JP2017177381A - 中間転写媒体上に透明な凸形状を形成する方法およびそれを用いた印画物の形成方法 - Google Patents
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Description
熱転写シートを用いて中間転写媒体上に透明な凸形状を形成する方法であって、
基材シートと、前記基材シートの一方の面上に少なくとも透明樹脂層を含む第1転写層とを備える熱転写シートを用意する工程と、
基材と、前記基材の一方の面上に少なくとも受容層を含む第2転写層とを備える中間転写媒体を用意する工程と、
前記熱転写シートの透明樹脂層を前記中間転写媒体の受容層上に重ね合わせて熱転写して、前記中間転写媒体上に前記透明樹脂層が積層された透明な凸形状を形成する工程と、
を含む、方法が提供される。
中間転写媒体を用いて表面に透明な凸形状を有する印画物を形成する方法であって、
上記の方法により表面に透明な凸形状が形成された中間転写媒体を用意する工程と、
被転写体を用意する工程と、
前記中間転写媒体の第2転写層を被転写体上に重ね合わせて熱転写して、表面に透明な凸形状を有する印画物を形成する工程を含む、方法が提供される。
本発明による中間転写媒体上に透明な凸形状を形成する方法は、
熱転写シートを用いて中間転写媒体上に透明な凸形状を形成する方法であって、
基材シートと、前記基材シートの一方の面上に少なくとも透明樹脂層を含む第1転写層とを備える熱転写シートを用意する工程と、
基材と、前記基材の一方の面上に少なくとも受容層を含む第2転写層とを備える中間転写媒体を用意する工程と、
前記熱転写シートの透明樹脂層を前記中間転写媒体の受容層上に重ね合わせて熱転写して、前記中間転写媒体の受容層上に前記透明樹脂層が積層された透明な凸形状を形成する工程と、
を含むものである。
本発明に用いられる熱転写シートは、基材シートの一方の面上に、少なくとも透明樹脂層を含む第1転写層を備えるものであり、基材シートと透明樹脂層との間に離型層をさらに備えてもよい。また、熱転写シートは、基材シートの他方の面上に背面層を備えてもよい。
基材シートは、第1転写層および背面層等を保持するために設けられる。基材シートは、特に限定されず、中間転写媒体の受容層上に熱転写画像を形成するときにサーマルヘッドにより加えられる熱に耐え、取り扱い上支障のない機械的特性を有することが望ましい。このような材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等の各種プラスチックフィルムまたはシートを挙げることができる。また、基材シートの厚さは、その強度及び耐熱性が適切になるように材料に応じて適宜設定することができ、2μm以上100μm以下程度が一般的で、好ましくは1μm以上10μm以下である。
第1転写層は、少なくとも透明樹脂層を含むものであり、色材層をさらに含んでもよい。第1転写層において、透明樹脂層と色材層とは、基材上に面順次に形成されたものであることが好ましい。
透明樹脂層は、中間転写媒体の受容層上に転写され、透明な凸形状を形成するための層である。透明な凸形状は、ヘイズ値が60%以下であることが好ましく、40%以上60%以下であることがさらに好ましい。また透明な凸形状は、測定角20度の光沢度が30%以上であることが好ましく、30%以上60%以下であることがさらに好ましい。
なおヘイズ値および光沢度はヘイズメーター(東洋精機製作所(株)製、型番:マイクロヘイズプラス)を用い、測定角20度の光沢度はJIS Z 8741:1997に、ヘイズ値はJIS K 7136:2000に準拠して測定したものである。
色材層は、中間転写媒体の受容層上に転写され、文字や数字等の画像を形成するための層である。色材層は、図1に示すように、イエロー、マゼンダ、シアン等の複数種の色材層を面順次で設けてもよい。
離型層は、基材シートと透明樹脂層の間に設けられ、透明樹脂層の転写性を向上させるための層である。離型層に微粒子を添加することで、転写する際に離型層側の透明樹脂層の面をマット化させて、中間転写媒体の受容層上にマット化した表面を有する凸形状を形成することができる。
背面層は、熱転写する際の基材シートの裏面側(基材シートの第1転写層が設けられていない側)からの加熱に対する耐熱性やサーマルヘッドの走行性等を向上させるための層である。
本発明に用いられる中間転写媒体は、基材と、基材の一方の面上に少なくとも受容層を含む第2転写層とを備えるものである。
基材は第2転写層を保持するために設けられる。基材は特に限定されず、被転写体に熱転写する際にサーマルヘッドにより加えられる熱に耐え、取り扱い上支障のない機械的特性を有することが望ましい。このような材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、セルロース誘導体、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル、ポリビニルフルオライド、テトラフルオロエチレン・エチレン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリビニリデンフルオライド等の各種プラスチックフィルムまたはシートを挙げることができる。また、基材の厚さは、その強度及び耐熱性が適切になるように材料に応じて適宜設定することができ、2μm〜100μm程度が一般的で、好ましくは1μm〜10μmである。
