JP2004322410A - インクリボン、及び記録方法 - Google Patents

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JP2004322410A JP2003118466A JP2003118466A JP2004322410A JP 2004322410 A JP2004322410 A JP 2004322410A JP 2003118466 A JP2003118466 A JP 2003118466A JP 2003118466 A JP2003118466 A JP 2003118466A JP 2004322410 A JP2004322410 A JP 2004322410A
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武郎 三木
Junichi Washitsuka
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Abstract

【課題】大きな凹凸のある被転写材に対して高画質な画像記録を行う。
【解決手段】転写記録媒体上の色インク画像に転写温度より軟化点が高いかあるいは転写温度における溶融粘度が高い樹脂層と、軟化点あるいは溶融粘度が低い樹脂層とを積層し、被転写材上に転写する。
【選択図】 図16

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば通帳などの紙冊子に、個人認証用の高画質な画像、文字などの2値画像などを形成するために、一旦、転写記録媒体上に画像を形成し、この画像を転写記録媒体と共に紙冊子等に熱転写記録する記録方法、及びこれに用いられるインクリボンに関する。
【0002】
【従来の技術】
免許証、パスポート、クレジットカード、会員証などの個人認証用の顔画像が入った画像表示体に、顔画像を記録する方法としては、従来、昇華型熱転写記録方法が主流である。この昇華型熱転写記録方法は、基材フィルム上に昇華性あるいは熱移行性染料を熱転写可能にコーティングしてなる昇華性インクリボンと、昇華性インクを受容できる受容層を有する被転写材とを重ね合わせ、サーマルヘッドなどにより、画像データに基づき熱転写リボンを選択的に加熱して、被転写材に所望の画像を昇華転写記録するものである。この方式によれば、階調性豊かなカラー画像が手軽に記録できる。しかし、昇華型熱転写記録方法では、昇華性材料で染色できる材料が限られていることから、限られた被転写材しか適応できないという不利点がある。また、一般的に、昇華性染料は、耐光性、耐溶剤性などの画像耐久性が劣るという不利点がある。
【0003】
一方、溶融型熱転写記録方法は、帯状の支持シート上に、着色材例えは顔料及び染料等を樹脂及びワックスを含むバインダーに分散させたものをコーティングして形成されたインクリボンを、画像データに基づき選択的に加熱して、被転写材上に着色材をバインダーごと転写し、所望の画像を記録する方法である。この方法によれば、着色剤として、一般的に耐光性が良好な無機及び有機顔料等を選択することができる。また、バインダーに用いる樹脂やワックス等を任意に選択し、耐溶剤性を向上させることができる。また、適用する被転写材は、基本的にバインダーに対する接着性が求められるだけで、幅広い被転写材から選択することができるという利点がある。しかしながら、溶融型熱転写記録方法には、転写したドットのサイズを変化させて階調記録を行うドット面積階調法が用いられるため、ドットサイズをうまくコントロールし、多階調記録を行うには、様々な工夫が必要となる。例えば転写ドットの配列を千鳥状に並べて記録するいわゆる交互駆動方法がある。
【0004】
この交互駆動方法を用いると、サーマルヘッドの隣り合う発熱体の熱干渉が減らせられ、隣接画素の影響を受けることなく、ドットサイズをコントロールすることができるため、良好な多階調記録を行うことができる。ドットサイズを正確に制御するためには、被転写材の表面状態が良好であることが必要であるが、幅広い被転写材の選択性を有する溶融型熱転写記録方法の利点を阻害してしまう。
【0005】
そこで、表面状態が良好な受像層を有する転写記録媒体上に多階調記録を行った後、転写記録媒体の受像層を、被転写材に転写する間接転写記録方式が使用されるようになった。この方式によれば、被転写材に転写できるように転写記録媒体を調整すれば、どのような被転写材に対しても、多階調記録を行うことができる。
【0006】
画像を形成した転写記録媒体の受像層を被転写材に十分に転写するため、例えば画像を形成した受像層に接着インク層を転写し、接着インクを転写した面を被転写材に転写する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
この方法によれば、インクリボンに接着インク層を設けるだけで、受像層の接着インクに対する受像性と、接着インクの被転写材に対する接着性とが満足できれば、簡単に画質を向上できるという利点がある。しかしながら、この接着インク層は0.2〜1μmという非常に薄い樹脂層であるため、紙などの表面に大きな凹凸のある被転写材に転写すると、表面の凹凸に追随できず、接着性が低下し、また、紙の表面の凸部が接着インク層や色インク層を突き抜けて、画質を劣化させるという不利点があった。
【0008】
このように、間接転写記録方式は、より広範な材質の被転写材に画像を形成し得るけれども、大きな凹凸のある被転写材に対しては、画質及び転写性の低下を防ぐことができなかった。
【0009】
【特許文献1】
特開平7−266589号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、大きな凹凸のある被転写材に対しても、画質を低下することなく、十分な画像記録が可能な記録方法及びこれに用いられるインクリボンを得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1に、転写温度Tに加熱されて被転写材に画像を転写するための、受像層を有する転写記録媒体に適用されるインクリボンであって、
帯状支持シートと、
該帯状支持シート上に面順次に形成された、着色剤及びバインダー樹脂を含有する色インク層と、
該転写温度Tよりも低い軟化点もつ第1の樹脂層、及び該第1の樹脂層上に形成され、該転写温度Tよりも高い軟化点をもつ第2の樹脂層を含む無彩色インク層とを具備することを特徴とするインクリボンを提供する。
【0012】
