JP2013060500A - ポリスチレン系樹脂粒子、発泡性樹脂粒子、発泡粒子、発泡成形体及びそれらの製造方法 - Google Patents

ポリスチレン系樹脂粒子、発泡性樹脂粒子、発泡粒子、発泡成形体及びそれらの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】圧縮強度と曲げ強度に優れた発泡成形体を少ない蒸気量で与え得るポリスチレン系樹脂粒子を提供することを課題とする。
【解決手段】ポリスチレン系樹脂粒子の中心部のATR法による赤外分光分析で得られた吸光度比D1730/D1600が0.10〜0.80であり、かつGPC法により測定される2つの平均分子量であるリニアー換算Z+1平均分子量(Mz+1)とリニアー換算重量平均分子量(Mw)の比(Mz+1/Mw)が5〜15であり、かつリニアー換算Z+1平均分子量(Mz+1)が125万〜500万である表層部を有することを特徴とするポリスチレン系樹脂粒子により課題を解決する。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリスチレン系樹脂粒子、発泡性樹脂粒子、発泡粒子、発泡成形体及びそれらの製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、少ない蒸気量で成形可能であり、かつ圧縮強度と曲げ強度に優れた発泡成形体を与え得るポリスチレン系樹脂粒子、この樹脂粒子から得られる発泡性樹脂粒子、発泡粒子、発泡成形体及びそれらの製造方法に関する。
従来、発泡成形体は軽量かつ、断熱性に優れることから魚箱や食品容器等の輸送用梱包材に使用されている。その中でも発泡性樹脂粒子を原料として製造される型内発泡成形体は所望の形状を得やすい等の利点から多く使用されている。
発泡成形体を製造するための原料である発泡性樹脂粒子として、発泡性ポリスチレン粒子が汎用されており、例えば次のようにして発泡成形体が得られている。即ち、発泡性ポリスチレン粒子のような発泡性樹脂粒子を蒸気で加熱して予備発泡させて発泡粒子(予備発泡粒子)を得る。得られた予備発泡粒子を金型のキャビティ内に充填する。次いで、充填された予備発泡粒子を蒸気で二次発泡させつつ、予備発泡粒子同士の熱融着により一体化させることで発泡成形体を得ることができる。この発泡成形体の製造法は、ビーズ法と称されている。近年、省エネルギーの観点から蒸気をボイラー等で生成する際に必要な重油量の削減が求められており、少ない蒸気量で発泡成形体を製造できる発泡性ポリスチレン系樹脂粒子が要望されている。
一般に、上記のようなビーズ法により得られた発泡成形体は、予備発泡粒子同士を熱融着により一体化させているため、融着面の強度が融着面以外より弱かった。この融着面の強度の弱さは、特に曲げ強度の要素が大きい、曲げ弾性率や箱形状での箱側面の引張弾性率を劣らせるという短所につながっている。特に少ない蒸気量で成形した場合、予備発泡粒子同士の熱融着の強度が劣る傾向にあり、その結果、十分な曲げ強度を有する発泡成形体が得られない場合が多い。従って、曲げに強い発泡成形体を提供すること望まれている。
蒸気量を低減する観点から、特開2011−26508号公報(特許文献1)において、少ない蒸気量で外観、融着に優れた発泡成形体を提供可能な発泡性ポリスチレン系樹脂粒子が提案されている。
特開2011−26508号公報
上記公報に記載された技術でも、十分な圧縮強度と曲げ強度を有する発泡成形体を省エネルギーで得ることができる。しかし、更なる省エネルギー性向上の観点から、より少ない蒸気量でも成形性を維持したままで、圧縮強度と曲げ強度を有する発泡成形体の提供が望まれていた。
本発明の発明者は、発泡成形体の圧縮強度と曲げ強度を向上するために、ポリスチレン系樹脂粒子中の樹脂成分の吸光度比と平均分子量について見直した。その結果、中心部の吸光度比と表層部に含まれる樹脂成分の平均分子量が特定の範囲であれば、少ない蒸気量でも発泡成形体に優れた圧縮強度と曲げ強度を与えうるポリスチレン系樹脂粒子を提供できることを見い出し、本発明に至った。
かくして本発明によれば、ポリスチレン系樹脂粒子の中心部のATR法による赤外分光分析で得られた吸光度比D1730/D1600が0.10〜0.80であり、かつGPC法により測定される2つの平均分子量であるリニアー換算Z+1平均分子量(Mz+1)とリニアー換算重量平均分子量(Mw)の比(Mz+1/Mw)が5〜15であり、かつリニアー換算Z+1平均分子量(Mz+1)が125万〜500万である表層部を有することを特徴とするポリスチレン系樹脂粒子が提供される。
本発明によれば、上記ポリスチレン系樹脂粒子と、発泡剤とを含む発泡性樹脂粒子が提供される。
更に、本発明によれば、上記発泡性樹脂粒子を発泡させて得られ、0.01〜0.04g/cm3の嵩密度を有する発泡粒子が提供される。
また、本発明によれば、上記発泡粒子を発泡成形させて得られ、GPC法により測定される比(Mz+1/Mw)が5〜15であり、かつMz+1が125万〜500万である表層部を有する発泡成形体が提供される。
更に本発明によれば、上記ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法であり、
ポリスチレン系樹脂の種粒子に、スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体を含む第1単量体混合物を吸収させて前記種粒子内で重合させる第1工程と、
前記第1工程を経て得られた粒子に、スチレン系単量体を吸収させつつ重合を行う第2工程と、
前記第2工程を経て得られた粒子に、スチレン系単量体と分子中に2〜3個のビニル基を有する多官能性単量体とを含む単量体混合物を吸収させつつ重合を行う第3工程とを含み、
前記第2単量体混合物の重合が、第2工程を経て得られた前記粒子中の第2単量体混合物の重合転化率を80質量%以上、100質量%未満の範囲に維持しつつ行われることを特徴とするポリスチレン系樹脂粒子の製造方法が提供される。
また、本発明によれば、発泡性樹脂粒子の製造方法であり、
ポリスチレン系樹脂の種粒子に、スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体を含む第1単量体混合物を吸収させて前記種粒子内で重合させる第1工程と、
前記第1工程を経て得られた粒子に、スチレン系単量体を吸収させつつ重合を行う第2工程と、
前記第2工程を経て得られた粒子に、スチレン系単量体と分子中に2〜3個のビニル基を有する多官能性単量体とを含む第2単量体混合物を吸収させつつ重合を行う第3工程と、
前記第3工程中の粒子又は第3工程を経て得られた前記粒子に発泡剤を吸収させることで発泡性樹脂粒子を得る工程とを含み、
前記第2単量体混合物の重合が、第2工程を経て得られた前記粒子中の第2単量体混合物の重合転化率を80質量%以上、100質量%未満の範囲に維持しつつ行われることを特徴とする発泡性樹脂粒子の製造方法が提供される。
更に、本発明によれば、上記発泡粒子を、型内に充填した後に、110〜150℃の熱媒体で5〜50秒間加熱して発泡粒子間を融着させて発泡成形体を得る工程を含むことを特徴とする発泡成形体の製造方法が提供される。
本発明によれば、少ない蒸気量でも、圧縮強度や曲げ強度に優れた発泡成形体を与えうる、ポリスチレン系樹脂粒子、発泡性樹脂粒子及び発泡粒子を提供できる。この効果は、中心部の吸光度比と表層部の樹脂成分の平均分子量が特定の範囲であることにより奏されると発明者は考えている。本発明の圧縮強度と曲げ強度に優れた発泡成形体により、箱形状とした場合の箱側面の引張弾性率が省エネルギーで向上できる。
