JP2013047558A - 仕切構造及び変速機 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】仕切構造1は、ギヤハウジング3と、プーリハウジング5と、ギヤハウジング3とプーリハウジング5とを隔てる壁部7に形成された連通穴7aを貫通し、壁部7の壁面に対して垂直方向及び並行方向に移動可能であるパーキングロッド9と、連通穴7aの周辺の壁部7に圧接して連通穴7aを塞ぐ仕切板25と、を有し、ギヤハウジング3及びプーリハウジング5の少なくともいずれか一方には下部に潤滑油が貯留され、仕切板25は、パーキングロッド9に接続された仕切板側ばね29によって、連通穴7aの周辺の壁部7に圧接されている。
【選択図】図4
Description
このようなパーキングロッドは、トランスミッション等を貫通した状態で配置されている。また、トランスミッション等内には潤滑油が貯留されている。
更に、トランスミッション等は、坂道又は自動車の加速によりその潤滑油が一方に偏り、潤滑油の吸入口が露出してエア吸い状態とならないように、複数のハウジングに区切ってこのエア吸いを防止している。
この貫通穴を通って、潤滑油が隣のハウジングに移動し、潤滑油の偏りが生じエア吸い状態が生じるおそれがある。
図1は、第1の実施形態における、仕切構造1を設ける位置の説明図である。
特に、ここでは、仕切構造1は自動車の変速機TMに用いた例を使用して説明する。
なお、仕切構造1を設ける位置をこの位置に限定する趣旨ではなく、他の位置であってもよいことは言うまでもない。さらに、自動車のトランスミッション内に設けられているものに限定する趣旨でもない。
図1のように、自動車等は、エンジン101から生じた回転力を、クラッチ103、トルクコンバータ105、前後進切替機構107、第1のプーリ109、駆動チェーン111、第2のプーリ113及び終減速部115を経て、車輪117に伝達している。
ここで、伝達機構とは、クラッチ103、トルクコンバータ105、前後進切替機構107、第1のプーリ109、駆動チェーン111、第2のプーリ113、終減速部115等の動力を伝達する機構をいう。
なお、この伝達機構は軽自動車のものであるが、このような構造の伝達機構に限定する趣旨ではない。伝達機構は普通乗用車に用いられるものであってもよいし、前輪及び/又は後輪に動力を伝達する伝達機構であっても良いことは言うまでもない。
また、前後進切替機構107の詳細は周知であるから省略している。
また、この終減速部115及びパーキングギヤ119が収納されるハウジングをギヤハウジング3とし、第2のプーリ113が収納されているハウジングをプーリハウジング5とする。
これら、クラッチ103、トルクコンバータ105、前後進切替機構107、第1のプーリ109、駆動チェーン111、第2のプーリ113及び終減速部115、ギヤハウジング3、プーリハウジング5等により、変速機TMが構成される。
このギヤハウジング3及びプーリハウジング5は、伝達機構を収容するためのものであることから、その下部に潤滑油が貯留されている。
また、ギヤハウジング3及びプーリハウジング5の下部には貯留されている潤滑油を吸って循環させるための潤滑油吸込み口が形成されている。
このような、伝達機構を有する自動車等は、坂道に位置する場合、及び、加速若しくは減速している場合もある。このような場合には、ギヤハウジング3に貯留されている潤滑油は、ギヤハウジング3内のどこかの側に偏ってしまうことになる。このことは、プーリハウジング5であっても同様である。
このように、潤滑油が偏ってしまうと、潤滑油吸込み口部分に潤滑油がなくなってしまい、エアを吸ってしまうエア吸い状態となってしまうおそれがある。
このエア吸い状態となることを、本実施形態では後述するような仕切構造1を用いて防いでいる。
この連通穴7aを通って、パーキングロッド9がプーリハウジング5からギヤハウジング3に対して貫通している。
ユーザが手動等でパーキングレバー等を移動させることよって、パーキングロッド9は移動する。
ここで、パーキングロッド9は、単に壁部7に対して垂直方向に移動するだけではなく、壁部7に対して水平方向にも移動する。ここで、壁部7に対しての垂直方向への移動とは図1の左右方向への移動であり、壁部7に対しての水平方向への移動とは図1の上下方向への移動である。
