JP2013067786A - ポリアミド樹脂組成物およびそれからなる成形体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジカルボン酸成分とジアミン成分とからなるポリアミド100質量部、繊維状強化材10〜80質量部および白色顔料10〜60質量部を含有するポリアミド樹脂組成物であって、ジカルボン酸成分の主成分がテレフタル酸であり、ジアミン成分の主成分が1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミンおよび1,12−ドデカンジアミンからなる群より選ばれた1種以上であり、前記ポリアミドの示差走査熱量計で測定される過冷却度が40℃以下であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)ジカルボン酸成分とジアミン成分とからなるポリアミド100質量部、繊維状強化材10〜80質量部および白色顔料10〜60質量部を含有するポリアミド樹脂組成物であって、ジカルボン酸成分の主成分がテレフタル酸であり、ジアミン成分の主成分が1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミンおよび1,12−ドデカンジアミンからなる群より選ばれた1種以上であり、前記ポリアミドの示差走査熱量計で測定される過冷却度が40℃以下であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
(2)ジアミン成分が、1,10−デカンジアミンであることを特徴とする(1)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(3)ポリアミド中のジアミン単位に対するトリアミン単位が0.3モル%以下であることを特徴とする(1)または(2)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(4)繊維状強化材が、ガラス繊維であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(5)白色顔料が、酸化チタンであることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(6)ポリアミド100質量部あたりに、さらに板状強化材を40質量部以下含有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(7)ポリアミド100質量部あたりに、さらに酸化防止剤を0.1〜5質量部含有することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(8)酸化防止剤がリン系酸化防止剤であることを特徴とする(7)に記載のポリアミド樹脂組成物。
(9)ポリアミド100質量部あたりに、さらに光安定剤を0.1〜5質量部含有することを特徴とする(1)〜(8)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
(10)(1)〜(9)のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる反射板。
(1)ポリアミドの相対粘度
96質量%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dL、25℃で測定した。
東ソー社製ゲル浸透クロマトグラフィ装置を用い、下記条件で調整した試料溶液にてGPC分析をおこなった後、ポリメチルメタクリレート(ポリマーラボラトリーズ社製)を標準試料として作成した検量線を用いて、重量平均分子量を求めた。
<試料調製>
ポリアミド5mgに10mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有ヘキサフルオロイソプロパノール2mlを加えて溶解後、ディスクフィルターで濾過した。
<条件>
・検出器:示差屈折率検出器RI−8010(東ソー社製)
・溶離液:10mMトリフルオロ酢酸ナトリウム含有ヘキサフルオロイソプロパノール
・流速:0.4mL/分
・温度:40℃
パーキンエルマー社製示差走査型熱量計DSC−7を用い、昇温速度20℃/分で350℃まで昇温した後、350℃で5分間保持し、降温速度20℃/分で25℃まで降温した際の発熱ピークのトップを与える温度を降温結晶化温度(Tcc)、さらに25℃で5分間保持後、再び昇温速度20℃/分で昇温測定した際の吸熱ピークのトップを融点(Tm)とした。融点と降温結晶化温度の差(Tm−Tcc)を過冷却度とした。過冷却度が小さいほど、結晶化が速いことを意味する。