本発明の発泡成形体は、従来の発泡成形体より薄くても、同程度の圧縮強度と曲げ強度を得ることができる。そのため原料であるポリスチレン系樹脂粒子の使用量を削減できる。発泡成形体の軽量化による輸送コストの削減も可能となる。本発明によれば、このような圧縮強度と曲げ強度に優れた発泡成形体をより省エネルギーで得るためのポリスチレン系樹脂粒子、発泡性樹脂粒子を得る方法を提供できる。
また、ポリスチレン系樹脂粒子が、スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体の共重合体を含有し、アクリル酸エステル系単量体が、炭素数1〜15のアルキル基のエステルである場合、より圧縮強度と曲げ強度に優れた発泡成形体を省エネルギーで与えうる樹脂粒子を提供できる。
更に、ポリスチレン系樹脂粒子が、スチレン系単量体と分子中に2〜3個のビニル基を有する多官能性単量体との共重合体を含む場合、より圧縮強度と曲げ強度に優れた発泡成形体を省エネルギーで与えうる樹脂粒子を提供できる。
また、多官能性単量体が、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートから選択される単量体である場合、より圧縮強度と曲げ強度に優れた発泡成形体を省エネルギーで与えうる樹脂粒子を提供できる。
更に、ポリスチレン系樹脂粒子が、粒子全体として、4.5〜14.0の比Mz+1/Mwと、110万〜400万のMz+1とを有する場合、より圧縮強度と曲げ強度に優れた発泡成形体を省エネルギーで与えうる樹脂粒子を提供できる。
また、ポリスチレン系樹脂粒子が、ATR法による赤外分光分析で、0.01〜0.05の範囲の表面領域の吸光度比D1730/D1600を有する場合、より圧縮強度と曲げ強度に優れた発泡成形体を省エネルギーで与えうる樹脂粒子を提供できる。
中心部の吸光度比と圧縮強度との関係を示すグラフである。 表層部のMz+1と曲げ弾性率との関係を示すグラフである。
(ポリスチレン系樹脂粒子)
(1)吸光度比D1730/D1600
吸光度比D1730/D1600は、ATR法による赤外分光分析により測定された、赤外吸収スペクトル中、1600cm-1での吸光度に対する1730cm-1での吸光度の比を意味する。ここで、1730cm-1の吸収はアクリル酸エステルに含まれるエステル基のC=O間の伸縮振動に由来するピークを示している。1600cm-1の吸収はポリスチレン系樹脂に含まれるベンゼン環の面内振動に由来するピークの存在を示している。
ここで、本発明における赤外分光分析とは、全反射吸収(Attenuated Total Reflectance)を利用する一回反射型ATR法により赤外吸収スペクトルを測定する分析方法である。この分析方法は、高い屈折率を持つATRプリズムを試料に密着させ、ATRプリズムを通して赤外線を試料に照射し、ATRプリズムからの出射光を分光分析する方法である。
ATR法赤外分光分析は、試料とATRプリズムとを密着させるだけでスペクトルを測定できるという簡便さ、深さ数μmまでの表面分析が可能である等の理由で高分子材料等の有機物をはじめ、種々の物質の表面分析に広く利用されている。
ポリスチレン系樹脂粒子の中心部の吸光度比D1730/D1600は、0.10〜0.80の範囲である。吸光度比が0.10未満の場合、所望の強度の発泡成形体を得るには発泡成形時の蒸気圧を高く維持する必要があり、省エネルギー性に劣ることがある。吸光度比が0.80より大きい場合、十分な圧縮強度が得られないことがある。好ましい吸光度比は0.1〜0.7の範囲であり、より好ましい吸光度比は0.2〜0.7の範囲である。
なお、中心部とは、粒子表面から中心を含む断面において、中心から半径200μm以内の領域を意味する。
更に、ポリスチレン系樹脂粒子は、0.01〜0.05の範囲の表面領域の吸光度比D1730/D1600を有していることが好ましい。吸光度比が0.01未満の場合、成形時の蒸気圧力を高くする必要がある。0.05より大きい場合、予備発泡時に結合が多くなり、生産性が低下することがある。好ましい吸光度比は0.01〜0.04の範囲であり、より好ましい吸光度比は0.01〜0.03の範囲である。
なお、表面領域とは、粒子にその表面から入射した波長1600cm-1と1730cm-1の光が粒子から測定機器へ反射する際に、光が粒子中を移動しうる領域(例えば、表面から深さ2μmまでの領域)を意味する。
更にまた、中心部の吸光度比は、表面領域の吸光度比より、0.05以上低いことが好ましい。樹脂粒子が、表面領域より低い吸光度比の中心を有することで、スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体との共重合体を樹脂粒子の表面に偏在させることができる。より好ましい吸光度比の差は、0.15〜0.70である。
(2)Mz+1とMw
GPC法により測定される平均分子量には、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、z平均分子量(Mz)、z+1平均分子量(Mz+1)がある。Mnは、高分子化合物に含まれる低分子量物の寄与を敏感に受ける。Mwは、高分子量物の寄与をMnより敏感に受ける。Mzは、高分子量物の寄与をMwより敏感に受け、Mz+1は、高分子量物の寄与をMzより敏感に受ける。本発明では、樹脂粒子の表層部のMz+1が特定の範囲であることにより、曲げ強度に優れた発泡成形体を与えうるポリスチレン系樹脂粒子を提供できることを見い出している。
GPC法により測定される平均分子量を用いて得られる分子量の分布に関する指標には、分子量分布(Mw/Mn)や多分散度(Mz/Mw及びMz+1/Mw)があり、これらを用いることにより分子量の分布の状況を示すことができる。分子量分布(Mw/Mn)が1であるとき単分散であり、分子量分布(Mw/Mn)が1より大きくなるにつれて分子量の分布が低分子量側を中心にブロードになる。これに対して、多分散度(Mz/Mw)は1より大きくなるにつれて、分子量の分布が高分子量側を中心にブロードになることを示す。また、多分散度(Mz+1/Mw)も1より大きくなるにつれて、分子量の分布が高分子量側を中心にブロードになることを示す。特に、多分散度(Mz+1/Mw)は、Mwの大きく異なる2種のポリマーを混合しているような場合には、顕著に大きくなる。ここで、本明細書での平均分子量は、GPC法により測定されるリニアーなポリスチレン換算の平均分子量(リニアー換算平均分子量)を意味する。
(i)表層部
本発明のポリスチレン系樹脂粒子は、Mz+1とMwの比Mz+1/Mwが5〜15であり、かつMz+1が125万〜500万である表層部を有している。
比Mz+1/Mwが5未満の場合、表層部の高分子成分による発泡成形体への曲げ強度の向上効果が十分得られないことがある。15より大きい場合、発泡成形体を構成する発泡性粒子間の融着性が低下し、その結果、曲げ強度が低下することがある。より好ましい比Mz+1/Mwは5〜14の範囲であり、更に好ましい比Mz+1/Mwは6〜14の範囲である。
z+1が125万未満である場合、表層部の高分子成分による発泡成形体への曲げ強度の向上効果が十分得られないことがある。500万より大きい場合、発泡成形体を構成する発泡性粒子間の融着性が低下し、その結果、曲げ強度が低下することがある。より好ましいMz+1は125万〜450万の範囲であり、更に好ましいMz+1は130万〜450万の範囲である。
