JP2010181525A - 電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法及び該製造方法により得られるキャリア芯材 - Google Patents
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Abstract
【課題】各重金属及びMnを実質的に用いず、高磁化で、中抵抗〜高抵抗を備え、かつ帯電特性に優れ、粒子表面が適度な凹凸を備え、形状の揃った電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法等を提供する。
【解決手段】Fe、Mg、Ti及びSrを含有し、スピネル構造及びTi化合物の構造を有するキャリア芯材の製造方法であって、(1)Mg化合物、Ti化合物及びFe2O3を非酸化性又は弱還元性雰囲気下、混合、焼成して2価のFeを含む混合物を得る第1焼成工程、(2)スラリー粒子を造粒する造粒工程、(3)造粒物を非酸化性又は弱還元性雰囲気下で焼成し、フェライト化させる第2焼成工程、(4)再度焼成し、磁化及び表面性を調整する第3焼成工程、(5)酸化皮膜処理工程とを有し、第1焼成工程又は造粒工程において、Fe、Mg、Ti、Mn及びSrから選択される少なくとも1種を添加する電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法を採用する。
【選択図】図2
【解決手段】Fe、Mg、Ti及びSrを含有し、スピネル構造及びTi化合物の構造を有するキャリア芯材の製造方法であって、(1)Mg化合物、Ti化合物及びFe2O3を非酸化性又は弱還元性雰囲気下、混合、焼成して2価のFeを含む混合物を得る第1焼成工程、(2)スラリー粒子を造粒する造粒工程、(3)造粒物を非酸化性又は弱還元性雰囲気下で焼成し、フェライト化させる第2焼成工程、(4)再度焼成し、磁化及び表面性を調整する第3焼成工程、(5)酸化皮膜処理工程とを有し、第1焼成工程又は造粒工程において、Fe、Mg、Ti、Mn及びSrから選択される少なくとも1種を添加する電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法を採用する。
【選択図】図2
Description
本発明は、複写機、プリンター等に用いられる二成分系電子写真現像剤に使用される電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法及び該製造方法により得られるキャリア芯材に関する。
電子写真現像方法は、現像剤中のトナー粒子を感光体上に形成された静電潜像に付着させて現像する方法であり、この方法で使用される現像剤は、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤及びトナー粒子のみを用いる一成分系現像剤に分けられる。
こうした現像剤のうち、トナー粒子とキャリア粒子からなる二成分系現像剤を用いた現像方法としては、古くはカスケード法等が採用されていたが、現在では、マグネットロールを用いる磁気ブラシ法が主流である。
二成分系現像剤において、キャリア粒子は、現像剤が充填されている現像ボックス内において、トナー粒子と共に攪拌されることによって、トナー粒子に所望の電荷を付与し、さらにこのように電荷を帯びたトナー粒子を感光体の表面に搬送して感光体上にトナー像を形成するための担体物質である。マグネットを保持する現像ロール上に残ったキャリア粒子は、この現像ロールから再び現像ボックス内に戻り、新たなトナー粒子と混合・攪拌され、一定期間繰り返して使用される。
二成分系現像剤は、一成分系現像剤とは異なり、キャリア粒子はトナー粒子と混合・攪拌され、トナー粒子を帯電させ、さらに搬送する機能を有しており、現像剤を設計する際の制御性が良い。従って、二成分系現像剤は高画質が要求されるフルカラー現像装置及び画像維持の信頼性、耐久性が要求される高速印刷を行う装置等に適している。
このようにして用いられる二成分系現像剤においては、画像濃度、カブリ、白斑、階調性、解像力等の画像特性が、初期の段階から所定の値を示し、しかもこれらの特性が耐刷期間中に変動せず、安定に維持されることが必要である。これらの特性を安定に維持するためには、二成分系現像剤中に含有されるキャリア粒子の特性が安定していることが必要になる。
二成分系現像剤を形成するキャリア粒子として、従来は、表面を酸化皮膜で覆った鉄粉あるいは表面を樹脂で被覆した鉄粉等の鉄粉キャリアが使用されていた。このような鉄粉キャリアは、磁化が高く、導電性も高いことから、ベタ部の再現性のよい画像が得られやすいという利点がある。
しかしながら、このような鉄粉キャリアは真比重が約7.8と重く、また磁化が高すぎることから、現像ボックス中におけるトナー粒子との攪拌・混合により、鉄粉キャリア表面へのトナー構成成分の融着、いわゆるトナースペントが発生しやすくなる。このようなトナースペントの発生により有効なキャリア表面積が減少し、トナー粒子との摩擦帯電能力が低下しやすくなる。
また、樹脂被覆鉄粉キャリアでは、耐久時のストレスにより表面の樹脂が剥離し、高導電性で絶縁破壊電圧が低い芯材(鉄粉)が露出することにより、電荷のリークが生ずることがある。このような電荷のリークにより、感光体上に形成された静電潜像が破壊され、ベタ部にハケスジ等が発生し、均一な画像が得られにくい。これらの理由から、酸化皮膜鉄粉及び樹脂被覆鉄粉等の鉄粉キャリアは、現在では使用されなくなってきている。
近年は、鉄粉キャリアに代わって真比重約5.0程度と軽く、また磁化も低いフェライトをキャリアとして用いたり、さらに表面に樹脂を被覆した樹脂コートフェライトキャリアが多く使用されており、現像剤寿命は飛躍的に伸びてきた。
このようなフェライトキャリアの製造方法としては、フェライトキャリア原料を所定量混合した後、仮焼、粉砕し、造粒後に焼成を行うのが一般的であり、条件によっては仮焼を省略できる場合もある。
ところで、最近、環境規制が厳しくなり、Ni、Cu、Zn等の金属の使用は避けられるようになってきており、環境規制に適応した金属の使用が求められており、キャリア芯材として用いられるフェライト組成はCu−Znフェライト、Ni−ZnフェライトからMnを用いたMnフェライト、Mn−Mg−Srフェライト等に移行している。
