JP2013080637A - 複合電極材料及びその製造方法、並びに該複合電極材料を用いたリチウム電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】活物質、導電物質及び固体イオン伝導性物質とが複合化している複合電極材料。
【選択図】なし
Description
上記問題を解決する次世代リチウムイオン電池として、より安全性の高い固体電解質を使用した全固体リチウムイオン電池が期待されている。固体電解質を用いた全固体電池では、電解質の漏洩や発火が起こりにくいという特徴を有している。
1.活物質、導電物質及び固体イオン伝導性物質とが複合化している複合電極材料。
2.前記活物質の表面に前記固体イオン伝導性物質が複合化している1に記載の複合電極材料。
3.前記活物質の表面の一部に前記固体イオン伝導性物質が複合化している1又は2に記載の複合電極材料。
4.表面の一部が、前記固体イオン伝導性物質、及び前記導電物質である1〜3のいずれかに記載の複合電極材料。
5.前記活物質がS原子を含む1〜4のいずれかに記載の複合電極材料。
6.前記固体イオン伝導性物質がLi原子及びS原子を含む固体電解質である1〜5のいずれかに記載の複合電極材料。
7.導電物質と活物質を複合化した複合材料、及び前記活物質と反応することにより固体イオン伝導性物質を合成できる物質とを反応させる複合電極材料の製造方法。
8.S原子を含む活物質と導電物質とを複合化した複合材料と、P、B、Zn、Si、Cu、Ga及びGeから選択される1以上の元素とSを含む化合物と、を反応させる、
P、B、Zn、Si、Cu、Ga及びGeから選択される1以上の元素とアルカリ金属とSとを含む固体イオン伝導性物質と、S原子を含む活物質と、導電物質と、を複合化させた複合電極材料の製造方法。
9.8に記載の製造方法により製造された複合電極材料。
10.1〜6及び9のいずれかに記載の複合電極材料を含む電極。
11.1〜6及び9のいずれかに記載の複合電極材料を用いて製造された電極。
12.10又は11に記載の電極を備えるリチウム電池。
13.12に記載のリチウム電池を備える装置。
本発明の複合電極材料は、活物質、導電物質及び固体イオン伝導性物質が複合化している。
ここで複合化とは、例えば活物質、導電物質及び固体イオン伝導性物質にメカニカルミリング処理等の力学的な作用を加えることにより、これらを互いに密着させることではなく、これらが一体化していることを意味する。具体的には、活物質と導電物質の複合化とは、導電物質の存在下、活物質を合成することにより導電物質の表面上及び/又は内部に活物質が合成された場合のような状態を意味する。また、活物質と固体イオン伝導性物質の複合化とは、活物質の一部からイオン伝導性物質を合成した場合のような状態を意味する。
活物質の表面とは、活物質の比表面積分析により測定される面であり、具体的にはBET比表面積となる面を意味する。活物質の表面にイオン伝導性物質が複合化していることにより、複合電極材料間及び複合電極材料と導電物質間でのイオンの移動が容易になるからである。
上記複合化は、好ましくは活物質の表面の0.01%以上に固体イオン伝導性物質が一体化しており、より好ましくは活物質の表面の1%以上にイオン伝導性物質が一体化している。
ここで、活物質の表面のイオン伝導性物質が一体化していない部分は、好ましくは表面全体の1%以下(活物質の表面にイオン伝導性物質が一体化している部分が表面全体の99%以上)であり、より好ましくは活物質の表面にイオン伝導性物質が一体化していない部分が、表面全体の0.01%以下(活物質の表面に電解質が一体化している部分が表面全体の99.99%以上)である。
固体イオン伝導性物質の一部が表面に出ていることで、複合電極材料と固体イオン伝導性物質の間でイオン移動が可能になる。好ましくは固体イオン伝導性物質が表面に露出している部分が、表面全体の0.01%以上であり、より好ましくは1%以上である。
また、導電物質の一部が表面に出ていれば、複合電極材料間及び複合電極材料と導電物質間での電子の移動が容易になる。好ましくは導電物質が表面に露出している部分が、表面全体の0.01%以上であり、より好ましくは1%以上である。
[活物質]
活物質は、正極活物質及び負極活物質のいずれでもよい。
(1)正極活物質
正極活物質は、リチウムイオンの挿入脱離が可能な物質であり、電池分野において正極活物質として公知のものが使用できる。
正極活物質としては、V2O5、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn2O4、Li(NiaCobMnc)O2(ここで、0<a<1、0<b<1、0<c<1、a+b+c=1)、LiNi1−YCoYO2、LiCo1−YMnYO2、LiNi1−YMnYO2(ここで、0≦Y<1)、Li(NiaCobMnc)O4(0<a<2、0<b<2、0<c<2、a+b+c=2)、LiMn2−ZNiZO4、LiMn2−ZCoZO4(ここで、0<Z<2)、LiCoPO4、LiFePO4、LixCoO2、LixNiO2、LixMn2O4、LixFePO4、LixCoPO4、LixMn1/3Ni1/3Co1/3O2、LixMn1.5Ni0.5O2(Xは0.1〜0.9);硫化チタン(TiS2)、硫化モリブデン(MoS2)、硫化鉄(FeS、FeS2)、硫化銅(CuS)、硫化ニッケル(Ni3S2)、硫化リチウム(Li2S)等の硫化物系正極活物質(好ましくはLi2S);酸化ビスマス(Bi2O3)、鉛酸ビスマス(Bi2Pb2O5)、酸化銅(CuO)、酸化バナジウム(V6O13)、コバルト酸リチウム(LiCoO2)、ニッケル酸リチウム(LiNiO2)、マンガン酸リチウム(LiMnO2)等の酸化物系正極活物質等が挙げられる。