表層部の平均分子量を粒子自体から測定することは困難であるため、本明細書では、粒子から得た発泡成形体の表層部から測定された平均分子量で代えている。これは、発泡成形体の表層部が粒子の表層部の連続体からなっていることを利用している。平均分子量の測定法は、実施例の欄で説明しているが、この測定法によれば、粒子の表面から半径の約15%の領域に対応する平均分子量が測定されていることになる。
(ii)粒子全体
本発明のポリスチレン系樹脂粒子は、4.5〜14.0の比Mz+1/Mwと、110万〜400万のMz+1を有していることが好ましい。
比Mz+1/Mwが4.5未満の場合、表層部の高分子成分による発泡成形体への曲げ強度の向上効果が十分得られないことがある。14.0より大きい場合、十分な発泡性が得られないことがある。より好ましい比Mz+1/Mwは4.5〜13の範囲であり、更に好ましい比Mz+1/Mwは4.7〜12.5の範囲である。粒子全体の比Mz+1/Mwは、表層部より0.3以上小さいことが好ましい。
z+1が110万未満である場合、表層部の高分子成分による発泡成形体への曲げ強度の向上効果が十分得られないことがある。400万より大きい場合、十分な発泡性が得られないことがある。より好ましいMz+1は110万〜390万の範囲であり、更に好ましいMz+1は115万〜390万の範囲である。粒子全体のMz+1は、表層部より10万以上小さいことが好ましい。
(3)スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体との共重合体
スチレン系単量体としては、特に限定されず、公知の単量体をいずれも使用できる。例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン等が挙げられる。これらスチレン系単量体は、一種類でも、複数種の混合物であってもよい。好ましいスチレン系単量体は、スチレンである。
アクリル酸エステル系単量体としては、上記スチレン系単量体と共重合可能な単量体であれば特に限定されない。アクリル酸エステル系単量体は、炭素数1〜15のアルキル基のエステルであることが好ましい。この範囲の炭素数の単量を使用することで、より曲げ強度が改善された発泡成形体を与えうるポリスチレン系樹脂粒子を提供できる。
具体的なアクリル酸エステル系単量体としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル等が挙げられる。炭素数3以上のアルキル基は、直鎖状のアルキル基以外に、イソ構造、sec構造やtert構造のような構造異性のアルキル基も含む。
共重合体を構成するスチレン系単量体由来の樹脂成分とアクリル酸エステル系単量体由来の樹脂成分との割合は、1:0.05〜0.25(質量比)の範囲であることが好ましい。アクリル酸エステル系単量体由来の樹脂成分が0.05より少ない場合、所望の強度の発泡成形体を得るには発泡成形時の蒸気圧を高く維持する必要があり、省エネルギー性に劣ることがある。0.25より多い場合、高倍の発泡成形体を得ることが困難となることがある。より好ましい割合は1:0.08〜0.25の範囲であり、更に好ましい割合は1:0.08〜0.20の範囲である。
なお、単量体由来の樹脂成分の割合は、原料としての単量体の割合と実質的に一致している。
(4)他の単量体由来の樹脂成分
ポリスチレン系樹脂粒子には、他の単量体由来の樹脂成分が含まれていてもよい。この樹脂成分は、スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体とに共重合する形態で含まれていてもよく、単独重合体の形態で含まれていてもよい。
他の単量体由来の樹脂成分としては、スチレン系単量体由来の樹脂成分、アクリル酸エステル系単量体由来の樹脂成分、ビニル基を複数有する多官能性単量体由来の樹脂成分等が挙げられる(スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体との共重合体を除く)。この内、他の単量体由来の樹脂成分はスチレン系単量体と多官能性単量体との共重合体、スチレン系単量体由来の樹脂成分を含むことが好ましい。前者の共重合体は、吸光度比及び平均分子量の値の調整容易性に観点から、スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体との共重合体と別に粒子中に含まれていることが好ましい。
(i)スチレン系単量体と多官能性単量体との共重合体
スチレン系単量体には、スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体との共重合体の説明中で例示したスチレン系単量体をいずれも使用できる。特に好ましいスチレン系単量体は、スチレンである。
多官能性単量体は、ビニル基を2〜3個有する単量体であることが好ましい。ビニル基を4個以上有する多官能性単量体は、発泡成形体の発泡成形性を低下させることがある。
具体的な多官能性単量体としては、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2官能単量体、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレート、エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート等の3官能単量体が挙げられる。多官能性単量体は、1種のみ使用しても、複数種使用してもよい。
このような特定数のビニル基を有する多官能性単量体に由来する樹脂成分を含む樹脂粒子は、より曲げ強度に優れた発泡成形体を提供可能である点で好ましい。この理由を発明者は以下のように考えている。
多官能性単量体に由来する樹脂成分を使用した場合、以下で説明するポリスチレン系樹脂粒子の製造方法であれば、その樹脂成分が粒子表層部に多く存在することになる。多官能性単量体は、粒子表層部に含まれる樹脂中の高分子量成分の割合を増加させる役割を果たし、その結果、特定の範囲のMz+1の表層部を有するポリスチレン系樹脂粒子を容易に提供できる。発明者は、多官能性単量体に由来する樹脂成分が、その全量に対して、30質量%以上表層部に偏在していると考えている。
なお、多官能性単量体を使用しなくても、ポリスチレン系樹脂粒子の製造条件を調整することにより、多官能性単量体を使用した場合と同様の特定の範囲のMz+1の表層部を有するポリスチレン系樹脂粒子を提供することが可能である。
スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体との共重合体と、スチレン系単量体と多官能性単量体との共重合体との割合は、1:2〜10(質量比)の範囲であることが好ましい。後者の共重合体が2より少ない場合、所望の発泡成形体強度が得られないことがある。10より多い場合、低い成形蒸気圧で良好な発泡成形体が得られないことがある。より好ましい割合は1:3〜10の範囲であり、更に好ましい割合は1:3〜9の範囲である。
(ii)スチレン系単量体由来の樹脂成分
スチレン系単量体には、スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体との共重合体の説明中で例示したスチレン系単量体をいずれも使用できる。特に好ましいスチレン系単量体は、スチレンである。
スチレン系単量体由来の樹脂成分は、粒子全量に対して、50〜70質量%含まれていることが好ましい。
なお、ポリスチレン系樹脂粒子中、スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体との共重合体は中心部に、スチレン系単量体と多官能性単量体との共重合体は表層部に、スチレン系単量体由来の樹脂成分はそれらの間に主に存在していることが好ましい。
