JP7398092B2 - フェライト混合粉、電子写真現像剤用キャリア芯材、電子写真現像剤用キャリア及び電子写真現像剤 - Google Patents

フェライト混合粉、電子写真現像剤用キャリア芯材、電子写真現像剤用キャリア及び電子写真現像剤 Download PDF

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Description

本発明は、フェライト混合粉、電子写真現像剤用キャリア芯材、電子写真現像剤用キャリア及び電子写真現像剤に関する。
電子写真現像方法は、現像剤中のトナーを感光体上に形成された静電潜像に付着させて現像する方法をいう。この方法で使用される現像剤は、トナーとキャリアからなる二成分系現像剤と、トナーのみを用いる一成分系現像剤とに分けられる。二成分系現像剤を用いた現像方法としては、古くはカスケード法等が採用されていたが、現在では、マグネットロールを用いる磁気ブラシ法が主流である。
磁気ブラシ法では、現像剤が充填されている現像ボックス内においてトナーとキャリアとを攪拌・混合することによって、トナーに電荷を付与する。そして、マグネットを保持する現像ロールによりキャリアを感光体の表面に搬送する。その際、キャリアにより、電荷を帯びたトナーが感光体の表面に搬送される。感光体上で静電的な作用によりトナー像が形成された後、現像ロール上に残ったキャリアは再び現像ボックス内に回収され、新たなトナーと撹拌・混合され、一定期間繰り返して使用される。
二成分系現像剤は、一成分系現像剤とは異なり、キャリア自体の磁気特性や電気特性をトナーと分離して設計することができるため、現像剤を設計する際の制御性がよい。そのため、二成分系現像剤は高画質が要求されるフルカラー現像装置及び画像維持の信頼性、耐久性が要求される高速印刷を行う装置等に適している。
近年、静電潜像を高精細に現像するためトナーの小粒径化が進められている。トナーの小粒径化に伴いキャリアも小粒径化されている。キャリアを小粒径化することで、キャリアとトナーとが撹拌・混合される際の機械的ストレスが軽減し、トナースペント等の発生を抑制することができる。そのため、従来と比較すると現像剤は長寿命化している。しかしながら、キャリアを小粒径化するとキャリア飛散が生じやすくなり、白斑等の画像欠陥が生じやすくなる。
例えば、特許文献1には、Mnを15~22重量%、Mgを0.5~3.0重量%、Feを45~55重量%、Srを0.1~3.0重量%含有し、格子定数が8.430~8.475であり、表面酸化被膜が形成されたキャリア芯材が開示されている。当該特許文献1に開示のキャリア芯材によれば、表面酸化皮膜を設けることで、小粒径であるにもかかわらず、粒子抵抗が高く、粒子間の抵抗のバラツキを小さくすることができる。そのため、当該キャリア芯材を電子写真現像剤に用いれば、キャリア付着を抑制し、細線再現性に優れる良好な印刷物を得ることができる。
また、特許文献2には、組成式MFe3ーX(但し、Mは、Mn,Mg,Ca,Sr,Ti,Cu,Zn,Niからなる群より選ばれる少なくとも1種以上の金属である,0<X≦1)で表されるキャリア芯材であって、粉末X線回折パターンにおける面指数(311)のピークから算出される半値幅が0.15°以上0.20°未満であり、キャリア芯材の粉砕を経て、粉砕前後での、粉末X線回折パターンにおける面指数(311)のピークから算出される格子定数の差が絶対値で0.005Å以下であるキャリア芯材が開示されている。当該キャリア芯材は粒子表面だけでなく、粒子の内部まで高抵抗化することができるとし、当該キャリア芯材を電子写真現像剤に用いれば、感光体などへのキャリア付着が抑制され、画像形成速度が速くなっても十分な画像濃度が得られるとしている。
さらに、特許文献3には、MgとFeとをモル比xで0~0.5の範囲を含有させ、格子定数f(x)が所定の条件式を満足するようにすることで、所望の飽和磁化を達成するとともに、高電気抵抗を有する磁性芯材(キャリア芯材)が得られるとしている。そのため、当該キャリア芯材を電子写真現像剤に用いれば、画像形成の高速化及び高画質化に対応することができるとしている。
特開2013-178414号公報 特開2017-21195号公報 特開2011-209475号公報
ところで、二成分系現像剤では電子写真現像剤が用いられる現像装置の特性や、トナーの特性に応じて、キャリア芯材の磁化や抵抗が所定の初期設定値となるように製造条件が精密に制御される。上記特許文献1~特許文献3に開示のキャリア芯材は、磁化や抵抗の粒子間のバラツキが小さく、高画質で画像を印刷することができる。
しかしながら、キャリア芯材の抵抗は一般に環境依存性を示す。上記従来のキャリア芯材は抵抗等のバラツキの小さい粒子から構成される。そのため、粉体の抵抗変化は、個々の粒子の抵抗変化と略同じ挙動を示す。従って、所定の雰囲気条件下においては、極めて高画質に画像印刷を行うことができる。一方、急激な雰囲気温度の変化や湿度の変化等環境の変化に伴いキャリア抵抗の変動や、トナー帯電量の変動が生じると、トナーとキャリアとを良好に攪拌・混合することができなくなる場合がある。その場合、帯電立ち上がりが遅くなり、印刷初期においてトナー帯電量のばらつきによる濃度ムラが生じることがある。
ここで、一般にトナー帯電量は低温低湿環境下では高く、高温多湿下では低くなる傾向にある。また、トナーとキャリアとを含む二成分現像剤では、トナーとキャリアの混合比率においてトナー濃度が高いとトナー帯電量が低く、トナー濃度が低いとトナー帯電量が高くなる傾向にある。現像装置では印刷物の画像濃度を検知し、トナー帯電量が適正な値となるようにトナー濃度の制御を行う。具体的には、低温低湿環境下で画像等を印刷する場合、上述のとおりトナー帯電量が高くなる傾向にあるため、画像濃度が低下する。そのため、現像装置ではトナー帯電量を下げるため、トナーを現像剤ボックスに補給して、トナー濃度が高くなるように制御を行う。一方、高温高湿下で画像等を印刷すると、上述のとおりトナー帯電量が低くなる傾向にあるため画像濃度が高くなる。そのため、現像装置では、トナー帯電量が適正な範囲内になるまでトナーの補給を停止するなどの制御を行う。
しかしながら、例えば、低温低湿環境下において上記のようにトナー濃度の制御が行われて、現像剤ボックス内のトナー濃度が高くなった状態で保持され、現像装置が長期間使用されない場合がある。このようにトナー濃度が高い状態で、雰囲気が低温低湿環境から高温高湿環境に変化すると、次に、画像等を印刷しようとしたときに、トナー帯電量が大きく変動し、トナーとキャリアとを良好に攪拌・混合することができない場合がある。その結果、トナー帯電量の立ち上がりが遅くなり、トナー帯電量のばらつきが生じ、印刷物に濃度ムラが生じるなどの画像欠陥が生じる場合がある。
そこで、本件発明は、トナーとキャリアとの攪拌・混合性に優れ、環境が変化したときも印刷初期における画像欠陥の発生を抑制することのできる電子写真現像剤用キャリア芯材、電子写真現像剤用キャリア及び電子写真現像剤を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明に係るフェライト混合粉は、格子定数が互いに異なる複数のスピネル型フェライト粉が混合されてなるフェライト混合粉であって、下記式(1)で定めた基準値(C)よりも格子定数の値が小さいスピネル型フェライト粉からなる群をX群とし、前記基準値(C)以上の格子定数の値を有するスピネル型フェライト粉からなる群をY群とし、下記式(2)で求めた平均格子定数(C)が下記式(3)の範囲内であることを特徴とする。
(1)C=(C+C)/2
(2)C=(C×R+C×R)/(R+R
(3)8.40≦C≦8.50
但し、
は、当該フェライト混合粉を構成する複数のスピネル型フェライト粉のうち、最も格子定数の小さいスピネル型フェライト粉の格子定数であり、
は、当該フェライト混合粉を構成する複数のスピネル型フェライト粉のうち、最も格子定数の大きいスピネル型フェライト粉の格子定数であり、
はX群を構成するスピネル型フェライト粉の平均格子定数であり、
はY群を構成するスピネル型フェライト粉の平均格子定数であり、
は当該スピネル型フェライト混合粉におけるX群を構成するスピネル型フェライト粉の含有割合(%)であり、
は当該スピネル型フェライト混合粉におけるY群を構成するスピネル型フェライト粉の含有割合(%)であり、
+R=100である。
本発明に係るフェライト混合粉において、前記X群を構成するスピネル型フェライト粉の含有割合(R)と、前記Y群を構成するスピネル型フェライト粉の含有割合( )とは下記式(4)で示す条件を満足することが好ましい。
(4) 5≦R≦90、5≦R≦90
本発明に係るフェライト混合粉において、フェライト混合粉を構成する各スピネル型フェライト粉は組成式(MO)a(Fe)b(但し、MはFe,Mg,Mn,Cu,Zn及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属元素、a+b=100(mol%))で表され、又は当該組成式においてMO及びFeの一部が二価を取り得る元素の酸化物により置換された組成を有することが好ましい。
