JP2013146201A - 両軸受リールのスプール制動装置及び両軸受リール - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スプール制動装置23は、リール本体1に回転自在に装着されたスプール12を遠心力により制動する装置である。スプール制動装置23は、回転部材62と、少なくとも一つのブレーキシュー64と、ブレーキドラム66と、を備えている。回転部材62は、スプール12の回転に連動して回転する。少なくとも一つのブレーキシュー64は、回転部材62に揺動可能にかつ着脱自在に弾性係合される。ブレーキドラム66は、ブレーキシュー64の径方向内方又は外方に配置され、揺動するブレーキシュー64に接触可能な周面を有する。
【選択図】図9
Description
リール本体1は、図4及び図5に示すように、フレーム5と、フレーム5の両側方に装着された第1側カバー6a及び第2側カバー6bとを有している。また、リール本体1は、図1、図2及び図3に示すように、前方を覆う前カバー7と、上部を覆うサムレスト8とを有している。さらに、リール本体1は、図5に示すように、第1側カバー6aにねじ止め固定される軸支持部9を有している。リール本体1の内部には糸巻き用のスプール12が回転自在かつ着脱自在に装着されている。
スプール12は、図5に示すように、外周に釣り糸が巻き付けられる筒状の糸巻胴部12aと、左右一対のフランジ部12bと、ボス部12cと、を有している。フランジ部12bは、糸巻胴部12aの両端にそれぞれ径方向外方に一体的に突出して設けられている。ボス部12cは、スプール軸16に圧入等の適宜の固定手段により固定されている。これにより、スプール12は、スプール軸16に一体回転可能に連結される。
ギア機構18は、図4及び図5に示すように、ハンドル2が一体回転可能に連結される駆動軸30と、駆動軸30に装着された駆動ギア31と、駆動ギア31に螺合するピニオンギア32(図5参照)と、駆動軸30に一体回転可能に連結された第1ギア33と、第1ギア33に噛み合う第2ギア34と、を有する。第2ギア34は、レベルワインド機構15をハンドル2の回転に応じて左右に往復移動するために設けられる。
ドラグ機構21は、クラッチオン状態のとき、駆動ギア31を介してスプール12の糸繰り出し方向の回転を制動するものである。ドラグ機構21は、スタードラグ3によりラグ力が調整される。ドラグ機構21は、図4及び図6に示すように、ワンウェイクラッチ40の内輪40aを介してハンドル2の回転及びスタードラグ3の押圧力が伝達されるものである。ドラグ機構21は、内輪40aに一体回転可能に連結されるドラグ板37と、ラチェットホイール36と、を有する。ドラグ板37と駆動ギア31との間及び駆動ギア31とラチェットホイール36との間には、ドラグ作動時に駆動ギア31が滑らかに滑るようにするためにフェルト製またはグラファイト製の第1ドラグ座金41a及び第2ドラグ座金41bが装着されている。
キャスティングコントロール機構22は、第1摩擦プレート51a及び第2摩擦プレート51bと、制動キャップ52と、を有している。第1摩擦プレート51a及び第2摩擦プレート51bは、スプール軸16の両端を挟むように配置されている。制動キャップ52は、第1摩擦プレート51及び第2摩擦プレート51bによるスプール軸16の挟持力を調節するためのものである。第1摩擦プレート51aは、制動キャップ52内に配置されている。制動キャップ52は、第2ボス部6dの外周面に螺合する。第2摩擦プレート51bは、軸支持部9内に装着されている。
スプール制動装置23は、図8及び図9に示すように、回転部材62(図9参照)と、複数(例えば6つ)のブレーキシュー64と、ブレーキドラム66と、移動機構68と、オンオフ切換機構70(切換機構の一例)と、を備えている。スプール制動装置23はスプール軸16及び軸支持部9に装着されている。複数のブレーキシュー64は、回転部材62に揺動可能かつ着脱自在に弾性係合されている。ブレーキドラム66は、ブレーキシュー64の径方向内方に配置され、揺動するブレーキシュー64に接触可能な外周面66aを有している。移動機構68は、ブレーキシュー64とブレーキドラム66とをスプール軸16の軸方向に相対移動可能かつ位置決め可能である。