(iii)他の樹脂
他の樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル等が挙げられる。
(5)添加剤
ポリスチレン系樹脂粒子には、物性を損なわない範囲内において、難燃剤、難燃助剤、可塑剤、滑剤、結合防止剤、融着促進剤、帯電防止剤、展着剤、気泡調整剤、架橋剤、充填剤、着色剤等の添加剤が含まれていてもよい。
難燃剤としては、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、トリスジブロモプロピルホスフェート、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモ−2−メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA−ビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)等の難燃剤が挙げられる。
難燃助剤としては、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン、3,4−ジメチル−3,4−ジフェニルヘキサン、ジクミルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイドの有機過酸化物が挙げられる。
可塑剤としては、フタル酸エステル、グリセリンジアセトモノラウレート、グリセリントリステアレート、ジアセチル化グリセリンモノステアレート等のグリセリン脂肪酸エステル、ジイソブチルアジペートのようなアジピン酸エステル等が挙げられる。
滑剤としては、パラフィンワックス、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
結合防止剤としては、例えば、炭酸カルシウム、シリカ、ステアリン酸亜鉛、水酸化アルミニウム、エチレンビスステアリン酸アミド、第三リン酸カルシウム、ジメチルシリコン等が挙げられる。
融着促進剤としては、例えばステアリン酸、ステアリン酸トリグリセリド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセリド、ステアリン酸ソルビタンエステル、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えばポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ステアリン酸モノグリセリド、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
展着剤としては、ポリブテン、ポリエチレングリコール、シリコンオイル等が挙げられる。
気泡調整剤としては、メタクリル酸エステル系共重合ポリマー、エチレンビスステアリン酸アミド、ポリエチレンワックス、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。
(6)ポリスチレン系樹脂粒子の形状
ポリスチレン系樹脂粒子の形状は特に限定されない。例えば、球状、円柱状等が挙げられる。この内、球状であるのが好ましい。ポリスチレン系樹脂粒子の平均粒子径は、用途に応じて適宜選択でき、例えば、0.2mm〜5mmの平均粒子径のものを使用できる。また、成形型内への充填性等を考慮すると、平均粒子径は、0.3mm〜2mmがより好ましく、0.3mm〜1.4mmが更に好ましい。
(7)ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法
ポリスチレン系樹脂粒子の製造方法は特に限定されない。例えば、ポリスチレン系樹脂からなる種粒子に、スチレン系単量体を含む単量体混合物を吸収させ重合させることで、樹脂粒子を得ることができる。
(i)種粒子
種粒子は、公知の方法で製造されたものを用いることができ、例えば、(1)ポリスチレン系樹脂を押出機で溶融混練し、ストランド状に押し出し、ストランドをカットすることにより種粒子を得る押出方法、(2)水性媒体、スチレン系単量体及び重合開始剤をオートクレーブ内に供給し、オートクレーブ内において加熱、攪拌しながらスチレン系単量体を懸濁重合させて種粒子を製造する懸濁重合法、(3)水性媒体及びポリスチレン系樹脂粒子をオートクレーブ内に供給し、ポリスチレン系樹脂粒子を水性媒体中に分散させた後、オートクレーブ内を加熱、攪拌しながらスチレン系単量体を連続的にあるいは断続的に供給して、ポリスチレン系樹脂粒子にスチレン系単量体を吸収させつつ重合開始剤の存在下にて重合させて種粒子を製造するシード重合法等が挙げられる。
また、種粒子は一部、又は全部に樹脂回収品を用いることができる。回収品を使用する場合は、押出方法による種粒子の製造が向いている。
種粒子の平均粒子径は、樹脂粒子の平均粒子径に応じて適宜調整できる。例えば平均粒子径が1mmの樹脂粒子を得ようとする場合には、平均粒子径が0.7mm〜0.9mm程度の種粒子を用いることが好ましい。更に、種粒子の重量平均分子量は特に限定されないが10万〜70万が好ましく、更に好ましくは15万〜50万である。
(ii)含浸工程
種粒子を水性媒体中に分散させてなる分散液中に、単量体混合物を供給することで、各単量体を種粒子に吸収させる。単量体混合物に含まれる単量体の量は、樹脂粒子中に含まれる単量体に由来する樹脂成分の量にほぼ対応している。
水性媒体としては、水、水と水溶性溶媒(例えば、アルコール)との混合媒体が挙げられる。
使用する各単量体には、重合開始剤を含ませてもよい。重合開始剤としては、従来から単量体の重合に用いられているものであれば、特に限定されない。例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ラウリルパーオキサイド、t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、2,2−t−ブチルパーオキシブタン、t−ブチルパーオキシ−3,3,5−トリメチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサハイドロテレフタレート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物等が挙げられる。これら開始剤の内、残存単量体を低減させるために、10時間の半減期を得るための分解温度が80〜120℃にある異なった二種以上の重合開始剤を併用することが好ましい。なお、重合開始剤は単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
水性媒体中には、共重合体成分を与える単量体の小滴及び種粒子の分散を安定させるために懸濁安定剤が含まれていてもよい。懸濁安定剤としては、従来から単量体の懸濁重合に用いられているものであれば、特に限定されない。例えば、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、第三リン酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム等の難溶性無機化合物等が挙げられる。そして、前記懸濁安定剤として難溶性無機化合物を用いる場合には、アニオン界面活性剤を併用するのが好ましく、このようなアニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸石鹸、N−アシルアミノ酸又はその塩、アルキルエーテルカルボン酸塩等のカルボン酸塩、アルキルベンゼンスルフォン酸塩、アルキルナフタレンスルフォン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸エステル塩、アルキルスルホ酢酸塩、α−オレフィンスルフォン酸塩等のスルフォン酸塩;高級アルコール硫酸エステル塩、第二級高級アルコール硫酸エステル塩、アルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩等の硫酸エステル塩;アルキルエーテルリン酸エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等のリン酸エステル塩等が挙げられる。