本発明は、第2に、転写温度Tに加熱されて被転写材に画像を転写するための、受像層を有する転写記録媒体に適用されるインクリボンであって、
着色剤及びバインダー樹脂を含む色インク層を含むインクリボンと組み合わせて用いられ、帯状支持シートと、該帯状支持シート上に面順次に形成された、該転写温度Tよりも高い軟化点をもつ第2の樹脂層、及び該第2の樹脂層上に形成され、該転写温度Tよりも低い軟化点もつ第1の樹脂層を有する無彩色インク層とを含むことを特徴とするインクリボンを提供する。
【0013】
本発明は、第3に、転写温度Tに加熱されて被転写材に画像を転写するための、受像層を有する転写記録媒体に適用されるインクリボンであって、
着色剤及びバインダー樹脂を含有する色インク層を含むインクリボンと組み合わせて用いられ、帯状支持シートと、該帯状支持シート上に形成された、該転写温度Tよりも低い軟化点もつ第1の樹脂層、及び該第1の樹脂層上に形成され、該転写温度Tよりも高い軟化点をもつ第2の樹脂層を含む無彩色インク層とを具備することを特徴とするインクリボンを提供する。
【0014】
本発明は、第4に、転写温度Tに加熱されて被転写材に画像を転写するための、受像層を有する転写記録媒体に適用されるインクリボンであって、
帯状支持シートと、該帯状支持シート上に面順次に形成された、着色剤及びバインダー樹脂を含有する色インク層と、第1の樹脂層、及び該第1の樹脂層の該転写温度Tにおける溶融粘度よりも高い溶融粘度をもつ第2の樹脂層とを含む無彩色インク層とを具備することを特徴とするインクリボンを提供する。
【0015】
本発明は、第5に、転写温度Tに加熱されて被転写材に画像を転写するための、受像層を有する転写記録媒体に適用されるインクリボンであって、
着色剤及びバインダー樹脂を含有する色インク層を含むインクリボンと組み合わせて用いられ、帯状支持シートと、該帯状支持シート上に形成された第2の樹脂層、及び該第2の樹脂層上に形成され、該転写温度Tにおいて該第2の樹脂層の溶融粘度よりも低い溶融粘度をもつ第1の樹脂層を有する無彩色インク層とを含むことを特徴とするインクリボンを提供する。
【0016】
本発明は、第6に、転写温度Tに加熱されて被転写材に画像を転写するための、受像層を有する転写記録媒体に適用されるインクリボンであって、
着色剤及びバインダー樹脂を含有する色インク層を含むインクリボンと組み合わせて用いられ、帯状支持シートと、該帯状支持シート上に形成された第1の樹脂層、及び該第1の樹脂層の該転写温度Tにおける溶融粘度よりも高い溶融粘度をもつ第2の樹脂層を有する無彩色インク層とを有する無彩色インク層とを具備することを特徴とするインクリボンを提供する。
【0017】
本発明は、第7に、転写温度Tに加熱されて被転写材に画像を転写するための、受像層を有する転写記録媒体を用意し、該受像層上に、着色剤及びバインダー樹脂を含有する色インク画像、該転写温度Tよりも高い軟化点をもつ第2の樹脂層、及び該転写温度Tよりも低い軟化点をもつ第1の樹脂層とを順に形成することにより、転写記録媒体に画像を形成する工程と、該画像が形成された受像層上に該被転写材を適用し、該転写温度Tにて加熱接着を行う工程とを具備することを特徴とする記録方法を提供する。
【0018】
本発明は、第8に、転写温度Tに加熱されて被転写材に画像を転写するための、受像層を有する転写記録媒体を用意し、該受像層に上に、着色剤及びバインダー樹脂を含有する色インク画像を形成する工程と、被転写材上に、該転写温度Tよりも低い軟化点をもつ第1の樹脂層、及び該転写温度Tよりも高い軟化点をもつ第2の樹脂層を順に形成することにより、無彩色インク層を形成する工程と、該色インク画像が形成された該受像層上に、該無彩色インク層及び該被転写材を適用し、該転写温度Tにて加熱接着を行う工程とを具備することを特徴とする記録方法を提供する。
【0019】
本発明は、第9に転写温度Tに加熱されて被転写材に画像を転写するための、該受像層を有する転写記録媒体を用意し、該受像層上に、着色剤及びバインダー樹脂を含有する色インク画像を形成し、該色インク画像上に、第2の樹脂層、及び該転写温度Tにおいて該第2の樹脂層の溶融粘度よりも低い溶融粘度をもつ第1の樹脂を含む無彩色インク層を形成する画像形成工程と、該画像形成された該受像層上に該被転写材を適用し、該転写温度Tにて加熱接着する画像転写工程とを具備することを特徴とする記録方法を提供する。
【0020】
本発明は、第10に、転写温度Tに加熱されて被転写材に画像を転写するための、受像層を有する転写記録媒体を用意し、該受像層上に、着色剤及びバインダー樹脂を含有する色インク画像を形成する工程、該被転写材上に、第1の樹脂、及び該転写温度Tにおいて該第1の樹脂層の溶融粘度よりも高い溶融粘度をもつ第2の樹脂層を含む無彩色インク層を形成する無彩色インク層を形成する工程と、該色インク画像が該受像層上に、該無彩色インク層及び該被転写材を適用し、該転写温度Tにて加熱接着する画像転写工程とを具備することを特徴とする記録方法を提供する。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明は、以下の10の観点を含む。
【0022】
本発明に係るインクリボンは、受像層を有する転写記録媒体に画像を形成し、これを被転写材に転写して印刷物を得るために適用される。
【0023】
本発明の第1の観点に係るインクリボンは、帯状支持シート、帯状支持シート上に面順次に形成された色インク層、及び無彩色インク層を含み、色インク層は、着色剤及びバインダー樹脂を含み、無彩色インク層は、転写記録媒体を被転写材に転写するときの転写温度Tよりも低い軟化点を有する第1の樹脂層、及び第1の樹脂層上に形成された、転写温度Tよりも高い軟化点を有する第2の樹脂層を含む。
【0024】
なお、本発明において、無彩色とは、透明または淡色のことをいう。
【0025】
また、本発明の第2の観点に係るインクリボンは、受像層を有する転写記録媒体を用いて転写画像を得るために、帯状支持シート上に面順次に形成された、着色剤及びバインダー樹脂を含む色インク層を有するインクリボンと組み合わせて用いられる無彩色インクリボンであって、色インク層を有するインクリボンは受像層に、無彩色インクリボンは被転写材に各々適用される。
【0026】
この無彩色インクリボンは、帯状支持シート、この帯状支持シート上に順に設けられた転写温度Tよりも高い軟化点を有する第2の樹脂層及び転写温度Tよりも低い軟化点を有する第1の樹脂層を含む無彩色インク層を有する。
【0027】