回転部材62は、例えば、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂等の合成樹脂製の概ね円形の部材である。回転部材62は、スプール12の少なくとも糸繰り出し方向の回転に連動して回転する。この実施形態では、回転部材62は、スプール12の回転に連動して回転する。回転部材62は、図9に示すように、スプール軸16に圧入等の適宜の固定手段により一体回転可能に連結されている。回転部材62は、この実施形態では、第2セレーション16cに圧入固定されている。回転部材62はスプール軸16の鍔部16bにより軸方向に位置決めされている。
接続部62cは、厚肉円板状の部材であり、ボス部62aの外周部に一体形成されている。接続部62cの外周側の端面にシュー取付部62bの本体部63aが一体形成されている。
ブレーキシュー64は、例えば例えば、ポリアミド樹脂等の弾性を有する合成樹脂製の板状の部材である。ブレーキシュー64は、図9に示すように、第1ブレーキシュー64aと、第1ブレーキシュー64aより軽量の第2ブレーキシュー64bと、を有している。この実施形態では、第1ブレーキシュー64aと第2ブレーキシュー64bは交互に配置されている。しかし、第1ブレーキシュー64aと第2ブレーキシュー64bの配置及び数は制動特性等に応じて適宜に設定できる。第2ブレーキシュー64bは、質量調整用の貫通孔64cを有している点を除いて、材質及びその他の外形形状は同一である。したがって以下の説明では、第1ブレーキシュー64aについて主に説明する。
ブレーキシュー64は、スプール12が回転すると、重心Gに作用する遠心力により、揺動軸芯Pを中心として図11反時計回りに揺動する。
ブレーキドラム66は、図8及び図9に示すようにブレーキシュー64の径方向内方に配置された、例えば亜鉛合金製の比較的硬質の金属製の筒状部材である。ブレーキドラム66は、図9に示すように、軸支持部9の軸受収納部9aの第1外周面9bに回転自在かつ軸方向移動自在に装着されている。ブレーキドラム66は、スプール12に近い回転部材62側から順に配置されたテーパ面66bと、平行面66cと、を有する外周面66aを有している。すなわち、ブレーキドラム66は、異なる直径でブレーキシュー64に接触可能な外周面66aを有している。このテーパ面66b及平行面66cに遠心力により揺動するブレーキシュー64の第1端65aに形成された接触面65fが接触する。テーパ面66bは、平行面66cからスプール12に向かって徐々に縮径するように形成されている。テーパ面66bの小径側端部の直径は、大径側端部の直径の85%から95%の範囲である。この実施形態では、小径側端部の直径は、14.1mmであり、第2平行面66cの直径は、16.2mmである。また、テーパ面66bの軸方向長さは、5.5mmである。したがって、テーパ面66bの平行面66cに対する傾斜角度は例えば20.8度である。
移動機構68は、ブレーキシュー64とブレーキドラム66とをスプール軸方向に移動かつ位置決め可能な機構である。移動機構68は、図8に示すように、操作部材60と、ブレーキカム71と、第1ギア部材73と、第1ギア部材73に噛み合う第2ギア部材74と、第2ギア部材74に噛み合い、操作部材60と一体回転に設けられた第3ギア部材75と、を有している。
スプール制動装置23では、操作部材60が、操作開始位置にあるときは、図15Aに示すように、規制突起63fによって規制された位置でブレーキシュー64の接触面65fがテーパ面66bの小径側に接触する。このとき、ブレーキシュー64の揺動角度αが最も大きくなる。このとき重心Gは、スプール軸芯Cから遠くなるので、重心Gに作用する遠心力CF1は大きくなる。しかし、揺動角度αが操作開始位置より小さいため、揺動中心SCと重心Gとを結ぶ直線と垂直な方向の遠心力CF1の分力F1は、微小なものになる。このため、ブレーキドラム66に作用する制動力は最も小さい。操作部材60が中間位置にあるときは、図15Bに示すように、揺動角度αが操作開始位置より小さくなるため、遠心力CF2は操作開始位置の遠心力CF1より小さくなる。しかし、揺動中心SCと重心Gとを結ぶ直線と垂直な方向の分力F2は操作開始位置の分力F1より大きくなる。このためブレーキシュー64を押圧する制動力は、操作開始位置より大きくなる。操作部材60が最大制動位置にあるとき、図15Cに示すように、揺動角度αが中間位置よりさらに小さくなるため、遠心力CF3は中間位置の遠心力CF2より小さくなる。しかし、揺動中心SCと重心Gとを結ぶ直線と垂直な方向の分力F3は中間位置の分力F2より大きくなる。このためブレーキシュー64を押圧する制動力は、最大になる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