本発明に係るフェライト混合粉において、粉末X線回折パターンのリートベルト解析を行うことにより当該フェライト混合粉を構成する前記X群を構成するスピネル型フェライト粉の含有割合(R)と、前記Y群を構成するスピネル型フェライト粉の含有割合( )とを定量化するものとし、前記X群を構成するスピネル型フェライト粉の平均格子定数(C)と、前記Y群を構成するスピネル型フェライト粉の平均格子定数(C)とが少なくとも0.005Å異なることが好ましい。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリア芯材は、上記フェライト混合粉を含むことを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材。
本発明に係る電子写真現像剤用キャリアは、上記フェライト混合粉と、当該フェライト混合粉の表面を被覆する樹脂被覆層とを備えることを特徴とする。
本発明に係る電子写真現像剤は、上記電子写真現像剤用キャリアとトナーとを含むことを特徴とする。
本発明に係る電子写真現像剤は、補給用現像剤として用いられることも好ましい。
本件発明によれば、トナーとキャリアの混合、攪拌性に優れ、環境が変化したときも印刷初期における画像欠陥の発生を抑制することのできる電子写真現像剤用キャリア芯材、電子写真現像剤用キャリア及び電子写真現像剤を提供することができる。
以下、本件発明に係るフェライト混合粉、電子写真現像剤用キャリア芯材、電子写真現像剤用キャリア及び電子写真現像剤の実施の形態を説明する。なお、本明細書において、フェライト混合粉、電子写真現像剤用キャリア芯材、電子写真現像剤用キャリア及び電子写真現像剤は、特記しない限り、それぞれ個々の粒子の集合体、つまり粉体を意味するものとする。まず、フェライト混合粉及び電子写真現像剤用キャリア芯材の実施の形態を説明する。また、以下では、本実施の形態のフェライト混合粉は電子写真現像剤用キャリア芯材として用いられるものとして説明するが、本件発明に係るフェライト混合粉は磁性インク、磁性流体、磁性フィラー、ボンド磁石用フィラー及び電磁波シールド材用フィラー等の各種機能性フィラー、電子部品材料等の各種用途に用いることができ、当該フェライト混合粉の用途は電子写真現像剤用キャリア芯材に限定されるものではない。
1.フェライト混合粉
まず、フェライト混合粉について説明する。当該フェライト混合粉は、格子定数が互いに異なる複数のスピネル型フェライト粉が混合されたものである。
1-1.式(1)~式(3)
当該フェライト混合粉を構成する複数のスピネル型フェライト混合粉について、下記式(1)で定めた基準値(C)と各スピネル型フェライト混合粉の格子定数とを比較し、当該基準値(C)よりも格子定数の値が小さいスピネル型フェライト粉からなる群をX群とし、当該基準値(C)以上の格子定数の値を有するスピネル型フェライト粉からなる群をY群としたとき、当該フェライト混合粉は下記式(2)で求めた平均格子定数(C)が下記式(3)の範囲内であるものとする。
(1)C=(C+C)/2
(2)C=(C×R+C×R)/(R+R
(3)8.40≦C≦8.50
但し、
は、当該フェライト混合粉を構成する複数のスピネル型フェライト粉のうち、最も格子定数の小さいスピネル型フェライト粉の格子定数であり、
は、当該フェライト混合粉を構成する複数のスピネル型フェライト粉のうち、最も格子定数の大きいスピネル型フェライト粉の格子定数であり、
はX群を構成するスピネル型フェライト粉の平均格子定数であり、
はY群を構成するスピネル型フェライト粉の平均格子定数であり、
は当該スピネル型フェライト混合粉におけるX群を構成するスピネル型フェライト粉の含有割合(wt%)であり、
は当該スピネル型フェライト混合粉におけるY群を構成するスピネル型フェライト粉の含有割合(wt%)であり、R+R=100である。
1-1-1.第1のスピネル型フェライト粉~第nのスピネル型フェライト粉
当該フェライト混合粉は格子定数が互いに異なるn以上のスピネル型フェライト粉(第1のスピネル型フェライト粉~第nのスピネル型フェライト粉)から実質的に構成されるものとし、「n」は2以上の整数であればよい。例えば、「n」の値は、2≦n≦10であることが好ましい。特に、2≦n≦6であることが好ましく、2≦n≦4であることがより好ましく、n=2又は3であることがさらに好ましいが、本発明において「n」の値は特に限定されるものではない。また、「n」の値はこれらの上限値及び下限値を適宜組み合わせた範囲内の数値であってもよい。さらに、当該フェライト混合粉が「格子定数が互いに異なるn以上のスピネル型フェライト粉から実質的に構成される」とは、当該フェライト混合粉が原料等に不可避的に随伴する不純物等を含むことを許容するが、当該フェライト混合粉の特性等を支配する実質的な成分が格子定数の互いに異なる複数のスピネル型フェライト粉であることを意味する。また、フェライト混合粉を構成する各スピネル型フェライト粉は組成、製造方法等が同じ粒子からなるフェライト単粉であるものとする。組成、製造条件(焼成温度等の焼成条件(焼成温度、保持時間、雰囲気酸素濃度等)、表面酸化処理の有無、表面酸化処理条件(酸化処理温度、酸化処理時間)等)を変化させることにより格子定数の異なるスピネル型フェライト粉を製造することができる。当該フェライト混合粉は、例えば、同一組成であるが焼成温度の異なるフェライト粒子の混合粉、異種組成のフェライト粒子の混合粉、酸化処理有のフェライト粒子と酸化処理無のフェライト粒子の混合粉、これらをさらに混合した混合粉等、種々の態様の混合粉を含む。
以下、便宜的に、当該フェライト混合粉を構成するスピネル型フェライト粉に対して、格子定数の値が小さいものから大きいものへ順に第1のスピネル型フェライト粉から第nのスピネル型フェライト粉と昇順で番号を付す。すなわち、最も格子定数の小さいスピネル型フェライト粉を第1のスピネル型フェライト粉とし、最も格子定数の大きいスピネル型フェライト粉を第nのスピネル型フェライト粉と称する。従って、上記Cは第1のスピネル型フェライト粉の格子定数であり、上記Cは第nのスピネル型フェライト粉の格子定数である。
1-1-2.式(1)
上記式(1)は、当該フェライト混合粉を構成する第1のスピネル型フェライト粉~第nのスピネル型フェライト粉をX群とY群とに群分けするために用いる基準値(C)を得るための式であり、当該基準値(C)は第1のスピネル型フェライト粉の格子定数(C)と第nのスピネル型フェライト粉の格子定数(C)との平均値に等しい。
当該フェライト混合粉を構成する第1のスピネル型フェライト粉~第nのスピネル型フェライト粉の各格子定数と、上記式(1)によって求めた基準値(C)とを比較し、当該基準値(C)よりも格子定数の値が小さいスピネル型フェライト粉をX群の構成粉とし、基準値(C)以上の格子定数の値を有するスピネル型フェライト粉をY群の構成粉とする。
1-1-3.式(2)
上記式(2)は、当該フェライト混合粉の平均格子定数(C)を求めるための式である。当該平均格子定数(C)は、X群の平均格子定数(C)と当該フェライト混合粉におけるX群の含有割合(R)と、Y群の平均格子定数(C)と当該フェライト混合粉における群の含有割合(R)とを用いて算出する。これら(C、C、R、R)は、後述する方法で得たX線回折パターンを、後述する方法でリートベルト解析を行うことにより結晶相構造の同定及び定量化することにより得た値とする。
1-1-4.式(3)
式(3)は、式(2)に従って求めたフェライト混合粉の平均格子定数(C)の範囲を規定する。本発明者らが鋭意検討を行った結果、平均格子定数(C)が上記式(3)の範囲内となるように複数のスピネル型フェライト粉を混合することにより、常温常湿下等の所定の条件下においては、フェライト混合粉の平均格子定数と同じ格子定数を有するスピネル型フェライト単粉と同等の磁化、抵抗、帯電特性を発現し、所望の特性が得られることを見出した。さらに上記式(3)の範囲内となるように複数のスピネル型フェライト粉を混合することで、雰囲気温度や湿度等の環境が大きく変化したときも初期設定値と略同等の帯電立ち上がり性を維持することができることを見出した。
これは次の理由によると考える。スピネル型フェライト粉の格子定数は、スピネル型フェライト粉の磁化、抵抗、帯電特性等の種々の特性を表すパラメータとなる。従来、キャリア芯材は粒子間の格子定数のバラツキが小さくなるように製造条件が精密に制御されてきた。従って、スピネル型フェライト単粉を構成する粒子の種々の特性等のバラツキは小さい。一方、フェライト混合粉は格子定数の値の異なる粒子を含む。従って、フェライト混合粉は相対的にみると強磁性粒子及び弱磁性粒子の混合粉体であり、帯電特性の異なる粒子の混合粉体であるといえる。電子写真印刷を行う際は、現像ボックス内においてキャリアとトナーとを攪拌・混合することによって、トナーに電荷を付与する。トナー補給時等のトナー濃度が高い状態では、攪拌・混合時に磁気的に互いに結合したキャリア粒子をほぐしながら、トナーとキャリアとを十分に混合し、摩擦帯電させる必要がある。
