JP2013137456A - 電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、フェライトキャリア及びこれらの製造方法、並びに該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤 - Google Patents

電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、フェライトキャリア及びこれらの製造方法、並びに該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤 Download PDF

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Abstract

【課題】高強度であって、長時間にわたる攪拌ストレスの影響下でも、粒子の割れや欠けの発生を大幅に抑制すると共に、被覆樹脂との密着性に極めて優れる電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、フェライトキャリア及び該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤を提供すること。
【解決手段】Srを含有し、形状係数SF−1(円形度)が110〜120、形状係数SF−2(真円度)が110〜130のフェライト粒子からなり、該フェライト粒子の表面及び/又は空孔内表面に非磁性微粒子が付着し、該非磁性微粒子中の金属元素の存在量が該フェライト粒子に対して500〜5000ppmであり、かつ該非磁性微粒子中のSrの存在量が該フェライト粒子に対して50〜1000ppmであることを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、フェライトキャリア及びこれらの製造方法、並びに該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤を採用する。
【選択図】図1

Description

本発明は、複写機、プリンター等に用いられる二成分系電子写真現像剤に使用される電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、フェライトキャリア及びこれらの製造方法、並びに該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤に関する。
電子写真現像方法は、現像剤中のトナー粒子を感光体上に形成された静電潜像に付着させて現像する方法であり、この方法で使用される現像剤は、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤及びトナー粒子のみを用いる一成分系現像剤に分けられる。
こうした現像剤のうち、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤を用いた現像方法としては、古くはカスケード法等が採用されていたが、現在では、マグネットロールを用いる磁気ブラシ法が主流である。
二成分系現像剤において、キャリア粒子は、現像剤が充填されている現像ボックス内において、トナー粒子と共に攪拌されることによって、トナー粒子に所望の電荷を付与し、さらにこのように電荷を帯びたトナー粒子を感光体の表面に搬送して感光体上にトナー像を形成するための担体物質である。マグネットを保持する現像ロール上に残ったキャリア粒子は、この現像ロールから再び現像ボックス内に戻り、新たなトナー粒子と混合・攪拌され、一定期間繰り返して使用される。
二成分系現像剤は、一成分系現像剤とは異なり、キャリア粒子はトナー粒子と混合・攪拌され、トナー粒子を帯電させ、さらに搬送する機能を有しており、現像剤を設計する際の制御性が良い。従って、二成分系現像剤は高画質が要求されるフルカラー現像装置及び画像維持の信頼性、耐久性が要求される高速印刷を行う装置等に適している。
このようにして用いられる二成分系現像剤においては、画像濃度、カブリ、白斑、階調性、解像力等の画像特性が、初期の段階から所定の値を示し、しかもこれらの特性が耐刷期間中に変動せず、安定に維持されることが必要である。これらの特性を安定に維持するためには、二成分系現像剤中に含有されるキャリア粒子の特性が安定していることが必要になる。
二成分系現像剤を形成するキャリア粒子として、従来は、表面を酸化被膜で覆った鉄粉あるいは表面を樹脂で被覆した鉄粉等の鉄粉キャリアが使用されていた。このような鉄粉キャリアは、磁化が高く、導電性も高いことから、ベタ部の再現性のよい画像が得られやすいという利点がある。
しかしながら、このような鉄粉キャリアは真比重が約7.8と重く、また磁化が高すぎることから、現像ボックス中におけるトナー粒子との攪拌・混合により、鉄粉キャリア表面へのトナー構成成分の融着、いわゆるトナースペントが発生しやすくなる。このようなトナースペントの発生により有効なキャリア表面積が減少し、トナー粒子との摩擦帯電能力が低下しやすくなる。
また、樹脂被覆鉄粉キャリアでは、耐久時のストレスにより表面の樹脂が剥離し、高導電性で絶縁破壊電圧が低い芯材(鉄粉)が露出することにより、電荷のリークが生ずることがある。このような電荷のリークにより、感光体上に形成された静電潜像が破壊され、ベタ部にハケスジ等が発生し、均一な画像が得られにくい。これらの理由から、酸化被膜鉄粉及び樹脂被覆鉄粉等の鉄粉キャリアは、現在では使用されなくなってきている。
近年は、鉄粉キャリアに代わって真比重約5.0程度と軽く、また磁化も低いフェライトをキャリアとして用いたり、さらに表面に樹脂を被覆した樹脂コートフェライトキャリアが多く使用されており、現像剤寿命は飛躍的に伸びてきた。
このようなフェライトキャリアの製造方法としては、特許文献1(特開平8−22150号公報)に示されるように、フェライトキャリア原料を所定量混合した後、仮焼、粉砕し、造粒後に焼成を行うのが一般的であり、条件によっては仮焼を省略できる場合もある。
ところで、最近、環境規制が厳しくなり、Ni、Cu、Zn等の金属の使用は避けられるようになってきており、環境規制に適応した金属の使用が求められている。それに伴い、キャリア芯材として用いられるフェライト組成はCu−Znフェライト、Ni−ZnフェライトからMnを用いたMnフェライト、Mn−Mg−Srフェライト等に移行している。特許文献1(特開平8−22150号公報)では、一般式(MnO)x(MgO)y(Fe)zで示される組成の各酸化物の一部をSrOで置換したフェライトキャリアが記載されており、粒子間の磁化のバラツキを低減することができるとされている。
特許文献2(特開2000−235283号公報)には、アクリル変性シリコーン樹脂を被覆層とする電子写真現像剤用樹脂コートキャリアが記載され、キャリア芯材として小粒径のMn−Mg−Sr系フェライトが好ましく用いられることが示されている。
この特許文献2に記載の電子写真現像剤用樹脂コートキャリアは、トナーに対する帯電付与能力が高く、かつ耐刷時の帯電性が安定しており、さらに耐刷時のスペント性に優れ、しかも流動性が良好で、小粒径でも現像時のマグネットロール上でのキャリア搬送性が良く、感光体上へのトナー現像能力が良好で、かつ環境変動による帯電安定性に優れるとされている。
しかし、特許文献2に記載の電子写真現像剤用樹脂コートキャリアは、被覆樹脂の選択により上記効果を得るものであり、キャリア芯材の性状等を問題とするものではない。また、帯電性や流動性等の特性においても、必ずしも満足できるものではない。
また、特許文献3(特表2006−524627号公報)には、マンガン系フェライト材料を含むキャリアが記載されており、その製造において分散剤等と共に消泡剤を適量添加することができるとされているが、その詳細については記載されていない。
