JP2013036110A - 硬質金めっき液 - Google Patents

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Abstract

【課題】コネクターなどの電子部品に対して所望の箇所にのみ硬質金めっき皮膜を形成し、不要な部分への金めっき皮膜の析出を抑制し、かつ、めっき浴の浴管理がし易い硬質金めっき液を提供する。
【解決手段】可溶性金塩または金錯体、伝導塩、錯化剤および結晶調整剤を含有する硬質金めっき液において、酸化作用を有する無機化合物、例えば、過酸化水素、過硫酸塩、ヨウ素酸塩の一群から選ばれる酸化作用を有する無機化合物を含有することを特徴とする。また、結晶調整剤としてコバルト塩、ニッケル塩、銀塩から選択される少なくとも1種の金属塩を含むことを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、硬質金めっき処理技術に関し、特にコネクターなどの電子部品の接点材料を形成するのに有用な硬質金めっき液に関する。
従来、コネクター等に施されてきた金めっきは、金めっき皮膜の優れた電気的特性、耐食性などの理由により電子機器や電子部品に多用され各種接続端子表面の処理として広く利用されてきた。
前記のコネクターとは、金属成型されたものに限らず樹脂上や基板上に形成されたものも対象となる。
コネクターに使用される硬質金めっきは、耐摩耗性、耐食性および電気伝導性が要求されるため、金めっき液から析出する金めっき皮膜の結晶を微細化する必要があった。そのため金めっき皮膜の結晶調整剤としてコバルト塩、ニッケル塩等をめっき液に添加した硬質金めっき液が古くから知られている(特許文献1)。
コネクターなどの電子部品は、一般に素材として真鍮やリン青銅などの銅系合金が使用されている。これら電子部品素材に金めっきを施す場合、下地めっきとしてニッケルめっきが施され、その上に金めっきが行われている。
これらコネクターなどの電子部品に硬質金めっきを施す場合、必要な部分のみに硬質金めっきが行われるように部分的なめっき処理が要求される。すなわち、必要な部分のみ硬質金めっきが施され、不必要な部分には金めっきがされない選択析出性を有する硬質金めっき液が要求されている。
また、一方、金地金の高騰に伴い不必要な部分に金めっきが施されないことによるよる省金化、コストダウンも重要な要素とされている。
これまでの技術では、めっき装置の構造改良により部分めっきが施されてきた。しかし、近年の技術革新により電子部品の微細化や少量多品種化が進んだため、めっき装置の構造改良だけでは生産性に限界をきたした。
このようなコネクターなどの電子部品に硬質金めっきを行う場合、必要である部分のみ選択的に硬質金めっき処理が行える技術が提案されている(特許文献2、特許文献3)。
上記した先行技術における硬質金めっき液は、コネクターなどの電子部品に対して所望の箇所にのみ硬質金めっき皮膜を形成し、不要な部分への金めっき皮膜の析出を抑制することができるものである。
しかしながら、これら先行技術の硬質金めっき液において、析出選択性を付与するために用いられている有機化合物は、めっき工程における消費減量の把握がたいへん困難であり、めっき浴管理を迅速に行えないという難点があった。
特開2004−76026号公報 特開2008−45194号公報 特開2010−77527号公報
本発明は、コネクターなどの電子部品に対して所望の箇所にのみ硬質金めっき皮膜を形成し、不要な部分への金めっき皮膜の析出を抑制し、かつ、めっき浴の浴管理がし易い硬質金めっき液を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため、硬質金めっき液を鋭意検討した結果、硬質金めっき液中に、酸化作用を有する無機化合物を添加することにより、金めっき皮膜の析出速度が向上し、選択めっき性に優れためっき皮膜が得られることを知見し本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の内容をその発明の要旨とするものである。
(1)可溶性金塩または金錯体、伝導塩、錯化剤および結晶調整剤を含有する硬質金めっき液において、酸化作用を有する無機化合物を含有することを特徴とする硬質金めっき液。
(2)結晶調整剤がコバルト塩、ニッケル塩、銀塩から選択される少なくとも1種の金属塩であることを特徴とする請求項1に記載の硬質金めっき液。
(3)酸化作用を有する無機化合物が過酸化水素、過硫酸塩、ヨウ素酸塩のいずれかから選ばれる請求項1〜請求項2のいずれかに記載の硬質金めっき液。
本発明の硬質金めっき液は、高電流密度部における金めっきの析出効率を低下させることなく一定に維持したまま、低電流密度部における金めっきの析出効率を低下させることを可能としたものである。すなわち、高電流密度部と低電流密度部における金めっき皮膜の析出効率の差を一定にする効果を有する。
以下、本発明の硬質金めっき液について詳細に説明する。
本発明において用いられる可溶性金塩或いは金錯体としては、例えば、シアン化第一金カリウム、シアン化第二金カリウム、亜硫酸金カリウム、亜硫酸金ナトリウムが挙げられる。好ましくは、シアン化第一金カリウムである。
本発明の硬質金めっき液における金濃度は、金換算として0.5g/L〜30g/L、好ましくは1.0g/L〜20g/Lの範囲である。