パーキングロッド9は、プーリハウジング5に配置されたマニュアルプレート11に搖動自在な状態で接続されている。
このマニュアルプレート11は、ユーザによってパーキングレバーが引かれる等がなされることによって、図2の矢印方向(時計回り)に回転する。
また、パーキングロッドのマニュアルプレート11と接続されている側とは反対側端部位置には、ギヤハウジング3に配置されたパーキング機構15が設けられている。そして、このパーキング機構15によって、パーキングロッド9は挟持されている。
具体的には、図2上において上下動しないパーキングサポート17と上下動するパーキングポール19によって挟み込むことで、パーキングロッド9を一定の位置に狭持(保持)している(より具体的な、狭持方法は後述する)。
つまり、パーキングロッド9は、マニュアルプレート11との搖動自在な接続、及び、摺動は可能であるものの一定の位置に保持する挟持、によって支持されている。
また、パーキングロッド9のパーキング機構15によって狭持されている部分には、スライドカム13が配置されている。
ここで、パーキングサポート17は移動しない構造となっている。パーキングポール19は、パーキングポール軸19cを中心に回転可能となっており、反時計回り(図3において矢印方向)にばね等で付勢されている。
このため、パーキングロッド9は、パーキングサポート17とパーキングポール19によって挟持され、その位置が保持されている。
もっとも、パーキングロッド9はパーキングサポート17とは固定されずに支持されているだけであり、パーキングロッド9はパーキングポール19とも固定されずにばね力によって圧接されているだけであるから、その軸方向への移動及びパーキングポール19側への移動が可能である(以下の説明について、図4も参照のこと)。
そして、パーキングロッド9が、その軸方向のうちパーキング側に移動するとスライドカム13は、その外形が略円錐形状を有していることから、パーキングポール19を押し上げることになる。
そうすると、パーキングポール19の押し上げによって、パーキングポール19を、パーキングポール軸19cを中心軸として時計回り方向(図3における矢印の方向とは反対方向)に回転させることができる。
そして、パーキングポール19がパーキングポール軸19cを中心軸として時計回り方向に回転すると、パーキングポール19に形成された係合部19aが、パーキングギヤ119のギヤ部119aに係合する。
この係合部19aがギヤ部119aに係合すると、パーキングギヤ119、及び、このパーキングギヤ119とかみ合い状態となっている終減速部115のギヤ、は回転できなくなる。
これによって、車輪117が回転しない状態とすることができ、車等をパーキング状態とすることができる
図5は、本実施形態の仕切構造との比較例である。
図4のように、パーキング機構15は、スライドカム13、パーキングサポート17、パーキングポール19、スライドカム側ばね21及びスライドカム付勢台座部23を有している。
スライドカム13は、スライドカム側ばね21によって、パーキング方向に付勢されている。
スライドカム13は、パーキング方向位置に円錐台形状を有し、非パーキング方向位置に円柱形状を有している。また、スライドカム13はパーキングロッド9が貫通するための円柱状の中空空間を有している。
スライドカム13のパーキング方向位置に形成された円錐台形状の側面13aは、パーキングポール19のポール斜面19b及びパーキングサポート17のサポート斜面17aと当接している。
ポール斜面19b及びサポート斜面17aは、パーキング方向に行くに従いパーキングロッド9側に近づくような傾斜を有している。
他方、パーキングポール19は、パーキングロッド9の中心軸の法線方向に移動可能に形成されている。
この仕切板25は、壁部7の連通穴7aの穴の形状よりも十分に大きな形状を有している。具体的には、例えば、貫通穴が円形であれば、その円よりも大きな径を有する円形形状である。もっとも、連通穴7aの形状及び仕切板25の形状をこれに限定する趣旨ではない。例えば貫通穴が円形をしていても、仕切板25は4角形等の形状であってもよいことは言うまでもない。
