JP2009265477A - 光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置 - Google Patents

光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】光学補償フィルムのカール、レタデーション斑、及び液晶光学装置の光漏れの発生を防止するとともに、当該液晶表示装置の生産性を向上させる。
【解決手段】光学補償フィルム20は、セルロースエステルを主成分とする厚さ70μm以下の光学的に2軸な支持体4と、支持体4に対して垂直方向に配向した液晶化合物からなる光学異方性層6と、紫外線硬化型アクリレート化合物を主成分とする中間層5とを備える。支持体4は、ゴニオフォトメーター100によって出射光を垂直に照射させて、光源ランプ101の光軸上での透過光の強度を100%とし、この光軸に対して130°の位置での透過光の散乱光強度の割合を測定した場合に、遅相軸を横に向けた場合と、縦に向けた場合との散乱光強度の割合の差が0.05%以下であり、紫外線硬化型アクリレート化合物は分子量1000以下で、かつ1分子当たりに重合性基を2〜3個有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置に関する。
従来、インプレーンスイッチング(IPS)モードの液晶表示装置は、光学補償を行わなくても、それ自身単独で他のモードの表示装置に比べて視覚特性に優れているため、大型モニターや、液晶テレビに用いられてきている。
但し、近年では、このようなIPSモードの液晶表示装置に対しても、更に光学特性を向上させるべく様々な光学補償フィルムが提案されている。なかでも、棒状液晶からなる光学異方性層を支持体上に設けた光学補償フィルムは、簡易な構成で光学特性を著しく向上できることから、活発に検討されてきている。
このような光学補償フィルムに関する技術としては、例えば以下のような4つの技術が挙げられる。
このうち、1つ目の技術では、垂直配向させた棒状液晶からなる光学異方性層をポリイミド配向膜上に設けて光学補償フィルムを形成することにより、IPSモードの液晶表示装置において視野角を向上させるようになっており(例えば、特許文献1参照)、2つ目の技術では、耐溶剤性の高い配向膜上に液晶層(光学異方性層)を設けて光学補償フィルムを形成することにより、当該液晶層の配向欠陥を無くすようになっている(例えば特許文献2,3参照)。
また、3つ目の技術では、所定の条件で配向層及び光線位相差粒子層を設けて光学補償フィルムを形成することにより、光線位相差材料と配向層との密着性を高めるようになっており(例えば、特許文献4参照)、4つ目の技術では、支持体上に所定の液晶組成物を塗布して光学補償フィルムを形成することにより、IPSモードの表示装置における斜め方向のコントラストとカラーシフトを改善するようになっている(例えば、特許文献5参照)。
特開2005−265889号公報 特開2003−14935号公報 特開2003−331888号公報 特開2007−41520号公報 特開2007−148099号公報
しかしながら、上記1つ目の技術では、液晶表示装置の湿熱耐久性が悪くなり、レタデーションの変化によって光漏れが生じてしまう。
また、上記2つ目の技術では、光学補償フィルムのレタデーション特性が悪く、液晶表示装置に光漏れが生じてしまう。
更に、上記3つ目,4つ目の技術では、配向層の作製時に樹脂が重合反応により収縮するため、支持体が薄いと光学補償フィルムがカールするとともに、幅手方向にレタデーション斑を生じさせてしまう。そして、光学補償フィルムがカールすると、偏光板への貼合時に歩留まりを低下させてしまう上、偏光板もカールすることとなって液晶表示装置の作製時にも歩留まりを低下させてしまうため、液晶表示装置の生産性が低下してしまう。
本発明の課題は、光学補償フィルムのカール、レタデーション斑、及び液晶表示装置の光漏れの発生を防止するとともに、当該液晶表示装置の生産性を向上させることのできる光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置を提供することである。
請求項1記載の発明は、光学補償フィルムにおいて、
セルロースエステルを主成分として含有する厚さ70μm以下の光学的に2軸な支持体と、
前記支持体に対して垂直方向に配向した液晶化合物からなる光学異方性層と、
紫外線硬化型アクリレート化合物を主成分として含有し、前記支持体及び前記光学異方性層の間に介在する中間層と、を備え、
前記支持体は、
ゴニオフォトメーターによって光源からの出射光を当該支持体に垂直に照射させて、前記光源の光軸上での透過光の強度を100%とし、この光軸に対して130°の測定位置での透過光の散乱光強度の割合を測定した場合に、前記光源及び前記測定位置を含む平面に対し、当該支持体の遅相軸を平行に向けた場合の散乱光強度の割合と、垂直に向けた場合の散乱光強度の割合との差が0.05%以下であり、
前記紫外線硬化型アクリレート化合物は、分子量1000以下で、かつ1分子当たりに重合性基を2〜3個有することを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載の光学補償フィルムにおいて、
前記支持体は、厚さ30μm以上であることを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の光学補償フィルムにおいて、
前記支持体は、
アクリル系重合体と、
フラノース構造またはピラノース構造の少なくとも1種を2個以上、12個以下結合した化合物中のOH基の少なくとも1つをエステル化した糖エステル化合物と、
をそれぞれ少なくとも1種含有するセルロースエステルフィルムであることを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れか一項に記載の光学補償フィルムにおいて、
前記光学異方性層は、
棒状液晶を前記支持体に対して実質的に垂直に配向させ、紫外線を照射することで配向が固定されていることを特徴とする。
請求項5記載の発明は、偏光板において、
請求項1〜4の何れか一項に記載の光学補償フィルムを備えることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、液晶表示装置において、
請求項5記載の偏光板を備え、IPSモード型であることを特徴とする。
請求項1記載の発明によれば、中間層は紫外線硬化型アクリレート化合物を主成分として含有し、この紫外線硬化型アクリレート化合物は分子量1000以下であるので、分子量が1000より大きい場合と比較して、中間層と支持体との積層物、ひいては光学補償フィルムのカールを防止することができる。また、この紫外線硬化型アクリレート化合物は1分子当たりに重合性基を2〜3個有するので、4個以上有する場合と比較して、自己重合を抑制し、より確実にカールを防止することができる。また、2個未満有する場合と比較して、支持体からの溶出物を光学異方性層に浸入させずに中間層で遮ることができるため、ヘイズの悪化や正面コントラストの低下など、光学補償フィルムの機能の低下を防止することができる。
また、このように中間層と支持体との積層物のカールを防止することができるため、光学異方性層の液晶化合物を当該積層物の中間層に塗布する工程や、塗布後の液晶化合物を乾燥する工程において、液晶化合物のウェット膜厚にムラができるのを防止することができ、これにより、光学異方性層にレタデーション斑が生じるのを防止することができる。
また、上記のように光学補償フィルムのカールを防止することができるため、当該光学補償フィルムを用いて偏光板及び液晶表示装置を製造する際の手間を軽減し、生産性を向上させることができる。
また、セルロースエステルを主成分として含有する光学的に2軸な支持体の厚さが70μm以下であるので、70μmより大きい場合と比較して、液晶表示装置を長時間点灯させた場合に、支持体の表面側に設けられる偏光子が熱収縮して当該支持体に応力を加えたとしても、この応力に起因するレタデーション変化を低減することができる。よって、特に液晶表示装置のコーナーなど、レタデーション変化の大きい箇所(偏光子の熱収縮による応力が大きい箇所)であっても、偏光状態を正常に維持することができるため、光漏れを防止することができる。
また、上述のように中間層は紫外線硬化型アクリレート化合物を主成分として含有するので、ポリイミドを主成分として含有する場合と比較して、光学異方性層における液晶化合物との密着性を向上させることができる。 また、支持体はゴニオフォトメーターによって光源からの出射光を当該支持体に垂直に照射させて、前記光源の光軸上での透過光の強度を100%とし、この光軸に対して130°の測定位置での透過光の散乱光強度の割合を測定した場合に、前記光源及び前記測定位置を含む平面に対し、当該支持体の遅相軸を平行に向けた場合の散乱光強度の割合と、垂直に向けた場合の散乱光強度の割合との差が0.05%以下であるので、0.05%より大きい場合と比較して異方性散乱(フィルムの遅層軸方向と、その直交方向とでの散乱光強度の差)が小さい分、正面コントラストを向上させることができる。
請求項2記載の発明によれば、支持体は厚さ30μm以上であるので、光学異方性層を確実に支持することができる。従って、厚さが30μm未満の場合と比較して、光学異方性層による位相差にムラが生じるのをより確実に防止することができる。
以下、図を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本実施の形態における液晶表示装置1の一例を示す概略図である。
この図に示すように、液晶表示装置1は、バックライト(図示せず)側から視認側に向かって偏光板31と、液晶セル7と、本発明に係る偏光板30とをこの順に有している。
[1]液晶セル7
液晶セル7は、従来より公知の液晶セルであり、本実施の形態においてはIPSモード型となっている。この液晶セル7は、電圧未印加時での液晶層の遅相軸(以下、単に液晶層の遅相軸とする)を図中のX方向に有している。
[2]偏光板31
偏光板31は、偏光膜(PVA層)9を偏光膜用の保護膜8,10で狭持した構成を有している。
このうち、偏光膜9は、ポリビニルアルコールで形成された偏光子であり、図中のY方向に偏光透過軸を有している。
また、保護膜8は、面内レタデーション値Roが5nm以下であり、厚さ方向のレタデーション値Rtが10nm以下のフィルムとなっている。なお、このような保護膜8としては、従来より公知の保護膜を用いることができる。但し、保護膜8は必ずしも偏光板31に備えられる必要はない。
また、保護膜10は、偏光膜9を保護するものである。なお、このような保護膜10としては、従来より公知の保護膜を用いることができる。
[3]偏光板30
偏光板30は、偏光膜(PVA層)3を偏光膜用の保護膜(TAC層)2と光学補償フィルム20とで狭持した構成を有している。
[3.1]保護膜2
保護膜(TAC層)2は、トリアセチルセルロースで形成された透明なフィルムであり、偏光膜(PVA層)3における液晶セル7とは反対側の表面(図では視認側の表面)を覆って保護するようになっている。なお、このようなTAC層としては、従来より公知のフィルムのうち、例えば厚さ40〜80μm程度のものを用いることができる。
[3.2]偏光膜(PVA層)3
偏光膜3は、ポリビニルアルコールで形成された偏光子であり、図中のX方向に偏光透過軸を有している。なお、このような偏光膜3としては、従来より公知の偏光子のうち、例えば厚さ25μm程度のものを用いることができる。
[3.3]光学補償フィルム20
光学補償フィルム20は、液晶セル7に遠い側から近い側に向かって順に支持体4、中間層5及び光学異方性層6を備えている。
[3.3A]支持体4
[3.3A(1)]支持体4の物性
[3.3A(1−1)]散乱光強度
支持体4は、中間層5を介して光学異方性層6を支持する厚さ30μm以上かつ70μm以下、例えば40μmの透明なフィルムである。この支持体4は、光学的に2軸となっており、図中のX方向に遅相軸を有している。
より詳細には、この支持体4は、後述の図2に示すように、ゴニオフォトメーター100によって光源ランプ101からの出射光を当該支持体4に垂直に照射させて、光源ランプ101の光軸L上での透過光の強度を100%とし、この光軸Lに対して130°の測定位置106での透過光の散乱光強度の割合を測定した場合に、光源ランプ101及び測定位置106を含む平面に対し、当該支持体4の遅相軸を平行に向けた場合の散乱光強度の割合と、垂直に向けた場合の散乱光強度の割合との差が0.05%以下となっている。換言すれば、支持体4は、ゴニオフォトメーター100の散乱光プロファイルの入射光90°のフィルムの散乱光強度測定であって、光源から130°の位置における散乱光強度を検出する測定する場合において、フィルム遅相軸を水平に試料台へ設置した場合と垂直に設置した場合の散乱光強度差が、0.05以下となっている。
なお、本発明において平行,直交とは厳密な平行,直交の角度に対して±15°の範囲内にあることをいう。
以下、ゴニオフォトメータにより測定される散乱光の意義及び内容について説明する。
《ゴニオフォトメーターにより測定される散乱光》
正面コントラストを改良させるためには、透明フィルムのヘイズを低下させることが必要であるとされてきたが、直進光に対応するヘイズを低減するだけでは、必ずしも正面コントラストを所望の値にすることはできないというということが判ってきた。
これに対し本発明者らは、異方性散乱を排除することが正面コントラストの改良に効果的であることを見出した。
ここで異方性散乱とは、フィルムの遅相軸方向とそれに直交する方向での散乱光強度の差をいう。この異方性散乱は、ゴニオフォトメーター100により測定される。
図2にゴニオフォトメーター100(型式:GP−1−3D、オプテック(株)製)における光源ランプ101、分光器102、試料台(ステージ)103、試料サンプル(支持体)104(図2(b)参照)、測定位置(受光部分)106の位置関係を示す。ここで、図2(a)は基準光を測定するリファレンス測定或は透過率測定時における、光源ランプ101、分光器102、試料台103、測定位置106に配置され光の強度を計測する積分球105の配置を示し、図2(b)は測定サンプル104を試料台103に載せてその反射率測定時における、光源ランプ101、分光器102、試料台103、積分球105の配置を示す。
なお、本実施の形態においては、光源ランプ101は12V50Wハロゲン球であり、測定位置106には、光電子増倍管(フォトマル 浜松フォトニクス R636−10)を用いている。
試料台は通常は測定サンプル縦掛け式となっていて押え金具106で測定サンプルを固定し、その台の下部は角度割出回転テーブル107となっており、試料面と入射面の角度を変えて透過率、反射率を測定することができる構造である。
本発明における異方性散乱光強度は、図2(a)の配置で測定することができる。つまり、ゴニオフォトメーターの散乱光プロファイルの入射光90°のフィルムの散乱光強度測定とは、ゴニオフォトメーターの光源からサンプルに対して垂直に光が与えられた時の散乱光強度をいう。
光源から130°の位置における散乱光強度を検出する測定する場合とは、図2(a)の配置状態において、光源の法線方向と、サンプルの観察点と積分球とを結ぶ方向とがなす角θを130°とした場合に測定される散乱光強度をいう。
