JP3786717B2 - 炭酸カルシウム分散体の調製方法 - Google Patents

炭酸カルシウム分散体の調製方法 Download PDF

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    • C01F11/181Preparation of calcium carbonate by carbonation of aqueous solutions and characterised by control of the carbonation conditions

Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、二次凝集が少なく分散性の良好な合成炭酸カルシウムの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、合成炭酸カルシウムの工業的製造方法としては、炭酸ガス法が広く採用されている。この炭酸ガス法とは、天然に産する石灰石を焼成することにより生石灰(酸化カルシウム)を得、この生石灰と水を反応させ石灰乳(水酸化カルシウムの水懸濁液)を得、この石灰乳に、石灰石を焼成する際に発生する炭酸ガスを導通し反応させることにより炭酸カルシウムを得る方法である。
この炭酸ガス法により製造される合成炭酸カルシウムは、その一次粒子の大きさに応じて、ゴム、プラスチック、紙、塗料等の填料又は顔料として、広く大量に使用されている。
また、これらの用途に用いられる合成炭酸カルシウムは、その配合時の物性をさらに向上させるため、粒子表面にその使用目的に応じた無機系又は有機系の様々な処理剤が表面処理され一般に使用されている。
【0003】
しかし乍ら、この炭酸ガス法で製造される合成炭酸カルシウムは、元来一次粒子間の凝集力が非常に強いものであり、一次粒子が多数凝集して大きな二次粒子(一次粒子の粗大凝集体)を形成しており、この二次粒子のスラリーは、長時間強力に攪拌を続けても、ほぼ一次粒子にまで分散させることは不可能であるとされている。
このような一次粒子の凝集体を多数含有する合成炭酸カルシウムを、ゴム、プラスチック、紙、塗料等の填料又は顔料として使用した場合、二次粒子があたかも一次粒子のような挙動を示すため、分散不良、強度の低下、光沢の低下、流動性の悪化等、良好な物性が得られず、本来一次粒子を配合した場合の様な配合効果が得られない。
また同様に、このように多数の凝集体を含有する合成炭酸カルシウムに、無機系又は有機系の表面処理剤を処理しても二次粒子表面のみが処理されるにすぎず、充分な効果を発揮するに至らない。
【0004】
現在まで、これら一次粒子凝集体を分散させる方法は幾多報告されているが、一般にボールミル、サンドグラインダーミル等により、強力に粉砕破壊する方法が採用されている。しかし乍ら、このような方法は強大なエネルギーを使用した摩砕粉砕であるため、経済的に不利であるばかりではなく、炭酸カルシウムの凝集体の分散が行なわれると同時に一次粒子の破壊も行なわれ、その結果表面状態の非常に不安定な、しかも希望する一次粒子径よりさらに小さな粒子と、分散が不完全な二次凝集粒子とが混在し、粒度の分布が幅広くなってしまうため、好ましい方法であるといいがたい。
またこのようなサンドグラインダー等の湿式粉砕機には、通常粉砕用メディアとして微少なガラスビーズが用いられるが、炭酸カルシウムの粉砕破壊工程時これらガラスビーズ表面も粉砕破壊されるため、分散処理後の炭酸カルシウム中に20μm前後の粗大ガラス片が多数混入することになり、例えば15μm前後の厚みの薄物フィルムの充填剤として使用するような炭酸カルシウムをこのような湿式粉砕方法を用いて分散調製することは好ましくない。
【0005】
また特開昭59−69425には、炭酸ガス法により炭酸カルシウムを調製する炭酸化工程において、ストロンチウム塩又はバリウム塩を少量添加することによる、分散性良好な合成炭酸カルシウムの製造方法が提案されている。