これら正極活物質は1種単独で、又は2種以上の混合物として使用できる。
有機ジスルフィド化合物及びカーボンスルフィド化合物を以下に例示する。
式(D)において、Zはそれぞれ−S−又は−NH−であり、nは繰返数2〜300の整数である。)
正極活物質の理論容量の上限は特にないが、例えば10000mAhg−1、5000mAhg−1、3000mAhg−1、2000mAhg−1が例示できる。
尚、理論容量は物質の固有値であり、硫黄の理論容量は1672mAhg−1である。
ここで、上記半値幅の上限は特に制限しない。例えば、0.370°以上であってもよい。
例えばアルカリ金属硫化物が硫化リチウムである場合、好ましくは硫化リチウムのXRD(CuKα:λ=1.5418Å)は、2θ=26.8、31.0、44.6、52.8°にピークがあり、2θ=44.6°近傍のピークの半値幅が0.370°以上、より好ましくは2θ=44.6°近傍のピークの半値幅が0.500°以上である。尚、硫化リチウムの半値幅が0.370°未満の場合、充放電容量が小さくなるおそれがある。
負極活物質は、リチウムイオンの挿入脱離が可能な物質であり、電池分野において負極活物質として公知のものが使用できる。
負極活物質としては、例えば人造黒鉛、黒鉛炭素繊維、樹脂焼成炭素、熱分解気相成長炭素、コークス、メソカーボンマイクロビーズ(MCMB)、フルフリルアルコール樹脂焼成炭素、ポリアセン、ピッチ系炭素繊維、気相成長炭素繊維、天然黒鉛、難黒鉛化性炭素等の炭素材料、及びこれらの混合物が挙げられ、好ましくは人造黒鉛である。
上記の他、金属リチウム、金属インジウム、金属アルミ、金属ケイ素等の金属単体、これら金属単体と他の元素又は他の化合物と組合わせた合金を、負極活物質として用いることができる。
導電物質は、好ましくは電導度が1.0×103S/m以上の導電物質であり、より好ましくは、1.0×104S/m以上、さらに好ましくは1.0×105S/m以上の導電物質である。
導電物質は、好ましくは密度が10g/cm3以下であり、より好ましくは7g/cm3以下であり、さらに好ましくは5g/cm3以下であり、最も好ましくは3g/cm3以下である。
これら密度を満たす導電物質を用いることにより、エネルギー密度が高く、軽量の電池を製造することが可能になる。
比表面積が上記範囲にある導電物質は、活物質との接触面を大きくすることができ、電子伝導性を高くすることができる。一方、BET比表面積が0.1m2/g未満であると活物質及び/又は固体イオン伝導性物質と複合化しにくくなるおそれがあり、BET比表面積が5000m2/gを超えると嵩高くなって取り扱いが難しくなるおそれがある。
上記範囲の平均直径である細孔を有する導電物質を用いることにより、充放電容量を高めることができる。
メソポーラス炭素の文献:S.J.Sang,S.H.Joo,R.Ryoo,et.,J.Am.Chem.Soc.,122(2000)10712−10713、及びT.Yokoi,Y.Sakamoto,O.Terasaki,et.,J.Am.Chem.Soc.,128(2006)13664−13665
固体イオン伝導性物質は、好ましくはイオン伝導度が10−5S/cm以上であり、より好ましくは10−4S/cm以上であり、最も好ましくは10−3S/cm以上である。
固体イオン伝導性物質のイオン伝導度が上記範囲にあることにより、電池の出力密度を高くすることができる可能性がある。
(i)酸化物系固体電解質
酸化物系固体電解質としては、LiN、LISICON類;Thio−LISICON類;NASICON型構造を有するLiTi2P3O12、さらにこれらを結晶化させた電解質;La0.55Li0.35TiO3等のペロブスカイト構造を有する結晶等を用いることができる。
硫化物系固体電解質は、硫黄を含む固体電解質であればよく、好ましくは硫黄とリチウムを含む固体電解質であり、より好ましくは下記式(1)で示される組成を満たすリチウムイオン伝導性無機固体電解質であり、さらに好ましくは下記式(2)で示される組成を満たすリチウムイオン伝導性無機固体電解質である。
LiaMbSd (1)
(式(1)において、Mは、P、B、Zn、Si、Cu、Ga及びGeから選択される元素を示す。a、b、dは各元素の組成比を示し、a:b:dは1〜12:1〜1.2:2〜9を満たす。)
LiaMbPcSd (2)
(式(2)において、Mは、B、Zn、Si、Cu、Ga及びGeから選択される元素を示す。a〜dは各元素の組成比を示し、a:b:c:dは1〜12:0〜0.2:1:2〜9を満たす。)
