JP2013028147A - 熱転写受像シートおよびそれを用いた遊戯カード - Google Patents
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Abstract
【解決手段】任意の繰り返しパターン3が印刷された硬質塩化ビニルシート4の印刷面を、基材1と基材上に設けられた粘着層2からなる基材シート8の粘着層2に、剥離可能に貼合された熱転写受像シートであって、該硬質塩化ビニルシートには同一形状の複数のパーツが、基材シートからはがれるようにハーフカット5されている。
【選択図】図1
Description
(耐熱滑性層)
昇華型転写記録も溶融型転写記録も、薄膜のポリエステルフィルムに昇華性染料やワックスが塗布された転写フィルムをサーマルヘッドで加熱印字するので、サーマルヘッドと転写フィルムが熱で融着しないように、フィルム上に耐熱滑性層が設けられている。昇華型転写記録は溶融型転写記録よりも、高い熱量を必要とするため通常は以下のような設計思想のもとに製造されている。
耐熱滑性層は架橋性樹脂と添加剤からなり、高熱に耐えるための架橋性樹脂は、樹脂自体耐熱性の高いものを選択し、架橋度も高くする必要があり、ポリビニルブチラール樹脂と多官能イソシアネートの組み合わせが好んで利用される。耐熱滑性層は塗布後、巻き取りの状態で高温下で硬化させるため、通常はフィルムがくっついてしまうブロッキングの問題がある。添加するスリップ剤で問題を解決するのだが、ブロッキング防止性能以外にも、スリップ剤は染料層と接触しても染料をブリードさせない性能、サーマルヘッド加熱時に架橋性樹脂からしみ出して、スリップ性を与えてサーマルヘッドとの焼きつきを防止する性能、しかもカスを発生させないという性能が要求される。いろいろな添加剤のなかで、リン酸系の界面活性剤が好んで利用される。
基材フィルムとしてはポリエステルフィルムが使用される。ポリエステルフィルムの厚みは4.5μmから9.0μmのものが用途に応じて選択される。通常の用途では機械的強度、価格、取り扱い易さから、6.0μmの厚みのポリエステルフィルムが利用されることが多い。
昇華型転写記録に使用される染料は、古くはポリエステル繊維の染色用の分散染料や、一部のオイル染料の中から、分子量が比較的小さく、モル吸光係数の大きな染料が選択されて使用されていたが、色相を改善したり、印字エネルギーを少なくしたいという要求に答えて、新たな昇華型転写記録専用の染料が数多く開発されてきた。
印字後の画像の安定性を向上するため、分子量はあまり小さくせず、受像層の樹脂との親和性を高める置換基を導入し、モル吸光係数の高い発色団を選ぶことで、最近の染料は設計されている。さらにインキ溶剤に対する溶解度が高いことも必要である。
昇華染料のバインダーは使用前は染料との親和性が高く染料を安定に保持するが、サーマルヘッドの加熱時には染料を速やかに放出する必要があり、バインダーとして相反する性能が要求されている。また染料はバインダー中に溶解した状態で保持される必要がある。
同じ染料でも、結晶構造を保持したままでバインダー中に分散されている場合と、バインダー中に溶解している状態を比べると、結晶状態の染料は格段に熱感度が悪くなる。これは、染料が結晶化して安定化している自然エネルギーを余分に与える必要があるからである。加えて、サーマルヘッドによる加熱時間は数ミリ秒という短い時間なので、結晶化している染料には内部まで充分な熱エネルギーが伝わりにくいからである。
溶解している染料の自然エネルギーは結晶化している染料の自然エネルギーより高いため、通常は余分のエネルギーを放出して結晶化するほうが安定な状態である。そのため、染料とバインダーの親和性が低いと保存時に染料は結晶化してくる。これらの課題を解決するために、染料との親和性がある程度あって、しかも高い融点を持つアセタール樹脂が開発されて利用されている。
昇華型転写記録の受像層には、染料親和性の高い熱可塑性樹脂が選択され、転写フィルムと融着しないように表面に離型性を付与したものが利用される。
当初はカード自体に直接記録することはできなかったため、カード上に受像層を設けたり、中間転写媒体に画像を記録した後カードに転写するなどが行われていたが、サーマルヘッドの性能が向上して高温度の記録が可能になり、転写フィルムの性能も向上して、カードに直接記録することが可能になった。現在は、昇華型転写記録が可能な硬質塩化ビニルシートとして販売もされている。