ここで、スピネル型フェライト単粉は磁化が同程度の粒子からなる粉体である。格子定数の値が小さいほど磁化が高い傾向にある。従って、相対的にみると格子定数の小さいスピネル型フェライト単粉は、強磁性粒子からなる粉体であるといえる。一方、フェライト混合粉は上記のとおり強磁性粒子及び弱磁性粒子の混合粉体といえる。フェライト混合粉では弱磁性粒子が存在することにより、強磁性粒子同士が磁気的に結合する確率を低下させることができる。また、強磁性粒子同士が磁気的に結合している場合と比較すると、強磁性粒子と弱磁性粒子とが磁気的に結合している方がそれをほぐすことは容易であり、粉体の流動性が良好になる。そのため、フェライト混合粉をキャリア芯材として用いることで、粉体を構成する個々の粒子間の接触・分離を良好に行うことができ、キャリアとトナー間での摩擦帯電を均一に行うことができる。
また、スピネル型フェライト単粉は帯電特性が同等な粒子からなる粉体である。一方、フェライト混合粉は帯電特性が異なる粒子の混合粉体である。スピネル型フェライト単粉では各粒子の帯電量が同等であるため、表面電位の差が生じにくい。一方、フェライト混合粉は各粒子の帯電量の差に起因して、表面電位差が生じる。そのため、フェライト混合粉では、攪拌時に粒子が互いに接触すると、粒子間での電荷移動が速やかに行われる。
これらのことから、フェライト混合粉をキャリア芯材とした場合、スピネル型フェライト単粉をキャリア芯材とした場合と比較すると、現像ボックス内でキャリアとトナーとを攪拌・混合したときのトナーの摩擦帯電量の単位時間当たりの増加量が格段に早くなる。スピネル型フェライト単粉をキャリア芯材とした場合、雰囲気温度や湿度等の環境が変化したときに、初期印刷時の帯電立ち上がり性が悪く濃度ムラ等の画像欠陥が生じる場合がある。特に、使用雰囲気が低温低湿状態から高温高湿状態に変化し、トナー濃度が高い状態で長期保管されたとき、従来のキャリア芯材ではこのような不具合が生じやすくなる。一方、当該フェライト混合粉をキャリア芯材とすることで、雰囲気温度や湿度等の環境が変化したときも、初期印刷時の帯電立ち上がり性を良好に維持することができる。使用雰囲気が低温低湿状態から高温高湿状態に変化したときも初期設定値と同等の帯電立ち上がり性を維持することができるため、本件発明によれば、濃度ムラ等の画像欠陥の発生を良好に抑制することができる。
これらの効果を得る上で、上記式(3)において、平均格子定数(C)の下限値は8.41であることがより好ましく、8.42であることがさらに好ましい。また、平均格子定数(C)の上限値は8.45であることがより好ましく、8.44であることがさらに好ましい。なお、上記式(3)において、これらの下限値及び上限値を適宜置換することができ、上記式(3)において等号付不等号(≦)と不等号(<)とは置き換えることができる。他の式(4)及び式(5)についても同様であり、不等号(<)と等号付不等号(≦)とを置き換えることもできる。
当該フェライト混合粉の平均格子定数(C)が上記式(3)の下限値未満である場合、フェライト混合粉が比較的磁化の高いスピネル型フェライト粉から構成されるため、攪拌時に粒子同士の磁気的な結合をほぐすことが困難になり、当該フェライト混合粉の流動性が低下する。そのため、上述した効果が得られにくくなり好ましくない。一方、当該フェライト混合粉の平均格子定数(C)が上記式(3)の上限値を超える場合、フェライト混合粉が比較的抵抗値の高いスピネル型フェライト粉から構成される。そのため、粒子間の表面電位差が小さくなり、粒子間の電荷移動を速やかにする効果が低減するため、好ましくない。
1-2.X群及びY群
1-2-1.X群及びY群の含有割合(式(4))
当該フェライト混合粉において、上記X群を構成するスピネル型フェライト粉の含有割合(R)と、上記Y群を構成するスピネル型フェライト粉の含有割合(R)とは、上述したとおり、R+R=100(wt%)の条件を満たすとともに、下記式(4)で示す条件を満足することが好ましい。
(4) 5≦R≦90、5≦R≦90
式(4)を満足させることにより、フェライト混合粉の磁化、抵抗、帯電量等を所望の画像印刷を行う上で適正な範囲内にすることが容易になる。また、環境が大きく変化したときも、初期設定値と同等の帯電立ち上がり性を維持することができ、画像ムラ等の画像欠陥を抑制することができる。上記X群を構成するスピネル型フェライト粉の含有割合(R)が5(wt%)未満であると、当該フェライト混合粉における、格子定数の値の小さいスピネル型フェライト粉の含有割合が低くなる。すなわち、フェライト混合粉が比較的抵抗値の高いスピネル型フェライト粉から構成される。そのため、粒子間の表面電位差が小さくなり、粒子間の電荷移動を速やかにする効果が低減するため、好ましくない。一方、上記X群を構成するスピネル型フェライト粉の含有割合(R)が90(wt%)を超えると、当該フェライト混合粉における、格子定数の値の小さいスピネル型フェライト粉の含有割合が高くなる。すなわち、フェライト混合粉が比較的磁化の高いスピネル型フェライト粉から構成される。そのため、攪拌時に粒子同士の磁気的な結合をほぐすことが困難になり、式(3)で述べた効果を得ることが困難になる。
上記効果を得る上で、当該フェライト混合粉は上記式(4)を満足することが好ましい。このとき、式(4)の下限値は、R、Rそれぞれ10(wt%)であることが好ましく、15(wt%)であることがより好ましく、20(wt%)であることがさらに好ましく、25(wt%)であることが一層好ましい。また、上限値は、R、Rそれぞれ85(wt%)であることが好ましく、80(wt%)であることがより好ましく、75(wt%)であることがさらに好ましい。
1-2-2.X群及びY群の平均格子定数差(式(5))
当該フェライト混合粉において、X群を構成するスピネル型フェライト粉の平均格子定数(C)と、Y群を構成するスピネル型フェライト粉の平均格子定数(C)との差は以下の式(5)に示す条件を満足することが好ましい。
(5) 0.03Å < C-C < 0.10Å
式(5)を満足させることにより、X群を構成するスピネル型フェライト粉の平均格子定数(C)と、Y群を構成するスピネル型フェライト粉の平均格子定数(C)との差を確保することができ、平均格子定数(C)を上記式(3)の範囲にしつつ、磁化、抵抗、帯電特性について有意な差のある複数のスピネル型フェライト粉を混合することで、本発明に係るフェライト混合粉による上記の効果をより確実に得ることができる。
上記式(5)の下限値は、0.04Åであることが好ましく、0.05Åであることがより好ましく、0.06Åであることがさらに好ましく、0.07Åであることがより一層好ましく、0.08Åであることがさらに一層好ましい。また、上記式(5)の上限値は、0.09Åであることがより好ましい。
1-3.組成
当該フェライト混合粉を構成する各スピネル型フェライト粉は、それぞれスピネル型結晶構造を有するものとする。フェライトは酸化第二鉄(Fe)を主成分とする磁性酸化物であり、スピネル型フェライト粉は(MO)a(Fe)bで表される。ここで、Mは遷移金属元素であり、スピネル型結晶構造を形成可能な元素であれば特に限定されるものではないが、例えば、MはFe,Mg,Mn,Cu,Zn及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属元素であることが好ましい。また、上記組成式においてa+b=100(mol%)であることが好ましい。
さらに、上記組成式においてMO及び/又はFeの一部が二価を取り得る元素の酸化物により置換されてもよい。二価をとり得る元素の酸化物とは、例えば、SrO、CaO、TiO、ZrO、CuO、ZnO、NiOをいう。
特に、当該フェライト混合粉を構成する各スピネル型フェライト粉は、(MnO)x(MgO)y(Fe)zの組成式で表されることが好ましい。このとき、x+y+z=100(mol%)であり、xが15mol%~60mol%、yが15mol%~60mol%、zが0.1mol%~35mol%であることが好ましくい。また、当該組成式で表されるスピネル型フェライト粉において、MnO、MgO及びFeの少なくともいずれかの一部が、SrO、CaO、TiO、ZrO、CuO、ZnO、NiOのいずれかによって0.4mol%~2.0mol%置換されていることが好ましく、SrO及び/又はZrOによって当該範囲内で置換されていることがさらに好ましい。
当該フェライト混合粉を構成する各スピネル型フェライト粉は上記組成を有し、各スピネル型フェライト粉の格子定数が互いに異なるものであればよい。各スピネル型フェライト粉の組成は同じであってもよいし、上記組成式で表される範囲内で異なるものであってもよい。なお、組成が同じであるとは、実質的に同じであれば足りる。
1-4.格子定数
当該フェライト混合粉を構成する第1のスピネル型フェライト粉~第nのスピネル型フェライト粉の格子定数は、フェライト混合粉全体でみたときに上記式(3)を満足すればよく、個々のスピネル型フェライト粉の格子定数は特に限定されるものではない。しかしながら、概ね8.400Å以上8.500Å以下であることが好ましい。
