JP2013103854A - ハイドロタルサイトとその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】マグネシウム化合物及び/又は亜鉛化合物と、アルミニウム化合物とを原料とするハイドロタルサイトの製造方法であって、前記原料のうち、前記原料の水酸化物、酸化物、及び炭酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の全て又は一部と、カルボン酸基含有化合物とを含有するスラリーを調製する工程と該スラリーを、スラリー中の粒子の平均2次粒子径D50が1.5μm以下、D90が10μm以下になるように湿式粉砕する工程と、その後、スラリーを水熱反応させて、BET比表面積が1m2/g〜30m2/gであるハイドロタルサイトを合成する水熱反応工程とを含み、前記スラリーを調整する工程において、スラリー中の固形分濃度が25質量%以上であるハイドロタルサイトの製造方法。
【選択図】図1
Description
上記原料のうち、上記原料の水酸化物、酸化物、及び炭酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の原料の全て又は一部と、カルボン酸基含有化合物とを含有するスラリーを調製する工程と、
該スラリーを、スラリー中の粒子の平均2次粒子径D50が1.5μm以下、D90が10μm以下になるように湿式粉砕する工程と、
得られたスラリーに残りの原料を添加した後、スラリーを水熱処理して、BET比表面積が1m2/g〜30m2/gであるハイドロタルサイトを合成する水熱処理工程と
を含み、
上記スラリーを調整する工程において、スラリー中の固形分濃度が25質量%以上であることを特徴とするハイドロタルサイトの製造方法に関する。
本発明の製造方法は、マグネシウム化合物及び/又は亜鉛化合物と、アルミニウム化合物とを原料としたハイドロタルサイトの製造方法である。
スラリー調製工程は、湿式粉砕の前工程として、湿式粉砕に使用するスラリーを調整する工程である。上記スラリーは、上記原料のうち、上記原料の水酸化物、酸化物、及び炭酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の全て又は一部、及びカルボン酸基含有化合物を含有する。ハイドロタルサイトの原料としては、固体状、溶液状等のいずれの形態のものも用いることができるが、好ましい原料として上で述べた水酸化物、酸化物、炭酸塩の中には、水や溶媒に難溶で、固体として使用されるものが多い。原料であるマグネシウム化合物、亜鉛化合物、アルミニウム化合物のうち、少なくとも1種が水溶性でない場合には、上記原料の全て、または上記原料の一部と、カルボン酸基含有化合物と、必要に応じて他の添加物を混合して、後の湿式粉砕に用いるためのスラリーを調製する。水溶性でない原料(固体、粉体等)が複数存在する場合、その全てを混合してもよく、その一部のみを混合してもよい。また湿式粉砕しない残りの原料は、湿式粉砕の後、水熱処理の前にスラリーに添加される。
また固形分濃度の上限は、湿式粉砕が充分に行える濃度であれば特に制限はないが、通常は、固形分濃度が70質量%以下であることが好ましい。固形分濃度は、60質量%以下であることがより好ましい。
上述の説明に従ってスラリーを調製した後、該スラリー中の固形分の湿式粉砕を行うことにより、金属化合物を微細化する。特定の用途において、例えば樹脂添加剤として用いるには、十分に粒子が成長した、粒子径の比較的大きなハイドロタルサイトが望まれる。上記原料をそのまま使用するだけでは粒子径の大きなハイドロタルサイトを得るのが困難であり、得られたハイドロタルサイトの形状も粒子サイズがまばらなものとなる。また湿式粉砕を行わない場合には、アルミ化合物の反応性が低下しベーマイト(AlO(OH))、ドーソナイト(NaAl(OH)CO3)等の副生成物が生じる場合がある。そのため、原料を混合したスラリーに湿式粉砕処理を施すことで上記原料を微細化し、反応性を高める必要がある。
湿式粉砕後、粉砕の必要がない残りの原料をスラリーに添加し、水熱処理を行う。水熱処理により、粒子の成長を促進させ、BET比表面積が1m2/g〜30m2/gのハイドロタルサイトを合成することができる。