特許文献4(特開2010−181524号公報)には、ストロンチウムを含む特定のフェライト組成からなるキャリア芯材が記載されており、一次焼成及び本焼成することでキャリア芯材表面にストロンチウムが移動することがpH標準溶液による溶出量で示されているが、ストロンチウムはキャリア芯材表面に偏析して存在するものであり、キャリア芯材から独立して存在するものではない。
上述したように、経時における攪拌ストレスの影響下における粒子の割れや欠けを有効に防止し、かつ被覆樹脂とキャリア芯材の密着性を高める提案はなされていない。
特開平8−22150号公報 特開2000−235283号公報 特表2006−524627号公報 特開2010−181524号公報
従って、本発明の目的は、高強度であって、長時間にわたる攪拌ストレスの影響下でも、粒子の割れや欠けの発生を大幅に抑制すると共に、被覆樹脂との密着性に極めて優れる電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材、フェライトキャリア及び該フェライトキャリアを用いた電子写真現像剤を提供することにある。
本発明者らは、上記のような課題を解決すべく鋭意検討した結果、Srを含有し、円形度及び真円度が一定範囲にあり、その表面に存在する非磁性粒子中に存在する金属元素及び非磁性微粒子中に存在するSrが一定範囲にあるフェライトキャリア芯材が上記課題を解決し、このようなフェライトキャリア芯材は、Srを含むフェライト原料をバインダーであるポリビニルアルコール及び消泡剤であるポリアルキレングリコールの特定量と共に混合した後、スラリー化し、得られたスラリー粒子を造粒し、非酸化性雰囲気又は弱酸化性雰囲気で焼成することにより得られることを知見し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、Srを含有し、形状係数SF−1(円形度)が110〜120、形状係数SF−2(真円度)が110〜130のフェライト粒子からなり、該フェライト粒子の表面及び/又は空孔内表面に非磁性微粒子が付着し、該非磁性微粒子中の金属元素の存在量が該フェライト粒子に対して500〜5000ppmであり、かつ該非磁性微粒子中のSrの存在量が該フェライト粒子に対して50〜1000ppmであることを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材を提供するものである。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材において、上記フェライト粒子の組成が下記式(1)で表され、かつ下記式(1)中の(MnO)及び/又は(MgO)の一部がSrOで置換されていることが望ましい。
Figure 2013137456
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材において、上記SrOの置換量が0.1〜2.5モル%であることが望ましい。
また、本発明は、上記フェライトキャリア芯材の表面に樹脂が被覆されている電子写真現像剤用フェライトキャリアを提供するものである。
本発明は、Srを含むフェライト原料をバインダー及び消泡剤と共に混合した後、スラリー化し、次いでスラリー粒子を造粒し、得られた造粒物を非酸化性雰囲気又は弱酸化性雰囲気で焼成する電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法であって、上記バインダーがポリビニルアルコールであり、その含有量が上記造粒物に対して固形物換算で0.5〜3.5重量%であり、上記消泡剤がポリオキシアルキレングリコールであり、その含有量が上記造粒物に対して1〜1000ppmであることを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法を提供するものである。
本発明は、上記製造方法により得られたフェライトキャリア芯材の表面に樹脂を被覆することを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリアの製造方法を提供するものである。
本発明は、上記フェライトキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤を提供するものである。
また、本発明は、上記製造方法により得られたフェライトキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤を提供するものである。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、一定の円形度及び真円度を有すると共に、表面に非磁性微粒子及びSr化合物が一定量存在するため、その緩衝効果によって強度に優れる。そして、上記キャリア芯材に樹脂を被覆して得られるフェライトキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤は、長時間にわたる攪拌ストレスの影響下でも、フェライト粒子の割れや欠けの発生を大幅に抑制することができ、かつフェライト粒子の飛散量が極めて少ない。また、形状係数SF−1及びSF−2が一定範囲に制御されているためフェライトキャリア芯材と被覆樹脂との密着性に非常に優れていることから、経時における被覆樹脂の剥離が大幅に低減される。また、本発明の製造方法によって、上記フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリアが工業的規模をもって安定的に製造できる。
図1は、本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の一例を示す模式図である。
1 フェライトキャリア芯材(フェライト粒子)
2 空孔
3 フェライトキャリア芯材の表面及び/又は空孔内表面に付着している非磁性微粒子
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
<本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリア>
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、その組成にSrを含有する。その組成は特に限定されないが、下記式(1)で表され、かつ下記式(1)中の(MnO)及び/又は(MgO)の一部がSrOで置換されていることが望ましい。
Figure 2013137456
このような特定組成のフェライト粒子は、磁化が高く、磁化の均一性がよくバラツキが少ないため、フェライトキャリア芯材として望ましく用いられる。
上記特定組成において、SrOの置換量は0.1〜2.5モル%であることが望ましい。SrOの置換量が0.1モル%未満では、絶対的な芯材(フェライト粒子)表面へのSr化合物の移動量が少なすぎるため、形状係数SF−1及びSF−2が小さくなる恐れがある。よって、樹脂被覆後の被覆樹脂との密着性を維持するための適度な粒子形状又は凹凸が得られない。また、低磁化粒子の発生を抑制に寄与するマグネトプランバイト型フェライト(SrO)・6(Fe)及びSrFe(但し、a≧2、a+b≦c≦a+1.5b)に代表される立方晶でペロブスカイト型の結晶構造を持ったストロンチウムフェライトの前駆体の生成量が少ないため、低磁化の芯材粒子により飛散量が増加する。SrOの置換量が2.5モル%より大きい場合には、絶対的な芯材(フェライト粒子)表面へのSr化合物の移動量が多すぎるため、形状係数SF−1及びSF−2が大きくなる恐れがある。よって、樹脂被覆後の被覆樹脂との密着性に劣ったり、生産性に劣ったものとなる。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、形状係数SF−1(円形度)が110〜120である。形状係数SF−1がこの範囲にあることによって、フェライトキャリア芯材と被覆樹脂の密着性に優れる。形状係数SF−1が110未満では、粒子形状が球状に近いことを意味しており、被覆樹脂が剥がれようとする力を緩和する局部的な扁平性を有していないため、球形の曲面部より被覆樹脂クラックから剥がれが生じ、密着性に劣る。形状係数SF−1が120を超えると、粒子形状が悪化することを意味しており、粒子同士の接触面積が広くなる、あるいは接触点が多くなる。そのため、キャリア化した際、粒子同士の接触部分を拠点として被覆樹脂が集まりやすくなり、凝集粒子として篩い分けされてしまう。よって、もともとの仕込み樹脂量に対して、被覆量の絶対量が少なくなるため、密着性も劣る。