つまり、仕切板25の形状は、パーキングロッド9が壁部7の壁面に対して平行にも移動した際にも、連通穴7aを仕切板25が覆いかぶさることができるものであればどのような形状であっても良い。
この仕切板貫通穴25aは、できるだけ小さい方が、潤滑油が隣のハウジングに移動することをより防ぐためには適切である。しかし、仕切板貫通穴25aがあまりに小さいと、パーキングロッド9は軸方向のみならず、軸方向に対して垂直方向にも移動するため、仕切板貫通穴25aがパーキングロッド9と接触してしまうおそれがある。そして、仕切板貫通穴25aがパーキングロッド9と接触してしまい、パーキングロッド9と一緒になってパーキング方向に移動してしまうと、仕切板25が連通穴7aを塞ぐことができなくなってしまう。そこで、適切な程度な穴径とする必要がある。
なお、仕切板貫通穴25aとパーキングロッド9との間から潤滑油が隣のハウジングに移動してしまうことを防ぐために、仕切板貫通穴25aとパーキングロッド9との間の間隙をよりなくすために、Oリング等を用いてもよい。
ここで、この仕切板25と壁部7の壁面との間から潤滑油が隣のハウジングに移動してしまうことを防ぐために、仕切板25の壁部7側の面、壁部7の仕切板25側の面の片方又は両方にパッキン等を設けることもできる。
そうすると、エア吸い等の問題が生じるおそれがある。
他方、本実施形態では、連通穴7aをほぼ閉塞する仕切板25を有し、かつ、この仕切板25を壁部7に圧接させていることから、潤滑油の移動を防ぐことが可能となる。
この際に、パーキングロッド9はパーキング方向にも移動するが、同時にパーキングロッド9の軸方向に対して垂直方向(壁部7の壁面に対して水平方向)にも移動する(図4(b)中の矢印参照)。
このパーキングロッド9のパーキング方向への移動によって、仕切板付勢台座部27もパーキング方向へ移動する。他方、仕切板25は移動しないため、仕切板側ばね29は伸長する。この仕切板側ばね29はこの状態でも、仕切板25を壁部7の壁面に圧接可能なように設計される。そのため、仕切板25はパーキング状態の場合においても、潤滑油の移動を防ぐ効果がある。
また、パーキングロッド9はパーキング方向にも、パーキングロッド9の軸方向に対して垂直方向にも移動することから、一般的に潤滑油を閉塞する構造(連通穴7aを単純に小さくするのみ等)では潤滑油の移動を防ぐことはできないのに対して、本実施形態の仕切構造1ではこれが可能となっている。
本実施形態では、このパーキング状態とならないという不具合をできるだけ防止するために、パーキングロッド9に、仕切板側ばね29によってパーキング方向への付勢力を加えている。
つまり、本実施形態においては、パーキングレバー等の引き(移動)を助け、ある程度確実にパーキングにすることが可能となるという効果がある。
もっとも、仕切板25を付勢する方向、方法、位置、機構等はこれに限定する趣旨ではなく、例えば、図4では、パーキング方向の位置に仕切構造1を形成したが、非パーキング方向の位置に仕切構造1を形成してもよい。
図6は、第2の実施形態の説明図である。
具体的な形態は、仕切板付勢台座部27に台座部貫通穴27aを設け、仕切板25に仕切板貫通穴25aを設ける。
そして、仕切板側ばね29の仕切板付勢台座部27側に台座部貫通ばね29aを設け、仕切板側ばね29の仕切板25側に仕切板貫通ばね29bを設けている。
仕切板貫通ばね29bは仕切板貫通穴25aを貫通し、仕切板25の仕切板側ばね29とは反対側に位置する。
この状態において、仕切板側ばね29は自然長さよりも伸長状態としている。
このため、仕切板25は、壁部7の側面に圧接状態となっている。
特に、付勢手段は仕切板側ばね29である必然性はなく、例えば、ゴム等であってもよい。
本実施形態の仕切構造1は、ギヤハウジング3と、プーリハウジング5と、ギヤハウジング3とプーリハウジング5とを隔てる壁部7に形成された連通穴7aを貫通し、壁部7の壁面に対して垂直方向及び並行方向に移動可能であるパーキングロッド9と、連通穴7aの周辺の壁部7に圧接して連通穴7aを塞ぐ仕切板25と、を有し、ギヤハウジング3及びプーリハウジング5の少なくともいずれか一方には下部に潤滑油が貯留され、仕切板25は、パーキングロッド9に接続された仕切板側ばね29によって、連通穴7aの周辺の壁部7に圧接されている。