本発明の製造方法は、上述したスラリー調製工程、湿式粉砕工程、水熱処理工程以外の工程を含んでいてもよい。例えば、本発明の製造方法は、水熱処理後、必要に応じて表面処理剤により粒子表面を処理する工程(表面処理工程)を含んでいてもよい。上記表面処理剤としては、例えば、高級脂肪酸、高級脂肪酸金属塩(金属石ケン)、アニオン界面活性剤、リン酸エステル、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等のカップリング剤を挙げることができる。
上記ハイドロタルサイトの製造方法によって製造されるハイドロタルサイトは、BET比表面積が1m2/g〜30m2/gであるが、3m2/g〜30m2/gが好ましく、5m2/g〜25m2/gがより好ましい。BET比表面積は、例えばJIS Z8830の規定に従って、市販の比表面積・細孔分布測定装置を用いて測定することができる。
[(Mg2+)x(Zn2+)y]1−z(Al3+)z(OH)2(CO3 2−)z/2・mH2O (1)
(式中、x、y、z及びmは、0.5≦x≦1、0≦y≦0.5、x+y=1、0.1≦z≦0.5、0≦m<1の条件を満たす値である)で表されるハイドロタルサイトであって、
X線回折において、
下記(1)〜(8)の条件を全て満たすハイドロタルサイト:
(1)2θ=60.7(deg)のピークに対する、2θ=39(deg)のピークの強度比が0.3以上、
(2)2θ=62(deg)のピークに対する、2θ=39(deg)のピークの強度比が0.3以上、
(3)2θ=60.7(deg)のピークに対する、2θ=46.5(deg)のピークの強度比が0.25以上、
(4)2θ=62(deg)のピークに対する、2θ=46.5(deg)のピークの強度比が0.25以上、
(5)2θ=60.7(deg)のピークに対する、2θ=53(deg)のピークの強度比が0.05以上、
(6)2θ=62(deg)のピークに対する、2θ=53(deg)の強度比が0.05以上、
(7)2θ=60.7(deg)のピークに対する、2θ=56.4(deg)のピークの強度比が0.03以上、
(8)2θ=62(deg)のピークに対する、2θ=56.4(deg)のピークの強度比が0.03以上;
に関する。
下記実施例、比較例において、スラリー中のD50、D90は、粒度分布計(日機装株式会社製マイクロトラックMT3300EX)により測定した。具体的には0.025wt%ヘキサメタリン酸Na水溶液180mLを測定機(粒度分布計)内の試料室に準備し、試料を約0.1g程度滴下し、測定機内の超音波分散機能で超音波流速50%、出力30Wにて時間120秒循環して測定を2回行い、平均を測定値とした。
水洗水の導電率は、東亜ディーケーケー株式会社製のCONDUCTIVITY METER(電気伝導率計CM−40S)を使用して測定した。試料の測定温度は25℃とした。
BET比表面積はJIS Z8830の規定に従って測定した。
RIGAKU社製 RINT−TTR IIIを使用し以下の条件にて測定した。
試料約3gをホルダーに充填し、測定条件Aにて測定し、得られた生データをデータ処理条件Bにてデータ処理を行い、ピークサーチ条件Cにて決定した。
測定条件A
角度2θ:37−70(deg)
サンプリング幅:0.01°
スキャンスピード:1°/min
電圧:50kV
電流:300mA
バックグランド:直線フィット、しきい値=3.0、BGオフセット=0.3
Kα2ピーク除去:有
平滑化:ウェーブレット平滑化2.1
フィルタータイプ:31放物線フィルター
ピーク値決定:ピークトップ
Kα2ピーク:リストから消去
しきい値と範囲:しきい値=0.5、ピーク強度カットオフ=0.5、BG決定の範囲=5
BG平均化ポイント=15
