本明細書及び添付図面の記載により少なくとも次のことが明らかにされる。
先ず、(A)液体の色毎に設けられた複数のノズルを備え、該ノズルから液体を媒体に噴射するヘッドと、(B)前記複数のノズルのうちの一を検査対象ノズルとして、該検査対象ノズルの液体噴射不良を検査するためのノズル検査パターンを形成する制御部であって、前記検査対象ノズル及び前記複数のノズルのうちの該検査対象ノズルとは異なる他のノズルから噴射される液体を前記媒体上に重ねて着弾させて、前記ノズル検査パターンを形成する第一処理と、前記検査対象ノズルから噴射される液体のみを前記媒体上に着弾させて、前記ノズル検査パターンを形成する第二処理と、を前記媒体の種類に応じて切り替えて実行する制御部と、(C)を有する液体噴射装置。かかる液体噴射装置であれば、媒体の種類に応じて、検査対象ノズルのノズル検査パターンを適切に形成することが可能となる。
また、上記の液体噴射装置において、前記制御部は、前記複数のノズルの各々を検査対象ノズルとして、各々の前記ノズル検査パターンを形成し、各々の前記ノズル検査パターンのうちのどのノズル検査パターンを前記第一処理及び前記第二処理のうちの第一処理により形成するかを、前記媒体の種類に応じて変化させることとしてもよい。かかる構成であれば、複数のノズルの各々を検査対象ノズルとして各々のノズル検査パターンを形成するときに、媒体の種類に応じて、当該各々のノズル検査パターンを適切に形成することが可能となる。
また、上記の液体噴射装置において、前記制御部は、前記第一処理として、前記検査対象ノズル及び前記他のノズルから噴射される液体を前記媒体上に重ねて着弾させることにより該液体を混合させて、前記検査対象ノズルから噴射される液体の色とは異なる色を有する前記ノズル検査パターンを形成する第三処理、及び、前記他のノズルから噴射される液体を前記媒体に着弾させて、該他のノズルから噴射される液体により構成される下地を形成した後に、前記検査対象ノズルから噴射される液体を前記下地上に着弾させて、該下地に取り囲まれ、かつ、前記検査対象ノズルから噴射される液体により構成される前記ノズル検査パターンを形成する第四処理、のいずれかを実行し、各々の前記ノズル検査パターンのうちの前記第一処理により形成されるノズル検査パターンを前記第三処理及び前記第四処理のいずれにより形成するかを、前記媒体の種類及び前記検査対象ノズルから噴射される液体の色に応じて変化させることとしてもよい。かかる構成であれば、第一処理により媒体に形成されるノズル検査パターンを、該媒体の色及び検査対象ノズルから噴射される液体の色に応じて、ユーザに視認され易くなるように形成することが可能になる。
また、上記の液体噴射装置において、前記制御部は、前記媒体の種類としての該媒体の色、及び、前記検査対象ノズルから噴射される液体の色が共に有彩色であり、かつ、同じ色相である場合には、該検査対象ノズルの液体噴射不良を検査するためのノズル検査パターンを前記第三処理により形成することとしてもよい。かかる構成であれば、媒体の色及び検査対象ノズルから噴射される液体の色が、共に有彩色であり、かつ、同じ色相である場合に、該検査対象ノズルのノズル検査パターンを、ユーザに視認され易くなるように形成することが可能になる。
また、上記の液体噴射装置において、前記制御部は、前記媒体の種類としての該媒体の色、及び、前記検査対象ノズルから噴射される液体の色が共に白色である場合には、該検査対象ノズルの液体噴射不良を検査するためのノズル検査パターンを前記第四処理により形成するとしてもよい。かかる構成であれば、媒体の色及び検査対象ノズルから噴射される液体の色が共に白色である場合に、該検査対象ノズルのノズル検査パターンを、ユーザに視認され易くなるように形成することが可能になる。
また、上記の液体噴射装置において、前記制御部は、前記媒体が透明媒体であり、かつ、前記検査対象ノズルから噴射される液体の色が有彩色である場合には、該検査対象ノズルの液体噴射不良を検査するためのノズル検査パターンを前記第四処理により形成することとしてもよい。かかる構成の液体噴射装置であれば、媒体が透明媒体であり、かつ、検査対象ノズルから噴射される液体の色が有彩色である場合に、該検査対象ノズルのノズル検査パターンを、ユーザに視認され易くなるように形成することが可能になる。
また、上記の液体噴射装置において、前記媒体の色を測定するための測色器を備え、前記媒体の種類は、該測色器により測定された色であることとしてもよい。かかる構成であれば、媒体の色を正確に特定することが可能となる結果、該媒体の色に応じて、検査対象ノズルのノズル検査パターンをより適切に形成することが可能になる。
さらに、液体の色毎に設けられた複数のノズルのうちの一を検査対象ノズルとして、該検査対象ノズルの液体噴射不良を検査するためのノズル検査パターンを媒体に形成するノズル検査パターン形成方法であって、前記媒体の色を特定することと、前記検査対象ノズル及び前記複数のノズルのうちの該検査対象ノズルとは異なる他のノズルから噴射される液体を前記媒体上に重ねて着弾させて、前記ノズル検査パターンを形成する第一処理と、前記検査対象ノズルから噴射される液体のみを前記媒体上に着弾させて、前記ノズル検査パターンを形成する第二処理と、を特定した前記媒体の種類に応じて切り替えて実行することと、を有するノズル検査パターン形成方法も実現可能である。かかる方法により、媒体の種類に応じて、検査対象ノズルのノズル検査パターンを適切に形成することが可能になる。
===本実施形態の液体噴射装置の構成===
本実施形態では、液体噴射装置の一例として、インクジェットプリンタ(以下、プリンタ10)について説明する。プリンタ10は、液体の一例としてのインクを紙、布、フィルムシート等の媒体S(図2A及び図2B参照)に噴射することにより、該媒体Sに画像を形成(印刷)する装置である。インクについては、水性インク及び油性インクのいずれであってもよい。
また、本実施形態のプリンタ10では、CMYK4色のインクと白インクが噴射される。この白インクは、例えば、媒体Sとして透明のフィルムシートを用いた場合に、当該フィルムシートにベタ打ちして背景画像を印刷するためのインクである。つまり、白インクにより構成される背景画像の上にCMYK各色のインクを重ね打ちすることにより、該背景画像上に画像(本画像)を印刷することが可能である。なお、本実施形態に係る白インクは、他の色のインクと重ねられた際に当該他の色のインクと混合することがない(滲み合うことがない)。
<<プリンタ10の基本構成>>
プリンタ10の基本構成について、図1乃至図3を参照しながら説明する。図1は、プリンタ10の全体構成を示すブロック図である。図2Aは、プリンタ10の内部構成の概略を示し、図2Bは、プリンタ10の内部構成の断面図を示す。図3は、ノズルの配列を示す図である。
プリンタ10は、図1に示すように、記録ユニット20、搬送ユニット30、メンテナンスユニット40、検出器群50、及び、制御部の一例としてのコントローラ60等を有する。
記録ユニット20は、画像を媒体Sに記録し、図2A及び図2Bに示すように、キャリッジ21、キャリッジ移動機構22、及び、ヘッド23を有する。キャリッジ21は、後述する搬送方向と交差したガイド軸24に支持された状態で、キャリッジ移動機構22によりガイド軸24に沿って往復移動する。
ヘッド23は、ノズルが設けられた下面(以下、ノズル面)を備えている。このヘッドは、ノズル面を媒体Sに対向させた状態で、インクカートリッジ25から供給されるインクを前記ノズルから媒体Sに噴射する。また、ヘッド23は、キャリッジ21に搭載されている。このため、ヘッド23は、キャリッジ21の移動に伴って該キャリッジ21が移動する方向と同一方向に移動する。そして、ヘッド23は、その移動方向に移動することにより、ノズル面を媒体Sに対向させる。
ノズル面には、図3に示すように、インクの色毎に設けられた複数のノズル(本実施形態では、5色のノズル)が備えられている。当該複数のノズルの各々は、複数個(本実施形態では90個)形成されたノズル孔からなる。複数個のノズル孔は、後述の搬送方向に一定のノズルピッチで列をなして並んでいる。なお、各ノズル孔には、下流側のノズル孔ほど小さい数の番号が付されている(♯1〜♯90)。例えば、ノズル孔♯1は、ノズル孔♯90よりも搬送方向の下流側に位置している。なお、各インク色のノズル孔のうち、同じ番号が付されたノズル孔は、搬送方向において略同じ位置にある。
また、各ノズル孔には不図示のインクチャンバ及びピエゾ素子が設けられている。そして、ピエゾ素子の駆動によってインクチャンバが収縮・膨張されることにより、各ノズル孔から滴状のインクが噴射される。噴射された滴状のインクは、媒体Sに着弾するとドットを形成する。
搬送ユニット30は、図2A及び図2Bに示す搬送方向に媒体Sを搬送するためのものである。この搬送ユニット30は、図2A及び図2Bに示すように、給紙ローラ31と、搬送モータ32と、搬送ローラ33と、プラテン34と、排紙ローラ35と、を有する。媒体Sは、給紙ローラ31によりプリンタ10内に供給されると、搬送モータ32の回転によって回転する搬送ローラ33により、搬送方向において印刷可能な領域まで搬送される。その後、媒体Sは、プラテン34に支持されながら規定の搬送量ずつ断続的に搬送され、最終的に排紙ローラ35によりプリンタ10外に排出される。
なお、本実施形態の搬送ユニット30は、搬送ローラ33を正回転方向とは反対の方向(反転方向)に回転させることにより、媒体Sを搬送方向の上流側へ戻すことが可能である。これにより、例えば、媒体Sにある色のインクで背景画像を印刷した後、該媒体Sを搬送方向の上流側へ戻し、他の色のインクで前記背景画像上に本画像を形成することが可能である。
メンテナンスユニット40は、ノズルからのインク噴射が良好に維持されるように、各種のメンテナンス動作を行うためのものである。メンテナンスユニット40は、図2Aに示すように、ヘッド23の移動方向において、ノズル面が媒体Sと対向しない位置(非印刷位置であり、ヘッド23の待機位置)にヘッド23が位置する際に、該ヘッド23の略真下に位置する。また、メンテナンスユニット40は、図1に示すように、キャップ41と吸引ポンプ42を備えている。キャップ41は、ヘッド23のノズル面に当接してノズル(具体的には、各ノズル孔)を封止する。吸引ポンプ42は、キャップ41がノズルを封止した状態で作動する。これにより、キャップ41内が負圧状態になり、前記ノズル内のインクが吸引されて強制的に排出されるようになる。