特許文献1(特開2006−337828号公報)には、表面が溝又は筋で10μm四方あたり2〜50の領域に分割されており、マンガンフェライトを主成分とする電子写真用フェライトキャリア芯材が記載されている。このフェライトキャリア芯材は、組成が均一で、一定の表面性、良好な流動性を有し、かつ高磁化、低抵抗であり、このフェライトキャリア芯材に樹脂を被覆したフェライトキャリアを用いた電子写真用現像剤は、帯電の立ち上がりが速く、経時における安定した帯電量を有するとされている。
この特許文献1では、上記のようなフェライトキャリア芯材を製造するために、FeとMnのモル比(Fe/Mn)が4〜16のFeとMnを主成分とする複合酸化物を粉砕、混合後、造粒、焼成し、さらに解砕、分級する製造方法において、焼成を酸素濃度が5体積%以下の雰囲気で行うことが示されている。
しかし、このフェライトキャリア芯材は、低抵抗であるという問題がある。しかも、Mnも各種法規制の対象になりつつあり、上記各種重金属はもとよりMnを使用しない新たなキャリア芯材が求められている。
フェライト成分としてMnを用いたキャリア芯材に代わるものとして、Mg等を用いたキャリア芯材が提案されている。例えば、特許文献2(特開2000−172017号公報)には、マグネタイト又はMgOあるいはCaO等の有害重金属でない酸化物を含むマグネタイトを主成分とする複合酸化物を出発原料とし、粉砕後、球形に造粒し、球形造粒粉を、850〜1000℃、不活性ガス雰囲気下で焼成する電子写真現像剤用フェライトコアの製造方法が記載されている。
また、特許文献3(特表2006−524627号公報)には、式MgaFebCacOdで示されるMg系フェライト材料(キャリア芯材)が示され、飽和磁化が30〜80emu/g、絶縁破壊電圧が1.5〜5.0kVであるとされ、環境規制に対応したクリーンな材料で構成され、鮮明で階調性に富みカブリのない高画質像が得られるとされている。
このようにフェライト成分としてMgを用いたキャリア芯材は提案されているが、一般に磁化と抵抗はトレードオフの関係にあるため、高磁化と中抵抗〜高抵抗といった特性を両立することは難しい。そのため、Mnを添加することで磁化と抵抗のトレードオフの関係を緩和し高磁化かつ中抵抗〜高抵抗を実現し、現在は電子写真現像剤用キャリア芯材として利用されている。しかしながら、上述したように、各種重金属規制の強化に伴いMnを使用しにくい状況となりつつある。
また、フェライト成分としてMgを用いて従来の焼成方法でも高磁化、かつ中抵抗〜高抵抗を実現する方法としては、本焼成後、表面酸化することで抵抗を所望のレベルに合わせ込む取り組みがなされてきた。
特許文献4(特開2004−240322号公報)には、マンガン−マグネシウムフェライトに固溶されていないZrO2を含有するフェライト粒子からなる電子写真現像剤用キャリア芯材を開示し、その製造においては、本焼成後、大気雰囲気下、既存のロータリー式電気炉、バッチ式電気炉等を用いて、300〜700℃で酸化皮膜処理することが記載されている。さらに、特許文献5(特開2008−65106号公報)には、MO・Fe2O3、M成分は2価の金属元素、特にMn、Mg、Feの1種以上で表される磁性部とSiO2を含んでなる非磁性部を有する粉体からなる電子写真現像剤用キャリア芯材を開示し、その製造においては、焼成後、大気又は酸素と窒素の混合雰囲気下で200〜800℃に加熱して高抵抗化処理することが記載されている。
しかし、特許文献4及び5に記載のように、酸化皮膜処理(高抵抗化処理)を行っても、低抵抗であったり、低磁化である。また、フェライト成分としてMnを使用する場合には、上記した環境規制の問題も生じる。
従来よりMg系フェライトはFe過剰で製造することで磁化を高くすることが出来ることが知られている。しかし、抵抗はFe過剰であるため極めて低いものとなってしまっている。また、Fe過剰のMg系フェライトは、本焼成時の酸素濃度が高い場合や表面酸化によって磁化が急激に低くなると言う特徴を持っており、この現象はマグネタイト中に含まれる2価のFeの酸化によるものと考えられている。
一方、Fe以外の遷移金属を含有しないMg系フェライトの焼成温度は1250〜1350℃程度ときわめて高温であり、キャリア芯材に求められる表面性はほとんど凹凸のないものしか得られないだけでなく、焼成時にキャリア芯材粒子同士が凝集しやすく球形ではない粒子が多く含まれることとなる。そのため、意図的に重金属を含有せず、高磁化、中抵抗〜高抵抗で、かつ適度な凹凸を有する表面性と揃った形状を実現した電子写真現像剤用キャリア芯材及びその製造方法は得られていないのが現状である。
特許文献6(特許2860356号公報)は、ヘマタイト、ヘマタイト+マグネタイト、あるいはマグネタイトにMgと必要に応じてMnを混合して焼成した所定の飽和磁化を持つ酸化物磁性材料およびその製造方法に関するものである。特許文献7(特許3151457号公報)は、マグネタイト、マグネタイト+ヘマタイト、ヘマタイトにTi化合物あるいはSn化合物を混合・焼成して所定の値の飽和磁化を持つ酸化物磁性材料およびその製造方法に関するものである。いずれの文献中においても、球形顆粒化後の焼成は1回しか行っておらず電子写真用キャリア芯材として求められる粒子の形状や表面性を得ることが難しく、不十分である。また、この特許文献6には非磁性相としてヘマタイト、ウスタイト、Mg(化合物)が例示されている。一方、本発明に係る製造方法により製造された電子写真用キャリア芯材中に存在するMg化合物は磁化を持ったMgフェライトであり、かつ非磁性相としてはTi化合物が存在するため特許文献6と区別されるべきものである。
従って、本発明の目的は、各重金属のみならず、Mnを実質的に用いることなしに、高磁化でありながら中抵抗又は高抵抗といった所望の抵抗が得られ、かつ帯電特性に優れ、しかも適度な凹凸を有する表面性と揃った形状とを兼備する電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法、及び該製造方法により得られるキャリア芯材を提供することにある。
本発明者らは、上記のような課題を解決すべく鋭意検討した結果、Fe、Mg、Ti及びSrを含有し、少なくともスピネル構造及びTi化合物の構造を有する電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法において、一定の条件下で、本焼成を含む3回の焼成工程を経て得られたキャリア芯材が上記目的を達成することを知見し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、Fe、Mg、Ti及びSrを含有し、少なくともスピネル構造及びTi化合物の構造を有する電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法であって、
