JP2013053123A - ホウ素含有化合物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】特定の構造を有する例えば式(7)のようなホウ素含有化合物。
(式中、X1、X2、X3及びX4は、同一又は異なって、水素原子又は1価の置換基を表し、n1は2、Y1は縮合環構造を含む2価の炭化水素基等を表す。)
【選択図】なし
Description
このような状況下、ホウ素含有化合物を次世代の有機電子デバイス材料として活用するために、ホウ素原子に起因する優れた特有の性質を発揮させつつ、安定的に取り扱うことが可能な新規化合物の開発が進められている。
一方で、ホウ素含有化合物における課題は、ホウ素原子が空軌道を有することに伴って、安定な化合物が少ないということである。安定な化合物でありながら、HOMO、LUMOのエネルギー準位を下げることができれば、有機電子デバイス材料としての用途に有用である。そのような化合物のバリエーションを増やすことは、有機EL素子やn型半導体等の有機電子デバイスの分野で当該化合物をデバイス材料として用いる場合において大きな技術的意義がある。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載される本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせた形態もまた、本発明の好ましい形態である。
なお、以下の説明において、「本発明のホウ素含有化合物」という場合、本発明のホウ素含有化合物(1)及び(2)の両方を含む。つまり、「本発明のホウ素含有化合物」についての説明は、本発明のホウ素含有化合物(1)及び(2)のいずれにも適用できるものとする。
ホウ素含有化合物を、一般式(1)におけるY1以外の構造部分を有するもの、又は、一般式(2)におけるY2以外の構造部分を有するものとすることにより、その構造から、ホウ素原子とQ1と窒素原子とを繋ぐ骨格部分を含む面と、ホウ素原子とQ2とを繋ぐ骨格部分を含む面とが直交し、ホウ素原子とQ2とを繋ぐ骨格部分を含む面よりもホウ素原子とQ1と窒素原子とを繋ぐ骨格部分を含む面の方に電子が偏った電子分布となることから、安定な化合物でありながら、HOMO、LUMOのエネルギー準位が低く、HOMOとLUMOの軌道が分離しており、更に、還元にも強いものとすることができる。本発明のホウ素含有化合物が、ホウ素原子とQ1と窒素原子とを繋ぐ骨格部分を含む面と、ホウ素原子とQ2とを繋ぐ骨格部分を含む面とが直交し、HOMOとLUMOの軌道が分離している様子を、本発明のホウ素含有化合物に該当する具体的な化合物を一例として図1(A)に示す。図1(B)は、図1(A)で示した化合物の化学式を表している。
本発明のホウ素含有化合物は、一般式(1)におけるY1以外の構造部分、又は、一般式(2)におけるY2以外の構造部分を複数有することにより、更に酸化にも強く、良好な膜、特には塗布膜を作製することが可能である。
なお、膜の作製方法として大きくは、塗布法と蒸着法とが挙げられ、どちらの方法であっても良好な膜を作製することができれば膜としては問題ない。ただし、一般に低分子化合物は塗布法により製膜することは難しく、蒸着法によって製膜することになるのに対して、塗布法は蒸着法よりも省エネルギーなプロセスである。このことから、本発明のホウ素含有化合物のように、低分子化合物であるにもかかわらず、塗布法により製膜することができることは、製膜を行う上で大きな利点を有していると言える。
本発明のホウ素含有化合物(1)は、下記一般式(1);
上記一般式(1)において、実線で表される骨格部分、すなわちホウ素原子とQ1と窒素原子とを繋ぐ骨格部分及びホウ素原子とQ2とを繋ぐ骨格部分、における点線部分は、それぞれの骨格部分において点線で結ばれる1対の原子が二重結合で結ばれていてもよいことを表す。
上記一般式(1)において、X1、X2、X3及びX4は、同一又は異なって、水素原子、又は、環構造の置換基となる1価の置換基を表し、点線の円弧部分を形成する環構造に複数個結合していてもよい。すなわち、X1、X2、X3及びX4が水素原子である場合には、一般式(1)で表される化合物の構造中、X1、X2、X3及びX4を有する4つの環構造は置換基を有していないことを示し、X1、X2、X3及びX4のいずれか、又は、全てが、1価の置換基である場合には、該4つの環構造のいずれか、又は、いずれもが置換基を有することとなる。その場合には、1つの環構造の有する置換基の数は1つであってもよいし、2つ以上であってもよい。
