JP2013076073A - ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法 - Google Patents

ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】原材料の変更や高額な設備投資を必要とせずに、簡便な手法で、吸水性樹脂の物性(例えば通液性)を向上および安定させる方法を提供する。
【解決手段】アクリル酸(塩)水溶液を重合して含水ゲル状架橋重合体を得る重合工程と、上記含水ゲル状架橋重合体を乾燥して吸水性樹脂乾燥物を得る乾燥工程と、上記吸水性樹脂乾燥物を分級して吸水性樹脂粒子を得る分級工程と、上記分級工程の前及び/又は後に、吸水性樹脂粒子を表面架橋する表面架橋工程とを順次含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の連続製造方法であって、上記乾燥工程以降の1以上の工程において、各工程で使用される装置に対して、吸水性樹脂との接触面を水洗する、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の連続製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法に関する。更に詳しくは、吸水性樹脂の連続製造装置を一定期間毎に水洗を行うことで、高物性の吸水性樹脂を安定的に連続生産することができる、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法に関する。
吸水性樹脂(SAP/Super Absorbent Polymer)は、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤であり、紙オムツ、生理用ナプキン等の吸収物品、農園芸用保水剤、工業用止水材等として、主に使い捨て用途に多用されている。このような吸水性樹脂としては、原料として多くの単量体や親水性高分子を用いたものが提案されている。中でも、特に、アクリル酸及び/又はその塩を単量体として用いたポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂がその吸水性能の高さから工業的に最も多く用いられている。
かかる吸水性樹脂は、重合工程、乾燥工程、粉砕工程、分級工程、表面架橋工程等を経て製造される(特許文献1〜3)。主用途である紙オムツの高性能化に伴い、吸水性樹脂も多くの機能を求められている。具体的には、単なる吸水倍率の高さに限らず、ゲル強度、水可溶成分(特許文献4)、吸水速度、加圧下吸水倍率(特許文献5)、通液性、粒度分布、耐尿性、抗菌性、耐衝撃性、粉体流動性、消臭性、耐着色性、低粉塵等、多くの物性が吸水性樹脂に求められている。そのため、表面架橋技術、添加剤、製造工程の変更等、数多くの提案が、特許文献1〜23以外にもなされている。
近年、紙オムツ中での吸水性樹脂の使用量が増加(例えば、50重量%以上)するのに従い、通液性はより重要な因子と見られるようになっている。そして、SFC(Saline Flow Conductivity/特許文献6)やGBP(Gel Bed Permeability/特許文献7〜9)等の荷重下通液性や無荷重下通液性の改善方法や改良技術が多く提案されている。
また、かかる上記物性において、通液性を含めた複数のパラメーターの組み合わせも多く提案され、耐衝撃性(FI)を規定する技術(特許文献10)、吸水速度(FSR/Vortex)等を規定する技術(特許文献11)、液体拡散性能(SFC)及び60分後の芯吸収量(DA60)の積を規定する技術(特許文献12)が知られている。
更に、SFCやGBP等の通液性の向上方法として、重合前または重合中に石膏を添加する技術(特許文献13)、スペーサーを添加する技術(特許文献14)、5〜17[モル/kg]のプロトン化可能な窒素原子を有する窒素含有ポリマーを使用する技術(特許文献15)、ポリアミン及び多価金属イオン又は多価陰イオンを使用する技術(特許文献16)、pH6未満の吸水性樹脂をポリアミンで被覆する技術(特許文献17)、ポリアンモニウムカーボネートを使用する技術(特許文献18)が知られている。この他、可溶分3重量%以上でポリアミンを使用する技術、吸い上げ指数(WI)やゲル強度を規定する技術(特許文献19〜21)が知られている。また、着色及び通液性を改善するために、重合時の重合禁止剤であるメトキシフェノールを制御した上で多価金属塩を使用する技術(特許文献22、23)も知られている。また、分級工程に着目した技術として除電を行う技術(特許文献24)も知られている。また、分級工程に着目した通液性の向上技術(特許文献25、26)も知られている。
また、通液性以外の物性として、吸水速度(例えば、FSRやVortex)も着目され、吸水速度の向上方法として発泡重合(後述)も提案されている。しかしながら、一般に吸水速度と通液性の両立は困難であった。更に、吸水性樹脂の粒子形状として、不定形状以外に、球状の吸水性樹脂も知られている。当該球状の吸水性樹脂は、その形状に由来して製造上の困難性を有するものである(後述)。また、通液性の向上方法として、液滴重合(後述)が提案されているものの、液滴重合で得られる粒子の形状が、球状となるため、通液性の向上には困難を伴うものであった。
米国特許第6727345号明細書 米国特許第7193006号明細書 米国特許第6716894号明細書 米国再発行特許発明第32649号明細書 米国特許第5149335号明細書 米国特許第5562646号明細書 米国特許出願公開第2005/0256469号明細書 米国特許第7169843号明細書 米国特許第7173086号明細書 米国特許第6414214号明細書 米国特許第6849665号明細書 米国特許出願公開第2008/0125533号明細書 米国特許出願公開第2007/0293617号明細書 米国特許出願公開第2002/0128618号明細書 米国特許出願公開第2005/0245684号明細書 国際公開第2006/082197号 米国特許出願公開第2008/202987号明細書 国際公開第2006/082189号 国際公開第2008/025652号 国際公開第2008/025656号 国際公開第2008/025655号 米国特許出願公開第2010/041550号明細書 米国特許出願公開第2010/042612号明細書 米国特許出願公開第2011/116300号明細書 国際公開第2011/115216号 国際公開第2011/115221号
上記特許文献1〜26等、吸水性樹脂の物性向上のために、多くの表面架橋技術、添加剤、製造工程の変更が提案されている。
しかし、表面架橋剤や添加剤(ポリアミンポリマー、無機微粒子、熱可塑性ポリマー)等、吸水性樹脂の原料の変更や追加は、原料の安全性の低下やコストアップだけでなく、他の物性の低下を引き起こすことがあった。また、新たな製造工程の追加は、高額な設備投資やそのエネルギーによるコストアップの要因となるのみならず、工業的には複雑な運転を必要とし、かえって生産性や物性の低下を引き起こすことがあった。
そこで、本発明は、上記問題点を改善するために、原料の変更や高額な設備投資を必要とせずに、簡便な手法で、吸水性樹脂の物性(例えば通液性)を向上および安定させる方法を提供することを目的とする。上記問題点は、高吸水速度タイプの吸水性樹脂や球状の吸水性樹脂で、代表的には逆相懸濁重合や液滴重合で得られる球状の吸水性樹脂で、顕著にみられる傾向にある。従って、本発明は上述した吸水性樹脂の製造に好ましく適用される。
本発明者らは、吸水性樹脂の生産、特に連続生産、更には1[t/hr]以上の連続生産において、上記特許文献1〜26、特に特許文献25、26の手法を採用しても徐々に物性低下が見られることから、その原因について探求したところ、連続操業になんら問題はなくても、乾燥工程以降の製造装置における吸水性樹脂との接触面において、吸水性樹脂粉末または吸水性樹脂微粉と水との混合物からなる凝集物が少量付着又は薄い皮膜を形成することによって、装置本来の能力が低下することを見出した。更に、当該凝集物の除去方法として、水洗以外の洗浄方法では物性の回復が不十分であることを見出した。そこで、乾燥工程以降の製造装置における吸水性樹脂との接触面の水洗を行うことで、かかる問題と原因を解決した。
即ち、上記課題を解決するために、本発明は、アクリル酸(塩)水溶液を重合して含水ゲル状架橋重合体を得る重合工程と、上記含水ゲル状架橋重合体を乾燥して吸水性樹脂乾燥物を得る乾燥工程と、上記吸水性樹脂乾燥物を分級して吸水性樹脂粒子を得る分級工程と、上記分級工程の前及び/又は後に、吸水性樹脂粒子を表面架橋する表面架橋工程とを順次含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の連続製造方法であって、上記乾燥工程以降の1以上の工程において、各工程で使用される装置に対して、吸水性樹脂との接触面を水洗する、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の連続製造方法を提供する。
また、上記発明と同一の思想を有する第2の発明は、アクリル酸(塩)水溶液を重合して含水ゲル状架橋重合体を得る重合工程と、上記含水ゲル状架橋重合体を乾燥して吸水性樹脂乾燥物を得る乾燥工程と、上記吸水性樹脂乾燥物を分級して吸水性樹脂粒子を得る分級工程と、上記分級工程の前及び/又は後に、吸水性樹脂粒子を表面架橋する表面架橋工程とを順次含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の連続製造方法であって、上記吸水性樹脂の吸水速度(FSR)が0.30[g/g/s]以上であり、上記乾燥工程以降の1以上の工程において、各工程で使用される装置に対して、吸水性樹脂との接触面を水洗する、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の連続製造方法を提供する。
また、上記発明と同一の思想を有する第3の発明は、アクリル酸(塩)水溶液を重合して含水ゲル状架橋重合体を得る重合工程と、上記含水ゲル状架橋重合体を乾燥して吸水性樹脂乾燥物を得る乾燥工程と、上記吸水性樹脂乾燥物を分級して吸水性樹脂粒子を得る分級工程と、上記分級工程の前及び/又は後に、吸水性樹脂粒子を表面架橋する表面架橋工程とを順次含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の連続製造方法であって、上記吸水性樹脂が球状、またはその造粒物であり、上記乾燥工程以降の1以上の工程において、各工程で使用される装置に対して、吸水性樹脂との接触面を水洗する、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の連続製造方法を提供する。
本発明によれば、重合工程、乾燥工程、分級工程及び表面架橋工程を含む吸水性樹脂の製造方法において、表面架橋後の物性(例えば、通液性)を高く維持することができる。
図1は、本発明の吸水性樹脂を得るための連続製造工程を模式的に表したフロー図である。
以下、本発明に係るポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の連続製造方法について詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらの説明に拘束されることなく、以下の例示以外についても、本発明の趣旨を損なわない範囲で適宜変更、実施し得る。具体的には、本発明は下記の各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
〔1〕用語の定義
(1−1)「吸水性樹脂」及び「吸水性樹脂粉末」
本発明における「吸水性樹脂」とは、水膨潤性水不溶性の高分子ゲル化剤を意味する。「水膨潤性」とは、ERT441.2−02で規定されるCRC(無加圧下吸水倍率)が必須に5[g/g]以上であることをいい、好ましくは10〜100[g/g]、より好ましくは20〜80[g/g]である。また、「水不溶性」とは、ERT470.2−02で規定されるExt(水可溶分)が必須に50重量%以下(下限:0重量%)であることをいい、好ましくは30重量%以下、より好ましくは20重量%以下、更に好ましくは10重量%以下である。
また、「吸水性樹脂粉末」とは、粉体として一定の流動性を有する吸水性樹脂のことをいい、例えば、ERT450.2−02で規定されるFlow Rate(流下速度)が測定可能な吸水性樹脂、或いはERT420.2−02で規定されるPSD(粒度分布)で篩分級が可能な吸水性樹脂のことをいう。具体的には、篩分級で規定される粒子径5mm以下の吸水性樹脂を意味する。
上記吸水性樹脂は、その用途に応じて適宜設計が可能であり、特に限定されるものではないが、カルボキシル基を有する不飽和単量体を架橋重合させた親水性架橋重合体であることが好ましい。また、全量(100重量%)が重合体である形態に限定されず、上記性能を維持する範囲において、添加剤等を含んでもよい。即ち、吸水性樹脂及び添加剤を含んだ吸水性樹脂組成物であっても、本発明では吸水性樹脂と総称する。
なお、吸水性樹脂が吸水性樹脂組成物である場合、吸水性樹脂(ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂)の含有量は70〜99.9重量%が好ましく、80〜99.7重量%がより好ましく、90〜99.5重量%が更に好ましい。吸水性樹脂以外のその他の成分として、吸水速度や粉末(粒子)の耐衝撃性の観点から水が好ましく、必要により後述の添加剤が含まれる。
(1−2)「連続製造方法」
本発明の連続製造方法における「連続」とは、本発明に係る製造工程(例えば、重合工程、乾燥工程、分級工程、表面架橋工程)を、1日以上、連続して行い、吸水性樹脂を製造することを意味するが、すべての製造工程が連続である必要はなく、バッチを繰り返し行う場合(バッチ連続)や一部の製造工程のみを停止する場合も、本発明の「連続」に該当する。更に、バッチ期間中に休止期間(例えば、装置の冷却)等を設置してもよく、バッチの場合も含めて、全工程区間の50%以上が稼働していることが好ましい。
本発明における製造期間としては、好ましくは30日以上、より好ましくは50日以上、特に好ましくは100日以上、実質的に連続して行い、吸水性樹脂を製造する。なお、製造期間の上限は、長いことが好ましいため特に制限されないが、365日以下が好ましく、300日以下がより好ましく、200日以下が特に好ましい。
(1−3)「ポリアクリル酸(塩)」
本発明における「ポリアクリル酸(塩)」とは、任意にグラフト成分を含み、繰り返し単位としてアクリル酸及び/又はその塩(以下、「アクリル酸(塩)」と称する)を主成分とする重合体を意味する。具体的には、架橋剤を除く単量体として、アクリル酸(塩)を必須に50〜100モル%、好ましくは70〜100モル%、より好ましくは90〜100モル%、更に好ましくは実質100モル%含む重合体を意味する。重合体としての塩は、必須に水溶性塩を含み、好ましくは一価塩、より好ましくはアルカリ金属塩又はアンモニウム塩、更に好ましくはアルカリ金属塩、特に好ましくはナトリウム塩である。なお、形状は特に問わないが、粒子状又は粉体状が好ましい。
(1−4)「EDANA」及び「ERT」
「EDANA」は欧州不織布工業会(European Disposables and Nonwovens Associations)の略称であり、「ERT」は欧州標準(ほぼ世界標準)である吸水性樹脂の測定法(ERT/EDANA Recommended Test Method)の略称である。なお、本発明においては、特に断りのない限り、ERT原本(公知文献:2002年改定)に準拠して、吸水性樹脂の物性を測定する。
(a)「CRC」(ERT441.2−02)
「CRC」は、Centrifuge Retention Capacity(遠心分離機保持容量)の略称であり、無加圧下吸水倍率(以下、「吸水倍率」と称することもある)を意味する。具体的には、不織布中の吸水性樹脂0.2gを大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に対して30分間の自由膨潤させた後、更に遠心分離機で水切りした後の吸水倍率(単位;[g/g])である。
(b)「AAP」(ERT442.2−02)
「AAP」は、Absorption Against Pressureの略称であり、加圧下吸水倍率を意味する。具体的には、0.9gの吸水性樹脂を、大過剰の0.9重量%塩化ナトリウム水溶液に対して、1時間、2.06kPa(0.3psi,21[g/cm])の荷重下で膨潤させた後の吸水倍率(単位;[g/g])である。なお、ERT442.2−02では、Absorption Under Pressureと表記されているが、実質的にはAAPと同一内容である。また、本発明においては、荷重条件を4.83kPa(0.7psi,50[g/cm])に変更して測定した。
(c)「Ext」(ERT470.2−02)
「Ext」は、Extractablesの略称であり、水可溶分(水可溶成分量)を意味する。具体的には、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200mlに、吸水性樹脂1.0gを添加して、500rpmで16時間攪拌した後、溶解したポリマー量をpH滴定で測定した値(単位;重量%)である。
(d)「Residual Monomers」(ERT410.2−02)
「Residual Monomers」は、吸水性樹脂中に残存するモノマー量を意味する。具体的には、0.9重量%塩化ナトリウム水溶液200mlに、吸水性樹脂1.0gを添加して、500rpmで1時間攪拌した後、溶解した残存モノマー量を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で測定した値(単位;ppm)である。
(e)「PSD」(ERT420.2−02)
「PSD」は、Particle Size Distributionの略称であり、篩分級により測定される粒度分布を意味する。なお、重量平均粒子径(D50)及び粒子径分布とその幅(対数標準偏差σζ)は、欧州公告特許第1594556号「(1)Average Particle Diameter and Distribution of particle Diameter」に記載された方法により測定される。また、粒子状の含水ゲル状架橋重合体の粒子径を測定する場合には、特開2000−063527号公報に開示された方法に準じて測定する。
(f)その他、EDANAで規定される物性
「pH」(ERT400.2−02);吸水性樹脂のpHを意味する。
「Moisture Content」(ERT430.2−02);吸水性樹脂の含水率を意味する。
「Flow Rate」(ERT450.2−02);吸水性樹脂の流下速度を意味する。
「Density」(ERT460.2−02);吸水性樹脂の嵩比重を意味する。
「Respirable Particles」(ERT480.2−02):吸水性樹脂の呼吸域粉塵を意味する。
「Dust」(ERT490.2−02):吸水性樹脂中に含まれる粉塵を意味する。
(1−5)「通液性」
本発明における「通液性」とは、荷重下又は無荷重下での膨潤ゲルの粒子間を通過する液の流れ性のことをいい、代表的な測定方法として、SFC(Saline Flow Conductivity/生理食塩水流れ誘導性)や、GBP(Gel Bed Permeability/ゲル床透過性)がある。
「SFC(生理食塩水流れ誘導性)」は、荷重2.06kPa(0.3psi)での吸水性樹脂0.9gに対する0.69重量%塩化ナトリウム水溶液の通液性をいい、米国特許第5669894号に開示されたSFC試験方法に準拠して測定される。また、「GBP(ゲル床透過性)」は、荷重下又は自由膨張での吸水性樹脂に対する0.69重量%塩化ナトリウム水溶液の通液性をいい、国際公開第2005/016393号に開示されたGBP試験方法に準拠して測定される。
(1−6)その他