各元素の組成比は、下記するように、複合電極材料を製造する際の原料化合物の配合量を調整することにより制御できる。
結晶化させるとガラスよりもイオン伝導度が高くなる場合があり、その場合には結晶化させることが好ましい。
ポリマー系固体電解質としては、例えば、特開2010−262860号公報に開示のフッ素樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、これらの誘導体、これらの共重合体等のポリマー電解質として用いられる材料が挙げられる。
上記フッ素樹脂としては、例えば、フッ化ビニリデン(VdF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、これらの誘導体等を構成単位として含む樹脂が挙げられ、具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のホモポリマー、VdFとHFPとの共重合体(以下、この共重合体を「P(VdF−HFP)」と示す場合がある。)等の2元共重合体や3元共重合体等が挙げられる。
本発明の複合電極材料は、導電物質と活物質を複合化した複合材料、及び活物質と反応することにより固体イオン伝導性物質を合成できる物質とを反応させることにより製造できる。
複合電極材料の製造に使用できる導電物質と活物質は、複合電極材料で説明した導電物質と活物質と同様である。
活物質と反応することにより固体イオン伝導性物質を合成できる物質としては、活物質が硫化リチウム、硫黄等の硫黄系活物質である場合は、P2S3(三硫化二リン)、P2S5(五硫化二リン)、SiS2(硫化珪素)、Li4SiO4(オルト珪酸リチウム)、Al2S3(硫化アルミニウム)、単体リン(P)、単体の硫黄(S)、シリコン(Si)、GeS2(硫化ゲルマニウム)、B2S3(三硫化二砒素)、Li3PO4(燐酸リチウム)、Li4GeO4(ゲルマン酸リチウム)、LiBO2(メタホウ酸リチウム)、LiAlO3(リチウムアルミネート)等である。
尚、活物質が硫化リチウム以外のアルカリ金属硫化物(例えば硫化ナトリウム、硫化カリウム、硫化ルビジウム、硫化セシウム、硫化フランシウム)の場合であっても、上記を使用できる。
例えば導電物質が細孔を有する導電物質であり、活物質が硫化リチウムである場合、導電物質と硫黄をメカニカルミリング処理して導電物質と硫黄を密着させ、硫黄が溶解する温度で加熱し、導電物質の細孔内に硫黄を含浸させる。次に、硫黄の固体化する温度まで冷却し、硫黄と反応して硫化リチウムになる物質と硫黄とを接触させて、硫黄を硫化リチウム化することで導電物質と活物質を複合化することができる。活物質−導電物質複合体の平均粒径は、好ましくは200μm以下である。上記複合体の平均粒径の下限は限定しないが、例えば、0.1μm以上とすることができる。
上記の他、下記(i)、(ii)及び(iii)の方法が実施でき、固体イオン伝導性物質が硫化リチウムと五硫化二リンから合成される場合、下記(iii)の方法が好ましい。
(i)の方法はとしては、以下が挙げられる:
・硫黄を導電物質に包接した後、非水性溶媒中で還元剤溶液を加えて加熱して硫化リチウム−導電物質複合体を製造する
・非水性溶媒中に導電物質と硫黄を加え、硫黄を溶解させた後、還元剤溶液を加えて、加熱して硫化リチウム−導電物質複合体を製造する
・還元剤溶液に導電物質と硫黄を加えて加熱して硫化リチウム−導電物質複合体を製造する
・非水性溶媒に導電物質、硫黄及び還元剤をほぼ同時に加えて加熱し、硫化リチウム−導電物質複合体を製造する
硫黄は、好ましくは高純度の硫黄であり、より好ましくは純度98%以上の硫黄である。
非水性溶媒としては、THF(テトラヒドロフラン)、ジオキサン、エーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、イソブチルニトリル等の極性溶媒;トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、石油エーテル等の非極性溶媒;及びクロロホルム、四塩化炭素、トリクロロエタン等のハロゲン系溶媒が挙げられる。
還元剤としては、例えば還元性リチウム化合物であり、スーパーハイドライド(LiBHEt3)、水素化リチウム、リチウムアルミニウムハイドライド等が挙げられ、好ましくはスーパーハイドライドである。還元剤溶液とは、当該還元剤を上記非水性溶媒に溶解又は分散させたものであり、還元剤を溶解又は分散させる非水性溶媒は、反応に使用する溶媒と同じでも異なってもよい。
導電物質の使用量は、生成する硫化リチウムに対して、導電物質:硫化リチウム(質量比)=1:1〜1:5が好ましい。この範囲を逸脱して、導電物質量が多いと電極の質量当たりの充放電容量が小さくなるおそれがあり、少ないと電子伝導性が悪くなるおそれがある。
非水性溶媒に対する導電物質、硫黄、還元剤の添加量は特に限定されず、撹拌が円滑にできる量であればよい。
反応終了後は、数分〜数十時間放置し、未反応の還元剤を上澄み液として除去してもよい。未反応分の還元剤の除去は、溶媒での洗浄、固形分のろ別、遠心分離による上澄み液の除去等で行うことができる。