(1)少なくともMg化合物、Ti化合物及びFe2O3を非酸化性雰囲気又は弱還元性雰囲気下、混合、焼成して2価のFeを含む混合物を得る第1焼成工程と、
(2)得られた混合物をスラリー化した後、スラリー粒子を造粒する造粒工程と、
(3)造粒物を非酸化性雰囲気又は弱還元性雰囲気下で焼成し、フェライト化させる第2焼成工程と、
(4)再度、非酸化性雰囲気又は弱還元性雰囲気下で焼成し、磁化及び表面性を調整する第3焼成工程と、
(5)粒子表面に酸化皮膜を形成する酸化皮膜処理工程と、
を有し、上記第1焼成工程又は上記造粒工程において、Fe、Mg、Ti、Mn及びSrから選択される少なくとも1種を添加することを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法を提供するものである。
(1)少なくともMg化合物、Ti化合物及びFe2O3を非酸化性雰囲気又は弱還元性雰囲気下、混合、焼成して2価のFeを含む混合物を得る第1焼成工程と、
(2)得られた混合物をスラリー化した後、スラリー粒子を造粒する造粒工程と、
(3)造粒物を非酸化性雰囲気又は弱還元性雰囲気下で焼成し、フェライト化させる第2焼成工程と、
(4)再度、非酸化性雰囲気又は弱還元性雰囲気下で焼成し、磁化及び表面性を調整する第3焼成工程と、
(5)粒子表面に酸化皮膜を形成する酸化皮膜処理工程と、
を有し、上記第1焼成工程又は上記造粒工程において、Fe、Mg、Ti、Mn及びSrから選択される少なくとも1種を添加することを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法を提供するものである。
本発明に係る上記電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法では、上記造粒工程において、上記第1焼成工程で得られた混合物以外にFe、Mg、Ti、Mn及びSrから選択される少なくとも1種の元素を含有し、かつ焼成を行っていない原料を添加することが望ましい。
本発明に係る上記電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法では、上記第1焼成工程、上記造粒工程及び上記第2焼成工程から選ばれる少なくとも1つの工程において、カーボンブラック、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)及び木炭から選ばれる少なくとも1種の添加物質を添加することが望ましい。
本発明に係る上記電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法では、上記第1焼成工程の焼成が800〜1200℃で行われることが望ましい。
本発明に係る上記電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法では、上記第2焼成工程の焼成が650〜1200℃で行われることが望ましい。
本発明に係る上記電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法では、上記第3焼成工程の焼成が1100〜1400℃で行われることが望ましい。
本発明に係る上記電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法では、上記酸化皮膜処理工程が400〜800℃で行われることが望ましい。
本発明に係る上記電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法では、上記酸化皮膜処理工程において、ロータリーキルンが用いられることが望ましい。
本発明に係る上記電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法では、上記造粒工程に用いられるスラリー粒子の粒径が1.0〜3.0μmであることが望ましい。
また、本発明は、上記製造方法により得られた電子写真現像剤用キャリア芯材を提供するものである
本発明に係る上記電子写真現像剤用キャリア芯材は、少なくともFeを55.0〜70.0重量%、Mgを0.5〜5重量%、Tiを0.1〜1.5重量%及びSrを0.1〜5.0重量%を含有することが望ましい。
本発明に係る上記電子写真現像剤用キャリア芯材は、Mnを0.1〜5.0重量%を含有することが望ましい。
本発明に係る上記電子写真現像剤用キャリア芯材は、酸化皮膜の厚さが0.0001〜10.0μmであることが望ましい。
本発明に係る製造方法によって、各重金属のみならず、Mnを実質的に用いることなしに、高磁化でありながら中抵抗又は高抵抗といった所望の抵抗が得られ、かつ帯電特性に優れ、しかも適度な凹凸を有する表面性と揃った形状とを兼ね備えた電子写真現像剤用キャリア芯材が工業的規模をもって安定的に製造できる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。
<本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法>
次に、本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法について説明する。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法は、下記の通りである。
<本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法>
次に、本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法について説明する。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法は、下記の通りである。
(第1焼成工程)
キャリア芯材の原料、すなわち少なくともMg化合物、Ti化合物及びFe2O3、さらに必要に応じてカーボンブラック、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)及び木炭から選ばれる1種の添加物質を添加し、非酸化性雰囲気又は弱還元性雰囲気下、混合、加熱して2価のFeを含む混合物を得る。この焼成において、少なくとも2価のFeを含有するスピネル相及びFeとMg、Ti等を含有する複合酸化物相が存在するフェライト前駆体の状態を生成しておく。