本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は「X以上、Y以下」を意味する。また、重量の単位である「t(トン)」は、「Metric ton(メトリック トン)」を意味し、特に注釈のない限り、「ppm」は「重量ppm」又は「質量ppm」を意味する。更に、「重量」と「質量」、「重量%」と「質量%」、「重量部」と「質量部」は同義語として扱う。また、「〜酸(塩)」は「〜酸及び/又はその塩」を、「(メタ)アクリル」は「アクリル及び/又はメタクリル」をそれぞれ意味する。さらに、物性等の測定に関しては、特に注釈のない限り、室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%で測定する。
〔2〕ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂製造装置の水洗方法
(2−1)水洗
本発明は、アクリル酸(塩)水溶液を重合して含水ゲル状架橋重合体を得る重合工程と、上記含水ゲル状架橋重合体を乾燥して吸水性樹脂乾燥物を得る乾燥工程と、上記吸水性樹脂乾燥物を分級して吸水性樹脂粒子を得る分級工程と、上記分級工程の前及び/又は後に、吸水性樹脂粒子を表面架橋する表面架橋工程とを順次含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の連続製造方法であって、上記乾燥工程以降の1以上の工程において、各工程で使用される装置に対して、吸水性樹脂との接触面を水洗する、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の連続製造方法を提供する。以下、本発明の水洗について、詳細に説明する。
本発明は、乾燥工程以降の連続製造装置における吸水性樹脂との接触面を水洗することに特徴を有する。本発明における「水洗」は、吸水性樹脂の製造と同時に連続的に行っても、一定期間毎に断続的に行ってもよいが、好ましくは一定期間毎に断続的に行われる。なお、水洗をしない場合や水洗以外の洗浄では、物性(特に通液性や微粉量)の経時的低下や洗浄後の回復が不十分な場合があるため、好ましくない。
水洗で除去される物質としては、典型的には吸水性樹脂粉末(代表的には目開き1000μmのJIS標準篩通過物)、特に吸水性樹脂微粉(代表的には目開き150μmのJIS標準篩通過物)、またはこれらの凝集物、あるいは吸水性樹脂粉末や吸水性樹脂微粉と水との混合物からなる凝集物が、吸水性樹脂の製造装置に付着したものである。なお、上記凝集物は、吸水性樹脂に水や水溶液を添加する工程や装置内の結露水によって生じるものである。
本発明者らは、吸水性樹脂の生産、特に連続生産、更には1[t/hr]以上の連続生産において、上記特許文献1〜26の手法を採用しても徐々に物性低下が見られることから、その原因について探求したところ、乾燥工程以降の製造装置における吸水性樹脂との接触面において、吸水性樹脂粉末または微粉と水との混合物からなる凝集物が少量付着することによって、装置本来の性能が低下することを見出した。更に、当該凝集物の除去方法として、水洗以外の洗浄方法では物性の回復が不十分であることを見出した。
このように、本発明の連続製造方法は、巨大スケールの製造において好適に制御できる。この観点から、本発明では、1ラインあたり吸水性樹脂の生産量は1[t/hr]以上が好ましく、1.5[t/hr]以上がより好ましく、2[t/hr]以上が更に好ましく、3[t/hr]以上が特に好ましい。上記生産量の上限については、特に限定されず、例えば、10[t/hr]等、適宜決定することができる。尚、1ラインとは、上記吸水性樹脂の一連の製造工程を指し、工程が分岐する場合には表面架橋工程(1装置)での処理量で規定する。
(水洗の周期)
一定期間毎に断続的に水洗を行う場合、水洗の周期としては、特に制限はなく、12時間毎、1日毎、10日毎、30日毎、40日毎、45日毎、60日毎、75日毎、120日毎、150日毎等、適宜選択することができる。また、上限としては、1年に1回行われる、製造装置の大掛かりなメンテナンスが該当するが、生産量や製造品番等によって、300日毎、200日毎等、適宜決定してもよい。
従って、本発明における水洗の周期は、予め上記周期で決定してもよいが、得られる吸水性樹脂の物性を確認しつつ、物性の低下または変化によって決定することが好ましい。当該物性の低下または変化は、〔4〕に後述する諸物性、特に加圧下吸水倍率(例えば、AAP)、通液性(例えば、SFC)、粒度分布(特に微粉量、更には目開き150μmJIS標準篩通過物)等で決定され、代表的には粒度分布又は通液性で決定されうる。好ましくは、粒度(粒度分布)変化又は通液性変化によって、水洗の実施時期を決定する。更に具体的には、分級工程後の粒度(粒度分布)変化又は通液性変化によって、分級工程における水洗の周期が決定される。
水洗の期間中は、水洗される製造装置を一時的に停止してもよく、予備機と交換して吸水性樹脂の製造を継続してもよい。また、水洗は、装置のそのままで行ってもよく、或いはオーバーホール時等、装置の一部又は全部を分解して行ってもよい。なお、連続生産中は、実質的に同じ製造条件で同一の吸水性樹脂を生産してもよいし、製造条件を変更して異なる吸水性樹脂を生産してもよい。
(洗浄水)
本発明の水洗で使用される水(以下、「洗浄水」と称する場合もある)としては、水単独(水100重量%)に限らず、洗浄効果を高めるため、少量の溶媒や添加剤を含有してもよく、水の含有率としては90重量%以上が好ましく、95重量%以上がより好ましく、99重量%以上が更に好ましく、99.9重量%以上が特に好ましく、実質100重量%が最も好ましい。なお、水は、工業用純水、水道水、地下水、蒸留水、イオン交換水、雨水等から適宜選択することができる。これらのうち、工業用純水、水道水が好ましく使用され、工業用純水がより好ましく使用される。
上記添加剤(溶媒)としては、特に限定されないが例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン等の水溶性有機溶媒、更に好ましくは沸点が30〜100℃の低沸点水溶性有機溶媒;塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩;塩化カルシウム、塩化マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;硫酸アルミニウム等の3価以上の多価金属塩;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム等の塩基;各種の界面活性剤;ビルダー等が挙げられる。これらの無機塩及び/又はアルカリ性水溶液を併用してもよいが、費用対効果及び吸水性樹脂へのコンタミ等の観点から上述した範囲内の水が使用される。
(洗浄水の温度)
本発明の水洗で使用される洗浄水の形態としては、特に限定されず、気体または液体の水を使用することができるが、液体の水が特に好ましい。洗浄水の温度としては、凝固点を超えて沸点までの範囲内で適宜決定されるが、洗浄効果の観点から、温水が好ましい。具体的には、温水の温度は、室温(20〜25℃)を超えて沸点までが好ましく、30〜100℃がより好ましく、35〜100℃が更に好ましく、40〜95℃が特に好ましく、45〜90℃が最も好ましい。また、気体の水として水蒸気を使用する場合、その温度としては500℃以下が好ましく、300℃以下がより好ましく、200℃以下の常圧加熱水蒸気が更に好ましい。上記洗浄水の温度が低い場合、洗浄効果が劣るため好ましくない。一方、洗浄水の温度が高い場合、エネルギーや沸点上昇の手段(加圧や添加剤の使用)に見合った効果が得られず、水洗時の作業性悪化や火傷等の危険性があるため好ましくない。
(水洗時の圧力)
本発明の水洗は、常圧下でも加圧下でも減圧下でも行うことができ、特に限定されない。液体の水を使用する場合、圧力や上記添加剤によって、水の沸点(液体の水での最高温度)を100℃から上昇或いは下降させてもよいが、費用対効果の観点から、常圧或いはその前後±5%、更には±1%(日常の気圧変化の範囲内)の圧力下で行うことが好ましい。
(水洗の方法)
本発明における吸水性樹脂の連続製造装置を水洗する方法は、特に限定されず、吸水性樹脂の製造を継続しながら水洗をしてもよいし、吸水性樹脂の製造を一時的又は周期的に停止して水洗をしてもよい。吸水性樹脂の製造を継続しながら水洗する方法としては、当該製造装置に水流を連続的に噴射する方法、連続的に乾燥しながら水流を噴射する方法等が挙げられる。また、吸水性樹脂の製造を一時的又は周期的に停止して水洗する方法としては、定期的に当該装置を停止して、装置の一部又は全部を水洗する方法等が挙げられる。また、水洗の方法としては、特に限定されず、製造装置に直接、水を噴射、シャワー、浸漬、水拭き、水ブラシ等が挙げられ、これらの方法を併用してもよいし、複数回繰り返してもよいが、乾燥工程以降の製造装置における吸水性樹脂との接触面を、水への浸漬或いは水の噴射による水洗を行うことが好ましい。
また、水洗を行う箇所は1箇所でもよいが、好ましくは複数箇所、特に分級工程での分級装置(特に金属篩)または表面架橋工程で使用される装置を含んで他の製造装置で水洗を行うことが好ましい。すなわち、水洗を、少なくとも分級工程または表面架橋工程で行うことが好ましく、少なくとも分級工程で行うことがより好ましい。
(浸漬)
本発明において「浸漬」とは、大過剰の水(洗浄水)に、製造装置の全部又はその一部や分解物を浸して、デッドスペース等物理的な除去が困難な場所に付着した吸水性樹脂を膨潤させて除去し易くする方法を意味する。
また、吸水性樹脂の反応、充填、貯蔵等が行われる装置(例えば、ホッパー、配管、加熱処理装置、冷却装置等)の内部に、水を「充填」して洗浄する場合も、本発明では「浸漬」に分類するが、必要により、「水の注入、充填」と称する場合もある。つまり、本発明の水洗は、装置の水への浸漬あるいは装置内部への水の注入(充填)で行われ、総称して水の浸漬で行われる。
本発明における浸漬時間としては、特に限定されないが、1分間〜10日間が好ましく、1時間〜5日間がより好ましく、1時間〜3日間が更に好ましい。上記範囲内で適宜決定される。
また、浸漬中の洗浄水は、静的(無攪拌)でも動的(水流等を含む攪拌)でもよい。浸漬後の洗浄水は、適宜交換或いは一部交換(オーバーフロー)してもよく、または複数回再利用してもよい。
(加圧水流)
本発明の水洗で用いられる洗浄水は加圧して用いてもよい(以下、「加圧水流」と称する)。その場合の加圧度としては、超高圧(ゲージ圧500[kg/cm]以上)の加圧水流でもよいが、洗浄効果の観点から好ましくはゲージ圧1〜400[kg/cm]、より好ましくはゲージ圧5〜200[kg/cm]程度の加圧水流でもよい。従って、超高圧水流を得るための高価な設備を必要としない。上記ゲージ圧は、水洗対象の製造装置の構造に応じて適宜選択できる。例えば、水洗対象の製造装置が繊細なまたは強度の低い構造を有する装置(例えば、篩)である場合には、200[kg/cm]以下のゲージ圧で水洗を行うことが好ましい。これにより、装置の変形、破損を防ぐことができる。一方、水洗対象の製造装置が強度の高い装置(例えば、パドルドライヤー、粉砕装置)である場合には、より高いゲージ圧(例えば、400[kg/cm]以下)で水洗を行ってもよい。また、上記加圧水流を噴射する際に、平ノズル、回転ノズル又は押込式ノズルを利用することができる。
なお、加圧水流を発生させる装置としては、特に限定されず、市販の装置を利用することができる。具体的には、(株)スギノマシン製高圧洗浄装置、東京いすず自動車(株)製定置型超高圧洗浄ユニット、(株)KIT製自動高圧洗浄システム、URACA(株)製クリーニングシステム、ケルヒャージャパン(株)温水高圧洗浄機等を挙げることができる。水洗対象の製造装置によって、適切な設備を選択することができる。
(水洗対象の製造装置)
本発明における水洗は、乾燥工程以降の吸水性樹脂の製造装置、特に粉砕工程以降の製造装置に対して行われる。洗浄効果の観点から、好ましくは加熱して運転する製造装置、より好ましくは35〜150℃、更に好ましくは40〜100℃で運転する製造装置に対して水洗が行われる。上記温度範囲で運転する製造装置では、吸水性樹脂から0.数〜数重量%の水分が揮発して凝集し、この水分が吸水性樹脂粉末或いは吸水性樹脂微粉との凝集物をつくり、これが製造装置の内面やデッドスペースに付着する可能性が高い。一方、100℃、更には150℃を超える高温に加熱する製造装置の場合、水が蒸発し系外に放出されるため、かかる問題は少ない。また、35℃未満、更には40℃未満で運転する製造装置の場合、運転の安定性に欠けるため、好ましくない。
または、攪拌又は振動する装置に対して、水洗が行われることが好ましい。攪拌又は振動する装置の内面やデッドスペースに、吸水性樹脂粉末或いは吸水性樹脂微粉との凝集物が付着しやすい。このため、このような装置に対して水洗を行うことによって、本発明による効果(吸水性樹脂の物性、特に通液性、の向上や安定)を有効に達成できる。ここで、攪拌又は振動する装置は、特に限定されないが、吸水性樹脂に水又は水溶液を混合する混合工程で使用される混合装置;または分級工程で使用される分級装置であることが好ましい。ここで、上記混合装置としては、下記「(d)混合工程(表面架橋工程)での混合装置」の項に記載される混合装置等が挙げられる。また、上記分級装置としては、下記分級装置(特に振動式)、下記「(3−2)乾燥工程」の項に記載される乾燥機(特に撹拌または振動式)、下記「(b)加熱処理工程(表面架橋工程)での加熱処理装置」の項に記載される加熱処理装置等が挙げられる。
また、水洗対象の製造装置は、吸水性樹脂との接触面が樹脂コートされていてもよいが、好ましくはステンレス製(材質;SUS304等)であり、その表面粗さ(Rz)が好ましくは150nm以下、より好ましくは100nm以下、更に好ましくは50nm以下に平滑化される。また、表面粗さ(Rz)の下限値としては0nmが好ましいが、10nm程度でも大差はなく、20nm程度でも充分である。なお、表面粗さ(Rz)は、表面の凹凸の最大高さ(nm)の最大値を意味する。その他の表面粗さ(Ra)もJIS B 0601−2001で規定される。以下、水洗対象の製造装置について、説明する。なお、各工程の運転条件等については、〔3〕にて後述する。
以下では、本発明に係る水洗工程を行うことが好ましい工程について説明する。なお、本発明は下記工程に限定されるものではない。
(a)乾燥工程での乾燥装置
本発明の水洗は、乾燥工程の乾燥装置に対して行われることがある。つまり、乾燥工程における乾燥温度(運転温度)は、通常、上述した温度範囲より高温となるため、水を含んだ吸水性樹脂の凝集物が乾燥装置に付着する可能性は低いと考えられる。しかし、吸水性樹脂の乾燥には、通常、通気バンド型連続乾燥機等が使用され、当該乾燥装置に用いられる金属網やパンチングプレート等の開口部(0.数〜数10mmの孔やスリット、好ましくは0.2〜10mm)に吸水性樹脂の含水ゲル細粒化物が入り込み、そのまま乾燥されて恒久的に開口部を閉塞してしまい、乾燥装置の能力低下や局部的な乾燥ムラ、或いは未乾燥物(乾燥途上のゴム状物)の発生を招く場合がある。また、上記恒久的に閉塞を起こしていた含水ゲル細粒化物は、長時間加熱され続けるため、着色することが多い。この着色異物が何らかのきっかけにより脱離し、製品としての吸水性樹脂に混入すると、製造装置への影響は小さいものの着色異物として検出されるため、その製品は出荷できなくなる危険性がある。
そこで、これらの対策として、本発明においては、乾燥装置全体や、乾燥装置の内部(特に吸水性樹脂との接触面)、特に金属網やパンチングプレート(多孔板)等が好ましく水洗される。なお、上記金属網やパンチングプレートの形状(孔の形状や大きさ)等は特に限定されず、突起や凹凸を有するものであってもよい。
即ち、本発明の乾燥工程における水洗は、乾燥装置の金属網またはパンチングメタル(パンチングプレート)に対して行われ、孔の目詰まり防止を図っている。中でも、孔の目詰まりが激しい、特に高吸水速度(FSR)の吸水性樹脂や球状の吸水性樹脂に、より好ましく適用される。なお、上記「球状」は、真球に限定されず、扁平球状、凹凸や凝集物も含まれる概念であり、気相への噴霧重合または液滴重合で得られる吸水性樹脂の形状を指す。また、上記パンチングメタルは、流動層乾燥機またはバンド乾燥機で好ましく使用される。
(b)加熱処理工程または冷却工程(表面架橋工程)での加熱処理装置または冷却装置
本発明の水洗は、加熱処理工程または冷却工程(表面架橋工程)での加熱処理装置または冷却装置に対しても行われることがある。当該加熱処理工程は、得られた吸水性樹脂粒子の更なる架橋反応や改質するための加熱処理を行う工程であり、通常の乾燥機又は加熱炉を用いることができる。用いられる加熱処理装置または冷却装置としては、例えば、溝型混合乾燥機、ロータリー乾燥機、パドルドライヤー、ディスク乾燥機、流動層乾燥機、気流型乾燥機、赤外線乾燥機等が挙げられる。
即ち、好ましくは、水洗が表面架橋工程における混合装置(後述の(d))、加熱処理装置及び冷却装置の少なくとも1つの装置の内面に対して行われる。なお、上記加熱処理装置及び冷却装置において、表面架橋剤以外の添加剤を添加することができ、また、後述する混合機(下記(d)項、参照)として使用することもできる。好ましくは、添加剤や第2表面架橋剤が添加され、特に好ましくは水と共に添加される。
上記乾燥工程と同様、加熱処理工程における加熱処理温度(運転温度)は、通常、上述した温度範囲より高温となるため、水を含んだ吸水性樹脂の凝集物が加熱処理装置に付着する可能性は低いと考えられる。しかしながら、被加熱物(主に、吸水性樹脂と表面架橋剤との混合物)が装置内のデッドスペース等に長期間滞留することで着色し、これが脱離してしまうと乾燥工程と同様の着色異物として検出され、製品出荷が不可となる危険性がある。その対策として、本発明が好ましく適用される。
(c)分級工程での分級装置
本発明の水洗は、攪拌または振動する乾燥工程以降の製造装置、特に粉砕工程以降の製造装置に対して主に行われ、更には分級工程の分級装置、特に目開きが45〜2000μmの金属篩に対して行われる。以下、分級工程における分級装置について説明する。
本発明における分級工程は、吸水性樹脂の粒度分布を所望する範囲に篩い分ける工程であり、表面架橋工程の前及び/又は後に行われる。なお、表面架橋前に所定粒度に分級する工程を第1分級工程、表面架橋工程後に分級する工程を第2分級工程(整粒工程)と称し、本発明ではこれら両方の分級工程を行うことが好ましい。すなわち、表面架橋工程の前後に分級工程を行うことが好ましい。
吸水性樹脂の分級工程では、使用される金属篩の開口部に吸水性樹脂が入り込み、これが原因となって分級効率の低下を招き、微粉量の増加、物性の低下を引き起こすことがある。その対策として、本発明が好ましく適用される。
(分級網)
本発明では、金属篩を使用して吸水性樹脂を分級する。本発明では金属篩が好適に水洗される。
水洗される金属篩は、例えば、JIS、ASTM、TYLER等の各種標準篩が例示できる。これらの篩は、板篩でもよく、網篩でもよい。網篩の形状は、JIS Z8801−1(2000)等を参照して適宜選択される。標準篩の目開きは、好ましくは10μm〜100mm、より好ましくは20μm〜10mm、更に好ましくは45〜2000μm、さらにより好ましくは50μm〜1mmの範囲で、1種又は2種以上の篩、特に金属篩が使用される。
即ち、本発明では、好ましくは金属網が水洗され、より好ましくは目開きが50μm〜1mmの金属網が水洗され、更に好ましくは乾燥用または分級用の金属網が水洗され、特に好ましくは分級用の金属網(篩網)が水洗される。
また、篩網面の面積(金属篩網の面積)は、分級効率の観点から、1〜10[m/枚]が好ましく、1.5〜7[m/枚]がより好ましい。
篩分級は上部のみを分級しても、または下部のみを分級してもよいが、好ましくは、上下限を同時に分級することが好ましい。即ち、複数の篩が同時に使用されることが好ましく、更に好ましくは、物性向上の点から少なくとも3種類の目開きの篩を用いる。かかる手法として、上位・下位の所定の篩以外に中間篩又は上位篩を用いることが好ましい。好適な篩としては、例えば、上限として、850〜1000μm、710〜850μm、600〜710μmの篩であり、下限として150〜225μmの篩である。更に好ましくは、その中間又は上部に篩を適宜追加すればよい。
(分級装置)