この方法によれば、良好な分散性を有する合成炭酸カルシウムは調製し得るものの、該方法で得られる炭酸カルシウム中には、炭酸化工程で添加したストロンチウム塩又はバリウム塩が混在しており、これらストロンチウム塩又はバリウム塩を経済的に有利な条件で除去することが困難であるため、このような炭酸カルシウムは例えば食品用途への利用はできず、炭酸カルシウムの用途が限定されるため、好ましい分散方法とは言えない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来の合成炭酸カルシウムの分散方法の欠点を補い、且つ経済的に有利に分散性の良好な炭酸カルシウムの調製方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討の結果、特定の条件下において炭酸化反応して得られる炭酸カルシウムの水懸濁液を、特定の条件、方法を用い、水懸濁液中に存在するアルカリ物質を除去及び/又はアルカリ物質の単位体積当たりの濃度を低下せしめることにより、容易に分散性良好な合成炭酸カルシウムが得られることを見いだし、本発明を完成した。
【0008】
即ち、本発明は、石灰乳を炭酸ガスを用いて炭酸化反応して得られる炭酸カルシウムの水懸濁液の調製工程において、炭酸化反応終了して調製されたpH値Xの炭酸カルシウムの水懸濁液を攪拌、及び/又は湿式粉砕、及び/又は静置し、炭酸カルシウム粒子間に存在するアルカリ物質を溶出させ、該炭酸カルシウムの水懸濁液のpHを以下に示す式(a)及び(b)を満たすpH値Yに上昇せしめた後、水懸濁液中に存在するアルカリ物質を除去及び/又はアルカリ物質の単位体積当たりの濃度を低下せしめ、炭酸カルシウムの水懸濁液のpHを、以下に示す式(c)を満たすpH値Zに調整する方法であって、前記炭酸カルシウムの水懸濁液のpH値YをpH値Zに調整する方法が下記の(A)〜(C)の単独又は2以上を組み合わせた方法である(但し、(A)単独の場合を除く)ことを特徴とする、炭酸カルシウム分散体の製造方法を内容とするものである。
Y≧8.6 ・・・(a)
10(Y+2) /10X ≧125 ・・・(b)
10(Z+2) /10Y ≦80 ・・・(c)
但し、X、Yは同一温度条件下でのpHである。pH値Zは、Zが8.6未満の場合、Zは8.6として計算。
(A)pH値Yに上昇せしめた炭酸カルシウムの水懸濁液に炭酸ガスを反応せしめ、炭酸カルシウムの水懸濁液のpHをZに調整する方法。
(B)pH値Yに上昇せしめた炭酸カルシウムの水懸濁液に水を加え希釈し、炭酸カルシウムの水懸濁液のpHをZに調整する方法。
(C)pH値Yに上昇せしめた炭酸カルシウムの水懸濁液を脱水し、得られる含水ケーキに水を加え希釈し、炭酸カルシウムの水懸濁液のpHをZに調整する方法。
【0009】
本発明において、石灰乳を炭酸ガスを用いて炭酸化する方法に関しては特に制限はなく、石灰乳中に炭酸ガスを導通する方法、炭酸ガス中に石灰乳を噴霧する方法等、常法の方法によればよい。また、炭酸化反応条件に関しても、所望の炭酸カルシウムの粒子径に応じ、石灰乳濃度、石灰乳温度、炭酸ガス濃度、炭酸ガス導通量、石灰乳噴霧速度、石灰乳噴霧液滴径等の反応条件を任意に選択し炭酸化反応を開始すればよく、炭酸化開始後炭酸化反応系内のpHが任意の時点で、好ましくは11.0以下に達した任意の時点で、より好ましくは10.0以下に達した任意の時点で炭酸化反応を終了すればよい。
【0010】
次に、炭酸化反応終了後、得られる炭酸カルシウムの水懸濁液を攪拌及び/又は静置し、炭酸カルシウム粒子間に存在するアルカリ物質を溶出させ、該炭酸カルシウムの水懸濁液のpHを上記(a)及び(b)を満たすpH値Yに上昇せしめればよく、好ましくはX及びYは下記(d)(e)、より好ましくは(f)(g)を満たすpH値Yに上昇せしめればよい。
Y≧10.0 ・・・(d)