5Lの容器に、水酸化マグネシウム(D50=4.0μm)894.7g、水酸化アルミニウム(D50=8.0μm)598.3gを入れ、その後、全量が3Lになるように水を添加した。さらに酢酸(試薬)9.0gを添加した後、10分間攪拌することによりスラリーを調製した。このスラリーのD50は10μm、D90は75μmであった。このスラリーを、湿式粉砕装置(ダイノーミルMULTILAB、株式会社シンマルエンタープライゼス製、チタニアビーズ充填)中に供給し、28分間(滞留時間)湿式粉砕処理した。その結果、スラリーのD50は1.0μm、D90は3.5μmで、スラリー粘度は1500mPa・sとなった。その後、スラリーを湿式粉砕装置から取り出した。水酸化マグネシウムに1モルに対して1/2モルとなる量の炭酸ナトリウムを、粉砕処理したスラリー1Lに添加し、全体が8Lになるように水で調整した。その後10分間攪拌した。そのスラリーのうち3Lをオートクレーブに移し、170℃で2時間水熱処理を行った。得られたハイドロタルサイトのスラリーを95℃に保持しながら、ステアリン酸9gを加えて粒子の表面処理を行った。次いで固体を濾過により濾別した。得られた濾過ケーキを35℃、9Lのイオン交換水で水洗した。濾過ケーキをさらに100mlのイオン交換水で水洗し、その水洗水の導電率を測定した。その結果、水洗水の導電率は60μS/sm(25℃)であった。水洗後のケーキを100℃で24時間乾燥し、粉砕を行うことによって固形の生成物を得た。図1は、実施例1で得られた生成物のXRD測定結果を示すチャートである。図1に示したチャートより明らかなように、図1には、2θ(deg)=12付近をメインピークとするハイドロタルサイト特有の回折ピークが出現しており、生成物がハイドロタルサイトであることが確認できた。得られたハイドロタルサイトのBET比表面積は12.5m2/gであった。なお、ステアリン酸表面処理前のハイドロタルサイトのBET比表面積値は15.0m2/gであった。
湿式粉砕処理をしない事以外は実施例1と同様にスラリーを調製し、オートクレーブ内にて170℃で2時間水熱処理を行った。得られたハイドロタルサイトのスラリーを95℃に保持しながら、ステアリン酸9gを加えて粒子の表面処理を行った。次いで固体を濾過により濾別した。得られた濾過ケーキを35℃、9Lの水で水洗した。濾過ケーキをさらに100mlのイオン交換水で水洗した。その水洗水の導電率を測定したところ、90μS/sm(25℃)であった。水洗後のケーキを100℃で24時間乾燥し、粉砕を行う事によって固形の生成物を得た。図5は、比較例1で得られた生成物のXRD測定結果を示すチャートである。図5に示したチャートより明らかなように、図5には、ハイドロタルサイト特有の回折ピーク以外に、2θ(deg)=18付近や2θ(deg)=38付近にベーマイト(AlO(OH))を示す回折ピークが出現しており、副生成物として、ベーマイト(AlO(OH))が生成していることが判明した。生成物のBET比表面積は7.6m2/gであった。
5Lの容器に、水酸化マグネシウム(D50=4.0μm)894.7g、水酸化アルミニウム(D50=8.0μm)598.3gを入れ、その後、全量が3Lになるように水を添加した。さらに酢酸(試薬)9.0gを添加した後、10分間攪拌することによりスラリーを調製した。このスラリーのD50は10μm、D90は75μmであった。このスラリーを、湿式粉砕装置(ダイノーミルMULTILAB、株式会社シンマルエンタープライゼス製、チタニアビーズ充填)中に供給し、28分間(滞留時間)湿式粉砕処理した。その結果、スラリーのD50は1.0μm、D90は3.5μmで、スラリー粘度は1500mPa・sとなった。その後、スラリーを湿式粉砕装置から取り出した。水酸化マグネシウムに1モルに対して1/2モルとなる量の炭酸水素ナトリウムを、粉砕処理したスラリー1Lに添加し、全体が8Lになるように水で調整した。その後10分間攪拌した。そのスラリーのうち3Lをオートクレーブに移し、170℃で2時間水熱処理を行った。得られたハイドロタルサイトのスラリーを95℃に保持しながら、ステアリン酸9gを加えて粒子の表面処理を行った。次いで、固体を濾過により濾別した。得られた濾過ケーキを35℃、9Lのイオン交換水で水洗した。濾過ケーキをさらに100mlのイオン交換水で水洗し、その水洗水の導電率を測定した。その結果、水洗水の導電率は50μS/sm(25℃)であった。水洗後のケーキを100℃で24時間乾燥し、粉砕を行うことによって固形の生成物を得た。図2は、実施例2で得られた生成物のXRD測定結果を示すチャートである。図2に示したチャートより明らかなように、図2には、2θ(deg)=12付近をメインピークとするハイドロタルサイト特有の回折ピークが出現しており、生成物がハイドロタルサイトであることが確認できた。得られたハイドロタルサイトのBET比表面積は11.5m2/gであった。