第2転写層は、熱転写時に基材から剥離され被転写体上に転写される層である。第2転写層は、少なくとも受容層を含んでおり、当該受容層は、中間転写媒体の最表面に位置している。また、第2転写層は、基材と受容層との間に保護層をさらに含んでもよい。中間転写媒体を用いて再転写を行うことで、第2転写層は、被転写体上に再転写(全転写)され、被転写体上に第2転写層が設けられた印画物を形成することができる。
受容層は、熱転写シートを熱転写することで、透明樹脂層からなる凸形状や色材からなる画像が形成される層である。このような第2転写層が被転写体上に再転写(全転写)され、その結果、被転写体上に第2転写層が設けられた印画物が形成される。
保護層は、第2転写層が中間転写媒体から被転写体へと転写された後は、摩耗や光、薬品等から印画物を保護するための層であり、印画物の最表面を構成することとなる。本発明においては、印画物中に存在する透明樹脂層からなる凸形状が表面側の保護層を押し上げ、印画物の最表面に透明な凸形状をもたらす。このような表面の凸形状により、印画物表面に透明な文字等を形成することができる。
本発明による印画物の形成方法は、
中間転写媒体を用いて表面に透明な凸形状を有する印画物を形成する方法であって、
上記の中間転写媒体上に透明な凸形状を形成する方法により表面に透明な凸形状が形成された中間転写媒体工程と、
被転写体を用意する工程と、
前記中間転写媒体の第2転写層を被転写体上に重ね合わせて熱転写して、表面に透明な凸形状を有する印画物を形成する工程を含むものである。
中間転写媒体の熱転写に使用可能な被転写体としては、特に限定されず、例えば、従来公知の物を用いることができる。被転写体としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリカーボネート等の樹脂成型体や樹脂フィルム、天然繊維紙、コート紙、トレーシングペーパー、ガラス、金属、セラミックス、木材、布等が挙げられる。
本発明における転写方法は、特に限定されず、従来公知の熱転写プリンタを用いて行うことができる。また、加熱手段は特に限定されず、サーマルヘッド、熱板、ホットスタンパー、ヒートロール、ラインヒーター、アイロンなどを用いて転写を行ってもよい。
<熱転写シートの作成>
基材シートとして厚さ4.5μmの易接着処理済みポリエチレンテレフタレートフィルムを用い、この上に、下記組成の背面層用塗工液を乾燥時0.8g/m2になるように塗工し、背面層を形成した。次いで、基材の他方の面に、下記組成の透明樹脂層用塗工液は乾燥時塗工量を3.0g/m2、イエロー色材層用塗工液、マゼンタ色材層用塗工液、シアン色材層用塗工液をそれぞれ、乾燥時塗工量が0.6g/m2となるように面順次に塗工して、透明樹脂層、イエロー色材層、マゼンタ色材層、およびシアン色材層を含む第1転写層を形成し、熱転写シート1を作成した。
・ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBX−1 積水化学工業(株)製)
2.0質量部
・ポリイソシアネート(バーノック D750 大日本インキ化学工業(株)製)
9.2質量部
・リン酸エステル系界面活性剤(プライサーフA208N 第一工業製薬(株)製)
1.3質量部
・タルク (ミクロエースP−3 日本タルク工業(株)) 0.3質量部
・トルエン 43.6質量部
・メチルエチルケトン 43.6質量部
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(CNL 日信化学工業(株)製) 25質量部
・ポリエステル樹脂(GK250 東洋紡(株)製) 70質量部
・エポキシ変性シリコーン(KP−1800U 信越化学工業(株)製) 5質量部
・トルエン 200質量部
・メチルエチルケトン 200質量部
・イエロー染料 7.0質量部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂(KS−5 積水化学工業(株) 製) 1.8質量部
・ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBH−S 積水化学工業(株)製)
0.9質量部
・エチルセルロース樹脂(エトセルSTD45 日進化成(株)製) 0.3質量部
・シリコーン(X−22−3939 信越化学(株)製) 0.06質量部
・トルエン 45質量部
・メチルエチルケトン 45質量部
・マゼンタ染料 7.0質量部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂(KS−5 積水化学工業(株) 製) 1.8質量部
・ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBH−S 積水化学工業(株)製)
0.9質量部
・エチルセルロース樹脂(エトセルSTD45 日進化成(株)製) 0.3質量部
・シリコーン(X−22−3939 信越化学(株)製) 0.06質量部
・トルエン 45質量部
・メチルエチルケトン 45質量部
・シアン染料 7.0質量部
・ポリビニルアセトアセタール樹脂(KS−5 積水化学工業(株) 製) 1.8質量部
・ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBH−S 積水化学工業(株)製)
0.9質量部
・エチルセルロース樹脂(エトセルSTD45 日進化成(株)製) 0.3質量部
・シリコーン(X−22−3939 信越化学(株)製) 0.06質量部
・トルエン 45質量部
・メチルエチルケトン 45質量部