以上のように、メンテナンスユニット40は、キャップ41にノズルを封止させた状態で吸引ポンプ42によって該ノズル内のインクを強制排出する動作(クリーニング動作)を実行する。かかるクリーニング動作により、目詰まり等によってインク噴射不良の状態となったノズルがクリーニングされる(インク噴射不良が解消される)。なお、上記クリーニング動作には、吸引ポンプ42によりノズル内のインクを強制排出すること以外に、キャップ41にノズルを封止させた状態で前述のピエゾ素子を駆動して各ノズルから強制的にインクを噴射すること(所謂フラッシング)も含まれる。
コントローラ60は、メモリ63に格納されたプログラムに従って、CPU62によりユニット制御回路64を介してプリンタ10の各ユニット(すなわち、記録ユニット20、搬送ユニット30、及び、メンテナンスユニット40)を制御する。コントローラ60は、インターフェイス61を介してコンピュータ110と通信可能である。そして、コントローラ60は、コンピュータ110から印刷データを受信すると、該印刷データに基づいて各ユニットを制御して該印刷データに応じた画像を媒体Sに印刷する。なお、プリンタ10内の状況は検出器群50によって監視されており、検出器群50は検出結果に応じた信号をコントローラ60に向けて出力する。
<<印刷処理について>>
次に、プリンタ10が実行する印刷処理について、図4を参照しながら説明する。図4は、印刷処理のフローチャートである。
印刷処理は、図4に示すように、コントローラ60が、コンピュータ110からインターフェイス61を介して、印刷命令を含む印刷データを受信するところから始まる(S001)。そして、コントローラ60は、受信した印刷データ中の各種コマンドの内容を解析し、プリンタ10の各ユニットを制御する。次に、コントローラ60は、媒体Sを給紙ローラ31によりプリンタ10内に供給してから、搬送ローラ33により媒体Sを印刷開始位置(頭出し位置)に位置決めする給紙動作を行う(S002)。
次に、コントローラ60は、キャリッジ21の移動に伴って移動するヘッド23のノズルからインクを断続的に噴射させて、媒体Sにドットを形成するドット形成動作を行う(S003)。ドットは、媒体S上に仮想的に定められた方形状の領域(以下、単位領域)にインク滴が着弾することにより形成される。なお、単位領域は、印刷解像度に応じて大きさや形が定められ、理想的にインク滴が噴射された場合、単位領域の中心位置にインク滴が着弾し、その後インク滴が広がって、単位領域にドットが形成される。そして、ドット形成動作では、移動中のヘッド23のノズルからインクが断続的に噴射されるため、媒体Sには、ヘッド23の移動方向に沿うドット列(ラスタライン)が、搬送方向に複数並んだ状態で形成される。
次に、コントローラ60は、搬送ユニット30により、搬送方向において媒体Sをヘッド23に対して相対的に移動させる搬送動作を行う(S004)。搬送動作により、先程のドット形成動作にて形成されたラスタラインの位置とは異なる位置に、次のドット形成動作時にてラスタラインを形成することが可能になる。そして、コントローラ60がドット形成動作と搬送動作とを繰り返すことにより、ラスタラインが搬送方向において複数形成される。なお、本実施形態では、複数回のドット形成動作(以下、パス)により補完的にラスタラインを形成するインターレース方式が採用されている。
そして、コントローラ60は、媒体Sに印刷するための印刷データがなくなるまでドット形成動作と搬送動作とを繰り返し、当該印刷データがなくなった時点で排紙の判断をする(S005)。その後、コントローラ60は、排紙ローラ35により媒体Sをプリンタ10外に排出する排紙動作を行う(S006)。画像が印刷された媒体Sがプリンタ10外に排出された後、コントローラ60は、印刷を続行するか否かの判断を行う(S007)。コントローラ60は、次の媒体Sに印刷を行うのであれば、前述の給紙動作に戻って印刷を続行する。他方、次の媒体Sに印刷を行わないのであれば、印刷処理を終了する。
<<コンピュータ110について>>
次に、プリンタ10に接続されたコンピュータ110について説明する。コンピュータ110は、印刷データの他、プリンタ10内で実行される各種動作(例えば、クリーニング動作)に対する実行命令をプリンタ10に向けて出力する。このコンピュータ110には、図1に示すように、プリンタドライバ111やアプリケーションプログラム112等のプログラムがインストールされている。
プリンタドライバ111は、アプリケーションプログラム112から画像データを受け取り、この画像データを印刷データに変換し、印刷データをプリンタ10に向けて出力する。印刷データは、印刷される画像(印刷画像)を構成する画素に関するデータ(以下、画素データ)を有する。この画素データは、例えば、ある画素に対応する単位領域に形成されるドットに関するデータ(ドットの色や大きさ等のデータ)である。
以下、プリンタドライバ111による印刷データ生成処理について、図5を参照しながら説明する。図5は、印刷データ生成処理の説明図である。印刷データは、図5に示すように、プリンタドライバ111によって解像度変換処理(S011)、色変換処理(S012)、ハーフトーン処理(S013)、及び、ラスタライズ処理(S014)が実行されることにより生成される。
解像度変換処理は、アプリケーションプログラム112から出力されたRGB画像データの解像度を、指定された画質に対応する印刷解像度に変換する処理である。色変換処理は、解像度が変換されたRGB画像データをCMYK4色分の画像データに変換する処理である。そして、各画像データを構成する複数の画素データは、それぞれ256段階の階調値で表される。
ハーフトーン処理は、画素データが示す多段階の階調値を、プリンタ10で表現可能な少段階のドット階調値に変換する処理である。すなわち、ハーフトーン処理において、画素データが示す256段階の階調値が、4段階のドット階調値に変換される。具体的には、ドット階調値[00]に対応するドットなし、ドット階調値[01]に対応する小ドットの形成、ドット階調値[10]に対応する中ドットの形成、及び、ドット階調値[11]に対応する大ドットの形成の4段階に変換される。その後、各ドットのサイズについてドット生成率が決められた上で、ディザ法・γ補正・誤差拡散法等を利用して、プリンタ10がドットを分散して形成するように画素データが作成される。
ラスタライズ処理は、ハーフトーン処理で得られた画像データに関し、各ドットのデータ(ドット階調値のデータ)をプリンタ10に転送すべきデータ順に変更さする処理である。そして、ラスタライズ処理されたデータは、印刷データの一部として送信される。
なお、背景画像を形成し当該背景画像上に本画像を形成する場合、プリンタドライバ111は、上記手順により本画像及び背景画像の印刷データを生成し、該印刷データをプリンタ10に向けて送信する。
<プリンタドライバ111による設定>
プリンタドライバ111は、ユーザによる印刷条件の設定動作を受け付けるために、図6に示す設定画面120をコンピュータ110のディスプレイ(不図示)に表示する。図6は、設定画面120を示す図である。ユーザは、当該設定画面120を通じて、各種の印刷条件(印刷解像度、媒体Sの種類及びサイズ等)を選択することが可能である。そして、プリンタドライバ111は、選択された印刷条件に応じて印刷データを生成する。
また、設定画面120は、その設定内容の種類に応じて切替え可能である。図6に図示された設定画面120は、基本設定用の画面、用紙設定用の画面、レイアウト設定用の画面、及び、ユーティリティ設定用の画面に切替え可能である。ユーザは、設定画面120のうち、ユーティリティ設定用の画面(以下、ユーティリティ画面122)を通じて、後述するノズル検査パターンNPをプリンタ10に印刷させることが可能である(図7参照)。更に、ユーザは、ユーティリティ画面122を通じて、メンテナンスユニット40によるクリーニング動作を実行させることも可能である。
===ノズル検査パターンについて===
プリンタ10を用いて媒体Sに画像を印刷する際、ノズルからインクが噴射されず、本来ドットが形成されるべき単位領域にドットが適切に形成されない場合がある。かかる現象は、ノズル抜け現象と呼ばれ、印刷画像の品質を低下させる一因である。このようなノズル抜け現象が発生することは、ノズル目詰まり等を原因としてノズルがインク噴射不良の状態にあることを意味する。
以上のようなノズル抜け現象による画像の品質の低下を回避するために、ユーザは、各ノズルが正常にインクを噴射できる状態にあるか否かを定期的に検査する。ユーザはノズルがインク噴射不良の状態にあると判断したときに前述のクリーニング動作を実行させる。
そして、検査対象ノズルのインク噴射不良を検査するにあたって、該検査対象ノズルから噴射されるインクを所定の媒体(以下、テストシートTS)に着弾させてテストシートTSにノズル検査パターンNPを形成する処理が行われる。ユーザは、ノズル検査パターンNPを視認する等して、検査対象ノズルがインク噴射不良の状態であるか否かについて検査する。すなわち、ノズル検査パターンNPとは、検査対象ノズルのインク噴射不良(液体噴射不良)を検査するためのパターンである。
以下、プリンタ10を用いてノズル検査パターンNPを形成する方法の参考例(以下、単に参考例とも言う)について説明するとともに、当該参考例での課題について説明する。
<<参考例について>>
参考例について、図7、図8A及び図8B、図9A及び図9Bを参照しながら説明する。図7は、前述のユーティリティ画面122を示す図である。図8Aは、ブラックインクノズルのインク噴射不良を検査するためのノズル検査パターンNP(K)を示した図である。図8Bは、ノズル検査パターンNP(K)を構成するブロックBP(K)の一を拡大して示した図である。図9A及び図9Bは、ノズル検査パターンNPを用いたノズル検査方法についての説明図であり、図9Aは、ノズル検査パターンNPが適切に形成された場合の図であり、図9Bは、ノズル検査パターンNPの一部が欠落した場合の図である。