本発明に用いられる分級装置は、篩網面を有するものであれば特に限定されず、例えば、バイブレーティングスクリーンやシフタに分類されるものが挙げられる。バイブレーティングスクリーンには、傾斜形、ローヘッド(Low−head)形、ハムマー(Hum−mer)、レーブン(Rhewum)、タイロック(Ty−Rock)、ジャイレックス(Gyrex)及び楕円振動(Eliptex)等があり、シフタにはレシプロ(Reciprocating)形、Exolon−grader、Traversator−sieb、Sauer−meyer、ジャイレトリーシフタ(Gyratory)、ジャイロシフタ及びローテックススクリーン(Ro−tex)等がある。これらは、網面の運動形状(円、楕円、直線、円弧、擬似楕円、スパイラル、螺旋状)、振動方式(自由振動、強制振動)、駆動方法(偏心軸、不平衡重錘、電磁石、インパクト)、網面の傾斜(水平式、傾斜式)、設置方法(床置式、吊り下げ式)等によって細分類されている。中でも、金属篩網がエキセントリック傾斜、ラジアル傾斜(中央から周辺に材料を分散させる篩網の傾斜)又はタンジェンシャル傾斜(網上の排出スピードをコントロールする篩網の傾斜)からなる3次元運動軌跡を描くものが好ましい。
特に、本発明の効果の面から、揺動式(タンブラシフタ、Tumbler−Screening machines)のように、ラジアル傾斜やタンジェンシャル傾斜の組み合わせにより、篩網面を螺旋状に動かす分級装置が好ましい。
(d)混合工程(表面架橋工程)での混合装置
本発明の水洗は、攪拌または振動する乾燥工程以降の製造装置、特に粉砕工程以降の製造装置に対して主に行われ、更には吸水性樹脂への水又は水溶液を混合する混合工程(好ましくは表面架橋工程またはそれ以降の工程)での混合装置に対して行われる。以下、混合工程における混合装置について説明する。なお、添加剤の混合については、(3−8)にも記載する。
本発明における混合工程は、吸水性樹脂の更なる架橋反応や改質するための添加剤や水、水溶液を混合する工程であり、通常の動的又は静的混合機を用いて行うことができる。なお、表面架橋工程における冷却時に添加剤を添加する場合も、本混合工程に含まれるものとする。
即ち、本発明では、好ましくは吸水性樹脂に水、水溶液または水分散液を混合する混合機の内面が水洗される。より好ましくは、表面架橋工程またはそれ以降での混合工程における混合機の内面に対して、水洗が行われる。
吸水性樹脂の混合工程では、吸水性樹脂に水又は水溶液を混合するため、吸水性樹脂の含水量が増加し粘性も高くなることが予想される。そのため、混合装置のデットスペース等に上記高粘性となった吸水性樹脂が付着して、長時間滞留するため、着色することが多い。この着色異物が何らかのきっかけにより脱離し、製品としての吸水性樹脂に混入すると、製造装置への影響は小さいものの着色異物として検出されるため、その製品は出荷できなくなる危険性がある。そこで、これらの対策として混合装置の水洗に、本発明が好ましく適用される。
本発明に用いられる混合装置は、例えば、高速撹拌型混合機(高速連続混合機)、鋤型混合装置、円筒型混合機、二重壁円錐型混合機、V字型混合機、リボン型混合機、スクリュー型混合機、流動型炉ロータリーディスク型混合機、気流型混合機、双椀型ニーダー、内部混合機、粉砕型ニーダー、回転式混合機、スクリュー型押出機等が挙げられ、中でも複数の撹拌盤または撹拌羽根を備えた撹拌軸を有する高速撹拌型混合機が好ましく、撹拌羽根を備えた撹拌軸を有する高速撹拌型混合機(例えば、タービュライザーやプロシェアミキサー)がより好ましい。
なお、上記高速撹拌型混合機は、複数の撹拌盤を備えた撹拌軸が通常100〜5000rpm、好ましくは200〜4000rpm、より好ましくは500〜3000rpmで回転して混合力を発生させる混合機を意味する。本発明では、高速攪拌型混合機中で3分以内、より好ましくは1分以内(下限は1秒程度)の混合が好ましく、連続混合が特に好ましい。
(e)粉砕工程での粉砕装置
本発明の水洗は、粉砕工程での粉砕装置に対しても行われることがある。当該粉砕工程は、吸水性樹脂粉砕物を得るための吸水性樹脂乾燥物や分級工程での金属篩を通過しない粗大な粒子等を粉砕する工程であり、上記混合工程や加熱処理工程で得られる凝集物を粉砕する工程も含む。
本発明に用いられる粉砕装置は、例えば、ナイフミル、ハンマーミル、ピンミル、ジェットミル、ロールミル、ハンマーミル、ロールグラニュレーター、ジョーククラッシャー、ジャイレクトリークラッシャー、コーンクラッシャー、ロールクラッシャー、カッターミル等が挙げられ、従来から知られている粉砕装置を使用することができる。なお、粉砕装置の内壁面を加熱する手段を備えているものが好ましい。
当該粉砕工程は、粉砕装置の内壁面を外側から加熱した状態にすること、粉砕装置の内壁面温度を30〜150℃にすること、又は、粉砕装置の内壁面温度を吸水性樹脂の粉温に対して20℃以上低下させないことが好ましい。
(f)輸送工程での輸送装置
本発明の水洗は、輸送工程での輸送装置に対しても行われることがある。当該輸送工程は、乾燥後の吸水性樹脂乾燥物、粉砕後の吸水性樹脂粉砕物等、吸水性樹脂を輸送する工程である。
本発明に用いられる輸送装置は、例えば、空気輸送、ベルトコンベヤー、スクリューコンベヤー、チェーンコンベヤー、振動コンベヤー、ニューマチックコンベヤー等が挙げられ、その内壁面を外側から加熱する手段及び/又は保温する手段を備えたものが好ましい。これらの中でも、空気輸送が特に好ましい。
(g)貯蔵工程での貯蔵装置
本発明の水洗は、貯蔵工程での貯蔵装置に対しても行われることがある。当該貯蔵工程は、乾燥後の吸水性樹脂乾燥物、粉砕後の吸水性樹脂粉砕物等、吸水性樹脂を貯蔵する工程である。即ち、当該貯蔵工程は、吸水性樹脂の各製造工程間に設置され、製造中又は製造後の吸水性樹脂を貯蔵する工程である。
本発明に用いられる貯蔵装置は、例えば、サイロ、ホッパー、タンク等が挙げられ、その内壁面を外側から加熱する手段及び/又は保温する手段を備えたものが好ましい。更に、磨耗性や帯電性の観点から、鉄製やステンレス製の内面を有する貯槽が好ましい。
上記(a)〜(g)のうち、(a)〜(e)から選ばれる少なくとも1つの装置、より好ましくは複数の装置に対して水洗が行われることが好ましい。ここで、(e)粉砕工程に対して水洗を行う場合には、乾燥工程後分級工程前に、1以上の粉砕工程を更に含むことがより好ましい。特に好ましくは、水洗が、粉砕工程または乾燥工程で行われる。なお、(a)〜(g)の複数の工程で水洗を行う場合、同時にまたは別途(別々の時期)に水洗を行うことができる。
(a)乾燥工程での乾燥装置
(b)加熱処理工程または冷却工程(表面架橋工程)での加熱処理装置または冷却装置
(c)分級工程での分級装置
(d)混合工程(水、水溶液または水分散液の混合工程、特に表面架橋工程)での混合装置
(e)粉砕工程での粉砕装置
(水洗後の製造装置)
本発明において、水洗後の製造装置は水分を除去した後に、特に乾燥した後に使用することが好ましい。当該水分の除去方法としては、特に限定されないが、布等の吸水性素材で拭きとってもよいし、室温(20〜25℃)や天日下で放置して自然乾燥してもよいが、好ましくは熱風乾燥機や気流(例えば、高圧ガス)を用いて水分を除去して、装置を乾燥すればよい。
(従来の技術)
従来の吸水性樹脂の製造方法として、単量体の洗浄は周知であり、単量体の移送配管中や配管出口での重合による閉塞防止のために配管等を洗浄することは、下記特許文献27及びその図2、下記特許文献28及びその図1、下記特許文献29に開示されている。特許文献29はガス流での単量体の洗浄について開示されている。
また、重合ベルトを洗浄することは下記特許文献30、31に開示されている。特許文献31では重合ベルトやミートチョッパーの洗浄及び含水ゲルのリサイクルについて開示する。下記特許文献33は、逆相懸濁重合の重合反応器内壁面、その他、攪拌機表面、移送ライン内壁面等の高圧水流による吸水性樹脂付着物の洗浄を開示する。特許文献34は、水溶性ポリマー及び/又は水膨潤性ポリマー付着物を、無機塩水溶液及び/又はアルカリ性水溶液にて処理することを特徴とする、ポリマー製造機器本体面からの付着ポリマーの除去方法について開示している。
これら特許文献27〜34は、単量体や重合ゲルの洗浄についての開示はあるが、乾燥工程以降、特に粉砕工程以降の製造装置について、装置の洗浄、特に分級工程での洗浄や本発明の課題と効果を開示しない。
従来、乾燥後の吸水性樹脂の取り扱いは、水を嫌うため低湿度で行われ、一般的にはその除去には乾燥粉末や粉塵のバキュームでの吸引が多用されてきたが、本発明者は水洗によって通液性を向上させることを見出した。なお、本発明においても、特許文献27〜34に記載の重合容器や単量体の移送配管等の洗浄を行うことも可能であるが、かかる洗浄は、本発明の課題解決には実質的に寄与しない。
吸水性樹脂の篩分級の方法については、例えば、特許文献24(国際公開第2010/032694号)やその他、下記の特許文献35〜40に開示されている。これら特許文献24、35〜40には、水洗や本発明の課題や効果をなんら示唆しない。また、上記特許文献1〜23においても、本発明の水洗を含む分級方法をなんら開示しない。また、一般的にはその除去には乾燥粉末や粉塵のバキュームでの吸引が多用されてきたが、上記特許文献25、26は、篩にタッピングボールやエアーブラシの使用を開示し、本発明者らは水洗によって通液性等を向上させることを見出した。
(特許文献27)特開2006−160846号公報
(特許文献28)米国特許第6667372号明細書
(特許文献29)特開2006−199862号公報
(特許文献30)米国特許出願公開第2009/0315204号明細書
(特許文献31)国際公開第2009/001954号パンフレット
(特許文献32)欧州特許出願公開第2066737号明細書
(特許文献33)特開平6−328044号公報
(特許文献34)特開平1−242602号公報
(特許文献35)米国特許第6164455号明細書
(特許文献36)米国特許出願公開第2008/0202987号明細書
(特許文献37)米国特許出願公開第2009/0261023号明細書
(特許文献38)米国特許出願公開第2009/0194462号明細書
(特許文献39)米国特許出願公開第2009/0266747号明細書
(特許文献40)米国特許出願公開第2010/0101982号明細書
〔3〕ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法
以下、〔3〕において、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造方法について、各製造工程での運転条件を中心に説明する。
なお、上記特許文献24〜26に記載された吸水性樹脂の製造方法のうち、重合工程〜表面架橋工程は、本発明の(3−1)重合工程〜(3−6)表面架橋工程にそのまま適用することができる。
また、上記〔2〕に記載したように、(3−1)重合工程や(3−2)ゲル細粒化工程での水洗は、本発明の課題解決には実質的に寄与せず、本発明の範囲外である。従って、本発明では(3−3)乾燥工程以降、特に(3−4)粉砕工程以降で水洗が行われる。
(3−1)重合工程
本工程は、アクリル酸(塩)水溶液を重合して含水ゲル状架橋重合体を得る工程である。
(単量体(架橋剤を除く))
本発明に係る吸水性樹脂は、その原料(単量体)として、アクリル酸(塩)水溶液を使用する。当該水溶液は、上記(1−2)の使用範囲で、アクリル酸(塩)を主成分として含む。アクリル酸の部分中和塩としては、特に制限されないが、吸水性樹脂の吸水性能の観点から、アクリル酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン塩から選ばれるアクリル酸の一価塩が好ましく、アクリル酸のアルカリ金属塩がより好ましく、ナトリウム塩、リチウム塩、カリウム塩から選ばれるアクリル酸塩が更に好ましく、ナトリウム塩が特に好ましい。
上記中和は重合前の単量体で行ってもよく、重合後の含水ゲルで行ってもよく、それらを併用してもよい。中和率は好ましくは10〜100モル%、より好ましくは30〜95モル%、更に好ましくは50〜90モル%、特に好ましくは60〜80モル%である。
上述した単量体(下記の架橋剤を含む)は、通常、水溶液で重合され、その固形分は、通常10〜90重量%、好ましくは20〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%、さらに好ましくは35〜60重量%、特に好ましくは35〜55重量%である。
更に、得られる吸水性樹脂の諸物性を改善するために、アクリル酸(塩)水溶液又は重合後の含水ゲル、乾燥物もしくは粉体に、澱粉、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸(塩)等の水溶性樹脂あるいは吸水性樹脂や、各種の発泡剤(炭酸塩、アゾ化合物、気泡等)、界面活性剤、キレート剤等、後述の添加剤を任意成分として添加してもよい。その添加量としては、単量体に対して、上記水溶性樹脂あるいは吸水性樹脂は0〜50重量%、0〜20重量%、0〜10重量%、0〜3重量%の順で好ましい。また、上記発泡剤、界面活性剤等の非高分子添加剤は、単量体に対して、0〜5重量%が好ましく、0〜1重量%がより好ましい。なお、添加剤を添加する際の、添加剤の添加量の下限は、特に得られる吸水性樹脂の諸物性を損なわない限り特に制限されないが、単量体に対して、0.1重量%が好ましく、0.5重量%がより好ましい。
また、本発明においては、アクリル酸(塩)を主成分として、上記(1−2)に記載の範囲で用いる場合、その他の親水性又は疎水性不飽和単量体を含んでいてもよい。このような他の単量体としては、特に限定されないが、例えば、メタクリル酸、(無水)マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、ビニルスルホン酸、アリルトルエンスルホン酸、ビニルトルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルエタンスルホン酸、2−(メタ)アクリロイルプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリロイルホスフェート、(メタ)アクリロキシアルカンスルホン酸、N−ビニル−2−ピロリドン、N−ビニルアセトアミド、(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ステアリルアクリレートやそれらの塩等が挙げられる。
(架橋剤(内部架橋剤))
本発明では、吸水特性の観点から架橋剤(以下「内部架橋剤」と称することもある)を使用することが特に好ましい。内部架橋剤の使用量は、物性面から、架橋剤を除く上記単量体に対して、0.001〜5モル%が好ましく、0.005〜2モル%がより好ましく、0.01〜1モル%が更に好ましく、0.03〜0.5モル%が特に好ましい。
使用できる内部架橋剤としては、特に限定されず、例えば、アクリル酸との重合性架橋剤や、カルボキシル基との反応性架橋剤、それらを併せ持った架橋剤等を例示することができる。具体的には、重合性架橋剤としては、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリオキシエチレン)トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ポリ(メタ)アリロキシアルカン等、分子内に重合性二重結合を少なくとも2個有する化合物が例示できる。また、反応性架橋剤としては、ポリグリシジルエーテル(エチレングリコールジグリシジルエーテル等)、多価アルコール(プロパンジオール、グリセリン、ソルビトール等)等の共有結合性架橋剤、アルミニウム等、多価金属化合物であるイオン結合性架橋剤が例示できる。これらの中でも、吸水特性の面から、アクリル酸との重合性架橋剤が好ましく、特に、アクリレート系、アリル系、アクリルアミド系の重合性架橋剤が好適に使用される。これらの内部架橋剤は1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(重合開始剤)
本発明で使用される重合開始剤としては、重合の形態によって適宜選択される。このような重合開始剤としては、例えば、光分解型重合開始剤、熱分解型重合開始剤、レドックス系重合開始剤等を例示できる。重合開始剤の使用量は、前記単量体に対して、0.0001〜1モル%が好ましく、0.001〜0.5モル%がより好ましい。
光分解型重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン誘導体、ベンジル誘導体、アセトフェノン誘導体、ベンゾフェノン誘導体、アゾ化合物等を例示することができる。また、熱分解型重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩(過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム)、過酸化物(過酸化水素、t−ブチルパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシド)、アゾ化合物(2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロリド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド等)等を例示することができる。
レドックス系重合開始剤としては、例えば、上記過硫酸塩や過酸化物に、L−アスコルビン酸や亜硫酸水素ナトリウム等の還元性化合物を併用し、両者を組み合わせた系を例示することができる。また、上記光分解型重合開始剤と熱分解型重合開始剤とを併用することも、好ましい態様として挙げることができる。
(重合方法)
本発明の実施形態に係る重合方法は、性能や重合制御の観点から、通常、噴霧重合、液滴重合、水溶液重合(静置または連続水溶液重合)または逆相懸濁重合で行われ、好ましくは水溶液重合で行われ、より好ましくは連続水溶液重合で行われる。従来、水溶液重合や連続水溶液重合で得られた吸水性樹脂は、その形状が不定形粒子となるため、通液性の向上が困難であったが、本発明においては、不定形粒子の場合にも通液性が優位に向上する。
上記連続水溶液重合の好ましい形態として、例えば、連続ニーダー重合(米国特許第6987151号や同第6710141号等に記載)や、連続ベルト重合(米国特許第4893999号、同第6241928号や米国特許出願公開第2005/215734号等に記載)が挙げられる。これらの連続水溶液重合では、高生産性で吸水性樹脂を生産することができる。このため、吸水性樹脂乾燥物の形状が連続ニーダー重合又は連続ベルト重合で得られる不定形破砕状であることが好ましい。尚、本重合工程で用いられる重合装置としては、上記各種の重合が行えれば特に限定されないが、例えば、連続ベルト重合であれば好ましくは連続ベルト式反応装置が用いられ、連続ニーダー重合であれば好ましくは連続混練機が用いられる。
本発明では、高濃度や高温での重合であっても、単量体の安定性に優れ、また、白色度の高い吸水性樹脂が得られるため、かかる条件でより顕著に効果を発揮する。このような高温開始重合は、米国特許第6906159号および同第7091253号等に例示されるが、本発明の方法では、重合前の単量体の安定性にも優れるので、工業的なスケールでの生産が容易である。
これらの重合は、空気雰囲気下でも実施できるが、着色改善の観点から、好ましくは、窒素やアルゴン等の不活性気体雰囲気(例えば、酸素濃度1容積%以下)で行うことが好ましい。また、単量体または単量体を含む溶液中の溶存酸素が、不活性気体で十分に置換(例えば、酸素(溶存酸素量)が1[mg/L]未満)された後に、重合に用いられることが好ましい。
また、重合は、常圧、減圧、加圧の何れでも行うことができるが、好ましくは常圧(またはその近傍、通常大気圧±10mmHg)で行われる。また、重合を促進し物性を向上させるため、重合時に必要に応じて溶存酸素の脱気工程(例えば、不活性ガスでの置換工程)を設けてもよい。又、重合開始時の温度は、使用する重合開始剤の種類にもよるが、15〜130℃が好ましく、20〜120℃がより好ましい。
(特に好ましい重合方法)
本発明における水洗は、「高吸水速度(特にFSRが0.30[g/g/s]以上)の吸水性樹脂」または「球状またはその造粒物である吸水性樹脂」に対して、特に好ましく適用される。
当該高吸水速度の吸水性樹脂や球状の吸水性樹脂の物性が、水性液の混合工程(例えば、表面架橋工程)や分級工程といった粉体系の製造工程において、経時的に低下することが見出された。そこで、分級工程での装置(特に金属篩)や表面架橋工程での装置の水洗を行うことによって、上記問題が解決することを見出した。