(iii)重合工程
重合工程は、使用する単量体種、重合開始剤種、重合雰囲気種等により異なるが、通常、70〜130℃の加熱を、3〜10時間維持することにより行われる。重合工程は、単量体を含浸させつつ行ってもよい。
重合工程は、使用する単量体全量を1段階で重合させてもよく、2段階以上に分けて重合させてもよい(種粒子の製造時に重合を含む)。2段階以上に分けるほうが、中心部の吸光度比及び表層部の平均分子量の調整がより容易である。更に、3段階以上に分けると、中心部の吸光度比及び表層部の平均分子量の調整がより容易である。2段階以上に分けて重合させる場合、通常、含浸工程も2段階に分けて行われる。2段階以上に分けた重合工程の重合温度及び時間は、同一であっても、異なっていてもよい。重合工程は3段階であることが好ましい。
3段階で行われる場合、次のように重合工程を調整することが好ましい。
まず、ポリスチレン系樹脂の種粒子に、スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体を含む第1単量体混合物を吸収させて前記種粒子内で重合させる(第1工程)。
次に、第1工程を経て得られた粒子に、スチレン単量体のみを吸収させつつ重合させる(第2工程)。
更に、第2工程を経て得られた粒子に、スチレン系単量体と多官能性単量体とを含む第2単量体混合物を吸収させつつ重合を行う(第3工程)。
第3工程において、第2単量体混合物の重合は、第2工程を経て得られた粒子中の第3単量体混合物の重合転化率を80質量%以上、100質量%未満の範囲に維持しつつ行うことが好ましい。重合転化率がこの範囲内であることで、第3単量体混合物を種粒子の表層部で重合させることができるため、特定の範囲の吸光度比の中心部とMz+1の表層部を有するポリスチレン系樹脂粒子を容易に提供できる。80質量%より小さい場合、表層部の高分子量成分が少なくなるため、発泡成形体の曲げ強度の向上効果が低下することがある。100質量%の場合、ポリスチレン系樹脂粒子の製造時間が長くなり、製造コストが高くなることがある。好ましい重合転化率は、80〜99.5質量%の範囲であり、更に好ましい範囲は85〜99.0質量%である。
また、第2工程で使用するスチレン単量体の使用量は、第1工程〜第3工程までで使用する単量体全量に対して、45質量%以上であることが好ましい。45質量%未満の場合、粒子の表層部までアクリル酸エステル系単量体由来の樹脂成分が含まれたり、粒子の中心部まで多官能性単量体由来の樹脂成分が含まれたりすることになり、特定の範囲の吸光度比の中心部及び特定の範囲のMz+1の表層部を有するポリスチレン系樹脂粒子を得ることが困難となることがある。前者のスチレン単量体の使用量は、47質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることが更に好ましい。
(発泡性樹脂粒子)
発泡性樹脂粒子は、上記ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させた粒子である。
(1)発泡剤
発泡剤としては、特に限定されず、公知のものをいずれも使用できる。特に、沸点がポリスチレン系樹脂の軟化点以下であり、常圧でガス状又は液状の有機化合物が適している。例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、シクロペンタジエン、n−ヘキサン、石油エーテル等の炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル等の低沸点のエーテル化合物、トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン含有炭化水素、炭酸ガス、窒素、アンモニア等の無機ガス等が挙げられる。これらの発泡剤は、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。この内、炭化水素を使用するのが、オゾン層の破壊を防止する観点、及び空気と速く置換し、発泡成形体の経時変化を抑制する観点で好ましい。炭素水素の内、沸点が−45〜40℃の炭化水素がより好ましく、プロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン等が更に好ましい。
更に、発泡剤の含有量は、2〜12質量%の範囲であることが好ましい。2質量%より少ないと、発泡性樹脂粒子から所望の密度の発泡成形体を得られないことがある。加えて、型内発泡成形時の二次発泡力を高める効果が小さくなるために、発泡成形体の外観が良好とならないことがある。12質量%より多いと、発泡成形体の製造工程における冷却工程に要する時間が長くなって生産性が低下することがある。より好ましい発泡剤の含有量は、3〜10質量%である。
(2)発泡性樹脂粒子の製造方法
発泡性樹脂粒子は、上記ポリスチレン系樹脂粒子に発泡剤を含浸させることにより得ることができる。含浸は、重合(例えば、第3工程)と同時に湿式で行ってもよく、重合後に湿式又は乾式で行ってもよい。湿式で行う場合は、上記重合工程で例示した、懸濁安定剤及び界面活性剤の存在下で行ってもよい。
発泡剤の含浸温度は、60〜120℃が好ましい。60℃より低いと、樹脂粒子に発泡剤を含浸させるのに要する時間が長くなって生産効率が低下することがある。また、120℃より高いと、樹脂粒子同士が融着して結合粒が発生することがある。より好ましい含浸温度は、70〜110℃である。
発泡助剤を、発泡剤と併用してもよい。発泡助剤としては、アジピン酸イソブチル、トルエン、シクロヘキサン、エチルベンゼン等が挙げられる。
(発泡粒子)
発泡粒子は、水蒸気等を用いて所望の嵩密度に発泡性樹脂粒子を発泡させることで得られる。発泡粒子は、クッションの充填材等の用途ではそのまま使用でき、更に型内発泡させるための発泡成形体の原料として使用できる。発泡成形体の原料の場合、発泡粒子は予備発泡粒子と、発泡粒子を得るための発泡は予備発泡と、通常称される。
発泡粒子の嵩密度は、0.01〜0.04g/cm3の範囲であることが好ましい。発泡粒子の嵩密度が0.01g/cm3より小さい場合、次に得られる発泡成形体に収縮が発生して外観性が低下することがある。加えて発泡成形体の断熱性能及び機械的強度が低下することがある。一方、嵩密度が0.04g/cm3より大きい場合、発泡成形体の軽量性が低下することがある。
なお、発泡前に、発泡性樹脂粒子の表面に、ステアリン酸亜鉛のような粉末状金属石鹸類を塗布しておくことが好ましい。塗布しておくことで、発泡性樹脂粒子の発泡工程において発泡粒子同士の結合を減少できる。
(発泡成形体)
発泡成形体は、例えば、魚、農産物等の梱包材、床断熱用の断熱材、盛土材、畳の芯材等に使用できる。本発明によれば、従来の発泡成形体より、同じ厚さであれば曲げ強度が約10%増強された(向上した)発泡成形体を提供でき、曲げ強度を同じにすれば約5%軽量化された発泡成形体を提供できる。