また、本発明の第3の観点に係るインクリボンは、受像層を有する転写記録媒体を用いて転写画像を得るために、帯状支持シート上に面順次に形成された、着色剤及びバインダー樹脂を含む色インク層を有するインクリボンと組み合わせて用いられる無彩色インクリボンであって、色インク層を有するインクリボンは受像層に、無彩色インクリボンは、色インク層が形成された受像層上に適用される。このため、第3の観点に係るインクリボンは、第2の観点にかかる無彩色インクリボンと比べると、第1の樹脂層と第2の樹脂層の積層の順序が逆になっている。
【0028】
また、本発明の第4の観点に係るインクリボンは、第2の樹脂層が、転写温度Tにおいて、第1の樹脂層の溶融粘度よりも高い溶融粘度を有すること以外は、第1の観点に係るインクリボンと同様の構成を有する。
【0029】
さらに、本発明の第5の観点に係るインクリボンは、第2の樹脂層が、転写温度Tにおいて、第1の樹脂層の溶融粘度よりも高い溶融粘度をもつこと以外は、第2の観点に係るインクリボンと同様の構成を有する。
【0030】
第2及び第5の観点に係る無彩色インクリボンは、支持シート上に少なくとも無彩色インク層が形成されている。さらに、例えば支持シート上に、無彩色インク層と、受像層とが交互に形成された構成も含み得る。この場合、無彩色インクリボンの支持シートと、受像層を含む転写記録媒体の基材は共通となる。
【0031】
本発明の第6の観点に係るインクリボンは、第2の樹脂層が、転写温度Tにおいて、第1の樹脂層の溶融粘度よりも高い溶融粘度をもつこと以外は、第3の観点に係るインクリボンと同様の構成を有する。
【0032】
また、本発明の第7の観点に係る記録方法は、受像層を有する転写記録媒体を用意し、受像層上に、色インク画像、無彩色インク層を順次形成することにより画像形成を行う工程と、色インク画像及び無彩色インク層が設けられた受像層上に被転写材を適用し、加熱接着を行う工程とを具備する。色インク画像は、着色剤及びバインダー樹脂を含む。また、無彩色インク層は、受像層上に設けられ、加熱接着工程における転写記録媒体の転写温度Tより高い軟化点を有する第2の樹脂層、及び第2の樹脂層上に設けられた転写温度Tより低い軟化点を有する第1の樹脂層を有する。
【0033】
第7の観点に係る記録方法には、第1及び第3の観点に係るインクリボンを適用し得る。第1の観点に係るインクリボンを使用する場合、画像形成工程は、色インク層及び無彩色インク層を有する1本のインクリボンを使用し、第3のインクリボンを使用する場合、色インク画像形成工程と無彩色インク層形成工程で、色インクリボンと無彩色インクリボンとを別々に設置する。
【0034】
また、本発明の第8の観点に係る記録方法は、受像層を有する転写記録媒体を用意し、受像層上に、色インク画像を形成する工程と、被転写材上に、転写温度Tより低い軟化点を有する第1の樹脂層、及び転写温度Tより高い軟化点を有する第2の樹脂層を有する無彩色インク層を形成する工程、色インク画像及び無彩色インク層が設けられた受像層上に被転写材を適用し、加熱接着を行う工程とを具備する。
【0035】
第8の観点に係る記録方法には、第2の観点に係るインクリボンを適用し得る。第2のインクリボンを使用する場合、色インク画像形成工程と無彩色インク層形成工程で、色インクリボンと無彩色インクリボンとを別々に設置する。色インクリボンと無彩色インクリボンとを別々に設置する。また、無彩色インクリボンに無彩色層と受像層とを交互に形成したものを使用することができる。
【0036】
本発明の第9の観点に係る記録方法は、受像層を有する転写記録媒体を用意し、受像層上に、着色剤及びバインダー樹脂を含む色インク画像、及び色インク画像上に形成され、第2の樹脂層、及び転写温度Tにおいて第2の樹脂層の溶融粘度よりも低い溶融粘度をもつ第1の樹脂を含む無彩色インク層を形成し、転写記録媒体に画像形成を行う工程と、色インク画像及び無彩色インク層が設けられた受像層上に被転写材を適用し、加熱接着を行う工程とを具備する。
【0037】
第9の観点に係る記録方法には、第4及び第6の観点に係るインクリボンを使用し得る。第4の観点に係るインクリボンを使用する場合、画像形成工程は、色インク層及び無彩色インク層を有する1本のインクリボンを使用し、第6のインクリボンを使用する場合、色インク画像形成工程と無彩色インク層形成工程で、色インクリボンと無彩色インクリボンとを別々に設置する。
【0038】
本発明の第10の観点に係る記録方法は、受像層を有する転写記録媒体を用意し、受像層上に、色インク画像を形成する工程と、被転写材上に、第1の樹脂層、及び転写温度Tにおいて第1の受像層の溶融粘度よりも高い溶融粘度をもつ第2の樹脂層を有する無彩色インク層を形成する工程、色インク画像が設けられた受像層上に無彩色インク層及び被転写材を適用し、加熱接着を行う工程とを具備する。
【0039】
第10の観点に係る記録方法には、第5の観点に係るインクリボンを使用し得る。この場合、色インク画像形成工程と無彩色インク層形成工程で、色インクリボンと無彩色インクリボンとを別々に設置する。また、無彩色インクリボンに無彩色層と受像層とを交互に形成したものを使用することができる。
【0040】
本発明において、加熱接着とは、加熱による樹脂製の被転写材との融着、及び樹脂以外の材質の被転写材との接合を含むものとする。また、加熱接着は、加圧を伴うことができる。
【0041】
第2の樹脂層及び第1の樹脂層は、好ましくは色インク画像上を被覆し得るパターンで形成される。より好ましくは、色インク画像が形成された領域全体を被覆し得るパターンで形成される。
【0042】
色インク画像、無彩色インク層形成工程は、例えばサーマルヘッド等の加熱部材を用いて行うことができる。
【0043】
また、加熱接着工程は、サーマルヘッド、あるいは加熱ローラ等の加熱部材を用いて行うことができる。
【0044】
以下、図面を参照し、本発明をより詳細に説明する。
【0045】
図1は、本発明に使用される転写記録媒体の一例を表す概略的な断面図を示す。
【0046】
図示するように、転写記録媒体1は、長尺フィルム状の支持体2の一主面上に、例えばワックスまたは樹脂を含む離型層3、樹脂を含む保護層4、及び受像層5を順に積層した構成を有する。
【0047】
支持体2としては、例えば25μm厚のポリエチレンテレフタレート(以下、PETとする)を使用することができる。
【0048】
本発明に使用される支持体としては、ポリエチレンナフタレート(以下、PENとする)等の合成樹脂フィルムがあげられる。
【0049】
