JP2015074714A - ポリアミド樹脂およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を含有し、ジアミン成分としてキシリレンジアミンを含有するポリアミド樹脂であって、トリアミン成分の含有量が少ないポリアミド樹脂を提供する。【解決手段】ジカルボン酸成分とジアミン成分とからなるポリアミド樹脂であって、ジカルボン酸成分におけるテレフタル酸の含有量が60モル%以上であり、ジアミン成分におけるキシリレンジアミンの含有量が80モル%以上であり、ジアミン成分から副生されたトリアミン成分の含有量がジアミン成分の0.3モル%以下であることを特徴とするポリアミド樹脂。【選択図】なし

Description

本発明は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を含有し、ジアミン成分としてキシリレンジアミンを含有するポリアミド樹脂に関するものである。
ジカルボン酸成分とジアミン成分とからなるポリアミド樹脂のうち、ジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸成分を有するポリアミド樹脂は、ナイロン6、ナイロン66などの脂肪族ポリアミド樹脂と比較すると、耐熱性に優れており、さらに低吸水性であるため寸法安定性においても優れている。このような特性を利用して、芳香族ジカルボン酸成分を有するポリアミド樹脂は、特に電気・電子部品、自動車部品用成形体の分野において広く使用されている。
また、特許文献1、2には、ジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸成分を有するとともに、ジアミン成分としてパラキシリレンジアミンやメタキシリレンジアミンなどの芳香環を含有する脂肪族ジアミン成分を有するポリアミド樹脂が開示されている。
上記のようなジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸成分を有し、ジアミン成分として脂肪族ジアミン成分を有する半芳香族ポリアミド樹脂の溶融重合反応においては、反応系に存在する水によって、ジアミン成分からトリアミン成分が副生することが知られている。そして、このトリアミン成分により、ポリアミド樹脂中にゲルが生じ、ポリアミド樹脂の物性が損なわれることがあった。
特開平7−324130号公報 特開平8−127653号公報
本発明の課題は、上記問題を解決し、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸を含有し、ジアミン成分としてキシリレンジアミンを含有するポリアミド樹脂であって、トリアミン成分の含有量が少ないポリアミド樹脂を提供することを目的とする。
本発明者等は、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、本発明に到達した。すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1)ジカルボン酸成分とジアミン成分とからなるポリアミド樹脂であって、ジカルボン酸成分におけるテレフタル酸の含有量が60モル%以上であり、ジアミン成分におけるキシリレンジアミンの含有量が80モル%以上であり、ジアミン成分から副生されたトリアミン成分の含有量がジアミン成分の0.3モル%以下であることを特徴とするポリアミド樹脂。
(2)融点(Tm)と降温結晶化温度(Tcc)との差(Tm−Tcc)である過冷却度(ΔT)が40〜60℃であることを特徴とする(1)記載のポリアミド樹脂。
(3)上記(1)または(2)記載のポリアミド樹脂を製造するための方法であって、下記の工程(ia)を含むことを特徴とするポリアミド樹脂の製造方法。
(ia)ジカルボン酸成分の温度を、150℃以上かつテレフタル酸の融点以下の温度の範囲に保ちながら、ジアミン成分を、粉末状態のテレフタル酸を含むジカルボン酸成分に添加して混合物を得る工程。
(4)上記(1)または(2)記載のポリアミド樹脂を製造するための方法であって、下記の工程(ib)を含むことを特徴とするポリアミド樹脂の製造方法。