本発明においては、このθが130°の位置における散乱光強度の測定において、フィルム(支持体4)遅相軸を水平に試料台へ設置した場合と垂直に設置した場合の散乱光強度差が、0.05以下であることを特徴とする。
水平および垂直の条件をとるためには、通常の水準器を使用することができる。例えばエツミ水準器ツーウェイ(シュー付)E−6044を使用することができる。
θとしては、色々な角度を選択することができるが、本発明では、液晶表示装置としての最終評価である正面コントラストとの相関が最も高かった130°とした。
水平にした場合、垂直にした場合の散乱光強度は0.01〜0.25であり、0.20以下が好ましく、0.10以下がさらに好ましい。
本発明においては、さらに光源から105°から175°の位置における散乱光強度を検出する測定において、1°ごとに71点ずつ測定した値の合計である積分値が2.00以下であることが好ましい。散乱光強度差は、小さいければ小さい方がよい。
[3.3A(1−2)]その他の物性
また、この支持体4の透湿度は、40℃、90%RHで10〜1200g/m2・24hが好ましく、更に20〜1000g/m2・24hが好ましく、20〜850g/m2・24hが特に好ましい。透湿度はJIS Z 0208に記載の方法に従い測定することができる。
また、支持体4は破断伸度は10〜80%であることが好ましく20〜50%であることが更に好ましい。
また、支持体4の可視光透過率は90%以上であることが好ましく、93%以上であることが更に好ましい。
また、支持体4のヘイズは1%未満であることが好ましく0〜0.1%であることが特に好ましい。
[3.3A(2)]支持体4の成分
以上の支持体4は、セルロースエステルを主成分(最も多い成分)として含有しており、好ましくは、アクリル系重合体と、フラノース構造またはピラノース構造の少なくとも1種を2個以上、12個以下結合した化合物中のOH基の少なくとも1つをエステル化した糖エステル化合物と、をそれぞれ少なくとも1種含有するセルロースエステルフィルムとなっている。
[3.3A(2−1)]支持体成分としてのセルロースエステル
本発明のセルロースエステルとしては特に限定はないが、セルロースエステルとして炭素数2〜22程度のカルボン酸エステルであり、芳香族カルボン酸のエステルでもよく、特に炭素数が6以下の低級脂肪酸エステルであることが好ましい。
水酸基に結合するアシル基は、直鎖であっても分岐してもよく、また環を形成してもよい。更に別の置換基が置換してもよい。同じ置換度である場合、前記炭素数が多いと複屈折性が低下するため、炭素数としては炭素数2〜6のアシル基の中で選択することが好ましい。前記セルロースエステルとしての炭素数が2〜4であることが好ましく、炭素数が2〜3であることがより好ましい。
具体的には、セルロースエステルとしては、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、またはセルロースアセテートプロピオネートブチレートのようなアセチル基の他にプロピオネート基またはブチレート基が結合したセルロースの混合脂肪酸エステルを用いることができる。
尚、ブチレートを形成するブチリル基としては、直鎖状でも分岐していてもよい。本発明において好ましく用いられるセルロースエステルとしては、特にセルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートフタレートが好ましく用いられる。
本発明に好ましいセルロースアセテートフタレート以外のセルロースエステルとしては、下記式(1)及び(2)を同時に満足するものが好ましい。
式(1) 2.0≦X+Y≦3.0
式(2) 0≦Y≦1.5
式中、Xはアセチル基の置換度、Yはプロピオニル基またはブチリル基、もしくはその混合物の置換度である。
また、目的に叶う光学特性を得るために置換度の異なる樹脂を混合して用いても良い。混合比としては10:90〜90:10(質量比)が好ましい。
この中で特にセルロースアセテートプロピオネートが好ましく用いられる。セルロースアセテートプロピオネートでは、1.0≦X≦2.5であり、0.1≦Y≦1.5、2.0≦X+Y≦3.0であることが好ましい。アシル基の置換度の測定方法はASTM−D817−96に準じて測定することができる。
本発明に用いられるセルロースエステルの数平均分子量は、60000〜300000の範囲が、得られるフィルムの機械的強度が強く好ましい。更に70000〜200000のものが好ましく用いられる。
セルロースエステルの重量平均分子量Mw、数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。
測定条件は以下の通りである。
溶媒: メチレンクロライド
カラム: Shodex K806、K805、K803G(昭和電工(株)製を3本接続して使用した)
カラム温度:25℃
試料濃度: 0.1質量%
検出器: RI Model 504(GLサイエンス社製)
ポンプ: L6000(日立製作所(株)製)
流量: 1.0ml/min
校正曲線: 標準ポリスチレンSTK standard ポリスチレン(東ソー(株)製)Mw=1000000〜500の13サンプルによる校正曲線を使用した。13サンプルは、ほぼ等間隔に用いる。
本発明に用いられる、セルロースエステルの原料のセルロースとしては、特に限定はないが、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを挙げることができる。またそれらから得られたセルロースエステルはそれぞれ任意の割合で混合使用することができる。
本発明のセルロースアセテートフタレート等のセルロースエステルは、公知の方法により製造することができる。具体的には特開平10−45804号に記載の方法を参考にして合成することができる。
[3.3A(2−1−1)]セルロースエステルに含有されるアクリル系重合体
本発明では、アクリル系重合体をセルロースエステルに添加する。なお、ここでアクリル系重合体にはメタクリル系重合体も含まれる。
本発明に用いられるアクリル系重合体としては、セルロースエステルフィルムに含有させた場合、機能として延伸方向に対して負の複屈折性を示すことが好ましく、特に構造が限定されるものではないが、エチレン性不飽和モノマーを重合して得られた重量平均分子量が500以上30000以下である重合体であることが好ましい。
<アクリル系重合体の複屈折性試験法>
アクリル系重合体を溶媒に溶解しキャスト製膜した後、加熱乾燥し、透過率80%以上のフィルムについて複屈折性の評価を行った。
アッベ屈折率計−4T((株)アタゴ製)に多波長光源を用いて屈折率測定を行った。延伸方向の屈折率ny及び直交する面内方向の屈折率をnxとした。550nmの各々の屈折率について(ny−nx)<0であるフィルムについて、アクリル系重合体は延伸方向に対して負の複屈折性であると判断する。
本発明に用いられる重量平均分子量が500以上30000以下であるアクリル系重合体は、芳香環を側鎖に有するアクリル系重合体またはシクロヘキシル基を側鎖に有するアクリル系重合体であってもよい。
該重合体の重量平均分子量が500以上30000以下のもので該重合体の組成を制御することにより、例えばセルロースエステルフィルムが本発明において特に好ましいセルロースエステルフィルムである場合、該セルロースエステルと該重合体との相溶性を良好にすることができる。
芳香環を側鎖に有するアクリル系重合体またはシクロヘキシル基を側鎖に有するアクリル系重合体について、好ましくは重量平均分子量が500以上10000以下のものであれば、上記に加え、製膜後のセルロースエステルフィルムの透明性が優れ、透湿度も極めて低く、偏光板用保護フィルムとして優れた性能を示す。
該重合体は、重量平均分子量が500以上30000以下であるから、オリゴマーから低分子量重合体の間にあると考えられるものである。このような重合体を合成するには、通常の重合では分子量のコントロールが難しく、分子量を余り大きくしない方法でできるだけ分子量を揃えることのできる方法を用いることが望ましい。
本発明のセルロースエステルフィルムに用いられるアクリル系重合体としては、分子内に芳香環と水酸基を有しないエチレン性不飽和モノマーXaと、分子内に芳香環を有せず、水酸基を有するエチレン性不飽和モノマーXbと、Xa、Xbを除く共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとを共重合して得られた重量平均分子量2000以上30000以下の重合体X、または芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaと、Yaと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとを重合して得られた重量平均分子量500以上3000以下の重合体Yであることが好ましい。
特に、本発明のセルロースエステルに加える添加剤としては、芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaと、Yaと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとを重合して得られた重量平均分子量500以上3000以下の重合体Yであることが好ましい。
[3.3A(2−1−1−1)]アクリル系重合体に含有される重合体Y
<重合体Yの構造>
重合体Yは、芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーYaと、Yaと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーとを重合して得られる低分子量の重合体であり、重量平均分子量が500以上3000以下となっている。
重量平均分子量500以上であれば重合体の残存モノマーが減少し好ましい。また、3000以下とすることは、レタデーション値Rtを調整するために好ましい。Yaは、好ましくは芳香環を有さないアクリルまたはメタクリルモノマーである。
本発明に用いられる重合体Yは、下記一般式(Y)で表される。
一般式(Y)
−[Ya]k−[Yb]q
上記一般式(Y)において、Yaは芳香環を有しないエチレン性不飽和モノマーを表し、YbはYaと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーを表す。k及びqは、各々モル組成比を表す。ただし、k≠0、k+q=100である。
本発明に係る重合体Yにおいて、更に好ましくは下記一般式(Y−1)で表される重合体である。
一般式(Y−1)
−[CH2−C(−R5)(−CO26)]k−[Yb]q
上記一般式(Y−1)において、R5は、それぞれ水素原子またはメチル基を表す。R6は炭素数1〜12のアルキル基またはシクロアルキル基を表す。Ybは、[CH2−C(−R5)(−CO26)]と共重合可能なモノマー単位を表す。k及びqは、それぞれモル組成比を表す。ただしk≠0、k+q=100である。
Ybは、Yaである[CH2−C(−R5)(−CO26)]と共重合可能なエチレン性不飽和モノマーであれば特に制限はない。Ybは複数であってもよい。k+q=100、qは好ましくは0〜30である。
芳香環を有さないエチレン性不飽和モノマーを重合して得られる重合体Yを構成するエチレン性不飽和モノマーYaは、アクリル酸エステルとして、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、メタクリル酸エステルとして、上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたもの;不飽和酸として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸等を挙げることができる。
Ybは、Yaと共重合可能なエチレン性不飽和モノマーであれば特に制限はないが、ビニルエステルとして、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、オクチル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、桂皮酸ビニル等が好ましい。Ybは複数であってもよい。
<重合体Yの合成方法>
重合体Yを合成するには、通常の重合では分子量のコントロールが難しく、分子量を余り大きくしない方法で、かつ出来るだけ分子量を揃えることのできる方法を用いることが望ましい。
かかる重合方法としては、クメンペルオキシドやt−ブチルヒドロペルオキシドのような過酸化物重合開始剤を使用する方法、重合開始剤を通常の重合より多量に使用する方法、重合開始剤の他にメルカプト化合物や四塩化炭素等の連鎖移動剤を使用する方法、重合開始剤の他にベンゾキノンやジニトロベンゼンのような重合停止剤を使用する方法、更に特開2000−128911号または同2000−344823号公報にあるような一つのチオール基と2級の水酸基とを有する化合物、或いは、該化合物と有機金属化合物を併用した重合触媒を用いて塊状重合する方法等を挙げることができ、何れも本発明において好ましく用いられる。
特に、重合体Yは、分子中にチオール基と2級の水酸基とを有する化合物を連鎖移動剤として使用する重合方法が好ましい。この場合、重合体Yの末端には、重合触媒及び連鎖移動剤に起因する水酸基、チオエーテルを有することとなる。この末端残基により、Yとセルロースエステルとの相溶性を調整することができる。
重合体Yの水酸基価は、30〜150[mgKOH/g]であることが好ましい。
なお、水酸基価の測定は、JIS K 0070(1992)に準ずる。この水酸基価は、試料1gをアセチル化させたとき、水酸基と結合した酢酸を中和するのに必要とする水酸化カリウムのmg数と定義される。
具体的には試料Xg(約1g)をフラスコに精秤し、これにアセチル化試薬(無水酢酸20mlにピリジンを加えて400mlにしたもの)20mlを正確に加える。フラスコの口に空気冷却管を装着し、95〜100℃のグリセリン浴にて加熱する。
1時間30分後、冷却し、空気冷却管から精製水1mlを加え、無水酢酸を酢酸に分解する。
次に電位差滴定装置を用いて0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液で滴定を行い、得られた滴定曲線の変曲点を終点とする。
更に空試験として、試料を入れないで滴定し、滴定曲線の変曲点を求める。水酸基価は、次の式によって算出する。
水酸基価={(B−C)×f×28.05/X}+D
式中、Bは空試験に用いた0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)、Cは滴定に用いた0.5mol/Lの水酸化カリウムエタノール溶液の量(ml)、fは0.5mol/L水酸化カリウムエタノール溶液のファクター、Dは酸価、また、28.05は水酸化カリウムの1mol量56.11の1/2を表す。
上述の重合体Yは何れもセルロースエステルとの相溶性に優れ、蒸発や揮発もなく生産性に優れ、偏光板用保護フィルムとしての保留性がよく、透湿度が小さく、寸法安定性に優れている。
セルロースエステルフィルム中での重合体Yの好ましい含有量は、0.5〜10質量%であり、より好ましくは1〜5質量%である。
重合体Yは、後述するドープ液を構成する素材として直接添加、溶解するか、もしくはセルロースエステルを溶解する有機溶媒に予め溶解した後ドープ液に添加することができる。
[3.3A(2−1−2)]セルロースエステルに含有される糖エステル化合物