受像層5として、例えば厚さ5μmのポリエステル系樹脂とアクリル系樹脂を主成分とする混合樹脂層を使用することができる。ポリエステル系樹脂として、例えば東洋紡績製バイロン300、アクリル系樹脂として、例えば三菱レイヨン製ダイアナールBR−87を用い、ポリエステル系樹脂とアクリル系樹脂の混合比を例えば7:3とすることができる。
【0050】
本発明に使用される受像層には、受容されるインク層を十分に受像し得、受像表面が平滑であり、かつ加熱により被転写材と接着し得ることが要求される。このような受像層に使用し得る樹脂として、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、及びこれらの混合樹脂等があげられる。
【0051】
被転写材と接着する際の加熱温度が例えば約150℃であるとき、受像層として、80℃ないし150℃の軟化点、60ないし300のPa・secの溶融粘度を有する樹脂を使用することができる。
【0052】
保護層3として、下層に例えば偽変造防止策としてホログラムを施した5μmのアクリル樹脂層を用いることができる。
【0053】
図2は、本発明の第1及び第4の観点に係るインクリボンの一例を表す正面図、図3はその概略的な断面図を示す。
【0054】
このインクリボン6は、例えば4.5μm厚のPET製の支持シート7の一主面に、イエローインク層8、マゼンタインク層9、シアンインク層10、ブラックインク層11の色インク層を約0.6μm厚で、及び無彩色インク層を5.5μm厚で面順次に形成した構成を有する。
【0055】
無彩色インク層は、例えば0.5μm厚の離型層12、第1の樹脂層13、第2の樹脂層14が順に形成された構成を有する。
【0056】
また、図4は、本発明の第2及び第5の観点に係る無彩色インクリボンの一例を表す正面図、図5はその概略的な断面図を示す。
【0057】
図示するように、この無彩色インクリボン40は、例えば4.5μm厚のPET製の支持シート41の一主面のほぼ全面に亘り、第2の樹脂層14、第1の樹脂層13、及び離型層12が順に形成された構成を有する。
【0058】
図6は、第3及び第6の観点に係る無彩色インクリボンの一例を表す断面図を示す。
【0059】
図示するように、この無彩色インクリボン46は、支持シート41上に、第1の樹脂層13、第2の樹脂層14、及び離型層12が順に形成された構成を有し、第1の樹脂層13と、第2の樹脂層14との積層順序が逆である以外は、図5と同様の構成を有する。
【0060】
さらに、図7は、本発明の第2、第3、第5及び第6の観点に係る無彩色インクリボンと組み合わせて用いられる色インクリボンの一例を表す正面図、図8はその概略的な断面図を示す。
【0061】
図示するように、このインクリボン50は、無彩色インク層を形成しないこと以外は、図2及び図3に示すインクリボンと同様の構成を有し、例えば4.5μm厚のPET製のシート状支持体42の一主面に、イエローインク層8、マゼンタインク層9、シアンインク層10、ブラックインク層11の色インク層45が、約0.6μm厚で面順次に形成されている。
【0062】
支持体としては、例えば2ないし6μm厚のPETなどの合成樹脂フィルムを使用することができる。
【0063】
本発明に使用される色インク層としては、バインダー樹脂中に、例えば無機顔料、有機顔料と微粒子を分散したものを使用することができる。
【0064】
色インク層45のバインダー樹脂として、例えばポリエステル樹脂とアクリル樹脂との混合樹脂を主成分とする混合樹脂を使用することができる。ポリエステル系樹脂としては、東洋紡績製バイロン300、アクリル樹脂としては、三菱レイヨン製ダイヤナールBR−60を使用し、混合比を2:8とすることができる。イエロー顔料としては、例えばハンザイエロー、マゼンタ顔料としては、例えばオイルレッド、シアン顔料としては、例えばフタロシアニンブルー、ブラック顔料としては、例えばカーボンブラックを用いることができる。微粒子は、例えば顔料の分散剤として添加される。例えばシリカを使用できる。
【0065】
本発明に使用される色インク層に好適なバインダー樹脂として、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、エポキシ系樹脂、及びスチレン系樹脂等、及びその混合樹脂等があげられる。バインダー樹脂はまた、熱溶融性で無色透明あるいは単色透明の樹脂であって、軟化点が60℃ないし150℃、溶融粘度が60ないし300Pa・secのものが好適に用いられる。
【0066】
インク層の厚みはできる限り薄い方が好ましい。各色インク層のドットを順次重ねて転写し、所望の色を表現するとき、先に転写してあるインクが厚いと、そのドットの凹凸の影響を強く受け、転写不良やドットの欠けなどを生じる場合がある。また、画像濃度の低い領域を表現する場合には、できるだけ小さいサイズのドットを再現することが要求される。このようなことから、好ましいインク層厚は、0.4μmないし1μmである。なお、インクのドットの重ね順や記録濃度との関係から、各色のインク層厚を適宜調整することができる。
【0067】
本発明に使用される離型層は、ワックスあるいは樹脂等を含む。ワックスとしてはポリエチレンワックスやカルナバワックス等を使用することができる。例えば紙との相性と接着性向上を考慮して、日本精蝋製のPALVAX−1230ワックスを使用することができる。樹脂としては、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂及びこれらの各樹脂の混合物等を使用することができる。例えば三菱レイヨン社製ダイヤナール77等のアクリル樹脂を使用することができる。
【0068】
本発明に使用される第1の樹脂層としては、被転写材例えば紙等への接着力が十分な樹脂が選択される。紙への接着力を確保するためには、紙への転写時に、紙表面の凹凸の凹部に十分染み込み、紙との確実な接合を確保できること、紙との相性が良いこと等が要求される。
【0069】
図2及び図3に示すインクリボンでは第1の樹脂層13として、例えば、受像層に使用される樹脂、及び色インク層のバインダー樹脂の軟化点、及び転写温度Tよりも低い軟化点を有し、かつ転写温度Tにおいて、受像層に使用される樹脂の各溶融粘度、及びバインダー樹脂の溶融粘度よりも低い溶融粘度を有する飽和共重合ポリエステルのユニチカ製エリーテルUE−3300を使用し、紙の表面凹凸に追随できるように、その厚みを例えば4μmとすることができる。
【0070】