(ib)ジカルボン酸とジアミンの合計100質量部に対して、5質量部以下である水の存在下、80〜150℃で、溶融状態のキシリレンジアミンと、固体状態のテレフタル酸とを含有する、ジカルボン酸成分とジアミン成分の懸濁液を得、次いで、この懸濁液を、200℃以上かつポリアミド樹脂の融点未満の温度で、ジカルボン酸成分とジアミン成分とからなる塩および/または低重合体を生成させる工程。
(5)さらに、下記の工程(ii)を含むことを特徴とする(3)または(4)記載のポリアミド樹脂の製造方法。
(ii)工程(ia)で得られた混合物、または工程(ib)で得られた塩および/または低重合体を、200℃以上かつポリアミド樹脂の融点未満の温度で固相重合する工程。
(6)上記(1)または(2)記載のポリアミド樹脂を成形してなる成形体。
本発明によれば、ポリアミド樹脂中に含まれるトリアミン成分の含有量が少なく、耐熱性に優れ、高結晶性であるポリアミド樹脂を提供することができる。
以下、本発明について説明する。
本発明のポリアミド樹脂は、ジカルボン酸成分とジアミン成分とからなる。
本発明においては、ジカルボン酸成分として、芳香族ジカルボン酸のテレフタル酸を含有することが必要である。ジカルボン酸成分として、テレフタル酸を含有すると、他の芳香族ジカルボン酸成分や、脂肪族ジカルボン酸成分、脂環式ジカルボン酸成分を用いた場合と比較して、融点が高いポリアミド樹脂を得ることができる。したがって、テレフタル酸の含有量は、ジカルボン酸成分の60モル%以上であることが必要であり、70モル%以上であることが好ましい。
本発明において、テレフタル酸以外に含有されるジカルボン酸成分としては、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸が挙げられる。
本発明においては、ジアミン成分として、キシリレンジアミンを含有することが必要である。キシリレンジアミンとしては、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、オルトキシリレンジアミンのいずれか1種、または2種以上であればよいが、ポリアミド樹脂の融点と結晶性のバランスの観点から、メタキシリレンジアミンを含有することが好ましい。
キシリレンジアミンの含有量は、ジアミン成分の80モル%以上であることが必要であり、90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましい。
本発明において、キシリレンジアミン以外に含有されるジアミン成分としては、1,2−エタンジアミン、1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミン、1,7−ヘプタンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,9−ノナンジアミン、1,10−デカンジアミン、1,11−ウンデカンジアミン、1,12−ドデカンジアミンなどの脂肪族ジアミン、シクロヘキサンジアミンなどの脂環式ジアミンが挙げられる。
本発明のポリアミド樹脂は、上記ジカルボン酸成分とジアミン成分とから構成されるため、融点(Tm)を高くすることができ、具体的には、融点を280〜360℃とすることができる。ポリアミド樹脂の融点が280℃未満であると、得られる成形体は耐熱性が不足することがある。また、融点が360℃を超えるポリアミド樹脂は、成形において分解が促進され、成形性が低下することがある。
本発明のポリアミド樹脂は、結晶性が特定の範囲に制御されていることが好ましい。本発明において、結晶性の指標として、示差走査熱量計を用いて測定した過冷却度(ΔT)が用いられる。過冷却度ΔTは、ポリアミド樹脂の融点(Tm)と、降温結晶化温度(Tcc)との差(Tm−Tcc)と定義されるものであり、ポリアミド樹脂は、過冷却度(ΔT)が小さい程、溶融状態からの結晶化が速く、高結晶性を有するものとなる。
本発明のポリアミド樹脂は、過冷却度(ΔT)が40〜60℃であることが好ましく、45〜55℃であることがより好ましい。過冷却度(ΔT)が40℃未満であるポリアミド樹脂は、結晶性が高くなりすぎるため、成形性が低下する場合がある。一方、60℃を超えるポリアミド樹脂は、結晶性に劣るものとなり、成形性が低下する場合がある。