なお、上記「球状吸水性樹脂」とは、国際公開第2008/009580号で規定される「真球度」が好ましくは0.80以上、以下順に、0.84以上、0.87以上、0.90以上、0.93以上が好ましく、特に好ましくは0.96以上である吸水性樹脂を指す。当該球状吸水性樹脂は、代表的には、界面活性剤(例えば、ショ糖脂肪酸エステル)を選択した疎水性有機溶媒(例えば、シクロヘキサン、n−ヘプタン)中での逆相懸濁重合や、気相での噴霧重合、液滴重合(droplet polymerization)によって得られる。
また、上記逆相懸濁重合は、例えば、米国特許第4973632号等に記載され、上記噴霧重合または液滴重合は、例えば、国際公開第2008/095901号、同第2009/027356号、同第2010/003855号、同第2010/003897号、同第2010/057912号、同第2011/023572号、同第2011/026876号等に記載されている。
上記球状吸水性樹脂は、逆相懸濁重合や噴霧重合、液滴重合で得られ、その重合時に球状の粒子形状となる。したがって、重合後の粉砕操作が不要であり、得られる吸水性樹脂の嵩比重が高くコンパクトとなり、更に粉体の耐衝撃性も優れたものとなる。しかしながら、上述したように、金属網やパンチングメタルでの目詰まりが発生しやすかったが、本発明の水洗によって、かかる問題を解決した。
また、上記「高吸水速度の吸水性樹脂」とは、吸水速度(FSR)が0.30[g/g/s]以上、好ましくは0.32[g/g/s]以上、より好ましくは0.35[g/g/s]以上の吸水性樹脂をいい、代表的には、発泡重合または微粉造粒によって得ることができる。上記「発泡重合」とは、重合時での発泡剤(例えば、炭酸塩やアゾ化合物)の使用や、気体を分散させた単量体水溶液を重合させることをいう。当該発泡重合は、国際公開第97/017397号、同第97/031971号、同第00/052087号、同第2009/062902号に記載されている。
当該高吸水速度の吸水性樹脂は、吸水性樹脂の粒子表面積([m/g])の向上で達成されるが、その手法として、上述した発泡重合の他、吸水性樹脂の微粉砕や造粒でも行うことができる。好ましくは重合工程での発泡重合であり、中でも気体を分散した単量体水溶液の重合がより好ましい。気体の分散は、発泡剤を使用する場合と比較して吸水性樹脂に残渣が残存することもなく、好ましい。
上記高吸水速度の吸水性樹脂は、吸水速度が高いために水性液の添加工程において、凝集物が発生し装置内面に付着することが多く、金属網やパンチングメタルに目詰まりも発生し易かったが、本発明の水洗によって、かかる問題を解決した。
(3−2)ゲル細粒化工程
上記重合工程で得られた含水ゲル状架橋重合体(含水ゲル)は、そのまま乾燥を行っても良いが、重合時または重合後、必要によりゲル解砕機(ニーダー、ミートチョッパー等)を用いてゲル解砕され粒子状にされる。即ち、連続ベルト重合または連続ニーダー重合による重合工程と乾燥工程との間に、含水ゲルの細粒化(以下、「ゲル解砕」とも称する)工程を更に含んでもよい。
ゲル解砕時の含水ゲルの温度は、物性の面から、好ましくは40〜95℃、より好ましくは50〜80℃に保温あるいは加熱される。含水ゲルの樹脂固形分は、特に限定されるものではないが、物性の観点から、好ましくは10〜70重量%、より好ましくは15〜65重量%、更に好ましくは30〜55重量%である。上記含水ゲルに、水や、多価アルコール、水と多価アルコールの混合液、水に多価金属を溶解した溶液、あるいはこれらの蒸気等を添加しても良い。
上記ゲル解砕後の粒子状含水ゲルの重量平均粒子径(篩分級で規定)は、好ましくは0.2〜10mm、より好ましくは0.3〜5mm、特に好ましくは0.5〜3mmの範囲である。また、粒子状含水ゲルの粒子径が5mm以上の割合は、全体の0〜10重量%が好ましく、0〜5重量%がより好ましい。なお、粒子状含水ゲルの粒子径は特開2000−63527号公報の段落〔0091〕に記載の湿式の分級方法で既定できる。
(3−3)乾燥工程
上記重合工程で得られた含水ゲル状架橋重合体、またはゲル細粒化工程で得られた粒子状含水ゲルを、所望する樹脂固形分まで乾燥することができれば、その方法について特に制限されないが、例えば、加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、ドラムドライヤー乾燥、疎水性有機溶媒との共沸による脱水乾燥、高温の水蒸気を用いた高湿乾燥等、種々の乾燥方法を採用することができる。これらの中でも、熱風乾燥が好ましく、露点温度が0〜100℃の気体による熱風乾燥がより好ましく、露点温度が20〜90℃の気体による熱風乾燥が更に好ましい。
また、上記球状の吸水性樹脂を得る乾燥方法としては、特に限定されないが、有機溶媒中で共沸脱水(特に逆相懸濁重合)または流動層乾燥が好ましく適用される。
また、乾燥温度は、特に制限されないが、100〜300℃が好ましく、150〜250℃がより好ましい。ただし、得られる吸水性樹脂の高物性と白色度を両立させるために、乾燥温度が165〜230℃で、乾燥時間が50分以内であることが好ましく、20〜40分が特に好ましい。乾燥温度や乾燥時間がこの範囲を外れると、吸水性樹脂の無加圧下吸水倍率(CRC)の低下や可溶分の増加、白色度の低下を引き起こす恐れがあるため、好ましくない。
また、含水ゲルの乾燥減量(粉末あるいは粒子1gを180℃で3時間加熱した際の重量変化)から求められる樹脂固形分は、80重量%以上が好ましく、85〜99重量%がより好ましく、90〜98重量%が更に好ましく、92〜97重量%が特に好ましい。該乾燥工程において、乾燥重量が前記範囲内に調整された吸水性樹脂乾燥物が得られる。
(3−4)粉砕工程(任意)
上記乾燥工程で得られた吸水性樹脂乾燥物を粉砕することができれば、その方法について特に制限されないが、例えば、上記〔2〕の(粉砕工程での粉砕装置)に示した粉砕装置が使用され、これらの粉砕装置が本発明では、必要により上記〔2〕に記載した水洗が行われる。これらの中でも、粒度制御の観点から、ロールミルまたはロールグラニュレーターを多段で使用することが特に好ましい。
粉砕工程により、上記乾燥工程で得られた吸水性樹脂乾燥物が粉砕されて、粉砕された吸水性樹脂(不定形破砕状の吸水性樹脂粒子)が得られる。当該粉砕工程によって、吸水性樹脂粒子の物性が向上するため、粉砕工程が好ましく適用される。
なお、上述した逆相懸濁重合や、噴霧重合、液滴重合では、重合において、特に球状の粒子が得られるため、当該粉砕工程は特に必要なく、重合形態によって適宜選択すればよい。
(3−5)分級工程
上記粉砕工程で得られた吸水性樹脂粉砕物を分級することができれば、その方法について特に制限されないが、例えば、上記〔2〕の(分級工程での分級装置)に示した分級装置が使用され、これら分級工程での装置が最も好ましく、本発明では上記〔2〕に記載した水洗が行われることが好ましい。
また、本発明において、分級工程は、全工程上で少なくとも一回(一箇所)行うことができればよいが、好ましくは全工程上で二回(二箇所)以上、さらに好ましくは表面架橋工程の前後で少なくとも一回(一箇所)ずつ行うことができればよい。更に必要に応じて、3〜6回の分級工程を設けてもよい。
除電分級は特許文献24に記載されている。
(分級振動)
本発明による分級方法に適した篩分け装置は、何ら制限されることはないが、好ましくは、平面分級方法を使用するものが好ましく、特に好ましくはタンブル形篩分け装置である。この篩分け装置は、分級をサポートするために典型的には振動させる。振動は、好ましくは、分級すべき製品が篩い上にスパイラル状(螺旋状)に導かれる程度に行う。これらの強制的なバイブレーションは、典型的には0.7〜40mm、好ましくは1.5〜25mmの振れ幅で、かつ60〜6000rpm、好ましくは100〜600rpmの振動数を有する。
(粒度)
本発明で粒度は標準篩(JIS Z8801−1(2000))で規定されるが、該粉砕工程さらには分級工程で得られた吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径(D50)は、200〜600μmが好ましく、200〜550μmがより好ましく、200〜500μmがさらに好ましく、250〜500μmが更により好ましく、350〜450μmが特に好ましい。また、粒子径が150μm未満の微粒子が少ないほどよく、粒子径が150μm未満の微粒子の含有量が、通常5重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましく、1重量%以下が特に好ましい。この際、微粒子の含有量の下限は、特に制限されないが、過渡に分級操作に手間がかからないことなどを考慮すると、0.1重量%以上であることが好ましい。本発明の方法によると、装置への付着の原因となりうる粒子径が150μm未満の微粒子を含んでいても、安定的な運転を達成することができる。更に、850μmを超える粒子が少ないほどよく、850μmを超える粒子の含有量が、通常0〜5重量%が好ましく、0〜3重量%がより好ましく、0〜1重量%が特に好ましい。すなわち、表面架橋を行う前の吸水性樹脂粒子の、重量平均粒子径(D50)が200〜500μmであり、粒子径が150μm未満の微粒子を0.1重量%以上含むことが好ましい。
粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、0.25〜0.45が好ましく、0.30〜0.40がより好ましい。これらの物性値は、標準篩を用いて、例えば、国際公開第2004/069915号やEDANA−ERT420.2−02(「PSD」)に記載されている方法で測定される。また、本発明では、粒子径が150μm以上850μm未満である粒子の割合が全体に対して、95重量%以上が好ましく、98重量%以上がより好ましい(上限100重量%)。この割合を有する乾燥物または粉体を表面架橋することが好ましい。また、上記表面架橋前の粒度は、好ましくは表面架橋後さらには最終製品にも適用される。
(その他分級条件)
好適な分級方法は特許文献25、26に記載の方法であり、かかる条件はそのまま本発明の記載とする。
本発明に係る吸水性樹脂の分級工程では特許文献25、26に記載の下記構成(i)〜(iii)からなる群から選ばれる少なくとも1つ、さらには2つ以上を満たすことが必要である。
(i)分級工程で用いる金属篩網の下部にタッピング材が使用されること。
(ii)分級工程で用いる金属篩網の張り張力(テンション)が35〜100[N/cm]であること。
(iii)分級工程で用いる金属篩網の下部にエアーブラシを使用すること。
以下上記(i)〜(iii)について詳細に述べる。
(i)タッピング材(参照;特許文献25、26)
吸水性樹脂粉末の分級効率や得られる吸水性樹脂の物性の観点から、上記金属篩網の下部にタッピング材が使用される。タッピング材とは、ふるい装置の目詰まり防止のために使用される弾性材料をいい、タッピング材の形状は、球形、回転楕円体、多面体等転動する形状であればどのようなものでも利用できる。好ましくは、タッピングボール(球状)、タッピングブロック(球状)、タッピングブラシから選択される少なくとも1つが使用され、より好ましくは、タッピングボールまたはタッピングブロック、さらに好ましくは、タッピングボールが使用される。なお、該タッピング材を金属篩網の上で使用したり、該タッピング材を使用しなかったりする場合、吸水性樹脂の物性(例えば、通液性)の低下、特に経時的な低下や、微粉や粉塵の増加といった問題が生じるおそれがある。
本発明のタッピング材を金属篩網の下部で使用する方法としては、とくに制限されないが、例えば、該金属篩網の下部に該金属篩網の目開き以上の、目開きを有する金属篩網あるいは孔径を有するパンチングメタルをさらに設置して、これらの金属篩網あるいはパンチングメタル上にタッピング材(好ましくはタッピングボールまたはタッピングブロック)を配置(例えば、充填)する方法が挙げられる。分級効率の観点から、パンチングメタル上でタッピング材を使用することが好ましい。
上記タッピング材としては、樹脂製であることが好ましく、例えば、天然ゴム、ウレタン、クロロプレンゴム、シリコーン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、白色の吸水性樹脂への付着や混入等を考慮して、白色あるいは乳白色のタッピング材、特に、天然白色ゴム、白色ウレタン等を用いるのが好ましい。なお、これらの樹脂の圧縮弾性率(ヤング率)は0.05〜1.0GPaが好ましく、0.06〜0.5GPaがより好ましい。
また、タッピング材の大きさや形状は、所望する吸水性樹脂の物性に応じて適宜決定されるが、好ましくはブロック状や球状であり、その径(直径)は5〜200mmが好ましく、10〜100mmがさらに好ましく、20〜60mmが特に好ましい。さらに上記範囲内であれば、異なる径のタッピングボールまたはタッピングブロックを併用してもよい。なお、タッピングブロックを使用する際は、その体積を球に換算して径とする。
本発明では、複数個のタッピング材(タッピングボールまたはタッピングブロックなど)を使用することが好ましい。本発明のタッピング材の使用量は、金属篩網の面積に対してタッピングボールの断面積で規定し、その量は1%以上が好ましく、以下順に、5%以上、10%以上、15%以上、20%以上が好ましく、上限はタッピングボール間の隙間を考慮して最密充填未満が好ましく、70%以下がより好ましい。これらの範囲内で適宜決定される。
本発明において、得られる吸水性樹脂の物性向上や生産性向上の観点から、分級時のタッピング材が加熱されていることが好ましい。加熱温度としては、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましい。加熱温度の上限は適宜設定されるものの、過度の加熱はタッピング材の効果を低減させ、さらにはタッピング材の寿命を短くすることが懸念されるため、通常、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、100℃以下がさらに好ましく、90℃以下が特に好ましく、80℃以下が最も好ましい。従って、タッピング材の温度としては、例えば40〜100℃、50〜100℃、60〜100℃等が選択できるが、これらの範囲に限定はされず、上記加熱温度の上限値と下限値から選ばれる任意の範囲で規定される。
本発明に係るタッピング材を上述した温度範囲に加熱するには、タッピング材を外部から加熱すればよく、その熱源として篩内部、篩表面、吸水性樹脂を所定温度に加熱し、タッピング材との接触時間や接触量(例えば、篩への熱風の流量、篩中での吸水性樹脂の流量や滞留量等)を制御すればよい。
(ii)張り張力(テンション)(参照;特許文献25、26)
本発明における「張り張力(テンション)」とは、分級工程で使用される金属篩の網を張る際にかかる荷重をいう。本発明の分級網(金属網)のテンションは、好ましくは35[N/cm]以上であり、より好ましくは40[N/cm]以上、さらに好ましくは45[N/cm]以上、特に好ましくは50[N/cm]以上である。また、テンションの上限は、100[N/cm]以下が好ましく、80[N/cm]以下がより好ましく、60[N/cm]以下がさらに好ましい。上記テンションが35[N/cm]以上であれば、吸水性樹脂粉末の分級効率の低下を防止でき、得られる吸水性樹脂の通液性が向上する。また、上記テンションが100[N/cm]以下であれば、金属網の耐久性を確保できるため連続運転が可能となる。なお、上記テンションの測定は、金属網を分級篩に張る際に、篩の中心部に対してテンションメーターで行う。その測定原理は、「Mechanical measuring of the fabric’s sagging under a constant force」である。上記テンションメーターは各種市販され、例えば、TEKOMAT社等から販売されており、本発明ではそれら市販品を使用することができる。
(iii)エアーブラシ(エアーナイフ)(参照;特許文献25、26)
吸水性樹脂粉末の分級効率や得られる吸水性樹脂の物性の観点から、上記金属篩網の下部にエアーブラシ(エアーナイフ)が使用される。本発明においてエアーブラシとは圧縮した空気などの気体(エアー)を噴射する器具をいい、エアーナイフとも称される。
上記エアーブラシ(エアーナイフ)としては、エアージェットクリーナー、エアージェットブラシクリーナーなどが挙げられる。
エアーブラシ(エアーナイフ)は、一部または全部の篩に対して行ってもよいが、好ましくは少なくとも一部の篩(目開き300μm以下の篩)で使用され、さらには全体の30%以上、以下順に、50%以上、70%以上、90%以上、100%の篩で、エアーブラシ(エアーナイフ)を使用することが好ましい。
本発明のエアーブラシは、特に微粉の分級時に好ましく使用され、目開き200μm以下の篩、より好ましくは150μm以下の篩の下部に設置されることが好ましい。上記篩の目開きとして、下限は30μm以上が好ましく、45μm以上がより好ましく、75μn以上がさらに好ましい。エアーブラシは上記タッピング材の代替として、微粉の分級に好ましく使用され、得られる吸水性樹脂の通液性(SFCやGBP)を向上させることができる。
本発明のエアーブラシは、吸水性樹脂粉末の優れた物性が安定に保持され、かつ、閉塞現象が抑制されうるという観点から、一次空気および二次空気として乾燥空気を用いることが好ましい。該乾燥空気の露点としては、0℃以下が好ましく、−30℃以下がより好ましく、−35℃以下がさらに好ましく、−40℃以下が特に好ましい。露点を制御する方法としては、メンブレンドライヤーを使用する方法、冷却吸着式ドライヤーを使用する方法、ダイヤフラムドライヤーを使用する方法やそれらを併用する方法が挙げられる。吸着式ドライヤーを使用する場合、加熱再生式でもよく、非加熱再生式でもよく、非再生式でもよい。
また、乾燥空気以外に加熱空気を用いてもよい。加熱空気の加熱方法としては、特に限定されないが、熱源を用いて直接空気を加熱してもよいし、装置や配管が加熱されることによる間接的な加熱でもよい。本加熱空気の温度としては、30℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、70℃以上がさらに好ましい。
(ガイド)
本発明では分級装置の篩が吸水性樹脂粉末のガイドを有することも好ましい。
(加熱温度)
かかる分級装置(使用する篩の温度)は40℃以上、さらには40〜80℃の温度範囲で用いるのが好ましい。より好ましくは45〜60℃の温度範囲である。温度が40℃以上であれば、物性の低下が防止され、一方、100℃さらには80℃未満の温度であれば、高温にすることによる経済的不利益を防止でき、分級効率への悪影響を防止できる。
分級装置は吸水性樹脂粉末の温度に対し20℃よりも低くない温度で用いることが好ましい。より好ましくは10℃よりも低くない温度である。
また、吸水性樹脂粉末を取り扱う際に、分級工程に導入される吸水性樹脂粉末を室温以上の温度、好ましくは40℃以上とする。例えば40〜100℃、より好ましくは50〜80℃に加温することが好ましく、かかる温度の吸水性樹脂を得るには適宜加熱したり、乾燥工程や表面架橋工程の加熱後の吸水性樹脂を保温したりするなどして利用してもよい。
(減圧)
本発明においては分級効率の観点から、減圧度の下限は0kPaを超えることが好ましく、0.01kPa以上がより好ましく、0.05kPa以上がさらに好ましい。また、系内での粉の吊り上りの抑制および排気装置に対するコスト抑制の観点から、減圧度の上限は10kPa以下が好ましく、8kPa以下がより好ましく、5kPa以下がさらに好ましく、2kPa以下が特に好ましい。減圧度の好ましい数値範囲は、上記下限値と上記上限値との間で任意に選択できる。
(気流)
分級工程では、気流が吸水性樹脂粉末を通過することが好ましく、特に好ましくは、ガス流を、篩分け装置に装入する前に、典型的には40℃以上、好ましくは50℃以上、より好ましくは60℃以上、さらに好ましくは65℃以上、特に好ましくは70℃以上に加熱する。ガス流の温度は、通常は120℃以下、好ましくは110℃以下、より好ましくは100℃以下、さらに好ましくは90℃以下、特に好ましくは80℃以下である。
(雰囲気露点)
