JP2013016647A - 熱伝導シート及び放熱装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】熱伝導シートを、スチレン−イソブテン共重合体(A)と、黒鉛粒子及び六方晶窒化ほう素粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種の無機粒子(B)と、ポリイソブテン(C)とを含有して構成する。また放熱装置を、発熱体と、前記熱伝導シートと、放熱体とをこの順に積層して構成する。
【選択図】なし
Description
一方、常温でバネなどで加圧する方法として、冷却したい半導体素子等が動作して発熱すると温度が上がることを利用し、温度上昇に応じて液化して高い密着性を得る、いわゆるフェイズチェンジシートも一般に使用されている。しかし、一般にフェイズチェンジシートは熱伝導率が低く、また液化し薄くなる事で低熱抵抗化するため、チップ段差が生じてしまうマルチチップ化に対応することは困難である。
例えば、シート面に関してほぼ垂直な方向に熱伝導フィラ(窒化ホウ素)が配向した熱伝導シート(例えば、特許文献1参照)や、ゲル状物質に分散された炭素繊維がシート面に対して垂直に配向した構造の熱伝導シート(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
また、本発明の目的は、高い放熱能力を持ち、且つ修理などのために発熱部材と放熱部材を取り外した際の熱伝導シートの除去が容易な放熱装置を提供することである。
<1> スチレン−イソブテン共重合体(A)と、黒鉛粒子及び六方晶窒化ほう素粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種の無機粒子(B)と、ポリイソブテン(C)とを含有する熱伝導シートである。
かかる熱伝導シートは、高い熱伝導性と、低熱抵抗での接触を可能にする柔軟性をあわせ持ち、更に耐熱性、耐湿性及び剥離除去性に優れ、放熱用途に好適である。
かかる熱伝導シートは、上記に加えて難燃性に優れる。
かかる熱伝導シートは、上記に加えて更に膜厚方向の高熱伝導性を達成できる。
かかる熱伝導シートは、上記に加えて更に無機粒子の配向が容易になるため、更に膜厚方向の高熱伝導性を達成することができる。
かかる熱伝導シートは、上記に加えて発熱体と放熱体との接触が更に低熱抵抗で可能となる。
かかる熱伝導シートは、上記に加えて更に取り扱い性にも優れ、高い熱伝導性と、低熱抵抗での接触、耐熱性、耐湿性、剥離除去性及び難燃性に優れる。
かかる熱伝導シートは、上記に加えて更に膜厚方向の高熱伝導性を達成できる。
かかる放熱装置は、高い放熱能力を有する上、修理などのために発熱部材と放熱部材を取り外した際の熱伝導シートの除去が容易である。
本発明の熱伝導シートは、スチレン−イソブテン共重合体(A)の少なくとも1種と、黒鉛粒子及び六方晶窒化ほう素粒子からなる群より選ばれる無機粒子(B)の少なくとも1種と、ポリイソブテン(C)の少なくとも1種とを含有する樹脂組成物をシート状に成形してなる。
かかる構成であることで、低い熱抵抗で発熱部材と放熱部材を熱接触させることができ、かつ耐熱性、耐湿性及び剥離除去性に優れる。
以下、熱伝導シートを構成する樹脂組成物について説明する。
前記熱伝導シートはスチレン−イソブテン共重合体の少なくとも1種を含む。スチレン−イソブテン共重合体が例えばバインダとして主に機能することで、耐熱性及び耐湿性に優れ、かつ柔軟性に優れた熱伝導シートが得られると考えられる。
前記スチレン−イソブテン共重合体は、スチレンに由来する構成単位とイソブテン(「イソブチレン」ともいう)に由来する構成単位とを有するものであれば特に制限されず、ランダム共重合体であっても、ブロック共重合体であってもよい。中でも強度と柔軟性の観点から、ブロック共重合体であることが好ましい。
スチレン由来構成単位の含有率が5質量%以上であると熱伝導シートの強度がより向上する傾向がある。また30質量%以下であると熱伝導シートの柔軟性がより向上し密着性がより向上する傾向がある。
前記スチレン−イソブテン共重合体がその他の重合性化合物に由来する構成単位を含む場合、その含有率は10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましい。