ここでいう格子定数は以下の方法により得た粉末X線回折パターンを後述する方法によりリートベルト解析することにより結晶相を同定することにより特定した値をいう。粉末X線回折パターンの波形分離では各結晶相の同定と定量を行うことが困難な場合があるが、結晶構造モデルに基づいたリートベルト解析によればそのような場合も各相の同定と定量が可能になる。
(粉末X線回折)
X線回折装置として、パナリティカル社製「X’PertPRO MPD」を用いることができる。X線源としてCo管球(CoKα線)を用いることができる。光学系として集中光学系及び高速検出器「X‘Celarator」を用いることができる。測定条件は以下のとおりとする。
スキャンスピード :0.08°/秒
発散スリット :1.0°
散乱スリット :1.0°
受光スリット :0.15mm
封入管の電圧及び電流値:40kV/40mA
測定範囲 :2θ=15°~90°
積算回数 :5回
(結晶相の同定)
上記得られた測定結果(粉末X線回折パターン)を元に、「国立研究開発法人物質・材料研究機構、”AtomWork”、インターネット<URL:http://crystdb.nims.go.jp/>」に開示の構造より結晶構造を以下の通り同定し、各結晶構造から格子定数を特定した。
フェライト混合粉の場合は以下のモデルを採用した。
X群:マンガンフェライト(スピネル型結晶)からなる結晶相
結晶構造: 空間群 F d -3 m (No. 227)
Y群:マンガンフェライト(スピネル型結晶)からなる結晶相
結晶構造: 空間群 F d -3 m (No. 227)
フェライト単粉の場合は以下のモデルを採用した。
マンガンフェライト(スピネル型結晶)からなる結晶相
結晶構造: 空間群 F d -3 m (No. 227)
1-5.含有割合
以上のように結晶相の同定を行った後、解析用ソフト「RIETAN-FP v2.83」を用いて、同定した結晶構造を精密化することで、フェライト混合粉におけるX群とY群の質量換算の存在比率を各結晶相の相組成比(含有割合)を算出し、それを上記R、Rとする。
プロファイル関数はThompson,Cox,Hastingの擬Voigt関数を使用しHowardの方法で非対称化を行う。フィッティングの正確さを表すRwp値,S値が各々Rwp:2%以下,S値:1.5以下であり、2θ=35~37°に於いてB,C相のメインピークがフィッティングされていることを確認した上で、各パラメータの最適化を行った。ここで、プロファイル関数はThompson,Cox,Hastingの擬Voigt関数を使用し、Howardの方法で非対称化を行う。
また、フィッティングの正確さを表すRwp値,S値が各々Rwp:2%以下,S値:1.5以下となるよう以下のパラメータの最適化を行う。
(最適化するパラメータ)
・シフト因子
・スケール因子
・バックグラウンドパラメータ
・ガウス関数 U,V,W
・ローレンツ関数 X,Y
・非対称パラメータ As
・格子定数
・酸素原子座標
・原子変位パラメータ Bは鉄原子およびマンガン原子は0.75、酸素原子は1.0に固定
1-6.平均体積粒径(D50
フェライト混合粉をキャリア芯材として用いる場合、当該フェライト混合粉の平均体積粒径(D50)は20μm以上50μm以下であることが好ましい。フェライト混合粉の体積平均粒径(D50)が20μm未満であると粒径が小さいため、当該フェライト混合粉が凝集しやすくなる。当該フェライト混合粒子を芯材とし、その表面に樹脂を被覆してキャリアとする際に、フェライト混合粉が凝集していると、個々のフェライト混合粉の表面に樹脂を良好に被覆することができなくなる。その後、現像剤の製造時或いは使用時に粒子の凝集がほぐれると、当該現像剤は樹脂で被覆されていない領域の大きいキャリアの含有率が高くなる。そのため、平均体積粒径(D50)が20μm未満のフェライト混合粉を芯材に用いて現像剤を製造すると、トナーに対する十分な帯電付与性を得られない場合があるため好ましくない。また、平均体積粒径(D50)が20μm未満になると、粒径が小さく、キャリア飛散を抑制することが困難になる。これらの観点から、平均体積粒径(D50)は25μm以上であることがより好ましく、30μm以上であることがより好ましい。
一方、フェライト混合粉の体積平均粒径(D50)が50μmを超えると、当該フェライト混合粉を構成する一つ一つの粒子の粒径が大きくなる。そのため、体積平均粒径(D50)が小さいフェライト混合粉と比較すると、粉体全体としてみたときにトナーとの摩擦帯電に寄与するキャリアの表面積が小さくなる。そのため、トナーに対する十分な帯電付与性が得られず、画像を高精細に印刷することが困難になる。これらの観点から、当該フェライト混合粉の体積平均粒径(D50)は45μm以下であることがより好ましく、40μm以下であることがよりさらに好ましい。なお、フェライト混合粉の体積平均粒径(D50)のより好ましい範囲は、これら上限値及び下限値として列挙した数値を任意に組み合わせることができ、これらの数値を含まない範囲としてもよい。他の数値範囲についても同様である。
また、当該フェライト混合粉において、体積粒径が16μm未満の粒子の含有割合が4.5体積%以下であることが好ましい。体積粒径が16μm未満の粒子の含有割合が4.5体積%以下であると、より良好にフェライト混合粉の凝集を抑制すると共に、現像剤として用いた際にキャリア飛散を抑制することができる。
ここでいう平均体積粒径(D50)は、レーザ回折・散乱法によりJIS Z 8825:2013に準拠して測定した値をいう。具体的には、日機装株式会社製マイクロトラック粒度分析計(Model9320-X100)を用い、次のようにして測定することができる。まず、測定対象とするフェライト混合粉(又はフェライト単粉)を試料とし、試料10gと水80mlを100mlのビーカーに入れ、分散剤(ヘキサメタリン酸ナトリウム)を2滴~3滴添加し、超音波ホモジナイザー(SMT.Co.LTD.製UH-150型)を用い、出力レベル4に設定し、20秒間分散を行い、ビーカー表面にできた泡を取り除くことによりサンプルを調製し、当該サンプルを用いて、上記マイクロトラック粒度分析計により測定したサンプルの体積平均粒径を試料の平均体積粒径(D50)とする。
1-7.見掛密度(AD)
当該フェライト混合粉の見掛密度(AD)は2.0g/cm以上2.8g/cm以下であることが好ましい。ここでいう見掛密度は、JIS Z 2504:2012に準拠して測定した値という。当該フェライト混合粉を用いてキャリアを得た際に、当該フェライト混合粉の見掛密度が当該範囲内であると、キャリアの流動性が良好であり、且つ、現像機内で攪拌ストレスによる帯電特性の劣化を抑制することができる。
当該フェライト混合粉の見掛密度は、2.1g/cm以上であることがより好ましく、2.2g/cm以上であることがさらに好ましい。また、当該フェライト混合粉の見掛密度は、2.7g/cm以下であることがより好ましく、2.6g/cm以下であることがさらに好ましい。
見掛密度は、より具体的には、粉末見掛密度計を用いて以下のようにして測定することができる。粉末見掛密度計として、漏斗、コップ、漏斗支持器、支持棒及び支持台から構成されるものを用いる。天秤は、秤量200gで感量50mgのものを用いる。そして、以下の手順で測定し、以下のようにして算出して得た値をここでいう見掛密度とする。
(1)測定方法
(a)試料は、少なくとも150g以上とする。
(b)試料は孔径2.5+0.2/-0mmのオリフィスを持つ漏斗に注ぎ流れ出た試料が、コップ一杯になってあふれ出るまで流し込む。
(c)あふれ始めたら直ちに試料の流入をやめ、振動を与えないようにコップの上に盛り上がった試料をへらでコップの上端に沿って平らにかきとる。
(d)コップの側面を軽く叩いて、試料を沈ませコップの外側に付着した試料を除去して、コップ内の試料の重量を0.05gの精度で秤量する。
(2)計算
上記(d)で得られた測定値に0.04を乗じた数値をJIS-Z8401(数値の丸め方)によって小数点以下第2位に丸め、「g/cm」の単位の見掛け密度とする。
1-8.体積流動度
当該フェライト混合粉の体積流動度(FR)(s/50g)は、JIS-Z2502:2012に準拠して測定した値をいう。当該フェライト混合粉の体積流動度は、15(s/50g)以上50(s/50g)以下であることが好ましい。ここで、当該フェライト混合粉の体積流動度は18(s/50g)以上であることがより好ましく、20(s/50g)以上であることがさらに好ましい。また、当該フェライト混合粉の体積流動度は、45(s/50g)以下であることがより好ましく、40(s/50g)以下であることがさらに好ましい。フェライト混合粉の体積流動度がこのような数値範囲内であると、フェライト混合粉の流動性が良好である。そのため、当該フェライト混合粉を用いて現像ボックス内においてもトナーと良好に攪拌することができる。
1-9.磁気特性