ポリアミド10mgに47%臭化水素酸を3mL加え、130℃で20時間加熱後、蒸発乾固し、さらに80℃2時間減圧乾燥した。これにピリジン2mL、N,O−ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド1mLを加え、90℃で30分加熱した。冷却後、メンブランフィルターでろ過した溶液を、質量分析計を備えたガスクロマトグラフィー装置で分析した。別に測定した標準物質のジアミンとトリアミンにより得た検量線を用いてポリアミド中のジアミンとトリアミンを定量し、ジアミンに対するトリアミンのモル比を算出した。トリアミンの標準物質は、酸化パラジウムを触媒として用いて、オートクレーブ中にてジアミンを240℃で3時間加熱撹拌して反応させて得たトリアミン化合物を用いた。
ポリアミド樹脂組成物を用いて、JIS K7210に従って、340℃、1.2kgfの荷重で測定した。実用上、0.1〜50g/10分が好ましく、1〜40g/10分がより好ましい。
ポリアミド樹脂組成物を十分に乾燥した後、射出成形機(東芝機械社製EC100)を用いて射出成形をおこない、127mm×12.7mm×3.2mmの成形片を作製した。シリンダー温度(融点+25℃)、金型温度(融点−185℃)、射出圧力100MPa、射出時間10秒、取り出し時間5秒であった。
得られた成形片を用いて、ASTM D790に従って測定した。実用上、曲げ強度は100MPa以上が好ましく、曲げ弾性率は4GPa以上が好ましい。
(6)と同様にして100mm×40mm×2mmの成形片を作製した。得られた成形片を用いて、JIS Z8730に従って、ハンターの色差式による明度(L値)、赤色度(a値)および黄色度(b値)を求め、下記式により、白色度を算出した。
W=100−〔(100−L)2+a2+b2〕1/2
実用上、90%以上が好ましい。
(7)で得られた成形片を用いて、日本電色製スペクトロフォトメーターSE6000により、470nmの波長の光線反射率を測定した。実用上、反射率は85%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
(8)の成形片を180℃の熱風乾燥機で14時間加熱し、加熱前後での光線反射率の保持率を算出した。反射率保持率は70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
(6)で得られた成形片を40℃、95%RH(相対湿度)の雰囲気中に100時間放置後、赤外線加熱炉中、150℃で1分間加熱した。次いで100℃/分の速度で265℃まで昇温し、10秒間保持した。成形片に変形や膨れが発生しなかった場合を○、発生した場合を×とした。
(6)で成形体を成形する際、突出ピンで成形体に対し変形を与えないで容易に取出しが可能な最短の時間を計測した。ここで成形サイクルとは、同じ射出条件で連続して成形した際、1ショット目の成形体の射出が開始されてから、2ショット目の成形体の射出が開始されるまでの時間をいう。すなわち、一つの成形体を成形するのに要する時間(射出時間+冷却時間+取出し時間の合計)をいう。実用上、30秒以下が好ましく、25秒以下がより好ましい。
ファナック社製射出成形機S2000i−100Bを用いて、シリンダー温度を(融点+25℃)℃、金型温度を(融点−185℃)で設定した後、型締力100トン、射出圧力100MPa、射出速度50mm/秒、射出時間5秒で、シリンダー先端に片側1点ゲートの専用金型を取り付けて成形を行った。専用金型は、厚さ0.4mm、幅20mmのL字状の成形品が採取できる形状で、渦巻の中心にゲートを有するものであって、流動長は最大150mmである。
流動長が長いほど、流動性に優れていることを意味する。
ファナック社製射出成形機S2000i−100B型を用いて、シリンダー温度340℃、金型温度130℃で設定した後、型締力100トン、射出圧力100MPa、射出速度50mm/秒、成形サイクル20秒で試験片(127mm×12.7mm×3.2mm)を成形した。得られた試験片について、ASTM D790に準拠して引張強度を測定した。この引張強度を、「通常引張強度」とする。
また、射出成形機のシリンダー内に樹脂を10分間滞留させて、同様に射出成形を行い、試験片を得た。この試験片の引張強度を「滞留後引張強度」とする。以下の式を用いて、引張強度保持率を求め、滞留安定性の指標とした。
引張強度保持率(%)=滞留後引張強度/通常引張強度×100
実用上、引張強度保持率は80%以上が好ましく、90%以上がより好ましい。
(1)ジカルボン酸成分
・テレフタル酸
・イソフタル酸
・1,8−オクタンジアミン
・1,9−ノナンジアミン
・1,10−デカンジアミン
・1,12−ドデカンジアミン
・安息香酸
・GF−1: 旭ファイバーグラス社製ガラス繊維、商品名「03JAFT692」、平均繊維径10μm、平均繊維長3mm
・GF−2: 日本電気硝子社製ガラス繊維、商品名「ECS03T−786H」、平均繊維径10.5μm、平均繊維長3mm