キャリア芯材の原料、すなわち少なくともMg化合物、Ti化合物及びFe2O3、さらに必要に応じてカーボンブラック、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)及び木炭から選ばれる1種の添加物質を添加し、非酸化性雰囲気又は弱還元性雰囲気下、混合、加熱して2価のFeを含む混合物を得る。この焼成において、少なくとも2価のFeを含有するスピネル相及びFeとMg、Ti等を含有する複合酸化物相が存在するフェライト前駆体の状態を生成しておく。
上記のように焼成を行うことによって、結晶構造が強固となり、磁化の低下が少ない。焼成温度は、上記雰囲気下、800〜1200℃で行われることが望ましい。焼成温度が800℃未満では、2価のFeの生成が十分でなく、酸化皮膜処理工程での磁化の低下が著しい。また、焼成温度が1200℃を超えると、熱がかかり過ぎており、形状が悪化する。
従来の製造方法では本焼成時にFe2O3からスピネル相を生成させるため結晶構造の変化にかなりのエネルギーが必要となるが、Mg化合物、Ti化合物及びFe2O3を混合し、さらに必要に応じてカーボンブラック、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)及び木炭から選ばれる少なくとも1種の添加物質を添加し焼成を行った場合には、後述の焼成において、添加物の燃焼熱が発生し、焼成温度以上の実効温度となるため、低温焼成が可能となり、結晶性の良好なキャリア芯材を得ることができる。さらに、酸化皮膜処理工程による磁力の低下が少なく、高磁化、高抵抗を達成することができる。
本発明にかかる非酸化性雰囲気又は弱還元性雰囲気とは、酸素濃度が2体積%以下を意味することとし、好ましくは1体積%以下、より好ましくは0.2体積%以下である。雰囲気としては窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス、炭酸ガス等が使用できるが工業用途としては窒素ガスを用いることが好ましい。さらに0.2体積%以下を容易に達成し焼成を行う場合には液体窒素を気化して使うことが望ましい。
(造粒工程)
次に、得られた混合物をスラリー化した後、スラリー粒子をスプレードライヤー等で造粒する。スラリー粒子の粒径は1.0〜3.0μmであることが望ましい。スラリー粒子の粒径が1.0μm未満では、粘度が高くなり、ノズル詰まりが発生しやすく、また粉砕に時間がかかるため、経済的に不利である。スラリー粒子の粒径が3.0μmを超えると、各原料の混合が不均一で、磁化、抵抗の分布が広くなり、現像剤としたときにキャリア付着が発生する。また、形状も悪化する。
次に、得られた混合物をスラリー化した後、スラリー粒子をスプレードライヤー等で造粒する。スラリー粒子の粒径は1.0〜3.0μmであることが望ましい。スラリー粒子の粒径が1.0μm未満では、粘度が高くなり、ノズル詰まりが発生しやすく、また粉砕に時間がかかるため、経済的に不利である。スラリー粒子の粒径が3.0μmを超えると、各原料の混合が不均一で、磁化、抵抗の分布が広くなり、現像剤としたときにキャリア付着が発生する。また、形状も悪化する。
上記第1焼成工程やこの造粒工程において、Fe、Mg、Ti、Mn及びSrから選択される少なくとも1種を添加する。これらの添加元素の存在によって、酸化皮膜処理工程による磁化の低下が少なく、磁化、抵抗及び表面性の調整がしやすくなる。
上記造粒工程において、上記第1焼成工程で得られた混合物以外にFe、Mg、Ti、Mn及びSrから選択される少なくとも1種の元素を含有し、かつ焼成を行っていない原料を添加することが望ましい。添加するときのMnの形態は特に制限はないが、MnO2、Mn2O3、Mn3O4、MnCO3が工業用途で入手しやすいので好ましい。
(第2焼成工程)
次いで、造粒物を非酸化性雰囲気又は弱還元性雰囲気下で焼成し、フェライト化させる。この焼成により結晶構造が強固となり、磁化の低下が少ない。
次いで、造粒物を非酸化性雰囲気又は弱還元性雰囲気下で焼成し、フェライト化させる。この焼成により結晶構造が強固となり、磁化の低下が少ない。
上記第1焼成工程、上記造粒工程及びこの第2焼成工程において、カーボンブラック、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)及び木炭から選ばれる1種以上の添加物質を添加してもよい。上記造粒工程時にポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)を添加するだけでも所望の磁気特性が得られるが、さらにこの工程(第2焼成工程)においてカーボンブラック、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)及び木炭から選ばれる少なくとも1種の添加物質を添加することで過剰にウスタイト(FeO)を生成させ、表面酸化処理時にウスタイトを優先的に酸化されることにより鉄過剰のMgフェライト成分の酸化による磁化の低下を抑制することが出来るのでより好ましい。2価のFeの存在量は粉末X線回折による結晶構造解析、もしくはMnの含有量が少なく、酸化還元滴定が可能な場合には過マンガン酸カリウムや重クロム酸カリウムによる酸化還元滴定で把握することが出来る。
焼成温度は650〜1200℃で行われることが望ましい。焼成温度が650℃未満では、結晶構造が強固ではないため、酸化皮膜処理工程での磁化の低下が著しい。また、焼成温度が1200℃を超えると、熱がかかり過ぎており、形状が悪化し、硬く、割れ欠けが発生し易く、また経済的にも不利である。
(第3焼成工程)
次に、フェライト化した粒子は、再度、非酸化性雰囲気又は弱還元性雰囲気下で焼成し、磁化及び表面性を調整する。この焼成により、結晶構造が強固となり、磁化の低下がさらに少なくなる。また、表面における細孔の生成を抑制することが出来る。
次に、フェライト化した粒子は、再度、非酸化性雰囲気又は弱還元性雰囲気下で焼成し、磁化及び表面性を調整する。この焼成により、結晶構造が強固となり、磁化の低下がさらに少なくなる。また、表面における細孔の生成を抑制することが出来る。
温度は1100〜1400℃で行われることが望ましい。焼成温度が1100℃未満では、結晶構造が強固ではないため、酸化皮膜処理工程での磁化の低下が著しい。また、焼成温度が1400℃を超えると、熱がかかり過ぎており、形状が悪化し、硬く、割れ欠けが発生し易く、また経済的にも不利である。
その後、回収し、乾燥、分級を行う。分級方法としては、既存の風力分級、メッシュ濾過法、沈降法など用いて所望の粒径に粒度調整する。乾式回収を行う場合は、サイクロン等で回収することも可能である。
(酸化皮膜処理工程)