熱をかけたときに融けて転写する、ワックスに顔料を分散したものが、初期の溶融型転写材料であった。ワックスタイプの溶融型転写材料は摩擦などに弱いため、印字画像の耐久性を必要とする用途には、レジンタイプの溶融型転写材料が開発されている。ベースフィルム上に、離型層、色材を分散させた樹脂層、接着層を順次積層したものが利用されている。色材を分散させた樹脂層はそれ自体、熱にも摩擦にも耐性があるが、必要であればハードコート層を離型層との間に設けて、さらに耐久性をあげることもできる。
プリクラ(登録商標)の材料として、昇華型転写受像紙のシールが使われていることは先に述べた。そのようなシールの例を特許文献1に示す。
今回、薄くて剛性も必要とする用途に適した、新しい受像紙の構成を開発し、本発明にいたったものである。
図1は、昇華型転写材料で印字された、遊戯カード用熱転写受像シートの、断面模式図である。1は基材、2は粘着層、8は基材シート、3は硬質塩化ビニルシートにグラビア印刷等で印刷された繰り返しパターンの固定印刷画像である。4は硬質塩化ビニルシートである。5は硬質塩化ビニルシートに施されたハーフカットである。
6は硬質塩化ビニルシートに、可変情報から記録された昇華型転写材料の画像である。
図2は、溶融型転写材料で印字された、遊戯カード用熱転写受像シートの、断面模式図である。1は基材、2は粘着層、8は基材シート、3は硬質塩化ビニルシートにグラビア印刷等で印刷された繰り返しパターンの固定印刷画像である。4は硬質塩化ビニルシートである。5は硬質塩化ビニルシートに施されたハーフカットである。
7は硬質塩化ビニルシートに、可変情報から記録された溶融型転写材料の画像である。
11は猫のマークの画像が、4隅とも内側を向くように配置した例である。
12は猫のマークの画像が、4隅とも外側を向くように配置した例である。
13は猫のマークの画像が、隅の画像に正対したときに右を向くように配置した例である。
図4は、硬質塩化ビニルシートが同一パターン状にハーフカットされた、ロール形状に巻かれた熱転写受像シートの、斜視模式図であり、21が受像紙のロール、22が同一形状にハーフカットが施されている複数のパーツである。
なお、繰り返しパターンの固定情報はインクジェット方式や電子写真方式で印刷してもよい。
レイアウトソフトは、公知の技術をもとにして、トランプならではの決め事に沿って通常の作業により制作することができる。
(基材と粘着剤)
基材として、いろいろなフィルムや紙が利用できる。価格や剛性などの観点からコート紙、軽量コート紙やアート紙、厚手のフィルムなどから選択される。粘着剤は通常市販のゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤から選択される。例えばコート紙にアクリル系粘着剤を塗布することで、本発明の基材シートとなる。
硬質塩化ビニルシートは、磁気カードやICカードに使われる、カード用途のオーバーシートやコアシートが利用できる。磁気カードやICカードは、厚みと材質、サイズに規格があり、コアシートやオーバーシートを何枚か重ねて熱融着して使用されている。
トランプカードとしては、0.1mm〜0.2mm程度の厚みが好ましく、52枚のカードを重ねると1cm程度となり扱いやすくなる。市販されているカード用途のオーバーシートは透明で昇華型転写記録が可能である。カード用途のコアシートは白色で、昇華型転写記録が可能とは明示されていないが、基本的には昇華型転写記録は可能である。例えば、三菱樹脂株式会社の硬質塩化ビニルシート「ビニホイル(登録商標)カード用」のオーバーシートやコアシートが利用できる。
昇華型転写フィルムは、従来技術で述べたような技術思想のもとに公知の技術で製造することができる。シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの染料インクを、繰り返し交互に塗りわけたフィルムや、単色の染料フィルムを別々に準備して順次画像信号に基いて、本発明の遊戯カード用受像シートに各色の画像を順次印字すれば、本発明のオリジナルのトランプセットを製作することができる。また、必要に応じ、カラー画像を印字したあと、耐久性向上のための保護層を転写してもよい。
ポリエチレン樹脂がポリ塩化ビニル樹脂に転写しにくい場合は、アイオノマー樹脂を接着層として利用すればポリエチレン樹脂を保護層とすることができる。
(レジンタイプの溶融型転写材料)
レジンタイプの溶融型転写材料は、例えば次のようにして製造できる。