・偏平GF: 日東紡社製偏平ガラス繊維、商品名「CSG3PA820S」、長径28μm×短径7μm、平均繊維長3mm
・酸化チタンA: 石原産業社製、商品名「タイペークCR−63」、平均粒径0.21μm
・酸化チタンB: 石原産業社製、商品名「タイペークCR−61」、平均粒径0.21μm
・酸化チタンC: 石原産業社製、商品名「タイペークPF−740」、平均粒径0.25μm
・IRG:BASF社製ヒンダードフェノール系化合物、商品名「Irganox1098」
・PA−1:クラリアントジャパン社製リン系酸化防止剤、テトラキス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)−4,4−ビフェニリレンジフォスファイト、商品名「ホスタノックスP−EPQ」
・PA−2:アデカ社製リン系酸化防止剤、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、商品名「アデカスタブPEP−36」
・PA−3:アデカ社製リン系酸化防止剤、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、商品名「アデカスタブPEP−4C」
・HPA:チバスペシャリティケミカルズ社製ヒンダードフェノール系酸化防止剤、N,N’−ヘキサン−1,6−ジイルビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオンアミド]、商品名「Irganox1098」
・CHI:BASF社製ヒンダードアミン系化合物、商品名「Chimassorb119FL」
[工程(i)]
ジアミン成分として1,10−デカンジアミン(5050質量部)、ジカルボン成分として粉末状テレフタル酸(4870質量部)、末端封鎖剤として安息香酸(72質量部)、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物(6質量部)をオートクレーブに入れ、100℃に加熱後、ダブルヘリカル型の攪拌翼を用いて回転数28rpmで撹拌を開始し、1時間加熱した。原料モノマーのモル比は、1,10−デカンジアミン:テレフタル酸=50:50であった。この混合物を、回転数を28rpmに保ったまま230℃昇温し、引き続き230℃で3時間加熱した。その際、塩と低重合体の生成反応と破砕は同時におこなった。その後、反応により生じた水蒸気を放圧し、反応物を得た。
工程(i)で得られた反応物を、乾燥機中、常圧窒素気流下、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド(P−1)を得た。
[工程(i)]
ジカルボン成分としてテレフタル酸粉末(4870質量部)、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム(6質量部)、末端封鎖剤としての安息香酸(72質量部)を、リボンブレンダー式の反応装置に入れ、窒素密閉下、ダブルヘリカル型の攪拌翼を用いて回転数30rpmで撹拌しながら170℃に加熱した。その後、温度を170℃に保ち、かつ回転数を30rpmに保ったまま、液注装置を用いて、100℃に加温したデカンジアミン(5050質量部)を、28質量部/分の速度で、3時間かけて連続的(連続液注方式)にテレフタル酸粉末に添加し反応物を得た。原料モノマーのモル比は、1,10−デカンジアミン:テレフタル酸=50:50であった。
工程(i)で得られた反応物を、引き続き工程(i)で用いたリボンブレンダー式の反応装置内で、窒素気流下、230℃に昇温し、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド(P−2)を得た。
樹脂組成、製造条件を表1のように変更する以外は、製造例2と同様にしてポリアミドを得た。
[工程(i)]
ジアミン成分として1,10−デカンジアミン(5050質量部)、ジカルボン成分として粉末状テレフタル酸(4870質量部)、末端封鎖剤として安息香酸(72質量部)、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物(6質量部)、蒸留水400質量部(原料モノマーの合計量100質量部に対して4質量部)をオートクレーブに入れ、100℃に加熱後、回転数28rpmで撹拌を開始し、1時間加熱した。原料モノマーのモル比は、1,10−デカンジアミン:テレフタル酸=50:50であった。この混合物を、回転数を28rpmに保ったまま230℃に昇温し、引き続き230℃で3時間加熱した。その際、塩と低重合体の生成反応と破砕は同時におこなった。その後、反応により生じた水蒸気を放圧し、反応物を得た。
工程(i)で得られた反応物を、乾燥機中、常圧窒素気流下、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド(P−6)を得た。