スチレン−イソブテン共重合体の含有率が3質量%以上であると十分な凝集力が得られシート強度がより向上しハンドリング性がより向上する傾向にある。またスチレン−イソブテン共重合体の含有率が40質量%以下であると、熱伝導性、粘着性、密着性及び難燃性が低下することをより効果的に抑制できる傾向にある。
前記熱伝導シートは、黒鉛粒子及び六方晶窒化ほう素粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種の無機粒子を含む。前記無機粒子は例えば高熱伝導性フィラとして主に機能すると考えられる。
前記無機粒子の形状は特に制限されず、球状、鱗片状、楕球状及び棒状のいずれであってもよい。前記熱伝導シートにおいては、熱伝導性の観点から熱伝導シートの製造方法に応じて前記無機粒子の形状を選択することが好ましい。
この場合無機粒子の形状として鱗片状がより好ましい。鱗片状の無機粒子を選択することで、より高い熱伝導性が達成できる。これは例えば鱗片状の無機粒子は、所定の方向への配向がより容易であるためと考えることができる。
かかる製造方法については後述する。
なお、結晶中の六員環面とは、六方晶系において六員環が形成されている面であり、(0001)結晶面を意味する。
黒鉛粒子及び六方晶窒化ほう素粒子から選ばれる無機粒子の結晶中の六員環面の配向方向は、具体的には以下の方法で確認する。
ここで用いる「樹脂」とは、X線回折の妨げになるピークが現れない材料で、かつシート形状を形成可能な材料であれば特に制限されない。具体的には、アクリルゴム、NBR、SIBSなどバインダとしての凝集力を有している非晶質樹脂を使用できる。
このことより、本発明において「結晶中の六員環面が鱗片の面方向、楕球の長軸方向又は棒の長軸方向に配向している」とは、黒鉛粒子及び六方晶窒化ほう素か粒子ら選ばれ無機粒子と非晶質樹脂等とを含有した混合物をシート化したものの表面に対し、X線回折測定を行い、黒鉛粒子及び六方晶窒化ほう素粒子いずれの場合においても、2θ=77°付近に現れる黒鉛粒子又は六方晶窒化ほう素粒子の(110)面に対応するピークの高さを、2θ=27°付近に現れる黒鉛粒子又は六方晶窒化ほう素粒子の(002)面に対応するピークの高さで割った値が0〜0.02となる状態をいう。
無機粒子の重量平均粒子径が、熱伝導シートの膜厚の1/5倍以上であると効率的な熱伝導パスが形成され、熱伝導性がより向上する。また熱伝導シートの膜厚以下であると、熱伝導性にムラが生じたり、密着性が低下したりすることを抑制できる。
この場合、無機粒子の粒子径は、重量平均粒子径として、熱伝導シートの膜厚の1/5倍〜4倍であることが好ましい。
無機粒子の重量平均粒子径が、熱伝導シートの膜厚の1/5倍以上であると効率的な熱伝導パスが形成され、熱伝導性がより向上する。また熱伝導シートの膜厚以下であると、熱伝導性にムラが生じたり、密着性が低下したりすることを抑制できる。
また前記六方晶窒化ほう素粒子としては、球状造粒窒化ほう素粉末、板状窒化ほう素粉末、鱗片状窒化ほう素粉末等が挙げられる。中でも六方晶窒化ほう素粒子として好ましいのは、熱伝導シート面に対し垂直に配向させる事を前提とした上で、板状結晶を30μm以上の大きさまで成長させた板状窒化ほう素粒子である。
前述のように膜厚に近い大粒子の方が効率的な熱伝導パスを形成でき、熱伝導性の観点から好適であるが、大粒子かつ粒度分布が狭いと形成される空隙部分も大きくなる傾向があるため、熱伝導性のバラツキが大きくなる傾向がある。このため、適度に存在する小粒子によって空隙部が適度に少なくなるよう、粒子径分布がある程度広い、もしくは多分散系の粒径分布であることがバラツキを抑制する観点からは好ましい。分布の広さ、もしくは多分散の好適な内容・程度は粒子形状などにより大きく異なるため、定量的に規定するのは困難であるが、このようなことから、膜厚に近い大粒子が形成する空隙より小さいものを空隙に収まる範囲の量含むような分布が特に好ましい。
無機粒子の含有率が40質量%以上であると熱伝導性がより向上する傾向にある。また無機粒子の含有率が85質量%以下であると粘着性及び密着性が低下することをより効果的に抑制できる傾向にある。
ここで「熱伝導シートの厚み方向に配向」とは、熱伝導シートの厚み方向の断面をSEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察し、任意の50個の黒鉛粒子及び六方晶窒化ほう素粒子から選ばれる無機粒子について見えている方向から、長軸方向の熱伝導シート表面に対する角度(90度以上の場合は補角を採用する)を測定し、その平均値が60度〜90度の範囲になる状態をいう。