本発明においては、被転写材の凹部に染み込むために、第1の樹脂層に使用される樹脂は、その軟化点が紙への転写時の転写温度Tよりも低いこと、あるいはその転写温度Tにおける溶融粘度が第2の樹脂層の溶融粘度より低い。好ましくは軟化点及び溶融粘度の両方が低い。
【0071】
さらに好ましくは、第1の樹脂層に使用される樹脂は、その軟化点が、第2の樹脂層に用いられる樹脂の軟化点、転写温度T、受像層に使用される樹脂の軟化点、及び色インク層のバインダー樹脂の軟化点よりも低いか、あるいはその転写温度Tにおける溶融粘度が、第2の樹脂層に用いられる樹脂の溶融粘度、受像層に使用される樹脂の溶融粘度、及び色インク層のバインダー樹脂の溶融粘度よりも低い。さらにまた好ましくは、その両方とも低い。
【0072】
本発明に用いられる第1の樹脂層には、例えばエチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂及びこれらの各樹脂の混合物を使用することができる。
【0073】
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂としては、具体的には、三井デュポンポリケミカル製エバフレックス45X、エバフレックス40、エバフレックス150、エバフレックス210、エバフレックス220、エバフレックス250、エバフレックス260、エバフレックス310、エバフレックス360、エバフレックス410、エバフレックス420、エバフレックス450、エバフレックス460、エバフレックス550、エバフレックス560、クラリアントポリマー製モビニール081F、住友化学工業製エバテートD3022、D3012、D4032、CV8030、ヒロダイン工業製ヒロダイン1800−5、ヒロダイン1800−6、ヒロダイン1800−8、ヒロダイン3706、ヒロダイン4309、コニシ製ボンドCZ250、ボンドCV3105等があげられる。
【0074】
アクリル樹脂としては、具体的には、三菱レイヨン製ダイヤナールBR−102、ダイヤナールBR−105、ダイヤナールBR−106、ダイヤナールBR−107、ダイヤナールBR−112、ダイヤナールBR−115、ダイヤナールBR−116、ダイヤナールBR−117、ダイヤナールBR−118等があげられる。
【0075】
ポリエステル樹脂としては、具体的には、東洋紡績製バイロン103、バイロン220、バイロン240、バイロン245、バイロン270、バイロン280、バイロン300、バイロン500、バイロン530、バイロン550、バイロン560、バイロン600、バイロン630、バイロン650、ユニチカ製エリーテルUE−3300、エリーテルUE−3320、エリーテルUE−3350、エリーテルUE−3370、及びエリーテルUE−3380等があげられる。
【0076】
酢酸ビニル樹脂としては、具体的には、電気化学工業製サクノールSN−04、サクノールSN−04S、サクノールSN−04D、サクノールSN−09A、サクノールSN−09T、サクノールSN−10、サクノールSN−10N、サクノールSN−17A、ASR CH−09、ASR CL−13、クラリアントポリマー製モビニールDC、ダイセル化成品製セビアンA530、セビアンA700、セビアンA707、セビアンA710、セビアンA712、セビアンA800等があげられる。
【0077】
ポリウレタン樹脂としては、具体的には、ダイセル化成品製Solucote1051、Solucote1051−1、Solucote1054−1、Solucote1059等があげられる。
【0078】
図2及び図3に示すインクリボンでは、第2の樹脂層14として、例えば受像層に使用される樹脂、及び色インク層のバインダー樹脂の軟化点、及び転写温度Tよりも高い軟化点を有し、かつ転写温度Tにおいて、受像層に使用される樹脂の各溶融粘度、及びバインダー樹脂の溶融粘度よりも高い溶融粘度を有する飽和共重合ポリエステルのユニチカ製エリーテルUE−3201を使用し、その厚みを1μmとすることができる。
【0079】
本発明に使用される第2の樹脂層には、画像の画質を乱さないために、後述する紙への転写時に、紙表面の凹凸の凹部に染み込まない樹脂が選択される。
【0080】
このため、第2の樹脂層に使用される樹脂は、その軟化点が紙への転写時の転写温度Tよりも高い、あるいはその転写温度Tにおける溶融粘度が第2の樹脂層の溶融粘度より高い。好ましくは軟化点及び溶融粘度の両方が高い。
【0081】
さらに好ましくは、第2の樹脂層に使用される樹脂は、その軟化点が、第1の樹脂層に用いられる樹脂の軟化点、転写温度T、受像層に使用される受像層に使用される樹脂の軟化点、及び色インク層のバインダー樹脂の軟化点よりも高いか、あるいはその転写温度Tにおける溶融粘度が、第1の樹脂層に用いられる樹脂の溶融粘度、受像層に使用される受像層に使用される樹脂の溶融粘度、及び色インク層のバインダー樹脂の溶融粘度よりも高い。さらにまた好ましくは、その両方とも高い。
【0082】
さらに、第2の樹脂層としては、第1の樹脂層との相性が良く、色インク層及び受像層との相性が良く、確実な接着ができることが要求される。
【0083】
本発明に用いられる第2の樹脂層として、例えばアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、フェノキシ樹脂及びこれらの各樹脂の混合物が使用できる。
【0084】
アクリル樹脂としては、三菱レイヨン製ダイヤナールBR−77、ダイヤナールBR−87等があげられる。
【0085】
ポリエステル樹脂としては、東洋紡績製バイロン200、バイロン242、バイロン290、バイロン296、ユニチカ製エリーテルUE−3200、エリーテルUE−3201、エリーテルUE−3203、エリーテルUE−3210等があげられる。
【0086】
フェノキシ樹脂は、具体的には、ユニオンカーバイド製PKHH、PKHJ、PKHW−35、PKHW−35R、PXKS−6994、PXKS−7000等があげられる。
【0087】
より好ましくは、第1の樹脂層を下記表1から、及び第2の樹脂層を下記表2から各々選択して組み合わせて使用することができる。
【0088】
【表1】
Figure 2004322410
【0089】
【表2】
Figure 2004322410
【0090】
図4及び図5に示すインクリボンでは、軟化点と溶融粘度とが低くなるように、第1の樹脂層として、図2及び図3に示すインクリボンと同様の飽和共重合ポリエステルのユニチカ製エリーテルUE−3300を使用し、その厚みを例えば4μmとした。また、図4及び図5に示すインクリボンでは、軟化点と溶融粘度とが高くなるように、第2の樹脂層として、飽和共重合ポリエステルのユニチカ製エリーテルUE−3201と三菱レイヨン製ダイヤナールBR−77の混合樹脂を使用し、その厚みを1μmとした。混合比率は、9:1とした。