本発明に係る硬質金めっき液に添加されるコバルト塩としては、可溶性のコバルト化合物であればよく、例えば、硫酸コバルト、スルファミン酸コバルト、塩化コバルト、酢酸コバルト、クエン酸コバルトが挙げられる。好ましくは、硫酸コバルトである。
コバルト塩の硬質金めっき液中の添加量は、コバルト換算として0.05g/L〜5g/Lの範囲であり、好ましくはコバルトとして0.1g/L〜2.5g/Lである。
本発明に係る硬質金めっき液に、ニッケル塩を含有させる場合、可溶性のニッケル塩が用いられる。例えば、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケル、クエン酸ニッケルが挙げられる。
好ましくは、スルファミン酸ニッケルである。
ニッケル塩の硬質金めっき液中の濃度としては、ニッケル換算として0.05g/L〜5g/Lであり、好ましくは、ニッケルとして0.1g/L〜2.5g/Lである。
本発明に係る硬質金めっき液に銀塩を含有させる場合、可溶性銀塩としてはシアン化銀カリウム、シアン化銀、硝酸銀、塩化銀が挙げられる。好ましくは、シアン化銀カリウムである。
銀塩のめっき液中の濃度は、銀換算で0.05g/L〜60g/Lであり、好ましくは、銀として0.1g/L〜60g/Lである。
本発明に係る硬質金めっき液に含有する伝導塩としては、有機酸化合物類、無機化合物類の一種または二種以上の物が使用される。
前記の有機酸化合物類としては、一分子内にカルボキシル基を一つ以上含有する構造の化合物が挙げられ、具体的には、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、乳酸及びこれらの塩が挙げられる。
また、無機化合物類としては、リン酸、硫酸、ホウ酸、亜硫酸或いはこれらの塩類が挙げられる。
これら伝導塩のめっき液中の濃度は、10g/L〜300g/L、好ましくは、20g/L〜250g/Lである。
また、本発明で使用される錯化剤としては、リンゴ酸、酢酸、マレイン酸、コハク酸、グリシン、アルギニンおよびこれら塩類が挙げられ、一種または二種以上使用することができる。
前記錯化剤のめっき液中の濃度は、1.0g/L〜250g/Lの範囲が好ましく、1g/L〜100g/Lがより好ましい。
また、本発明の硬質金めっき液の必須成分である酸化作用を有し、金めっきの析出を抑制する効果を有する無機化合物としては、過酸化水素、過硫酸塩、ヨウ素酸塩、亜硫酸塩が挙げられる。
これら酸化作用を有する無機化合物をめっき液へ添加することにより、必要でない部分に金めっき皮膜を析出させない効果、すなわち、硬質金めっき液に金めっき析出抑制効果を付加することができる。
前記の酸化作用を有する無機化合物としては、例えば、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、ヨウ素酸カリウム、ヨウ素酸水素カリウム、ヨウ素酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸アンモニウムおよび亜硫酸水素アンモニウムが挙げられる。
本発明の硬質金めっき液中への酸化作用を有する無機化合物の添加量は、0.05g/L〜50g/Lの範囲が好ましく、0.1g/L〜30g/Lがより好ましい。
本発明の硬質金めっき液を用いて電解金めっき処理を行う場合、めっき液のpH、液温、電流密度は下記の範囲で選択される。
硬質金めっき液のpHは3.5〜6.0の範囲とすることが好ましい。pHが3.5未満になると、電流効率の低下が生じるので好ましくない。また、pHが6.0以上になると許容電流密度範囲が狭くなり、めっき外観不良が発生するので好ましくない。
硬質金めっき液の液温は、30℃〜60℃の範囲が好ましい。30℃以下になると金の析出反応が緩慢になり高電流密度部での析出外観不良が発生する。また、60℃以上になると金めっき皮膜のめっき厚バラツキが大きくなるので好ましくない。
めっき操作電流密度は1A/dm〜150A/dmの広範囲でめっきが可能である。
本発明に係る硬質金めっき液は、特に噴流式の高速めっき方式において金めっきの析出抑制効果を発揮できるものである。従って、めっき液の撹拌条件やめっき液の流速条件にも影響を受けるため、めっき装置に合った条件を選択する必要がある。
本発明の硬質金めっき液を用いてコネクターなどの電子部品を製造する方法としては、公知の方法を用いることができる。電子部品へ部分硬質金めっきを行うための一般的な方法としては、スポットめっき、液面制御によるめっき、ラックめっき、バレルめっきなどが用いられている。
試験に使用する装置および評価方法は以下の通りである。
ハルセル試験器(山本鍍金試験器社製)を用い、清浄銅板(縦67mm×横100mm×厚さ0.3mm)にニッケルめっき5μm施したものを試験片として使用する。
めっき処理条件は、全電流2A、めっき時間1分、撹拌はマグネットスターラー回転数700rpmで撹拌する。
めっき厚評価は、ハルセル試験板下部から20mm部分を低電流密度側から高電流密度側に向けて蛍光X線微小膜厚計(セイコーインスツルメンツ社製)により、金めっき厚を測定した。ハルセル試験は一枚の試験片で陽極から試験片までの距離の差異により、同一試験片内で高電流密度部から低電流密度部の評価が可能となる特徴を有した評価方法である。
実施例1
(めっき液の組成)
シアン化第一金カリウム 12g/L(金として8g/L)
硫酸コバルト 2.5g/L(コバルトとして0.5g/L)
クエン酸カリウム 100g/L
クエン酸 80g/L
過酸化水素 0.5g/L