湿式粉砕処理を行わなかった以外は実施例2と同様にスラリーを調製し、オートクレーブ内にて170℃で2時間水熱処理を行った。得られたハイドロタルサイトのスラリーを95℃に保持しながら、ステアリン酸9gを加えて粒子の表面処理を行った。次いで固体を濾過により濾別した。得られた濾過ケーキを35℃、9Lのイオン交換水で水洗した。濾過ケーキを、さらに100mlのイオン交換水で水洗した。その水洗水の導電率を測定したところ、90μS/sm(25℃)であった。水洗後のケーキを100℃で24時間乾燥し、粉砕を行う事によって固形の生成物を得た。図6は、比較例2で得られた生成物のXRD測定結果を示すチャートである。図6に示したチャートより明らかなように、図6には、ハイドロタルサイト特有の回折ピーク以外に、2θ(deg)=18付近や2θ(deg)=38付近にベーマイト(AlO(OH))を示す回折ピークが出現しており、副生成物として、ベーマイト(AlO(OH))が生成していることが判明した。生成物のBET比表面積は15.0m2/gであった。
5Lの容器に、水酸化マグネシウム(D50=4.0μm)894.7g、水酸化アルミニウム(D50=8.0μm)598.3gを入れ、その後、全量が3Lになるように水を添加した。その後10分間攪拌することによりスラリーを調製した。このスラリーのD50は10μm、D90は75μmであった。
このスラリーを、湿式粉砕装置(ダイノーミルMULTILAB、株式会社シンマルエンタープライゼス製、チタニアビーズ充填)中に供給した。スラリー温度が40℃を超えないように制御して粉砕を行ったが、粉砕開始直後より急激な増粘が見られ、5分間(滞留時間)程度で粉砕機モーターへの過負荷により運転を停止させた。その結果、スラリーのD50は4.0μm、D90は8.0μmで、スラリー粘度は9000mPa・sとなった。その後、粉砕処理したスラリーに1Lに炭酸水素ナトリウムを、水酸化マグネシウムに1molに対して1/2モルとなるように添加し、全体が8Lになるように水で調整し10分間攪拌した。そのスラリー3Lをオートクレーブに移し、170℃で2時間水熱処理を行った。得られたハイドロタルサイトのスラリーを95℃に保持しながら、ステアリン酸9gを加えて粒子の表面処理を行った。次いで、固体を濾過により濾別し、その後濾過ケーキを35℃、9Lの水イオン交換水で水洗した。濾過ケーキをさらに100mlのイオン交換水で水洗し、その水洗水の導電率を測定した。その結果、水洗水の導電率は90μS/sm(25℃)であった。得られた水洗ケーキを100℃で24時間乾燥し、粉砕を行うことによって固形の生成物を得た。図7は、比較例3で得られた生成物のXRD測定結果を示すチャートである。図7に示したチャートより明らかなように、図7には、2θ(deg)=12付近をメインピークとするハイドロタルサイトの回折ピークが出現しており、生成物がハイドロタルサイトであることが確認できた。得られたハイドロタルサイトのBET比表面積は13.5m2/gであった。
実施例2の製造方法にて得られたハイドロタルサイトスラリーを濾過し、濾過ケーキと共に濾液を得た。この濾液に炭酸ガスをpH10.0→8.0程度に低下するまで通気し、この反応液を濾過した。濾液は炭酸ナトリウム水溶液から炭酸水素ナトリウム水溶液になった。別に5Lの容器に、水酸化マグネシウム(D50=4.0μm)894.7g、水酸化アルミニウム(D50=8.0μm)598.3gを入れ全量が3Lになるように水を添加した。さらに酢酸(試薬)9.0gを添加した後、10分間攪拌することによりスラリーを調製した。このスラリーのD50は10μm、D90は75μmであった。このスラリーを、湿式粉砕装置(ダイノーミルMULTILAB、株式会社シンマルエンタープライゼス製、チタニアビーズ充填)中に供給し、28分間(滞留時間)湿式粉砕処理した。