次に、当該フェライト混合粉の磁気特性について説明する。当該フェライト混合粉を電子写真現像剤用キャリアの芯材として用いる場合、1K・1000/4π・A/m(=79.58×10A/m)の磁場をかけたときのVSM測定(室温専用振動試料型磁力計)による飽和磁化が55Am/kg以上95Am/kg以下であることが好ましい。フェライト混合粉の飽和磁化が当該範囲内であると、当該フェライト混合粉を芯材として用いることで高画質の電子写真印刷を良好に行うことのできる電子写真現像剤を得ることができる。当該フェライト混合粉の飽和磁化が55Am/kg未満になると、芯材の磁力が弱く、低磁化に起因するキャリア飛散が発生しやすくなるため好ましくない。一方、飽和磁化と電気抵抗はトレードオフの関係にあり、フェライト粉の飽和磁化が高くなると、その電気抵抗は低くなる。そのため、当該フェライト混合粉の飽和磁化が95Am/kgを超えると、当該フェライト混合粉の抵抗が低くなり、低抵抗に起因するキャリア飛散が発生しやすくなるため好ましくない。
これらの観点から、当該フェライト混合粉の飽和磁化は60Am/kg以上であることがより好ましく、65Am/kg以上であることがさらに好ましい。また、当該フェライト混合粉の飽和磁化は90Am/kg以下であることがより好ましく、85Am/kg以下であることがさらに好ましい。
2.電子写真現像剤用キャリア
次に、本件発明に係る電子写真現像剤用キャリアについて説明する。本発明に係る電子写真現像剤用キャリアは、上記フェライト混合粉と、当該フェライト混合粉の表面に設けられた樹脂被覆層とを備える。すなわち、上記フェライト混合粉は、電子写真現像剤用キャリアの芯材として用いられる。フェライト混合粉については上述したとおりであるため、ここでは主として樹脂被覆層について説明する。
(1)被覆樹脂の種類
樹脂被覆層を構成する樹脂(被覆樹脂)の種類は、特に限定されるものではない。例えば、フッ素樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、フッ素アクリル樹脂、アクリル-スチレン樹脂、シリコーン樹脂等を用いることができる。また、シリコーン樹脂等をアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アルキッド樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等の各樹脂で変性した変成シリコーン樹脂等を用いてもよい。例えば、トナーとの撹拌混合時に受ける機械的ストレスによる樹脂剥離を抑制するという観点からは、被覆樹脂は熱硬化性樹脂であることが好ましい。当該被覆樹脂に好適な熱硬化性樹脂として、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂及びそれらを含有する樹脂等が挙げられる。但し、上述のとおり、被覆樹脂の種類は特に限定されるものではなく、組み合わせるトナーの種類や使用環境等に応じて、適宜適切なものを選択することができる。
また、1種類の樹脂を用いて樹脂被覆層を構成してもよいし、2種類以上の樹脂を用いて樹脂被覆層を構成してもよい。2種類以上の樹脂を用いる場合は、2種類以上の樹脂を混合して1層の樹脂被覆層を形成してもよいし、複数層の樹脂被覆層を形成してもよい。例えば、フェライト混合粉の表面に、フェライト混合粉と密着性の良好な第一の樹脂被覆層を設け、当該第一の樹脂被覆層の表面に、当該キャリアに所望の帯電付与性能を付与するための第二の樹脂被覆層を設けることなども好ましい。
(2)樹脂被覆量
フェライト混合粉の表面を被覆する樹脂量(樹脂被膜量)は、芯材として用いるフェライト混合粉に対して0.1質量%以上10質量%以下であることが好ましい。当該樹脂被覆量が0.1質量%未満であると、フェライト混合粉の表面を樹脂で十分被覆することが困難になり、所望の帯電付与能力を得ることが困難になる。また、当該樹脂被覆量が10質量%を超えると、製造時にキャリア粒子同士の凝集が発生してしまい、歩留まり低下等の生産性の低下と共に、実機内での現像剤の流動性或いは、トナーに対する帯電付与性等の現像剤特性が変動するため好ましくない。
(3)添加剤
樹脂被覆層には、導電剤や帯電制御剤等のキャリアの電気抵抗や帯電量、帯電速度をコントロールすることを目的とした添加剤が含まれていてもよい。導電剤としては、例えば、導電性カーボン、酸化チタンや酸化スズ等の酸化物、又は、各種の有機系導電剤を挙げることができる。但し、導電剤の電気抵抗は低いため、導電剤の添加量が多くなりすぎると、電荷リークを引き起こしやすくなる。そのため、導電剤の含有量は、被覆樹脂の固形分に対して0.25質量%以上20.0質量%であることが好ましく、0.5質量%以上15.0質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
帯電制御剤としては、トナー用に一般的に用いられる各種の帯電制御剤や、シランカップリング剤が挙げられる。これらの帯電制御剤やカップリング剤の種類は特に限定されないが、ニグロシン系染料、4級アンモニウム塩、有機金属錯体、含金属モノアゾ染料等の帯電制御剤や、アミノシランカップリング剤やフッ素系シランカップリング剤等を好ましく用いることができる。帯電制御剤の含有量は、被覆樹脂の固形分に対して好ましくは0.25質量%以上20.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上15.0質量%以下であることがより好ましく、1.0質量%以上10.0質量%以下であることがさらに好ましい。
3.電子写真現像剤
次に、本件発明に係る電子写真現像剤の実施の形態について説明する。当該電子写真現像剤は、上記電子写真現像剤用キャリアとトナーとを含む。
当該電子写真現像剤を構成するトナーとして、例えば、重合法により製造される重合トナー及び粉砕法によって製造される粉砕トナーのいずれも好ましく用いることができる。これらのトナーは各種の添加剤を含んでいてもよく、上記キャリアと組み合わせて電子写真現像剤として使用することができる限り、どのようなものであってもよい。
トナーの体積平均粒径(D50)は2μm以上15μm以下であることが好ましく、3μm以上10μm以下であることがより好ましい。トナーの体積平均粒径(D50)が当該範囲内であると、高画質な電子写真印刷を行うことができる電子写真現像剤を得ることができる。
キャリアとトナーとの混合比、すなわちトナー濃度は、3質量%以上15質量%以下であることが好ましい。トナーを当該濃度で含む電子写真現像剤は、所望の画像濃度が得られやすく、カブリやトナー飛散をより良好に抑制することができる。
一方、当該電子写真現像剤を補給用現像剤として用いる場合には、キャリア1質量部に対してトナー2質量部以上50質量部以下であることが好ましい。
当該電子写真現像剤は、磁気ドラム等にキャリアを磁力により吸引付着させてブラシ状にしてトナーを搬送し、バイアス電界を付与しながら、感光体上等に形成された静電潜像にトナーを付着させて可視像を形成する磁気ブラシ現像法を適用した各種電子写真現像装置に好適に用いることができる。当該電子写真現像剤は、バイアス電界を付与する際に、直流バイアス電界を用いる電子写真現像装置だけでなく、直流バイアス電界に交流バイアス電界を重畳した交番バイアス電界を用いる電子写真現像装置にも用いることができる。
4.製造方法
以下では、本件発明に係るフェライト混合粉、電子写真現像剤用キャリア芯材、電子写真現像剤用キャリア及び電子写真現像剤の製造方法について説明する。
4-1.フェライト混合粉及び電子写真現像剤用キャリア芯材
本件発明に係るフェライト混合粉及び電子写真現像剤用キャリア芯材は、次のようにして製造することができる。
本件発明に係るフェライト混合粉は、格子定数の異なる複数のスピネル型フェライト粉を含む。当該フェライト混合粉の製造方法として、例えば、組成又は製造条件(焼成条件或いは表面酸化処理の有無、表面酸化処理条件等)等を変化させることにより製造した複数のフェライト単粉(スピネル型フェライト粉)を所定の混合比で混合することにより得ることができる。ここでは、まずフェライト単粉の製造方法について述べる。
フェライト単粉を製造するに際して、焼成後の組成比が所望のフェライト組成となるように原料を適量秤量した後、ボールミル又は振動ミル等で0.5時間以上、好ましくは1時間以上20時間以下粉砕混合し、仮焼成する。
例えば、(MnO)x(MgO)y(Fe)z(但し、15≦x≦50、2≦y≦35、45≦z≦60、x+y+z=100(mol%))の組成式で表されるスピネル型結晶構造を有するフェライト単粉を製造するには、x、y、zが所望の値となるように、それぞれの原料を秤量し、粉砕混合する。原料としては、例えば、Feと、Mg(OH)及び/又はMgCOと、MnO、Mn、Mn及びMnCOからなる群から選ばれる1種類以上のマンガン化合物を用いることが好ましい。また、このとき、例えば、上記組成式においてMO及び/又はFeの一部が二価を取り得る元素の酸化物により置換されたフェライト粉を製造するには、これらの元素の酸化物又は炭酸塩等を原料とし、所望の添加量となるように秤量し、他の原料と粉砕混合する。例えば、SrOについてはSrCO、ZrOについては、ZrOを原料とすることができる。