上記液をpH4.0に調整し、浴温45℃として表1に示す電流密度でめっきを行った。その結果を表1に示す。
実施例2
(めっき液の組成)
シアン化第一金カリウム 12g/L(金として8g/L)
硫酸コバルト 2.5g/L(コバルトとして0.5g/L)
クエン酸カリウム 100g/L
クエン酸 80g/L
過酸化水素 1.0g/L

上記液をpH4.0に調整し、浴温45℃として表1に示す電流密度でめっきを行った。その結果を表1に示す。
実施例3
(めっき液の組成)
シアン化第一金カリウム 12g/L(金として8g/L)
硫酸コバルト 2.5g/L(コバルトとして0.5g/L)
クエン酸カリウム 100g/L
クエン酸 80g/L
過硫酸カリウム 1.5g/L

上記液をpH4.0に調整し、浴温50℃として表1に示す電流密度でめっきを行った。その結果を表1に示す。
実施例4
(めっき液の組成)
シアン化第一金カリウム 12g/L(金として8g/L)
硫酸コバルト 2.5g/L(コバルトとして0.5g/L)
グリシン 10g/L
クエン酸カリウム 100g/L
クエン酸 80g/L
ヨウ素酸カリウム 1.5g/L
上記液をpH4.2に調整し、浴温50℃として表1に示す電流密度でめっきを行った。その結果を表1に示す。
実施例5
(めっき液の組成)
シアン化第一金カリウム 12g/L(金として8g/L)
硫酸コバルト 2.5g/L(コバルトとして0.5g/L)
グリシン 10g/L
クエン酸カリウム 100g/L
クエン酸 80g/L
亜硫酸酸カリウム 5.0g/L

上記液をpH4.2に調整し、浴温45℃として表1に示す電流密度でめっきを行った。その結果を表1に示す。
実施例6
(めっき液の組成)
シアン化第一金カリウム 12g/L(金として8g/L)
硫酸ニッケル 1.5g/L(ニッケルとして0.5g/L)
クエン酸カリウム 100g/L
クエン酸 80g/L
リンゴ酸 20g/L
過酸化水素 1.0g/L

上記液をpH4.2に調整し、浴温50℃として表1に示す電流密度でめっきを行った。その結果を表1に示す。
実施例7
(めっき液の組成)
シアン化第一金カリウム 12g/L(金として8g/L)
クエン酸ニッケル 2.5g/L(ニッケルとして0.5g/L)
クエン酸カリウム 100g/L
クエン酸 80g/L
ヨウ素酸カリウム 1.5g/L

上記液をpH4.2に調整し、浴温40℃として表1に示す電流密度でめっきを行った。その結果を表1に示す。
実施例8
(めっき液の組成)
シアン化第一金カリウム 12g/L(金として8g/L)
スルファミン酸ニッケル 2.5g/L(ニッケルとして0.5g/L)
クエン酸カリウム 100g/L
クエン酸 40g/L
コハク酸 30g/L
過酸化水素 0.5g/L

上記液をpH4.2に調整し、浴温50℃として表1に示す電流密度でめっきを行った。その結果を表1に示す。
比較例1
(めっき液の組成)
シアン化第一金カリウム 12g/L(金として8g/L)
硫酸コバルト 2.5g/L(コバルトとして0.5g/L)
クエン酸カリウム 100g/L
クエン酸 80g/L