前記熱伝導シートはポリイソブテンの少なくとも1種を含む。前記ポリイソブテンは例えば、耐熱性と耐湿性に優れた可塑剤兼粘着性付与剤として主に機能すると考えられる。すなわちスチレン-イソブテン共重合体のみでは不足する柔軟性と粘着性を補う役割と考えることができる。一方、見方を変えればスチレン−イソブテン共重合体はポリイソブテンのみでは不足する凝集力を補うとも言え、相互補完の関係と考えられる。
本発明におけるポリイソブテンはイソブテンの単独重合体であることが特に好ましい。
数平均分子量が1000以上であると仮固定に必要な粘着力を十分に得ることができ、また耐熱性に優れる傾向にある。また数平均分子量が5000以下であるとスチレン−イソブテン共重合体との相溶性に優れる傾向にある。なお、ポリイソブテンの数平均分子量はVPO法によって測定される。
なお、100℃における動粘度はJIS K 2283規格に準拠して測定される。
ポリイソブテンの含有率が、3質量%以上であると粘着性及び密着性がより向上する傾向がある。またポリイソブテンの含有率が50質量%以下であると、シート強度、熱伝導性及び難燃性が低下することをより効果的に抑制できる傾向にある。
前記熱伝導シートは難燃剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。難燃剤を含むことで熱伝導シートの難燃性がより向上する。
前記難燃剤としては特に限定されず、通常用いられる難燃剤から適宜選択して用いることができる。例えば、赤りん系難燃剤やりん酸エステル系難燃剤を挙げることができる。
中でも、りん酸エステル系難燃剤は安全性が高い上、可塑効果により密着性を向上する効果に優れるので特に好ましい。
これらの中でもビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)が、耐加水分解性に優れ、かつ可塑効果により密着性を向上する効果に優れるので特に好ましい。
前記熱伝導シートが難燃剤を含む場合における難燃剤の含有率は特に制限されない。例えば難燃性とシート強度、熱伝導性、粘着性及び密着性とのバランスの観点から、熱伝導シート中に1質量%以上60質量%以下であることが好ましく、5質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上40質量%以下であることがさらに好ましい。
難燃剤の含有率が、1質量%以上であると優れた難燃性が得られる傾向にある。また難燃剤の含有率が、60質量%以下であると、シート強度、熱伝導性、粘着性及び密着性の低下をより効果的に抑制できる傾向にある。
本発明において熱可塑性とは、加熱溶融により任意に形状を変えられるという意味であり、例えば、化学結合による架橋により3次元網目構造をもった高分子化合物や、常圧空気中では溶融しない高分子化合物をバインダの主成分に用いると加熱溶融により任意に形状を変えがたくなるため、熱可塑性に該当しない。ただし、これらのような高分子化合物であっても、熱可塑性成分中に分散していると、シート全体の熱可塑性が失われないため、ここで言う「熱可塑性を有する」条件を満たす上で、化学結合による架橋により3次元網目構造をもった高分子化合物や、常圧空気中では溶融しない高分子化合物が全く使用できないわけではない。逆に言えば、「熱可塑性を有する」ためには、バインダの主成分として、熱可塑性の高分子化合物を含むことが好ましい。
他の熱可塑性高分子化合物としては特に制約はない。中でも上記の条件をなるべく多く満たすものが一般的に好ましい。具体的には、ポリエチレン(パラフィン)、ポリプロピレン、脂環族飽和炭化水素樹脂、等のオレフィン系高分子化合物や、水添NBR、水添したSBS(別名:SEBS)、水添により二重結合を除去した飽和型エラストマ等を挙げることができる。これらを好適に併用することができる。またこれらは1種単独でも2種以上を併用してもよい。
なお、熱伝導シートの平均厚みは、マイクロメータを用いて任意に3箇所の厚みを測定し、その算術平均値として与えられる。
保護フィルムの材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルナフタレート、メチルペンテンフィルム等の樹脂、コート紙、コート布、アルミ等の金属が使用できる。これらの保護フィルムは、2種以上組み合わせて多層フィルムとしてもよく、保護フィルムの表面が、シリコーン系、シリカ系等の離型剤等で処理されたものが好ましく用いられる。