分級工程を行う雰囲気(空気)露点や上記ガス流の露点は、好ましくは15℃以下、より好ましくは10℃以下、さらに好ましくは5℃以下、特に好ましくは0℃以下である。露点の下限値は特に制限されないが、コストパフォーマンスを考え、好ましくは−10℃以上、より好ましくは−5℃以上である。さらに、気体の温度は好ましくは10〜40℃であり、より好ましくは10〜35℃である。
(吸水性樹脂の形状と分級)
本発明の水洗は、粒子表面に凹凸の多い吸水性樹脂や、ほぼ球状の吸水性樹脂を分級する際に好ましく適用される。即ち、上記これらの吸水性樹脂の形状が、篩網の目詰まりを起こしやすいためである。
なお、粒子表面に凹凸の多い吸水性樹脂は、上記の発泡剤や界面活性剤を用いる発泡重合(米国特許第6100305号)や、ゲル粉砕を特定条件で行う方法(国際公開第2011/126079号)等、公知の方法で製造することができる。なお、上記重合は、通常、高吸水速度の向上を目的に行われる。また、ほぼ球状の吸水性樹脂は、上述したように、逆相懸濁重合や、噴霧重合、液滴重合で得られる。
(3−6)表面架橋工程
本工程は、上記工程(乾燥工程、粉砕工程または分級工程)で得られた吸水性樹脂粒子を表面架橋する工程である。本明細書において、「表面架橋」とは、吸水性樹脂粒子の表面または表面近傍を架橋することをいう。なお、「表面または表面近傍」とは、通常、厚み数10μm以下の表層部分、または全体の厚みの1/10以下の表層部分を意味するが、これらの厚みは目的に応じて適宜決定される。本発明の製造方法では、表面架橋により通液性や加圧下吸水倍率が向上する。
該表面架橋方法としては、特に制限されないが、例えば、表面架橋剤を用いて吸水性樹脂粒子の表面を架橋する方法(日本国特許第2530668号公報)が挙げられる。特に高温加熱による表面架橋が好適に適用される。
(表面架橋剤)
本発明で用いることのできる表面架橋剤としては、種々の有機または無機表面架橋剤を例示できるが、有機表面架橋剤が好ましく使用できる。該有機表面架橋剤として、例えば、モノ,ジ,トリまたはテトラ−プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、グリセリン、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ソルビトール等の多価アルコール化合物;エチレングリコールジグリシジルエーテルやグリシドール等のエポキシ化合物;多価アミン化合物またはそのハロエポキシ化合物との縮合物、オキサゾリン化合物;(モノ、ジ、またはポリ)オキサゾリジノン化合物;エチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート化合物;オキセタン化合物;2−イミダゾリジノンのような環状尿素化合物等が挙げられる。これらの中でも、高温での反応が必要な、多価アルコール化合物、アルキレンカーボネート化合物、オキサゾリジノン化合物等の脱水エステル化反応性表面架橋剤の1種以上、更には複数併用が特に好ましく使用できる。上記有機表面架橋剤は、単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
上記脱水エステル化反応性表面架橋剤は、低反応性であるため安全性が高いが、その分、安定的な反応の制御が困難である。しかし本発明では、このような脱水エステル化反応性表面架橋剤を用いて連続生産しても、物性のフレ(振れ)が小さく、標準偏差の小さい吸水性樹脂を連続製造することができる。より具体的には、米国特許第6228930号、同第6071976号、同第6254990号等に例示されている化合物を挙げることができる。
また、上記無機表面架橋剤として、例えば、2価以上、好ましくは3価または4価の多価金属の塩(有機塩あるいは無機塩)または水酸化物を例示することができる。該多価金属としてはアルミニウム、ジルコニウム等が挙げられ、多価金属の塩としては乳酸アルミニウム、硫酸アルミニウムが挙げられる。これらの無機表面架橋剤は、有機表面架橋剤と同時または別々に使用される。なお、多価金属による表面架橋については、国際公開第2007/121037号、同第2008/09843号、同第2008/09842号、米国特許第7157141号、同第6605673号、同第6620889号、米国特許出願公開第2005/0288182号、同第2005/0070671号、同第2007/0106013号、同第2006/0073969号に開示されている。
更に、上記有機表面架橋剤以外にポリアミンポリマー、特に重量平均分子量が5000〜100万程度のポリアミンポリマーを同時にまたは別々に使用して、吸水性樹脂の通液性等を向上させてもよい。該ポリアミンポリマーについては、例えば、米国特許第7098284号、国際公開第2006/082188号、同第2006/082189号、同第2006/082197号、同第2006/111402号、同第2006/111403号、同第2006/111404号等に開示されている。
本発明においては、上記有機表面架橋剤である共有結合性表面架橋剤に加えて、通液性向上のため、イオン結合性表面架橋剤、中でも、上記多価金属塩やポリアミンポリマーを使用、更には併用することもできる。また、通液性を向上させるため、上記有機表面架橋剤以外に、好ましくは、無機表面架橋剤を使用、さらには併用することができる。これら各種の表面架橋剤を併用する場合、同時(一回)に吸水性樹脂に添加してもよく、別々(複数回)に分けて添加してもよい。
上記表面架橋剤の使用量は、用いる化合物やそれらの組み合わせ等によって適宜決定されるが、吸水性樹脂粒子100重量部に対して、0.001〜10重量部が好ましく、0.01〜5重量部がより好ましい。なお、有機表面架橋剤と無機表面架橋剤とを併用する場合、または、共有結合性表面架橋剤とイオン結合性表面架橋剤とを併用する場合、それらの使用量は前述した範囲内で併用される。溶媒の使用量についても、それぞれ下記の範囲内で決定される。
(混合溶媒)
上記表面架橋剤の使用時に、好ましくは水が使用される。該水の使用量としては、特に制限されないが、吸水性樹脂粒子100重量部に対して、0.5〜20重量部が好ましく、0.5〜10重量部がより好ましい。
また、この時に、親水性有機溶媒を使用してもよい。なお親水性有機溶媒を使用する場合の親水性有機溶媒の使用量は、特に制限されないが、吸水性樹脂粒子100重量部に対して、0重量部を超えて10重量部以下が好ましく、0重量部を超えて5重量部以下がより好ましい。
上記親水性有機溶媒としては、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジオキサン、アルコキシ(ポリ)エチレングリコール、テトラヒドロフラン等のエーテル類;ε−カプロラクタム、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキサイド等のスルホキサイド類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ジプロピレングリコール、2,2,4−トリメチル-1,3−ペンタンジオール、グリセリン、2−ブテン−1,4−ジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサノール、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ポリオキシプロピレン、ペンタエリスリトール、ソルビトール等の多価アルコール類;等が挙げられ、これらの1種または2種以上を用いることができる。
(その他の成分)
本工程において、上記表面架橋剤溶液を吸水性樹脂粒子へ混合する際、本発明の効果を妨げない範囲で、水不溶性微粒子粉体や界面活性剤を共存させてもよい。用いられる水不溶性微粒子粉体や界面活性剤の種類やその使用量は、特に制限されず、国際公開第2005/075070号パンフレットに例示されている範囲を適用することができる。
さらに、本工程では、上記表面架橋剤に加えて、必要に応じて、有機酸(乳酸、クエン酸、p−トルエンスルホン酸)又はその塩、無機酸(リン酸、硫酸、亜硫酸)またはその塩等の酸物質、苛性ソーダや炭酸ソーダ等の塩基物質、硫酸アルミニウム等の多価金属塩等を、吸水性樹脂粉末に対して、好ましくは0〜10重量%、更に好ましくは0〜5重量%、特に好ましくは0〜1重量%を併用してもよい。
(反応温度及び時間)
上記表面架橋剤を吸水性樹脂粒子と混合した後、該混合物は、好ましくは加熱処理され、必要により、その後冷却処理される。上記加熱処理時の加熱温度は、表面架橋反応が進行する温度であれば、特に制限されないが、70〜300℃が好ましく、120〜250℃がより好ましく、150〜250℃が更に好ましい。また、加熱時間は、1分〜2時間の範囲内が好ましい。加熱処理後の吸水性樹脂は、表面架橋反応を停止するため、必要により冷却処理をすればよい。
(その他の表面架橋)
本発明においては、表面架橋剤を使用せずに表面架橋を行うこともできる。例えば、ラジカル重合開始剤による表面架橋(例えば、米国特許第4783510号)、活性エネルギー線による表面架橋(欧州特許公開第1506788号)、表面での重合による表面架橋(例えば、米国特許第7201941号)等も本発明に適用できる。
(3−7)再加湿工程または添加剤の添加工程
本発明において、表面架橋工程後に、任意に、水や添加剤を添加する工程や、第2の表面架橋剤を添加する工程を設けてもよい(再加湿工程または添加工程)。
上記添加剤としては、キレート剤、還元剤、着色防止剤、消臭剤、抗菌剤、制ダスト剤、残存モノマー低減剤、水溶性ポリマー、疎水性ポリマー、水不溶性微粒子等が挙げられる。これらの添加量は、吸水性樹脂100重量部に対して、好ましくは0〜5重量部、より好ましくは0.001〜1重量部である。また、添加の際には溶媒なしでも問題はないが、好ましくは水が溶媒として使用される。その際、吸水性樹脂100重量部に対して、好ましくは0.1〜20重量部、より好ましくは0.5〜10重量部で混合される。
当該再加湿工程または添加工程においても、本発明の水洗を行うことで、得られる吸水性樹脂の物性の維持または安定化を達成することができる。
(3−8)その他の工程
上記工程以外に、必要により、蒸発モノマーのリサイクル工程、造粒工程、除鉄工程、輸送工程、微粉除去工程、微粉リサイクル工程、その他添加剤の添加工程等を設けてもよい。その他、添加剤としては消臭剤、抗菌剤、無機微粒子、キレート剤、還元剤、着色防止剤など、吸水性樹脂粉末に対して、0.001〜5重量部の範囲である。
〔4〕ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の物性
本発明の製造方法では、特に吸水性樹脂の少なくとも3つ以上の物性が制御される場合に好適に適用される。各物性の制御は、好ましくは4つ以上、5つ以上、6つ以上、という多機能化および高物性化された吸水性樹脂の製造方法で好適にその効果が発揮される。制御される物性としては、下記に記載した、(a)加圧下吸水倍率(AAP)、(b)通液性(SFC)、(c)無加圧下吸水倍率(CRC)、(d)水可溶分量(Extractables)、(e)残存モノマー(Residual Monomers)、(f)初期着色、(g)含水率(Moisture Content)に加え、自由膨潤倍率(FSC)、(h)粒度分布(粒子径)(Particle Size Distribution)、pH、流下速度(Flow Rate)、嵩比重(Density)、Respirable Particles、Dust等であり、これらを高度に制御する製造方法で好適に適用できる。制御される物性やその測定方法は適宜決定されるが、上記のEDANA測定法等では下記に範囲の吸水性樹脂の製造に適用できる。
本発明の吸水性樹脂を、衛生材料、特に紙オムツへの使用を目的とする場合、下記(a)〜(g)の少なくとも1つ、更にはAAPを含め2つ以上、特に3つ以上の物性が所望の範囲に制御されることが好ましい。下記を満たさない場合、本発明の効果が十分に得られなかったり、後述の高濃度オムツでは十分な性能を発揮しなかったりすることがある。
(a)加圧下吸水倍率(AAP)
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、紙オムツでのモレを防止するため、2.06kPaの加圧下、更には4.83kPaの加圧下での0.9重量%の塩化ナトリウム水溶液に対する加圧下吸水倍率(AAP)が、好ましくは20[g/g]以上、より好ましくは22[g/g]以上、更に好ましくは23[g/g]以上に制御される。加圧下吸水倍率(AAP)の上限値は、特に制限されず高いほど好ましいが、他の物性やコストとのバランスから、AAPの上限は2.06kPaの加圧下では40[g/g]、4.83kPaの加圧下では30[g/g]、更には28[g/g]程度である。本明細書において、特に記載のない場合、AAPはERT442.2−02での4.83kPaの加圧下での値を示す。
更に、本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、上記AAPを満足した上で、好ましくは下記CRCを満たし、更には下記SFCをも満たすことが好ましい。
(b)通液性(SFC)
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、紙オムツでのモレを防止するため、加圧下での液の通液特性である0.69重量%生理食塩水流れ誘導性(SFC)は1[×10−7・cm・s・g−1]以上、好ましくは10[×10−7・cm・s・g−1]以上、より好ましくは20[×10−7・cm・s・g−1]以上、さらに好ましくは30[×10−7・cm・s・g−1]以上、さらにより好ましくは50[×10−7・cm・s・g−1]以上、更により好ましくは70[×10−7・cm・s・g−1]以上、特に好ましくは100[×10−7・cm・s・g−1]以上、最も好ましくは110)[×10−7・cm・s・g−1]以上に制御される。SFCの上限は、高いほど好ましいため、特に限定されないが、一般的に、1000[×10−7・cm・s・g−1]以下、より好ましくは500[×10−7・cm・s・g−1]以下である。
本発明の製造方法により、上記に挙げた所望のSFC値を有する表面架橋された吸水性樹脂を得ることができる。
(c)無加圧下吸水倍率(CRC)
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、無加圧下吸水倍率(CRC)は好ましくは10[g/g]以上であり、より好ましくは20[g/g]以上、更に好ましくは25[g/g]以上、特に好ましくは27[g/g]以上に制御される。CRCは高いほど好ましく上限値は特に限定されないが、他の物性のバランスから、好ましくは50[g/g]以下、より好ましくは45[g/g]以下、更に好ましくは40[g/g]以下である。
更に、本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、上記CRCを満足した上で、好ましくは上記SFC及びAAPをも満たすことが好ましい。
(d)水可溶分(Ext)
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、水可溶分(Ext)が好ましくは35重量%以下、より好ましくは25重量%以下、更に好ましくは15重量%以下、特に好ましくは10重量%以下である。
(e)残存モノマー
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、残存モノマー量が好ましくは0〜700ppm、より好ましくは0〜600ppm、特に好ましくは0〜500ppmである。
(f)初期着色
本発明の製造方法によると、吸水性樹脂中の褐色異物の発生を抑制・防止できる。ここで、吸水性樹脂中に褐色異物が発生する割合は、少ないほど好ましいが、本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂1000粒中、5粒以下(下限:0個)程度であれば十分である。また、本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、初期着色、経時着色に優れ、長期保存の促進試験(モデル)である高温高湿でも十分な白色度を示すことができる。
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂は、初期着色に優れ、例えば、ハンターLab表面色系において、L値(Lightness)が好ましくは85以上、より好ましくは87以上、更に好ましくは89以上であり、b値が好ましくは−5〜10、より好ましくは−5〜5、更に好ましくは−4〜4であり、a値が好ましくは−2〜2、より好ましくは−1〜1、更に好ましくは−0.5〜1、最も好ましくは0〜1である。YI(黄色度)は、好ましくは10以下、更に好ましくは8以下、特に好ましくは6以下であり、WB(ホワイトバランス)は、好ましくは70以上、更に好ましくは75以上、特に好ましくは77以上である。更に、かかる吸水性樹脂は、経時着色にも優れ、長期保存の促進試験(モデル)である高温高湿でも十分な白色度を示す。
(g)含水率
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂の含水率は、好ましくは5重量%以下、より好ましくは1重量%以下である。特に、表面架橋工程後に分級工程を行う場合、本発明の分級方法は、かかる低含水率の吸水性樹脂に対してより顕著に効果を発揮するので好ましい。含水率の下限は特に制限されないが、好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上である。
(h)粒度分布及び粒子形状
本発明で粒度は標準篩(JIS Z8801−1(2000))で規定されるが、該粉砕工程さらには分級工程で得られた吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径(D50)は、200〜600μmが好ましく、200〜550μmがより好ましく、200〜500μmがさらに好ましく、250〜500μmが特に好ましく、350〜450μmが最も好ましい。また、粒子径が150μm未満の微粒子が少ないほどよく、粒子径が150μm未満の微粒子の含有量が、通常5重量%以下が好ましく、3重量%以下がより好ましく、1重量%以下が特に好ましい。この際、微粒子の含有量の下限は、特に制限されないが、過渡に分級操作に手間がかからないことなどを考慮すると、0.1重量%以上であることが好ましい。本発明の方法によると、装置への付着の原因となりうる粒子径が150μm未満の微粒子を含んでいても、安定的な運転を達成することができる。更に、850μmを超える粒子が少ないほどよく、850μmを超える粒子の含有量が、通常0〜5重量%が好ましく、0〜3重量%がより好ましく、0〜1重量%が特に好ましい。すなわち、表面架橋を行う前の吸水性樹脂粒子の、重量平均粒子径(D50)が200〜500μmであり、粒子径が150μm未満の微粒子を0.1重量%以上含むことが好ましい。
粒度分布の対数標準偏差(σζ)は、0.25〜0.45が好ましく、0.30〜0.40がより好ましい。これらの物性値は、標準篩を用いて、例えば、国際公開第2004/069915号やEDANA−ERT420.2−02(「PSD」)に記載されている方法で測定される。また、本発明では、粒子径が150μm以上850μm未満である粒子の割合が全体に対して、95重量%以上が好ましく、98重量%以上がより好ましい(上限100重量%)。この粒度分布を有する乾燥物または粉体を表面架橋することが好ましい。また、上記表面架橋前の粒度は、好ましくは表面架橋後の粉体、さらには最終製品にも適用される。
本発明の吸水性樹脂の粒子形状としては、特に限定されず、不定形状、(略)球状、繊維状やそれらの造粒物等が挙げられるが、上述したように、球状の吸水性樹脂や高吸水速度の吸水性樹脂(多孔質の吸水性樹脂)の製造方法に好ましく適用される。
(i)吸水速度(FSR)
本発明の製造方法により得られる吸水性樹脂の吸水速度(FSR)は、紙オムツの吸水性能の観点から好ましくは0.2[g/g/s]以上、より好ましくは0.3[g/g/s]以上、さらに好ましくは0.35[g/g/s]以上、特に好ましくは0.4[g/g/s]以上である。
また、第二の発明においては、吸水速度を重視する観点から、0.30[g/g/s]以上であり、好ましくは0.40[g/g/s]以上である。