上記液をpH4.0に調整し、浴温45℃として表1に示す電流密度でめっきを行った。その結果を表1に示す。
一般に酸性金めっき液は、高電流密度域において低い析出効率を示し、低電流密度域では高い析出効率を示すことが知られている。
コネクターなどの電子部品への金めっきでは、金めっきが必要な部分である高電流密度域において析出効率がよく、金めっきが不要な低電流密度域では金めっきの析出が抑制される選択析出性に優れた金めっき液が要望されている。
表1の結果から明らかなように、実施例1〜実施例8と比較例1とを比較した場合、高電流密度部と低電流密度部における金めっきの析出効率の差異が生じている。即ち、本発明の硬質金めっき液は、高電流密度部における金めっき析出効率を充分維持したまま低電流密度部における金めっきの析出効率を低下させる効果を有するものである。
本発明は、硬質金めっき処理技術に関し、特にコネクターなどの電子部品の接点材料を形成するのに有用な硬質金めっき液に関する。
従来、コネクター等に施されてきた金めっきは、金めっき皮膜の優れた電気的特性、耐食性などの理由により電子機器や電子部品に多用され各種接続端子表面の処理として広く利用されてきた。
前記のコネクターとは、金属成型されたものに限らず樹脂上や基板上に形成されたものも対象となる。
コネクターに使用される硬質金めっきは、耐摩耗性、耐食性および電気伝導性が要求されるため、金めっき液から析出する金めっき皮膜の結晶を微細化する必要があった。そのためコバルト塩、ニッケル塩等をめっき液に添加した硬質金めっき液が古くから知られている(特許文献1)。
コネクターなどの電子部品は、一般に素材として真鍮やリン青銅などの銅系合金が使用されている。これら電子部品素材に金めっきを施す場合、下地めっきとしてニッケルめっきが施され、その上に金めっきが行われている。
これらコネクターなどの電子部品に硬質金めっきを施す場合、必要な部分のみに硬質金めっきが行われるように部分的なめっき処理が要求される。すなわち、必要な部分のみ硬質金めっきが施され、不必要な部分には金めっきがされない選択析出性を有する硬質金めっき液が要求されている。
また、一方、金地金の高騰に伴い不必要な部分に金めっきが施されないことによる省金化、コストダウンも重要な要素とされている。
これまでの技術では、めっき装置の構造改良により部分めっきが施されてきた。しかし、近年の技術革新により電子部品の微細化や少量多品種化が進んだため、めっき装置の構造改良だけでは生産性に限界をきたした。
このようなコネクターなどの電子部品に硬質金めっきを行う場合、必要である部分のみ選択的に硬質金めっき処理が行える技術が提案されている(特許文献2、特許文献3)。
上記した先行技術における硬質金めっき液は、コネクターなどの電子部品に対して所望の箇所にのみ硬質金めっき皮膜を形成し、不要な部分への金めっき皮膜の析出を抑制することができるものである。
しかしながら、これら先行技術の硬質金めっき液において、析出選択性を付与するために用いられている有機化合物は、めっき工程における消費減量の把握がたいへん困難であり、めっき浴管理を迅速に行えないという難点があった。
特開2004−76026号公報 特開2008−45194号公報 特開2010−77527号公報
本発明は、コネクターなどの電子部品に対して所望の箇所にのみ硬質金めっき皮膜を形成し、不要な部分への金めっき皮膜の析出を抑制し、かつ、めっき浴の浴管理がし易い硬質金めっき液を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため、硬質金めっき液を鋭意検討した結果、硬質金めっき液中に、過酸化水素又はヨウ素酸塩を添加することにより、金めっき皮膜の析出速度が向上し、選択めっき性に優れためっき皮膜が得られることを知見し本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の内容をその発明の要旨とするものである。
(1)可溶性金塩または金錯体、伝導塩、錯化剤と、コバルト塩、ニッケル塩、銀塩から選択される少なくとも1種の金属塩とを含有する硬質金めっき液において、過酸化水素又はヨウ素酸塩を含有することを特徴とする硬質金めっき液。
(2)伝導塩が、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、乳酸、リン酸、硫酸、ホウ酸及びこれらの塩類であって、これらの伝導塩のめっき液中の濃度は10g/L〜300g/Lである請求項1に記載の硬質金めっき液。
(3)錯化剤が、リンゴ酸、酢酸,マレイン酸、コハク酸、グリシン、アルギニンおよびこれらの塩類の一種または二種以上であって、これらの錯化剤のめっき液中の濃度は1.0g/L〜250g/Lである請求項1に記載の硬質金めっき液。
(4)コバルト塩、ニッケル塩、銀塩のめっき液中への添加量は、コバルト換算で0.05g/L〜5g/L、ニッケル換算で0.05g/L〜5g/L、銀換算で0.05g/L〜60g/Lである請求項1に記載の硬質金めっき液。
(5)過酸化水素又はヨウ素酸塩のめっき液への添加量が0.05g/L〜50g/Lである請求項1に記載の硬質金めっき液。
6)可溶性金塩または金錯体がシアン化第一金カリウム、シアン化第二金カリウムであり、めっき液における金濃度が金換算として0.5g/L〜30g/Lである請求項1に記載の硬質金めっき液。
本発明の硬質金めっき液は、高電流密度部における金めっきの析出効率を低下させることなく一定に維持したまま、低電流密度部における金めっきの析出効率を低下させることを可能としたものである。すなわち、高電流密度部と低電流密度部における金めっき皮膜の析出効率の差を一定にする効果を有する。
以下、本発明の硬質金めっき液について詳細に説明する。