発泡成形体の密度は、0.01〜0.04g/cm3の範囲であることが好ましい。発泡成形体の密度が0.01g/cm3より小さい場合、発泡成形体に収縮が発生して外観性が低下することがある。加えて発泡成形体の断熱性能及び機械的強度が低下することがある。一方、密度が0.04g/cm3より大きい場合、発泡成形体の軽量性が低下することがある。
発泡成形体は、ポリスチレン系樹脂粒子の表面領域と同じ、0.01〜0.05の範囲の表面の吸光度比D1730/D1600の表面領域を有している。
更に、発泡成形体は、ポリスチレン系樹脂粒子の表層部に由来する発泡成形体表層部を有している。つまり、発泡成形体も、5〜25の比Mz+1/Mwと、130万〜800万のMz+1の表層部を有している。
また、発泡成形体全体として、4.5〜14の比Mz+1/Mwと、110万〜400万のMz+1を有していることが好ましい。
(発泡成形体の製造方法)
発泡粒子を多数の小孔を有する閉鎖金型内に充填し、熱媒体(例えば、加圧水蒸気等)で加熱発泡させ、発泡粒子間の空隙を埋めると共に、発泡粒子を相互に融着させることにより一体化させることで、発泡成形体を製造できる。その際、発泡成形体の密度は、例えば、金型内への発泡粒子の充填量を調整する等して調製できる。
加熱発泡は、例えば、110〜150℃の熱媒体で、5〜50秒加熱することにより行うことができる。この条件であれば、特定の範囲のMz+1の表層部を有するポリスチレン系樹脂粒子由来の発泡粒子であっても、粒子相互の良好な融着性を確保できる。より好ましくは、加熱発泡成形は、90〜120℃の熱媒体で、10〜50秒加熱することにより行うことができる。本発明では、熱媒体の成形蒸気圧(ゲージ圧)を0.03〜0.05MPaと、一般的な蒸気圧(例えば、0.06〜0.08MPa)より低い圧力下で加熱発泡を行うことができる。そのため、少ない蒸気量で発泡成形体を製造できる。
発泡粒子は、発泡成形体の成形前に、例えば常圧で、熟成させてもよい。発泡粒子の熟成温度は、20〜60℃が好ましい。熟成温度が低いと、発泡粒子の熟成時間が長くなることがある。一方、高いと、発泡粒子中の発泡剤が散逸して成形性が低下することがある。
以下、実施例によって本発明の具体例を示すが、以下の実施例は本発明の例示にすぎず、本発明は以下の実施例のみに限定されない。なお、以下において、特記しない限り、「部」及び「%」は質量基準である。
<重合転化率>
重合中の単量体混合物の重合転化率は、下記の要領で測定された値をいう。
即ち、重合中の粒子を反応液中から取り出し、粒子の表面に付着した水分をガーゼによりふき取ることで除去する。
水分が除去された粒子を0.08g精秤し、トルエン25ml中に溶解させてトルエン溶液を作製する。次に、このトルエン溶液中に、ウイス試薬10ml、5重量%のヨウ化カリウム水溶液30ml及び1重量%のでんぷん水溶液30mlを供給して試料とし、この試料をN/40チオ硫酸ナトリウム水溶液で滴定することにより、試料の滴定数(ml)を求める。なお、ウイス試薬は、氷酢酸2リットルにヨウ素を8.7g及び三塩化ヨウ素を7.9g溶解したものである。
一方、粒子を溶解させることなく、上記と同様に滴定を行うことで、ブランクの滴定数(ml)を求める。
重合転化率は下記式によって算出する。
重合転化率(質量%)
=100−0.1322×[ブランクの滴定数(ml)−試料の滴定数(ml)]÷試料の質量[g]
<平均分子量>
樹脂粒子表層部のMZ+1及びMwは、発泡成形体の表層部として算出する。
即ち、発泡成形体は、樹脂粒子を予備発泡させて、型内成形したものであるから、樹脂粒子表層部は発泡成形体表層部に相当し、本発明では樹脂粒子表層部の平均分子量を発泡成形体表層部の平均分子量とする。
密度0.0166g/cm3の発泡成形体を50℃で24時間乾燥後、ハムスライサー(富士島工機製:FK−18N型)を用い、発泡成形体表層部を0.3mmでカットしGPC測定用サンプルとする。
上記サンプル0.003gをテトラヒドロフラン10mlに溶解し、下記の条件にてGPC測定を行う。
・装置:高速GPC装置(HLC−8320GPC)EcoSEC-WorkStation(東ソー社製)
・分析条件
カラム:TSKgel SuperMultiporeHZ−M×2
流量:0.35ml/min
検出器:HLC−8320GPC内蔵RI検出器/UV−8320
検出器条件:Pol(+)、Res(0.5s)/λ(254nm)、Pol(+)、Res(0.5s)
濃度:0.2wt%
注入量:10μL
圧力:3.5MPa
カラム温度:40℃
システム温度:40℃
溶離液:THF
<吸光度比D1730/D1600>
ATR法赤外分光分析により、樹脂粒子の表面領域と中心部とを分析し、得られた赤外吸収スペクトルのうち、1730cm-1での吸光度D1730と1600cm-1での吸光度D1600とを求める。
中心部の吸光度比は、樹脂粒子をその中心を通って切断した断面の中心部についてATR法赤外分光分析により以下の条件で測定して求めた値である。表面領域の吸光度比は、樹脂粒子そのものからATR法赤外分光分析により以下の条件で測定して求めた値である。
測定装置:フーリエ変換赤外分光光度計Spectrum One
(Perkin Elmer社製)
高速IRイメージングシステム:Spectrum Spotlight 300
測定モード:Imaging 透過法
測定条件:分解能=8cm-1
スキャン回数2、8
ピクセルサイズ6.25×6.25μm
スライス試料作製:ウルトラミクロトーム ULTRACUT−UCT(ライカ社製)
スライス使用ナイフ:ダイヤモンドナイフ
<予備発泡粒子の嵩密度>
予備発泡粒子の嵩倍数は、JIS K6911:1995年「熱硬化性プラスチック一般試験方法」に準拠して測定する。具体的は、まず、予備発泡粒子を測定試料としてWg採取し、この測定試料をメスシリンダー内に自然落下させる。メスシリンダー内に落下させた測定試料の体積Vcm3をJIS K6911に準拠した見掛け密度測定器を用いて測定する。Wg及びVcm3を下記式に代入することで、予備発泡粒子の嵩密度を算出する。
予備発泡粒子の嵩密度(g/cm3)=測定試料の質量(W)/測定試料の体積(V)
<発泡成形体の密度>
発泡成形体(成形後、40℃で20時間以上乾燥させたもの)から切り出した試験片(例75×300×35mm)の質量(a)と体積(b)をそれぞれ有効数字3桁以上になるように測定し、式(a)/(b)により発泡成形体の密度(g/cm3)を求める。
<平均最大曲げ弾性率>
発泡体の平均最大曲げ弾性率をJIS A9511:1999「発泡プラスチック保温材」に記載の方法に準拠して測定する。具体的には、密度16.7kg/m3の発泡体から縦75mm×横300mm×厚さ30mmの直方体形状の試験片を切り出す。しかる後、この試験片を曲げ強度測定器(オリエンテック社製商品名「UCT−10T」)を用いて、圧縮速度10mm/分、支点間距離200mm、加圧くさび10R及び支持台10Rの条件下にて測定する。試験片を5個用意し、試験片ごとに前記要領で最大曲げ弾性率を測定し、その相加平均を平均最大曲げ弾性率とする。
最大曲げ弾性率測定条件
荷重(fs%)開始点=0.0、終了点=20.0、ピッチ=0.2(fs%)
評価:平均最大曲げ弾性率が10.0MPa以上:○
10.0MPa未満:×
<圧縮強度>
発泡成形体の圧縮強度は、JIS A9511:1999「発泡プラスチック保温材」に記載の方法に準拠して測定する。
即ち、密度0.0166g/cm3 、縦100mm×横100mm×厚さ30mmの直方形状の試験片を切出す。この試験片をオリエンテック社製 商品名(UCT−10T)を用いて、23℃、湿度50%、圧縮速度10mm/分の条件下で圧縮試験を行い、初期厚みに対して5%圧縮した時点での強度(5%圧縮強度)を5つの試験片で測定し、5つの強度の平均値を圧縮強度とする。