また、2個存在するY1以外の構造部分の構造は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
一般式(1)においてX1が結合している環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、トリフェニレン環、ピレン環、フルオレン環、インデン環が挙げられ、これらはそれぞれ、下記一般式(4−1)〜(4−9)で表される。これらの中でも、ベンゼン環、ナフタレン環、フルオレン環が好ましく、より好ましくは、ベンゼン環である。
より好ましくは、水素原子、臭素原子、ヨウ素原子、アミノ基、ボリル基、アルキニル基、アルケニル基、ホルミル基、シリル基、スタニル基、ホスフィノ基、該反応性基で置換されたアリール基、該反応性基で置換されたオリゴアリール基、1価の複素環基又は該反応性基で置換された1価の複素環基、該反応性基で置換された1価のオリゴ複素環基、アルケニル基又は該反応性基で置換されたアルケニル基、アルキニル基又は該反応性基で置換されたアルキニル基である。中でも、X1及びX2として更に好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基、含窒素複素芳香族基、アルケニル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、シリル基等の還元に強い官能基である。特に好ましくは、水素原子、アリール基、含窒素複素芳香族基である。また、X3及びX4として更に好ましくは、水素原子、カルバゾリル基、トリフェニルアミノ基、チエニル基、フラニル基、アルキル基、アリール基、インドリル基等の酸化に強い官能基である。特に好ましくは、水素原子、カルバゾリル基、トリフェニルアミノ基、チエニル基である。このように、X1及びX2として還元に強い官能基を有し、X3及びX4として酸化に強い官能基を有するものとすると、ホウ素含有化合物全体として更に還元にも酸化にも強い化合物となるものと考えられる。
なお、上記式(1)において、X1、X2、X3及びX4が1価の置換基である場合、環構造に対するX1、X2、X3及びX4の結合位置や結合する数は、特に制限されない。
本発明のホウ素含有化合物(2)は、下記一般式(2);
上記一般式(2)において、X1、X2、X3及びX4も、一般式(1)におけるX1、X2、X3及びX4と同様である。
なお、Y2は、n2個存在するY2以外の構造部分とそれぞれ独立に、点線の円弧部分を形成する環構造、Q1、Q2、X1、X2、X3、X4におけるいずれか1箇所で結合しているものであるが、これは、Y2以外の構造部分が、点線の円弧部分を形成する環構造、Q1、Q2、X1、X2、X3、X4におけるいずれか1箇所でY2と結合していればよく、Y2以外の構造部分のY2との結合部位は、n2個存在するY2以外の構造部分それぞれに独立であって、全て同一部位であってもよいし、一部が同一部位であってもよいし、全て異なる部位であってもよい、ということを意味している。当該結合位置は特に制限されないが、n2個存在するY2以外の構造部分の全てが、X1が結合している環又はX2が結合している環でY2と結合していることが好ましい。より好ましくは、n2個存在するY2以外の構造部分の全てが、X2が結合している環でY2と結合していることである。
また、n2個存在するY2以外の構造部分の構造は、全て同一であってもよいし、一部が同一であってもよいし、全て異なっていてもよい。
更に、Y2は、上述した連結基が複数組み合わさった構造を有する連結基であってもよい。
上記へテロ元素を含む基としては、下記一般式(8−9)〜(8−13)のいずれかで表される基であることが好ましい。これらの中でも、下記一般式(8−12)、(8−13)がより好ましい。
これらの中でも、Y2における鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、ヘテロ元素を含む基、アリール基、複素環基が有する置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基、炭素数1〜20の直鎖状又は分岐鎖状アルコキシ基、アリール基、複素環基、ジアリールアミノ基が好ましい。より好ましくは、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、ジアリールアミノ基である。
上記Y2における鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素基、ヘテロ元素を含む基、アリール基、複素環基が置換基を有する場合、置換基が結合する位置や数は特に制限されない。