本発明において用いられる可溶性金塩または金錯体としては、例えば、シアン化第一金カリウム、シアン化第二金カリウムが挙げられる。好ましくは、シアン化第一金カリウムである。
本発明の硬質金めっき液における金濃度は、金換算として0.5g/L〜30g/L、好ましくは1.0g/L〜20g/Lの範囲である。
本発明に係る硬質金めっき液に添加されるコバルト塩としては、可溶性のコバルト化合物であればよく、例えば、硫酸コバルト、スルファミン酸コバルト、塩化コバルト、酢酸コバルト、クエン酸コバルトが挙げられる。好ましくは、硫酸コバルトである。
コバルト塩の硬質金めっき液中の添加量は、コバルト換算として0.05g/L〜5g/Lの範囲であり、好ましくはコバルトとして0.1g/L〜2.5g/Lである。
本発明に係る硬質金めっき液に、ニッケル塩を含有させる場合、可溶性のニッケル塩が用いられる。例えば、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケル、クエン酸ニッケルが挙げられる。
好ましくは、スルファミン酸ニッケルである。
ニッケル塩の硬質金めっき液中の濃度としては、ニッケル換算として0.05g/L〜5g/Lであり、好ましくは、ニッケルとして0.1g/L〜2.5g/Lである。
本発明に係る硬質金めっき液に銀塩を含有させる場合、可溶性銀塩としてはシアン化銀カリウム、シアン化銀、硝酸銀、塩化銀が挙げられる。好ましくは、シアン化銀カリウムである。
銀塩のめっき液中の濃度は、銀換算で0.05g/L〜60g/Lであり、好ましくは、銀として0.1g/L〜60g/Lである。
本発明に係る硬質金めっき液に含有する伝導塩としては、有機酸化合物類、無機化合物類の一種または二種以上の物が使用される。
前記の有機酸化合物類としては、一分子内にカルボキシル基を一つ以上含有する構造の化合物が挙げられ、具体的には、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、乳酸及びこれらの塩が挙げられる。
また、無機化合物類としては、リン酸、硫酸、ホウ酸、或いはこれらの塩類が挙げられる。
これら伝導塩のめっき液中の濃度は、10g/L〜300g/L、好ましくは、20g/L〜250g/Lである。
また、本発明で使用される錯化剤としては、リンゴ酸、酢酸、マレイン酸、コハク酸、グリシン、アルギニンおよびこれら塩類が挙げられ、一種または二種以上使用することができる。
前記錯化剤のめっき液中の濃度は、1.0g/L〜250g/Lの範囲が好ましく、1g/L〜100g/Lがより好ましい。
また、本発明の硬質金めっき液の必須成分である金めっきの析出を抑制する効果を有する過酸化水素又はヨウ素酸塩をめっき液へ添加することにより、必要でない部分に金めっき皮膜を析出させない効果、すなわち、硬質金めっき液に金めっき析出抑制効果を付加することができる。
前記のヨウ素酸塩としては、例えば、ヨウ素酸カリウム、ヨウ素酸水素カリウム、ヨウ素酸ナトリウムが挙げられる。
本発明の硬質金めっき液中への過酸化水素又はヨウ素酸塩の添加量は、0.05g/L〜50g/Lの範囲が好ましく、0.1g/L〜30g/Lがより好ましい。
本発明の硬質金めっき液を用いて電解金めっき処理を行う場合、めっき液のpH、液温、電流密度は下記の範囲で選択される。
硬質金めっき液のpHは3.5〜6.0の範囲とすることが好ましい。pHが3.5未満になると、電流効率の低下が生じるので好ましくない。また、pHが6.0以上になると許容電流密度範囲が狭くなり、めっき外観不良が発生するので好ましくない。
硬質金めっき液の液温は、30℃〜60℃の範囲が好ましい。30℃以下になると金の析出反応が緩慢になり高電流密度部での析出外観不良が発生する。また、60℃以上になると金めっき皮膜のめっき厚バラツキが大きくなるので好ましくない。
めっき操作電流密度は1A/dm〜150A/dmの広範囲でめっきが可能である。
本発明に係る硬質金めっき液は、特に噴流式の高速めっき方式において金めっきの析出抑制効果を発揮できるものである。従って、めっき液の撹拌条件やめっき液の流速条件にも影響を受けるため、めっき装置に合った条件を選択する必要がある。
本発明の硬質金めっき液を用いてコネクターなどの電子部品を製造する方法としては、公知の方法を用いることができる。電子部品へ部分硬質金めっきを行うための一般的な方法としては、スポットめっき、液面制御によるめっき、ラックめっき、バレルめっきなどが用いられている。
試験に使用する装置および評価方法は以下の通りである。
ハルセル試験器(山本鍍金試験器社製)を用い、清浄銅板(縦67mm×横100mm×厚さ0.3mm)にニッケルめっき5μm施したものを試験片として使用する。
めっき処理条件は、全電流2A、めっき時間1分、撹拌はマグネットスターラー回転数700rpmで撹拌する。
めっき厚評価は、ハルセル試験板下部から20mm部分を低電流密度側から高電流密度側に向けて蛍光X線微小膜厚計(セイコーインスツルメンツ社製)により、金めっき厚を測定した。ハルセル試験は一枚の試験片で陽極から試験片までの距離の差異により、同一試験片内で高電流密度部から低電流密度部の評価が可能となる特徴を有した評価方法である。
実施例1
(めっき液の組成)
シアン化第一金カリウム 12g/L(金として8g/L)
硫酸コバルト 2.5g/L(コバルトとして0.5g/L)
グリシン 10g/L
クエン酸カリウム 100g/L
クエン酸 80g/L
ヨウ素酸カリウム 1.5g/L
上記液をpH4.2に調整し、浴温50℃として表1に示す電流密度でめっきを行った。その結果を表1に示す。
実施例2
(めっき液の組成)
シアン化第一金カリウム 12g/L(金として8g/L)
硫酸ニッケル 1.5g/L(ニッケルとして0.5g/L)
クエン酸カリウム 100g/L
クエン酸 80g/L
リンゴ酸 20g/L
過酸化水素 1.0g/L