この形状係数SF−1は、日本電子社製JSM−6060Aを用い、加速電圧は20kVとし、フェライト粒子をSEMで450倍視野にて、フェライト粒子が重ならないように分散させて撮影し、その画像情報を、インターフェースを介してメディアサイバネティクス社製画像解析ソフト(Image−Pro PLUS)に導入して解析を行い、Area(面積)及びフェレ径(最大)を求め、下記式より算出し得られた値である。フェライト粒子の形状係数SF−2の形状が球形に近いほど100に近い値となり、数値が大きいほど不定形となる。形状指数SF−1は、1粒子毎に算出し、100粒子の平均値をそのフェライトキャリア芯材(フェライト粒子)の形状指数SF−1とした。
Figure 2013137456
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、形状係数SF−2(真円度)が110〜130である。形状係数SF−2がこの範囲にあることによって、フェライトキャリア芯材と被覆樹脂の密着性に優れる。形状係数SF−2が110未満では、粒子の凹凸が少ないことを意味しており、キャリア化した際、被覆する樹脂の表面への浸み込み(アンカー効果)が弱くなり、密着性に劣る。形状係数SF−2が130を超えると、粒子表面の凹凸が大きいことを意味しており、樹脂が浸み込み易くなるため、キャリア表面に樹脂が現れず、多量の被覆樹脂が必要となり、生産コストに劣る。
形状係数SF−2は、セイシン企業社製粒度・形状分布測定器PITA−1を用いてフェライト粒子3000個を観察し、装置付属のソフトウエアImageAnalysisを用いてS(投影面積)及びL(投影周囲長)を求め、下記式より算出し得られた値である。フェライト粒子の形状が球形に近いほど100に近い値となる。
なお、サンプル液は分散媒として粘度0.5Pa・sのキサンタンガム水溶液を調製し、その中にキサンタンガム水溶液30ccにフェライト粒子0.1gを分散させてものを用いた。このように分散媒の粘度を適正にあわすことでフェライト粒子が分散媒中で分散したままの状態を保つことが出来、測定をスムーズに行なうことが出来る。さらに測定条件は(対物)レンズの倍率は10倍、フィルタはND4×2、キャリア液1及びキャリア液2は粘度0.5Pa・sのキサンタンガム水溶液を使用し、その流量はいずれも10μl/sec、サンプル液流量0.08μl/secとした。
Figure 2013137456
図1に示されるように、本発明に係るフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)1は、フェライトキャリア芯材の表面や空孔2の表面(以下、表面と総称する)に付着している非磁性微粒子3が存在する。本発明では、この表面に付着している非磁性微粒子3中の金属元素の存在量がフェライト粒子に対して500〜5000ppmである。フェライト粒子(フェライトキャリア芯材)の表面に上記範囲の金属原子が存在する非磁性微粒子が付着することにより、非磁性微粒子が緩衝材としての機能を発揮し、長時間にわたる攪拌ストレスの影響下でも、フェライト粒子の割れ・欠けが発生するのを防止できる。非磁性微粒子中の金属原子の存在量が500ppm未満の場合には、フェライトキャリア芯材の表面存在する絶対量が少ないため、機械的ストレスがかかるとき、緩衝材として作用することができず、フェライト粒子の割れあるいは欠けが多く発生する。非磁性粒子中の金属原子の存在量が5000ppmより多いと、フェライトキャリア芯材表面及び/又は空孔内部表面に存在する絶対量が多くなるため、芯材の磁力が相対的に小さくなり、マグネットローラー上の磁力あるいは攪拌に伴う遠心力に耐え切れなくなり、飛散量が多くなる。
これらのフェライトキャリア芯材の表面に存在する非磁性微粒子としては、フェライト粒子のフェライト組成を形成する金属原子の酸化物や複合酸化物が挙げられ、金属元素としては、Fe、Mn、Mg、Sr等が挙げられる。
非磁性微粒子中のSrの存在量はフェライト粒子に対して50〜1000ppmである。この範囲において、良好な強度を有し、粒子割れあるいは欠けの発生が大幅に低減される。Srの存在量が50ppm未満では、芯材(フェライト粒子)表面へのSr化合物の移動が不十分であることを示しており、移動に伴う芯材表面への非磁性微粒子の発生が不十分となる。よって、粒子全体に緩衝ストレスを緩和することができず、粒子割れあるいは欠けが発生する。Srの存在量が1000ppmを超えると、芯材表面へのSr化合物の移動が顕著となり過ぎていることを示しており、比較的モース硬度の小さいストロンチウム成分を拠点に粒子への衝撃ストレスが一気に作用し、粒子割れあるいは欠けが発生する要因となる。
(非磁性微粒子中の金属元素量及びSr量の測定)
これらフェライトキャリア芯材の表面に存在する金属元素量及びSr量は、次のようにして測定される。
すなわち、200mlビーカー中にフェライト粒子10gをメタノール100mlに加え、120秒間超音波処理後、15秒間静置し、異方性フェライト磁石(表面磁束密度725ガウス、サイズ(mm):直径50×高さ10、磁石の重さ(g):96)を用いて上澄み液を分離した。上澄み液の溶剤を留去し、生じた残渣をシリカゲルの入ったデシケーター中にて24hr乾燥後、残渣重量を秤量した。秤量した残渣重量をフェライト粒子10gで除することにより、フェライトキャリア芯材(フェライト粒子)表面及び/又は空孔内部表面に付着している非磁性微粒子の金属元素量(重量%)を算出した。
また、残渣のSEM像を観測しながらEDS測定を行い、残渣全量を100%としたときのストロンチウム量を測定し、金属元素量(重量%)を乗じることにより、フェライトキャリア芯材に対する非磁性微粒子中のストロンチウム量(重量%)を算出した。
上記測定における処理装置及び処理条件は下記の通りである。
1.超音波処理
超音波処理装置名;ULTRASONIC HOMOGENIZER(UH−150モデル)、(株)エスエムテー社製
振動子接続部品;標準ホーン(HO−12)及び先端チップ(ST−12)を用い、専用スタンドにより、土台に対して振動子を垂直に組み立てる。
処理条件;処理中のパワーモニターメーター値:0.2、パルサーボリューム:定常、パワーコントローラー:4、タイマー設定スイッチ:120sec
2.SEM像測定
SEM像装置;JSM−6060A、JEOL社製
測定条件;加速電圧20KV、倍率×100にてSEM分析
3.EDS測定
EDS測定装置;EX−23000BU、JEOL社製
測定条件;試料表面の必要な元素マッピング(例えば鉄、マンガン、マグネシウム、ストロンチウム)収集を行ない、X線スペクトルを得た。得られたスペクトルピークから、金属の元素量(質量百分率)を測定して求めた。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、強度が4.0以下であることが望ましく、2.0以下がさらに望ましい。強度が4.0以下の場合には、非磁性微粒子中の金属元素の存在量が多いため、強度が高いことを示し、攪拌ストレスによる割れ・欠けが少ない。また、キャリア化しても耐刷による攪拌ストレスに対しても、割れ・欠けがなく、キャリア付着が抑制される。強度が4.0を超える場合には、非磁性微粒子中の金属元素の存在量及びSrの存在量が少ないため強度不足であり、攪拌ストレスによる割れ・欠けが非常に多い。また、キャリア化した際、耐刷による攪拌ストレスにより発生した割れ・欠け部分から、絶縁性を維持する被覆層から芯材が露出し、印加電圧によりキャリア付着が発生する可能性がある。この強度は下記により測定される。