一般式(2)においてX1が結合している環としては、一般式(1)においてX2が結合している環、X3が結合している環、及びX4が結合している環と同様である。例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、テトラセン環、ペンタセン環、トリフェニレン環、ピレン環、フルオレン環、インデン環、チオフェン環、フラン環、ピロール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾフラン環、インドール環、ジベンゾチオフェン環、ジベンゾフラン環、カルバゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピリダジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、ベンゾチアジアゾール環が挙げられ、これらはそれぞれ、下記一般式(9−1)〜(9−32)で表される。これらの中でも、ベンゼン環、ナフタレン環、ベンゾチオフェン環が好ましい。より好ましくは、ベンゼン環である。
本発明のホウ素含有化合物の合成スキームの一例を挙げると下記反応式のように表される。下記反応式(I)は、本発明のホウ素含有化合物(1)の合成スキームの一例を表し、下記反応式(II)は、本発明のホウ素含有化合物(2)の合成スキームの一例を表している。ただし、本発明のホウ素含有化合物の製造方法は、これに制限されない。
なお、下記スキームにおいて、原料となる(a)の化合物は、例えば、ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(Journal of Organic Chemistry)、2010年、第75巻、第24号、8709−8712頁に記載の手法により合成可能である。また、原料となる(b)の化合物は、(a)の化合物に対して下記反応式(III)で表されるホウ素化反応により合成することができる。
なお、LUMOのエネルギー準位は、例えば、後述する本願明細書の実施例において行っているようにして求めることが好適である。
上記ホウ素含有化合物におけるHOMOとLUMOの軌道のギャップとしては、2.8eV以上離れていることが好ましい。この範囲でHOMOとLUMOの軌道が分離していれば充分に性能を発揮することができる。HOMOとLUMOの軌道のギャップとしてより好ましくは、3.0eV以上である。
ただし本発明のホウ素含有化合物は、HOMOとLUMOの軌道が分離していれば、HOMOとLUMOの軌道のギャップは必ずしも上述した範囲でなくとも、有機EL素子材料やn型半導体等の有機電子デバイス材料として好適に用いることができる場合がある。
なお、HOMOとLUMOの軌道のギャップは、紫外可視分光分析により求めることができる。
上記素子においては、陰極から注入された電子が電子輸送層を通過して発光層に到達することになるが、エネルギー効率の点から、電子輸送層、正孔阻止層や発光層の材料の最低空軌道(LUMO)のエネルギー準位は、電子注入層の材料の有するLUMOのエネルギー準位及び陰極の価電子帯との間でエネルギーギャップが小さいことが好ましい。陰極としては、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム等の金属やこれらの合金等が用いられるが、これらのうち価電子帯のエネルギーが高いものは、酸化されやすい性質を有するため、エネルギーの低いものを用いることが好ましい。このような理由から、最低空軌道(LUMO)のエネルギー準位の低いホウ素含有化合物を用いることで、陰極として価電子帯のエネルギーが低く、酸化されにくい物質を陰極に用いることが可能となるため、陰極の選択の自由度を広げることができる。また、電子輸送層や正孔阻止層は電子の流れを制御する層であるため、還元に強い材料を用いることが好ましい。
したがって、これらのことから、本発明のホウ素含有化合物は、有機EL素子の電子輸送材料や正孔阻止材料、又は、n型半導体の材料として好適に用いることができるものである。すなわち、本発明のホウ素含有化合物を用いて形成される電子輸送材料、本発明のホウ素含有化合物を用いて形成される正孔阻止材料、及び、本発明のホウ素含有化合物を用いて形成されるn型半導体材料もまたそれぞれ、本発明の1つである。
したがって、これらのことから、本発明のホウ素含有化合物は、りん光発光を利用した有機EL素子のりん光ホスト材料として好適に用いることができるものである。すなわち、本発明のホウ素含有化合物を用いて形成されるりん光ホスト材料もまた、本発明の1つである。
