JP2013072133A - スズからなるめっき用酸性水系組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】水溶性第一スズ含有物質と、非イオン性界面活性剤およびポリオキシアルキレン基を有するイオン性界面活性剤からなる群から選ばれる一種または二種以上の界面活性剤と、芳香族カルボニル化合物からなる光沢成分と、2位および4位の少なくとも一つが電子求引性基により置換されたピリジン誘導体からなる光沢補助剤とを含有するスズ系めっき用酸性水系組成物が提供される。
【選択図】 なし
Description
本発明において、「スズ系めっき」なる用語は、スズからなるめっきおよびスズ合金からなるめっきの総称として用いられる。
例えば、特許文献1には、(a)第一スズ塩と、第一スズ塩及び銅、ビスマス、銀、インジウム、亜鉛、ニッケル、コバルト、アンチモンから選ばれた金属の塩とのいずれかよりなる可溶性塩と、(b)アルカンスルホン酸、アルカノールスルホン酸よりなる群から選ばれた脂肪族スルホン酸の少なくとも一種を含有するスズ及びスズ合金メッキ浴において、上記脂肪族スルホン酸(b)が、同スルホン酸以外の不純物としてのイオウ化合物をゼロ濃度に排除するか、微量濃度にまで低減した精製脂肪族スルホン酸であって、上記不純物としてのイオウ化合物が、分子内に酸化途上のイオウ原子を有する化合物と、分子内にイオウ原子と塩素原子を併有する化合物との少なくとも一種である、スズ及びスズ合金の脂肪族スルホン酸メッキ浴が提案されている。
(1)水溶性第一スズ含有物質と、非イオン性界面活性剤およびポリオキシアルキレン基を有するイオン性界面活性剤からなる群から選ばれる一種または二種以上の界面活性剤と、芳香族カルボニル化合物からなる光沢成分と、2位および4位の少なくとも一つが電子求引性基により置換されたピリジン誘導体からなる光沢補助剤とを含有することを特徴とするスズ系めっき用酸性水系組成物。
本発明は一実施形態として、水溶性第一スズ含有物質と、非イオン性界面活性剤およびポリオキシアルキレン基を有するイオン性界面活性剤からなる群から選ばれる一種または二種以上の界面活性剤と、芳香族カルボニル化合物からなる光沢成分と、2位および4位の少なくとも一つが電子求引性基により置換されたピリジン誘導体からなる光沢補助剤とを含有するスズ系めっき用酸性水系組成物を提供する。かかる組成物を用いて適切な条件においてめっきを行えば、「ヨリ」の発生が抑制された光沢外観を有するスズ系めっきが得られる。
本実施形態に係るスズ系めっき用酸性水系組成物(以下、「めっき液」ともいう。)は水溶性第一スズ含有物質を含む。「水溶性第一スズ含有物質」とは、スズの二価の陽イオン(Sn2+)およびこれを含有する水溶性物質からなる群から選ばれる一種または二種以上からなる物質をいう。
本実施形態に係るめっき液は、非イオン性界面活性剤およびポリオキシアルキレン基を有するイオン性界面活性剤からなる群から選ばれる一種または二種以上の界面活性剤を含む。
本実施形態に係るめっき液は芳香族カルボニル化合物からなる光沢成分を含有する。
芳香族カルボニル化合物としては、芳香族アルデヒド、芳香族ケトンなどが例示される。
本実施形態に係るめっき液は、2位および4位の少なくとも一つが電子求引性基により置換されたピリジン誘導体からなる光沢補助剤を含有する。以下、かかる光沢補助剤を「ピリジン系光沢補助剤」ともいう。ピリジン系光沢補助剤を与える電子求引性基として、ビニル基、カルボキシル基、トシル基、塩素などのハロゲン原子、シアノ基、ベンゾイル基、アセチル基、ピリジル基などが例示される。これらの中でも、ビニル基およびカルボキシル基が好ましい電子求引性基である。したがって、4−ビニルピリジンおよび4−ピリジンカルボン酸が特に好ましいピリジン系光沢補助剤である。