(強度)
サンプルミルSAM(奈良機械製作所社製)に試料100gを投入し、標準ローターを用いて16000rpm設定下、10秒間破砕処理を行なった。破砕未処理の試料と破砕処理後の試料をそれぞれ400mg用意し、ブローオフ粉体帯電量装置TB−200(東芝ケミカル社製)を用いてブローオフにより795Mesh網を通過した数量を測定した。このときブローオフ条件は、ブロー圧(N2ガス)は0.5kg/cm、ブロー時間は30秒とした。測定終了後、下記式より、破砕未処理の微粉量と破砕処理後の微粉量をそれぞれ算出した。
Figure 2013137456
上記により得られた破砕処理後の試料の微粉量から、破砕処理前の試料の微粉量を差し引いた値を強度とする。
Figure 2013137456
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、レーザー回折式粒度分布測定装置により測定される平均粒径が好ましくは15〜120μm、より好ましくは15〜80μm、最も好ましくは15〜60μmである。体積平均粒径が15μm未満であると、キャリア付着が発生しやすくなるため好ましくない。体積平均粒径が120μmを超えると、画質が劣化しやすくなり、好ましくない。この体積平均粒径は、下記によって測定される。
(体積平均粒径)
装置として日機装株式会社製マイクロトラック粒度分析計(Model9320−X100)を用いた。分散媒には水を用いた。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、飛散量が1.0mg以下であることが望ましく、0.5mg以下であることがさらに望ましい。飛散量が1.0mg以下であることによって、キャリア化した際も、画像上でのキャリア付着が少ない。飛散量が1.0mgを超えると、キャリア化した際も、画像上でのキャリア付着が多くなる。この飛散量は下記により測定される。
(飛散量)
ここでいう飛散量とは、キャリア芯材のキャリア飛散は、直径50mm、表面磁力1000Gaussの磁気ドラムに実施例及び比較例で得られたキャリア芯材を500g充填し、270rpmで30分間回転させた後、飛散した粒子を回収し、その重量を測定することで行った。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、必要に応じて表面が酸化処理される。この表面酸化処理によって形成される酸化処理被膜の厚さは、0.1nm〜5μmであることが好ましい。0.1nm未満であると、酸化被膜層の効果が小さく、5μmを超えると、磁化が低下したり、高抵抗になりすぎるため、現像能力が低下する等の不具合が発生し易くなる。また、必要に応じて、酸化処理の前に還元を行ってもよい。酸化皮膜の厚さは酸化皮膜が形成されていることが確認できる程度の高倍率のSEM写真から測定することが出来る。なお、酸化皮膜は芯材表面に均一で形成されていても良いし、部分的に酸化皮膜形成されていても良い。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリアは、上記フェライトキャリア芯材の表面が樹脂で被覆されている。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリアは、樹脂被覆量が、フェライトキャリア芯材に対して0.1〜10重量%が望ましい。被覆量が0.01重量%未満ではキャリア表面に均一な被覆層を形成することが難しく、また10重量%を超えるとキャリア同士の凝集が発生してしまい、歩留まり低下等の生産性の低下と共に、実機内での流動性あるいは帯電量等の現像剤特性変動の原因となる。
ここに用いられる被覆樹脂は、組み合わせるトナー、使用される環境等によって適宜選択できる。その種類は特に限定されないが、例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フッ素アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、シリコーン樹脂、あるいはアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等の各樹脂で変性した変性シリコーン樹脂等が挙げられる。本発明では、アクリル樹脂、シリコーン樹脂又は変性シリコーン樹脂が最も好ましく用いられる。
またキャリアの電気抵抗や帯電量、帯電速度をコントロールすることを目的に、被覆樹脂中に導電剤を添加することができる。導電剤はそれ自身の持つ電気抵抗が低いことから、添加量が多すぎると急激な電荷リークを引き起こしやすい。従って、添加量としては、被覆樹脂の固形分に対し0.25〜20.0重量%であり、好ましくは0.5〜15.0重量%、特に好ましくは1.0〜10.0重量%である。導電剤としては、導電性カーボンや酸化チタン、酸化スズ等の酸化物、各種の有機系導電剤が挙げられる。
また、上記被覆樹脂中には、帯電制御剤を含有させることができる。帯電制御剤の例としては、トナー用に一般的に用いられる各種の帯電制御剤や、各種シランカップリング剤が挙げられる。これは被覆層の形成によって芯材露出面積を比較的小さくなるように制御した場合、帯電付与能力が低下することがあるが、各種の帯電制御剤やシランカップリング剤を添加することにより、コントロールできるためである。使用できる帯電制御剤やカップリング剤の種類は特に限定されないが、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等の帯電制御剤、アミノシランカップリング剤やフッ素系シランカップリング剤等が好ましい。
<本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリアの製造方法>
次に、本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリアの製造方法について説明する。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法は、Srを含むフェライト原料をバインダー及び消泡剤と共に混合した後、スラリー化し、次いでスラリー粒子を造粒し、得られた造粒物を非酸化性雰囲気又は弱酸化性雰囲気で焼成する。
フェライト原料をバインダー及び消泡剤と共に混合した後、スラリー化し、次いでスラリー粒子を造粒して造粒物を調製する方法は特に制限はない。例えば、原料として鉄化合物、Mn化合物、Mg化合物及びSr化合物を用い、さらにバインダー及び消泡剤、必要に応じてカーボンブラック等を添加して混合した後、水を加えてスラリー化し、次いでスプレードライヤーを用いてスラリー粒子を造粒して造粒物を調製する。
本発明では、バインダーとしてポリビニルアルコールを用いる。調製される造粒物に対するポリビニルアルコールの含有量は固形物換算で0.5〜3.5重量%である。この範囲では、焼成によりポリビニルアルコールがガスへと分解され、表面からの分解ガスの噴出の力により、局所的に表面芯材が欠け、微粉が発生し、一定の強度が得られる。造粒物に対するポリビニルアルコールの含有量が固形物換算で0.5重量%未満の場合には、ポリビニルアルコールの分解ガス量が少ないため、微粉が発生する量が少ないため、強度が低下する。また、造粒物に対するポリビニルアルコールの含有量が固形物換算で3.5重量%を超えると、ポリビニルアルコールが多すぎて焼成時に突沸し、粒子が破壊され、所望の粒度あるいは形状までもが得られなくなる。また、突沸に関与しない残存したポリビニルアルコールは、気化あるいは分解することなく焼成物中に残留してしまうため、フェライト本来の持つ磁化特性を阻害し、飛散量が増大してしまう。