このようにして得られた粒子の表面に酸化皮膜を形成する。この酸化皮膜の形成によって電気抵抗調整を行うことができる。酸化皮膜処理は、一般的なロータリー式電気炉、バッチ式電気炉等を用いる。酸化皮膜を均一に芯材粒子に形成させるためにはロータリー式電気炉、すなわち、ロータリーキルンを用いることが好ましい。ロータリーキルンを用いることにより、熱のかかりが均一となり、磁力及び抵抗の分布幅が狭く、現像剤としたときのキャリア付着の発生を防ぐことができる。
このようにして得られた粒子の表面に酸化皮膜を形成する。この酸化皮膜の形成によって電気抵抗調整を行うことができる。酸化皮膜処理は、一般的なロータリー式電気炉、バッチ式電気炉等を用いる。酸化皮膜を均一に芯材粒子に形成させるためにはロータリー式電気炉、すなわち、ロータリーキルンを用いることが好ましい。ロータリーキルンを用いることにより、熱のかかりが均一となり、磁力及び抵抗の分布幅が狭く、現像剤としたときのキャリア付着の発生を防ぐことができる。
酸化皮膜処理の温度は400〜800℃で行うことが望ましい。酸化皮膜処理の温度が400℃未満では、抵抗を十分に上げることができず、800℃を超えると、磁化が低下する。
<本発明の製造方法により得られる電子現像剤用キャリア芯材>
上述した製造方法によって電子現像剤用キャリア芯材が得られる。
上述した製造方法によって電子現像剤用キャリア芯材が得られる。
この電子現像剤用キャリア芯材は、その組成が少なくともFeを55.0〜70.0重量%、Mgを0.5〜5重量%、Tiを0.1〜1.5重量%及びSrを0.1〜5.0重量%を含有する。また、Mnを0.1〜5.0重量%を含有することが望ましい。このような組成を有することによって、高磁化でありながら中抵抗又は高抵抗といった所望の抵抗が得られる。
また、この電子写真現像剤用キャリア芯材の酸化皮膜の厚さ、0.0001〜10.0μmであることが望ましい。このような酸化皮膜を有することにより高磁化でありながら中抵抗又は高抵抗といった所望の抵抗が得られる。酸化皮膜の厚さは酸化皮膜が形成されていることが確認できる程度の高倍率のSEM写真から測定することが出来る。なお、酸化皮膜は芯材表面に均一で形成されていても良いし、部分的に酸化皮膜形成されていても良い。
(結晶構造の測定:X線回折測定)
測定装置としてパナリティカル社製「X’PertPRO MPD」を用いた。X線源としてCo管球(CoKα線)を、光学系として集中光学系及び高速検出器「X‘Celarator」を用いて、測定は0.2°/secの連続スキャンで行った。測定結果は通常の粉末の結晶構造解析と同様に解析用ソフトウエア「X’Pert HighScore」を用いてデータ処理し、結晶構造の同定を行った。なお、結晶構造を同定する際にFe、Oを必須元素としMn、Mg、Ti、Srは含有する可能性のある元素とした。また、X線源についてはCu管球でも問題なく測定できるが、Feを多く含んだサンプルの場合には測定対象となるピークと比較してバックグラウンドが大きくなるので、Co管球を用いる方が好ましい。また、光学系は平行法でも同様の結果が得られる可能性があるが、X線強度が低く測定に時間がかかるため集中光学系での測定が好ましい。さらに、連続スキャンの速度は特に制限はないが結晶構造の解析を行う際に十分なS/N比を得るためにスピネル構造の(311)面のピーク強度が約50000cpsとなるようにし、粒子の特定の優先方向への配向がないようにサンプルセルにキャリア芯材をセットし測定を行った。
測定装置としてパナリティカル社製「X’PertPRO MPD」を用いた。X線源としてCo管球(CoKα線)を、光学系として集中光学系及び高速検出器「X‘Celarator」を用いて、測定は0.2°/secの連続スキャンで行った。測定結果は通常の粉末の結晶構造解析と同様に解析用ソフトウエア「X’Pert HighScore」を用いてデータ処理し、結晶構造の同定を行った。なお、結晶構造を同定する際にFe、Oを必須元素としMn、Mg、Ti、Srは含有する可能性のある元素とした。また、X線源についてはCu管球でも問題なく測定できるが、Feを多く含んだサンプルの場合には測定対象となるピークと比較してバックグラウンドが大きくなるので、Co管球を用いる方が好ましい。また、光学系は平行法でも同様の結果が得られる可能性があるが、X線強度が低く測定に時間がかかるため集中光学系での測定が好ましい。さらに、連続スキャンの速度は特に制限はないが結晶構造の解析を行う際に十分なS/N比を得るためにスピネル構造の(311)面のピーク強度が約50000cpsとなるようにし、粒子の特定の優先方向への配向がないようにサンプルセルにキャリア芯材をセットし測定を行った。
本発明にかかるスピネル構造としてMgFe2O4が代表的なものであるが、元素の構成比からもわかるようにFe過剰であるためMgの一部がFeに置換され形式的にMgxFey−xO4、(MgxFe1−x)(Mgx‘Fe1−x’)2O4等で表現される結晶構造及びその一部がMn及び/又はSrに置換されたものもすべて含まれるものとし、非酸化性雰囲気で焼成されることにより周期的にスピネル構造に格子欠陥が含まれるものも含むものとする。
本発明にかかるTi化合物の結晶構造としてFeTiO3、Fe2TiO5が代表的なものであるが、Tiと比べてFeが圧倒的に存在量としては多く、FexTiOy以外に(FeTiO3)x(Fe2O3)y、Fe(FexTiy)O4、(FexTi1−x)(Fex‘Ti1−x’)O4等で表現される結晶構造及びその一部がMn及び/又はSrに置換されたSraFebTicOd等(例えばSrFe0.5Ti0.5O2.75、SrFe0.5Ti0.5O2.85)で表わされる酸化物もすべて含まれるものとし、非酸化性雰囲気で焼成されることにより周期的に上記結晶構造に格子欠陥が含まれるものも含むものとする。
この電子写真現像剤用キャリア芯材は、その表面に樹脂を被覆し、樹脂被覆キャリアとしてトナーと共に、電子写真現像剤の用途に供される。この電子写真現像剤は、補給用現像剤として用いることもできる。
本発明に係る電子写真現像剤は、補給用現像剤として用いることもできる。この際のキャリアとトナーの混合比、即ちトナー濃度は100〜3000重量%に設定することが好ましい。
以下、実施例等に基づき本発明を具体的に説明する。
(第1焼成工程)