本発明の吸水性樹脂の製造方法は、上記吸水速度(FSR)の向上に好ましく適用され、より好ましくは上記高SFCにも適用され、吸水速度(FSR)と通液性(SFC)を両立する製造方法である。好ましくは、FSR;0.35[g/g/s]以上で、かつ、SFC;20[×10−7・cm・s・g−1]以上、更に好ましくは上記範囲の製造方法に適用される。
〔5〕ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の用途
本発明の吸水性樹脂の用途は、特に限定されないが、好ましくは、紙オムツ、生理用ナプキン、失禁パット等の吸収性物品に使用され得る。特に、従来、吸水性樹脂の原料由来の臭気、着色等が問題になっていた高濃度オムツ(1枚のオムツに多量の吸水性樹脂を使用したもの)に使用された場合、特に前記吸収性物品中の吸収体上層部に使用された場合に、特に優れた性能が発揮される。
この吸収性物品中の、任意に他の吸収性材料(パルプ繊維など)を含む吸収体における吸水性樹脂の含有量(コア濃度)は、30〜100重量%が好ましく、40〜100重量%がより好ましく、50〜100重量%がさらに好ましく、60〜100重量%が更により好ましく、70〜100重量%が特に好ましく、75〜95重量%が最も好ましい。
以下、実施例および比較例に従って本発明を説明するが、本発明はこれらに限定され解釈されるものではない。また、便宜上、「リットル」を「L」、「重量%」を「wt%」と記すことがある。なお、本発明で得られる吸水性樹脂の、特許請求の範囲や実施例に記載した諸物性は、特に記載のない限り、室温(20〜25℃)、湿度50RH%の条件下で、EDANA法および以下の測定例に従って求めた。なお、以下、得られる吸水性樹脂について、表面架橋前の吸水性樹脂を吸水性樹脂粒子、表面架橋後の吸水性樹脂を吸水性樹脂粉体と便宜上表記する。
(6−1)物性の測定方法
(a)樹脂固形分(固形分)
底面の直径が約50mmのアルミカップに、吸水性樹脂1.00gを量り取り、試料(吸水性樹脂およびアルミカップ)の総重量W1[g]を正確に秤量した。
次に、雰囲気温度180℃のオーブン中に上記試料を静置し、吸水性樹脂を乾燥させた。3時間経過後オーブンから該試料を取り出し、デシケーター中で室温まで冷却した。その後、乾燥後の試料(吸水性樹脂およびアルミカップ)の総重量W2[g]を秤量し、次式にしたがって固形分(単位;[重量%])を算出した。
なお、粒子状含水ゲル状架橋重合体(粒子状含水ゲル)の樹脂固形分を測定する際には、粒子状含水ゲルの採取量を2〜4g、乾燥時間を24時間に変更して行った。
(b)SFC(生理食塩水流れ誘導性)
本発明で得られる吸水性樹脂のSFC(生理食塩水流れ誘導性)は、米国特許第5669894号明細書の記載に従って測定した。
(c)その他の物性
本発明で得られる吸水性樹脂のCRC(無加圧下吸水倍率;上記「CRC」の項参照:ERT441.2−02に記載の方法)、AAP(加圧下吸水倍率;上記「AAP」の項参照:ERT441.2−02に記載の方法において、荷重条件を4.83kPaに変更)、粒度分布(上記「PSD」の項参照:ERT420.2−02に記載の方法)、pH可溶分(水可溶分;上記「Ext」の項参照:ERT470.2−02に記載の方法)、残存アクリル酸量(残存モノマー)(上記「Residual Monomers」の項参照:ERT410.2−02に記載の方法)等の物性については、上述したEDANAのERT、または米国特許出願公開第2006/204755号明細書に準じて測定した。また、FSR(Free Swell Rate(吸水速度))は米国特許公開公報第2007/225422号(対応日本特許公開公報第2007−284675号)の「FSR」を参照して測定した。
(6−2)実施例
[製造例1−1d]
本発明に係る吸水性樹脂の製造条件1として、以下に掲げる手法により、吸水性樹脂を連続的に生産した。
即ち、本発明に係る吸水性樹脂の連続製造装置(生産能力1500[kg/hr])として、重合工程、ゲル細粒化工程、乾燥工程、粉砕工程、第1分級工程、表面架橋工程(混合工程、加熱処理工程及び冷却工程)、第2分級工程、各工程間を連結する輸送工程、及び中間生成物を一時的に保管、貯蔵する中間タンク、中間ホッパーから構成される装置(図1参照)を用意した。なお、第1分級工程と表面架橋工程とを連結する輸送工程、表面架橋工程と第2分級工程とを連結する輸送工程は、それぞれ露点10℃の乾燥空気又は60℃の加熱空気を用いた空気輸送を採用した。当該連続製造装置を下記の条件にて稼働させ、吸水性樹脂の連続生産を開始した。
先ず、単量体水溶液として、中和率75モル%のアクリル酸部分ナトリウム塩水溶液(単量体濃度;37重量%)に、内部架橋剤であるポリエチレングリコールジアクリレート(平均重合度;9)0.06モル%(対単量体)を添加したものを用意した。
次に、上記単量体水溶液を定量ポンプを用いて重合装置に連続的に供給する際、窒素ガスを輸送配管の途中で吹き込んで溶存酸素量を0.5[mg/L]以下とした後、重合開始剤である過硫酸ナトリウム0.14g及びL−アスコルビン酸0.005g(対単量体1モル)をそれぞれ別々に連続的に添加し、ラインミキシングで混合した。その後、両端に堰を有する平面スチールベルト(重合装置)上に厚みが約30mmとなるように、当該単量体水溶液を供給して、95℃で30分間、静置水溶液重合を行った。以上の操作により、含水ゲル状架橋重合体を得た(重合工程)。
続いて、上記重合工程で得られた含水ゲル状架橋重合体(固形分;45重量%)を、60℃の雰囲気下で孔径7mmのミートチョッパーに連続的に供給してゲル粉砕し、粒子径が約1mmの粒子状含水ゲル状架橋重合体を得た(ゲル細粒化工程)。
次いで、上記粒子状含水ゲル状架橋重合体を連続通気バンド乾燥機の移動する多孔板上に、厚みが50mmとなるように広げて載せ、温度185℃、露点30℃の熱風で30分間乾燥した。その後、外気で冷却し、吸水性樹脂乾燥物(固形分;96重量%、粉温;60℃)を得た(乾燥工程)。
次に、上記吸水性樹脂乾燥物を3段ロールミル(ロールギャップ;上から1.0mm/0.7mm/0.5mm)に連続供給して粉砕し、吸水性樹脂粉砕物を得た(粉砕工程)。
引き続いて、当該吸水性樹脂粉砕物を粉温60℃を保った状態で、目開き1000μm、850μm及び150μmの金属篩を有する、篩口径1600mmの揺動式円形分級装置に連続的に供給して分級し、目開き150μmの金属篩上に残留する吸水性樹脂を吸水性樹脂粒子として採取した。なお、上記金属篩は、材質がSUS304、張り張力が50[N/cm]、篩内面の表面粗さRzが50nm、篩内面の表面粗さRaが4.8nm、篩面積が2[m/枚]であった。また、上記分級装置は60℃に保温され、装置内の雰囲気露点が13℃であり、振動数230rpm、ラジアル傾斜(勾配)11mm、タンジェンシャル傾斜(勾配)11mm、偏心量35mmであった。更に、当該分級装置は、接地抵抗値5Ωの除電が施され、バグフィルター付き排気装置によって0.11kPaまで減圧され、乾燥空気(温度60℃、露点10℃)2[m/hr]で通風されていた(第1分級工程)。
上記吸水性樹脂粒子の運転1日目の物性として、CRC;36[g/g]、固形分;96重量%、重量平均粒子径(D50);450μm、σζ;0.35であり、粒子径150μm以上850μm未満である粒子の割合が約98重量%であった。また、上記吸水性樹脂粒子は、粒子径が150μm未満の微粒子を2重量%含んでいた(粒子径が850μm以上の粒子は0重量%)。
次に、上記吸水性樹脂粒子100重量部に対して、1,4−ブタンジオール0.3重量部、プロピレングリコール0.5重量部及び純水2.7重量部からなる表面架橋剤溶液を作製した後、スプレーを用いて当該吸水性樹脂粒子に噴霧し、高速連続混合機(タービュライザー;1000rpm)で6秒間、混合した(混合工程)。続いて、加熱用パドルドライヤーに当該混合物を供給して198℃で40分間加熱処理し(加熱処理工程)、その後、粉温が60℃となるまで、同一仕様の冷却用パドルドライヤーで強制冷却して(冷却工程)、吸水性樹脂粉体を得た(表面架橋工程)。
引き続いて、上記表面架橋工程で得られた吸水性樹脂粉体を、粉温60℃を保った状態で、目開き850μmの金属篩を有する、篩口径1600mmの揺動式円形分級装置に連続的に供給して分級した。なお、上記金属篩は、材質がSUS304、張り張力が50[N/cm]、篩内面の表面粗さRzが50nm、篩内面の表面粗さRaが4.8nm、篩面積が2[m/枚]であった。更に、上記金属篩の下部(篩面から50mm下方)に、孔径20mmのステンレス製パンチングメタル(材質;SUS304、開孔率;40%)を設置し、その上に直径30mmのタッピングボール(ウレタン樹脂製、白色(乳白色)、断面積率(金属篩の面積に対するタッピングボールの断面積の比);16%、温度(熱風、篩面、吸水性樹脂からの加熱平衡温度);約60℃)を配置した。また、上記分級装置は60℃に保温され、装置内の雰囲気露点が13℃であり、振動数230rpm、ラジアル傾斜(勾配)11mm、タンジェンシャル傾斜(勾配)11mm、偏心量35mmであった。更に、当該分級装置は、接地抵抗値5Ωの除電が施され、バグフィルター付き排気装置によって0.11kPaまで減圧され、乾燥空気(温度60℃、露点10℃)2[m/hr]で通風されていた(第2分級工程)。
なお、目開き850μmの金属篩上の残留物については再度粉砕を行った後、目開き850μmの金属篩通過物と混合することで、全量が粒子径850μm未満である整粒された吸水性樹脂を得た。当該吸水性樹脂の運転1日目の物性として、含水率;1.5重量%、水可溶分;8.8重量%、重量平均粒子径(D50);450μm、σζ;0.36であった。
上述した運転条件で吸水性樹脂を連続生産しながら、製品1トン毎にサンプリングし合計20トン分について、その物性(CRC/AAP/SFC)を測定した。得られた20点のデータについて、その平均値及び標準偏差を求め、運転1日目の吸水性樹脂(1−1d)として評価した。結果を表1に示す。
[製造例1−30d]
上述した製造条件1で吸水性樹脂の連続製造装置を停止させることなく運転し、吸水性樹脂の連続生産を継続した。
吸水性樹脂性能の経時変化を調査するため、連続運転30日目から、製造例1−1dと同様の方法で、製品1トン毎にサンプリングし合計20トン分についてその物性を測定した。運転30日目の吸水性樹脂(1−30d)として、その結果を表1に示す。
当該吸水性樹脂(1−30d)のSFCは28[×10−7・cm・s・g−1]であり、運転1日目(吸水性樹脂(1−1d))と比較して、SFCの低下(36→28)が確認された。
SFC低下の原因を調査したところ、第1分級工程において、粒子径150μm以上850μm未満である粒子の割合が、運転1日目の約98重量%に対して約94重量%に低下していたことが判明した。つまり、微粉量の増加に伴って吸水性樹脂中の空隙率が低下し、SFCが低下したものと推定される。
[比較例1]
製造例1−30dで発生したSFC低下を解消するため、一時的に第1分級工程を停止し、揺動式円形分級装置のバキューム(吸引)洗浄を行った。当該バキューム(吸引)洗浄は、市販の吸引機を使用して、固形物等の異物が目視で確認できない程度まで行った。なお、第1分級工程以外の工程は停止することなく、稼働率を若干落とした状態で運転させた。
上記バキューム洗浄後、揺動式円形分級装置を復旧させ運転を再開したが、第1分級工程における粒子径150μm以上850μm未満である粒子の割合は約95重量%、SFCは29[×10−7・cm・s・g−1]であり、物性の回復が認められなかった。比較吸水性樹脂(1)として結果を表1に示す。
[実施例1]
比較例1のバキューム(吸引)洗浄では物性の回復が認められなかったため、再度、第1分級工程を停止し、揺動式円形分級装置の水洗を行った。当該水洗は、まず、金属篩を分級装置から取り外して、60℃の温水槽に1時間浸漬した。すると、篩の開口部に入り込んでいた多数の吸水性樹脂が膨潤することで視認できるようになった。この現象は、目開き150μmの金属篩で特に顕著であった。つまり、比較例1のバキューム(吸引)洗浄では、吸水性樹脂の除去が不十分であったといえる。
続いて、ケルヒャージャパン(株)製の高圧洗浄機で、50℃の工業用純水を吐出圧(ゲージ圧)200[kg/cm]で噴出させて、当該篩の開口部に入り込んでいた吸水性樹脂や分級装置のデットスペースに存在していた異物を、跡形もなくきれいに取り除いた。
上記水洗後、当該分級装置を高圧エアーにより乾燥して復旧させ、運転を再開したところ、第1分級工程における粒子径150μm以上850μm未満である粒子の割合が約98重量%、SFCが36[×10−7・cm・s・g−1]となり、運転1日目と同等レベルまで回復した。吸水性樹脂(1)として結果を表1に示す。
なお、製造例1−30d、比較例1及び実施例1の結果から、第1分級工程における揺動式円形分級装置(特に目開き150μmの金属篩)は、連続運転30日前後毎に水洗を行う必要がある。
[製造例1−120d]
上記実施例1に引き続いて、上述した製造条件1で吸水性樹脂の連続製造装置を停止させることなく運転し、吸水性樹脂の連続生産を継続した。なお、第1分級工程について、連続運転30日前後毎に揺動式円形分級装置の水洗を繰り返し行った。
上記の方法で連続運転を行っていたところ、製造例1−1d(運転初日)から120日目に吸水性樹脂中に褐色異物が検出(吸水性樹脂1000粒中に30〜40粒程度)された。当該褐色異物は、分析の結果、ポリアクリル酸ナトリウムであり、吸水性樹脂が変色したものであった。なお、褐色異物が検出された吸水性樹脂を便宜上、吸水性樹脂(1−120d)と表記する。
そこで、表面架橋工程(加熱処理工程)で使用されている加熱用パドルドライヤー(熱処理機)を開放して内部点検したところ、当該パドルドライヤーのデッドスペースに黒褐色に変色した異物(塊状物)が確認された。
[実施例2]
製造例1−120dで発生した黒褐色異物を取り除くため、一時的に表面架橋工程を停止し、加熱用パドルドライヤーの洗浄を行った。当該洗浄は、スパチュラを用いて黒褐色異物を目視で確認できない程度まで除去した(スパチュラ洗浄)。なお、当該表面架橋工程以外の工程は、停止することなく、稼働率を若干落とした状態で運転させた。
上記洗浄終了後、装置を復旧させ運転を再開したものの、吸水性樹脂中の黒褐色異物は完全には無くならず、検出(吸水性樹脂1000粒中に10〜20粒程度)された。なお、実施例2で得られた吸水性樹脂を便宜上、吸水性樹脂(2)と表記する。
[実施例3]
実施例2のスパチュラ洗浄では黒褐色異物の除去が不十分であったため、再度、表面架橋工程を停止し、加熱用パドルドライヤーの水洗を行った。当該水洗は、パドルドライヤーに60℃の温水(工業用純水)を投入し1時間程度浸漬させた後に、高圧洗浄装置で装置内部を工業用純水で洗浄することで行った。なお、温水の浸漬によって、デッドスペース等から吸水性樹脂が膨潤している様子が確認された。つまり、実施例2の洗浄では、褐色着色を完全に除去するには、吸水性樹脂の除去が不十分であったことが判明した。
続いて、(株)スギノマシン製高圧洗浄装置を用いて、装置内部の水洗を行った。当該水洗は、60℃の温水(工業用純水)を吐出圧(ゲージ圧)400[kg/cm]で噴出させて行い、パドルドライヤーのデッドスペースに入り込んでいた吸水性樹脂をきれいに跡形もなく取り除いた。
上記水洗後、当該パドルドライヤーを乾燥して復旧させ、運転を再開したところ、褐色異物は消失していた。吸水性樹脂(3)として結果を表1に示す。
なお、製造例1−120d、実施例2及び実施例3の結果から、表面架橋工程における加熱用パドルドライヤー(熱処理機)は、連続運転120日前後毎に水洗を行うことが好ましいことが考察される。
[製造例1−150d]
上記実施例3に引き続いて、上述した製造条件1で吸水性樹脂の連続製造装置を停止させることなく運転し、吸水性樹脂の連続生産を継続した。なお、第1分級工程について、連続運転30日前後毎に揺動式円形分級装置の水洗を繰り返し行った。また、表面架橋工程について、連続運転120日前後毎に加熱用パドルドライヤー(熱処理機)の水洗を行う必要がある。
上記の方法で連続運転を行っていたところ、製造例1−1d(運転初日)から150日目に粉砕工程の3段ロールミルから異音が発生し、吸水性樹脂粉砕物の粒度が不安定となった。なお、粒度が不安定となった吸水性樹脂を便宜上、吸水性樹脂(1−150d)と表記する。
そこで、当該3段ロールミルを開放して内部点検したところ、3段ロールミルの入口部分に未乾燥物(乾燥が完了していないゴム状の乾燥途上物)が多量に付着していた。そのため、前工程である乾燥工程の連続通気バンド乾燥機も開放して内部点検したところ、多孔板の開口部の一部が閉塞しており、乾燥効率の低下を招いていたと推定できる状況であった。
[実施例4]
製造例1−150dで発生した未乾燥物を取り除くため、連続通気バンド乾燥機及び3段ロールミルの洗浄を行った。当該洗浄は、ウエスを用いて未乾燥物を目視で確認できない程度まで除去した(ウエス洗浄)。なお、乾燥工程及び粉砕工程以外の工程は、停止することなく、稼働率を若干落とした状態で運転させた。
上記洗浄終了後、装置を復旧させ運転を再開したものの、依然として未乾燥物が発生し、吸水性樹脂粉砕物の粒度が若干不安定であった。なお、実施例4で得られた吸水性樹脂を便宜上、吸水性樹脂(4)を表記する。
[実施例5]
実施例4のウエス洗浄では未乾燥物の除去が不十分であったため、再度、乾燥工程及び粉砕工程を停止し、連続通気バンド乾燥機の多孔板及び3段ロールミルの水洗を行った。当該水洗は、(株)スギノマシン製高圧洗浄装置を用いて、60℃の温水(工業用純水)を吐出圧(ゲージ圧)400[kg/cm]で噴出させて行い、未乾燥物をきれいに跡形もなく取り除いた。
上記水洗後、当該乾燥機及びロールミルを高圧エアーにより乾燥して、運転を再開したところ、未乾燥物の発生はなく、運転初日の状態まで回復した。吸水性樹脂(5)として結果を表1に示す。
なお、製造例1−150d、実施例4及び実施例5の結果から、乾燥工程における連続通気バンド乾燥機及び粉砕工程における3段ロールミルは、連続運転150日前後毎に水洗を行うことが好ましいことが考察される。
[製造例2−1d]
本発明に係る吸水性樹脂の製造条件2として、以下に掲げる手法により、吸水性樹脂を連続的に生産した。
即ち、製造例1−1dにおける第2分級工程でタッピングボールを使用しなかった以外は製造例1−1dと同じ条件、操作を行って、吸水性樹脂(2−1d)を得た。当該吸水性樹脂の運転1日目の物性として、含水率;1.5重量%、水可溶分;8.7重量%、重量平均粒子径(D50);445μm、σζ;0.39であった。
上述した運転条件で吸水性樹脂を連続生産しながら、製品1トン毎にサンプリングし合計20トン分について、その物性(CRC/AAP/SFC)を測定した。得られた20点のデータについて、その平均値及び標準偏差を求め、運転1日目の吸水性樹脂(2−1d)として評価した。結果を表1に示す。
[製造例2−45d]
上述した製造条件2で吸水性樹脂の連続製造装置を停止させることなく運転し、吸水性樹脂の連続生産を継続した。なお、第1分級工程での揺動式円形分級装置、表面架橋工程での加熱用パドルドライヤー(熱処理機)及び乾燥工程・粉砕工程での乾燥機、3段ロールミルについては、それぞれ一定期間毎の水洗を予め工程管理した。
上記の方法で連続運転を行っていたところ、製造例2−1d(運転初日)から45日目にSFCの急激な低下が見られた。運転45日目の吸水性樹脂(2−45d)として、その結果を表1に示す。
当該吸水性樹脂(2−45d)のSFCは27[×10−7・cm・s・g−1]であり、運転1日目(吸水性樹脂(2−1d))と比較して、SFCの低下(34→27)が確認された。
SFC低下の原因を調査したところ、第2分級工程において、目開き850μmの金属篩に目詰まりが確認された。
[実施例6]
製造例2−45dで発生した不具合を解消するため、一時的に第2分級工程を停止し、揺動式円形分級装置(目開き850μmの金属篩)の洗浄を行った。当該洗浄は、人の手によって金属篩を叩き、目視で確認できない程度まで目詰まり物を除去した(手洗い)。なお、当該第2分級工程以外の工程は停止することなく、稼働率を若干落とした状態で運転させた。
上記洗浄終了後、装置を復旧させ運転を再開したものの、SFCは30[×10−7・cm・s・g−1]であり、物性の十分な回復が認められなかった。吸水性樹脂(6)として結果を表1に示す。