本発明では、消泡剤としてポリオキシアルキレングリコールを用いる。このポリオキシアルキレングリコールを用いる理由は次の通りである。すなわち、造粒物中のストロンチウム成分の原料であるSrCOは、フェライト化するための焼成により炭酸ガス(CO)の発生を伴う。発生した炭酸ガス(CO)は内部から芯材表面及び/又は空孔内部表面へ追い出ていく。焼成前のポリオキシアルキレングリコールは、スラリー化における混合により、オキシアルキレン基の多数の酸素原子がSr2+イオンをホストとして特異的に吸着或いは捕捉する効果があると考えられ(ホスト‐ゲスト作用)、ホスト‐ゲスト分子周辺に焼成前のガス源となる炭酸イオン(CO 2−)を付随させている。但し、炭酸イオン(CO 2−)は焼成により炭酸ガス(CO)となるため、ポリオキシアルキレングリコールはSr2+イオンから脱離を伴いながら、直ちに気体(気泡)COに作用させねばならないため、気体(気泡)COの発生と表面への移動に伴って、Sr化合物(ストロンチウム成分)も表面に移動すると考えられる。また、上記のように多反応を経由するため、Sr化合物の移動は比較的緩やかであり、焼成による内部空孔或いは表面性を制御しやすい。
造粒物中のポリオキシアルキレングリコールの含有量は、1〜1000ppmである。この範囲で上記効果が発揮される。造粒物に対するポリオキシアルキレングリコールの含有量が1ppm未満では、芯材表面へSr化合物を移動させるために必要な量が少なすぎるため、形状係数SF−1及びSF−2が小さくなる。よって、樹脂被覆後のコート密着性を維持するための、適度な粒子形状あるいは凹凸が得られない。また、添加量が少なく、スラリー化における消泡能が不足するため、造粒時に過剰な内部空孔・穴開きが発生する。造粒物に対するポリオキシアルキレングリコールの含有量が1000ppm超では、芯材表面へSr化合物を移動させすぎるため、形状係数SF−1及びSF−2が大きくなる。よって、密着性が劣ったり(SF−1)、生産コストが悪くなったり(SF−2)する。また、消泡作用は飽和に達しており、過剰な含有は経済的に不利である。
本発明の製造方法では、得られた造粒物を非酸化性雰囲気又は弱酸化性雰囲気で焼成する。焼成は、900〜1500℃で、1〜24時間保持して行う。その際、ロータリー式電気炉やバッチ式電気炉又は連続式電気炉等を使用し、焼成時の雰囲気も窒素等の不活性ガスや水素や一酸化炭素等の還元性ガスを導入し、酸素濃度の制御を行う。また、ロータリー式電気炉の場合、雰囲気や焼成温度を変更して多数回焼成を行っても良い。ここで弱酸化性雰囲気とは、酸素濃度が5.0容量%以下をいう。
このようにして得られた焼成物を、粉砕し、分級する。分級方法としては、既存の風力分級、メッシュ濾過法、沈降法など用いて所望の粒径に粒度調整する。
その後、必要に応じて、表面を低温加熱することで酸化被膜処理を施し、電気抵抗調整を行うことができる。酸化被膜処理は、一般的なロータリー式電気炉、バッチ式電気炉等を用い、例えば、300〜800℃で熱処理を行う。酸化皮膜を均一に芯材粒子に形成させるためにはロータリー式電気炉を用いることが好ましい。
本発明に係るフェライトキャリアの製造方法は、上記フェライトキャリア芯材の表面を樹脂により被覆することにより樹脂を被覆したフェライトキャリアを得る。キャリア特性、特に帯電量を始めとする電気特性はキャリア表面に存在する材料や性状に影響されることが多い。従って、適当な樹脂を表面被覆することによって、所望とするキャリア特性を精度良く調整することができる。被覆する方法としては、公知の方法、例えば刷毛塗り法、乾式法、流動床によるスプレードライ方式、ロータリードライ方式、万能攪拌機による液浸乾燥法等により被覆することができる。被覆率を向上させるためには、流動床による方法が好ましい。樹脂被覆後、焼き付けする場合には、外部加熱方式又は内部加熱方式のいずれでもよく、例えば固定式又は流動式電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉でもよく、もしくはマイクロウェーブによる焼き付けでもよい。UV硬化樹脂を用いる場合は、UV加熱器を用いる。焼き付けの温度は使用する樹脂により異なるが、融点又はガラス転移点以上の温度は必要であり、熱硬化性樹脂又は縮合架橋型樹脂等では、充分硬化が進む温度まで上げる必要がある。
<本発明に係る電子写真用現像剤>
次に、本発明に係る電子写真用現像剤について説明する。
本発明に係る電子写真現像剤は、上述した電子写真現像剤用フェライトキャリアとトナーとからなるものである。
本発明の電子写真現像剤を構成するトナー粒子には、粉砕法によって製造される粉砕トナー粒子と、重合法により製造される重合トナー粒子とがある。本発明ではいずれの方法により得られたトナー粒子も使用することができる。
粉砕トナー粒子は、例えば、結着樹脂、荷電制御剤、着色剤をヘンシェルミキサー等の混合機で充分に混合し、次いで、二軸押出機等で溶融混練し、冷却後、粉砕、分級し、外添剤を添加後、ミキサー等で混合することにより得ることができる。
粉砕トナー粒子を構成する結着樹脂としては特に限定されるものではないが、ポリスチレン、クロロポリスチレン、スチレン−クロロスチレン共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、更にはロジン変性マレイン酸樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂及びポリウレタン樹脂等を挙げることができる。これらは単独又は混合して用いられる。
荷電制御剤としては、任意のものを用いることができる。例えば正荷電性トナー用としては、ニグロシン系染料及び4級アンモニウム塩等を挙げることができ、また、負荷電性トナー用としては、含金属モノアゾ染料等を挙げることができる。
着色剤(色材)としては、従来より知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー、フタロシアニングリーン等を使用することができる。その他、トナーの流動性、耐凝集性向上のためのシリカ粉体、チタニア等のような外添剤をトナー粒子に応じて加えることができる。
重合トナー粒子は、懸濁重合法、乳化重合法、乳化凝集法、エステル伸長重合法、相転乳化法といった公知の方法で製造されるトナー粒子である。このような重合法トナー粒子は、例えば、界面活性剤を用いて着色剤を水中に分散させた着色分散液と、重合性単量体、界面活性剤及び重合開始剤を水性媒体中で混合攪拌し、重合性単量体を水性媒体中に乳化分散させて、攪拌、混合しながら重合させた後、塩析剤を加えて重合体粒子を塩析させる。塩析によって得られた粒子を、濾過、洗浄、乾燥させることにより、重合トナー粒子を得ることができる。その後、必要により乾燥されたトナー粒子に機能付与のため外添剤を添加することもできる。
更に、この重合トナー粒子を製造するに際しては、重合性単量体、界面活性剤、重合開始剤、着色剤以外に、定着性改良剤、帯電制御剤を配合することができ、これらにより得られた重合トナー粒子の諸特性を制御、改善することができる。また、水性媒体への重合性単量体の分散性を改善するとともに、得られる重合体の分子量を調整するために連鎖移動剤を用いることができる。
上記重合トナー粒子の製造に使用される重合性単量体に特に限定はないが、例えば、スチレン及びその誘導体、エチレン、プロピレン等のエチレン不飽和モノオレフィン類、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル類、酢酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ジメチルアミノエステル及びメタクリル酸ジエチルアミノエステル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類等を挙げることができる。