本発明のポリアミド樹脂は、ジアミン成分として上述のようなキシリレンジアミンを用いるため、過冷却度(ΔT)を40〜60℃とすることができる。
本発明のポリアミド樹脂の相対粘度は、特に限定されず、目的に応じて適宜設定すればよい。例えば、成形加工が容易なポリアミド樹脂を得ようとすれば、相対粘度を1.80以上とすることが好ましい。
本発明のポリアミド樹脂において、トリアミン成分の含有量は、ジアミン成分の0.3モル%以下であることが必要であり、0.2モル%以下であることが好ましい。ポリアミド樹脂中のトリアミン成分の含有量が0.3モル%を超えると、ポリアミド樹脂の結晶性が低下したり、ポリアミド樹脂がゲル化するため好ましくない。ゲル化を抑制する観点からは、ポリアミド樹脂中に含まれるトリアミン成分は少なければ少ないほうがよい。
上記トリアミン成分は、ポリアミド樹脂の重合反応において、ジアミン成分から副生されるものであり、その含有量を、ジアミン成分の0.3モル%以下とするためには、ジカルボン酸成分とジアミン成分とから塩を生成するに際し、水の含有量を、原料モノマーの合計100質量部に対して5質量部以下に制御し、かつ重合開始から終了するまでの温度を、生成するポリアミド樹脂の融点未満の温度とすることが肝要である。これについて以下に述べる。
ポリアミド樹脂の重合反応において、加熱重合反応を均一的に進行させるために、水の共存下、原料を混合し、加熱して脱水反応を進行させる方法が用いられている。しかしながら、このような方法においては、重合時の水分量が、原料モノマーの合計100質量部に対して5質量部を超えて多くなると、重合度の上昇が抑制されるという問題がある。その場合、アミン末端が多い状態での重合装置中の滞留時間が長くなり、ジアミン成分同士の縮合反応により副生するトリアミン成分の量が増加する。その結果、ポリアミド樹脂の一部が架橋構造をとり、ゲル化が促進される。このようなトリアミン成分の副生は、脂肪族ポリアミド樹脂の重合に比較して、半芳香族ポリアミド樹脂の重合において顕著である。従って、本発明のポリアミド樹脂のように、トリアミン成分がジアミン成分の0.3モル%以下であるポリアミド樹脂を得るためには、水の含有量を、原料モノマーの合計100質量部に対して5質量部以下とすることが必要であり、実質的に水を配合させないことがより好ましい。
ポリアミド樹脂を製造する一般的な方法としては、溶融重合法、溶融押出法、固相重合法などの加熱重合法や、溶液重合法などが挙げられる。本発明のポリアミド樹脂の融点は、280℃〜360℃と高く、分解温度に近いものである。そのため、生成するポリアミド樹脂の融点以上の温度で反応させる溶融重合法や溶融押出法などの製造方法は、アミド結合を熱分解したり、またトリアミン成分の含有量を増加する原因となるため、本発明のポリアミド樹脂を製造する方法としては不適当である。したがって、本発明のポリアミド樹脂は、生成するポリアミド樹脂の融点未満の温度で重合をおこなう固相重合によって製造することが好ましい。
一般に、ポリアミド樹脂の製造は、モノマーから反応物を得る工程と、この反応物を重合する工程とに分けられる。本発明においては、トリアミン成分の含有量がジアミン成分の0.3モル%以下であるポリアミド樹脂を得るために、前者の工程を、重合系中の水分が少ない条件で実施することが好ましく、具体的には、原料のジカルボン酸とジアミンとの合計100質量部に対して、水の含有量が5質量部以下である条件で実施することが必要である。また水とともに有機溶剤を含有する場合もそれらの合計量が5質量部以下であることが必要である。
本発明において、水分の少ない条件下で実施するために、モノマーから反応物を得る工程は、ジカルボン酸成分の温度を、150℃以上かつテレフタル酸の融点以下の温度の範囲に保ちながら、ジアミン成分を、粉末状態のテレフタル酸を含むジカルボン酸成分に添加して混合物を得る工程(工程(ia))であることが好ましい。