未反応物除去後、室温で真空乾燥して溶媒を除去して、必要に応じてさらに真空加熱して溶媒を除去することで、活物質−導電物質複合体が得られる。
(ii)の方法はとしては、以下が挙げられる:
・非水性溶媒中に導電物質とアルキルリチウムを加え、撹拌しながら、硫化水素を流通して反応させることで硫化リチウム−導電物質複合体を製造する
・非水性溶媒に硫化水素を流通させ充分に溶解させた後、導電物質とアルキルリチウムを加え、撹拌しながら硫化水素を流通させて反応させて硫化リチウム−導電物質複合体を製造する
アルキルリチウムとしては、n−ブチルリチウム、s−ブチルリチウム、t−ブチルリチウム、エチルリチウム、メチルリチウム等が挙げられ、n−ブチルリチウムが工業的に好ましい。
硫化水素は、例えば高純度の硫化水素であればよく、好ましくは純度99%以上の硫化水素である。
硫化水素は、アルキルリチウム1モルに対して、好ましくは0.5モル以上供給する。
非水性溶媒に対する導電物質、アルキルリチウムの添加量は特に限定されず、撹拌が円滑にできる量であればよい。
しかしながら、アルキルリチウムが残存すると後処理に注意する必要が生じるため、硫化水素ガスは、アルキルリチウム理論量よりも2〜50当量%多く使用することが好ましい。過剰量の硫化水素を使用することになるため、排ガスは、アルカリ溶液にてトラップすると安全面において好ましい。
尚、硫化水素の循環ラインを設置することで、アルカリ溶液トラップは不要又は小スケールとすることができる。
反応終了後は、数時間〜数十時間放置し、未反応のアルキルリチウムを上澄み液として除去し、溶媒で2回以上程度洗浄するのが好ましい。洗浄後、室温で真空乾燥して溶媒を除去し、さらに真空加熱し溶媒を除去することで、活物質−導電物質複合体が得られる。
これら操作は、溶媒の飽和蒸気圧の下、又は不活性ガス雰囲気下で行い、実質的に水蒸気に曝されない状態を行うのがよい。
活物質−導電物質複合体と、活物質と反応することにより固体イオン伝導性物質を合成できる物質との反応について、条件は特にない。活物質が硫化リチウムであり、活物質と反応することにより固体イオン伝導性物質を合成できる物質が五硫化二リンである場合、以下の方法により反応を実施できる。
・硫化リチウム−導電物質複合体に、五硫化二リンを加え、溶媒を加えて加熱撹拌することで固体イオン伝導性物質を製造する(以下、適宜「スラリー法」という。)。
・硫化リチウム−導電物質複合体に、五硫化二リンを加え、ボールミルによるMM(メカニカルミリング)法により固体イオン伝導性物質を製造する。
・硫化リチウム−導電物質複合体に、五硫化二リンを加え、溶融法により固体イオン伝導性物質を製造する。
・硫化リチウムと五硫化二リンと導電物質を、個々に添加し、溶媒を加えて過熱撹拌する方法及び、MM法及び溶融法等により固体イオン伝導性物質を製造する。
・五硫化二リンと導電物質の複合体に硫化リチウムを添加し、溶媒を加えて過熱撹拌する方法及び、MM法及び溶融法等により固体イオン伝導性物質を製造する。
他の製造方法は、上記の複合電極材料の製造方法の活物質及び固体イオン導電性物質を特定の物質にしただけで、反応条件等は同様である。
S原子を含む活物質は、例えば硫化リチウム(Li2S)、硫黄、有機ジスルフィド化合物、カーボンスルフィド化合物のリチウム化合物である。
P、B、Zn、Si、Cu、Ga及びGeから選択される1以上の元素とS原子を含む化合物の具体例としては、P2S3(三硫化二リン)、P2S5(五硫化二リン)、SiS2(硫化珪素)、Li4SiO4(オルト珪酸リチウム)、GeS2(硫化ゲルマニウム)、B2S3(三硫化二砒素)、Li3PO4(燐酸リチウム)、Li4GeO4(ゲルマン酸リチウム)、LiBO2(メタホウ酸リチウム)等である。
本発明の複合電極材料は、電極の材料として好適に使用できる。本発明の複合電極材料を用いることにより、電池の理論容量を高めることができる。
本発明の電極は、本発明の複合電極材料を含めばよく、複合電極材料のみからなってもよい。また、本発明の電極は、複合電極材料の他に、導電助剤、バインダー、固体電解質等を含んでもよい。複合電極材料の活物質が負極活物質である場合は、電極は負極として機能し、活物質が正極活物質である場合は、電極は正極として機能する。
電極が導電助剤を含む場合、電極中の導電助剤の含有量は、好ましくは0.01質量%以上90質量%以下であり、より好ましくは、0.01質量%以上50質量%以下である。
導電助剤の含有量が多すぎると電気容量が小さくなるおそれがあり、導電助剤の量が少ないと(又は含まない)と電気抵抗が高くなるおそれがある。
電極がバインダーを含む場合、電極中のバインダーの含有量は、好ましくは0.01質量%以上90質量%以下であり、より好ましくは0.01質量%以上10質量%以下である。
バインダーの含有量が多すぎると電気容量が小さくなるおそれがあり、バインダーの量が少ないと(又は含まない)と結着が弱くなるおそれがある。
(1)ポリマー系固体電解質
ポリマー系固体電解質としては、例えば、特開2010−262860号公報に開示のフッ素樹脂、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、これらの誘導体、これらの共重合体等のポリマー電解質として用いられる材料が挙げられる。