プリンタ10のコントローラ60は、ヘッド23に備えられた複数のノズルのうちの一を検査対象ノズルとして、該検査対象ノズルから噴射されるインクをテストシートTSに着弾させて該検査対象ノズルのノズル検査パターンNPを形成する。また、コントローラ60は、前記複数のノズルの各々を検査対象ノズルとして、各々のノズル検査パターンNPを形成する。そして、参考例に係るノズル検査パターンNPの形成処理では、各ノズルのノズル検査パターンNPが、当該各ノズルから噴射されるインクにより単色印刷される。例えば、ブラックインクノズルのノズル検査パターンNPは、ブラックインクのみにより印刷される。
以下、参考例に係るノズル検査パターンNPの形成手順について説明する。なお、ノズル検査パターンNPの形成手順はノズル間で同様であるため、以下、ブラックインクノズルを検査対象ノズルとしてノズル検査パターンNP(K)を形成する場合を例に挙げて説明する。
ユーザは、ノズル検査パターンNPを形成させるにあたり、プリンタ10にテストシートTSをセットするとともに、ユーティリティ画面122上に表示されたノズル検査ボタン122a(図7参照)をクリックする。このクリック操作により、プリンタドライバ111は、ユーザ要求を受け付けて、複数のノズルの各々のノズル検査パターンNPを形成するための印刷データを生成し、当該印刷データをプリンタ10に向けて出力する。
コントローラ60は、上記印刷データを受信すると、当該印刷データ中、ブラックインクノズルのノズル検査パターンNP(K)の印刷データに基づいて、前述のドット形成動作と搬送動作を繰り返す。つまり、コントローラ60は、ブラックインクノズルから噴射されるブラックインクをテストシートTSに着弾させることにより、ブラックインクノズルのノズル検査パターンNP(K)を形成する。ブラックインクノズルのノズル検査パターンNP(K)は、ブラックインクにより構成され、その色はブラックとなる。
また、ブラックインクノズルのノズル検査パターンNP(K)は、図8Aに示すように、ブラックインクノズルを構成するノズル孔と同数(本実施形態では、90個)のブロックBP(K)からなる。より詳しく説明すると、図8Aに示すように、矩形状のブロックBP(K)が、ヘッド23の移動方向に相当する方向において階段状にm個(図8Aに示す例では、10個)並び、かつ、搬送方向に相当する方向に沿って一定間隔毎にn個(図8Aに示す例では、9個)並んでいる。
各ブロックBP(K)は、図8Aに示すように、テストシートTSの地色部分に取り囲まれている。すなわち、参考例では、テストシートTSの地色部分に取り囲まれたノズル検査パターンNP(K)が形成される。ここで、地色部分とは、テストシートTSのうち、コントローラ60がインクを着弾させない単位領域により構成された部分である。
また、各ブロックBP(K)は、ブラックインクノズルを構成する複数個のノズル孔の一と対応しており、当該対応したノズル孔から噴射されるブラックインクにより構成される。ブロックBP(K)とブラックインクノズル孔との対応関係について説明すると、搬送方向において最も下流側に位置し、ヘッド23の移動方向において最も一端側に位置したブロックBP(K)は、#1のノズル孔と対応している。また、図8Aに示すように、ヘッド23の移動方向において最も一端側に位置するブロックBP(K)から見てi番目、搬送方向において最も下流側に位置するブロックBP(K)から見てk番目のブロックBP(K)は、#10(k−1)+iのノズル孔に対応している。
また、複数のブロックBP(K)の一に着目すると、図8Bに示すように、ヘッド23の移動方向に相当する方向に沿ってp個並び、かつ、搬送方向に相当する方向に沿ってq個並んだ複数のドットからなる。なお、参考例では、ブロックBP(K)を構成する各ドットが中ドットとなるように形成される。すなわち、プリンタドライバ111は、ノズル検査パターンNP(K)の印刷データを生成する際、該ノズル検査パターンNP(K)の画像データを構成する各画素データのドット階調値を[10]に設定する。
なお、1回のドット形成動作(ヘッド23の移動範囲の一端から他端への移動動作)では、搬送方向に並ぶq個のドット群(各ドット群は、ヘッド23の移動方向に並ぶp個のドットからなる)のうちの一のドット群が形成される。このため、搬送方向にq個のドット群を形成するためには(すなわち、ブロックBP(K)を形成するためには)、ドット形成動作と搬送動作とを交互にq回繰り返すことになる。この際、例えば、1個のドットが大きく、当該ドットが形成されたか否かを容易に確認できるようにブロックBP(K)が形成されるのであれば、qが1でもあってもよい。かかる場合、1回のドット形成動作でブロックBP(K)が形成されることになる。
以上のようなノズル検査パターンNP(K)がテストシートTSに形成された後、ユーザは、当該ノズル検査パターンNP(K)を視認することによって、ブラックインクノズル(すなわち、検査対象ノズル)のインク噴射不良を検査する。なお、前述したように、ノズル検査パターンNP(K)がテストシートTSの地色部分に取り囲まれている。このため、ユーザは、ノズル検査パターンNP(K)を視認する際に、該ノズル検査パターンNP(K)を構成するインクの色(すなわち、ブラック)と地色部分の色(すなわち、テストシートTS自身の色)とを対比することになる。
ブラックインクノズルの検査方法について具体的に説明すると、図9Aに示すように、ブラックインクノズルのノズル孔と同数のブロックBP(K)からなるノズル検査パターンNP(K)が形成された場合には、ブラックインクノズルが正常であると判断される。一方、図9Bに示すように、ノズル検査パターンNP(K)の一部が欠落した場合、ブラックインクノズルはインク噴射不良の状態にあると判断される。つまり、テストシートTSにおいて本来ノズル検査パターンNP(K)中のブロックBP(K)が形成されるべき部分に、該ブロックBP(K)が実際には形成されず当該部分がテストシートTSの地色のままである場合、当該形成されなかったブロックBP(K)に対応するノズル孔においてノズル抜けが発生していると判断される。
そして、ユーザは、インク噴射不良の状態のノズルが存在すると判断した際、ユーティリティ画面122上に表示されたクリーニングボタン122b(図7参照)をクリックする。このクリック操作により、プリンタドライバ111は、ユーザ要求を受け付け、メンテナンスユニット40によるクリーニング動作を実行させる命令をプリンタ10に向けて出力する。プリンタ10のコントローラ60は、当該命令を受信すると、上記クリーニング動作を実行する。
その後、クリーニング動作によってノズルのインク噴射不良が解消されたか否かを確認するために、当該クリーニング動作の実施後に、再度ノズル検査パターンNPをテストシートTSに印刷する。ユーザは、ノズルのインク噴射不良が解消されたと確実に視認できるようになるまで、クリーニング動作とノズル検査パターンNPの形成と、を繰り返し実行させる。
<<参考例における課題について>>
以上の手順により、複数のノズル(5色のノズル)の各々を検査対象ノズルとし、当該各々のノズル検査パターンNPがテストシートTSに形成(印刷)される。そして、参考例では、前述したように、検査対象ノズルのノズル検査パターンNPが、該検査対象ノズルから噴射されるインクのみにより形成される(すなわち、単色印刷される)。
一方、ノズル検査パターンNPが形成されるテストシートTSについては、ユーザの都合等により、複数種類の媒体が用いられる。テストシートTSの種類が異なると、該テストシートTSに形成されるノズル検査パターンNPの見え易さ(視認し易さ)が変化する場合がある。つまり、ノズル検査パターンNPの見え易さは、該ノズル検査パターンNPを構成するインクの色とテストシートTSの種類との関係に依存する。テストシートTSの種類との関係において識別し難い色のインクにより構成されるノズル検査パターンNPは、当然ながら、ユーザに視認され難くなる。例えば、白インクにより構成されるノズル検査パターンNPが白色のテストシートTSに形成された場合、該ノズル検査パターンNPを視認することは困難である。
そして、ノズル検査パターンNPがユーザに視認され難くなると、該ノズル検査パターンNPを用いて検査されるノズル(検査対象ノズル)について、インク噴射不良の状態にあるか否かを適切に検査することが困難になってしまう。つまり、仮にノズル検査パターンNPが正常に形成されたとしても、当該ノズル検査パターンNPが形成されなかったとユーザが誤認してしまう可能性がある(すなわち、ノズルが正常な状態にあるにも拘らずインク噴射不良の状態にあると判断される虞がある)。逆に、インク噴射不良のためにノズル検査パターンNPの一部が実際には形成されなかったとしても、ユーザがノズル検査パターンNPの部分的な欠落に気づかないまま、インク噴射不良の状態にあるノズルを放置してしまう可能性もある。
以上のように、参考例では、テストシートTSの種類との関係において識別し難い色のインクによって構成されるノズル検査パターンNPが形成されるため、上記の課題が生じていた。これに対し、本実施形態のプリンタ10では、テストシートTSの種類に応じてノズル検査パターンNPを形成する手順を変えることにより、各ノズルのノズル検査パターンNPを適切に形成することが可能である。以下、本実施形態のノズル検査パターン形成方法について説明する。
<<本実施形態のノズル検査パターン形成方法>>
本実施形態のプリンタ10を用いてノズル検査パターンNPを形成する方法について概説する。本実施形態のプリンタ10では、参考例と同様、コントローラ60が、ヘッド23に備えられた複数のノズルのうちの一を検査対象ノズルとし、該検査対象ノズルから噴射されるインクをテストシートTSに着弾させて該検査対象ノズルのノズル検査パターンNPを形成する。そして、コントローラ60は、ノズル検査パターンNPを形成する際に、2つの手順のうちのいずれかの手順に従う。