また、モノマーから反応物を得る工程は、80〜150℃で、溶融状態のキシリレンジアミンと、固体状態のテレフタル酸とを含有する、ジカルボン酸成分とジアミン成分の懸濁液を得、次いで、この懸濁液を、200℃以上かつポリアミド樹脂の融点未満の温度で、ジカルボン酸成分とジアミン成分とからなる塩および/または低重合体を生成させる工程(工程(ib))であることが好ましい。この工程では、反応をさせながら破砕を行なってもよいし、反応後に一旦取り出してから破砕を行なってもよい。
上記工程(ia)や(ib)は、常圧で行なわれることもあるが、縮合反応により生成する水に起因する加圧状態で行われることもあり、系内の圧力は適宜選択することができる。
本発明においては、固体状態のテレフタル酸と、溶融状態のキシリレンジアミンとの反応効率を確保するため、テレフタル酸のモード径は、5μm〜1mmであることが好ましく、20〜200μmであることがより好ましい。テレフタル酸のモード径を1mm以下とすることで、塩の生成反応を早く進行することができる。また、5μm以上とすることで、粉体の飛散が軽減し、粉体の取扱が容易になるという利点がある。
本発明においては、上記工程(ia)や工程(ib)において得られた反応物を固相重合する工程(ii)を含むことが好ましい。
工程(ii)は、工程(ia)で得られた混合物や、工程(ib)で得られた塩および/または低重合体を、200℃以上かつポリアミド樹脂の融点未満の温度で固相重合する方法であり、これにより、所定の分子量まで高分子量化させたポリアミド樹脂が得られる。
工程(ii)において、固相重合温度が、生成するポリアミドの融点以上の温度である場合、ジアミン成分に対するトリアミン成分の含有量が多くなる。また、ポリアミド樹脂の熱分解が促進され、ポリアミド樹脂の色調が低下する場合がある。一方、固相重合温度が200℃未満であると重合反応が不十分となる場合がある。固相重合温度は、200〜270℃であることが好ましく、200〜250℃であることがより好ましい。
工程(ii)における固相重合反応の反応時間は、最終的に到達するポリアミド樹脂の分子量と生産性のバランスの観点から、反応温度に達してから0.5〜10時間の範囲であることが好ましく、0.5〜8時間がより好ましい。
工程(ii)における固相重合反応は、窒素などの不活性ガス気流中でおこなってもよく、減圧下でおこなってもよい。また、静置しておこなってもよく、攪拌しながらおこなってもよい。この場合においても、常に最終的に生成するポリアミド樹脂の融点以下で、反応がおこなわれる。
重合触媒としては、特に限定されないが、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸またはそれらの塩等を用いることができる。触媒の使用量は、生成するポリアミド樹脂の品質向上の観点から、原料モノマーであるジカルボン酸とジアミンの合計に対して、2モル%以下が好ましく、1モル%以下がより好ましい。
本発明のポリアミド樹脂を製造するに際し、重合度の調整、分解や着色の抑制等を目的として、ポリアミド樹脂の末端基を封鎖するための末端封鎖剤を添加することが好ましい。末端封鎖剤は、工程(ia)、工程(ib)、工程(ii)のいずれの工程で添加してもよい。
末端封鎖剤としては、ポリアミド樹脂の末端基との反応性の観点から、モノカルボン酸、モノアミンが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。モノカルボン酸としては、酢酸、ラウリン酸、ステアリン酸、安息香酸等が挙げられる。モノアミンとしては、ステアリルアミン、オクチルアミン、シクロヘキシルアミン、アニリン等が挙げられる。
末端封鎖剤の添加量は、生成するポリマーの分子量の観点から、原料モノマーであるジカルボン酸成分とジアミン成分の合計に対して、5モル%以下が好ましく、2モル%以下がより好ましい。
本発明のポリアミドを製造するに際し、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、重合触媒や末端封鎖剤以外の添加剤を加えてもよい。添加剤としては、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤等が挙げられる。これらの添加剤は任意の段階で添加することができる。