上述したように、本発明のセルロースエステルフィルムは、フラノース構造またはピラノース構造の少なくとも1種を2個以上、12個以下結合した化合物中のOH基の少なくとも1つをエステル化した糖エステル化合物を含んでいる。
エステル化の割合としては、ピラノース構造またはフラノース構造内に存在するOH基の70%以上であることが好ましい。
本発明においては、エステル化合物を総称して、糖エステル化合物とも称す。
本発明のエステル化合物の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、キシロース、或いはアラビノース、ラクトース、スクロース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオース、マルチトール、ラクチトール、ラクチュロース、セロビオース、マルトース、セロトリオース、マルトトリオース、ラフィノース或いはケストース挙げられる。
このほか、ゲンチオビオース、ゲンチオトリオース、ゲンチオテトラオース、キシロトリオース、ガラクトシルスクロースなども挙げられる。
これらの化合物の中で、特にピラノース構造とフラノース構造を両方有する化合物が好ましい。
例としてはスクロース、ケストース、ニストース、1F−フラクトシルニストース、スタキオースなどが好ましく、更に好ましくは、スクロースである。
ピラノース構造またはフラノース構造中のOH基のすべてもしくは一部をエステル化するのに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、オクテン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、酢酸、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、アルコキシ基を導入した芳香族モノカルボン酸、ケイ皮酸、ベンジル酸、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができ、より、具体的には、キシリル酸、ヘメリト酸、メシチレン酸、プレーニチル酸、γ−イソジュリル酸、ジュリル酸、メシト酸、α−イソジュリル酸、クミン酸、α−トルイル酸、ヒドロアトロパ酸、アトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、サリチル酸、o−アニス酸、m−アニス酸、p−アニス酸、クレオソート酸、o−ホモサリチル酸、m−ホモサリチル酸、p−ホモサリチル酸、o−ピロカテク酸、β−レソルシル酸、バニリン酸、イソバニリン酸、ベラトルム酸、o−ベラトルム酸、没食子酸、アサロン酸、マンデル酸、ホモアニス酸、ホモバニリン酸、ホモベラトルム酸、o−ホモベラトルム酸、フタロン酸、p−クマル酸を挙げることができるが、特に安息香酸が好ましい。
オリゴ糖のエステル化合物は、本発明における「ピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1〜12個を有する化合物」として適用できる。
オリゴ糖は、澱粉、ショ糖等にアミラーゼ等の酵素を作用させて製造されるもので、本発明に適用できるオリゴ糖としては、例えば、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、フラクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖が挙げられる。
また、前記エステル化合物は、下記一般式(A)で表されるピラノース構造またはフラノース構造の少なくとも1種を1個以上12個以下縮合した化合物である。ただし、R11〜R15、R21〜R25は、炭素数2〜22のアシル基または水素原子を、m、nはそれぞれ0〜12の整数、m+nは1〜12の整数を表す。
Figure 2009265477
11〜R15、R21〜R25は、ベンゾイル基、水素原子であることが好ましい。ベンゾイル基は更に置換基R26(pは0〜5)を有していてもよく、例えばアルキル基、アルケニル基、アルコキシル基、フェニル基が挙げられ、更にこれらのアルキル基、アルケニル基、フェニル基は置換基を有していてもよい。オリゴ糖も本発明のエステル化合物と同様な方法で製造することができる。
以下に、本発明に係るエステル化合物の具体例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
Figure 2009265477
Figure 2009265477
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Figure 2009265477
Figure 2009265477
Figure 2009265477
Figure 2009265477
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本発明のセルロースエステルフィルムは、位相差値の変動を抑制して、表示品位を安定化する為に、以上の糖エステル化合物を、セルロースエステルフィルムの1〜30質量%含むことが好ましく、特には、5〜30質量%含むことが好ましい。
[3.3A(2−1−3)]セルロースエステルに含有される他の添加剤
<可塑剤>
本発明のセルロースエステルフィルムは、本発明の効果を得る上で必要に応じて可塑剤を含有することができる。
可塑剤は特に限定されないが、好ましくは、多価カルボン酸エステル系可塑剤、グリコレート系可塑剤、フタル酸エステル系可塑剤、脂肪酸エステル系可塑剤及び多価アルコールエステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、アクリル系可塑剤等から選択される。
そのうち、可塑剤を2種以上用いる場合は、少なくとも1種は多価アルコールエステル系可塑剤であることが好ましい。
多価アルコールエステル系可塑剤は2価以上の脂肪族多価アルコールとモノカルボン酸のエステルよりなる可塑剤であり、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有することが好ましい。好ましくは2〜20価の脂肪族多価アルコールエステルである。
本発明に好ましく用いられる多価アルコールは次の一般式(a)で表される。
一般式(a) R1−(OH)n
但し、R1はn価の有機基、nは2以上の正の整数、OH基はアルコール性、及び/またはフェノール性水酸基を表す。
好ましい多価アルコールの例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
アドニトール、アラビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ジブチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ヘキサントリオール、ガラクチトール、マンニトール、3−メチルペンタン−1,3,5−トリオール、ピナコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、キシリトール等を挙げることができる。
特に、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ソルビトール、トリメチロールプロパン、キシリトールが好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるモノカルボン酸としては、特に制限はなく、公知の脂肪族モノカルボン酸、脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸等を用いることができる。脂環族モノカルボン酸、芳香族モノカルボン酸を用いると透湿性、保留性を向上させる点で好ましい。
好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては、炭素数1〜32の直鎖または側鎖を有する脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数は1〜20であることが更に好ましく、1〜10であることが特に好ましい。酢酸を含有させるとセルロースエステルとの相溶性が増すため好ましく、酢酸と他のモノカルボン酸を混合して用いることも好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸等の飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸等の不飽和脂肪酸等を挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸等の安息香酸のベンゼン環にアルキル基、メトキシ基或いはエトキシ基などのアルコキシ基を1〜3個を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸等のベンゼン環を2個以上有する芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に安息香酸が好ましい。
多価アルコールエステルの分子量は特に制限はないが、300〜1500であることが好ましく、350〜750であることが更に好ましい。分子量が大きい方が揮発し難くなるため好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
多価アルコールエステルに用いられるカルボン酸は1種類でもよいし、2種以上の混合であってもよい。また、多価アルコール中のOH基は、全てエステル化してもよいし、一部をOH基のままで残してもよい。
以下に、多価アルコールエステルの具体的化合物を例示する。
Figure 2009265477
Figure 2009265477
Figure 2009265477
Figure 2009265477
グリコレート系可塑剤は特に限定されないが、アルキルフタリルアルキルグリコレート類が好ましく用いることができる。
アルキルフタリルアルキルグリコレート類としては、例えばメチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルプロピルグリコレート、ブチルフタリルブチルグリコレート、オクチルフタリルオクチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート、エチルフタリルメチルグリコレート、エチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルブチルグリコレート、エチルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルメチルグリコレート、ブチルフタリルエチルグリコレート、プロピルフタリルブチルグリコレート、ブチルフタリルプロピルグリコレート、メチルフタリルオクチルグリコレート、エチルフタリルオクチルグリコレート、オクチルフタリルメチルグリコレート、オクチルフタリルエチルグリコレート等が挙げられる。
フタル酸エステル系可塑剤としては、ジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジ−2−エチルヘキシルフタレート、ジオクチルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート、ジシクロヘキシルテレフタレート等が挙げられる。
クエン酸エステル系可塑剤としては、クエン酸アセチルトリメチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル等が挙げられる。
脂肪酸エステル系可塑剤として、オレイン酸ブチル、リシノール酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチル等が挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤としては、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、オクチルジフェニルホスフェート、ジフェニルビフェニルホスフェート、トリオクチルホスフェート、トリブチルホスフェート等が挙げられる。
多価カルボン酸エステル化合物としては、2価以上、好ましくは2価〜20価の多価カルボン酸とアルコールのエステルよりなるものが挙げられる。また、脂肪族多価カルボン酸は2〜20価であることが好ましく、芳香族多価カルボン酸、脂環式多価カルボン酸の場合は3価〜20価であることが好ましい。
多価カルボン酸は次の一般式(b)で表される。
一般式(b) R2(COOH)m(OH)n
(但し、R2は(m+n)価の有機基、mは2以上の正の整数、nは0以上の整数、COOH基はカルボキシル基、OH基はアルコール性またはフェノール性水酸基を表す)
好ましい多価カルボン酸の例としては、例えば以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸のような3価以上の芳香族多価カルボン酸またはその誘導体、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、テトラヒドロフタル酸のような脂肪族多価カルボン酸、酒石酸、タルトロン酸、リンゴ酸、クエン酸のようなオキシ多価カルボン酸などを好ましく用いることができる。特にオキシ多価カルボン酸を用いることが、保留性向上などの点で好ましい。
本発明に用いることのできる多価カルボン酸エステル化合物に用いられるアルコールとしては特に制限はなく公知のアルコール、フェノール類を用いることができる。
例えば炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪族飽和アルコールまたは脂肪族不飽和アルコールを好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
また、シクロペンタノール、シクロヘキサノールなどの脂環式アルコールまたはその誘導体、ベンジルアルコール、シンナミルアルコールなどの芳香族アルコールまたはその誘導体なども好ましく用いることができる。
多価カルボン酸としてオキシ多価カルボン酸を用いる場合は、オキシ多価カルボン酸のアルコール性またはフェノール性の水酸基をモノカルボン酸を用いてエステル化しても良い。好ましいモノカルボン酸の例としては以下のようなものを挙げることができるが、本発明はこれに限定されるものではない。
脂肪族モノカルボン酸としては炭素数1〜32の直鎖または側鎖を持った脂肪酸を好ましく用いることができる。炭素数1〜20であることが更に好ましく、炭素数1〜10であることが特に好ましい。
好ましい脂肪族モノカルボン酸としては酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、2−エチル−ヘキサンカルボン酸、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ステアリン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、ヘプタコサン酸、モンタン酸、メリシン酸、ラクセル酸などの飽和脂肪酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、ソルビン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸などの不飽和脂肪酸などを挙げることができる。