前記熱伝導シートは、前記スチレン−イソブテン共重合体(A)と、前記無機粒子(B)と、前記ポリイソブテン(C)とを含むものであるが、前記無機粒子(B)の前記鱗片の面方向、前記楕球の長軸方向又は前記棒の長軸方向が一定の方向に配向している成形体の、前記配向している方向(配向方向)に対して60°〜90°の角度を有する面と平行に前記成形体からスライスされた切片であることが好ましい。
すなわち、前記熱伝導シートは、前記成形体の1つの面であって、前記無機粒子の配向方向に対して60°〜90°の角度を有する面と平行に、前記成形体をスライスして切片を得る工程を含む製造方法で得られることが好ましい。
前記熱伝導シートが、かかる製造方法でされたものであることで、効率的な熱伝導パスが形成され易く、そのため高熱伝導性と密着性に優れる。
また前記成形体をスライスする方法としては、例えば特開2008−280496号公報に記載を参照することができる。
本発明の放熱装置は、発熱体と、前記熱伝導シートと、放熱体とをこの順に積層して構成される。前記熱伝導シートを介して発熱体と放熱体とが積層されていることで、発熱体からの熱を放熱体に効率よく伝導することができる。また発熱体から放熱体を取り外す際に容易に熱伝導シートを除去することができる。
スチレン-イソブテン共重合体(A)として、スチレン−イソブテン(別名:イソブチレン)-スチレントリブロックコポリマー(SIBS)((株)カネカ製SIBSTER102T、スチレン由来構成単位の含有率15質量%):350g、無機粒子(B)として、鱗片状の膨張黒鉛粉末(日立化成工業株式会社製、商品名:HGF−L、重量平均粒子径:270μm、前述のX線回折測定を用いた方法により、結晶中の六員環面が、鱗片の面方向に配向していることを確認した。):2156g、ポリイソブテン(C)として、ポリブテン200N(日油(株)製、数平均分子量2650、100℃における動粘度4.1×10−3m2/s)650g、難燃剤(D)としてビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)(りん酸エステル系難燃剤、大八化学工業株式会社製、商品名:CR−741)844gを4L加圧ニーダに投入し、到達温度170℃の条件で混練し、組成物を得た。(A)、(B)、(C)、(D)の全体に対する含有率はこの順に8.8質量%、53.9質量%、16.3質量%、21.1質量%であった。
得られた一次シートを、40mm×150mmの型刃を用いてプレス打ち抜きし、打ち抜いたシートを61枚積層し、高さが80mmになるよう、高さ80mmのスペーサを挟んで積層方向に120℃で2分間圧力をかけ、成形体を得た。
次いで、この成形体の80mm×150mmの積層断面を木工用スライサーを用いてスライスし、縦80mm×横150mm×厚さ0.15mmの熱伝導シート(I)を得た。
なお、耐熱性試験、HAST(Highly-Accelerated Temperature and Humidity Stress Test)耐性試験を以下の方法で行い、耐熱性試験及びHAST耐性試験の前後における熱抵抗、屈曲性、タック力及び剥離除去性の変化をそれぞれ信頼性の指標とした。
熱伝導シートをテフロン(登録商標)シートに載せ、165℃に設定したESPECE製セーフティオーブンSPHH101型の中にいれて、100時間、熱処理した。
熱伝導シートをテフロン(登録商標)シートに載せ、110℃85%RHに設定したHIRAYAMA製 HASTTEST PC-R8D型の中にいれ、125時間処理した。
熱伝導シートを厚さ1mm、直径13.75mmの銅板間に挟み、続いてこのサンプルの25℃での熱伝導率を、熱拡散率測定装置(NETZCH社製、装置名:LFA447)を用いて測定した。予め銅板の熱伝導率を測定しておき、当該装置の3層法により熱伝導シート部分の熱伝導率λ(W/mK)を求めた。測定セルとして、本装置のオプションである圧力セルを用い、25℃±2℃の室温下、0.1N・mのトルクでトルクドライバを用いて加圧し、測定を行った。予め感圧紙の変色から見積もった推定加圧は0.2MPaであった。