このようにして得られた粉砕物を粉砕混合して、仮焼成する。そして、得られた仮焼物をさらにボ-ルミル又は振動ミル等で粉砕した後、水を加えてビーズミル等を用いて微粉砕し、スラリーを得る。メディアとして使用するビーズの径、組成、粉砕時間を調整することによって、粉砕度合いをコントロールすることができる。原料を均一に分散させる上で、1mm以下の粒径を持つ微粒なビーズをメディアとして使用することが好ましい。また、原料を均一に分散させる上で、粉砕物の体積平均粒径(D50)が2.5μm以下になるように粉砕することが好ましく、2.0μm以下になるように粉砕することがより好ましい。また、異常粒成長を抑制するため、粒度分布の粗目側の粒径(D90)は3.5μm以下になるように粉砕することが好ましい。このようにして得られたスラリーに、必要に応じて分散剤、バインダー等を添加し、2ポイズ以上4ポイズ以下に粘度調整することが好ましい。この際、バインダーとしてポリビニルアルコールやポリビニルピロリドンを用いることができる。
上記のように調整されたスラリーを、スプレードライヤーを用いてスラリーを噴霧し、乾燥させることで造粒物を得る。
次に、上記造粒物を焼成する前に分級し、当該造粒物に含まれる微細粒子を除去することが粒度の揃ったフェライト粉を得る上で好ましい。造粒物の分級は、既知の気流分級や篩等を用いて行うことができる。
次に、分級された造粒物を焼成する。造粒物は必要に応じて一次焼成(仮焼成)した後に、本焼成を行うことが好ましい。一次焼成を行う場合、その焼成温度は600℃以上1050℃以下にすることが好ましい。
また、本焼成は、不活性雰囲気又は弱酸化性雰囲気下等で、850℃以上の温度で4時間以上24時間以下保持することにより、行うことが好ましい。スピネル型結晶構造を有するフェライト粉の生成に適した温度(850℃以上1250℃以下)で3時間以上保持することが好ましい。しかしながら、本焼成温度や保持時間は、スピネル型結晶構造を有するフェライト粉が得られる限り、特に限定されるものではない。また、不活性雰囲気又は弱酸化性雰囲気下等とは、ここでは窒素と酸素の混合ガス雰囲気下において酸素濃度が0体積%(0ppm)以上10体積%(100000ppm)以下であることをいい、雰囲気酸素濃度は7体積%(70000ppm)以下であることがより好ましく、6体積%(60000ppm)以下であることがさらに好ましく、5体積%(50000ppm)以下であることがより一層好ましい。
本焼成を行う際は、ロータリーキルンのように、造粒物(被焼成物)を流動させながら熱間部を通過させるような形式の焼成炉よりも、トンネルキルン或いはエレベータキルン等のように造粒物をコウ鉢等に入れて静置した状態で熱間を通過させるような形式の焼成炉で行うことが好ましい。ロータリーキルン等のように造粒物を流動させながら熱間部を通過させる形式の焼成炉では、焼成雰囲気の酸素濃度が低いと、造粒物が熱間部を通過する際に炉の内面に付着し、その内側を流動しながら通過する造粒物に十分に熱を加えることができない場合がある。その場合、造粒物を十分に焼結することができないまま、造粒物が熱間部を通過するため、得られた焼成物は表面の焼結は十分に行われていても、内部の焼結が不十分であることが多い。そのような焼成物は電子写真現像剤用キャリア芯材として要求される強度を満たさない他、内部におけるフェライト反応が不十分であるため、電子写真現像剤用キャリア芯材として要求される磁気特性及び電気特性を満たさない場合がある。
一方、造粒物をコウ鉢等に入れて静置した状態で熱間部を通過させる形式の焼成炉で造粒物を焼成すれば、被焼成物の内部を十分に焼結させることができるため、高磁化及び高抵抗であり、スピネル型結晶相が十分に生成されたフェライト単粉を得ることが容易になる。これらの理由から、本焼成工程を行う際には、トンネルキルン、エレベータキルン等を用いることが好ましい。
焼成後、焼成物を解砕、分級を行ってフェライト単粉を得る。分級方法としては、既存の風力分級、メッシュ濾過法、沈降法等を用いて所望の粒子径に粒度調整する。乾式回収を行う場合は、サイクロン等で回収することも可能である。粒度調整を行う際は前述の分級方法を2種類以上選んで実施してもよく、1種類の分級方法で条件を変更して粗粉側粒子と微粉側粒子を除去してもよい。
さらに、焼成後或いは分級後、必要に応じて、フェライト単粉の表面を低温加熱することで表面酸化処理を施し、フェライト単粉の表面抵抗を調整することができる。表面酸化処理は、ロータリー式電気炉、バッチ式電気炉等を用い、大気等の酸素含有雰囲気下で、400℃以上730℃以下、好ましくは450℃以上680℃以下でフェライト単粉に熱処理を施すことにより行うことができる。表面酸化処理時の加熱温度が400℃よりも低い場合は、フェライト混合粉表面を十分に酸化することができず、所望の表面抵抗特性が得られない場合がある。一方、加熱温度が730℃よりも高い場合、フェライト単粉の酸化が進みすぎ、フェライト単粉の磁化が低下するため好ましくない。フェライト混合粉の表面に均一に酸化被膜を形成するには、ロータリー式電気炉を用いることが好ましい。但し、当該表面酸化処理は任意の工程である。
以上のようにして製造したフェライト単粉を複数種類用いて、上述した式(3)を満たすように所定の割合で適宜混合することにより本発明に係るフェライト混合粉を得ることができる。フェライト単粉を混合する際には各種の混合機を用いることができる。容器回転形の混合機、容器固定型の混合機のいずれを用いてもよく、容器回転形の混合機としては、例えば、V形混合機、ロッキングミキサー(乾式粉体混合機)等を用いることができ、容器固定型の混合機としては、例えば、レーディゲミキサー(レーディゲ社製)、ナウタミキサ(登録商標)(ホソカワミクロン株式会社製)等を用いることができる。
4-2.電子写真現像剤用キャリア
本件発明に係る電子写真現像剤用キャリアは、上記フェライト混合粉を芯材とし、当該フェライト混合粉の表面に樹脂被覆層を設けたものである。樹脂被覆層を構成する樹脂は上述したとおりである。フェライト混合粉の表面に樹脂被覆層を形成する際には、公知の方法、例えば刷毛塗り法、流動床によるスプレードライ法、ロータリドライ方式、万能攪拌機による液浸乾燥法等を採用することができる。フェライト混合粉の表面に対する樹脂の被覆面積の割合(樹脂被覆率)を向上させるためには、流動床によるスプレードライ法を採用することが好ましい。いずれの方法を採用する場合であっても、フェライト混合粉に対して、1回又は複数回樹脂被覆処理を行うことができる。樹脂被覆層を形成する際に用いる樹脂被覆液には、上記添加剤を含んでいてもよい。また、フェライト混合粉表面における樹脂被覆量は上述したとおりであるため、ここでは説明を省略する。
フェライト混合粉の表面に樹脂被覆液を塗布した後、必要に応じて、外部加熱方式又は内部加熱方式により焼き付けを行ってもよい。外部加熱方式では、固定式又は流動式の電気炉、ロータリー式電気炉、バーナー炉などを用いることができる。内部加熱方式では、マイクロウェーブ炉を用いることができる。被覆樹脂にUV硬化樹脂を用いる場合は、UV加熱器を用いる。焼き付けは、被覆樹脂の融点又はガラス転移点以上の温度で行うことが求められる。被覆樹脂として、熱硬化性樹脂又は縮合架橋型樹脂等を用いる場合は、これらの樹脂の硬化が十分進む温度で焼き付ける必要がある。
4-3.電子写真現像剤
次に、本発明に係る電子写真現像剤の製造方法について説明する。
本発明に係る電子写真現像剤は、上記電子写真現像剤用キャリアとトナーとを含む。トナーは上述したとおり、重合トナー及び粉砕トナーのいずれも好ましく用いることができる。
重合トナーは、懸濁重合法、乳化重合法、乳化凝集法、エステル伸長重合法、相転乳化法等の公知の方法で製造することができる。例えば、界面活性剤を用いて着色剤を水中に分散させた着色分散液と、重合性単量体、界面活性剤及び重合開始剤を水性媒体中で混合撹拌し、重合性単量体を水性媒体中に乳化分散させて、撹拌、混合しながら重合させた後、塩析剤を加えて重合体粒子を塩析させる。塩析によって得られた粒子を、濾過、洗浄、乾燥させることにより、重合トナーを得ることができる。その後、必要により乾燥されたトナー粒子に外添剤を添加してもよい。
さらに、この重合トナー粒子を製造するに際しては、重合性単量体、界面活性剤、重合開始剤、着色剤等を含むトナー組成物を用いる。当該トナー組成物には、定着性改良剤、帯電制御剤を配合することができる。
粉砕トナーは、例えば、バインダー樹脂、着色剤、帯電制御剤等を、例えばヘンシェルミキサー等の混合機で充分混合し、次いで二軸押出機等で溶融混練して均一分散し、冷却後に、ジェットミル等により微粉砕化し、分級後、例えば風力分級機等により分級して所望の粒径のトナーを得ることができる。必要に応じて、ワックス、磁性粉、粘度調節剤、その他の添加剤を含有させてもよい。さらに分級後に外添剤を添加することもできる。
次に、実施例および比較例を示して本件発明を具体的に説明する。但し、本件発明は以下の実施例に限定されるものではない。
本実施例では、格子定数の異なる7種類のスピネル型フェライト粉(以下、フェライト粒子1~フェライト粒子7)を製造し、これらを適宜混合することにより本発明の実施例としてのフェライト混合粉(実施例1~実施例5)を得た。また、比較例は、これらのフェライト粒子1~フェライト粒子7のそれぞれからなる単粉(フェライト単粉)とした。各フェライト粉を芯材として、電子写真現像剤用キャリアを製造した。