好ましい脂環族モノカルボン酸の例としては、シクロペンタンカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸、シクロオクタンカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。
好ましい芳香族モノカルボン酸の例としては、安息香酸、トルイル酸などの安息香酸のベンゼン環にアルキル基を導入したもの、ビフェニルカルボン酸、ナフタリンカルボン酸、テトラリンカルボン酸などのベンゼン環を2個以上もつ芳香族モノカルボン酸、またはそれらの誘導体を挙げることができる。特に酢酸、プロピオン酸、安息香酸であることが好ましい。
多価カルボン酸エステル化合物の分子量は特に制限はないが、分子量300〜1000の範囲であることが好ましく、350〜750の範囲であることが更に好ましい。保留性向上の点では大きい方が好ましく、透湿性、セルロースエステルとの相溶性の点では小さい方が好ましい。
本発明に用いることのできる多価カルボン酸エステルに用いられるアルコール類は一種類でも良いし、二種以上の混合であっても良い。
本発明に用いることのできる多価カルボン酸エステル化合物の酸価は1mgKOH/g以下であることが好ましく、0.2mgKOH/g以下であることが更に好ましい。酸価を上記範囲にすることによって、レタデーションの環境変動も抑制されるため好ましい。
なお、酸価とは、試料1g中に含まれる酸(試料中に存在するカルボキシル基)を中和するために必要な水酸化カリウムのミリグラム数をいう。酸価はJIS K0070に準拠して測定したものである。
特に好ましい多価カルボン酸エステル化合物の例を以下に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、トリエチルシトレート、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ベンゾイルトリブチルシトレート、アセチルトリフェニルシトレート、アセチルトリベンジルシトレート、酒石酸ジブチル、酒石酸ジアセチルジブチル、トリメリット酸トリブチル、ピロメリット酸テトラブチル等が挙げられる。
ポリエステル系可塑剤は特に限定されないが、分子内に芳香環またはシクロアルキル環を有するポリエステル系可塑剤を用いることができる。ポリエステル系可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、下記一般式(c)で表せる芳香族末端エステル系可塑剤を用いることができる。
一般式(c) B−(G−A)n−G−B
(式中、Bはベンゼンモノカルボン酸残基、Gは炭素数2〜12のアルキレングリコール残基または炭素数6〜12のアリールグリコール残基または炭素数が4〜12のオキシアルキレングリコール残基、Aは炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸残基または炭素数6〜12のアリールジカルボン酸残基を表し、またnは1以上の整数を表す。)
一般式(c)中、Bで示されるベンゼンモノカルボン酸残基とGで示されるアルキレングリコール残基またはオキシアルキレングリコール残基またはアリールグリコール残基、Aで示されるアルキレンジカルボン酸残基またはアリールジカルボン酸残基とから構成されるものであり、通常のポリエステル系可塑剤と同様の反応により得られる。
本発明で使用されるポリエステル系可塑剤のベンゼンモノカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、パラターシャリブチル安息香酸、オルソトルイル酸、メタトルイル酸、パラトルイル酸、ジメチル安息香酸、エチル安息香酸、ノルマルプロピル安息香酸、アミノ安息香酸、アセトキシ安息香酸等があり、これらはそれぞれ1種または2種以上の混合物として使用することができる。
本発明に用いることのできるポリエステル系可塑剤の炭素数2〜12のアルキレングリコール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−プロパンジオール、2−メチル1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール)、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール(3,3−ジメチロールペンタン)、2−n−ブチル−2−エチル−1,3プロパンジオール(3,3−ジメチロールヘプタン)、3−メチル−1,5−ペンタンジオール1,6−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル1,3−ペンタンジオール、2−エチル1,3−ヘキサンジオール、2−メチル1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−オクタデカンジオール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用される。
特に炭素数2〜12のアルキレングリコールがセルロースエステルとの相溶性に優れているため、特に好ましい。
また、上記芳香族末端エステルの炭素数4〜12のオキシアルキレングリコール成分としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等があり、これらのグリコールは、1種または2種以上の混合物として使用できる。
芳香族末端エステルの炭素数4〜12のアルキレンジカルボン酸成分としては、例えば、コハク酸、マレイン酸、フマール酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸等があり、これらは、それぞれ1種または2種以上の混合物として使用される。炭素数6〜12のアリーレンジカルボン酸成分としては、フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、1,5ナフタレンジカルボン酸、1,4ナフタレンジカルボン酸等がある。
本発明で使用されるポリエステル系可塑剤は、数平均分子量が、好ましくは300〜1500、より好ましくは400〜1000の範囲が好適である。また、その酸価は、0.5mgKOH/g以下、水酸基価は25mgKOH/g以下、より好ましくは酸価0.3mgKOH/g以下、水酸基価は15mgKOH/g以下のものである。
以下に、本発明に用いることのできる芳香族末端エステル系可塑剤の具体的化合物を示すが、本発明はこれに限定されない。
Figure 2009265477
Figure 2009265477
<紫外線吸収剤>
本発明に係るセルロースエステルフィルムは、紫外線吸収剤を含有することもできる。紫外線吸収剤は400nm以下の紫外線を吸収することで、耐久性を向上させることを目的としており、特に波長370nmでの透過率が10%以下であることが好ましく、より好ましくは5%以下、更に好ましくは2%以下である。
本発明に用いられる紫外線吸収剤は特に限定されないが、例えばオキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、トリアジン系化合物、ニッケル錯塩系化合物、無機粉体等が挙げられる。
例えば、5−クロロ−2−(3,5−ジ−sec−ブチル−2−ヒドロキシルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール、(2−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖及び側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン、2,4−ベンジルオキシベンゾフェノン等があり、また、チヌビン109、チヌビン171、チヌビン234、チヌビン326、チヌビン327、チヌビン328等のチヌビン類があり、これらはいずれもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の市販品であり好ましく使用できる。
本発明で好ましく用いられる紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤であり、特に好ましくはベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、である。
この他、1,3,5トリアジン環を有する化合物等の円盤状化合物も紫外線吸収剤として好ましく用いられる。
本発明において偏光板30を保護する支持体4のセルロースエステルフィルムは紫外線吸収剤を2種以上を含有することが好ましい。
また、紫外線吸収剤としては高分子紫外線吸収剤も好ましく用いることができ、特に特開平6−148430号記載のポリマータイプの紫外線吸収剤が好ましく用いられる。
紫外線吸収剤の添加方法は、メタノール、エタノール、ブタノール等のアルコールやメチレンクロライド、酢酸メチル、アセトン、ジオキソラン等の有機溶媒或いはこれらの混合溶媒に紫外線吸収剤を溶解してからドープに添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。
無機粉体のように有機溶剤に溶解しないものは、有機溶剤とセルロースエステル中にデゾルバーやサンドミルを使用し、分散してからドープに添加する。
紫外線吸収剤の使用量は、紫外線吸収剤の種類、使用条件等により一様ではないが、セルロースエステルフィルムの乾燥膜厚が30〜200μmの場合は、セルロースエステルフィルムに対して0.5〜10質量%が好ましく、0.6〜4質量%が更に好ましい。
<酸化防止剤>
酸化防止剤は劣化防止剤ともいわれる。高湿高温の状態に液晶表示装置1がおかれた場合には、セルロースエステルフィルムの劣化が起こる場合がある。
酸化防止剤は、例えば、セルロースエステルフィルム中の残留溶媒量のハロゲンやリン酸系可塑剤のリン酸等によりセルロースエステルフィルムが分解するのを遅らせたり、防いだりする役割を有するので、前記セルロースエステルフィルム中に含有させるのが好ましい。
このような酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系の化合物が好ましく用いられ、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6−ヘキサンジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2,2−チオ−ジエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイト等を挙げることができる。
特に、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕が好ましい。また、例えば、N,N′−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニル〕ヒドラジン等のヒドラジン系の金属不活性剤やトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト等のリン系加工安定剤を併用してもよい。
これらの化合物の添加量は、セルロース誘導体に対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
<微粒子>
本発明におけるセルロースエステルフィルム(支持体4)は、微粒子を含有することが好ましい。
本発明に使用される微粒子としては、無機化合物からなる微粒子や、ポリマーからなる微粒子があり、無機化合物の例として、二酸化珪素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。
微粒子は珪素を含むものが濁度が低くなる点で好ましく、特に二酸化珪素が好ましい。
微粒子の一次粒子の平均粒径は5〜400nmが好ましく、更に好ましいのは10〜300nmである。
これらは主に粒径0.05〜0.3μmの2次凝集体として含有されていてもよく、平均粒径100〜400nmの粒子であれば凝集せずに一次粒子として含まれていることも好ましい。
セルロースエステルフィルム中のこれらの微粒子の含有量は0.01〜1質量%であることが好ましく、特に0.05〜0.5質量%が好ましい。共流延法による多層構成のセルロースエステルフィルムの場合は、表面にこの添加量の微粒子を含有することが好ましい。
二酸化珪素の微粒子は、例えば、アエロジルR972、R972V、R974、R812、200、200V、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
酸化ジルコニウムの微粒子は、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
ポリマーの例として、シリコーン樹脂、フッ素樹脂及びアクリル樹脂を挙げることができる。シリコーン樹脂が好ましく、特に三次元の網状構造を有するものが好ましく、例えば、トスパール103、同105、同108、同120、同145、同3120及び同240(以上東芝シリコーン(株)製)の商品名で市販されており、使用することができる。
これらの中でもでアエロジル200V、アエロジルR972Vがセルロースエステルフィルムの濁度を低く保ちながら、摩擦係数を下げる効果が大きいため特に好ましく用いられる。本発明で用いられるセルロースエステルフィルムにおいては、少なくとも一方の面の動摩擦係数が0.2〜1.0であることが好ましい。
各種添加剤は製膜前のセルロースエステル含有溶液であるドープにバッチ添加してもよいし、添加剤溶解液を別途用意してインライン添加してもよい。特に微粒子は濾過材への負荷を減らすために、一部または全量をインライン添加することが好ましい。
添加剤溶解液をインライン添加する場合は、ドープとの混合性をよくするため、少量のセルロースエステルを溶解するのが好ましい。好ましいセルロースエステルの量は、溶剤100質量部に対して1〜10質量部で、より好ましくは、3〜5質量部である。
本発明においてインライン添加、混合を行うためには、例えば、スタチックミキサー(東レエンジニアリング製)、SWJ(東レ静止型管内混合器 Hi−Mixer)等のインラインミキサー等が好ましく用いられる。
[3.3A(3)]セルロースエステルフィルム(支持体)の製造方法
次に、本発明のセルロースエステルフィルムの製造方法について説明する。
本発明に係るセルロースエステルフィルムは溶液流延法で製造されたフィルムであっても溶融流延法で製造されたフィルムであっても好ましく用いることができる。
本発明のセルロースエステルフィルムの製造は、セルロースエステル及び添加剤を溶剤に溶解させてドープを調製する工程、ドープを無限に移行する無端の金属支持体上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、金属支持体から剥離する工程、延伸または幅保持する工程、更に乾燥する工程、仕上がったフィルムを巻取る工程により行われる。
ドープを調製する工程について述べる。ドープ中のセルロースエステルの濃度は、濃い方が金属支持体に流延した後の乾燥負荷が低減できて好ましいが、セルロースエステルの濃度が濃過ぎると濾過時の負荷が増えて、濾過精度が悪くなる。これらを両立する濃度としては、10〜35質量%が好ましく、更に好ましくは、15〜25質量%である。