10(Y+2) /10X ≧200 ・・・(e)
Y≧10.5 ・・・(f)
10(Y+2) /10X ≧250 ・・・(g)
【0011】
攪拌及び/又は静置により、該炭酸カルシウムの水懸濁液のpHが8.6未満の場合、アルカリ物質除去等の本発明の方法を実施しても、分散性の良好な炭酸カルシウムは得られないため、該水懸濁液を湿式粉砕機を用いて解砕し、そのpHを8.6以上にすればよい。また、10(Y+2) /10X が125未満の場合、本発明の以降の操作を行っても、本発明の目的である分散性良好な炭酸カルシウムを得ることはできない。
【0012】
次に、上記(a)及び(b)を満たすpH値Yに上昇させた炭酸カルシウムの水懸濁液中に存在するアルカリ物質を除去及び/又はアルカリ物質の単位体積当たりの濃度を低下せしめ、炭酸カルシウムの水懸濁液のpHを、前述の(c)を満たすpH値Zに調整すればよく、好ましくはpH値Zは下記(h)、より好ましくは(i)を満たすpH値Zに調製することにより、本発明の目的を達成することができる。
pH値Zを8.6未満にする場合のみ、Z=8.6として計算した値を採用する。
10(Z+2) /10Y ≦70 ・・・(h)
10(Z+2) /10Y ≦60 ・・・(i)
10(Z+2) /10Y が80を越える場合、水懸濁液中に存在するアルカリ物質を除去及び/又はアルカリ物質の単位体積当たりの濃度を低下させることが充分ではなく、本発明の目的である分散性良好な炭酸カルシウムを得ることはできない。
本発明における、炭酸カルシウムの水懸濁液中に存在するアルカリ物質を除去及び/又はアルカリ物質の単位体積当たりの濃度を低下させる方法については、特別の制限は無く、アルカリ物質と反応し水に不溶性又は難溶性の塩を生成する酸性ガスを水懸濁液と反応させる方法、アルカリ物質と反応し水に不溶性又は難溶性の塩を生成する燐酸、シュウ酸等を水懸濁液に添加する方法、水で希釈又は洗浄する方法等いずれの方法を採用してもよい。
【0013】
特に食品用途、その他広範囲の工業用途に広く用いるための炭酸カルシウムの調製には、炭酸カルシウム以外の不純物が可能な限り少ないほうが好ましいため、炭酸カルシウムの水懸濁液中に存在するアルカリ物質を除去及び/又はアルカリ物質の単位体積当たりの濃度を低下させる好ましい方法としては、以下に示す(A)(B)(C)の方法を例示できる。これら(A)(B)(C)の方法は、単独で採用しても2以上組み合わせて採用しても問題なく(但し、(A)単独の場合を除く)、これらの方法により炭酸カルシウムの水懸濁液のpH値Zを前述の(c)を満たす値に調整することにより、本発明の良好な分散性を有する一次粒子径が0.01〜5μmの炭酸カルシウムを、容易にかつ経済的に有利に調製することが可能となる。
(A)pH値Yに上昇せしめた炭酸カルシウムの水懸濁液に、炭酸ガス含有ガスを反応せしめ、炭酸カルシウムの水懸濁液のpHをZに調整する方法。
(B)pH値Yに上昇せしめた炭酸カルシウムの水懸濁液に大量の水を加え希釈し、炭酸カルシウムの水懸濁液のpHをZに調整する方法。
(C)pH値Yに上昇せしめた炭酸カルシウムの水懸濁液を脱水し、得られる含水ケーキ又は高濃度炭酸カルシウムの水懸濁液に水を加えて希釈し、再度炭酸カルシウムの水懸濁液を調製し、該水懸濁液のpHをZに調整する方法。
【0014】
炭酸カルシウム粒子間に存在するアルカリ物質の溶出に関する関数である10(Y+2) /10X の計算値については、採用した全方法の合計値から算出されればよい。
仮に本発明の炭酸カルシウムの分散体を調製するにあたり、上記(A)の方法を2回、さらに(B)の方法を1回採用し、それぞれの10(Y+2) /10X の計算値が、(A)の方法の1回目が50、(A)の方法の2回目が100、(B)の方法が150である場合、この方法の10(Y+2) /10X は、各々合計の300とすればよい。