本発明のポリアミド樹脂は、射出成形、押出成形、ブロー成形等の公知の成形方法により、本発明の成形体を成形することができる。成形加工する場合、繊維状補強材、充填材、顔料等を添加してもよい。繊維状補強材としては、ガラス繊維や炭素繊維等が挙げられる。充填材としては、タルク、膨潤性粘土鉱物、シリカ、アルミナ、ガラスビーズ、グラファイト等が挙げられる。顔料としては、酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。
本発明の成形体は、耐熱性、機械強度、成形性に優れているため、トランスミッション周り、エンジン周り、ランプ周りで使用する自動車部品や電気・電子部品として使用できる。トランスミッション周りの自動車部品としては、シフトレバー、ギアボックス等の台座に用いるベースプレート等が挙げられる。エンジン周りの自動車部品としては、シリンダーヘッドカバー、エンジンマウント、エアインテークマニホールド、スロットルボディ、エアインテークパイプ、ラジエータタンク、ラジエータサポート、ラジエータホース、ウォーターポンプレンレット、ウォーターポンプアウトレット、サーモスタットハウジング、クーリングファン、ファンシュラウド、オイルパン、オイルフィルターハウジング、オイルフィルターキャップ、オイルレベルゲージ、タイミングベルトカバー、エンジンカバー等が挙げられる。ランプ周りの自動車部品としては、ランプリフレクタ、ランプハウジング、ランプエクステンション、ランプソケット等が挙げられる。また、電気・電子部品としては、コネクタ、LEDリフレクタ、スイッチ、センサー、ソケット、コンデンサー、ジャック、ヒューズホルダー、リレー、コイルボビン、抵抗器、ICやLEDのハウジング等が挙げられる。
また、本発明のポリアミド樹脂は、Tダイ押出、インフレーション成形により各種フィルム、シートなどの成形体とすることができる。これらのフィルムやシートは、スピーカー振動板、フィルムコンデンサ、絶縁フィルムとして使用できる。
また、本発明のポリアミド樹脂は、溶融紡糸法、フラッシュ紡糸法、エレクトロスピニング法により各種繊維などの成形体とすることができる。これらの繊維は、高耐熱産業資材用繊維として、エアーバッグ基布、耐熱フィルター等として使用できる。
次に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
各種の物性測定は以下の方法によっておこなった。
(1)ポリアミド樹脂の相対粘度
96%硫酸を溶媒とし、濃度1g/dL、25℃で測定した。
(2)融点(Tm)、降温結晶化温度(Tcc)、過冷却度(ΔT)
示差走査型熱量計(パーキンエルマー社製 DSC−7)を用い、ポリアミド樹脂を昇温速度20℃/分で350℃まで昇温した後、350℃で5分間保持した。その後、降温速度20℃/分で25℃まで降温した際の発熱ピークのトップを与える温度を降温結晶化温度(Tcc)とし、さらに25℃で5分間保持後、再び昇温速度20℃/分で昇温測定した際の吸熱ピークのトップを融点(Tm)とした。融点(Tm)と降温結晶化温度(Tcc)の差(Tm−Tcc)を過冷却度(ΔT)とした。
過冷却度(ΔT)が小さいほど結晶性が高いことを示す。
(3)トリアミン成分の含有量
ポリアミド樹脂10mgに、47%臭化水素酸3mLを加え、130℃で16時間加熱後、室温まで放冷した。そこに20%水酸化ナトリウム水溶液を5mL加えて、試料溶液をアルカリ性にした後、分液ロートに移してクロロホルムを8mL加えて撹拌した後静置し、クロロホルム層を採り、濃縮した。濃縮した試料にクロロホルム1.5mLを加え、これをメンブランフィルターで濾過したものを測定試料とした。この測定試料を、質量分析計を備えたガスクロマトグラフィー装置(アジレント・テクノロジー社製 Agilent 6890N)で分析した。ジアミン成分とトリアミン成分の標準試料をもとに作成した検量線を用いて、ポリアミド樹脂中のジアミン成分とトリアミン成分を定量し、ジアミン成分に対するトリアミン成分のモル比を算出した。ジアミン成分の標準物質は、重合原料のジアミンを用いた。また、トリアミン成分の標準物質は、酸化パラジウムを触媒として、前記ジアミンをオートクレーブ中240℃で3時間加熱攪拌して反応させて得たトリアミン化合物を用いた。