[実施例7]
実施例6の洗浄では物性の回復が十分認められなかったため、再度、第2分級工程を停止し、揺動式円形分級装置の水洗を行った。当該水洗は、まず、金属篩を分級装置から取り外して、60℃の温水(工業用純水)槽に1時間浸漬した。すると、篩の開口部に入り込んでいた多数の吸水性樹脂が膨潤することで視認できるようになった。つまり、実施例7の洗浄では、金属篩の目詰まりを完全に除去するには、吸水性樹脂の除去が不十分であったといえる。
続いて、ケルヒャージャパン(株)製の高圧洗浄機で、50℃の温水(工業用純水)を吐出圧(ゲージ圧)200[kg/cm]で噴出させて、当該篩の開口部に入り込んでいた吸水性樹脂や分級装置のデットスペースに存在していた異物を、跡形もなくきれいに取り除いた。
上記水洗後、当該分級装置を高圧エアーにより乾燥して復旧させ、運転を再開したところ、SFCが34[×10−7・cm・s・g−1]となり、運転1日目と同等レベルまで回復していた。吸水性樹脂(7)として結果を表1に示す。
なお、製造例2−45d、実施例6及び実施例7の結果から、タッピングボールを使用しない場合、第2分級工程における揺動式円形分級装置(特に目開き850μmの金属篩)は、連続運転45日前後毎に水洗を行うことが好ましいことが考察される。
[製造例3−1d]
本発明に係る吸水性樹脂の製造条件3として、以下に掲げる手法により、吸水性樹脂を連続的に生産した。
即ち、本発明に係る吸水性樹脂の連続製造装置(生産能力1500[kg/hr])として、重合工程、ゲル細粒化工程、乾燥工程、粉砕工程、第1分級工程、表面架橋工程(混合工程、加熱処理工程及び冷却工程)、第2分級工程、各工程間を連結する輸送工程、及び中間生成物を一時的に保管、貯蔵する中間タンク、中間ホッパーから構成される装置(図1参照)を用意した。なお、第1分級工程と表面架橋工程とを連結する輸送工程、表面架橋工程と第2分級工程とを連結する輸送工程は、それぞれ露点10℃の乾燥空気又は60℃の加熱空気を用いた空気輸送を採用した。当該連続製造装置を下記の条件にて稼働させ、吸水性樹脂の連続生産を開始した。
先ず、単量体水溶液として、中和率73モル%のアクリル酸部分ナトリウム塩水溶液(単量体濃度;38重量%)に、内部架橋剤であるポリエチレングリコールジアクリレート(平均重合度;9)0.09モル%(対単量体)を添加したものを用意した。
次に、上記単量体水溶液を定量ポンプを用いて重合装置に連続的に供給する際、窒素ガスを輸送配管の途中で吹き込んで溶存酸素量を0.5[mg/L]以下とした後、重合開始剤である過硫酸ナトリウム0.14g及びL−アスコルビン酸0.005g(対単量体1モル)をそれぞれ別々に連続的に添加し、ラインミキシングで混合した。その後、両端に堰を有する平面スチールベルト(重合装置)上に厚みが約30mmとなるように、当該単量体水溶液を供給して、97℃で30分間、静置水溶液重合を行った。以上の操作により、含水ゲル状架橋重合体を得た(重合工程)。
続いて、上記重合工程で得られた含水ゲル状架橋重合体(固形分;46重量%)を、60℃の雰囲気下で孔径7mmのミートチョッパーに連続的に供給してゲル粉砕し、粒子径が約1mmの粒子状含水ゲル状架橋重合体を得た(ゲル細粒化工程)。
次いで、上記粒子状含水ゲル状架橋重合体を連続通気バンド乾燥機の移動する多孔板上に、厚みが50mmとなるように広げて載せ、温度190℃、露点30℃の熱風で30分間乾燥した。その後、外気で冷却し、吸水性樹脂乾燥物(固形分;96.5重量%、粉温;60℃)を得た(乾燥工程)。
次に、上記吸水性樹脂乾燥物を3段ロールミル(ロールギャップ;上から1.0mm/0.6mm/0.48mm)に連続供給して粉砕し、吸水性樹脂粉砕物を得た(粉砕工程)。
引き続いて、当該吸水性樹脂粉砕物を粉温60℃を保った状態で、目開き850μm、710μm及び150μmの金属篩を有する、篩口径1600mmの揺動式円形分級装置に連続的に供給して分級し、目開き150μmの金属篩上に残留する吸水性樹脂を吸水性樹脂粒子として採取した。なお、上記金属篩は、材質がSUS304、張り張力が50[N/cm]、篩内面の表面粗さRzが50nm、篩内面の表面粗さRaが4.8nm、篩面積が2[m/枚]であった。また、上記分級装置は60℃に保温され、装置内の雰囲気露点が13℃であり、振動数230rpm、ラジアル傾斜(勾配)11mm、タンジェンシャル傾斜(勾配)11mm、偏心量35mmであった。更に、当該分級装置は、接地抵抗値5Ωの除電が施され、バグフィルター付き排気装置によって0.11kPaまで減圧され、乾燥空気(温度60℃、露点10℃)2[m/hr]で通風されていた(第1分級工程)。
上記吸水性樹脂粒子の運転1日目の物性として、CRC;33[g/g]、固形分;96重量%、重量平均粒子径(D50);400μm、σζ;0.36であり、粒子径150μm以上850μm未満である粒子の割合が約98重量%であった。また、上記吸水性樹脂粒子は、粒子径が150μm未満の微粒子を2重量%含んでいた(粒子径が850μmを超える粒子は0重量%であった)。
次に、上記吸水性樹脂粒子100重量部に対して、1,4−ブタンジオール0.36重量部、プロピレングリコール0.6重量部及び純水3.24重量部からなる表面架橋剤溶液を作製した後、スプレーを用いて当該吸水性樹脂粒子に噴霧し、高速連続混合機(タービュライザー;1000rpm)で6秒間、混合した(混合工程)。続いて、加熱用パドルドライヤーに当該混合物を供給して199℃で40分間加熱処理した(加熱処理工程)。
その後、粉温が60℃となるまで、同一仕様の冷却用パドルドライヤーで強制冷却した(冷却工程)。その際、上記加熱処理(表面架橋)された吸水性樹脂100重量部に対して、硫酸アルミニウム処理液1.5重量部を添加することで、表面をコーティングした吸水性樹脂粉体が得られた。なお、上記硫酸アルミニウム処理液は、水道用液体硫酸アルミニウム27重量%水溶液(浅田化学工業(株)製)1重量部に対して、50重量%の乳酸ナトリウム水溶液((株)武蔵野化学研究所製)0.3重量部及びプロピレングリコール0.1重量部を混合したものである(表面架橋工程)。
引き続いて、上記表面架橋工程で得られた吸水性樹脂粉体を、粉温60℃を保った状態で、目開き710μmの金属篩を有する、篩口径1600mmの揺動式円形分級装置に連続的に供給して分級した。なお、上記金属篩は、材質がSUS304、張り張力が50[N/cm]、篩内面の表面粗さRzが50nm、篩内面の表面粗さRaが4.8nm、篩面積が2[m/枚]であった。更に、上記金属篩の下部(篩面から50mm下方)に、孔径20mmのステンレス製パンチングメタル(材質;SUS304、開孔率;40%)を設置し、その上に直径30mmのタッピングボール(ウレタン樹脂製、白色(乳白色)、断面積率(金属篩の面積に対するタッピングボールの断面積の比);16%、温度(熱風、篩面、吸水性樹脂からの加熱平衡温度);約60℃)を配置した。また、上記分級装置は60℃に保温され、装置内の雰囲気露点が13℃であり、振動数230rpm、ラジアル傾斜(勾配)11mm、タンジェンシャル傾斜(勾配)11mm、偏心量35mmであった。更に、当該分級装置は、接地抵抗値5Ωの除電が施され、バグフィルター付き排気装置によって0.11kPaまで減圧され、乾燥空気(温度60℃、露点10℃)2[m/hr]で通風されていた(第2分級工程)。
なお、目開き710μmの金属篩上の残留物については再度粉砕を行った後、目開き710μmの金属篩通過物と混合することで、全量が粒子径710μm未満である整粒された吸水性樹脂を得た。当該吸水性樹脂の運転1日目の物性として、含水率;1.4重量%、水可溶分;6.3重量%、重量平均粒子径(D50);401μm、σζ;0.36であった。
上述した運転条件で吸水性樹脂を連続生産しながら、製品1トン毎にサンプリングし合計20トン分について、その物性(CRC/AAP/SFC)を測定した。得られた20点のデータについて、その平均値及び標準偏差を求め、運転1日目の吸水性樹脂(3−1d)として評価した。結果を表2に示す。
[製造例3−75d]
上述した製造条件3で吸水性樹脂の連続製造装置を停止させることなく運転し、吸水性樹脂の連続生産を継続した。なお、第1分級工程での揺動式円形分級装置、表面架橋工程での加熱用パドルドライヤー(熱処理機)及び乾燥工程・粉砕工程での乾燥機、3段ロールミルについては、それぞれ一定期間毎の水洗を予め工程管理した。
上記の方法で連続運転を行っていたところ、製造例3−1d(運転初日)から75日目にSFCの急激な低下が見られた。運転75日目の吸水性樹脂(3−75d)として、その結果を表2に示す。
当該吸水性樹脂(3−75d)のSFCは60[×10−7・cm・s・g−1]であり、運転1日目(吸水性樹脂(3−1d))と比較して、SFCの大幅な低下(110→60)が確認された。
SFC低下の原因を調査したところ、冷却工程のパドルドライヤーにおいて、パドル表面に硫酸アルミニウム処理液及び吸水性樹脂の塊状物が固着しており、添加した硫酸アルミニウム処理液が有効に吸水性樹脂に混合されていなかったことが判明した。
[実施例8]
製造例3−75dで発生した硫酸アルミニウム処理液及び吸水性樹脂の塊状物を取り除くため、一時的に表面架橋工程を停止し、冷却用パドルドライヤーの洗浄を行った。当該洗浄は、スパチュラを用いて上記塊状物を目視で確認できない程度まで除去した(スパチュラ洗浄)。なお、当該表面架橋工程以外の工程は、停止することなく、稼働率を若干落とした状態で運転させた。
上記洗浄終了後、装置を復旧させ運転を再開したものの、SFCは回復しなかった。吸水性樹脂(8)として、その結果を表2に示す。
[実施例9]
実施例8のスパチュラ洗浄では硫酸アルミニウム処理液及び吸水性樹脂の塊状物の除去が不十分であったため、再度、表面架橋工程を停止し、冷却用パドルドライヤーの水洗を行った。当該水洗は、パドルドライヤーに60℃の温水(工業用純水)を投入し1時間程度浸漬させた後に、高圧洗浄装置で装置内部を工業用純水で洗浄することで行った。なお、温水の浸漬によって、デッドスペース等から吸水性樹脂が膨潤している様子が確認された。つまり、実施例8の洗浄では、硫酸アルミニウム処理液及び吸水性樹脂の塊状物の除去が不十分であったことが判明した。
続いて、(株)スギノマシン製高圧洗浄装置を用いて、装置内部の水洗を行った。当該水洗は、60℃の温水(工業用純水)を吐出圧(ゲージ圧)400[kg/cm]で噴出させて行い、パドルドライヤーのデッドスペースに入り込んでいた硫酸アルミニウム処理液及び吸水性樹脂の塊状物をきれいに跡形もなく取り除いた。
上記水洗後、当該パドルドライヤーを乾燥して復旧させ、運転を再開したところ、SFCは110[×10−7・cm・s・g−1]となり、運転1日目と同等レベルまで回復した。吸水性樹脂(9)として結果を表2に示す。
なお、製造例3−75d、実施例8及び実施例9の結果から、表面架橋工程における冷却用パドルドライヤーは、アルミ処理を行う場合には連続運転75日前後毎に水洗を行うことが好ましいことが考察される。
[製造例4−1d]
本発明に係る吸水性樹脂の製造条件4として、以下に掲げる手法により、吸水性樹脂を連続的に生産した。
即ち、製造例3−1dにおける第2分級工程でタッピングボールを使用しなかった以外は製造例3−1dと同じ条件、操作を行って、吸水性樹脂(4−1d)を得た。当該吸水性樹脂の運転1日目の物性として、含水率;1.4重量%、水可溶分;6.4重量%、重量平均粒子径(D50);394μm、σζ;0.39であった。
上述した運転条件で吸水性樹脂を連続生産しながら、製品1トン毎にサンプリングし合計20トン分について、その物性(CRC/AAP/SFC)を測定した。得られた20点のデータについて、その平均値及び標準偏差を求め、運転1日目の吸水性樹脂(4−1d)として評価した。結果を表2に示す。
[製造例4−40d]
上述した製造条件4で吸水性樹脂の連続製造装置を停止させることなく運転し、吸水性樹脂の連続生産を継続した。なお、第1分級工程での揺動式円形分級装置、表面架橋工程での加熱用パドルドライヤー(熱処理機)及び乾燥工程・粉砕工程での乾燥機、3段ロールミルについては、それぞれ一定期間毎の水洗を予め工程管理した。更に表面架橋工程においてアルミ処理を行う場合には、冷却用パドルドライヤーについても、一定期間毎の水洗を予め工程管理しておく必要がある。
上記の方法で連続運転を行っていたところ、製造例4−1d(運転初日)から40日目にSFCの低下が見られた。運転40日目の吸水性樹脂(4−40d)として、その結果を表2に示す。
当該吸水性樹脂(4−40d)のSFCは93[×10−7・cm・s・g−1]であり、運転1日目(吸水性樹脂(4−1d))と比較して、SFCの低下(103→93)が確認された。
SFC低下の原因を調査したところ、第2分級工程において、目開き710μmの金属篩に目詰まりが確認された。
[実施例10]
製造例4−40dで発生した不具合を解消するため、一時的に第2分級工程を停止し、揺動式円形分級装置(目開き710μmの金属篩)の洗浄を行った。当該洗浄は、人の手によって金属篩を叩き、目視で確認できない程度まで目詰まり物を除去した(手洗い)。なお、当該第2分級工程以外の工程は停止することなく、稼働率を若干落とした状態で運転させた。
上記洗浄終了後、装置を復旧させ運転を再開したものの、SFCは94[×10−7・cm・s・g−1]であり、物性の回復があまり認められなかった。吸水性樹脂(10)として結果を表2に示す。
[実施例11]
実施例10の洗浄では物性の回復があまり認められなかったため、再度、第2分級工程を停止し、揺動式円形分級装置の水洗を行った。当該水洗は、まず、金属篩を分級装置から取り外して、60℃の温水(工業用純水)槽に1時間浸漬した。すると、篩の開口部に入り込んでいた多数の吸水性樹脂が膨潤することで視認できるようになった。つまり、実施例10の洗浄では、吸水性樹脂の除去が若干不十分であったといえる。
続いて、ケルヒャージャパン(株)製の高圧洗浄機で、50℃の温水(工業用純水)を吐出圧(ゲージ圧)200[kg/cm]で噴出させて、当該篩の開口部に入り込んでいた吸水性樹脂や分級装置のデットスペースに存在していた異物を、跡形もなくきれいに取り除いた。
上記水洗後、当該分級装置を高圧エアーにより乾燥して復旧させ、運転を再開したところ、SFCが104[×10−7・cm・s・g−1]となり、運転1日目と同等レベルまで回復していた。吸水性樹脂(11)として結果を表2に示す。
なお、製造例4−40d、実施例10及び実施例11の結果から、第2分級工程における揺動式円形分級装置(特に目開き710μmの金属篩)は、冷却工程においてアルミ処理を行う場合には連続運転40日前後毎に水洗を行うことが好ましいことが考察される。
[製造例5−1d]
本発明に係る吸水性樹脂の製造条件5として、以下に掲げる手法により、吸水性樹脂を連続的に生産した。
即ち、製造例3−1dにおける表面架橋工程において、タービュライザーに代え、プロシェアミキサー(太平洋機工製;回転数300rpm)で2分間混合した。当該吸水性樹脂の運転1日目の物性として、含水率;1.4重量%、水可溶分;6.3重量%、重量平均粒子径(D50);408μm、σζ;0.35であった。
上述した運転条件で吸水性樹脂を連続生産しながら、製品1トン毎にサンプリングし合計20トン分について、その物性(CRC/AAP/SFC)を測定した。得られた20点のデータについて、その平均値及び標準偏差を求め、運転1日目の吸水性樹脂(5−1d)として評価した。結果を表2に示す。
[製造例5−20d]
上述した製造条件5で吸水性樹脂の連続製造装置を停止させることなく運転し、吸水性樹脂の連続生産を継続した。なお、第1分級工程での揺動式円形分級装置、表面架橋工程での加熱用パドルドライヤー(熱処理機)、冷却用パドルドライヤー及び乾燥工程・粉砕工程での乾燥機、3段ロールミルについては、それぞれ一定期間毎の水洗を予め工程管理した。
上記の方法で連続運転を行っていたところ、製造例5−1d(運転初日)から20日目にAAP、SFCの値の低下が見られた。また、プロシェアミキサーの電流値が運転初日に比べ大きくなっていた。運転20日目の吸水性樹脂(5−20d)として評価し、結果を表2に示す。
[実施例12]
製造例5−20dにおいてプロシェアミキサーを停止して内部を確認したところ、回転パドルに強固な吸水性樹脂の付着が見られたため、スパチュラ洗浄を行った。上記洗浄後、運転を再開したが、プロシェアミキサーの電流値がすぐに洗浄前程度に戻り、AAP、SFCの値は低下していた。吸水性樹脂(12)として結果を表2に示す。
[実施例13]
実施例12では洗浄が不十分であったため、再度プロシェアミキサーを停止して工業純水を吹きかけて付着した吸水性樹脂を膨潤させ、きれいに拭き取った。上記洗浄後、運転を再開するとAAP、SFCの値は回復した。吸水性樹脂(13)として結果を表2に示す。
なお、製造例5−20d、実施例12及び実施例13の結果から、表面架橋工程における高速混合機は、連続運転20日前後毎に水洗を行うことが好ましいことが考察される。
[製造例6−1d]
本発明に係る吸水性樹脂の製造条件6として、以下に掲げる手法により、吸水性樹脂を連続的に生産した。
即ち、国際特許公開第2011/126079号パンフレットの実施例3を追試し、吸水性樹脂粒子及び吸水性樹脂を得た。
詳細には、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の製造装置として、重合工程、ゲル細粒化工程、乾燥工程、粉砕工程、分級工程、表面架橋工程、冷却工程、整粒工程、及び各工程間を連結する輸送工程から構成される連続製造装置を用意した。該連続製造装置の生産能力は約3500[kg/hr]であり、上記工程はそれぞれ1系列又は2系列であってもよい。2系列以上の場合、生産能力は各系列の合計量で示す。該連続製造装置を用いて、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂を連続的に製造した。
先ず、アクリル酸193.3重量部、48重量%水酸化ナトリウム水溶液64.4重量部、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均重合度9)1.26重量部、0.1重量%エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)5ナトリウム水溶液52重量部、脱イオン水134重量部からなる単量体水溶液を作製した。
次に、40℃に調温した上記単量体水溶液を定量ポンプで連続供給した後、更に48重量%水酸化ナトリウム水溶液97.1重量部を連続的にラインミキシングした。なお、この時、中和熱によって単量体水溶液の液温は85℃にまで上昇した。
更に、4重量%過硫酸ナトリウム水溶液8.05重量部を連続的にラインミキシングした後、両端に堰を備えた平面状の重合ベルトを有する連続重合装置に、厚みが約7.5mmとなるように連続的に供給した。その後、重合(重合時間3分間)が連続的に行われ、帯状の含水ゲル状架橋重合体を得た(重合工程)。
上記重合工程で得られた帯状の含水ゲル状架橋重合体を重合ベルトの進行方向に対して幅方向に、切断長が200mmとなるように等間隔に連続して切断した。
上記切断長が200mmの含水ゲル状架橋重合体を、スクリュー押出機に供給しゲル粉砕した。該スクリュー押出機としては、先端部に直径340mm、孔径22mm、孔数105個、開孔率52%、厚さ20mmの多孔板が備えられた、スクリュー軸の直径が152mmのミートチョッパーを使用した。該ミートチョッパーのスクリュー軸回転数を153rpmとした状態で、含水ゲル状架橋重合体を132800[g/min]で供給して、粒子状含水ゲル状架橋重合体を得た(ゲル細粒化工程)。
次に、上記粒子状含水ゲル状架橋重合体をゲル粉砕終了後1分以内に通気ベルト上に散布し、185℃で30分間乾燥を行い、吸水性樹脂乾燥物(粉温;約60℃)を得た(乾燥工程)。
次いで、上記乾燥工程で得られた吸水性樹脂乾燥物全量を3段ロールミルに連続供給して粉砕し(粉砕工程)、その後更に、目開き850μm及び150μmのJIS標準篩で分級することで、不定形破砕状の吸水性樹脂粒子を得た(第1分級工程)。
上記吸水性樹脂粒子の運転1日目の物性として、CRC;31.5[g/g]、固形分;93.6重量%、重量平均粒子径(D50);356μm、σζ;0.34であり、粒子径150μm以上850μm未満である粒子の割合が99.4重量%であった。また、上記吸水性樹脂粒子は、粒子径が150μm未満の微粒子を0.6重量%含んでいた(粒子径が850μm以上の粒子は0重量%)。