上記フッ素樹脂としては、例えば、フッ化ビニリデン(VdF)、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)、テトラフルオロエチレン(TFE)、これらの誘導体等を構成単位として含む樹脂が挙げられ、具体的には、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリヘキサフルオロプロピレン(PHFP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のホモポリマー、VdFとHFPとの共重合体(以下、この共重合体を「P(VdF−HFP)」と示す場合がある。)等の2元共重合体や3元共重合体等が挙げられる。
酸化物系固体電解質としては、LiN、LISICON類;Thio−LISICON類;NASICON型構造を有するLiTi2P3O12、さらにこれらを結晶化させた電解質;La0.55Li0.35TiO3等のペロブスカイト構造を有する結晶等を用いることができる。
硫化物系固体電解質は、例えば下記式(1)で示される組成を満たすリチウムイオン伝導性無機固体電解質である。
LiaMbPcSd (1)
(式中、Mは、B、Zn、Si、Cu、Ga及びGeから選択される元素を示す。a〜dは各元素の組成比を示し、a:b:c:dは1〜12:0〜0.2:1:2〜9を満たす。)
各元素の組成比は、下記するように、硫化物系固体電解質を製造する際の原料化合物の配合量を調整することにより制御できる。
結晶化させるとガラスよりもイオン伝導度が高くなる場合があり、その場合には結晶化させることが好ましい。
結晶化硫化物固体電解質の結晶化部分は、これら結晶構造のいずれか1つを有すればよく、複数の結晶構造を有していてもよい。これら結晶構造を有する結晶化硫化物固体電解質は、非晶質の硫化物固体電解質よりも高いイオン伝導度を示すことができる。
尚、例えばLi7P3S11構造は、X線回折(CuKα:λ=1.5418Å)において、2θ=17.8±0.3deg,18.2±0.3deg,19.8±0.3deg,21.8±0.3deg,23.8±0.3deg,25.9±0.3deg,29.5±0.3deg,30.0±0.3degに回折ピークを有する。
結晶化硫化物系固体電解質の結晶化度が50%未満の場合、結晶化によりイオン伝導度を高くするという効果が少なくなるおそれがある。
原料である硫化リチウムは、特に制限なく工業的に入手可能なものが使用でき、例えば、特開平7−330312号公報、特開平9−283156号公報、特開2010−163356号公報、特開2011−084438号公報に開示の方法で製造できる硫化リチウムを使用できる。
尚、上記特開2010−163356号公報では、炭化水素系有機溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを70℃〜300℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成する。また、上記特開2011−084438号公報では、水溶媒中で水酸化リチウムと硫化水素とを10℃〜100℃で反応させて、水硫化リチウムを生成し、次いでこの反応液を脱硫化水素化することにより硫化リチウムを合成する。
硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%以下であると、溶融急冷法やメカニカルミリング法で得られる固体電解質を、ガラス状電解質(完全非晶質)とすることができる。一方、硫黄酸化物のリチウム塩の総含有量が0.15質量%を越えると、得られる電解質は、最初から結晶化物となるおそれがあり、この結晶化物のイオン伝導度は低い。さらに、この結晶化物について熱処理を施しても結晶化物には変化がなく、高イオン伝導度の硫化物系固体電解質を得ることができないおそれがある。
また、N−メチルアミノ酪酸リチウムの含有量が0.15質量%以下であると、N−メチルアミノ酪酸リチウムの劣化物がリチウムイオン電池のサイクル性能を低下させることがない。
このように不純物が低減された硫化リチウムを用いることにより、高イオン伝導性電解質が得られる。
硫化リチウムを精製する場合、好ましい精製法としては、例えば、国際公開WO2005/40039号に開示の精製法等が挙げられ、得られた硫化リチウムを有機溶媒を用いて100℃以上の温度で洗浄することにより精製する。
硫化リチウムと五硫化二リンの混合比(モル比)は、通常Li2S:P2S5=50:50〜80:20であり、好ましくはLi2S:P2S5=60:40〜75:25であり、特に好ましくはLi2S:P2S5=68:32〜74:26(モル比)である。
具体的には、P2S5とLi2Sを所定量乳鉢にて混合してペレット状とし、当該ペレットをカーボンコートした石英管中に入れ真空封入する。その後、所定の反応温度で反応させ、氷中に投入し急冷することにより、硫化物系ガラス固体電解質が得られる。
反応温度は、好ましくは400℃〜1000℃であり、より好ましくは800℃〜900℃である。また、反応時間は、好ましくは0.1時間〜12時間、より好ましくは1〜12時間である。