【0091】
また、上記第1の樹脂層及び第2の樹脂層に使用される樹脂は、例えば転写温度Tが約150℃であるとき、100ないし170℃の軟化点を有することが好ましい。また、150℃のとき5ないし7000Pa・secの溶融粘度を有することが好ましい。
【0092】
また、図9に、第2及び第5の観点に係るインクリボンの応用例を表す断面図を示す。
【0093】
このインクリボン34は、図7に示す色インクリボンと組み合わせて使用するもので、帯状の支持シート43上に、図3と同様の無彩色インク層と、例えばワックスまたは樹脂を含む離型層3、樹脂を含む保護層4、及び受像層5を有する転写記録媒体とを交互に形成した構成を有する。
【0094】
図7に示す色インクリボンと、このインクリボン34を用いると、受像層への色インク画像形成工程、被転写材上への無彩色インク層の形成工程、被転写材上への転写記録媒体の接着工程を容易に行うことができる。
【0095】
図10及び図11は、本発明に係る記録方式を行うための装置の一例の動作を説明するための概略図を示す。
【0096】
まず、本発明の第7及び第9の観点に係る記録方法の一例について説明する。
【0097】
図示するように、転写記録媒体1は、供給コア15と図示しない巻き取りとに巻き付けられ、プラテンローラ16、クランプローラ19、記録ユニット排出ローラ20を経て、ヒートローラユニットへと供給されている。記録開始信号が供給されると、転写記録媒体1は印字開始位置まで図示しない巻き取りコアにより巻き取りが行われる。ついで、図10に示すように、クランプローラ19のクランプ18により、クランプ18とクランプローラ19とで転写記録媒体1を掴む。ついで、サーマルヘッド17、インクリボン6と転写記録媒体1をプランテンローラー16側に所望の圧力で圧接させ、記録動作が始まる。インクリボンとしては、例えば図2及び図3に示すインクリボンを使用することができる。記録動作は、画像データに応じたサーマルヘッド駆動信号が図示しない記録制御回路より送られ、サーマルヘッドを駆動し、クランプで中間転写体を掴みながら、記録周期に応じた回転速度でクランプローラ19を回転させることにより行われる。このとき、プラテンローラ16は位置精度の問題から強制回転はさせていない。1色目が終了すると、サーマルヘッド17とインクリボン6が下がり、供給コア15、クランプローラ19が記録動作とは反対方向に回転し、転写記録媒体1を印字開始位置まで供給コア15側に排出する。ついで記録動作が繰り返され、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の記録が行われる。4色の記録が終了すると、同じ動作で無彩色インク層の記録が行われる。無彩色インク層は、転写記録媒体1上の被転写材24に転写される領域全体を無彩色インク層で覆うように記録される。無彩色インク層の記録が終了すると、供給コア15、クランプローラ19は印字開始位置まで転写記録媒体1を供給コア15側に排出し、転写記録媒体1はクランプ18から解放される。次に、図11に示すように、クランプ18から解放された転写記録媒体1は記録ユニットから排出され、ヒートローラユニットに給紙される。ヒートローラユニットに転写記録媒体1が給紙されると、図示しない被転写材供給トレーより被転写材24が給紙される。転写記録媒体の画像領域先端と被転写材の先端の位置合わせが行われ、ヒートローラ22と対向ローラ21により被転写材24と転写記録媒体1とが圧接される。ついで、ヒートローラ22が回転し、転写記録媒体1に熱を加え、被転写材24に転写しながら、剥離ローラ23側に排紙を行う。剥離ローラ23では、転写記録媒体1の離型層3から支持体2を剥離し、保護層4及び受像層5を被転写材24へと転写を行う。被転写材24後端がヒートローラ22を通り過ぎたとき、転写記録媒体1の転写動作が終了する。転写記録媒体1の転写動作が終了すると、転写記録媒体1の印字開始位置まで転写記録媒体1を供給コアにより巻き戻し、記録動作が開始される。 図12は、本発明の記録方法により得られた画像を有する転写記録媒体の一例を表す断面図を示す。
【0098】
図示するように、得られた転写記録媒体は、例えば図1と同様の構成を有する転写記録媒体1の受像層5上に、色インク画像43、第2の樹脂層14、第1の樹脂層13,離型層12が順に積層された構成を有する。
【0099】
次に、本発明の第7及び第9の観点に係る記録方法の他の例、及び第8及び第10の観点に係る記録方法を説明する。
【0100】
また、図4、図5に示すインクリボンを使用する場合には、上記図10及び図11に示す装置と図13に示す転写機構44とを組み合わせて使用することができる。
【0101】
この転写機構44は、例えば図10及び図11のプラテンローラ16及びヒートローラ22間に設けられ、サーマルヘッド32と、対向して設けられたプラテンローラ33と、サーマルヘッド32及びプラテンローラ33間に配置されたインクリボン27とを有し、インクリボン27及びプラテンローラ33間に、色インク画像形成済みの転写記録媒体24が導入されるようになっている。
【0102】
図10及び図11に示す装置で、サーマルヘッド17及びプランテンローラー16により4色の色インク層により転写記録媒体の受像層に画像を形成している間、並行して、図5に示す無彩色インクリボンの場合は、被転写材24に無彩色インク層の記録を行なうことができる。
【0103】
記録開始信号が供給され、被転写材は図示しない供給ローラにより印字開始位置まで供給される。ついで、サーマルヘッド32、インクリボン27と被転写材24をプランテンローラー33側に所望の圧力で圧接させ、記録動作が始まる。記録動作は、プラテンローラ33をインクリボン27の巻き取りコアと同期させて回転させながら行われる。この時、無彩色インク層は、転写記録媒体の受像層を転写する領域全体に無彩色インク層全体で覆うようなパターンに記録される。無彩色インク層の記録が終了すると、被転写材24は、図10及び図11のヒートローラユニットへと供給され、無彩色インク層を記録した面に、色インク画像及びその色インク画像が形成された受像層が適用される。
【0104】
図14は、本発明の第8及び第10の観点に係る記録方法により無彩色インク層が形成された被転写材の一例を表す断面図を示す。
【0105】