当該2つの手順について説明すると、一方の手順は、検査対象ノズルのノズル検査パターンNPを形成するにあたり、該検査対象ノズル及び前記複数のノズルのうちの該検査対象ノズルとは異なる他のノズルから噴射されるインクをテストシートTS上に重ねて着弾させて、該検査対象ノズルのノズル検査パターンNPを形成するものである。かかる手順によりノズル検査パターンNPを形成する処理を、第一処理と呼ぶこととする。
他方の手順は、参考例に係る手順と同様の手順であり、検査対象ノズルから噴射されるインクにより該検査対象ノズルのノズル検査パターンNPを単色印刷するものである。すなわち、検査対象ノズルから噴射されるインクのみをテストシートTSに着弾させて、当該インクにより構成されるノズル検査パターンNPを形成する。かかる手順によりノズル検査パターンNPを形成する処理を、第二処理と呼ぶこととする。
また、上記第一処理は、更に第三処理及び第四処理に分けられる。そして、コントローラ60は、第一処理として、第三処理及び第四処理のいずれかを実行する。第三処理及び第四処理のそれぞれについては、後述する。
また、コントローラ60は、参考例の場合と同様、ヘッド23に備えられた複数のノズルの各々を検査対象ノズルとして、各々の前記ノズル検査パターンNPを形成する。そして、コントローラ60は、各ノズル検査パターンNPを、上述の第一処理(具体的には第三処理あるいは第四処理)及び第二処理のいずれかの処理により形成する。
各々のノズル検査パターンNPが形成された後、ユーザは、当該各々のノズル検査パターンNPを視認して、複数のノズルの各々についてインク噴射不良の状態にあるか否かを検査する。そして、前記複数のノズルのうち、1色以上のノズルがインク噴射不良の状態にあると判断されたとき、ユーザは、前記クリーニングボタン122b(図7参照)をクリックしてクリーニング動作を実行させる。クリーニング動作後、ユーザは、前述したように、再度ノズル検査パターン形成処理を実行させ、ノズルのインク噴射不良が解消されたと確実に視認できるようになるまでクリーニング動作及びノズル検査パターンの形成を繰り返し実行させる。
なお、本実施形態のクリーニング動作では、複数のノズル全て(ヘッド23のノズル面に形成された全てのノズル)をクリーニングする。但し、これに限定されるものではなく、複数のノズルのうち、インク噴射不良の状態にあるノズルに対してクリーニング動作を実行することとしてもよい(すなわち、ノズル単位でクリーニング動作を実行することとしてもよい)。あるいは、ノズル抜けが発生していると判断されたノズル孔に対してのみ、クリーニング動作を実行することとしてもよい。例えば、ユーザがクリーニングボタン122bをクリックした後、プリンタドライバ111が、図10に示すクリーニング設定画面123を表示し、該クリーニング設定画面123にてユーザが設定した条件に応じてクリーニング動作が実行されてもよい。図10は、クリーニング設定画面123を示す図である。
<第三処理について>
第三処理は、検査対象ノズルのノズル検査パターンNPを形成するにあたり、該検査対象ノズル及び他のノズルから噴射されるインクをテストシートTS上に重ねて着弾させることにより該インクを混合させる処理である。この第三処理によって形成されるノズル検査パターンNPは、検査対象ノズル及び他のノズルから噴射されるインクを混合させた色(つまり、検査対象ノズルから噴射されるインクとは異なる色)を有することになる。この第三処理により、検査対象ノズルから噴射されるインクがテストシートTSの種類との関係で識別され難い色(つまり、テストシートTSの地色と対比させたときに識別され難い色)を有する場合に、該検査対象ノズルのノズル検査パターンNPの色を、ユーザに識別され易い色に変えることが可能になる。
なお、第三処理において他のノズルから噴射されるインク(すなわち、検査対象ノズルから噴射されるインクと混合させるインク)は、検査対象ノズルから噴射されるインクとは互いに色相の異なるインクである。さらに、当該他のノズルから噴射されるインクは、検査対象ノズルから噴射されるインクと混合させることにより、該検査対象ノズルのノズル検査パターンNPの色とテストシートTSの地色とのコントラストをより大きくするインクである。
第三処理について具体的に説明するため、以下、イエローインクノズルを検査対象ノズルとし、シアンインクノズルを他のノズルとして該第三処理を実行する場合を例に挙げて説明する。
コントローラ60は、イエローインクノズルのノズル検査パターンNPを形成するために第三処理を実行する場合、イエローインクノズルから噴射されるイエローインクと、シアンインクノズルから噴射されるシアンインクと、をテストシートTS上に重ねて着弾させることにより、イエローインクとシアンインクを混合させる。この結果、イエローインクノズルのノズル検査パターンNPとして、イエローとシアンの混色(暗い黄緑色)のノズル検査パターンNP(以下、混合ノズル検査パターンNP(CY))が形成される。
混合ノズル検査パターンNP(CY)は、図11に示すように、イエローインクノズルを構成するノズル孔と同数のブロックBP(以下、混合ブロックBP(CY))からなる。図11は、混合ノズル検査パターンNP(CY)を示す図である。なお、図11中、混合ノズル検査パターンNP(CY)の隣には、イエローインクにて単色印刷されたイエローインクノズルのノズル検査パターンNP(Y)が比較例として示されている。
また、図11に示すように、各混合ブロックBP(CY)は、テストシートTSの地色部分に取り囲まれている。すなわち、第三処理では、前記地色部分に取り囲まれた混合ノズル検査パターンNP(CY)が形成される。また、混合ブロックBP(CY)は、それぞれ、イエローインクノズルを構成するノズル孔の一と対応している。混合ブロックBP(CY)とノズル孔との対応関係については、上述した対応関係と同様である。
以下、第三処理において混合ノズル検査パターンNP(CY)を形成する流れについて説明する。コントローラ60は、ヘッド23が該ヘッド23の移動範囲の一端を出た後、シアンインクノズルから噴射されるシアンインクを所定の単位領域に着弾させる。ここで、所定の単位領域とは、テストシートTSのうち、混合ノズル検査パターンNP(CY)の画像データを構成する画素データ、に対応する単位領域のことである。その後、ヘッド23が移動範囲の他端に向けて更に移動し当該他端に到達するまで期間内に、イエローインクノズルが前記所定の単位領域と対向するようになる。この際、コントローラ60は、イエローインクノズルからイエローインクを噴射させて、該イエローインクを前記所定の単位領域に着弾させる。
以上のように、コントローラ60は、1回のドット形成動作(1パス)の間にイエローインク及びシアンインクをテストシートTS上に重ねて着弾させる。なお、重なって着弾するイエローインク及びシアンインクは、搬送方向において互いに同じ位置に位置するシアンインクノズル孔及びイエローインクノズル孔から噴射されるものである。分かり易く述べると、#kのシアンインクノズル孔から噴射されたシアンインクが着弾した位置には、#kのイエローインクノズル孔から噴射されるイエローインクが着弾する。また、各インクを着弾させる順番については、シアンインクをテストシートTSに着弾させてからイエローインクを該シアンインクに重ねて着弾させる場合に限定されず、上記の順番とは逆の順番であってもよい。
そして、前記所定の単位領域に着弾したイエローインク及びシアンインクは、混合して該所定の単位領域に、シアンとイエローとの混色のドット(具体的には、暗い黄緑色のドット)を形成するようになる。この結果、テストシートTSに、当該混色のドットからなる混合ノズル検査パターンNP(CY)が形成されるようになる。なお、1パスの間にイエローインク及びシアンインクをテストシートTS上に重ねて着弾させることにより、該イエローインク及びシアンインクを別々のパスでテストシートTSに着弾させる場合と比較して、該イエローインク及びシアンインクがより良好に混合する。
上記手順により形成された混合ノズル検査パターンNP(CY)は、例えば、テストシートTSの地色が黄色である場合、該地色との関係においてイエロー単色のノズル検査パターンNP(Y)よりも識別し易い色を有するようになる。これにより、イエローインクノズルのノズル検査パターンNPが、図11に示すように、イエローインクにより単色印刷された場合と比較してより視認され易くなる。また、前述したように、混合ノズル検査パターンNP(CY)はテストシートTSの地色部分に取り囲まれているので、ユーザは、混合ノズル検査パターンNP(CY)が視認する際に、該混合ノズル検査パターンNP(CY)の色と地色部分の色とを対比する。
なお、本実施形態では、混合させるイエローインク及びシアンインクの各々の噴射量が、略等量になるように設定されている。つまり、前記各々の噴射量が、両インクを混合させたときの各インクの混合比率が略50%となるように設定されている。但し、これに限定されるものではなく、イエローインク及びシアンインクのうちの一方を他方よりも多くテストシートTSに着弾させて前記混合比率を調整することとしてもよい。当該混合比率を適宜な値に調整することにより、両インクを混合させた色とテストシートTSの地色とのコントラストがより大きくなる場合がある。かかる場合には、混合ノズル検査パターンNP(CY)をより視認され易くするために、前記混合比率を適宜調整することが望ましい。
さらに、混合ノズル検査パターンNP(CY)は、イエローインクノズル及びシアンインクノズルの双方のインク噴射不良を検査するためのものである。つまり、コントローラ60は、検査対象ノズル及び他のノズルの双方のインク噴射不良を検査するためのノズル検査パターンNPとして、混合ノズル検査パターンNP(CY)を形成する。したがって、ユーザは、混合ノズル検査パターンNP(CY)を視認することにより、イエローインクノズル及びシアンインクノズルの双方について、インク噴射不良の状態にあるか否かを同時に検査することが可能である。この結果、効率良くノズル検査を行うことが可能となる。