ドープで用いられる溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよいが、セルロースエステルの良溶剤と貧溶剤を混合して使用することが生産効率の点で好ましく、良溶剤が多い方がセルロースエステルの溶解性の点で好ましい。
良溶剤と貧溶剤の混合比率の好ましい範囲は、良溶剤が70〜98質量%であり、貧溶剤が2〜30質量%である。良溶剤、貧溶剤とは、使用するセルロースエステルを単独で溶解するものを良溶剤、単独で膨潤するかまたは溶解しないものを貧溶剤と定義している。
そのため、セルロースエステルの平均酢化度(アセチル基置換度)によっては、良溶剤,貧溶剤となる溶剤の種類が変わり、例えばアセトンを溶剤として用いる場合、このアセトンは、アセチル基置換度2.4のセルロースエステルの酢酸エステルや、セルロースアセテートプロピオネートでは良溶剤になり、アセチル基置換度2.8のセルロースの酢酸エステルでは貧溶剤となる。
本発明に用いられる良溶剤は特に限定されないが、メチレンクロライド等の有機ハロゲン化合物やジオキソラン類、アセトン、酢酸メチル、アセト酢酸メチル等が挙げられる。特に好ましくはメチレンクロライドまたは酢酸メチルが挙げられる。
また、本発明に用いられる貧溶剤は特に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、n−ブタノール、シクロヘキサン、シクロヘキサノン等が好ましく用いられる。また、ドープ中には水が0.01〜2質量%含有していることが好ましい。
また、セルロースエステルの溶解に用いられる溶媒は、フィルム製膜工程で乾燥によりフィルムから除去された溶媒を回収し、これを再利用して用いられる。
回収溶剤中に、セルロースエステルに添加されている添加剤、例えば可塑剤、紫外線吸収剤、ポリマー、モノマー成分などが微量含有されていることもあるが、これらが含まれていても好ましく再利用することができるし、必要であれば精製して再利用することもできる。
上記記載のドープを調製する時の、セルロースエステルの溶解方法としては、一般的な方法を用いることができる。加熱と加圧を組み合わせると常圧における沸点以上に加熱できる。
溶剤の常圧での沸点以上でかつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら攪拌溶解すると、ゲルやママコと呼ばれる塊状未溶解物の発生を防止するため好ましい。
また、セルロースエステルを貧溶剤と混合して湿潤或いは膨潤させた後、更に良溶剤を添加して溶解する方法も好ましく用いられる。
加圧は窒素ガス等の不活性気体を圧入する方法や、加熱によって溶剤の蒸気圧を上昇させる方法によって行ってもよい。加熱は外部から行うことが好ましく、例えばジャケットタイプのものは温度コントロールが容易で好ましい。
溶剤を添加しての加熱温度は、高い方がセルロースエステルの溶解性の観点から好ましいが、加熱温度が高過ぎると必要とされる圧力が大きくなり生産性が悪くなる。
好ましい加熱温度は45〜120℃であり、60〜110℃がより好ましく、70℃〜105℃が更に好ましい。また、圧力は設定温度で溶剤が沸騰しないように調整される。
もしくは冷却溶解法も好ましく用いられ、これによって酢酸メチルなどの溶媒にセルロースエステルを溶解させることができる。
次に、このセルロースエステル溶液を濾紙等の適当な濾過材を用いて濾過する。濾過材としては、不溶物等を除去するために絶対濾過精度が小さい方が好ましいが、絶対濾過精度が小さ過ぎると濾過材の目詰まりが発生し易いという問題がある。
このため絶対濾過精度0.008mm以下の濾材が好ましく、0.001〜0.008mmの濾材がより好ましく、0.003〜0.006mmの濾材が更に好ましい。
濾材の材質は特に制限はなく、通常の濾材を使用することができるが、ポリプロピレン、テフロン(登録商標)等のプラスチック製の濾材や、ステンレススティール等の金属製の濾材が繊維の脱落等がなく好ましい。
濾過により、原料のセルロースエステルに含まれていた不純物、特に輝点異物を除去、低減することが好ましい。
輝点異物とは、2枚の偏光板をクロスニコル状態にして配置し、その間に光学フィルム等を置き、一方の偏光板の側から光を当てて、他方の偏光板の側から観察した時に反対側からの光が漏れて見える点(異物)のことであり、径が0.01mm以上である輝点数が200個/cm2以下であることが好ましい。
より好ましくは100個/cm2以下であり、更に好ましくは50個/m2以下であり、更に好ましくは0〜10個/cm2以下である。また、0.01mm以下の輝点も少ない方が好ましい。
ドープの濾過は通常の方法で行うことができるが、溶剤の常圧での沸点以上で、かつ加圧下で溶剤が沸騰しない範囲の温度で加熱しながら濾過する方法が、濾過前後の濾圧の差(差圧という)の上昇が小さく、好ましい。
好ましい温度は45〜120℃であり、45〜70℃がより好ましく、45〜55℃であることが更に好ましい。
濾圧は小さい方が好ましい。濾圧は1.6MPa以下であることが好ましく、1.2MPa以下であることがより好ましく、1.0MPa以下であることが更に好ましい。
ここで、ドープの流延について説明する。
流延(キャスト)工程における金属支持体は、表面を鏡面仕上げしたものが好ましく、金属支持体としては、ステンレススティールベルトもしくは鋳物で表面をメッキ仕上げしたドラムが好ましく用いられる。
キャストの幅は1〜4mとすることができる。流延工程の金属支持体の表面温度は−50℃〜溶剤の沸点未満の温度で、温度が高い方がウェブの乾燥速度が速くできるので好ましいが、余り高過ぎるとウェブが発泡したり、平面性が劣化したりする場合がある。
好ましい支持体温度は0〜40℃であり、5〜30℃が更に好ましい。或いは、冷却することによってウェブをゲル化させて残留溶媒を多く含んだ状態でドラムから剥離することも好ましい方法である。
金属支持体の温度を制御する方法は特に制限されないが、温風または冷風を吹きかける方法や、温水を金属支持体の裏側に接触させる方法がある。温水を用いる方が熱の伝達が効率的に行われるため、金属支持体の温度が一定になるまでの時間が短く好ましい。温風を用いる場合は目的の温度よりも高い温度の風を使う場合がある。
セルロースエステルフィルムが良好な平面性を示すためには、金属支持体からウェブを剥離する際の残留溶媒量は10〜150質量%が好ましく、更に好ましくは20〜40質量%または60〜130質量%であり、特に好ましくは、20〜30質量%または70〜120質量%である。
本発明においては、残留溶媒量は下記式で定義される。
残留溶媒量(質量%)={(M−N)/N}×100
尚、指揮中の「M」はウェブまたはフィルムを製造中または製造後の任意の時点で採取した試料の質量であり、「N」は採取した試料を115℃で1時間加熱した後の質量である。
また、セルロースエステルフィルムの乾燥工程においては、ウェブを金属支持体より剥離し、更に乾燥し、残留溶媒量を1質量%以下にすることが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以下であり、特に好ましくは0〜0.01質量%以下である。
フィルム乾燥工程では一般にロール乾燥方式(上下に配置した多数のロールにウェブを交互に通し乾燥させる方式)やテンター方式でウェブを搬送させながら乾燥する方式が採られる。
本発明のセルロースエステルフィルムを作製するためには、ウェブの両端をクリップ等で把持するテンター方式で幅方向(横方向)に延伸を行うことが特に好ましい。剥離張力は300N/m以下で剥離することが好ましい。
ウェブを乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことができるが、簡便さの点で熱風で行うことが好ましい。
ウェブの乾燥工程における乾燥温度は40〜200℃で段階的に高くしていくことが好ましい。
セルロースエステルフィルムの膜厚は、特に限定はされないが10〜200μmが用いられる。特に膜厚は10〜100μmであることが特に好ましい。更に好ましくは30〜70μmである。
本発明のセルロースエステルフィルムは、幅1〜4mのものが用いられる。特に幅1.4〜4mのものが好ましく用いられ、特に好ましくは1.6〜3mである。4mを超えると搬送が困難となる。
本発明で目標とするレタデーション値Ro、Rt(Roは面内方向のレタデーション値、Rtは厚さ方向のレタデーション値)を得るには、セルロースエステルフィルムが本発明の構成をとり、更に延伸操作により屈折率制御を行うことが好ましい。
例えばフィルムの長手方向(製膜方向)及びそれとフィルム面内で直交する方向、即ち幅手方向に対して、逐次または同時に2軸延伸もしくは1軸延伸することができる。
互いに直交する2軸方向の延伸倍率は、それぞれ最終的には流延方向に0.8〜1.5倍、幅方向に1.1〜2.5倍の範囲とすることが好ましく、流延方向に0.8〜1.0倍、幅方向に1.2〜2.0倍に範囲で行うことが好ましい。
延伸温度は120℃〜200℃が好ましく、さらに好ましくは160℃〜200℃であり、さらに好ましくは170℃を超えて200℃以下で延伸するのが好ましい。
フィルム中の残留溶媒は20〜0%が好ましく、さらに好ましくは15〜0%で延伸するのが好ましい。
具体的には175℃で残留溶媒が11%で延伸する、あるいは175℃で残留溶媒が2%で延伸するのが好ましい。もしくは185℃で残留溶媒が11%で延伸するのが好ましく、あるいは185℃で残留溶媒が1%未満で延伸するのが好ましい。
ウェブを延伸する方法には特に限定はない。例えば、複数のロールに周速差をつけ、その間でロール周速差を利用して縦方向に延伸する方法、ウェブの両端をクリップやピンで固定し、クリップやピンの間隔を進行方向に広げて縦方向に延伸する方法、同様に横方向に広げて横方向に延伸する方法、或いは縦横同時に広げて縦横両方向に延伸する方法などが挙げられる。もちろんこれ等の方法は、組み合わせて用いてもよい。
また、所謂テンター法の場合、リニアドライブ方式でクリップ部分を駆動すると滑らかな延伸を行うことができ、破断等の危険性が減少できるので好ましい。
製膜工程のこれらの幅保持或いは横方向の延伸はテンターによって行うことが好ましく、ピンテンターでもクリップテンターでもよい。
本発明のセルロースエステルフィルムの遅相軸または進相軸がフィルム面内に存在し、製膜方向とのなす角をθ1とするとθ1は−1°以上+1°以下であることが好ましく、−0.5°以上+0.5°以下であることがより好ましい。
このθ1は配向角として定義でき、θ1の測定は、自動複屈折計KOBRA−21ADH(王子計測機器)を用いて行うことができる。θ1が各々上記関係を満たすことは、表示画像において高い輝度を得ること、光漏れを抑制または防止することに寄与でき、カラー液晶表示装置においては忠実な色再現を得ることに寄与できる。
[3.3B]中間層5
中間層5は、支持体4及び光学異方性層6の間に介在する厚さ1μm程度の層であり、紫外線硬化型アクリレート化合物を主成分として含有している。
ここで、中間層5に用いられる紫外線硬化型アクリレート化合物は、分子量1000以下で、かつ1分子当たりに重合性基を2〜3個有している。
<中間層の形成方法>
このような中間層5を形成するには、紫外線硬化型アクリレート化合物を主成分とし、光重合開始剤を副成分として溶媒中に含有する塗布液をセルロースエステルフィルム(支持体4)の表面に塗布した後、当該塗布液を乾燥させるとともに、光重合開始剤の光効果反応によって硬化させる方法を用いることができる。
塗布液を塗布するには、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、またはスプレー塗布、インクジェット塗布等を用いて透明支持体の表面にドライ膜厚0.1〜10μmで塗布することが好ましく、0.3〜5μmで塗布することがより好ましく、特に好ましくは0.3〜3μmで塗布する。この範囲であれば、支持体4からのセルロースエステルまたは添加剤等が光学異方性層6に溶出して配向阻害を起こすのを防ぎ、かつ生産性、薄膜化の観点で好ましい。
塗布後の乾燥温度は、10〜150℃が好ましく、より好ましくは40〜120℃である。乾燥させる手段は特に制限なく、一般的に熱風、赤外線、加熱ロール、マイクロ波等で行うことができるが、簡便さを考慮すれば、熱風で行うことが好ましい。
温度は余り低いと乾燥に時間がかかり、生産性が低下する。高すぎると、膜厚ムラが発生しやすくなり、中間層5に膜厚ムラができると、光学異方性層6に膜厚ムラが発生しやすくなる。光学異方性層6の膜厚ムラはそのままリタデーションのムラとなり、液晶表示装置1の表示性能が低下してしまうため好ましくない。乾燥時間は5〜600秒が好ましく、より好ましくは5〜200秒、さらに好ましくは5〜60秒である。上記範囲であれば、乾燥が十分行われかつ、生産性が高い。また、熱風による乾燥の場合、風は弱いほうが好ましい。風が強いと膜厚ムラが発生することがある。
塗布液を光硬化反応により硬化させ、硬化皮膜層(中間層5)を形成するための光源としては、紫外線を発生する光源であれば制限なく使用出来る。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることが出来る。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性線の照射量は、通常5〜500mJ/cm2、好ましくは30〜300mJ/cm2である。
紫外線の照射は塗布液の乾燥中または乾燥後に行うのがよく、必要な活性線の照射量を得るための照射時間としては、0.1秒〜1分程度がよく、紫外線硬化性樹脂の硬化効率または作業効率の観点から0.1〜10秒がより好ましい。これら活性線照射部の照度は50〜150mW/m2であることが好ましい。
また、紫外線を照射する際には、セルロースエステルフィルムの搬送方向に張力を付与しながら行うことが好ましく、付与する張力は30〜300N/mが好ましい。張力を付与する方法は特に限定されず、バックロール上で搬送方向に張力を付与してもよい。
本発明の光学補償フィルム20の製造方法では、中間層の塗布液を塗布、乾燥、紫外線照射による半硬化を行って中間層を形成し、その上に光学異方性層を形成することが好ましい。
本発明において「半硬化」とは、中間層5のゲル分率が30〜80質量%になるように紫外線を照射することをいう。半硬化した中間層5のゲル分率が30質量%未満の場合には、架橋度が不十分なため耐溶剤性に乏しくなり、光学異方性層6を形成する際に半硬化状態の中間層5が溶解する恐れがある。一方、ゲル分率が80質量%を超えると、架橋過多となり膜の硬化が進行しすぎて光学異方性層6との界面での接着性が低下するため好ましくない。紫外線照射量は使用するウレタンアクリレートオリゴマーまたはアクリレートオリゴマー組成物の種類によっても異なるが、好ましくは上記照射量の範囲内で調整すればよい。紫外線照射量とは、紫外線光量測定機(EIT社製、UV Power Puck)で測定したUVC(250−260nm)、UVB(280−320nm)、UVA(320−390nm)、及びUVV(395−445nm)の合計照射光量をいう。
なお、中間層5についてのゲル分率の測定は、例えば以下のように行うことができる。
まず、半硬化状態の中間層5を約0.1gとり、これを秤量して質量(W1)を測定する。次いで、これを微孔性テトラフルオロエチレン膜(膜質量W2)に包んで、約50mlの酢酸エチルに7日間浸漬した後、可溶分を抽出する。次いで、これを乾燥し、全体の質量(W3)を測定する。そして、これらの測定値から、下記式により半硬化中間層のゲル分率(質量%)を求める。
ゲル分率(質量%)={(W3−W2)/W1}×100