図示するように、この被転写材60は、その上に、離型層12、第1の樹脂層13,第2の樹脂層14が順に積層された構成を有する。
【0106】
図15は、本発明の第9及び第10の観点に係る記録方法により色インク画像が形成された転写記録媒体を表す断面図を示す。
【0107】
図示するように転写記録媒体1上に色インク画像43が形成される。
【0108】
また、例えば図13に示す転写機構44と同様の構成を有する転写機構を、図10及び図11に示す装置のサーマルヘッド17及びプランテンローラー16と、ヒートローラ22と対向ローラ21の間に設置し、図4及び図5に示すインクリボンの代わりに、第2の樹脂層14、第1の樹脂層13、及び離型層12の順番が逆の構成有する図6に示すインクリボンを適用し、転写記録媒体に形成された色インク画像43上に、無彩色インク層すなわち第2の樹脂層14、第1の樹脂層13、及び離型層12を形成することにより、図12と同様の構成を有する色インク画像上に無彩色インク層が形成された転写記録媒体が得られる。色インク画像及び無彩色インク層が形成された転写記録媒体と被転写材とをヒートローラ22と対向ローラ21の間に導入し、転写動作を行うことができる。
【0109】
図16は、本発明を用いて形成された印刷物の画像部分のモデルを表す断面図、図17は、従来の印刷物の画像部分のモデルを表す断面図を示す。
【0110】
図18に示す印刷物は、例えば紙等の被転写材1上に、離型層12、第1の樹脂層13、第2の樹脂層14、色インク画像層26,受像層5、及び保護層4が順に形成された構成を有する。
【0111】
図16のように、本発明に係る無彩色インク層を使用した場合、無彩色インク層の第1の樹脂層13は、少なくとも軟化点及び溶融粘度の一方が低いため、紙への転写時に充分溶融し、離型層12と共に、紙の凹凸の凹部に染み込み、確実な接着力を確保している。また、無彩色インク層の第2の樹脂層14は、軟化点が高く、溶融粘度も高いため、紙への転写時に溶融せず、紙の凹凸の凹部に染み込まない。このため、その上に形成されたインク層26を乱すことがなく、画質を劣化させない。また、色インク層26及び受像層5と第2の樹脂層14は相性が良く、確実な接着力を確保している。図13のように、無彩色インク層を使用した場合、テープなどで受像層を剥がそうとしても、紙への確実な接着力を確保しているため、剥がれることはない。
【0112】
また、図17は、例えば紙等の被転写材1上に、色インク画像層26,受像層5、及び保護層4が順に形成された構成を有する
図17のように、無彩色インク層を使用せず、転写記録媒体1の受像層5を紙などの被転写材に転写した場合、紙表面の繊維などによる凹凸の凹部に、インク層26が染み込んでしまい、画質を劣化させてしまう。また、受像層5が薄いため、紙表面の凹凸に追従できず、確実な接着を確保することができない。
【0113】
このように、本発明によれば、第1の樹脂層により、被転写材表面の凹凸との接着性を確保し、第2の樹脂層により、第1の樹脂層との接着性及び受像面の均一性を確保し、その上に形成される色インク画像の画質を良好にすることができる。このため、階調性豊かなカラー画像、文字のような2値画像などを高画質な画像で記録できるばかりでなく、カラー画像、文字などの画像情報が被転写材から剥がれることがない。
【0114】
【発明の効果】
本発明を用いると、大きな凹凸のある被転写材に対しても、画質を低下することなく、十分な画像記録が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用される転写記録媒体の一例を表す概略的な断面図
【図2】本発明の第1及び第4の観点に係るインクリボンの一例を表す正面図
【図3】図2の断面図
【図4】本発明の第2及び第4の観点に係る無彩色インクリボンの一例を表す正面図
【図5】図4の断面図
【図6】本発明の第3及び第6の観点に係る無彩色インクリボンの一例を表す概略断面図
【図7】本発明の第2及び第5の観点に係る無彩色インクリボンと組み合わせて用いられる色インクリボンの一例を表す正面図
【図8】図7の断面図
【図9】第2及び第5の観点に係るインクリボンの応用例を表す断面図
【図10】本発明に係る記録方式を行うための装置の一例の動作を説明するための概略図
【図11】本発明に係る記録方式を行うための装置の一例の動作を説明するための概略図
【図12】本発明の記録方法により得られた画像を有する転写記録媒体の一例を表す断面図
【図13】本発明に用いることができる転写機構の一例を表す図
【図14】本発明の第7及び第8の観点に係る記録方法により無彩色インク層が形成された被転写材の一例を表す断面図
【図15】本発明の第7及び第8の観点に係る記録方法により色インク画像が形成された転写記録媒体を表す断面図
【図16】本発明を用いて形成された印刷物の画像部分のモデルを表す断面図
【図17】従来の印刷物の画像部分のモデルを表す断面図
【符号の説明】
1、34…転写記録媒体、2、7…支持体、3、12…離型層、4…保護層、5…受像層、6、34,40,50…インクリボン、8…イエローインク層、9…マゼンタインク層、10…シアンインク層、11…ブラックインク層、13…第1の樹脂層、14…第2の樹脂層、15…供給コア、16、33…プラテンローラ、17、32…サーマルヘッド、18…クランプ、19…クランプローラ、20…搬送ローラ、21…対向ローラ、22…ヒートローラ、23…剥離ローラ、24…被転写材、25…紙の凹凸、26,43…色インク画像層

Claims (19)

  1. 転写温度Tに加熱されて被転写材に画像を転写するための、受像層を有する転写記録媒体に適用されるインクリボンであって、
    帯状支持シートと、
    該帯状支持シート上に面順次に形成された、着色剤及びバインダー樹脂を含有する色インク層と、
    該転写温度Tよりも低い軟化点もつ第1の樹脂層、及び該第1の樹脂層上に形成され、該転写温度Tよりも高い軟化点をもつ第2の樹脂層を含む無彩色インク層とを具備することを特徴とするインクリボン。
  2. 転写温度Tに加熱されて被転写材に画像を転写するための、受像層を有する転写記録媒体に適用されるインクリボンであって、
    着色剤及びバインダー樹脂を含有する色インク層を含むインクリボンと組み合わせて用いられ、
    帯状支持シートと、
    該帯状支持シート上に形成された、該転写温度Tよりも高い軟化点をもつ第2の樹脂層、及び該第2の樹脂層上に形成され、該転写温度Tよりも低い軟化点もつ第1の樹脂層を有する無彩色インク層とを含むことを特徴とするインクリボン。