上記反応物の急冷温度は、通常10℃以下であり、好ましくは0℃以下であり、その冷却速度は、通常1〜10000K/sec程度であり、好ましくは10〜10000K/secである。
具体的には、P2S5とLi2Sを所定量乳鉢にて混合し、例えば各種ボールミル等を使用して、混合物を所定時間反応させることにより、硫化物系ガラス固体電解質が得られる。
MM法では、室温で反応を行うことができ、室温でガラス固体電解質を製造できるため、原料の熱分解が起らず、仕込み組成のガラス固体電解質を得ることができるという利点がある。また、MM法では、ガラス固体電解質の製造と同時に、ガラス固体電解質を微粉末化できるという利点もある。
尚、MM法は室温に限定されず、特開2010−30889号公報に開示されているように、メカニカルミリング処理の際のミル内の温度を調整してもよい。メカニカルミリングの際に原料が60℃以上160℃以下になるようにすることが好ましい。
MM法の条件としては、例えば、遊星型ボールミル機を使用した場合、回転速度を数十〜数百回転/分とし、0.5時間〜100時間処理すればよい。
上記の他、特開2009−110920号公報及び特開2009−211950号公報に開示されているように、P2S5とLi2Sの混合物に有機溶媒を添加してスラリー状にし、このスラリーをメカニカルミリング処理してもよい。
具体的には、所定量のP2S5粒子とLi2S粒子を有機溶媒中で所定時間反応させることにより、硫化物系ガラス固体電解質が得られる。
反応温度は、好ましくは20℃以上80℃以下であり、より好ましくは20℃以上60℃以下である。また、反応時間は、好ましくは1時間以上16時間以下であり、より好ましくは2時間以上14時間以下である。
飽和炭化水素溶媒としては、ヘキサン、ペンタン、2−エチルヘキサン、ヘプタン、デカン、シクロヘキサン等が挙げられ;不飽和炭化水素溶媒としては、ヘキセン、ヘプテン、シクロヘキセン等が挙げられ、芳香族炭化水素溶媒としては、トルエン、キシレン、デカリン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン等が挙げられる。これら炭化水素系有機溶媒のうち、特にトルエン、キシレンが好ましい。
尚、必要に応じて炭化水素系有機溶媒に他の溶媒を添加してもよい。添加可能な他の溶媒は、具体的には、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エタノール、ブタノール等のアルコール類;酢酸エチル等のエステル類;ジクロロメタン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素等が挙げられる。
硫化物系固体電解質(ガラスセラミックス)の製造方法は、例えば特開2005−228570号公報、WO2007/066539、特開2002−109955号公報に開示されている。
熱処理温度が180℃未満の場合、結晶化度の高い結晶化ガラスが得られにくい場合があり、熱処理温度が330℃超の場合、結晶化度の低い結晶化ガラスが生じるおそれがある。
熱処理時間が0.1時間未満の場合、結晶化度の高い結晶化ガラスが得られにくい場合があり、熱処理時間が240時間超の場合、結晶化度の低い結晶化ガラスが生じるおそれがある。
加熱時の圧力は、常圧であってもよく、減圧下であってもよい。また、加熱雰囲気は、空気であってもよく、不活性雰囲気下であってもよい。
上記に加えて、加熱処理を特開2010−186744号公報に開示の溶媒中で実施してもよい。
固体電解質粒子の粒径は、好ましくは一次粒子径が0.01μm以上100μm以下であり、より好ましくは0.01μm以上20μm以下である。
まず、装置の分散槽に脱水処理されたトルエン(和光純薬製、製品名:特級)110mlを入れ、さらに分散剤として脱水処理されたターシャリーブチルアルコール(和光純薬製、特級)を6%添加する。この混合物を十分混合した後、「乾燥した固体電解質粒子」を添加して粒子径を測定する。乾燥した固体電解質粒子の添加量は、マスターサイザー2000で規定されている操作画面で、粒子濃度に対応するレーザー散乱強度が規定の範囲内(10〜20%)に収まるように加減して加える。この範囲を超えると多重散乱が発生し、正確な粒子径分布を求めることができなくなるおそれがある。また、この範囲より少ないとSN比が悪くなり、正確な測定ができないおそれがある。マスターサイザー2000では、乾燥した固体電解質粒子の添加量に基き、レーザー散乱強度が表示されるので、上記レーザー散乱強度に入る添加量を見つけるとよい。
乾燥した固体電解質粒子の添加量は、イオン伝導性物質の種類等により最適量は異なるが、概ね0.01g〜0.05g程度である。
電極が固体電解質を含む場合、電極中の固体電解質の含有量は、好ましくは固体電解質と本発明の複合電極材料の質量比が9:1〜1:99となるようにし、より好ましくは5:5〜1:99である。
固体電解質の量が多すぎると電気容量が小さくなるおそれがあり、電解質の量が少ないと(又は含まない)とイオン伝導性が低くなるおそれがある。