このような構成を有していることから、簡易な構造としつつも、壁部7の壁面に対して垂直方向及び並行方向に移動可能なパーキングロッド9のための連通穴7aを略閉塞することができる。
そして、これによって、各ハウジングに貯留されている潤滑油が一つのハウジングに偏在させることがなくなり、エア吸いを防止することが可能となる。
このような構成を有していることから、貫通部材を設けなければならないことの多い、自動車の伝達機構の潤滑油の偏りを防止することが可能となる。
このような構成を有していることから、貫通部材を設けなければならないことの多い、自動車の伝達機構の潤滑油の偏りを防止することが可能となる。
このような構成を有していることから、簡易な構成で、パーキングロッド9を仕切板貫通穴25aに貫通させることが可能となる。
このような構成を有することから、パーキング状態により確実にすることが可能となる
このような構造を有することから、変速機TMを、簡易な構造としつつも、壁部7の壁面に対して垂直方向及び並行方向に移動可能なパーキングロッド9のための連通穴7aを略閉塞することができる。
そして、これによって、各ハウジングに貯留されている潤滑油が一つのハウジングに偏在させることがなくなり、エア吸いを防止することが可能となる。
仕切構造1に比べ変速機TMに用いた場合には、潤滑油を変速機TMに確実に供給しなければならないことから、特に効果が高い。
本発明における第1のハウジングの一例がギヤハウジング3である。本発明の第2のハウジングの一例がプーリハウジング5である。もっとも、第1のハウジング及び第2のハウジングはこれに限定されず、この二つのハウジングを隔てる壁をロッドが貫通するものであり、少なくともどちらかの下部に流体が貯留されるものであればどのようなものであってもよい。また、第1のハウジングと第2のハウジングとは、2つのみのハウジングである必要は無く、3つのハウジングがある場合にそのうちの2つのハウジングであってよい。更には、3つのハウジング以上であってもよい。
また、本発明の流体の一例が、潤滑油である。
本発明のロッドの一例がパーキングロッド9である。ここで、本発明のロッドは、壁部に対して垂直方向及び並行方向に移動可能であればどのような種類のロッドであってもよい。
3 ギヤハウジング(第1のハウジング)
5 プーリハウジング(第2のハウジング)
7 壁部
7a 連通穴
9 パーキングロッド
15 パーキング機構
25 仕切板
25a 仕切板貫通穴
27 仕切板付勢台座部
29 仕切板側ばね(付勢手段)
L2 潤滑油
Claims (6)
- 第1のハウジングと、
第2のハウジングと、
前記第1のハウジングと前記第2のハウジングとを隔てる壁部に形成された連通穴を貫通し、前記壁部の壁面に対して垂直方向及び並行方向に移動可能であるロッドと、
前記連通穴の周辺の前記壁部に圧接して前記連通穴を塞ぐ仕切板と、を有し、
前記第1のハウジング及び前記第2のハウジングの少なくともいずれか一方には下部に流体が貯留され、
前記仕切板は、前記ロッドに接続された付勢手段によって、前記連通穴の周辺の前記壁部に圧接されている
仕切構造。 - 前記第1のハウジング及び前記第2のハウジングは、自動車のエンジンからの動力を伝達する伝達機構を収容するためのハウジングである
請求項1に記載の仕切構造。 - 前記第1のハウジングは、パーキングギヤを収納するハウジングであり、
前記ロッドは、パーキングギヤを固定する為のパーキングロッドであり、
前記第1のハウジング及び前記第2のハウジングの少なくともいずれか一方の下部に貯留された流体は、潤滑油である
請求項2に記載の仕切構造。 - 前記仕切板には貫通穴が形成され、
前記貫通穴を前記パーキングロッドが貫通している
請求項3に記載の仕切構造。 - 前記付勢手段は、
前記仕切板を圧接する反力によって前記パーキングロッドを、パーキング状態とする際にパーキングロッドが移動する方向に付勢している
請求項3〜4に記載の仕切構造。 - 請求項1〜5に記載の仕切構造を用いた変速機。
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