厚さ4.5μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ株式会社製、ルミラー)の一方の面に、予め下記組成耐熱層用塗工液をバーコーターにより、固形分塗布量が0.3g/m2になるように塗布、乾燥して、耐熱層を形成しておく。
<耐熱層の塗工液組成>
ポリメチルメタクリレート樹脂 11.1部
(商品名:BR−85、三菱レイヨン株式会社製)
ポリエステル樹脂 0.3部
(商品名:エリーテルUE−3200、ユニチカ株式会社製)
ジンクステアリルホスフェート 5.7部
(商品名:LBT−1830、堺化学工業株式会社製)
メラミンアルデヒド縮合物 2.9部
(株式会社日本触媒製:商品名:エポスターS、粒径0.3μm)
トルエン 0.6部
MEK 79.4部
<剥離層の塗工液組成>
ポリメチルメタクリレート樹脂 21部
(商品名:BR−83、三菱レイヨン株式会社製)
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂 9部
(商品名:SOLBIN C、日信化学工業株式会社製)
ポリエステル樹脂(商品名:バイロン200、東洋紡績株式会社製) 0.2部
トルエン 34.4部
MEK 34.4部
<黒色層塗工液組成>
黒顔料(C.I.NoPBk−7) 41.1部
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂 10.7部
(商品名:SOLBIN C、日信化学工業株式会社製)
トルエン 24.1部
MEK 24.1部
<シアン層塗工液>
青顔料(C.I.No.PB15:4) 11.5部
アクリル樹脂(商品名:BR−83、三菱レイヨン株式会社製) 15.75部
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂 5.25部
(商品名:SOLBIN C、日信化学工業株式会社製)
トルエン 33.5部
MEK 34.0部
<マゼンタ層塗工液>
赤顔料(C.I.No.PR122) 10.8部
アクリル樹脂(商品名:BR−83、三菱レイヨン株式会社製) 11.72部
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂 7.76部
(商品名:SOLBIN C、日信化学工業株式会社製)
トルエン 34.76部
MEK 34.96部
<イエロー層塗工液>
黄顔料(C.I.No.PY150) 12.0部
アクリル樹脂(商品名:BR−83、三菱レイヨン株式会社製) 16.35部
塩化ビニル酢酸ビニル共重合体樹脂 5.5部
(商品名:SOLBIN C、日信化学工業株式会社製)
有機系分散剤 0.2部
トルエン 32.83部
MEK 33.33部
着色インキ層は、一つのフィルムの上にシアン、マゼンタ、イエロー、ブラックのように、順次繰り返してグラビア印刷してもよいし、各色別々の着色インキリボンとして利用してもよい。
4色のリボンの着色インキ層の上に、下記の接着層用塗工液をグラビアリバースコーティングで、固形分塗布量が0.5g/m2になるように塗布し、100℃で乾燥させて、接着層を形成した。
<接着層の塗工液組成>
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体 30部
アクリル樹脂 10部
メチルエチルケトン/トルエン(質量比1/1) 70部
(熱転写受像シートの作製)
透明な0.18mm厚の硬質塩化ビニルシートである、カード用ビニホイル(登録商標)のオーバーシート(三菱樹脂株式会社製)に、グラビア印刷機でハーフカット用の位置検知マークを印刷し、その上から白色インクをベタ印刷した後、ハーフカット用の位置検知マークを裏面から検知しながら、トランプの裏の模様になる白、黒の市松模様を、ハーフカット用の位置検知マークと相対的に同じ位置になるように、見当をあわせて互いの相対位置が変わらないように印刷した。
ロール状の本発明の熱転写受像シートのハーフカット用の位置検知マークを、印字開始位置の検知マークとして検知しながら、レイアウトソフトで予め準備しておいたオリジナルトランプの画像を、昇華転写プリンターで昇華型転写フィルムを用いて印字した。印字後に52枚のカードとジョーカーのカード2枚をはがして、オリジナルのトランプセットを得た。
昇華型転写フィルムの代わりに、実施例1に記載のレジンタイプの溶融型転写フィルムとして、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの染料インクを塗布した、単色の染料フィルムを別々に準備した画像信号に基いて、実施例2に記載の遊戯カード用受像シートに各色の画像を順次印字して、同様に本発明のオリジナルのトランプセットを得た。