[3.3C]光学異方性層6
光学異方性層6は、支持体4に対して垂直方向に配向した液晶化合物からなる、厚さ2μm程度の層である。
この光学異方性層6は、所定の棒状液晶を支持体4及び中間層5に対して実質的に垂直に配向させた後、紫外線を照射することで配向が固定されている。
より具体的には、光学異方性層6は、中間層5の表面に液晶(もしくは液晶の溶液)を塗布して乾燥及び熱処理(配向処理ともいう)を行うとともに、紫外線硬化または熱重合などで液晶配向を固定化している。
ここで、垂直配向とは、偏光顕微鏡を用い、光学異方性層6を有する光学補償フィルム20をクロスニコル偏光子の間に挟んで光学位相差を評価する場合に、当該光学補償フィルム20をクロスニコル偏光子に対して平行に挟んだ場合に黒色に見え、傾けて挟んだ場合に白色に見えるものを垂直配向しているものと定義する。但し、光学異方性層6の面内レタデーション値Roが0〜10nmであり、厚さ方向のレタデーション値Rtが−50nm以下であることを、垂直方向に配向していることとしても良い。
本発明における光学異方性層6は、レタデーション値Roが0〜10nm、Rtが−100〜−400nmの範囲にあることが好ましい。更にRoは0〜5nmの範囲がより好ましい。光学異方性層6のリタデーションを当該範囲とするためには、光学異方性層6の膜厚制御、紫外線硬化時の温度、チルト角制御、及び支持体4と空気界面でのプレチルト角の制御を行うことが好ましい。
光学異方性層6は、所定の温度で液晶相となり得る液晶材料が、所定の液晶規則性を有して硬化することにより形成されたものである。液晶相を示す温度の上限は、例えば基材のセルロースエステルフィルム(支持体4)がダメージを受けない温度であれば特に限定されるものはない。具体的には、プロセス温度のコントロールの容易性と寸法精度維持の観点から120℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以下の温度で液晶相となる液晶材料が好適に用いられる。一方、液晶相を示す温度の下限は、位相差板として用いる際に、液晶材料が配向状態を保持し得る温度であるといえる。
光学異方性層6に用いられる液晶材料としては、重合性液晶材料を用いることが好ましい。重合性液晶材料は、所定の活性放射線を照射することにより重合させて用いることができ、重合させた状態では配向状態は固定化されているので、重合性液晶材料を用いる場合には、液晶相となる温度の下限は特に限定されるものではない。
重合性液晶材料としては、重合性液晶モノマー、重合性液晶オリゴマー、もしくは重合性液晶ポリマーのいずれかを用いることができ、相互に混合して用いることもできる。重合性液晶材料は、配向状態を固定化することが可能であるので、液晶の配向を低温で容易に行うことが可能であり、かつ使用に際しては配向状態が固定化されているので、温度等の使用条件にかかわらず使用することができる。
重合性液晶材料としては、上記のうちでも、特に重合性液晶モノマーが好適に用いられる。重合性液晶モノマーは、重合性液晶オリゴマーや重合性液晶ポリマーと比較して、より低温で配向が可能であり、かつ配向に際しての感度が高いことから、配向させることが容易だからである。
具体的な重合性液晶モノマーとしては、下記の一般式(4)で表される棒状液晶性化合物(a)、及び下記の一般式(5)で表される棒状液晶性化合物(b)を挙げることができる。化合物(a)としては、一般式(4)に包含される化合物の2種以上を混合して使用することもでき、同様に、化合物(b)としては、一般式(5)に包含される化合物の2種以上を混合して使用することもできる。また、化合物(a)を1種以上と化合物1種以上を混合して使用することもできる。
Figure 2009265477
Figure 2009265477
化合物(a)を表す一般式(4)において、R1及びR2はそれぞれ水素またはメチル基を示すが、液晶相を示す温度範囲の広さからR1及びR2は共に水素であることが好ましい。Xは水素、塩素、臭素、ヨウ素、炭素数1〜4のアルキル基、メトキシ基、シアノ基、もしくはニトロ基のいずれであっても差し支えないが、塩素またはメチル基であることが好ましい。また、化合物(a)の分子鎖両端の(メタ)アクリロイロキシ基と、芳香環とのスペーサであるアルキレン基の鎖長を示すa及びbは、それぞれ個別に2〜12の範囲で任意の整数を取り得るが、4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがさらに好ましい。a=b=0である一般式(4)の化合物は、安定性に乏しく、加水分解を受けやすい上に、化合物自体の結晶性が高い。また、a及びbがそれぞれ13以上である一般式(4)の化合物は、アイソトロピック転移温度(TI)が低い。この理由から、これらの化合物はどちらも液晶性を示す温度範囲が狭く好ましくない。
化合物(a)は任意の方法で合成することができる。例えば、Xがメチル基である化合物(a)は、1当量のメチルヒドロキノンと2当量の4−(m−(メタ)アクリロイロキシアルコキシ)安息香酸とのエステル化反応により得ることができる。エステル化反応は、上記安息香酸を酸クロリドやスルホン酸無水物などで活性化し、これとメチルヒドロキノンとを反応させるのが通例である。また、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)等の縮合剤を用いて、カルボン酸単位とメチルヒドロキノンを直接反応させることもできる。これ以外の方法としては、1当量のメチルヒドロキノンと、2当量の4−(m−ベンジルオキシアルコキシ)安息香酸とのエステル化反応をまず行い、次いで得られたエステルを水素添加反応等により脱ベンジル化した後、分子末端をアクリロイル化する方法によっても、化合物(a)を合成することができる。メチルヒドロキノンと4−(m−ベンジルオキシアルコキシ)安息香酸とのエステル化反応を行うに際しては、メチルヒドロキノンをジアセテートに導入した後、上記の安息香酸と溶融状態で反応させ、直接エステル体を得ることも可能である。一般式(4)のXがメチル基でない場合の化合物(a)も、対応する置換基を有するヒドロキノンを、メチルヒドロキノンの代わりに用いて上と同様の反応を行うことにより得ることができる。
化合物(b)を表す一般式(5)において、R3は水素またはメチル基を示すが、液晶相を示す温度範囲の広さからR3は水素であることが好ましい。アルキレン基の鎖長を示すcに関して言えば、この値が2〜12である化合物(b)は液晶性を示さない。しかしながら、液晶性を持つ化合物(a)との相溶性を考慮すると、cは4〜10の範囲であることが好ましく、6〜9の範囲であることがより好ましい。化合物(b)も任意の方法で合成可能であり、例えば、1当量の4−シアノフェノールと1当量の4−(n−(メタ)アクリロイロキシアルコキシ)安息香酸とのエステル化反応により化合物(b)を合成することができる。このエステル化反応は化合物(a)を合成する場合と同様に、上記安息香酸を酸クロリドやスルホン酸無水物などで活性化し、これと4−シアノフェノールとを反応させるのが一般的である。また、DCC(ジシクロヘキシルカルボジイミド)等の縮合剤を用いて上記安息香酸と4−シアノフェノールを反応させてもよい。
以上の他、本発明においては、光学異方性層6の重合性液晶材料として重合性液晶オリゴマーや重合性液晶ポリマー等を用いることが可能である。このような重合性液晶オリゴマーや重合性液晶ポリマーとしては、従来提案されているものを適宜選択して用いることが可能である。
本発明においては、重合性液晶材料に加え、必要に応じて光重合開始剤を用いてもよい。電子線照射により重合性液晶材料を重合させる際には、光重合開始剤が不要な場合があるが、一般的に用いられている例えば紫外線(UV)照射による硬化の場合においては、通常光重合開始剤が重合促進のために用いられる。
光重合開始剤としては、ベンジル(ビベンゾイルとも言う)、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、ベンジルメチルケタール、ジメチルアミノメチルベンゾエート、2−n−ブトキシエチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、メチロベンゾイルフォーメート、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、1−(4−ドデシルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、もしくは1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等を挙げることができる。光重合開始剤の添加量としては、一般的には0.01%〜20%が好ましく、より好ましくは0.1%〜10%であり、更に好ましくは0.5%〜5%の範囲で、本発明の重合性液晶材料に添加することができる。尚、光重合開始剤の他に、本発明の目的が損なわれない範囲で増感剤を添加することも可能である。
本発明における光学異方性層6の膜厚は0.1μm〜20μmの範囲内であることが好ましく、0.2〜10μmの範囲内であることがより好ましい。本発明の光学異方性層6が上記範囲を超えて厚くなると必要以上の光学異方性が生じてしまい、また上記範囲より薄いと所定の光学異方性が得られない場合がある。よって、光学異方性層6の膜厚は、必要な光学異方性に準じて決定すればよい。
重合性液晶材料は、必要に応じて光重合開始剤、増感剤等を配合して光学異方性層形成用組成物を調製して用い、中間層上に塗布し、光学異方性層を形成する。本発明においては、光学異方性層形成用組成物としては溶媒を加えて、その他の成分を溶解した塗布用組成物を用いて中間層上に塗布し、溶媒を除去することにより光学異方性層を形成することが好ましい。
溶媒としては、上述した重合性液晶材料等を溶解することが可能な溶媒であり、かつセルロースエステルフィルム(支持体4)や中間層5の性状を低下させない溶媒であれば特に限定されるものではなく、具体的には、ベンゼン、トルエン、キシレン、n−ブチルベンゼン、ジエチルベンゼン、テトラリン等の炭化水素類;メトキシベンゼン、1,2−ジメトキシベンゼン、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、もしくは2,4−ペンタンジオン等のケトン類;酢酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、もしくはγ−ブチロラクトン等のエステル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、もしくはジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、四塩化炭素、ジクロロエタン、テトラクロロエタン、トリトリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、もしくはオルソジクロロベンゼン等のハロゲン系溶媒;t−ブチルアルコール、ジアセトンアルコール、グリセリン、モノアセチン、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチルセルソルブ、もしくはブチルセルソルブ等のアルコール類;フェノール、パラクロロフェノール等のフェノール類等の1種または2種以上が使用可能である。
単一種の溶媒を使用しただけでは、重合性液晶材料等の溶解性が不十分であったり、上述したように基材が侵食されたりする場合がある。しかし2種以上の溶媒を混合使用することにより、この不都合を回避することができる。上記した溶媒のなかにあって、単独溶媒として好ましいものは、炭化水素系溶媒とグリコールモノエーテルアセテート系溶媒であり、混合溶媒として好ましいのは、エーテル類またはケトン類と、グリコール類との混合系である。溶液の濃度は、重合性液晶材料等の溶解性や製造しようとする光学異方性層6の膜厚に依存するため一概には規定できないが、通常は1%〜60%が好ましく、より好ましくは3%〜40%の範囲で調整される。
本発明に用いられる光学異方性層6の形成用組成物(以下、光学異方性層形成用組成物とする)には、本発明の目的を損なわない範囲内で、上記以外の化合物を添加することができる。添加できる化合物としては、例えば、多価アルコールと1塩基酸または多塩基酸を縮合して得られるポリエステルプレポリマーに、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリエステル(メタ)アクリレート;ポリオール基と2個のイソシアネート基を持つ化合物を互いに反応させた後、その反応生成物に(メタ)アクリル酸を反応させて得られるポリウレタン(メタ)アクリレート;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ポリカルボン酸ポリグリシジルエステル、ポリオールポリグリシジルエーテル、脂肪族もしくは脂環式エポキシ樹脂、アミンエポキシ樹脂、トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂等のエポキシ樹脂と、(メタ)アクリル酸を反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等の光重合性化合物、またはアクリル基もしくはメタクリル基を有する光重合性の液晶性化合物等が挙げられる。本発明の光学異方性層形成用組成物に対するこれら化合物の添加量は、本発明の目的が損なわれない範囲で選択され、一般的には、本発明の光学異方性層形成用組成物の40%以下であることが好ましく、より好ましくは20%以下である。これらの化合物の添加により、本発明における液晶材料の硬化性が向上し、得られる光学異方性層の機械強度が増大し、またその安定性が改善される。
また、溶剤を配合した光学異方性層形成用組成物には、界面活性剤等を加えることができる。添加可能な界面活性剤を例示すると、イミダゾリン、第四級アンモニウム塩、アルキルアミンオキサイド、ポリアミン誘導体等の陽イオン系界面活性剤;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン縮合物、第一級或いは第二級アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、ポリエチレングリコール及びそのエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ラウリル硫酸アミン類、アルキル置換芳香族スルホン酸塩、アルキルリン酸塩、脂肪族或いは芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物等の陰イオン系界面活性剤;ラウリルアミドプロピルベタイン、ラウリルアミノ酢酸ベタイン等の両性系界面活性剤;ポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンアルキルアミン等の非イオン系界面活性剤;パーフルオロアルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル基・親水性基含有オリゴマー、パーフルオロアルキル・親油基含有オリゴマーパーフルオロアルキル基含有ウレタン等のフッ素系界面活性剤などが挙げられる。界面活性剤の添加量は、界面活性剤の種類、液晶材料の種類、溶媒の種類、さらには溶液を塗布する配向膜の種類にもよるが、通常は溶液に含まれる重合性液晶材料の10ppm〜10%が好ましく、より好ましくは100ppm〜5%であり、更に好ましくは0.1〜1%の範囲である。