基材として厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用い、該基材の一方の面へ、グラビアコート法で、下記の保護層用塗工液を、乾燥後2.0μmになるように塗布し乾燥して保護層を形成した。次いで、この保護層上に、グラビアコート法で、下記の受容層用塗工液を、乾燥後2.5μmになるように塗布し乾燥して受容層を形成し、保護層および受容層を含む第2転写層を備える中間転写媒体を作成した。
・スチレン−アクリル系樹脂(ミューティクルPP320P 三井化学(株)製)
150質量部
・ポリビニルアルコール(C−318 (株)DNPファインケミカル製)
100質量部
・水/エタノール(質量比1/2) 70質量部
・塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体(CNL 日信化学工業(株)製) 25質量部
・ポリエステル樹脂(GK250 東洋紡(株)製) 70質量部
・エポキシ変性シリコーン(KP−1800U 信越化学工業(株)製) 5質量部
・トルエン 200質量部
・メチルエチルケトン 200質量部
上記の熱転写シート、上記の中間転写媒体、および熱転写プリンタを用いて、中間転写媒体の受容層上に画像を形成した後、熱転写シートの透明樹脂層を転写して透明な凸形状を形成した。
続いて、ヘイズメーター(東洋精機製作所(株)製、型番:マイクロヘイズプラス)を用いて、JIS Z 8741:1997に準拠して、この凸部の測定角20度での光沢度を測定したところ、135.0%であった。また、JIS K 7136:2000に準拠して、ヘイズ値を測定したところ37.1%であった。
上記の透明な文字および画像が形成された中間転写媒体を用いて、被転写体である白色塩ビカード上に再転写(全転写)し、印画物を形成した。印画物の表面には、透明な文字(凸形状)が形成されていた。文字(凸形状)の高さは10μmであった。
<熱転写シートの作成>
基材の他方の面に、下記の離型層用塗工液を塗工し、該離型層の上に上記透明樹脂層用塗工液を塗工した以外は、実施例1と同様にして熱転写シート2を作成した。
(離型層用塗工液)
・アクリル系樹脂フィラー(RSマット10 昭和インク工業(株)製)45質量部
・アクリル系樹脂(セルトップ226 ダイセル化工業(株)製) 38質量部
・アルミ触媒(セルトップCAT−A ダイセル化工業(株)製) 12質量部
・トルエン 7質量部
・メチルエチルケトン 7質量部
次に、熱転写シート2を用いた以外は、実施例1と同様にして、中間転写媒体上への熱転写を行った。中間転写媒体上の凸形状はマット化していた。
実施例1と同様に測定したところ、この凸部の測定角20度での光沢度は49.7%、ヘイズは48.6%であった。
続いて、実施例1と同様にして、印画物を形成した。印画物の表面には、透明な文字(凸形状)が形成されていた。文字(凸形状)の高さは12μmであった。さらに、文字は明瞭で見易かった。
<中間転写媒体上への熱転写>
中間転写媒体上に熱転写シート1の透明樹脂層を転写しなかった以外は、実施例1と同様にして熱転写を行った。
続いて、実施例1と同様にして、印画物を形成した。印画物の表面には、透明な文字(凸形状)は形成されなかった。
11 基材シート
12 透明樹脂層
13 色材層(13Aイエロー、13Bマゼンダ、13Cシアン)
14 第1転写層
15 中間転写媒体
16 基材
17 保護層
18 受容層
19 第2転写層
20 凸形状
21 表面に凸形状が形成された第2転写層
22 表面に凸形状が形成された中間転写媒体
23 被転写体
24 凸形状
25 印画物
26 離型層
Claims (9)
- 熱転写シートを用いて中間転写媒体上に透明な凸形状を形成する方法であって、
基材シートと、前記基材シートの一方の面上に少なくとも透明樹脂層を含む第1転写層とを備える熱転写シートを用意する工程と、
基材と、前記基材の一方の面上に少なくとも受容層を含む第2転写層とを備える中間転写媒体を用意する工程と、
前記熱転写シートの透明樹脂層を前記中間転写媒体の受容層上に重ね合わせて熱転写して、前記中間転写媒体上に前記透明樹脂層が積層された透明な凸形状を形成する工程と、
を含む、方法。 - 前記熱転写シートが、前記基材シートと前記透明樹脂層との間に、離型層をさらに備える、請求項1に記載の方法。
- 前記熱転写シートの第1転写層が、色材層を含む、請求項1または2に記載の方法。
- 前記熱転写シートの前記色材層を前記透明な凸形状が形成された受容層上に重ね合わせて熱転写して、前記中間転写媒体上に画像を形成する工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
- 前記第2転写層が、前記基材と前記受容層との間に、保護層をさらに備える、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
- 前記透明樹脂層と前記受容層とが、同一の樹脂を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
- 中間転写媒体を用いて表面に透明な凸形状を有する印画物を形成する方法であって、
請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法により表面に透明な凸形状が形成された中間転写媒体を用意する工程と、
被転写体を用意する工程と、
前記中間転写媒体の第2転写層を被転写体上に重ね合わせて熱転写して、表面に透明な凸形状を有する印画物を形成する工程を含む、方法。 - 前記印画物表面の凸形状が、文字である、請求項7に記載に方法。
- 前記印画物表面の凸形状の高さが、5μm以上30μm以下である、請求項7または8に記載の方法。
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