具体的に説明すると、イエローインクノズル(あるいはシアンインクノズル)を構成するノズル孔と同数(すなわち、90個)の混合ブロックBP(CY)からなる混合ノズル検査パターンNP(CY)が形成された場合には、イエローインクノズル及びシアンインクノズルが双方とも正常であると判断される。反対に、一部又は全部の混合ブロックBP(CY)が適切に形成されなかった場合、イエローインクノズル(あるいはシアンインクノズル)がインク噴射不良の状態にあると判断される。混合ブロックBP(CY)が適切に形成されないとは、該混合ブロックBP(CY)の色が、イエローインク及びシアンインクを混合させた色にならない場合(つまり、イエロー単色かシアン単色である場合、若しくは、テストシートTSの地色のままとなる場合)である。
<第四処理について>
第四処理は、他のノズルから噴射されるインクをテストシートTSに着弾させて、当該他のノズルから噴射されるインクにより構成される下地を形成した後、検査対象ノズルから噴射されるインクを下地上に着弾させて、該下地上に、当該検査対象ノズルから噴射されるインクにより構成されるノズル検査パターンNPを形成する処理である。さらに、第四処理では、前記検査対象ノズルのノズル検査パターンNPを、下地に取り囲まれるように形成する。これにより、検査対象ノズルから噴射されるインクがテストシートTSの種類との関係で識別し難い色(つまり、テストシートTSの地色と対比させた場合には識別され難い色)を有するとしても、該検査対象ノズルのノズル検査パターンNPを際立たせて、ユーザに視認され易くすることが可能になる。
なお、第四処理において他のノズルから噴射されるインク(すなわち、下地を構成するインク)は、その色とテストシートTSの地色とのコントラストが、検査対象ノズルから噴射されるインクの色と該地色とのコントラストよりも大きいインクである。また、ノズル検査パターンNPを際立たせる観点から考えると、他のノズルから噴射されるインクについては、前記地色とのコントラストがより大きい色のインクであることが望ましい。
第四処理について具体的に説明するため、以下、白インクノズルを検査対象ノズルとし、ブラックインクノズルを他のノズルとして該第四処理を実行する場合を例に挙げて説明する。
コントローラ60は、白インクノズルのノズル検査パターンNP(W)を形成するために第四処理を実行する場合、先ず、ブラックインクノズルから噴射されるブラックインクをテストシートTSの所定領域に着弾させる。ここで、所定領域とは、白インクノズルのノズル検査パターンNP(W)が形成された際に該ノズル検査パターンNP(W)を包囲する略矩形状の領域である。そして、コントローラ60は、当該所定領域にブラックインクをベタ打ちして、ブラックインクにより構成される背景画像BGをテストシートTSに形成する。背景画像BGは、前述した下地の一例であり、前記所定領域と同様の形状及びサイズを有する。
上記の背景画像BGが形成された後、コントローラ60は、該背景画像BG上に白インクノズルから噴射される白インクを着弾させる。この結果、図12に示すように、背景画像BGに取り囲まれ、かつ、白インクノズルから噴射されるインク(白インク)により構成されるノズル検査パターンNP(W)が形成される。図12は、背景画像BG上に形成されたノズル検査パターンNP(W)を示す図である。
白インクノズルのノズル検査パターンNP(W)は、図12に示すように、白インクノズルを構成するノズル孔と同数のブロックBP(W)からなる。各ブロックBP(W)は図12に示すように、背景画像BG上に浮島状に形成されている。かかる形状を有する白インクノズルのノズル検査パターンNP(W)は、その周囲(具体的には、各ブロックBP(W)の周囲)が背景画像BGに取り囲まれている結果、より際立つようになる。これにより、例えば、テストシートTSの地色が白色である場合、該地色との関係において識別し難い白インクにより構成されるノズル検査パターンNP(W)が、背景画像BGによってユーザに視認され易くなる。
なお、背景画像BGを形成する際には、一部のブラックインクノズル孔においてノズル抜けが発生した場合の影響を回避するため、複数のブラックインクノズル孔からブラックインクを噴射させて前記背景画像BGを形成することが望ましい。
また、背景画像BG上に白インクノズルのノズル検査パターンNP(W)を形成するために、例えば、背景画像BGが形成された後に搬送ローラ33を反転方向に回転させてテストシートTSを搬送方向の上流側へ戻すことにより、該テストシートTSを、前記背景画像BG上に白インクノズルのノズル検査パターンNP(W)が形成される位置に位置させることとしてもよい。あるいは、背景画像BGが形成された後にテストシートTSを排紙し、該テストシートTSを再びプリンタ10内に給紙してもよい。
<<ノズル検査パターン形成処理の流れ>>
本実施形態において、コントローラ60は、検査対象ノズルのノズル検査パターンNPをテストシートTSに形成する際、上述した第一処理及び第二処理をテストシートTSの種類に応じて切替えて実行する。また、コントローラ60は、ヘッド23に備えられた複数のノズルの各々を検査対象ノズルとして、各々のノズル検査パターンNPを形成する。そして、コントローラは、当該各々のノズル検査パターンNPを形成する際に、当該各々のノズル検査パターンNPのうちのどのノズル検査パターンNPを第一処理及び第二処理のうちの第一処理により形成するかを、テストシートTSの種類としての該テストシートTSの色に応じて変化させる。
上記内容について具体的に説明するために、本実施形態においてノズル検査パターン形成する処理(ノズル検査パターン形成処理)の流れを図13及び図14を参照しながら説明する。図13は、本実施形態のノズル検査パターン形成処理の流れの一例を示した図である。図14は、プリンタドライバ111がユーザ要求を受け付けてからノズル検査パターンNPの印刷データを送信するまでの流れを示した図である。
本実施形態のノズル検査パターン形成処理では、先ず、図13に示すように、プリンタ10のコントローラ60が、ノズル検査パターンNPの印刷データをプリンタドライバ111から受信するところから始まる(S021)。印刷データは、複数のノズルの各々を検査対象ノズルとして生成される。
図14を参照しながら詳しく説明すると、ユーザがノズル検査ボタン122aをクリックすると、プリンタドライバ111は、ユーザ要求を受け付け(S101)、ノズル検査パターンNPの印刷データの生成を開始する。プリンタドライバ111は、印刷データの生成を開始するにあたり、図15に図示された、ユーザにテストシートTSの色(地色)を指定させるための指定画面124を表示する。図15は、指定画面124を示す図である。
ユーザが上記指定画面124において準備したテストシートTSの色を指定することにより、プリンタドライバ111は該テストシートTSの色を特定する(S102)。すなわち、本実施形態では、ノズル検査パターンNPを形成するにあたり、テストシートTSの種類として該テストシートTSの色を特定する。そして、プリンタドライバ111は、特定したテストシートTSの色に応じて、各ノズル検査パターンNPの印刷データを生成する(S103)。その後、プリンタドライバ111は、当該印刷データをプリンタ10に向けて送信する(S104)。
ここで、プリンタドライバ111は、検査対象ノズルから噴射されるインクの色、及び、特定されたテストシートTSの種類としての該テストシートTSの色に基づいて、該検査対象ノズルのノズル検査パターンNPの印刷データを生成する。具体的に説明すると、プリンタドライバ111は、検査対象ノズルのノズル検査パターンNPの印刷データとして、下記3種類の印刷データの中から一種類の印刷データを、該検査対象ノズルから噴射されるインクの色及びテストシートTSの色に基づいて選択し、当該印刷データを生成する。
(1)検査対象ノズルから噴射されるインクのみにより構成されるノズル検査パターンNPの印刷データ
(2)検査対象ノズル及び他のノズルから噴射されるインクを混合させた混合ノズル検査パターンNPの印刷データ
(3)他のノズルから噴射されるインクにより構成される背景画像BGに取り囲まれ、かつ、検査対象ノズルから噴射されるインクにより構成されるノズル検査パターンNPの印刷データ
なお、検査対象ノズルから噴射されるインクの色及びテストシートTSの色と、該検査対象ノズルのノズル検査パターンNPの印刷データの種類との対応関係は、図16に示す通りであり、当該対応関係を示す情報はコンピュータ110のメモリ(不図示)に記憶されている。図16は、ノズル検査パターンNPの印刷データの種類と、検査対象ノズルから噴射されるインクの色及びテストシートTSの色との対応関係を示す図である。
プリンタドライバ111は、前記対応関係を示す情報をメモリから読み出し、当該対応関係に従って、上記3種類の印刷データの中から一の種類の印刷データを選択して、当該印刷データを生成する。
また、混合ノズル検査パターンを形成するために検査対象ノズルから噴射されるインクと混合させたり、背景画像BGを構成させたりするのに用いられるインク(すなわち、他のノズルから噴射されるインク)については、図16に示すように、検査対象ノズルから噴射されるインクの色及びテストシートTSの色に応じて予め決められている。換言すると、他のノズルから噴射されるインクは、検査対象ノズルから噴射されるインクの色及びテストシートTSの色に応じて切替えられる。
例えば、イエローインクノズルを検査対象ノズルとして黄色のテストシートTSにノズル検査パターンNPを形成する場合には、イエローインクノズルから噴射されるインク(イエローインク)と重ねて前記テストシートTSに着弾させるインクをシアンインクとする(換言すると、他のノズルをシアンインクとする)。そして、イエローインク及びシアンインクを混合させた混合ノズル検査パターンNP(CY)の印刷データが生成される。
また、白インクノズルを検査対象ノズルとして白色のテストシートTSにノズル検査パターンNPを形成する場合には、白インクノズルから噴射されるインク(白インク)と重ねて前記テストシートTSに着弾させるインクをブラックインクとする(換言すると、他のノズルをブラックインクノズルとする)。そして、ブラックインクにより構成される背景画像BGに取り囲まれ、かつ、白インクにより構成されるノズル検査パターンNP(W)の印刷データが生成される。
