルムであるコニカミノルタタック、KC4UY(コニカミノルタオプト(株)製)を下記方法で鹸化処理し、完全鹸化型ポリビニルアルコール5%水溶液を粘着剤として、実施例、及び比較例でアルカリ鹸化処理した光学補償フィルム1または2、偏光膜、偏光板保護フィルムKC4UYの順で積層して視認側の偏光板を作製した。
(アルカリ鹸化処理)
鹸化化工程 2M−NaOH 50℃ 90秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
中和工程 10質量%HCl 30℃ 45秒
水洗工程 水 30℃ 45秒
鹸化処理後、水洗、中和、水洗の順に行い、次いで80℃で乾燥を行った。
〈液晶表示装置の作製〉
視野角測定を行う液晶パネルを以下のようにして作製し、液晶表示装置としての特性を評価した。
光学補償フィルム1を用いた偏光板は、VAモード型液晶表示装置であるAQ−32AD5(シャープ(株)製)に組み込み液晶表示装置を作製した。
光学補償フィルム2を用いた偏光板は、IPSモード型液晶表示装置である日立製液晶テレビWooo W17−LC50に組み込み液晶表示装置を作製した。
いずれも予め貼合されていた視認側の偏光板を剥がして、偏光板の吸収軸が一致するように上記作製した偏光板を液晶セルのガラス面に貼合した。その際、偏光板の光学補償フィルムが液晶セル側になるように貼合した。
(色味)
黒表示時の色味測定を、Topcon製SR−3Aにて行った。
正面と斜め上(方位角45度)の倒れ角60°(正面基準)との色味測定を行い、((x−x’)+(y−y’)1/2を評価した。数字の小さい方が色味が安定していることを表す。
※式中、正面:(x、y)、斜め:(x’、y’)を表す。
◎:0.00以上0.04未満
○:0.03以上0.07未満
×:0.07以上
尚、色味の座標は、UCS色度図から決定した。
(視野角)
視野角特性の評価にはELDIM社製EZ−contrastを用い黒表示及び白表示時の透過光量を測定した。視野角の評価はコントラスト=(白表示時の透過光量)/(黒表示時の透過光量)を算出し10以上を示すパネル面に対する法線方向からの傾き角が左右60°以上のものを「○」とし、実用上問題ないとの評価を行った。
◎:視野角が非常に広い
○:視野角が広い
△:視野角がやや狭い
×:視野角が狭い
Figure 2010085574
上記のリターデーションムラを評価した結果、本発明の光学補償フィルムの鹸化処理方法で作製した光学補償フィルムが、リターデーションムラが抑制され、また、本発明の光学補償フィルムの鹸化処理方法で作製した光学補償フィルムを用いた液晶表示装置は、色味、視野角が比較例に対して優れていることが分かる。
実施例2
実施例1において、加熱処理装置による温度を40℃、50℃、80℃、100℃、120℃、140℃で行ったところ、40℃では乾燥ムラが発生し、140℃では積層フィルムの剥離不良が生じた。加熱処理温度50℃〜120℃の範囲内では、実施例1の結果を再現し良好な結果が得られた。
本発明に係る鹸化処理方法のフローを示す模式図である。
符号の説明
1 光学補償フィルム
2 ポリマーフィルム
3 粘着剤供給装置
4、4′ ニップロール
5 積層フィルム
6 鹸化液を貯留したバス
7 加熱処理装置
8 ガイドロール

Claims (8)

  1. 光学補償フィルムの少なくとも一方の面を鹸化処理した後、ガイドロールで支持、搬送しながら加熱処理して乾燥させる光学補償フィルムの鹸化処理方法において、該光学補償フィルムが、ポリマーフィルムを鹸化面とは反対面に粘着層を介して貼り合わせた状態で、かつ該ポリマーフィルムがガイドロール側に配置された状態で、該加熱処理して乾燥させることを特徴とする光学補償フィルムの鹸化処理方法。
  2. 前記ポリマーフィルムが、鹸化処理前に、前記光学補償フィルムの鹸化面とは反対面に粘着層を介して貼合され、次いで鹸化処理されることを特徴とする請求項1に記載の光学補償フィルムの鹸化処理方法。
  3. 前記ポリマーフィルムがポリエステルを主成分とすることを特徴とする請求項1または2に記載の光学補償フィルムの鹸化処理方法。
  4. 前記加熱処理の温度が50℃〜120℃の範囲であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の光学補償フィルムの鹸化処理方法。
  5. 前記鹸化処理が鹸化液への浸漬方式、コーターによる塗布方式、またはインクジェット法による塗布方式のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の光学補償フィルムの鹸化処理方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の光学補償フィルムの鹸化処理方法によって得られたことを特徴とする光学補償フィルム。
  7. 請求項6に記載の光学補償フィルムを、偏光子の少なくとも一方の面に用いたことを特徴とする偏光板。
  8. 請求項7に記載の偏光板を用いたことを特徴とする液晶表示装置。
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