熱抵抗Rth(K・cm2/W)は、この値と膜厚t(mm)から下式により求めた。なお、膜厚t(mm)は圧着サンプルの厚みから予め測定しておいた上下の銅板の厚みを引く事で求めた値であり、マイクロメータで測定を行った。サンプルは3個作製し、各3ショット測定し、その平均値を採用した。
Rth=10×t/λ
また耐熱試験後の熱抵抗は0.048(K・cm2/W)と良好な値を保持した。さらにHAST耐性試験後の熱抵抗は0.055(K・cm2/W)と良好な値を保持した。
柔軟性の指標とした屈曲性は以下の方法により求めた。
0.15mm厚の熱伝導シートを用い、25±2℃の室温下、JIS K5600に準拠した方法でマンドレル(屈曲性)試験を行った。割れや破断が生じた径を屈曲性の目安とした。
また耐熱試験後の屈曲性は2.0mm未満と良好な値を保持した。手触りとしても初期との違いは感じられなかった。さらにHAST耐性試験後の屈曲性は2.0mm未満と良好な値を保持した。手触りとしても初期との違いは感じられなかった。
(タック力の測定)
使用装置:RHESCA製タッキング試験機TAC2
温度:25℃
押し込み速度:120mm/分
引き上げ速度:600mm/分
荷重 490mN(50gf)
時間:10秒
また耐熱試験後のタック力は1.5kPaと仮固定に充分な値を保持した。さらにHAST耐性試験後のタック力は0.8kPaと初期より低下したが、仮固定に充分な値を保持した。
剥離除去性を次のように評価した。
15mm×10mmに打ち抜いた熱伝導シートを厚さ1mm、30mm角の銅板と、厚さ1mm、15mm×10mmのSiチップとの間に挟み、クリップ(PLUS社製 CP−107SI、はさみ力12N〜14N)2個で止めた状態(圧力換算値0.16〜0.18MPa)で125℃、30分の条件で圧着させた。
この試料に対し上記耐熱性試験とHAST耐性試験を行った試験後に、手で剥がした際の固着した残渣を調べ、下記評価基準に従って評価した。
〜評価基準〜
S(優良):残渣は見られなかった。
A(良):薄い残渣があったが、溶剤で軽く1度拭くだけで除去可能な状態であった。
B(普通):残渣があり、除去するのに溶剤で2回以上拭く必要がある状態であった。
C(悪):残渣が固着し、溶剤を使っても強く何度もこすらないと落ちない、又は研磨しないと落ちない状態であった。
なお、チップ面と銅面で差が生じた場合は悪い側の判定を採用した。
スチレン−イソブテン共重合体(A)として、スチレン−イソブテン(別名:イソブチレン)ジブロックコポリマー(SIB)((株)カネカ製SIBSTER062M、スチレン由来構成単位含量20質量%):350gを用いた以外は実施例1と同様に操作し、縦80mm×横150mm×厚さ0.15mmの熱伝導シート(II)を得た。
(A)、(B)、(C)、(D)の全体に対する含有率はこの順に8.8質量%、53.9質量%、16.3質量%、21.1質量%であった。
また耐熱試験後の熱抵抗は0.048(K・cm2/W)と良好な値を保持した。さらにHAST耐性試験後の熱抵抗は0.050(K・cm2/W)と良好な値を保持した。
また耐熱試験後の屈曲性は2.0mm未満と良好な値を保持した。手触りとしても初期との違いは感じられなかった。さらにHAST耐性試験後の屈曲性は2.0mm未満と良好な値を保持した。手触りとしても初期との違いは感じられなかった。
また、耐熱試験後のタック力は2.4kPaと仮固定に充分な値を保持した。さらにHAST耐性試験後のタック力は1.6kPaと初期より低下したが、仮固定に充分な値を保持した。
ポリイソブテン(C)として、ポリブテン30N(日油(株)製、数平均分子量1350、100℃における動粘度6.6×10−4m2/s):650gを用いた以外は(実施例1)と同様に操作し、縦80mm×横150mm×厚さ0.15mmの熱伝導シート(III)を得た。(A)、(B)、(C)、(D)の全体に対する含有率はこの順に8.8質量%、53.9質量%、16.3質量%、21.1質量%であった。
また耐熱試験後の熱抵抗は0.053(K・cm2/W)と良好な値を保持した。さらにHAST耐性試験後の熱抵抗は0.055(K・cm2/W)と良好な値を保持した。
また耐熱試験後の屈曲性は2.0mm未満と良好な値を保持した。手触りとしても初期との違いは感じられなかった。さらにHAST耐性試験後の屈曲性は2.0mm未満と良好な値を保持した。手触りとしても初期との違いは感じられなかった。