次に、プリンタ10のコントローラ60は、受信した印刷データに基づいてドット形成動作と搬送動作を繰り返し、複数のノズルの各々を検査対象ノズルとして、各々のノズル検査パターンNPをテストシートTSに形成する。
ここで、各々のノズル検査パターンNPの印刷データの種類は、前述したように、テストシートTSの色及び検査対象ノズルから噴射されるインクの色によって変わっている。このことをコントローラ60の立場から説明する。
コントローラ60は、各々のノズル検査パターンNPの印刷データを受信すると、当該印刷データに基づいて各々の前記ノズル検査パターンNPを形成する。このとき、コントローラ60は、ノズル検査パターンNP毎に、該ノズル検査パターンNPを形成する処理としての第一処理及び第二処理をテストシートTSの種類としての該テストシートTSの色に応じて切替えて実行する。
つまり、本実施形態において、コントローラ60は、各々のノズル検査パターンNPを形成する際、当該各々のノズル検査パターンNPのうちのどのノズル検査パターンNPを第一処理及び第二処理のうちの第一処理により形成するかを、テストシートTSの色に応じて変化させる(図13中、S022、S023)。換言すると、コントローラ60は、前記各々のノズル検査パターンNPのうちのどのノズル検査パターンNPを第二処理により形成するかを、テストシートTSの色に応じて変化させる。ここで、テストシートTSの色とは、ユーザが指定画面124にて指定することによりプリンタドライバ111が特定したテストシートTSの色である。そして、コントローラ60は、プリンタドライバ111により特定されたテストシートTSの色に応じて第一処理及び第二処理を切替えて実行する。
さらに、コントローラ60は、第一処理を実行する際には上述した第三処理及び第四処理のいずれかを実行する。そして、コントローラ60は、各々のノズル検査パターンNPのうちの第一処理により形成されるノズル検査パターンNPを第三処理及び第四処理のいずれの処理により形成するかを、テストシートTSの種類としての該テストシートTSの色、及び、検査対象ノズルから噴射されるインクの色に応じて変化させる。
また、コントローラ60は、第三処理及び第四処理において検査対象ノズルから噴射されるインクと重ねてテストシートTSに着弾させるインク、すなわち、他のノズルから噴射されるインクの色を、テストシートTSの種類としての該テストシートTSの色、及び、検査対象ノズルから噴射されるインクの色に応じて変化させる。
以上の内容をより具体的に説明するために、テストシートTSとして黄色のテストシートTS、青色のテストシートTS、白色のテストシートTS、及び、透明色のテストシートTSを例に挙げ、それぞれのテストシートTSに各々のノズル検査パターンNPを形成するケースについて説明する。
<黄色のテストシートTSを用いるケース>
本ケースにおいて用いるテストシートTSは、地色が有彩色の媒体であり、具体的には黄色の用紙である。本ケースにおいて、コントローラ60は、図13に示すように、ヘッド23に備えられた複数のノズルのうち、マゼンタインクノズル、ブラックインクノズル、及び、白インクノズルの各々を検査対象ノズルとしてノズル検査パターンNPを形成する場合(S024)、第二処理を実行する(S025)。すなわち、マゼンタインクノズル、ブラックインクノズル、及び、白インクノズルの各々のノズル検査パターンNPは、図17に示すように、対応するノズルから噴射されるインクにより単色印刷される。図17は、黄色のテストシートTSに形成された各々のノズル検査パターンNPを示す図である。
一方、コントローラ60は、図13に示すように、イエローインクノズルを検査対象ノズルとしてノズル検査パターンNPを形成する場合(S024)、第一処理のうちの第三処理を実行する(S026)。すなわち、コントローラ60は、テストシートTSの色及び検査対象ノズルから噴射されるインクの色が、共に有彩色であり、かつ、同じ色相(本ケースでは黄色)である場合、検査対象ノズル及び他のノズルから噴射されるインクをテストシートTS上に重ねて着弾させることにより該インクを混合させる。ここで、他のノズルはシアンインクノズルであり、混合させるインクはイエローインク及びシアンインクである。
この結果、図17に示すように、イエローインクノズルのノズル検査パターンNPとして、混合ノズル検査パターンNP(CY)が形成される。混合ノズル検査パターンNP(CY)は、イエローインク及びシアンインクを混合させた色(暗い黄緑色)を有している。この色は、黄色のテストシートTSとの関係においてイエロー単色よりも識別し易い色である。このため、イエローインクノズルのノズル検査パターンNPである混合ノズル検査パターンNP(CY)は、イエローインクにより単色印刷されたノズル検査パターンNPよりもユーザに視認され易くなる。
なお、前述したように、混合ノズル検査パターンNP(CY)は、シアンインクノズル(他のノズル)のインク噴射不良を検査するためのパターンでもある。したがって、図17に示すように、印刷データが無くなるまでドット形成動作と搬送動作が繰り返された時点で(S027)、マゼンタインクノズルのノズル検査パターンNP(M)、ブラックインクノズルのノズル検査パターンNP(K)、白インクノズルのノズル検査パターンNP(W)、及び、混合ノズル検査パターンNP(CY)が形成されることになる。つまり、本ケースでは、5色のノズルの各々を検査対象ノズルとして、4つのノズル検査パターンNPが形成されることになる。故に、ユーザは、5色のノズルの各々を検査するにあたり、4つのノズル検査パターンを視認することになる。
<青色のテストシートTSを用いるケース>
本ケースにおいて用いるテストシートTSは、地色が有彩色の媒体、具体的には青色の用紙である。本ケースにおいて、コントローラ60は、図13に示すように、イエローインクノズル、ブラックインクノズル、及び、白インクノズルの各々を検査対象ノズルとしてノズル検査パターンNPを形成する場合、第二処理を実行する(S028、S029)。
一方、コントローラ60は、シアンインクノズルを検査対象ノズルとしてノズル検査パターンNPを形成する場合、第三処理を実行する(S030)。すなわち、コントローラ60は、テストシートTSの色及び検査対象ノズルから噴射されるインクの色が、共に有彩色であり、かつ、青色の色相である場合には、検査対象ノズル及び他のノズルから噴射されるインクをテストシートTS上に重ねて着弾させることにより該インクを混合させる。ここで、他のノズルはマゼンタインクノズルであり、混合させるインクはシアンインク及びマゼンタインクである。
この結果、シアンインクノズルのノズル検査パターンNPとして、シアン及びマゼンタの混色のノズル検査パターンNP(以下、混合ノズル検査パターンNP(CM))が形成される。混合ノズル検査パターンNP(CM)は、テストシートTSの色との関係においてユーザに識別され易い色(赤色)を有しているため、シアンインクにより単色印刷されるノズル検査パターンNPよりもユーザに視認され易くなる。
なお、混合ノズル検査パターンNP(CM)は、マゼンタインクノズル(他のノズル)のインク噴射不良を検査するためのパターンでもある。したがって、本ケースにおいても、黄色のテストシートTSを用いるケースと同様、5色のノズルの各々を検査対象ノズルとして、4つのノズル検査パターンNPが形成されることになる。故に、ユーザは、5色のノズルの各々を検査するにあたり、4つのノズル検査パターンを視認することになる。
<白色のテストシートTSを用いるケース>
本ケースにおいて用いるテストシートTSは、普通紙のように地色が白色である媒体である。本ケースでは、図13に示すように、コントローラ60がCMYKの4色のノズルの各々を検査対象ノズルとしてノズル検査パターンNPを形成する場合、第二処理を実行する(S031、S032)。
一方、白インクノズルを検査対象ノズルとしてノズル検査パターンNPを形成する場合、コントローラ60は第一処理のうちの第四処理を実行する(S033)。すなわち、コントローラ60は、テストシートTSの種類としての該テストシートTSの色、及び、検査対象ノズルから噴射されるインクの色が共に白色である場合には、先ず、他のノズルであるブラックインクノズルから噴射されるインク(ブラックインク)により構成される背景画像BGを形成する。その後、コントローラ60は、背景画像BG上に白インクノズルから噴射される白インクを着弾させる。
この結果、図18に示すように、背景画像BGに取り囲まれ、かつ、白インクにより構成されるノズル検査パターンNP(W)が形成される。図18は、白色のテストシートTSに形成された各々のノズル検査パターンNPを示す図である。白インクノズルのノズル検査パターンNP(W)は、背景画像BGに取り囲まれることにより、テストシートTSの色(すなわち、白色)との関係において際立つようになり、ユーザに視認され易くなる。
<透明色のテストシートTSを用いるケース>
本ケースにおいて用いるテストシートTSは、無色透明のフィルムシートのように地色が透明色の媒体、すなわち透明媒体である。本ケースでは、図13に示すように、コントローラ60がブラックインクノズル及び白インクノズルの各々を検査対象ノズルとしてノズル検査パターンNPを形成する場合、第二処理を実行する(S034、S035)。
一方、シアンインクノズル、マゼンタインクノズル、イエローインクノズルを検査対象ノズルとしてノズル検査パターンNPを形成する場合、コントローラ60は第四処理を実行する(S036)。すなわち、コントローラ60は、テストシートTSが透明媒体であり(換言すると、テストシートTSの色が透明色であり)、かつ、検査対象ノズルから噴射されるインクの色が有彩色である場合、先ず、他のノズルである白インクノズルから噴射されるインク(白インク)により構成される背景画像BGを形成する。その後、コントローラ60は、背景画像BG上に各検査対象ノズルから噴射されるインク(シアンインク、マゼンタインク、イエローインク)を着弾させる。
この結果、背景画像BGに取り囲まれ、かつ、検査対象ノズルから噴射されるインクにより構成されるノズル検査パターンNP(C)、NP(M)、NP(Y)が形成される。有彩色のインクは、透明色のテストシートTSに直接着弾させると識別され難くなるが、当該有彩色のインクにより構成されるノズル検査パターンNP(C)、NP(M)、NP(Y)であっても、背景画像BGに取り囲まれることによって際立ち、ユーザに視認され易くなる。