また、炭酸カルシウムの水懸濁液中に存在するアルカリ物質を除去及び/又はアルカリ物質の単位体積当たりの濃度を低下させる方法、例えば上記(A)(B)(C)等の方法を単独で複数回、又は組み合わせた方法で複数回行った場合の10(Z+2) /10Y の値は、各々単独の方法による値を算出し、それら方法の最小値を採用する。
仮に本発明の炭酸カルシウムの分散体を調製するにあたり、上記(A)の方法を2回、(B)の方法を1回、(C)の方法を1回採用し、それぞれの10(Z+2) /10Y の計算値が、(A)の方法の1回目が100、(A)の方法の2回目が80、(B)の方法が20、(C)の方法が60である場合、この方法の10(Y+2) /10X は、(B)の方法の数値の20とすればよい。
【0015】
以上のような本発明の方法により調製される炭酸カルシウムは、脱水乾燥して粉体化しても従来の炭酸カルシウム粉体と比較し極めて良好な分散性を有しているため、カルボン酸又はその塩、界面活性剤等の各種表面処理剤で表面処理した本発明の方法による炭酸カルシウム粉体は、塗料、インキ、製紙、シーラント、合成樹脂、ゴム等の各種工業用用途に、顔料、填料として広く利用することができ、また表面処理を施さない粉体は、牛乳用カルシウム強化剤等の各種食品添加物等の用途に広範囲に応用することが可能である。
【0016】
【実施例】
以下に実施例、比較例を示し本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
比重1.055で温度が8℃の石灰乳7000リッターに、炭酸ガス濃度27重量%の炉ガス(以下炭酸ガスと略記する)を24m3の流速で導通し炭酸化反応を行い、25℃におけるpHがpH9.5(X)の炭酸カルシウムの水懸濁液を得た。
この炭酸カルシウムは、電子顕微鏡で観察した結果、一次粒子径が0.05μmの炭酸カルシウムであった。
その後30℃で5時間攪拌し、炭酸カルシウム水懸濁液の25℃におけるpHが11.8(Y−1)に達した時点でフィルタープレスを用いて脱水し、炭酸カルシウム固形分濃度が48重量%の脱水ケーキを得た。次に得られた脱水ケーキに再度水を加え攪拌し、脱水前の炭酸カルシウム水懸濁液と同一濃度の炭酸カルシウム水懸濁液を得た。該炭酸カルシウムの水懸濁液のpHは11.5(Z−1、Y−2)であった。この炭酸カルシウム水懸濁液に再度炭酸ガスを導通し、炭酸カルシウム水懸濁液のpHを7.0(Z−2)に低下せしめた。
本実施例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウムの遠心沈降式粒度分布測定機SA−CP3(島津製作所製)による粒度分布測定結果を表1に示す。
粒度分布の測定結果から、本実施例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウムは、極めて良好な分散性を有していることが確認される。
【0018】
実施例
実施例1と同様の方法で炭酸化反応を行い調製した、pH10.7(X)の炭酸カルシウム水懸濁液を、12時間放置し、系内の25℃におけるpHが11.7(Y)であることを確認後、該炭酸カルシウム水懸濁液中に、該水懸濁液の容積の4倍の水を添加し希釈した。その後該希釈水懸濁液を25℃で攪拌したところ、25℃におけるpHを11.1(Z)であった。
本実施例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウムの粒度分布測定結果を表1に示す。
粒度分布の測定結果から、本実施例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウムは、極めて良好な分散性を有していることが確認される。
【0019】
実施例
比重1.095で温度が28℃の石灰乳7000リッターに、炭酸ガスを10m3の流速で導通し炭酸化反応を行い、pH9.5(X)の炭酸カルシウムの水懸濁液を得た。