白色の0.18mm厚の硬質塩化ビニルシートである、カード用ビニホイル(登録商標)のコアシート(三菱樹脂株式会社製)に、表面2色、裏面1色の印刷ができる両面グラビア印刷機で、表面にトランプの裏面になるダイアモンド模様を印刷しながら、裏面にハーフカット用の位置検知マーク兼、印字開始の位置検知マークを、表面の模様と見当をあわせて互いの相対位置が変わらないように印刷した。
以後、実施例2と同様の工程を行い、ハーフカット面が内側に巻き取られた、本発明の熱転写受像シートを作製した。
アート紙上に、丸芳化学株式会社製ポリエチレンワックスエマルジョンを、ワイヤーバーで乾燥重量0.3g/m2になるように塗布した。ポリエチレンワックスエマルジョンが半乾燥の状態の上に、丸芳化学株式会社製アイオノマーディスバージョンを乾燥重量0.2g/m2になるようにワイヤーバーで塗布後、乾燥して保護層転写シートを得た。
実施例3のトランプカードの表面に保護層転写シートの転写面を重ねて、120℃で5秒間アイロンで加圧して、冷却後アート紙をはがしてポリエチレン樹脂が保護層となるトランプカードを得た。
このトランプカードはシャッフルしても、静電気で互いがはりつくことがなかった。
2:粘着層
3:繰り返しパターンの固定印刷画像
4:硬質塩化ビニルシート
5:ハーフカット
6:昇華型転写材料で記録された画像
7:溶融型転写材料で記録された画像
8:基材シート
11:猫のマークの画像が、4隅とも内側を向くように配置した例
12:猫のマークの画像が、4隅とも外側を向くように配置した例
13:猫のマークの画像が、隅の画像に正対したときに右を向くように配置した例
21:本発明の一実施例である受像紙ロールの斜視模式図
22:ハーフカットが施された複数のパーツ
Claims (6)
- 基材と基材上に設けられた粘着層からなる基材シートと、片面に通常の印刷方法で、繰り返しパターンが固定印刷された硬質塩化ビニルシートからなり、該硬質塩化ビニルシートの固定印刷面は該基材シートの粘着層に剥離可能に貼合されてあり、該硬質塩化ビニルシートの固定印刷面の反対面に、昇華型転写記録で可変情報の印刷が可能な熱転写受像シートであって、該硬質塩化ビニルシートには、同一形状の複数のパーツが粘着層から剥離できるようにハーフカットが施されていることを特徴とする熱転写受像シート。
- 基材と基材上に設けられた粘着層からなる基材シートと、片面に通常の印刷方法で、繰り返しパターンが固定印刷された硬質塩化ビニルシートからなり、該硬質塩化ビニルシートの固定印刷面は該基材シートの粘着層に剥離可能に貼合されてあり、該硬質塩化ビニルシートの固定印刷面の反対面に、昇華型転写記録で可変情報の印刷が可能な熱転写受像シートであって、該硬質塩化ビニルシートには、同一形状の複数のパーツが粘着層から剥離できるようにハーフカットが施されており、硬質塩化ビニルシートあるいは基材シートに、可変情報の印字開始位置を定める検知マークを設けてなり、かつ可変印刷が可能な面を内側にして巻かれたことを特徴とする、ロール状に巻かれた熱転写受像シート。
- 前記複数のパーツに施されている固定印刷の画像が、同一であることを特徴とする請求項1又は2記載の遊戯カード用熱転写受像シート。
- 請求項3に記載の遊戯カード用熱転写受像シートの、複数のパーツのうち少なくとも52枚のパーツの可変印刷面内に、A、2〜10、J、Q、Kまでの数、記号と各組を表わすマークの任意の画像とを記録した、トランプセットであって、ダイヤ、ハート、クラブ、スペードの代わりに、4種の任意の画像を置き換えてなり、また、赤色2組、黒色2組の組み合せも含む任意の2色の組に、置き換えてなることを特徴とするトランプセット。
- 左右対称であるダイヤ、ハート、クラブ、スペードの代わりに、左右非対称の任意の画像を使用するトランプセットにおいて、ひとつの組には同一種の画像を使い、2〜10までの数字カードに使う非対称の画像は正像、逆像、倒立像の組み合わせを用い、エース、キング、クイーン、ジャックには同一種ではあるが数字カードとは異なる画像をもちいることを特徴とする、請求項4に記載のトランプセット。
- トランプの表面にポリエチレン樹脂の保護層を設けたことを特徴とする、請求項5に記載のトランプセット。
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