上記実施形態は、下記のように表現可能である。
12 スプール
12a 糸巻胴部
16,216 スプール軸
23,123,223 スプール制動装置
62,162,262 回転部材
63c,163c,263c 揺動軸
63f 規制突起
64,164,264 ブレーキシュー
64a 第1ブレーキシュー
64b 第2ブレーキシュー
65a,265a 第1端
65b 第2端
65c,165c 支持孔
65d,165d スリット
66,266 ブレーキドラム
66a 外周面
66b テーパ面
66c 平行面
68 移動機構
70 オンオフ切換機構
Claims (15)
- リール本体に回転自在に装着されたスプールを遠心力により制動する両軸受リールのスプール制動装置であって、
前記スプールの少なくとも糸繰り出し方向の回転に連動して回転する回転部材と、
前記回転部材に揺動可能にかつ着脱自在に弾性係合される少なくとも一つのブレーキシューと、
前記ブレーキシューの径方向内方又は外方に配置され、揺動する前記ブレーキシューに接触可能な周面を有するブレーキドラムと、
を備えた両軸受リールのスプール制動装置。 - 前記ブレーキシューは、第1端と前記第1端と逆側の第2端と、を有し、前記第1端と重心との間で前記回転部材に揺動可能に連結され、
前記ブレーキドラムは、前記ブレーキシューの径方向内方に配置され、前記ブレーキシューの前記第1端に接触可能な外周面を有する、請求項1に記載の両軸受リールのスプール制動装置。 - 前記ブレーキドラムは、前記ブレーキシューの第1端に異なる直径で接触可能なテーパ面を有し、
前記ブレーキシューと前記ブレーキドラムとを前記スプールの回転軸の軸方向に相対移動可能かつ位置決め可能な移動機構をさらに備える、請求項1又は2に記載の両軸受リールのスプール制動装置。 - 前記回転部材は、前記ブレーキシューが連結される揺動軸を有し、
前記ブレーキシューは、前記揺動軸に揺動可能に弾性係止される、請求項1から3のいずれか1項に記載の両軸受リールのスプール制動装置。 - 前記ブレーキシューは、弾性を有する合成樹脂製であり、前記揺動軸が嵌合する支持孔と、前記揺動軸より狭い幅で前記支持孔の内周面から外側面に開口するスリットと、を有する、請求項4に記載の両軸受リールのスプール制動装置。
- 前記ブレーキシューは、前記回転部材に連結される揺動軸を有し、
前記揺動軸は、前記回転部材に回動可能に弾性係止される、請求項1から3のいずれか1項に記載の両軸受リールのスプール制動装置。 - 前記回転部材は、弾性を有する合成樹脂製であり、前記揺動軸が嵌合する支持孔と、前記揺動軸より狭い幅で前記支持孔の内周面から外側面に開口するスリットと、を有する、請求項6に記載の両軸受リールのスプール制動装置。
- 前記支持孔は、前記揺動軸にすきま嵌めで嵌合する、請求項5又は7に記載の両軸受リールの両軸受リールのスプール制動装置。
- 前記揺動軸は、前記スリットに係合して前記ブレーキシューの揺動範囲を規制するために前記揺動軸の径方向外方に延びる規制突起を有する、請求項5、7又は8に記載の両軸受リールのスプール制動装置。
- 前記揺動軸は、前記回転軸と食い違う軸方向に沿って配置される、請求項4から9のいずれか1項に記載の両軸受リールのスプール制動装置。
- 前記揺動軸は、前記回転軸と平行な軸方向に沿って配置される、請求項4から9のいずれか1項に記載の両軸受リールのスプール制動装置。
- 前記ブレーキシューは、複数設けられ、
前記揺動軸は、前記回転部材の周方向に間隔を隔てて複数設けられる、請求項4から11のいずれか1項に記載の両軸受リールのスプール制動装置。 - 複数の前記ブレーキシューは、
少なくとも一つの第1ブレーキシューと、
前記第1ブレーキシューと質量が異なる少なくとも一つの第2ブレーキシューと、を有する、請求項12に記載の両軸受リールのスプール制動装置。 - 複数の前記ブレーキシューの少なくとも一つを前記ブレーキドラムに接触可能な作動状態と、前記ブレーキドラムに接触不能な非作動状態と、に切換可能な切換機構をさらに備える、請求項12又は13に記載の両軸受リールのスプール制動装置。
- 請求項1から14のいずれか1項に記載のスプール制動装置を備える両軸受リール。
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