上記液をpH4.2に調整し、浴温50℃として表1に示す電流密度でめっきを行った。その結果を表1に示す。
実施例3
(めっき液の組成)
シアン化第一金カリウム 12g/L(金として8g/L)
スルファミン酸ニッケル 2.5g/L(ニッケルとして0.5g/L)
クエン酸カリウム 100g/L
クエン酸 40g/L
コハク酸 30g/L
過酸化水素 0.5g/L

上記液をpH4.2に調整し、浴温50℃として表1に示す電流密度でめっきを行った。その結果を表1に示す。
比較例1
(めっき液の組成)
シアン化第一金カリウム 12g/L(金として8g/L)
硫酸コバルト 2.5g/L(コバルトとして0.5g/L)
クエン酸カリウム 100g/L
クエン酸 80g/L

上記液をpH4.0に調整し、浴温45℃として表1に示す電流密度でめっきを行った。その結果を表1に示す。













一般に酸性金めっき液は、高電流密度域において低い析出効率を示し、低電流密度域では高い析出効率を示すことが知られている。
コネクターなどの電子部品への金めっきでは、金めっきが必要な部分である高電流密度域において析出効率がよく、金めっきが不要な低電流密度域では金めっきの析出が抑制される選択析出性に優れた金めっき液が要望されている。
表1の結果から明らかなように、実施例1〜実施例と比較例1とを比較した場合、高電流密度部と低電流密度部における金めっきの析出効率の差異が生じている。即ち、本発明の硬質金めっき液は、高電流密度部における金めっき析出効率を充分維持したまま低電流密度部における金めっきの析出効率を低下させる効果を有するものである。
本発明は、硬質金めっき処理技術に関し、特にコネクターなどの電子部品の接点材料を形成するのに有用な硬質金めっき液に関する。
従来、コネクター等に施されてきた金めっきは、金めっき皮膜の優れた電気的特性、耐食性などの理由により電子機器や電子部品に多用され各種接続端子表面の処理として広く利用されてきた。
前記のコネクターとは、金属成型されたものに限らず樹脂上や基板上に形成されたものも対象となる。
コネクターに使用される硬質金めっきは、耐摩耗性、耐食性および電気伝導性が要求されるため、金めっき液から析出する金めっき皮膜の結晶を微細化する必要があった。そのためコバルト塩、ニッケル塩等をめっき液に添加した硬質金めっき液が古くから知られている(特許文献1)。
コネクターなどの電子部品は、一般に素材として真鍮やリン青銅などの銅系合金が使用されている。これら電子部品素材に金めっきを施す場合、下地めっきとしてニッケルめっきが施され、その上に金めっきが行われている。
これらコネクターなどの電子部品に硬質金めっきを施す場合、必要な部分のみに硬質金めっきが行われるように部分的なめっき処理が要求される。すなわち、必要な部分のみ硬質金めっきが施され、不必要な部分には金めっきがされない選択析出性を有する硬質金めっき液が要求されている。
また、一方、金地金の高騰に伴い不必要な部分に金めっきが施されないことによる省金化、コストダウンも重要な要素とされている。
これまでの技術では、めっき装置の構造改良により部分めっきが施されてきた。しかし、近年の技術革新により電子部品の微細化や少量多品種化が進んだため、めっき装置の構造改良だけでは生産性に限界をきたした。
このようなコネクターなどの電子部品に硬質金めっきを行う場合、必要である部分のみ選択的に硬質金めっき処理が行える技術が提案されている(特許文献2、特許文献3)。
上記した先行技術における硬質金めっき液は、コネクターなどの電子部品に対して所望の箇所にのみ硬質金めっき皮膜を形成し、不要な部分への金めっき皮膜の析出を抑制することができるものである。
しかしながら、これら先行技術の硬質金めっき液において、析出選択性を付与するために用いられている有機化合物は、めっき工程における消費減量の把握がたいへん困難であり、めっき浴管理を迅速に行えないという難点があった。
特開2004−76026号公報 特開2008−45194号公報 特開2010−77527号公報
本発明は、コネクターなどの電子部品に対して所望の箇所にのみ硬質金めっき皮膜を形成し、不要な部分への金めっき皮膜の析出を抑制し、かつ、めっき浴の浴管理がし易い硬質金めっき液を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決するため、硬質金めっき液を鋭意検討した結果、硬質金めっき液中に、過酸化水素又はヨウ素酸塩を添加することにより、金めっき皮膜の析出速度が向上し、選択めっき性に優れためっき皮膜が得られることを知見し本発明に到達した。
すなわち、本発明は、以下の内容をその発明の要旨とするものである。
(1)可溶性金塩または金錯体、伝導塩、錯化剤としてリンゴ酸、酢酸,マレイン酸、コハク酸、クエン酸、グリシン、アルギニン、およびこれら塩類からなる群から選択される一種または二種以上と、コバルト塩、ニッケル塩、銀塩から選択される少なくとも一種の金属塩とを含有する硬質金めっき液において、過酸化水素又はヨウ素酸塩を含有することを特徴とする硬質金めっき液。
(2)伝導塩が、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、乳酸、リン酸、硫酸、ホウ酸、およびこれらの塩類からなる群から選択される一種または二種以上であって、これらの伝導塩のめっき液中の濃度は10g/L〜300g/Lである請求項1に記載の硬質金めっき液。
(3)錯化剤のめっき液中の濃度は1.0g/L〜250g/Lである請求項1に記載の硬質金めっき液。
(4)コバルト塩、ニッケル塩、銀塩のめっき液中への添加量は、コバルト換算で0.05g/L〜5g/L、ニッケル換算で0.05g/L〜5g/L、銀換算で0.05g/L〜60g/Lである請求項1に記載の硬質金めっき液。
(5)過酸化水素又はヨウ素酸塩のめっき液への添加量が0.05g/L〜50g/Lである請求項1に記載の硬質金めっき液。