1.フェライト粒子1~フェライト粒子7の製造
(1)フェライト粒子1
フェライト粒子1として、(MnO)x(MgO)y(Fe)zの組成式(x=38.0mol%、y=11.0mol%、z=50.3mol%)で表され、MO及び/又はFeの一部がSrOで0.7mol%置換されたスピネル型フェライト粉を製造した。
まず、焼成後のMnO、MgO、Feの組成比が上記のx、y、zの値になるように、MnO原料、MgO原料及びFe原料をそれぞれ秤量した。また、モル比で主成分原料:100に対してSrO:0.7になるようにSrO原料を秤量した。ここで、MnO原料としては四酸化三マンガンを29.0kg、MgO原料としては水酸化マグネシウムを6.4kg、Fe原料として酸化第二鉄を80.5kg、SrO原料としては炭酸ストロンチウムを1.0kg用いた。
次いで、秤量した原料を乾式のメディアミル(振動ミル、1/8インチ径のステンレスビーズ)で5時間粉砕し、得られた粉砕物をローラーコンパクターにより約1mm角のペレットにした。得られたペレットを目開き3mmの振動篩により粗粉を除去し、次いで、目開き0.5mmの振動篩により微粉を除去した後、ロータリー式電気炉で1000℃で3時間加熱し、仮焼成を行った。
次いで、乾式のメディアミル(振動ミル、1/8インチ径のステンレスビーズ)を用いて粉砕した後、水を加え、湿式のメディアミル(横型ビーズミル、1/16インチ径のステンレスビーズ)を用いて5時間粉砕した。このようにして調製したスラリーにバインダー及び分散剤を添加した。バインダーとしてPVA(ポリビニルアルコール、20質量%溶液)を固形分(スラリー中の仮焼成物量)に対してPVAが0.2質量%になるように用いた。また、分散剤として、ポリカルボン酸系分散剤をスラリーの粘度が2ポイズになるように添加した。
そして、スプレードライヤーにより造粒、乾燥した。得られた造粒物をロータリー式電気炉により、大気雰囲気下で700℃、2時間加熱し、分散剤やバインダーといった有機成分の除去を行った。
その後、トンネル式電気炉により、焼成温度(保持温度)1210℃、酸素濃度4.5体積%雰囲気下で5時間保持することにより造粒物の本焼成を行った。このとき、昇温速度を150℃/時、降温速度を110℃/時とした。また、雰囲気ガスをトンネル式電気炉の出口側から導入し、トンネル式電気炉の内部圧力を0~10Pa(正圧)にした。得られた焼成物をハンマークラッシャーにより解砕し、さらにジャイロシフター(振動篩機)及びターボクラシファイア(気流分級機)により分級して粒度調整を行い、磁力選鉱により低磁力品を分別し、フェライト粒子1を製造した。
(2)フェライト粒子2
本焼成時の酸素濃度を0.5体積%にした点を除いてフェライト粒子1と同様にしてフェライト粒子2を製造した。
(3)フェライト粒子3
本焼成時の焼成温度(保持温度)を1050℃、本焼成時の酸素濃度を1.5体積%にした点を除いては、フェライト粒子1と同様にしてフェライト粒子3を製造した。
(4)フェライト粒子4
本焼成時の酸素濃度を0.0体積%にした点と、本焼成後のフェライト粒子を、熱間部と、当該熱間部に後続する冷却部とを備えるロータリー式の電気炉により600℃で表面酸化処理を行った点を除いてフェライト粒子1と同様にしてフェライト粒子4を製造した。
(5)フェライト粒子5
(MnO)x(MgO)y(Fe)zの組成式(x=30.0mol%、y=2.0mol%、z=67.5mol%)で表され、MO及び/又はFeの一部がZrOで0.5mol%置換されたスピネル型フェライト粉を製造するために、焼成後の組成比がこれらx、y、zの値になるように、MnO原料、MgO原料、Fe原料及びZrO原料をそれぞれ秤量した点と、本焼成時の酸素濃度を0.0体積%にした点と、表面酸化処理を行った点を除いて、フェライト粒子1と同様にしてフェライト粒子5を製造した。なお、表面酸化処理は表面酸化処理温度を650℃とした以外はフェライト粒子4と同様にして行った。
(6)フェライト粒子6
(MnO)x(Fe)zの組成式(x=30.0mol%、z=70.0mol%(y=0.0mol%)で表されるスピネル型フェライト粉を製造するために、焼成後の組成比がこれらx、zの値になるように、MnO原料及びFe原料をそれぞれ秤量した点と、本焼成時の酸素濃度を5.5体積%にした点とを除いて、フェライト粒子1と同様にしてフェライト粒子6を製造した。
(7)フェライト粒子7
(MnO)x(Fe)zの組成式(x=20.0mol%、z=80.0mol%(y=0.0mol%)で表されるスピネル型フェライト粉を製造するために、焼成後の組成比がこれらx、zの値になるように、MnO原料及びFe原料をそれぞれ秤量した点と、本焼成時の酸素濃度を6.5体積%にした点とを除いて、フェライト粒子1と同様にしてフェライト粒子5を製造した。
2.実施例
(1)実施例1
a)フェライト混合粉
実施例1のフェライト混合粉は、上記フェライト粒子1とフェライト粒子2とフェライト粒子3とを質量比で「3:3:4」になるようにして混合機を用いて混合することにより得た。
b)電子写真現像剤用キャリア
上記フェライト混合粉を芯材とし、当該フェライト混合粉に対して、表面に以下のように樹脂被覆層を形成して、実施例1のキャリアを得た。
まず、T単位とD単位を主成分とする縮合架橋型シリコーン樹脂(重量平均分子量:約8000)を準備した。このシリコーン樹脂溶液2.5質量部(樹脂溶液濃度20質量%のものを用いたためシリコーン樹脂固形分としては0.5質量部、希釈溶媒:トルエン)と、上記フェライト混合粉100質量部とを、万能混合撹拌機にて混合撹拌し、トルエンを揮発させながらシリコーン樹脂をフェライト混合粉の表面に被覆した。トルエンが充分揮発したことを確認した後、装置内から取り出して容器に入れ、熱風加熱式のオーブンにて250℃で2時間加熱処理を行った。その後、室温まで冷却し、表面の樹脂が硬化したフェライト混合粉を取り出し、200メッシュの目開きの振動篩にて粒子の凝集を解し、磁力選鉱機を用いて、非磁性物を取り除いた。その後、再度200メッシュの目開きの振動篩にて粗大粒子を取り除き、フェライト混合粉を芯材とし、その表面に樹脂被覆層を備えた実施例1の電子写真現像剤用キャリアを得た。
(2)実施例2
実施例2では、上記フェライト粒子1と、上記フェライト粒子3と、上記フェライト粒子4とを質量比で「3:3:4」になるように混合した以外は、実施例1と同様にしてフェライト混合粉を得た。そして、この実施例2のフェライト混合粉を用いた点を除いては、実施例1と同様にして電子写真現像剤用キャリアを製造した。
(3)実施例3
実施例3では、上記フェライト粒子3と、上記フェライト粒子7とを質量比で「5:5」になるように混合した以外は、実施例1と同様にしてフェライト混合粉を得た。そして、この実施例3のフェライト混合粉を用いた点を除いては、実施例1と同様にして電子写真現像剤用キャリアを製造した。
(4)実施例4
実施例4では、上記フェライト粒子4と上記フェライト粒子5とを質量比で「5:5」になるように混合した以外は、実施例1と同様にしてフェライト混合粉を得た。そして、この実施例4のフェライト混合粉を用いた点を除いては、実施例1と同様にして電子写真現像剤用キャリアを製造した。
(5)実施例5
実施例5では、上記フェライト粒子2と、上記フェライト粒子4と、上記フェライト粒子6と、フェライト粒子7とを質量比で「3:3:2:2」になるように混合した以外は、実施例1と同様にしてフェライト混合粉を得た。そして、この実施例5のフェライト混合粉を用いた点を除いては、実施例1と同様にして電子写真現像剤用キャリアを製造した。
5.比較例
(1)比較例1
比較例1では、上記フェライト粒子1のみからなる単粉(スピネル型フェライト粉)を芯材として用いた点を除いて、実施例1と同様にして電子写真現像剤用キャリアを製造した。
(2)比較例2~比較例7
比較例2~比較例7についても、上記フェライト粒子2~フェライト粒子7のそれぞれからなる単粉を芯材として用いた点を除いて、実施例1と同様にして電子写真現像剤用キャリアを製造した。
以上のようにして製造した各フェライト粒子1~フェライト粒子7の組成及び製造条件を表1に示す。また、表2に実施例1~実施例5で製造したフェライト混合粉を構成する各フェライト粒子の混合割合(質量比)を示す。
6.評価
6-1.評価項目
(1)各種基本特性
上記各実施例及び比較例のフェライト粉(フェライト混合粉又はフェライト単粉)について、(a)体積平均粒径(D50)、(b)見掛密度(AD)、(c)流動度(FR)、(d)飽和磁化、(e)格子定数を測定した。これらの測定方法は上述したとおりである。
なお、実施例1~実施例5のフェライト混合粉の格子定数は上述した平均格子定数(C)である。実施例1~実施例5のフェライト混合粉は2以上のフェライト粒子が混合されてなる。そのため、これらのフェライト混合粉では各フェライト粒子の格子定数の値に基づき上記基準値(C)を求めて各フェライト粒子をX群とY群とに群分けした上で、上述した方法に基づき、C、R、C、Rを求めて、当該フェライト混合粉の平均格子定数(C)を算出した。