また耐熱試験後のタック力は1.5kPaと仮固定に充分な値を保持した。さらにHAST耐性試験後のタック力は0.8kPaと初期より低下したが、仮固定に充分な値を保持した。
スチレン-イソブテン共重合体(A)として、スチレン−イソブテン(別名:イソブチレン)-スチレントリブロックコポリマー(SIBS)((株)カネカ製SIBSTER102T、スチレン由来構成単位含量15質量%):254g、黒鉛及び/又は六方晶窒化ほう素(B)として、鱗片状の六方晶窒化ほう素(モメンティブ株式会社製、商品名:PT−110、重量平均粒子径:35μm〜60μm、前述のX線回折測定を用いた方法により、結晶中の六員環面が、鱗片の面方向に配向していることを確認した。):3709g、ポリイソブテン(C)として、ポリブテン200N(日油(株)製、数平均分子量2650、100℃における動粘度4.1×10−3m2/s)472g、難燃剤(D)としてビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)(りん酸エステル系難燃剤、大八化学工業株式会社製、商品名:CR−741)564gを4L加圧ニーダに投入し、到達温度170℃の条件で混練し、組成物を得た。(A)、(B)、(C)、(D)の全体に対する含有率はこの順に5.1質量%、74.2質量%、9.4質量%、11.3質量%であった。
また耐熱試験後の熱抵抗は0.22(K・cm2/W)と良好な値を保持した。さらに
また耐熱試験後の屈曲性は2.0mm未満と良好な値を保持した。手触りとしても初期との違いは感じられなかった。さらにHAST耐性試験後の屈曲性は2.0mm未満と良好な値を保持した。手触りとしても初期との違いは感じられなかった。
また耐熱試験後のタック力は1.7kPaと仮固定に充分な値を保持した。さらにHAST耐性試験後のタック力は1.0kPaと初期より低下したが、仮固定に充分な値を保持した。
スチレン-イソブテン共重合体(A)とポリイソブテン(C)は用いず、代わりの樹脂として、固形カルボキシル基変性NBR(日本ゼオン(株)製、商品名:Nippol 1072、重量平均分子量:25万、カルボキシル基濃度:0.75(KOHmg/g))140g、アクリル酸ブチル/アクリル酸エチル/アクリロニトリル/アクリル酸共重合体(ナガセケムテックス株式会社製、商品名:HTR−280改2DR、共重合質量比:82/10/3/5、Tg:−39℃、重量平均分子量:53万):288g、液状カルボキシル基変性NBR(日本ゼオン(株)製、商品名:Nippol DN601、重量平均分子量:6.8万、カルボキシル基濃度:0.75(KOHmg/g))143gを用い、更に硬化剤としてネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス社製、商品名:EX-211(エポキシ当量:138)57gを用いた。これに、無機粒子(B)として、鱗片状の膨張黒鉛粉末(日立化成工業株式会社製、商品名:HGF−L、質量平均径:270μm、前述のX線回折測定を用いた方法により、結晶中の六員環面が、鱗片の面方向に配向していることを確認した。):2156g、難燃剤(D)としてビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)(りん酸エステル系難燃剤、大八化学工業株式会社製、商品名:CR−741)1228gを4L加圧ニーダに投入し、到達温度130℃の条件で混練し、組成物を得た。(A)、(B)、(C)、(D)の全体に対する含有率はこの順に0質量%、53.9質量%、0質量%、30.6質量%であり、スチレン-イソブテン共重合体(A)とポリイソブテン(C)は含んでおらず、バインダ成分はNBR系及びアクリル系の樹脂とその硬化剤からなっていた。
得られた一次シートを、40mm×150mmの型刃を用いてプレス打ち抜きし、打ち抜いたシートを61枚積層し、高さが80mmになるよう、高さ80mmのスペーサを挟んで積層方向に150℃で120分間圧力をかけ、熱硬化された成形体を得た。
次いで、この成形体の80mm×150mmの積層断面を木工用スライサーを用いてスライスし、縦80mm×横150mm×厚さ0.15mmの熱伝導シート(V)を得た。
また耐熱試験後の熱抵抗は0.161(K・cm2/W)と3倍以上悪化した。さらにHAST耐性試験後の熱抵抗は0.088(K・cm2/W)と悪化が認められた。