6)可溶性金塩または金錯体がシアン化第一金カリウム、シアン化第二金カリウムであり、めっき液における金濃度が金換算として0.5g/L〜30g/Lである請求項1に記載の硬質金めっき液。
本発明の硬質金めっき液は、高電流密度部における金めっきの析出効率を低下させることなく一定に維持したまま、低電流密度部における金めっきの析出効率を低下させることを可能としたものである。すなわち、高電流密度部と低電流密度部における金めっき皮膜の析出効率の差を一定にする効果を有する。
以下、本発明の硬質金めっき液について詳細に説明する。
本発明において用いられる可溶性金塩または金錯体としては、例えば、シアン化第一金カリウム、シアン化第二金カリウムが挙げられる。好ましくは、シアン化第一金カリウムである。
本発明の硬質金めっき液における金濃度は、金換算として0.5g/L〜30g/L、好ましくは1.0g/L〜20g/Lの範囲である。
本発明に係る硬質金めっき液に添加されるコバルト塩としては、可溶性のコバルト化合物であればよく、例えば、硫酸コバルト、スルファミン酸コバルト、塩化コバルト、酢酸コバルト、クエン酸コバルトが挙げられる。好ましくは、硫酸コバルトである。
コバルト塩の硬質金めっき液中の添加量は、コバルト換算として0.05g/L〜5g/Lの範囲であり、好ましくはコバルトとして0.1g/L〜2.5g/Lである。
本発明に係る硬質金めっき液に、ニッケル塩を含有させる場合、可溶性のニッケル塩が用いられる。例えば、硫酸ニッケル、塩化ニッケル、スルファミン酸ニッケル、クエン酸ニッケルが挙げられる。
好ましくは、スルファミン酸ニッケルである。
ニッケル塩の硬質金めっき液中の濃度としては、ニッケル換算として0.05g/L〜5g/Lであり、好ましくは、ニッケルとして0.1g/L〜2.5g/Lである。
本発明に係る硬質金めっき液に銀塩を含有させる場合、可溶性銀塩としてはシアン化銀カリウム、シアン化銀、硝酸銀、塩化銀が挙げられる。好ましくは、シアン化銀カリウムである。
銀塩のめっき液中の濃度は、銀換算で0.05g/L〜60g/Lであり、好ましくは、銀として0.1g/L〜60g/Lである。
本発明に係る硬質金めっき液に含有する伝導塩としては、有機酸化合物類、無機化合物類の一種または二種以上の物が使用される。
前記の有機酸化合物類としては、一分子内にカルボキシル基を一つ以上含有する構造の化合物が挙げられ、具体的には、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、乳酸及びこれらの塩が挙げられる。
また、無機化合物類としては、リン酸、硫酸、ホウ酸、或いはこれらの塩類が挙げられる。
これら伝導塩のめっき液中の濃度は、10g/L〜300g/L、好ましくは、20g/L〜250g/Lである。
また、本発明で使用される錯化剤としては、リンゴ酸、酢酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸、グリシン、アルギニンおよびこれら塩類が挙げられ、一種または二種以上使用することができる。
前記錯化剤のめっき液中の濃度は、1.0g/L〜250g/Lの範囲が好ましく、1g/L〜100g/Lがより好ましい。
また、本発明の硬質金めっき液の必須成分である金めっきの析出を抑制する効果を有する過酸化水素又はヨウ素酸塩をめっき液へ添加することにより、必要でない部分に金めっき皮膜を析出させない効果、すなわち、硬質金めっき液に金めっき析出抑制効果を付加することができる。
前記のヨウ素酸塩としては、例えば、ヨウ素酸カリウム、ヨウ素酸水素カリウム、ヨウ素酸ナトリウムが挙げられる。
本発明の硬質金めっき液中への過酸化水素又はヨウ素酸塩の添加量は、0.05g/L〜50g/Lの範囲が好ましく、0.1g/L〜30g/Lがより好ましい。
本発明の硬質金めっき液を用いて電解金めっき処理を行う場合、めっき液のpH、液温、電流密度は下記の範囲で選択される。
硬質金めっき液のpHは3.5〜6.0の範囲とすることが好ましい。pHが3.5未満になると、電流効率の低下が生じるので好ましくない。また、pHが6.0以上になると許容電流密度範囲が狭くなり、めっき外観不良が発生するので好ましくない。
硬質金めっき液の液温は、30℃〜60℃の範囲が好ましい。30℃以下になると金の析出反応が緩慢になり高電流密度部での析出外観不良が発生する。また、60℃以上になると金めっき皮膜のめっき厚バラツキが大きくなるので好ましくない。
めっき操作電流密度は1A/dm〜150A/dmの広範囲でめっきが可能である。
本発明に係る硬質金めっき液は、特に噴流式の高速めっき方式において金めっきの析出抑制効果を発揮できるものである。従って、めっき液の撹拌条件やめっき液の流速条件にも影響を受けるため、めっき装置に合った条件を選択する必要がある。
本発明の硬質金めっき液を用いてコネクターなどの電子部品を製造する方法としては、公知の方法を用いることができる。電子部品へ部分硬質金めっきを行うための一般的な方法としては、スポットめっき、液面制御によるめっき、ラックめっき、バレルめっきなどが用いられている。
試験に使用する装置および評価方法は以下の通りである。
ハルセル試験器(山本鍍金試験器社製)を用い、清浄銅板(縦67mm×横100mm×厚さ0.3mm)にニッケルめっき5μm施したものを試験片として使用する。
めっき処理条件は、全電流2A、めっき時間1分、撹拌はマグネットスターラー回転数700rpmで撹拌する。
めっき厚評価は、ハルセル試験板下部から20mm部分を低電流密度側から高電流密度側に向けて蛍光X線微小膜厚計(セイコーインスツルメンツ社製)により、金めっき厚を測定した。ハルセル試験は一枚の試験片で陽極から試験片までの距離の差異により、同一試験片内で高電流密度部から低電流密度部の評価が可能となる特徴を有した評価方法である。
実施例1
(めっき液の組成)
シアン化第一金カリウム 12g/L(金として8g/L)
硫酸コバルト 2.5g/L(コバルトとして0.5g/L)
クエン酸カリウム 100g/L
クエン酸 80g/L
過酸化水素 0.5g/L