<総合評価>
圧縮強度×曲げ弾性率の値が、1.0以上を○、1.0未満を×とする。
(実施例1)
(種粒子の製造)
内容量100リットルの攪拌機付き重合容器に、水40000質量部、懸濁安定剤として第三リン酸カルシウム100質量部及びアニオン界面活性剤としてドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム2.0質量部を供給し攪拌しながらスチレンモノマー40000質量部並びに重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド96.0質量部及びt−ブチルパーオキシベンゾエート28.0質量部を添加した上で90℃に昇温して重合した。そして、この温度で6時間保持し、更に、125℃に昇温してから2時間後に冷却してポリスチレン系樹脂粒子(a)を得た。
前記ポリスチレン系樹脂粒子(a)を篩分けし、種粒子として粒子径0.5〜0.71mmのポリスチレン系樹脂粒子(b)を得た。
次に、内容積25Lの撹拌機付き重合容器に、重量平均分子量が25万であるポリスチレン樹脂(平均粒子径0.63mm)の種粒子2350g、ピロリン酸マグネシウム30g及びドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム10gを供給して撹拌しつつ72℃に加熱して分散液を作製した。
続いて、ベンゾイルパーオキサイド45.9g、t−ブチルパーオキシベンゾエート6.1gをスチレン単量体850g、アクリル酸ブチル150gの混合物に溶解させた溶液を全て前記分散液中に撹拌しつつ供給した。
そして、分散液中に前記溶液を供給し終えてから60分間維持した(第1工程)。その後に、この分散液を87℃まで1時間かけて昇温しながら、スチレン単量体2660gを一定速度で重合容器に投入し、種粒子に吸収させながら反応を行った(第2工程)。
次いで、分散液を87℃で保持しながらスチレン単量体4000gにジビニルベンゼン(2官能単量体、分子量130)0.6gを溶解したものを一定速度で、90分かけて重合容器に投入し、種粒子に吸収させながら重合反応を行った(第3工程)。尚、第3工程は種粒子の重合転化率を82質量%から92質量%の範囲で重合を行った。
第3工程終了後、更に分散液を120℃まで昇温しかつ、60分保持することで未反応の単量体を反応させた。この時反応容器より平均粒子径1.0mmのポリスチレン系樹脂粒子を採取した。樹脂粒子中心部のATR法赤外分光分析により1730cm-1での吸光度D1730と1600cm-1での吸光度D1600とを求め、D1730/D1600から算出した。結果吸光度比は0.25であった。更にこのポリスチレン系樹脂粒子全体のMz+1は115万、Mwは24.0万、Mz+1/Mwは4.7であった。
次に、分散液を100℃に保持し、続いて、重合容器内にシクロヘキサン80g、ジイソブチルアジペート70g、ブタン700gを圧入して3時間に亘って保持することにより、樹脂粒子中にブタンを含浸させた。この後、重合容器内を25℃に冷却して発泡性樹脂粒子を得た。
発泡性樹脂粒子の表面に、帯電防止剤としてポリエチレングリコールを塗布した。この後、更に、発泡性樹脂粒子の表面にステアリン酸亜鉛及びヒドロキシステアリン酸トリグリセリドを塗布した。塗布後、発泡性樹脂粒子を13℃の恒温室にて5日間放置した。
そして、発泡性樹脂粒子を加熱して嵩密度0.0166g/cm3に予備発泡させて予備発泡粒子を得た。予備発泡粒子を20℃で24時間熟成させた。
次に、予備発泡粒子を金型内に充填して0.04MPaの蒸気圧で加熱発泡させて、縦400mm×横300mm×厚さ30mmの発泡成形体を得た。発泡成形体を50℃の乾燥室で6時間乾燥した後、密度を測定したところ、0.0166g/cm3(16.6kg/m3)であった。発泡成形体は、収縮もなく外観も優れていた。
得られた発泡成形体を50℃で24時間乾燥後、ハムスライサー(富士島工機製:FK−18N型)を用い、発泡成形体表層部を0.3mmでカットし、この成形体表層部のGPC測定を行った。この発泡成形体のMz+1は146万、Mwで28.1万、Mz+1/Mwは5.2であった。この発泡成形体の圧縮試験、曲げ試験をJIS−A9511に準拠して測定した結果、圧縮強度は0.11MPa、曲げ弾性率は11.1MPaであった。
(実施例2)
ジビニルベンゼンの添加量を1.2gとしたこと以外は、実施例1と同様に発泡成形体を得た。ポリスチレン系樹脂粒子全体のMz+1は125万、Mwは26.0万、Mz+1/Mwは4.8であった。
この発泡成形体表層部のMz+1は355万、Mwで50.0万、Mz+1/Mwは7.1であった。この発泡成形体の圧縮強度は0.11MPa、曲げ弾性率は12.0MPaであった。
(実施例3)
ジビニルベンゼンの代わりに、トリメチロールプロパントリメタクリレート(3官能単量体、分子量338)を4g使用したこと以外は実施例1と同様に発泡成形体を得た。ポリスチレン系樹脂粒子全体のMz+1は128万、Mwは27.1万、Mz+1/Mwは4.7であった。この発泡成形体表層部のMz+1は447万、Mwで36.9万、Mz+1/Mwは12.1であった。この発泡成形体の圧縮強度は0.11MPa、曲げ弾性率は12.5MPaであった。
(実施例4)
第1重合工程で使用するスチレン単量体を950g、アクリル酸ブチルを50gとしたこと以外は、実施例2と同様に発泡成形体を得た。
得られたポリスチレン系樹脂粒子中心部の吸光度比は0.12であった。ポリスチレン系樹脂粒子全体のMz+1は120万、Mwは25.4万、Mz+1/Mwは4.7であった。この発泡成形体表層部のMz+1は355万、Mwで49.3万、Mz+1/Mwは7.2であった。この発泡成形体の圧縮強度は0.11MPa、曲げ弾性率は12.9MPaであった。
(実施例5)
第1重合工程で使用するスチレン単量体を800g、アクリル酸ブチルを200gとしたこと以外は、実施例2と同様に発泡成形体を得た。
得られたポリスチレン系樹脂粒子中心部の吸光度比は0.50であった。ポリスチレン系樹脂粒子全体のMz+1は122万、Mwは25.0万、Mz+1/Mwは4.9であった。
この発泡成形体表層部のMz+1は354万、Mwで49.9万、Mz+1/Mwは7.1であった。この発泡成形体の圧縮強度は0.11MPa、曲げ弾性率は12.1MPaであった。
(実施例6)
第1重合工程で使用するスチレン単量体を700g、アクリル酸ブチルを300gとしたこと以外は、実施例2と同様に発泡成形体を得た。
得られたポリスチレン系樹脂粒子中心部の吸光度比は0.75であった。
ポリスチレン系樹脂粒子全体のMz+1は119万、Mwは24.9万、Mz+1/Mwは4.8であった。この発泡成形体表層部のMz+1は351万、Mwで51.6万、Mz+1/Mwは6.8であった。この発泡成形体の圧縮強度は0.11MPa、曲げ弾性率は11.5MPaであった。
(比較例1)
第1重合工程で、アクリル酸ブチルを使用せず、スチレンのみを使用したこと以外は実施例1と同様にして発泡成形体を得た。ポリスチレン系樹脂粒子全体のMz+1は114万、Mwは24.3万、Mz+1/Mwは4.7であった。この発泡成形体表層部のMz+1は140万、Mwで33.3万、Mz+1/Mwは4.2であった。この発泡成形体は、0.04MPaの成形蒸気圧での発泡粒子の融着が十分でなかったため、圧縮強度は0.11MPa、曲げ弾性率は9.0MPaと劣るものであった。
(比較例2)