上記重合トナー粒子の調製の際に使用される着色剤(色材)としては、従来から知られている染料、顔料が使用可能である。例えば、カーボンブラック、フタロシアニンブルー、パーマネントレッド、クロムイエロー及びフタロシアニングリーン等を使用することができる。また、これらの着色剤はシランカップリング剤やチタンカップリング剤等を用いてその表面が改質されていてもよい。
上記重合トナー粒子の製造に使用される界面活性剤としては、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両イオン性界面活性剤及びノニオン系界面活性剤を使用することができる。
ここで、アニオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ヒマシ油等の脂肪酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム等のアルキル硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等を挙げることができる。また、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン、脂肪酸エステル、オキシエチレン−オキシプロピレンブロックポリマー等を挙げることができる。更に、カチオン系界面活性剤としては、ラウリルアミンアセテート等のアルキルアミン塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド等の第4級アンモニウム塩等を挙げることができる。また、両イオン性界面活性剤としては、アミノカルボン酸塩、アルキルアミノ酸等を挙げることができる。
上記のような界面活性剤は、重合性単量体に対して、通常は0.01〜10重量%の範囲内の量で使用することができる。このような界面活性剤は、単量体の分散安定性に影響を与えるとともに、得られた重合トナー粒子の環境依存性にも影響を及ぼす。上記範囲内の量で使用することは単量体の分散安定性の確保と重合トナー粒子の環境依存性を低減する観点から好ましい。
重合トナー粒子の製造には、通常は重合開始剤を使用する。重合開始剤には、水溶性重合開始剤と油溶性重合開始剤とがあり、本発明ではいずれをも使用することができる。本発明で使用することができる水溶性重合開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩、水溶性パーオキサイド化合物を挙げることができ、また、油溶性重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ系化合物、油溶性パーオキサイド化合物を挙げることができる。
また、本発明において連鎖移動剤を使用する場合には、この連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、四臭化炭素等を挙げることができる。
更に、本発明で使用する重合トナー粒子が、定着性改善剤を含む場合、この定着性改良剤としては、カルナバワックス等の天然ワックス、ポリプロピレン、ポリエチレン等のオレフィン系ワックス等を使用することができる。
また、本発明で使用する重合トナー粒子が、帯電制御剤を含有する場合、使用する帯電制御剤に特に制限はなく、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等を使用することができる。
また、重合トナー粒子の流動性向上等のために使用される外添剤としては、シリカ、酸化チタン、チタン酸バリウム、フッ素樹脂微粒子、アクリル樹脂微粒子等を挙げることができ、これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
更に、水性媒体から重合粒子を分離するために使用される塩析剤としては、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化ナトリウム等の金属塩を挙げることができる。
上記のようにして製造されたトナー粒子の体積平均粒径は、2〜15μm、好ましくは3〜10μmの範囲内にあり、重合トナー粒子の方が粉砕トナー粒子よりも、粒子の均一性が高い。トナー粒子が2μmよりも小さくなると、帯電能力が低下しかぶりやトナー飛散を引き起こしやすく、15μmを超えると、画質が劣化する原因となる。
上記のように製造されたキャリアとトナーとを混合し、電子写真現像剤を得ることができる。キャリアとトナーの混合比、即ちトナー濃度は、3〜15重量%に設定することが好ましい。3重量%未満であると所望の画像濃度が得にくく、15重量%を超えると、トナー飛散やかぶりが発生しやすくなる。
本発明に係る電子写真現像剤は、補給用現像剤として用いることもできる。この際のキャリアとトナーの混合比、即ちトナー濃度は100〜3000重量%に設定することが好ましい。
上記のように調製された本発明に係る電子写真現像剤は、有機光導電体層を有する潜像保持体に形成されている静電潜像を、バイアス電界を付与しながら、トナー及びキャリアを有する二成分現像剤の磁気ブラシによって反転現像する現像方式を用いたデジタル方式のコピー機、プリンター、FAX、印刷機等に使用することができる。また、磁気ブラシから静電潜像側に現像バイアスを印加する際に、DCバイアスにACバイアスを重畳する方法である交番電界を用いるフルカラー機等にも適用可能である。
以下、実施例等に基づき本発明を具体的に説明する。
[実施例1]
MnOを39.6モル%、MgOを9.6モル%、Feを50モル%及びSrOを0.8モル%になるようにフェライトキャリア原料を秤量し、水とポリカルボン酸系分散剤、消泡剤としてのポリオキシアルキレングリコール、バインダーとしてのポリビニルアルコール(10%溶液)を加え、湿式のメディアミル(横型ビーズミル、1mm径のジルコニアビーズ)を用いて6時間粉砕した。スプレードライヤーにて、溶射焼成後の体積平均粒径が33〜37μmとなるように造粒物を調製した。造粒物中のポリビニルアルコール含有量は固形分換算で1.2重量%、ポリオキシアルキレングリコールの含有量は28ppmであった。
得られた造粒物をバッチ式電気炉にて、焼成温度1250℃、酸素濃度3.0容量%にて、5時間保持した。この時、昇温速度を150℃/時、冷却速度を110℃/時とした。また、フェライト粒子から発生するガスを追い出すことを目的として、窒素ガスをトンネル炉出口側から導入した。このとき、トンネル炉の内部圧力を0〜10Pa(正圧)にし、焼成時に発生するガスをトンネル炉から効率的に排出されるようにした。その後、得られた電気炉焼成物を解砕し、さらに分級、磁力選鉱を行い、フェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[実施例2]
実施例1と同様にして造粒物を調製した。得られた造粒物を窒素雰囲気下、酸素濃度0容量%として、ロータリー式焼成炉で炉内圧150〜200Paに調整しながら、設定温度1100℃で2時間保持して本焼成を行い、フェライト化を完全に進めた。炉内付着物機構はノッカー(炉外からの打撃)を用いた。その後、解砕し、さらに分級、磁力選鉱を行い、フェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[実施例3]
SrOを0.1モル%になるようにSrOの添加量を変更した以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[実施例4]
SrOを2.5モル%になるようにSrOの添加量を変更した以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[実施例5]
造粒物中のポリビニルアルコールの含有量が0.8重量%(固形分換算)になるようにポリビニルアルコールの添加量を変更した以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[実施例6]
造粒物中のポリビニルアルコールの含有量が3.0重量%(固形分換算)になるようにポリビニルアルコールの添加量を変更した以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[実施例7]