この炭酸カルシウムは、電子顕微鏡で観察した結果、一次粒子径が1.5μmの炭酸カルシウムであった。
その後30℃で5時間攪拌し、炭酸カルシウム水懸濁液の25℃におけるpHが11.8(Y−1)に達した時点でオリーバーフィルターを用いて脱水し、炭酸カルシウム固形分濃度が45重量%の脱水ケーキを得た。次に得られた脱水ケーキに再度水を加え攪拌し、脱水前の炭酸カルシウム水懸濁液の固形分濃度の半分の固形分濃度の炭酸カルシウム水懸濁液を得た。該炭酸カルシウムの水懸濁液のpHは11.2(Z−1、Y−2)であった。この炭酸カルシウム水懸濁液を再度フィルタープレスを用いて再度脱水し、再度炭酸カルシウム固形分濃度が50重量%の脱水ケーキを得た。次に得られた脱水ケーキに再度水を加え攪拌し、脱水前の炭酸カルシウムと同一濃度の炭酸カルシウム水懸濁液を得た。該炭酸カルシウム水懸濁液のpHは10.4(Z−2)であった。
本実施例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウムの粒度分布測定結果を表1に示す。
粒度分布の測定結果から、本実施例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウムは、極めて良好な分散性を有していることが確認される。
【0020】
比較例1
比重1.055で温度が8℃の石灰乳7000リッターに、炭酸ガスを24m3の流速で導通し炭酸化反応を行い、pH6.5(X)の炭酸カルシウムの水懸濁液を得た。この炭酸カルシウムは、電子顕微鏡で観察した結果、一次粒子径が0.05μmの炭酸カルシウムであった。本比較例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウムの粒度分布測定結果を表1に示す。
粒度分布の測定結果から、本比較例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウムは、実施例1、2、3の炭酸カルシウムの分散性と比較し、良好とは言えない分散性を有していることが確認される。
【0021】
比較例2
比重1.095で温度が28℃の石灰乳7000リッターに、炭酸ガスを10m3の流速で導通し炭酸化反応を行い、pH6.8(X)の炭酸カルシウムの水懸濁液を得た。
この炭酸カルシウムは、電子顕微鏡で観察した結果、一次粒子径が1.5μmの炭酸カルシウムであった。本比較例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウムの粒度分布測定結果を表2に示す。
粒度分布の測定結果から、本比較例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウムは、実施例4の炭酸カルシウムの分散性と比較し、良好とは言えない分散性を有していることが確認される。
【0022】
比較例3
比重1.055で温度が8℃の石灰乳7000リッターに、炭酸ガスを24m3の流速で6分間導通し炭酸化反応を開始し、その後2m3の流速で炭酸化反応を継続し、pH6.5(X)の炭酸カルシウムの水懸濁液を得た。
この炭酸カルシウムは、電子顕微鏡で観察した結果、一次粒子径が0.05μmの炭酸カルシウムであった。
この水懸濁液を25℃で維持し24時間攪拌し、系内の25℃におけるpHが8.5(Y)であることを確認後、該炭酸カルシウム水懸濁液に再度炭酸ガスを導通し、系内の25℃におけるpHを7.0(Z)に低下せしめた。本比較例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウムの粒度分布測定結果を表2に示す。
粒度分布の測定結果から、本比較例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウムは、実施例1、2、3の炭酸カルシウムの分散性と比較し、良好とは言えない分散性を有していることが確認される。
【0023】
比較例4