第1重合工程でジビニルベンゼンを使用しないこと以外は、実施例1と同様にして発泡成形体を得た。ポリスチレン系樹脂粒子全体のMz+1は105万、Mwは23.9万、Mz+1/Mwは4.4であった。この発泡成形体表層部のMz+1は110万、Mwで24.4万、Mz+1/Mwは4.5であった。この発泡成形体の圧縮強度は0.11MPa、曲げ弾性率は8.8MPaと劣るものであった。
(比較例3)
トリメチロールプロパントリメタクリレート(3官能単量体、分子量338)を15g使用したこと以外は実施例1と同様に発泡成形体を得た。ポリスチレン系樹脂粒子全体のMz+1は421万、Mwは26.0万、Mz+1/Mwは16.2であった。この発泡成形体表層部のMz+1は851万、Mwで30.4万、Mz+1/Mwは28.0であった。この発泡成形体は、0.04MPaの成形蒸気圧での発泡粒子の融着が十分でなかったため、圧縮強度は0.11MPa、曲げ弾性率は8.9MPaと劣るものであった。
(比較例4)
第1重合工程で使用するスチレン単量体を700g、アクリル酸ブチルを300gとし、スチレン単量体とアクリル酸ブチルの混合物を分散液中に撹拌しつつ供給し、その後の保持時間を30分としたこと以外は、実施例2と同様に発泡成形体を得た。ポリスチレン系樹脂粒子全体のMz+1は124万、Mwは25.2万、Mz+1/Mwは4.9であった。得られたポリスチレン系樹脂粒子中心部の吸光度比は0.85であった。この発泡成形体表層部のMz+1は351万、Mwで50.1万、Mz+1/Mwは7.0であった。しかし、中心部のアクリル酸ブチル成分が多くなりすぎた為、発泡成形体の圧縮強度は0.09MPa、曲げ弾性率は9.9MPaと低下した。
(比較例5)
実施例1において、第2工程で単量体を60分で供給し、第2工程の種粒子の重合転化率を73質量%から78質量%の範囲で重合を行った。それ以外は実施例1と同様に発泡成形体を得た。ポリスチレン系樹脂粒子全体のMz+1は99万、Mwは24.5万、Mz+1/Mwは4.0であった。この発泡成形体表層部のMz+1が119万、Mwで27万、Mz+1/Mwは4.4であったが曲げ弾性率は9.3MPaと低下した。
実施例1〜6及び比較例1〜5の結果を表1にまとめて示す。
表1の結果を用いて、中心部の吸光度比と圧縮強度との関係を図1に、表層部のMz+1と平均最大曲げ弾性率(曲げ弾性率)との関係を図2に示す。これら図中、●は実施例を、○は比較例を意味する。
表1及び図1から、中心部の吸光度比が0.10〜0.80の範囲であれば、圧縮強度を顕著に向上できることが分かる。
表1及び図2から、表面層のMz+1が125万〜500万の範囲であれば、平均最大曲げ弾性率を顕著に向上できることが分かる。
表1の圧縮強度と平均最大曲げ弾性率の積算値から、中心部の吸光度比が0.10〜0.80の範囲、表面層のMz+1/Mwが5〜15であり、Mz+1が125万〜500万であれば、同時に向上できることが分かる。

Claims (12)

  1. ポリスチレン系樹脂粒子の中心部のATR法による赤外分光分析で得られた吸光度比D1730/D1600が0.10〜0.80であり、かつGPC法により測定される2つの平均分子量であるリニアー換算Z+1平均分子量(Mz+1)とリニアー換算重量平均分子量(Mw)の比(Mz+1/Mw)が5〜15であり、かつリニアー換算Z+1平均分子量(Mz+1)が125万〜500万である表層部を有することを特徴とするポリスチレン系樹脂粒子。
  2. 前記ポリスチレン系樹脂粒子が、スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体の共重合体を含有し、前記アクリル酸エステル系単量体が、炭素数1〜15のアルキル基のエステルである請求項1に記載のポリスチレン系樹脂粒子。
  3. 前記ポリスチレン系樹脂粒子が、スチレン系単量体と分子中に2〜3個のビニル基を有する多官能性単量体との共重合体を含む請求項1又は2に記載のポリスチレン系樹脂粒子。
  4. 前記多官能性単量体が、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリメタクリレート及びエトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレートから選択される単量体である請求項3に記載のポリスチレン系樹脂粒子。
  5. 前記ポリスチレン系樹脂粒子が、粒子全体として、4.5〜14.0の比Mz+1/Mwと、110万〜400万のMz+1とを有する請求項1〜4のいずれか1つに記載のポリスチレン系樹脂粒子。
  6. 前記ポリスチレン系樹脂粒子が、ATR法による赤外分光分析で、0.01〜0.05の範囲の表面領域の吸光度比D1730/D1600を有する請求項1〜5のいずれか1つに記載のポリスチレン系樹脂粒子。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載のポリスチレン系樹脂粒子と、発泡剤とを含む発泡性樹脂粒子。
  8. 請求項7に記載の発泡性樹脂粒子を発泡させて得られ、0.01〜0.04g/cm3の嵩密度を有する発泡粒子。
  9. 請求項8に記載の発泡粒子を発泡成形させて得られ、GPC法により測定される比(Mz+1/Mw)が5〜15であり、かつMz+1が125万〜500万である表層部を有する発泡成形体。
  10. 請求項3〜6のいずれか1つに記載のポリスチレン系樹脂粒子の製造方法であり、
    ポリスチレン系樹脂の種粒子に、スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体を含む第1単量体混合物を吸収させて前記種粒子内で重合させる第1工程と、
    前記第1工程を経て得られた粒子に、スチレン系単量体を吸収させつつ重合を行う第2工程と、
    前記第2工程を経て得られた粒子に、スチレン系単量体と分子中に2〜3個のビニル基を有する多官能性単量体とを含む単量体混合物を吸収させつつ重合を行う第3工程とを含み、
    前記第2単量体混合物の重合が、第2工程を経て得られた前記粒子中の第2単量体混合物の重合転化率を80質量%以上、100質量%未満の範囲に維持しつつ行われることを特徴とするポリスチレン系樹脂粒子の製造方法。
  11. 請求項7に記載の発泡性樹脂粒子の製造方法であり、
    ポリスチレン系樹脂の種粒子に、スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体を含む第1単量体混合物を吸収させて前記種粒子内で重合させる第1工程と、
    前記第1工程を経て得られた粒子に、スチレン系単量体を吸収させつつ重合を行う第2工程と、
    前記第2工程を経て得られた粒子に、スチレン系単量体と分子中に2〜3個のビニル基を有する多官能性単量体とを含む第2単量体混合物を吸収させつつ重合を行う第3工程と、
    前記第3工程中の粒子又は第3工程を経て得られた前記粒子に発泡剤を吸収させることで発泡性樹脂粒子を得る工程とを含み、
    前記第2単量体混合物の重合が、第2工程を経て得られた前記粒子中の第2単量体混合物の重合転化率を80質量%以上、100質量%未満の範囲に維持しつつ行われることを特徴とする発泡性樹脂粒子の製造方法。
  12. 請求項8に記載の発泡粒子を、型内に充填した後に、110〜150℃の熱媒体で5〜50秒間加熱して発泡粒子間を融着させて発泡成形体を得る工程を含むことを特徴とする発泡成形体の製造方法。
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