なお、本ケースにおいて、ブラックインクノズルを検査対象ノズルとしてノズル検査パターンNPを形成する場合、第二処理を実行することとしたが、これに限定されるものではない。ブラックインクノズルのノズル検査パターンNPについても第四処理にて形成することとしてもよい。
===本実施形態のプリンタ10の有効性===
以上までに説明してきたように、本実施形態のプリンタ10では、コントローラ60が、検査対象ノズルのノズル検査パターンNPを形成する処理としての第一処理及び第二処理を、該ノズル検査パターンNPが形成されるテストシートTSの種類(具体的には、テストシートTSの地色)に応じて切替えて実行する。
第一処理では、検査対象ノズル及び他のノズルから噴射されるインクをテストシートTS上に重ねて着弾させることにより、該検査対象ノズルのノズル検査パターンNPの色をより識別し易い色に変えたり、該検査対象ノズルのノズル検査パターンNPを際立たせることが可能である。したがって、第一処理は、検査対象ノズルが噴射するインクがテストシートTSの種類との関係で識別し難い色を有する場合に有効な処理である。
一方、第二処理は、検査対象ノズルが噴射するインクのみにより構成されるノズル検査パターンNPを形成する処理であるため、第一処理のようにテストシートTS上にインクを重ねて着弾させる等の必要がない分、より容易に実行される。したがって、第二処理は、検査対象ノズルが噴射するインクがテストシートTSの種類との関係で識別し易い色を有する場合に有効な処理である。
そして、第一処理及び第二処理をテストシートTSの種類に応じて切替えて実行することにより、検査対象ノズルのノズル検査パターンNPを、第一処理及び第二処理のうち、テストシートTSの種類との関係から見てより適当な処理によって形成することが可能になる。すなわち、本実施形態のプリンタ10では、ノズル検査パターンNPがテストシートTSの種類に応じて適切に形成されることとなる。
また、上述した4つのケースから分かるように、本実施形態では、コントローラ60が、ヘッド23に備えられた複数のノズルの各々を検査対象ノズルとして、各々のノズル検査パターンNPを形成し、各々の前記ノズル検査パターンのうちのどのノズル検査パターンを前記第一処理及び前記第二処理のうちの第一処理により形成するかを、テストシートTSの種類に応じて変化させる。これにより、ノズル検査パターンNPを形成する処理を、該ノズル形成パターン毎に、第一処理及び第二処理のうち、テストシートTSの種類との関係から見てより適当な処理に決めることが可能になる。この結果、複数のノズルの各々のノズル検査パターンNPが、テストシートTSの種類に応じて適切に形成されることになる。但し、これに限定されるものではなく、例えば、ノズル検査パターンNPを形成する処理として第一処理及び第二処理のいずれの処理を実行するのかを、複数のノズルの間で一括して決めることとしてもよい。
さらに、上述した4つのケースから分かるように、コントローラ60は、第一処理として、第三処理及び第四処理のいずれかを実行し、各々のノズル検査パターンNPのうちの前記第一処理により形成されるノズル検査パターンNPを前記第三処理及び前記第四処理のいずれにより形成するかを、テストシートTSの種類及び前記検査対象ノズルから噴射されるインクの色に応じて変化させることとした。これにより、第一処理により形成されるノズル検査パターンNPを、テストシートTSの種類と検査対象ノズルから噴射されるインクの色に応じて、より視認され易くなるように形成することが可能になる。
===第二実施形態について===
上記の実施形態(以下、第一実施形態)では、プリンタドライバ111が、ユーザの指定画面124上での操作を受け付けることにより、テストシートTSの種類としての該テストシートTSの色を特定することとした。但し、テストシートTSの色を特定する方策としては上記内容に限定されるものではなく、他の例(以下、第二実施形態)も考えられる。以下、第二実施形態のプリンタ10について、図19を参照しながら説明する。図19は、第二実施形態のプリンタ10の全体構成を示すブロック図である。
第二実施形態のプリンタ10は、図19に示すように、検出器の一つとしての測色器51を内蔵している。この測色器51は、テストシートTSの色を測定するための機器である。本実施形態の測色器51は、テストシートTS中の所定範囲の色を測定して当該所定範囲の測色値を取得するための分光測色計である。また、測色器51は、搬送方向において給紙ローラ31が配置された位置よりも上流側の位置に取り付けられている。但し、測色器51の取り付け位置については上記の位置に限定されるものではない。
第二実施形態では、第一実施形態と同様、テストシートTSがセットされた状態でユーザがノズル検査ボタン122aをクリックすると、プリンタドライバ111が、各々のノズル検査パターンNPの印刷データを生成する。プリンタドライバ111は、当該印刷データの生成を開始するにあたり、セットされたテストシートTSの色を測定させる命令をプリンタ10に向けて出力する。プリンタ10のコントローラ60は、当該命令を受信すると、測色器51によりテストシートTSの色を測定し、測色値を示す情報をプリンタドライバ111に向けて出力する。プリンタドライバ111は、前記測色値を示す情報を受信した後、当該測色値を示す情報に基づいて、各々のノズル検査パターンNPの印刷データを生成し、当該印刷データをプリンタ10に向けて送信する。
プリンタ10のコントローラ60は、前記印刷データを受信すると、当該印刷データに基づいて、各々のノズル検査パターンNPをテストシートTSに形成する。この際、コントローラ60は、ノズル検査パターンNP毎に、該ノズル検査パターンNPを形成する処理としての第一処理及び第二処理を、測色器51により測定された色(すなわち、テストシートTSの測色値)に応じて切替えて実行する。
また、コントローラ60は、各々のノズル検査パターンNPのうちのどのノズル検査パターンNPを第一処理及び第二処理のうちの第一処理により形成するか、を測色器51により測定された色に応じて変化させる。さらに、コントローラ60は、各々のノズル検査パターンNPのうちの第一処理により形成されるノズル検査パターンNPを第三処理及び第四処理のいずれにより形成するか、を測色器51により測定された色、及び、検査対象ノズルから噴射されるインクの色に応じて変化させる。
以上のように、第二実施形態では、テストシートTSの種類は測色器51により測定された色であり、当該測色器51によってテストシートTSの色を測定することにより該テストシートTSの色を特定することになる。そして、プリンタ10のコントローラ60は、当該測色器51により測定された色に基づいて、第一処理及び第二処理を切替えて実行する。これにより、テストシートTSの色を正確に特定することが可能となる結果、該テストシートTSの色に応じてノズル検査パターンNPをより適切に形成することが可能になる。かかる点においては第二実施形態の方が望ましい。
一方、第二実施形態に係るプリンタ10は、測色器51が備えられる分、第一実施形態に係るプリンタ10よりも複雑な構成となり割高となる。したがって、装置がより簡略化される点、及び、生産コストが抑えられる点においては第一実施形態の方が望ましい。
===第三実施形態について===
第一実施形態では、他のノズルから噴射されるインクにより構成される下地として背景画像BGを形成する場合について説明した。そして、当該背景画像BGに検査対象ノズルから噴射されるインクを着弾させて、前記背景画像BGに取り囲まれ、かつ、前記検査対象ノズルから噴射されるインクにより構成されるノズル検査パターンNPを形成することとした。但し、下地については、上記の背景画像BGとは異なる下地を形成する場合(以下、第三実施形態)も考えられる。以下、第三実施形態について説明する。なお、以下の説明では、検査対象ノズルを白インクノズルとし、他のノズルをブラックインクノズルとし、白色のテストシートTSに白インクノズルのノズル検査パターンNP(W)を形成する場合を具体例に挙げて説明する。
第三実施形態において、コントローラ60は、ブラックインクノズルから噴射されるインク(ブラックインク)を、テストシートTSの所定の単位領域に着弾させて、図20Aに示すような下地パターンUGを形成する。所定の単位領域とは、白インクノズルのノズル検査パターンNP(W)の画像データを構成する画素データ、と対応する単位領域である。なお、図20Aは、下地パターンUGを示す図である。
図20Aを参照しながら下地パターンUGについて詳しく説明する。下地パターンUGは、第三実施形態に係る下地に相当する。この下地パターンUGは、本来白インクノズルの検査パターンNP(W)が形成される領域に形成され、ブラックインクノズルから噴射されるインク(ブラックインク)により構成される。また、下地パターンUGは、ノズル検査パターンNP(W)と同様の形状を有し、白インクノズルを構成するノズル孔と同数の下地片UPからなる。下地パターンUGにおいて、各下地片UPは、図20Aに示すように、ノズル検査パターンNPにおける各ブロックBPの並び方と略同様の並び方にて並んでいる。
そして、コントローラ60は、下地パターンUG上を形成した後、該下地パターンUG上に白インクノズルから噴射されるインク(白インク)を重ね打ちする。この結果、図20Bに示すように、白インクノズルのノズル検査パターンNP(W)が、下地パターンUGを覆い隠すように形成される。より詳しく説明すると、当該ノズル検査パターンNP(W)を構成する各ブロックBP(W)が、下地パターンUGを構成する複数の下地片UPのうち、対応している下地片UPを覆い隠すようになる。図20Bは、下地パターンUG上に形成された白インクノズルのノズル検査パターンNP(W)を示す図である。
以上のように、第三実施形態では、白インクノズルのノズル検査パターンNP(W)と同じパターンを有する下地パターンUGが形成され、当該下地パターンUG上に白インクノズルのノズル検査パターンNP(W)が形成される。当該ノズル検査パターンNP(W)が形成された後には、白インクノズルのインク噴射不良の検査が、第一実施形態における検査手順とは異なる手順にて実施される。