Feを7.048モル、Mgを0.73モル、Tiを0.125モル、Srを0.075モル、Mn0.075モルとなるようにFe2O3、Mg(OH)2、TiO2、SrCO3及びMn3O4を秤量し、固形分が50重量%となるように水を加えビーズミルで混合し、混合したスラリーをスプレードライヤーで造粒した。このとき、バインダー成分としてPVAを固形分の0.3重量%となるように、またポリカルボン酸系分散剤をスラリーの粘度が1〜2ポイズになるように添加し、得られた造粒物を1050℃にて非酸化性雰囲気にてロータリーキルンで焼成し、有機物を除去しながらフェライト化を進めると同時に酸化鉄の一部を還元した。この際、木炭を造粒物の重量に対して0.5重量%添加し、木炭として奈良炭化工業社製グリーンタンソ1号を使用した。
Feを7.048モル、Mgを0.73モル、Tiを0.125モル、Srを0.075モル、Mn0.075モルとなるようにFe2O3、Mg(OH)2、TiO2、SrCO3及びMn3O4を秤量し、固形分が50重量%となるように水を加えビーズミルで混合し、混合したスラリーをスプレードライヤーで造粒した。このとき、バインダー成分としてPVAを固形分の0.3重量%となるように、またポリカルボン酸系分散剤をスラリーの粘度が1〜2ポイズになるように添加し、得られた造粒物を1050℃にて非酸化性雰囲気にてロータリーキルンで焼成し、有機物を除去しながらフェライト化を進めると同時に酸化鉄の一部を還元した。この際、木炭を造粒物の重量に対して0.5重量%添加し、木炭として奈良炭化工業社製グリーンタンソ1号を使用した。
(造粒工程)
得られた焼成物をビーズミルにてスラリー粒径のD50が2μmとなるように粉砕した。このとき、バインダー成分としてPVAをスラリーの固形分の0.3重量%となるように添加し、ポリカルボン酸系分散剤をスラリーの粘度が2〜3ポイズになるように添加し、得られた粉砕スラリーをスプレードライヤーにて再度造粒した。このとき追加原料として、Feを7.048モル、Mgを0.73モル、Tiを0.125モル、Srを0.075モル、Mn0.075モルとなるようにFe2O3、Mg(OH)2、TiO2、SrCO3及びMn3O4を第一焼成工程で得られた焼成物と追加原料の重量比が3:1となるように秤量し添加した。
得られた焼成物をビーズミルにてスラリー粒径のD50が2μmとなるように粉砕した。このとき、バインダー成分としてPVAをスラリーの固形分の0.3重量%となるように添加し、ポリカルボン酸系分散剤をスラリーの粘度が2〜3ポイズになるように添加し、得られた粉砕スラリーをスプレードライヤーにて再度造粒した。このとき追加原料として、Feを7.048モル、Mgを0.73モル、Tiを0.125モル、Srを0.075モル、Mn0.075モルとなるようにFe2O3、Mg(OH)2、TiO2、SrCO3及びMn3O4を第一焼成工程で得られた焼成物と追加原料の重量比が3:1となるように秤量し添加した。
(第2焼成工程)
950℃にて非酸化性雰囲気下、木炭を上記造粒物に対して重量比で0.5重量%添加し、ロータリーキルンで焼成を行い、有機物を除去しながらフェライト化を進めると同時に酸化鉄の一部を還元した。このとき木炭は奈良炭化工業社製グリーンタンソ1号を使用した。
950℃にて非酸化性雰囲気下、木炭を上記造粒物に対して重量比で0.5重量%添加し、ロータリーキルンで焼成を行い、有機物を除去しながらフェライト化を進めると同時に酸化鉄の一部を還元した。このとき木炭は奈良炭化工業社製グリーンタンソ1号を使用した。
(第3焼成工程)
焼成したものを80メッシュの篩を使って粗大粒子を除去した後、非酸化性雰囲気下、1200℃で16時間焼成し焼成物を得た。得られた焼成物を解砕、分級、磁力選鉱を行い、体積平均粒径が35.41μmのキャリア芯材粒子を得た。
焼成したものを80メッシュの篩を使って粗大粒子を除去した後、非酸化性雰囲気下、1200℃で16時間焼成し焼成物を得た。得られた焼成物を解砕、分級、磁力選鉱を行い、体積平均粒径が35.41μmのキャリア芯材粒子を得た。
(酸化皮膜処理工程)
さらに得られたキャリア芯材粒子を表面酸化処理温度680℃、大気雰囲気の条件の元、ロータリーキルンで表面酸化処理を行い表面酸化処理済みのキャリア芯材粒子を得た。
さらに得られたキャリア芯材粒子を表面酸化処理温度680℃、大気雰囲気の条件の元、ロータリーキルンで表面酸化処理を行い表面酸化処理済みのキャリア芯材粒子を得た。
第1焼成工程において、焼成温度を1100℃とした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
第1焼成工程において、焼成温度を900℃とした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
第2焼成工程において、焼成温度を1050℃とした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
第2焼成工程において、焼成温度を900℃とした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
第3焼成工程において、焼成温度を1160℃とした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
第3焼成工程において、焼成温度を1230℃とした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
第2焼成工程において、木炭を添加しなかった以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
原料調製時にPVAに代えてPVPを用いた以外、は実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
第1焼成工程において、木炭に代えてCBを用いた以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
原料調製時にPVAに代えてPVPを用い、第1焼成工程において、木炭に代えて、CBを用いた以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
原料調製時にPVA0.3重量%に代えてPVP0.9重量%を用い、第1焼成工程において、添加物質を添加しない以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
原料調製時にPVAの添加量を0.9重量%とし、第1焼成工程において、添加物質を添加しない以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
原料調製時にPVA0.3重量%に代えて木炭1.0重量%を用い、第1焼成工程において、添加物質を添加しない以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