上記液をpH4.0に調整し、浴温45℃として表1に示す電流密度でめっきを行った。その結果を表1に示す。
実施例2
(めっき液の組成)
シアン化第一金カリウム 12g/L(金として8g/L)
硫酸コバルト 2.5g/L(コバルトとして0.5g/L)
クエン酸カリウム 100g/L
クエン酸 80g/L
過酸化水素 1.0g/L

上記液をpH4.0に調整し、浴温45℃として表1に示す電流密度でめっきを行った。その結果を表1に示す。
実施例3
(めっき液の組成)
シアン化第一金カリウム 12g/L(金として8g/L)
硫酸コバルト 2.5g/L(コバルトとして0.5g/L)
グリシン 10g/L
クエン酸カリウム 100g/L
クエン酸 80g/L
ヨウ素酸カリウム 1.5g/L
上記液をpH4.2に調整し、浴温50℃として表1に示す電流密度でめっきを行った。その結果を表1に示す。
実施例4
(めっき液の組成)
シアン化第一金カリウム 12g/L(金として8g/L)
硫酸ニッケル 1.5g/L(ニッケルとして0.5g/L)
クエン酸カリウム 100g/L
クエン酸 80g/L
リンゴ酸 20g/L
過酸化水素 1.0g/L

上記液をpH4.2に調整し、浴温50℃として表1に示す電流密度でめっきを行った。その結果を表1に示す。
実施例5
(めっき液の組成)
シアン化第一金カリウム 12g/L(金として8g/L)
クエン酸ニッケル 2.5g/L(ニッケルとして0.5g/L)
クエン酸カリウム 100g/L
クエン酸 80g/L
ヨウ素酸カリウム 1.5g/L

上記液をpH4.2に調整し、浴温40℃として表1に示す電流密度でめっきを行った。その結果を表1に示す。
実施例6
(めっき液の組成)
シアン化第一金カリウム 12g/L(金として8g/L)
スルファミン酸ニッケル 2.5g/L(ニッケルとして0.5g/L)
クエン酸カリウム 100g/L
クエン酸 40g/L
コハク酸 30g/L
過酸化水素 0.5g/L

上記液をpH4.2に調整し、浴温50℃として表1に示す電流密度でめっきを行った。その結果を表1に示す。
比較例1
(めっき液の組成)
シアン化第一金カリウム 12g/L(金として8g/L)
硫酸コバルト 2.5g/L(コバルトとして0.5g/L)
クエン酸カリウム 100g/L
クエン酸 80g/L

上記液をpH4.0に調整し、浴温45℃として表1に示す電流密度でめっきを行った。その結果を表1に示す。
一般に酸性金めっき液は、高電流密度域において低い析出効率を示し、低電流密度域では高い析出効率を示すことが知られている。
コネクターなどの電子部品への金めっきでは、金めっきが必要な部分である高電流密度域において析出効率がよく、金めっきが不要な低電流密度域では金めっきの析出が抑制される選択析出性に優れた金めっき液が要望されている。
表1の結果から明らかなように、実施例1〜実施例と比較例1とを比較した場合、高電流密度部と低電流密度部における金めっきの析出効率の差異が生じている。即ち、本発明の硬質金めっき液は、高電流密度部における金めっき析出効率を充分維持したまま低電流密度部における金めっきの析出効率を低下させる効果を有するものである。

Claims (3)

  1. 可溶性金塩または金錯体、伝導塩、錯化剤および結晶調整剤を含有する硬質金めっき液において、酸化作用を有する無機化合物を含有することを特徴とする硬質金めっき液。
  2. 結晶調整剤がコバルト塩、ニッケル塩、銀塩から選択される少なくとも1種の金属塩であることを特徴とする請求項1に記載の硬質金めっき液。
  3. 酸化作用を有する無機化合物が過酸化水素、過硫酸塩、ヨウ素酸塩のいずれかから選ばれる請求項1〜請求項2のいずれかに記載の硬質金めっき液。
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