(4)荷重たわみ温度
ASTM D648に従って、荷重1.8MPaで、ポリアミド樹脂成形体の熱変形温度を測定した。
(5)成形性
100個連続して成形したポリアミド樹脂成形体を目視で観察し、ヒケやバリがない成形体の個数から、以下の基準で評価した。
○:ヒケやバリがない成形体の数が90個以上である。
△:ヒケやバリがない成形体の数が50〜89個である。
×:ヒケやバリがない成形体の数が49個以下である。
(6)ゲル化物の発生
100個連続して成形したポリアミド樹脂成形体を目視で観察し、ゲル化物のある成形体の個数から、以下の基準で評価した。
○:ゲル化物のある成形体の数が9個以下である。
×:ゲル化物のある成形体の数が10個以上である。
(7)曲げ強度、曲げ弾性率
ポリアミド樹脂組成物を十分に乾燥した後、射出成形機(東芝機械社製EC100)を用いて射出成形をおこない、127mm×12.7mm×3.2mmの成形片を作製した。シリンダー温度は(融点+25℃)、金型温度は(融点−185℃)、射出圧力は100MPa、射出時間は10秒、取り出し時間5秒とした。
得られた成形片を用いて、ASTM D790に従って測定した。
(8)ジカルボン酸のモード径
目開きが2mmの篩を用いて塊状物を取り除いたジカルボン酸の粉粒体を、蒸留水に分散させ、超音波を1分かけて凝集を解除した。その後、HORIBA社製レーザ回折/散乱式粒度分布測定装置LA−920を用い、吸光度が適正範囲になる濃度で、モード径と粒子径が50μm以下の粒子の割合を測定した。
実施例および比較例で用いた原料を以下に示す。
(1)ジカルボン酸成分
・TPA:テレフタル酸(融点300℃以上、モード径130μm)
・IPA:イソフタル酸(融点343℃、モード径100μm)
・ADA:アジピン酸(融点152℃、モード径120μm)
(2)ジアミン成分
・MXD:メタキシリレンジアミン(融点14℃)
・PXD:パラキシリレンジアミン(融点62℃)
・DDA:1,12−ドデカンジアミン(融点68℃)
(3)モノカルボン酸成分
・ST:ステアリン酸(融点70℃)
実施例1
[工程(ia)]
粉末状テレフタル酸(5159質量部)と、末端封鎖剤として分子量284のステアリン酸(383.3質量部)と、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物(17.31質量部)を、リボンブレンダー式の反応装置に入れ、窒素密閉下、回転数30rpmで撹拌しながら170℃に加熱した。その後、温度を170℃に保ち、かつ回転数を30rpmに保ったまま、液注装置を用いて、メタキシリレンジアミン(4441質量部)を、2.5時間かけて連続的(連続液注方式)にテレフタル酸粉末に添加し反応物を得た。原料モノマーのモル比は、テレフタル酸:メタキシリレンジアミン:ステアリン酸=48:50:2であった。
[工程(ii)]
工程(ia)得られた反応物を、同じ反応装置で、窒素気流下、240℃、回転数30rpmで8時間加熱して固相重合してポリアミド樹脂を得た。
実施例2〜7、比較例1〜3
ジアミン成分、ジカルボン酸成分の種類や使用量、また製造条件を表1のように変更した以外は、実施例1と同様にしてポリアミド樹脂を得た。
実施例8
[工程(ib)]
ジアミン成分としてメタキシリレンジアミン(4441質量部)と、ジカルボン酸成分として粉末状のテレフタル酸(5159質量部)と、末端封鎖剤としてステアリン酸(383.3質量部)と、重合触媒として次亜リン酸ナトリウム一水和物(17.31質量部)とを用い、これらをオートクレーブに入れて80℃に保ちながら、また回転数28rpmで撹拌を開始して、1時間加熱した。
得られた懸濁液を、回転数を28rpmに保ったまま240℃に昇温した。その後240℃で3時間加熱した。加熱を終了し、反応により生じた水蒸気を放圧後冷却した。なお、得られた塩および低重合体の混合物は破砕されていた。
[工程(ii)]