次に、上記吸水性樹脂粒子100重量部に対して、1,4−ブタンジオール0.3重量部、プロピレングリコール0.6重量部及び脱イオン水3.0重量部からなる共有結合性表面架橋剤溶液を均一に混合し(混合工程)、208℃で40分間加熱処理した(加熱処理工程)。その後、冷却を行い、27.5重量%硫酸アルミニウム水溶液(酸化アルミニウム換算で8重量%)1.17重量部、60重量%乳酸ナトリウム水溶液0.196重量部及ぶプロピレングリコール0.029重量部からなるイオン結合性表面架橋剤溶液を均一に混合した(冷却工程)。
その後、目開き850μmのJIS標準篩を通過するまで解砕し(第2分級工程)、吸水性樹脂を得た。
また、上述した運転条件で吸水性樹脂を連続生産しながら、製品1トン毎にサンプリングし合計20トン分について、その物性(CRC/AAP/SFC/FSR)を測定した。得られた20点のデータについて、その平均値及び標準偏差を求め、運転1日目の吸水性樹脂(6−1d)として評価した。結果を表3に示す。
なお、この吸水性樹脂(6−1d)をSEMで観察すると、吸水性樹脂(1−1d)に比べ、吸水性樹脂の表面に多くの凹凸が見られた。
[製造例6−25d]
上述した製造条件6で吸水性樹脂の連続製造装置を停止させることなく運転し、吸水性樹脂の連続生産を継続した。
吸水性樹脂性能の経時変化を調査するため、連続運転25日目から、製造例6−1dと同様の方法で、製品1トン毎にサンプリングし合計20トン分についてその物性を測定した。運転25日目の吸水性樹脂(6−25d)として、その結果を表3に示す。
当該吸水性樹脂(6−25d)のSFCは110[×10−7・cm・s・g−1]であり、運転1日目(吸水性樹脂(6−1d))と比較して、SFCの低下(116→110)が確認された。
SFC低下の原因を調査したところ、第1分級工程において、粒子径150μm以上850μm未満である粒子の割合が、運転1日目の99.4重量%に対して約96重量%に低下していたことが判明した。つまり、微粉量の増加に伴って吸水性樹脂中の空隙率が低下し、SFCが低下したものと推定される。
[比較例2]
製造例6−25dで発生したSFC低下を解消するため、一時的に第1分級工程を停止し、分級装置のバキューム(吸引)洗浄を行った。当該バキューム(吸引)洗浄は、市販の吸引機を使用して、固形物等の異物が目視で確認できない程度まで行った。なお、第1分級工程以外の工程は停止することなく、稼働率を若干落とした状態で運転させた。
上記バキューム洗浄後、分級装置を復旧させ運転を再開したが、第1分級工程における粒子径150μm以上850μm未満である粒子の割合は約97重量%、SFCは112[×10−7・cm・s・g−1]であり、物性の回復が認められなかった。比較吸水性樹脂(2)として結果を表3に示す。
[実施例14]
比較例2のバキューム(吸引)洗浄では物性の回復が認められなかったため、再度、第1分級工程を停止し、分級装置の水洗を行った。当該水洗は、まず、JIS標準篩を分級装置から取り外して、60℃の温水槽に1時間浸漬した。すると、篩の開口部に入り込んでいた多数の吸水性樹脂が膨潤することで視認できるようになった。この現象は、目開き150μmの金属篩で特に顕著であった。つまり、比較例2のバキューム(吸引)洗浄では、吸水性樹脂の除去が不十分であったといえる。
続いて、ケルヒャージャパン(株)製の高圧洗浄機で、50℃の工業用純水を吐出圧(ゲージ圧)200[kg/cm]で噴出させて、当該篩の開口部に入り込んでいた吸水性樹脂や分級装置のデットスペースに存在していた異物を、跡形もなくきれいに取り除いた。
上記水洗後、当該分級装置を高圧エアーにより乾燥して復旧させ、運転を再開したところ、第1分級工程における粒子径150μm以上850μm未満である粒子の割合が約99重量%、SFCが116[×10−7・cm・s・g−1]となり、運転1日目と同等レベルまで回復した。吸水性樹脂(14)として結果を表3に示す。
なお、製造例6−25d、比較例2及び実施例14の結果から、第1分級工程における分級装置(特に目開き150μmのJIS標準篩)は、製造条件6の場合連続運転25日前後毎に水洗を行う必要がある。
実施例1に比べて篩の水洗頻度が高いが、その原因は、篩の目開き程度の粒径の粉砕物の割合が多いため(実施例14:篩の目開きが175μmに対し重量平均粒子径(D50)が356μm、σζ;0.34、実施例1:篩の目開きが150μmに対し重量平均粒子径が450μm、σζ;0.35)、および、吸水性樹脂の凹凸が篩の目詰まりを起こしやすいためと考えられる。
[製造例7−1d]
本発明に係る吸水性樹脂の製造条件7として、以下に掲げる手法により、吸水性樹脂を連続的に生産した。
即ち、米国特許第6100305号明細書(対応日本特許第4286335号明細書)の実施例3を追試し、吸水性樹脂粒子及び吸水性樹脂を得た。
詳細には、アクリル酸83.2部、37重量%アクリル酸ナトリウム水溶液1662.8部、ポリエチレングリコールジアクリレート(平均エチレンオキサイド(EO)付加モル数8)5.5部及び脱イオン水654.5部を混合することにより、アクリル酸の中和率が85%であり、かつ単量体濃度が30重量%である単量体水溶液を調整した。
上記単量体水溶液を温度24℃に保ちながら、液中に窒素ガスを吹き込むことにより、単量体水溶液中の溶存酸素を追い出した。次いで、10重量%の2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩水溶液77部を、単量体水溶液に攪拌しながら添加した。
攪拌を開始してから3分後、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩を加えた単量体水溶液は白濁し、平均粒子径約9μmの白色の微粒子状固体が生成した。上記該微粒子状固体は、発泡剤としての2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二アクリル酸塩であった。
さらに、攪拌を開始してから5分後、窒素雰囲気下で攪拌しながらラジカル重合開始剤としての10重量%過硫酸ナトリウム水溶液10.8部および1重量%L−アスコルビン酸水溶液0.5部を上記該単量体水溶液に添加した。そして、上記該水溶液を十分に攪拌した後、静置した。
10重量%過硫酸ナトリウム水溶液及び1重量%L−アスコルビン酸水溶液を添加してから3分後に重合反応が始まった。重合反応は湯浴中で行い、上記該水溶液の温度上昇に湯浴の温度を追随させながら行った。10重量%過硫酸ナトリウム水溶液を添加してから26分後、過硫酸ナトリウム水溶液を添加した上記該水溶液の温度は97℃に達した。その後、温度を70℃〜90℃の範囲内に保ちながら、さらに20分間上記該水溶液を静置してアクリル酸塩系単量体の重合反応を完了させた。これにより、多孔質の架橋重合体である気泡を有する含水ゲル状架橋重合体を得た。
次いで、上記含水ゲル状架橋重合体を回転式解砕機により連続的に解砕した。解砕中の回転式解砕機における含水ゲル状架橋重合体の平均滞留時間、つまり解砕時間は、約0.25分間であった。解砕後の粒子状含水ゲル状架橋重合体の大きさは、その粒子径が約1mm〜15mmの範囲内であった。
解砕後の粒子状含水ゲル状架橋重合体を循環式熱風乾燥機で160℃、1時間乾燥した。ついで、乾燥後の吸水性樹脂乾燥物をロールミルで粉砕し、さらにJIS規格の標準篩いにより、メッシュの大きさが850μmの篩いを通過し、150μmの篩い上に残る粒子径を有する吸水性樹脂粒子を得た。
上記吸水性樹脂粒子の運転1日目の物性として、CRC;45.5[g/g]、固形分;95.1重量%、重量平均粒子径(D50);430μm、σζ;0.36であり、粒子径150μm以上850μm未満である粒子の割合が97.4重量%であった。また、上記吸水性樹脂粒子は、粒子径が150μm未満の微粒子を2.6重量%含んでいた(粒子径が850μm以上の粒子は0重量%)。
次いで、上記得られた吸水性樹脂粒子に対して、二次架橋処理を施した。すなわち、二次架橋処理用の処理液は、エチレングリコールジグリシジルエーテル0.05部、乳酸0.5部、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート0.02部、イソプロピルアルコール0.75部および水3部を混合することにより調整した。
続いて、得られた吸水性樹脂粒子100部と上記該処理液とを混合し、得られた混合物を195℃で30分間加熱処理し、吸水性樹脂を得た。
また、上述した運転条件で吸水性樹脂を連続生産しながら、製品1トン毎にサンプリングし合計20トン分について、その物性(CRC/AAP/SFC)を測定した。得られた20点のデータについて、その平均値及び標準偏差を求め、運転1日目の吸水性樹脂(7−1d)として評価した。結果を表3に示す。
なお、この吸水性樹脂(7−1d)をSEMで観察すると、吸水性樹脂(1−1d)に比べ、吸水性樹脂の表面に多くの凹凸が見られた。
[製造例7−20d]
上述した製造条件7で吸水性樹脂の連続製造装置を停止させることなく運転し、吸水性樹脂の連続生産を継続した。
吸水性樹脂性能の経時変化を調査するため、連続運転20日目から、製造例7−1dと同様の方法で、製品1トン毎にサンプリングし合計20トン分についてその物性を測定した。運転20日目の吸水性樹脂(7−20d)として、その結果を表3に示す。
但し、製造条件7で製造した吸水性樹脂は、荷重条件を2.06kPaに変更してAAPで測定した。
当該吸水性樹脂(7−20d)のAAPは29[g/g]であり、運転1日目(吸水性樹脂(7−1d))と比較して、AAPの低下(32→29)が確認された。
AAP低下の原因を調査したところ、第1分級工程において、粒子径150μm以上850μm未満である粒子の割合が、運転1日目の約96重量%に対して約92重量%に低下していたことが判明した。さらに微粉量の増加に伴って表面架橋工程において、表面架橋剤の混合性が悪化していることが判明した。
[比較例3]
製造例7−20dで発生したAAP低下を解消するため、一時的に第1分級工程を停止し、分級装置のバキューム(吸引)洗浄を行った。当該バキューム(吸引)洗浄は、市販の吸引機を使用して、固形物等の異物が目視で確認できない程度まで行った。なお、第1分級工程以外の工程は停止することなく、稼働率を若干落とした状態で運転させた。
上記バキューム洗浄後、分級装置を復旧させ運転を再開したが、第1分級工程における粒子径150μm以上850μm未満である粒子の割合は約93重量%、AAPは29[g/g]であり、物性の回復が認められなかった。比較吸水性樹脂(3)として結果を表3に示す。
[実施例15]
比較例3のバキューム(吸引)洗浄では物性の回復が認められなかったため、再度、第1分級工程を停止し、分級装置の水洗を行った。当該水洗は、まず、JIS標準篩を分級装置から取り外して、60℃の温水槽に1時間浸漬した。すると、篩の開口部に入り込んでいた多数の吸水性樹脂が膨潤することで視認できるようになった。この現象は、目開き150μmの金属篩で特に顕著であった。つまり、比較例3のバキューム(吸引)洗浄では、吸水性樹脂の除去が不十分であったといえる。
続いて、ケルヒャージャパン(株)製の高圧洗浄機で、50℃の工業用純水を吐出圧(ゲージ圧)200[kg/cm]で噴出させて、当該篩の開口部に入り込んでいた吸水性樹脂や分級装置のデットスペースに存在していた異物を、跡形もなくきれいに取り除いた。
上記水洗後、当該分級装置を高圧エアーにより乾燥して復旧させ、運転を再開したところ、第1分級工程における粒子径150μm以上850μm未満である粒子の割合が約96重量%、AAPが32[g/g]となり、運転1日目と同等レベルまで回復した。吸水性樹脂(15)として結果を表3に示す。
なお、製造例7−20d、比較例3及び実施例15の結果から、第1分級工程における分級装置(特に目開き150μmの金属篩)は、製造条件7の場合、連続運転20日前後毎に水洗を行う必要がある。
実施例1に比べて篩の水洗頻度が高いが、その原因は、吸水性樹脂の凹凸が篩の目詰まりを起こしやすいためと考えられる。
(まとめ)
上記表1〜表3に示した通り、長期間の連続運転で物性低下、褐色異物混入、未乾燥物の発生等が見られるが、一定期間毎に水洗を行うことでかかる問題もなく、高物性の吸水性樹脂を安定的に連続生産できる。
吸水性樹脂の物性を向上させ、かつ安定した連続生産を可能とする。

Claims (37)

  1. アクリル酸(塩)水溶液を重合して含水ゲル状架橋重合体を得る重合工程と、
    上記含水ゲル状架橋重合体を乾燥して吸水性樹脂乾燥物を得る乾燥工程と、
    上記吸水性樹脂乾燥物を分級して吸水性樹脂粒子を得る分級工程と、
    上記分級工程の前及び/又は後に、吸水性樹脂粒子を表面架橋する表面架橋工程とを順次含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の連続製造方法であって、
    上記乾燥工程以降の1以上の工程において、各工程で使用される装置に対して、吸水性樹脂との接触面を水洗することを特徴とする、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の連続製造方法。
  2. アクリル酸(塩)水溶液を重合して含水ゲル状架橋重合体を得る重合工程と、
    上記含水ゲル状架橋重合体を乾燥して吸水性樹脂乾燥物を得る乾燥工程と、
    上記吸水性樹脂乾燥物を分級して吸水性樹脂粒子を得る分級工程と、
    上記分級工程の前及び/又は後に、吸水性樹脂粒子を表面架橋する表面架橋工程とを順次含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の連続製造方法であって、
    上記吸水性樹脂の吸水速度(FSR)が0.30[g/g/s]以上であり、
    上記乾燥工程以降の1以上の工程において、各工程で使用される装置に対して、吸水性樹脂との接触面を水洗することを特徴とする、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の連続製造方法。
  3. アクリル酸(塩)水溶液を重合して含水ゲル状架橋重合体を得る重合工程と、
    上記含水ゲル状架橋重合体を乾燥して吸水性樹脂乾燥物を得る乾燥工程と、
    上記吸水性樹脂乾燥物を分級して吸水性樹脂粒子を得る分級工程と、
    上記分級工程の前及び/又は後に、吸水性樹脂粒子を表面架橋する表面架橋工程とを順次含む、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の連続製造方法であって、
    上記吸水性樹脂が球状、またはその造粒物であり、
    上記乾燥工程以降の1以上の工程において、各工程で使用される装置に対して、吸水性樹脂との接触面を水洗することを特徴とする、ポリアクリル酸(塩)系吸水性樹脂の連続製造方法。
  4. 上記水洗が、上記分級工程または表面架橋工程で行われる、請求項1〜3の何れか1項に記載の連続製造方法。
  5. 上記水洗が一定期間ごとに行われる、請求項1〜4の何れか1項に記載の連続製造方法。
  6. 上記水洗が温水で行われる、請求項1〜5の何れか1項に記載の連続製造方法。
  7. 上記水洗が加圧水流で行われる、請求項1〜6の何れか1項に記載の連続製造方法。
  8. 上記水洗が水への浸漬、あるいは装置内部への水の注入で行われる、請求項1〜7の何れか1項に記載の連続製造方法。
  9. 上記球状の吸水性樹脂が逆相懸濁重合で得られる、請求項3〜8の何れか1項に記載の連続製造方法。
  10. 上記球状の吸水性樹脂が気相への噴霧重合または液滴重合で得られる、請求項3〜9の何れか1項に記載の連続製造方法。
  11. 上記吸水性樹脂の吸水速度(FSR)が0.35[g/g/s]である、請求項1〜10の何れか1項に記載の連続製造方法。
  12. 上記重合工程が発泡重合である、請求項1〜11の何れか1項に記載の連続製造方法。
  13. 上記発泡重合が気体を分散した単量体水溶液の重合で行われる、請求項12に記載の連続製造方法。
  14. 上記水洗が下記(a)〜(e)から選ばれる少なくとも1つの装置で行われる、請求項1〜13の何れか1項に記載の連続製造方法。
    (a)乾燥工程での乾燥装置
    (b)加熱処理工程または冷却工程(表面架橋工程)での加熱処理装置または冷却装置
    (c)分級工程での分級装置
    (d)混合工程(水、水溶液または水分散液の混合工程、特に表面架橋工程)での混合装置
    (e)粉砕工程での粉砕装置
  15. 上記(a)〜(e)の複数の工程で水洗が行われる、請求項14に記載の連続製造方法。
  16. 上記水洗が、金属篩網またはパンチングメタルに対して行われる、請求項1〜15の何れか1項に記載の連続製造方法。
  17. 上記金属篩網が目開き50μm〜1mmの分級篩網である、請求項16に記載の連続製造方法。
  18. 上記パンチングメタルが、バンド乾燥機のパンチングメタルまたは流動層乾燥機のパンチングメタルである、請求項16に記載の連続製造方法。
  19. 上記水洗が、吸水性樹脂に水、水溶液または水分散液を混合する混合装置の内面に対して行われる、請求項1〜18の何れか1項に記載の連続製造方法。
  20. 上記水洗が、表面架橋工程における混合装置、加熱処理装置及び冷却装置の少なくとも1つの装置の内面に対して行われる、請求項1〜19の何れか1項に記載の連続製造方法。
  21. 運転時の温度が40〜100℃である装置に対して、水洗が行われる、請求項1〜20の何れか1項に記載の連続製造方法。
  22. 上記分級工程において、目開き45〜2000μmの金属篩網で構成される分級装置が使用される、請求項1〜21の何れか1項に記載の連続製造方法。
  23. 粒度変化又は通液性変化によって、水洗の実施時期を決定する、請求項1〜22の何れか1項に記載の連続製造方法。
  24. 上記表面架橋工程の前後に分級工程を行う、請求項1〜23の何れか1項に記載の連続製造方法。
  25. 表面架橋を行う前の吸水性樹脂粒子の重量平均粒子径(D50)が200〜500μmであり、粒子径が150μm未満の微粒子を0.1重量%以上含む、請求項1〜24の何れか1項に記載の連続製造方法。
  26. 吸水性樹脂の生理食塩水流れ誘導性(SFC)が10[×10−7・cm・s・g−1]以上である、請求項1〜25の何れか1項に記載の連続製造方法。
  27. 吸水性樹脂の吸水倍率(CRC)が20[g/g]以上で、生理食塩水流れ誘導性(SFC)が110[×10−7・cm・s・g−1]以上である、請求項1〜26の何れか1項に記載の連続製造方法。
  28. 吸水性樹脂の吸水速度(FSR)が0.35[g/g/s]以上で、生理食塩水流れ誘導性(SFC)が20[×10−7・cm・s・g−1]以上である、請求項1〜26の何れか1項に記載の連続製造方法。
  29. 乾燥工程後分級工程前に、1以上の粉砕工程を更に含む、請求項1〜28の何れか1項に記載の連続製造方法。
  30. 上記水洗が、上記粉砕工程または乾燥工程で行われる、請求項29に記載の連続製造方法。
  31. 上記吸水性樹脂乾燥物の形状が連続ニーダー重合又は連続ベルト重合で得られる不定形破砕状である、請求項1〜30の何れか1項に記載の連続製造方法。
  32. 上記表面架橋工程において、共有結合性表面架橋剤とイオン結合性表面架橋剤とを併用する、請求項1〜31の何れか1項に記載の連続製造方法。
  33. 上記分級工程に導入される吸水性樹脂乾燥物が界面活性剤を含み、温度が40℃以上に加熱又は保温される、請求項1〜32の何れか1項に記載の連続製造方法。
  34. 上記分級工程において、使用される金属篩網の下部にタッピング材を設置して分級する、請求項1〜33の何れか1項に記載の連続製造方法。
  35. 上記タッピング材の温度が40〜100℃である、請求項34項に記載の連続製造方法。
  36. 上記分級工程で使用される金属篩網について、その張り張力(テンション)が35〜100[N/cm]である、請求項1〜35の何れか1項に記載の連続製造方法。
  37. 30日間以上の連続製造が行われる、請求項1〜36の何れか1項に記載の連続製造方法。
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