このことから、本発明のホウ素含有化合物は、量子ドットのホスト材料として好適に用いることができるものである。すなわち、本発明のホウ素含有化合物を用いて形成される量子ドットのホスト材料もまた、本発明の1つである。
以下の実施例において、1H−NMRスペクトルは以下のようにして測定した。
得られたホウ素含有化合物を、重水素化クロロホルムの溶液とし、高分解能核磁気共鳴装置(製品名「Gemini 2000」;300MHz、Varian,Inc.社製)を用いて測定した。化学シフトは、テトラメチルシランから低磁場側における100万分の1(ppm;δスケール)として記録し、テトラメチルシランの水素核(δ0.00)を参照とした。
100mL二口ナスフラスコに、2−(ジベンゾボロリルフェニル)−5−ブロモピリジン(1.2g、2.7mmol)、2−(ジベンゾボロリルフェニル)−5−ピナコラトボリルピリジン(1.07g、2.7mmol)、Pd(PtBu3)2(70mg、0.14mmol)を入れた。フラスコ内を窒素雰囲気下にし、THF(27mL)を加え、攪拌した。
これに、2M リン酸三カリウム水溶液(4.1mL、8.1mmol)を加え、70℃で還流させながら加熱攪拌した。12時間後、室温まで冷却し、反応溶液を分液ロートに移して水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を3N塩酸、水、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過した濾液を濃縮して、得られた固体をメタノールで洗浄した。クロロホルム及びヘキサンで再結晶し、6,6’−ビス(2−ジベンゾボロリル)−3,3’−ピリジンを収率89%で得た(1.5g、2.4mmol)。
その物性値は以下の通りであった。
1H−NMR(CDCl3) : δ6.81(d,J=7.2Hz,2H),6.99(dt,J=7.2,1.2Hz,2H),7.26−7.38(m,5H),7.76(d,J=7.2Hz,2H),7.86−7.89(m,2H),7.93−7.95(m,1H),8.01(dd,J=7.8Hz,1.2Hz,1H)
なお、Pd(PtBu3)2は、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウムを、THFは、テトラヒドロフランを表している。また、実施例1の反応は、下記反応式のように表される。
100mL二口ナスフラスコに、2−(ジベンゾボロリルフェニル)−5−ブロモピリジン(2.6g、6.5mmol)、2,7−ビス(4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラニル)−9,9’−スピロフルオレン(1.5g、2.7mmol)、Pd(PtBu3)2(170mg、0.32mmol)を入れた。フラスコ内を窒素雰囲気下にし、THF(65mL)を加え、攪拌した。
これに、2M リン酸三カリウム水溶液(11mL、22mmol)を加え、70℃で還流させながら加熱攪拌した。12時間後、室温まで冷却し、反応溶液を分液ロートに移して水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を3N塩酸、水、飽和食塩水で洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥した。濾過した濾液を濃縮して、得られた固体をメタノールで洗浄し、2,7−ビス(3−ジベンゾボロリル−4−ピリジルフェニル)−9,9’−スピロフルオレンを収率47%で得た(1.2g、1.3mmol)。
その物性値は以下の通りであった。
1H−NMR(CDCl3) : δ6.67(d,J=7.6Hz,2H),6.75(d,J=1.2Hz,2H),6.82(d,J=7.2Hz,4H),6.97(dt,J=7.2,1.2Hz,4H),7.09(dt,J=7.2,0.8Hz,2H),7.24−7.40(m,14H),7.74−7.77(m,6H),7.84−7.95(m,10H)
また、実施例2の反応は、下記反応式のように表される。
ホウ素含有化合物(A)をTHFに溶解させた溶液をITO付き透明ガラス基板に塗布すると、平滑な薄膜を得ることができた。そのSEM(走査型電子顕微鏡)写真(倍率:10000倍)を図2に示す。この結果から、ホウ素含有化合物(A)は、低分子でありながら、溶液からの塗布製膜が可能な化合物であることが実証された。
酸化還元安定性は、あらゆる電子デバイスにおいて基本的特性である。本特性が安定であるかどうかは、電子デバイスとしての使用に耐えうる化合物かどうかの重要な指標となる。以下のようにして、ホウ素含有化合物(A)について、より電子デバイス用途に近い素子形状における薄膜の酸化還元安定性を評価した。