本発明の電極は、本発明の複合電極材料を通常の方法でプレス成形して、シート状の電極とする方法等により形成できる。好ましくは複合電極材料の固体イオン伝導性物質が、ガラス状固体電解質であり、ガラス転移温度以上の温度で加熱しながらプレスし、当該ガラス状固体電解質の一部又は全部を融着させるか、又はガラス状固体電解質の一部又は全部をガラスセラミック化して電極とする。
また、本発明の複合電極材料を集電体上に膜状に形成して電極とする方法が挙げられる。製膜方法としては、エアロゾルデポジション法、スクリーン印刷法、コールドスプレー法等が挙げられる。さらに、溶媒に分散又は一部を溶解させてスラリー状にして塗布する方法が挙げられる。必要に応じてバインダーを混合してもよい。
電極層として用いる場合は、電池設計に応じて、適宜に層厚みを選定すればよい。
本発明のリチウム電池は、正極層及び負極層の少なくとも一方が本発明の電極であり、例えば負極層、固体電解質層及び正極層がこの順に積層した積層体であればよく、さらに集電体を有してもよい。
本発明の電極ではない正極層は、例えば正極活物質及び固体電解質からなる正極合材により形成される。正極層は、さらに導電助剤及び/又は結着材を含んでもよい。正極活物質、固体電解質、及び導電助剤等は、複合電極材料と同様のものが使用できる。
本発明の電極ではない負極層は、例えば負極活物質及び固体電解質からなる負極合材により形成される。負極層は、さらに導電助剤及び/又は結着材を含んでもよい。負極活物質、固体電解質、及び導電助剤等は、複合電極材料と同様のものが使用できる。
固体電解質層の厚さは、好ましくは0.001mm以上1mm以下である。
[固体電解質の調製]
(1)硫化リチウムの製造
硫化リチウムを特開平7−330312号公報における第1の態様(2工程法)の方法に従って製造した。具体的には、撹拌翼のついた10リットルオートクレーブにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)3326.4g(33.6モル)及び水酸化リチウム287.4g(12モル)を仕込み、300rpm、130℃に昇温した。昇温後、液中に硫化水素を3リットル/分の供給速度で2時間吹き込んだ。続いてこの反応液を窒素気流下(200cc/分)昇温し、反応した水硫化リチウムを脱硫化水素化し硫化リチウムを得た。昇温するにつれ、硫化水素と水酸化リチウムの反応により副生した水が蒸発を始めたが、この水はコンデンサにより凝縮し系外に抜き出した。水を系外に留去すると共に反応液の温度は上昇するが、180℃に達した時点で昇温を停止し、一定温度に保持した。水硫化リチウムの脱硫化水素反応が終了後(約80分)に反応を終了し、硫化リチウムを得た。
得られた500mLのスラリー反応溶液(NMP−硫化リチウムスラリー)中のNMPをデカンテーションした後、脱水したNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌した。その温度のままNMPをデカンテーションした。さらにNMP100mLを加え、105℃で約1時間撹拌し、その温度のままNMPをデカンテーションし、同様の操作を合計4回繰り返した。デカンテーション終了後、窒素気流下230℃(NMPの沸点以上の温度)で硫化リチウムを常圧下で3時間乾燥し、精製硫化リチウムを得た。
得られた精製硫化リチウム中の不純物含有量をイオンクロマトグラフ法により測定したところ、亜硫酸リチウム(Li2SO3)、硫酸リチウム(Li2SO4)、チオ硫酸リチウム(Li2S2O3)の各硫黄酸化物の総含有量が0.13質量%であり、N−メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)の含有量は0.07質量%であった。
上記で製造した平均粒径30μm程度の精製Li2S2.54gと平均粒径50μm程度のP2S5(アルドリッチ社製)67.46gを10mmφアルミナボール175個が入った500mlアルミナ製容器に入れ密閉した。上記計量、密閉作業はすべてグローブボックス内で実施し、使用する器具類はすべて乾燥機で事前に水分除去して使用した。
この密閉したアルミナ容器を、遊星ボールミル(レッチェ社製PM400)にて室温下、36時間メカニカルミリング処理することで白黄色の固体電解質ガラス粒子を得た。このときの回収率は78%であった。
得られた固体電解質ガラス粒子のX線回折測定(CuKα:λ=1.5418Å)を行なった結果、原料Li2Sのピークは観測されず、固体電解質ガラスに起因するハローパターンであった。
得られた固体電解質ガラスセラミック粒子について、X線回折測定を実施したところ、2θ=17.8、18.2、19.8、21.8、23.8、25.9、29.5、30.0degにピークが観測された。このことから、得られた固体電解質ガラスセラミック粒子は、Li7P3S11結晶ができていることが分かる。
また、この固体電解質ガラスセラミック粒子の伝導度を評価したところ、伝導度は1.3×10−3S/cmであった。
[正極合材の製造]