原料調製時にPVA0.3重量%に代えてCB1.0重量%を用い、第1焼成工程において、添加物質を添加しない以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
表面酸化処理を700℃とした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
表面酸化処理を430℃とした以外は、実施例1と同様にしてキャリア芯材粒子を得た。
実施例1〜17について、キャリア芯材の製造条件、Fe量、Fe以外の添加元素及び添加物質の種類と量、造粒工程に用いられるスラリー粒子の粒径、各種特性を表1〜6に示す。各種特性の評価は、下記に準じて測定した。また、実施例2について、表面酸化処理前のフェライト粒子(キャリア芯材粒子)の電子顕微鏡写真(×1000)を図1に、表面酸化処理後のフェライト粒子(キャリア芯材粒子)の電子顕微鏡写真(×1000)を図2にそれぞれ示す。
(BET比表面積)
自動比表面積測定装置「GEMINI2360」(島津製作所社製)を用いて、吸着ガスであるN2を吸着させて測定したキャリア粒子のN2吸着量から求めることができる。なお、ここでは、このN2吸着量を測定する際に用いられる測定管は、測定前に、減圧状態にて50℃で2時間の空焼きを行った。さらに、この測定管にキャリア粒子5gを充填し、減圧状態で30℃の温度で2時間前処理を行った後に、25℃下でN2ガスをそれぞれ吸着させてその吸着量を測定した。それらの吸着量は、吸着等温線を描き、BET式から算出される値である。
自動比表面積測定装置「GEMINI2360」(島津製作所社製)を用いて、吸着ガスであるN2を吸着させて測定したキャリア粒子のN2吸着量から求めることができる。なお、ここでは、このN2吸着量を測定する際に用いられる測定管は、測定前に、減圧状態にて50℃で2時間の空焼きを行った。さらに、この測定管にキャリア粒子5gを充填し、減圧状態で30℃の温度で2時間前処理を行った後に、25℃下でN2ガスをそれぞれ吸着させてその吸着量を測定した。それらの吸着量は、吸着等温線を描き、BET式から算出される値である。
(見掛け密度)
JIS Z 2504に準拠して測定した。詳細は下記の通りである。
1.装置
粉末見掛密度計は漏斗、コップ、漏斗支持器、支持棒及び支持台から構成されるものを用いる。天秤は、秤量200gで感量50mgのものを用いる。
2.測定方法
(1)試料は、少なくとも150g以上とする。
(2)試料は孔径2.5+0.2/−0mmのオリフィスを持つ漏斗に注ぎ流れ出た試料が、コップ一杯になってあふれ出るまで流し込む。
(3)あふれ始めたら直ちに試料の流入をやめ、振動を与えないようにコップの上に盛り上がった試料をへらでコップの上端に沿って平らにかきとる。
(4)コップの側面を軽く叩いて、試料を沈ませコップの外側に付着した試料を除去して、コップ内の試料の重量を0.05gの精度で秤量する。
3.計算
前項2−(4)で得られた測定値に0.04を乗じた数値をJIS−Z8401(数値の丸め方)によって小数点以下第2位に丸め、「g/cm3」の単位の見掛け密度とする。
JIS Z 2504に準拠して測定した。詳細は下記の通りである。
1.装置
粉末見掛密度計は漏斗、コップ、漏斗支持器、支持棒及び支持台から構成されるものを用いる。天秤は、秤量200gで感量50mgのものを用いる。
2.測定方法
(1)試料は、少なくとも150g以上とする。
(2)試料は孔径2.5+0.2/−0mmのオリフィスを持つ漏斗に注ぎ流れ出た試料が、コップ一杯になってあふれ出るまで流し込む。
(3)あふれ始めたら直ちに試料の流入をやめ、振動を与えないようにコップの上に盛り上がった試料をへらでコップの上端に沿って平らにかきとる。
(4)コップの側面を軽く叩いて、試料を沈ませコップの外側に付着した試料を除去して、コップ内の試料の重量を0.05gの精度で秤量する。
3.計算
前項2−(4)で得られた測定値に0.04を乗じた数値をJIS−Z8401(数値の丸め方)によって小数点以下第2位に丸め、「g/cm3」の単位の見掛け密度とする。
(磁気特性)
積分型B−HトレーサーBHU−60型(理研電子社製)を使用して測定した。電磁石間に磁場測定用Hコイル及び磁化測定用4πIコイルを入れる。この場合、試料は4πIコイルに入れる。電磁石の電流を変化させ磁場Hを変化させたHコイル及び4πIコイルの出力をそれぞれ積分し、H出力をX軸に、4πIコイルの出力をY軸に、ヒステリシスループを記録紙に描く。ここで測定条件としては、試料充填量:約1g、試料充填セル:内径7mmφ±0.02mm、高さ10mm±0.1mm、4πIコイル:巻数30回にて測定した。
積分型B−HトレーサーBHU−60型(理研電子社製)を使用して測定した。電磁石間に磁場測定用Hコイル及び磁化測定用4πIコイルを入れる。この場合、試料は4πIコイルに入れる。電磁石の電流を変化させ磁場Hを変化させたHコイル及び4πIコイルの出力をそれぞれ積分し、H出力をX軸に、4πIコイルの出力をY軸に、ヒステリシスループを記録紙に描く。ここで測定条件としては、試料充填量:約1g、試料充填セル:内径7mmφ±0.02mm、高さ10mm±0.1mm、4πIコイル:巻数30回にて測定した。
(SF−1)
日本電子社製JSM−6060Aを用い、加速電圧は20kVとし、キャリアSEMを450倍視野にて、粒子が重ならないように分散させて撮影し、その画像情報を、インターフェースを介してメディアサイバネティクス社製画像解析ソフト(Image−Pro PLUS)に導入して解析を行い、Area(面積)及びフェレ径(最大)を求め、下記式より算出し得られた値である。キャリアの形状が球形に近いほど100に近い値となる。形状指数SF−1は、1粒子毎に算出し、100粒子の平均値をそのキャリアの形状指数SF−1とした。
日本電子社製JSM−6060Aを用い、加速電圧は20kVとし、キャリアSEMを450倍視野にて、粒子が重ならないように分散させて撮影し、その画像情報を、インターフェースを介してメディアサイバネティクス社製画像解析ソフト(Image−Pro PLUS)に導入して解析を行い、Area(面積)及びフェレ径(最大)を求め、下記式より算出し得られた値である。キャリアの形状が球形に近いほど100に近い値となる。形状指数SF−1は、1粒子毎に算出し、100粒子の平均値をそのキャリアの形状指数SF−1とした。
(真密度)