酸化及び還元安定性を評価するために、それぞれ正孔のみが薄膜中を媒介する素子(以降、「HOD」とも称する。)、及び、電子のみが薄膜中を媒介する素子(以降、「EOD」とも称する。)を作製した。作製手順を示す。
HOD:
[1]市販されている平均厚さ0.7mmのITO付き透明ガラス基板を用意した。
[2]このITO電極上に、真空蒸着法により、平均厚さ10nmの酸化モリブデン(MoO3)層(電子阻止層)を形成した。
[3]ホウ素含有化合物(A)を1%でTHFに溶解させ、上記MoO3層上に、スピンコート法(1000rpm)により塗布した後、乾燥させた。なお、液状材料の乾燥条件は、大気下、室温とした。その後、嫌気下で150℃1時間ホットプレートにてアニールを行った。
[4]ここからの正孔注入層と対向電極の作製工程は、真空蒸着機内で行う。ここで、ホウ素含有化合物(A)上に酸化モリブテン(MoO3)層(正孔注入層)を平均厚さ10nmで蒸着した。
[5][4]の連続工程で、対向電極として金(Au)を平均厚さ30nmで蒸着した。
EOD:
[1]市販されている平均厚さ0.7mmのITO付き透明ガラス基板を用意した。
[2]このITO電極上に、真空蒸着法により、平均厚さ10nmのアルミニウム(Al)層(正孔阻止層)を形成した。
[3]ホウ素含有化合物(A)を1%でTHFに溶解させ、上記アルミニウム層上に、スピンコート法(1000rpm)により塗布した後、乾燥させた。なお、液状材料の乾燥条件は、大気下、室温とした。その後、嫌気下で150℃1時間ホットプレートにてアニールを行った。
[4]ここからの電子注入層と対向電極の作製工程は、真空蒸着機内で行う。ここで、ホウ素含有化合物(A)上にフッ化リチウム(LiF)層(電子注入層)を平均厚さ0.5nmで蒸着した。
[5][4]の連続工程で、対向電極としてアルミニウム(Al)を平均厚さ50nmで蒸着した。
このようにして得られた素子について、定電圧(4V)下での電流値の経時変化を測定した。測定結果を図3に示す。図3から、いずれの素子においても一定時間、電流値に大きな変動がないことが分かった。このことは、酸化及び還元が劣化することなく初期状態と同等に行われていることを示している。この結果から、ホウ素含有化合物(A)は酸化及び還元安定性を有していることが実証された。
ホウ素含有化合物(A)について、サイクリックボルタモグラム測定を実施した結果およびこれまでの類似物質のサイクリックボルタモグラム測定と紫外光電子分光測定の相関関係から、ホウ素含有化合物(A)のLUMO準位は4eV以上であることが推定された。また、Dmol(Accelrys Software社製)による分子軌道計算結果から、図1に示す通り、ホウ素含有化合物(A)のHOMOの分子軌道とLUMOの分子軌道はほぼ重なることなく完全に分離していることがわかる。これにより励起一重項状態と励起三重項状態との間でのエネルギーギャップは限りなく小さくなり、結果として、ホウ素含有化合物(A)は大きな三重項エネルギーギャップを有する材料であることが示された。
有機EL材料としては、低いLUMO準位(深いHOMO準位)を有することから電子輸送材料や正孔阻止材料として用いることができ、なおかつ、HOMO、LUMOの電荷分離から見出される大きな三重項エネルギーギャップにより、りん光(特に青色)発光材料のホスト材料として好適に用いることができる。
そして更に、上述した有機トランジスタ材料としての使用と合わせて考えると、電荷発光トランジスタ材料としても使用できる。また、上述したこれら3要素は、量子ドットを用いた電界発光素子のホスト材料として必要不可欠もしくは有用なものであり、電界発光素子のホスト材料としても好適に用いることができる。
有機太陽電池材料としては、n型材料として用いることができる。
Claims (8)
- 下記一般式(1);
- 下記一般式(2);
- 前記Q1及びQ2は、同一又は異なって、炭素数1の連結基を表すことを特徴とする請求項1に記載のホウ素含有化合物。
- 前記Q1及びQ2は、同一又は異なって、炭素数1の連結基を表すことを特徴とする請求項2に記載のホウ素含有化合物。
- 前記ホウ素含有化合物は、下記一般式(7);
- 前記ホウ素含有化合物は、下記一般式(10);
- 前記Y2は、芳香環を有する基であることを特徴とする請求項2、4又は6のいずれかに記載のホウ素含有化合物。
- 請求項1〜7のいずれかに記載のホウ素含有化合物を用いて形成されることを特徴とする有機電子デバイス材料。
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