本実施形態に係るめっき液は、上記の成分に加えて、めっき液の導電性を高めるための成分(以下、「電解質成分」ともいう。)を含有する。電解質成分の種類は特に限定されない。硫酸、塩酸、ホウ酸、ホウフッ化水素酸等の無機酸;イセチオン酸等のアルカノールスルホン酸、メタンスルホン酸等のアルカンスルホン酸、フェノールスルホン酸等の芳香族系スルホン酸などのスルホン酸;および酢酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等のカルボン酸などの酸ならびにこれら酸のアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等の塩が例示され、これらは単独で用いられてもよいし、複数種類が用いられてもよい。これらの中でもスルホン酸および/またはスルホン酸塩が好ましい。
本実施形態に係るめっき液の溶媒は水を主成分とする。水以外の溶媒としてアルコール、エーテル、ケトンなど水への溶解度が高い有機溶媒を混在させてもよい。この場合には、めっき液全体の安定性および廃液処理への負荷の緩和の観点から、その比率は全溶媒に対して10体積%以下とすることが好ましい。
本実施形態に係るめっき液のめっき条件は特に限定されない。各条件についての好ましい態様は次のとおりである。
「ヨリ」の発生が問題となるような電気・電子部品用途における電流密度は通常10A/dm2以下であり、7A/dm2以下とされる場合が多い。得られためっきに光沢を安定的に付与する観点からは、3A/dm2以上とすることが好ましく、5A/dm2以上とすればさらに好ましい。
めっき温度は特に限定されない。通常、20℃以上50℃以下の範囲で実施される。温度の変動はめっき外観の変化をもたらす場合があるため、めっき温度の管理幅は5℃程度とすることが好ましい。
積算電流量は特に限定されない。積算電流量が過度に少ない場合にはニッケルなどからなる下地金属を十分に覆うことができず、はんだ濡れ性を向上させることができなくなることが懸念される。一方、積算電流量が過度に多い場合には経済的な観点から不利となる。積算電流量の範囲は、これらを考慮して適宜設定されるべきものである。
(1)めっき液の調製
表1に示されるめっき液1〜7を調製した。
得られためっき液1〜7のそれぞれを用いて、下記のめっき条件にてめっきを行った。なお、めっきの基板は、Cu1020からなる配線上に電気ニッケルめっき(スルファミン酸浴、1μm)が形成されたオープンフレームのプリント基板であって、公知の方法で洗浄・活性化を行ったものとした。
電流密度:5、10、15A/dm2
めっき温度:25℃ (管理幅:±1℃)
積算電流量:300A・sec/dm2
その他のめっき条件:攪拌あり(攪拌子にて500rpmで回転)、揺動あり(カソードロッカにて5m/分)
上記のめっき処理により得られたスズ系めっきが形成されたプリント基板を、260℃に保持されたホットプレート上に1分間静置して、リフローさせた。
めっき後のプリント基板の任意の位置におけるめっき面の表面粗さRaを測定した。測定長さは1354μmであり、3箇所の測定結果の平均値を求めた。なお、電流密度が大きい場合などにおいて表面が粗面化している領域がある場合には、その領域が可能な限り測定範囲内に含まれるようにして測定を行った。
また、リフロー後のプリント基板を観察し、ヨリが発生している場合には、ヨリが発生している領域が可能な限り測定範囲内に含まれるようにして、めっきが施された部分における表面粗さRaを測定した。測定長さは1354μmであり、3箇所の測定結果の平均値を求めた。