また耐熱試験後の屈曲性は8.0mmと顕著な悪化が認められた。手触りとしても硬く、脆くなったことが明確に分かった。さらにHAST耐性試験後の屈曲性は2.0mmと悪化が検出された。手触りとしても初期より硬くなったことが分かった。
また耐熱試験後のタック力は0.2kPaとタック力をほぼ失った。さらにHAST耐性試験後のタック力は0.2kPaとタック力をほぼ失った。
スチレン-イソブテン共重合体(A)とポリイソブテン(C)は用いず、代わりの樹脂として、アクリル酸ブチル/アクリル酸エチル/アクリロニトリル/アクリル酸共重合体(ナガセケムテックス株式会社製、商品名:HTR−280改2DR、共重合質量比:82/10/3/5、Tg:−39℃、重量平均分子量:53万):938gを用い、更に硬化剤としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製、YDF-8170C)62.9gを用いた。これに、黒鉛及び/又は六方晶窒化ほう素(B)として、鱗片状の膨張黒鉛粉末(日立化成工業株式会社製、商品名:HGF−L、質量平均径:270μm、前述のX線回折測定を用いた方法により、結晶中の六員環面が、鱗片の面方向に配向していることを確認した。):2156g、難燃剤(D)としてビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)(りん酸エステル系難燃剤、大八化学工業株式会社製、商品名:CR−741)845gを4L加圧ニーダに投入し、到達温度130℃の条件で混練し、組成物を得た。(A)、(B)、(C)、(D)の全体に対する含有率はこの順に0質量%、53.9質量%、0質量%、21.1質量%であり、スチレン-イソブテン共重合体(A)とポリイソブテン(C)は含んでおらず、バインダ成分はアクリル系の樹脂とその硬化剤から成っていた。
得られた一次シートを、40mm×150mmの型刃を用いてプレス打ち抜きし、打ち抜いたシートを61枚積層し、高さが80mmになるよう、高さ80mmのスペーサを挟んで積層方向に70℃で2分間圧力をかけ、成形体を得た。この成形体を剥離処理されたPETフィルム及びアルミ箔でくるみ、170℃のオーブン中に8時間入れて熱硬化された成形体を得た。
次いで、この成形体の80mm×150mmの積層断面を木工用スライサーを用いてスライスし、縦80mm×横150mm×厚さ0.15mmの熱伝導シート(VI)を得た。
また耐熱試験後の熱抵抗は0.072(K・cm2/W)と少し悪化した。さらにHAST耐性試験後の熱抵抗は0.22(K・cm2/W)と3倍以上悪化した。
また耐熱試験後の屈曲性は2.0mm未満と良好な値を保持した。手触りはごくわずかに硬くなった。さらにHAST耐性試験後の屈曲性は2.0mmと悪化が検出された。手触りとしても初期より硬くなったことが分かった。
また耐熱試験後のタック力は0.3kPaとタック力をほぼ失った。さらにHAST耐性試験後のタック力は0.3kPaとタック力をほぼ失った。
スチレン-イソブテン共重合体(A)は用いず、代わりの樹脂として、アクリル酸ブチル/アクリル酸エチル/アクリロニトリル/アクリル酸共重合体(ナガセケムテックス株式会社製、商品名:HTR−280改2DR、共重合質量比:82/10/3/5、Tg:−39℃、重量平均分子量:53万):531gを用い、更に硬化剤としてビスフェノールF型エポキシ樹脂(新日鐵化学(株)製、YDF-8170C)35.8gを用いた。これに、黒鉛及び/又は六方晶窒化ほう素(B)として、鱗片状の膨張黒鉛粉末(日立化成工業株式会社製、商品名:HGF−L、質量平均径:270μm、前述のX線回折測定を用いた方法により、結晶中の六員環面が、鱗片の面方向に配向していることを確認した。):2156g、ポリイソブテン(C)として、ポリブテン200N(日油(株)製、数平均分子量2650、100℃における動粘度4.1×10−3m2/s)434g、難燃剤(D)としてビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)(りん酸エステル系難燃剤、大八化学工業株式会社製、商品名:CR−741)846gを4L加圧ニーダに投入し、到達温度130℃の条件で混練し、組成物を得た。(A)、(B)、(C)、(D)の全体に対する含有率はこの順に0質量%、53.9質量%、10.9質量%、21.1質量%であり、スチレン-イソブテン共重合体(A)は含んでおらず、代わりの成分はアクリル系の樹脂とその硬化剤から成っていた。