その結果、スラリーのD50は1.0μm、D90は3.5μmで、スラリー粘度は1500mPa・sとなった。その後、スラリーを湿式粉砕装置から取り出した。水酸化マグネシウムに1モルに対して1/2モルとなる量の炭酸水素ナトリウムとなるように、先に反応させたろ液を計量して粉砕処理したスラリー1Lに添加し、全体が8Lになるように水で調整した。その後10分間攪拌した。そのスラリーのうち3Lをオートクレーブに移し、170℃で2時間水熱処理を行った。得られたハイドロタルサイトのスラリーを95℃に保持しながら、ステアリン酸9gを加えて粒子の表面処理を行った。次いで、固体を濾過により濾別し、その後濾過ケーキを35℃、9Lのイオン交換水で水洗した。濾過ケーキをさらに100mlのイオン交換水で水洗し、その水洗水の導電率を測定した。その結果、水洗水の導電率は50μS/sm(25℃)であった。水洗後のケーキを100℃で24時間乾燥し、粉砕を行うことによって固形の生成物を得た。図3は、実施例3で得られた生成物のXRD測定結果を示すチャートである。図3に示したチャートより明らかなように、図3には、2θ(deg)=12付近をメインピークとするハイドロタルサイト特有の回折ピークが出現しており、生成物がハイドロタルサイトであることが確認できた。得られたハイドロタルサイトのBET比表面積は11.5m2/gであった。
5Lの容器に、水酸化マグネシウム(D50=4.0μm)782.9g、水酸化アルミニウム(D50=8.0μm)598.3g、酸化亜鉛(D50=7.5μm)156.11gを入れ、その後、全量が3Lになるように水を添加した。さらに酢酸(試薬)9.0gを添加した後、10分間攪拌することによりスラリーを調製した。このスラリーのD50は10μm、D90は75μmであった。
このスラリーを、湿式粉砕装置(ダイノーミルMULTILAB、株式会社シンマルエンタープライゼス製、チタニアビーズ充填)中に供給し、28分間(滞留時間)湿式粉砕処理した。その結果、スラリーのD50は1.0μm、D90は4.0μmで、スラリー粘度は1800mPa・sとなった。その後、スラリーを湿式粉砕装置から取り出した。水酸化マグネシウムに1モルに対して1/2モルとなる量の炭酸水素ナトリウムを、粉砕処理したスラリーに添加し、全体が8Lになるように水で調整した。その後10分間攪拌した。そのスラリーのうち3Lをオートクレーブに移し、170℃で2時間水熱処理を行った。得られたハイドロタルサイトのスラリーを95℃に保持しながら、ステアリン酸9gを加えて粒子の表面処理を行った。次いで固体を濾過により濾別した。得られた濾過ケーキを35℃、9Lのイオン交換水で水洗した。濾過ケーキをさらに100mlのイオン交換水で水洗し、その水洗水の導電率を測定した。その結果、水洗水の導電率は50μS/sm(25℃)であった。水洗後のケーキを100℃で24時間乾燥し、粉砕を行うことによって固形の生成物を得た。図4は、実施例4で得られた生成物のXRD測定結果を示すチャートである。図4に示したチャートより明らかなように、図4には、2θ(deg)=12付近をメインピークとするハイドロタルサイト特有の回折ピークが出現しており、生成物がハイドロタルサイトであることが確認できた。得られたハイドロタルサイトのBET比表面積は9.1m2/gであった。
Mg濃度が2.6モル/Lの硫酸マグネシウム水溶液750mlと、Al濃度が2.1モル/Lの工業用硫酸アルミニウム水溶液475mlとを混合し、水を加えて1.5Lにすることにより金属溶液を調製した。別途、18NのNaOH液277.5mLおよび工業用Na2CO3158.66gを混合し、水を加えて1.5Lにすることによりアルカリ溶液を調製した。攪拌下、上記金属溶液及びアルカリ溶液を同時に添加し、約30分間攪拌した。次に170℃で2時間、得られた共沈懸濁液の水熱処理を行った。得られたハイドロタルサイトのスラリーを95℃に保持しながら、ステアリン酸9gを加えて表面処理を行った。次いで、固体を濾過により濾別し、その後濾過ケーキを35℃、9Lのイオン交換水で水洗した。濾過ケーキをさらに100mlのイオン交換水で水洗し、その水洗水の導電率を測定した。その結果、水洗水の導電率は1000μS/sm(25℃)であった。得られた水洗ケーキを100℃で24時間乾燥し、粉砕を行う事によって固形の生成物を得た。生成物のX線回折から得られたチャートにより、主生成物がハイドロタルサイトであることが確認されたが、同時に副生物としてドーソナイトが生成していることも判明した。得られたハイドロタルサイトのBET比表面積は12.0m2/gであった。