光学異方性層形成用組成物を塗布する方法としては、スピンコート法、ロールコート法、プリント法、浸漬引き上げ法、ダイコート法、キャスティング法、バーコート法、ブレードコート法、スプレーコート法、グラビアコート法、リバースコート法、押し出しコート法、インクジェット法等が挙げられる。光学異方性層形成用組成物を塗布した後、溶媒を除去する方法としては、例えば、風乾、加熱除去、もしくは減圧除去、さらにはこれらを組み合わせる方法等により行われる。溶媒が除去されることにより、光学異方性層6が形成される。
重合性液晶材料を硬化させる工程では、重合性液晶材料を硬化させるためのエネルギーが与えられ、熱エネルギーでもよいが、通常は、重合を起こさせる能力がある電離放射線の照射によって行う。必要であれば重合性液晶材料内に重合開始剤が含まれていてもよい。電離放射線としては、重合性液晶材料を重合せさることが可能な放射線であれば特に限定されるものではないが、通常は装置の容易性等の観点から紫外光または可視光線が使用され、波長が150〜500nmの光が好ましく、より好ましくは250〜450nmであり、更に好ましくは300〜400nmの波長の紫外線である。
本発明においては、紫外線(UV)を活性放射線として照射し、紫外線で重合開始剤からラジカルを発生させ、ラジカル重合を行わせる方法が好ましい。活性放射線としてUVを用いる方法は、既に確立された技術であることから、用いる重合開始剤を含めて、本発明への応用が容易である。
この紫外線を照射するための光源としては、低圧水銀ランプ(殺菌ランプ、蛍光ケミカルランプ、ブラックライト)、高圧放電ランプ(高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ)、もしくはショートアーク放電ランプ(超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、水銀キセノンランプ)等を挙げることができる。なかでもメタルハライドランプ、キセノンランプ、高圧水銀ランプ灯等の使用が推奨される。照射強度は、光学異方性層を形成している重合性液晶材料の組成や光重合開始剤の多寡によって適宜に調整すればよい。
活性放射線の照射による配向固定化工程は、上述した光学異方性層形成用層を形成する工程における処理温度、すなわち重合性液晶材料が液晶相となる温度条件で行ってもよく、また液晶相となる温度より低い温度で行ってもよい。一旦液晶相となった重合性液晶材料は、その後温度を低下させても、配向状態が急に乱れることはない。
以上に示したように、本発明においては、中間層5は紫外線硬化型アクリレート化合物を主成分として含有し、この紫外線硬化型アクリレート化合物は分子量1000以下であるので、分子量が1000より大きい場合と比較して、中間層5と支持体4との積層物、ひいては光学補償フィルム20のカールを防止することができる。また、この紫外線硬化型アクリレート化合物は1分子当たりに重合性基を2〜3個有するので、4個以上有する場合と比較して、自己重合を抑制し、より確実にカールを防止することができる。また、2個未満有する場合と比較して、支持体4からの溶出物を光学異方性層6に浸入させずに中間層5で遮ることができるため、ヘイズの悪化や正面コントラストの低下など、光学補償フィルム20の機能の低下を防止することができる。
また、このように中間層5と支持体4との積層物のカールを防止することができるため、光学異方性層6の液晶化合物を当該積層物の中間層5に塗布する工程や、塗布後の液晶化合物を乾燥する工程において、液晶化合物のウェット膜厚にムラができるのを防止することができ、これにより、光学異方性層6にレタデーション斑が生じるのを防止することができる。
また、上記のように光学補償フィルム20のカールを防止することができるため、当該光学補償フィルム20を用いて偏光板30及び液晶表示装置1を製造する際の手間を軽減し、生産性を向上させることができる。
また、セルロースエステルを主成分として含有する光学的に2軸な支持体4の厚さが70μm以下であるので、70μmより大きい場合と比較して、液晶表示装置1を長時間点灯させた場合に、支持体4の表面側に設けられる偏光膜3(PVA層)が熱収縮して当該支持体4に応力を加えたとしても、この応力に起因するレタデーション変化を低減することができる。よって、特に液晶表示装置1のコーナーなど、レタデーション変化の大きい箇所(偏光子の熱収縮による応力が大きい箇所)であっても、偏光状態を正常に維持することができるため、光漏れを防止することができる。
また、上述のように中間層5は紫外線硬化型アクリレート化合物を主成分として含有するので、ポリイミドを主成分として含有する場合と比較して、光学異方性層6における液晶化合物との密着性を向上させることができる。
また、支持体4はゴニオフォトメーターによって光源ランプ101からの出射光を当該支持体4に垂直に照射させて、光源ランプ101の光軸上での透過光の強度を100%とし、この光軸に対して130°の測定位置106での透過光の散乱光強度の割合を測定した場合に、光源ランプ101及び測定位置106を含む平面に対し、当該支持体4の遅相軸を平行に向けた場合の散乱光強度の割合と、垂直に向けた場合の散乱光強度の割合との差が0.05%以下であるので、0.05%より大きい場合と比較して異方性散乱(フィルムの遅層軸方向と、その直交方向とでの散乱光強度の差)が小さい分、正面コントラストを向上させることができる。
また、支持体4は厚さ30μm以上であるので、光学異方性層6を確実に支持することができる。従って、厚さが30μm未満の場合と比較して、光学異方性層6による位相差にムラが生じるのをより確実に防止することができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限定して解釈されるべきではなく、適宜変更・改良が可能であることはもちろんである。
例えば、上記の実施形態では、本発明に係る光学補償フィルム20が偏光板30,液晶表示装置1に用いられることとして説明したが、他の光学部材や光学装置に用いられることとしても良い。同様に、本発明に係る偏光板30が液晶表示装置1に用いられることとして説明したが、他の光学装置に用いられることとしても良い。
また、本発明に係る光学補償フィルム20が液晶セル7に対して視認側に配設されることとして説明したが、図3に示すように、バックライト側に配設されることとしても良い。この場合には、液晶セル7に対して偏光板30はバックライト側に、偏光板31は視認側に配設されることとなる。なお、バックライト側に配設される偏光膜(PVA膜)の偏光遅相軸と、液晶セル7における液晶層の遅相軸とが直交の場合には、光学補償フィルム20は液晶セル7よりも視認側に配設され(図1参照)、平行の場合には、バックライト側に配設されることとなる(図3参照)。但し、何れの場合であっても、光学補償フィルム20における支持体4の遅相軸は、液晶セル7の遅相軸と平行に配設される。
以下、実施例および比較例を挙げることにより、本発明に係る光学補償フィルム、偏光板及び液晶表示装置をさらに具体的に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
[支持体の作製]
本発明における支持体の実施例,比較例として、以下の表1に示すように、セルロースエステルフィルム(101)〜(205)を作製した。
Figure 2009265477
なお、表1中、「(樹脂)種類」の欄における「A1」〜「C1」とは、下記表2のセルロースエステル樹脂を示す。また、この「(樹脂)種類」の欄において、例えば「A1/B1(9/1)」とは、「A1」の樹脂が9質量部、「B1」の樹脂が1質量部の割合で混合された樹脂であることを意味する。また、表中、「(アクリル系重合体)質量部」,「(糖エステル化合物)質量部」,「(その他の添加剤)質量部」の欄の各数値は、「樹脂」欄の樹脂の質量部を100とした場合の数値を示す。また、表中、「(アクリル系重合体)種類」の欄における「A2」,「B2」とは、下記表3のアクリル系重合体を示す。また、「(糖エステル化合物)種類」の欄における「3」,「4」,「5」,「12」,「18」,「23」とは、[3.3A(2−1−2)]で上述したエステル化合物の具体例における対応番号の化合物を示す。また、「(その他の添加剤)種類」の欄における「A3」,「B3」とは、可塑剤としてのトリフェニルホスフェート,エチルフタリルエチルグリコレートを示す。
更に、この表1や、後述の表4〜表7においては、薄い網掛けで示した部分は、本発明の範囲には含まれるものの、最適な範囲からは外れていることを示している。また、濃い網掛けで示した部分は、本発明の範囲から外れていること、または実用化不可能な性能であることを示している。
Figure 2009265477
なお、表2中、アシル基の置換度はASTM−D817−96の測定方法に準じて測定することができる。
Figure 2009265477
以下、各セルロースエステルフィルム(101)〜(205)の作製方法について、具体的に説明する。
<セルロースエステルフィルム(101)の作製>
本発明における支持体の実施例として、セルロースエステルフィルム(101)を以下のように作製した。
〈微粒子分散液(1)の調整〉
微粒子(アエロジル R972V 日本アエロジル(株)製) 11質量部
エタノール 89質量部
以上の成分をディゾルバーで50分間攪拌混合した後、分散機(マントンゴーリン製)で分散を行い、微粒子分散液(1)を調整した。
〈微粒子添加液(1)の調整〉
メチレンクロライドを入れた溶解タンクに対し、十分攪拌しながら微粒子分散液(1)をゆっくりと添加した。このとき、各成分の割合は以下の通りとした。更に、二次粒子の粒径が所定の大きさとなるようにアトライターにて分散を行った。これを日本精線(株)製のファインメットNFで濾過し、微粒子添加液(1)を調製した。
メチレンクロライド 99質量部
微粒子分散液(1) 5質量部
〈ドープ液の調整〉
上記の微粒子添加液(1)を用いて、下記組成の主ドープ液を調製した。
具体的には、まず加圧溶解タンクにメチレンクロライドとエタノールを添加した。次に、溶剤の入った加圧溶解タンクにセルロースエステルA1を攪拌しながら投入した。これを加熱攪拌しながら、完全に溶解させ、安積濾紙(株)製の安積濾紙「No.244」で濾過して、主ドープ液を調製した。
なお、この主ドープ液における各成分の割合は以下の通りとした。
メチレンクロライド 340質量部
エタノール 64質量部
セルロースエステル(A1) 100質量部
アクリル系重合体(A2) 3.0質量部
糖エステル化合物(3) 10質量部
微粒子添加液(1) 1質量部
続いて、得られた主ドープ液を密閉容器に投入し、攪拌しながら溶解してドープ液を調製した。
〈ドープ液のフィルム化〉
続いて、無端ベルト流延装置を用い、ドープ液を温度33℃、1500mm幅でステンレスベルト支持体上に均一に流延した。ステンレスベルトの温度は50℃に制御した。
ステンレスベルト支持体上で、流延(キャスト)したフィルム中の残留溶媒量が75%になるまで溶媒を蒸発させ、次いで剥離張力70N/mで、ステンレスベルト支持体上から剥離した。
剥離したセルロースエステルフィルムを、170℃に加熱しながらテンターで幅方向に45%延伸した。延伸開始時の残留溶媒は20%であった。
次いで、乾燥ゾーンを多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させた。乾燥温度は120℃で、搬送張力は90N/mとした。
以上のようにして、乾燥膜厚50μmのセルロースエステルフィルム(101)を得た。
<セルロースエステルフィルム(102)〜(205)の作製>
上記と同様に、本発明における支持体の実施例として、セルロースエステルフィルム(102)〜(119)を作製した。
また、本発明における支持体の比較例として、セルロースエステルフィルム(201)〜(205)を作製した。
なお、添加するドープ構成物や、延伸倍率、膜厚、延伸温度などの作製条件は上記の表1に示す通りとした。
[支持体の評価]
<レタデーション値Ro、Rtの測定>
得られたセルロースエステルフィルム(101)〜(205)について、レタデーション値Ro,Rtを測定したところ、上記の表1に示す通りとなった。
なお、測定にあたっては、得られたフィルムから試料35mm×35mmを切り出して試料とし、自動複屈折計(KOBRA21DH、王子計測(株))を用いた。より具体的には、切り出した試料を25℃,55%RHで2時間調湿し、使用波長を590nmとした場合に垂直方向から測定したレタデーション値と、フィルム面を傾けながら同様に測定したレタデーション値との外挿値よりレタデーション値Ro,Rtを算出した。
<ヘイズ>
また、セルロースエステルフィルム(101)〜(205)について、ヘイズを測定したところ、上記の表1に示す通りとなった。
なお、ヘイズメーター(1001DP型、日本電色工業(株)製)を使用して、JIS K−6714に準じて測定した。
<散乱光強度>
また、セルロースエステルフィルム(101)〜(205)について、散乱光強度を測定したところ、上記の表1に示す通りとなった。
なお、ゴニオフォトメーター(型式:GP−1−3D、オプテック(株)製(光源:12V50Wハロゲン球、受光部:光電子増倍管(フォトマル 浜松フォトニクス R636−10)))を用いて測定した。
測定時の光量は、θ=180°での光量にて補正し(フォトマル受光感度:−185V)、この光量での測定値を散乱光強度とした。
測定にあたっては、光源及び測定位置を含む平面に対し、フィルムの遅相軸を平行、垂直に向けてそれぞれ測定した。
[光学補償フィルムの作製]
本発明に係る光学補償フィルムの実施例,比較例として、以下の表4に示すように、光学補償フィルム(1)〜(73)を作製した。
ここで、表中、「透明支持体」の欄における「101」〜「205」とは、上述のように作製したセルロースエステルフィルム(101)〜(205)を示す。以下、中間層及び光学異方性層について詳細に説明する。
Figure 2009265477
<中間層の塗設>
表4中、「中間層」の欄における「O−1」〜「O−27」とは、下記表5の条件で成膜された中間層を示す。
Figure 2009265477
更に、表5中、「官能基数」の欄の数値は、1分子あたりの重合性基の平均個数である。また、「溶媒組成」の欄の「IPA」とはイソプロピルアルコール、「PGME」とはプロピレングリコールモノメチルエーテル、「EtOH」とはエタノールを示す。また、この欄において、例えば「IPA/PGME(8/2)」とは「IPA」が8質量部「PGME」が2質量部の割合で混合された組成であることを意味する。
以下、各中間層(O−1)〜(O−27)の塗設方法について、具体的に説明する。
〈中間層(O−1)の塗設〉
(中間層(O−1)用組成物の調製)
AH−600(共栄社化学製) 25質量部
光重合開始剤(1‐ヒドロキシ‐シクロヘキシル‐フェニルケトン)(イルガキュア184、チバスペシャルティケミカルズ製) 1.25質量部
溶剤(IPA) 75質量部
以上の成分を混合して、中間層(O−1)用組成物を調製した。
(中間層(O−1)の塗設)
中間層(O−1)の塗設(作製)にあたっては、上記のセルロースエステルフィルム(101)上に、表5の中間層(O−1)用組成物をスリットダイで塗布して温風温度80℃で30秒乾燥した。続いて、酸素濃度1.5%雰囲気下で高圧水銀灯により0.1J/cmの照射強度で紫外線を照射し、乾燥膜厚0.5μmの中間層を設けた。