実施例1のpH9.5(X)の炭酸カルシウムの水懸濁液を5分間放置し、系内の25℃におけるpHが9.55(Y)であることを確認後、該炭酸カルシウム水懸濁液に再度炭酸ガスを導通し、系内の25℃におけるpHを6.5(Z)に低下せしめた。
本比較例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウムの粒度分布測定結果を表2に示す。
粒度分布の測定結果から、本比較例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウムは、実施例1、2、3の炭酸カルシウムの分散性と比較し、良好とは言えない分散性を有していることが確認される。
【0024】
比較例5
比重1.055で温度が8℃の石灰乳7000リッターに、炭酸ガスを24m3の流速で導通し炭酸化反応を行い、pH10.8(X)の炭酸カルシウムの水懸濁液を得た。
この炭酸カルシウムは、電子顕微鏡で観察した結果、一次粒子径が0.05μmの炭酸カルシウムであった。
その後30℃で10分間放置し、炭酸カルシウム水懸濁液の25℃におけるpHが11.00(Y)に達した時点でヌッチェを用いて濃縮し、次いで得られた濃縮した水懸濁液に再度水を加え攪拌し、脱水前の炭酸カルシウム水懸濁液と同一濃度の炭酸カルシウム水懸濁液を得た。該炭酸カルシウム水懸濁液のpHは10.96(Z)であった。
本比較例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウムの粒度分布測定結果を表2に示す。
粒度分布の測定結果から、本比較例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウムは、実施例1、2、3の炭酸カルシウムの分散性と比較し、良好とは言えない分散性を有していることが確認される。
【0025】
比較例6
比重1.055で温度が8℃の石灰乳7000リッターに、炭酸ガスを24m3の流速で導通し炭酸化反応を行い、25℃におけるpH10.1(X)の炭酸カルシウムの水懸濁液を得た。該水懸濁液を50℃で36時間攪拌し、25℃におけるpHが11.7の炭酸カルシウム水懸濁液を得た。
本比較例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウムの粒度分布測定結果を表2に示す。
粒度分布の測定結果から、本比較例で得られた水懸濁液中の炭酸カルシウムは、比較例中においては良好な結果をしめしているものの、ほぼ同様の方法で調製した実施例2の炭酸カルシウムの分散性と比較し、良好とは言えない分散性を有していることが確認される。
表1、表2中のD25、D50、D75は、粒度分布測定結果の粗粒子側から起算した25重量%、50重量%、75重量%の粒径を示している。
【0026】
【表1】
Figure 0003786717
【0027】
【表2】
Figure 0003786717
【0028】
応用例1
実施例1、2及び比較例1、3、4、5、6で調製された炭酸カルシウムの水懸濁液に、炭酸カルシウム固形分に対し樹脂酸ソーダを3.0重量%表面処理した後、フィルタープレスで脱水し、乾燥粉砕により各々炭酸カルシウムの塗料用顔料粉体を得た。これら炭酸カルシウム粉体46重量部に短油アルキッド樹脂(商品名「フタルキッド235」の25%キシレン溶液)54重量部を加え、顔料容積濃度が62%に調製し、さらにガラスビーズを加えペイントシェーカーにより30分間混練させて、塗料ミルベースを作成した。JIS K 5400による方法で、該ミルベースの粒の大きさを測定し、各々の炭酸カルシウム粉体の分散性を比較した。測定結果を表3に示す。
表3の結果から、実施例の炭酸カルシウム水懸濁液を原料として調製された顔料粉体は、比較例の炭酸カルシウムと比較して、極めて良好な分散性を有していることが確認される。
【0029】
【表3】
Figure 0003786717