ポリ塩化ビニル樹脂(重合度1000)100質量部に対して、ジオクチルフタレートを50質量部、ステアリン酸亜鉛を0.5質量部、及びハイドロタルサイトを2.1質量部添加し、樹脂組成物を作製した。160℃のロールで5分間混練し、シート状に成形し、シートを作成した。作製したシートを、180℃でのギアオーブン試験(下記)に供することにより、オーブン耐熱性を評価した。さらにプレスシートを作成し、170℃の条件下にて20分曝露した後の変色性を評価した。
透明性についてはプレスシートを目視にて評価した。その結果を下記の表1に示す。
(ギアオーブン試験)
上記シートをギアオーブン内にて180℃の雰囲気下に60分間曝露し、曝露後のシートの変色度を下記規準に基づいて目視により評価した。
◎:シートの変色が見られない。
○:若干変色が見られる。
×:変色が見られた。
上記シートを170℃のプレスにて20分間プレスし、得られたシートの変色性を下記規準に基づいて目視により評価した。
◎:シートの変色が見られない。
○:若干変色が見られる。
×:変色が見られた。
上記シートを170℃のプレスにて5分間プレスし、得られたシートの透明性を下記基準に基づいて目視により評価した。
◎:濁りが全く見られない
○:若干濁りが見られる
△:濁りが見られる
×:著しい濁りが見られる
××:さらに著しい濁りが見られる
また、得られたハイドロタルサイトは、樹脂用添加剤として優れており、上記ハイドロタルサイトを添加したポリ塩化ビニル樹脂は、耐熱性、プレス耐熱性、透明性の点で優れた特性を示すことが判明した。
Claims (7)
- マグネシウム化合物及び/又は亜鉛化合物と、アルミニウム化合物とを原料とするハイドロタルサイトの製造方法であって、
前記原料のうち、前記原料の水酸化物、酸化物、及び炭酸塩からなる群より選ばれた少なくとも1種の全て又は一部と、カルボン酸基含有化合物とを含有するスラリーを調製する工程と、
該スラリーを、スラリー中の粒子の平均2次粒子径D50が1.5μm以下、D90が10μm以下になるように湿式粉砕する工程と、
得られたスラリーに残りの原料を添加した後、水熱処理して、BET比表面積が1m2/g〜30m2/gであるハイドロタルサイトを合成する水熱処理工程と
を含み、
前記スラリーを調整する工程において、スラリー中の固形分濃度が25質量%以上であることを特徴とするハイドロタルサイトの製造方法。 - さらに、前記水熱処理工程の後、スラリーからハイドロタルサイトを濾別し、濾液を炭酸ガスと接触させることにより炭酸塩を回収する工程を含む請求項1に記載のハイドロタルサイトの製造方法。
- 前記カルボン酸基含有化合物が、飽和脂肪酸、ヒドロキシカルボン酸、芳香族カルボン酸、ジカルボン酸、及びオキソカルボン酸から選択される少なくとも1種のカルボン酸基含有化合物である、請求項1又は2に記載のハイドロタルサイトの製造方法。
- 前記マグネシウム化合物は、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、及び塩基性炭酸マグネシウムからなる群から選択される少なくとも一種の化合物である請求項1〜3のいずれか一項記載のハイドロタルサイトの製造方法。
- 前記亜鉛化合物は、水酸化亜鉛、酸化亜鉛、又は塩基性炭酸亜鉛である請求項1〜4のいずれか一項記載のハイドロタルサイトの製造方法。
- 前記アルミニウム化合物は、水酸化アルミニウム、又は酸化アルミニウムである請求項1〜5のいずれか一項記載のハイドロタルサイトの製造方法。
- BET比表面積が1m2/g〜30m2/gである請求項1に記載のハイドロタルサイトの製造方法によって得られることを特徴とするハイドロタルサイト。
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