〈中間層(O−2)〜(O−27)の塗設〉
上記と同様に、本発明における中間層の実施例として、中間層(O−2)〜(O−23)を塗設した。
また、本発明における中間層の比較例として、中間層(O−24)〜(O−27)を塗設した。
なお、塗設対象とする支持体の種類は上記の表4に示す通りとし、塗設条件は上記の表5に示す通りとした。
<光学異方性層の調製及び塗設>
上記の表4中、「光学異方性層」の欄における「F−1」とは、以下のようにして得られる重合性液晶組成物(F−1)からなる光学異方性層であることを意味する。
光学異方性層の作製にあたっては、まず、下記式(a)の化合物45質量%、下記式(b)の化合物45質量%、下記式(d)の化合物10質量%からなる重合性液晶組成物を調製した。この重合性液晶組成物のネマチック−等方性液体相転移温度は73℃であった。上記重合性液晶組成物99.7%に光重合開始剤ルシリンTPO(バスフ社製)0.2%、ヒンダードアミンLS−765(三共ライフテック株式会社製)を0.1%添加し重合性液晶組成物(F−1)を調製した。次に重合性液晶組成物(F−1)を33%含有するキシレン溶液を調製した。このキシレン溶液をダイコータにより中間層上に5μmの厚みで塗布した。塗布したフィルムに酸素濃度0.2%、温度38℃にて250mJ/mmの紫外線を80秒照射して、重合性液晶組成物(F−1)を硬化させ、光学異方性層を得た。
Figure 2009265477
Figure 2009265477
Figure 2009265477
[光学補償フィルムの評価]
<光学異方性層の配向状態>
各光学補償フィルム(1)〜(73)をクロスニコル偏光子の間に挟んで当該光学補償フィルム(1)〜(73)における光学異方性層の配向状態を偏光顕微鏡で評価したところ、クロスニコル偏光子に対して平行に挟んだ場合には黒色に見え、クロスニコル偏光子に対して傾けて挟んだ場合には白色に観察された。これにより、光学異方性層は垂直配向していることが確認できた。
<光学補償フィルムのカール>
各光学補償フィルム(1)〜(73)を5mm×5mmの大きさに切り出して試料とし、温度23度、湿度55%RHの恒温恒湿室に24時間放置した。次に、各資料を平板上に置き、曲率スケールを用いて試料の曲率半径を求めた。ここで、曲率半径とは、1/(試料と合致するカーブを有する円の半径)(1/m)である。
求められたカールの大きさを、取り扱い易さの観点から以下のように評価したところ、上記の表4に示す通りとなった。
◎:0以上、5未満
○:5以上、10未満
△:10以上、30未満
×:30以上
なお、これらの評価レベルのうち、「◎」,「○」の評価レベルは光学補償フィルムの取り扱い易さが実用可能な程度であることを意味し、「△」,「×」は取り扱いが極めて困難であることを意味する。
<光学補償フィルムのレタデーション>
各光学補償フィルム(1)〜(73)をそれぞれ中央3箇所、幅手方向の両端3箇所ずつ35mm×35mmの大きさに切り出して試料とし、自動服屈折率計(王子計測機器(株)製、KOBRA−21ADH)を用いて23℃、55%RHの環境下で、590nmの波長において3次元屈折率測定を行い、屈折率nx、ny、nzを求めた。
次に、各資料についての面内方向のレタデーション値Roと、厚み方向のレタデーション値Rtとを下記式に従って算出した。
Ro=(nx−ny)×d
Rt={(nx+ny)/2−nz}×d
(式中、nxはフィルム面内の遅相軸方向の屈折率であり、nyはフィルム面内の進相軸方向の屈折率であり、nzはフィルムの厚み方向の屈折率であり、dはフィルムの厚さ(nm)である。)
次に、各光学補償フィルム(1)〜(73)について、(両端3箇所ずつ計6箇所のレタデーションの平均値)―(中央3箇所のレタデーションの平均値)を算出し、算出結果の絶対値を以下のように評価したところ、上記の表4に示す通りとなった。
◎:0nm以上、2nm未満
○:2nm以上、4nm未満
△:4nm以上、8nm未満
×:8nm以上
なお、これらの評価レベルのうち、「◎」,「○」の評価レベルは光学補償フィルムのレタデーション斑が実用的に許容される程度であることを意味し、「△」,「×」は実用化困難な程度であることを意味する。
<まとめ>
以上のカール及びレタデーションの評価のうち、光学補償フィルム(24)の結果から、中間層の分子量が1000よりも大きいと、カールが発生することが分かる。
また、光学補償フィルム(25)の結果から、重合性の官能基数が4個より多いと、自己重合が進んでしまいカールが発生し、その結果、レタデーションのムラも生じることが分かる。
また、光学補償フィルム(26)の結果から、中間層の分子量が1000よりも大きく官能基数が4個より多いと、カールが発生し、その結果、レタデーションのムラも生じることが分かる。
これにより、実施例としての光学補償フィルム(1)〜(23),(28)〜(45),(51)〜(68)は、比較例としての光学補償フィルム(24)〜(27)と比較して、カールの発生と、レタデーション差とにおいて優れていることが分る。
[偏光板の作製]
本発明に係る偏光板の実施例,比較例として、以下の表6に示すように、偏光板(Q−1)〜(Q−73)を作製した。
具体的には、まず、延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作した。次に、市販のセルロースアセテートフィルム(コニカミノルタタックKC4UY、コニカミノルタオプト(株)製)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に貼り付けた。そして、表6に示すように、光学補償フィルム(1)〜(73)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて当該フィルムにおける支持体の側を前記偏光膜の他方の面に貼り付けて、偏光板(Q−1)〜(Q−73)を作製した。
ここで、表中、「光学補償フィルム」の欄における「1」〜「73」とは、上述のように作製した光学補償フィルム(1)〜(73)を流延幅手ほぼ中央部から流延方向300mm、幅方向200mmのサイズで切り出したフィルムを示す。
Figure 2009265477
[偏光板の評価]
<偏光板のカール特性評価>
各偏光板(Q−1)〜(Q−73)を23℃、80%RHの環境で平らな台上に100時間静置し、偏光板の四隅の浮き上がり高さを複数回(4回〜5回)測定し、平均値を算出した。算出結果を以下のように評価したところ、上記の表6に示す通りとなった。
○:0mm以上〜5mm未満
△:5mm以上〜10mm未満
×:10mm以上
なお、これらの評価レベルのうち、「○」の評価レベルは、偏光板を液晶表示装置に貼合する場合にカールがないために優れた特性が発揮されることを意味する。また、「△」の評価レベルは、偏光板を液晶表示装置に貼合する場合に、少しカールを有するために、貼合ミスを含むことがあるが表示画像上は問題ないことを意味する。また「×」の評価レベルは、偏光板のカールが著しく、当該偏光板を液晶表示装置に用いることができないことを意味する。
以上の結果から、実施例としての偏光板(Q−1)〜(Q−23),(Q−28)〜(Q−45),(Q−51)〜(Q−68)は、比較例としての偏光板(Q−24)〜(Q−27)と比較して、カールが少なく優れていることが分かる。
<偏光板の偏光度評価>
各偏光板(Q−1)〜(Q−73)を2枚用意し、透過軸を互いに平行に重ね合わせた場合の透過率(T1)と、互いに直交に重ね合わせた場合の透過率(T2)とを測定し、下記式から偏光度を求めたところ、上記の表6に示す通りとなった。なお、測定条件は、温度23℃、相対湿度55%RH環境下とし、測定には分光光度計((株)日立製作所、U3310)を用いた。
偏光度(%)=√(T1−T2)/(T1+T2)×100
なお、偏光度の値は、99.98以上であれば実用上、好ましい。
<まとめ>
以上の結果より、実施例としての偏光板(Q−1)〜(Q−23),(Q−28)〜(Q−45),(Q−51)〜(Q−68)は、比較例としての偏光板(Q−24)〜(Q−26),(Q−47)〜(Q−50),(Q−70)〜(Q−73)と比較して、偏光度が優れていることが分る。
[液晶表示装置の作製]
本発明に係る液晶表示装置の実施例,比較例として、以下の表7に示すように、液晶表示装置(P−1)〜(P−73)を作製した。ここで、表中、「偏光板」の欄における「Q−1」〜「Q−73」とは、上述のように作製した偏光板(Q−1)〜(Q−73)を示す。また、表には示していないが、バックライト側の偏光板としては、以下のように作製した偏光板を用いた。
<バックライト側の偏光板の作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムにヨウ素を吸着させて偏光膜を製作した。次に、市販のセルロースアセテートフィルム(コニカミノルタタックKC4UE、コニカミノルタオプト(株)製、Ro=0.1nm、Rt=0.5nm)にケン化処理を行い、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜の一方の面に貼り付けた。また、他方の面には、同様にしてセルロースアセテートフィルム(コニカミノルタタックKC4UY、コニカミノルタオプト(株)製)を貼り付け、バックライト側の偏光板を作製した。
Figure 2009265477
<液晶表示装置の作製>
液晶表示装置(P−1)〜(P−73)の作製にあたっては、IPSモード型液晶表示装置であるPanasonic製液晶テレビ「VIERA TH−26LX60」に予め貼合されていた視認側の偏光板を剥がして、偏光板の吸収軸が一致するように上記の偏光板(Q−1)〜(Q−73)を液晶セルのガラス面に貼合した。同様に、バックライト側の偏光板も剥がして、上記のバックライト側用の偏光板を、KC4UEのセルロースアセテートフィルムが液晶セル側になるように貼り付けて、IPSモード型液晶表示装置を作製した。その際、偏光板(Q−1)〜(Q−73)の光学補償フィルムが液晶セル側になるように貼合した。
[液晶表示装置の評価]
<液晶表示装置の正面コントラスト評価>
温度23℃、相対湿度55%RHの環境で、各液晶表示装置(P−1)〜(P−73)のバックライトを1週間連続点灯した後、正面コントラストの測定を行ったところ、上記の表7に示す通りとなった。なお、測定にはコニカミノルタセンシング社製の装置「CS−2000」を用い、波長550nmの光を照射して、液晶表示装置(P−1)〜(P−73)の白表示状態,黒表示状態での輝度を当該液晶表示装置の法線方向から測定し、以下の式で求められる値を正面コントラストとした。
正面コントラスト=(白表示状態での輝度)−(黒表示状態での輝度)
なお、正面コントラストの値は、約500以上であれば実用上、好ましい。
以上の結果から、実施例としての液晶表示装置(P−1)〜(P−23),(P−28)〜(P−45),(P−51)〜(P−68)は、比較例としての液晶表示装置(P−24)〜(P−27),(P−47)〜(P−50),(P−70)〜(P−73)と比較して、正面コントラストの向上に優れた液晶表示装置であることが明らかである。
<液晶表示装置のコーナー斑(光漏れ)評価>
液晶表示装置(P−1)〜(P−73)を温度60℃、相対湿度90%RHの高温槽で100時間放置した後、温度23℃、相対湿度55%RHの環境下でバックライトを5時間連続点灯し、全面黒表示状態でのコーナー斑を暗室にて目視で観察した。観察結果を以下のように評価したところ、上記の表7に示す通りとなった。
○:コーナー斑が観察されない、または僅かに観察される。
×:コーナー斑がはっきりと観察される。
なお、これらの評価レベルのうち、「○」の評価レベルは実用上問題が無く、「×」の評価レベルは実用上問題があることを意味する。
以上の結果から、実施例としての液晶表示装置(P−1)〜(P−23),(P−28)〜(P−45),(P−51)〜(P−68)は、比較例としての液晶表示装置(P−46),(P−50),(P−69),(P−73)と比較して、コーナー斑の防止に優れた液晶表示装置であることが明らかである。
<まとめ>
以上の結果より、実施例としての液晶表示装置(P−1)〜(P−23),(P−28)〜(P−45),(P−51)〜(P−68)は、比較例としての液晶表示装置(P−24)〜(P−27),(P−46)〜(P−50),(P−69)〜(P−73)と比較して、正面コントラストの向上と、コーナー斑(光漏れ)の防止との少なくとも一方において優れていることが分る。
[総合評価]
以上より、実施例としての光学補償フィルム(1)〜(23),(28)〜(45),(51)〜(68)では、比較例としての光学補償フィルム(24)〜(27),(46)〜(50),(69)〜(73)と比較して、カールの発生と、レタデーション斑発生と、液晶光学装置の光漏れの発生とがそれぞれ防止されることが分かった。また、カールの発生が防止されるため、液晶表示装置の生産性が向上することが分かった。
本発明に係る液晶表示装置、偏光板及び光学補償フィルムを示す概略図である。 ゴニオフォトメータによる散乱光の強度測定方法を説明するための図である。 本発明に係る液晶表示装置の変形例を示す概略図である。
符号の説明
1 液晶表示装置
4 支持体
5 中間層
6 光学異方性層
20 光学補償フィルム
30 偏光板

Claims (6)

  1. セルロースエステルを主成分として含有する厚さ70μm以下の光学的に2軸な支持体と、
    前記支持体に対して垂直方向に配向した液晶化合物からなる光学異方性層と、
    紫外線硬化型アクリレート化合物を主成分として含有し、前記支持体及び前記光学異方性層の間に介在する中間層と、を備え、
    前記支持体は、
    ゴニオフォトメーターによって光源からの出射光を当該支持体に垂直に照射させて、前記光源の光軸上での透過光の強度を100%とし、この光軸に対して130°の測定位置での透過光の散乱光強度の割合を測定した場合に、前記光源及び前記測定位置を含む平面に対し、当該支持体の遅相軸を平行に向けた場合の散乱光強度の割合と、垂直に向けた場合の散乱光強度の割合との差が0.05%以下であり、
    前記紫外線硬化型アクリレート化合物は、分子量1000以下で、かつ1分子当たりに重合性基を2〜3個有することを特徴とする光学補償フィルム。
  2. 請求項1記載の光学補償フィルムにおいて、
    前記支持体は、厚さ30μm以上であることを特徴とする光学補償フィルム。
  3. 請求項1または2記載の光学補償フィルムにおいて、
    前記支持体は、
    アクリル系重合体と、
    フラノース構造またはピラノース構造の少なくとも1種を2個以上、12個以下結合した化合物中のOH基の少なくとも1つをエステル化した糖エステル化合物と、
    をそれぞれ少なくとも1種含有するセルロースエステルフィルムであることを特徴とする光学補償フィルム。
  4. 請求項1〜3の何れか一項に記載の光学補償フィルムにおいて、
    前記光学異方性層は、
    棒状液晶を前記支持体に対して実質的に垂直に配向させ、紫外線を照射することで配向が固定されていることを特徴とする光学補償フィルム。
  5. 請求項1〜4の何れか一項に記載の光学補償フィルムを備えることを特徴とする偏光板。
  6. 請求項5記載の偏光板を備え、IPSモード型であることを特徴とする液晶表示装置。
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