工程(ib)で得られた混合物を、常圧窒素気流下、240℃で5時間加熱して、固相重合し、ポリアミド樹脂を得た。
実施例9〜15、比較例4
ジアミン成分、ジカルボン酸成分の種類や使用量、また製造条件を表1のように変更した以外は、実施例8と同様にしてポリアミド樹脂を得た。
実施例、比較例におけるポリアミド樹脂の組成、製造条件、およびポリアミド樹脂とその成形体の特性を表1に示す。
Figure 2015074714
実施例1〜15で得られたポリアミド樹脂は、ポリアミド樹脂中に含まれるトリアミン成分の含有量がジアミン成分の0.3モル%以下であったため、ゲル化が抑制されていた。さらに過冷却度(ΔT)が本発明で規定する好ましい範囲にあったため、高い結晶性を有するものであった。また、実施例1〜15で得られたポリアミド樹脂成形体は、耐熱性に優れるものであった。
実施例6、13〜15で得られたポリアミド樹脂は、ジアミン成分がパラキシリレンジアミンであるため、特に高い融点を有していた。
実施例14では、工程(ib)において水が添加されていたが、その添加量が少ないため、得られたポリアミド樹脂は、トリアミン成分の含有量が本発明で規定する範囲であり、十分に実用に耐えうるものであった。
比較例1は、ジアミン成分としてキシリレンジアミンに代えて1,12−ドデカンジアミンを用いたため、得られたポリアミド樹脂を成形して得られた成形体は、バリやヒケが多く見られた。
比較例2は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸に代えて脂肪族ジカルボン酸のアジピン酸を用いたため、得られたポリアミド樹脂は、融点や荷重たわみ温度が非常に低く、耐熱性の樹脂として利用できないものであった。
比較例3は、工程(ia)の温度が低かったため、重合できなかった。
比較例4は、工程(ib)における水の添加量が多いため、得られたポリアミド樹脂は、トリアミン成分の含有量がジアミン成分の0.3モル%を超えるものとなった。その結果、このポリアミド樹脂を成形して得られた成形体には、ゲル化物を有するものが多かった。

Claims (6)

  1. ジカルボン酸成分とジアミン成分とからなるポリアミド樹脂であって、ジカルボン酸成分におけるテレフタル酸の含有量が60モル%以上であり、ジアミン成分におけるキシリレンジアミンの含有量が80モル%以上であり、ジアミン成分から副生されたトリアミン成分の含有量がジアミン成分の0.3モル%以下であることを特徴とするポリアミド樹脂。
  2. 融点(Tm)と降温結晶化温度(Tcc)との差(Tm−Tcc)である過冷却度(ΔT)が40〜60℃であることを特徴とする請求項1記載のポリアミド樹脂。
  3. 請求項1または2記載のポリアミド樹脂を製造するための方法であって、下記の工程(ia)を含むことを特徴とするポリアミド樹脂の製造方法。
    (ia)ジカルボン酸成分の温度を、150℃以上かつテレフタル酸の融点以下の温度の範囲に保ちながら、ジアミン成分を、粉末状態のテレフタル酸を含むジカルボン酸成分に添加して混合物を得る工程。
  4. 請求項1または2記載のポリアミド樹脂を製造するための方法であって、下記の工程(ib)を含むことを特徴とするポリアミド樹脂の製造方法。
    (ib)ジカルボン酸とジアミンの合計100質量部に対して、5質量部以下である水の存在下、80〜150℃で、溶融状態のキシリレンジアミンと、固体状態のテレフタル酸とを含有する、ジカルボン酸成分とジアミン成分の懸濁液を得、次いで、この懸濁液を、200℃以上かつポリアミド樹脂の融点未満の温度で、ジカルボン酸成分とジアミン成分とからなる塩および/または低重合体を生成させる工程。
  5. さらに、下記の工程(ii)を含むことを特徴とする請求項3または4記載のポリアミド樹脂の製造方法。
    (ii)工程(ia)で得られた混合物、または工程(ib)で得られた塩および/または低重合体を、200℃以上かつポリアミド樹脂の融点未満の温度で固相重合する工程。
  6. 請求項1または2記載のポリアミド樹脂を成形してなる成形体。

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