造粒物中のポリオキシアルキレングリコールの含有量が4ppmになるようにポリオキシアルキレングリコールの添加量を変更した以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[実施例8]
造粒物中のポリオキシアルキレングリコールの含有量が828ppmになるようにポリオキシアルキレングリコールの添加量を変更した以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[比較例1]
SrOを0.05モル%になるようにSrOの添加量を変更した以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[比較例2]
SrOを3.0モル%になるようにSrOの添加量を変更した以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[比較例3]
造粒物中のポリビニルアルコールの含有量が0.3重量%(固形分換算)になるようにポリビニルアルコールの添加量を変更した以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[比較例4]
造粒物中のポリビニルアルコールの含有量が5.0重量%(固形分換算)になるようにポリビニルアルコールの添加量を変更した以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[比較例5]
造粒物中のポリオキシアルキレングリコールの含有量が0.5ppmになるようにポリオキシアルキレングリコールの添加量を変更した以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
[比較例6]
造粒物中のポリオキシアルキレングリコールの含有量が1030ppmになるようにポリオキシアルキレングリコールの添加量を変更した以外は、実施例1と同様にしてフェライト粒子からなるフェライトキャリア芯材を得た。
実施例1〜8及び比較例1〜6について、表1にフェライトキャリア芯材の製造条件(原料、焼成方法及び電気炉焼成条件)、表2に非磁性微粒子中金属元素量及びSr量、形状係数SF−1、形状係数SF−2、体積平均粒径、強度及び飛散量をそれぞれ示す。これらの測定方法は、上述の通りである。また、実施例1で得られたフェライトキャリア芯材の模式図を図1に示す。
Figure 2013137456
Figure 2013137456
表2に示した結果から明らかなように、実施例1〜8に示したフェライトキャリア芯材は、適切な非磁性微粒子中の金属元素の存在量とSrの存在量を有するため、4.0以下の高い強度が得られている。また、非磁性微粒子が適度に発生し、芯材組成中のSr量も適量であるため、飛散量は1.0mg以下に低く抑えられている。また、図1に示されるように、実施例1のフェライトキャリア芯材は、その表面に非磁性微粒子が付着している。さらに、電気炉焼成により形状係数SF−1及びSF−2は、適切な範囲にあるため、コート密着性を維持するための適度な形状あるいは凹凸を有していることが示されている。
一方、比較例1においては、フェライトキャリア芯材組成中のSr量が少なすぎるため、非磁性微粒子の金属元素の存在量が少なくなっており、強度が劣るものとなっている。また、フェライトキャリア芯材組成中のSr量が少ないため、形状係数がSF−1及びSF−2も小さくなっている。さらに、フェライトキャリア芯材の低磁性粒子も発生しやすく、飛散量が実施例1〜8に比べて多量である。
比較例2では、フェライトキャリア芯材組成中のSr量が多すぎることに伴い、非磁性微粒子中のSr量も多くなり、強度が劣るものとなっている。また、フェライトキャリア芯材組成中のSr量が多すぎるため、形状係数がSF−1及びSF−2も高くなっている。
比較例3では、造粒物のポリビニルアルコール量が少量であるため、非磁性微粒子中の金属元素の存在量が適度に発生しておらず、強度が低下している。
比較例4では、造粒物のポリビニルアルコール量が過剰であるため、焼成時に突沸が発生し、粒子破壊が発生しており、所定より平均粒径が小さくなっている。また、突沸により、部分的に焼成から逸脱したフェライト化していない粒子が存在するため、非磁性微粒子中の金属元素の存在量が過剰となっており、飛散量までもが実施例1〜8に比べて多量である。
比較例5では、造粒物のポリオキシアルキレングリコール量が少量であるため、芯材表面へのSr化合物の移動が少なく、形状係数がSF−1及びSF−2も小さくなっている。
比較例6では、造粒物のポリオキシアルキレングリコール量が過剰であるため、芯材表面へSr化合物移動が顕著となり、形状係数がSF−1及びSF−2も大きくなっている。
[実施例9]
実施例1で得られたフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)100重量部と、T単位とD単位を主成分とする縮合架橋型シリコーン樹脂(重量平均分子量:約8000)を準備し、このシリコーン樹脂溶液5重量部(樹脂溶液濃度20%のため固形分としては1重量部、希釈溶媒:トルエン)に、アミン系化合物としてアミノシランカップリング剤(3―アミノプロピルトリメトキシシラン)を、樹脂固形分に対して10重量%となるように添加し、万能混合撹拌機にて混合撹拌し、トルエンを揮発させながら、樹脂をフェライト芯材表面に被覆した。トルエンが充分揮発したことを確認した後、さらに5分撹拌を続け、トルエンをほぼ完全に除去したのち、装置内から取り出し、容器に入れ、熱風加熱式のオーブンに入れ、220℃で2時間、加熱処理を行った。
その後、室温まで冷却し、樹脂が硬化されたフェライト粒子を取り出し、200Mの目開きの振動篩にて粒子の凝集を解し、磁力選鉱機を用いて、非磁性物を取り除いた。その後、再度振動篩にて粗大粒子を取り除き樹脂が被覆されたフェライトキャリアを得た。
[実施例10]
メチルシリコーン樹脂溶液を40重量部(樹脂溶液濃度20%のため固形分としては8重量部)に、触媒として、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)を、樹脂固形分に対して25重量%(Ti原子換算で3重量%)加えたあと、アミノシランカップリング剤として3−アミノプロピルトリエトキシシシランを、樹脂固形分に対して5重量%添加し、充填樹脂溶液を得た。
この樹脂溶液を、実施例1で得られたフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)100重量部と、60℃、6.7kPa(約50mmHg)の減圧下で混合撹拌し、トルエンを揮発させながら、樹脂を多孔質フェライト粒子の空隙に浸透、充填させた。容器内を常圧に戻し、常圧下で撹拌を続けながら、トルエンをほぼ完全に除去したのち、充填装置内から取り出し、容器に入れ、熱風加熱式のオーブンに入れ、220℃で2時間、加熱処理を行った。なお、ここで用いられるメチルシリコーン樹脂は室温硬化型の樹脂であるが、速やかな硬化を行うために、上記のように加熱硬化した。
その後、室温まで冷却し、樹脂が硬化されたフェライト粒子を取り出し、200Mの目開きの振動篩にて粒子の凝集を解し、磁力選鉱機を用いて、非磁性物を取り除いた。その後、再度振動篩にて粗大粒子を取り除き樹脂が充填されたフェライトキャリア粒子を得た。
[比較例7]
比較例1で得られたフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を用いた以外は、実施例9と同様にして樹脂被覆されたフェライトキャリアを得た。
[比較例8]
比較例2で得られたフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を用いた以外は、実施例9と同様にして樹脂被覆されたフェライトキャリアを得た。