得られたリフロー後の表面粗さRaについて、全ての電流密度においてRaが0.6μm以下の場合には良好(光沢あり)と判定し、表面粗さRaが0.6μm超となる結果を少なくとも一つ含む場合には不良(光沢なし)と判定した。また、上記の基準に基づき良好と判定された結果のうち、近時のめっき条件を考慮して、電流密度を5A/dm2としたときにおけるめっき後およびリフロー後の表面粗さRaが0.5μm以下となる場合には、特に良好と判定した。
一方、めっき液4から6については、リフロー後の表面粗さRaは0.6μmを超える場合があり、ヨリが発生した。
表3に示されるめっき液8〜10を調製した。得られためっき液8〜10のそれぞれを用いて、実施例1と同様のめっき処理およびリフロー試験を行い、それらの結果を実施例1の場合と同様の方法で評価した。
また、めっき液1、めっき液9およびめっき液10の対比により、ピリジン系光沢補助剤の含有量を100ppmとしても十分にヨリの発生を抑制できることが確認された。
(1)水溶性第一スズ含有物質と、非イオン性界面活性剤およびポリオキシアルキレン基を有するイオン性界面活性剤からなる群から選ばれる一種または二種以上の界面活性剤と、芳香族カルボニル化合物からなる光沢成分と、2位および4位の少なくとも一つが電子求引性基により置換されたピリジン誘導体からなる光沢補助剤とを含有することを特徴とするスズからなるめっき用酸性水系組成物。
本発明は一実施形態として、水溶性第一スズ含有物質と、非イオン性界面活性剤およびポリオキシアルキレン基を有するイオン性界面活性剤からなる群から選ばれる一種または二種以上の界面活性剤と、芳香族カルボニル化合物からなる光沢成分と、2位および4位の少なくとも一つが電子求引性基により置換されたピリジン誘導体からなる光沢補助剤とを含有するスズからなるめっき用酸性水系組成物を提供する。かかる組成物を用いて適切な条件においてめっきを行えば、「ヨリ」の発生が抑制された光沢外観を有するスズからなるめっきが得られる。
本実施形態に係るスズからなるめっき用酸性水系組成物(以下、「めっき液」ともいう。)は水溶性第一スズ含有物質を含む。「水溶性第一スズ含有物質」とは、スズの二価の陽イオン(Sn2+)およびこれを含有する水溶性物質からなる群から選ばれる一種または二種以上からなる物質をいう。
(1)水溶性第一スズ含有物質と、非イオン性界面活性剤およびポリオキシアルキレン基を有するイオン性界面活性剤からなる群から選ばれる一種または二種以上の界面活性剤と、芳香族カルボニル化合物からなる光沢成分と、2位および4位の少なくとも一つが電子求引性基により置換されたピリジン誘導体からなる光沢補助剤と、フェナントロリン系化合物の一種または二種以上とを含有することを特徴とするスズからなるめっき用酸性水系組成物。
Claims (6)
- 水溶性第一スズ含有物質と、
非イオン性界面活性剤およびポリオキシアルキレン基を有するイオン性界面活性剤からなる群から選ばれる一種または二種以上の界面活性剤と、
芳香族カルボニル化合物からなる光沢成分と、
2位および4位の少なくとも一つが電子求引性基により置換されたピリジン誘導体からなる光沢補助剤とを含有すること
を特徴とするスズ系めっき用酸性水系組成物。 - フェナントロリン系化合物の一種または二種以上を含む請求項1記載のめっき用酸性水系組成物。
- 前記電子求引性基がビニル基、カルボキシル基およびピリジル基からなる群から選ばれる一種または二種以上である、請求項1または2記載のめっき用酸性水系組成物。
- 前記ピリジン誘導体は、4−ビニルピリジンおよび4−ピリジンカルボン酸の一種または二種を含む請求項1または2記載のめっき用酸性水系組成物。
- 前記ピリジン誘導体が2,2’−ビピリジンを含む請求項1または2記載のめっき用酸性水系組成物。
- さらに水溶性銅含有物質を含む請求項1から5のいずれか一項に記載の光沢めっき用酸性水系組成物。
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