硫黄(アルドリッチ製、純度99.998%)7.63gとケッチェンブラック(EC600JD、ライオン社製、平均細孔直径:12.7nm、BET比表面積:1365m2/g)2.37gを遊星ボールミルで15分間混合した。この硫黄ケッチェンブラックの混合物をステンレス容器に入れ、150℃で6時間熱処理し、さらに300℃で2時間45分間熱処理を行い、室温に冷却して、硫黄導電助剤複合体を得た。
上記電解質複合体について、X線回折(XRD)を実施した。結果を図1に示す。図1から、ミリングなしであっても、カーボン存在下でLi2SとP2S5から電解質が合成されていることが確認できる。
尚、XRD分析は下記条件で実施した。
測定装置:リガクSmartlab
管電圧:45kV
管電流:200mA
スリット:soller slit 5.0°
スキャンスピード(2θ/θ):2°/min
ステップ幅(2θ/θ):0.02°
線源:CuKα:λ=1.5418Å
ミリング後の正極合材について、TEM(透過電子顕微鏡)により複合化の状態を観察し、TEM−EDS分析により元素分析を実施した。TEM写真を図2、TEM−EDS分析の結果を図3に示す。図3から、正極合材は、S、P及びC元素がどの点でも観察され、ほぼ均一である状態であることが確認できた。
正極層に製造した正極合材、電解質層に製造例で製造した固体電解質ガラスセラミック粒子、負極にIn/Li箔を用いて全固体リチウム電池を作製した。
製造例で作製した固体電解質ガラスセラミック50mgを計量し、Φ10mmの円筒状に成形し固体電解質層を形成した。円筒状の固体電解質層の一方の面に、作製した正極合材7.9mgを配置し、同様に円筒状に正極層を成形した。固体電解質層の正極合材を形成したもう一方の反対側に、Φ10mm厚さ0.1mmtのIn箔を配置し、次いでΦ10mm厚さ0.1mmtのLi箔を配置し、さらにIn箔、Li箔、In箔を繰り返し負極層とし、正極層−電解質層−負極層の全固体リチウム電池を作製した。
製造した電池について、その容量を評価したところ、電池の初期充電容量は766mAh/g(S)であり、0.1C放電容量は321mAh/g(S)であった。
[正極合材の製造]
硫黄(アルドリッチ製、純度99.998%)7.74gとケッチェンブラック(EC600JD、ライオン社製、平均細孔直径:12.7nm、BET比表面積:1365m2/g)2.26gを遊星ボールミルで15分間混合した。この硫黄ケッチェンブラックの混合物をステンレス容器に入れ、150℃で6時間熱処理し、さらに300℃で2時間45分間熱処理を行い、室温に冷却して、硫黄導電助剤複合体を得た。
得られた正極硫化リチウム導電助剤の電解質複合体をさらに遊星ボールミルで5時間ミリングし、正極合材を製造した。
正極層に製造した複合正極、電解質層に製造例で製造した固体電解質ガラスセラミック粒子、負極にIn/Li合金を用いて全固体リチウム電池を作製した。
製造例で作製した固体電解質ガラスセラミック50mgを計量し、Φ10mmの円筒状に成形し固体電解質層を形成した。円筒状の固体電解質層の一方の面に、作製した正極合材8.7mgを配置し、同様に円筒状に正極層を成形した。固体電解質層の正極合材を形成したもう一方の反対側に、Φ10mm厚さ0.1mmtのIn箔を配置し、次いでΦ10mm厚さ0.1mmtのLi箔を配置し、さらにIn箔、Li箔、In箔を繰り返し負極層とし、正極層−電解質層−負極層の全固体リチウム電池を作製した。
製造した電池について、その容量を評価したところ、電池の初期充電容量は1247mAh/g(S)、0.1C放電容量は687mAh/g(S)であった。
Claims (13)
- 活物質、導電物質及び固体イオン伝導性物質とが複合化している複合電極材料。
- 前記活物質の表面に前記固体イオン伝導性物質が複合化している請求項1に記載の複合電極材料。
- 前記活物質の表面の一部に前記固体イオン伝導性物質が複合化している請求項1又は2に記載の複合電極材料。
- 表面の一部が、前記固体イオン伝導性物質、及び前記導電物質である請求項1〜3のいずれかに記載の複合電極材料。
- 前記活物質がS原子を含む請求項1〜4のいずれかに記載の複合電極材料。
- 前記固体イオン伝導性物質がLi原子及びS原子を含む固体電解質である請求項1〜5のいずれかに記載の複合電極材料。
- 導電物質と活物質を複合化した複合材料、及び前記活物質と反応することにより固体イオン伝導性物質を合成できる物質とを反応させる複合電極材料の製造方法。
- S原子を含む活物質と導電物質とを複合化した複合材料と、P、B、Zn、Si、Cu、Ga及びGeから選択される1以上の元素とSを含む化合物と、を反応させる、
P、B、Zn、Si、Cu、Ga及びGeから選択される1以上の元素とアルカリ金属とSとを含む固体イオン伝導性物質と、S原子を含む活物質と、導電物質と、を複合化させた複合電極材料の製造方法。 - 請求項8に記載の製造方法により製造された複合電極材料。
- 請求項1〜6及び9のいずれかに記載の複合電極材料を含む電極。
- 請求項1〜6及び9のいずれかに記載の複合電極材料を用いて製造された電極。
- 請求項10又は11に記載の電極を備えるリチウム電池。
- 請求項12に記載のリチウム電池を備える装置。
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