具体的に説明すると、白インクノズルのノズル検査パターンNP(W)が下地パターンUGを覆い隠している場合、白インクノズルは全て正常であると判断される。換言すると、下地パターンUGが視認されない場合、白インクノズルは正常であると判断される。反対に、白インクノズルのノズル検査パターンNP(W)が、下地パターンUGを覆い隠せていない場合、白インクノズルがインク噴射不良の状態にあると判断される。つまり、ノズル検査パターンNP(W)中に下地パターンUG(より具体的には、下地片UP)を覆い隠せていないブロックBP(W)が存在する場合、当該ブロックBP(W)に対応する白インクノズル孔において、ノズル抜けが発生していると判断される。
以上のように、下地パターンUGを下地として形成した場合、白インクノズルのノズル検査パターンNP(W)は、際立たないものの、白インクノズルのインク噴射不良を検査するのに適した状態で形成される。また、下地を形成するために消費されるブラックインクの量については、下地パターンUGの方が背景画像BGよりも少なくなる。かかる点においては、第三実施形態の方が望ましい。他方、白インクノズルのノズル検査パターンNP(W)を際立たせることが可能である点においては、第一実施形態の方が望ましい。
===その他の実施の形態===
以上、上記実施の形態に基づき本発明に係る液体噴射装置、及び、ノズル検査パターン形成方法について説明したが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
特に、検査対象ノズルから噴射されるインクの色、及び、テストシートTSの色については上記実施形態に限定されるものではなく、他の色であってもよい。例えば、ヘッド23のノズル面に、CMYKの各色のノズル及び白インクノズルの他に、ライトシアン(LC)のインクを噴射するノズル、ライトマゼンタ(LM)のインクを噴射するノズル、ライトイエロー(LY)のインクを噴射するノズル、ダークイエロー(DY)のインクを噴射するノズル、ライトブラック(LK)のインクを噴射するノズル等が更に備えられていることとしてもよい。そして、コントローラ60が、上記ノズルの各々を検査対象ノズルとして各々のノズル検査パターンNPを形成する場合に、テストシートTSの種類に応じて第一処理及び第二処理を切替えて実行することとしてもよい。
また、上記実施形態では、第三処理により形成されるノズル検査パターンNPが、検査対象ノズル及び他のノズルの双方のインク噴射不良を検査するためのノズル検査パターンNPであることとした。すなわち、上記実施形態では、第三処理において、検査対象ノズル及び他のノズルのノズル検査パターンNPが同時に形成されることとしたが、これに限定されるものではない。検査対象ノズルのノズル検査パターンNPと、他のノズルのノズル検査パターンNPと、がそれぞれ別々に形成されることとしてもよい。
また、上記実施形態では、コントローラ60が第一処理として第三処理及び第四処理のいずれかを実行することとしたが、これに限定されるものではなく、前記第一処理として第三処理及び第四処理の双方を実行することとしてもよい。例えば、上記実施形態では、イエローインクノズルを検査対象ノズルとして透明媒体であるテストシートTSにノズル検査パターンNPを形成する場合には、白インクにより構成される背景画像BGを形成し、該背景画像BGに取り囲まれ、かつ、イエローインクにより構成されるノズル検査パターンNPを形成する(すなわち、第四処理を実行する)こととした。ここで、イエローインクノズルのノズル検査パターンNPを更に視認し易くするために、白インクにより構成される背景画像BG上にイエローインクとシアンインクを重ねて着弾させて、イエローインクノズルのノズル検査パターンNPとして、混合ノズル検査パターンNP(CY)を形成することとしてもよい(すなわち、第四処理の実行後に第三処理を実行することとしてもよい)。
また、上記実施形態では、プリンタドライバ111がノズル検査パターンNPの印刷データを生成し、プリンタ10のコントローラ60がプリンタドライバ111から印刷データを受信して当該印刷データに基づいてノズル検査パターンNPを形成することとした。そして、プリンタドライバ111は、テストシートTSの種類(具体的には、ユーザが指定画面124にて指定したテストシートTSの色、あるいは、測色器51により測定されたテストシートTSの色)に基づいて、各々のノズル検査パターンNPの印刷データを生成することとした。但し、これに限定されるものではなく、例えば、印刷データがプリンタ10のメモリ63に保存されていることとしてもよい。つまり、プリンタ10のコントローラ60がノズル検査パターンNPを形成する際に前記メモリ63に保存された印刷データを読み出す構成であってもよい。以下、当該構成について詳しく説明する。
上記の構成において、プリンタ10のメモリ63には、各々のノズル検査パターンNPの印刷データがテストシートTSの色に対応付けて保存されている。印刷データとテストシートTSの色との対応関係は、既述の対応関係(図16参照)と同様である。
一方、ユーザがノズル検査ボタン122aをクリックすると、プリンタドライバ111がプリンタ10にノズル検査パターンNPを形成させる命令を出力し、プリンタ10のコントローラ60は当該命令を受信する。その後、コントローラ60はノズル検査パターンNPを形成するために準備されたテストシートTSの色を特定する。なお、コントローラ60は、プリンタドライバ111から送信される情報(例えば、ユーザが指定画面124にて指定した色を示す情報)からテストシートTSの色を特定してもよく、あるいは、測色器51によりテストシートTSの色を測定して当該色を特定してもよい。
そして、コントローラ60は、メモリ63に保存されたノズル検査パターンNPの印刷データのうち、特定した色と対応付けられた印刷データを読み出し当該印刷データに基づいて各々のノズル検査パターンNPを形成する。ここで、メモリ63に保存された印刷データは、前述した3種類の印刷データに分類される。コントローラ60は、特定したテストシートTSの色に対応付けられた印刷データに基づいてノズル検査パターンNPを形成する。つまり、コントローラ60は、第一処理及び第二処理のうちのいずれの処理によりノズル検査パターンNPを形成するのかを特定した前記色に応じて決定することになる。さらに、コントローラ60は、各々のノズル検査パターンNPのうちの第一処理により形成されるノズル検査パターンNPを第三処理及び第四処理のいずれにより形成するかを、テストシートTSの色及び検査対象ノズルから噴射されるインクの色に応じて決定する。
以上のように、プリンタ10のメモリ63に各々のノズル検査パターンNPの印刷データがテストシートTSの色に対応付けて保存されており、プリンタ10のコントローラ60が、テストシートTSの色を特定し、特定した色に対応付けられた印刷データを前記メモリ63から読み出すこととしてもよい。かかる構成においても、コントローラ60は、ノズル検査パターンNPを形成する処理としての第一処理及び第二処理を、テストシートTSの色に応じて切替えて実行することになる。
また、上記実施形態では、テストシートTSの種類として該テストシートTSの色を特定することとした。そして、コントローラ60は、ノズル検査パターンNPを形成する処理としての第一処理及び第二処理を、テストシートTSの色に応じて切替えて実行することとした。但し、これに限定されるものではなく、テストシートTSの種類として、例えば、該テストシートTSの品種(例えば、普通紙、カラー用紙、透明フィルム等)を特定することとしてもよい。プリンタ10で使用することが想定されている媒体Sについては、該媒体Sの色が既知である。したがって、例えば、図15に示す指定画面124において、テストシートTSの色の代わりに、該テストシートTSの品種が選択されることとしてもよい。つまり、ノズル検査パターンNPが形成されるテストシートTSの種類に関する情報としては、当該媒体Sの色との関係において該ノズル検査パターンNPがより視認され易くなるように選択できる情報であればよい。
また、上記実施形態では、移動方向に移動するヘッド23を有するプリンタ10(所謂シリアルプリンタ)について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、移動せずに固定位置に配置されたヘッド23を有し、媒体Sの搬送方向と交差する方向に並ぶ複数のドットを一度に形成することが可能なプリンタ(所謂ラインプリンタ)にも本発明を具現化することが可能である。
また、上記実施形態では、液体噴射装置の一例としてのインクを噴射して画像を形成するプリンタ10について説明したしたが、この限りではなく、インク以外の他の液体(液体以外にも、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルのような液状体を含む)を噴射する液体噴射装置に具体化することもできる。
例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッセンス)ディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散または溶解のかたちで含む液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとして用いられ試料となる液体を噴射する液体噴射装置であってもよい。さらに、時計やカメラ等の精密機械にピンポイントで潤滑油を噴射する液体噴射装置、光通信素子等に用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するために紫外線硬化樹脂等の透明樹脂液を基板上に噴射する液体噴射装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリ等のエッチング液を噴射する液体噴射装置、ジェルを噴射する液状体噴射装置であってもよい。そして、これらのうちいずれか一種の液体噴射装置に本発明を適用することができる。