キャリア芯材及び充填後のキャリア粒子の真密度は、JIS R9301−2−1に準拠して、ピクノメーターを用いて測定した。ここで、溶媒としてメタノールを用い、温度25℃にて測定を行った。
キャリア芯材及び充填後のキャリア粒子の真密度は、JIS R9301−2−1に準拠して、ピクノメーターを用いて測定した。ここで、溶媒としてメタノールを用い、温度25℃にて測定を行った。
(体積抵抗)
断面積が4cm2のフッ素樹脂製のシリンダーに高さ4mmとなるように試料を充填した後、両端に電極を取り付け、さらにその上から1kgの分銅を乗せて抵抗を測定した。抵抗の測定はケースレー社製6517A型絶縁抵抗測定器にて50V及び/または1000Vで電圧印加し10sec後の電流値(10secの電流値)から抵抗を算出し体積抵抗とした。
断面積が4cm2のフッ素樹脂製のシリンダーに高さ4mmとなるように試料を充填した後、両端に電極を取り付け、さらにその上から1kgの分銅を乗せて抵抗を測定した。抵抗の測定はケースレー社製6517A型絶縁抵抗測定器にて50V及び/または1000Vで電圧印加し10sec後の電流値(10secの電流値)から抵抗を算出し体積抵抗とした。
表1及び表2の結果から明らかなように、第1焼成工程においてスピネル相の物質と非磁性のTi化合物及びFe2O3を含有する焼成物が得られた。表3及び表4の結果から明らかなように第1焼成工程で得られた焼成物を原料とし、さらに同様の組成の焼成を行っていない原料を添加し、さらに第2焼成工程において焼成が進みやすくなるように添加物質を添加したことで磁化の高い焼成物が得られた。表5の結果から明らかなように、第2焼成工程で生成した非磁性のウスタイト(FeO)は第3焼成工程においても維持された以外に、非磁性のTi化合物としてSraFebTicOdで表される化合物を含有していたにもかかわらず、第2焼成工程焼成工程と比べてさらに高い磁化を持った焼成物が得られた。このため表6の結果から明らかなように、表面酸化処理における磁化の低下を最小限に抑制しながら磁化と抵抗のバランスに優れた電子写真キャリア用芯材が得られた。
本発明の製造方法により、各重金属のみならず、Mnを実質的に用いることなしに、高磁化でありながら中抵抗又は高抵抗といった所望の抵抗が得られ、かつ高い帯電量と優れた帯電安定性を有し、しかも適度な凹凸を有する表面性と揃った形状とを兼ね備えた電子写真現像剤用キャリア芯材が工業的規模をもって安定的に得られる。
従って、本発明は、特に高画質の要求されるフルカラー機並びに画像維持の信頼性及び耐久性の要求される高速機の分野に広く使用可能である。
Claims (13)
- Fe、Mg、Ti及びSrを少なくとも含有し、少なくともスピネル構造及びTi化合物の構造を有する電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法であって、
(1)少なくともMg化合物、Ti化合物及びFe2O3を非酸化性雰囲気又は弱還元性雰囲気下、混合、焼成して2価のFeを含む混合物を得る第1焼成工程と、
(2)得られた混合物をスラリー化した後、スラリー粒子を造粒する造粒工程と、
(3)造粒物を非酸化性雰囲気又は弱還元性雰囲気下で焼成し、フェライト化させる第2焼成工程と、
(4)再度、非酸化性雰囲気又は弱還元性雰囲気下で焼成し、磁化及び表面性を調整する第3焼成工程と、
(5)粒子表面に酸化皮膜を形成する酸化皮膜処理工程と、
を有し、上記第1焼成工程又は上記造粒工程において、Fe、Mg、Ti、Mn及びSrから選択される少なくとも1種を添加することを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法。 - 上記造粒工程において、上記第1焼成工程で得られた混合物以外にFe、Mg、Ti、Mn及びSrから選択される少なくとも1種の元素を含有し、かつ焼成を行っていない原料を添加する請求項1に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法。
- 上記第1焼成工程、上記造粒工程及び上記第2焼成工程から選ばれる少なくとも1つの工程において、カーボンブラック、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)及び木炭から選ばれる少なくとも1種の添加物質を添加する請求項1又は2に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法。
- 上記第1焼成工程の焼成が800〜1200℃で行われる請求項1、2又は3に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法。
- 上記第2焼成工程の焼成が650〜1200℃で行われる請求項1〜4のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法。
- 上記第3焼成工程の焼成が1100〜1400℃で行われる請求項1〜5のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法。
- 上記酸化皮膜処理工程が400〜800℃で行われる請求項1〜6のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法。
- 上記酸化皮膜処理工程において、ロータリーキルンが用いられる請求項1〜7のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法。
- 上記造粒工程に用いられるスラリー粒子の粒径が1.0〜3.0μmである請求項1〜8のいずれかに記載の電子写真現像剤用キャリア芯材の製造方法。
- 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法により得られた電子写真現像剤用キャリア芯材。
- 少なくともFeを55.0〜70.0重量%、Mgを0.5〜5重量%、Tiを0.1〜1.5重量%及びSrを0.1〜5.0重量%を含有する請求項10に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材。
- Mnを0.1〜5.0重量%を含有する請求項10又は11に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材。
- 酸化皮膜の厚さが0.0001〜10.0μmである請求項10、11又は12に記載の電子写真現像剤用キャリア芯材。
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