  3. 転写温度Tに加熱されて被転写材に画像を転写するための、受像層を有する転写記録媒体に適用されるインクリボンであって、
    着色剤及びバインダー樹脂を含有する色インク層を含むインクリボンと組み合わせて用いられ、帯状支持シートと、該帯状支持シート上に形成された、該転写温度Tよりも低い軟化点もつ第1の樹脂層、及び該第1の樹脂層上に形成され、該転写温度Tよりも高い軟化点をもつ第2の樹脂層を含む無彩色インク層とを具備することを特徴とするインクリボン。
  4. 前記第1の樹脂層は、前記受像層に使用される樹脂、及び前記バインダー樹脂の各軟化点、及び前記転写温度Tよりも低い軟化点を有し、第2の樹脂層は、前記転写温度T及び前記各軟化点よりも高い軟化点を有する特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクリボン。
  5. 転写温度Tに加熱されて被転写材に画像を転写するための、受像層を有する転写記録媒体に適用されるインクリボンであって、
    帯状支持シートと、該帯状支持シート上に面順次に形成された、着色剤及びバインダー樹脂を含有する色インク層と、第1の樹脂層、及び該第1の樹脂層の該転写温度Tにおける溶融粘度よりも高い溶融粘度をもつ第2の樹脂層を含む無彩色インク層とを具備することを特徴とするインクリボン。
  6. 転写温度Tに加熱されて被転写材に画像を転写するための、受像層を有する転写記録媒体に適用されるインクリボンであって、
    着色剤及びバインダー樹脂を含有する色インク層を含むインクリボンと組み合わせて用いられ、帯状支持シートと、該帯状支持シート上に形成された第2の樹脂層、及び該第2の樹脂層上に形成され、該転写温度Tにおいて該第2の樹脂層の溶融粘度よりも低い溶融粘度をもつ第1の樹脂層を有する無彩色インク層とを具備することを特徴とするインクリボン。
  7. 転写温度Tに加熱されて被転写材に画像を転写するための、受像層を有する転写記録媒体に適用されるインクリボンであって、
    着色剤及びバインダー樹脂を含有する色インク層を含むインクリボンと組み合わせて用いられ、帯状支持シートと、該帯状支持シート上に形成された第1の樹脂層、及び該第1の樹脂層の該転写温度Tにおける溶融粘度よりも高い溶融粘度をもつ第2の樹脂層を有する無彩色インク層とを含む無彩色インク層とを具備することを特徴とするインクリボン。
  8. 前記第1の樹脂層は、前記転写温度Tにおいて、前記受像層に使用される樹脂、及び前記バインダー樹脂の各溶融粘度よりも低い溶融粘度を有し、前記第2の樹脂層は、該転写温度Tにおいて該第1の樹脂層、該受像層に使用される樹脂、及び該バインダー樹脂の各溶融粘度よりも高い溶融粘度を有することを特徴とする請求項5ないし7のいずれか1項に記載のインクリボン。
  9. 前記無彩色インク層と面順次に形成された、前記転写記録媒体をさらに含む請求項3または6に記載のインクリボン。
  10. 転写温度Tに加熱されて被転写材に画像を転写するための、受像層を有する転写記録媒体を用意し、該受像層上に、着色剤及びバインダー樹脂を含有する色インク画像、該転写温度Tよりも高い軟化点をもつ第2の樹脂層、及び該転写温度Tよりも低い軟化点をもつ第1の樹脂層を順に形成することにより、転写記録媒体に画像を形成する工程と、該画像が形成された受像層上に該被転写材を適用し、該転写温度Tにて加熱接着を行う工程とを具備することを特徴とする記録方法。
  11. 前記画像を形成する工程は、請求項1に記載のインクリボンを用いて行われることを特徴とする請求項10に記載の記録方法。
  12. 転写温度Tに加熱されて被転写材に画像を転写するための、受像層を有する転写記録媒体を用意し、該受像層上に、着色剤及びバインダー樹脂を含有する色インク画像を形成する工程と、被転写材上に、該転写温度Tよりも低い軟化点をもつ第1の樹脂層、及び該転写温度Tよりも高い軟化点をもつ第2の樹脂層を順に形成することにより、無彩色インク層を形成する工程と、該色インク画像が形成された該受像層上に、該無彩色インク層及び該被転写材を適用し、該転写温度Tにて加熱接着を行う工程とを具備することを特徴とする記録方法。
  13. 前記無彩色インク層を形成する工程は、請求項2または3に記載のインクリボンを用いて行われることを特徴とする請求項12に記載の記録方法。
  14. 前記第1の樹脂層は、前記受像層に使用される樹脂、及び前記バインダー樹脂の各軟化点、及び前記転写温度Tよりも低い軟化点を有し、第2の樹脂層は、前記転写温度T及び前記各軟化点よりも高い軟化点を有する特徴とする請求項10ないし13のいずれか1項に記載の記録方法。
  15. 転写温度Tに加熱されて被転写材に画像を転写するための、受像層を有する転写記録媒体を用意し、該受像層上に、着色剤及びバインダー樹脂を含む色インク画像を形成し、該色インク画像上に、第2の樹脂層、及び該転写温度Tにおいて該第2の樹脂層の溶融粘度よりも低い溶融粘度をもつ第1の樹脂をを含む無彩色インク層を形成する画像形成工程と、該画像形成された該受像層上に該被転写材を適用し、該転写温度Tにて加熱接着する画像転写工程とを具備することを特徴とする記録方法。
  16. 前記画像を形成する工程は、請求項5に記載のインクリボンを用いて行われることを特徴とする請求項15に記載の記録方法。
  17. 転写温度Tに加熱されて被転写材に画像を転写するための、受像層を有する転写記録媒体を用意し、該受像層上に、着色剤及びバインダー樹脂を含有する色インク画像を形成する工程と、該被転写材上に、第1の樹脂、及び該転写温度Tにおいて該第1の樹脂層の溶融粘度よりも高い溶融粘度をもつ第2の樹脂層を含む無彩色インク層を形成する無彩色インク層を形成する工程と、該色インク画像が形成された該受像層上に、該無彩色インク層及び該被転写材を適用し、該転写温度Tにて加熱接着する画像転写工程とを具備することを特徴とする記録方法。
  18. 前記画像形成工程は、請求項6項6または7に記載のインクリボンを用いて行われることを特徴とする請求項17に記載の記録方法。
  19. 前記第1の樹脂層は、前記転写温度Tにおいて、前記受像層に使用される樹脂、及び前記バインダー樹脂の各溶融粘度よりも低い溶融粘度を有し、前記第2の樹脂層は、該転写温度Tにおいて該第1の樹脂層、該受像層に使用される樹脂、及び該バインダー樹脂の各溶融粘度よりも高い溶融粘度を有することを特徴とする請求項15ないし18のいずれか1項に記載の記録方法。
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