(2)帯電量変化率
各実施例及び比較例で製造した電子写真現像剤用キャリアを用いて以下のように電子写真現像剤を調製し、高温高湿環境下で電子写真現像剤を所定時間曝した後の帯電量と、低温低湿環境下で電子写真現像剤を所定時間曝した後の帯電量とを測定し、その比(高温高湿環境下での帯電量/低温低湿下での帯電量)を帯電量変化率として求めた。なお、当該帯電量変化率によって、雰囲気が変化したときの帯電量の変化を評価することができる。
(a)電子写真現像剤
試料とする電子写真現像剤は次のようにして調製した。各実施例で製造した所定量の電子写真現像剤用キャリアとトナーとをターブラミキサーを用いて30分間攪拌して混合し、トナー濃度12.0質量%の電子写真現像剤を製造した。トナーはフルカラープリンターに使用されている市販の負極性トナー(シアントナー、富士ゼロックス株式会社製DocuPrintC3530用;平均体積粒径(D50)約5.8μm)を用いた。
(b)温度及び湿度条件
低温低湿環境とは、雰囲気温度10℃、雰囲気相対湿度20%をいう。
高温高湿環境とは、雰囲気温度40℃、雰囲気相対湿度80%をいう。
(c)試料の調製
各環境下で帯電量を測定する際は、上記のようにして調製した電子写真現像剤20gを帯電量測定用試料とし、各試料を高温高湿環境(40℃相対湿度80%)又は低温低湿環境(10℃相対湿度20%)に雰囲気温度及び湿度が調整された恒温恒湿室内に24時間保管することにより、高温高湿環境下で曝した電子写真現像剤と、低温低湿環境下で曝した電子写真現像剤とを得た。
(d)測定
上記のようにして調製した試料を用いて、下記の帯電量測定装置により帯電量を測定した。立上りの帯電を正確に測定するため、帯電測定の直前に50ccのガラス容器に入れた現像剤を回転数150rpmのボールミルにて2分攪拌した。
帯電量測定装置として、直径31mm、長さ76mmの円筒形のアルミ素管(以下、スリーブ)の内側に、N極とS極を交互に合計8極の磁石(磁束密度0.1T)を配置したマグネットロールと、該スリーブと5.0mmのGapをもった円筒状の電極を、該スリーブの外周に配置した。このスリーブ上に、現像剤0.5gを均一に付着させた後、外側のアルミ素管は固定したまま、内側のマグネットロールを100rpmで回転させながら、外側の電極とスリーブ間に、直流電圧2500Vを60秒間印加し、トナーを外側の電極に移行させた。このとき、円筒状の電極にはエレクトロメーター(KEITHLEY社製 絶縁抵抗計model6517A)を接続し、外側の電極に移行したトナーの電荷量を測定した。測定された電荷量と移行したトナー質量とから、帯電量を算出した。
以上の方法で、高温高湿環境下で24時間曝した電子写真現像剤の帯電量と、低温低湿環境下で24時間曝した電子写真現像剤の帯電量とを測定し、帯電量変化率を算出した。
算出して得られた帯電量変化率に基づいて、以下のようにA~Dにランク分けした。なお、帯電量変化率の値が小さい方が、雰囲気変化に伴う帯電立ち上がり性の変化が少なく、電子写真現像剤の使用雰囲気が低温低湿環境から高温高湿環境に大きく変化したときも印刷初期時の画像欠陥の発生を抑制することができることを意味する。
A:1.0以上1.1未満
B:1.1以上1.2未満
C:1.2以上1.3未満
D:1.3以上
2.評価結果
表3に各評価項目についての測定結果等を示す。表3に示すように、例えば、実施例1のフェライト混合粉の平均格子定数(C)は8.425Åであり、比較例3のフェライト単粉(フェライト粒子3)の格子定数(8.425Å)と同じ値を有する。実施例1のフェライト混合粉は、比較例3のフェライト単粉と飽和磁化及び体積平均粒径(D50)は同程度であるが、流動性(FR)が良好になり、見掛密度(AD)も大きくなっている。複数のスピネル型フェライト粉を混合することで、上述したとおり、フェライト混合粉では相対的にみたときに強磁性粒子と弱磁性粒子とからなる混合粉体となる。そのため、表3に示すように、格子定数が同程度のフェライト単粉と比較すると、フェライト混合粉では攪拌時に粒子同士の磁気的な結合をほぐすことが容易になり、流動性が良好になるものと考えられる。
また、表3に示すように、比較例3のフェライト単粉を芯材として用いた電子写真現像剤では帯電量変化率が「C」評価であったのに対して、実施例1のフェライト混合粉を芯材として用いた電子写真現像剤では帯電量変化率が「A」評価であり、実施例1のフェライト混合粉を芯材として用いた場合、雰囲気温度や湿度など、環境が大きく変化しても帯電量の変化が小さくなることが確認できた。他の実施例と比較例についても同様に、複数のフェライト粒子を混合したフェライト混合粉を芯材として用いることにより、同程度の格子定数及び飽和磁化を有するフェライト粒子(フェライト単粉)を芯材として用いる場合よりも、磁化特性を同程度に維持しつつ、流動性が良好になり、攪拌時に個々の粒子間の接触・分離を良好に行うことができる。その結果、環境が変化したときもキャリアとトナー間での摩擦帯電を均一に行うことができ、帯電量変化率を小さくすることができるものと考えられる。
このように、本発明のフェライト混合粉によれば、環境変化に伴う帯電量変化率を小さくすることができ、環境が変化したときも印刷初期時の画像欠陥の発生を抑制することができる。
Figure 0007398092000001
Figure 0007398092000002
Figure 0007398092000003
本件発明によれば、トナーとキャリアの攪拌、混合性にすぐれ、環境が変化したときも印刷初期における欠陥の発生を抑制することのできる電子写真現像剤用キャリア芯材、電子写真現像剤用キャリア及び電子写真現像剤を提供することができる。

Claims (8)

  1. 格子定数が互いに異なる複数のスピネル型フェライト粉が混合されてなるフェライト混合粉であって、
    下記式(1)で定めた基準値(C)よりも格子定数の値が小さいスピネル型フェライト粉からなる群をX群とし、前記基準値(C)以上の格子定数の値を有するスピネル型フェライト粉からなる群をY群とし、下記式(2)で求めた平均格子定数(C)が下記式(3)の範囲内であることを特徴とするフェライト混合粉。
    (1)C=(C+C)/2
    (2)C=(C×R+C×R)/(R+R
    (3)8.40≦C≦8.50
    但し、
    は、当該フェライト混合粉を構成する複数のスピネル型フェライト粉のうち、最も格子定数の小さいスピネル型フェライト粉の格子定数であり、
    は、当該フェライト混合粉を構成する複数のスピネル型フェライト粉のうち、最も格子定数の大きいスピネル型フェライト粉の格子定数であり、
    はX群を構成するスピネル型フェライト粉の平均格子定数であり、
    はY群を構成するスピネル型フェライト粉の平均格子定数であり、
    は当該スピネル型フェライト混合粉におけるX群を構成するスピネル型フェライト粉の含有割合(wt%)であり、
    は当該スピネル型フェライト混合粉におけるY群を構成するスピネル型フェライト粉の含有割合(wt%)であり、R+R=100である。
  2. 前記X群を構成するスピネル型フェライト粉の含有割合(R)と、前記Y群を構成するスピネル型フェライト粉の含有割合( )とは、下記式(4)で示す条件を満足する請求項1に記載のフェライト混合粉。
    (4) 5≦R≦90、5≦R≦90
  3. フェライト混合粉を構成する各スピネル型フェライト粉は、組成式(MO)a(Fe)b(但し、MはFe,Mg,Mn,Cu,Zn及びNiからなる群から選ばれる少なくとも1つの金属元素、a+b=100(mol%))で表され、又は当該組成式においてMO及び/又はFeの一部が二価を取り得る元素の酸化物により置換された組成を有する請求項1又は請求項2に記載のフェライト混合粉。
  4. X線回折パターンのリートベルト解析を行うことにより当該フェライト混合粉を構成する前記X群を構成するスピネル型フェライト粉の含有割合(R)と、前記Y群を構成するスピネル型フェライト粉の含有割合( )とを定量化するものとし、前記X群を構成するスピネル型フェライト粉の平均格子定数(C)と、前記Y群を構成するスピネル型フェライト粉の平均格子定数(C)とが少なくとも0.005Å異なる請求項1~請求項3のいずれか一項に記載のフェライト混合粉。
  5. 請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のフェライト混合粉を含むことを特徴とする電子写真現像剤用キャリア芯材。
  6. 請求項1~請求項4のいずれか一項に記載のフェライト混合粉と、当該フェライト混合粉の表面を被覆する樹脂被覆層とを備えることを特徴とする電子写真現像剤用キャリア。
  7. 請求項6に記載の電子写真現像剤用キャリアとトナーとを含むことを特徴とする電子写真現像剤。
  8. 補給用現像剤として用いられる請求項7に記載の電子写真現像剤。
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