[比較例9]
比較例3で得られたフェライト粒子(フェライトキャリア芯材)を用いた以外は、実施例9と同様にして樹脂被覆されたフェライトキャリアを得た。
実施例9〜10及び比較例7〜9で得られたフェライトキャリアについて、強度、形状係数SF−1、形状係数SF−2、画像上のキャリア付着(5k耐刷及び100k耐刷)及びコート密着性を測定し、結果を表3に示す。画像上のキャリア付着及びコート密着性は下記の通り測定した。その他の測定方法は上述の通りである。
(画像上のキャリア付着量)
適正露光条件下で耐刷現像を行い、5k後と100k後の画像上のキャリア付着による白斑数を目視によってカウントした。
(コート密着性)
測定装置としては株式会社リガク製ZSX100sを用いた。サンプル約5gを真空用粉末試料容器に入れ、試料フォルダーにセットし、上記測定装置にて、SiとFeの測定を行った。
ここで、測定条件としては、Siについては、Si−Kα線を測定線とし、管電圧50kV、管電流50mA、分光結晶にPET、検出器としてPC(プロポーショナルカウンター)を用いた。Feについては、Fe−Kα線を測定線とし、管電圧50kV、管電流50mA、分光結晶にLiF、検出器としてSC(シンチレーションカウンター)を用いた。
得られたそれぞれの蛍光X線強度を用い、Si/Fe比(Sl強度/Fe強度)を計算した。
市販のRicoh社製imagioNeoC455を用いて、初期現像剤(トナー濃度7.5重量%の1kgの現像剤量になるように秤量し、30分間ターブラミキサー)を投入した後、耐刷5k後の現像剤と耐刷100k後の現像剤をサンプリングし、トナーのみ吸引して得られたそれぞれの耐刷キャリアのSi/Fe比を算出した。耐刷5k後のSi/Fe比を耐刷100k後のSi/Fe比で除し、100を乗じることにより、現像ストレスによるコート密着性を算出した。
Figure 2013137456
表3に示した結果から明らかなように、実施例9及び実施例10に示したフェライトキャリアは、キャリア化しても高強度が維持されている。強度が良好なため、耐刷を繰り返しても、粒子の割れ・欠けが少なく、割れ・欠け部分より剥き出しになった芯材部分からの印加電圧リークが殆どなく、印加電圧によりマグネットローラーへの保持ができなくなったキャリアの画像上への付着が少ない。また、フェライトキャリアも形状係数SF−1及びSF−2が適切な範囲に維持されており、耐刷を継続しても、高いコート密着性が維持されていることが示されている。
一方、比較例1のフェライトキャリア芯材を用いた比較例7は、キャリア化しても強度は変わらず強度が低い結果となっているため、耐刷に伴い、粒子の割れ・欠けが多く、割れ・欠け部分より剥き出しになった芯材部分からの印加電圧リークにより、印加電圧によりマグネットローラーへの保持ができなくなったキャリアの画像上への付着が多くなっている。また、形状係数SF−1及びSF−2が小さすぎるため、耐刷に伴い、コート密着性が維持できず、耐刷100k後のSi/Fe比は、耐刷5k後のSi/Fe比よりも、大幅に低下する結果となっている。
比較例2のフェライトキャリア芯材を用いた比較例8についても、比較例7と同様に、キャリア化しても強度は変わらず、強度が低い結果となっているため、耐刷に伴い、粒子の割れ・欠けが多く、割れ・欠け部分より剥き出しになった芯材部分からの印加電圧リークにより、印加電圧によりマグネットローラーへの保持ができなくなったキャリアの画像上への付着が多くなっている。形状係数SF−1及びSF−2は高すぎるため、耐刷に伴い、コート密着性が維持できず、耐刷100k後のSi/Fe比は、耐刷5k後のSi/Fe比よりも、大幅に低下する結果となっている。
比較例3のフェライトキャリア芯材を用いた比較例9は、フェライトキャリア芯材の強度が高く、形状係数SF−1及びSF−2も適切な範囲を有しているため、キャリア化しても強度及び形状係数SF−1及びSF−2は維持されており、耐刷を継続しても、コート密着性は高く維持されている結果となっている。しかし、非磁性微粒子中の金属酸化物の存在量が多く、フェライトキャリア芯材の飛散量が多かったため、キャリア化して耐刷を行なったとき、初期の5k耐刷から、既に画像上のキャリア付着が多い結果となっている。
本発明に係る電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材は、一定の円形度及び真円度を有すると共に、表面に非磁性微粒子及びSr化合物が一定量存在するため、その緩衝効果によって強度に優れる。そして、上記フェライトキャリア芯材に樹脂を被覆して得られるフェライトキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤は、長時間にわたる攪拌ストレスの影響下でも、フェライト粒子の割れや欠けの発生を大幅に抑制することができ、かつフェライト粒子の飛散量が極めて少ない。また、形状係数SF−1及びSF−2が一定範囲に制御されているためフェライトキャリア芯材と被覆樹脂との密着性に非常に優れていることから、経時における被覆樹脂の剥離が大幅に低減される。また、本発明の製造方法によって、上記フェライトキャリア芯材及びフェライトキャリアが工業的規模をもって安定的に製造できる。
従って、本発明は、特に高画質の要求されるフルカラー機並びに画像維持の信頼性及び耐久性の要求される高速機の分野に広く使用可能である。

Claims (8)

  1. Srを含有し、形状係数SF−1(円形度)が110〜120、形状係数SF−2(真円度)が110〜130のフェライト粒子からなり、該フェライト粒子の表面及び/又は空孔内表面に非磁性微粒子が付着し、該非磁性微粒子中の金属元素の存在量が該フェライト粒子に対して500〜5000ppmであり、かつ該非磁性微粒子中のSrの存在量が該フェライト粒子に対して50〜1000ppmであることを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材。
  2. 上記フェライト粒子の組成が下記式(1)で表され、かつ下記式(1)中の(MnO)及び/又は(MgO)の一部がSrOで置換されている請求項1に記載の電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材。
    Figure 2013137456
  3. 上記SrOの置換量が0.1〜2.5モル%である請求項2に記載の電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のフェライトキャリア芯材の表面に樹脂が被覆されている電子写真現像剤用フェライトキャリア。
  5. Srを含むフェライト原料をバインダー及び消泡剤と共に混合した後、スラリー化し、次いでスラリー粒子を造粒し、得られた造粒物を非酸化性雰囲気又は弱酸化性雰囲気で焼成する電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法であって、上記バインダーがポリビニルアルコールであり、その含有量が上記造粒物に対して固形物換算で0.5〜3.5重量%であり、上記消泡剤がポリオキシアルキレングリコールであり、その含有量が上記造粒物に対して1〜1000ppmであることを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリア芯材の製造方法。
  6. 請求項5の製造方法により得られたフェライトキャリア芯材の表面に樹脂を被覆することを特徴とする電子写真現像剤用フェライトキャリアの製造方法。
  7. 請求項4に記載のフェライトキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤。
  8. 請求項6に記載の製造方法により得られたフェライトキャリアとトナーとからなる電子写真現像剤。
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