[工程(i)]
ジアミン成分として1,10−デカンジアミン(5050質量部)、ジカルボン酸成分として平均粒径80μmの粉末状テレフタル酸(4870質量部)、末端封鎖剤として安息香酸(72質量部)、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物(6質量部)、蒸留水9200質量部(原料モノマーの合計量100質量部に対して、92質量部)をオートクレーブに入れ、100℃に加熱後、回転数28rpmで撹拌を開始し、1時間加熱した。原料モノマーのモル比は、1,10−デカンジアミン:テレフタル酸=50:50であった。この混合物を、回転数を28rpmに保ったまま230℃に昇温し、引き続き230℃で3時間加熱した。その際、塩と低重合体の生成反応と破砕は同時におこなった。その後、反応により生じた水蒸気を放圧し、反応物を得た。
工程(i)で得られた反応物を、乾燥機中、常圧窒素気流下、230℃で5時間加熱して重合しポリアミド(P−8)を得た。
末端封鎖剤の含有量を変更する以外は、製造例1と同様にしてポリアミドを得た。
ポリアミド(P−1)100質量部、酸化チタンA 25質量部をクボタ社製ロスインウェイト式連続定量供給装置CE−W−1を用いて計量し、スクリュー径37mm、L/D40の同方向二軸押出機(東芝機械社製TEM37BS)の主供給口に供給し、サイドフィーダーよりガラス繊維(GF)を30質量部供給し溶融混練をおこなった。320℃〜340℃、スクリュー回転数250rpm、吐出量35kg/時間であった。その後、ストランド状に引き取った後、水槽に通して冷却固化し、それをペレタイザーでカッティングしてポリアミド樹脂組成物を得た。
表2に示すように、樹脂組成を変更した以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂組成物を得た。なお、ガラス繊維はサイドフィーダーから、その他は主供給口から供給した。
実施例1と同様の操作をおこなったが、繊維状強化材の含有量が高かったため、ストランドが切断し、ポリアミド樹脂組成物を得ることができなかった。
実施例1と同様の操作をおこなったが、白色顔料の含有量が高かったため、ストランドが切断し、ポリアミド樹脂組成物を得ることができなかった。
実施例22〜26は、リン系酸化防止剤を用いたため、リン系酸化防止剤を含有していない実施例1と比較して、滞留安定性が向上していた。
比較例2は、白色顔料の含有量が少なかったため、白色度や反射率が低かった。
比較例3は、繊維状強化材の含有量が少なかったため、曲げ強度や曲げ弾性率が低かった。
Claims (10)
- ジカルボン酸成分とジアミン成分とからなるポリアミド100質量部、繊維状強化材10〜80質量部および白色顔料10〜60質量部を含有するポリアミド樹脂組成物であって、ジカルボン酸成分の主成分がテレフタル酸であり、ジアミン成分の主成分が1,8−オクタンジアミン、1,10−デカンジアミンおよび1,12−ドデカンジアミンからなる群より選ばれた1種以上であり、前記ポリアミドの示差走査熱量計で測定される過冷却度が40℃以下であることを特徴とするポリアミド樹脂組成物。
- ジアミン成分が、1,10−デカンジアミンであることを特徴とする請求項1に記載のポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド中のジアミン単位に対するトリアミン単位が0.3モル%以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のポリアミド樹脂組成物。
- 繊維状強化材が、ガラス繊維であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 白色顔料が、酸化チタンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド100質量部あたりに、さらに板状強化材を40質量部以下含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド100質量部あたりに、さらに酸化防止剤を0.1〜5質量部含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 酸化防止剤がリン系酸化防止剤であることを特徴とする請求項7に記載のポリアミド樹脂組成物。
- ポリアミド100質量部あたりに、さらに光安定剤を0.1〜5質量部含有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物。
- 請求項1〜9のいずれかに記載のポリアミド樹脂組成物を成形してなる反射板。
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