【0030】
応用例2
実施例1、2及び比較例1、3、4、5、6で調製された炭酸カルシウムの水懸濁液を乾燥粉砕し、各炭酸カルシウム粉体を調製した。これら粉体各々の炭酸カルシウム固形分100重量部に対しHLBが16のショ糖ステアリン酸エステルを25重量部、及び水を混合し、炭酸カルシウム固形分濃度が20重量%の炭酸カルシウム粉体の水懸濁液1500gを調製し、超音波分散機US−300T(日本精機製作所製)を用い、20kHz 、300Wで15分間超音波照射を行い、その後水で希釈し炭酸カルシウム固形分濃度が5重量%のスラリー状牛乳添加用炭酸カルシウムを調製した。
これら炭酸カルシウム固形分濃度が5重量%のスラリー状牛乳添加用炭酸カルシウム各々800gを、60℃で溶解させたバター500g中に分散させ、これを脱脂乳10kg中に添加攪拌し、次いで殺菌してカルシウム強化牛乳を得た。
このカルシウム強化牛乳を100mlのメスシリンダーにとり、5℃で保存し、定期的にメスシリンダー中の牛乳を静かに廃棄し、メスシリンダー底部に残存している沈降物の量の経時変化を目視観察した。その結果を下記の3段階表示により表4に示す。
(沈澱の量)
殆ど確認できない 3
わずかに沈澱が確認できる 2
かなり大量の沈澱が確認できる 1
【0031】
表4の結果から、実施例の炭酸カルシウムの水懸濁液を原料として調製された粉体は、分散性が良好なため、同一条件で超音波分散して調製された比較例の炭酸カルシウム粉体と比較し、牛乳中における分散安定性が極めて優れており、その結果、本発明の方法で調製した炭酸カルシウムを原料とした炭酸カルシウム粉体を牛乳中に分散させることにより、長期間安定なカルシウム強化牛乳が得られていることが確認できる。
【0032】
【表4】
Figure 0003786717
【0033】
【発明の効果】
叙上の通り、本発明によれば、二次凝集が少なく、分散性の良好な合成炭酸カルシウムが提供される。

Claims (3)

  1. 石灰乳を炭酸ガスを用いて炭酸化反応して得られる炭酸カルシウムの水懸濁液の調製工程において、炭酸化反応終了して調製されたpH値Xの炭酸カルシウムの水懸濁液を攪拌、及び/又は湿式粉砕、及び/又は静置し、炭酸カルシウム粒子間に存在するアルカリ物質を溶出させ、該炭酸カルシウムの水懸濁液のpHを以下に示す式(a)及び(b)を満たすpH値Yに上昇せしめた後、水懸濁液中に存在するアルカリ物質を除去及び/又はアルカリ物質の単位体積当たりの濃度を低下せしめ、炭酸カルシウムの水懸濁液のpHを、以下に示す式(c)を満たすpH値Zに調整する方法であって、前記炭酸カルシウムの水懸濁液のpH値YをpH値Zに調整する方法が下記の(A)〜(C)の単独又は2以上を組み合わせた方法である(但し、(A)単独の場合を除く)ことを特徴とする、炭酸カルシウム分散体の製造方法。
    Y≧8.6 ・・・(a)
    10(Y+2) /10X ≧125 ・・・(b)
    10(Z+2) /10Y ≦80 ・・・(c)
    但し、X、Yは同一温度条件下でのpHである。pH値Zは、Zが8.6未満の場合、Zは8.6として計算。
    (A)pH値Yに上昇せしめた炭酸カルシウムの水懸濁液に炭酸ガスを反応せしめ、炭酸カルシウムの水懸濁液のpHをZに調整する方法。
    (B)pH値Yに上昇せしめた炭酸カルシウムの水懸濁液に水を加え希釈し、炭酸カルシウムの水懸濁液のpHをZに調整する方法。
    (C)pH値Yに上昇せしめた炭酸カルシウムの水懸濁液を脱水し、得られる含水ケーキに水を加え希釈し、炭酸カルシウムの水懸濁液のpHをZに調整する方法。
  2. 炭酸カルシウムの一次粒子径が、0.01〜5.0μmである請求項1記載の製造方法。
  3. pH値Xが11.0以下である請求項1記載の製造方法。
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