また耐熱試験後の熱抵抗は0.045(K・cm2/W)と良好な値を保持した。さらにHAST耐性試験後の熱抵抗は0.061(K・cm2/W)と少し悪化が認められた。
また耐熱試験後の屈曲性は2.0mm未満と良好な値を保持した。手触りとしても初期との違いは感じられなかった。さらにHAST耐性試験後の屈曲性は2.0mm未満と良好な値を保持した。手触りとしては初期よりわずかに硬くなったことが分かった。
また耐熱試験後のタック力は0.6kPaとやや弱くなった。さらにHAST耐性試験後のタック力は0.3kPaとタック力をほぼ失った。
スチレン−イソブテン共重合体(A)は用いず、代わりの樹脂を特に用いず、ポリイソブテン(C)としての、ポリブテン200N(日油(株)製、数平均分子量2650、100℃における動粘度4.1×10−3m2/s)の配合量を1000gとその分増量した以外は(実施例1)と同様の配合により組成物を得た。(A)、(B)、(C)、(D)の全体に対する含有率はこの順に0質量%、53.9質量%、25.1質量%、21.1質量%であった。
ポリイソブテン(C)及びその他の樹脂を特に用いず、スチレン-イソブテン共重合体(A)としての、スチレン−イソブテン(別名:イソブチレン)-スチレントリブロックコポリマー(SIBS)((株)カネカ製SIBSTER102T、スチレン含有率15%)の配合量を1000gとその分増量した以外は(実施例1)と同様に操作し、縦80mm×横150mm×厚さ0.15mmの熱伝導シート(VIII)を得た。
(A)、(B)、(C)、(D)の全体に対する含有率はこの順に25.1質量%、53.9質量%、0質量%、21.1質量%であった。
耐熱試験後の熱抵抗は0.085(K・cm2/W)と悪化は認められなかった。さらにHAST耐性試験後の熱抵抗は0.082(K・cm2/W)と悪化は認められなかった。
また耐熱試験後の屈曲性は2.0mm未満と良好な値を保持した。手触りに変化は感じられなかった。さらにHAST耐性試験後の屈曲性は2.0mm未満と良好な値を保持した。手触りに変化は感じられなかった。
また耐熱試験後のタック力は0.3kPaとタック力がほとんどなかった。さらにHAST耐性試験後のタック力は0.3kPaとタック力がほとんどなかった。
Claims (8)
- スチレン−イソブテン共重合体(A)と、黒鉛粒子及び六方晶窒化ほう素粒子からなる群より選ばれる少なくとも1種の無機粒子(B)と、ポリイソブテン(C)とを含有する熱伝導シート。
- さらに難燃剤(D)を含有する請求項1に記載の熱伝導シート。
- 前記無機粒子(B)の形状が鱗片状、楕球状又は棒状であり、その六員環面が前記鱗片の面方向、前記楕球の長軸方向又は前記棒の長軸方向に配向しており、前記無機粒子(B)の前記鱗片の面方向、前記楕球の長軸方向又は前記棒の長軸方向が、厚み方向に配向している請求項1又は請求項2に記載の熱伝導シート。
- 前記無機粒子(B)は鱗片状である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の熱伝導シート。
- 熱可塑性を有する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の熱伝導シート。
- 前記スチレン−イソブテン共重合体(A)の含有率が5質量%〜25質量%であり、前記無機粒子(B)の含有率が50質量%〜75質量%であり、前記ポリイソブテン(C)の含有率が5質量%〜40質量%であり、前記難燃剤(D)の含有率が10質量%〜40質量%である請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の熱伝導シート。
- 前記スチレン−イソブテン共重合体(A)と、前記無機粒子(B)と、前記ポリイソブテン(C)とを含み、前記無機粒子(B)の前記鱗片の面方向、前記楕球の長軸方向又は前記棒の長軸方向が一定の方向に配向している成形体の、前記配向している方向に対して60°〜90°の角度を有する面に対して平行に、前記成形体からスライスされた切片である請求項3〜請求項6のいずれか1項に記載の熱伝導シート。
- 発熱体と、請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の熱伝導シートと、放熱体とがこの順に積層された放熱装置。
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